(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-14
(45)【発行日】2023-02-22
(54)【発明の名称】複数のビームレットを有する荷電粒子装置および装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20230215BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20230215BHJP
H01J 37/153 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/28 B
H01J37/153 B
(21)【出願番号】P 2021546731
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 EP2020051493
(87)【国際公開番号】W WO2020164872
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-10
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501493587
【氏名又は名称】アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】クック ベンジャミン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンクラー ディーター
(72)【発明者】
【氏名】シュミット ラルフ
【審査官】松平 佳巳
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-520495(JP,A)
【文献】特表2018-513543(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02879155(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0013176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/147
H01J 37/28
H01J 37/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、
複数のビームレットの各々をデフレクタおよびスキャナに通すことであり、前記ビームレットが、前記デフレクタを通過した後に前記スキャナを通過
することと、
アレイを形成する複数の焦点を形成するように、対物レンズによって、前記複数のビームレットの各々をサンプル上に集束させることであり、第1のビームレットを第1のスポット上に集束させ、第2のビームレットを第2のスポット上に集束
させることと、
前記装置の集中構成で、
前記デフレクタによって、前記複数のビームレットの各々を光軸に直交する仮想平面上のコマフリー点の方へ誘導することであり、
前記第1のスポットが、前記第1のビームレットによって形成された正常な第1の焦点であり、
前記第1のビームレットが正常な第1の視野を走査し、前記第2のビームレットが正常な第2の視野を走査することを含めて、前記ビームレットの各々が正常な視野を走査するように、前記スキャナを走査
させることと、
前記装置のビームレット変位構成で、
前記第1のビームレットが前記仮想平面上の許容収差点を通過し、前記第1のビームレットが変位させられた第1の視野を走査するように、前記スキャナを走査することであり、
前記第1のスポットが、前記正常な第1の焦点から変位させられた第1の焦点へ変位
させられることとを含む、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項2】
前記ビームレット変位構成で、
前記変位させられた第1の視野が、前記光軸に実質上直交する方向に、前記正常な第1の視野から変位させられ、
前記スキャナが、前記第2のビームレットが前記正常な第2の視野を走査するように走査させられる、
請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項3】
前記集中構成で、前記正常な第1の焦点が、前記第1のビームレットの正常な第1の視野の中心に位置し、
前記ビームレット変位構成で、前記変位させられた第1のスポットが、前記第1のビームレットの変位させられた視野の中心に位置する、
請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項4】
前記集中構成および前記ビームレット変位構成で、前記第2のスポットが、前記第2のビームレットの正常な第2の視野の中心に位置する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項5】
前記集中構成で、前記アレイが規則的に隔置される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項6】
前記集中構成が、前記アレイの各焦点が仮想リング上に配置されるようになっており、
前記ビームレット変位構成で、前記第1のスポットが前記仮想リングから変位させられる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項7】
前記デフレクタが、前記デフレクタの各デフレクタ要素に少なくとも電気双極子および電気四重極を生成するように構成されたMEMを含み、各デフレクタ要素が、前記ビームレットのうちの1つを通すように構成される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項8】
前記許容収差点が、前記仮想平面上の前記コマフリー点から変位させられ、
前記コマフリー点が、
前記対物レンズの視野内に位置する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項9】
前記集中構成および前記ビームレット変位構成で、前記ビームレットの各々が、前記スキャナによって走査され、
前記ビームレット変位構成で、前記第1のビームレットが、前記デフレクタによって走査され、
前記第2のビームレットが、前記デフレクタによって前記コマフリー点の方へ静的に偏向させられる、
請求項1~8のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項10】
前記第1のビームレットに、前記第1のビームレットの像面湾曲を補正するレンズレットを通過させること
をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項11】
前記第1のビームレットの像面湾曲の補正が、前記スキャナと前記デフレクタの少なくとも一方の前記走査と同期させられ、前記レンズレットが、前記スキャナとデフレクタの少なくとも一方と同期して走査される、
請求項10に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項12】
前記デフレクタが、前記ビームレット変位構成で、
前記許容収差点が最小収差点になり、
前記第1のビームレットが、前記スキャナの走査および前記デフレクタの走査中に、前記最小収差点を連続的に通過するように、第1のMEMおよび第2のMEMを含む、
請求項1~11のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項13】
前記ビームレット変位構成で、前記デフレクタを走査させることが、
前記第1のビームレットを動的に偏向させながら、前記第2のビームレットを静的に偏向させるように、前記第1のビームレットを走査することを含む、
請求項1~12のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項14】
前記ビームレット変位構成で、前記スキャナおよびデフレクタが、前記第1のビームレットが前記許容収差点を連続的に通過するように、同期して走査させられる、
請求項1~13のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
【請求項15】
荷電粒子源および多開孔板であり、前記多開孔板が複数の開孔を含み、各開孔がビームレットを通し、前記多開孔板が荷電粒子の複数のビームレットを形成する、荷電粒子源および多開孔板と、
デフレクタと、
スキャナと、
前記複数のビームレットを複数の焦点上に集束させて、第1のスポット上に集束させられた第1のビームレットおよび第2のスポット上に集束させられた第2のビームレットを含むアレイを形成するように構成された対物レンズとを備える、
