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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 73/00 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
B65D73/00 F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020010618
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021116101
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2020-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595016082
【氏名又は名称】ケーユーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】塩田 隼介
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴迪
(72)【発明者】
【氏名】川浪 悠生
(72)【発明者】
【氏名】盤指 豪
(72)【発明者】
【氏名】内田 博
(72)【発明者】
【氏名】山本 卓
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】中野 裕之
【審判官】藤原 直欣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100116(JP,A)
【文献】実開昭51-45090(JP,U)
【文献】特開2014-172648(JP,A)
【文献】特開2018-79974(JP,A)
【文献】特開2013-129446(JP,A)
【文献】実公昭37-30199(JP,Y1)
【文献】実開昭51-45089(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装するパッケージであって、
前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられたベース部と、
前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設された重合部と、
前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通した二重窓部と、
前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包むラップ部と、を備え、
前記ラップ部は、前記内容物に対して前記Z軸に沿う方向の前記他側が前記ベース部および前記重合部に固定されておらず、前記重合部の前記第一面部と前記第二面部との間に掛け渡された
ことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記ラップ部は、前記内容物の外形に応じて伸張する性状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記ラップ部は、前記内容物を包んだ状態で前記X軸に沿う方向から視て前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の前記一側に離間した
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記ラップ部は、前記重合部に対して前記第一面部および前記第二面部に固定された
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記ラップ部は、前記重合部に対して固定されていない箇所が間欠的に設けられた
ことを特徴とする請求項4に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記ラップ部は、前記重合部に挟装されるだけで前記重合部に固定されていない
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記ラップ部は、前記内容物に対する周囲が封止されたシール部を有する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記ラップ部は、透明または半透明である
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記ラップ部は、網状体である
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記重合部は、前記ベース部を介して前記第一面部と前記第二面部とが連設された
ことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記ベース部は、前記X軸に沿う方向において前記重合部から離間するほど前記Z軸に沿う方向の前記他側に配置された傾斜部が付設され、
前記傾斜部は、前記Z軸に沿う方向の前記一側が前記重合部におけるに前記Z軸に沿う方向の前記他側に連設された
ことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記二重窓部に連設され、前記傾斜部の法線方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記傾斜部で囲繞された傾斜窓部を備えた
