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特許7228021通信媒体読み取りシステム、通信媒体読み取り方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】通信媒体読み取りシステム、通信媒体読み取り方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20230215BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230215BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230215BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
G05D1/10
B65G61/00 432
G05D1/02 P
G06K7/10 244
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021190044
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599016110
【氏名又は名称】株式会社エスシー・マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】栗毛野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】工藤 鉄也
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102164(JP,A)
【文献】特開2017-174359(JP,A)
【文献】特開2022-032274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部を有し、
前記第2制御部は、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変える
通信媒体読み取りシステム。
【請求項2】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部と有する通信媒体読み取りシステムであり、
前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、
前記通信媒体読み取りシステムは、
前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを記憶する想定在庫記憶部を有し、
前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くする
通信媒体読み取りシステム。
【請求項3】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部を有する通信媒体読み取りシステムであり、
前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、
前記通信媒体読み取りシステムは、
前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを記憶する想定在庫記憶部と、を有し、
前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする
信媒体読み取りシステム。
【請求項4】
前記第2制御部は、読み取り対象の領域に対する、前記通信機器から照射される無線信号の指向性の向きが変更されるように、前記通信機器または前記無人航空機のピッチング、ローリング、ヨーイングのうち少なくとも1つを変更する指示を出力することで前記揺動をさせる
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の通信媒体読み取りシステム。
【請求項5】
前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、
前記通信媒体読み取りシステムは、
前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを記憶する想定在庫記憶部と、を有し、
前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くする
請求項1に記載の通信媒体読み取りシステム。
【請求項6】
前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、
前記通信媒体読み取りシステムは、
前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを記憶する想定在庫データと、を有し、
前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする
請求項1に記載の通信媒体読み取りシステム。
【請求項7】
前記第2制御部は、揺動を行っている間において、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が前記想定数に達した場合に揺動を終了する
請求項3または請求項6に記載の通信媒体読み取りシステム。
【請求項8】
前記管理対象は、在庫としてラックに保管された機材または建設現場の保管場所に保管された機材である
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の通信媒体読み取りシステム。
【請求項9】
コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変える
ことを含む通信媒体読み取り方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する通信媒体読み取り方法であり
前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを想定在庫記憶部に記憶し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くする
ことを含む通信媒体読み取り方法。
【請求項11】
コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する通信媒体読み取り方法であり、
前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを想定在庫記憶部に記憶し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする
ことを含む通信媒体読み取り方法。
【請求項12】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変える
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項13】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力することをコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを想定在庫記憶部に記憶し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くする
