(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】NR TDD無線フレーム構成およびCLI感度のgNB間Xnシグナリング
(51)【国際特許分類】
H04W 92/20 20090101AFI20230215BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20230215BHJP
H04W 16/02 20090101ALI20230215BHJP
【FI】
H04W92/20
H04W72/0446
H04W16/02
(21)【出願番号】P 2020567745
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 FI2018050417
(87)【国際公開番号】W WO2019234285
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515076873
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オサケユイチア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン クラウス
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】Huawei, HiSilicon,Dynamic and semi-static DL/UL resource partition [online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1709 R1-1715398,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/NR_AH_1709/Docs/R1-1715398.zip>,2017年09月09日
【文献】3GPP TS 38.211 V15.1.0 (2018-03),Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/38_series/38.211/38211-f10.zip>,2018年04月03日,p.1-2,11
【文献】CMCC,Considerations on DL-UL interference coordination [online],3GPP TSG RAN WG1 #89 R1-1708402,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_89/Docs/R1-1708402.zip>,2017年05月06日
【文献】3GPP TS 36.423 V15.1.0 (2018-03),Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.423/36423-f10.zip>,2018年04月06日,p.1-2,29-30,87,169-170
【文献】ZTE,Discussion on Coordination between LTE and NR for LTE-NR Co-existence [online],3GPP TSG RAN WG3 #97bis R3-173695,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_97bis/Docs/R3-173695.zip>,2017年09月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に少なくとも、
サポートされる時分割多重化用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を用意させ、
前記サポートされるスロットフォーマットの情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングさせ、
スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を用意させ、前記ベクトルのi番目の要素は、前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mであり、
前記使用される無線フレーム構成の情報を前記ネットワーク制御デバイスにシグナリングさせ
、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々な前記スロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を用意させ、前記クロスリンク干渉感度ベクトルは長さMを有し、前記クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦K≦Mであり、
前記クロスリンク干渉感度ベクトルを前記ネットワーク制御デバイスにシグナリングさせ、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
前記クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を前記ネットワーク制御デバイスにシグナリングさせる
ように構成されている、装置。
【請求項2】
前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中の前記サポートされるスロットフォーマットは、複数の所定のスロットフォーマットからのサブセットである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記サポートされるスロットフォーマットの情報中の前記サポートされるスロットフォーマットの数はNであり、
前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中のエントリを示す前記数は数字によって表現され、前記数字の数はNを表現するために必要な数字の数である、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化される、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記クロスリンク干渉感度を表現するための数字の数は、前記クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数である、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に少なくとも、
スロットの数である長さMを有するクロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を用意させ、前記クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦K≦Mであり、
前記クロスリンク干渉感度ベクトルをネットワーク制御デバイスにシグナリングさせ
、
前記クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
