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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】電波伝搬路保守システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230216BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20230216BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230216BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G01B11/00 A
G01B11/24 K
B64D47/08
G09B29/00 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021039444
(22)【出願日】2021-03-11
(65)【公開番号】P2021148789
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2020044343
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516356402
【氏名又は名称】株式会社スカイマティクス
(73)【特許権者】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】倉本 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】及川 徹也
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真貴
(72)【発明者】
【氏名】横山 知弘
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0320327(US,A1)
【文献】特開2002-074323(JP,A)
【文献】特開2018-056790(JP,A)
【文献】特開2005-265699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01B 11/24
B64D 47/08
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受け渡しあう複数の中継物の間の地上領域を撮影する撮影装置により得られた撮影情報を取得する取得部と、
前記電波が伝搬する伝搬路の3次元位置を示す3次元伝搬路モデルを算出する算出部と、
前記撮影情報及び前記3次元伝搬路モデルに基づいて、前記電波の伝搬に影響を与える影響物を検出する第1検出部と
を備え、
前記算出部は、前記複数の中継物のうちの隣り合うペアの中継物それぞれの3次元位置情報に基づいて、前記ペアの中継物間における前記3次元伝搬路モデルを算出し、
前記3次元位置情報には、前記複数の中継物それぞれの代表箇所の位置と、前記複数の中継物それぞれの形状と、前記複数の中継物それぞれの寸法とに関する情報が含まれる
電波伝搬路保守システム。
【請求項2】
前記3次元伝搬路モデルは、複数の前記中継物を結ぶ線に直交する面における形状が一定である
請求項1に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項3】
さらに、前記電波伝搬路保守システムは、前記取得部によって得られた前記撮影情報に基づいて、前記地上領域の諸物体の3次元位置と3次元形状とを示す3次元地形モデルを生成する生成部を備え、
前記第1検出部は、前記3次元地形モデルと前記3次元伝搬路モデルとに基づいて、前記影響物を検出する
請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項4】
さらに、前記電波伝搬路保守システムは、前記3次元地形モデル中に存在する少なくとも一つの樹木を検出する第2検出部を備え、
前記第1検出部は、前記3次元伝搬路モデルに重なる樹木を前記影響物として検出する
請求項3に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項5】
さらに、前記電波伝搬路保守システムは、前記電波伝搬路保守システムからの情報をユーザ端末に表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記第2検出部により検出された前記樹木を示す樹木指標を前記ユーザ端末に表示し、
前記表示部は、前記第1検出部により検出された前記影響物を示す影響指標を前記樹木指標と異なる形式によって前記ユーザ端末に表示する
請求項4に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項6】
前記第1検出部は、さらに、
将来電波の伝搬に影響を与えると予測される樹木を予測影響物として検出し、
前記表示部は、前記予測影響物を示す予測指標を前記樹木指標及び前記影響指標と異なる形式によって前記ユーザ端末に表示する
請求項5に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項7】
さらに、前記電波伝搬路保守システムは、前記電波伝搬路保守システムからの情報をユーザ端末に表示する表示部と、
前記複数の中継物それぞれの予め設定された設定位置を入力する入力部と
を備え、
前記表示部は、前記生成部により生成された前記3次元地形モデルと、前記入力部に入力された前記設定位置を示す指標とを前記ユーザ端末に表示する
請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項8】
前記算出部は、前記3次元地形モデル又は前記撮影情報に基づいて、前記複数の中継物それぞれの3次元位置情報を得る
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項9】
前記撮影情報は、飛行する航空機に備えられたカメラより撮影された写真画像を含む
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項10】
前記3次元伝搬路モデルは円柱形状であることを特徴とする
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項11】
前記3次元伝搬路モデルはその断面が直角形である四角柱形状であることを特徴とする
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項12】
前記3次元伝搬路モデルは前記伝搬路の第1フレネルゾーンに外接する四角柱形状であることを特徴とする
請求項11に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項13】
前記3次元伝搬路モデルは前記伝搬路の第1フレネルゾーンであり、
前記中継物のうち前記電波を反射する反射板の直径は、前記伝搬路の第1フレネルゾーンの直径より大きいことを特徴とする
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項14】
電波を受け渡しあう複数の中継物の間の地上領域を撮影する撮影装置により得られた撮影情報を取得する取得部と、
前記電波が伝搬する伝搬路の3次元位置を示す3次元伝搬路モデルを算出する算出部と、
前記撮影情報及び前記3次元伝搬路モデルに基づいて、前記電波の伝搬に影響を与える影響物を検出する第1検出部と、
