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特許7228045ナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラム
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  • 特許-ナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】ナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/017 20060101AFI20230215BHJP
   G06F 18/2135 20230101ALI20230215BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230215BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
G08G1/017
G06F18/2135
G06T7/00 300F
G06T7/00 350B
G06T7/00 650Z
G08G1/04 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021534858
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2019028481
(87)【国際公開番号】W WO2021014498
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 健太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 利恵
【審査官】山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138674(JP,A)
【文献】特開2009-151586(JP,A)
【文献】特開2003-208645(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099664(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/017、1/04
G06F 18/00-18/40
G06T 7/00- 7/90
G06V 30/00-30/424
G07B 15/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンバープレート画像を取得する画像取得部と、
前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出する特徴点抽出部と、
複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセットを参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算する類似度演算部と、
前記学習データセットに記録されている各特徴点の前記類似度を、当該学習データセットに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算する得票値演算部と、
前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定する特定部と、
を備えるナンバープレート情報特定装置。
【請求項2】
前記特定部は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、オペレータから、前記ナンバープレート画像に示されるナンバープレート情報の入力を受け付ける
請求項1に記載のナンバープレート情報特定装置。
【請求項3】
前記特定部は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、前記得票値が最も高いナンバープレート情報と前記ナンバープレート画像とをオペレータに通知するとともに、当該オペレータから、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定してよいか否かの判断結果を示す情報の入力を受け付ける
請求項1又は請求項2に記載のナンバープレート情報特定装置。
【請求項4】
前記オペレータからの入力に基づいて特定されたナンバープレート情報と、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点とを関連付けて、前記学習データセットに追加記録する学習部を更に備える
請求項2又は請求項3に記載のナンバープレート情報特定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のナンバープレート情報特定装置と、
車両に付された情報記録媒体から課金対象とする利用者を識別するための利用者識別情報と、当該情報記録媒体に記録されたナンバープレート情報とを読み取るリーダ装置と、
カメラを通じて取得したナンバープレート画像に対しOCR処理を行い、当該ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出するナンバープレート認識装置と、
を備え、
前記ナンバープレート認識装置は、
前記ナンバープレート画像に対するOCR処理に失敗した場合に、前記ナンバープレート画像を前記ナンバープレート情報特定装置に送信し、
前記ナンバープレート情報特定装置は、
前記ナンバープレート認識装置から受信した前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報を特定し、当該特定したナンバープレート情報を前記ナンバープレート認識装置に送信し、
前記ナンバープレート認識装置は、
前記OCR処理により前記ナンバープレート画像から抽出したナンバープレート情報と前記記録媒体に記録されたナンバープレート情報とが一致した場合、または、前記ナンバープレート情報特定装置によって特定されたナンバープレート情報と前記記録媒体に記録されたナンバープレート情報とが一致した場合に、課金処理を行う、
課金システム。
【請求項6】
前記ナンバープレート認識装置は、
前記OCR処理の結果、前記ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出できなかった場合に、当該ナンバープレート画像を前記ナンバープレート情報特定装置に送信する
請求項5に記載の課金システム。
【請求項7】
前記ナンバープレート認識装置は、
前記OCR処理により前記ナンバープレート画像から抽出した第1のナンバープレート情報と、前記情報記録媒体から読み取った第2のナンバープレート情報とが一致しない場合に、前記ナンバープレート画像を前記ナンバープレート情報特定装置に送信する
請求項5又は請求項6に記載の課金システム。
【請求項8】
ナンバープレート情報特定装置が、ナンバープレート画像を取得するステップと、
前記ナンバープレート情報特定装置が、前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出するステップと、