前記クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を前記ネットワーク制御デバイスにシグナリングさせる
ように構成されている、装置。
【請求項7】
前記クロスリンク干渉感度を表現するための数字の数は、前記クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数である、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に少なくとも、
ネットワーク制御デバイスから、サポートされる時分割多重化用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を受信させ、
前記ネットワーク制御デバイスから、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を受信させ、前記ベクトルのi番目の要素は、前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mであ
り、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
前記ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々な前記スロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を受信させ、前記クロスリンク干渉感度ベクトルは長さMを有し、前記クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、
前記受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用させ、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
前記ネットワーク制御デバイスから前記クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を受信させる、
ように構成されている、装置。
【請求項9】
前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中の前記サポートされるスロットフォーマットは、複数の所定のスロットフォーマットからのサブセットである、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記サポートされるスロットフォーマットの情報中の前記サポートされるスロットフォーマットの数はNであり、
前記サポートされるスロットフォーマットの情報の前記リスト中のエントリを示す前記数は数字によって表現され、前記数字の数はNを表現するために必要な数字の数である、
請求項
8または
9に記載の装置。
【請求項11】
前記クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化される、請求項
8に記載の装置。
【請求項12】
前記を表現するための数字の数は、前記クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数である、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に少なくとも、
ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を受信させ、前記クロスリンク干渉感度ベクトルはスロットの数である長さMを有し、前記クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、
前記受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用させ
、
前記クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され、
前記を表現するための数字の数は、前記クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数であり、
前記少なくとも1つのメモリおよび前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサと共に、前記装置に更に、
前記ネットワーク制御デバイスから前記クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を受信させる
ように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な例示の実施形態は、NR TDD無線フレーム構成およびCLI感度のgNB間Xnシグナリングを達成できる装置、方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で使用される略語には以下の意味を適用する:
CLI(Cross link interference) クロスリンク干渉
CSI(Channel state information) チャネル状態情報
eIMTA(Enhanced interference management and traffic adaptation) 拡張型干渉管理およびトラフィック適合
HARQ(Hybrid automatic repeat request) ハイブリッド自動再送要求
IE(Information Element) 情報エレメント
NR(New radio) 新無線
OAM(Operations and maintenance) 運用および保守
OFDM(Orthogonal frequency division multiple access) 直交周波数分割多重化アクセス
SCS(Sub carrier spacing) サブキャリア間隔
TDD(Time division duplexing) 時分割多重化
UE(User Equipment) ユーザ装置
URLLC(Ultra-reliable low latency communications)高信頼低遅延通信
Xn(Interface between two gNBs) 2つのgNB間の干渉
XnAP(Xn application protocol) Xnアプリケーションプロトコル
【0003】
本発明の実施形態は、これに限定されないが、使用される無線構成を2つのgNB間でXnインターフェースを介してシグナリングすることに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態はこの状況に対処するもので、使用される無線フレーム構成を2つのネットワーク制御要素間で効果的にシグナリングするための手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を用意させ、サポートされるスロットフォーマットの情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングさせ、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を用意させ、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mであり、使用される無線フレーム構成の情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングさせるように構成されている、装置が提供される。
