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特許7228200新規のプロバイオティックなラクトバチルス・カゼイ株及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】新規のプロバイオティックなラクトバチルス・カゼイ株及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230216BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20230216BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230216BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230216BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20230216BHJP
   A61L 2/00 20060101ALI20230216BHJP
   C12R 1/245 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12N1/20 E
C12N1/20 Z
A61K35/747
A61P37/02
A61P31/00
A23K10/18
A61L2/00
C12R1:245
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020501597
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018057497
(87)【国際公開番号】W WO2018172537
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】17162658.3
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【微生物の受託番号】BCCM  LMG P-30039
(73)【特許権者】
【識別番号】307020198
【氏名又は名称】ユニバーシタット アントウェルペン
(73)【特許権者】
【識別番号】519341762
【氏名又は名称】カーユー ルーヴェン リサーチ アンド ディベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】アロンシウス,カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】デ ベック,イルケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトック,スティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツ,サンデル
(72)【発明者】
【氏名】レベール,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘリングス,ペーテル
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-508150(JP,A)
【文献】特表2010-509981(JP,A)
【文献】Journal of Microbiology,2014年,Vol. 52, No. 11,pp. 955-962,https://doi.org/10.1007/s12275-014-4355-y
【文献】LWT-Food Science and Technology,2015年,Vol. 60, No.2,pp. 817-824,https://doi.org/10.1016/j.lwt.2014.10.020
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-1/38
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号LMG P-30039として寄託されるラクトバチルス・カゼイ(L.カゼイ)種の細菌分離株。
【請求項2】
前記細菌分離株は、48.02%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する、請求項1に記載のラクトバチルス・カゼイ(L.カゼイ)種の細菌分離株。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラクトバチルス・カゼイ種の細菌分離株を含む組成物。
【請求項4】
感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、請求項1若しくは2に記載の細菌分離株又は請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記感染症は、口腔鼻咽頭感染症、皮膚感染症、泌尿生殖器感染症、胃腸感染症、又は乳腺炎である、請求項4に記載の使用のための細菌分離株又は組成物。
【請求項6】
ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとして使用するための、請求項1若しくは2に記載の細菌分離株は請求項3に記載の組成物
【請求項7】
ティッシュペーパー、保護マスク、スプレー、または清掃用製品の製造における、請求項1若しくは2に記載の細菌分離株の使用又は請求項3に記載の組成物の使用。
【請求項8】
バイオマス生産における、請求項1若しくは2に記載の細菌分離株の使用又は請求項3に記載の組成物の使用。
【請求項9】
発酵食品における、または発酵食品の生産に使用されるバイオリアクターおよび処理環境における、請求項1若しくは2に記載の細菌分離株又は請求項3に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)(L.カゼイ)種の新規の細菌分離株に関する。ラクトバチルス・カゼイ種の上記菌株は、受託番号LMG P-30039として寄託されている。新規菌株は、48.02%の全ゲノムG/C含量を特徴とし、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する。新規菌株はさらに、既知のL.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対するそのゲノムの平均ヌクレオチド同一性94%を特徴とする。
【0002】
本発明はさらに、感染症及び/又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための新規のL.カゼイ株に関する。また、ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、新規のL.カゼイ分離株又は上記菌株を含む組成物の使用も開示されている。さらに、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、及び空気清浄における、上記新規のL.カゼイ株又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。