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、
前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力することをコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを想定在庫記憶部に記憶し、
前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信媒体読み取りシステム、通信媒体読み取り方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場には、様々な機材が用いられる。機材は、建設現場において利用され、作業を行う日における作業が終了すると、次に利用されるまでの間、建設現場内に一時保管される。また、機材は、建設現場における利用が終わると、倉庫または工場等の保管施設に返却され、メンテナンスが行われ、次の利用時まで保管される。このような機材は、確認タイミングが到来すると、建設現場内または保管施設内のどこに保管されているか、所在確認が行われる。
例えば、特許文献1では、無人航空機である移動機が倉庫内を飛行し、棚上に保管された品物をカメラによって撮影し、撮影画像に基づいて品物に取り付けられたラベルを認識することで、そのラベルに表示された文字列を参照し、品物を特定するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-167177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、管理対象を管理する場合、管理対象に対してラベルではなくICタグを取り付けて管理する場合がある。この場合、無人航空機にタグリーダを搭載し、管理対象が存在する可能性があるエリアを飛行させることで、管理対象に取り付けられたICタグの読み取りを行う。ここで、ICタグの読み取りを行う場合、タグリーダとICタグとの間において通信を行うことができず、ICタグの読み取りを行うことができない場合がある。例えば、管理対象に取り付けられたICタグとタグリーダとの間に他の管理対象等の物体が並べられ配置されている場合がある。管理対象が、少なくとも一部に金属の部位を有する機材である場合、タグリーダから出力された無線信号は、その機材の金属の部位によって阻害される。そうすると、その機材よりも先にあるICタグを読み取ることが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、管理対象に取り付けられたICタグを読み取りやすくすることができる通信媒体読み取りシステム、通信媒体読み取り方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部を有し、前記第2制御部は、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変える通信媒体読み取りシステム。
また、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部と有する通信媒体読み取りシステムであり、前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、前記通信媒体読み取りシステムは、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを記憶する想定在庫記憶部を有し、前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くする通信媒体読み取りシステムである。
また、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する第2制御部を有する通信媒体読み取りシステムであり、前記読み取り対象の領域は、管理対象が保管される保管領域であり、前記通信媒体読み取りシステムは、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを記憶する想定在庫記憶部と、を有し、前記第2制御部は、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする通信媒体読み取りシステムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変えることを含む通信媒体読み取り方法である。
また、本発明の一態様は、コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する通信媒体読み取り方法であり、前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを想定在庫記憶部に記憶し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くすることを含む通信媒体読み取り方法である。
また、本発明の一態様は、コンピュータにより実行される通信媒体読み取り方法であって、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力する通信媒体読み取り方法であり、前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを想定在庫記憶部に記憶し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くすることを含む通信媒体読み取り方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、前記揺動の度合いを変えることをコンピュータに実行させるプログラムである。
また、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力することをコンピュータに実行させるプログラムであり、前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材とを想定在庫記憶部に記憶し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、前記揺動の度合いを高くすることをコンピュータに実行させるプログラムである。
また、本発明の一態様は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力し、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させる指示を出力することをコンピュータに実行させるプログラムであり、前記読み取り対象の領域は管理対象が保管される保管領域であり、前記保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材の想定数とを想定在庫記憶部に記憶し、前記無人航空機を揺動させる指示を出力することは、前記保管領域に対する読み取りを行う基準点に前記無人航空機が到達し、前記読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、前記想定数に達していない場合に、前記保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くすることをコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、管理対象に取り付けられたICタグを読み取りやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一実施形態による通信媒体読み取りシステム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】想定在庫データの一例を示す図である。