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記ベース部は、前記傾斜部における前記Z軸に沿う方向の前記他側どうしを連設する底部を有し、前記Z軸に沿う方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記底部で囲繞された底窓部を備えた
ことを特徴とする請求項11または12に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記重合部および前記ベース部ならびに前記ラップ部が同種の資材である
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載のパッケージ。
【請求項15】
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装するパッケージであって、
前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられたベース部と、
前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設された重合部と、
前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通した二重窓部と、
前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一
面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包むラップ部と、を備え、
前記ラップ部は、前記内容物を包んだ状態で前記X軸に沿う方向から視て前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の前記一側に離間した
ことを特徴とするパッケージ
【請求項16】
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装するパッケージであって、
前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられたベース部と、
前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設された重合部と、
前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通した二重窓部と、
前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包むラップ部と、を備え、
前記ベース部は、前記X軸に沿う方向において前記重合部から離間するほど前記Z軸に沿う方向の前記他側に配置された傾斜部が付設され、
前記傾斜部は、前記Z軸に沿う方向の前記一側が前記重合部におけるに前記Z軸に沿う方向の前記他側に連設され、
前記二重窓部に連設され、前記傾斜部の法線方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記傾斜部で囲繞された傾斜窓部を備えた
ことを特徴とするパッケージ。
【請求項17】
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装するパッケージであって、
前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられたベース部と、
前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設された重合部と、
前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通した二重窓部と、
前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包むラップ部と、を備え、
前記ベース部は、前記X軸に沿う方向において前記重合部から離間するほど前記Z軸に沿う方向の前記他側に配置された傾斜部が付設され、
前記傾斜部は、前記Z軸に沿う方向の前記一側が前記重合部におけるに前記Z軸に沿う方向の前記他側に連設され、
前記ベース部は、前記傾斜部における前記Z軸に沿う方向の前記他側どうしを連設する底部を有し、前記Z軸に沿う方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記底部で囲繞された底窓部を備えた
ことを特徴とするパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を包装する自立可能なパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を覆うプリスタパックやフィルムが窓枠状のマウント部に支持されたパッケージが知られている。さらに、マウント部に付設されたベース部によって自立可能なパッケージも提案されている。たとえば、マウント部に取り付けられた一対のフィルムで水平方向に挟み込まれた内容物の底部がベース部に対して直に載置(いわゆる「直置き」)されるパッケージが検討されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように内容物の底部がベース部に接触するパッケージでは、内容物の底部がフィルムで覆われておらず、内容物の保護性が不十分となるおそれがある。よって、パッケージによる内容物の保護性を高めるうえで改善の余地がある。
本件のパッケージは、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、内容物の保護性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示するパッケージは、互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装し、ベース部,重合部,二重窓部,ラップ部を備えている。