【0003】
本発明の別の態様においては、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、及び空気清浄における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用が開示されている。さらに、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、空気清浄、及び食品産業において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ頑強なグリコシル化されたセリンリッチリピートタンパク質である少なくとも0.4 μmの平均長さを有する単一サブユニットの線毛を有するL.カゼイ種の使用が開示されている。さらに、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、空気清浄、及び食品産業における、1つ以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用が開示されている。
【背景技術】
【0004】
ラクトバチルス属は、200種より多くを含む乳酸菌の中で最も大きな属である。乳酸桿菌は、人間及び動物の粘膜表面(例えば、胃腸管及び膣管)並びに植物(果物、野菜、穀物)、ワイン、ミルク、及び肉の環境を含む多くの食品関連の環境に天然に存在し、そこでは乳酸桿菌は、乳酸及び関連代謝物の付随する生産を伴って大量の糖を発酵することができる場合に優勢となり得る。微生物学の教科書では、乳酸桿菌は、桿状のグラム陽性、非胞子形成性、非運動性、非病原性、シトクロム陰性、かつカタラーゼ陰性の細菌と言われている。それらの多数の米国のFDAによるGRAS(一般に安全と認められている)種又は欧州のEFSAによるQPS(安全性適格推定)により、乳酸桿菌は現在、種培養としての使用、プロバイオティクス、バイオプラスチックの製造からワクチン担体に至るまで多くの用途において活用されていることから、それらはまた高い商業的価値を有することが明らかである。
【0005】
ラクトバチルス・カゼイ、L.パラカゼイ(L. paracasei)、及びL.ラムノサス(L. rhamnosus)の種を含むラクトバチルス・カゼイの群は、系統発生的かつ表現型的に密接に関連するラクトバチルス種の中でも経済的に最も関心が持たれている群である。しかしながら、この群の命名法及び分類の両方が議論の対象である。これは、例えば1996年における関連種のL.ゼアエ(L. zeae)の導入に引き続いての2008年におけるその却下に反映されている。さらに、最近の比較ゲノミクスは、現在L.カゼイ株及びL.パラカゼイ株と名付けられている多くの菌株が、実は同じ種のメンバーであることを示している。さらに、多くの新たな分離株はL.カゼイと名付けられているが、それらは、16S rRNA遺伝子における高い異質性のため、L.カゼイの基準株ATCC 393よりもL.パラカゼイの基準株ATCC 334に密接に関連している。したがって、多くの新規の同定は、現在の分類学的分類と一致していない。PCR及び/又はDNAフィンガープリント技術の使用に基づいて、L.カゼイの群のメンバー間での区別を容易にするために様々な努力がなされている。しかしながら、全ゲノムシーケンシングの価格の低下、パブリックゲノム(NCBIでの2017年2月19日の210個のL.カゼイの群のメンバー)の利用可能性の向上、そしてANI及びTETRAのような新たなゲノムベースの分類学的分類方法により、L.カゼイの群のメンバーの遺伝的差異、したがって分類学へのより深く掘り下げた洞察が、比較ゲノミクスを使用して得ることができる。
【0006】
この群には、十分に研究されているプロバイオティック細菌のL.ラムノサスGGと、食品発酵のために使用される多くの菌株、例えばエメンタールチーズ分離株のL.パラカゼイATCC 334株とが含まれている。商業的には、この群の微生物は、胃腸管及び膣管を対象とする発酵乳製品又は栄養補助食品に適用されているが、その他の(人間及び動物の)身体適所を対象とする他の製品製剤にそれらを適用することに関心が高まっている。
【0007】
本発明においては、ラクトバチルス・カゼイ(L.カゼイ)種の新規菌株が同定された(受託番号LMG P-30039として寄託され、本明細書では更にAMBR2としても示される)。この菌株は、47.5%超の高い全ゲノムG/C含量、特に48.02%の全ゲノムG/C含量を特徴とし、少なくとも2つのカタラーゼ遺伝子を有する。さらに、上記菌株は、既知のL.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対するそのゲノムの平均ヌクレオチド同一性94%を有する。LMG P-30039菌株はさらにまた、その菌株が少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一のタンパク質サブユニットの線毛を含むことを特徴としている。また、医療用途、及び個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、空気清浄、又は食品産業における、上記新規菌株の使用が提供される。
【0008】
本発明の別の態様は、L.カゼイの群に属する菌株の遺伝的関連性へのより多くの洞察を提供することである。特に、比較ゲノミクスのアプローチを使用することによって、受託番号LMG P-30039として寄託されるL.カゼイ種を含む多数のL.カゼイ株についての新規の分類が特定された。したがって、本発明は、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、及び空気清浄における、48.02%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するラクトバチルス・カゼイ種の使用を提供する。さらに、個人衛生産業、清掃産業、バイオマス生産、及び空気清浄における、上記L.カゼイ種を含む組成物の使用が開示されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ラクトバチルス・カゼイ(L.カゼイ)種の新規の分離株の同定に基づく。上記菌株は、ベルギー総合微生物収集所(BCCM)、ゲント大学(K.L. Ledeganckstraat 35, 9000 ヘント、ベルギー)で2017年2月21日に受託番号LMG P-30039で寄託され、本明細書では更にAMBR2株としても示される。このL.カゼイ種の新規の分離株について典型的なことは、その分離株が48.02%の高い全ゲノムG/C含量を有することである。さらに、上記L.カゼイ種の分離株は、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する。特に、上記カタラーゼ遺伝子は、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される。新規分離株はさらに、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対する平均ヌクレオチド同一性94%を特徴とする。さらに、新規分離株はまた、その分離株が少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含むことを特徴としており、それにより上皮細胞への接着が増強される。