前記取得部によって得られた前記撮影情報に基づいて、前記地上領域の諸物体の3次元位置と3次元形状とを示す3次元地形モデルを生成する生成部と、を備え、
前記第1検出部は、前記3次元地形モデルと前記3次元伝搬路モデルとに基づいて、前記影響物を検出し、
さらに、前記3次元地形モデル中に存在する少なくとも一つの樹木を検出する第2検出部を備え、
前記第1検出部は、前記3次元伝搬路モデルに重なる樹木を前記影響物として検出し、
さらに、ユーザ端末に表示する表示部を備え、
前記表示部は、前記第1検出部により検出された前記影響物を示す影響指標を前記ユーザ端末に表示し、
前記第1検出部は、さらに、
将来電波の伝搬に影響を与えると予測される樹木を予測影響物として検出し、
前記表示部は、前記予測影響物を示す予測指標を前記影響指標と異なる形式によって前記ユーザ端末に表示する
電波伝搬路保守システム。
【請求項15】
電波を受け渡しあう複数の中継物の間の地上領域の地形データを取得する第1の取得部と、
前記電波が伝搬する伝搬路の3次元位置を示す3次元伝搬路モデルを算出する算出部と、
前記地形データ及び前記3次元伝搬路モデルに基づいて、前記地上領域の少なくとも一部を撮影装置により撮影するか否かを決定し、
撮影すると決定された前記地上領域の少なくとも一部を撮影する、前記撮影装置により得られた撮影情報を取得する第2の取得部と、
前記撮影情報及び前記3次元伝搬路モデルに基づいて、前記電波の伝搬に影響を与える影響物を検出する検出部と
を備える
電波伝搬路保守システム。
【請求項16】
前記3次元位置情報として、ユーザにより指定された前記伝搬路の形状及び寸法が入力される入力部をさらに備え、
前記算出部は、前記ペアの中継物それぞれの代表箇所の位置と、前記ペアの中継物のいずれかの中継物の形状及び寸法、又は前記伝搬路の形状及び寸法とに基づき、前記ペアの中継物間における前記3次元伝搬路モデルを算出する、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【請求項17】
前記3次元位置情報には、さらに、前記電波の送受信角度情報が含まれる、
請求項1、2及び16のいずれか1項に記載の電波伝搬路保守システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波伝搬路保守システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波の電波は直進性が高い。このような直進性を持つ電波を、山岳地帯などを遠距離にわたり山頂等の障害物を回避しつつ伝送する場合、電波を送信アンテナから受信アンテナまで幾つかの電波反射板で反射させつつ伝送することが行われている。
【0003】
しかし、アンテナと反射板との間及び反射板と反射板との間の電波の通り道(以下、伝搬路という)内又はその近くに樹木などが存在すると、それが伝送の障害となる又はなるおそれがある。そこで、人が山中に入って障害となりそうな樹木を探し出し、それを伐採するという対策が行われている。
【0004】
この対策において、人が山に入り障害となりそうな樹木を見つけ出す作業は長い時間と大きな労力を要する。また、電波伝搬路は物体ではなく、人の目に見えない空間領域であるから、どの樹木が問題になりそうかを人が判断することが難しい。
【0005】
なお、特許文献1には、送電線と樹木の位置関係を監視するために、無人ヘリのステレオカメラとレーザ距離計とで測定した情報から、送電線周辺の樹木の3次元画像を作り、そこに予め用意された鉄塔と送電線のデータを入れることで、樹木と送電線との距離を計算して近すぎないかどうか判断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-265699号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
電波伝搬路保守システムは、電波を受け渡しあう複数の中継物の間の地上領域を撮影する撮影装置により得られた撮影情報を取得する取得部と、電波が伝搬する伝搬路の3次元位置を示し、複数の前記中継物を結ぶ線に直交する面における形状が一定である3次元伝搬路モデルを算出する算出部と、撮影情報及び3次元伝搬路モデルに基づいて、電波の伝搬に影響を与える影響物を検出する第1検出部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、電波の伝搬に影響する影響物を検出する作業量を助けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施例における電波伝搬路保守システムの説明図。
図2】電波伝搬路保守システムのハードウェア構成図。
図3】電波伝搬路保守システムの流れ図。
図4】電波の伝搬路の説明図。
図5】樹木検出部の説明図。
図6】指定情報入力部の説明図。
図7】3次元伝搬路モデル算出部の流れ図。
図8】3次元伝搬路モデルの説明図。
図9】3次元伝搬路モデルの変形例の説明図。
図10】3次元伝搬路モデルの変形例の説明図。
図11】影響検出部の説明図。
図12】3次元伝搬路モデルをA方向から見た図。
図13】第2実施例における指定情報入力部の説明図。
図14】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作を説明するための図。
図15】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作を説明するための図。
図16】第3実施例における電波伝搬路保守システムの表示装置に表示される画面の一例を示す図。
図17】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作の一例を説明するためのフローチャート。
図18】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作の他の例を説明するためのフローチャート。
図19】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作のまた他の例を説明するためのフローチャート。
図20】第3実施例における電波伝搬路保守システムの動作のさらに他の例を説明するためのフローチャート。
図21】第4実施例における3次元伝搬路モデルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
図1は、電波伝搬路保守システム12の説明図である。電波伝搬路保守システム12は、電波の伝搬に影響を与える「影響物」の一例としての影響樹木5を検出する。電波伝搬路保守システム12は、例えば、「撮影装置」の一例としてのカメラ114を有する無人航空機(以下、ドローンと示す場合がある)11から取得する撮影情報に基づいて、電波の通り道の伝搬路4の3次元モデルを生成し、影響樹木5を検出する。
【0011】
ドローン11は、飛行しながら、複数の中継物2の間の地上の領域を撮影する。もちろん、ドローン11は、複数の中継物2の間の領域だけでなく、その周辺の領域や中継物2も含んだ、より広範な地上領域を撮影してよい。各中継物2は、他の1以上の中継物2と電波を互いに受け渡し合う。中継物2としては、例えば、電波送受信(ここで、「送受信」とは送信と受信のいずれか一方又は双方を意味することとする)塔21の送受信アンテナ211、あるいは、電波を反射する反射板22等があり得る。複数のドローン11が用いられてよいが、以下では、1台のドローン11を用いる場合を例に説明する。
【0012】
ドローン11は、例えば、飛行装置111と、位置測定装置112と、方位測定装置113と、カメラ114とを備える。飛行装置111は、ドローン11を飛行させる装置である。飛行装置111は、例えば、プロペラ、プロペラ駆動装置、姿勢制御装置等を含む。
