(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】光サーキュレータ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/28 20060101AFI20230216BHJP
G01N 21/49 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G02B27/28 A
G01N21/49 C
(21)【出願番号】P 2020523806
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(86)【国際出願番号】 AU2018051175
(87)【国際公開番号】W WO2019084610
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-28
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518090546
【氏名又は名称】バラハ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,フェルナンド
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-517094(JP,A)
【文献】特開2013-160717(JP,A)
【文献】特開平09-127463(JP,A)
【文献】国際公開第2017/054036(WO,A1)
【文献】特開2000-002819(JP,A)
【文献】特開2012-207934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/28
G01N 21/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境の空間プロファイルの推定を容易にするためのシステムであって、
出射光を提供する光源と、
前記環境によって反射された前記出射光の少なくとも一部に対応する入射光を検出する1以上の光検出器と、
1以上の入力ポートを介して前記出射光を受信し、
受信した前記出射光を双方向ポートを介して自由空間環境にある出射経路に直接送信し、
前記入射光を前記双方向ポートを介して、前記出射経路と少なくとも部分的に重なり合うように空間的に配置された、前記自由空間環境にある入射経路上で受信し、
前記1以上の入力ポートから空間的に変位した1以上の出力ポートを介して、受信した前記入射光を前記光検出器に送信する
光サーキュレータと、
前記環境の方向の前記出射経路上の前記出射光を1以上の出射方向に方向づけ、
前記環境から入射経路上に反射した入射光を前記光サーキュレータの方向に方向づける
前記自由空間環境にあるビームステアラと
を備え、
検出された光に関連する1以上の特性は、1以上の出射方向に関連する前記環境の前記空間プロファイルを推定するための情報を有しており、
前記1以上の出力ポートは、前記1以上の光検出器に、直交する偏光に分離されたそれぞれの光ビームを提供する2の出力ポートを有するか、あるいは、
前記1以上の入力ポートは、前記光源から、直交する偏光に分離されたそれぞれの光ビームを受信する2の入力ポートを有するか
のいずれかであ
り、
前記光源は、前記光サーキュレータの前記1以上の入力ポートにそれぞれ直接的に光結合された、1以上の入力光ファイバを有する
システム。
【請求項2】
前記光サーキュレータは、
前記入射経路から前記1以上の出力ポートに向かう前記入射光の入射ビームを、前記1以上の入力ポートから前記出射経路に向かう前記出射光の異常偏光ビームおよび通常偏光ビームの一方または双方から変位させるためのコアを有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1以上の入力光ファイバ
はそれぞれシングルモード入力光ファイバであり、
前記光検出器は、前記光サーキュレータの前記出力ポートに光結合された出力光ファイバを有し、
前記出力光ファイバは、マルチモードファイバを有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光源と前記光サーキュレータとの間に、集積ファイバ偏光ビームスプリッタとV溝ファイバアレイとを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光サーキュレータの前記1以上の入力ポートに光結合され、前記光源からの出射光を伝送する1以上の偏波保持ファイバを備える
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記2の出力ポートは、前記入射光の偏光解消率の検出を容易にする
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記検出された光に関連する前記1以上の特性は、前記偏光解消率の検出率をさらに含み、前記偏光解消率の検出率に基づいて、前記入射光が、金属性の面、非金属性の面、または鏡面により反射されたこと判定する
請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光サーキュレータの分野に関する。具体的な実施形態は、例えば、一次元以上にわたる光の方向づけに基づく、環境の空間プロファイルの推定を容易にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間プロファイリングとは、所望の原点から見た環境のマッピングである。視野内の各々の点またはピクセルは、環境の表現を形成するために距離に関連付けられる。空間プロファイルは、環境内の物体および/または障害物の識別に有用であり、それによって、タスクの自動化を容易にできる。
【0003】
空間プロファイリングの1つの技術は、特定の方向において、環境に光を送り込むステップと、その方向から、例えば、環境内の反射表面によって、反射された任意の光を検出するステップとを含む。反射光は、反射面までの距離を決定するための関連情報を搬送する。特定の方向と距離との組み合わせは、環境の表現において点または画素を形成する。上述のステップは、複数の異なる方向に対し繰り返されて、表現の他の点または画素を形成でき、それによって、所望の視野内の環境の空間プロファイルの推定を容易にする。
【0004】