【0010】
別の実施の形態においては、受託番号LMG P-30039として寄託されたL.カゼイ種の細菌分離株を含む組成物も開示されている。なおも更なる実施の形態においては、上記組成物は、任意に他のプロバイオティック細菌を含み得る。
【0011】
本発明はさらに、受託番号LMG P-30039として寄託されたL.カゼイ種の分離株が、上皮細胞、特に呼吸器上皮細胞(分離の適所を参照)、また他のヒト上皮細胞(結腸細胞及び膣細胞)としての上皮細胞に対して強い接着能力を示すという知見に基づいている。したがって、更なる態様においては、本発明は、感染症及び/又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、上記L.カゼイ種の分離株又は上記菌株を含む組成物を提供する。なおもさらには、口腔鼻咽頭感染症、特に口腔鼻咽頭腔の感染症又は口腔感染症、より詳細には中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ(flu)、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭等を含む群から選択される上気道感染症の治療及び予防において使用するための、上記L.カゼイ種の分離株又は上記菌株を含む組成物が開示されている。
【0012】
別の実施の形態においては、皮膚感染症、特に尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等の治療及び/又は予防において使用するための、本発明によるL.カゼイの新規分離株又は組成物が開示されている。
【0013】
更なる実施の形態においては、乳腺炎の治療及び/又は予防において使用するための、本発明によるL.カゼイの新規分離株又は組成物が開示されている。
【0014】
更に別の実施の形態においては、本発明は、泌尿生殖器感染症、特に膣感染症及び膀胱感染症の治療及び/又は予防において使用するための、上記L.カゼイ種の分離株又は上記L.カゼイ種の分離株を含む組成物を開示している。
【0015】
なおも別の実施の形態においては、本発明は、胃腸感染症、特に結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等の治療及び/又は予防において使用するための、受託番号LMG P-30039として寄託されるL.カゼイ種の分離株又は上記菌株を含む組成物を開示している。
【0016】
本発明はまた、アレルギー性疾患の治療及び/又は予防において使用するための、受託番号LMG P-30039として寄託されるL.カゼイ種の分離株又は上記菌株を含む組成物を提供する。上記アレルギー性疾患は、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択される。
【0017】
さらにまた、ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、受託番号LMG P-30039として寄託されるL.カゼイ種の分離株又は上記菌株を含む組成物の使用も開示されている。
【0018】
受託番号LMG P-30039のL.カゼイ種の分離株が、呼吸器上皮細胞への接着能力の改善を示すという知見に基づいて、本発明はまた、個人衛生産業における、上記分離株又は上記菌株を含む組成物の使用を提供する。特に、個人衛生産業は、ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産を含む。更により詳細には、上記ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーは、呼吸器感染症の治療及び/又は予防に対して向けられる。
【0019】
別の実施の形態においては、清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、受託番号LMG P-30039の上記新規分離株又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。
【0020】
なおも別の実施の形態においては、本発明は、空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、受託番号LMG P-30039の上記細菌分離株の使用又は上記菌株を含む組成物の使用を提供する。
【0021】
別の実施の形態においては、本発明は、バイオマス生産における、受託番号LMG P-30039の上記細菌分離株の使用又は上記菌株を含む組成物の使用を提供する。
【0022】
別の実施の形態においては、本発明は、食品産業における、受託番号LMG P-30039の上記細菌分離株の使用又は上記菌株を含む組成物の使用を提供する。
【0023】
任意に、受託番号LMG P-30039の上記L.カゼイ種の分離株又は上記新規細菌分離株を含む組成物は、その他のプロバイオティック細菌との組み合わせで組み合わせることができる。
【0024】
本発明はさらに、L.カゼイの群の幾つかの菌株が、比較ゲノミクス分析を使用して別個の群に類別され得るという知見に基づいている。特に、上記群のメンバーは、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有し、更により詳細には、上記群のメンバーは、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼから選択される1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有する。さらに、上記群のメンバーは、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対して少なくとも93%の平均ヌクレオチド同一性を有するゲノムを有する。最後に、上記群のメンバーはさらにまた、それらが、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含むことを特徴とする。上記線毛は、上記種の上皮細胞、例えば呼吸器上皮細胞への組織特異的な接着に関与している。
【0025】
したがって、本発明は、感染症及び/又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。更なる実施の形態においては、上記L.カゼイ種は、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。また更なる実施の形態においては、本発明は、口腔鼻咽頭感染症、特に口腔鼻咽頭腔の感染症及び口腔感染症、より詳細には急性中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭(halitosis)等を含む群から選択される上気道感染症の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する上記L.カゼイ種を提供する。更なる実施の形態においては、上記L.カゼイ種は、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0026】
