(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】借入情報予測装置、借入情報予測装置の制御方法及び借入情報予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230216BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2018072878
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-01-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518106434
【氏名又は名称】会計バンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097102
【氏名又は名称】吉澤 敬夫
(72)【発明者】
【氏名】反町 秀樹
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-113611(JP,A)
【文献】国際公開第02/027576(WO,A1)
【文献】特開2005-149327(JP,A)
【文献】特開2005-316944(JP,A)
【文献】特開2017-010312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を
前記利用者から受けることなく前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置であって、
金融機関取引情報を記憶する金融機関取引情報記憶部と、
前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させる借入関連項目情報生成処理部と、
前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成する借入全体演算基本情報生成処理部と、を有し、
前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する構成となっていることを特徴とする借入情報予測装置。
【請求項2】
前記借入額全体情報
に基づき予測される資金が残債額データで、対応する月商データと比較して警告情報を生成し、出力することを特徴とする請求項1に記載の借入情報予測装置。
【請求項3】
利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を前記利用者から受けることなく前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置の制御方法であって、
金融機関取引情報を金融機関取引情報記憶部に記憶し、
前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させ、
前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成し、
前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する構成となっていることを特徴とする借入情報予測装置
の制御方法。
【請求項4】
利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を受けることなく前記利用者から前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置に、
金融機関取引情報を金融機関取引情報記憶部に記憶させる機能、
前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させる機能、
前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成させる機能、
前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する機能、を実行させる構成となっていることを特徴とする借入情報
予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将来の借入の予測情報を自動的に生成する借入情報予測装置、借入情報予測装置の制御方法及び借入情報予測プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の経理部等が、自社の将来の損益計算書等をシミュレーションすることで、中長期計画に従った具体的な財務諸表を作成することができる経営管理支援システム等が提案されている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる経営管理支援システム等は、経理知識等を有する担当者が、所定の項目に必要なデータを入力等することで初めて、将来の具体的な財務諸表を作成することができるシステム等となっているため、小規模な店舗等の経営者等にとっては使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、利用者が金融機関等の取引情報を入力するだけで将来の借入の予測情報等を自動的に利用者に提供することができる借入情報予測装置、借入情報予測装置の制御方法及び借入情報予測プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