【0013】
位置測定装置112は、ドローン11又はカメラ114の3次元位置情報を測定する。3次元位置情報は、例えば、緯度、経度又は高度等の3次元地理座標である。位置測定装置112には、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)又はRTK(Real Time Kinematic)が用いられてもよい。なお、位置測定装置112は、GNSS又はRTKが用いられた装置に限られない。
【0014】
方位測定装置113は、カメラ114の視線(光軸)又はドローン11の3次元方位を測定する。3次元方位は、例えば、ロール角、ピッチ角及びヨー角によって設定される。方位測定装置113は、例えば、ジャイロセンサである。なお、方位測定装置113は、ジャイロセンサに限られない。
【0015】
カメラ114は、各中継物2の間の地上領域(例えば、後述するようにして計算される伝搬路4の3次元位置とその周辺とを包含する地上の空間領域であって、予め選定されていてよい)を撮影する。カメラ114によって撮影されるその領域の画像は、各中継物2の間における領域の静止画データを一例にあげて説明するが、撮影されるデータは静止画に限らず動画でもよい。
【0016】
電波伝搬路保守システム12は、ドローン11の撮影情報に基づいて、伝搬路4に影響する影響樹木5を検出する。電波伝搬路保守システム12は、例えば、撮影情報取得部121と、「生成部」の一例としての3次元地形モデル生成部122と、「第2検出部」の一例としての樹木検出部123と、「算出部」の一例としての3次元伝搬路モデル算出部124と、「第1検出部」の一例としての影響検出部125と、指定情報入力部126と、表示部127とを備える。なお、図中において、「部」を省略して示す場合がある。
【0017】
指定情報入力部126には、ユーザ端末13から、どの伝搬路4に(換言すると、どのペアの中継物2の間の地上領域)に影響を与える影響樹木5を検出したいかが入力される。すなわち、ユーザは、それに関して影響樹木5を検出したい標的の伝搬路4を指定する情報、又はその標的の伝搬路4を形成する(つまり、標的の伝搬路4の両端部となる)ペアの中継物(以下、標的のペアの中継物という)2を指定する情報を、ユーザ端末13から指定情報入力部126に入力する。
【0018】
以下、指定情報入力部126に入力される標的の伝搬路4を指定する情報、又は標的のペアの中継物2を指定する情報は、指定情報と総称される場合がある。指定情報入力部126は、指定情報を撮影情報取得部121に送る。
【0019】
撮影情報取得部121は、ドローン11のカメラ114が複数の中継物2の間の地上の領域を撮影することで得られた撮影情報を、カメラ114から無線通信又は有線通信によって入力し、入力した撮影情報を記録する。撮影情報取得部121は、指定情報入力部126に入力された指定情報により指定される標的の伝搬路4又は標的のペアの中継物2に対応する領域(以下、標的領域という)の撮影情報を、前もって記録しておいた撮影情報の中から選択的に読み出して、それを3次元地形モデル生成部122に渡す。ここで、標的領域だけでなく、標的領域の周辺領域をも含んだより広範な領域の撮影情報について、上記と同じ処理が行われてよい。しかし、以下では、撮影情報に関する説明は、標的領域に焦点を絞って行う。
【0020】
撮影情報には、例えば、複数の中継物2の間の領域の写真画像と、各画像(動画の場合は各フレーム画像)の撮影時点におけるドローン11(又はカメラ114)の位置測定データと方位測定データとが含まれる。撮影情報取得部121は、標的の伝搬路4又は標的のペアの中継物2に対応する標的領域の撮影情報を3次元地形モデル生成部122に送る。
【0021】
なお、撮影情報取得部121は、カメラ114から撮影情報が無線通信又は有線通信によって入力されることに限らず、少なくとも一つのデータ中継装置を介して撮影情報が無線通信又は有線通信によって入力されてもよい。データ中継装置は、ドローン11を制御し、ユーザに携帯されることが可能な制御コントローラでもよい。ユーザ端末13は、データ中継装置として機能してよく、無線通信又は有線通信によって撮影情報を撮影情報取得部121に入力してもよい。
【0022】
3次元地形モデル生成部122は、取得した標的領域の撮影情報に基づいて、その標的領域に存在する諸物体(例えば、多数の樹木、露出した地面、標的の中継物2など)の3次元形状と3次元位置を示す3次元モデル(以下、3次元地形モデルという)を生成する。
【0023】
3次元地形モデルの生成方法の一例は次のとおりである。標的領域を多数の異なる位置から撮影して得られた多数の写真画像から、標的領域に存在する諸物体の多数の特徴点を抽出する。上記多数の写真画像のそれぞれの撮影時点におけるドローン11(又はカメラ114)の位置測定データと方位測定データとに基づいて、上記多数の特徴点のそれぞれの3次元位置を計算する。それら多数の特徴点の3次元位置をメッシュ状に繋ぐことによって、3次元地形モデルを生成する。なお、3次元地形モデルの生成方法は上述した方法に限られない。例えば、写真画像から3次元地形モデルを生成する方法を学習させたニューラルネットワークを用いてもよい。
【0024】
樹木検出部123は、3次元地形モデル内の各樹木を検出する。樹木検出部123は、例えば、3次元地形モデルの各部の形状特徴や、その各部の写真画像から得られる色彩特徴から、各樹木(とりわけ、各樹木の中の高度が元も高い頂上部)を検出する。なお、樹木検出の方法は、上記の方法に限らない。例えば、3次元地形モデルから各樹木を検出する方法を学習させたニューラルネットワークを用いてもよい。
【0025】
さらに、3次元地形モデル内に存在する1以上の樹木について現地観測した樹高を知りえる場合、樹木検出部123の検出結果と現地観測した樹木の差分を用いて、検出結果全体の値を補正してもよい。
【0026】
3次元伝搬路モデル算出部124は、複数の中継物2の中の隣接し合う1以上のペアの中継物2間に形成される1以上の伝搬路4のそれぞれの3次元形状と3次元位置を示す3次元伝搬路モデル43(図8参照)を生成する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、指定情報入力部126によって入力された設定値セットに基づいて、3次元伝搬路モデル43の3次元形状及び3次元位置等を計算する。
【0027】
影響検出部125は、影響樹木5を検出する。影響検出部125は、例えば、3次元地形モデルから検出された1以上の樹木の中から、3次元伝搬路モデル43に位置的に重なる樹木(例えば、その頂上部(又は樹冠)の平面位置(緯度と経度)が3次元伝搬路モデル内に存在するとともに、頂上部の高度が3次元伝搬路モデル内又はそれより高い樹木)を、電波に影響を与える影響樹木5だと検出する。なお、影響検出部125は、樹木に限らず、上記と同様の位置的条件を満たす他の物体も、電波の伝搬に影響するものとして検出してもよい。
【0028】
また、影響検出部125は、3次元伝搬路モデル43に位置的に重ならなくても位置的に所定距離以内に近接した部分をもつ樹木を、影響樹木5として検出してもよい。あるいは、影響検出部125は、3次元地形モデルのうち、3次元伝搬路モデル43に位置的に重なるか又はそれに所定距離以内に近接する部分を、その部分が樹木であるかを考慮せずに、影響樹木(又は影響物体)5として検出してもよい。
【0029】
また、影響検出部125は、3次元伝搬路モデル43にて解析対象領域に存在する影響樹木を絞り込んだ後に、より正確な伝搬路モデル(例えば、楕円体を用いた領域図形など)を用いてより正確な解析をおこなっても良い。
【0030】