別の実施の形態においては、本発明は、皮膚感染症、特に尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。更なる実施の形態においては、上記L.カゼイ種は、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0027】
なおも別の実施の形態においては、本発明は、乳腺炎の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0028】
更に別の実施の形態においては、本発明は、泌尿生殖器感染症、特に膣感染症及び膀胱感染症の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0029】
また更なる実施の形態においては、本発明は、胃腸感染症、特に結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0030】
別の実施の形態においては、本発明は、免疫関連疾患、特に花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択される免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0031】
本発明はさらに、個人衛生産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用を開示している。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0032】
また、個人衛生産業における、上記L.カゼイ種を含む組成物の使用が開示されている。特に、ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種を含む組成物の使用が開示されている。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を有し得る。更により詳細には、上記ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーは、呼吸器感染症の治療及び/又は予防に対して向けられる。
【0033】
別の態様においては、本発明は、空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用を開示している。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0034】
更なる態様においては、本発明は、バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用を開示している。上記L.カゼイ種はさらに、それが少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含むことを特徴としている。
【0035】
さらに、本発明によるL.カゼイ種又は本発明によるL.カゼイ種を含む組成物の種々の使用に関して、上記L.カゼイ種は、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0036】
本発明の更に別の実施の形態において、そしてまた本発明によるL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種を含む組成物の種々の使用に関して、上記種は、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対して少なくとも93%の平均ヌクレオチド同一性を有するゲノムを有する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0037】
本発明のなおも別の実施の形態において、そして更に上記L.カゼイ種又は上記L.カゼイ種を含む組成物の種々の使用に関して、上記種は、特別な線毛が発現されるため、上皮細胞、特に呼吸器上皮細胞への接着の増強を示す。特に、上記L.カゼイ種の特別な線毛は典型的には、上記種の特定の菌株における線毛の平均長さが少なくとも0.4 μmであり、頑強(遠心分離の間の剪断力及び噴霧乾燥に対して耐性)であることを特徴としている。更なる実施の形態においては、上記線毛は、グリコシル化されたセリンリッチな単一サブユニットである。
【0038】
本発明の文脈においては、用語「線毛の平均長さ」は、最低2000 gでの細胞の遠心分離を間に挟んで適切なバッファー(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)で細菌を洗浄した後の、走査型電子顕微鏡法(SEM)による分析を基準とすることを意味する。1個又は2個の細菌細胞上の少なくとも10本の線毛の長さを慎重に測定し(μmで表現される)、平均が求められる。
【0039】
本発明の態様の幾つかを、以下の番号付けされた実施の形態においてまとめることができる。
【0040】
1.受託番号LMG P-30039として寄託されるラクトバチルス・カゼイ(L.カゼイ)種の細菌分離株。
【0041】
2.前記細菌分離株は、48.02%の全ゲノムG/C含量を有する、実施の形態1に記載の細菌分離株。
【0042】
3.前記細菌分離株は、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する、実施の形態1又は2に記載の細菌分離株。
【0043】
4.上記1つ以上のカタラーゼ遺伝子は、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される、実施の形態3に記載の細菌分離株。
【0044】
5.上記細菌分離株は、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対して94%の平均ヌクレオチド同一性を有するゲノムを有する、実施の形態1~4のいずれか1つに記載の細菌分離株。
【0045】
6.実施の形態1~5のいずれか1つに記載のL.カゼイ種の細菌分離株を含む組成物。
【0046】
7.感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株又は実施の形態6に記載の組成物。
【0047】
8.上記感染症は、口腔鼻咽頭感染症、特に中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭等を含む群から選択される上気道感染症である、実施の形態7に記載の使用のための細菌分離株又は組成物。
【0048】
9.上記感染症は、皮膚感染症、特に尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等である、実施の形態7に記載の使用のための細菌分離株又は組成物。