本明細書中の先行技術への言及は、この先行技術が任意の権限における共通の一般的知識の一部を形成すること、または、この先行技術が当業者によって、他の先行技術の一部と理解されること、関連すると見なされること、および/もしくは、組み合わされることが合理的に予測できることを承認するものでも、任意の形態で示唆するものではなく、かつ、そのように見なされるべきものでもない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
光サーキュレータが開示される。また、光学システムも開示されている。また、環境の空間プロファイルの推定を容易にするための光学システムも開示されている。光学システムは、光サーキュレータを有する構成にできる。
【0006】
いくつかの実施形態では、光サーキュレータは、(例えば、光源から)光を受信する入力ポートと、環境に光を送信し、環境から光を受信する双方向ポートと、(例えば、受信機に)光を出力する出力ポートとを備える。出力ポートは、入力ポートから空間的に変位されている。コアは、入力ポートから双方向ポートへ、および双方向ポートから出力ポートへの光の方向を生じさせる。コアは、光を別個の偏光に分離し、一方または双方の偏光をコアを通して方向づけることにより、光の方向を生じさせる。
【0007】
特定の実施形態では、光サーキュレータは、光を受信する入力ポートと、光を出力し、入力ポートから空間的に変位された出力ポートと、入力ポートから出射光路への光の方向を生じさせ、入射光路から出力ポートへの光の方向を生じさせるコアとを備え、出射光路および入射光路は少なくとも部分的に重なるように空間的に配置される。
【0008】
特定の実施形態では、光サーキュレータは、1以上の入力ポートおよび1以上の出力ポートを備え、かつ、1以上の入力ポートおよび1以上の出力ポートと光学的に連通している、第1複屈折結晶と、第1複屈折結晶に続く非相反偏光回転素子と、および非相反偏光回転素子に続く第2複屈折結晶とを備える。第1複屈折結晶は、光サーキュレータを通る光の進行方向に対して横切る第1軸に対してゼロ以外の第1量だけ回転される第1表面を有し、第2複屈折結晶は、第1軸に対して、第1量またはゼロ以外の第2量だけ回転される第2表面を有し、第1表面および第2表面は、反対方向に回転される。
【0009】
特定の実施形態では、光サーキュレータは、1以上の入力ポートおよび1以上の出力ポートと、1以上の入力ポートおよび1以上の出力ポートと光学的に連通し、第1複屈折結晶と、第1複屈折結晶に続く非相反偏光回転素子と、非相反偏光回転素子に続く第2複屈折結晶とを有する光学アセンブリとを備える。非相反偏光回転素子は、半波長板素子等の第1部品と、ファラデー回転子等の第2部品とを有する。第1部品は、光サーキュレータを通る光の進行方向に対して横切る第1軸に対してゼロ以外の第1量だけ回転される第1表面を有し、第2部品結晶は、第1軸に対して、第1量またはゼロ以外の第2量だけ回転される第2表面を有し、第1表面および第2表面は、反対方向に回転される。
【0010】
特定の実施形態では、環境の空間プロファイルの推定を容易にするためのシステムは、複数の波長チャネルのうちから選択された1以上の波長チャネルでの出射光を提供する光源と、環境によって反射された出射光の少なくとも一部に対応する入射光を検出する光検出器と、光サーキュレータと、ビームステアラとを備える。光サーキュレータは、1以上の入力ポートを介して出射光を受信し、受信した出射光を双方向ポートを介して出射経路に向けて送信し、入射経路上の入射光を双方向ポートを介して受信し、受信した入射光を出力ポートを介して光検出器に送信し、出射経路および入射経路は、少なくとも部分的に重なり合うように空間的に配置され、出力ポートは、1以上の入力ポートから空間的に変位されている。ビームステアラは、環境の方向の出射経路上の出射光を、複数の波長チャネルのうちの選択された1以上の出射方向に基づく、それぞれ1以上の出射方向に方向づけ、環境から入射経路上に反射した入射光を光サーキュレータの方向に方向づける。検出された光に関連する1以上の特性は、1以上の出射方向に関連する環境の空間プロファイルの推定のための情報を有する。
【0011】
特定の実施形態では、光学システムは、出射光を提供する光源と、入射光を受信する受光器と、光サーキュレータとを備える。光サーキュレータは、1以上の入力ポートを介して出射光を受信し、受信した出射光を双方向ポートを介して自由空間環境にある出射経路に直接送信し、入射光を双方向ポートを介して、出射経路および入射経路は少なくとも部分的に重なり合うように空間的に配置された、自由空間環境にある入射経路上で受信し、受信した入射光を1以上の出力ポートを介して受光器に送信し、1以上の出力ポートは、1以上の入力ポートから空間的に変位されている。
【0012】
特定の実施形態では、光サーキュレータは、1以上の入力ポートと、1以上の出力ポートと、1以上の入力ポートおよび1以上の出力ポートと光学的に連通する光アセンブリとを備える。光学アセンブリは、第1複屈折結晶と、第1複屈折結晶に続く非相反偏光回転素子と、非相反偏光回転素子に続く第2複屈折結晶とを有する。光学アセンブリは、1以上の入力ポートから光を受信し、光サーキュレータを通る光の進行方向に対し実質的に垂直とならないように回転された第1表面と、1以上の入力ポートから光を受信し、第1表面から変位され、第1表面とは反対方向に、光サーキュレータを通る光の進行方向に実質的に垂直とならないように回転された第2表面とを有する。
【0013】
本開示のさらなる態様、および前の段落で記載された態様のさらなる実施形態は、実施例として与えられ、添付の図面を参照した以下の記載、並びに添付の特許請求の範囲から明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】環境の空間プロファイルの推定を容易にする、開示されたシステム構成を示す図である。
【
図3A】光サーキュレータの他の例を示す図である。
【
図3B】光サーキュレータの他の例を示す図である。
【
図3C】光サーキュレータの他の例を示す図である。
【
図3D】光サーキュレータの他の例を示す図である。
【
図4】環境の空間プロファイルの推定を容易にする、別の開示されたシステム構成を示す図である。
【
図6】環境の空間プロファイルの推定を容易にする、別の開示されたシステム構成を示す図である。
【
