(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】流体濾過システムおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
B01D 39/14 20060101AFI20230215BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20230215BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20230215BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20230215BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B01D39/14 C
B01D39/14 M
B01D53/04 110
A61L9/00 C
A61L9/18
A61L9/014
(21)【出願番号】P 2021527029
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019043804
(87)【国際公開番号】W WO2020023939
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521035727
【氏名又は名称】モレキュル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MOLEKULE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ダウ,ジャスプリート,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ゴスワミ,ディリプ,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】サナブリア,ディヴィッド
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-505746(JP,A)
【文献】特開2003-062414(JP,A)
【文献】特開2003-070885(JP,A)
【文献】特開2001-232154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0013583(US,A1)
【文献】特表2008-522822(JP,A)
【文献】特表2016-530908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L9/00-9/22
B01D46/00-46/90
B01D39/00-39/20
B01D53/02-53/12
B01D53/86-53/90
B01D53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気濾過システムであって、
空気中の汚染物質と反応するように構成された反応性フィルタを有する反応層と、
空気中の汚染物質のサブセットを捕捉するように構成された
粒子捕捉層であって、前記反応層の上流側にあって当該反応層と接している粒子捕捉層と、
空気中の第2の汚染物質のサブセットを吸着するように構成された吸着剤層であって、前記粒子捕捉層の上流側にあって当該粒子捕捉層と接している吸着剤層と、
前記反応層と前記
粒子捕捉層と
前記吸着剤層とが連結されたフレームと、を具えることを特徴とする空気
濾過システム。
【請求項2】
前記反応層が、繊維材料を含む基材層と、光電気化学酸化(PECO)層とを含み、当該PECO層が光触媒ナノ構造を有する、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項3】
さらに導電性の支持層を具え、前記PECO層が前記支持層に結合されている、請求項2に記載の空気濾過システム。
【請求項4】
前記反応層の下流にある第2反応層をさらに具え、当該第2反応層は、前記反応層が空気中の汚染物質と反応した後に副生成物と反応するように構成
され、前記第2反応層が光触媒材料を含まない、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項5】
空気中の無機汚染物質と反応するように構成された第2反応層をさらに具える、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項6】
前記反応層の上流にある支持層をさらに具え、当該支持層は前記空気濾過システムに構造的支持を提供するように構成され、前記支持層は金属メッシュを含む、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項7】
前記吸着剤層が活性炭を含み、この活性炭が空気から
前記第2の汚染物質のサブセットを吸着するように構成される、請求項
1に記載の空気濾過システム。
【請求項8】
前記吸着剤層が光学的に不透明である、請求項
1に記載の空気濾過システム。
【請求項9】
前記吸着剤層が第1のスクリム層および第2のスクリム層をさらに含み、前記吸着剤層は、前記活性炭が前記第1のスクリム層と第2のスクリム層との間に配置される構造を形成する、請求項
7に記載の空気濾過システム。
【請求項10】
空気からの
前記汚染物質が無機汚染物質を含む、請求項
1に記載の空気濾過システム。
【請求項11】
前記
粒子捕捉層が少なくともMERV基準12を満たす、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項12】
前記
粒子捕捉層は受動的な、機械的フィルタである、請求項
11に記載の空気濾過システム。
【請求項13】
前記
粒子捕捉層
が反射材料を含む、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項14】
流体から汚染物質を除去する方法であって、
吸着剤層に流体から第1の汚染物質のサブセットを吸着させるステップと、
前記第1の汚染物質のサブセットを吸着させるステップの後、粒子捕捉層で流体から
第2の汚染物質のサブセットを
捕捉するステップと、
活性化された光触媒層を生じさせるために光触媒層を光放射で照射するステップと、
前記
第2の汚染物質のサブセットを捕捉するステップの後、前記活性化された光触媒層の近位で
第3の汚染物質のサブセットを反応させるステップと、
前記汚染物質と前記活性化された光触媒層との反応から生成された副生成物を放出するステップとを
含み、
前記吸着剤層が、前記粒子捕捉層と接して、流体が流れる方向における前記粒子捕捉層の上流側にあり、前記粒子捕捉層が、前記光触媒層と接して、流体が流れる方向における前記光触媒層の上流側にあることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記反応からの副生成物を放出するステップが、前記副生成物を捕捉するステップをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記吸着剤層が活性炭を含み、前記
第1の汚染物質のサブセットを吸着させるステップが、
前記第1の汚染物質のサブセットを可逆的に吸着させることを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子捕捉層が少なくともMERV基準12を満たす、請求項
14に記載の方法。
【請求項18】
前記光触媒層、粒子捕捉層、および吸着剤層が
フレームに結合されている、請求項
14に記載の方法。
【請求項19】
前記光触媒層を照射するステップは、前記光触媒層を光源で照射することを含み、前記光源によって放出される光放射は、最小波長が280ナノメートルより大きい、請求項
14に記載の方法。
【請求項20】
前記光触媒層が基材層を含み、当該基材層が繊維状材料と、光電気化学酸化(PECO)層とを含み、当該PECO層が光触媒ナノ構造を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項21】
前記活性化された光触媒層に汚染物質を反応させるステップは、
PECO層でラジカルを生成するステップと、
前記ラジカルを汚染物質と反応させるステップとをさらに含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記反応層が光触媒材料を含み、前記反応層の分解効率が前記粒子捕捉層により高められる、請求項1に記載の空気濾過システム。
【請求項23】
前記光触媒層の分解効率が前記粒子捕捉層により高められる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]この出願は、2018年7月26日に出願された米国仮出願番号62/703,808および2018年12月19日に出願された米国仮出願番号62/782,072の利益を主張し、これらはそれぞれこの参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、一般に流体濾過分野に関し、より具体的には流体濾過分野における新規で有用なシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]空気濾過システムを使用して、粒子状物質、揮発性有機化合物(VOC)、バイオエアロゾルなどの大気汚染物質を環境から除去し、大気の質を改善することができる。典型的な濾過システムは、汚染物質の捕捉効率の望ましいレベルを維持し、既に捕捉された汚染物質が媒体から放出されるのを防ぐために、比較的短い使用期間の後に交換および/または再生を必要とするエアフィルタ媒体を使用する。例えば、多くの空気浄化システムに見られる活性炭媒体は、ガス状の汚染物質が活性炭の吸着部位にどんどん溜まり、および/または濾材から脱離するため、飽和または周囲条件(温度、相対湿度など)の変化により、VOCの発生源になる可能性がある。活性炭床が飽和すると、フィルタは汚染物質を効率的に補足できなくなる。実際、吸着部位に対する親和性が高い化学物質は、親和性が低い化学物質に取って代わる場合があり、吸着剤に対する特定の化学物質の親和性は、温度や相対湿度などの周囲条件に大きく依存する。したがって、条件が変化するとさまざまな化学物質がフィルタから放出される可能性がある。従来の濾過システムはまた、汚染物質の種類によって性能が異なる場合があり、フィルタは、化学的性質や他の特性に応じて異なる効率で異なる種類の汚染物質を選択的に吸着、分解、または補足する。従来の濾過システムにおけるこのような不一致や欠陥は、ユーザの健康リスク、許容できないほど高い大気汚染物質レベル、予測できない汚染物質除去性能、およびその他の問題を引き起こす可能性がある。
【0004】
[0004]したがって、流体濾過分野において、新規で有用な流体濾過システムおよび方法を作成する必要がある。本発明は、そのような新規で有用な流体濾過システムおよび方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0005]
図1は、流体濾過システムの一実施例の概略図である。
【
図2】[0006]
図2は、方法の一実施例の概略図である。
【
図3】[0007]
図3は、製造方法の一実施例の概略図である。
【
図4】[0008]
図4は、一実施例による濾材が組み込まれている、例示的な関連する流体濾過システムの一部の斜視図である。
【
図5】[0009]
図5は、一実施例による濾材が組み込まれている、例示的な関連する流体濾過システムの一部の斜視図である。
【
図6】[0010]
図6は、濾材の一実施例の断面図である。
【
図7】[0011]
図7A、7B、および7Cは、それぞれ濾材の第1の実施例の概略図、濾材の第2の実施例の概略図、および濾材の第3の実施例の断面図である。
【
図8】[0012]
図8は、濾材の層の複数の実施例の劣化性能の比較プロットである。
【
図9】[0013]
図9は、吸着剤層の一部のバリエーションによる、活性炭を含む実施例における汚染物質の吸着の実施形態の図である。
【
図10】[0014]
図10は、濾材の一実施例の断面図である。
【
図11】[0015]
図11は、様々な濾材が組み込まれている、例示的な関連する流体濾過システムの一部の斜視図である。
【
図12】[0016]
図12は、反応層の一部のバリエーションによる、光触媒を含む実施例における汚染物質の分解の実施形態の図である。
【
図13】[0017]
図13Aおよび13Bは、それぞれ、フィルタの例示的な実施例および当該実施例の概略図である。
【
図14】[0018]
図14は、それぞれ、流体濾過システムの一実施例の等尺性および分解図である。
【
図15】
図15は、それぞれ、流体濾過システムの一実施例の等尺性および分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0019]本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することを意図するのではなく、むしろ当業者が本発明を作成および使用することを可能にすることを意図する。
【0007】
1.概要
[0020]
図1に示すように、システム100は、複数のフィルタ層および1つまたは複数のフレームを含み得る濾材を含み得る。複数のフィルタ層は、1つまたは複数の反応層および/または1つまたは複数の捕捉層を含み得る。システム100は、任意で、1つまたは複数の支持層、追加または代替のフィルタ層、流体ガイド、および/または流体浄化を促進する他の任意の適切な機構および/または構成要素を含むことができる。
【0008】
[0021]システムは、好ましくは、空気流から空気中の汚染物質190を除去するように機能する。汚染物質190は:揮発性有機化合物(VOC);生物学的汚染物質(例えば、細菌、ウイルス、カビ胞子、真菌など);例えばすす粒子、ほこり、煙、所定の閾値(例えば0.3μm、1μm、3μm、10μmなど)よりも大きい粒子などの粒子状物質;窒素酸化物(例えばNO、NOXなど);硫黄酸化物(例えばSO2、SO3、SOXなど)、一酸化炭素、塩化物、アンモニア(例えばNH3)などの汚染物質;揮発性無機化合物;皮屑、花粉などのアレルゲン;および/または屋内および/または屋外の気流に見られるその他の汚染物質を含み得る。このシステムは、単層および/またはハイブリッド化されていない濾過システムの流体濾過効率を向上させるように機能することもできる。このシステムは、既存の気流システム(HVACダクト、車両換気システム、自立型空気清浄機など)に統合するように機能することもできる。しかしながら、このシステムは、追加的または代替的に、水、油、または他の流体の流れを濾過するのに使用し、および/または他の任意の適切な機能を有してもよい。