【0049】
10.上記感染症は、乳腺炎である、実施の形態7に記載の使用のための細菌分離株又は組成物。
【0050】
11.上記感染症は、泌尿生殖器感染症、特に膣感染症及び膀胱感染症である、実施の形態7に記載の使用のための細菌分離株又は組成物。
【0051】
12.上記感染症は、胃腸感染症、特に結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等である、実施の形態7に記載の細菌分離株又は組成物。
【0052】
13.前記免疫関連疾患は、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択される、実施の形態7に記載の細菌分離株又は組成物。
【0053】
14.ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0054】
15.個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株の使用又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0055】
16.清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株の使用又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0056】
17.空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株の使用又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0057】
18.バイオマス生産における、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株の使用又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0058】
19.感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種。
【0059】
20.感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種。
【0060】
21.感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物。
【0061】
22.感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物。
【0062】
23.上記感染症は、口腔鼻咽頭感染症、特に中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭等を含む群から選択される上気道感染症である、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0063】
24.上記感染症は、皮膚感染症、特に尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等である、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0064】
25.上記感染症は、乳腺炎である、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0065】
26.上記感染症は、泌尿生殖器感染症、特に膣感染症及び膀胱感染症である、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0066】
27.上記感染症は、胃腸感染症、特に結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等である、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0067】
28.上記免疫関連疾患は、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択される、実施の形態19~22のいずれか1つに記載の使用のためのL.カゼイ種又は組成物。
【0068】
29.ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0069】
30.ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0070】
31.ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0071】
32.ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0072】
33.個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0073】
34.個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0074】
35.個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0075】
36.個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0076】
37.清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0077】
38.清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0078】
39.清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0079】
40.清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0080】
41.空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0081】
42.空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0082】
43.空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0083】
44.空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0084】
45.バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0085】
46.バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0086】
47.バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0087】