荷電粒子ビーム装置であって、
前記荷電粒子ビーム装置が、集中構成およびビームレット変位構成を有し、
前記集中構成で、
前記デフレクタが、前記複数のビームレットの各々を光軸に直交する仮想平面上のコマフリー点の方へ誘導するように構成され、
前記複数の焦点が、前記第1のビームレットによって形成された正常な第1の焦点である前記第1のスポットを含み、
前記ビームレット変位構成で、
前記スキャナおよびデフレクタが各々、
前記デフレクタが前記仮想平面上の許容収差点を通るように前記第1のビームレットを偏向させ、
前記第1のビームレットが、変位させられた第1の視野を走査するように、走査させられるように構成され、
前記第1のスポットが、前記正常な第1の焦点から、変位させられた第1の焦点へ変位させられる、
荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
前記荷電粒子ビーム装置が前記ビームレット変位構成にあるとき、前記第2のビームレットから独立して、前記第1のビームレットの像面湾曲収差を補正するように構成されたレンズレットアレイ
をさらに含む、請求項15に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項17】
前記スキャナが、前記複数のビームレットの各々を同期して同時に走査するように構成され、
前記ビームレット変位構成で、
前記デフレクタが、前記スキャナと同期して、前記第1のビームレットを動的に偏向させるように構成され、
前記デフレクタが、前記第2のビームレットを前記コマフリー点の方へ静的に偏向させるように構成される、
請求項15または16に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項18】
前記デフレクタが、
前記ビームレット変位構成で、前記許容収差点が最小収差点になるように構成された第1のMEMおよび第2のMEMを含み、
前記デフレクタおよび前記スキャナが、前記第1のビームレットが前記最小収差点を連続的に通過するように、同期するように構成される、
請求項15、16、または17に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項19】
前記デフレクタが、第1のMEMおよび第2のMEMを含み、
前記第1のMEMおよび前記第2のMEMが、前記ビームレット変位構成で、前記スキャナの前記走査と同期して非点収差を動的に補正するように構成される、
請求項15~18のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項20】
前記荷電粒子ビーム装置の構成を制御するコントローラを含み、前記スキャナおよび前記デフレクタが、前記コントローラによって制御され、前記コントローラが、前記スキャナおよび前記デフレクタを同期させる、
請求項15~19のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する実施形態は、検査、欠陥検出、および/または限界寸法設定の応用例で使用するための荷電粒子ビーム装置に関する。実施形態はまた、荷電粒子の2つ以上のビームレットを含む装置などの荷電粒子ビーム装置を動作させる方法に関する。撮像などの一般的な目的、および高スループットの電子ビーム検査(EBI)で、多ビームシステムを使用することができる。実施形態はまた、走査荷電粒子ビーム装置、および走査電子顕微鏡(SEM)などの走査荷電粒子ビーム装置による検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム装置には、ナノメートル規模の特徴を有する半導体装置の検査など、多くの用途がある。現代の半導体技術は、集積回路の生産中に使用される様々なプロセスの正確な制御に大きく依存している。したがって、問題を検出するために、半導体ウエハが検査される。さらに、マスクまたはレチクルが所望のパターンを正確に画定することを確実にするために、マスクまたはレチクルも検査を受ける可能性がある。
【0003】
欠陥に関するウエハまたはマスクの検査は、ウエハまたはマスク区域全体の試験を含む可能性がある。したがって、大きい区域を高い分解能で検査するには難題がある。また、可能な場合、生産スループットが検査プロセスによって制限されないように、検査を迅速に実行することが望ましい。
【0004】
ウエハを検査するために、走査電子顕微鏡(SEM)が使用されてきた。精巧に集束させられた電子ビームを使用して、ウエハの表面を走査することができる。電子ビームがウエハを照射するとき、2次電子および/または後方散乱電子、すなわち信号電子が生成され、そのような電子を検出することができる。たとえば、2次電子の強度信号と、パターン上の同じ場所に対応する基準信号とを比較することによって、ウエハ上のある場所の欠陥を検出することができる。
【0005】
半導体技術におけるウエハおよびマスクの欠陥検査は、高い分解能および高速検査ツールから利益を得ており、これらは完全なウエハ/マスクの適用範囲および/またはホットスポット検査を包含することができる。小さい欠陥を検出することが可能になるように、サンプルの高分解能検査を提供するために、電子ビームを使用することができる。特に、20nmのノードを超えると、多くの関心欠陥を検出するために、電子ビームに基づく撮像ツールの高分解能電位が要求される。
【0006】
しかし、特徴のサイズが減少するとともに、より高い分解能に対する要求が増大しているため、ウエハの表面全体を走査するには長い時間がかかる可能性がある。したがって、ウエハ検査に対して単一ビーム走査電子顕微鏡(SEM)を使用することは、スループットの制限から、理想的ではないことがある。したがって、多ビームSEMが望ましい。たとえば、複数のビームまたはビームレットは、サンプル上の複数の場所での同時検査を可能にし、スループットを増大させることができる。しかし、多ビームシステムを使用するときは、複数の荷電粒子ビームの生成、制御、および動作に伴う課題など、多くの技術的な課題に遭遇する可能性があり、それには発明の解決策が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
荷電粒子ビーム装置(1)を動作させる方法が本明細書に開示されており、この方法は、複数のビームレット(4A、4D)の各々をデフレクタ(6)およびスキャナ(12)に通すことを含む。ビームレットは、デフレクタを通過した後にスキャナを通過する。ビームレットの各々は、アレイを形成する複数の焦点を形成するように、対物レンズによってサンプル上に集束させられる。第1のビームレットは第1のスポット上に集束させられ、第2のビームレットは第2のスポット上に集束させられる。装置の集中構成で、複数のビームレットの各々は、デフレクタによって、光軸に直交する仮想平面上のコマフリー点の方へ誘導され、第1のスポット(40A)は、第1のビームレット(4A)によって形成された正常な第1の焦点(40A)になり、スキャナが走査させられる。装置のビームレット変位構成(
図4)で、スキャナは、第1のビームレット(4A)が、仮想平面(210)上の許容収差点105を通過し、第1のビームレット4Aが、変位させられた第1の視野405Aを走査し、第1のスポット(40Aまたは45A)が、正常な第1の焦点(40A)から、変位させられた第1の焦点(45A)へ変位させられるように、任意選択でデフレクタと同期して走査させられる。
【0008】
荷電粒子源および多開孔板を含む荷電粒子ビーム装置が本明細書に開示されており、多開孔板は複数の開孔を含み、各開孔はビームレットを通し、多開孔板は、荷電粒子の複数のビームレットを形成する。装置はまた、デフレクタと、スキャナと、複数のビームレットを複数の焦点上に集束させてアレイを形成するように構成された対物レンズとを含み、複数のビームレットは、第1のスポット上に集束させられた第1のビームレットおよび第2のスポット上に集束させられた第2のビームレットを含む。荷電粒子ビーム装置は、集中構成およびビームレット変位構成を有する。集中構成で、デフレクタは、複数のビームレットの各々を光軸に直交する仮想平面上のコマフリー点の方へ誘導するように構成され、複数の焦点は、第1のビームレットによって形成された正常な第1の焦点である第1のスポットを含む。ビームレット変位構成で、スキャナおよびデフレクタは各々、デフレクタが、仮想平面上の許容収差点を通るように第1のビームレットを偏向させ、第1のビームレットが、変位させられた第1の視野を走査するように、走査させられるように構成され、第1のスポットは、正常な第1の焦点から、変位させられた第1の焦点へ変位させられる。