【0009】
[0022]流体濾過システムの第1の実施例では、濾材は、単一の連続したフレームに取り付けることができる。流体濾過システムの第2の実施例では、複数の濾過層のそれぞれを、1つまたは複数の個別のフレーム(例えば、互いに別個である、濾過機構または空気清浄機とは別個であるなど)に取り付けることができる。流体濾過システムの第3の実施例では、濾材は、濾過層の各機能を有する単一の層(例えば、反応層および捕捉層の両方として機能する単一の層)を含む。
【0010】
[0023]
図2に示すように、流体濾過方法S200は、流体流(例えば、流体の流れ、流体の流路、流体の経路など)から1つまたは複数の汚染物質190を除去するように好適に機能する。この方法は、汚染物質の吸着、汚染物質の捕捉、汚染物質の分解、および/または他の方法による汚染物質の処理を含み得る。この方法は、任意選択で、分解副産物の捕捉および/または他の任意の適切なステップおよび/またはプロセスを含み得る。この方法は、流体濾過システムによって実行することができるが、この方法は、任意の適切なシステムによって実行されてもよい。
【0011】
[0024]
図3に示すように、濾材用の製造方法S300は、フィルタ層に材料を適用するステップS320と、複数のフィルタ層を組み合わせて濾材にするステップS350と、濾材に構造形態を与えるステップS370とを含み得る。この製造方法は、追加的または代替的に、任意の他の適切なステップおよび/またはサブプロセスを含んでもよい。
【0012】
[0025]この製造方法S300は、好ましくは、実質的に記載されているように流体濾過システム100を提供するように機能する。製造方法S300は、本明細書に記載の流体濾過システムの少なくとも一部の製造に関して、追加的または代替的に任意の他の適切な機能を有することができる。
【0013】
2.効果
[0026]本技術の実施例は、いくつかの利益および/または利点を与えることができる。
【0014】
[0027]第一に、本技術の実施例は、使用される光触媒材料の量(例えば、濃度、総量など)を増やすことなく、光触媒を含むフィルタの汚染物質分解効率を改善することができる。例えば、そのような実施例は反応層(例えば、光触媒ナノ粒子でコーティングされた)および捕捉層を含む濾材を具え、濾材は全体として、単独で作用する単一の光触媒層に適用されるのと同じ量の光触媒材料を含む。複数の層を有する濾材は、単一の光触媒層と比較して改善された分解効率を示し(例えば、フィルタアセンブリ内の汚染物質の滞留時間を増加させることにより)、また、改善された粒子除去効率を示し得る(例えば、汚染物質および/または粒子を物理的に濾過することにより)。このような性能は、光触媒材料を増やすことなく高い分解効率が達成されることから、独特で予想外の性能である。
【0015】
[0028]第二に、本技術の実施例は、特定の汚染物質(例えば、化合物)への選択性がある、および/または調整を必要とする従来の濾過システムおよび方法論と比較して、幅広い、より少ない、または非選択的な汚染物質の分解を提供することができる。例えば、このような技術の実施例は、条件、官能基のタイプ、および/または化学的同一性に関係なく、さまざまなVOCを吸着および破壊し得る。
【0016】
[0029]第三に、本技術の実施例は、フィルタ交換が必要になる頻度を減らすことにより、エンドユーザのコストを削減することができる。従来の濾過システムでは、飽和したフィルタ(飽和した吸着フィルタ、飽和したカーボンフィルタなど)の交換は不便で費用がかかるものであった。また、フィルタが実質的に飽和したという検出可能な兆候がないことが多く、このような従来のフィルタをいつ交換すべきかを判断するのも難しい場合があり、結果として交換が必要なフィルタが使用され、使用可能なままのフィルタが交換されることになる。本技術の実施例は、従来の濾過システムのこれらの欠陥を解決するために、他のフィルタ層タイプ(例えば、反応性フィルタ層、捕捉フィルタ層など)と組み合わせることにより、飽和型フィルタの寿命を延ばすことができる。別の例では、捕捉層が反応層に到達する汚染物質の量のピーク(例えば、特定の時間における汚染物質の量の増加)を他の時間に再分配し、それによって反応層がオーバーロードとなり早く消耗するのを防ぐことができる。
【0017】
[0030]第四に、本技術の実施例は、複数の汚染物質のサブセットを除去するのに効果的ないくつかの個別の従来の濾過システムが必要であった汚染物質のセットを除去することができる。例えば、吸着フィルタ(例えば活性炭フィルタ)単独では、一般に空気から多くの種類の有機化合物(例えば、VOC)を除去するのに効果的だが、粒子状汚染物質(例えば、ほこりや花粉などのアレルゲン、タンパク質アレルゲンや空気中の他のアレルゲン、副流煙や野火の煙、PM2.5汚染物質、PM10汚染物質など)の除去には比較的効果がない。粒子状汚染物質を捕捉および/または分解する濾材と組み合わせることにより、本技術の実施例は、従来の濾過システムのそのような欠陥を解決することができる。
【0018】
[0031]第五に、本技術の実施例は、汚染物質を破壊(例えば、分解、酸化、還元、析出、除去)することによって、空気の消毒および浄化を実現することができる(例えば、完全に構成された汚染物質を捕捉することに代えて、またはそれに加えて)。
【0019】
[0032]第六に、本技術の実施例は、汚染物質を完全に分解することができる(例えば、濾材内の汚染物質の滞留時間を長くする、反応層のロードを反応層の分解能力以下にするなど)。例えば、吸着剤層(例えば活性炭)を使用すると、VOCが濾材に滞留する時間が長くなる。この時間増加により、VOCが反応層(例えば、光触媒層)と相互作用し、副生成物に分解するための機会が多くなる。
【0020】
[0033]第七に、本技術の実施例は、光源(例えば、出力電力、照度など)を変えることなく、光触媒層で利用可能な光の量を増やすことができる。例えば、光源が濾材の下流(または遠位)であって光触媒層の下流に(例えば、隣接して)配置されている実施例において、光源が光触媒層および濾材に向けられている場合、および/または光源が半径方向外側に向けられている場合、他の層(例えば、捕捉層、支持層など)を適切に配置して、吸収されなかった光子を光触媒層に向けて反射し、それによって光源を変化させることなく光触媒層での有効光束を増加させることができる。
【0021】
[0034]第八に、本技術の実施例は、濾材から放出される光の量を減らすことができる。例えば、光源が濾材の下流に配置される実施例において、最も上流のフィルタ層を光学的に不透明になるように構成することができる(例えば、光源光子、可視光子、紫外線光子、近赤外光子、蛍光のようなフォトルミネッセンスに対してなど。
図11に例示する)。この構成により、フィルタから漏れる光の量が減少し、より快適なユーザ体験が提供され、ユーザにとってより安全になる。
【0022】
[0035]第九に、本技術の実施例は、1つの層が1つまたは複数の機能を果たすように構成することができる。例えば、捕捉層を収着剤でコーティングすることができ、それによって同じ層で粒子トラッピングと収着の両方を与えることができる。別の例では、捕捉層が光子を反射することができ、それによって同じ層に粒子トラッピングと光学特性の両方を与えることができる。
【0023】
[0036]第十に、本技術の実施例は、流体濾過システムを通る流体流を制御するように構成することができる。例えば、隣接する層に対する層の多孔性および/または層の配置(例えば、分離距離)を選択して、流体濾過システムを通る流体流の渦、屈曲度、および他の特性を制御することができる。流体流は、例えば作動流体が引っぱられるように層間圧力が低くなるように制御することができる。
【0024】
[0037]しかしながら、本技術の実施例は、他の適切な利益および/または利点をもたらしてもよい。
【0025】
3.システム
[0038]
図1に示すように、流体濾過システム100は、複数のフィルタ層および1つまたは複数のフレームを含む濾材101を具え得る。複数のフィルタ層は、1つまたは複数の反応層および/または1つまたは複数の捕捉層を含み得る。流体濾過システム100は、任意で、1つまたは複数の支持層、追加または代替のフィルタ層、および/または流体浄化を実現するための他の任意の適切な機構および/または構成要素を含むことができる。
【0026】
[0039]流体濾過システムは、好ましくは、空気流から空気中の汚染物質190を除去するように機能する。汚染物質190は、揮発性有機化合物(VOC);生物学的汚染物質(例えば、細菌、ウイルス、カビ胞子、真菌など);すす粒子、ほこり、煙などの粒子状物質;窒素酸化物(例:NOX)、硫黄酸化物(例:SOX)、塩化物、アンモニア(例:NH3)などの汚染物質;皮屑、花粉などのアレルゲン;および/または屋内および/または屋外の気流に見られる他の汚染物質を含み得る。このシステムは、単層および/またはハイブリッド化されていない濾過システムよりも流体濾過の効率を向上させるように機能することもできる。このシステムは、既存の気流システム(HVACダクト、車両換気システム、自立型空気清浄機など)に統合するように機能することもできる。しかしながら、このシステムは、追加的または代替的に、水、油、または他の流体の流れを濾過するのに使用し、および/または他の任意の適切な機能を有してもよい。
【0027】
[0040]流体濾過システムは、好ましくは、流体流、1つまたは複数のインペラモジュール、1つまたは複数の励起源、および/または支持構造を具え得る流体流システム(例えば、フィルタシステム)に結合される。しかしながら、流体濾過システムは、代替的に、任意の適切な流体流に、および/または流体流システムに結合してもよい。
【0028】
[0041]流体流は、好ましくは、流体濾過システムを通過する(例えば、半径方向内向き、半径方向外向き、流体濾過システム表面に垂直、流体濾過システム表面に対して任意の角度で、環状部を通過して、フィルタの厚さなどを通過してなど)。しかしながら、追加的または代替的に、流体流は、流体濾過システムに実質的に平行であってもよく(例えば、流体濾過システムの表面に沿った流れ、流体濾過システムの中心に平行、流体濾過システムの横軸に平行、流体濾過システムの縦軸に平行、流体濾過システムに沿った任意の方向など)、および/または他の方法で適切に配向されてもよい。流体は、好ましくは、流体濾過システムに均一に流れ込む(例えば、流体流は、流体濾過システムの表面に沿って一定または等しい、流体濾過システムの表面全体で圧力降下がほぼ同じであるなど)。しかしながら、追加的または代替的に、流体流は、不均一、制御されていない、部分的に制御されている(例えば、流体濾過システムのサブセット全体にわたって均一である)、および/または他の任意の適切な流れであり得る。流体流は、バッフル、渦、インペラモジュール、流体濾過システムの設計、および/または流体流システムおよび/または流体濾過システムの任意の適切な構成要素によって制御することができる。
【0029】
[0042]励起源は、好ましくは、流体濾過システム(例えば、反応層)を活性化するように機能する。励起源は、1つまたは複数の汚染物質190を分解するように機能し、および/または他の任意の適切な機能を提供することができる。励起源は、好ましくは光源(例えば、発光ダイオード、レーザー、ランプ、蛍光灯など)である。しかしながら、追加的または代替的に、励起源は、周囲光、電源、熱源、および/または任意の適切な励起源であってもよい。励起源は、好ましくは、反応層(例えば、光触媒層、光電気化学層、光電気化学酸化(PECO)層など)に直接隣接している。しかしながら、追加的または代替的に、励起源は、濾材101の任意の適切な層に直接隣接してもよい。励起源は、好ましくは反応層に向けられるが、追加的または代替的に、別の層(例えば、光を反応層に反射して戻す反射層、励起波長を透過する層など)に向けることができる。特定の実施例では、流体濾過システムが円筒形状である場合、励起源は、流体濾過システム内に配置することができる(例えば、半径方向内側、中心に沿って、管腔内に、または他の方法で流体濾過システム内に配置される)。しかしながら、励起源は追加的または代替的に、流体濾過システムの層間に、流体濾過システムの外側に(例えば、流体濾過システムの半径方向外側、流体濾過システムを取り囲むなど)、および/または他の方法で、流体濾過システムに対して適切に配置することができる。
【0030】
[0043]特定の実施例では、光源は、好ましくは光源の近位で流体濾過システムの表面を均一に照明するように配置される(例えば、流体濾過システムをほぼ同じ電力で、流体濾過システムの表面にわたり電力変動<5%、<10%、<20%で照明するなど)。しかしながら、追加的または代替的に、光は流体濾過システムのパターン照明(例えば、流体濾過システムのいくつかの領域が、より大きく、より小さな光束を受け得る)、不均一な照明、ランダムな照明、時間的に変化する照明、時空間的に変化する照明、および/または他の適切な照明を提供するように構成されてもよい。光源は、好ましくは(例えば、フィルタを使用して、光源材料に基づいて、温度、エネルギーなどの光源動作パラメータに基づいて)、UV-A、UV-B、および/または可視光放射(例えば、280~700nmの範囲の波長および/またはそのサブセット)を放出するように構成される。しかしながら、追加的または代替的に、光源はUV-C(例えば、100~280nm)、近赤外線(例えば、700~1400nm)、赤外線(例えば、700nm~1mm)、波長範囲のサブセットおよび/または重複領域、および/または任意の適切な波長を放出するように構成してもよい。
【0031】
[0044]流体濾過システムは、好ましくは、流体流システムの形状要素(例えば、支持構造、流体流路、流体流設計など)に相補的な(例えば、合致する、同じである、結合可能であるなど)形状要素を有する。しかしながら、流体濾過システムは、流体流システムに非相補的(例えば、異なる)であってもよいし、および/または任意の適切な形状要素を有してもよい。形状要素は、円筒形、半球形、平面的、半円筒形、球形、角柱状(例えば、直方体、三角柱、角柱状などの形状)、トロイダル、楕円形、カテノイダル、および/または他の任意の適切な形状であってもよい。