図7】環境の空間プロファイルの推定を容易にする、別の開示されたシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示されるのは、光サーキュレータの形態である。光サーキュレータは、高い指向性を提供する特性を有する。光サーキュレータの応用例は、空間プロファイル推定のためのシステムにおけるものである。光サーキュレータの別の応用例は、例えば、ドップラー効果に基づく、自由空間光通信または自由空間測定のためのシステムにおけるものである。
【0016】
また、本明細書で開示されるのは、光検出および測距(LiDAR)系の技術に基づき、環境の空間プロファイルの推定を容易にするためのシステムおよび方法である。以降において、「光」は、光学周波数を有する電磁放射線を含むものであり、遠赤外線、赤外線、可視光線、および紫外線を含むものである。一般的に、LiDARは、環境内に光を透過するステップと、続いて環境によって戻される反射光を検出するステップとを含んでいる。光が視野内の反射面に往復するのに要する時間を決定し、距離を決定することによって、環境の空間プロファイルの推定が形成できる。一の構成では、本開示は、鉛直方向に沿うような、一次元にわたる光の方向づけに基づく空間プロファイル推定を容易にする。別の構成では、水平方向に沿うような、別次元において一次元的に方向づけられた光をさらに方向づけることによって、本開示は、二次元における光の方向づけに基づく空間プロファイル推定を容易にする。
【0017】
本発明者らは、LiDARシステムが、別個の送信光路および受信光路、または別の方法で整列されていない送信光路および受信光路を有し、そうでない場合において反射信号を抑制するクロストークを低減している場合、システムの視線(一次元の場合)または視野(二次元の場合)における、1以上の検出ブラインドスポットが生じることを認識している。この欠点を認識した状態で、本発明者らは、同軸にまたは別の方法で整列された送信光路および受信光路によって、このようなブラインドスポットおよびクロストークを減少させることが可能な多数の光学的設計を考案してきた。これらの光学的設計は光サーキュレータを用い、(光源に結合された)その入力ポートと(光検出器に結合された)出力ポートとの間に、例えば、70dB以上、75dB以上、80dB以上、85dB以上、または90dB以上の高度の指向性を提供し、さらに環境との間で光を送受信するための双方向ポートを提供している。いくつかの実施形態では、光学的設計は、単一の入力ポートおよび単一の出力ポートを有している。
【0018】
他の実施形態は複数の入力ポートを有しており、各々の入力ポートは、対応する出力ポートと、双方向ポートとを有している。複数の入力ポートおよび複数の出力ポートは、単一の光サーキュレータに設けることができる。
【0019】
特定の実施形態は、複数の双方向ポートを有しており、各々の双方向ポートは、1以上の対応する出力ポートと、1以上の対応する入力ポートとを有している。複数の双方向ポートは、それぞれ別個のサーキュレータを形成してもよいし、同一のサーキュレータコアを用いてもよい。
【0020】
複数の入力ポート、出力ポート、および双方向ポートを有する実施形態は、複数のターゲットの同時検出を可能にする。
【0021】
[システム例1]
一般的な形態では、
図1に示されるように、記載のシステム100は、(例えば、λ
1~λ
Nを中心とした)1以上の波長チャネルで、出射光120を提供する1以上の光源102を有している。例えば、光源102は、一度に1つの波長チャネルを選択的に出力するレーザを有する構成にできる。システム100は、また、入射光130を検出する1以上の光検出器104と、光サーキュレータ106と、ビームステアラ108とを有している。入射光130は、環境110によって反射された出射光120の少なくとも一部に対応している。光サーキュレータ106は、(a)1以上の入力ポート106Aを介して出射光120を受信し、(b)受信した出射光120を1以上の双方向ポート106Bを介して自由空間環境にある出射経路125に向けて送信し、(c)双方向ポート106Bを介して自由空間環境にある入射経路135上で入射光を受信し、(d)受信した入射光130を1以上の出力ポート106Cを介して1以上の光検出器104に送信する。自由空間において透過する光については、光ファイバ、光管、または同様の構造を含む任意の形式の光導波路に限定された光透過ではないと解釈すべきである。
【0022】
ビームステアラ108は、(a)環境110の方向の出射経路125上の出射光120を、選択された波長チャネルおよび/または選択されたサーキュレータの入力ポートに基づく1以上のそれぞれの出射方向に方向づけ、(b)環境110から入射経路135に反射される入射光130を光サーキュレータ106に方向づける。ビームステアラ108は、良好な発散特性でビームサイズを拡大する拡張光学素子108A(拡張光学システム)を有する構成にできる。一変形例では、ビームステアラ108は、波長依存の角度分散を提供する、回折格子、プリズムまたはグリズムのような分散要素108Bを有する構成にできる。ビームステアラ108の例は、WO 2017/054036 A1として2017年4月6日に公開された、PCT出願第PCT/AU2016/050899号を含む本出願人の同時係属出願の1以上に開示されており、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。検出された光に関連する1以上の特性は、(例えば、処理装置105による)1以上の出射方向に関連する環境の空間プロファイルの推定のための情報を有している。
【0023】
光サーキュレータ106は、出射経路125および入射経路135が少なくとも部分的に重なるように空間的に配置され、さらに、出力ポート106Cが1以上の入力ポート106Aから空間的に変位されるように構成される。少なくとも部分的に重なった出射経路および入射経路は、前述のブラインドスポットを回避する実施形態を容易にし、さらに、入出力ポートと光サーキュレータ106との間の空間的変位、および光導波路の介在または仲介のない自由空間への直接的な連通により、指向性が改善され、反射信号の抑制が回避される。
【0024】
光サーキュレータ106は、多数の方法で実現できる。以下においては、光サーキュレータ106の実施例を説明する。本明細書では、「ポート」は、アパーチャ等の光ビームが通過する空間内の領域を示すことを目的とするものか、あるいは示すものであり、ポートを規定するために物理的構成要素の存在は、必ずしも要しない。いくつかの実施形態において、光サーキュレータは、光ファイバを光サーキュレータのポートに位置合わせすべく、V溝アレイ107またはファイバの束等の光学アレイを有するか、あるいは光学アレイに接続されている。特に、入力ポート106Aのうちの1以上および/または出力ポート106Cのうちの1以上は、光ファイバをポートと整列させるべく、V溝アレイまたはファイバの束と関連づけられている。