前記ナンバープレート情報特定装置が、複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセットを参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算するステップと、
前記ナンバープレート情報特定装置が、前記学習データセットに記録されている各特徴点の前記類似度を、当該学習データセットに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算するステップと、
前記ナンバープレート情報特定装置が、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定するステップと、
を有するナンバープレート情報特定方法。
【請求項9】
ナンバープレート情報特定装置のコンピュータに、
ナンバープレート画像を取得するステップと、
前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出するステップと、
複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセットを参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算するステップと、
前記学習データセットに記録されている各特徴点の前記類似度を、当該学習データセットに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算するステップと、
前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路における料金所では、車線に設置されたRFIDのリーダ装置と、車線を走行する車両に付されたRFIDタグとの間で無線通信による情報のやり取りを行い、料金を収受する料金収受システムが利用されている場合がある。また、上記のような料金所では、RFIDタグが付されていない不正車両の発見及び特定のため、走行する車両のナンバープレート情報(車両ナンバー等)を自動的に認識して取得するナンバープレート認識装置が設置されている場合がある。
【0003】
ナンバープレート認識装置は、走行する車両の車体に付されているナンバープレートを撮影し、OCR(Optical Character Recognition)処理を施す。ナンバープレート認識装置は、このOCR処理により、撮影されたナンバープレートから、ナンバープレート情報を文字列データとして抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-222726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ナンバープレートに傷や凹みがあったり、飾りなどをつけていたりしているため、OCR処理によりナンバープレート情報を正しく認識できない場合がある。また、ナンバープレートに様々な書体(フォント)を用いることが認められている場合もあり、中にはOCR処理による文字列の認識を失敗しやすい書体が用いられていることもある。このような事情により、有料道路を利用する車両に付されているナンバープレートのうちいくつかのナンバープレートに対しては、OCR処理に失敗する場合がある。
【0006】
本発明の課題は、ナンバープレートの自動認識精度を高めることが可能なナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ナンバープレート情報特定装置(2)は、ナンバープレート画像を取得する画像取得部(200)と、前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出する特徴点抽出部(202)と、複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセット(DS)を参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算する類似度演算部(203)と、前記学習データセットに記録されている各特徴点の前記類似度を、当該学習データセットに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算する得票値演算部(204)と、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定する特定部(205)と、を備える。
このような構成によれば、ナンバープレート情報特定装置は、ナンバープレート画像に対応するナンバープレート情報を、ナンバープレート画像から抽出された特徴点どうしの類似度を集約した結果(得票値)に基づいて特定することができる。ここで、ナンバープレート画像から抽出される特徴点には、ナンバープレートに刻印された文字列(ナンバープレート情報)だけでなく、ナンバープレートの傷、凹み、飾り、特殊な書体に現れる特徴も加味して抽出されるので、OCR処理が困難な、変形したナンバープレートやフリーフォントのナンバープレートに対しても、正しいナンバープレート情報を特定することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様によれば、前記特定部は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、オペレータから、前記ナンバープレート画像に示されるナンバープレート情報の入力を受け付ける。
このようにすることで、特徴点の対比に基づくナンバープレート情報の特定精度が低いことが想定される場合には、ナンバープレート情報特定装置のみの判断でナンバープレート情報を特定するのではなく、オペレータの目視判断に基づいてナンバープレート情報が特定される。したがって、ナンバープレート情報の特定精度を高めることができる。
【0009】
また、本発明の第3の態様によれば、前記特定部は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、前記得票値が最も高いナンバープレート情報と前記ナンバープレート画像とをオペレータに通知するとともに、当該オペレータから、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定してよいか否かの判断結果を示す情報の入力を受け付ける。
このように、得票値が高いナンバープレート情報の候補を通知することで、オペレータによるナンバープレート情報入力処理の手間を軽減することができる。
【0010】
また、本発明の第4の態様によれば、上述のナンバープレート情報特定装置は、前記オペレータからの入力に基づいて特定されたナンバープレート情報と、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点とを関連付けて、前記学習データセットに追加記録する学習部(206)を更に備える。