【0006】
第2の態様によれば、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を用意することと、サポートされるスロットフォーマットの情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングすることと、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を用意することであって、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、用意することと、使用される無線フレーム構成の情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングすることと、を含む、方法が提供される。
【0007】
第1および第2の態様は以下のように修正できる。
【0008】
例えば、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のサポートされるスロットフォーマットは、複数の所定のスロットフォーマットからのサブセットであってもよい。
【0009】
サポートされるスロットフォーマットの情報中のサポートされるスロットフォーマットの数はNであってもよく、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数は数字によって表現されてもよく、この数字の数はNを表現するために必要な数字の数である。
【0010】
また更に、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示す、クロスリンク干渉感度情報が、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態で用意されてもよく、クロスリンク干渉感度ベクトルは長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、クロスリンク干渉感度ベクトルはネットワーク制御デバイスにシグナリングされてもよい。
【0011】
クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され得る。
【0012】
クロスリンク干渉感度を表現するための数字の数は、クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数である。
【0013】
また更に、クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を、ネットワーク制御デバイスにシグナリングしてもよい。
【0014】
第3の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、スロットの数である長さMを有するクロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を用意させ、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、クロスリンク干渉感度ベクトルをネットワーク制御デバイスにシグナリングさせるように構成されている、装置が提供される。
【0015】
第4の態様によれば、スロットの数である長さMを有するクロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を用意することであって、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mである、用意することと、クロスリンク干渉感度ベクトルをネットワーク制御デバイスにシグナリングすることと、を含む、方法が提供される。
【0016】
第3および第4の態様は以下のように修正できる。
【0017】
クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され得る。
【0018】
クロスリンク干渉感度を表現するための数字の数は、クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数であり得る。
【0019】
また更に、クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を、ネットワーク制御デバイスにシグナリングしてもよい。
【0020】
第5の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、ネットワーク制御デバイスから、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を受信させ、ネットワーク制御デバイスから、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を受信させ、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、ように構成されている、装置が提供される。
【0021】
第6の態様によれば、
ネットワーク制御デバイスから、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を受信することと、
ネットワーク制御デバイスから、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を受信することであって、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、受信することと、を含む、方法が提供される。
【0022】
第5および第6の態様は以下のように修正できる。
【0023】
サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のサポートされるスロットフォーマットは、複数の所定のスロットフォーマットからのサブセットであってもよい。
【0024】
サポートされるスロットフォーマットの情報中のサポートされるスロットフォーマットの数はNであってもよく、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数は数字によって表現されてもよく、この数字の数はNを表現するために必要な数字の数である。
【0025】
また更に、ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態で受信してもよく、クロスリンク干渉感度ベクトルは長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用してもよい。
【0026】
クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され得る。
【0027】
上記を表現するための数字の数は、クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数であり得る。
【0028】