前記ベース部は、前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられている。
前記重合部は、前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設されている。
前記二重窓部は、前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通している。
前記ラップ部は、前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包む。
【発明の効果】
【0006】
本件のパッケージによれば、内容物の保護性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】組み立てられた状態のパッケージを示す斜視図である。
図2】展開された状態のパッケージを示す分解斜視図である。
図3図2に示すラップ部および内容物の変形例を示す斜視図である
図4】組み立てられた状態のパッケージの変形例を示す斜視図である。
図5】展開された状態のパッケージの変形例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態としてのパッケージを説明する。
本実施形態のパッケージは、内容物を包装する自立可能な包装体である。パッケージで包装される内容物としては、化粧品,歯ブラシ,トイレタリーといったさまざまな物品(「被包装物」,「包装対象」とも称される)が挙げられる。
上記のパッケージは、展開可能な構成であって、展開された状態(以下「展開状態」と略称する)から組み立てられた状態(以下「組立状態」と略称する)をなす。展開状態のパッケージは、組み立て途中の半製品(シート材)をなす状態とも言える。
【0009】
下記の実施形態では、パッケージの説明で用いる方向の基準に、互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系を用いる。
この直交座標系において、X軸に沿う方向を「X方向」と称し、Y軸に沿う方向を「Y方向」と称し、Z軸に沿う方向を「Z方向」と称する。また、X方向およびY方向の双方に沿う平面を「XY平面」と称し、Y方向およびZ方向の双方に沿う平面を「YZ平面」と称する。
【0010】
X方向は、X軸の負から正に向かう方向とX軸の正から負に向かう方向とが互いに反対を向き、二種の方向を内在する。そこで、X方向の一方を「X1方向」と称し、X方向の他方を「X2方向」と称する。同様に、Y方向について、一方を「Y1方向」と称し、他方を「Y2方向」と称する。Z方向についても、一方を「Z1方向」(一側)と称し、他方を「Z2方向」(他側)と称する。
【0011】
そのほか、X方向から視ることを「X方向視」と称する。同様に、Z方向から視ることを「Z方向視」(組立状態における平面視)と称する。
なお、本実施形態でいう「沿う」とは、基準となる方向や平面と平行な向きに限らず、基準となる方向や平面に対して5[°]や10[°]といった45[°]未満の角度で傾斜した向きも含むことを意味する。
【0012】
[I.一実施形態]
以下に述べる一実施形態では、項目[1]でパッケージの構成を述べ、項目[2]で項目[1]の構成による作用および効果を述べる。
[1.構成]
図1および図2に示すように、パッケージPには、内容物9を包むラップ部1が設けられ、ラップ部1の取り付けられたマウント部2が設けられている。
【0013】
本実施形態では、図2に示すように展開状態において、X方向に対称であってY方向にも対称に設けられたラップ部1およびマウント部2を例に挙げる。X方向に対称な構成を具体的に言えば、ラップ部1がY方向に延びる対称軸C1を基準に対称に設けられ、マウント部2がY方向に延びる対称軸C2を基準に対称に設けられている。
本項目[1]では、ラップ部1の構成を小項目[1-1]で説明し、マウント部2の構成を小項目[1-2]で説明し、マウント部2に対するラップ部1の取り付けに関する構成を小項目[1-3]で説明する。
【0014】
[1-1.ラップ部]
ラップ部1は、内容物9の被包部材であり、図1に示すように組立状態で内容物9に対してX1方向側およびX2方向側の両側に配置されるとともにZ2方向側にも配置される。このようにX1方向,X2方向およびZ2方向の少なくとも三方から内容物9を覆うラップ部1は、図2に示すように展開状態では、XY平面に沿って延在するとともにマウント部2に対してZ1方向側に配置され、内容物9に対してZ2方向側に配置される。
【0015】
このラップ部1は、組立状態における内容物9に対する位置によって下記の三部位に大別される。
・第一ラップ部11:内容物9に対してX1方向側の部位
・第二ラップ部12:内容物9に対してX2方向側の部位
・第三ラップ部13:内容物9に対してZ2方向側の部位
【0016】
第一ラップ部11および第二ラップ部12は、組立状態においてX方向に対面するとともにYZ平面に沿って延在する。第三ラップ部13は、組立状態において第一ラップ部11と第二ラップ部12との間で概ねZ方向を向いて折り返された部位である。これらのラップ部11~13は、展開状態ではXY平面に延在する一体の部位であり、X1方向からX2方向へ向けて第一ラップ部11,第三ラップ部13,第二ラップ部12の順に並ぶ。
【0017】
上記のラップ部1は、内容物9の外形に応じて変形自在な軟質の性状(「柔軟性」や「可撓性」とも言える)を有する。ここでは、内容物9の外形に応じて伸張する性状(「伸張性」とも言える)も有する透明なラップ部1を例に挙げる。ただし、半透明や不透明のラップ部1を用いてもよく、伸張する性状の乏しいあるいは伸張する性状の無いラップ部1を用いてもよい。