このようにすることで、有料道路の運用に伴い、取得されたナンバープレート画像と、オペレータの目視判断によって特定されたナンバープレート情報との関係が学習データセットに蓄積される。したがって、特徴点の対比に基づく特定精度を、運用中に向上させることができる。
【0011】
また、本発明の第5の態様によれば、課金システム(1)は、上述のナンバープレート情報特定装置と、車両に付された情報記録媒体から課金対象とする利用者を識別するための利用者識別情報を読み取るリーダ装置(32)と、カメラ(33)を通じて取得したナンバープレート画像に対しOCR処理を行い、当該ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出するナンバープレート認識装置(30)と、を備える。
このようにすることで、課金システム1は、リーダ装置による課金処理を行う際に、ナンバープレート情報特定装置2によるナンバープレートの特定処理だけでなく、通常のOCR処理に基づいてナンバープレート情報を抽出することができる。
【0012】
また、本発明の第6の態様によれば、前記ナンバープレート認識装置は、前記OCR処理の結果、前記ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出できなかった場合に、当該ナンバープレート画像を前記ナンバープレート情報特定装置に送信する。
このようにすることで、OCR処理によってナンバープレート情報を抽出できたナンバープレート画像は、ナンバープレート情報特定装置によるナンバープレート情報の特定処理の対象とはならない。したがって、ナンバープレート情報特定装置2の処理負荷を軽減することができる。
【0013】
また、本発明の第7の態様によれば、前記ナンバープレート認識装置は、前記OCR処理により前記ナンバープレート画像から抽出した第1のナンバープレート情報と、前記情報記録媒体から読み取った第2のナンバープレート情報とが一致しない場合に、前記ナンバープレート画像を前記ナンバープレート情報特定装置に送信する。
このようにすることで、OCR処理の結果が、情報記録媒体に記録されているナンバープレート情報と一致しなかったナンバープレート画像も、ナンバープレート情報特定装置によるナンバープレート情報の特定処理の対象となる。したがって、OCR処理が誤っている蓋然性が高いナンバープレート画像についても、ナンバープレート情報特定装置を通じて、正しいナンバープレート情報を得ることができる。
【0014】
また、本発明の第8の態様によれば、ナンバープレート情報特定方法は、ナンバープレート画像を取得するステップと、前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出するステップと、複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセットを参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算するステップと、前記類似度に基づいて、前記学習データセットに記録されている各ナンバープレート情報の得票値を演算するステップと、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定するステップと、を有する。
【0015】
また、本発明の第9の態様によれば、プログラムは、ナンバープレート情報特定装置のコンピュータに、ナンバープレート画像を取得するステップと、前記ナンバープレート画像の特徴点を抽出するステップと、複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている学習データセットを参照し、前記ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する前記学習データセットに記録されている各特徴点の類似度を演算するステップと、前記類似度に基づいて、前記学習データセットに記録されている各ナンバープレート情報の得票値を演算するステップと、前記得票値が最も高いナンバープレート情報を、前記ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
上述のナンバープレート情報特定装置、課金システム、ナンバープレート情報特定方法及びプログラムによれば、ナンバープレートの自動認識精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る課金システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る課金システムの機能構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るナンバープレート認識装置の処理フローを示す図である。
図4】第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置の処理フローを示す図である。
図5】第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置の処理の具体的な内容を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係る学習データセットのデータ構造を示す図である。
図7】第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置の処理の具体的な内容を説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置のモニタに表示される画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、図1図8を参照しながら、第1の実施形態に係る課金システムについて詳細に説明する。
【0019】
(課金システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る課金システムの全体構成を示す図である。
図1に示す課金システム1は、有料道路を利用する利用者から利用料金を収受するために、当該有料道路の料金所に設置されるシステムである。
図1に示すように、課金システム1の路側装置3は、有料道路の料金所(入口料金所又は出口料金所)の車線Lの路側に敷設されたアイランドIに設置されている。また、ナンバープレート情報特定装置2は、路側装置3から離れた位置に設置され、路側装置3と通信可能に接続されている。なお、図示を省略しているが、ナンバープレート情報特定装置2は、他の車線及び他の料金所にそれぞれ設置された複数の路側装置とも通信可能に接続されている。
【0020】
図1に示すように、課金システム1の路側装置3は、ナンバープレート認識装置30と、車両検知器31と、リーダ装置32と、カメラ33とを備えている。
【0021】
車両検知器31は、車線Lの車両進入側に設けられ、車両Aの車線Lへの進入を検知する。
【0022】
リーダ装置32は、車両Aが車線Lに進入した際(車両検知器31から検知信号を受信した際)に、車両Aに付されたRFIDタグ(情報記録媒体)であるタグTGと無線通信を行い、課金処理に必要な情報を取得する。ここで、課金処理に必要な情報とは、課金対象とする利用者を識別するための利用者識別情報(タグID)である。課金システム1では、ここで読み取られた利用者識別情報が課金処理用の上位装置に送信され、利用者に対して課金が行われる。