を前記利用者から受けることなく前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置であって、金融機関取引情報を記憶する金融機関取引情報記憶部と、前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させる借入関連項目情報生成処理部と、前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成する借入全体演算基本情報生成処理部と、を有し、前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する構成となっていることを特徴とする借入情報予測装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、金融機関取引情報(例えば、通帳データ)を記憶する金融機関取引情報記憶部(例えば、通帳データ記憶部)を有している。
したがって、例えば、通帳データ等の金融機関取引情報を記憶することができる。
また、前記構成では、金融機関取引情報から返済額データ、利息データ等の借入関連項目情報を抽出して借入関連項目情報記憶部(例えば、返済額データ記憶部、利息データ記憶部)に記憶させることができる。
さらに、前記構成では、借入関連項目情報(例えば、返済額データ、利息データ)に基づいて、例えば、年間金利データ、残債額データ、残りの返済期間データ等の借入全体演算基本情報を生成することができる。
【0008】
したがって、年間金利データ、残債額データ、残りの返済期間データ等の借入全体演算基本情報に基づいて、借入額全体の金額、各月の返済額、返済期間等の借入全体情報を精度よく予測して生成することができる。
さらに、かかる借入全体情報は通帳データ等の金融機関取引情報から自動的に生成することができるので、小規模な店舗等の経営者等の利用者にとって、極めて使い勝手が良い装置等となる。
また、前記構成によれば、返済額情報及び利息情報を含む借入関連項目情報から年間金利情報、残債額情報及び残りの返済期間情報を含む借入全体演算基本情報を生成することができる。
そして、この借入全体演算基本情報から借入額全体の金額情報、各月の返済額情報及び返済期間情報を含む借入全体情報を生成することができるので、将来の借入情報を精度良く予測することができる。
【0009】
好ましくは、前記借入金全体情報に基づき予測される資金が残債額データで、対応する月商データと比較して警告情報を生成し、出力することを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、借入金全体情報の変動に伴い予測される資金に関する警告情報、例えば、銀行毎のシェアの変動等が生じたことのアラート等の情報を生成し、出力することができるので、利用者に、かかる事態が生じることを適切に報知することができる。
【0013】
上記目的は、本発明にあっては、利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を前記利用者から受けることなく前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置の制御方法であって、金融機関取引情報を金融機関取引情報記憶部に記憶し、前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させ、前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成し、前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する構成となっていることを特徴とする借入情報予測装置の制御方法により達成される。
【0014】
上記目的は、本発明にあっては、利用者にとって既知である元金均等返済の借入額全体情報の提供を前記利用者から受けることなく前記借入額全体情報を予測する借入情報予測装置に、金融機関取引情報を金融機関取引情報記憶部に記憶させる機能、前記金融機関取引情報から前記借入額全体情報に関する返済額データ、利息データを抽出して借入関連項目情報記憶部に記憶させる機能、前記返済額データ、前記利息データに基づいて、金利データ、残債額データ及び残りの返済期間データを生成させる機能、前記金利データ、前記残債額データ及び前記残りの返済期間データに基づいて前記借入額全体情報を予測して生成する機能、を実行させる構成となっていることを特徴とする借入情報予測プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明は、利用者が金融機関等の取引情報を入力するだけで将来の借入の予測情報等を自動的に利用者に提供することができる借入情報予測装置、借入情報予測装置の制御方法及び借入情報予測プログラムを提供できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる「借入情報予測装置」の外観を示す概略図である。
【
図2】
図1の「借入情報予測装置」の「借入情報予測装置本体」の主な構成を示す概略図である。
【