【0009】
実施形態はまた、開示する方法を実施する装置を対象とし、各々記載する方法の特徴を実行するための装置部分を含む。方法の特徴は、コンピュータおよび/またはコントローラなどのハードウェア構成要素によって実行することができる。コンピュータおよび/またはコントローラは、適当なソフトウェアなどによって、構成可能、プログラム可能、構成済み、および/またはプログラム済みとすることができる。さらに、実施形態はまた、記載する装置によって実施することができる方法を対象とする。実施形態は、装置のすべての機能を実施する方法の特徴を含む。
【0010】
上述した特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記で簡単に要約したより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は実施形態に関するものであり、それらの図面について以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置の概略図である。
【
図2】本明細書に記載する実施形態による集中構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図3A】本明細書に記載する実施形態による集中構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図3B】本明細書に記載する実施形態による集中構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図4】本明細書に記載する実施形態によるビームレット変位構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図5】本明細書に記載する実施形態によるビームレット変位構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図6】本明細書に記載する実施形態によるビームレット変位構成にある荷電粒子装置の一部を示す図である。
【
図7】本明細書に記載する実施形態による荷電走査装置を動作させる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これらの図に1つまたは複数の例が示されている様々な実施形態について、次に詳細に参照する。以下の図面の説明の範囲内で、同じ参照番号は同じ構成要素を指す。個々の実施形態に対する違いについて説明する。各例は、説明を目的として提供されており、限定を意味したものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明する特徴を、他の実施形態でまたは他の実施形態とともに使用して、さらなる実施形態を生み出すこともできる。この説明は、修正形態および変形形態を含むことを意図したものである。
【0013】
以下では、本出願の保護範囲を限定することなく、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素を荷電粒子ビーム装置または「装置」と呼ぶことができ、これは2次または後方散乱電子などの粒子の検出のための構成要素を含むことができる。実施形態は、試料画像を得るために使用することができる電子、イオン、光子、X線、および/または他の信号の形態の2次および/または後方散乱荷電粒子を検出することができる装置および構成要素を含むことができる。本明細書に記載するように、検出に関する議論および説明は、走査電子顕微鏡内の電子に関して例示的に説明されている。様々な異なる計器内の装置によって、他のタイプの荷電粒子、たとえば陽イオンを検出することもできる。
【0014】
本明細書では、粒子ビーム源によって1次荷電粒子ビームまたは1次荷電粒子ビームレットを生成することができ、検査および/または撮像すべき試料へ案内することができる。
【0015】
本明細書では、ビームは1次ビームとすることができ、ビームレットは1次ビームレットとすることができる。1次ビームまたはビームレットは、サンプルを照射するためのものである。1次ビームレットは、サンプルを照射するためのものとすることができる。
【0016】
他の実施形態と組み合わせることができる本明細書の実施形態によれば、荷電粒子の信号ビームは、2次粒子および/または後方散乱粒子のビームを指すことができる。典型的に、信号ビームまたは2次ビームは、1次ビームもしくは1次ビームレットが試料に衝突すること、および/または1次ビームが試料から後方散乱することによって生成される。
【0017】
本明細書で参照する「試料」または「サンプル」は、それだけに限定されるものではないが、半導体ウエハ、半導体加工物、フォトリソグラフィマスク、およびメモリディスクなどの他の加工物を含む。実施形態は、材料が堆積させられたまたは構築された任意の加工物に適用することができる。試料は、構築すべき表面または層が堆積させられた表面、縁部、および典型的にベベルを含むことができる。
【0018】
図1は、一実施形態によれば、複数の荷電粒子ビームレット4A、4D、4Gを含む荷電粒子ビーム装置1を示す。装置は、サンプル検査のために使用することができる。荷電粒子ビーム装置1は、荷電粒子を生成することができる荷電粒子源2を含み、荷電粒子は、多開孔板5へ誘導される。多開孔板5の開孔5A、5D、5Gは各々、ビームレット4A、4D、4Gを通すことができる。ビームレットの各々は、デフレクタ6を通過した後、スキャナ12を通過することができる。
【0019】
ビームレットは、対物レンズ10によって、複数の焦点40A、40Dを形成するように集束させることができる。第1のビームレット4Aは、第1のスポット40A上に集束させられ、第2のビームレット4Dは、第2のスポット40D上に集束させられる。
【0020】
荷電粒子ビーム装置1は、デフレクタ6を含み、デフレクタ6は、ビームレット4A、4Dを対物レンズ10の方へそれぞれ誘導することができるデフレクタ要素6A、6Dを含むことができる。デフレクタ要素6A、6Dは、コントローラ110によってアドレス指定可能とすることができる。デフレクタ要素6A、6Dは、各々ビームレットのうちの1つを通すように構成することができる。デフレクタ要素6A、6Dは、第1のデフレクタ要素6Aおよび第2のデフレクタ要素6Dを含むことができる。第1のデフレクタ要素6Aは、第1のビームレット4Aを通すことができる。第2のデフレクタ要素6Dは、第2のビームレット4Dを通すことができる。MEMは、各デフレクタ要素を同時に励磁するように動作することができる。デフレクタ6は、MEMを含むことができる。MEMは、各デフレクタ要素6A、6Dに、双極子、四重極、六重極、八重極、および/またはそれ以上の多重極などの電気多重極を生成するように構成することができる。
【0021】
コントローラ110は、各デフレクタ要素6A、6Dをアドレス指定することができる。コントローラ110は、第1のデフレクタ要素6Aへ第1の信号を送ることができ、第2のデフレクタ要素6Dへ第2の信号を送ることができる。第1の信号および第2の信号は、同一とすることができ、または異なることができる。第2の信号は、コントローラ110によってデフレクタ6の追加のデフレクタ要素へ送られる追加の信号と同一とすることができる。コントローラ110は、たとえば各デフレクタ要素6A、6Dが固有の信号を受け取り、または同じ信号を受け取るように、各デフレクタ要素6A、6Dを制御することができる。
【0022】
デフレクタ6は、ビームレットが空間的に別個の粒子源からきたように見せることができる。別法/追加として、荷電粒子ビーム装置1は、集束レンズ(図示せず)を含むことができ、集束レンズは、たとえば粒子源2と多開孔板5との間に配置することができる。集束レンズは、荷電粒子を多開孔板5へ直接案内することができる。別法/追加として、多開孔板5の直後など、多開孔板5の後に、集束レンズを配置することもできる。集束レンズは、荷電粒子を対物レンズ10の方へ直接または間接的に視準および/または案内することができる。
【0023】
デフレクタ6およびスキャナ12は、同期するように構成することができ、レンズレット300またはレンズレットアレイもまた、デフレクタおよび/またはスキャナと同期させることができる。コントローラ110は、スキャナ12の走査およびデフレクタ6の走査、ならびに任意選択のレンズレット300またはレンズレットアレイを同期させることができる。コントローラ110は、集中構成とビームレット変位構成との間の切換えなど、荷電粒子装置1の構成を制御することができる。