なお、後述するように、タグTGには、利用者識別情報の他、車両Aのナンバープレート情報(車両番号)や車種区分(普通、大型など)なども記録されている。
【0023】
カメラ33は、車両Aが車線Lに進入した際に撮影を行い、車両Aの車体前方に付されたナンバープレートNPを含む画像を取得する。カメラ33の撮影により取得された画像(以下、「ナンバープレート画像」とも記載する。)は、直ちにナンバープレート認識装置30に送信される。
【0024】
ナンバープレート認識装置30は、カメラ33によって取得されたナンバープレート画像に対しOCR処理を施し、当該ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出する。ナンバープレート情報とは、ナンバープレートの板面に表記されている、数字や記号からなる文字列の情報であって、例えば、分類番号や車両番号(一連指定番号)などである。
ナンバープレート認識装置30は、OCR処理に失敗した場合には、当該OCR処理に失敗したナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信する。
「OCR処理に失敗した場合」の態様の一つとしては、OCR処理の結果、何等の文字列データも抽出できなかった場合である。この場合、ナンバープレート認識装置30は、ナンバープレート画像から文字列データを抽出できなかったことをもって“OCR処理の失敗”と認識する。
「OCR処理に失敗した場合」の他の態様としては、OCR処理によって文字列データを誤って抽出した場合である。この場合、ナンバープレート認識装置30は、抽出した文字列データだけでは“失敗”と認識することはできない。そこで、ナンバープレート認識装置30は、リーダ装置32を介してタグTGから読み取ったナンバープレート情報(車両番号)と、OCR処理を介してナンバープレート画像から抽出したナンバープレート情報とを比較する。そして、ナンバープレート認識装置30は、2つのナンバープレート情報が一致していなかった場合、OCR処理に失敗したものとみなす。
なお、OCR処理を介してナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出でき、かつ、当該抽出したナンバープレート情報がリーダ装置32を介してタグTGから読み取ったナンバープレート情報と一致していた場合には、通常の課金処理がなされる。したがって、この場合には、ナンバープレート認識装置30は、ナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信しない。
【0025】
ナンバープレート情報特定装置2は、路側装置3(ナンバープレート認識装置30)においてOCR処理に失敗したナンバープレート画像を受信する。そして、ナンバープレート情報特定装置2は、当該ナンバープレート画像について正しいナンバープレート情報を特定し、その特定結果をナンバープレート認識装置30に返す。ナンバープレート情報特定装置2の具体的な機能及び処理フローについては後述する。
【0026】
(課金システムの機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る課金システムの機能構成を示す図である。
図2に示すように、ナンバープレート情報特定装置2は、CPU20と、通信インタフェース21と、モニタ22と、記録媒体23とを備えている。
CPU20は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、各種機能を発揮する。CPU20の機能については後述する。
【0027】
通信インタフェース21は、路側装置3(ナンバープレート認識装置30)との通信用の接続インタフェースである。
【0028】
モニタ22は、液晶ディスプレイモニタ等の表示装置である。
【0029】
記録媒体23は、いわゆる補助記憶装置であって、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記録装置である。記録媒体23には、ナンバープレート情報を特定するために用いる学習データセットDSが記録されている。学習データセットDSには、複数の特徴点と複数のナンバープレート情報とが関連付けられて記録されている。学習データセットDSの具体的なデータ構造については後述する。
【0030】
CPU20の機能について詳しく説明する。
CPU20は、画像取得部200、プレート判定部201、特徴点抽出部202、類似度演算部203、得票値演算部204、特定部205、学習部206としての機能を有する。
【0031】
画像取得部200は、ナンバープレート認識装置30からナンバープレート画像を受信して取得する。
【0032】
プレート判定部201は、画像取得部200によって取得されたナンバープレート画像にナンバープレートが写されているか否かを判定する。
【0033】
特徴点抽出部202は、画像取得部200によって取得されたナンバープレート画像の特徴点を抽出する。
【0034】
類似度演算部203は、学習データセットDSを参照し、ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する学習データセットDSに記録されている各特徴点の類似度(ハミング距離)を演算する。
【0035】
得票値演算部204は、類似度演算部203によって算出された各特徴点の類似度を、学習データセットDSに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算する。「得票値」の具体的態様については後述する。
【0036】
特定部205は、得票値演算部204によって算出された得票値が最も高いナンバープレート情報を、画像取得部200によって取得されたナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定する。
【0037】
学習部206は、ナンバープレート情報特定装置2のオペレータからの入力に基づいて特定されたナンバープレート情報と、画像取得部200によって取得されたナンバープレート画像から抽出された特徴点とを関連付けて、学習データセットに追加記録する。
【0038】
(ナンバープレート認識装置の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係るナンバープレート認識装置の処理フローを示す図である。
図3に示す処理フローは、車両検知器31によって車両A(図1)の進入検知があった場合に、路側装置3のナンバープレート認識装置30によって実行される。
【0039】
ナンバープレート認識装置30は、車両Aの進入があった場合に、リーダ装置32によるタグTGの読み取り、及び、カメラ33による車両Aの撮影を行う(ステップS00)。
【0040】