また更に、クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を、ネットワーク制御デバイスから受信してもよい。
【0029】
第7の態様によれば、少なくとも1つのプロセッサとコンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える装置であって、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサと共に、装置に少なくとも、ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を受信させ、クロスリンク干渉感度ベクトルはスロットの数である長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用させるように構成されている、装置が提供される。
【0030】
第8の態様によれば、ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を受信することであって、クロスリンク干渉感度ベクトルはスロットの数である長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mである、受信することと、受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用することと、を含む方法が提供される。
【0031】
第7および第8の態様は以下のように修正できる。
【0032】
クロスリンク干渉感度は所定数のレベルに量子化され得る。
【0033】
上記を表現するための数字の数は、クロスリンク干渉感度の最高のレベルを表現するのに必要な数字の数であり得る。
【0034】
また更に、クロスリンク干渉感度ベクトルが適用される搬送周波数を、ネットワーク制御デバイスから受信してもよい。
【0035】
本発明の第9の態様によれば、処理手段またはモジュールによって実行されたときに第2、第4、第6、および第8の態様および/またはそれらの修正形態のうちのいずれか1つに従う方法を実行するためのコード手段を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品はコンピュータ可読媒体上で具現化されてもよく、ならびに/または、コンピュータプログラム製品は、コンピュータの内部メモリに直接ロード可能であってもよく、ならびに/もしくは、ネットワークを介してアップロード、ダウンロード、およびプッシュ手順のうちの少なくとも1つによって伝送可能であってもよい。
【0036】
第10の態様によれば、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を用意するための手段と、サポートされるスロットフォーマットの情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングすることと、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を用意するための手段であって、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、用意するための手段と、使用される無線フレーム構成の情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングするための手段と、を備える装置が提供される。
【0037】
第11の態様によれば、スロットの数である長さMを有するクロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を用意するための手段であって、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mである、用意するための手段と、クロスリンク干渉感度ベクトルをネットワーク制御デバイスにシグナリングするための手段と、を備える装置が提供される。
【0038】
第12の態様によれば、ネットワーク制御デバイスから、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を受信するための手段と、ネットワーク制御デバイスから、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を受信するための手段であって、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、受信するための手段と、を含む装置が提供される。
【0039】
第13の態様によれば、ネットワーク制御デバイスから、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉に対する様々なスロットの感度を示すクロスリンク干渉感度情報を受信するための手段であって、クロスリンク干渉感度ベクトルはスロットの数である長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mである、受信するための手段と、受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用するための手段と、を含む装置が提供される。
【0040】
これらのおよび他の目的、特徴、詳細、および利点は、添付の図面と関連させて解釈されることになる実施形態の以下の詳細な説明から、より十分に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ある実施形態に係るgNB1およびgNB2を示す図である。
【
図2A】ある実施形態に係るgNB1によって実行される手順のフローチャートである。
【
図2B】ある実施形態に係るgNB2によって実行される手順のフローチャートである。
【
図3A】更なる実施形態に係るgNB1によって実行される手順のフローチャートである。
【
図3B】更なる実施形態に係るgNB2によって実行される手順のフローチャートである。
【
図4】標準サイクリックプレフィックス用のスロットフォーマットを示す図である(3GPP TS38.211の表4.3.2-3)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、例示の実施形態について説明を行う。ただし、この説明は単に例示として与えられること、および、説明される実施形態はいかなる点においても、実施形態をそれらに限定するものと理解すべきではないことが、理解されるべきである。
【0043】
実施形態は5G NR TDDモードに関連しており、使用される無線フレーム構成を2つのgNB間でXnインターフェースを介していかに効果的にシグナリングするかという問題に対処するものである。無線フレーム構成のシグナリングに加えて、追加の利益を加えるいわゆるクロスリンク干渉感度ベクトルシグナリングも提案される。5G NR設計用の非常にフレキシブルなフレーム構造の場合、そのような新しいシグナリング手順を効果的に設計する方法について、新しい問題が生じる。特に、厳密に協調させた静的/半静的TDD動作から敏速な動的TDDのケースにわたるケースを対象とできるようにスケーラブルである必要があるため。実施形態は操作者間のユースケースにも適用可能である。
【0044】
