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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/30 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
B65D75/30 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019225409
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021095143
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2020-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595016082
【氏名又は名称】ケーユーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴迪
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隼介
(72)【発明者】
【氏名】盤指 豪
(72)【発明者】
【氏名】内田 博
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】中野 裕之
【審判官】藤原 直欣
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-45090(JP,U)
【文献】特開2018-79974(JP,A)
【文献】特開2013-129446(JP,A)
【文献】実公昭37-30199(JP,Y1)
【文献】実開昭51-45089(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D75/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において、内容物を包むラップ部がマウント部に支持されたパッケージであって、
前記マウント部において前記X軸に沿って延びる境界線を介して連設された第一半面部および第二半面部に二分され、前記第一半面部および前記第二半面部が前記境界線で折り返されて互いに重ね合わせられ、前記X軸および前記Y軸の双方に沿う二重のシート状をなす重合部と、
前記マウント部において、前記境界線での折り返しが折り戻された展開状態で前記第一半面部および前記第二半面部に囲繞された開口が前記境界線の延長線で二つ折りにされて折り重ねられた領域の形状に、前記Z軸に沿う方向から視て前記境界線および前記延長線に沿う端辺から切り欠かれた切欠部と、を備え、
前記ラップ部は、前記Z軸に沿う方向から視て前記切欠部に前記内容物が配置された状態で前記第一半面部と前記第二半面部との間に挟装されるとともに前記Z軸に沿う方向の両側から前記内容物を包み、前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記展開状態では前記Z軸に沿う方向から視て前記開口を覆うとともに前記X軸および前記Y軸の双方に沿うシート状に延在し、前記延長線で二つ折りにされ、前記重合部に対して固定され、前記境界線に対して固定されておらず、前記重合部に対して固定されていない箇所が間欠的に設けられ
前記ラップ部の周縁のうち角部のみが前記重合部に対して固定され
ことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記ラップ部は、前記内容物の外形に応じて伸張する性状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記ラップ部は、前記内容物に対する周縁が封止されたシール部を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記ラップ部は、透明である
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記ラップ部は、網状体である
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記重合部は、前記第一半面部と前記第二半面部とが互いに固定された
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記マウント部において前記境界線上に設けられた罫線を備えた
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記マウント部は、前記展開状態で前記Z軸に沿う方向から視て前記境界線に対して線対称である
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記マウント部は、前記展開状態で前記Z軸に沿う方向から見て前記境界線に対して非線対称である
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記マウント部および前記ラップ部が同種の資材である
