(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】基板用コネクタ、及び機器
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20230216BHJP
H01R 13/6594 20110101ALI20230216BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/6594
(21)【出願番号】P 2019143489
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2018247604
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143648(JP,A)
【文献】実開平05-023461(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/6594
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に取り付けられる基板用コネクタであって、
相手方コネクタが嵌合するフード部を有すると共に、前記フード部が開口する開口方向と反対側に設けられた奥壁を有するコネクタハウジングと、
前記奥壁を貫通する外導体取り付け孔に挿通された外導体と、
前記外導体の内部に配された絶縁性の誘電体と、
前記誘電体の内部に配された内導体と、を備え、
前記外導体は、前記奥壁のうち前記外導体取り付け孔とは異なる位置に形成された貫通孔を塞ぐ閉塞部を有
し、
前記外導体は、前記開口方向に沿って延びると共に、前記内導体の少なくとも一部を収容する筒部を有し、
前記筒部の外周には、外方に突出するフランジが設けられており、前記フランジに前記閉塞部が設けられており、
前記フランジは、前記筒部が前記外導体取り付け孔に挿通された状態では、前記奥壁における前記フード部とは反対側の面に接触するようになっており、前記フランジのうち前記奥壁の前記貫通孔に対応する位置が前記閉塞部とされている、基板用コネクタ。
【請求項2】
前記奥壁及び前記フランジの一方に設けられた係止凸部と、他方に設けられた係止凹部とが凹凸嵌合することにより、前記コネクタハウジングと前記外導体とが位置決めされている、請求項
1に記載の基板用コネクタ。
【請求項3】
前記係止凹部は前記フランジに設けられており、
前記係止凹部は、前記奥壁側の径小部と、前記奥壁と反対側に設けられるとともに前記径小部よりも径大に形成された径大部と、を有し、
前記係止凸部は前記係止凹部内に充填されている請求項
2に記載の基板用コネクタ。
【請求項4】
前記径大部は、前記奥壁から離れるにつれて拡径するテーパ面を有する請求項
3に記載の基板用コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の基板用コネクタと、
前記基板用コネクタが取り付けられた回路基板と、
前記回路基板が収容されると共に、前記外導体と電気的に接続された金属製の筐体と、を備えた機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、回路基板に配設される基板用コネクタに係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板用コネクタとして、特開2008-59761号公報に記載のものが知られている。このコネクタは、回路基板に形成された導電路に接続される内導体と、内導体の周囲を包囲する絶縁性の誘電体と、誘電体の周囲を包囲する外導体と、内導体、誘電体、及び外導体が収容されるコネクタハウジングと、を備える。
【0003】
回路基板の導電路に接続された内導体が外導体に包囲されていることにより、基板用コネクタの外部から内導体に侵入するノイズが抑制されると共に、内導体から基板用コネクタの外部に漏洩するノイズも抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のコネクタは、相手方コネクタが嵌合するフード部を有する。フード部の開口端部には、相手方コネクタが係止されるストッパが、フード部の内方に突出して形成されている。フード部の開口端部と反対側に設けられた奥壁には、ストッパを形成するための型抜き孔が貫通されている。このため、回路基板から発生するノイズが、コネクタハウジングの型抜き孔から基板用コネクタの外部へと漏洩することが懸念される。