【0024】
デフレクタ6および/またはスキャナ12は、荷電粒子ビームレット4A、4D、4Gをサンプル8の上で動かすことができる。サンプル8は、並進可能ステージなどのステージ7上に位置することができ、ステージ7はまた、サンプル8の撮像および/または検査を支援するようにサンプル8を動かすのを支援することができる。
【0025】
ビームレット4A、4D、4Gは、サンプル8の表面に当たると、サンプルとの相互作用を受けることができる。これらの相互作用により、電子、X線、熱、および光などの様々な放出をもたらすことができる。これらの放出の多くは、サンプルの像の形成および/またはサンプル8からのデータの収集に使用することができる。試験または像形成のための関心放出は、比較的低いエネルギー(1~50eV)によって様々な角度でサンプル8から逃げた信号電子からのものである。対物レンズ10を介して、後方散乱および/または2次電子を含む信号電子を試料から収集することができる。2次電子は、ビーム分離器アセンブリにおいて、後方散乱電子および/またはビームレット4A、4D、4Gから分離することができ、ビーム分離器アセンブリは、対物レンズ10によって収集された信号電子を検出器アセンブリへ誘導することができるように、光路内に配置することができる。検出器アセンブリは、検出器要素を含むことができ、検出器要素は、測定信号、たとえば検出された信号電子に対応する電子信号を生成するように構成することができる。コンピュータおよび/またはコントローラが、装置によって生成されたデータを受け取ることができる。
【0026】
試料にビームレット4A、4D、4Gを照射し、検出器アセンブリの出力を表示および/または記録することによって、サンプル8の表面の複数の画像を含めて、サンプルの検査/試験のためのデータを提供することができる。各画像は、サンプルの表面の異なる部分に関する情報を提供することができる。したがって、単一ビーム装置と比較して、複数のビームレットを使用することによって、データ取得速度を増大させることができる。ステージ7(またはサンプル支持体)は、すべての方向に水平に可動など、可動とすることができる。これにより、ビームレット4A、4D、4Gが、試験すべきサンプル上のターゲット区域に到達することを可能にすることができる。
【0027】
図1はまた、コマフリー点100を示しており、コマフリー点100は、対物レンズ10内に位置するものとして示されている。別法として、コマフリー点100は、スキャナ12内またはスキャナと対物レンズ10との間に位置することもできる。ビームレット4A、4D、4Gは、コマフリー点100を通過するように見える。コマフリー点100を通過することによって、収差を低減および/または最小化することができ、分解能の改善のために集束ビームレットのスポットサイズを低減および/または最小化することができる。スキャナ12は、ビームレット4A、4Dが走査中にコマフリー点100を断続的および/または周期的に通過するように、ビームレット4A、4Dを動的にシフトさせるように動作することができる。
【0028】
スキャナ12は、非点収差、コマ、および像面湾曲収差などの収差を加える可能性がある。視野の寸法を判定することができる走査範囲は、収差および/または分解能損失の許容量に基づいて判定および/または選択することができる。範囲および/または視野が大きければ大きいほど、より大きい収差、より大きいビームレット焦点サイズ、および分解能の悪化をもたらすことがある。
【0029】
一例では、ビームレットの焦点のアレイは、半径約80μmの範囲まで延び、たとえばビームレットのアレイは、半径約80μmの仮想リング上に位置し、ビームレットのうちの1つの視野は、約±5μmとすることができる。走査範囲がそれより大きい場合、5%以上のスポットサイズの増大など、空間分解能の著しい損失をもたらす可能性がある。スキャナ12は、著しい収差を加える可能性がある。別法/追加として、スキャナの動作は、分解能を維持するように、または少なくとも許容分解能を維持するように、制限することができる。たとえば、ビームレット4A、4Dがコマフリー点100から比較的離れて断続的および/または周期的に走査される場合、コマフリー点100から離れた位置でビームレットのスポットサイズが増大し、特に視野の外縁部近くの分解能が悪くなる可能性がある。比較的大きい走査範囲で、ビームレット収差は許容できないほど高いレベルに到達する可能性があり、したがってスポットサイズが許容できないほど大きくなり、分解能が許容できないほど不十分になる。許容できるものおよび許容できないものは、事前決定または選択することができる。
【0030】
一実施形態では、スキャナ12による走査範囲は、スポットサイズが、ビームがコマフリー点100を通過したときのスポットサイズから1%、2%、5%、または10%未満だけ増大するように収差を制限するなど、収差が許容収差より大きくならないように制限することができる。光軸Oに直交する仮想平面210(
図2参照)を画定した場合、許容収差点105は、コマフリー点100を含む仮想平面210上の点として画定することができる。許容収差点105は、ビームレットが通過することができる仮想平面210上の点とすることができ、この点では、集束ビームレットのスポットサイズが、それを上回るとビームレットがコマフリー点100を通過する所定の量未満だけ増大することができ、所定の量は、10%、5%、2%、または1%とすることができる。
【0031】
スキャナ12は、ビームレット4A、4Dをコマフリー点100から動的にシフトさせることができ、それにより無非点収差、コマ、および像面湾曲を加える可能性がある。特に半導体検査の応用例と同様に迅速なスループットが所望されるとき、優れた空間分解能力によって大きい視野で動作することができる荷電粒子装置を提供しながら、収差を最小化することができる光学系およびコントローラなどのハードウェアの動作方法および関連する配置を見出すことは、技術的に困難な可能性がある。
【0032】
図2は、本明細書に記載する実施形態による装置の集中構成を示す。装置の集中構成で、デフレクタ6は、複数のビームレット4A、4Dの各々を仮想平面210上のコマフリー点100の方へ誘導する。
【0033】
コマフリー点は、たとえば、対物レンズ10(たとえば、
図1に示す)などの対物レンズ10の視野内に位置することができ、すなわち視野のない領域には位置しない。コマフリー点100は、光軸O上に位置することができる。コマフリー点100は、スキャナ12の中心など、スキャナ12内に位置することができる。コマフリー点100は、対物レンズ10とスキャナ12との間に位置することができる。コマフリー点は、スキャナ12、対物レンズ10、およびビームがサンプルに当たる前に荷電粒子ビームを減速させるために使用される静電レンズのうちの少なくとも1つの視野内に位置することができ、またはスキャナ12と、対物レンズ10と、減速のための静電レンズとの視野の間の位置に配置することができる。
【0034】
図2は、ビームレット4A、4Dが対物レンズ10によって集束させられて複数の焦点40A、40Dを形成することを示す。第1のビームレット4Aは、第1のスポット40A上に集束させられ、第2のビームレット4Dは、第2のスポット40D上に集束させられる。複数の焦点は、規則的に隔置されたアレイなどのアレイを形成することができる。
図2に見られるように、焦点は、仮想リング25上に位置することができ、仮想リング25は、光軸Oに対して中心に位置することができる。焦点40A、40Dは、光軸Oに直交するものなどの焦点面20上に位置することができる。
【0035】
第1のスポット40Aは、装置が集中構成にあるとき、正常な第1の焦点40Aと呼ばれる。
【0036】
本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、スキャナ12およびデフレクタ6の動作などによって、特にスキャナ12およびデフレクタ6を同期して走査させることによって、ビームレットがコマフリー点100を通過するようにビームレットを走査することができる。
【0037】
図3Aは、本明細書に記載する実施形態による装置の集中構成を示す。
図3Aは、コマフリー点100を含む仮想平面210、およびビームレット4A、4Dの焦点40A、40Dを示す。説明を簡略化するために、対物レンズ10は