前述した指定情報入力部126には、また、3次元伝搬路モデルの算出に使用される設定値セットが、ユーザによってユーザ端末13を通じて入力される。指定情報入力部126に入力される設定値セットは、例えば、標的のペアの中継物2(例えば、電波を受け渡し合う送受信アンテナ211と反射板22)の各々の3次元位置情報(例えば、その中心点の緯度、経度、高度等)を含む。
【0031】
3次元位置情報には、標的のペアの中継物2の代表箇所(例えば、アンテナ211、反射板22の中心、反射板22の四隅)の3次元位置情報、形状情報(例えば、長方形の場合の縦と横の寸法、あるいは、円形の場合の直径寸法)、そのペア間で電波を送受信する3次元送受信角度情報(例えば、平面角と仰角)が含まれてよい。なお、指定情報入力部126に入力される設定値セットは、上記のセットに限らない。
【0032】
指定情報入力部126は、上記設定値セットをユーザからユーザ端末13を通じて入力することに限らず、3次元地上モデル及び撮影情報に基づいて設定値セットを算出してもよい。あるいは、指定情報入力部126は、学習機能を備え、3次元地上モデルに生成される中継物2の形状を学習した学習モデルを用いて3次元地上モデルの中から中継物2を検出することにより、中継物2の設定値セットを算出してもよい。
【0033】
表示部127は、電波伝搬路保守システム12からの情報をユーザ端末13に表示する。表示部127は、例えば、3次元地形モデル、3次元地形モデル内の樹木と中継物2(電波送受信塔21と反射板22等)、及び3次元伝搬路モデルの少なくともいずれか一つをGUI(Graphical User Interface)上に表示させる。
【0034】
ユーザ端末13は、電波伝搬路保守システム12を使用するユーザに携帯されるか、又はユーザが利用する場所に設置される。ユーザ端末13は、例えば、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。なお、ユーザ端末13は、ユーザに携帯されることに限らず、電波伝搬路保守システム12またはドローン11に備えられてもよい。
【0035】
ユーザ端末13には、表示装置131が備えられる。表示装置131は、電波伝搬路保守システム12から送られるGUIやGUIに入力される入力データ等の情報を提示する。表示装置131は、例えば、モニタ又はスクリーン等の映像出力装置である。
【0036】
図2は、電波伝搬路保守システム12のハードウェア構成図である。電波伝搬路保守システム12は、典型的には、ストレージ(記憶部)61、CPU(Central Processing Unit)62、メモリ63及び通信部64を含む。ストレージ61には、CPU62に実行されることにより撮影情報取得部121と、3次元地形モデル生成部122と、樹木検出部123と、3次元伝搬路モデル算出部124と、影響検出部125と、指定情報入力部126との機能を実現するコンピュータプログラムが記録される。ストレージ61には、例えば、撮影情報又は3次元地形モデル等が記録される。
【0037】
CPU62は、ストレージ61内のコンピュータプログラムをメモリ63にロードして実行することにより、電波伝搬路保守システム12の各機能121~126を実現する。
【0038】
電波伝搬路保守システム12は、例えば、ネットワーク65を介して、少なくとも一つのユーザ端末13及び少なくとも一つのドローン11と無線通信及び/又は有線通信可能に接続される。なお、電波伝搬路保守システム12とユーザ端末13とは、一つのコンピュータに備えられてもよい。
【0039】
図3は、電波伝搬路保守システム12の処理プロセスの流れ図である。以下、電波伝搬路保守システム12の処理S1~S6に関して、図4に示す内容を一例に挙げて説明する。なお、処理S1~S6は、図4に示す内容に適用されることに限らない。
【0040】
図4は、電波の伝搬路4(1)~4(3)の説明図である。電波送受信塔21(1)のアンテナ211(1)から送信される電波は、反射板22(1),22(2)によって順次に反射された後、電波送受信塔21(2)のアンテナ211(2)によって受信される。
【0041】
アンテナ211(1)は、電波を反射板22(1)に向けて送信する。アンテナ211(1)の反射鏡は、例えば、直径が「d(m)」の円形形状に形成される。これにより、アンテナ211(1)から送信される電波は、直径「d(m)」の円柱形状の空間領域を伝搬する。すなわち、アンテナ211(1)と反射板22(1)とをつなぐ伝搬路4(1)の実形状は、例えば、直径「d(m)」の円柱形状である。
【0042】
反射板22(1)は、アンテナ211(1)からの電波を反射板22(2)へ反射させる。反射板22(1)から反射板22(2)まで電波が伝搬する経路を伝搬路4(2)と示す。伝搬路4(2)の実形状も、例えば、直径「d(m)」の円柱形状である。
【0043】
反射板22(2)は、反射板22(1)からの電波をアンテナ211(2)へ反射させる。反射板22(2)からアンテナ211(2)まで電波が伝搬する経路を伝搬路4(3)と示す。伝搬路4(3)の実形状も、例えば、直径「d(m)」の円柱形状である。
【0044】
図3に戻り、指定情報入力部126は、ユーザ端末13から指定情報を取得する(S1)。指定情報入力部126は、例えば、ユーザ端末13のGUI上に、指定情報を入力する入力欄(例えば、図6に例示するようなGUI)を表示させてもよい。ユーザは、例えば、標的伝搬路の指定情報として、伝搬路4(1)の3次元位置情報を指定情報入力部126に入力する。なお、ユーザは、例えば、標的のペアの中継物の指定情報として、アンテナ211(1)(電波送受信塔21(1))と反射板22(1)のそれぞれの3次元位置情報を指定情報入力部126に入力してもよい。入力された3次元位置情報には、図3のステップS5の3次元伝搬路モデル43の算出に用いられる設定値セットが含まれる。この設定値セットの詳細例や入力のためのGUIについては、後に図6を参照して説明する。
【0045】
撮影情報取得部121は、ドローン11から撮影情報を取得してストレージ61内のデータベースに格納する(S2)。撮影情報取得部121は、例えば、ドローン11から取得した撮影情報のデータベースから、標的伝搬路としての伝搬路4(1)に関する撮影情報を3次元地形モデル生成部122に送る。標的伝搬路としての伝搬路4(1)に関する撮影情報は、例えば、指定情報により指定されたアンテナ211(1)と反射板22(1)との間の標的領域を含む地上領域を撮影した多数の写真画像と、それらの写真画像をそれぞれ撮影した時点のカメラ114又はドローン11の位置測定情報と方位測定情報とを含む。
【0046】
3次元地形モデル生成部122は、撮影情報取得部121から取得した撮影情報に基づいて、上記標的領域を含む地上領域の3次元地形モデルを生成する(S3)。3次元地形モデル生成部122は、例えば、アンテナ211(1)と反射板22(1)との間の地上領域を撮影した多数の写真画像に基づいて、それらの画像に表示される多数の特徴点を抽出する。
【0047】
3次元地形モデル生成部122は、抽出した多数の特徴点のそれぞれの写真画像中での位置情報と、撮影情報取得部121から取得したそれぞれの写真画像の撮影時点の位置測定情報と方位測定情報とに基づいて、それぞれの特徴点の3次元位置を計算する。
【0048】
3次元地形モデル生成部122は、例えば、多数の特徴点の3次元位置をメッシュ状に繋ぐことによって、アンテナ211(1)と反射板22(1)との間の標的領域を含む地上領域の3次元地形モデルを生成する。3次元地形モデル生成部122は、撮影画像の色情報を3次元地形モデルに反映させ(投影し)てもよい。
【0049】
表示部127は、表示装置131に3次元地形モデルを表示させる。表示装置131に表示される3次元地形モデルは、表示装置131に表示されるGUIをユーザが操作することによって、様々な方向から見ることができてもよい。