【0018】
ラップ部1の資材としては、ポリプロピレンやポリエチレンといった種々の樹脂材を用いることができ、紙(好ましくは、中身が見える観点から半透明の紙であり、たとえば、グラシン紙、パラフィン紙、硫酸紙、パーチメント紙、擬羊皮紙や、透明化樹脂〈UV硬化型透明化樹脂、ロジン系水性透明化樹脂など〉を付与した紙が挙げられる)あるいはセルロースナノファイバーといったパルプ由来の資材を用いることもできる。
【0019】
ここでは、ラップ部1が連続的に延在するフィルム状(薄膜状)の形態をなす例を挙げる。ただし、メッシュ状の網状体や多孔質体といった断続的に延在する形態のラップ部1を用いてもよい。そのほか、ラップ部1に採用される資材や形態あるいは付加材料によって、通気性,脱臭性,防水性,撥水性といった機能性をラップ部1にもたせてもよい。
【0020】
[1-2.マウント部]
マウント部2は、図1に示すように組立状態において、内容物9を包んだラップ部1が取り付けられる部材であることから、内容物9を包むラップ部1を少なくとも支持可能な剛性や強度などの機械物性を有する。さらに、マウント部2は、軟質な性状のラップ部1とは対照的に、形状を維持する性状(「定形性」とも言える)を有する。ここでは、折り曲げ自在な枚葉状のマウント部2が用いられている。
【0021】
マウント部2に用いられる資材としては、ラップ部1の資材と同様に樹脂材やパルプ由来の資材などが挙げられる。たとえば、厚紙を資材とするマウント部2は、ラップ部1(パッケージP)の「台紙」と言える。
そのほか、ラップ部1およびマウント部2は、例示した種々の資材がそれぞれに採用可能ではあるものの、易廃棄性を確保する観点からは同種の資材で構成されることが好ましい。
【0022】
上記のマウント部2には、組立状態でYZ平面に沿って延在する重合部3と、組立状態でXY平面に沿って延在するベース部4と、マウント部2の厚み方向(展開状態のZ方向)に貫通した窓部5とが設けられている。
重合部3は、組立状態においてZ方向視でベース部4におけるX方向の中間であってベース部4に対してZ1方向側に配置され、ベース部4と連設されている。窓部5は、少なくとも重合部3に囲まれた開口部である。本実施形態で例説する窓部5は、重合部3だけでなくベース部4にも囲繞されている。
【0023】
==重合部==
重合部3は、組立状態で下記の第一面部31および第二面部32がX方向に重ね合わせられた二重のシート状をなす部位である。
・第一面部31:X1方向側でYZ平面に沿って延在する面状の部位
・第二面部32:X2方向側でYZ平面に沿って延在する面状の部位
【0024】
第一面部31および第二面部32は、ベース部4を介して連設されている。展開状態では、図2に示すように、X1方向側に配置された第一面部31とX2方向側に配置された第二面部32とのX方向中間にベース部4が配置されている。組立状態では、図1に示すように、第一面部31におけるZ2方向側の端縁と第二面部32におけるZ2方向側の端縁とがベース部4に連設され、ベース部4によって面部31,32どうしが一体に接続されている。
【0025】
これらの面部31,32が重ね合わせられた重合部3は、コの字の開放側をZ2方向側に向けた概形をなし、X方向視においてZ1方向を上方とした門形をなすとも言える。
第一面部31および第二面部32は、互いに重ね合わせられることから、図1に示すように組立状態ではX方向視の形状が一致している。ただし、X方向視の形状が一致する面部31,32に限らず、第一面部31および第二面部32の何れか一方が他方よりも延出していてもよい。
【0026】
面部31,32は、重ね合わせられた状態を保持するために、組立状態において互いに固定されている。
たとえば、図2に示すように、面部31,32のうちラップ部1とX方向に重複しない貼付箇所Gが接着剤で互いに固定される。あるいは、貼付箇所Gにおいて接着剤に代えてまたは加えて面部31,32どうしがステープラで固定される。
【0027】
そのほか、重合部3には、パッケージPを吊り下げるための穴Hが付設されている。穴Hは、面部31,32どうしが重ね合わせられた組立状態においてX方向視で重複する位置に設けられている。ここでは、面部31,32のそれぞれに穿設された円形の穴Hを例示する。ただし、穴Hの形状には、円形に限らず、吊り下げ用の穴として公知のさまざまな形状を採用することができ、パッケージPの重心や内容物9の陳列姿勢を考慮した配置が採用されうる。
図1図2には、Z1方向を上方とする姿勢でパッケージPが陳列される場合の穴Hを例示する。この穴Hは、組立状態の重合部3においてZ1方向側に配置されている。
【0028】
==ベース部==
ベース部4は、Z2方向を下方とする姿勢でパッケージPを自立させる脚部として機能する部位である。
このベース部4には、上記のように自立した状態において、水平方向と平行または略平行に延在する底部41が設けられている。ここで例説するベース部4には、底部41と重合部3との間でXY平面に対して傾斜した傾斜部42も付設されている。
【0029】
底部41は、Z2方向を下方としてパッケージPが自立した姿勢で下側(Z2方向側)の面が載置面をなす部位である。
底部41におけるX方向の端縁には、重合部3(Z1方向側)へ向けて傾斜する一対の傾斜部42が連設されている。すなわち、ベース部4は、底部41に対してX方向外側の部位が先端をZ1方向に浮かせた状態で折り返された傾斜部42が設けられている。言い換えれば、一対の傾斜部42におけるZ2方向側の端縁どうしが底部41で連設される。
ここで例示する傾斜部42のそれぞれは、矩形状をなす二片の部位がY方向に離間して設けられている。