図3】保管領域10を上方からみた場合における概念図である。
図4】読み取り制御装置30の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による通信媒体読み取りシステムについて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態による通信媒体読み取りシステム1の構成を示す概略ブロック図である。
通信媒体読み取りシステム1は、保管領域10、無人航空機20、読み取り制御装置30、在庫管理サーバ40を含む。
【0012】
保管領域10は、管理対象11が保管される領域である。
保管領域10は、例えば、管理対象11を保管する倉庫または工場、建設現場において管理対象を保管する保管場所のうち少なくともいずれか1つであってもよい。
保管領域10が工場または倉庫である場合、管理対象を収容することが可能な指定場所が割り当てられる場合や、ラックが配置される場合がある。例えば、管理対象は、このラックの収容領域に収容される。ラックに棚板がある場合には、棚板によって保管領域を分割することができる。ラックに吊り下げ用の吊り下げ具等が設けられている場合には、吊り下げ具毎に保管領域を分割することができる。指定場所が割り当てられている場合には、ラックに載置しにくい大型の機材を当該指定場所に置くことで保管することができる。
保管領域10が建設現場における保管場所である場合、機材を利用する作業が終了した段階において次の作業が開始されるまたは賃貸業者に返却するまでの間において保管される場所である。このような保管場所は、建設現場の工程の進捗に応じて、建設現場内において変更される場合もある。建設現場における保管領域10は、建設現場の工程表、施工計画図等に基づいて、いずれのフロアのどのエリアを機材の保管場所とするか設定される場合がある。この場合、保管場所として設定されるエリアを保管領域10として定めることができる。このような建設現場における保管領域10においても、工場や倉庫のようにラックが配置される場合もある。
保管領域10に保管された管理対象11の個数や個体をICタグ12の読み取り結果を用いることで、管理対象11の所在を確認したり、帳簿に記録された数や管理番号と一致しているか否かを確認するための棚卸をすることができる。ここでは、建設現場において管理対象11の所在を確認する場合であっても、棚卸と呼ばれることがある。
【0013】
管理対象11には、通信媒体が取り付けられる。通信媒体は、通信機器と通信をすることによって、識別情報を伝えることができるものであればよい。通信媒体は、例えば、IC(Integrated Circuit)タグ12を用いることができる。ICタグ12には、複数のICタグを個別に識別するタグ識別情報が記憶されている。管理対象11が複数ある場合、管理対象11には、それぞれに異なるICタグ12がそれぞれ取り付けられる。例えば、管理対象11aにはICタグ12aが取り付けられ、管理対象11bにはICタグ12bが取り付けられる。この実施形態において、管理対象11aと管理対象11bとを特に識別しない場合には単に管理対象11と称する。また、ICタグ12aとICタグ12bとを特に識別しない場合には単にICタグ12と称する。
ここでは、タグ識別情報と、管理対象に関する情報(管理番号、型式、名称、製造メーカ、製造番号等)とが対応付けられた管理対象データが読み取り制御装置30または在庫管理サーバ40に記憶されており、この管理対象データを参照することによって、タグ識別情報に対応する管理対象がいずれであるかを識別できるようになっている。
このICタグ12は、タグリーダ204から照射された電波を受信し、この電波を電力に変換し、変換された電力を用いて通信を行うタイプ(パッシブタグ)が用いられる。
【0014】
管理対象11は、在庫として倉庫のラックや指定場所に保管される機材または建設現場の保管場所に保管される機材である。管理対象は、建設現場において利用される物品であれば、機材であっても資材であってもよい。また、機材は、レンタル業者やリース会社等の賃貸業者から、建設現場において建設作業を行う建設会社(または作業者)に貸し出される機材であってもよいし、建設会社が所有している機材であってもよい。この実施形態において、機材は、賃貸業者が貸し出すものであり、保管領域10は、賃貸業者が貸し出し可能な在庫としてラックに収容されることで保管される場合を例として説明する。
【0015】
管理対象11は、例えば、高所作業車、送風機、発電機、測定器(騒音計、振動計、温度記録計等)、照明器具等がある。
【0016】
無人航空機20は、自律的に飛行可能な飛行体であり、例えばマルチコプターである。
無人航空機20は、通信部201、駆動部202、位置検出部203、タグリーダ204、制御部205を有する。
通信部201は、読み取り制御装置30の通信部301と通信を行う。
駆動部202は、回転翼を回転させるモータである。
位置検出部203は、無人航空機20の位置を検出する。検出方法は任意であるが、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いた位置検出、カメラによって周囲を測定した測定結果を用いた位置検出等のいずれを用いてもよい。
GNSSを用いた位置検出では、GNSSを用いて無人航空機20の現在位置を測定することで、無人航空機20が飛行している現在位置を検出することができる。
カメラによって周囲を測定した測定結果を用いた位置検出では、例えば、Visual SLAMを用いてもよい。Visual SLAMは、ステレオカメラによって無人航空機20の周囲を撮影した撮像結果から3次元情報を取得し、その3次元情報を元に地図を生成することができる。
【0017】
タグリーダ204は、無人航空機20に取り付けられている。タグリーダ204は、無人航空機20に対して取り付け治具を介して固定されていてもよい。また、タグリーダ204は、無人航空機20に対するタグリーダ204の姿勢を変更可能な機構(サーボ等)を介して取り付けられていてもよい。
【0018】
タグリーダ204は、ICタグと通信を行う。
タグリーダ204がICタグの読み取りを行う対象の領域は、ICタグが存在する可能性がある領域であればよく、例えば、保管領域10である。タグリーダ204は、保管領域10の外部の領域であっても、ICタグが存在する可能性があるのであれば、ICタグの読み取りを行ってもよい。例えば、建設現場では、保管場所に機材を集めて保管することが行われるが、保管場所の外であって保管場所の近傍に機材が置かれる場合もある。このような場合には、保管場所の近傍を読み取り対象とするようにしてもよい。
タグリーダ204の重量は、無人航空機20が積載可能な重量の範囲内であることが好ましい。
【0019】
制御部205は、無人航空機20の各部を制御する。
制御部205は、タグリーダ204によって読み取られたタグ識別情報と、読み取りを行った時点における無人航空機20の現在位置とを読み取りデータとして通信部201を介して読み取り制御装置30へ送信する。