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を包装するパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を包装する袋体やケースが台紙に取り付けられたパッケージが知られている。たとえば、以下に示す二種のパッケージA,Bが提案されている。
・パッケージA:軟質の袋体が二つ折りの台紙に挟持され、台紙の下方に袋体が吊り
下げられたパッケージ。(特許文献1参照)
・パッケージB:内容物の外形に応じて硬質のケース(いわゆる「ブリスターパック
」)が成形され、ケースが台紙に取り付けられたパッケージ。(特
許文献2参照)
上記のパッケージAによれば、軟質の袋体に内容物が収容されることから、さまざまな外形の内容物を収容することができる。上記のパッケージBによれば、内容物の外形に応じて成形された硬質のケースに収容されることから、内容物を拘束することができ、内容物の保護性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3223422号公報
【文献】特開2018-2272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のパッケージAは、台紙の下方に軟質の袋体が吊り下げられるため内容物が十分に拘束されず、内容物の保護性が不十分となりうる。一方、上記のパッケージBは、成形された硬質のケースに内容物が収容されるため所定の外形以外をなす内容物に応じてケースが変形しにくく、さまざまな外形の内容物に対応するのが困難である。
よって、さまざまな外形の内容物を保護するうえで改善の余地がある。
【0005】
本件のパッケージは、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、さまざまな外形の内容物を保護することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示するパッケージは、互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において、内容物を包むラップ部がマウント部に支持され、重合部と切欠部とを備えている。
前記重合部は、前記マウント部において前記X軸に沿って延びる境界線を介して連設された第一半面部および第二半面部に二分され、前記第一半面部および前記第二半面部が前記境界線で折り返されて互いに重ね合わせられ、前記X軸および前記Y軸の双方に沿う二重のシート状をなす。
前記切欠部は、前記マウント部において、前記境界線での折り返しが折り戻された展開状態で前記第一半面部および前記第二半面部に囲繞された開口が前記境界線の延長線で二つ折りにされて折り重ねられた領域の形状に、前記Z軸に沿う方向から視て前記境界線および前記延長線に沿う端辺から切り欠かれている。
前記ラップ部は、前記Z軸に沿う方向から視て前記切欠部に前記内容物が配置された状態で前記第一半面部と前記第二半面部との間に挟装されるとともに前記Z軸に沿う方向の両側から前記内容物を包み、前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有する。
【発明の効果】
【0007】
本件のパッケージによれば、さまざまな外形の内容物を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】組み立てられた状態のパッケージを示す斜視図である。
図2】展開された状態のパッケージを示す分解斜視図である。
図3図2に示すラップ部および内容物の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態としてのパッケージを説明する。
本実施形態のパッケージは、内容物を包装する包装体である。パッケージで包装される内容物としては、化粧品,歯ブラシ,トイレタリーといったさまざまな物品(「被包装物」,「包装対象」とも称される)が挙げられる。
上記のパッケージは、展開可能な構成であって、展開された状態(以下「展開状態」と略称する)から組み立てられた状態(以下「組立状態」と略称する)をなす。展開状態のパッケージは、組み立て途中の半製品(シート材)をなす状態とも言える。
【0010】
下記の実施形態では、パッケージの説明で用いる方向の基準に、互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系を用いる。
この直交座標系において、X軸に沿う方向を「X方向」と称し、Y軸に沿う方向を「Y方向」と称し、Z軸に沿う方向を「Z方向」と称する。また、X方向およびY方向の双方に沿う平面を「XY平面」と称する。
【0011】
たとえば、X方向は、X軸の負から正に向かう方向とX軸の正から負に向かう方向とが互いに反対を向き、二種の方向を内在する。そこで、X方向の一方(一側)を「X1方向」と称し、X方向の他方(他側)を「X2方向」と称する。同様に、Y方向について、一方を「Y1方向」と称し、他方を「Y2方向」と称する。Z方向についても、一方を「Z1方向」と称し、他方を「Z2方向」と称する。
【0012】
[I.一実施形態]
以下に述べる一実施形態では、項目[1]でパッケージの構成を述べ、項目[2]で項目[1]の構成による作用および効果を述べる。