48.バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0088】
49.前記1つ以上のカタラーゼ遺伝子は、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される、実施の形態29、30、33、34、37、38、41、42、45、若しくは46のいずれか1つに記載のL.カゼイ種の使用、又は実施の形態31、32、35、36、39、40、43、44、47、若しくは48のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【0089】
50.前記種は、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対して少なくとも93%の平均ヌクレオチド同一性を有するゲノムを有する、実施の形態29、30、33、34、37、38、41、42、45、若しくは46のいずれか1つに記載のL.カゼイ種の使用、又は実施の形態31、32、35、36、39、40、43、44、47、若しくは48のいずれか1つに記載の組成物の使用。
【0090】
51.食品産業における、実施の形態1~5のいずれか1つに記載の細菌分離株の使用又は実施の形態6に記載の組成物の使用。
【0091】
52.食品産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用。
【0092】
53.食品産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有するL.カゼイ種の使用。
【0093】
54.食品産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0094】
55.食品産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有し、かつ少なくとも0.4 μmの平均長さを有する線毛を有する1種以上のL.カゼイ種を含む組成物の使用。
【0095】
これより図面を具体的に参照するが、示される項目は例示であり、本発明の種々の実施形態の説明的な論考のみを目的とすることが強調される。これらの図面は、本発明の原理及び概念的態様の最も有用かつ簡単な説明であると考えられるものを提供するために提示される。この点で、本発明の基礎的理解に必要とされるよりも詳細な本発明の構造細部を示そうとはしていない。この説明は、図面と共に本発明の幾つかの形態を実際に具体化し得る方法を当業者に明らかとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】健康な被験体(CON)及び慢性副鼻腔炎(CRS)患者の鼻(N)及び鼻咽頭(NF)の間での、それらの微生物叢プロファイルにおける乳酸桿菌の存在(真)又は不存在(偽)についての微生物叢の比較を示す図である。
図2】乳酸桿菌が上記プロファイル中に存在する場合の、健康な被験体(CON)及び慢性副鼻腔炎(CRS)患者の鼻(N)及び鼻咽頭(NF)における、乳酸桿菌の相対存在度の比較を示す図である。
図3】MRS培地における種々のラクトバチルス種の増殖特性を示す図である。
図4】スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の増殖に対する、種々のラクトバチルス・カゼイ株の抗病原性活性を示す図である。
図5】受託番号LMG P-30039のL.カゼイ株の存在又は(or)不存在における膣上皮細胞上でのC.アルビカンス(C. albicans)の接着能力を示す図である。
図6】L.カゼイLMG P-30039(AMBR2)の抗菌糸活性を示す図である。
図7】受託番号LMG P-30039のL.カゼイ株(AMBR2)の抗微生物活性及び抗バイオフィルム活性を示す図である。
図8】Calu-3気道上皮細胞への種々のラクトバチルス株及びL.ラムノサスGGの接着能力を示す図である。
図9】VK2 E6/E7膣上皮細胞への種々のラクトバチルス株の接着能力を示す図である。
図10】Caco-2腸管上皮細胞へのL.カゼイ株及びL.ラムノサスGGの接着能力を示す図である。
図11】Calu-3気道上皮細胞へのL.カゼイ株及びその他の関連の乳酸桿菌の接着能力を示す図である。
図12】Caco-2腸管(intestinal)上皮細胞(A)及びVK2/E6E7膣細胞(B)へのL.カゼイ株及びその他の関連の乳酸桿菌の接着能力を示す図である。
図13】L.ラムノサスGG及び受託番号LMG P-30039のL.カゼイ株(AMBR2)の線毛の平均長さを示す図である。
図14】L.ラムノサスGG及び受託番号LMG P-30039のL.カゼイ株(AMBR2)からの(from)細胞壁多糖(CW-PS)収率の間の比較を示す図である。
図15】受託番号LMG P-30039のL.カゼイ株(AMBR2)又はL.ラムノサスGGからのCW-PSの、THP1マクロファージにおけるサイトカイン応答に対する効果を示す図である。
図16】スタフィロコッカスの超毒素(super-toxin)SEBにより誘導される上皮バリア破壊及びL.カゼイLMG P-30039(AMBR2)による中和作用を示す図である。
図17】L.カゼイの群の全ての184個のゲノムアセンブリから構築された系統樹を示す図である。
図18】研究されたゲノムアセンブリの全ゲノムG/C含量を示す図である。
図19】全ての研究されたゲノムについてのペアワイズのANIb及びTETRAの値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
本発明は、ヒト上気道からの新規のL.カゼイ株(AMBR2株又はラクトバチルスAMBR2としても示される)の同定に基づいている。上記菌株は、ベルギー総合微生物収集所(BCCM)で2017年2月21日に受託番号LMG P-30039で寄託された。
【0098】
新規のL.カゼイAMBR2分離株(LMG P-30039)の増殖能力を、図3に示される幾つかのその他のラクトバチルス株の増殖能力と比較した。新規のL.カゼイAMBR2分離株の増殖能力は、ラクトバチルス種のその他の菌株の増殖能力と比較して改善されることが判明した。さらに、新規分離株はまた、その分離株が少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛を含むことを特徴としており、それにより上皮細胞への接着が増強される。
【0099】
この新規分離株について典型的なことは、その分離株が、その他のL.カゼイ株において予測される全ゲノムG/C含量よりも高い48.02%の全ゲノムG/C含量を有することである。さらに、上記新規細菌分離株、すなわち受託番号LMG P-30039のL.カゼイは、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される1つ以上のカタラーゼ遺伝子、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有する。
【0100】