また、制御部205は、読み取り制御装置30からの指示に基づいて、無人航空機20の動作を制御する。例えば、制御部205は、読み取り制御装置30からの指示に基づいて、無人航空機20を揺動させるよう制御する。
【0020】
読み取り制御装置30は、通信部301、記憶部302、第1制御部303、第2制御部304、第3制御部305を有する。読み取り制御装置30は、例えばコンピュータである。
通信部301は、無人航空機20の通信部201と通信する機能を有するとともに、在庫管理サーバ40の通信部401と通信する機能を有する。通信部301は、無人航空機20の通信部201と通信をする場合には、無線によって通信を行う。通信部301は、在庫管理サーバ40の通信部401と通信をする場合には、無線または有線の少なくともいずれか一方を利用して通信を行う。
【0021】
記憶部302は、各種データを記憶する。記憶部302は、想定在庫記憶部3021を有する。
想定在庫記憶部3021は、想定在庫データを記憶する。想定在庫データは、保管領域を識別する保管領域識別情報と、保管されていることが想定されている機材に関する情報とを含む。
図2は、想定在庫データの一例を示す図である。
この図において、想定在庫データは、領域識別情報と、想定数と、想定管理対象とを含むデータである。領域識別情報は、保管領域を複数の領域に分割した場合における分割領域を識別する識別情報である。分割領域は、保管領域において管理対象の型式、製造メーカ、機種等を用いて分類された管理対象11毎に保管する領域として指定された領域(例えば、指定場所、棚板、吊り下げ具等)である。管理対象11が返却された場合には、管理対象11毎に指定された分割領域に収容される。
ここで保管領域10には少なくとも1つのラックが設置される。この場合、ラックには、複数の棚板または吊り下げ具の少なくともいずれか1つが設けられ、棚板毎、または吊り下げ具毎に、管理対象を収容することができる。棚板は、少なくとも1つの管理対象11を載置することができる。吊り下げ具は、少なくとも1つの管理対象11を吊り下げることができる。
ここでは、棚板または吊り下げ具によって分けられた領域を分割領域とし、その分割領域毎にそれぞれ識別情報が割り当てられている。また、分割領域は、保管領域を分割することができれば棚板または吊り下げ具以外によって分割されていてもよい。
なお、保管領域を複数の領域に分割しない場合には保管領域に対して1つの識別情報を割り当てるようにしてもよい。
【0022】
想定数は、領域識別情報が示す領域に保管されていることが想定される管理対象の数(存在する可能性がある数)である。ここで、保管領域10のラックには、保管する対象の管理対象の機種や型番等が割り当てられており、その割り当てられた領域に、対応する管理対象を戻して保管する運用をする場合がある。この場合、管理対象について貸し出し中であるか否かに基づいて、貸し出し中ではない管理対象については、貸し出し可能な在庫であると想定することができる。また、管理対象11が貸し出し中ではない場合、賃貸業者に返却されているため、賃貸業者が管理する保管領域10に保管されている可能性が高い。そのため、貸し出し中であるか否かのステータスに基づいて、貸し出し中ではない管理対象を特定し、想定管理対象として想定在庫データに登録される。その想定管理対象の数を、分割領域(分割されない場合には保管領域)においてカウントすることによって想定数を得ることができる。
想定管理対象は、ステータスが貸し出し中ではない管理対象である。
ここで、想定数は、ステータスが貸し出し中ではない管理対象の数(在庫数)そのまま用いてもよいし。また、想定数は、保管領域10とは別の場所において管理対象11のメンテナンス等が行われていることが予め把握できている場合には、その数を在庫数から除外した数を想定数として用いてもよい。
想定数は、管理対象11について帳簿上において棚卸をした場合の数を表すデータであるともいえる。
【0023】
想定在庫データは、在庫管理サーバ40から稼動情報が取得されることで、定期的に更新されて想定在庫記憶部3021に記憶される。想定在庫データの更新は、読み取り制御装置30の制御部(例えば後述する第3制御部305)が実行するようにしてもよい。
【0024】
第1制御部303は、管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する。通信媒体は、例えば、ICタグである。通信機器は、例えばタグリーダである。
【0025】
基準点は、無人航空機20の飛行経路において、ICタグの読み取りを行う基準となる位置である。
図3は、保管領域10を上方からみた場合における概念図である。ここでは保管領域10にラックが配置されている場合の例を示す。
保管領域10には、複数のラック15(15a、15b、15c、15d、・・・・)が並べて配置されている。基準点18(18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18h、18i、・・・・)は、無人航空機20が飛行可能な領域のいずれかに設定される。ここでは、ラック15が配置されていない領域に基準点18が設定される。ラックが配置されていない領域としては、通路、ラック15の上部と保管領域10の天井との間の領域等がある。より具体的に、基準点18aは、ラック15aと保管領域10の境界10aとの間の通路に設定され、基準点18bは、ラック15aとラック15bとの間であって、かつ保管領域10の境界10aとの間に設定される。基準点18cは、ラック15bと保管領域10の境界10bとの間の通路に設定され、基準点18dは、ラック15bとラック15dとの間であって、かつ保管領域10の境界10bとの間に設定される。基準点18nは、ラック15bの上部と天井との間の領域に設定される。
【0026】
無人航空機20の飛行経路19は、基準点18a、基準点18b、基準点18c、基準点18d、基準点18e、基準点18f、基準点18g、基準点18h、基準点18iの順に通る経路が設定されている。さらに飛行経路19は、基準点18iを通過した後、保管領域10内における他の基準点をそれぞれ通過し、基準点18m、基準点18nについても通るように設定される。基準点18m、基準点18nは、それぞれ、ラック15と天井との間に設定された基準点である。ここで、基準点18a、基準点18b、基準点18c、基準点18d、基準点18e、基準点18f、基準点18g、基準点18h、基準点18iについては、X軸とY軸とによって規定される座標上の位置を示す。X軸は、保管領域10の境界10aに沿う方向であり、Y軸は、保管領域10の境界10bに沿う方向であり、X軸とY軸は直交する関係にある。
基準点18m、基準点18nについては、X軸とY軸とZ軸とによって規定される座標上の位置を示す。Z軸は、X軸とY軸に直交する方向であり、高さ方向に対応する。
【0027】
このような基準点は、タグリーダ204がICタグ12と通信を行うことが可能な範囲(読み取り可能な範囲)に応じて設定される。例えば、基準点は、保管領域10におけるXY平面において、読み取り可能な範囲が、1つのラック15について、少なくとも1つの基準点を基準として読み取り可能な範囲に収まるように設定される。例えば、1つの基準点を基準として1つのラック15について読み取り範囲に収まるように設定されてもよいし、2つの基準点をそれぞれ基準として1つのラック15について読み取り範囲に収まるように設定されてもよい。