実施形態について詳細に記載する前に、本願の根底にある問題について、ある程度詳細に記載する。
【0045】
5G NRフレーム構造は、非常にフレキシブルに設計されている。無線フレームは10msであり、1msサブフレームの連なりから成っている。各フレームは5個のサブフレームから成る等サイズの2つの半フレームへと分割され、各々がサブフレーム0~4から成る半フレーム0およびサブフレーム5~9から成る半フレーム1を有する。標準サイクリックプレフィックスを有するケースでは、1つのスロットは14個のOFDMシンボルから成り、一方、拡張サイクリックプレフィックスおよび60kHzのサブキャリア間隔を有するケースでは、1つのスロットはただ12個のOFDMシンボルに等しい。サブフレーム/無線フレームあたりのスロットの数は、サブキャリア間隔によって決まる。15kHzでは1サブフレームあたり1個のスロットが存在し、30kHzでは1サブフレームあたり2個のスロットが存在し、60kHzでは1サブフレームあたり4個のスロットが存在し、以下同様である。
【0046】
図4に示す表(出典:標準サイクリックプレフィックス用のスロットフォーマットを示す、3GPP TS 38.211-表4.3.2-3)には、多数の可能なスロットフォーマットが定義されており、ここで「D」はダウンリンクシンボルを示し、「U」はアップリンクシンボルを示し、「X」はフレキシブルである。この場合、「X」はミューティングを指すか、またはダウンリンクもしくはアップリンク送信に対して用いられ得る。例として、スロットフォーマット0および1は、ダウンリンクのみのスロットおよびアップリンクのみのスロットにそれぞれ対応している。スロットフォーマット36は、最初に3個のダウンリンク送信シンボル、続いて(ガード期間中ミュートされるように設定され得る)「X」、および10個のアップリンク送信を含む。
【0047】
3GPP TS 38.213によれば、gNBはUEに(現在)使用されているスロットフォーマットを通知してもよい。更なる情報は3GPP TS 38.213、11.1項を参照されたい。
【0048】
各セルに関して、サブキャリア間隔、サイクリックプレフィックス長(標準または拡張)、搬送周波数、キャリア帯域幅のパラメータ化は、ほとんど調整されない「静的」または「半静的」な設定であると想定される。したがって、gNBは上述したパラメータの設定を、GPP TS38.423で定義されているXnAP手順「NG-RAN node Configuration Update」の一部としてシグナリングできると想定される。
【0049】
これらのパラメータ化が行われると、1つの10ms無線フレームはM個のスロットから成ることになり、ここで、15kHz SCSではM=10、30kHzではM=20、60kHz SCSではM=40、および以下同様である。
【0050】
いくつかの実施形態は、無線フレーム構成および関連するCLI感度情報を共有するためのgNB間シグナリング手順を効果的に設計することを目的としている。このことは、厳密に協調させた静的/半静的TDD動作から敏速な動的TDDのケースにわたるケースを対象とできるようにスケーラブルである必要があるため、特に困難である。実施形態に従い提案されるものによって、Xnベースのより進んだTDD協調手順を構築するための、まさに基本となる土台が定められる。実施形態は、Xnベースの情報交換が、同じ搬送周波数で動作するセルを有する2つのgNB間のものであるケース、ならびに、異なる搬送周波数を使用し得る(異なる操作者からのものであり得る)gNB間のものであるケースの、両方に対処する。後者は例えば、例えば3.5GHz帯域などの同じ帯域で、二人の操作者が隣り合うキャリアを使用しているかもしれないケースに関連している。
【0051】
【0052】
特に、
図1は、本実施形態に係る第1の装置の例として、gNB1およびgNB2を示す。ただし、実施形態はgNBに限定されず、装置は、TDD無線フレーム構成を使用することによってユーザ装置への無線接続を制御する、任意の種類のネットワーク制御デバイス、例えば基地局とすることができる。
図1の例では、gNB1がgNB2にTDD無線構成をシグナリングすることが想定される。また更に、
図2AはgNB1によって実行される処理を示しており、
図2BはgNB2によって実行される処理を示している。
【0053】
gNB1は、少なくとも1つのプロセッサ11と、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリ12と、を備える。少なくとも1つのプロセッサ11は、少なくとも1つのメモリ12およびコンピュータプログラムコードと共に、装置に、
図2AのステップS11に示すように、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を用意させ、ステップS12に示すように、サポートされるスロットフォーマットの情報をネットワーク制御デバイス(例えばgNB2)にシグナリングさせ、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を用意させ、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、ステップS13に示すように、1≦i≦Mであり、ステップS14に示すように、使用される無線フレーム構成の情報をネットワーク制御デバイスにシグナリングさせるように構成されている。
【0054】
gNB2は、少なくとも1つのプロセッサ21と、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリ22と、を備える。少なくとも1つのプロセッサ21は、少なくとも1つのメモリ22およびコンピュータプログラムコードと共に、装置に、
図2BのステップS21に示すように、ネットワーク制御デバイス(例えばgNB1)から、サポートされるTDD用スロットフォーマットが列挙されているリストの形態の、無線フレーム構成に関するサポートされるスロットフォーマットの情報を受信させ、ステップS22に示すように、ネットワーク制御デバイスから、スロットの数である長さMを有するベクトルの形態の、使用される無線フレーム構成の情報を受信させ、ベクトルのi番目の要素は、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数によって、i番目のスロットにおいて使用されるスロットフォーマットを示しており、1≦i≦Mである、ように構成されている。
【0055】
このようにして、ネットワーク制御デバイス(gNB1およびgNB2)は、サポートされるスロットフォーマットを前もって交換することができ、実際に使用されるスロットフォーマットをシグナリングするためには、サポートされるスロットフォーマットの情報を前もって参照する、使用される無線フレーム構成を含むベクトルをシグナリングしさえすればよい。したがって、使用される無線フレーム構成について別のネットワーク制御デバイスに通知する必要のあるたびごとに、サポートされるスロットフォーマットの全量を毎回明示的に示す必要はない。
【0056】
また更に、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のサポートされるスロットフォーマットは、複数の所定のスロットフォーマット(例えば、