【0006】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド性能が向上された基板用コネクタに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術は、回路基板に取り付けられる基板用コネクタであって、相手方コネクタが嵌合するフード部を有すると共に、前記フード部が開口する開口方向と反対側に設けられた奥壁を有するコネクタハウジングと、前記奥壁を貫通する外導体取り付け孔に挿通された外導体と、前記外導体の内部に配された絶縁性の誘電体と、前記誘電体の内部に配された内導体と、を備え、前記外導体は、前記奥壁のうち前記外導体取り付け孔とは異なる位置に形成された貫通孔を塞ぐ閉塞部を有する。
【0008】
上記の構成によれば、コネクタハウジングに形成された貫通孔は、外導体の閉塞部によって塞がれているので、回路基板から発生したノイズが、基板用コネクタの貫通孔から外部に漏洩することを抑制することができる。これにより、基板用コネクタのシールド性能を向上させることができる。回路基板から発生したノイズとは、回路基板に形成された導電路から発生したノイズを含むと共に、回路基板に実装された電子部品から発生したノイズも含む。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記外導体は、前記開口方向に沿って延びると共に、前記内導体の少なくも一部を収容する筒部を有し、前記筒部の外周には、外方に突出するフランジが設けられており、前記フランジに前記閉塞部が設けられている。
【0011】
上記の構成によれば、コネクタハウジングの奥壁にフランジを接触させることにより、コネクタハウジングと外導体の、開口方向についての位置合わせを容易に行うことができる。
【0012】
また、コネクタハウジングの奥壁とフランジとを接触させることにより、奥壁の貫通孔を確実に塞ぐことができる。
【0013】
前記奥壁及び前記フランジの一方に設けられた係止凸部と、他方に設けられた係止凹部とが凹凸嵌合することにより、前記コネクタハウジングと前記外導体とが位置決めされている。
【0014】
上記の構成によれば、コネクタハウジングと外導体とを確実に位置決めすることができる。
【0015】
前記係止凹部は前記フランジに設けられており、前記係止凹部は、前記奥壁側の径小部と、前記奥壁と反対側に設けられるとともに前記径小部よりも径大に形成された径大部と、を有し、前記係止凸部は前記係止凹部内に充填されている。
【0016】
上記の構成によれば、係止凹部内に充填された係止凸部が、係止凹部のうち径大部と径小部との境界部分に、奥壁と反対側から接触することにより、コネクタハウジングとフランジとが固定される。これにより、コネクタハウジングと外導体との位置ずれを抑制できるので、基板用コネクタのシールド性能を向上できる。
【0017】
前記径大部は、前記奥壁から離れるにつれて拡径するテーパ面を有する。
【0018】
径大部にテーパ面が形成されていることにより、係止凹部内に充填された係止凸部が、係止凹部の内壁に密着しやすくなっている。これにより、コネクタハウジングと外導体とをより強固に固定することができる。
【0019】
また、本明細書に開示された技術は、機器であって、上記の基板用コネクタと、前記基板用コネクタが取り付けられた回路基板と、前記回路基板が収容されると共に、前記外導体と電気的に接続された金属製の筐体と、を備える。
【0020】
上記の構成によれば、金属製の筐体が外導体と電気的に接続されているので、筐体に収容された回路基板から発生するノイズが外部に漏洩することを、確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に開示された技術によれば、基板用コネクタのシールド性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】機器の基板用コネクタに相手方コネクタが嵌合した状態を示す断面図
【
図6】誘電体を示す、
図5とは異なる角度から見た斜視図
【
図10】実施形態2に係る基板用コネクタを示す斜視図
【
図12】実施形態3に係る基板用コネクタを示す分解斜視図
【
図14】実施形態3に係る基板用コネクタを示す側面図であって、係止凸部および係止凹部の断面形状が表された側面図
【
図15】実施形態4に係る基板用コネクタを示す側面図であって、係止凸部および係止凹部の断面形状が表された側面図
【
図16】実施形態5に係る基板用コネクタを示す側面図であって、係止凸部および係止凹部の断面形状が表された側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を
図1から
図9を参照しつつ説明する。本実施形態に係る基板用コネクタ10は、機器60の内部に収容された回路基板50に取り付けられる。以下の説明において、Z方向は上方を示し、Y方向は前方を示し、X方向は左方を示す。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付して、他の部材の符号を省略する場合がある。