例えば、タグリーダ204の読み取り可能な範囲がAメートルであり、複数の基準点が直線上に並ぶように設定される場合には、基準点の距離は、少なくとも(2×A)メートル以内に設定されることで、直線方向において読み取り範囲が連なるように設定することができる。
【0028】
第2制御部304は、基準点に無人航空機20が到達した場合に、その基準点が示す座標上の位置を基準として、通信機器によって読み取り処理を行わせつつ、当該無人航空機を揺動させるようにさせる指示を出力する。
ここで揺動は、基準点が示す位置を基準として無人航空機20の姿勢を変更することができる動作であればよい。例えば、第2制御部304は、読み取り対象の領域に対する、通信機器から照射される無線信号のビームの向きが変更されるように、無人航空機20のピッチング、ローリング、ヨーイングのうち少なくとも1つを変更する指示を出力することで揺動をさせる。無人航空機20のピッチング、ローリング、ヨーイングのうち少なくとも1つが変更されることに伴って、タグリーダ204の姿勢のピッチング、ローリング、ヨーイングのうち少なくとも1つが変更される。無人航空機20を揺動させることにより、保管領域10に対する、タグリーダ204から出射される電波のメインビームの向きを変えながら、保管領域10の近傍を飛行することができる。これにより、ICタグに対して、異なる角度からタグリーダからの電波を照射することができ、ICタグとリーダのとの相対的な姿勢の関係を変更して読み取りを行うことができるため、ICタグを読み取ることができる確率を高めることができる。
【0029】
また揺動は、無人航空機20の姿勢についてピッチング、ローリング、ヨーイングのうちいずれか1つを変更する場合、XY平面上における座標位置を変更せず、無人航空機20のピッチング、ローリング、ヨーイングのうちいずれか1つを変更しつつICタグ12の読み取りを行った後、Z軸方向における上下方向のいずれかの方向に移動させ、その高さ方向における位置において、ピッチング、ローリング、ヨーイングのいずれかを変更する、という動作を繰り返すようにしてもよい。
【0030】
また揺動は、XY平面に対する高さ方向をZ軸方向とした場合、Z軸方向における位置を固定して(変更せず)XY平面上においていずれかの方向に沿って往復動させる動作であってもよいし、XY平面上において軌道が円または矩形状となるように周方向に沿うような動作であってもよい。
また、保管領域10が、ラック15のように高さ方向に管理対象11を並べて収容可能である場合には、無人航空機20についてある高さにおいて揺動を行わせた後、無人航空機20が飛行する基準点の位置を変更せずに、高さ方向における位置を上方向(または下方向)に変更した後、揺動を行わせるようにしてもよい。これにより、異なる高さのそれぞれにおいて揺動することができるため、異なる高さに管理対象11が収容されている場合であってもそれぞれの高さにおいてICタグ12を読み取りやすくすることができる。
【0031】
また、揺動は、基準点が示す位置を基準とし、高さ方向において上方向(または下方向)に移動しつつ、らせんを描く軌道となるような動作であってもよい。
【0032】
また、揺動は、無線信号の指向性の向きが変わればよいため、無人航空機20に対してタグリーダ204が固定されている場合には、無人航空機20そのものを揺動してもよいし、無人航空機20に対してタグリーダ204の取り付けられた向きを変更できる機構(サーボ等)が備えられている場合には、無人航空機20の姿勢を変更せずにタグリーダ204の姿勢を変更することで揺動させてもよい。
【0033】
ここで、ICタグ12の読み取りをしにくいケースはいくつかあるが、例えば、次のようなケースがあり、いずれも揺動を行うことによって、読み取りをしやすくすることが可能である。
【0034】
《アンテナ特性の影響を受けるケース》
タグリーダまたはタグリーダライタのアンテナ特性は、直線偏波と円偏波とがある。このアンテナ特性が直線偏波である場合、電波の出射方向における通信距離は、ある程度長くすることができるが、電波の出射方向に対するICタグの向きによっては、読み取りしやすい場合と読み取りしにくい場合がある。この場合、第2制御部304が無人航空機20を揺動させることで、ICタグに対して、タグリーダから照射される電波を異なる角度から照射することができるため、読取しやすい角度から電波を照射することができ、直線偏波のアンテナ特性が用いられるタグリーダ204であっても、ICタグを読み取りやすくすることができる。
例えば、管理対象である機材に対してICタグが取り付けられる位置は様々である。また、ICタグが取り付けられた機材がラック等の保管領域10に収容された際、保管領域10の正面側から見たICタグの姿勢(位置、角度)は様々である。また、ICタグが取り付けられた機材の機種が同じであっても、保管領域10に並べて収容された際に、保管領域10の正面側からみたICタグの向きは、必ずしも保管領域10の正面側からタグリーダ204によって読み取り易い向きとなっているとは限らない。そこで、無人航空機20を揺動させることで、ICタグが静置された姿勢に対して、異なる様々な向きからタグリーダ204の電波を照射することができ、ICタグ12の読み取りをしやすくすることができる。
【0035】
なお、タグリーダ204のアンテナ特性が円偏波である場合には、直線偏波である場合に比べて、電波の出射方向に対するICタグの向きによる読み取りはしやすい。またタグリーダ204のアンテナ特性が円偏波であっても、上述の揺動を行うようにしてもよい。
また、アンテナの特性の影響を受けるケースとしては、偏波の他に指向性の影響を受ける場合がある。タグリーダ204から照射される電波のビームの向きによっては、ICタグ12の近傍にタグリーダ204が位置していたとしても、通信を行うことができる向きとなっていない場合もある。この場合、ICタグ12の読み取りがしにくい場合がある。この場合、無人航空機20を揺動させることで、異なるビームの向きから保管領域10に電波を照射することができるため、いずれかの向きにおいてICタグ12を読み取ることができる可能性を高めることができ、ICタグ12の読み取りを行い易くすることができる。
【0036】
《金属等の遮蔽物の影響を受けるケース》
ICタグは、金属等の遮蔽物を透過して通信を行うことができない。そのため、保管領域10に対する、タグリーダ204から電波を出射する向きが一定となるようにしつつ、無人航空機20の飛行位置を変更したとしても、機材が保管されている姿勢または他の機材との位置関係によっては、ICタグ12に対して電波が到達しない場合もある。この場合、ICタグ12を読み取ることができない可能性がある。
ここで、金属等の遮蔽物の影響を受けるケースはいくつかあるが、例えば、機材自らの部位の影になるケースと、他の物の影響を受けるケースとがある。
【0037】
《機材自らの部位の影になるケース》
機材は、例えば、アーム状等の突出した部位があり、この突出部位の素材が金属である場合、機材に取り付けられたICタグと無人航空機20との間に突出部位が位置する場合には、突出部位によって電波が阻害され、ICタグの読み取りができない場合がある。
ここで、ICタグを読み取り易い位置となるように機材に取り付けようとしても、機材の可動部、他の機材と干渉する可能性がある部位等の位置にはICタグを取り付けられないため、取り付けられる位置が限られる場合がある。この場合、必ずしも読み取り易い位置に取り付けられるとは限らない。
