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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
E04B2/90
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021210055
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2021015442の分割
【原出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022119187
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 哲也
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-045617(JP,A)
【文献】特開2002-371657(JP,A)
【文献】特開平09-209485(JP,A)
【文献】特開2014-118678(JP,A)
【文献】特開2018-112052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/90
E04B 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に固定されるファスナーと、パネル体の縦枠に取付けたブラケットと、ブラケットをファスナーに連結する連結材とを備え、ブラケットは、ファスナーに対して縦枠を高さ調整可能に支持するものであり、連結材は、ブラケットに対して上下方向に移動可能に嵌合しており、ファスナーに上方から見込方向及び左右方向に移動不能に係合していることで、パネル体を見込方向及び左右方向に位置決めした状態でパネル体を高さ調整自在であることを特徴とするカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体にパネル体を取付けて構成されるカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、躯体に設けたファスナーにブラケットを介してパネル体を取付けて構成したカーテンウォールが知られている。かかるカーテンウォールにおいて、施工性を改善したいという要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、施工性の良いカーテンウォールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるカーテンウォールは、躯体に固定されるファスナーと、パネル体の縦枠に取付けたブラケットと、ブラケットをファスナーに連結する連結材とを備え、ブラケットは、ファスナーに対して縦枠を高さ調整可能に支持するものであり、連結材は、ブラケットに対して上下方向に移動可能に嵌合しており、ファスナーに上方から見込方向及び左右方向に移動不能に係合していることで、パネル体を見込方向及び左右方向に位置決めした状態でパネル体を高さ調整自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によるカーテンウォールは、躯体に固定されるファスナーと、パネル体の縦枠に取付けたブラケットと、ブラケットをファスナーに連結する連結材とを備え、連結材をブラケット側に取付けておき、連結材をファスナーに上方から見込方向及び左右方向に移動不能に係合することでパネル体が見込方向及び左右方向に位置決めされ、その状態でパネル体の高さ調整が行えるため、施工性が良い
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】パネル体の躯体への取付部分を示す縦断面図である。
図2】パネル体の躯体への取付部分を示す横断面図である。
図3】本発明のカーテンウォールの一実施形態を示す室外側正面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】パネル体を躯体に取付けるときの状態を示す縦断面図である。
図6】パネル体を躯体から分離した状態で示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~4は、本発明のカーテンウォールの一実施形態を示している。本カーテンウォールは、ビルの外壁を成すものであって、図3,4に示すように、ビル1階分にあたる層間部のうちの上部に設けた窓部パネル体13と、下部に設けた腰部パネル体1とを備え、両パネル体13,1は左右方向に並べて配置されている。