【0032】
[0045]例えば、
図4に示すように、流体濾過システムは、長方形のダクトシステムに含まれ得る実質的に平面の空気浄化カートリッジに組み込むことができる。流体フィルタは、ダクトシステムに取り外し可能に挿入してもよいし、恒久的に設置してもよい。別の例では、
図5に示すように、流体濾過システムは、独立型空気浄化システム(例えば、家庭用、閉鎖空間での使用用など)に含めることができる管状フィルタカートリッジに構成することができる。追加的または代替的に、流体濾過システム100は、汚染物質を含んだ空気を濾材101の近く(例えば、通過、上、隣接など)に通すことができる任意の適切な空気浄化または濾過システムに含まれてもよい。
【0033】
3.1 濾材(Filter media)
[0046]濾材101は、好ましくは、1つまたは複数の汚染物質除去メカニズムを利用して、濾材101を通る流体流から1つまたは複数の汚染物質190を除去するように機能する。濾材101は、例えば、
図6に示すように、好ましくは複数の層102を含み、各層は1つまたは複数の汚染物質除去メカニズムを使用して汚染物質を除去することができる。しかしながら、追加的または代替的に、濾材101は単一の層を有してもよく(例えば、1つまたは複数の汚染物質除去メカニズムが同じ層に統合されている)、および/または任意の適切な層構成を有してもよい。各層は、「層タイプ」または「層クラス」に関する1つまたは複数の汚染物質除去メカニズムに従って特別に構成および/または処方することができる。層タイプには、反応層、析出層、吸着剤層、捕捉層、粒子捕捉層、不活性層、支持層、化学層、および/または他の任意の適切なタイプの層が含まれ得る。層は、厚さ、多孔性(例えば、空気流などの流体流に対する透過性)、相対的な向き(例えば、流体流の方向、照明などに関連する他の層に対する)、伝導率(例えば、電気伝導率、熱伝導率など)、および/またはその他の適切な表面またはバルク特性を含む様々な特性を規定し得る。
【0034】
[0047]濾材の幅広面(例えば、表面)は、プリーツ仕立て、滑らか(例えば、平坦)、折り畳まれ、畝、しわ、湾曲、特徴のミックスであってよく、および/またはこの幅広面は、任意の適切な構成を有してもよい。好ましくは、濾材のすべての層は同じ幅広面の構成を有する。しかしながら、各層が異なる幅広面の構成(例えば、異なるプリーツ深さなどの異なるサイズ、異なる構成)を有してもよく、層のサブセットが同じ幅広面の構成を有してもよく、層は隣接する層に依存する構成(例えば、層のタイプ、層の幅広面、層の汚染物質除去メカニズムなど)の幅広面を有してもよく、および/または他の適切な層の幅広面の構成を用いてもよい。特定の例では、プリーツ深さ(例えば、プリーツのピークからトラフの平均サイズ)は、濾材のサイズ、濾材の表面積、意図された用途(例えば、気流濾過、オイル濾過、水濾過、オフィス用濾過、家庭用濾過、自動車など)、流体流量、および/または他の適切なパラメータに基づいて決定することができる(例えば、直接または逆に変化する)。実施例では、プリーツ深さは、0.1cm~50cmの間の任意の深さ(またはその範囲)であり得、および/または任意の他の適切な深さを有し得る。プリーツ密度は、100mmあたり1~10プリーツまたはその範囲、100mmあたり5プリーツ、またはその他の適切なプリーツ密度にすることができる。
【0035】
[0048]層の厚さは、好ましくは層のクラスおよび/またはタイプに依存する。しかしながら、追加的または代替的に、厚さは、流体流動システム(例えば、支持構造、流体流路など)、意図される用途、流体流量に応じて、いくつかおよび/またはすべての層について同じであってもよいし、すべての層について異なってもよいし、および/または他の方法で適切に決定してもよい。特定の例では、層(例えば、個々の層、積み重ねられた層など)の厚さは0.1mm~10cm、および/または任意の他の適切な厚さ(またはその範囲)であり得る。
【0036】
[0049]濾材102のすべての層は、好ましくは多孔性である(例えば、ある多孔度を有する)。しかしながら、追加的または代替的に、これらの層は、繊維、ハニカム、イソグリッド、中空、開放、ドリルアウト、および/または濾材101を通る流体流を促進するための任意の適切な形状または構造を有することができる(例えば、流量>0m3/s)。すべての層は、同じまたは異なる多孔性を有し得る。層の多孔性は、所与のサイズ(例えば、100pm~10nm、0.3~1μm、1~3μm、3~10μmなど)またはその範囲の汚染物質任意の適切な量(例えば、>20%、>35%、>50%、>65%、>75%、>85%、>95%、>99%など)を捕捉するように機能し得る。層は、多孔性が最も内側の層から最も外側の層に増加または減少するように構成(例えば、配向)することによって、層間で多孔性が変わってもよく、および/または他の方法で適切に構成することができる。層は、最小効率報告値(MERV)評価(例えば、MERVスコアが4、9、12、14、16、20など)を有し得る。しかしながら、追加的または代替的に、層は、高効率粒子状空気(HEPA)評価、超低粒子状空気(UPLA)評価、評価なし、および/または他の適切な評価によって特徴付けられ得る。実施例では、層の多孔性(例えば、空隙率)は、0~1の間の任意の気孔率(またはその範囲)であり得る。実施例では、細孔径は、100pm~1mmの間の任意のサイズ(またはその範囲)、および/または任意の他の適切な値であり得る。
【0037】
[0050]層102は、好ましくは、300Paの最大圧力降下を有するように構成される(例えば、適切な多孔度、細孔径、厚さ、材料タイプなど)。ただし、この圧力降下は、0~1000Paの間の任意の値(またはその範囲)、および/または任意の適切な値にすることができる。しかしながら、追加的または代替的に、圧力降下は、流体の流量(例えば、濾材を通過する、個々の層を通過するなど)、濾材を通過する流体の総量、濾材を通過する汚染物質の量、意図された用途、流体流システム、隣接層の多孔度、隣接層の厚さ、および/または他の適切な特性に依存し得る。
【0038】
[0051]層は、好ましくは、エネルギー(例えば、光)反射性である。しかしながら、追加的または代替的に、層は、入射エネルギーおよび/または光子を散乱、吸収、透過、透明、半透明、不透明、および/または他の方法で相互作用してもよい。光反射率は、材料に固有(例えば、層材料によって、層の多孔性によってなど)、付与され(例えば、コーティングによって、補助層によって、層構造によってなど)、および/または他の手段いよって達成され得る。層は、黒、白、灰色、鏡面、および/または任意の適切な色および/または明暗であり得る。特定の例では、濾材の最外層は光(例えば、100~800nmの間の波長または範囲を有する光、光源から放出される光、反応層を活性化する波長の光など)に対して実質的に不透明(例えば、90%以上、80%以上、70%以上をブロックするなど)であり得る。この例では、最外層は、光源から最も遠い層、反応層から最も遠い層、および/または任意の適切な層または層のセットであり得る。この不透明度が、反応層の反応性を高め(例えば、活性化エネルギーを濾材内に保持したり、活性化エネルギーを反応層に向けて反射することによって)、コンプライアンスまたは目の安全性を高め(例えば、漏れる光の量を規制準拠レベルに減らすことによって)、および/または適切な一連のメリットを提供するように機能し得る。しかしながら、追加的または代替的に、最外層は、透明、半透明、および/または他の任意の適切な光学特性を有してもよい。この例では、中間層および/または内側層は、少なくとも光源によって放出された光に対して透明、半透明、または反射してもよい。これらの特性は、反応層の反応性を高め(例えば、侵入した光子を反応層の他の領域に再配向する)、光子を他の反応層に再配向する、または他の適切な利点を与えるように機能する。しかしながら、中間層は不透明であってもよく、および/または他の任意の適切な光学特性を有してもよい。
【0039】
[0052]濾材102の中の層は、好ましくは、1つまたは複数の隣接する層と積み重ねて構成される。これらの層は、それらの幅広面、エッジ、および/または任意の適切な部分に沿って結合することができる。これらの層は、好ましくは互いに接触しているが(例えば、連続する、重なり合う)、追加的または代替的に、これらの層は間に分離距離を有してもよい。この分離距離は、例えば、0.1nm~10cmの間などの任意の適切な距離(またはその範囲)、および/または任意の適切な距離であり得る。分離距離は、層間で同じでもよいし、隣接する層(例えば、多孔度、タイプ、クラス、厚さなど)に依存してもよいし、流体フローシステム(例えば、支持構造、流体流路、流体流量など)に依存してもよいし、および/または他の方法で適切に決定することができる。
【0040】
[0053]すべての層は、好ましくは、同じハウジング(例えば、フレーム140)内に保持される。しかしながら、追加的または代替的に、これらの層は別々のフレームで指示されたり、層のサブセットが同じフレームを共有したり、層はフレームなしで支持されたり、および/または層は任意の適切な方法で保持され得る。特定の例では、1つまたは複数の層をフレームから取り外すことができる(例えば、1つまたは複数の交換可能な層を、メインフレームから脱着可能な別個のサブフレームに取り付けることができる)。ただし、これらの層はフレームに恒久的に取り付け、および/または適切に固定することができる。
【0041】
[0054]これらの層は、好ましくは離散的である(例えば、互いに分離して別個である)。しかしながら、追加的または代替的に、層は、単一層のサブセクションであってもよいし、他の方法で適切に関連してもよい。これらの層は、圧着、接着、はんだ付け、溶接、縫製、結束、絡み合い、結合(例えば、イオン結合、共有結合、金属結合、ファンデルワールス力など)、ロール、間接的(例えば、フレームを通して、支持構造を通してなど)、および/または他の適切な手段によって他の(例えば、隣接する)層に接続することができる。層は、好ましくは、1つまたは複数のエッジに沿って互いに固定される(例えば、層の幅広面が互いに向けられる)。しかしながら、これらの層は、追加的または代替的に、幅広面の中心、コーナー、パターン(例えば、ハニカム、ストライプ、固定間隔、格子状など)、ランダムなどに接続してもよい。すべての層は、同じ方法で(例えば、同じ箇所、同じ方法など)、異なる方法で(例えば、異なる箇所、異なる方法など)で接続することができる。層を接続する方法と箇所は、層のタイプ、層の材料、隣接する層、目的の用途、流体流システム、および/または他の適切なパラメータに依存し得る。
【0042】
[0055]いくつかの層は、基材103および活性材料を具え、この場合の基材103は活性材料(例えば、特定の層の汚染物質除去メカニズムに従って汚染物質を除去するなどの層の機能を実行する材料)を配置する表面を提供し、必ずしも直接的または積極的に汚染物質の除去に寄与しなくてもよい。しかしながら、基材103は、層に機械的支持を提供し、エネルギーを伝導し(例えば、電気的、熱的など)、層の汚染物質除去メカニズムの機能を実行および/または支援し(例えば、機械的フィルタとして機能する)、および/または任意の適切な機能を実行するように機能し得る。基材材料は、任意の適切な材料(例えば、フェルト、ウール繊維ベース、合成繊維ベース、混合天然繊維および合成繊維などの繊維材料;繊維性布地媒体;非繊維性布地媒体;金属表面;金属コーティングされたポリマーファブリック;ポリマー材料;コーティングされたポリマー;セラミック媒体またはファブリック;サーメット媒体またはファブリックなど)であり得る。特定の実施形態では、基材は導電性であり得る(例えば、金属ナノ粒子、ナノワイヤ、配線、ポリマーなどの導電性材料が用いられる、導電性を有するなど)。しかしながら、基材は、絶縁性であってもよく、および/または他の適切な電気的特性を有してもよい。
【0043】
[0056]活性材料は、接着剤、静電付着、共有結合、極性共有結合、イオン結合、ファンデルワールス力、水素結合、金属結合、および/または任意の適切な方法によって、基材103の繊維に固定することができる。
【0044】
[0057]濾材の反応層110は、好ましくは濾材を通る1つ以上の汚染物質を分解するように機能する(例えば、汚染物質分子を破壊する、汚染物質を構成分子のブロックまたは原子単位へと還元する、反応性汚染物質分子を不活性化するなど)。反応層110は、好ましくは酸化プロセス、より好ましくは光電気化学酸化(PECO)プロセスを用いて1つまたは複数の汚染物質を破壊するが、追加的または代替的に、化学反応(例えば、結合、分解、単一置換、二重置換、燃焼、酸化還元など)、エネルギー(例えば、汚染物質が化学反応などを受けることができるように活性化バリアを克服するために、オゾン生成、直接分解などによって1つまたは複数の汚染物質を分解するために大きな電圧を放電するといった放電;汚染物質をその分解温度以上に加熱するといった放熱など)、および/または任意の適切な分解プロセス(例えば、光化学酸化、電気化学酸化、触媒化学酸化、直接イオン化、光分解、照射など)を使用して汚染物質を破壊してもよい。反応層110は、好ましくは流体流の下流の濾材中の最も遠い層である。しかしながら、反応層は、流体流の上流の濾材の最も遠い層、濾材の中間層、および/または濾材内のおよび/または流体流に対して任意の適切な位置であってもよい。反応層は、好ましくは光子源に最も近いが、反応層は、光子源に対して遠位であってもよく、および/または光子源に対して他の適切な地理的関係を有してもよい。反応層は、好ましくは支持層に隣接しているが、反応層は、捕捉層および/または任意の適切な層に隣接してもよい。
【0045】
[0058]変形例では、反応層110は、基材103(例えば、上述したもの)や反応性材料(例えば、基材上に配置される)を具えてもよい。
【0046】
[0059]特定の例では、基材は、片側(例えば、第1の面)が反応性材料でコーティングされ、第2の側がコーティングされていない。この例では、基材は、第1の側が励起源に隣接し、第2の側が反射層(例えば、捕捉層)に隣接するように配置することができる。しかしながら、第1の側は、励起層から部分的に遮断されてもよく(例えば、第1の側と光源との間の不透明な層、部分的に反射または吸収される層などによって)、および/または励起が反応層に到達するようにする任意の適切な配置で構成され得る。しかしながら、第2の側は、光源、不透明層、および/または任意の適切な層に隣接してもよい。