【0050】
樹木検出部123は、3次元地形モデル内に存在する各樹木(各樹木に相当する部分)を検出する(S4)。図5に示すように、表示部127は、検出した樹木を樹木指標7として表示装置131に表示させる。樹木検出部123は、各樹木の頂上部(又は樹冠)を樹木指標7として表示装置131に表示させてもよい。
【0051】
次に、図3に示すステップS5の3次元伝搬路モデル43の算出が行われるが、そこでは、ステップS1の指定情報取得で入力された設定値セットが使用される。ここで、3次元伝搬路モデル43算出の処理を説明する前に、ステップS1での設定値セットの入力についてより具体的に説明する。
【0052】
表示部127は、標的のペアの中継物2に関する3次元位置情報を示す設定値セットを入力するGUIを表示装置131に表示させる。図6は、そのGUIの一例を示し、そこには、標的のペアの中継物2の3次元位置情報を入力する欄1271~1273がある。例えば、一方の中継物2であるアンテナ211(1)の3次元位置情報が入力される欄1271と、他方の中継物2である反射板22(1)の3次元位置情報が入力される欄1272と、そのペア間の伝搬路4(1)の寸法及び大きさが入力される欄1273とがある。
【0053】
欄1271には、例えば、アンテナ211(1)の代表箇所(例えば中心点)の緯度が入力される欄12711と、アンテナ211(1)の代表箇所の経度が入力される欄12712と、電波送受信塔21(1)の地盤面の標高が入力される欄12713と、その地盤面からアンテナ211(1)の代表箇所までの高さが入力される欄12714とが示される。なお、欄1271には、欄12711~12714が表示されることに限らず、設定値セットに含まれる電波の送受信角度情報等が入力可能な欄が表示されてもよい。
【0054】
欄12711には、例えば、「a1(°)」と入力される。欄12712には、例えば、「b1(°)」と入力される。欄12713には、例えば、「c1(m)」と入力される。欄12714には、例えば、「e1(m)」と入力される。なお、各欄12711~12714に入力される値は、図中に示す値に限られない。
【0055】
欄1272には、例えば、反射板22(1)の代表箇所(例えば中心点)の緯度が入力される欄12721と、反射板22(1)の代表箇所の経度が入力される欄12722と、反射板22(1)の地盤面の標高が入力される欄12723と、その地盤面から反射板22(1)の代表箇所までの高さが入力される欄12724とが示される。なお、欄1272には、欄12721~12724が表示されることに限らず、設定値セットに含まれる送受信角度情報等を入力可能な欄が表示されてもよい。
【0056】
欄12721には、例えば、「a2(°)」と入力される。欄12722には、例えば、「b2(°)」と入力される。欄12723には、例えば、「c2(m)」と入力される。欄12724には、例えば、「e2(m)」と入力される。なお、各欄12721~12724に入力される値は、図中に示す値に限られない。
【0057】
欄1273には、例えば、伝搬路4(1)の形状(例えば、アンテナの形状で決まる伝搬路の断面形状)を入力する欄12731と、伝搬路4(1)のその形状の寸法を入力する欄12732とが示される。欄12731には、例えば、「円形」と入力される。欄12732には、例えば、「d(m)」と入力される。なお、欄1273に入力される値は、図中に示す値に限られない。伝搬路4の形状は、アンテナ211の反射鏡の形状及び反射鏡の寸法に限らない。
【0058】
図3に戻り、3次元伝搬路モデル算出部124は、指定情報入力部126に入力された設定値セット(すなわち、例えば、標的のペアの中継物2の3次元位置情報)に基づいて、3次元伝搬路モデル43を生成する(S5)。あるいは、3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、3次元地形モデルに基づいて標的のペアの中継物2の3次元位置情報を算出し、それに基づいて3次元伝搬路モデル43を生成してもよい。以下、指定情報入力部126に入力された設定値セットに基づいて3次元伝搬路モデル43を生成する場合について、図7の流れ図と図8の説明図を参照しながら説明する。
【0059】
以下の説明では、3次元位置情報は、x軸、y軸及びz軸の3軸をもつ直交座標系を用いて説明する。
【0060】
x軸は、例えば、緯度(南北)方向に設定される。y軸は、例えば、経度(東西)方向に設定される。z軸は、高度方向に設定される。なお、図中において、z軸方向における基準値(以下、基準値と略記する場合がある)を「base」と示す場合がある。
【0061】
3次元伝搬路モデル算出部124は、各中継物2の3次元位置情報を取得する(S51)。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、欄12711に入力される「a1(°)」と、欄12712に入力される「b1(°)」とをアンテナ211(1)の3次元位置情報のx軸方向とy軸方向の成分として取得する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、欄12713に入力される「c1(m)」と、欄12714に入力される「e1(m)」とに基づいて、同3次元位置情報のz軸方向の成分を「c1+e1(m)」として算出する。
【0062】
3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、欄12721に入力される「a2(°)」と、欄12722に入力される「b2(°)」とを反射板22(1)の3次元位置情報のx軸方向とy軸方向の成分として取得する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、欄12723に入力される「c2(m)」と、欄12724に入力される「e2(m)」とに基づいて、同3次元位置情報のz軸方向の成分を「c2+e2(m)」として算出する。
【0063】
3次元伝搬路モデル算出部124は、3次元伝搬路モデル43の形状(例えば断面形状)として、伝搬路4(1)の形状を指定情報入力部126から取得又は算出する(S52)。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、伝搬路4(1)の実形状が直径「d(m)」の円形形状であるとの情報を指定情報入力部126の欄1273から取得する。
【0064】
3次元伝搬路モデル算出部124は、3次元伝搬路モデル43を生成する(S53)。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、アンテナ211(1)の位置情報と、反射板22(1)の位置情報と、伝搬路4(1)の断面形状情報に基づいて、3次元伝搬路モデル43(1)を生成する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、アンテナ211(1)の代表箇所(例えば中心点)の3次元位置(a1,b1,c1+e1)と、反射板22(1)の代表箇所(例えば中心点)の3次元位置(a2,b2,c2+e2)とを直線的に結ぶ、直径d(m)の円柱状に形成される3次元伝搬路モデル43(1)を生成する。
【0065】
なお、3次元伝搬路モデル算出部124は、伝搬路4の実形状に合致した3次元伝搬路モデル43を必ずしも生成しなくてもよく、例えば、伝搬路4より若干大きくて伝搬路4を包含するような3次元伝搬路モデル43を生成してもよい。例えば、図9に示すように、3次元伝搬路モデル算出部124は、対向する二つの反射板22の間において、各反射板22の外周を直線的につなぐように形成される3次元伝搬路モデル43を生成してもよい。