[1.構成]
図1および図2に示すように、パッケージPには、内容物9を包むラップ部1が設けられ、ラップ部1を支持するマウント部2が設けられている。
本項目[1]では、ラップ部1およびマウント部2の機能や性状といった基本的な構成を小項目[1-1]で説明し、ラップ部1およびマウント部2の詳細な構成を小項目[1-2]で説明する。
【0013】
[1-1.基本的な構成]
ラップ部1は、図1に示すように組立状態において、内容物9に対してZ1方向側(一側)およびZ2方向側(他側)の両側に配置された被包部材である。図2に示すように展開状態のラップ部1は、XY平面に沿って延在するとともにマウント部2に対してZ方向の一方に配置される。
このラップ部1は、内容物9の外形に応じて変形自在な軟質の性状(「柔軟性」や「可撓性」とも言える)を有する。ここでは、内容物9の外形に応じて伸張する性状(「伸張性」とも言える)も有する透明なラップ部1を例に挙げる。ただし、半透明や不透明のラップ部1を用いてもよく、伸張する性状が乏しいあるいは伸張する性状の無いラップ部1を用いてもよい。
【0014】
ラップ部1に用いられる資材としては、ポリプロピレンやポリエチレンといった種々の樹脂材を用いることができ、紙(好ましくは、中身が見える観点から半透明の紙であり、たとえば、グラシン紙、パラフィン紙、硫酸紙、パーチメント紙、擬羊皮紙や、透明化樹脂〈UV硬化型透明化樹脂、ロジン系水性透明化樹脂など〉を付与した紙が挙げられる)あるいはセルロースナノファイバーといったパルプ由来の資材を用いることもできる。
ここでは、ラップ部1が連続的に延在する薄膜状の形態をなす例を挙げる。ただし、メッシュ状の網状体や多孔質体といった断続的に延在する形態のラップ部1を用いてもよい。そのほか、ラップ部1に採用される資材や形態あるいは付加材料によって、通気性,脱臭性,防水性,撥水性といった機能性をラップ部1にもたせてもよい。
【0015】
マウント部2は、図1に示すように組立状態において、内容物9を包んだラップ部1を支持する部材である。
このマウント部2は、ラップ部1の支持部材であることから、内容物9を包むラップ部1を少なくとも支持可能な剛性や強度などの機械物性を有する。さらに、マウント部2は、軟質な性状のラップ部1とは対照的に、形状を維持する性状(「定形性」とも言える)を有する。ここでは、折り返し自在な枚葉状のマウント部2が用いられている。
【0016】
マウント部2に用いられる資材としては、ラップ部1の資材と同様に樹脂材やパルプ由来の資材などが挙げられる。たとえば、厚紙を資材とするマウント部2は、ラップ部1(パッケージP)の「台紙」と言える。
そのほか、ラップ部1およびマウント部2は、例示した種々の資材がそれぞれに採用可能ではあるものの、易廃棄性を確保する観点からは同種の資材で構成されることが好ましい。
【0017】
[1-2.詳細な構成]
==マウント部==
上記のマウント部2は、図1に示すように組立状態においてY1方向側でX方向に沿って延びる端辺Eで折り返されて重ね合わせられている。
このように重ね合わせられたマウント部2には、XY平面に沿って二重のシート状をなす重合部20が設けられ、端辺EからY2方向側に切り欠かれた切欠部3も設けられている。
【0018】
<重合部>
重合部20は、第一半面部21および第二半面部22がZ方向に互いに重ね合わせられた部位である。これらの半面部21,22は、マウント部2においてX方向に延びる境界線L1を介して連設され、XY平面に沿って延在する。
上記の半面部21,22は、図1に示すように組立状態では境界線L1において折り返されており、図2に示すように境界線L1での折り返しが折り戻された展開状態ではY方向に並んで配置される。なお、境界線L1上には、折り返しを案内する罫線が設けられている。
【0019】
これらの半面部21,22は、互いに重ね合わせられることから、図1に示すように組立状態ではZ方向から視た形状が一致しており、図2に示すように展開状態では境界線L1に対して線対称な形状をなす。
ここでは、第一半面部21および第二半面部22(すなわち重合部20)ならびに境界線L1からマウント部2が構成されており、展開状態で境界線L1に対して線対称なマウント部2の設けられたパッケージPを例示する。ただし、上記のように線対称なマウント部2に限らず、第一半面部21および第二半面部22の何れか一方が他方よりも延出しており、展開状態で境界線L1に対して非線対称なマウント部2を用いてもよい。
【0020】
そのほか、半面部21,22は、組立状態で互いに固定されている。たとえば、半面部21,22のうちラップ部1とZ方向に重複しない貼付箇所Gが接着材で互いに固定される。ただし、半面部21,22どうしがステープラで固定されていてもよい。
上記のように境界線L1で二分された半面部21,22は、図2に示すように展開状態でZ方向に貫通する開口3′を囲繞する。このように窓状をなす開口3′は、図1に示す組立状態の切欠部3に対応する。
【0021】
<切欠部>
切欠部3は、ラップ部1や内容物9が配置される部位である。ここでは、図1に示すように組立状態でZ方向から視て切欠部3に収まる範囲に内容物9が配置され、図2に示すように展開状態でZ方向から視て開口3′のうち境界線L1の延長線L2に対して一方の半部に収まる範囲に内容物9が配置されている。