このような場合であっても、無人航空機20を揺動させることで、ICタグが取り付けられた姿勢に対して、突出部位による影響を受けにくい方向からタグリーダ204の電波をICタグ12に照射できる可能性を高めることができる。これにより、金属が用いられた突出部位がある機材であっても、ICタグ12の読み取りをしやすくすることができる。
【0038】
《他の物の影響を受けるケース》
機材が保管領域10に収容された際に、ある機材に対してICタグ12が取り付けられた位置が、保管領域10の正面側から見て他の機材の金属部位の後ろに隠れる位置である場合には、読み取りしにくい。例えば、機材が発電機であり、保管領域10の正面側から見て奥行き方向に沿って複数台の発電機が収容される場合、奥行き方向において手前から2台目よりも奥側に並べられた発電機に取り付けられたICタグについては、手前側の影になってしまうため、正面側から読み取ろうとしても、手前側の発電機によって電波が阻害され、ICタグを読み取ることが難しい場合がある。
そこで、無人航空機20を揺動させることで、奥側に並べられた機材のICタグ12であっても、手前側に並べられた機材によって阻害されにくい方向(例えば右斜め方向、左斜め方向、上斜め方向、下斜め方向等)から電波を照射することができ、ICタグ12を読み取り易くすることができる。
【0039】
また、第2制御部304は、読み取り対象の領域に存在する可能性がある管理対象の数に応じて、揺動の度合いを変えてもよい。ここでは、第2制御部304は、想定在庫記憶部3021に記憶された想定在庫データを参照し、飛行する近傍の保管領域10における管理対象11の想定数が多いほど揺動の度合いを高くし、想定数が少ないほど揺動の度合いを低くするようにしてもよい。また、第2制御部304は、想定数の基準値を記憶しておき、想定在庫記憶部3021に記憶された想定在庫データを参照し、飛行する近傍の保管領域10における管理対象11の想定数が基準値より多い場合に揺動の度合いを高くし、基準値より少ない場合に揺動の度合いを低くするようにしてもよい。
飛行する近傍の保管領域10がいずれであるかについては、例えば、基準点と、その基準点に到達した際に読み取りを行う対象の保管領域10(ラックまたは分割領域でもよい)とを対応づけた対応データを記憶部302に記憶しておく。そして、この対応データを第2制御部304が無人航空機20に送信する。これにより、無人航空機20は、基準点に到達した際に、対応データに基づいて、到達した基準点に対応する読み取り対象の分割領域を特定し、その分割領域に対してタグリーダ204から電波を照射する。
例えば、図3における基準点18eと、ラック15bとが対応付けられた対応データが記憶されている場合には、無人航空機20は、基準点18eに到達した場合、ラック15bに対してタグリーダ204から電波を照射する。また、基準点18gと、ラック15bとが対応付けられた対応データが記憶されている場合には、無人航空機20は、基準点18gに到達した場合、ラック15bに対してタグリーダ204から電波を照射する。ここでは、同じラック15bに対してタグリーダ204から電波を照射しているが、ラック15bに対して異なる方向から電波を照射し、ICタグ12の読み取りを行うことができる。
これにより、基準点に到達した場合に、その基準点に対応する分割領域に存在する管理対象11のICタグ12を読み取ることができる。
【0040】
また、第2制御部304は、読み取り対象のラック15(または分割領域)に対応する想定在庫データを参照することで、読み取り対象のラック15(または分割領域)の想定数を特定する。この想定数は、返却されていることが想定される数であるともいえる。第2制御部304は、この想定数が多いほど、揺動の度合いを高くし、想定数が少ないほど、揺動の度合いを低くしてもよい。これにより、ラックに機材が密になって保管されている可能性がある箇所については、揺動の度合いをすることで細かく読み取りを行うことができ、ICタグの読み取りの精度を高めることができる。また、ラックに機材が疎に保管されている可能性がある箇所については、揺動の度合いを低くすることで、それほど細かく読み取りを行わずに読み取りを行うことができるため、読み取りにかかる時間が長引いてしまうことを抑制することができる。
この場合、第2制御部304は、想定数が多いことが想定在庫データを元に事前に把握しておき、飛行する際に、どの程度の度合いの揺動を行えばよいかを決めた上で、揺動することができる。
【0041】
揺動の度合いは、例えば、ピッチング、ローリング、ヨーイングのうち少なくとも1つを変更する揺動を行う場合、変更する対象であるピッチング、ローリング、ヨーイングのいずれかの量(角度)を増加させることで揺動の度合いを高くすることができ、いずれの量(角度)を減少させることで揺動の度合いを低くすることができる。
また、揺動の度合いは、例えば、無人航空機20についてある高さにおいて揺動を行わせた後、基準点が示す位置を変更せずに、高さ方向における位置を上方向(または下方向)に変更して揺動する場合、高さ方向における位置の移動量を小さくすることで揺動の度合いを高くすることができ、高さ方向における位置の移動量を大きくすることで揺動の度合いを低くすることができる。高さ方向の移動量が小さいほど、高さ方向において細かく読み取りを行うことができ、高さ方向の移動量が大きいほど、高さ方向において粗く読み取りを行うことができる。
【0042】
第2制御部304は、保管領域に対する読み取りを行う基準点に無人航空機が到達し、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、想定されている機材のICタグを読み取ることができない場合に、揺動の度合いを高くする。
この場合、第2制御部304は、実際に読み取り処理を行った後に、実際に読み取ることができたICタグ12の数が想定数まで達していない場合に、揺動の度合いを高くすることができる。そのため、実際に読み取ることができたICタグ12の数が想定数まで達していれば、次の読み取り処理を行う位置に移動し読み取りを行うことができるため、過度に揺動をすることを低減することができる。
【0043】
第2制御部304は、保管領域に対する読み取りを行う基準点に無人航空機が到達し、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、想定数に達していない場合に、保管領域の近傍における基準点が配置される粗密度合いを高くする。保管領域10に対して予め設定されている基準点の総数を変えずに、隣接する基準点の位置を近づける、または離すことによって、粗密度合いを変えるようにしてもよい。例えば、読み取られた通信媒体の数が、想定数に達していない場合に、隣接する基準点の位置を近づけるようにし、読み取られた通信媒体の数が、想定数に達した場合に、基準点の位置を変更せずそのままとしてもよい。
また、保管領域10に対して予め設定されている基準点の数を増減させることで、粗密度合いを変えるようにしてもよい。例えば、読み取られた通信媒体の数が、想定数に達していない場合に、今回読み取りを行った基準点に対して隣接する位置に、基準点を新たに設定することで、粗密度合いを高くするようにしてもよい。また、読み取られた通信媒体の数が、想定数に達した場合に、基準点の位置を変更せずそのままにしてもよい。
【0044】