【0025】
図示するように、いくつかの実施形態では、光ファイバからの光ビームは、光サーキュレータ106に直接的に供給される。すなわち、ファイバと光サーキュレータとの間には、1以上のレンズ等のモード拡張光学部品は配置されていない。このようなモード膨張光学部分がないことの1つの利点は、システムに戻るその部品の表面での光の反射を排除できることであり、その結果、指向性を改善できる。いくつかの実施形態では、指向性は、任意の1以上の重なる出射経路および入射経路を導入し、光サーキュレータを自由空間に直接通信し、1以上の光導波路から、少なくとも光サーキュレータの入力ポートに光を直接通信することによって、能動的な影響を受けうる。
【0026】
システム100の一実施形態は、単一の光サーキュレータ106を有する。他の実施形態は、複数の光サーキュレータ106を有する。例えば、一実施形態では、複数の光サーキュレータ106が並列に動作し、1以上の光検出器104による検出用の並列光路が提供される。したがって、システム100は、複数の入力ポート106Aのアレイと、複数の双方向ポート106Bのアレイとを有している。いくつかの実施形態では、入力ポート106Aの数は、双方向ポート106Bの数に等しい。他の実施形態では、双方向ポートと異なる数の入力ポートがある。ポートのアレイは、単一の光源102および単一のビームディレクタ108に光結合できる。他の実施形態では、複数の光源102および/または複数のビームディレクタ108が提供され、それぞれが、ポートのサブセットと光結合されている。
【0027】
並列ポートを有する実施形態では、システム100は、第1ポートが第1波長で、あるいは、第1波長範囲にわたって光結合し、かつ、第2ポートが、第1波長および第1波長範囲とそれぞれ異なる、第2波長で、あるいは第2波長範囲にわたって光結合するように構成できる。例えば、並列ポートが複数の光サーキュレータ106を横切って設けられる場合、各々の光サーキュレータは、それぞれの波長または波長範囲で動作するように構成できる。一実施形態では、ポートまたは光サーキュレータのうちの1以上は、ポートまたは光サーキュレータのうちの別の1つが作動する1以上の波長または波長範囲で、作動しないように構成される。
【実施例1】
【0028】
一例では、
図2に示すように、光サーキュレータ200は、
図1の光サーキュレータ106とすることができ、1つの入力ポート206Aと、1つの双方向ポート206Bと、1つの出力ポート206Cと、(ポート206Bからポート206Cに進む)入射ビーム208から(ポート206Aからポート206Bに進む)出射ビーム206を変位させるビーム変位器204とを備える。ビーム変位器204は、複屈折素子に関連するウォークオフ角210によって、出射ビーム206からの入射ビーム208を変位させるためのオルトバナジウム酸イットリウム(YVO
4)のような複屈折素子を含む。出射ビーム206は、入力ポート206Aを介してビーム変位器204に入るときに、第1偏光206’(例えば、通常のビームまたはoビーム)に回転されるか、あるいは、その他の場合は第1偏光206に維持される。一方、入射ビーム208は、双方向ポート206Bを介してビーム変位器204に入るときに、第1偏光206’に直交する第2偏光208’(例えば、異常ビームまたはeビーム)に回転されるか、あるいは、そうでない場合は、第2偏光208’に維持される。
【0029】
ビーム変位器204は、その入力ポート206Aを介して第1偏光206’(例えば、oビーム)に方向づけた成分を有する出射ビーム120を受信し、受信した出射光206をその双方向ポート206Bを介して送信し、その双方向ポート206Bを介して反射光135を受信し、例えば、第1偏光206’(例えば、eビーム)に直交する、第1偏光とは異なる第2偏光208’に方向づけた成分を有する受信した反射光208を、その出力ポート206Cを介して検出器104に送信する。変位角は、本明細書では「ウォークオフ角」と称される。一実施形態では、ビーム変位器204は、反射光135の偏光解除状態を用いて、第2直交偏光208’を実現する。別の実施形態では、光サーキュレータ200は、出射偏光206’を入射偏光208’に回転させるために、ビーム変位器204の双方向ポート206Bの後に、1以上の波長板(図示せず)を有している。例えば、波長板は、双方向ポート206Bの直後に配置された、第1偏光206’に対して45度に方向づけた四分の一波長板とすることができる。この例では、比較的低い材料コストで、所望の回転が実現できる。四分の一波長板は、第1偏光206’に対して45度以外の角度(例えば、25度)で方向づけてもよく、そうでない場合に光検出器104を抑制し得る高反射性ターゲットからの鏡面反射の低減を容易にする。別の実施形態では、光サーキュレータ200は、出射偏光206’を入射偏光208’へ回転させるために、ビーム変位器204の双方向ポート206Bの後の任意の場所に非相反偏光回転素子を有する構成にできる。例えば、非相反偏光回転素子は、ファラデー回転子と、双方向ポート206Bの直後に位置し、偏光206’に対し22.5度で方向づけた半波長板とすることができる。
【0030】
一実施形態では、光源102は、偏波保持(PM)光ファイバを介して、ビーム変位器204にその入力ポート206Aで光結合される。同一の実施形態または異なる実施形態では、検出器104は、マルチモード(MM)光ファイバを介して、ビーム変位器204にその出力ポート206Cで光結合される。同一の実施形態または異なる実施形態では、光サーキュレータ200は、ポート206A、206B、および206Cへの光の集束および/またはポートからの光のコリメートを行う非球面レンズ(図示せず)などの1以上の集束素子を有している。一実施形態では、四分の一波長板等の波長板は、1以上の集束素子の各側に設けられている。
【0031】