【0024】
機器60
図1及び
図2に示すように機器60は、上方に開口する箱状をなすロアケース61と、ロアケース61に上方から組み付けられてロアケース61の開口を塞ぐアッパーケース62と、を備える。ロアケース61とアッパーケース62は導電性を有する金属製である。ロアケース61とアッパーケース62とが、ネジ止め、ロック構造等の公知の手法により一体に組み付けられることにより、筐体63が形成される。筐体63は全体として直方体形状をなしている。
【0025】
ロアケース61の前壁の上端縁には、下方に陥没した下側凹部64が形成されている。アッパーケース62の前壁の下端縁には、ロアケース61に組み付けられた状態で、ロアケース61の下側凹部64に対応する位置に、上方に切り欠かれた上側凹部65が形成されている。ロアケース61とアッパーケース62とが組み付けられた状態で、下側凹部64と上側凹部65とにより形成された空間内に、基板用コネクタ10が組み付けられるようになっている。
【0026】
筐体63内には、回路基板50が収容されている。回路基板50は、ネジ止め等の公知の手法により、筐体63に固定されている。回路基板50には、公知のプリント配線技術により、信号が伝送される信号用導電路53と、グランド用導電路54と、が形成されている。回路基板50の前端部寄りの位置には、複数(本実施形態であは4つ)の外導体用スルーホール51と、複数(本実施形態では2つ)の内導体用スルーホール52とが、回路基板50を上下方向に貫通して形成されている。外導体用スルーホール51の内面、及び内導体用スルーホール52の内面には、メッキ等により形成された導電路(図示せず)が形成されている。外導体用スルーホール51の内面に形成された導電路は、グランド用導電路54と電気的に接続されている。また、内導体用スルーホール52の内面に形成された導電路は信号用導電路53と電気的に接続されている。回路基板50には、図示しない電子部品が半田付け等の公知の手法により、信号用導電路53、及びグランド用導電路54に接続されている。
【0027】
基板用コネクタ10
図2に示すように、基板用コネクタ10は、回路基板50に取り付けられるコネクタハウジング11と、コネクタハウジング11に装着される外導体20と、外導体20の内部に収容される誘電体19と、誘電体19の内部に収容される内導体18と、を有する。
【0028】
コネクタハウジング11
図3及び
図9に示すように、コネクタハウジング11は、絶縁性の合成樹脂を射出成型することにより形成される。コネクタハウジング11は、前方(開口方向の一例)に開口すると共に、相手方コネクタ70が内嵌されるフード部15を備える。コネクタハウジング11のうち、フード部15の開口端部と反対側には奥壁30が設けられている。フード部15の上壁の前端縁(開口端部)には、下方に突出するロック部31が下方に突出して形成されている。
図2に示すように、ロック部31が、フード部15内に内嵌された相手方コネクタ70のロックアーム72と係合することにより、相手方コネクタ70がフード部15内に保持されるようになっている。
【0029】
奥壁30には、ロック部31の後方の位置に、コネクタハウジング11を射出成型する際にロック部31を形成するための型抜き孔32(貫通孔の一例)が、前後方向に奥壁30を貫通して形成されている。奥壁30の外面には、型抜き孔32の左右両側方に、後方に突出する係止凸部33が形成されている。係止凸部33は円柱状に形成されている(
図3参照)。
【0030】
奥壁30には、型抜き孔32の下方に、外導体20が挿通される外導体取り付け孔34が、前後方向に奥壁30を貫通して形成されている。外導体取り付け孔34の断面形状は、角が丸められた長方形状をなしている。
【0031】
外導体20
図4に
示す外導体20は、導電性を有する金属製である。外導体20を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を適宜に選択できる。外導体20は、鋳造、ダイキャスト、切削加工等、公知の手法により形成される。外導体20は、相手方コネクタ70に収容された相手方外導体73と電気的に接触するようになっている(
図2参照)。
【0032】
外導体20は、前後方向に延びると共に筒状をなす筒部21と、筒部21の後端縁から後方に延びる誘電体包囲部22と、筒部21と誘電体包囲部22との境界部分において、前後方向と交差する方向に突出するフランジ23と、を有する。
【0033】
筒部21の断面形状は、角が丸められた長方形状をなしている。筒部21の外形状は、奥壁30の外導体取り付け孔34の内形状と同じか、やや小さく設定されている。これにより、筒部21は、外導体取り付け孔34内に圧入されるようになっている。
【0034】