図3Aに示されていない。対物レンズ10は、スキャナ12の後に配置されることが理解されよう。集中構成で、正常な第1の焦点40Aは、第1の視野内の中心に位置することができ、第1の視野は、正常な第1の視野400Aであると考えることができる。第2のビームレット4Dは、第2の焦点40Dを形成することができ、第2の焦点40Dは、第2の視野400D内の中心に位置することができる。デフレクタ6は、ビームレット4A、4Dの各々をコマフリー点100の方へ誘導することができる。スキャナ12は、荷電粒子装置が集中構成にある間に、第1のビームレット4Aおよび第2のビームレット4Dのそれぞれの視野400A、400Dが、走査中にビームレット4A、4Dによって照射されるように、ビームレット4A、4Dを走査することができる。
【0038】
図3Bは、本明細書に記載する実施形態による装置の集中構成を示す。集中構成で、各ビームレット4A、4Dなど、デフレクタ6によってコマフリー点100の方へ誘導される少なくとも第1のビームレット4Aは、走査中などに、スキャナ12によってコマフリー点100から離れる方へ動的にシフトさせることができる。デフレクタ6によってコマフリー点100の方へ誘導されるものを含めて、ビームレット4A、4Dの各々は、走査中にスキャナ12によってシフトさせることができる。ビームレットに対するスキャナ12の動作の結果、ビームレットは、コマフリー点100から変位させられた点で、仮想平面210を通過することができる。各ビームレット4A、4Dは、走査周波数と同期するなど、コマフリー点100を断続的および/または周期的に通過することができる。
【0039】
スキャナ12は、各ビームをほぼ等しく動的にシフトさせて、各ビームに対してほぼ同じ動的シフトを引き起こすように配置することができる。正常な第1の焦点40Aおよび第2の焦点40Dは、第1のビームレット4Aおよび第2のビームレット4Dが各々、走査中にコマフリー点100を通過するように位置決めすることができる。
図3Aおよび
図3Bに示すように、正常な第1の焦点40Aおよび第2の焦点40Dは、それぞれ第1の視野400Aおよび第2の視野400D内など、それぞれの視野内に位置することができる。正常な第1の焦点40Aおよび第2の焦点40Dは、それぞれの視野、すなわち第1の視野400Aおよび第2の視野400D内の中心に位置することができる。
【0040】
デフレクタ6が、第1のビームレット4Aを許容収差点105の方へ静的に偏向(および/または誘導)し、スキャナ12が、ビームレット4A、4Dを動的にシフトさせる場合、第1のビームレット4Aは、許容収差点105の周りで変動する点で、仮想平面210を通過することができる。変動が大きすぎる場合、スポットサイズの望ましくない増大および分解能の損失が生じることがある。
【0041】
図3Bで、第1のビームレット3Aは、スキャナによって偏向されて、ビーム経路33Aおよび33A’を形成することを示す。ビーム経路33A、33A’は、コマフリー点100から変位させられた点で仮想平面210を交差して、正常な視野400Aの縁部に到達することができる。走査の範囲および/または視野400A、400Dは、所定の範囲に制限することができる。所定の範囲は、スポットサイズの許容できる増大に基づくことができ、スポットサイズは、視野の縁部における許容できる分解能損失に相関することができる。
【0042】
スポットサイズの増大および分解能の損失は、仮想平面210上のコマフリー点からのビームレットの変位の大きさとともに拡大する傾向がある。許容収差点105(
図4参照)を参照することによって、視野400Aなど、走査パラメータの限度を判定することが有用である。たとえば、集中構成で、第1のビームレット4Aの正常な第1の視野400Aは、第1のビームレット4Aが正常な第1の視野400Aの縁部に到達したとき、集中構成の許容収差点104、104’を通過するように制限することができる。
【0043】
スキャナ12は、スキャナ12による最大偏向で、ビームレット4A、4Dが許容収差点に到達するように、ビームレット4A、4Dを偏向させることができる。ビームレット4A、4Dの視野400A、400Dの範囲は、最大偏向で仮想平面を通過するビームレットに対する許容収差点および/または関連する分解能損失によって判定することができる。
【0044】
スキャナ12は、六重極、八重極またはそれ以上などの多重極とすることができる。荷電ビーム装置は、各ビームレット4A、4Dに対応するデフレクタ要素6A、6Dを調整することなどによって、各ビームに対して個々の無収差および多重極(六重極以上など)補正を適用することができるように構成される。
【0045】
ビームレットの正常な視野の外側にある関心領域で、著しい分解能損失なくビームレットを誘導することは、技術的に困難な可能性がある。荷電粒子装置のいくつかの構成では、ホットスポットまたは他の関心領域が比較的不十分に分解されることがある。
【0046】
図4は、本明細書に記載する実施形態による荷電粒子ビーム装置1のビームレット変位構成を示す。
図3Aおよび
図3Bと同様に、説明を簡略化するために、対物レンズ10は
図4に示されていない。対物レンズ10は、スキャナ12の下に位置することが理解されよう。
図4に見られるように、ビームレット変位構成で、デフレクタ6は、第1のビームレット4Aを許容収差点105の方へ偏向させることができ、デフレクタ6は、第2のビームレット4Dをコマフリー点100の方へ偏向させる。
【0047】
ビームレット変位構成で、許容収差点105をコマフリー点100から変位させることができる。第1のビームレット4Aの焦点は、正常な第1の焦点40A(
図3参照)から、変位させられた第1の焦点45Aへ変位させることができる。集中構成などに対して、許容収差点105に関係する第1の焦点の最大のビームレットシフト、および/またはスポットサイズの所定の許容できる増大(たとえば、1、2、5、または10%)が生じることができる。
【0048】
ビームレット変位構成で、第1のビームレット4Aは、ホットスポットなどの関心領域を照射および/または撮像するために使用することができ、第2のビームレット4D、または複数のビームレットのうちの任意の数の他のビームレットが、集中構成と同様/同一に動作することができる。言い換えれば、ホットスポットなどの関心領域で、ビームレットのうちの1つ、たとえば第1のビームレット4Aを誘導することが可能であり、アレイ4D、4Gの他のビームレットは、集中構成と同様に引き続き動作することができる。ビームレット4A、4Dの各々に対するデフレクタ要素6A、6Dの各々が、個々にアドレス指定可能である場合は有利である。デフレクタ6は、ビームレット4A、4Dの各々を、他のビームレットから独立してなど、個々に偏向させるように構成することができる。
【0049】
ビームレット変位構成で、スキャナ12およびデフレクタ6は、第1のビームレット4Aが仮想平面210上の許容収差点105を通過するように走査することができる。走査は、走査中に第1のビームレット4Aが許容収差点100を連続的に通過するように行うことができる。別法として、走査は、デフレクタ6が第1のビームレット4Aを許容収差点105の方へ静的に誘導する場合など、第1のビームレット4Aが走査と同期して許容収差点100の周りで変動するように実行することができ、第1のビームレット4Aは、許容収差点を断続的または周期的に通過することができる。
【0050】
変位させられた第1の焦点45Aは、ホットスポットおよび/またはサンプル8の特定の関心位置に誘導することができる。関心スポットまたは「ホットスポット」を照射することが可能になるように、アレイの任意のビームレットなど、アレイの少なくとも1つのビームレットを調整することが可能であることが望ましい。ホットスポットなどは、ビームレット4A、4Dの各々が、荷電粒子装置の通常の構成で、著しい収差による著しい分解能損失なしで到達することが可能でないはずの位置に存在することがある。サンプル上のいずれの場所にも存在し得るホットスポットを照射/撮像するときでも、分解能損失が最小化されるように、荷電粒子装置を動作させることが望ましい。
【0051】
図4に示すように、変位させられた第1のスポット45Aは、第1のビームレット4Aの変位させられた視野405A内の中心に位置することができる。第2のスポット40Dは、第2のビームレット4Dによって形成された第2の視野400D内の中心に位置することができる。第2のスポット40Dおよび/または第2の視野400Dは、荷電粒子ビーム装置1の集中構成およびビーム変位構成で、区別ができないものとすることができる。デフレクタ6は、第1のビームレット4Aを許容収差点105の方へ誘導することができる。
【0052】