【0030】
なお、底部41と傾斜部42との間には、折り返し用の罫線FT(折返線)が設けられている。
傾斜部42のそれぞれは、底部41(ベース部4)のX方向中間に向かうほどZ1方向側へ位置する向きで傾斜した切妻屋根状の部位である。言い換えれば、傾斜部42は、重合部3からX方向へ離間するほどZ2方向に配置されている。
【0031】
詳細に言えば、一対の傾斜部42におけるX1方向側の一方は、第一面部31におけるZ2方向側の端縁と底部41におけるX1方向側の端縁との間に設けられ、重合部3からX1方向へ離間するほどZ2方向側に配置されている。また、一対の傾斜部42におけるX2方向側の他方は、第二面部32におけるZ2方向側の端縁と底部41のX2方向側の端縁との間に設けられ、重合部3からX2方向へ離間するほどZ2方向側に配置されている。
なお、傾斜部42と面部31,32との間には、折り立て用の罫線FS(折立線)が設けられている。
【0032】
==窓部==
窓部5は、パッケージPにおいてラップ部1の取り付け箇所を除く部位が露出した状態で配置される開口であり、内容物9が配置される領域でもある。窓部5には、組立状態においてX方向視で窓部5に収まる範囲に内容物9が配置される。
この窓部5は、内容物9に応じた形状をなす。詳細に言えば、図1に示すように組立状態でX方向視における窓部5の形状は、包装される姿勢の内容物9をX方向から視た外形に対してY方向およびZ方向に余裕(マージン)をもたせた形状に設定される。
【0033】
ここで例示する窓部5には、以下に示す窓部5D,5Iが連続して設けられている。
・二重窓部5D:重合部3によって囲まれる窓部5
・傾斜窓部5I:傾斜部42によって囲まれる窓部5
二重窓部5Dは、重合部3の法線方向(X方向)に貫通し、組立状態において重合部3によってY1方向およびY2方向ならびにZ1方向の三方から囲繞されている。ここでは、組立状態においてX方向視で矩形状の二重窓部5Dを例示する。
【0034】
傾斜窓部5Iは、傾斜部42の法線方向に貫通し、組立状態において傾斜部42によってY1方向およびY2方向から囲繞されている。ここで例示する傾斜窓部5Iは、図1に示すように組立状態で底部41によってZ2方向側からも囲繞されている。
上記の二重窓部5Dおよび傾斜窓部5Iは、連設されている。具体的には、組立状態において、傾斜窓部5Iに対してZ1方向側に二重窓部5Dが連続して設けられている。展開状態におけるマウント部2では、図2に示すように、第一面部31で囲繞される二重窓部5Dに傾斜窓部5Iが連設されたX1方向側の開口が第一窓部51に対応し、第二面部32で囲繞される二重窓部5Dに傾斜窓部5Iが連設されたX2方向側の開口が第二窓部52に対応する。
【0035】
[1-3.マウント部に対するラップ部の取り付け]
ラップ部1は、図2に示すように展開状態において、Z方向視で窓部5を覆う範囲にXY平面に沿ってシート状に延在する。
このラップ部1は、展開状態においてZ方向視で窓部5と重複する領域を除く部位がマウント部2と重複する。具体的には、第一ラップ部11および第二ラップ部12の一部が重合部3の面部31,32に重複し、第三ラップ部13の全部がベース部4に重複する。
ここでは、展開状態においてZ方向視で、マウント部2よりも小さい外形の矩形状をなすラップ部1を例示する。窓部5に対して面部31,32を窓枠に準えれば、ラップ部1は窓ガラスに対応する。
【0036】
上記のラップ部1は、図1に示すように組立状態において、第一ラップ部11および第二ラップ部12のうち二重窓部5Dと重複する部位を除く周縁1Fが第一面部31と第二面部32との間に挟装されている。ラップ部11,12の周縁1Fは、接着剤や粘着剤を用いた貼付や溶着といった公知の手法で重合部3に固定することができる。
ここでは、図2に示すように、ラップ部11,12の周縁1Fが重合部3に対して貼付箇所Tで固定されている。具体的には、第一ラップ部11の周縁1Fが第一面部31に対して固定され、第二ラップ部12の周縁1Fが第二面部32に対して固定される。
【0037】
たとえば、ラップ部11,12の周縁が重合部3に対して固定される貼付箇所Tは、図2に示すように連続的に設けられている。ただし、ラップ部11,12の周縁1Fは、面部31,32のそれぞれに対して断続的に貼り付けられてもよい。換言すれば、重合部3に対して固定されていない非貼付箇所が間欠的に設けられ、重合部3に対して固定された貼付箇所が断続的に設けられていてもよい。
【0038】
ここでは、第三ラップ部13が何れの部位にも固定されておらず、Z1方向を上方とする姿勢のパッケージPでは第一ラップ部11と第二ラップ部12との間で第三ラップ部13が吊り下げられた状態に設けられている。言い換えれば、重合部3の第一面部31と第二面部32との間にラップ部1が掛け渡されている。
このように設けられたラップ部1が重合部3に支持されることにより、組立状態においてX方向視で二重窓部5Dに内容物9が配置された状態では、X1方向側およびX2方向側ならびにZ2方向側から内容物9がラップ部1で包まれる。なお、第三ラップ部13がベース部4の底部41や傾斜部42に固定されていてもよい。
【0039】
図1には、Z1方向を上方とするパッケージPにおいて、内容物9の底部(Z2方向側の部位)が第三ラップ部13を介してベース部4の底部41に載置され、第三ラップ部13が底部41に接触する態様の例を示す。
ただし、第三ラップ部13(ラップ部1)がベース部4に対してZ1方向側に離間した状態であってもよい。このようにラップ部1とベース部4とが非接触となる宙吊りの構造は、ラップ部1が伸張させられた状態で重合部3に固定されたうえで、内容物9を包むラップ部1のうち第三ラップ部13が収縮すれば、第三ラップ部13が底部41や傾斜部42から離間することで実施可能な状態である。あるいは、ラップ部1のうち内容物9における底部の外形に応じてZ1方向側へ底上げされるように第三ラップ部13が変形することによっても、第三ラップ部13が底部41や傾斜部42から離間しうる。