光サーキュレータ200は、複数のファイバを高い精度で相互に相対位置に保持する1以上のガラス基板(本明細書では、「V溝アレイ」と称する)等の、光路を整列させる1以上の基板を有する構成にできる。例えば、V溝アレイを用いて、PM光ファイバおよびMM光ファイバの各々を、ビーム変位器204の対応する入出力ポートに整列させることができ、これによりファイバアレイを形成できる。V溝アレイを用いることにより、それらの空間的分離を最小限に抑えつつ、入力ポートと出力ポートとの間のクロストークを減少させた実施形態が容易となりうる。さらに、その使用により、一般的には+/-1μm以内のPMファイバとMMファイバとの間の正確な位置決めを与え、実質的な空間的重複を可能にし、V溝アレイが設計によって結晶寸法に整合された際の能動的な位置合わせを回避する。
【0032】
いくつかの実施形態では、光サーキュレータ200の光学素子は、クロストーク性能および収集効率の必要な組み合わせを実現するように構成される。例えば、光学素子は、90%以上の収集効率と組み合わせて、70dB以下のクロストーク、または80dB以下のクロストークを実現するように構成できる。
【実施例2】
【0033】
図3に示すように、別の例では、光サーキュレータ300(前と同様、
図1の光サーキュレータ106であってもよい)は、コア302を有する。
図3A、
図3B、
図3C、および、
図3Dの実施形態においては、左から右の順に、コア302は、第1複屈折結晶302A、第1複屈折結晶302Aに続く非相反偏光回転素子302B、および非相反偏光回転素子302Bに続く第2複屈折結晶302Cを有している。一構成では、非相反偏光回転素子302Bは、非相反偏光回転素子302B
1と、非相反性を促進する半波長板302B
2とを有している。
【0034】
2つの複屈折結晶302Aおよび302Cは、
図3A、
図3B、
図3C、および
図3Dの実施形態によって示されるように、同一または逆位のウォークオフ角度を有しており、oビームおよびeビームの再結合を容易にしうる。第1構成では、逆位のウォークオフ角度で、非相反偏光回転素子302Bは、出射ビームを回転させるが、入射ビームを回転させないように設定される。第2構成では、同一のウォークオフ角度で、非相反偏光回転素子302Bは入射ビームを回転させるが、出射ビームを回転させないように設定される。
【0035】
光サーキュレータ300は、2つの方法のうちの1つを利用できる。第1利用においては、
図3Aに例示されているように、ポート306Cは、(例えば、垂直偏光成分と水平偏光成分との両方を有する)任意の偏光状態を有する出射光120を受信する入力ポートである。光サーキュレータ300Aは、光源102からの出射光を伝送するために入力ポート306Cに光結合された光ファイバ(例えば、SMファイバ)を有する構成にできる。出射経路125に向かって進行する出射光120(実線を参照)に対し、第1複屈折結晶302Aは、eビーム成分からウォークオフ角度だけoビームを分離する。この進行方向において、ファラデー回転子は半波長板を補償し、0度の正味の回転を与えるため、非相反偏光回転素子302Bは、各成分に影響を与えない状態となる。次いで、第2複屈折結晶302Cは、双方向ポート306Bにおいて2つの成分を再結合して、出射経路125に沿った出射光120を形成する。
【0036】
入射経路135上を進行する光(点線および破線を参照)に対して、第2複屈折結晶302Cは、eビーム成分からウォークオフ角度だけoビームを分離する。この進行方向において、ファラデー回転子は半波長板と調和し、90度の正味の回転をもたらすため、非相反偏光回転素子302Bは各成分の偏波を回転させる。次いで、第1複屈折ウェッジ302Aは、成分をさらに分離する。次いで、分離されたビームは、それぞれポート306Aおよび306Zで収集され、それぞれ、入射光103Aおよび103Zを形成する。光サーキュレータ300Aは、入力ポート306Cに光結合され、光源102からの出射光を伝送する光ファイバ(例えば、PMファイバ)を有する構成にできる。検出器104は、マルチモード光ファイバを介して、その出力ポート306Aおよび306Zの一方または双方で、コア302に光結合される。光サーキュレータ300Aは、PM光ファイバおよびMM光ファイバの各々を、対応する入力ポートおよび出力ポートに整列させるべく、V溝アレイ(図示せず)を有する構成にできる。
【0037】
この第1利用では、光ファイバが単一の入力偏光(例えば、垂直偏光)を伝送するPMファイバである場合、反射光の偏光状態の検出により(例えば、入力偏光と比較して、入射光130Aおよび130Zの相対受信力を検出することによって)、反射光の偏光解消率の検出が容易とする。検出された偏光解消率に基づいて、反射面は、金属であるか、あるいは金属である可能性がより高いことを判定できる。例えば、検出された脱分極率が脱分極率の閾値を超えると判定された場合、反射面は金属性であるか、または金属性である可能性がより高いと判定できる。反対に、検出された脱分極率が脱分極率の閾値未満であると判定された場合、反射面は非金属であるか、または非金属である可能性がより高いと判定できる。代替的または付加的に、反射光の偏光状態の検出に基づいて、鏡面反射面(例えば、逆反射器)を検出することができる。
【0038】
図3Bに示されているように、第2利用では、ポート306Aおよび306Zの一方または双方は、それぞれ、oビーム120Aおよびeビーム120Zのための入力ポートである。
図3Bでは、出射光(例えば、光源102からの光)は、破線および点線で示され、入射経路上に到着する光(例えば、環境110からの光)は、実線で示されている(すなわち、
図3Aの逆である)。光サーキュレータ300Bは、入力ポート306Aおよび306Zに光結合され、光源102からの出射光を伝送するPMファイバを有する構成にできる。第2利用における動作は、入力ポートおよび出力ポートが入れ替わり、分解された偏光状態が順方向と逆方向との間で入れ替わっていることを除き、第1利用の動作と同様である。したがって、光サーキュレータ300Aに関する説明は、軽微な修正をすれば、光サーキュレータ300Bに適用可能である。
【0039】
この第2利用では、例えば、検出力および感度要件に応じて、eビームおよびoビームの一方または双方を用いることができる。同一または異なる変形例では、検出器104は、マルチモード光ファイバを介して、コア302にその出力ポート306Cで光結合される。代替的または付加的に、PM光増幅器(例えば、エルビウムドープファイバ増幅器)は、必要ではない。代わりに、偏光ビームスプリッタファイバを用いて、光を2つのPMファイバに結合することができる。
【0040】
図3C及び
図3Dは、
図3Aおよび
図3Bと類似の方法における代替的な利用を示す図である。
図3Cおよび
図3Dにおいては、
図1を参照して説明した構成要素と同様の構成要素には、