この切欠部3は、内容物9に応じた形状をなす。詳細に言えば、Z方向から視た切欠部3の形状は、包装される姿勢の内容物9をZ方向から視た外形に対してX方向およびY方向に余裕(マージン)をもたせた形状に設定される。このように設定される切欠部3の形状に合わせて、開口3′の形状も設定される。
【0022】
この切欠部3は、延長線L2で開口3′が二つ折りにされて折り重ねられた領域の形状をなし、マウント部2(パッケージP)において境界線L1および延長線L2に沿う端辺Eから切り欠かれている。すなわち、マウント部2において折り返された側の端辺Eから切り欠かれた部位が切欠部3である。ここでは、延長線L2に対して線対称の開口3′を例示する。そのため、開口3′が二つ折りにされた領域がZ方向から視て一致する。
ただし、開口3′は、延長線L2に対して線対称でなくてもよい。この場合の延長線L2で二つ折りにされる開口3′の領域は、延長線L2に対してY1方向の一側領域と延長線L2に対してY2方向の他側領域とが一致せず、一側領域と他側領域とが折り重ねられた領域の形状が切欠部3の形状となる。
【0023】
そのほか、マウント部2には、パッケージPを吊り下げるための穴Hが付設されている。ここでは、半面部21,22のそれぞれに穿設された円形の穴Hを例示する。ただし、穴Hには、円形に限らず、吊り下げ用の穴として公知のさまざまな形状を採用することができ、パッケージPの重心や内容物9の陳列姿勢を考慮した配置が採用されうる。
図1図2には、X方向を上下方向とする姿勢でパッケージPが陳列される場合の穴Hを例示する。この穴Hは、切欠部3に対してX方向側に配置される。ただし、Y方向を上下方向とする姿勢でパッケージPが陳列される場合には、切欠部3に対してY方向側に穴Hが配置される。
【0024】
==ラップ部==
ラップ部1は、図2に示すように展開状態において、Z方向から視て開口3′を覆う範囲にXY平面に沿ってシート状に延在し、Z方向から視て開口3′に対して周縁1Fが半面部21,22に対してZ方向に重複する。ここでは、展開状態でZ方向から視て、半面部21,22よりも小さい外形の矩形状をなすラップ部1を例示する。開口3′を窓に準えれば、半面部21,22は窓枠に対応し、ラップ部1は窓ガラスに対応する。
【0025】
このラップ部1は、図2に示すように展開状態におけるシート状の形態から半面部21,22が境界線L1で折り返される組立時に延長線L2で二つ折りに折り返される。そして、組立状態のラップ部1は、図1に示すように、フランジ状の周縁1Fが半面部21,22どうしの間に挟装されるとともにZ1方向側およびZ2方向側の双方から内容物9を包む。
【0026】
このように内容物9を包むラップ部1は、異物の混入を抑える観点からは、組立状態で内容物9を封入した状態であることが好ましい。
そこで、展開状態と同様の状態をなす半製品のパッケージPにおいて周縁1Fに接着剤や粘着剤が塗布されていてもよい。この場合には、延長線L2で折り返された組立状態のパッケージPでは、延長線L2に対して周縁1FにおけるZ1方向およびZ2方向の何れか一方と他方とが貼り付けられる。
【0027】
あるいは、マウント部2に耐熱性の資材が用いられるとともにラップ部1に熱可塑性の資材が用いられたうえで半面部21,22を介してラップ部1の周縁1Fが加熱されると、周縁1FどうしがZ方向に熱溶着される。
これらの接着剤や熱溶着といった公知のシール手法によって、内容物9の周縁が封止されたシール部をラップ部1に設けてもよい。
【0028】
ただし、図3に示すように予め内容物9が封入された状態のラップ部1を用意し、展開状態で開口3′に対してZ方向に重複する箇所に内容物9の配置されたラップ部1の周縁1Fが組立状態で半面部21,22によって挟装されてもよい。このように予め内容物9に対する周縁1Fがシール部Sで封止されたラップ部1の形態としては、下記のシール形態SA,SBなどが挙げられる。
・シール形態SA:ラップ部1が二つ折りにされたうえで二つ折りの折線Fを除く三
方にシール部Sが設けられた形態(図3において三箇所のシール
部Sが設けられた形態)
・シール形態SB:平袋状のラップ部1に内容物9が収容されたうえで袋開口の一方
にシール部Sが設けられた形態(図3においてX方向に延びるシ
ール部Sのみが設けられた形態)
【0029】
さらに、ラップ部1は、重合部20に対して周縁1Fが接着剤や粘着剤といった公知の手法で貼付(固定)されている。
ここでは、図2に示すように、半面部21,22のそれぞれに対する周縁1Fの貼付箇所Tが断続的に設定されている。換言すれば、重合部20に対して固定されていない非貼付箇所Uが間欠的に設けられ、重合部20に対して固定された貼付箇所Tが断続的に設けられている。ただし、ラップ部1の周縁1Fが重合部20に対して連続的に貼り付けられていてもよい。
【0030】
そのほか、Z方向から視て周縁1Fと重複する領域の半面部21,22を貫通するステープラを設けてもよい。このステープラは、以下に示す二種の固定手段I,IIとして兼用される。
・固定手段 I :重合部20に対するラップ部1の固定手段