ビームレット変位構成で、第1のビームレット4Aは、変位させられた第1の視野405Aを照射することができる。変位させられた第1のスポット45Aは、正常な第1の焦点40Aからの第1のビームレットシフト415Aによって変位させることができる。ビームレット変位構成で、デフレクタ6は、複数のビームレット4A、4Dによって形成された正常なアレイ(または、たとえばリング)上にないホットスポットなどの方へ、第1のビームレット4Aを動かすことができる。言い換えれば、ビームレット変位構成で、第1のビームレット4Aの第1のスポットは、ビームレットによって形成された焦点のアレイから変位させることができ、または集中構成にある複数の焦点がリングを形成する場合、リングから変位させることができる。
【0053】
特にビームレットがホットスポットを照射/撮像するために使用されるとき、ビームレット経路を最適化して、ノイズの低減、許容分解能の維持、収差の最小化、および/または走査速度の増大などの可能な目的を満たすために、特にビームレット変位構成において、ビームレット(たとえば、第1のビームレット)の複数の偏向を利用する方法および装置が本明細書に開示される。
【0054】
図5は、本明細書に開示する実施形態によれば、荷電粒子装置のビームレット変位構成を示す。変位させられた視野405Aは、第1のビームレット4Aによって照射することができ、第1のビームレット4Aは、仮想平面210上の許容収差点105を連続的に通過することができる。デフレクタ6は、スキャナ12による偏向を考慮して、第1のビームレット4Aを許容収差点105の方へ誘導することができる。
図5は、第1のビームレット4Aの2つの光路44A、44A’を示しており、光路44A、44A’は各々、第1のビームレットの変位させられた視野405Aの縁部に到達する。デフレクタ要素6Aは、変位させられた視野405Aの縁部に到達するように、第1のビームレット4Aを光路44A、44A’に沿って偏向させることができる。変位させられた第1の焦点45Aは、変位させられた視野405Aの中心など、変位させられた視野405A内に位置することができる。デフレクタ6の走査、またはより詳細には第1のデフレクタ要素6Aの走査は、第1のビームレット4Aが許容収差点105を連続的に通過するように、スキャナ12の偏向を補償することができる。言い換えれば、デフレクタ6は、第1のビームレット4Aが許容収差点105を連続的に通過し、他のビームレット4D、4Gがコマフリー点100の方へ静的に誘導されるように、スキャナ12と同期して走査させることができる。
【0055】
さらに別の実施形態でも、デフレクタ6は、第1のビームレットが許容収差点105を連続的に通過し、他のビームレット4D、4Gがコマフリー点100の方へ静的に誘導されるように、スキャナ12と同期して走査させられる。本明細書に開示する任意の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、複数のビームレット4A、4Dの各々は、スキャナ12によって走査され、第1のビームレット4Aは、デフレクタ6によって走査され、第2のビームレット4Dは、デフレクタ6によってコマフリー点100の方へ静的に偏向させられる。
【0056】
図5はまた、第1のビームレット4Aの像面湾曲収差を補正することができるレンズレット300を示す。複数のビームレット4A、4Dの各ビームレット4A、4Dに対して、それぞれのビームレットの像面湾曲を補正するために、レンズレットのアレイが存在することができる。レンズレットアレイの各レンズレットは、コントローラ110によってアドレス指定可能とすることができ、スキャナ12および/またはデフレクタ6と同期して走査することができる。第1のビームレット4Aまたはこれらのビームレットのいずれかの像面湾曲の補正は、スキャナ12および/またはデフレクタ6の走査と同期させることができる。第1のビームレット4Aに対するレンズレット300など、レンズレットの各々は、スキャナおよび/またはデフレクタと同期して走査することができる。
【0057】
図5に示すように、デフレクタ6によるビームレットの事前偏向は、集中構成で、ビームレットのいずれかの正常な視野の外側にあるホットスポットなどの関心領域を照射するとき、ビームレットを許容収差点105で維持することができる。動的な無収差および六重極補正は、複数のビームレットのうちのビームレットのそれぞれの視野をさらに拡大することができる。一例として、ビームレットがデフレクタによって事前偏向されるときに実現可能とすることができる視野は、約5~10μmの範囲を有する。
【0058】
コントローラは、デフレクタ6のデフレクタ要素6A、6Dの各々をアドレス指定するように構成された電子機器を含むことができる。コントローラは、デフレクタ6のデフレクタ要素6A、6Dの部分要素(極など)に対する電圧の迅速な切換えを提供することができる。コントローラは、スキャナ12と同期して、デフレクタ要素6A、6Dのうちの少なくとも1つによってビームレット4A、4Dを偏向させるのに好適な信号および/または電力を提供することができる。同期させられた制御の相対位相および振幅、ならびに/またはデフレクタ6およびスキャナ12(および任意選択で、レンズレットアレイ)への電力信号を、調整可能とすることができる。
【0059】
各デフレクタ要素6A、6Dは、ビームレット4A、4Dのうちの1つを通すように構成することができる。デフレクタは、デフレクタ6の各デフレクタ要素6A、6Dで電気双極子以上を生成するように構成されたMEMを含むことができる。MEMは、各デフレクタ要素6A、6Dで双極子、四重極、および六重極を同時に生成するように構成することができる。たとえば、各デフレクタ要素6A、6Dは、特に双極子、四重極、および六重極を同時に生成するために、8つ以上の極/電極を含む。たとえば最大20個以上の極/電極からなるデフレクタ要素6A、6Dを含むMEMなど、より高次のMEMも企図される。
【0060】
各デフレクタ要素6A、6Dは、静的および/または動的に場(静的場および動的場の重畳を含む)を生成するように構成することができ、そのような場は、コントローラからの信号および/または電力によって判定することができる。各デフレクタ要素6A、6Dは、コントローラなどによって、他のデフレクタ要素と一致して、または他のデフレクタ要素から独立して、動作させられるように構成することができる。
【0061】
半径80μmの仮想リング内に配置されたビームレットのアレイの場合、レンズレット300(および/またはレンズレットのアレイ)による像面湾曲の動的補正、およびデフレクタ6による動的事前偏向が、正常な焦点から関心領域(またはホットスポット)の方へのビームレットの可能なシフトを最大約20μm拡大することができ、各ビームレットの視野を約20μmにすることを可能にすることができる。許容できる分解能損失で、正常なアレイから可能な限り大きい逸脱、および可能な限り大きい視野を有することが有利である。
【0062】
図6は、本明細書に記載する実施形態によるビームレット変位構成を示す。見やすいように、対物レンズ10は示されていないが、スキャナ12の下に(光軸に沿ってスキャナ12からより遠くに)位置することが理解されよう。
図6もまた、複数のビームレットのうちの他のビームレット6D、6Gを示さない。他のビームレットは同様に存在し、上記と同様に光学要素を通過することが理解されよう。たとえば、第2のビームレット4D(および/または複数のビームレットのうちの任意の他のビームレット)は、デフレクタ6およびスキャナ12をコマフリー点の方へ通過することができる。
【0063】
デフレクタ6は、第1のMEM61および第2のMEM62を含むことができる。第1のMEM61および第2のMEM62は、光軸Oに沿って配置することができる。各ビームレット4A、4Dは、第1のMEM61および第2のMEM62を順次通過することができる。コントローラは、デフレクタ6を制御することによって、第1のMEM61および第2のMEM62の各々を制御することができる。コントローラ110は、各MEMの個々の要素61A、61D、62A、62Dをアドレス指定することができる。第1のビームレット4Aは、第1のMEM61の第1のデフレクタ要素61A、それに続いて第2のMEM62の第1のデフレクタ要素62Aによって、順次偏向させることができる。第2のビームレット4Dは、第1のMEM61の第2のデフレクタ要素62A、それに続いて第2のMEM62の第2のデフレクタ要素62Dによって、順次偏向させることができる。
【0064】
デフレクタは、第1のMEMおよび第2のMEMを含むことができ、したがってビームレット変位構成で、許容収差点は、コマフリー点100を含む仮想平面210上の最小収差点111になり、第1のビームレット4Aは、最小収差点111を連続的に通過する。コントローラおよびMEMは、デフレクタ6およびスキャナ12によって、ビームレットが最小収差点111を連続的に通過するように、複数のビームレットのうちのビームレット4A、4Dのいずれかを偏向させることができるように構成することができる。