次に、ナンバープレート認識装置30は、カメラ33によって取得された全体画像(車両Aの全体が写された画像)から、ナンバープレートNP(図1)が写されている小領域を切り出してナンバープレート画像を生成する。ナンバープレート認識装置30は、生成したナンバープレート画像に対しOCR処理を施す(ステップS01)。
【0041】
次に、ナンバープレート認識装置30は、ステップS01で行ったOCR処理の結果、文字列データを抽出できたか否かを判定する(ステップS02)。
【0042】
OCR処理の結果、文字列データを抽出できた場合(ステップS02;YES)、次に、ナンバープレート認識装置30は、OCR処理によって抽出した文字列データと、タグTGから読み取ったナンバープレート情報(文字列データ)とが一致するか否かを判定する(ステップS03)。
【0043】
OCR処理によって抽出した文字列データが、タグTGから読み取ったナンバープレート情報と一致する場合(ステップS03;YES)、ナンバープレート認識装置30は、ナンバープレート情報の取得に成功したものとみなし、通常の課金処理(利用者識別情報の送信)を実行する(ステップS04)。
【0044】
OCR処理の結果、文字列データを抽出できなかった場合(ステップS02;NO)、又は、OCR処理によって抽出した文字列データが、タグTGから読み取ったナンバープレート情報と一致しなかった場合(ステップS03;NO)、ナンバープレート認識装置30は、ステップS01で生成したナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信する(ステップS05)。
【0045】
(ナンバープレート情報特定装置の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置の処理フローを示す図である。
図5図7は、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置の処理の具体的な内容を説明するための図である。
図6は、第1の実施形態に係る学習データセットのデータ構造を示す図である。
図8は、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置のモニタに表示される画像の例である。
以下、図4図8を参照しながら、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2が実行する処理の流れについて詳しく説明する。
【0046】
図4に示すように、まず、ナンバープレート情報特定装置2の画像取得部200は、ナンバープレート認識装置30からナンバープレート画像を受信して取得する(ステップS10)。
【0047】
次に、ナンバープレート情報特定装置2のプレート判定部201は、ステップS10で取得したナンバープレート画像にナンバープレートNPが写されているか否かを判定する(ステップS11)。これは、ナンバープレート認識装置30が、全体画像から、ナンバープレートNPが写っている領域の切り出しに失敗し、ナンバープレートNPが写っていない画像を生成する場合があるため、これを排除する目的で実行される。
【0048】
ステップS10で取得したナンバープレート画像にナンバープレートNPが写っていない場合(ステップS11;NO)、プレート判定部201は、特段の処理を行うことなく、受信したナンバープレート画像についての処理フローを終了する。なお、この場合、ナンバープレート情報特定装置2は、受信したナンバープレート画像にナンバープレートNPが写っていなかったことを示す情報をナンバープレート認識装置30に返してもよい。
【0049】
ステップS10で取得したナンバープレート画像にナンバープレートNPが写っていた場合(ステップS11;YES)、次に、ナンバープレート情報特定装置2の特徴点抽出部202は、取得されたナンバープレート画像から特徴点を抽出する(ステップS12)。
【0050】
ここで、ステップS12の特徴点抽出処理について、図5を参照しながら説明する。
【0051】
特徴点抽出部202は、取得したナンバープレート画像から、その画像の特徴を示す特徴点を複数抽出する。画像としての特徴が際立って表れている箇所(点)であり、例えば、ナンバープレート画像のうち、エッジの形状、曲線の終点、曲率が極大である曲線上の点などが特徴点として抽出される。
図5に示すように、1つの特徴点は、複数次元のベクトル量(182、155、101、・・)で表現される。特徴点抽出部202は、1つのナンバープレート画像から、例えば、200点前後の特徴点を抽出する(ステップS12)。
【0052】
次に、ナンバープレート情報特定装置2の類似度演算部203は、学習データセットDS(図2)を参照して、ステップS12で抽出された特徴点に対する、学習データセットDSに記録されている各特徴点の類似度を演算する(ステップS13)。
更に、ナンバープレート情報特定装置2の得票値演算部204は、類似度演算部203によって算出された各特徴点の類似度に基づいて、学習データセットDSに記録されている各ナンバープレート情報の得票値を演算する(ステップS14)。ここで、「得票値」とは、学習データセットDSに記録されている各特徴点の類似度を、当該学習データセットDSに記録されているナンバープレート情報ごとに集計して得られる値である。本実施形態においては、「得票値」とは、ハミング距離の逆数の合計値である。
【0053】
ここで、類似度演算部203によるステップS13の処理、及び、得票値演算部204によるステップS14の処理を説明する前に、学習データセットDSのデータ構造について、図6を参照しながら詳しく説明する。
【0054】
図6に示すように、記録媒体23に記録されている学習データセットDSは、これまでに蓄積された特徴点を示すデータテーブルDS1と、各特徴点に関連付けられる車両ナンバーが記録されたデータテーブルDS2とを有している。
【0055】
具体的には、データテーブルDS1には、オブジェクトIDと、特徴点を示すベクトル量とが関連付けられて記録されている。「オブジェクトID」とは、各特徴点に割り振られた通し番号である。
【0056】
データテーブルDS2には、画像ファイル名と、車両ナンバーと、オブジェクトID(from)と、オブジェクトID(to)とが関連付けられて記録されている。「画像ファイル名」とは、各特徴点の抽出元となったナンバープレート画像を識別する情報である。「車両ナンバー」とは、「画像ファイル名」で指定されるナンバープレート画像に写されているナンバープレートの情報(車両ナンバー)である。データテーブルDS2に記録されている「車両ナンバー」は、オペレータがナンバープレート画像を目視判断した結果に基づいて決定されたものであり、当該ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報の真値として扱うことができる。「オブジェクトID(from)」及び「オブジェクトID(to)」は、データテーブルDS1の参照先を示す情報であって、「画像ファイル名」で指定されるナンバープレート画像から抽出された特徴点を示している。
【0057】