【0047】
[0060]実施例では、活性材料は、好ましくは濾材を通過する1つまたは複数の汚染物質分子(例えばVOCや、SOx、NOx、COなどの無機材料など)を分解するように機能する(例えば、汚染物質分子を破壊する、汚染物質を構成分子ブロックまたは原子単位へと還元する、反応性汚染物質分子を不活性化するなど)。しかしながら、活性材料は、追加的または代替的に、非分子汚染物質および/または他の適切な材料を分解してもよい。活性材料は、基材の1つまたは複数の側(例えば、上流側、下流側、支持材料に近位の側、支持材料と反対側、光源に隣接する側、光源と反対側、捕捉層に近位の側、捕捉層と反対側など)に配置したり、基材に埋め込んだり、基材に内在したり、および/または他の方法で適切に規定することができる。反応層は、好ましくは活性材料で飽和されているが(例えば、これ以上の物質を含有できない)この活性材料濃度は、追加的または代替的に飽和していなくてもよく、0.01~1000g/m2の間の任意の値(またはその範囲)、および/または任意の適切な濃度値とすることができる。
【0048】
[0061]活性材料は、コーティング、噴霧、浸漬、静電コーティング、ドロップキャスティング、スピンコーティング、蒸発、直接合成、織り、プレス、および/または他の任意の適切な取り付け方法によって基材に取り付けることができる。活性材料の分布は、好ましくは実質的に均一に基材を覆っている(例えば、活性材料の厚さおよび/または濃度は、基材の表面全体で<90%、<80%、<70%など変動する)。しかしながら、活性材料は、パターン化され(例えば、パターン化された励起源放射と合致するように)、ランダム、不均一、および/または他の態様で適切に構成されてもよい。
【0049】
[0062]特定の実施形態では、反応層は光触媒層111であり得る。ここで、活性材料は光触媒材料であり、この光触媒材料112は、フィルタアセンブリ110の基材の表面の近位の汚染物質の直接的および/または間接的な還元のための触媒部位を提供するように機能する。光触媒材料112はまた、光子による照射時に電子正孔対を生成するように機能することができ、これが周囲の空気に含まれる水蒸気(または他のガス状物質)と相互作用してヒドロキシルラジカル(または他のラジカル)を生成する(例えば、間接的な汚染物質還元の一部として)。このように生成されたヒドロキシルラジカルは、空気流中の還元可能な汚染物質と化学的に反応して汚染物質を化学的に還元し、それによって茎流から汚染物質を排除することができる。電子正孔対は、直接的な汚染物質の還元の一部として、空気中の汚染物質と直接反応することができる(例えば、フリーラジカルとして作用する)。しかしながら、光触媒材料112は、他の任意の適切な触媒または反応部位を提供してもよい。
【0050】
[0063]光触媒材料112は、好ましくは少なくとも部分的にナノ構造115で形成され、ナノ構造115は、好ましくは少なくとも部分的に1つまたは複数の無機光触媒(例えば、アナターゼ、ルチル、および任意の他の適切な相の二酸化チタン;タンタル石ナトリウム;ドープされた二酸化チタン、酸化亜鉛、光子照射などに応答して反応を触媒する他の適切な物質など)から形成されるが、追加的または代替的に、他の任意の適切な材料(例えば、炭素、炭素含有化合物、有機材料、無機材料)から形成することができる。ナノ構造115は、好ましくは破砕されたナノ構造(例えば、破砕されたナノチューブ、破砕されたナノロッド、破砕されたナノワイヤなど)と、ナノ粒子(例えば、球状ナノ粒子、準球形ナノ粒子、扁平ナノ粒子など)の組み合わせを含む。しかしながら、ナノ構造115は、追加的または代替的に、破砕されていないナノチューブ、破砕されおよび/または破砕されていない中空ナノチューブ、前述のナノ構造のいずれかおよび/または任意の他の適切なナノ構造または任意の適切な相におけるそれらの組み合わせから構成される均質または不均質な材料を含み得る。
【0051】
[0064]光触媒材料112のナノ構造115は、照明光周波数(複数あり)でプラズモン共鳴を誘発するように機能することができる。光触媒材料のナノ構造のプラズモン共鳴周波数はナノ構造の幾何学的特性に基づくことができ、特に、ナノ構造の特徴的な寸法(例えば、サイズ)がプラズモン共鳴周波数に対応し、共鳴が励起される場合、光触媒プロセスの効率(例えば、量子効率)が高まり、PECO性能が高まる。実施例において、ナノ構造は、ナノ構造の種類に依存するサイズ分布を有し得る。例えば、ナノ粒子は、粉砕されたナノ構造の第2のサイズ分布よりも狭い第1のサイズ分布を有し得る。ナノ構造を破砕すると、破砕中のナノ構造の破壊位置がランダムに変化するため、結果として生じる破砕されたナノ構造のサイズ分布が広くなる(例えば、実質的に球状のナノ粒子またはナノビーズと比較して)。実施例において、光触媒材料に添加される破砕されたナノ構造は、システム100で使用される破砕されたナノ構造のサイズ分布を調整するために、破砕されたナノ構造の総量のうちのサブセットとして選択することができる(例えば、破砕後にサイズに基づく破砕されたナノ構造フィルタリングによって)。サイズ分布を広げることで、対応するプラズモン共鳴周波数と重なる特徴的な寸法を含む光触媒材料のナノ構造(例えば、粉砕されたナノ構造とナノ粒子の両方を含む)の数を増やすことができる。ナノ構造は、任意の適切な特徴的寸法および/または特徴的寸法の範囲(例えば、1~5nm、2~50nm、50~500nmなど)を有することができ、これには、特徴的直径、特徴的長さ、特徴的体積、およびその他の適切な特性寸法が含まれる。
【0052】
[0065]光触媒材料112は、任意の適切な比率および/または組み合わせで組み合わされた、任意の適切な光触媒ナノ構造を含み得る。光触媒材料112が複数のタイプのナノ構造を含む実施例では、光触媒材料112には、複数のタイプのナノ構造の均一な混合物(例えば、各ナノ構造タイプの相対密度が、光触媒材料が配置された基材上の任意の位置で実質的に等しい)、パターン化された組み合わせ(例えば、基材111上に配置された光触媒材料112の第1のセットの領域が実質的にナノ構造の第1のタイプのみを含み、第2のセットの領域が実質的にナノ構造の第2のタイプのみを含む;ここで第1のセットの領域は光触媒材料を含み、第2のセットの領域は光触媒材料の量が殆どないなど)、または任意の他の適切な組み合わせが含まれる。特定の例では、光触媒材料112は、ナノロッドとナノビーズの比率が1:9である(例えば、質量で1:9、体積で1:9など)、粉砕されたナノロッドとナノビーズの均一な組み合わせで構成される。別の例では、光触媒材料112は、純粋に粉砕されたナノロッドから構成される。しかしながら、光触媒材料112は、その他の粉砕および/または非粉砕ナノ構造の任意の適切な組み合わせから適切に構成することができる。実施例では、反応層は、2018年10月16日に出願された米国特許出願第16/161,600号、2014年10月10日に出願された米国特許第9,899,221号、および/または2016年4月26日に出願された米国特許第7,635,450号に開示された層を含むことができ、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、反応層は他の方法で構築してもよい。
【0053】
[0066]特定の実施形態では、反応層は、1つまたは複数の汚染物質分子(例えば、SOx、NOx、CO2、VOCなど)と化学反応して流体流から汚染物質分子を除去するように機能する化学層118とすることができる。しかしながら、追加的または代替的に、この化学層は非分子汚染物質と反応してもよい。化学層118は、溶解塩(例えば、水に溶解した金属水酸化物)、固体塩、酸、塩基、金属、有機分子、ゼオライト、金属有機フレームワーク(MOF)、アミン、材料の混合物などを含む溶媒を含み得る。化学層および光触媒層を具える実施例では、化学層は、流体流において光触媒層の下流にあることが好ましいが、化学層は上流にあってもよいし、光触媒層と混合されてもよいし、および/または任意の適切な場所にあってもよい。特定の例では、流体流から酸性の汚染物質(例えば、SOx、NOxなど)を捕捉するために、水に溶解した化学層はアルカリ土類塩(例えば、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2など)とすることができる。酸性の汚染物質が化学層を通って流れると、塩基によって中和され、溶液から析出する。しかしながら、材料を隔離するための他の適切な反応またはメカニズムを使用することができる。
【0054】
[0067]追加的または代替的な変形例では、反応層は、汚染物質を分解するように適切に構成することができる。
【0055】
[0068]濾材は、任意選択で、支持層120を含むことができる。支持構造は、濾材および/または層のサブセットを実質的に堅固に保持するように機能する。支持構造はまた、反応性材料が配置されている基材の導電性および/または電子移動度を高めるように機能することができ(例えば、支持構造が導電性であり、反応層と接触している場合)、これが電子正孔対の寿命を延ばし、ひいてはラジカル生成の効率(例えば、結果として生じる汚染物質の削減)を高めるように機能する。
【0056】
[0069]支持層120は、好ましくは反応層よりも上流に配置され、反応層に直接結合される(例えば、直接隣接する、接触している、電気的に接触するなど)。しかしながら、支持層は、反応層の下流にあってもよいし、反応層に間接的に結合されてもよいし、反応層に結合されていなくてもよいし、および/または任意の適切な構成を有することができる。反応層は、好ましくは光源と支持層120との間に配置されるが、この支持層は、光源の近位、光源の遠位、および/または他の任意の適切な構成とすることができる。支持層は、好ましくは捕捉層の下流にあるが、この支持層は捕捉層の上流にあってもよい。特定の例では、支持層は粒子捕捉層と反応層のすぐ間にあるが、この支持層は他の方法で適切に配置してもよい。
【0057】
[0070]支持層120は、反応層基材とは別個のもの、統合されたもの、および/または同じであり得、および/または反応層基材に対して他の任意の適切な関係を有することができる。支持層は、好ましくは反応層の幅広面全体にわたって延びるが、支持層は、この幅広面の一部にわたって、縁に沿って、中心を覆って、および/または反応層の任意の適切な領域を覆って延在してもよい。一例では、支持層は、反応層に付着、圧延、保持(例えば、フレーム140による)、または他の方法で取り付けることができる。
【0058】
[0071]支持層の材料は、好ましくは無機物であり、より好ましくは金属(例えば、アルミニウム;ステンレス鋼、炭素などの鋼;マグネシウム;チタンなど)である。しかしながら、追加的または代替的に、支持層は、ポリマー、合金、布、セラミック、有機材料などを含むことができる。支持層は好ましくは電気を通すが、代替的に、支持層は電気絶縁性であるか、または任意の適切な電気的特性を有することができる。支持層は、好ましくはメッシュ(例えば、ハニカム、グリッド、格子など)に構成されるが、追加的または代替的に、支持層はワイヤ、可撓性金属、および/または任意の適切な構成を有することができる。
【0059】
[0072]特定の例では、支持層は、構造的支持および増強された表面伝導性の両方を提供するために、反応層基材に隣接して配置された導電性材料を含むことができる。例では、この導電性材料は、反応層基材の表面に配置された金属メッシュ(例えば、アルミニウムハニカム)を含むことができる。支持層は、光子源(例えば、光源)によって照射される側に対して反応層基材の反対側にあってよいが、追加的または代替的に、基材と光子源との間にあってもよい。
【0060】
[0073]本技術の特定の実施形態では、支持層は反応層基材に内蔵されている。この実施形態の第1の例では、支持層は、反応層基材の金網を含み、反応層基材に統合されており、これによって反応層基材を任意の適切な形状に柔軟に形成することができ、金網の剛性によって形状を保持することができる。本技術のこの実施形態の第2の例では、支持層は、基材に統合された導電性繊維および延性繊維を含み、反応層基材は、繊維媒体を構成する繊維から少なくとも部分的に形成され、これにより、反応層基材は、中に組み込まれた導電性繊維および延性繊維(例えば、金属繊維)の延性および部分的剛性を利用する形状に形成される。
【0061】
[0074]濾材は、好ましくは、1つまたは複数の汚染物質を捕捉するように機能する同じまたは異なるタイプの1つまたは複数の捕捉層130を含む。捕捉層130は、追加的または代替的に、汚染物質が濾材を通過するのを遅くし、濾過媒体における汚染物質の滞留時間を増加させ、汚染物質のサブセットを捕捉し、および/または他の方法で濾材を通過する汚染物質の進行に適切に影響を与えることができる。捕捉層130は、追加的または代替的に、他の層に機械的支持を提供するように、および/または任意の適切な機能を実行するように機能することができる。捕捉層は、化学的、機械的、電気的、封じ込め、巻き込み(例えば、液体の巻き込み)、および/または汚染物質を捕捉および/または減速するための他の任意の適切なメカニズムを使用することができる。
【0062】
[0075]捕捉層130は、好ましくは支持層および反応層の上流に配置され、支持層の近位または隣接して配置される。しかしながら、捕捉層は、支持体と反応層との間、支持体と反応層の下流または遠位に配置してもよいし、および/または他の方法で適切に配置してもよい。しかしながら、捕捉層は、反応層に隣接し、反応層に対向し(例えば、支持層を横切って)、他の層の間に介在し、および/または他の方法で濾材スタック内に配置することができる。
【0063】
[0076]捕捉層130は、好ましくは反応層よりも高いMERVスコアを有する(例えば、反応層のMERVスコア12に対して捕捉層のMERVスコアは16)。しかしながら、捕捉層は、反応層よりも低いMERVスコアを有してもよく、反応層と同じMERVスコアを有してもよく、MERVスコアを有さなくてもよく、反応層のMERVスコアに依存しなくてもよく、および/または他の適切な評価および/または気孔率を有してもよい。
【0064】