【0065】
第1のMEM61および第2のMEM62を使用してビームレットを最小収差点111上で維持することによって、第1のビームレット4A(または、ビームレットのいずれか)を、関心区域またはホットスポットに位置合わせすることができる。六重極補正および無非点収差補正を最適化することができる。レンズレットによる像面湾曲の動的補正を、MEMデフレクタの動的事前偏向と同期して、スキャナ12と同期して行うことで、収差の低減および/または最小収差点を通過するビームレットの維持を行うことができる。
【0066】
一実施形態では、最小収差点111は、コマフリー点100を含む仮想平面210上の点であり、走査ビームレットは、最小収差点111を連続的に通過することができ、最小収差点111は、走査ビームレットが焦点面の連続部分上に集束させられている間に、ビームレットが妥当な最小のスポットサイズを維持するような点である。妥当な最小のスポットサイズは、集中構成でビームレットがコマフリー点を視野の中心へ通過するときのスポットサイズより10%、5%、2%、または1%未満だけ大きくすることができる。焦点面の連続部分は、正常な視野とは異なることができる。
【0067】
最小収差点111は、集中構成のコマフリー点100に対応することができる。
【0068】
半径80μmの仮想リング内に配置されたビームレットのアレイの場合、レンズレット300(および/またはレンズレットのアレイ)による像面湾曲の動的補正、および2つのMEMを直列で使用するデフレクタ6による動的事前偏向が、正常な焦点から関心領域(またはホットスポット)の方へのビームレットの可能なシフトを最大約40μm拡大することができ、各ビームレットの視野を約40μmにすることを可能にすることができる。
【0069】
一実施形態では、ビームレット変位構成で、スキャナ12およびデフレクタ6は、第1のビームレット4Aが、変位させられた第1の焦点45Aなどの最小収差点111を連続的に通過するように同期して走査させられ、変位させられた第1の焦点45Aは、集中構成の正常な第1の焦点40Aから変位させられたものである。最小収差点111を通過する第1のビームレット4Aが、変位させられた第1の視野405Aを走査するため、第2のビームレット4Dはコマフリー点100を通過し、正常な第2の視野400Dを走査することが可能である。
【0070】
コントローラ110などによって、デフレクタ6、スキャナ12、およびレンズレット300またはレンズレットアレイを同期させることができる。レンズレットアレイは、特に荷電粒子ビーム装置1がビームレット変位構成にあるとき、第2のビームレット4Dから独立して、第1のビームレット4Aの像面湾曲収差を補正するように構成することができる。レンズレットアレイは、デフレクタ6の真上または真下など、デフレクタ6に直接隣接して位置することができる。
【0071】
概して、スキャナ12は、ビームレット4A、4Dをすべて互いに同期して同時に走査するように構成することができる。ビームレット変位構成で、デフレクタ6は、スキャナと同期して、ビームレット(第1のビームレットなど)のうちの1つまたは複数を動的に偏向させることができ、デフレクタ6は、他のビームレット(たとえば、第2のビームレットを含む)をコマフリー点の方へ静的に偏向させる。デフレクタ6による動的偏向は、許容収差点105および/または最小収差点111を連続的に通過するように、1つのビームレット(第1のビームレット4Aなど)を誘導することができる。
【0072】
実施形態は、ビームレット変位構成で、スキャナの走査と同期して非点収差を動的に補正するように構成された第1のMEMおよび第2のMEMを含むことができる。デフレクタは、デフレクタを通過する各ビームレットに対して、2つのデフレクタ要素(および/またはMEM要素)などの少なくとも1つのデフレクタ要素(および/またはMEM要素)を含むことができる。各MEM要素は、双極子以上を生成することができる。
【0073】
MEMのうちの1つまたは各々は、デフレクタ6の各デフレクタ要素で電気双極子以上を生成するように構成することができる。MEMは各々、各デフレクタ要素で双極子、四重極、および六重極を同時に生成するように構成することができる。たとえば、各デフレクタ要素は、特に双極子、四重極、および六重極を同時に生成するために、8つ以上の極/電極を含む。たとえば最大20個以上の極/電極からなるデフレクタ要素を含むMEMなど、より高次のMEMも企図される。
【0074】
MEMの各デフレクタ要素は、静的および/または動的に場(静的場および動的場の重畳を含む)を生成するように構成することができ、そのような場は、コントローラからの信号および/または電力によって判定することができる。各デフレクタ要素は、コントローラなどによって、他のデフレクタ要素と一致して、または他のデフレクタ要素から独立して、動作させられるように構成することができる。2つのMEMが存在するとき、各ビームレットは、各MEMから1つずつ、固有の1対のデフレクタ要素を通過することができ、固有の各対のデフレクタ要素は、特にビームレット変位構成で収差を最小化するために、同期して動的に動作することができる。
【0075】
コントローラ110は、集中構成とビームレット変位構成との間の切換えなど、荷電粒子装置1の構成を制御するように構成することができる。コントローラ110は、複数のビームレットのうちのビームレットのどれが変位させられるかを選択することができる。コントローラ110は、スキャナ12の走査およびデフレクタ6の走査(またはそのいずれか1つもしくは複数の要素)、ならびに任意選択でレンズレットアレイ(またはそのいずれか1つもしくは複数のレンズレット)の走査を制御、同期、および/または電力供給することができる。
【0076】
さらに、MEMおよび/またはレンズレットのための高速電子機器が、本明細書に企図および開示される。そのような高速電子機器は、複数のチャネルを含むことができる。たとえば、8つの極/電極を有するMEMを制御する際、各MEM要素は、コントローラ110によって、スキャナ12と同期して高速で最大8つのチャネルを制御することができる。簡単にするために、4つの極を含むMEMを有することが有利である。
【0077】
図7は、本明細書に記載する実施形態による荷電走査装置を動作させる方法500を示す。複数のビームレットが、デフレクタおよびスキャナを通過させられる(510)。装置は、集中構成で動作させられ(520)、装置は、ビームレット変位構成で動作させられる(530)。ビームレットは、対物レンズによってサンプル上に集束させられる(540)。
【0078】
この開示は、以下に列挙する実施形態を含むことを意図しており、参照番号および図の参照は、理解を支援するために記載されており、参照または図の意図は、限定することではない。
1.荷電粒子ビーム装置(1)を動作させる方法であって、
複数のビームレット(4A、4D)の各々をデフレクタ(6)およびスキャナ(12)に通すことであり、ビームレットが、デフレクタを通過した後にスキャナを通過する、通すことと、
アレイを形成する複数の焦点(40A、40D)を形成するように、対物レンズ(10)によって、複数のビームレット(4A、4D)の各々をサンプル上に集束させることであり、第1のビームレット(4A)を第1のスポット(40A)上に集束させ、第2のビームレットを第2のスポット(40D)上に集束させることを含む、集束させることと、
装置の集中構成で、
デフレクタ(6)によって、複数のビームレットの各々を光軸に直交する仮想平面(210)上のコマフリー点(100)の方へ誘導することであり、
第1のスポット(40A)が、第1のビームレット(4A)によって形成された正常な第1の焦点(40A)であり、
第1のビームレットが正常な第1の視野を走査し、第2のビームレットが正常な第2の視野を走査することを含めて、ビームレットの各々が正常な視野を走査するように、スキャナ12を走査させる、誘導することと、
装置のビームレット変位構成(
図4)で、
第1のビームレット(4A)が、仮想平面(210)上の許容収差点105を通過し、第1のビームレット4Aが、変位させられた第1の視野405Aを走査するように、スキャナを走査することであり、
第1のスポット(40Aまたは45A)が、正常な第1の焦点(40A)から、変位させられた第1の焦点(45A)へ変位させられる、走査することとを含む、荷電粒子ビーム装置(1)を動作させる方法。