図1と同じ符号が付されている。
図3Cでは出射光(例えば、光源102からの光)は実線で示され、入射経路上に到着する光(例えば、環境110からの光)は破線および点線で示され、
図3Dではこれらの表示は逆となっている。
【0041】
光サーキュレータ300Aまたは300Bは、SM光ファイバ、PM光ファイバ、およびMM光ファイバの各々をコア302の対応する入出力ポートに整列すべく、V溝アレイ(図示せず)を有する構成にできる。光サーキュレータ300Aまたは300Bは、入力ポートに光を集束させ、および/または、出力ポートから光をコリメートするために、非球面レンズ(図示せず)などの1以上の集束素子を有する構成にできる。
【0042】
[システム例2]
一般的な形態においては、
図4に図示されるように、記載のシステム400は、光サーキュレータ302’、例えば、本明細書に記載される光サーキュレータから選択される光サーキュレータを有している。一実施形態では、光サーキュレータ302’は、複数の光サーキュレータ、例えば、本明細書に記載される光サーキュレータから選択される複数の光サーキュレータを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、光サーキュレータ302’は、
図3Bを参照して記載されるように、複数の光サーキュレータ302を有している。光サーキュレータ302’における各々の光サーキュレータ302は、V溝アレイ107’によって配置された光ファイバケーブルを介して、1以上の光源からの2つの入力光信号を受信する。したがって、各々のファイバ光ケーブルからの出力光は、光サーキュレータ302’に直接供給される。
【0044】
いくつかの実施態様において、光サーキュレータ302’は、複数の光源のそれぞれに対して同じコアが用いられるように、十分な大きさの開口を有している。
【0045】
いくつかの実施態様において、それぞれの光源とV溝アレイ107’との間にスプリッター109が設けられており、それぞれの光ファイバケーブルを介して2つの光信号を供給している。
【0046】
図4に示した例では、第1出射光路125Aおよび第2出射光路125Bは、ビームステアラ108’を介して環境に光を供給しており、2つの信号の例においては、デュアルビームステアラである。環境から反射した光は、光サーキュレータ302’における、それらに関連づけた光サーキュレータ302によって、2つの光検出器のうちの1つに方向づけられる。自由空間への遷移、および自由空間からの遷移は、光サーキュレータの双方向ポートでなされ、これは、システム例1で説明したように、双方向ポートに導波路があるシステムに比べて、指向性を改善できる。
【0047】
一実施形態では、デュアルビームステアラ108’は、出射光路125A、125Bからの光の方向を別個に制御する。別の実施形態では、出射光路125A、125Bからの光の方向は、例えば、固定角のオフセットによる相関性がある。
【0048】
別の実施形態では、光サーキュレータ302’における光サーキュレータ302からの光を検出すべく、単一の光検出器が提供されている。次いで、処理装置105(
図1参照)が、検出された光を識別する。
【0049】
他の例では、1以上の光サーキュレータに接続された、3以上の光源を提供できる。これらの実施例または他の実施例では、光サーキュレータ302からの別の形態の光サーキュレータを用いることができる。いくつかの例では、光サーキュレータは、同じ形式のものである。他の実施例では、光サーキュレータは、異なる形式のもの(例えば、
図3Aで説明したもの、および
図3Bで説明したもの)である。
【実施例3】
【0050】
図5に図示されるように、別の例においては、光サーキュレータ500(前と同様、
図1の光サーキュレータ106であってもよい)は、コア502を有する。
図5の実施形態においては、左から右へ順に、コア502は、第1複屈折素子502Aと、第1複屈折素子502Aに続く非相反偏光回転素子502Bと、非相反偏光回転素子502Bに続く第2複屈折結晶502Cとを有している。一構成では、非相反偏光回転素子502Bは、非相反性を促進すべく、半波長板素子502B
1と、ファラデー回転子502B
2とを有している。
【0051】
図5Aの側面図および
図5Bの上面図で示されるように、第1複屈折素子502Aは、(図ではy軸と示される)1つの軸において、α
1(度)だけ角度を付して設けられている。図示された実施形態では、y軸における回転は、時計回り方向である。半波長板502B
1は、(図中のx軸で指定される)別の軸において、α
2(度)だけ時計回りに角度を付して提供される。ファラデー回転子502B
2は、x軸において、反時計回りにα
3(度)だけ角度を付して提供され、第2複屈折クリスタル502Cは、y軸において、反時計回りにα
4(度)だけ角度を付される。
図5に示す実施形態を含むいくつかの実施形態では、x軸およびy軸が実質的に横方向である。
【0052】
いくつかの実施形態では、
図5に示される実施形態を含み、1つの方向に1つの軸で回転されるすべての素子に対して、実質的に同じ回転範囲だけ同じ軸で反対方向に回転される対の素子がある。いくつかの実施形態では、1以上の非回転素子は、回転素子と組み合わせて提供できる。いくつかの実施形態では、この回転素子の対を促進すべく、偶数(例えば、
図5の実施形態では4つ)の回転素子がある。
【0053】
ある実施形態では、回転の範囲は、異なる軸における素子について実質的に同一であり、例えば、角度α1、α2、α3、およびα4の値は同一である(すなわち、α1=α2=α3=α4)。他の実施形態では、回転の範囲は、異なる軸で回転される素子間で異なっている。例えば、いくつかの実施形態では、角度α1はα4に等しいが、α2はα3と異なる。角度付けまたは回転されることによって、素子の回転の範囲は、実質的にゼロ以外であることも含め、ゼロ以外となることは理解されるであろう。
【0054】
選択される素子の回転角度は、指向性および収集効率を改善すべく最適化できる。例えば、角度は、光サーキュレータ500に入射する、コリメートされない光ビームによって導入される光学収差を一定の水準に維持すべく、および/または、システムへ反射する光反射を緩和すべく選択できる。素子間に形成される角度は、約12度~約30度の範囲にできる。角度の例は、11.8度、12.5度、15度、17.5度、20度、25度、および30度を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、回転方向は反転される。例えば、