図4の表に示すような所定のスロットフォーマット)からのサブセットであってもよい。
【0057】
サポートされるスロットフォーマットの情報中のサポートされるスロットフォーマットの数がNであるとき、サポートされるスロットフォーマットの情報のリスト中のエントリを示す数は数字によって表現されてもよく、この数字の数はNを表現するために必要な数字の数である。
【0058】
したがって、Nを表現するために使用される数字の数(またはビット)は、可能な全てのスロットフォーマットを表現するために必要な数字の数よりも小さく成り得る。この結果、2つのネットワーク制御デバイス(gNB1およびgNB2)間のシグナリングからのオーバヘッドを小さくすることができる。
【0059】
gNB1およびgNB2(または対応する装置)は、他の要素への接続を提供するために、プロセッサ11、21に接続された入力/出力(I/O)ユニットまたは機能(インターフェース)13、23を更に備え得ることが留意される。特に、gNB1とgNB2の間の接続がインターフェースXnを介して提供され得る。
【0060】
また更に、別の実施形態によれば、使用される無線フレーム構成をシグナリングすることに加えてまたはその代わりに、クロスリンク干渉(CLI)感度に関する情報を交換することもできる。このことは、
図3Aおよび
図3Bに示すフローチャートを参照して記載されている。
【0061】
例えば、
図3AのステップS31に示すように、gNB1は、スロットの数である長さMを有するクロスリンク干渉感度ベクトルの形態の、クロスリンク干渉感度情報を用意し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、ステップS32に示すように、クロスリンク干渉感度ベクトルをネットワーク制御デバイス(例えばgNB2)にシグナリングしてもよい。
【0062】
また更に、
図3Bに示すように、gNB2は、
図3BのS41ステップに示すように、ネットワーク制御デバイス(例えばgNB1)から、クロスリンク干渉感度ベクトルの形態のクロスリンク干渉感度情報を受信し、クロスリンク干渉感度ベクトルはスロットの数である長さMを有し、クロスリンク干渉感度ベクトルのk番目の要素はk番目のスロットにおけるクロスリンク干渉感度を示しており、1≦k≦Mであり、ステップS42に示すように、受信されたクロスリンク干渉感度情報に基づいてスロットフォーマットを適用してもよい。
【0063】
このようにして、ネットワーク制御デバイス(gNB)間でクロスリンク干渉感度情報を効果的に交換することができる。
【0064】
以下では、上記の実施形態についてより詳細に記載する。
【0065】
特に、ほとんどのgNB実装は、全てのスロットフォーマットを実装または利用しない可能性が高い場合のあることが想定され得る。したがって、gNBがそれらのサブセットしかサポートしないようにできることが提案される。最も単純な形態では、これはスロットフォーマット0(ダウンリンクのみのサブフレーム)およびスロットフォーマット1(アップリンクのみのサブフレーム)に関してサポートされ得る。したがって、gNbが、XnAP手順「NG-RAN node Configuration Update」の一部として、サポートされるN個のスロットフォーマットのリストをシグナリングすることが提案される。
【0066】
gNB(またはgNBにおけるセル)に関してサポートされるN個のスロットフォーマットは、ベクトル[SupportedSlotFormat_1,SupportedSlotFormat_2,…,SupportedSlotFormat_N]によって表すことができ、ここで、3GPPがTS 38.211で定義しているNRスロットフォーマットに従い、SupportedSlotFormat_x∈[0,1,2,… 255]である。
【0067】
サポートされるスロットフォーマットが与えられれば、使用される無線フレーム構成を、長さMのベクトルを用いて、1つのgNBからもう1つのgNBにシグナリングすることができ、ここで、そのベクトルのi番目の要素(1≦i≦M)は、サポートされるスロットフォーマットのベクトルの要素のうちの、いずれか1つと等しい。このようにすることで、無線フレーム構成のgNB間シグナリングからのオーバヘッドが最適化される、スケーラブルな解決法が存在する。
【0068】
例1:
1無線フレームあたりM個のスロットが存在する場合、および(スロットフォーマットの全セットから)使用されるもののインデックスが全てシグナリングされる場合、M×8ビットが必要となるであろう。しかしながら、提案されるスキームによれば、そのようなシグナリングに必要なビットの数がM×Wに低減される。ここでW=log2(N)である。したがって、gNBが例えば可能なスロットフォーマットのうちのN=4のみを使用/実装する場合、無線フレーム構成のシグナリングにはM×8ビットと比較してM×2ビットしか必要とならず、これはシグナリングに必要な帯域幅の4分の1倍の縮小に相当する。
【0069】
具体的な例として、10個のスロットが使用され、2つのスロットフォーマット、すなわち0および1だけがサポートされるケースが想定される。その場合、サポートされるフォーマットのリストまたはベクトルは以下のようになるであろう:[0,1]。使用される無線フレーム構成のベクトルはその場合、例えば以下のようになり得る:[1,1,0,0,1,0,1,0,1,1]。これは例えば、第3のスロットにおいてスロットフォーマット0(ダウンリンクのみ、
図4に示す表を参照)が適用され、第10のスロットにおいてスロットフォーマット1(アップリンクのみ)が適用されることを示している。示されているように、使用される無線フレーム構成のベクトル中の各要素に対して、1ビットしか必要とされない。
【0070】
無線フレーム構成のシグナリングは、XnAP手順「NG-RAN node Configuration Update」におけるIEとして含めることができる。(上述した方法のように)gNBが使用される無線フレーム構成をシグナリングするとき、gNBがそうではないと示すまでは、gNBがその無線フレーム構成に適合することが暗黙に想定されている。
【0071】
提案される無線フレーム構成のシグナリングに加えて、gNbが、対応するクロスリンク干渉(CLI)感度ベクトルもシグナリングすることが提案される。CLI感度ベクトルは、同じく長さMを有しており、他のgNBに、CLIに対する(無線フレーム構成中の)様々なスロットの感度を示す。すなわち、CLIへの感度が非常に高ければ、周囲のgNBは類似のスロットフォーマットの使用を強く優先することになるが、これはこのことによりCLIが最小になると考えられるからである。対照的に、感度が低いものとして示されている場合、これは、同じスロットフォーマットを使用することに、近隣のgNBがそれほど注意を払わなくてもよいことを意味する。簡潔にするために、感度レベルをHigh、Medium、Lowの、3つのレベルに量子化することが提案される。ただし、このスキームは当然ながら、必要であると見なされれば、より多くのレベルが可能になるように更に一般化され得る。
【0072】