ビームレット変位構成で、第1のビームレットが許容収差点を通過するように、スキャナおよびデフレクタを走査させることができる(同期してなど)。
2.ビームレット変位構成で、
変位させられた第1の視野(405A)が、光軸に実質上直交する方向に、正常な第1の視野(400A)から変位させられ、
スキャナが、第2のビームレットが正常な第2の視野を走査するように走査させられる、
実施形態1に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
スキャナは、ビームレットの各々を、たとえばそれぞれの各視野が各ビームレットから同時に走査されるように、同期して走査することができる。
3.集中構成で、正常な第1の焦点(40A)が、第1のビームレット(4A)の正常な第1の視野(400A)内の中心に位置し、
ビームレット変位構成で、変位させられた第1のスポット(45A)が、第1のビームレットの変位させられた視野の中心に位置する、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
4.集中構成およびビームレット変位構成で、第2のスポット(40D)が、第2のビームレットの正常な第2の視野(400D)内の中心に位置する、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
5.集中構成で、アレイが規則的に隔置される、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
ビームレット変位構成で、第1のビームレットなど、ビームレットのうちの少なくとも1つを、その正常なスポットから変位させられた位置で集束させることができる。
6.集中構成が、アレイの各焦点が仮想リング上に配置されるようになっており、
ビームレット変位構成で、第1のスポットが仮想リングから変位させられる、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
7.デフレクタが、デフレクタ(6)の各デフレクタ要素(6A、6D)に少なくとも電気双極子および電気四重極を生成するように構成されたMEMを含み、各デフレクタ要素が、ビームレットのうちの1つを通すように構成される、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
MEMはまた、六重極を生成するように構成することができる。MEMは、8つの極/電極を有することができる。MEMは、最大20個など、さらに多くの多重極を生成するように構成することができる。
8.許容収差点が、仮想平面上のコマフリー点から変位させられ、
コマフリー点が、対物レンズの視野内に位置する、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
9.集中構成およびビームレット変位構成で、ビームレットの各々が、スキャナによって走査され、
ビームレット変位構成で、第1のビームレットが、デフレクタによって走査され、
第2のビームレットが、デフレクタによってコマフリー点の方へ静的に偏向させられる、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
スキャナは、ビームレットの各々を同期して走査することができる。デフレクタは、第1のビームレットをスキャナと同期して走査することができる。
10.第1のビームレットに、第1のビームレットの像面湾曲を補正するレンズレットを通過させること
をさらに含む、上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
レンズレットは、スキャナの走査と同期して調整することができる。
11.第1のビームレットの像面湾曲の補正が、スキャナおよび/またはデフレクタの走査と同期させられ、レンズレットが、スキャナおよび/またはデフレクタと同期して走査される、
実施形態10に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
12.デフレクタが、ビームレット変位構成で、
許容収差点が最小収差点になり、
第1のビームレットが、スキャナの走査およびデフレクタの走査中に最小収差点を連続的に通過するように、第1のMEMおよび第2のMEMを含む、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
13.ビームレット変位構成で、デフレクタを走査させることが、
第1のビームレットを動的に偏向させながら、第2のビームレットを静的に偏向させるように、第1のビームレットを走査することを含む、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
14.ビームレット変位構成で、スキャナおよびデフレクタが、第1のビームレットが許容収差点を連続的に通過するように、同期して走査させられる、
上述した実施形態のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法。
15.荷電粒子源および多開孔板であり、多開孔板が複数の開孔を含み、各開孔がビームレットを通し、多開孔板が荷電粒子の複数のビームレットを形成する、荷電粒子源および多開孔板と、
デフレクタと、
スキャナと、
複数のビームレットを複数の焦点上に集束させて、第1のスポット上に集束させられた第1のビームレットおよび第2のスポット上に集束させられた第2のビームレットを含むアレイを形成するように構成された対物レンズとを備える、
荷電粒子ビーム装置であって、
荷電粒子ビーム装置が、集中構成およびビームレット変位構成を有し、
集中構成で、
デフレクタが、複数のビームレットの各々を光軸に直交する仮想平面上のコマフリー点の方へ誘導するように構成され、
複数の焦点が、第1のビームレットによって形成された正常な第1の焦点である第1のスポットを含み、
ビームレット変位構成で、
スキャナおよびデフレクタが各々、
デフレクタが、仮想平面上の許容収差点を通るように第1のビームレットを偏向させ、
第1のビームレットが、変位させられた第1の視野を走査するように、走査させられるように構成され、
第1のスポットが、正常な第1の焦点から、変位させられた第1の焦点へ変位させられる、
荷電粒子ビーム装置。
16.荷電粒子ビーム装置がビームレット変位構成にあるとき、第2のビームレットから独立して、第1のビームレットの像面湾曲収差を補正するように構成されたレンズレットアレイ
をさらに含む、実施形態15に記載の荷電粒子ビーム装置。
17.スキャナが、複数のビームレットの各々を同期して同時に走査するように構成され、
ビームレット変位構成で、
デフレクタが、スキャナと同期して、第1のビームレットを動的に偏向させるように構成され、
デフレクタが、第2のビームレットをコマフリー点の方へ静的に偏向させるように構成される、
実施形態15または16に記載の荷電粒子ビーム装置。
18.デフレクタが、
ビームレット変位構成で、許容収差点が最小収差点になるように構成された第1のMEMおよび第2のMEMを含み、
デフレクタおよびスキャナが、第1のビームレットが最小収差点を連続的に通過するように、同期するように構成される、
実施形態15、16、または17に記載の荷電粒子ビーム装置。
19.デフレクタが、第1のMEMおよび第2のMEMを含み、
第1のMEMおよび第2のMEMが、ビームレット変位構成で、スキャナの走査と同期して、非点収差を動的に補正するように構成される、
実施形態15、16、17、または18に記載の荷電粒子ビーム装置。
各MEMは、双極子、四重極、六重極、およびそれらの組合せを生成するように構成することができる。各MEMはまた、最大20個など、より大きい多重極を生成することができる。
20.荷電粒子ビーム装置の構成を制御するコントローラを含み、スキャナおよびデフレクタが、コントローラによって制御され、コントローラが、スキャナおよびデフレクタを同期させる、
実施形態15~19のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
21.デフレクタが、電気双極子以上(双極子、四重極、および六重極など)を生成するように構成されたMEMを含み、
デフレクタを走査することが、デフレクタによって、スキャナの走査と同期するなど、少なくとも1つのビームレットを動的に偏向させることである、
実施形態15~20のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【0079】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。