【0040】
上記のように内容物9を包むラップ部1は、異物の混入を抑える観点からは、組立状態で内容物9を封入した状態であることが好ましい。
たとえば、展開状態と同様の状態をなす半製品のパッケージPで内容物9が配置されたラップ部1において、配置された内容物9の周囲に接着剤や粘着剤を塗布し、組立状態で接着剤や粘着剤で内容物9の周囲が封止されたラップ部1を採用することが好ましい。
【0041】
あるいは、マウント部2に耐熱性の資材が用いられるとともにラップ部1に熱可塑性の資材が用いられるのであれば、組立状態で重合部3の面部31,32を介してラップ部1の周縁1Fを加熱することで、周縁1FどうしがX方向に熱溶着されることで内容物9の周囲が封止されたラップ部1を採用することも好ましい。
上記のように接着剤や熱溶着を用いた公知のシール手法によって、内容物9の周囲が封止されたシール部をラップ部1に設けてもよい。
【0042】
ただし、図3に示すように予め内容物9が封入された状態のラップ部1を用意し、展開状態で窓部5のうち第一窓部51および第二窓部52の一方に内容物9の配置されたラップ部1の周縁1Fが組立状態で面部31,32によって挟装されてもよい。このように予めシール部Sで封止されたラップ部1の形態としては、下記のシール形態SA,SBなどが挙げられる。
・シール形態SA:ラップ部1が折線Fで二つ折りにされたうえで二つ折りの折線F
を除く三方にシール部Sが設けられた形態(図3において三箇所
のシール部Sが設けられた形態)
・シール形態SA:平袋状のラップ部1に内容物9が収容されたうえで袋の開口にシ
ール部Sが設けられた形態(図3において左下で延びるシール部
Sのみが設けられた形態)
【0043】
そのほか、X方向視でラップ部1と重複する領域の面部31,32を貫通するステープラを設けてもよい。このステープラは、以下に示す二種の固定手段I,IIとして兼用される。
・固定手段 I :重合部3に対するラップ部1の固定手段
・固定手段II:重合部3における面部31,32どうしの固定手段
ただし、ラップ部1は、面部31,32に挟装されるだけで重合部3に固定されていなくてもよい。
【0044】
[2.作用および効果]
本実施形態のパッケージPは、上述の構成を備えるため、下記のような効果を得ることができる。
本項目[2]では、パッケージPによる主な効果を小項目[2-1]で述べ、ラップ部1による詳細な効果を小項目[2-2]で述べ、マウント部2による詳細な効果を小項目[2-3]で述べる。
【0045】
[2-1.パッケージ]
軟質の性状を有するラップ部1で内容物9が包まれることから、内容物9の外形に応じてラップ部1が変形可能であり、さまざまな外形の内容物9を収容するのに対応することができる。
X方向視で二重窓部5Dに配置された内容物9が重合部3の面部31,32に挟装されたラップ部1で包まれるため、内容物9を拘束することができる。このようにしてシュリンク包装で拘束される被包装物のように内容物9がラップ部1によって包まれることで、内容物9の保護性を確保することもできる。
よって、パッケージPによってさまざまな外形の内容物9を保護することができる。
【0046】
YZ平面に沿って設けられた重合部3に対してZ2方向側にXY平面に沿って延在する設けられたベース部4が連設されているため、ベース部4が下方に配置された姿勢でパッケージPを自立させることができる。
さらに、X1方向側およびX2方向側だけでなくZ2方向側からもラップ部1で内容物9が包まれる。そのため、Z1方向を上方とする姿勢のパッケージPにおいて内容物9の底部(Z2方向側の部位)もラップ部1で保護することができ、内容物9の底部がベース部4(マウント部2)に対して接触するのを防止できる。
よって、パッケージPによる内容物9の保護性を高めることができる。
【0047】
さらに、軟質の性状を有するラップ部1が用いられることにより、以下に列挙する効果α,β,γを得ることもできる。
==効果α==
硬質の樹脂ケースが用いられたブリスターパックと比較して、プラスチックの使用を抑制あるいは脱却(いわゆる「脱プラ」)することができ、環境負荷を低減させることができる。
==効果β==
内容物9が包装される姿勢の自由度を高めることができ、組立状態における面部31,32の延在領域を確保することもできる。よって、内容物9の商品説明や宣伝文句といったデザインを施す領域をパッケージPに確保することも可能となる。
==効果γ==
マウント部2の重心に対して内容物9の重心がZ方向へ偏倚するのを抑えることができる。たとえば、マウント部2に対してX1方向およびX2方向の双方にバランスよくはみ出した姿勢で内容物9を包装することができる。これにより、Z1方向を上方とする姿勢のパッケージPがベース部4で自立した状態に陳列された場合の安定性を確保することができる。あるいは、穴Hを介して吊り下げられたパッケージPにおけるマウント部2の反りあるいは折れ曲がりといった歪形を抑えることもできる。
【0048】
そのほか、マウント部2(重合部3およびベース部4)およびラップ部1が同種の資材であれば、マウント部2とラップ部1とを資材の種別ごとに分別せずに廃棄することができ、易廃棄性を確保することができる。たとえば、マウント部2およびラップ部1が紙資材であれば、内容物9の取り出されたパッケージPを資源ゴミや可燃ゴミとして廃棄することができ、プラスチックの資材を削減することができる。
【0049】
[2-2.ラップ部]