誘電体包囲部22は、後方から見て、下方に開口した門形状をなしている。誘電体包囲部22の内部には、誘電体19が、誘電体包囲部22によって、上方、右方、及び左方を包囲された状態で、収容されるようになっている。
【0035】
誘電体包囲部22の下端部には、下方に突出する円柱状をなす複数(本実施形態では4つ)の基板接続部24が設けられている。基板接続部24は、回路基板50の外導体用スルーホール51内に貫通されて、はんだ付け等の公知の手法により、外導体用スルーホール51の内面に形成された導電路と接続される。これにより、外導体20は回路基板50に形成されたグランド用導電路54と電気的に接続される。
【0036】
図9に示すように、筒部21が外導体取り付け孔34内に圧入された状態で、フランジ23は、奥壁30の後面に後方から接触するようになっている。フランジ23のうち、奥壁30の型抜き孔32に対応する位置は、閉塞部25とされ、型抜き孔32を後方から塞ぐようになっている。
【0037】
図7に示すように、フランジ23には、閉塞部25の左右両側方であって、奥壁30の係止凸部33に対応する位置に、それぞれ、フランジ23を前後方向に貫通する係止凹部26が形成されている。係止凹部26の断面形状は円形状をなしている。係止凹部26の内形状は、係止凸部33の外形状と、略同じに設定されている。略同じとは、同じである場合を含むと共に、同じでない場合であっても、実質的に同じと認定しうる場合も含む。
【0038】
誘電体19
誘電体19は、絶縁性を有する合成樹脂製を射出成型してなる。
図5及び図6に示すように、誘電体19は、概ね、断面L字型に形成されている。誘電体19は、内部に内導体18を収容可能な内導体収容室27を備える。内導体収容室27は、誘電体19を前後に貫通するとともに、下面側にも開口して形成されている。
【0039】
内導体18
図9に示すように、内導体18は、タブ状の金属板を途中で屈曲させることで形成され、前後方向(回路基板50の板面に沿う方向)に沿って延びるストレート部28と、ストレート部28に対して屈曲されて上下方向(回路基板50の板面と直交する方向)に沿って延びる屈曲部29とを備える。
【0040】
図2に示すように、ストレート部28には、相手方コネクタ70に収容された相手方内導体71が接触可能になっている。ストレート部28は、誘電体19よりも前方へ突き出している。一方、屈曲部29は、ストレート部28に対して下向きにほぼ直角に曲げられて、コネクタハウジング11の下面からさらに下方へ突出している。屈曲部29のうちコネクタハウジング11の下面からの突出部分が、回路基板50に形成された内導体用スルーホール52に対して差し込まれるとともに半田付けされることで、回路基板50に形成された信号用導電路53に対して電気的に接続される。
【0041】
続いて、本実施形態に係る基板用コネクタ10及び機器60の組み立て工程の一例について説明する。基板用コネクタ10及び機器60の組み立て工程は、以下の記載に限定されない。
【0042】
誘電体19の内導体収容室27内に、後方から内導体18を挿入する。続いて、内導体18を外導体20に対して、後方から組み付ける。これにより、誘電体19のうち前後方向に延びる部分が、外導体20の筒部21の内部に圧入される。
【0043】
続いて、コネクタハウジング11の外導体取り付け孔34に、外導体20の筒部21を後方から圧入する。このとき、フランジ23の係止凹部26内に、係止凸部33が挿入されるようにする。上記の工程により、基板用コネクタ10が完成する。
【0044】
次に、回路基板50に対して、上方から基板用コネクタ10を組み付ける。回路基板50の外導体用スルーホール51に対して、上方から基板接続部24を挿入すると共に、回路基板50の内導体用スルーホール52に対して、上方から屈曲部29の下端部を挿入する。その後、基板接続部24、及び屈曲部29の下端部を、はんだ付けにより、それぞれ、外導体用スルーホール51の内面に形成された導電路、及び、内導体用スルーホール52の内面に形成された導電路に固定する。
【0045】
回路基板50をロアケース61に固定する。ロアケース61の上方からアッパーケース62を組み付けて、ロアケース61とアッパーケース62とを固定し、筐体63を形成する。このとき、ロアケース61に設けられた下側凹部64の孔縁部を外導体20の外面に接触させると共に、アッパーケース62に設けられた上側凹部65の孔縁部を外導体20の外面に接触させる。これにより、外導体20と、筐体63とが電気的に接続される。以上により、機器60が完成する。
【0046】
フード部15内に、前方から相手方コネクタ70を嵌入させる。ロックアーム72が弾性変形し、ロック部31と弾性的に係合する。これにより、相手方コネクタ70が、コネクタハウジング11に抜け止め状態で保持される。この状態で、基板用コネクタ10の内導体18は、相手方コネクタ70の相手方内導体71と電気的に接続される。また、基板用コネクタ10の外導体20は、相手方コネクタ70の相手方外導体73と電気的に接続される。