例えば、図6に示す例の場合、“aaa.jpg”で指定されるナンバープレート画像からは、オブジェクトID“00001”~“00200”で指定される200点の特徴点が抽出されたことを示している。同様に、“bbb.jpg”で指定されるナンバープレート画像、及び、“ccc.jpg”で指定されるナンバープレート画像からは、それぞれ、オブジェクトID“00201”~“00400”、オブジェクトID“00401”~“00600”で指定される特徴点が抽出されたことを示している。
また、上述の3つのナンバープレート画像“aaa.jpg”、“bbb.jpg”及び“ccc.jpg”は、いずれも、“ABC123”なるナンバープレート情報(車両ナンバー)が撮影されたナンバープレート画像である。したがって、図6に示す学習データセットDSによれば、オブジェクトID“00001”~“00600”の特徴点は、全て“ABC123”なるナンバープレート情報に関連付けられている。
なお、これらのナンバープレート画像“aaa.jpg”、“bbb.jpg”、・・・、ナンバープレート情報(車両ナンバーの真値)、及び、当該ナンバープレート画像から抽出された特徴点は、後述する学習部206の処理により、有料道路に設けられた複数の料金所の運用に伴い、逐次、学習データセットDSに蓄積される。即ち、学習データセットDSは、有料道路の各料金所及び各車線Lに設置された複数のナンバープレート認識装置30から受信するナンバープレート画像が蓄積されてなる。
【0058】
次に、図7を参照しながら、類似度演算部203によるステップS13の処理、及び、得票値演算部204によるステップS14の処理について詳しく説明する。
【0059】
ステップS13の処理において、類似度演算部203は、まず、ナンバープレート画像から抽出された複数の特徴点のうちの一つ(例えば、第1特徴点(図5))と、学習データセットDS(データテーブルDS1)に記録されている全ての特徴点とのハミング距離を演算する。ハミング距離とは、多次元のベクトル値で表される特徴量どうしの距離を示すものであり、ハミング距離が小さいほど類似しているといえる。類似度演算部203は、第1特徴点に対してハミング距離が小さい特徴点を複数個(例えば、上位20個)抽出する(図7、ステップS13参照)。
類似度演算部203は、ナンバープレート画像から抽出された他の特徴点(第2特徴点、第3特徴点、・・、第200特徴点)のそれぞれに対しても、同様に、学習データセットDSから、ハミング距離が小さい特徴点を複数個(例えば、上位20個)抽出する(図7、ステップS13参照)。
【0060】
次に、得票値演算部204は、ナンバープレート画像から抽出された各特徴点(第1特徴点、第2特徴点、・・、第200特徴点)のそれぞれについて類似度が高いものとして特定された特徴点、及び、そのハミング距離を用いて、各ナンバープレート情報の得票値を演算する。
具体的には、得票値演算部204は、ステップS13で特定された複数の特徴点のうち、データテーブルDS2において各特徴点に関連付けられたナンバープレート情報が同一のものを抽出する。そして、得票値演算部204は、同一のナンバープレート情報に関連付けられた各特徴点のハミング距離の逆数を積算する。
例えば、図7に示す例によれば、ステップS13で特定された複数の特徴点のうち、“ABC123”なるナンバープレート情報(車両ナンバー)に関連付けられているものは、オブジェクトID“00425”、“00110”、“00247”の3つである。そこで、得票値演算部204は、“ABC123”なるナンバープレート情報について、上記3つの特徴点のハミング距離の逆数の和を算出する。この場合、オブジェクトID“00425”で示される特徴点のハミング距離は“15”であり、オブジェクトID“00110”で示される特徴点のハミング距離は“8”であり、オブジェクトID“00247”で示される特徴点のハミング距離は“24”であるから、得票値演算部204は、“ABC123”なるナンバープレート情報の得票値を、1/15+1/8+1/24=0.23として算出する。
同様に、図7に示す例によれば、得票値演算部204は、オブジェクトID“02023”の特徴点のハミング距離“7”を用いて、“DEF456”なるナンバープレート情報の得票値を1/7=0.14と演算する。また、得票値演算部204は、オブジェクトID“10194”の特徴点のハミング距離“147”、及び、オブジェクトID“10493”の特徴点のハミング距離“36”を用いて、“GHI789”なるナンバープレート情報の得票値を、1/147+1/36=0.03と演算する。
【0061】
次に、ナンバープレート情報特定装置2の特定部205は、得票値演算部204によって算出された各ナンバープレート情報の得票値に基づいて、ステップS10で受信したナンバープレート画像に表示されているナンバープレート情報(車両ナンバー)を特定する。この処理において、特定部205は、まず、ステップS14で算出された得票値のうち、最も高い得票値(最高得票値)が所定の判定閾値を上回っているか否かを判定する(ステップS15)。
【0062】
最高得票値が判定閾値を上回っている場合(ステップS15;YES)、最高得票値となったナンバープレート情報が、ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情である可能性が高いと判断できる。したがって、この場合、特定部205は、直ちに、ナンバープレート情報最高得票値となったナンバープレート情報を、ナンバープレート画像に表示されているナンバープレート情報として特定する(ステップS16)。この場合、オペレータによる入力操作を要することなく、ナンバープレート情報特定装置2によって自動的にナンバープレート情報が特定される。
【0063】
他方、最高得票値が判定閾値以下であった場合(ステップS15;NO)、最高得票値となったナンバープレート情報が、ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報であるとは言い切れないと判断される。そこで、特定部205は、高い得票値を得たいくつかのナンバープレート情報(例えば、得票値上位3つのナンバープレート情報)を、ナンバープレート画像に表示されているナンバープレート情報の候補として、モニタ22に表示して通知する(ステップS17)。
次に、特定部205は、オペレータからの入力を受け付ける(ステップS18)。オペレータからの入力とは、モニタ22に表示した候補のうちの一つを指定するもの、又は、オペレータの直接入力によって指定されたナンバープレート情報である。
次に、特定部205は、オペレータの入力によって指定されたナンバープレート情報を、ナンバープレート画像に表示されているナンバープレート情報として特定する(ステップS19)。
【0064】
以上のステップS17~ステップS19の処理について、図8を参照しながら詳しく説明する。
図8は、車両Aの進入時に、ナンバープレート情報特定装置2のモニタ22に表示される表示画面Dの例を示している。図8に示すように、表示画面Dの「ターゲット情報」の欄には、進入してきた車両Aの全体画像(カメラ画像)、及び、当該全体画像から切り出されたナンバープレート画像が表示される。また、表示画面Dの「詳細情報」の欄には、車両Aの進入が検知された年月日、時刻、料金所等を示す情報の他、タグTGから読み取られた車種区分、ナンバープレート情報、及び、OCR処理によって認識された文字列データ(ナンバープレート情報)が表示される。なお、図8に示す例では、OCR処理によって文字列データが認識できなかったため、「OCR」の欄は空欄となっている。