[0077]2以上の捕捉層を有する濾材の実施例では、流体からの汚染物質の異なるサブセット(例えば、種類)を捕捉するために、異なる捕捉層を構成したり(例えば、異なる多孔度、細孔径、材料などを有する)、連続的な濾過を提供したり(例えば、反応層のオーバーロードおよび/または目詰まりを防ぐために)、および/または他の方法で適切に使用するように構成することができる。しかしながら、単一の捕捉層を使用してもよい。
【0065】
[0078]捕捉層は、好ましくは、作動流体(例えば、流体流)内の標的汚染物質の大部分(例えば、>50%、>80%、>90%、>95%、>99%など)を捕捉する。第1の例では、捕捉フィルタは、特定のサイズ範囲(0.3μm~1μm、3μm~5μm、3~10μm、0.1nm-300nm、0.3μm-5μmなど)でほとんどの汚染物質(濾材内に混入した汚染物質など)を捕捉する。ただし、追加的または代替的に、捕捉フィルタはサイズに関係なく汚染物質を捕捉することができる。第2の例では、捕捉フィルタは、所定量の汚染物質のサブセット(例えば、10%、25%、40%、50%、75%、90%など)および/または任意の適切な量の汚染物質を捕捉することができる。
【0066】
[0079]捕捉層は、粒子捕捉層138、吸着層(吸着剤層)133、補助反応層(例えば、化学層、析出層など)、および/または他の任意の適切な層のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0067】
[0080]粒子捕捉層138は、好ましくは、粒子状汚染物質(例えば、>0.3μm、>1μm、>3μm、>5μm、>10μmなどの指定された範囲よりも大きいサイズの汚染物質)を捕捉するように機能する。特に、濾材の他の層では吸着および/または分解されにくい粒子を捕捉するように機能し得る。粒子捕捉層は、汚染物質を不可逆的に捕捉したり、汚染物質を可逆的に捕捉したり、他の方法で汚染物質を捕捉することができる。粒子捕捉層138はまた、他の機能的負担(例えば、分解、吸着など)に加えて、粒子を捕捉するためのそのような下流の層の要件を排除することによって、下流の層がより高い多孔性(例えば、透過性)、より低いMERVレート、および/または表面積を有することを可能にするように機能し得る。粒子捕捉層はまた、他の層(例えば、吸着層などの他の捕捉層;濾材中の他の層など)に機械的支持を提供し、および/または他の任意の適切な機能を実行するように機能し得る。粒子捕捉層は、受動的な層(例えば、空気や分子スケールの汚染物質は透過するが、ミクロンスケールの粒子などの大きな汚染物質を捕捉する受動的な多孔質層)および/または能動的な層(例えば、捕捉効率が静電荷または同様の技術を介して積極的に調整される)であり得る。
【0068】
[0081]粒子捕捉層138は、好ましくは、他の捕捉層と支持層との間に配置される。しかしながら、追加的または代替的に、粒子捕捉層は、最も上流の層、最も下流の層、反応層に対して光源の反対側、光源から反応層を部分的に遮蔽する(例えば、反応層と光との間にある)、および/または任意の適切な構成を有するものであってよい。特定の例では、粒子捕捉層は、反応槽の最も上流および/または最も遠位である。粒子捕捉層に隣接して支持層があり、支持層に隣接して反応層がある。ただし、これらの層は他の方法で適切に配置してもよい。
【0069】
[0082]粒子捕捉層138は、好ましくは、光放射(例えば、光源によって放出される光、反応層を励起できる波長を有する光など)を反射するように構成される。しかしながら、追加的または代替的に、粒子捕捉層は光を吸収したり(例えば、コーティングを有する)、光を透過したり、光を散乱したり、および/または任意の適切な光学特性を有することができる。特定の例では、粒子捕捉層は、波長280~700nm、波長280nm以上、波長700nm以下、および/または他の適切な波長を含む光放射を散乱(例えば、反射)するように構成される。しかしながら、粒子捕捉層は、任意の適切な波長に対して任意の適切な応答を有するように構成することができる。
【0070】
[0083]粒子捕捉層138は、好ましくは、濾材内の任意の層の中で最も高いMERVスコア(例えば、MERV14、MERV16、および/または任意の適切なMERVレーティング)を有する。しかしながら、代替的または追加的に、粒子捕捉層は、濾材内で最低のMERVレーティングを有したり、レーティングを持たなかったり、異なる尺度(例えば、ISO16890)でレーティングされたり、および/または他の任意の適切なレーティングで評価することができる。特定の例では、反応層のMERVレートは12であり、粒子捕捉層のMERVレートは16である。ただし、粒子捕捉層と反応層の両方が適切なMERVスコアを持つことができる。別の特定の例では、反応層のMERVレートが16であるため、粒子捕捉層を有さない。ただし、任意の適切な層が高いMERVレーティングを有したり、複数の層が高いMERVレーティングを有したり、濾材に存在する層に関係なく粒子捕捉層を有したり、および/または層の粒子捕捉効率を他の方法で適切に決定してもよい。
【0071】
[0084]粒子捕捉層は、好ましくはポリエチレンブレンドで作製されるが、追加的または代替的に、粒子捕捉層は任意の適切な基材材料で作製することができ、および/または任意の適切な材料で作製することができる。
【0072】
[0085]特定の例では、粒子捕捉層は、受動的な捕捉層であり得る(例えば、可動部品がない、層に経時による工学的変更がないなど)。この例では、粒子捕捉層は、HEPAフィルタ、セミHEPAフィルタ、ULPA、および/または任意の適切なフィルタクラスであり得る。この例では、粒子捕捉層は、多孔度、細孔径、フィルタ構成などによって特徴付けられ、0.3~10μmのサイズ(またはその範囲)の汚染物質を捕捉し、および/または任意の適切なサイズの汚染物質を捕捉する。しかしながら、この受動的粒子捕捉層は、他の方法で適切に決定してもよい。
【0073】
[0086]第1の変形例では、粒子捕捉層は、能動的な捕捉層(例えば、静電)であり得る。このような変形例では、静電引力で粒子を引き付けるために、層は静電的に帯電している。このような変形例では、帯電層と汚染物質粒子との間の静電引力に(例えば、層の機械的濾過を超えて)追加の捕捉が生じるため、粒子捕捉層が、受動層よりも高い多孔性(例えば、より大きな透過性)を規定することができる。追加的または代替的に、能動的な静電荷電を任意の適切な層タイプに適用して、層の粒子捕捉機能を高めることができる(例えば、吸着剤層、反応層、または非コーティング層が能動的粒子捕捉層としても機能するように)。いくつかの例では、層は一定の電荷に保持することができる。代替例では、層は動的に充電および放電することができる(例えば、粒子捕捉能力を循環させるため、フィルタ層をリフレッシュするためなど)。
【0074】
[0087]第2の変形例では、粒子捕捉層は、能動的な捕捉層(例えば、機械的に作動される)であり得る。このような変形例では、層を動かすことができる(例えば、ホイップ、ジグル、揺れ、振動など)。そのような変形例は、(例えば、層の機械的濾過を超えて)粒子捕捉層が掃引する有効な弧上でさらなる捕捉が起こるので、粒子捕捉層が受動層に対して高い多孔性(例えば、大きな透過性)を規定することができる。いくつかの例では、能動的な粒子捕捉層を一定の位置に保持することができる。別の例では、層は、周波数、移動パターンなどを変化させて動的に移動することができる。この特定の例では、フィルタ材料が移動する間、フィルタ材料の端点を固定することが好ましい。ただし、この端点も移動してもよい(例えば、同期、非同期的など)。一例では、フィルタ材料は、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年10月19日に出願された米国特許出願第16/165,975号に開示されているものと同様の方法で作動させることができる。しかしながら、フィルタ材料は他の方法で作動させてもよい。
【0075】
[0088]吸着剤層133は、収着プロセスを介して揮発性分子化合物(例えば、VOC;SOx、NOx、COなどの揮発性無機材料;揮発性元素など)を捕捉するように機能する。実施例では、吸着剤層は、濾材中の1つまたは複数の汚染物質の滞留時間を増加させるバッファまたはコンデンサとして機能することができ、これにより、汚染物質が反応層と反応する確率を増加させることができる。吸着剤層は、汚染物質を保持し(例えば、吸着部位での吸着、吸収などを介して)、その後、汚染物質をより遅い速度で脱離させる(例えば、下流の反応層による分解のために)化学物理的緩衝層としても機能することができ、これにより、汚染物質濃度の一時的な増加(例えば、反応層が分解し得る最大濃度よりも高い)が濾材の全体的な濾過能力または効率を低下させないようにすることができる。実施例では、流体濾過システムは、1つまたは複数の吸着剤層(例えば、直列、並列など)を含むことができ、これにより、(例えば、1つまたは複数の汚染物質について)吸着能力および/または効力を増加させ、および/または任意の適切な利益を与えることができる。しかしながら、吸着剤層は他の機能を果たしてもよい。
【0076】
[0089]吸着剤層133は、好ましくは、所定のサイズよりも小さい汚染物質(例えば、分子、1nm、10nm、100nm、0.3μm、1μm、5μmなどよりも小さい材料)を捕捉する。ただし、追加的または代替的に、吸着剤層は任意の適切なサイズの汚染物質を捕捉してもよい。吸着剤層は、好ましくは所定の汚染物質のセット(例えば、特定の活性部位および/または側鎖を有するもの、有機化合物、無機化合物など)を捕捉するが、追加的または代替的に、吸着剤層は、任意の適切な汚染物質を捕捉することができる。
【0077】
[0090]吸着剤層133は、好ましくは、汚染物質を吸着する(例えば、物理吸着、化学吸着など)。しかしながら、追加的または代替的に、吸着剤層は、任意の適切な方法で汚染物質を吸収、反応、析出、および/または相互作用してもよい。吸着剤層は、より好ましくは可逆的に汚染物質を吸着するが、吸着剤層は汚染物質を不可逆的に吸着してもよい。実施例では、吸着剤層は、吸着された汚染物質と流体中の汚染物質との間の平衡状態に達し得る。流体中の汚染物質の量が変化すると(例えば、反応層で分解されたり、時間帯によって変動したりするなど)、平衡がシフトする場合がある。例えば、流体中の汚染物質濃度が高い場合、より多くの汚染物質が吸着剤層によって吸着され得る。別の例では、流体中の汚染物質濃度が低い場合、吸着された汚染物質は、吸着剤層から放出され得る(例えば、反応層によって分解および/または粉砕されるように)。しかしながら、吸着剤層は適切な方法で汚染物質を捕捉してもよい。
【0078】
[0091]吸着剤層133は、好ましくは、濾材を通過する際の層内の汚染物質を含んだ流体の所望の滞留時間(30秒、5分、15分、1時間、2時間、6時間、24時間など)に対応する厚さ(例えば、100nm、1μm、10μm、100μm、1mmなど)および/または吸着剤の量(例えば、1g/m2、100g/m2、1000g/m2などの吸着剤の濃度、吸着剤の被覆率など)を規定する。ただし、吸着剤層の厚さおよび/または吸着剤の装填量は、吸着剤の容量(例えば、吸着剤層が捕捉できる特定の汚染物質の量)、吸着剤の寿命(例えば、吸着剤が劣化するまでの時間)、吸着剤材料、所定の量、吸着剤層の物理的特性(例えば、構造的完全性、重量、展性、不透明度、圧力降下など)に基づいて決定することができ、および/または他の方法で適切に決定される。例では、厚さは、0.1mm~10cmの間の任意の厚さ(またはその範囲)であるか、または任意の適切な厚さを有することができる。実施例では、吸着剤の装填量(例えば、濃度)は、0.01mg/mm2~1g/mm2の間の任意の密度(またはその範囲)であり得、および/または任意の適切な表面被覆率を有し得る。
【0079】
[0092]吸着剤層133は、好ましくは、流体流において上流の最も遠い層であるが、吸着剤層は、最も下流にあってもよく、および/または濾材内の任意の適切な位置に(例えば、流体流路に沿って)配置することができる。吸着剤層は、好ましくは、反応層の最も遠位にある層であるが、追加的または代替的に、吸着剤層は、反応層の近位にあっても、粒子捕捉層と反応層との間に配置されてもよく、および/または濾材スタック内の他の適切な位置に配置される。
【0080】
[0093]吸着剤は、活性炭134、セラミック、粘土、有機金属フレームワーク(MOFなど)、チタン酸ジルコン酸(ZrTiO
4など)、ゼオライト、ゲル(シリカゲル、エアロゲルなど)、チタン酸ジルコン酸鉛(例えば、PbZrTiO
4、PZTなど)、および/または他の適切な材料であり得る。実施例では、吸着剤層は活性炭134を含むことができる。いくつかの例では、層は完全にまたはほぼ完全に活性炭で構成することができるが、代替の例では、層は、活性炭ではない基材(例えば、布地層、1つまたは複数のスクリムなど)と、基材上に配置された活性炭を含む機能性材料(例えば、
図9に示されるような活性炭粒子、布に組み込まれた活性炭含浸繊維など)とを含み得る。そのような実施例では、炭素は、特定の用途に合わせて調整可能な収着効率ピークを規定するように活性化することができる(例えば、収着効率ピークは、濾材の使用が意図されている環境において比較的高い濃度で存在することが知られている化学物質に対して高い効率を有するように調整される)。例えば、活性炭は、石油精製所の近くの空中環境に高濃度で存在することが知られている特定の化学物質、または山火事の煙、タバコの煙、および/または同様の状況で大きな割合で存在することが知られている化学物質を効率的に吸着するように調整することができる(例えば、表面積の変更、表面の機能化など)。しかしながら、活性炭を含む収着剤層の追加または代替の変形例において、活性炭は調整されていなくてもよい(例えば、収着効率スペクトルが実質的に平坦、収着効率スペクトルが意図的に調整されていないピークを含むなど)。
【0081】
[0094]別の変形例では、吸着剤層は、活性炭ペレットを含むことができ、ペレットのサイズは、濾材の形状およびフォームファクタに依存するが、ペレットのサイズは追加的または代替的に、活性炭の物理的特性に依存したり、製造プロセスに依存したり、濾材の形状および/または形状因子には依存せず、1μm~100mmの間の任意の適切なサイズ(またはその範囲)、および/または任意の適切なサイズであり得る。ペレットは、好ましくは、吸着剤層の表面または面全体に(例えば、均一に、不均一に)分布するが、追加的または代替的に他の方法で配置されてもい。しかしながら、追加的または代替的に、吸着剤層は、炭素繊維(例えば、多孔性、充填など)、中空管、曲がりくねった細孔、および/または他の任意の適切な材料を含むことができる。