デフォルトでは、CLI感度ベクトルは、同一チャネルで配備されたgNB、すなわち同じキャリア周波数を有するセルを有するgNBに関する、CLI感度を表す。しかしながら、適用可能性の範囲を、例えば2つのgNBが異なるキャリア周波数を使用する、操作者間のケースにも拡大するためには、以下のように、gNBがCLI感度ベクトルのシグナリングに属性を追加できるべきである:gNBは、CLI感度ベクトルを別のgNBにシグナリングするとき、この感度ベクトルが適用される搬送周波数fcを含めるというオプションを有するべきである。fcが含まれていない場合、搬送周波数はデフォルトで、メッセージを送信しているgNBが使用している同一チャネルの搬送周波数を指す。この文脈では、既出のセクションから、gNBがそのセルに関して使用される搬送周波数の設定をXnAP手順「NG-RAN node Configuration Update」の一部としてシグナリングすることが想定され、したがってそのような情報はCLI感度ベクトルをシグナリングする前にgNBには既知であることに留意されたい。
【0073】
以下では、提案されるシグナリングの枠組みを様々な設定/ユースケースに対してどのように使用できるかを、例によって更に記載する。
【0074】
例2:スロット分解能に対する半静的TDD
この例では、TDD切替が1スロットあたりの粒度に対して実装され、かつある切替パターンに従っているケースを検討する。この場合、スロットフォーマット0および1のみが使用されることになり、したがって許可されるスロットフォーマットベクトルは[0,1]に等しくなる。1スロットあたり1ビットだけで、スロットがスロットフォーマット0または1に等しいことを示すことができ、したがって、無線フレーム構成のシグナリングには、Mビット(Mは1無線フレームあたりのスロットの数)しか必要としない。gNBの配備がCLIをほぼ許容できないようなものである場合、対応するCLI感度ベクトルは、[High、High、High、…、High]に設定され得る。このことは、CLIの発生を回避すべく、他のgNBが同じ無線フレーム構成の使用を目指すべきであることを示唆している。他方で、gNBが特定のスロットにおいてある程度のCLIに耐え得る場合、そのgNBは、(単なる例として)[High,Low,Low,High,High,High,…,High]というCLI感度ベクトルをシグナリングすることができる。スロット数1および2についての「Low」の表示は、この例では、それらのスロット中に他のgNBがある程度のCLIを生じさせるかどうかは、それほど重要ではないことを示している。これは例えば、gNBがそれらのスロットにおいてどのユーザのスケジューリングも決して計画していない、または、周囲のgNBからの追加のCLIが許容可能となるような高いSINR値を何らかのかたちで経験するユーザのスケジューリングを計画していない場合に、許容可能であり得る。
【0075】
例3: 無制限の完全動的TDD動作
別の極端なケースは、gNB何も制約を受けずに完全動的TDDモードで動作する状況である。そのようなケースでは、gNBは原則として、使用されるスロットフォーマット構成をオンザフライで決定することができる。そのような状況は、提案される枠組みによって、サポートされるスロットフォーマットが2であることを単に示すことでサポートされる。スロットフォーマット2は全シンボルについて全て「X」を有しており、したがって「D」および「U」のシンボルの選択肢の全ての実行可能な組合せを対象としていることに、留意されたい。したがって、スロットフォーマット2が(例えばXnAP手順である「NG-RAN node Configuration Update」手順の一部として)、gNBが使用する唯一の許可されるスロットフォーマットとしてシグナリングされる場合は、この例で意味のないことになるので、無線フレーム構成を更にシグナリングする必要はなく、またCLI感度ベクトルをシグナリングする必要もない。
【0076】
例4:URLLCに類似したサービスのための頻繁なTDD切替
例えば1msという最も厳しい遅延要件および99.999%の信頼度が要求される、URLLCが関与するケースでは、TDD切替は、スロットレベルの分解能よりも高い時間分解能で行われる必要のある可能性が高いであろう。ダウンリンク送信とアップリンク送信の間のスロット間切替に関与するケースもまた、本質的に要求されること。超高信頼度の制約は、超高信頼度のPHY制御およびデータチャネル送信を要求する。一方向ダウンリンクURLLC性能を実現するためには、スロットフォーマット31のようなダウンリンク重視のスロットフォーマットに見るべきものがある。このスロットフォーマットは、開始時にダウンリンクシンボルを有し、例えばキャリアHARQフィードバック、CSIレポート等に使用できる、2個のアップリンクシンボルが終了時に続く。同様に、一方向アップリンクURLLC性能を実現するためには、スロットフォーマット35のようなアップリンク重視のフォーマットに見るべきものがある。gNBが同じ時間においてeMBBダウンリンクおよびアップリンクのユーザにサービスできるべきであれば、ダウンリンクのみのスロットフォーマット(スロットフォーマット0)およびアップリンクのみのスロットフォーマット(スロットフォーマット1)も重要であろう。したがって、この特定のケースの場合、許可されるスロットフォーマットを有するベクトルは、以下に等しい:
[Slot format 0,Slot format 1,Slot format 31,Slot format 35]。
この場合、使用されるスロットフォーマットのシグナリングには、無線フレーム構成中の各スロットについて、2ビットが必要である。(URLLCが関与している)多くの産業用制御用途において、送信の要請は知られているタイミングで周期的に行われる。したがって、DL URLLCが想定される状況の場合、無線フレーム構成はそのような時間にスロットフォーマット31を使用するように、および、UL URLLC送信が想定されるときはスロットフォーマット35を使用するように、設定される。CLI感度ベクトルは、ダウンリンクまたはアップリンクのいずれかのURLLC送信が想定される無線フレーム構成中のスロットではHighに設定され、この結果それらがCLIから保護される。
【0077】
例5:アクセスおよび制御シグナリング保護
システムが適切に機能するためには、システムへのアクセスおよび関連する制御シグナリングが当然ながら重要である。ダウンリンクについては、UEがセルを確実に検出でき、またネットワークが新規呼の確立を望むときにページングメッセージを確実に受信できることが重要である。同様に、アップリンクについては、確実なランダムアクセスが重要である。この場合、前者に対応するために、これらのスロットについてCLI感度ベクトルをやはり「High」に設定することによって、無線フレーム構成を、そのような決定的な制御が保証され得るような、ダウンリンクのみのスロット(スロットフォーマット0)およびアップリンクのみのスロット(スロットフォーマット1)が規則的となる環境になるように設定することができる。
【0078】
例6:操作者間のシナリオ