伸張する性状を有するラップ部1によれば、より大きなサイズの内容物9に対応することができ、内容物9の拘束性を高めることもできる。
重合部3に対して貼付されたラップ部1によれば、重合部3に対するラップ部1や内容物9の脱落を確実に抑えることができる。
【0050】
第一面部31と第二面部32との間に掛け渡されたラップ部1によれば、掛け渡された部分の第三ラップ部13が内容物9の外形に応じた変形を許容するマージンとして機能する。そのため、伸長する性状の乏しいあるいは伸長する性状の無いラップ部1が用いられたとしても、内容物9のうち第三ラップ部13で包まれる部位の外形に応じて第三ラップ部13が変形しやすい。この点からも、さまざまな外形の内容物9を保護できる。
さらに、第三ラップ部13がベース部4に対してZ1方向側に離間した状態であれば、内容物9は重合部3に挟装されたラップ部1で宙吊りにされ、底部41をはじめとしたマウント部2の何れの部位にも接することなく内容物9を包装することができる。この点からも、内容物9の保護性を高めることができる。
【0051】
ラップ部1の周縁1Fが連続的に重合部3に対して固定されていれば、重合部3に対するラップ部1の位置ズレを確実に抑えることができ、内容物9の拘束性を向上させるのに寄与する。
ただし、ラップ部1の周縁1Fが重合部3に対して固定されていない非貼付箇所が間欠的に設けられていれば、周縁1Fが連続的に重合部3に対して固定されたのと比較して、内容物9を包むラップ部1の変形自由度を高めることができる。よって、多様な外形をなす内容物9への対応性の向上に寄与する。
そのほか、ラップ部1が重合部3に対して挟装されるだけで固定されていなければ、パッケージPから内容物9が取り出し易く、開封作業性を高めることができる。
【0052】
展開状態においてZ方向視で窓部5を覆うとともにXY平面に沿うシート状に延在するラップ部1とXY平面に沿うシート状の重合部3とから組み立てられるパッケージPによれば、展開状態と同様の状態をなす半製品のZ方向への嵩や厚みが抑えられる。
内容物9の周囲が封止されたシール部Sの設けられたラップ部1によれば、ラップ部1と内容物9との間へ異物が混入するのを確実に抑えることができ、内容物9の保護性を向上させるのに寄与する。
【0053】
透明または半透明のラップ部1によれば、内容物9をラップ部1の外部から視認可能であり、内容物9の外観による訴求力を阻害することのないパッケージPを提供することができる。
網状体のラップ部1が用いられた場合には、ラップ部1の外部からの内容物9の視認性を確保することができるうえに通気性や伸張性といった機能性を網状体の構造で付加することが可能である。
【0054】
[2-3.マウント部]
重合部3の第一面部31と第二面部32とがベース部4を介して連設されているため、展開状態において第一面部31,ベース部4,第二面部32がこの順でX方向に並ぶようにマウント部2が構成される。また、展開状態において第一ラップ部11,第三ラップ部13,第二ラップ部12がこの順でX方向に並ぶようにラップ部1も構成される。このようにラップ部1およびマウント部2の各展開方向がX方向に合わせられることで、パッケージPの構成資材を準備したり展開したりする作業スペースを抑えることができ、パッケージPの組み立て作業性の向上に資する。
【0055】
重合部3のZ2方向側の端縁に連設された傾斜部42が重合部3からX方向へ離間するほどZ2方向側に配置されていることにより、重合部3を安定した姿勢に保持することができ、自立させたパッケージPの安定性を高めることができる。
また、傾斜部42で囲繞された傾斜窓部5Iが二重窓部5Dに連設されているため、二重窓部5Dのみが設けられたパッケージと比較して内容物9を配置する領域をZ2方向側に拡大することができ、より大きなサイズの内容物9に対応することができる。
【0056】
そのほか、面部31,32どうしが互いに固定された重合部3によれば、面部31,32どうしの離隔が抑えられることでラップ部1が確実に挟装され、マウント部2に対してラップ部1を確実に支持することができる。
なお、傾斜部42と面部31,32との間に設けられた折り立て用の罫線FSや底部41と傾斜部42との間に設けられた折り返し用の罫線FTによれば、マウント部2を罫線FS,FTで円滑に折り立てたり折り返したりすることができる。よって、パッケージPの組み立て作業性を高めることができる。
【0057】
あるいは、展開状態でX方向やY方向に対称なラップ部1,マウント部2によれば、パッケージPを簡素な構成とすることができ、製造コストの低減に寄与する。
ただし、展開状態でX方向やY方向に非線対称なラップ部1,マウント部2によれば、デザイン領域の拡縮や資材量の最適化といった設計の自由度が向上し、パッケージPの商品性を高めうる。
【0058】
[II.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0059】
たとえば、図4図5に示すように、ベース部4′の底部41′で囲繞される底窓部5B′が設けられていてもよい。
底窓部5B′は、一実施形態で上述の底部41に穿設された開口であり、底部41′の法線方向(Z方向)に貫通している。この底窓部5B′は、Y1方向側およびY2方向側から底部41′で囲繞され、第一窓部51′と第二窓部52′との双方に連設されている。このように第一窓部51′および第二窓部52′ならびに底窓部5B′が連続した一つの開口をなす窓部5′がマウント部2′に設けられ、この窓部5′がラップ部1で覆われる。
【0060】
ただし、第一窓部51′および第二窓部52′とは不連続の底窓部を用いてもよい。この底窓部は、Y1方向側およびY2方向側だけでなくX1方向側およびX2方向側も底部で囲繞される。