【0082】
[0095]吸着層は、受動的および/または能動的に制御することができる(例えば、温度、流体流量、圧力差などを制御することによって)。能動的に制御される実施例において、収着層は、収着された材料の放出を容易にするように機能し、および/または任意の適切な機能を果たすことができる放出要素を含み得る。この放出要素は、加熱要素、電気要素、圧力要素、圧縮/伸長要素、および/または任意の適切な要素を含むことができる。
【0083】
[0096]実施例において、吸着剤層は、1つまたは複数の基材および活性材料(例えば、吸着剤材料を含む反応性材料)を含み得る。1つまたは複数の基材(例えば、布地層、スクリムなど)は、吸着剤層に機械的支持を提供し、活性層を配置することができる材料として機し得る。例えば、吸着剤層は、活性材料が間に配置された第1および第2の基材を含むことができる。しかしながら、活性材料は、別の層(例えば、反応層、粒子捕捉層、支持層など)および/または任意の適切な材料に直接適用することができる。スクリムは、織布、プラスチック、ポリマー、金属、皮革、不織布、基材と同じもの、支持構造と同じもの、ガラス繊維などであり得る。基材は、好ましくは光学的に不透明であるが(例えば、黒色、厚いなど)、追加的または代替的に、基材は、光源波長に対して不透明、可視波長(400~700nm)に対して不透明、可視波長のサブセット(例えば、400~450nm、400~500nm、500~700nmなど))に対して不透明、フォトルミネッセンス(例えば、光触媒材料、繊維、蛍光分子、蛍光性汚染物質、蛍光、燐光など)に対して不透明、透明、半透明、その他の適切な光学特性を有してもよい。しかしながら、基材は、他の任意の適切な特性を有することができる。
【0084】
[0097]変形例の特定の例では、吸着剤層は2つのスクリム132を含むことができる。スクリムの少なくとも一方は、配置される活性炭活性層の基材として機能する。もう一方のスクリムは、活性炭を挟んで(例えば、活性炭が2つのスクリム層の間に位置する構造を形成する)活性炭を保護する。しかしながら、吸着剤層は、他の方法で適切に規定することができる。
【0085】
[0098]濾材の第1の実施例では、吸着剤層は、濾材内の最も上流の層であり得る。この例では、吸着剤層は活性炭を含み、汚染物質がフィルタを通過するときにそれらを可逆的に捕捉することができる。吸着剤層は、捕捉された汚染物質をゆっくりと放出し、他のフィルタ層への瞬間的な汚染物質の負荷を減らすことができる。しかしながら、吸着剤層は、他の方法で適切に構成することができる。
【0086】
[0099]濾材の第2の実施例では、吸着剤層は、濾材内の最も下流の層であり得る。この例では、吸着剤層はMOFを含み、フィルタから放出される前に二酸化炭素(CO2など)を可逆的に捕捉することができる。吸着剤層は、吸着剤層が飽和する(例えば、CO2をこれ以上吸着できなくなる)まで、再生される(例えば、放出要素を用いてCO2が吸着剤層から放出される)まで、および/または他の適切なアクションが発生するまで、および/または実行されるまで、CO2を捕捉できる。しかしながら、吸着剤層は、他の方法で適切に構成することができる。
【0087】
[00100]濾材の第3の実施例では、吸着剤層は、任意選択で析出層を含むことができる。流体が析出フィルタを通過するときに、析出フィルタが材料の凝縮点より下にある場合、汚染物質が析出フィルタ上で凝縮し得る。析出層は、代替的におよび/または追加的に、流体流から層に汚染物質を析出させて汚染物質の析出物を捕捉するように機能することができる。析出層はまた、酸性の無機ガスを、析出層の表面に配置される(例えば、捕捉される)塩に変換するように機能することができる。析出層はまた、複分解反応または単置換反応を介して酸性の無機ガス(例えば、NOx、SOx、COなど)を捕捉するように機能することができる。しかしながら、吸着剤層および析出層は、他の方法で汚染物質析出物を適切に形成して、空気流から適切な汚染物質を除去することができる。
【0088】
[00101]追加または代替の変形例では、吸着剤層は、分子汚染物質を吸着するように適切に構成することができる。
【0089】
[00102]第1の特定の例では、濾材は、光触媒材料を含む反応層の上流に活性炭を含む吸着剤層を含むことができる。この例では、活性炭が活性化されて、特定の汚染物質に対する特定の選択性なく広いスペクトルの収着を規定する(例えば、反応層は、相対効率が低いために脱着したり収着しない汚染物質を排除する)。しかしながら、代替例では、吸着剤層の活性炭は、特定の汚染物質(例えば、比較的低い分解効率を有する汚染物質)を選択的に吸着するように調整することができる。
【0090】
[00103]関連する特定の例では、濾材は、その上に配置された活性炭粒子および光触媒ナノ粒子を含む布基材を含むことができる。そのような例および関連する構成は、単一の層が複数の汚染物質除去機能(例えば、収着および分解)を実行する複数の層を含むと考えることができる。
【0091】
[00104]別の関連する例では、濾材は、複数の炭素媒体の層および他の吸着層と、PECO機能を有する最終反応層とを含む。あるいは、最終層は、他の適切な材料であってよく、および/または他の適切な濾過および/または汚染物質低減の目的を実行するものであってよい。この例の1つまたは複数の層は、いくつかの空中浮遊化学物質の収着または中和(例えば、不活性化)を改善するための化学コーティングを含むことができる。
【0092】
[00105]上記実施例の濾材は、好ましくは、条件および官能基のタイプに関係なく、様々なVOCを吸着および破壊(例えば、分解、破砕など)することができる。例えば、上流の吸着剤層はVOCを最初に吸着し、ゆっくりと(例えば、速度を下げて)放出(例えば、脱着)することができ、PECO媒体は放出されたVOCを良性(例えば、無害、無公害)のCO2およびH2Oに分解することができる。そのような例では、炭素および他の収着媒体は、操作中の飽和を回避し、また、望ましくない収着化学物質の環境への放出を回避することができる。
【0093】
[00106]実施例では、反応層は、それに近接して(例えば、上流に隣接して、隣接して、上流と下流に隣接してなど)、1つまたは複数の非コーティング層(例えば、基材、粒子捕捉層、支持層など)を含むことができる。そのような非コーティング層は、反応層の近くの分解性汚染物質の滞留時間を増加させ、それによって、光触媒材料の量を反応層に含まれている以上に増加させることなく、全体的な汚染物質の分解効率を増加させるように機能し得る。実施例では、得られるコーティング媒体と非コーティング媒体の組み合わせは、同じ量の光触媒が装填された対応する単層アセンブリ(例えば、光触媒材料が全体として濾材上または内に配置される)と比較して、(例えば、
図8に示すように)増加したVOC分解効率を有することができる。別の変形例では、非コーティング媒体を静電的に帯電させて、粒子およびバイオエアロゾルの還元効率を改善することができる(例えば、非コーティング層が粒子捕捉層として機能するような粒子捕捉によって)。別の変形例では、反応層を静電的に帯電させて、汚染物質分子の滞留時間を増加させることができる(例えば、それにより、それらの破壊速度および/または効率を増加させる)。別の変形例では、非コーティング層と光触媒層の両方を静電的に帯電させて、粒子濾過(例えば、粒子捕捉)だけでなく、汚染物質(例えば、VOC、微生物など)の光触媒による破壊を改善することができる。
【0094】
[00107]別の具体例では、濾材は、反応層の上流に粒子捕捉層を含む。別の具体例では、濾材は、粒子捕捉層、吸着剤層、および反応層を含み、粒子捕捉層は吸着剤層の上流にあり、吸着剤層は反応層の上流にある。別の具体例では、濾材は、吸着剤層の上流に粒子捕捉層を含む。
【0095】
[00108]しかしながら、追加のまたは代替の例では、濾材は、任意の適切な数の任意の適切な層を任意の適切な順序で含むことができる。
【0096】
3.2 フレーム
[00109]フレーム140は、好ましくは、濾材に構造的支持を提供し、各層の取り付け点を提供し、および/または所定の順序/方向で濾材の層のすべてまたはサブセットを保持するように機能する。ただし、フレームは任意の適切な機能を果たすことができる。フレーム140は、好ましくは濾材に接続され、より好ましくは濾材のすべての層に接続されている。しかしながら、追加的または代替的に、層のサブセットをフレームに接続したり、単一の層をフレームに接続したり、濾材が自律型だったり(例えば、フレームは不要)、および/またはフレームを他の方法で適切に構成してもよい。
【0097】
[00110]フレームは、好ましくは、濾材の上部および底部に結合される(
図15に示される例)。しかしながら、追加的または代替的に、フレームは、上部のみ、底部のみ、層の長さに沿って、1つまたは複数の層の縁周りに(例えば、フレームによって規定される管腔を横切って延びる層内)、層を囲むように、および/または他の適切な方法で結合することができる。
【0098】
[00111]フレームは、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、炭素鋼など)、プラスチック、布(例えば、織布、不織布など)、革、木、厚紙、および/または他の任意の適切な材料であり得る。フレームは、濾材に接着、ろう付け、嵌合、刻印、圧着、クランプ、ねじ込み、ラミネート、および/またはその他の方法で適切に貼り付けることができる。
【0099】
[00112]実施例では、フレームは、フレームから脱着可能なサブフレームを含めることができる。これらの実施例では、サブフレームを濾材の1つまたは複数の層に接続して、脱着可能な層(例えば、粒子捕捉層、吸着剤層、反応層など)を提供することができる。サブフレームは、濾材全体を同時に交換する必要なしに、濾材の層の脱着および交換を容易にするように機能することができる。ただし、層は、フレームに永続的に接続したり、半永続的に接続したり、および/または任意の適切な方法で接続することができる。
【0100】
[00113]特定の例では、フレームは、2つの円形または環状のサブフレーム(
図14および
図15に示される例)を含むことができ、ここで各サブフレームは切り欠きを有する。濾材は、1つの円形フレームを濾材の上部に配置し、もう1つを濾材の下部に配置して、濾材がサブフレームによって円筒形状に保持されるように、切り欠きに挿入することができる。しかしながら、単一のサブフレームを使用してもよいし、および/または任意の適切な結合機構および/または形状を使用してもよい。
【0101】
[00114]別の特定の例では、濾材は長方形の幅広面を規定することができる。その場合、フレームは、濾材の縁を部分的および/または完全に取り囲む長方形(例えば、ボール紙製)であり得る。フレームは、濾材の一部を囲んだり、濾材に接触したり(例えば、濾材のサイズに一致する切り欠き領域を規定する)、および/または任意の適切な方法で濾材とともに配置することができる。フレームは、フィルタの形状を保持する機能、濾材を操作するためのハンドルを提供する機能、および/または任意の適切な機能を実行することができる。ただし、フレームは別の適切な方法で規定することができる。
【0102】
[00115]システムは、任意選択で、データを近くのコンピューティングシステム(例えば、スキャナ、スマートフォン、受信エアフィルタシステムなど)に通信するように機能する1つまたは複数の近距離通信システム150を含むことができる。この近距離通信システムは、任意でコンピューティングシステムからデータを受信できる。近距離通信システムは、一意のシステム識別子(フィルタID)、システムの年数(例えば、システムの製造日、システムの出荷日、システムの有効期限など)、および/またはその他の適切なデータといったシステムデータを通信するように機能し得る。システムデータは、(例えば、受信デバイス、リモートコンピューティングシステムなどによって)システムの追跡、システムの識別、システムが真正であることの確認(例えば、エアフィルタシステムの稼働前)、デバイスの環境フットプリントの追跡、デバイスメトリックの追跡(例えば、フィルタ捕捉または破砕された汚染物質の測定量、計算量、または推定量をシステム/フィルタに関連付ける)、エアフィルタの交換を自動的に促す、ユーザまたは管理者への通知を自動生成(例えば、フィルタを交換するよう、空気の質が悪いので外に出ないように)、またはその他の方法で使用することができる。
【0103】
[00116]近距離通信システムは、好ましくは受動的(例えば、外部から印加されるRFフィールドによって電力供給される)であるが、追加的または代替的に能動的(例えば、搭載電源によって電力供給される、エアフィルタシステムの電源などの外部電源によって電力供給される)とすることができる。近距離通信システムは、NFC、Bluetooth(Bluetooth Low Energy、Bluetooth Classic、UWBなど)、Zigbee、またはその他の適切な近距離通信システムであり得る。
【0104】
[00117]近距離通信システムは、好ましくは、システムのフレーム(例えば、フィルタフレーム)に取り付けられるが、追加的または代替的に、システムのパッケージ、濾材、および/またはシステムの他の適切な部分に取り付けることができる。
【0105】
[00118]実施例では、システムは、出荷および/または流通のために梱包することができる。梱包の例には、プラスチックラップ、箱、および/またはその他の適切な出荷容器が含まれる。特定の例では、システムは、(例えば、エアフィルタ内で、または独立して)実質的に流動的に密封されたプラスチックラップで配送することができる。このプラスチックラップは、使用前に汚染物質がシステムに侵入したり吸着したりするのを防ぐように機能する(例えば、これによりシステムの耐用年数が延びる)。エアフィルタ内で包装されたシステムが出荷される実施例では、ラップまたは包装により、フィルタ(または他の動力部品)とエアフィルタシステムとの電気的接続が遮断されており、ユーザがセットアップ中にフィルタ交換を練習することができる(例えば、ユーザがエアフィルタシステムに対処している際)。
【0106】
4.方法
[00119]