【0066】
すなわち、3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、反射板22(1)の3次元位置情報、形状情報及び寸法情報に基づいて、反射板22(1)の四隅221(1)~224(1)の3次元位置情報を算出する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、反射板22(2)の3次元位置情報、形状情報及び寸法情報に基づいて、反射板22(2)の四隅221(2)~224(2)の3次元位置情報を算出する。
【0067】
3次元伝搬路モデル算出部124は、四隅221(1)~224(1)と四隅221(2)~224(2)とを結ぶように3次元伝搬路モデル43a(2)を生成する。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、反射板22(1)と反射板22(2)とを結ぶ四角柱状の3次元伝搬路モデル43a(2)を算出する。
【0068】
なお、伝搬路4の断面形状が円形である場合、図10(1)に示すように、3次元伝搬路モデル算出部124は、対向する反射板22間を結ぶように形成される円柱状の3次元伝搬路モデル43b(2)を生成してもよい。3次元伝搬路モデル43b(2)は、例えば、直径が伝搬路4と同じ「d(m)」(又は、それより若干大きい値)に設定される円柱状に形成される。
【0069】
図10(2)に示すように、3次元伝搬路モデル算出部124は、対向する反射板22よりも広い範囲を囲うような3次元伝搬路モデル43c(2)を生成してもよい。3次元伝搬路モデル算出部124は、例えば、反射板22の反射面よりも広い範囲の四角柱の3次元伝搬路モデル43c(2)を生成する。このように、3次元伝搬路モデル43の断面寸法は伝搬路4のそれより大きく設定されてよいが、その寸法の調整はユーザによりGUI上で手動で行われてもよいし、あるいは、コンピュータプログラムにより自動的に行われてもよい。
【0070】
図3に戻り、影響検出部125は、3次元地形モデルから検出された1以上の樹木の中から、影響樹木5を検出する(S6)。図11は、影響検出部125の説明図である。図12は、3次元伝搬路モデル43(1)を図11のA方向から見た図である。影響検出部125は、3次元地形モデルの樹木(図5にて樹木指標7でそれぞれ示される樹木)の中から3次元伝搬路モデル43へ位置的に重なる樹木を検出し、影響樹木5として判定する。
【0071】
すなわち、影響検出部125は、図11に示すように、例えば、3次元地形モデルの樹木の中から、3次元伝搬路モデル43(1)の平面(x軸方向とy軸方向の)位置範囲内に存在している樹木を判定標的樹木51として検出する。影響検出部125は、図12に示すように、例えば、基準値から判定標的樹木51の頂上部(又は樹冠)までの高さ(h1)と、基準値から3次元伝搬路モデル43(1)(例えば、その下面)までの高さ(h2)とを比較する。
【0072】
影響検出部125は、例えば、基準値から判定標的樹木51の頂上部(又は樹冠)までの高さ(h1)が基準値から3次元伝搬路モデル43(1)までの高さ(h2)よりも高い樹木を影響樹木5として検出する。なお、影響検出部125は、判定標的樹木51の頂上部(又は樹冠)の高さに基づいて影響樹木5を検出することに限られない。
【0073】
表示部127は、図11に示すように、影響樹木5を示す影響指標71を表示装置131に表示させる。影響指標71は、例えば、樹木指標7とは異なる形式に設定される。表示部127は、例えば、樹木指標7と影響指標71との形状、色、大きさ又は模様等を異なるものに設定してもよい。
【0074】
さらに、影響検出部125は、3次元地形領域の樹木の中から、3次元伝搬路モデル43の平面領域に位置し、かつ、基準値から3次元伝搬路モデル43までの高さよりも低い樹木を、影響しうる樹木の予測樹木6として検出する。すなわち、影響検出部125は、将来的に3次元伝搬路モデル43に影響する可能性のある樹木を検出する。
【0075】
影響検出部125は、例えば、基準値から判定標的樹木51の頂上部(又は樹冠)までの高さ(h3)が基準値から3次元伝搬路モデル43(1)(例えばその下面)までの高さ(h4)よりも低い樹木を予測樹木8として検出する。なお、影響検出部125は、基準値から判定標的樹木51の頂上部(又は樹冠)までの高さ(h3)と基準値から3次元伝搬路モデル43(1)までの高さ(h4)との差が所定の長さ(例えば、2m)以内である場合において、予測樹木8として検出してもよい。
【0076】
さらに、同一場所の過去の解析結果との比較により樹木の成長度を計算できる場合、影響検出部125は、例えば1年後、3年後など任意の将来時点における予測樹木8を検出しても良い。
【0077】
また、樹木の成長度は内部で計算するのみならず、外部から与えても良い。
【0078】
表示部127は、予測樹木8を示す予測指標72を表示装置131に表示させる。予測指標72は、例えば、樹木指標7及び影響指標71とは異なる形式に設定される。影響検出部125は、例えば、樹木指標7及び影響指標71と予測指標72との形状、色、大きさ又は模様等を異なるものに設定してもよい。
【0079】
以上に示す電波伝搬路保守システム12は、3次元伝搬路モデル算出部124を備えるため、写真撮影では直接得ることができない電波の伝搬路を表した3次元伝搬路モデル43を算出することができる。これにより、電波伝搬路保守システム12は、電波の伝搬に影響を与える樹木を自動検出することができる。その結果、電波伝搬路保守システム12は、電波の伝搬に影響する樹木を検出する作業量を助けることができる。
【0080】
3次元伝搬路モデル算出部124は、3次元伝搬路モデル43を生成することにより、頂部が伝搬路4に届く又は伝搬路4よりも高い樹木を影響樹木5として検出することができる。これにより、電波に影響を与える樹木を伐採することができ、電波に影響を与えない樹木を残すことができる。
【0081】
電波伝搬路保守システム12は、影響検出部125を備えることによって、樹木指標7とは異なる形状に設定される影響指標71を表示装置131に表示させることができる。これにより、ユーザは、多数の樹木の中から影響樹木5を容易に把握することができる。その結果、電波伝搬路保守システム12の使い勝手が向上する。
【0082】
電波伝搬路保守システム12は、影響検出部125を備えることで、樹木指標7及び影響指標71とは異なる形状に設定される予測指標72を表示装置131に表示させることができる。これにより、ユーザは、多数の樹木の中から予測樹木8を容易に把握することができる。その結果、電波伝搬路保守システム12の使い勝手が向上する。
【実施例2】
【0083】
本実施例は、第1実施例の変形例に相当するため、第1実施例との相違を中心に説明する。電波伝搬路保守システム12は、指定情報入力部126aを備えることによって、3次元伝搬路モデル43を生成する精度を向上させることができる。
【0084】
図13は、指定情報入力部126aの説明図である。指定情報入力部126aは、3次元伝搬路モデル算出部124に使用される設定値セットを含んだ3次元位置情報がユーザによって入力される。指定情報入力部126aに入力される設定値セットは、例えば、アンテナ211の3次元位置情報、アンテナ211の形状情報、アンテナ211の電波を送信する送信角度情報、反射板22の3次元位置情報、反射板22の形状情報、反射板22の反射角度情報等を含む。
【0085】
ユーザは、標的のペアの中継物2を選択し、それらの3次元位置情報をユーザ端末13から指定情報入力部126aに入力する。指定情報入力部126aは、選択されたペアの中継物2の情報をユーザ端末13から取得する。