図5において時計回りに回転された各々の素子は、代替的に、反時計回りに回転され、反時計回りに回転された各々の素子は、代替的に、時計回りに回転される。
【0056】
他の構成では、回転軸は横方向ではない。例えば、コアの構成要素は、全て同じ軸に回転できる。コアの構成要素は、例えば、全て
図5のy軸またはx軸の一方に回転してもよい。別の例では、回転軸は、別個の量、例えば、120度だけオフセットできる。その例において、コアは、互いに120度オフセットされた3つの軸に沿って、対になって回転し、対が反対方向に回転された6つの素子を有する構成にできる。
【0057】
いくつかの実施形態では、
図5Aにおいて、tとして示した複屈折結晶502Aおよび/または502Cの厚さは、約1mm~約1.5mmである。一例では、複屈折結晶502Aおよび502Cの厚さ(t)は、クラッド厚さが約125μmのファイバを用いる場合約1.304mmにでき、ピッチは約127μmに制限される。
【0058】
いくつかの実施形態では、複屈折結晶502Aおよび502Cの厚さが低減されることにより、指向性および収集効率に利点をもたらすことができる。厚さtを減少させるために、ファイバアレイピッチは、例えば、クラッド厚さを減少したファイバを用いることによって減少される。一例では、複屈折結晶502Aおよび502Cの厚さ(t)は、クラッド厚さが約80μmに低減されたクラッドファイバを用いることによって、約0.85mmに低減され、ファイバアレイピッチは約82μmの低減される。いくつかの実施形態では、複屈折結晶502Aおよび/または502Cの厚さは、約0.80mmまたは0.85mmと、約0.90mmまたは約1.00mmとの間である。
【0059】
2つの複屈折結晶502Aおよび502Cはoビームおよびeビームの再結合を容易にするために、等しくかつ反対のウォークオフ角を有する可能性がある。例示として、反対のウォークオフ角度を有する1つの配置において、非相反偏光回転素子502Bは出射ビームを回転させるが、入射ビームを回転させないように設定される。別の構成では等しいウォークオフ角度で、非相反偏光回転素子502Bは入射ビームを回転させるが、出射ビームを回転させないように設定される。
【0060】
光サーキュレータ500は、コアを通る様々なポートおよび光路と共に用いることができる。例えば、光サーキュレータ500は、上述の実施例2に記載のものに対応する2つの方法の一方で用いることができる。例えば、コアに光結合されたファイバアレイは、光源に接続された2つのポートと、光検出器に接続された1つのポートと、光源に接続された1つのポートまたは光検出器または各々の光検出器に接続された2つのポートとを有する構成にできる。
【0061】
加えて、または代替的に、半波長板およびファラデー回転子の順序は、交換してもよい。すなわち、非相反偏光回転素子502Bは、ファラデー回転子502B1と、半波長板素子502B2とを有している。
【0062】
側面が実質的に平行である光サーキュレータ500の素子が、
図5では示されているが、他の実施形態では、素子は平行ではない側面を有している。角度が付された素子の1以上の表面(第1表面)は、光サーキュレータを通る光の進行方向に対して回転され、その結果、その表面は、光の進行方向に対して実質的に横方向ではなくなる。他の表面(第2表面)は、光の進行方向に対して横方向に方向づけてもよいし、第1表面および第2表面は、2つの表面は楔形または台形形状を形成する異なる角度であってもよい。
【0063】
光サーキュレータ500は、SM光ファイバ、PM光ファイバ、および/またはMM光ファイバの各々をコア502の対応する入力ポートおよび出力ポートに整列させるべく、V溝アレイ(図示せず)を有する構成にできる。光サーキュレータ500は、入力ポートに光を集束させ、かつ/または、出力ポートから光をコリメートすべく、非球面レンズおよび/または放物面鏡(図示せず)等の1以上の集束素子を有する構成にできる。
【0064】
[システム例3]
図6に図示されるように、別の形態では、記載のシステム700は、光サーキュレータ502’、例えば、本明細書に記載される光サーキュレータから選択される光サーキュレータを有している。一実施形態では、光サーキュレータ502’は、複数の光サーキュレータ、例えば、本明細書に記載される光サーキュレータから選択される複数の光サーキュレータを有している。いくつかの実施形態では、光サーキュレータ502’は、
図5で説明されるように、1以上の光サーキュレータ502を含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、集積素子701は、各チャネルの偏波が独立したファイバ偏波ビームスプリッタ209と、3チャネルV溝ファイバアレイ207とを有する。FPBS及びファイバアレイの集積化により、製造コストを低減し、整列を容易にすることができる。また、FPBSの使用により、単純でスケーラブルな光サーキュレータ設計を容易にすることができる。例えば、光サーキュレータに用いられる半波長板は、分割結晶または結晶のアレイではなく均一な結晶として選択でき、これにより、各々の部分は、偏光状態を分離し、各偏光状態を別個に処理するように設計される。集積素子701は、光源102からの光120がポート701Aを介して集積素子701に供給され、検出器104が、集積素子701にその出力ポート701Bで光結合されるように配置される。偏波が異なる2つの光ビーム225Aおよび225Bは、それぞれ、ポート701Cおよび701Eを介して集積素子701から出力される。光ビーム225Aおよび225Bは、光サーキュレータ502’に直接供給される。すなわち、ファイバアレイと光サーキュレータとの間には、1以上のレンズのようなモード拡張光学部品は配置されていない。このようなモード膨張光学部品がないことの1つの利点は、そのような部品の表面における光反射がシステムに戻るのを排除できることであり、その結果、指向性を改善できる。ポート701Dは、光サーキュレータ502’から光を受信する。集積素子701に関連するポート、すなわち、ポート701A、701B、701C、701D、および701Eは、ファイバコネクタおよび/または光スプライシングによって形成できる。
【0066】