・固定手段II:重合部20における半面部21,22どうしの固定手段
ただし、ラップ部1は、半面部21,22に挟装されるだけで重合部20に固定されていなくてもよい。
【0031】
[2.作用および効果]
本実施形態のパッケージPは、上述の構成を備えるため、下記のような効果を得ることができる。
本項目[2]では、パッケージPによる主な効果を小項目[2-1]で述べ、ラップ部1による詳細な効果を小項目[2-2]で述べ、マウント部2による詳細な効果を小項目[2-3]で述べる。
【0032】
[2-1.パッケージ]
軟質の性状を有するラップ部1で内容物9が包まれることから、内容物9の外形に応じてラップ部1が変形可能であり、さまざまな外形の内容物9を収容するのに対応することができる。
また、半面部21,22で囲繞される開口が二つ折りにされて折り重ねられた形状に切り欠かれた切欠部3に内容物9が配置された状態でラップ部1の周縁1Fが半面部21,22に挟装される。そのため、内容物9を包むラップ部1が延長線L2を除く三方から支持され、包装された内容物9を拘束することができる。このようにしてシュリンク包装で拘束される被包装物のように内容物9がラップ部1によって包まれることで、内容物9の保護性を確保することもできる。
よって、パッケージPによってさまざまな外形の内容物9を保護することができる。
【0033】
さらに、軟質の性状を有するラップ部1が用いられることにより、以下に列挙する効果α,β,γを得ることもできる。
==効果α==
硬質の樹脂ケースが用いられたブリスターパックと比較して、プラスチックの使用を抑制あるいは脱却(いわゆる「脱プラ」)することができ、環境負荷を低減させることができる。
==効果β==
内容物9が包装される姿勢の自由度を高めることができ、組立状態における半面部21,22の延在領域を確保することもできる。よって、内容物9の商品説明や宣伝文句といったデザインを施す領域をパッケージPに確保することも可能となる。
==効果γ==
マウント部2の重心に対して内容物9の重心がZ方向へ偏倚するのを抑えることができる。たとえば、マウント部2に対してZ1方向およびZ2方向の双方にバランスよくはみ出した姿勢で内容物9を包装することができる。これにより、穴Hを介して吊り下げられたパッケージPにおけるマウント部2の反りあるいは折れ曲がりといった歪形を抑えることができる。
【0034】
そのほか、マウント部2およびラップ部1が同種の資材であれば、マウント部2とラップ部1とを資材の種別ごとに分別せずに廃棄することができ、易廃棄性を確保することができる。たとえば、マウント部2およびラップ部1が紙資材であれば、内容物9の取り出されたパッケージPを資源ゴミや可燃ゴミとして廃棄することができ、プラスチックの資材を削減することができる。
【0035】
[2-2.ラップ部]
伸張する性状を有するラップ部1によれば、より大きなサイズの内容物9に対応することができ、内容物9の拘束性を高めることもできる。
重合部20に対して貼付されたラップ部1によれば、重合部20に対するラップ部1や内容物9の脱落を確実に抑えることができる。
さらに、ラップ部1の周縁1Fが重合部20に対して固定されていない非貼付箇所Uが間欠的に設けられていることから、周縁1Fが連続的に重合部20に対して固定されたのと比較して、内容物9を包むラップ部1の変形自由度を高めることができる。よって、多様な外形をなす内容物9への対応性の向上に寄与する。
【0036】
ただし、ラップ部1の周縁1Fが連続的に重合部20に対して固定されていれば、重合部20に対するラップ部1の位置ズレを確実に抑えることができ、内容物9の拘束性を向上させるのに寄与する。
ラップ部1が重合部20に対して挟装されるだけで固定されていなければ、パッケージPから内容物9が取り出し易く、開封作業性を高めることができる。
【0037】
展開状態においてZ方向から視て開口3′を覆うとともにXY平面に沿うシート状に延在するラップ部1とXY平面に沿うシート状の重合部20とから組み立てられるパッケージPによれば、展開状態と同様の状態をなす半製品のZ方向への嵩や厚みが抑えられる。
内容物9の周縁が封止されたシール部Sの設けられたラップ部1によれば、ラップ部1と内容物9との間へ異物が混入するのを確実に抑えることができ、内容物9の保護性を向上させるのに寄与する。
【0038】
透明のラップ部1によれば、内容物9をラップ部1の外部から視認可能であり、内容物9の外観による訴求力を阻害することのないパッケージPを提供することができる。
網状体のラップ部1が用いられた場合には、ラップ部1の外部からの内容物9の視認性を確保することができるうえに通気性や伸張性といった機能性を網状体の構造で付加することが可能である。
【0039】
[2-3.マウント部]
半面部21,22どうしが互いに固定された重合部20によれば、半面部21,22どうしの折り戻りによる離隔が抑えられることでラップ部1が確実に挟装され、マウント部2に対してラップ部1を確実に支持することができる。
マウント部2の境界線L1上に罫線が設けられていれば、半面部21,22を境界線L1で円滑に折り返すことができ、パッケージPの組み立て作業性を高めることができる。
【0040】