【0065】
更に、図8に示すように、表示画面Dの「候補」の欄には、特定部205によるステップS17の処理により、得票値が上位となった3つのナンバープレート情報の候補が表示される。オペレータは、「ターゲット情報」の欄に表示されたナンバープレート画像を目視して、3つのナンバープレート情報の候補のうち正しい文字列データを選択して指定する入力操作を行う。オペレータによる入力操作は、マウスを用いたクリック操作、タッチパネルへのタッチ操作等であってよい。
また、3つのナンバープレート情報の候補に正しいものがない場合などにおいては、オペレータは、「直接入力」の欄に設けられた入力フォームに、目視で確認した、正しいナンバープレート情報を直接入力してもよい。
【0066】
図4に戻り、特定部205がステップS17~ステップS19の処理を行った後、ナンバープレート情報特定装置2の学習部206は、ステップS18でオペレータの入力によって指定されたナンバープレート情報と、ステップS10で受信したナンバープレート画像から抽出された特徴点とを関連付けて学習データセットDSに追加記録する(ステップS20)。これにより、学習データセットDSに新たな学習結果が追加される。
【0067】
(作用、効果)
以上の通り、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2は、ナンバープレート画像を取得する画像取得部200と、ナンバープレート画像の特徴点を抽出する特徴点抽出部202と、事前に用意された学習データセットDSを参照し、ナンバープレート画像から抽出された特徴点に対する学習データセットDSに記録されている各特徴点の類似度を演算する類似度演算部203と、類似度に基づいて、学習データセットDSに記録されている各ナンバープレート情報の得票値を演算する得票値演算部204と、得票値が最も高いナンバープレート情報を、ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定する特定部205とを備える。
このような構成によれば、ナンバープレート情報特定装置2は、ナンバープレート画像に対応するナンバープレート情報を、ナンバープレート画像から抽出された特徴点どうしの対比によって特定することができる。ここで、ナンバープレート画像から抽出される特徴点には、ナンバープレートに刻印された文字列(ナンバープレート情報)だけでなく、ナンバープレートの傷、凹み、飾り、特殊な書体に現れる特徴も全て加味して抽出されるので、OCR処理が困難な、変形したナンバープレートやフリーフォントのナンバープレートに対しても、正しいナンバープレート情報を特定することができる。
【0068】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2によれば、特定部205は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、オペレータから、ナンバープレート画像に示されるナンバープレート情報の入力(入力フォームへの直接入力)を受け付ける(図4のステップS18、図8参照)。
このようにすることで、特徴点の対比に基づくナンバープレート情報の特定精度が低いことが想定される場合には、自動的にナンバープレート情報を特定するのではなく、オペレータの目視判断に基づいてナンバープレート情報が特定される。したがって、ナンバープレート情報の特定精度を高めることができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2によれば、特定部205は、最も高い得票値が所定の閾値以下であった場合に、得票値が上位のナンバープレート情報と、画像取得部200によって取得されたナンバープレート画像とをオペレータに、対比可能に通知(表示)する(図8参照)。そして、特定部205は、オペレータから、得票値が最も高いナンバープレート情報を、ナンバープレート画像に表示されるナンバープレート情報として特定してよいか否かの判断結果を示す情報の入力を受け付ける(図4のステップS18、図8参照)。
このように、得票値が高いナンバープレート情報の候補を選択可能に表示することで、オペレータの入力処理の手間を軽減することができる。
【0070】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2によれば、オペレータからの入力に基づいて特定されたナンバープレート情報と、ナンバープレート画像から抽出された特徴点とを関連付けて、学習データセットDSに追加記録する学習部206を更に備える。
このようにすることで、有料道路の運用に伴い、OCR処理に失敗したナンバープレート画像と、オペレータの目視判断によって特定されたナンバープレート情報との関係が蓄積される。したがって、特徴点の対比に基づく特定精度を、運用中に向上させることができる。
また、学習部206によれば、学習データセットDSに追加記録されるのは、得票値が低かった(判定閾値以下となった)ためにオペレータに目視判断されたナンバープレート画像、及び、そのナンバープレート情報のみである。即ち、高い得票値を得られたナンバープレート画像及びナンバープレート情報の対については、既に高い特定精度を得られているため、これ以上学習させることに大きなメリットは生じない。したがって、上記のようにすることで、学習データセットDSの情報量を増加させすぎず、効率的に学習させることができる。
例えば、有料道路を初めて利用する車両のナンバープレートについては、ナンバープレート情報特定装置2では全く学習されていない。そのため、当該車両のナンバープレート画像がOCR処理に失敗した場合、ナンバープレート情報特定装置2は、既存の学習データセットDSの中からナンバープレート情報を特定しようとするが、(一致するものが存在しないため、)いずれのナンバープレート情報も得票値が低いものとなる。この場合、当該ナンバープレート画像は、オペレータによって目視判断され(図4のステップS17~S18)、正しいナンバープレート情報と関連付けられて学習データセットDSに追加記録される。有料道路の料金所を通過する度にこれが繰り返されることで、徐々に当該車両のナンバープレートについての学習結果が蓄積され、これに伴い得票値も上昇する。そして、学習結果が十分に蓄積されて得票値が所定の判定閾値に達したところで自動特定処理(図4のステップS16)に切り替わり、学習が完了する(追加記録されなくなる)。
【0071】
また、第1の実施形態に係る課金システム1は、ナンバープレート情報特定装置2と、カメラ33を通じて取得したナンバープレート画像に対しOCR処理を行い、当該ナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出するナンバープレート認識装置30と、車両Aに付されたタグTG(情報記録媒体)から課金対象とする利用者を識別するための利用者識別情報を読み取るリーダ装置32とを備えている。