一実施形態では、光検出器102からの出射光は、シングルモードファイバ(SMF)を介して集積素子701に伝送される。FPBS 209の出力ファイバは、偏光維持ファイバ(PMF)とすることができる。光検出器に接続された受信ファイバは、SMF、PMF、MMファイバ(MMF)、ダブルクラッドファイバ(DCF)、およびフォトニックランタン(PL)を含む様々なファイバタイプから選択できる。選択は、システムに採用された受信方法および検出方法に基づいたものとすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、コリメート素子210は、光サーキュレータ502’と連通して設けられ、光サーキュレータ502’の出力ポートに向かう光をコリメートする。
【0068】
一実施形態では、コリメート素子210は、1以上のレンズである。レンズは比較的大きな焦点距離を有してもよく、および/または、反射防止コーティングを被覆して、レンズ表面での反射をシステムに戻るのを制限してもよい。
【0069】
別の実施形態では、コリメート素子210が
図7に示されるように、放物面鏡である。一構成では、コリメート要素210として90度の放物面鏡を用いることができる。他の構成では、放物面鏡は、45度等の他の反射角度であってもよい。放物面鏡は、反射がシステム内に戻らないようにしつつ、光をコリメートすることができる。
【0070】
さらに別の実施形態では、コリメート素子210は集束格子である。
【0071】
さらに他の実施形態では、コリメート素子210は、レンズ、放物面鏡、および集束格子のうちの少なくとも2つの組合せを有する構成にできる。組み合わせは、1以上のレンズ、および/または、1以上の放物面鏡、および/または、1以上の集束格子を有する構成にできる。
【0072】
図6に示す例では、出射光路125は、単一ビームステアラまたはデュアルビームステアラ等のビームステアラ208を介して、環境に光を供給する。環境から反射した光は、光サーキュレータ502’によって検出器104に方向付けられる。次いで、処理装置105は、検出した光を識別する。
【0073】
他の例では、1以上の光サーキュレータに接続された2つまたは複数の光源が設けられた構成にできる。これらの実施例または他の実施例では、光サーキュレータ502と別の形態の光サーキュレータを用いることができる。いくつかの例では、光サーキュレータは同じ形式のものである。他の例では、光サーキュレータが異なる形式のものである。
【実施例4】
【0074】
別の例では、
図8に示すように、光サーキュレータ800(前と同様に、
図1の光サーキュレータ106であってもよい)は、第1複屈折素子802Aと、第1複屈折素子802Aに続く第1非可逆偏光回転素子802Bと、第1非可逆偏光回転素子802Bに続く第2複屈折素子802Cと、第2複屈折素子802Cに続く第2非可逆偏光回転素子802Dと、第2非可逆偏光回転素子802Dに続く第3複屈折素子802Eとを有する。第1複屈折素子802A、第2複屈折素子802C、および第3複屈折素子802Eは、それぞれ、入力ポート806Aで受光された出射光に対して、45度に整列された光軸を有している。第1複屈折素子802A、第2複屈折素子802C、および第3複屈折素子802Eの各々は、複屈折ウェッジとすることができる。
【0075】
この例では、非相反偏光回転素子802Bおよび802Dには、水晶アレイがある。これは、均一な結晶を用いることができる形態の他の例とは対照的である。一構成においては、非相反偏光回転素子802Bは、非相反性を促進すべく、1以上のファラデー回転子および/または半波長板を有する構成にできる。
【0076】
光サーキュレータ800は、出射光120を受信する入力ポート806Aを有している。第1複屈折素子802Aは、入力ポート806Aにおける受信した光を、ウォークオフ角度だけoビームとeビームとに分離する。第1非可逆偏光回転素子802Bは、eビームを回転させてその偏光をoビームの偏光に整列させ、偏向されることなく平行に、両方のoビームを第2複屈折素子802Cに渡す。第2非相反偏光回転素子802Dは、元のoビームの偏光をeビームの偏光に回転させるが、回転したoビームを回転したままにする。第3複屈折素子802Eは、回転したoビームを偏向するが、回転したeビームは偏向しない。回転されたoビーム及びeビームは、出射経路125に続く双方向ポート806Bで組み合わされる。入射経路135に続く反射光は、第3複屈折素子802Eによってoビームとeビームとに分離される。次いで、第2非可逆偏光回転素子802Dは、oビームをさらに回転させて、その偏光をeビームの偏光に整列させ、両方のeビームを偏向する第2複屈折素子802Cに渡す。偏向されたeビームの一方は、第1非相反偏向回転素子802Bによって回転され、その偏光をoビームの偏光と整列させ、次いで、出力ポート806Cにおいて、回転させないeビームと結合される。
【0077】
一変形例では、光源102は、シングルモード光ファイバを介して、光サーキュレータ800にその入力ポート806Aで光結合される。同一の変形例または異なる変形例では、検出器104は、マルチモード(MM)光ファイバまたはSMファイバまたはPMファイバまたはDCファイバを介して、光サーキュレータ800にその出力ポート806Cで光結合される。マイクロレンズアレイ(図示せず)は、必要に応じて結晶アレイを適切に通過させるために、光サーキュレータ800の入出力ポート用の光をコリメートする。光サーキュレータ800は、SM光ファイバおよびMM光ファイバのうちの1以上を、対応する入力ポート806Aおよび出力ポート806Cに整列させるべく、V溝アレイ(図示せず)などの光学アレイを有する構成にできる。双方向ポート806Bは、コリメート素子を介してサーキュレータを自由空間に結合する。
【0078】
本開示の構成が説明されたため、説明した構成のうちの1以上が、以下の利点のうちの1以上を有することは、当業者には明らかである:
・出射経路125と出射経路135とを重ねることにより、検出線または視野内のブラインドスポットを回避する実施形態を容易にする
・出射経路123および入射経路135の容易な整列により、例えば、実施形態がより大規模な製造を受け入れることを容易にする。
・(1以上の)入力ポートと出力ポートとの間の高い指向性は、反射信号の抑制を回避する実施形態を容易にする。
・収集効率が高い
・光サーキュレータ構造が比較的単純であり、かつ/または、拡張性がある
【0079】
本明細書に開示され、定義された本発明は、本文または図面から言及され、または明らかな個々の特徴の複数の代替的な組合せのすべてに及ぶことが理解されるのであろう。これらの異なる組み合わせの全ては、本発明の様々な代替態様を構成する。