【0086】
表示部127は、そのペアの中継物2の3次元位置情報を入力する欄1272~1274を表示装置131に表示する。表示部127は、例えば、アンテナ211(1)と反射板22(1)に関する3次元位置情報を入力する欄を表示装置131に表示する。
【0087】
表示部127は、例えば、反射板22(1)の3次元位置情報が入力される欄1272と、伝搬路4(1)の形状及び寸法が入力される欄1273と、アンテナ211(1)の3次元位置情報が入力される欄1274とを、表示装置131に表示する。これらの欄1272~1274には、予め設定された(例えば、アンテナ211(1)と反射板22(1)の設計図に設定された)アンテナ211(1)と反射板22(1)の位置や形状に基づいた3次元位置情報が入力される。
【0088】
さらに、表示部127は、アンテナ211(1)の3次元位置情報が入力される追加の欄1275を、表示装置131に表示する。この追加の欄1275には、3次元地形モデルから得られるアンテナ211の3次元位置情報が入力される。すなわち、例えば、ユーザが、表示装置131に表示される3次元地形モデルを見て、その中からアンテナ211を見つけて指定することにより、3次元地形モデルに基づくアンテナ211(1)の3次元位置情報が特定され、これが欄1275に入力される。あるいは、指定情報入力部126aが自動的に、3次元地形モデル中からアンテナ211(1)を検出し、その3次元位置情報を3次元地形モデルから得て、欄1275に入力する。
【0089】
表示部127は、欄1274に入力されたアンテナ211(1)の予め設定された3次元位置情報を、「設定位置」23として表示装置131に表示させる。表示部127は、欄1275に入力された3次元地形モデルに基づくアンテナ211(1)の3次元位置情報を、「モデル位置」24として表示装置131に表示させる。アンテナ211(1)の設定位置23とモデル位置24との間には、通常、相違が存在する。すなわち、アンテナ211(1)の設定位置23は、アンテナ211(1)の実際の位置を実質的に示しているであろう。これに対し、モデル位置24には、ドローン11による写真撮影時の位置測定や方位測定の誤差に応じたゴアが含まれ得るから、設定位置23から若干ずれることが多い。この設定位置23とモデル位置24との間の相違は、撮影情報に基づいて生成される3次元地形モデルと、予め設定された3次元位置情報に基づいて生成される3次元伝送路モデルとの間に、位置的な相違を生み出す。
【0090】
欄1272と欄1275にそれぞれ入力されたアンテナ211(1)の設定位置23とモデル位置24(又は両者間の相違)は、3次元地形モデル生成部122、3次元伝搬路モデル算出部124、又は影響検出部25に送られ、そこにおいて、3次元地形モデルと3次元伝送路モデルとの間の上記の位置的な相違を修正するために利用されてよい。例えば、上記相違を利用して、3次元地形モデルの座標系を3次元伝送路モデルの座標系に合せる、あるいは、3次元伝送路モデルの座標系を3次元地形モデルの座標系に合せることができる。その結果、影響樹木の検出の精度が向上する。
【0091】
また、3次元地形モデルが一旦出来上がった後は、指定情報入力部126aは、ユーザ端末13の表示装置131に表示することにより、ユーザに3次元地形モデル上の任意の中継物2を選択させて、その選択された中継物2の周辺状況をユーザに見せることができる。その場合、指定情報入力部126aは、表示された3次元地形モデル上の、目的の中継物2(例えば、アンテナ211(1))の設定位置23に相当する位置に、設定位置23を示す指標を表示させる。表示された目的の中継物2の設定位置23の指標は、3次元地形モデルに現れている目的の中継物2の画像の位置から若干ずれている可能性がある。しかし、ユーザは、表示された設定位置23の指標を目印にして、その付近を探すことで、目的の中継物2(例えば、アンテナ211(1))を3次元地形モデル上で発見することが容易になる。その結果、指定情報入力部126aは、電波伝搬路保守システム12の使い勝手を向上させることができる。
【実施例3】
【0092】
本実施例も、第1実施例の変形例に相当するため、第1実施例との相違を中心に説明する。本実施例の電波伝搬路保守システム12は、電波の中継物2(塔21、反射板22等)の一方が森林地域になく、従って、ドローン11から取得する撮影情報に基づいて3次元地形モデルを伝搬路4の全てにおいて作成することなく、森林地域についてのみドローン11を飛ばして撮影情報を取得すれば足りる場合のものである。
【0093】
一例として、図14に示すように、伝搬路4の一部のみドローン11により撮影されており、従って、3次元地形モデルに基づいて把握される実際の地表面が伝搬路4の一部のみである場合を考える。伝搬路4の全てについて影響樹木5の存在を確認するためには、伝搬路4の全てにおいて地表面の高さ及び伝搬路4のどの領域が森林地域であるかを確認する必要がある。
【0094】
そこで、本実施例では、図15に示すように、ドローン11で撮影されている範囲以外については、地理院などが発行する外部3次元データ、一例としてGIS(Geographic Information System:地理情報システム)データにより地表面から3次元伝搬路モデル43までの高さ(あるいは、図12に示す基準値から3次元伝搬路モデル43までの高さh2)を求め、まだドローン11で撮影されていない範囲についてドローン11による撮影を行うか否かを判断させている。特に、外部3次元データに土地の利用情報や植樹実績を管理する情報が含まれている場合、ドローン11で撮影されていない範囲についても森林地域であるか否かを判定することができ、これに基づいてドローン11による撮影を行うか否かをより確実に判断することができる。
【0095】
以下の説明では、ドローン11による撮影を行う前に、まず外部3次元データに基づいて地表面から3次元伝搬路モデル43までの高さを判定し、さらに、外部3次元 データに基づいて森林地域を特定し、特定された森林地域についてドローン11による撮影を行うか否かを判定する実施例について説明する。
【0096】
なお、本実施例では、図15に示すように、3次元伝搬路モデル43を、アンテナ211からの伝搬路4において障害物がないことが好ましいとされる第1フレネルゾーン430に外接する四角柱形状であるとする。第1フレネルゾーンは対となる中継物2を焦点とする回転楕円形状である。
【0097】
図16は、本実施例の電波伝搬路保守システム12におけるユーザ端末13の表示装置131に表示される画面の一例を示す図である。対となる中継物2の間に3次元伝搬路モデル43が設定され、さらに、外部3次元データに基づいて地表面とこの3次元伝搬路モデル43との間の高さ(離隔距離)のうち、3次元伝搬路モデル43に近い(つまり離隔距離が短い)位置に○印が表示されている。また、外部3次元データに基づいて、対となる中継物2の間を含む領域に森林地域80が存在することが表示されている。
【0098】
電波伝搬路保守システム12の3次元地形モデル生成部122は、外部3次元データに基づいて地表面とこの3次元伝搬路モデル43との間の高さ(離隔距離)を算出し、表示部127を介して離隔距離及びこの離隔距離に基づくメッセージをユーザ端末13の表示装置131に表示させる。図16に示す例では、メッセージとして離隔距離が短いものの森林地域ではないのでドローン11による撮影は不要であること、及び、離隔距離が短くかつ森林地域であるのでドローン11による撮影を行うことを推奨するメッセージを表示している。
【0099】
次に、図17図20のフローチャートを参照して、本実施例の電波伝搬路保守システム12による障害物検出手順について説明する。