図3】「第1の各種情報記憶部30」乃至「第3の各種情報記憶部50」の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図4】第1の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】第2の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図6】第3の各種情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
【
図7】借入情報予測装置1の主な動作例等を示す概略フローチャートである。
【
図8】借入情報予測装置1の主な動作例等を示す他の概略フローチャートである。
【
図9】借入金全体情報である借入額全体の金額と、各月の返済額、返済期間等の情報を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる「借入情報予測装置1」の外観を示す概略図である。
図1に示すように、本装置1は、借入情報予測装置本体10、表示部である各種情報を表示する「ディスプレイ21」、各種情報を入力する「キーボード22」及び「マウス23」を備えている。
また、借入情報予測装置本体10には、CD等の情報記録媒体を受容し、そのデータを取得等する各種データ入力部13を備えている。
【0019】
したがって、
図1に示す本装置1の各種データ入力部13に、本発明に係る「借入情報予測」に関するプログラム等が記憶されているCD等を挿入し、データを読み込ませることで、「借入情報予測装置1」として機能する。
また、本発明に係る「借入情報予測」に関するプログラム等は、CD等以外の無線通信によって、本装置1が取得しても良く、予め借入情報予測装置本体10内に記憶させておいても構わない。
【0020】
そして、
図1の資金繰り情報提供装置1の各装置10等は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やハードディスク等を有し、バスを介して接続されている。
【0021】
図2は、
図1の「借入情報予測装置1」の「借入情報予測装置本体10」の主な構成を示す概略図である。
図1に示すように、同本体10は、制御部11を有し、制御部11は、ディスプレイ21等の外部装置と通信するための通信装置12や各種データ入力部13を制御する構成となっている。
また、ディスプレイ21、キーボード22及びマウス23は通信装置12と通信可能に接続されている。
さらに、制御部11は、
図2に示す第1の各種データ記憶部30、第2の各種データ記憶部40及び第3の各種データ記憶部50も制御する。
【0022】
図3乃至
図5は、それぞれ「第1の各種情報記憶部30」乃至「第3の各種情報記憶部50」の主な構成を示す概略ブロック図である。これらの内容については、後述する。
【0023】
以下、本実施の形態にかかる「借入情報予測装置1」の動作例等を説明する。
本実施の形態では、A企業の経営者が、A企業の金融機関取引情報である例えば、通帳データを
図1の「借入情報予測装置1」に入力することで、A企業の将来の借入状況等を把握し、各種アラート等の提供を受けることを例に、以下説明する。
【0024】
図7及び
図8は、借入情報予測装置1の主な動作例等を示す概略フローチャートである。
以下、
図7及び
図8のフローチャートに沿って説明する。
【0025】
先ず、A企業の経営者は、A企業の通帳データを、例えば、CD等に記憶させ、
図1の「借入情報予測装置本体10」の「各種データ記憶部13」を介して入力する。
すると、この通帳データは、「借入情報予測装置本体10」の
図3の金融機関取引情報記憶部である例えば、「通帳データ記憶部31」に記憶される。
【0026】
図6は、
図3の「通帳データ記憶部31」に記憶される金融機関取引情報である例えば、「通帳データ31a」の一部を示す概略説明図である。
図6に示すように、通帳データ31aには、A企業の通帳の金融機関取引情報の項目情報である例えば、入金/出金の日付、入金又は出金の別、それらの摘要、金額等が含まれている。
【0027】
次いで、ステップ(以下「ST」とする。)1に進む。ST1では、借入関連項目情報生成処理部である例えば、
図3の返済額判断処理部(プログラム)33が動作し、
図3の「返済額表示データ記憶部32」を参照する。
返済額表示データ記憶部32には、「所定の返済額表示データ」が記憶されている。例えば、「借入」、「カリイレ」、「融資」、「ユウシ」、「証書貸付」、「ショウショカシツケ」、「証貸」、「ショウカシ」、「手形貸付」、「テガタカシツケ」、「手貸」、「テガシ」等の単語や金融機関名等の名称等が「所定の返済額表示データ」として、予め記憶されている。
【0028】
また、同記憶部32には、これらの単語等の表示データが「利息」等の「除外表示データ」を含んでいるときは、「返済額」とは判断しない旨の情報も記憶されている。
【0029】
したがって、同処理部33は、
図3及び
図6の「通帳データ31a」の「摘要」の表示データ(文言)が、
図3の所定の返済額表示データに該当するか否かを判断して、該当する場合は、借入関連項目情報である例えば、「返済額」データと判断し、その出金年月日データと関連付けて、借入関連項目情報記憶部である例えば、
図3の「返済額データ記憶部34」に記憶する。
【0030】
次いで、ST2へ進む。ST2では、借入関連項目情報生成処理部である例えば、
図3の利息判断処理部(プログラム)36が動作し、
図3及び
図6の「通帳データ31a」の「摘要」の表示データ(文言)が、