また、第2制御部304は、揺動を行っている間において、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が想定数に達した場合に揺動を終了する。これにより、今回読み取りを行った基準点の次の基準点に速やかに移動し、次の読み取り処理を行うことができるため、飛行時間が長引くことを抑制することができる。
【0045】
第3制御部305は、読み取り制御装置30の各部を制御する。
【0046】
在庫管理サーバ40は、管理対象11の在庫数を管理する。
在庫管理サーバ40は、通信部401、記憶部402、稼動状況管理部403を含む。
通信部401は、読み取り制御装置30と通信を行う。
記憶部402は、各種データを記憶する。記憶部402は、稼動情報記憶部4021を有する。
稼動情報記憶部4021は、管理対象11のそれぞれについて、管理番号、機種、型番、製造メーカ、ステータス等のデータを記憶する。管理番号は、在庫管理をする上で管理対象11に対して個別に割り当てられる番号であり、タグ識別情報と1対1の対応関係にある番号であってもよい。ステータスは、貸し出し中であるか否か、稼動中であるか否か等のデータを含む。
稼動状況管理部403は、管理対象11の稼動状況を検出し、検出結果に基づいて稼動情報記憶部4021に記憶されたステータスが、現在の稼動状況に対応するように書き換える。稼動状況管理部403は、例えば、管理対象11が賃貸業者に返却された場合には、返却されたことに基づく処理を行うことで、ステータスを「貸し出し可」(あるいは「在庫あり」)に変更し、貸し出しされた場合には、貸し出し処理を行うことで、ステータスを「貸し出し中」に変更する。また、稼動状況管理部403は、貸し出し中において、管理対象11の電源が投入されているか否か、管理対象11の駆動部における電流値を検出した検出結果等のデータを管理対象11から取得できる場合には、このような稼動状況についても、稼動情報記憶部4021に記憶するようにしてもよい。
【0047】
記憶部302、記憶部402は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成されてもよい。
これら記憶部302、記憶部402は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0048】
《動作》
次に、通信媒体読み取りシステムにおける読み取り制御装置30の動作について説明する。図4は、読み取り制御装置30の動作を説明するフローチャートである。
読み取り制御装置30の第1制御部303は、無人航空機20に対して駆動指示を出力し(ステップS101)、飛行経路と基準点の座標データとを送信し、最初の基準点に移動するよう指示を出力する。
無人航空機20は、読み取り制御装置30からの駆動指示に基づいてモータを駆動して飛行する。そして無人航空機20は、読み取り制御装置30から送信された飛行経路と基準点の座標データに基づいて、飛行経路に基づく最初の基準点が示す座標位置まで移動し、タグリーダ204による読み取り処理を開始する。無人航空機20の現在位置は、定期的に読み取り制御装置30に送信される。
【0049】
読み取り制御装置30の第2制御部304は、無人航空機20の現在位置が基準点に到達したか否かを判定する(ステップS102)。第2制御部304は、基準点に到達していないと判定した場合には(ステップS102-NO)、一定時間が経過した後、再度現在位置のデータを無人航空機20から取得し、再度ステップS102の処理を行う。一方、第2制御部304は、無人航空機20が基準点に到達したと判定した場合には(ステップS102-YES)、揺動動作を行うよう無人航空機20に対して指示を出力する(ステップS103)。
【0050】
無人航空機20は、読み取り制御装置30から揺動動作を行う指示を受信すると、揺動動作を行いつつ、ICタグ12の読み取りを行う。無人航空機20は、読み取り対象の領域がラックである場合には、揺動を行いつつ、ラックの高さ方向の上から下(または下から上)に移動しながらICタグの読み取りを行う。無人航空機20の制御部205は、タグリーダ204によって読み取られたICタグ12のタグ識別情報を、タグ識別情報を読み取った時点における無人航空機20の位置を示す座標データとともに通信部201を介して読み取り制御装置30に送信する。
【0051】
読み取り制御装置30の第2制御部304は、ICタグ12の読み取り結果と座標データとを受信すると(ステップS104)、読み取り結果と座標データとを記憶部402に記憶する。
第2制御部304は、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、基準点に対応する想定数に達しているか否かを判定する(ステップS105)。
第2制御部304は、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、基準点に対応する想定数に達していない場合には(ステップS105-NO)、揺動の度合いを高くするように無人航空機20に指示を出力する(ステップS106)。その後、第2制御部304は、処理をステップS104に移行させる。
【0052】
一方、第2制御部304は、読み取り処理によって読み取られた通信媒体の数が、基準点に対応する想定数に達していると判定した場合には(ステップS105-YES)、移動経路において最後に通過する基準点における読み取り処理が行われたか否かを判定する(ステップS107)。
移動経路において最後に通過する基準点における読み取り処理が行われたと判定された場合には(ステップS107-YES)、ICタグの読み取り処理を終了させる指示を無人航空機20に出力する(ステップS108)。
無人航空機20は、ICタグの読み取り処理を終了させる指示を受信すると、飛行開始位置に戻り、着陸し、動作を終了する。
【0053】
一方、移動経路において最後に通過する基準点における読み取り処理が行われていない判定された場合には(ステップS107-NO)、次の基準点に移動する指示を無人航空機20に出力する(ステップS109)。その後、処理をステップS102に移行する。
【0054】
無人航空機20は、次の基準点に移動する指示を受信すると、移動経路において次の基準点として設定されている基準点に移動し、読み取り処理を行う。
【0055】
上述の実施形態によれば、ステップS105到達した基準点において読み取られたICタグの個数が想定数に達しているか否かを判定し、達していない場合に揺動の度合いを変更するようにしたが、基準点に達した段階において、第2制御部304が、その基準点に対応する読み取り対象の領域(ラック等)の想定数に応じて、揺動の度合いを設定し、無人航空機20に揺動の度合いを出力するようにしてもよい。これにより、想定数がある程度多い領域を対象としてICタグ12の読み取りを行う場合には、揺動の度合いが高い状態にしてから読み取りを行うことができる。
【0056】