上記のように底窓部5B′が設けられたパッケージP′によれば、Z2方向からも内容物9を視認することができる。
【0061】
また、パッケージの展開パターンは、上述したパターンに限らず、重合部の第一面部と第二面部とがZ1方向側やY1方向側などで連設されたパターン,ベース部がX方向に分割されたパターン,第一面部および第二面部の何れか一方とベース部とが分離したパターンといった種々のパターンを採用することができる。
そのほか、ベース部から傾斜部および底部の何れか一方を省略してもよい、傾斜部が省略される場合には、重合部におけるZ2方向側の端縁にXY平面に沿った底部(ベース部)が連設される。
以上の実施形態に関し、以下の付記を示す。
〔付記1〕
互いに直交する三つの座標軸としてX軸,Y軸およびZ軸をもつ直交座標系において内容物を包装するパッケージであって、
前記X軸および前記Y軸の双方に沿って設けられたベース部と、
前記Y軸および前記Z軸の双方に沿って延在する第一面部および第二面部が前記X軸に沿う方向に重ね合わせられた二重のシート状をなし、前記Z軸に沿う方向から視て前記ベース部における前記X軸に沿う方向の中間であって前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の一側に配置され、前記ベース部に連設された重合部と、
前記Z軸に沿う方向の前記一側および前記Y軸に沿う方向の両側が前記重合部で囲繞されるとともに前記X軸に沿う方向に貫通した二重窓部と、
前記内容物の外形に応じて変形自在な軟質の性状を有し、前記重合部に対して前記第一面部と前記第二面部との間に挟装され、前記X軸に沿う方向から視て前記二重窓部に前記内容物が配置された状態で前記内容物に対して前記X軸に沿う方向の両側および前記Z軸に沿う方向のうち前記一側とは反対側の他側に設けられ、前記内容物を包むラップ部と、を備えたことを特徴とするパッケージ。
〔付記2〕
前記ラップ部は、前記内容物の外形に応じて伸張する性状を有する
ことを特徴とする付記1に記載のパッケージ。
〔付記3〕
前記ラップ部は、前記内容物に対して前記Z軸に沿う方向の前記他側が前記ベース部および前記重合部に固定されておらず、前記重合部の前記第一面部と前記第二面部との間に掛け渡された
ことを特徴とする付記1または2に記載のパッケージ。
〔付記4〕
前記ラップ部は、前記内容物を包んだ状態で前記X軸に沿う方向から視て前記ベース部に対して前記Z軸に沿う方向の前記一側に離間した
ことを特徴とする付記1~3の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記5〕
前記ラップ部は、前記重合部に対して前記第一面部および前記第二面部に固定された
ことを特徴とする付記1~4の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記6〕
前記ラップ部は、前記重合部に対して固定されていない箇所が間欠的に設けられた
ことを特徴とする付記5に記載のパッケージ。
〔付記7〕
前記ラップ部は、前記重合部に挟装されるだけで前記重合部に固定されていない
ことを特徴とする付記1~4の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記8〕
前記ラップ部は、前記内容物に対する周囲が封止されたシール部を有する
ことを特徴とする付記1~7の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記9〕
前記ラップ部は、透明または半透明である
ことを特徴とする付記1~8の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記10〕
前記ラップ部は、網状体である
ことを特徴とする付記1~9の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記11〕
前記重合部は、前記ベース部を介して前記第一面部と前記第二面部とが連設された
ことを特徴とする付記1~10の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記12〕
前記ベース部は、前記X軸に沿う方向において前記重合部から離間するほど前記Z軸に沿う方向の前記他側に配置された傾斜部が付設され、
前記傾斜部は、前記Z軸に沿う方向の前記一側が前記重合部におけるに前記Z軸に沿う方向の前記他側に連設された
ことを特徴とする付記1~11の何れか1項に記載のパッケージ。
〔付記13〕
前記二重窓部に連設され、前記傾斜部の法線方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記傾斜部で囲繞された傾斜窓部を備えた
ことを特徴とする付記12に記載のパッケージ。
〔付記14〕
前記ベース部は、前記傾斜部における前記Z軸に沿う方向の前記他側どうしを連設する底部を有し、前記Z軸に沿う方向に貫通し、前記Y軸に沿う方向の両側が前記底部で囲繞された底窓部を備えた
ことを特徴とする付記12または13に記載のパッケージ。
〔付記15〕
前記重合部および前記ベース部ならびに前記ラップ部が同種の資材である
ことを特徴とする付記1~14の何れか1項に記載のパッケージ。
【符号の説明】
【0062】
1 ラップ部
11 第一ラップ部
12 第二ラップ部
13 第三ラップ部
1F 周縁
2 マウント部
3 重合部
31 第一面部
32 第二面部
4 ベース部
41 底部
42 傾斜部
5 窓部
51 第一窓部
52 第二窓部
5B′ 底窓部
5D 二重窓部
5I 傾斜窓部
9 内容物
C1,C2 対称軸
F 折線
FS 折立線(罫線)
FT 折返線(罫線)
G,T 貼付箇所
H 穴
P パッケージ
S シール部
図1
図2
図3
図4
図5