図3の「利息表示データ記憶部35」に記憶されている所定の利息表示データ、例えば、「利息」等であるか否かを判断する。
そして、該当する場合は、借入関連項目情報である例えば、「利息」データと判断し、 出金年月日データと関連付けて、借入関連項目情報記憶部である例えば、
図3の「利息データ記憶部37」に記憶する。
【0031】
以上で、借入情報予測装置1は、毎月の返済金(借入金)データである「返済額データ」と毎月の利息データを取得することができる。
次いで、これら毎月の「返済額データ」と毎月の「利息データ」から、借入金の予測に必要な借入全体演算情報である例えば、「1年間の金利データ」、「残債額データ」及び「残りの返済期間データ」を生成する。
【0032】
そして、ST3へ進む。ST3では、「1年間の金利データ」を生成する。具体的には、借入全体演算基本情報生成処理部である例えば、
図4の「年間金利データ生成処理部(プログラム)42」が動作し、
図4の「年間金利データ演算記憶部41」に記憶されている以下の式を参照する。
すなわち、「年間金利データ=(n月の利息額-n+1月の利息額)÷(n+1月の返済額)×12」である。
【0033】
そして、同処理部(プログラム)42は、
図3の「返済額データ記憶部34」を参照し、「n+1月の返済額」である例えば、3月の返済額「6,000円」を取得して、代入する。
また、
図3の「利息データ記憶部37」を参照し、「n+1月の利息額」と「n月の利息額」、例えば、3月の利息額(290円)と2月の利息額(295円)を取得し、代入する。
そして、「年間金利データ」を求めて、
図4の「年間金利データ記憶部43」に記憶する。
【0034】
上述の例では、{(2月の利息額(295円))ー(3月の利息額(290円))}÷
(3月の返済額(6000円))×12で年間金利データは「1%」となり、この「1%」を「年間金利データ記憶部43」に記憶する。
【0035】
なお、本実施の形態では、1カ月あたりの金利を算出し、簡易的に12倍しているが、、本発明はこれに限らず、「365(又は366)÷前回返済日から今回返済日の日数」(月末が祝日の場合は前営業日に返済となるのでカレンダー機能と連携すれば厳密に算出可能)として演算しても構わない。
【0036】
次いで、ST4へ進む。ST4では、「n+1月の残債額」、例えば、3月の残債額を生成する。具体的には、借入全体演算基本情報処理部である例えば、
図4の「残債額データ生成処理部(プログラム)45」が動作し、
図4の「残債額データ演算記憶部44」に記憶されている以下の式を参照する。
すなわち、「(n+1月の残債額)=(n+1月の利息額)÷{(n月の利息額-n+1月の利息額)÷(n+1月の返済額)}である。
【0037】
そして、同処理部(プログラム)45は、
図3の「返済額データ記憶部34」から「n+1月の返済額」である例えば、3月の返済額「6,000円」を取得して、代入する。
また、
図3の「利息データ記憶部37」を参照し、「n+1月の利息額」と「n月の利息額」、例えば、3月の利息額(290円)と2月の利息額(295円)を取得し、代入する。
そして、「3月の残債額年間金利データ」を求めて、
図4の「残債額データ記憶部46」に記憶する。
【0038】
上述の例では、「3月の利息額(290円)÷{(2月の利息額(295円)-3月の利息額(290円))÷3月の返済額(6000円)}となり、「3月の残債額」は「348,000円」となる。
【0039】
次いで、ST5へ進む。ST5では、借入金の「残りの返済期間データ」を生成する。
具体的には、借入全体演算基本情報処理部である例えば、
図5の「残りの返済期間データ生成処理部(プログラム)51」が動作し、
図4の「残りの返済期間データ演算記憶部47」に記憶されている以下の式を参照する。
すなわち、「(n+1月の残債額)÷(n+1月の返済額)」である。
【0040】
そして、同処理部(プログラム)51は、
図4の「残債額データ記憶部」から「n+1月の残債額」である例えば、3月の返済額「348,000円」を取得して、代入する。
また、
図3の「返済額データ記憶部34」から「n+1月の返済額」である例えば、3月の返済額「6,000円」を取得し、代入する。
そして、「残りの返済期間データ」を求めて、
図5の「残りの返済期間データ記憶部52」に記憶する。
【0041】
上述の例では、「3月の残債額(348,000円)÷3月の返済額(6,000円)となり、「残りの返済期間データ」は「58カ月」となる。
【0042】
以上で、「年間金利(利率)データ」、「残債額データ」及び「残りの返済期間データ」を生成することができる。
したがって、これらの情報に基づき、法人融資の大半を占める元金均等返済の場合における借入額全体の金額と、各月の返済額、返済期間等の情報を
図9に示すように得ることができる。
また、
図9に示すように、借入金の金利の支払い状況も把握することもできる。
図9は、借入金全体情報である借入額全体の金額と、各月の返済額、返済期間等の情報を示す概略説明図である。
【0043】
図9に示すように、借入情報予測装置1は、利用者の通帳データ31aを取得するだけで、利用者から借入内容の提供を受ける必要なく、借入金全体情報を精度良く予測することができる。
特に、かかる借入全体情報は通帳データ31a等から自動的に生成することができるので、本実施の形態にかかる借入情報予測装置1は、小規模な店舗等の経営者等の利用者にとっては、極めて使い勝手が良い装置等となる。