図2に示すように、流体濾過方法S200は、好ましくは流体流(例えば、流体の流れ、流体の流路、流体の経路など)から1つまたは複数の汚染物質を除去するように機能する。この方法は、汚染物質を吸着させるステップS220、汚染物質を捕捉するステップS240、および/または汚染物質を分解するステップS260を含み得る。この方法は、任意選択で、分解副産物を捕捉するステップS280および/または他の任意の適切なステップおよび/またはプロセスを含むことができる。この方法は、(例えば、上記のような)流体濾過システムによって実行することができる。しかしながら、この方法は、任意の適切なシステムによって実行してもよい。
【0107】
[00120]汚染物質を吸着するステップさせるステップは、好ましくは、流体流から汚染物質191の第1のサブセット(例えば、分子汚染物質;VOC;特定の官能基を有する汚染物質;10nm、100nm、300nm、1μmなどの所定のサイズよりも小さい汚染物質;無機材料、SOx、NOx、COなどの無機汚染物質;有機汚染物質など)を捕捉するように機能するが、任意の適切な汚染物質を吸着してもよい。汚染物質を吸着させるステップは、追加的または代替的に他のステップと比較して汚染物質の流れを緩衝するように機能することができ(例えば、汚染物質を貯蔵し、後で放出する)、それは濾材を汚染物質で一杯にしないようにして濾材(例えば、反応層や粒子捕捉層などの濾材の特定の層)の効率および/または寿命を向上させることができる。ただし、汚染物質を吸着させるステップは、適切な機能を果たしてもよい。汚染物質を吸着するステップは、好ましくは、(例えば、上記のような)1つまたは複数の吸着剤層で行われるが、任意の適切な層および/またはフィルタでこのステップを実行することができる。汚染物質を吸着させるステップは、好ましくは、汚染物質を吸収するステップを含むが、追加的または代替的に、汚染物質を吸着させるステップは、汚染物質と反応、汚染物質の吸収、相変化の誘発(例えば、凝縮、析出、堆積、凍結など)、および/または任意の適切なプロセスを含んでもよい。
【0108】
[00121]汚染物質を収着させるステップは、汚染物質を分解するステップの前に行われることが好ましく(例えば、汚染物質を含む流体からの汚染物質は分解前に収着される)、好ましくは、汚染物質を含む流体に対して実行される最初の濾過ステップである。ただし、汚染物質を吸着させるステップは、汚染物質を分解するステップの後(例えば、未反応の汚染物質を吸着する、反応副産物を吸着するなど)、複数回(例えば、汚染物質を分解するステップの前後など)、他の濾過ステップと同時に(例えば、同じフィルタ層などで汚染物質を分解するのと実質的に同時に汚染物質を吸着する、同じフィルタ層などで汚染物質を捕捉するのと実質的に同時に汚染物質を吸着するなど)、および/または任意の適切なタイミングで生じてもよい。ただし、追加的または代替的に、汚染物質は吸着させなくてもよい。
【0109】
[00122]汚染物質を収着するステップは、任意選択で、収着された材料(例えば、収着された汚染物質、収着された副生成物など)を放出するステップを含み得る。吸着された材料を放出するステップは、好ましくは、吸着された材料を流体流に放出し、吸着剤を再生させ(例えば、吸着剤を準備および/または初期状態に戻したり、吸着剤が材料を吸着するように準備するなど)、および/または任意の適切な機能を実行するように機能する。収着された物質を放出するステップは、受動的(例えば、自然に脱着するなど)および/または能動的であり得る。収着された材料の放出が能動的である実施例において、収着された材料の放出は、放出要素および/または任意の適切な要素によって実行されてもよい。これらの実施例では、収着材料の放出には、収着剤の加熱、収着剤への電界の印加、収着剤への電位の印加、収着剤への力の印加、収着剤の真空暴露、収着剤の回収材料(例えば、吸着された材料を置換することができる材料)への暴露、および/または吸着された材料を放出するための他の適切なメカニズムが含まれ得る。
【0110】
[00123]汚染物質を捕捉するステップは、好ましくは、汚染物質192の第2のサブセット(例えば、0.1μm、0.3μm、1μm、3μm、10μm、100μmなどの閾値サイズより大きい汚染物質)を捕捉するように機能する(例えば、物理的捕捉、化学的捕捉など)。汚染物質を捕捉するステップは、負荷を減らし(例えば、反応性フィルタの)、寿命を延ばし(例えば、フィルタシステム、特定のフィルタ層など)、濾過システムおよび/または層の中/これを通過する流体の流れの変更(例えば、速度、圧力降下など)、および/または任意の適切な機能を実行するように機能する。汚染物質の第2のサブセットは、好ましくは、汚染物質の第1のサブセット(例えば、汚染物質を収着させるステップで収着されるもの)とは異なるが、汚染物質の第1および第2のサブセットは、重複したり、同じであったり、汚染物質のいずれかおよび/またはすべてを含んだり、および/または任意の適切な関係および/または汚染物質を有することができる。
【0111】
[00124]汚染物質を捕捉するステップは、汚染物質を吸着させるステップの後に発生することが好ましい。しかしながら、汚染物質を捕捉するステップは、汚染物質を吸着させるステップの前、汚染物質を吸着させるステップと実質的に同時、および/または任意の適切なタイミングで発生してもよい。汚染物質を捕捉するステップは、流体が濾材を流れる際に1回またはそれ以上発生することができる。
【0112】
[00125]汚染物質を捕捉するステップは、好ましくは、(例えば、上記のような)1つまたは複数の捕捉層によって、より好ましくは、1つまたは複数の粒子捕捉層によって実施される。しかしながら、汚染物質を捕捉するステップは、吸着層および/または任意の適切なフィルタまたは層によって実行することができる。汚染物質を捕捉するステップは、受動的(例えば、静的フィルタおよび/または層を使用)および/または能動的であり得る。
【0113】
[00126]能動的な実施例では、汚染物質を捕捉するステップは、層および/または層の構成要素を動かすステップ(例えば、繊維フィルタ層および/または材料から繊維を動かす)、層および/または層の構成要素を帯電および/または放電させるステップ(例えば、繊維性フィルタ層の繊維を帯電させる)、および/または他の任意の適切なステップが含まれ得る。層を動かすステップは、流体の流れを促進し、層がより広い領域をカバーすることを可能にし、粒子を放出するのを助け(例えば、反応層での分解のために)、および/または任意の適切な機能を実行することができる。層を帯電させるステップは、汚染物質を電磁的に捕捉し(例えば、静電相互作用、磁気相互作用などを介して)、汚染物質をバッファし(例えば、汚染物質を可逆的に捕捉して後で放出できるようにする)、および/または任意の適切な機能を実行できる。ただし、他の適切なサブステップのセットを実行してもよい。
【0114】
[00127]汚染物質を分解するステップは、好ましくは、汚染物質を副生成物197へと分解する(例えば、酸化する)ように機能する。副生成物197は、好ましくは、操作条件で無毒であるが、任意の適切な化合物のセットであり得る。副生成物197は汚染物質に依存し、二酸化炭素(例えば、CO2)、水、一酸化炭素(例えば、CO)、硫黄酸化物(例えば、SO2、SO3、SOxなど)、窒素酸化物(例えば、NO、NO2、NOxなど)、リン酸化物(例えば、POx)、ホウ素酸化物(例えば、BOx)、セレン酸化物(SeOx)、ヒ素酸化物(AsOx)、水素化および/またはプロトン化酸化物、および/または任意の適切な分子、原子、および/または種であり得る。変形例では、汚染物質を分解することで、流体流から種を除去してそれらを隔離するように機能することができる。
【0115】
[00128]汚染物質を分解するステップは、汚染物質を捕捉するステップおよび汚染物質を吸着するステップの後に生じることが好ましい。しかしながら、汚染物質を分解するステップは、汚染物質を捕捉するステップの前、汚染物質を吸着するステップの前、汚染物質を捕捉するステップと吸着するステップの間、または任意の適切なタイミングで生じてもよい。汚染物質を分解するステップは、好ましくは、1つまたは複数の反応層によって行われるが、任意の適切な層および/またはフィルタを使用してもよい。
【0116】
[00129]実施例では、例えば
図12に示すように、汚染物質を分解するステップは、光触媒層を活性化させるステップ(例えば、光照射、熱照射、電気的励起など)、活性化された光触媒層を汚染物質と反応させて汚染物質を分解するステップ、および/または任意の適切なプロセスを含み得る。光触媒層を活性化するステップは、好ましくは、光触媒層を適切な波長(例えば、反応性材料の励起波長に一致する)の光で照射して、光触媒材料116を活性化することを含むが、任意の適切な活性化プロセスを使用してもよい。光触媒層を活性化するステップは、連続的および/または断続的に生じてもよい(例えば、任意の適切な期間で、任意の適切なタイミングで、トリガに応答するなど)。光触媒層を活性化するステップは、好ましくは、励起源(例えば、光源)によって行われるが、任意の適切な要素を使用してもよい。活性化された光触媒層は、電子励起状態(例えば、光励起、熱励起など)の光触媒材料、高温(例えば、室温より高い温度)の活性材料、帯電した活性材料(例えば、正に帯電、負に帯電した状態)の光触媒材料、および/または任意の適切な活性化状態を含み得る。
【0117】
[00130]活性化された光触媒層を汚染物質と反応させるステップは、好ましくは、汚染物質を非特異的に分解(例えば、酸化、還元など)して副生成物(例えば、汚染物質の構成要素の酸化物)にするように機能する。しかしながら、活性化された光触媒層を汚染物質と反応させるステップは、任意の適切な機能を実行することができる。活性化された光触媒層を汚染物質と反応させるステップは、光触媒層を活性化するステップと同時に、および/またはその後の任意の適切な時間に生じ得るが、活性化された光触媒層を汚染物質と反応させるステップは、任意の適切な時期に生じてもよい。活性化光触媒層を汚染物質と反応させるステップには、活性化された光触媒116でのラジカル(例えば、OHなどの反応性ラジカル)の生成、ラジカルと汚染物質との反応、光触媒での汚染物質の直接反応、光触媒から汚染物質へのエネルギー移動(例えば、共鳴エネルギー伝達、電子伝達など)による活性化汚染物質の生成、活性化汚染物質の反応(例えば、他の汚染物質との反応、他の活性化汚染物質との反応、流体流の他の成分との反応、光触媒との反応など)、および/またはその他の適切なプロセスを含み得る。
【0118】
[00131]変形例では、汚染物質を分解するステップは、汚染物質と化学反応させるステップが含まれてもよい。汚染物質と化学反応させるステップは、流体流から汚染物質を隔離および除去するように、および/または任意の適切な機能を実行するように機能することができる。汚染物質と化学反応させるステップは、好ましくは反応層で、より好ましくは化学層で起こるが、汚染物質との化学反応は、任意の適切な層および/またはフィルタで発生してもよい。特定の例では、汚染物質と化学反応させるステップは、化学種の塩を析出させることを含み得る(例えば、硫酸塩を沈殿させてSO3を除去したり、硝酸塩を沈殿させてNO2を除去するなど)。しかしながら、任意の適切な化学反応を使用することができる。
【0119】
[00132]しかしながら、汚染物質を分解するステップは、任意の適切なプロセスおよび/またはステップを含むことができる。
【0120】
[00133]この方法は、必要に応じて、分解副産物を捕捉するステップを含むことができる。分解副産物を捕捉するステップは、好ましくは、副生成物(例えば、汚染物質が分解された後に生成される種)を隔離して、それらが環境に放出されることおよび/または環境に戻ることを防ぐように機能する。分解副産物を捕捉するステップは、汚染物質を分解するステップの後に発生することが好ましいが、追加的または代替的に、汚染物質を分解するステップと同時に発生してもよい。分解副産物を捕捉するステップは、吸着剤層、反応層、粒子捕捉層、任意の他の適切なフィルタおよび/または層、マニホルド、リザーバ、および/または任意の他の適切な捕捉メカニズムによって実行することができる。
【0121】
5. 製造方法
[00134]
図3に示すように、濾材の製造方法S300は、濾材に材料を適用するステップS320と、複数のフィルタ層を濾材へと組み合わせる(複数の層を結合する)ステップS350と、濾材に構造形態を与えるステップS370とを含み得る。この製造方法は、追加的または代替的に、任意の他の適切なステップおよび/またはサブプロセスを含んでもよい。
【0122】
[00135]この製造方法は、フィルタ層に材料を適用することを含むブロックS320を含み得る。ブロックS320は、層の所望の機能が、機械的濾過に加えて汚染物質除去メカニズム(例えば、収着、分解、能動的捕捉など)に関連する場合に、層(例えば、基材)を機能化するように機能する。フィルタ層に材料を適用するステップは、好ましくは、複数の層を濾材に組み合わせるステップの前に行われるが、フィルタ層に材料を適用するステップは、複数の層を組み合わせるステップと同時に、および/または任意の適切なタイミングで行うことができる。フィルタ層に材料を適用するステップは、適切な被覆率および/または層の厚さを確保するために、必要に応じて1回以上(例えば、同じ基材に、異なる基材に、同じ層に、異なる層になど)行うことができる。フィルタ層に材料を適用するステップは、1つまたは複数の基材に1つまたは複数の活性層を適用するステップを含むことができる。特定の例では、光触媒ナノ粒子を1つの基材に適用して反応層を形成することができ、活性炭ペレットをスクリム132(例えば、基材)に適用して吸着剤層を形成することができる。別の特定の例では、光触媒ナノ粒子および活性炭をそれぞれ基材に適用して、実質的に同じ層に反応層および吸着剤層を形成することができる。ただし、任意の適切な材料を任意の適切な層に適用することができる。
【0123】
[00136]ブロックS320は、材料(例えば、粒子状材料、コーティング、光触媒材料、光触媒ナノ粒子、活性炭、繊維など)を基材(例えば、布基材、他の任意の適切な材料のシート)に適用するための任意の適切な製造プロセスを利用して実行することができる。例えば、ブロックS320は、スプレーコーティング、プレスボンディングと組み合わせた静電コーティング、ディップコーティング、ドロップキャスティング、スピンコーティング、蒸発、指向性合成(例えば、基材上に材料を直接成長させる)、振とう、プレス、および/または任意の他の適切なプロセスを含むことができる。