【0047】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る基板用コネクタ10は、回路基板50に取り付けられる基板用コネクタ10であって、相手方コネクタ70が嵌合するフード部15を有すると共に、フード部15が開口する開口方向と反対側に設けられた奥壁30を有するコネクタハウジング11と、奥壁30を貫通して形成された外導体取り付け孔34に配設された外導体20と、外導体20の内部に配された絶縁性の誘電体19と、誘電体19の内部に配された内導体18と、を備え、外導体20は、奥壁30のうち外導体取り付け孔34と異なる位置に形成された型抜き孔32を塞ぐ閉塞部25を有する。
【0048】
上記の構成によれば、コネクタハウジング11に形成された型抜き孔32は、外導体20の閉塞部25によって塞がれている。これにより、回路基板50の信号用導電路53、グランド用導電路54、及び回路基板50に実装された電子部品等から発生したノイズが、基板用コネクタ10の型抜き孔32から外部に漏洩することを抑制することができる。これにより、基板用コネクタ10のシールド性能を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、外導体20は、前後方向に沿って延びると共に、内導体18の少なくも一部を収容する筒部21を有し、筒部21の外周には、外方に突出するフランジ23が設けられており、フランジ23に閉塞部25が設けられている。
【0050】
上記の構成によれば、コネクタハウジング11の奥壁30にフランジ23を接触させることにより、コネクタハウジング11と外導体20の、フード部15の前後方向についての位置合わせを容易に行うことができる。
【0051】
また、コネクタハウジング11の奥壁30とフランジ23とを接触させることにより、奥壁30の型抜き孔32を確実に塞ぐことができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、奥壁30に設けられた係止凸部33と、フランジ23に設けられた係止凹部26とが凹凸嵌合することにより、コネクタハウジング11と外導体20とが位置決めされている。
【0053】
上記の構成によれば、コネクタハウジング11と外導体20とを確実に位置決めすることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る機器60は、基板用コネクタ10と、基板用コネクタ10が取り付けられた回路基板50と、回路基板50が収容されると共に、外導体20と電気的に接続された金属製の筐体63と、を備えている。
【0055】
上記の構成によれば、金属製の筐体63が外導体20と電気的に接続されているので、筐体63に収容された回路基板50から発生するノイズが外部に漏洩することを、確実に抑制することができる。
【0056】
<実施形態2>
本明細書に開示された技術の実施形態2を
図10から
図11を参照しつつ説明する。この実施形態2に係る基板用コネクタ80では、外導体81のフランジ82に形成された係止凹部83は有底孔であって、フランジ82を貫通していない。これにより、コネクタハウジング11の奥壁30の後面のうち、フランジ82が後方から接触した部分については、奥壁30が後方に露出しないようになっている。
【0057】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
本実施形態によれば、回路基板50から発生したノイズは、外導体81のフランジ82によって電磁的にシールドされることにより、コネクタハウジング11の奥壁30から外部に漏洩することが抑制されるようになっている。
【0059】
<実施形態3>
本明細書に開示された技術の実施形態3について、
図12から
図14を参照しつつ説明する。
図12に示されるように、実施形態3にかかる基板用コネクタ90において、フランジ23に設けられた係止凹部91は、前側に位置する径小部92と、後側に位置するとともに径小部92よりも径大な径大部93とを有する。
【0060】
図13に示されるように、コネクタハウジング11の係止凸部33は、係止凹部91内に、前方から後方に貫通された状態で、後端部が加熱および加圧によりつぶされている。
【0061】
図14に示されるように、つぶされた係止凸部33は、コネクタハウジング11の奥壁30側に形成された径小部92と、奥壁30と反対側に設けられた径大部93内に充填された状態になっている。径大部93内に充填された係止凸部33が、フランジ