【0044】
次いで、借入情報予測装置1は、上記のような工程で取得した、利用者の「借入金全情報」に基づき、借入金全体情報の変動に伴い予測される資金に関する警告情報である、例えば、以下のアラートを必要に応じて生成し、ディスプレイ21に表示等することで、利用者に報知する構成となっている。
【0045】
(利用者のA企業が取引をしている各銀行における借入金のシェア変動にアラート)
図9に示すように、借入情報予測装置1は、A企業の借入金額や、返済状況等を把握することができるので、A企業が取引をしている銀行毎の現在及び将来の返済金額等の情報を取得することができる。
したがって、借入情報予測装置1は、企業が取引をしている銀行毎の借入金額や借入残高等をディスプレイ21等に並べて表示すると共に、借入金額が特定の銀行に偏っているときは、アラートをディスプレイ21等に表示させることができる構成となっている。
【0046】
このアラートを視認したA企業の経営者等は、自社の借入金額が特定の銀行に偏り、将来、他の銀行から借入等が困難になるおそれがあることを未然に把握することができる。
【0047】
(借入金の残債と月商対比のアラート)
借入情報予測装置1は、
図9の情報等からA企業の借入金の残債が、A企業の月商対比1倍以下になったか否かを判断し、月商対比1倍以下になった場合に、資金調達の必要性ありとして、ディスプレイ21等にアラートを出力する構成となっている。
【0048】
すなわち、借入情報予測装置1は、上述のように、演算して求めたA企業の「残債額」と、別に取得した売上データとを比較し、「残債」が「月商対比1倍以下」になったと判断したときは、近い将来に、資金不足が生じる可能性が高いとして、ディスプレイ21等に、アラートを出力する構成となっている。
【0049】
したがって、日常、仕事等に忙殺され、経理情報を確認できないA企業の経営者等であっても、近い将来、資金不足等が生じる可能性があることを未然に知ることができる。
【0050】
(所要運転資金対比と借入金の残債のアラート)
借入情報予測装置1は、「所要運転資金対比」データを演算し、借入金の残債が下回ったときは、資金調達の必要性ありと判断し、アラートをディスプレイ21等に出力する。
ここで、「所要運転資金対比」データとは、商品を仕入れて、販売し、それを回収して代金等が入金されるまでのタイムラグを補う資金を意味する。
この「所要運転資金対比」データは、A企業の売上が増加傾向のときに増える傾向にあり、本実施の形態では、借入情報予測装置1が、A企業の借入金の残債との対比で、残債が所定範囲以上、上回ると判断したき、健全な資金調達の必要性があるとして、ディスプレイ21等にアラートを出力する。
【0051】
したがって、日常、仕事等に忙殺され、経理情報を確認できないA企業の経営者等であっても、近い将来、資金不足等が生じる可能性があることを未然に知ることができる。
【0052】
以上説明した本実施形態においては、装置として実現される場合を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納され頒布されてもよい。
【0053】
また、記憶媒体は、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であればよい。記憶媒体の記憶形式は、特には限定されない。
【0054】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
【0055】
さらに、本発明における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体には限定されず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0056】
また、本発明におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づいて本実施形態における各処理を実行すればよく、1つのパソコン等からなる装置であってもよいし、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等であってもよい。
【0057】
また、本発明におけるコンピュータとは、パソコンには限定されず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・借入情報予測装置、10・・・借入情報予測装置本体、11・・・制御部、12・・・通信装置、13・・・各種データ入力部、21・・・ディスプレイ、22・・・キーボード、23・・・マウス、30・・・第1の各種データ記憶部、31・・・通帳データ記憶部、31a・・・通帳データ、32・・・返済額表示データ記憶部、33・・・返済額判断処理部(プログラム)、34・・・返済額データ記憶部、35・・・利息表示データ記憶部、36・・・利息判断処理部(プログラム)、37・・・利息データ記憶部、40・・・第2の各種データ記憶部、41・・・年間金利データ演算記憶部、42・・・年間金利データ生成処理部(プログラム)、43・・・年間金利データ記憶部、44・・・残債額データ演算記憶部、45・・・残債額データ生成処理部(プログラム)、46・・・残債額データ記憶部、47・・・残りの返済期間データ演算記憶部、50・・・第3の各種データ記憶部、51・・・残りの返済期間データ生成処理部(プログラム)、52・・・残りの返済期間データ記憶部