【0100】
図17は、本実施例の電波伝搬路保守システム12の樹木検出部123、3次元伝搬路モデル算出部124及び影響検出部125の動作を説明するためのフローチャートである。
【0101】
まず、3次元伝搬路モデル算出部124は、中継物2(アンテナ211など)の位置座標と伝搬路4の幅とから、3次元伝搬路モデル43を構成する四角柱の頂点の座標を求める(ステップS101)。次いで、3次元伝搬路モデル算出部124は、3次元伝搬路モデル43を構成する四角柱の頂点からその境界面を求める(ステップS102)。
【0102】
次いで、樹木検出部123は、樹冠の座標を取得して配列に格納する(ステップS103)。ステップS103の動作の詳細については後述する。
【0103】
次いで、影響検出部125は、ステップS103で取得した樹冠の座標配列から個々の樹冠の座標を取得し(ステップS104)、XY平面上(図8参照)で樹冠座標と3次元伝搬路モデル43を構成する四角柱との内外判定を行う(ステップS105)。
【0104】
さらに、影響検出部125は、3次元空間上で樹冠座標と3次元伝搬路モデル43を構成する四角柱との内外判定を行い、四角柱内部に存在する樹冠座標があれば、この樹冠座標を有する樹木は現在伝搬路4に支障している樹木であると判定する(ステップS106)。さらに、ステップS105で四角柱内部に存在する樹木と判定したがステップS106では伝搬路4に支障していない樹木であると判定した樹木を、将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木であると判定する(ステップS107)。そして、ステップS104~S107の動作を、全ての配列について行う(ステップS108)。
【0105】
次に、図18は、本実施例の電波伝搬路保守システム12の樹木検出部123による樹冠座標を特定する動作を説明するためのフローチャートであり、図17のステップS103の詳細を示すフローチャートである。
【0106】
まず、樹木検出部123は、対象地域のDSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)を取得する(ステップS111)。DSMは、地表面とその上にある地物表面の標高からなる三次元データで、建物や樹木等の高さを含んでいる。本実施例の電波伝搬路保守システム12では、DSMはドローン11による撮影データから取得する。
【0107】
次いで、樹木検出部123は、対象地域のDEM(Digital Elevation Model:数値標高モデル)を取得する(ステップS112)。本実施例の電波伝搬路保守システム12では、DEMは国土地理院が提供するものを用いている。
【0108】
次いで、樹木検出部123は、ステップS111で取得したDSMとステップS112で取得したDEMとの差分を計算する(ステップS113)。この差分がDCHM(Digital Canopy Height Model:樹冠画像)になる。そして、樹木検出部123は、ステップS113で取得したDCHMに局所最大フィルタを適用して、樹冠を抽出してその座標を取得する。
【0109】
次に、図19は、影響検出部125による将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠座標を算出する動作を説明するためのフローチャートである。
【0110】
まず、影響検出部125は、図17のステップS107で算出した配列を取得する(ステップS121)。次いで、影響検出部125は、ステップS121で取得した配列から、将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠座標を取得する(ステップS122)。
【0111】
次いで、影響検出部125は、3次元伝搬路モデル43を構成する四角柱の底面とステップS122で取得した樹冠座標との距離を算出する(ステップS123)。以降、ステップS122~S123の動作を、全ての配列について行う(ステップS124)。
【0112】
そして、図20は、表示部127による、伝搬路4に支障する可能性がある樹木及び将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木をユーザ端末13の表示装置131の画面に表示させる動作を説明するためのフローチャートである。
【0113】
まず、表示部127は、図18のフローチャートで作成された樹冠座標を探索する(ステップS131)。次いで、表示部127は、図17のフローチャートで取得された、伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠及び将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠を抽出する(ステップS132)。次いで、表示部127は、図19のフローチャートで取得された、将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠と伝搬路4を構成する四角柱の底面との間の距離を取得する(ステップS133)。そして、表示部127は、伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠及び将来伝搬路4に支障する可能性がある樹木の樹冠を表示装置131に表示させるとともに、これら樹冠をまとめた一覧表を生成し、表示装置131に表示させる(ステップS134)。
【0114】
従って、本実施例の電波伝搬路保守システム12によれば、中継物2を含む領域のうちドローン11による撮影を行うべき領域(森林地域)を容易に特定することができ、しかも、中継物2を含む領域の全てについてドローン11による撮影を行う必要がない。これにより、電波伝搬路保守システム12による支障物検出動作を短時間にかつ簡易に行うことができる。
【0115】
加えて、本実施例の電波伝搬路保守システム12によれば、3次元伝搬路モデル43の形状を四角柱にしているので、支障物判定作業を短時間にかつ簡易に行うことができる。加えて、この四角柱を第1フレネルゾーン430に外接する四角柱形状にすることで、支障物検出動作を確実なものにすることができる。
【実施例4】
【0116】
例えば図4に示すように、本実施例の電波伝搬路保守システム12における中継物2には反射板22が含まれる。このとき、図21に示すように、3次元伝搬路モデル43を第1フレネルゾーン430に相当する回転楕円形状にし、反射板22の直径がこの第1フレネルゾーン430の直径よりも大きく設定することで、中継物2の間を伝搬する電波に対する障害物検出を確実なものにすることができる。
【0117】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
【符号の説明】
【0118】
11・・・ドローン,111・・・飛行装置,112・・・位置測定装置,113・・・方位測定装置,114・・・カメラ,12・・・電波伝搬路保守システム,121・・・撮影情報取得部,122・・・3次元地形モデル生成部(生成部),123・・・樹木検出部(第2検出部) ,124・・・3次元伝搬路モデル生成算出部(算出部),125・・・影響検出部(第1検出部) ,126・・・指定情報入力,127・・・表示部,13・・・ユーザ端末,131・・・表示装置,2・・・中継物,21・・・電波送受信塔,211・・・アンテナ,22・・・反射板,4・・・伝搬路,5・・・影響樹木,43・・・3次元伝搬路モデル,430・・・第1フレネルゾーン
図1
図2
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図21