このようにすることで、課金システム1は、リーダ装置32による課金処理を行う際に、ナンバープレート情報特定装置2によるナンバープレートの特定処理だけでなく、通常のOCR処理に基づいてナンバープレート情報を抽出することができる。
【0072】
また、ナンバープレート認識装置30は、OCR処理の結果、カメラ33を通じて取得されたナンバープレート画像からナンバープレート情報を抽出できなかった場合に、当該ナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信する(図3のステップS02参照)。
このようにすることで、OCR処理によってナンバープレート情報を抽出できたナンバープレート画像は、ナンバープレート情報特定装置2によるナンバープレート情報の特定処理の対象とはならない。したがって、ナンバープレート情報特定装置2の処理負荷を軽減することができる。
【0073】
また、ナンバープレート認識装置30は、OCR処理によりナンバープレート画像から抽出した第1のナンバープレート情報と、タグTGから読み取った第2のナンバープレート情報とが一致しない場合に、ナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信する(図3のステップS03参照)。
このようにすることで、OCR処理の結果が、タグTGに記録されているナンバープレート情報と一致しなかったナンバープレート画像も、ナンバープレート情報特定装置2によるナンバープレート情報の特定処理の対象となる。したがって、OCR処理が誤っている蓋然性が高いナンバープレート画像についても、ナンバープレート情報特定装置2を通じて、正しいナンバープレート情報を得ることができる。
【0074】
(変形例)
以上、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2、及び、これを備える課金システム1について詳細に説明したが、ナンバープレート情報特定装置2及び課金システム1の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0075】
例えば、第1の実施形態に係るナンバープレート認識装置30は、OCR処理に失敗したナンバープレート画像のみをナンバープレート情報特定装置2に送信するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
他の実施形態に係る課金システム1において、ナンバープレート認識装置30は、OCR処理に成功したものも含め、全てのナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信してもよい。このようにすることで、各ナンバープレートについての学習速度を高めることができる。
【0076】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2は、最高得票値が所定の判定閾値以下となった場合に、得票値が上位の3つの候補をオペレータに通知(モニタ22に表示)するものとして説明したが、他の実施形態ではこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2は、得票値が最も高い1つの候補のみを通知するものであってよい。
【0077】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2(得票値演算部204)は、各ナンバープレート情報についての得票値を、ハミング距離の逆数の和によって算出するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係るナンバープレート情報特定装置2は、学習データセットDSに記録されている特徴点のうち、ハミング距離が所定値以下となった特徴点の個数を、各ナンバープレート情報についての得票値としてもよい。即ち、得票値演算部204は、ハミング距離が所定値以下となったか否かの判定結果(類似度)を、学習データセットDSに記録されているナンバープレート情報ごとに集約してなる得票値を演算する。
【0078】
また、第1の実施形態に係るナンバープレート認識装置30は、OCR処理によってナンバープレート情報を抽出できなかった場合には当該ナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置2に送信し、OCR処理によりナンバープレート情報を抽出できた場合であっても、当該ナンバープレート情報(第1のナンバープレート情報)がタグTGから読み取った第2のナンバープレート情報と一致しない場合には、当該ナンバープレート画像をナンバープレート情報特定装置に送信するものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係るナンバープレート認識装置30は、OCR処理によってナンバープレート情報を抽出できなかった場合には、第1のナンバープレート情報として、予め用意された仮のナンバープレート情報を特定してもよい。この仮のナンバープレート情報は、実際には使用されていない情報(番号)としておく。このようにすることで、OCR処理によってナンバープレート情報を抽出できなかった場合には、図3のステップS03で、予め用意された仮のナンバープレート情報とタグTGから読み取られたナンバープレート情報との対比がなされ、両者が一致しないことにより、ナンバープレート画像がナンバープレート情報特定装置に送信されることになる。
上記仮のナンバープレート情報は、OCR処理によって抽出されたナンバープレート情報が設定される前の初期値として、予め第1のナンバープレート情報に設定されている情報であってもよい。
【0079】
なお、上述したナンバープレート情報特定装置2における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0080】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、ナンバープレート情報特定装置2は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
上述のナンバープレート情報特定装置2、課金システム1、ナンバープレート情報特定方法及びプログラムによれば、ナンバープレートの自動認識の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 課金システム
2 ナンバープレート情報特定装置
20 CPU
200 画像取得部
201 プレート判定部
202 特徴点抽出部
203 類似度演算部
204 得票値演算部
205 特定部
206 学習部
21 通信インタフェース
22 モニタ
23 記録媒体
3 路側装置
30 ナンバープレート認識装置
31 車両検知器
32 リーダ装置
33 カメラ
DS 学習データセット
A 車両
NP ナンバープレート
TG タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8