また、第2制御部304は、飛行経路において最後に通過する基準点を通過した後、保管領域10における全体の想定数と、実際にICタグを読み取った数とにおいて、一定値以上の差がある場合には、基準点が配置される粗密度合いを変更するようにしてもよい。例えば、想定数まで読み取ることができなかった基準点の近傍において基準点を増やすことで粗密度合いを高くしてもよい。また、想定数まで読み取ることができなかった基準点に隣接する基準点において想定数まで読み取ることができていた場合には、想定数まで読み取ることができた基準点を、想定数まで読み取ることができなかった基準点に近づけるように基準点の位置を変更することで、粗密度合いを変更するようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態において、建設現場において保管領域10が設定される場合、読み取ることができたタグ識別情報と、そのICタグを読みとることができた無人航空機20の飛行位置を示す座標とを対応づけて記憶するようにしてもよい。これにより、どの管理対象11がどの場所に保管されていたかを把握することが可能となる。
【0058】
また、建設現場において保管領域10が設定される場合、保管領域10は、建設現場におけるフロア毎に設定され、設定された保管領域10に応じて基準点も設置される。また、保管領域10に対する想定数は、建設現場の進捗状況や施工環境等に応じて設定されるようにしてもよい。例えば、3階において天井に関する施工を行う場合であって、その施工の期間が10日間であり、床に関する施工に用いられる管理対象11が照明器具、高所作業車である場合、この照明器具、高所作業車が3階の保管領域10に対する想定管理対象として登録され、想定数も把握可能となる。そして、照明器具、高所作業車は、例えばその日の施工業務が終了すると、次の施工業務が開始されるまでの間、保管領域10に収容される。この収容される期間において、無人航空機20を利用して、保管領域10の読み取りを行うことで、照明器具、高所作業車の所在を確認するとともに、棚卸をすることができる。
【0059】
また、上述した実施形態において、揺動の度合いを高くして揺動を行っても、ICタグの読み取り個数が、その位置における想定数まで到達しなかった場合には、エラーを報知するようにしてもよい。揺動をしつつ読み取りを行ったとしても想定数まで達しない場合としては、例えば、管理対象11が返却されているが、メンテナンスために保管領域10とは別の場所に持ち出されている場合、管理対象が返却されているが、まだ保管領域10に運ばれていない場合等がある。このような場合、管理担当者が、保管領域10に出向き、実際の管理対象11の在庫を目視によって確認したり、メンテナンスを行う場所に持ち出されているかの確認等をすることで、管理対象11の所在を確認することができる。
【0060】
また、上述した実施形態において、タグリーダ204を無人航空機20に搭載し、建設現場における保管領域10を飛行させる場合、仮に建設現場においてフロアの足場が設置されていない施工段階(鉄骨のみ施工されている領域)の場所、建設現場において地面が泥状となっている場所であっても、床面を歩行または走行しなくてもよい。そのため、床面の影響を受けることなく管理対象11の所在を確認することができる。
【0061】
また、上述した実施形態において、想定在庫データは、領域識別情報と、想定数と、想定管理対象に対応するタグ識別情報とを記憶する場合について説明したが、想定在庫データは、領域識別情報と、想定数とが対応付けられたデータ(想定管理対象に対応するタグ識別情報が記憶されないデータ構造)であってもよい。
ここで、保管領域10のラックには、管理対象11の機種や型番等が割り当てられており、その割り当てられたラックに、対応する管理対象11を保管する運用をする場合がある。このような場合、管理対象11と、保管する対象のラック(または分割領域)を特定する情報とを対応付けたデータである棚割データを記憶部302に記憶しておく。そして第2制御部304は、基準点に到達した場合に、対応データに基づいてその基準点に対応するラックを特定し、そのラックに収容することが割り当てられている管理対象11を棚割データに基づいて特定し、特定された管理対象11のうち、稼動状況管理部403のステータスが「貸し出し可」となっている稼動状況管理部403の数を求めることで、想定数を算出するようにしてもよい。
【0062】
また、想定在庫データは、領域識別情報と、想定管理対象に対応するタグ識別情報とが対応付けられたデータ(想定数が記憶されないデータ構造)であってもよい。この場合、タグ識別情報の数をカウントすることで想定数を求めるようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態において、飛行経路と基準点については、読み取り制御装置30から無人航空機20に送信するようにしたが、飛行経路と基準点とを表すコード(一次元コードまたは二次元コード)が表示された表示盤を保管領域10内の複数箇所に設置するようにしてもよい。この場合、無人航空機20がそのコードをカメラで撮像し、撮像されたコードを解釈することで、タグリーダでの読み取り処理の後、次の基準点に移動させるようにしてもよい。この場合、読み取り制御装置30が飛行経路と基準点とに応じて生成し、表示盤に表示させるようにしてもよい。表示盤は、コードを表示可能な表示装置であってもよく、コードが印刷された印刷媒体であってもよい。そして、表示盤を、保管領域10のコードを撮影させる箇所に配置し、無人航空機20に撮影させるようにしてもよい。
また、コードは、1つのみで飛行経路と複数の基準点との情報を含むようにしてもよい。また、1つのみで飛行経路と複数の基準点との情報を含むことができない場合には、複数の基準点毎に、それぞれ基準点に応じて異なるコードを生成し、基準点に応じた位置に取り付けられた表示盤に表示させるようにしてもよい。
この場合、無人航空機20と読み取り制御装置30とが、移動経路と基準点についての通信を行わなくて済む。
【0064】
また上述した実施形態において、無人航空機20と読み取り制御装置30とが別の装置として構成する場合について説明したが、読み取り制御装置30の機能を無人航空機20に搭載するようにしてもよい。
【0065】
上述した実施形態における無人航空機20の位置検出部203、制御部205の機能、または、読み取り制御装置30の第1制御部、第2制御部、第3制御部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0066】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…通信媒体読み取りシステム、10…保管領域、10a,10b…境界、11,11a,11b…管理対象、12,12a,12b…ICタグ、15,15a,15b,15d…ラック、18,18a,18b,18c,18d,18e,18f,18g,18h,18i,18m,18n…基準点、19…飛行経路、20…無人航空機、30…制御装置、40…在庫管理サーバ、201,301,401…通信部、202…駆動部、203…位置検出部、204…タグリーダ、205…制御部、302,402…記憶部、303…第1制御部、304…第2制御部、305…第3制御部、403…稼動状況管理部、3021…想定在庫記憶部、4021…稼動情報記憶部
【要約】
【課題】管理対象に取り付けられたICタグを読み取りやすくすることができる通信媒体読み取りシステムを提供する。
【解決手段】管理対象に取り付けられた通信媒体と非接触通信によって通信を行う通信機器が搭載された無人航空機に対し、前記通信機器による読み取りを行う基準点に移動する指示を出力する第1制御部と、前記基準点に前記無人航空機が到達した場合に、前記通信機器によって読み取り処理をさせ、当該無人航空機を揺動させるようにさせる指示を出力する第2制御部を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4