窓部パネル体13は、図4に示すように、床面14から1m程度の高さ位置から天井15付近までの範囲を占めている。窓部パネル体13は、躯体(床スラブ)7の下面に取付けた金物16に取付けてある。
腰部パネル体1は、床面14から1m程度の高さ位置から下の階の天井15付近までの範囲を占めている。腰部パネル体1は、躯体7の上面に取付けたファスナー6に取付けられている。本カーテンウォールは、腰部パネル体1の躯体7への取付部分に特徴があり、以下、その部分を中心に説明する。
【0008】
腰部パネル体1は、図3,4に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる上枠17と下枠18と左右の縦枠2,3を枠組みし、枠内の室外側寄りの位置にガラスパネル(熱線反射強化合わせガラス)19が取付けてある。さらに、図1,4に示すように、左右の縦枠2,3の上下方向の中間部に中骨20を架設し、上枠17と中骨20間の開口部の室内側寄りの位置にガラスパネル(複層ガラス)21が取付けてあり、中骨20と下枠18間の開口部の室内側寄りの位置にケイカル板よりなる耐火ボード22が取付けてある。左右の縦枠2,3の上下方向中間部には、ファスナー6と連結するためのブラケット4が室内側に突出して設けてある。
【0009】
ファスナー6は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、図1,2に示すように、躯体7の上面に当接する平板部23と、室外側端部に左右方向に連続して設けた立ち上がり部8と、平板部23の上面に立ち上がり部8から室内側に離間して左右方向に設けた突条9を有している。
図2に示すように、平板部23には見込方向の長孔24が設けてあり、躯体7側には左右方向の長孔25が設けてあり、両長孔24,25にボルト26を挿通し、ボルト26にナット27を螺合して締め付けることにより、ファスナー6は見込方向及び左右方向に位置調整可能に躯体7に取付けてある。
立ち上がり部8の上端部には、図1に示すように、略円形断面の膨らみ部10が設けてある。さらに、膨らみ部10の下方に隣接する室内側面には、後述する浮き上がり規制ボルト28の先端が係止する係止部29が設けてある。
突条9には、図6に示すように、切欠き部12a,12bが2箇所設けてある。2箇所の切欠き部12a,12bは幅寸法が異なっており、室外側から見て左側の切欠き部12bの方が右側の切欠き部12aよりも幅広に形成されている。
【0010】
ブラケット4は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、図1,2に示すように、室外側に板状の取付片部30を有し、取付片部30を腰部パネル体1の縦枠2,3の見込面に当接し、ボルト・ナット31で固定して縦枠2,3に取付けてある。ブラケット4は、室内側に断面C字型のボルト保持部32を上下方向に連続して有し、ボルト保持部32に自重受けボルト11が出入り調整自在に保持してある。ボルト保持部32の上下にはナット33,33が設けてあり、出入り調整した自重受けボルト11をこれらのナット33,33で固定することができる。自重受けボルト11は、先端がファスナー6の立ち上がり部8の上端に当接し、腰部パネル体1の自重をファスナー6に伝達している。さらにブラケット4は、取付片部30とボルト保持部32との間に連結材嵌合部34を有しており、連結材嵌合部34には凸型の断面の溝35が上下方向に連続して形成してある。
【0011】
ブラケット4には、ファスナー6と連結するための連結材5が取付けてある。連結材5は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、図2に示すように、室外側にブラケット4の溝35に嵌合する嵌合部36を上下方向に連続して有し、嵌合部36の室内側に見込壁部37を有し、見込壁部37の室内側に外周側に向けて突出する外向き片38を有し、さらに室内側に内周側に向けて突出する内向き片39を有している。見込壁部37には、図1に示すように、ファスナー6の立ち上がり部8に対して上方より係止する逆U字形の切欠き溝40が形成してある。外向き片38には室内側から浮き上がり規制ボルト28が設けてある。
【0012】
連結材5は、室外側の嵌合部36をブラケット4の溝35に嵌合することで、ブラケット4に対して上下動可能に取付けられ、図1に示すように、見込壁部37の切欠き溝40をファスナー6の立ち上がり部8に上方から係止することで見込方向の移動が規制されている。