カタラーゼは、酸化ストレス耐性の表現型を確立するにあたって重要な駆動因子である。乳酸菌は一般的に、カタラーゼ陰性として定義されるが、ラクトバチルス属、ペディオコッカス属、及びロイコノストック属のメンバーにはカタラーゼ活性が見られている。また、本発明による新規のL.カゼイ分離株は、ヘム依存性カタラーゼを発現する。上記ヘム依存性カタラーゼは、タンパク質レベルで、L.プランタルム(L. plantarum)WCSF1のヘム依存性カタラーゼ(NCBI配列YP_004891054)、L.サケイ(L. sakei)のヘム依存性カタラーゼ(NCBI配列WP_01137882)、及びL.ブレビス(L. brevis)ATCC 367のカタラーゼ(NCBI配列WP_011667631)と70%超の同一性及び80%超のカバー率(coverage)を示す。さらにまた、マンガンカタラーゼをコードする遺伝子が、本発明による新規菌株において同定された。上記マンガンカタラーゼは、タンパク質レベルで、L.プランタルムATCC 14431のマンガンカタラーゼ(RCSBタンパク質データバンクの受託番号1JKU)と70%超の同一性及び80%超のカバー率を示す。結果として、この新規分離株は、非常に酸化剤耐性の表現型を有する。さらに、本発明による新規のL.カゼイ分離株は、スタフィロコッカス・アウレウス(図4)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(図5及び図6)に対して改善された抗病原性活性を示す。さらに、新規のL.カゼイAMBR2株はまた、気道上皮細胞、膣上皮細胞、及び腸管上皮細胞への改善された接着能力を示す(図8図12)。
【0101】
さらに、新規分離株はまた、その分離株が少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含むことを特徴としており、それにより上皮細胞への接着が増強される(図13)。
【0102】
更なる実施形態においては、上記新規L.カゼイ株は、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛を含み得る。別の実施形態においては、上記L.カゼイ株は、参照L.ラムノサスGGと比較してより多くの菌体外多糖、特に細胞壁多糖を産生する。なおも更なる実施形態においては、L.カゼイ株において産生された菌体外多糖は、L.ラムノサスGGにより産生される菌体外多糖と比べて異なる形態であり、及び/又は異なる生物学的活性を有し得る。
【0103】
更に別の実施形態においては、上記新規のL.カゼイ株は、上皮バリア破壊、例えばスタフィロコッカスの超毒素SEBにより誘導される上皮バリア破壊を妨げる。
【0104】
これらの知見に基づいて、感染症又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、受託番号LMG P-30039として寄託される新規のAMBR2細菌分離株又は上記細菌分離株AMBR2を含む組成物が提供される。上記感染症は、好ましくは口腔鼻咽頭感染症、皮膚感染症、乳腺炎、泌尿生殖器感染症、又は胃腸感染症である。
【0105】
口腔鼻咽頭感染症は、口腔鼻咽頭腔の感染症又は口腔感染症から選択され、好ましくは、限定されるものではないが、中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭等を含む群から選択される。皮膚感染症は、好ましくは尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等を含む群から選択される。泌尿生殖器感染症は、好ましくは膣感染症又は膀胱感染症を含む群から選択される。胃腸感染症は、好ましくは結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等を含む群から選択される。
【0106】
既に上記に示されたように、免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、本発明によるAMBR2細菌分離株又は上記菌株を含む組成物も提供される。上記免疫関連疾患は、花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択され得る。
【0107】
別の実施形態においては、本発明はまた、ワクチン接種の間に免疫応答を促進するためのアジュバントとしての、本発明による細菌分離株又は上記菌株を含む組成物の使用を提供する。
【0108】
受託番号LMG P-30039のL.カゼイ種の新規の細菌分離株AMBR2が、呼吸器上皮細胞への接着能力の改善を示し、かつ非常に酸化剤耐性の表現型を有するという知見に基づいて、本発明はまた、個人衛生産業における、特にティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、更により詳細には呼吸器感染症の治療及び/又は予防のためのティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、上記細菌分離株又は上記細菌株を含む組成物の使用を提供する。
【0109】
その抗微生物能力に基づき、清掃産業における、特に清掃用製品の生産における、本発明による新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。上記清掃用製品は、特に表面の処置及び/又は消毒のために意図される。
【0110】
更に別の実施形態においては、空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、本発明による新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。
【0111】
さらに、その乳酸の産生能力に基づいて、バイオマスの生産における、上記新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用も開示されている。上記バイオマスの生産は、例えば植物バイオマス、動物バイオマス、及び都市廃棄物バイオマスを含み得る。
【0112】
さらに、食品産業における、上記新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。上記食品産業は、発酵食品(乳製品ベースの有益な大豆(dairy-based, worth soy))又は食品産業で使用されるバイオリアクター及び処理環境を含み得る。それにより、AMBR2株又は上記菌株を含む組成物を使用することで、不所望な生物又は腐敗生物のバイオフィルムの形成を減らすことができる。したがって、更なる実施形態においては、発酵食品、例えば乳製品ベースの有益な大豆における、上記新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。別の実施形態においては、食品産業において使用されるバイオリアクター及び処理環境における、上記新規の細菌分離株AMBR2又は上記菌株を含む組成物の使用が開示されている。
【0113】