提案されるgNB間シグナリングスキームが適用可能な、関連する別のユースケースは、操作者間のシナリオに関するものである。関連するシナリオは例えば、二人(またはそれ以上)の操作者に近隣のキャリア上で3.5GHzスペクトル帯域内の周波数スペクトルが許可されているような配備である。そのようなケースでは、操作者AおよびBのgNBは、両者がどのキャリア周波数を使用しているかについてOAMから通知を受けてもよく、またはgNBは、やはり既に述べたようなXnAP手順である「NG-RAN node Configuration Update」手順を介して、そのような情報を交換することができる。操作者AおよびBのgNBはまた、それらのサポートされるスロットフォーマット、使用される無線フレーム構成、およびCLI感度ベクトルをシグナリングすることもできる。操作者AのgNBは、操作者BのgNBにCLI感度ベクトルをシグナリングするとき、このCLI感度ベクトルが適用される受信側gNBの搬送周波数に対応するfc属性を付加することになる。gNBは異なるキャリア周波数で動作する複数のセルをホストし得るので、gNBは近隣のgNBに複数のCLI感度ベクトルをシグナリングしてもよいことに留意されたい。したがって、操作者BのgNBは、操作者AのgNBから一部のスロットが「High」であるCLI感度ベクトルを受信し、このことは、操作者AおよびBがこれらの特定のスロットに関してアラインスロットフォーマットを使用するのが好ましいことを示唆している。
【0079】
追加のgNB間情報交換:
いくつかの実施形態で提示したgNB情報交換スキームは、他の情報によって完成し得る。例としては、様々なUEおよびgNBの測定値、等が挙げられる。したがって、この情報交換は除外されない。
【0080】
上記の例を用いて説明するように、提案される解決法は関連する多くのユースケースに適用可能であり、特定された問題に対処するものである。この解決法は新しい3GPP NRフレーム構造等によって提示される多数のフレキシビリティ/構成オプションを完全に取り込んでおり、またこの提案される解決法は複雑さがかなり低い。
【0081】
実施形態は既に記載したような例に限定されない。
【0082】
例えば、上記したいくつかの実施形態によれば、サポートされるスロットフォーマットの情報および使用される無線フレーム構成は、XnAP手順「NG-RAN node Configuration Update」においてgNB間でXnインターフェースを介して交換される。ただし、これらの実施形態はこの手順に限定されず、対応する情報は別の好適な手順によって交換されてもよい。
【0083】
また更に、上記したいくつかの実施形態によれば、サポートされるスロットフォーマットの情報および使用される無線フレーム構成の交換に加えて、CLI感度情報が交換される。ただし、本願の実施形態はこれに限定されず、CLI感度情報の交換は、サポートされるスロットフォーマットの情報および使用される無線フレーム構成の交換から独立して実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態によれば、サポートされるスロットフォーマットの情報および使用される無線フレーム構成の交換は、実行されなくてもよい。
【0084】
ネットワークの要素、プロトコル、および方法の名称は、現行の規格に基づいている。他のバージョンまたは他の技術では、これらのネットワークの要素および/またはプロトコルおよび/または方法の名称は、それらが対応する機能性を提供する限り、異なっていてもよい。
【0085】
一般に、この例示の実施形態は、メモリ(メモリリソース、メモリ回路構成)12、22に格納されプロセッサ(処理リソース、処理回路構成)11、21によって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、またはハードウェアによって、またはソフトウェアおよび/またはファームウェアとハードウェアとの組合せによって、実装され得る。
【0086】
本願で使用される場合、用語「回路構成」は以下の全てを指す:
(a)ハードウェアのみの回路実装(例えば、アナログおよび/またはデジタル回路構成のみでの実装)、ならびに
(b)回路とソフトウェア(および/またはファームウェア)の組合せ、例えば(適用可能であれば):(i)プロセッサの組合せ、または(ii)協働して携帯電話もしくはサーバなどの装置に様々な機能を実行させる、プロセッサ/ソフトウェア(デジタル信号プロセッサを含む)の一部、ソフトウェア、およびメモリ)、ならびに
(c)動作にソフトウェアまたはファームウェアを必要とする、マイクロプロセッサまたはマイクロプロセッサの一部などの回路(ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在していなくてもよい)。
【0087】
「回路構成」のこの定義は、任意の請求項を含め、本願におけるこの用語の全ての使用に当てはまる。更なる例として、本願で使用される場合、用語「回路構成」はまた、単なるプロセッサ(もしくは複数のプロセッサ)またはプロセッサの一部、およびその(またはそれらの)付属するソフトウェアおよび/またはファームウェアの実装形態も対象とするであろう。用語「回路構成」はまた、例えば、特定の請求項の要素に適用可能であれば、携帯電話用のベースバンド集積回路もしくはアプリケーションプロセッサ集積回路、またはサーバ、セルラネットワークデバイス、もしくは他のネットワークデバイス中の、類似の集積回路も対象とするであろう。
【0088】
用語「接続された」、「結合された」、またはそれらの何らかの変形は、2つ以上の要素の間の直接的または間接的のいずれかの任意の接続または結合を意味し、1つに「接続された」または「結合された」2つの要素間の1つまたは複数の中間要素の存在を包含し得る。要素同士の間の結合または接続は、物理的なもの、論理的なもの、またはそれらの組合せであり得る。本明細書で用いる場合、2つの要素は、非限定的な例として、1つまたは複数のワイヤ、ケーブル、およびプリント電気接続の使用によって、ならびに、無線周波数領域、マイクロ波領域、および光学(可視および不可視)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーの使用によって、1つに「接続された」または「結合された」ものと見なすことができる。
【0089】
メモリ(メモリリソース、メモリ回路構成)12、22はローカルの技術環境に適した任意のタイプのものであってよく、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定されたメモリおよび取り外し可能なメモリ、ならびに非一時的コンピュータ可読媒体などの、任意の好適なデータ格納技術を使用して実装され得る。プロセッサ(処理リソース、処理回路構成)11、21はローカルの技術環境に適した任意のタイプのものであってよく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、およびマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサのうちの1つまたは複数を、非限定的な例として含み得る。
【0090】
上記の説明は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈すべきではないことが、理解されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および応用に想到し得る。