展開状態で境界線L1に対して線対称なマウント部2によれば、パッケージPを簡素な構成とすることができ、製造コストの低減に寄与する。
一方、展開状態で境界線L1に対して非線対称なマウント部2によれば、デザイン領域の拡縮や資材量の最適化といった設計の自由度が向上し、パッケージPの商品性を高めうる。
【0041】
[II.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0042】
たとえば、第一半面部および第二半面部は、境界線を介して連設された一体の形態に限らず、上述の境界線に対応する箇所においてテープ材で連設された別体の形態であってもよい。
そのほか、展開状態においてZ方向から視て開口の延長線を跨いで内容物が配置されてもよい。この場合には、組立状態においてZ方向から視て切欠部からはみ出す範囲に内容物が配置されるため、パッケージには伸張する性状のラップ部が用いられる。
以上の実施形態に関し、以下の付記を示す。
〔付記1〕
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において、内容物を包むラップ部がマウント部に支持されたパッケージであって、
前記マウント部において前記X軸に沿って延びる境界線を介して連設された第一半面部および第二半面部に二分され、前記第一半面部および前記第二半面部が前記境界線で折り返されて互いに重ね合わせられ、前記X軸および前記Y軸の双方に沿う二重のシート状をなす重合部と、
前記マウント部において、前記境界線での折り返しが折り戻された展開状態で前記第一半面部および前記第二半面部に囲繞された開口が前記境界線の延長線で二つ折りにされて折り重ねられた領域の形状に、前記Z軸に沿う方向から視て前記境界線および前記延長線に沿う端辺から切り欠かれた切欠部と、を備え、
前記ラップ部は、前記Z軸に沿う方向から視て前記切欠部に前記内容物が配置された状態で前記第一半面部と前記第二半面部との間に挟装されるとともに前記Z軸に沿う方向の両側から前記内容物を包み、前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有する
ことを特徴とするパッケージ。
〔付記2〕
前記ラップ部は、前記内容物の外形に応じて伸張する性状を有する
ことを特徴とする付記1に記載のパッケージ。
〔付記3〕
前記ラップ部は、前記重合部に対して固定された
ことを特徴とする付記1または2に記載のパッケージ。
〔付記4〕
前記ラップ部は、前記重合部に対して固定されていない箇所が間欠的に設けられた
ことを特徴とする付記3に記載のパッケージ。
〔付記5〕
前記ラップ部は、前記重合部に挟装されるだけで前記重合部に固定されていない
ことを特徴とする付記1または2に記載のパッケージ。
〔付記6〕
前記ラップ部は、前記展開状態では前記Z軸に沿う方向から視て前記開口を覆うとともに前記X軸および前記Y軸の双方に沿うシート状に延在し、前記延長線で二つ折りにされた
ことを特徴とする付記1~5の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記7〕
前記ラップ部は、前記内容物に対する周縁が封止されたシール部を有する
ことを特徴とする付記1~6の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記8〕
前記ラップ部は、透明である
ことを特徴とする付記1~7の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記9〕
前記ラップ部は、網状体である
ことを特徴とする付記1~8の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記10〕
前記重合部は、前記第一半面部と前記第二半面部とが互いに固定された
ことを特徴とする付記1~9の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記11〕
前記マウント部において前記境界線上に設けられた罫線を備えた
ことを特徴とする付記1~10の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記12〕
前記マウント部は、前記展開状態で前記Z軸に沿う方向から視て前記境界線に対して線
対称である
ことを特徴とする付記1~11の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記13〕
前記マウント部は、前記展開状態で前記Z軸に沿う方向から見て前記境界線に対して非線対称である
ことを特徴とする付記1~11の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記14〕
前記マウント部および前記ラップ部が同種の資材である
ことを特徴とする付記1~13の何れか1項に記載のパッケージ。
【符号の説明】
【0043】
1 ラップ部
1F 周縁
2 マウント部
20 重合部
21 第一半面部
22 第二半面部
3 切欠部
3′ 開口
9 内容物
E 端辺
F 折線
G 貼付箇所
H 穴
L1 境界線
L2 延長線
P パッケージ
S シール部
T 貼付箇所
U 非貼付箇所
図1
図2
図3