さらに連結材5は、図2に示すように、ファスナー6の突条9に設けた切欠き部12a,12bに配置されることで左右方向の移動が規制されている。一つのファスナー6には、室外側から見て右側の腰部パネル体1の左縦枠2に取付けられたブラケット4と、室外側から見て左側の腰部パネル体1の右縦枠3に取付けたブラケット4の2つのブラケット4,4が、それぞれ連結材5で連結される。先に述べたように、ファスナー6の突条9の2箇所の切欠き部12a,12bは、左側の切欠き部12bの方が右側の切欠き部12aよりも幅広に形成してあり、右側の腰部パネル体1の左縦枠2のブラケット4をファスナー6に繋ぐ連結材5は、ファスナー6の突条9の右側の切欠き部12aにぴったりと嵌合し、左右方向に動かないようになっている。一方、左側の腰部パネル体1の右縦枠3のブラケット4をファスナー6に繋ぐ連結材5は、ファスナー6の突条9の左側の切欠き部12bに余裕を持った状態で嵌合しており、切欠き部12bの範囲内で左右方向の移動が許容されている。これにより、腰部パネル体1の熱伸びや施工誤差を吸収することができる。
浮き上がり規制ボルト28は、図1に示すように、先端がファスナー6の立ち上がり部8上端部の膨らみ部10の下方に隣接した係止部29に係止し、これにより腰部パネル体1の浮き上がりを規制している。
連結材5の内向き片39は、ファスナー6の突条9の室内側に係止している。
【0013】
次に、腰部パネル体1を躯体7に取付ける際の手順について説明する。まず、躯体7の所定の位置にファスナー6を取付ける。腰部パネル体1は、左右の縦枠2,3にブラケット4及び連結材5が取付けられた状態に組み立てられて施工現場に搬入される。
その後、腰部パネル体1をクレーンで吊り上げ、図5に示すように、腰部パネル体1を少しずつ下ろしながら連結材5の切欠き溝40を上方からファスナー6の立ち上がり部8に係合させ、且つ連結材5をファスナー6の突条9の切欠き部12a,12bに係合させる。すると、腰部パネル体1が見込方向及び左右方向に位置決めされるので、その状態で自重受けボルト11の出入りを調整することで腰部パネル体1の高さ位置を調整する。その後、ナット33,33を締め付けて自重受けボルト11を固定する。
その後、連結材5に室内側から浮き上がり規制ボルト28を取付け、浮き上がり規制ボルト28の先端をファスナー6の立ち上がり部8の膨らみ部10の下の係止部29に係止させ、腰部パネル体1の浮き上がりを規制する。
【0014】
以上に述べたように本カーテンウォールは、躯体7に固定されるファスナー6と、パネル体(腰部パネル体)1の縦枠2,3に取付けたブラケット4と、ブラケット4をファスナー6に連結する連結材5とを備え、連結材5をブラケット4側に取付けておき、連結材5をファスナー6の立ち上がり部8と突条9に上方から係合することでパネル体1が見込方向及び左右方向に位置決めされ、その状態で自重受けボルト11の出入りを調整することでパネル体1の高さ調整が行えるため、パネル体1を短時間で精度よく位置決めして躯体7に取付けるのが容易であり、施工性が良い。ファスナー6の立ち上がり部8の上端部に略円形断面の膨らみ部10が設けてあることで、パネル体1の転びを吸収することができる。また、ファスナー6の立ち上がり部8の上端が平坦であったとすると、自重受けボルト11の先端部を球面状に加工したりする必要があるが、立ち上がり部8の上端部に略円形断面の膨らみ部10が設けてあると、自重受けボルト11の先端部にそのような加工が不要で、通常のボルトをそのまま使用することができる。
さらに本カーテンウォールは、連結材5は、ファスナー6の立ち上がり部8の膨らみ部10に係止する浮き上がり規制部材(浮き上がり規制ボルト)28を有するので、連結材5がファスナー6の立ち上がり部8から離れてパネル体1が浮き上がるのを規制できる。
さらに本カーテンウォールは、左右に隣接する縦枠2,3の連結材5のうちの一方は、突条9の切欠き部12aにより左右方向の移動が規制され、他方は、突条9の切欠き部12b内で左右方向の移動が許容されるため、パネル体1の熱伸びや誤差を吸収することができる。
本カーテンウォールは、ファスナー6とブラケット4と連結材5がアルミの押出形材で形成してあるので、軽量化により施工が一層容易になるとともに、部品を規格化することでコストダウンを図ることができる。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。パネル体の構造、材質は、任意である。パネル体は、必ずしも窓部パネル体と腰部パネル体とに分割されている必要はなく、これらが一体のものでもよい。ファスナー、ブラケット及び連結材の形状、材質は、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 腰部パネル体(パネル体)
2,3 縦枠
4 ブラケット
5 連結材
6 ファスナー
7 躯体
8 立ち上がり部
9 突条
10 膨らみ部
11 自重受けボルト
12a,12b 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5
図6