【0124】
[00137]例えば、ブロックS320は、光触媒ナノ粒子をフィルタ層の布基材に適用するステップを含むことができる。別の例では、ブロックS320は、捕捉層の基材(例えば、スクリム132)に活性炭粒子を適用するステップを含むことができる。別の例では、ブロックS320は、帯電可能な(例えば、誘電体、金属などの)粒子を基材に適用するステップを含むことができる(例えば、フィルタ層の静電帯電を促進するため)。ブロックS320は、追加的または代替的に、導電性繊維を濾材の1つまたは複数の層と組み合わせるステップ(例えば、導電性繊維をフェルトに押し込む、導電性繊維を織布に織り込むなどによって)を含むことができる。
【0125】
[00138]追加的または代替的に、ブロックS320は、任意の他の適切な方法で任意の適切な材料をフィルタ層に適用するステップを含むことができる。
【0126】
[00139]ブロックS350は、複数のフィルタ層を組み合わせて濾材にするステップを含むことができる。ブロックS350は、(例えば、システム100に関して上述したような)様々な汚染物質除去メカニズムによって複数のタイプの汚染物質を除去できる濾材を作成するように機能し得る。ブロックS350は、ブロックS320の後に発生することが好ましいが、このブロックS350は、ブロックS320と同時に、および/またはその前に発生してもよい。ブロックS350は、好ましくは、指定された(例えば、所定の)順序(例えば、好ましい層の順序、好ましい層の向きなど)である層スタックを濾材中に形成するが、この層スタックは任意の順序で作成することができる。ブロックS350は、濾材を準備するために1回以上繰り返すことができる。特定の例では、ブロックS350を別々に繰り返して、濾材を1層ずつ構築することができる(例えば、3番目の層を追加する前に2つの層を組み合わせる)。別の特定の例では、ブロックS350は、3以上の層を同時に組み合わせるステップを含み得る。ただし、ブロックS350は、濾材を製造するために必要に応じて繰り返すことができる。
【0127】
[00140]ブロックS350は複数のフィルタ層を濾材へと組み合わせるステップであり、1つまたは複数の層を一緒に接着(例えば、無機結合剤、有機結合剤などを使用)、結合(例えば、共有結合、イオン結合、金属結合、ファンデルワールス結合など)、圧延、圧着、絡み合い、はんだ付け、織り、攪拌などするステップを含み得る。ブロックS350は、層を組み合わせるのに適用される1つまたは複数の技術の任意の適切な組み合わせを含むことができる。
【0128】
[00141]特定の例では、ブロックS350は、第1面の金属メッシュ(例えば、アルミニウム、鋼、他の適切な金属材料など)に隣接して布製の吸着剤層を配置し、第1面の反対側の第2面の金属メッシュに隣接して反応層(例えば、PECOプロセスを実行するための光触媒材料を含浸させたもの)を配置するステップを含む。この例では、ブロックS350は、3つの層(例えば、吸着剤層、金属メッシュ層、および反応層)を対向するローラを使用して一緒に押し、所定の横方向圧力を加えて、3つの層を濾材へと結合するステップを含む。
【0129】
[00142]別の特定の例では、ブロックS350は、反応層の同じ側に隣接する金属メッシュを備えた反応層の第1面に接着剤を配置するステップを含み得る。この例では、金属メッシュを接着剤と接触させることができる。接着剤を乾燥させて金属メッシュ(例えば、支持層)を反応層に結合させることができる。ただし、任意の適切なメカニズムを使用して層を組み合わせることができる。
【0130】
[00143]変形例では、ブロックS350は、繊維の絡み合いを介して、2以上の繊維層(例えば、収着および/または分解機能を実行するように機能化されたフェルト布層、粒子捕捉を実行するために静電的に帯電させられる帯電可能なフェルト布層など)を結合するステップを含むことができる。例えば、2つの繊維層を互いに隣接配置し、表面繊維がそれぞれの層のフェルトから解放されて隣接する繊維材料の表面繊維と絡み合うように揉み合うことができる。
【0131】
[00144]追加的または代替的に、ブロックS350は、濾材を形成するために任意の適切な方法で2つ以上の層を一緒に結合するステップを含むことができる。
【0132】
[00145]ブロックS370は、濾材に構造形態を与えるステップを含むことができる。ブロックS370は、濾材に所望の構造(例えば、形状、ジオメトリ、フォームファクタなど)を与えるように機能し得る。ブロックS370は、好ましくはブロックS350の後に発生するが、ブロックS370はブロックS350の前に発生してもよい。ブロックS370は、濾材を準備するために1回以上繰り返すことができる。特定の例では、ブロックS370は、ブロックS350の前に、濾材の層に対して別々に繰り返すことができる(例えば、層を組み合わせる前に、各層を個別にプリーツをつける)。別の特定の例では、ブロックS370は、一度に濾材全体に構造を与えるために(例えば、ブロックS350の後に)すでに結合された濾材を成形するステップを含むことができる。ただし、ブロックS370は、濾材を製造するために必要に応じて繰り返すことができる。
【0133】
[00146]ブロックS370は、フォームファクタを作成するステップ、および/または幅広面の構造(例えば、プリーツ、滑らか、折り畳み、畝、しわ、湾曲など)を作成するステップを含むことができる。ブロックS370は、折り畳み、曲げ、切断、粘着、接着、プレス、成型、および/または他の任意の適切なプロセスまたはプロセスの組み合わせを含むことができる。
【0134】
[00147]追加的または代替的に、ブロックS370は、濾材の層を成形するために任意の適切な方法で1つまたは複数の層を操作するステップを含むことができる。
【0135】
6. 具体例
[00148]第1の具体例(
図7C、
図13A、および
図13Bに示される例示的な例)では、多層フィルタ(例えば、濾材)は、直列的に、吸着剤層、粒子捕捉層、支持層、および反応層を含み得る。この例では、流体流の方向は、流体が最初に吸着剤層、次に粒子捕捉層、次に支持層、最後に光触媒層と相互作用するような方向である。この例では、吸着剤層は活性炭ペレットを含むことができ、粒子捕捉層はMERV評価16の布地であり、支持層は六角形の金属メッシュ(例えば、アルミニウム)であり、反応層は光触媒層(例えば、MERV評価9以上を満たす繊維状基材上に配置されたナノ粒子活性層)であることができる。この例では、濾材の各層は、隣接する層の間に分離距離を有し得る。光触媒層に隣接して光源を配置し、光触媒層を照明するように構成することができる。すべての層を同じフレーム内にまとめることができる。
【0136】
[00149]第2の具体例では、
図10に示すように、多層フィルタ(例えば、濾材)は、直列的に、吸着剤層、粒子捕捉層、支持層、一次反応層、および二次反応層を含むことができる。この例では、流体流の方向は、流体が最初に吸着剤層、次に粒子捕捉層、次に支持層、一次反応層、次に二次反応層と相互作用するような方向である。この例では、吸着剤層は、2つのスクリム層の間に配置された活性炭ペレットを含むことができ(例えば、スクリム層は黒色などの光学的に不透明であり得る)、粒子捕捉層はMERV評価16を有する布地であり、支持体層は六角形の金属メッシュ(例えば、鋼)であり、一次反応層は、光触媒層(例えば、MERV評価9以上を満たす繊維基材上に配置されたナノ粒子活性層)であり、二次反応層は水酸化バリウム溶液であり得る。
【0137】
[00150]第3の具体例では、多層フィルタ(例えば、濾材)は、直列的に、吸着剤層、粒子捕捉層、および反応層を含むことができる。この例では、流体流の方向は、流体が最初に吸着剤層、次に粒子捕捉層、最後に反応層と相互作用するような方向である。この例では、吸着剤層は活性炭ペレットを含むことができ、粒子捕捉層はMERV評価16の布地であり、反応層は光触媒層(例えば、MERV評価9を満たす基材上に配置された光触媒ナノ粒子)であり得る。この具体例では、光触媒層基材に金属ロッド(例えば、アルミニウム)を装填して、光触媒層の強度を高めることができる。金属ロッドは、好ましくは導電性(例えば、電気的に)であるが、ロッドは非導電性であってもよい。
【0138】
[00151]第4の具体例では、多層フィルタ(例えば、濾材)は、直列的に、吸着剤層、支持層、および反応層(
図7Aに示される例、任意の粒子捕捉層を有する)を含むことができる。この例では、流体流の方向は、流体が最初に吸着剤層、次に支持層、最後に反応層と相互作用するような方向である。この例では、吸着剤層は活性炭ペレットを含み、支持層は金属メッシュ(例えば、アルミニウム)であり、反応層は光触媒層(例えば、MERV評価12+を満たす基材上に配置された光触媒ナノ粒子)であり得る。
【0139】
[00152]第5の具体例では、多層フィルタ(例えば、濾材)は、直列的に、捕捉層、支持層、および反応層を含むことができる(
図7Bに示される例)。この例では、流体流の方向は、流体が最初に捕捉層、次に支持層、最後に反応層と相互作用するような方向である。この例では、捕捉層はMERV評価が12以上の布地であり、支持層はアルミニウムを含む六角形メッシュであり、反応層は光触媒層(例えば、基材上に配置された光触媒ナノ粒子)であり得る。光触媒層に隣接して光源を配置し、光触媒層を照射するように構成することができる。この具体例では、捕捉層は、好ましくは光放射を反射するように構成される(例えば、反射材料でできている、反射材料でコーティングされている、光の反射に適した多孔度を有するなど)。しかしながら、捕捉層は、任意の適切な光学特性を有することができる。
【0140】
[00153]第6の具体例では、多層フィルタ(例えば、濾材)は円筒形であり得る(
図5、
図11、
図14、および
図15に示される例)。濾材は、直列的に、吸着剤層、粒子捕捉層、支持層、および反応層を含むことができる。この例では、流体流の方向は半径方向内向きであり、流体は最初に吸着剤層、次に粒子捕捉層、次に支持層、最後に光触媒層と相互作用する。この例では、吸着剤層は活性炭ペレットを含むことができ、粒子捕捉層はMERV評価14以上を有する(および/またはダスト保持能力5g以上を有する)布地であり、支持層は六角形の金属メッシュ(例えば、アルミニウム)であり、反応層は光触媒層(例えば、MERV評価9を満たす繊維状基材上に配置されたナノ粒子活性層)であり得る。光触媒層に隣接して光源を配置し、光触媒層を照射するように構成することができる。すべての層を、同じフレームにまとめて保持することができ、フレームは、濾材の上部と下部に接続できる2つのサブフレームを有することができる。濾材は、流体経路を制御するように構成された、管腔およびインペラモジュール(例えば、ファン)を含む流体浄化ユニット内に設置することができる。汚染物質を含んだ空気が半径方向に濾材に入り、浄化された空気が軸方向に排出されるように流体経路を制御することができる。この例示的な例では、多層フィルタは、6インチの外径、3.8インチの内径、6.5インチの高さ、100mmあたり5つ以上のプリーツ、および/または75のプリーツのプリーツ密度を有することができる。ただし、この例は他の構成であってもよい。
【0141】
[00154]第7の具体例では、多層フィルタ(例えば、濾材)は、ボックス型にすることができる(例えば、
図4に示す)。この濾材は、直列的に、吸着剤層、粒子捕捉層、支持層、および反応層を含むことができる。この例では、流体流の方向は、ボックスの幅広面に実質的に垂直であり、流体は最初に吸着剤層、次に粒子捕捉層、次に支持層、最後に光触媒層と相互作用する。この例では、吸着剤層は活性炭ペレットを含むことができ、粒子捕捉層はMERV評価12以上の布地であり、支持層は六角形の金属メッシュ(例えば、アルミニウム)であり、反応層は光触媒層(例えば、MERV評価9を満たす繊維状基材上に配置されたナノ粒子活性層)であり得る。光触媒層に隣接して光源を配置し、光触媒層を照射するように構成することができる。すべての層を同じフレームにまとめることができ、このフレームは濾材の縁部を囲でもよい。濾材は、流体経路を制御するように構成された、管腔およびインペラモジュール(例えば、ファン)を含む流体浄化ユニット内に設置することができる。汚染物質を含んだ空気が一方の側から濾材に入り、浄化された空気が反対側から排出されるように、流体経路を制御することができる。
【0142】
[00155]第8の具体例では、流体を浄化する方法は、流体流から汚染物質のサブセットを吸着させるステップと、流体流から汚染物質の第2のサブセットを捕捉するステップと、流体流中の汚染物質を分解するステップとを含み得る。汚染物質のサブセットを吸着させるステップは、好ましくは、一度に分解される汚染物質(例えば、VOC、無機物などの分子汚染物質)の速度および量を緩衝し、好ましくは活性炭層(例えば、吸着層)で生じる。汚染物質の第2のサブセットを捕捉するステップは、好ましくは汚染物質のサイズ(例えば、0.3μmより大きい、および/または任意の適切なサイズ)に基づいて汚染物質を捕捉するように機能し、好ましくは粒子捕捉層(例えば、MERV評価が12より大きい)で生じる。汚染物質を分解するステップは、好ましくは光触媒層を照射し、反応性ラジカルを生成し、ラジカルと汚染物質とを反応させることを含み、好ましくは光触媒層で生じる。この具体例は、副生成物の外部環境への放出を防ぐために反応副生成物を捕捉するステップを任意選択で含むことができ、これは好ましくは吸着層または反応層で生じる。ただし、任意の適切なプロセスを含めることができ、すべてのプロセスは任意の適切な層および/またはフィルタで発生することができる。
【0143】
[00156]システムおよび/または方法の実施形態は、様々なシステム構成要素および様々な方法プロセスのすべての組み合わせおよび順列を含むことができ、本明細書に記載の方法および/またはプロセスの1つまたは複数の事象は、本明細書に記載のシステム、要素、および/またはエンティティの1つまたは複数によって、非同期的に(例えば、順次に)、同時的に(例えば、並行して)、および/または他の任意の適切な順序で実行され得る。
【0144】
[00157]当業者は、前述の詳細な説明および図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正および変更を加えることができることを理解するであろう。