23のうち径小部92と径大部93との境界部分に後方から接触することにより、コネクタハウジング11とフランジ23とが前後方向について位置決めされた状態で固定されている。
【0062】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
上記の構成によれば、つぶされた係止凸部33が、係止凹部91のうち径大部93と径小部92との境界部分に後方から接触することにより、コネクタハウジング11とフランジ23とが固定される。これにより、熱溶着という簡易な手法によりコネクタハウジング11と外導体20とを固定できるので、基板用コネクタ90の製造作業を効率化することができる。また、コネクタハウジング11と外導体20との位置ずれを抑制できるので、基板用コネクタ90のシールド性能を向上できる。
【0064】
<実施形態4>
本明細書に開示された技術の実施形態4について、
図15を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる基板用コネクタ94においては、係止凹部95に形成された径大部93の前側の部分に、前方から後方に向かうに従って拡径するテーパ面96が形成されている。換言すると、テーパ面96は、コネクタハウジング11の奥壁30から離れるに従って拡径するように形成されている。
【0065】
コネクタハウジング11の係止凸部33は、係止凹部95内に貫通された後に、加熱、加圧されることによりつぶされて、係止凹部95内に充填された状態になっている。
【0066】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0067】
本実施形態においては、径大部93にテーパ面96が形成されていることにより、溶融、圧潰された係止凸部33が、係止凹部95の内壁に密着しやすくなっている。これにより、コネクタハウジング11と外導体20とをより強固に固定することができる。
【0068】
<実施形態5>
本明細書に開示された技術の実施形態5について、
図16を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる基板用コネクタ97においては、係止凹部98に形成された径大部99の内面は、全て、前方から後方に向かうに従って拡径するテーパ面100とされる。本実施形態にかかるテーパ面100も、コネクタハウジング11の奥壁30から離れるに従って拡径する形状に形成されている。
【0069】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0070】
本実施形態によれば、径大部99の内面が全てテーパ面100とされているので、溶融、圧潰された係止凸部33が、係止凹部98の内壁により密着しやすくなっている。これにより、コネクタハウジング11と外導体20とをさらに強固に固定することができる。
【0071】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0072】
(1)奥壁30に係止凹部26が設けられ、フランジ23に係止凸部33が設けられる構成としてもよい。また、係止凸部33と、係止凹部26は省略してもよい。
【0073】
(2)筐体63は、合成樹脂製であってもよい。
【0074】
(3)外導体20は、金属板材をプレス加工することにより形成される構成としてもよい。
【0075】
(4)内導体18は、1つでもよく、また、3つ以上の複数であってもよい。
【0076】
(5)奥壁30に形成された貫通孔は、ロック部31を射出成型するための型抜き孔32に限られず、排水孔、通気孔等、任意の目的で形成された貫通孔を含む。
【0077】
(6)閉塞部25は、コネクタハウジング11のうち、フランジ23と異なる部位に設けられる構成としてもよい。
【0078】
(7)係止凸部33の個数は1つでもよく、また、3つ以上でもよい。外導体には、係止凸部33と同数の係止凹部が設けられる。
【符号の説明】
【0079】
10,80,90,94,97:基板用コネクタ
11:コネクタハウジング
15:フード部
18:内導体
19:誘電体
20,81:外導体
21:筒部
22:誘電体包囲部
23,82:フランジ
24:基板接続部
25:閉塞部
26,83,91,95,98:係止凹部
27:内導体収容室
28:ストレート部
29:屈曲部
30:奥壁
31:ロック部
32:型抜き孔(貫通孔の一例)
33:係止凸部
34:外導体取り付け孔
50:回路基板
51:外導体用スルーホール
52:内導体用スルーホール
53:信号用導電路
54:グランド用導電路
60:機器
61:ロアケース
62:アッパーケース
63:筐体
64:下側凹部
65:上側凹部
70:相手方コネクタ
71:相手方内導体
72:ロックアーム
73:相手方外導体
92:径小部
93,99:径大部
96,100:テーパ面