本発明の別の態様においては、ラクトバチルス・カゼイ種の新規の群が、種々の比較ゲノミクスのアプローチを使用して同定された。このアプローチにより、L.パラカゼイ、L.カゼイ、L.ラムノサス、及びL.ゼアエの種を含む183個の公表されているL.カゼイの群のゲノムアセンブリを、ヒト気道からの1種の新たにシーケンシングされた分離株(受託番号LMG P-30039として寄託されるL.カゼイAMBR2株)及びニンジン果汁発酵物からの3種の分離株と一緒に分析した(実施例2)。これらのアプローチにより、3つの異なる分類学的な分岐群が、776個の遺伝子のアライメントで構築された系統樹(図17)、全ゲノムG/C含量の差(図18)、及びペアワイズのANI値(図19)に基づいて特定された。これらの分岐群の1つは、L.カゼイ分離株(L.ゼアエのL.カゼイへの再分類に従う、Salvetti et al. 2012)のみからなり、各メンバーは、高い全ゲノムG/C含量、特に少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量、及びヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される1つ以上のカタラーゼ遺伝子の存在を特徴とする。さらに、この分岐群の各メンバーはまた、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列と比較して少なくとも93%の平均ヌクレオチド同一性(ANI)値を特徴とする。
【0114】
新規のL.カゼイ分離株AMBR2(受託番号LMG P-30039として寄託される)も含まれるこの新規の分岐群の特定に基づいて、本発明はさらに、感染症及び/又は免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上の、特に2つのカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は1種以上のL.カゼイ種を含む組成物を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。更なる実施形態においては、本発明は、口腔鼻咽頭感染症、特に口腔鼻咽頭腔の感染症又は口腔感染症、より詳細には急性中耳炎、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、鼻炎、インフルエンザ、粘膜炎、齲蝕、歯肉炎、又は口臭等を含む群から選択される上気道感染症の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する上記L.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。
【0115】
更なる実施形態においては、本発明は、皮膚感染症、特に尋常性座瘡、乾癬、火傷、蜂巣炎、膿痂疹、水虫(足白癬)、真菌性爪感染症、又は疣贅等の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。
【0116】
なおも別の実施形態においては、本発明は、乳腺炎の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。
【0117】
なおも別の実施形態においては、本発明は、泌尿生殖器感染症、特に膣感染症及び膀胱感染症の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。
【0118】
また更なる実施形態においては、本発明は、胃腸感染症、特に結腸炎、胃感染症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群等の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0119】
別の実施形態においては、本発明は、免疫関連疾患、特に花粉症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性副鼻腔炎、喘息等を含む群から選択される免疫関連疾患の治療及び/又は予防において使用するための、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物を提供する。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0120】
本発明はさらに、個人衛生産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種の使用を開示している。また、個人衛生産業における、上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用が開示されている。特に、ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用が開示されている。更により詳細には、上記ティッシュペーパー、保護マスク、又はスプレーは、呼吸器感染症の治療及び/又は予防に対して向けられる。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0121】
別の態様においては、本発明は、空気清浄における、特に空気清浄フィルターにおける、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用を開示している。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一サブユニットの線毛を含み得る。
【0122】
更なる態様においては、本発明は、バイオマスの生産における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用を開示している。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一のタンパク質サブユニットの線毛を含み得る。
【0123】
さらに、食品産業における、少なくとも47.5%の全ゲノムG/C含量を有し、かつ1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有するL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用が開示されている。上記L.カゼイ種はさらに、少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な線毛、特に少なくとも0.4 μmの平均長さを有する特別な頑強なグリコシル化されたセリンリッチの単一のタンパク質サブユニットの線毛を含み得る。上記食品産業は、発酵食品(乳製品ベースの有益な大豆)又は食品産業で使用されるバイオリアクター及び処理環境を含み得る。それにより、上記L.カゼイ種又は上記菌株を含む組成物を使用することで、不所望な生物又は腐敗生物のバイオフィルムの形成を減らすことができる。したがって、更なる実施形態においては、発酵食品、例えば乳製品ベースの有益な大豆における、上記L.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用が開示されている。別の実施形態においては、食品産業において使用されるバイオリアクター及び処理環境における、上記L.カゼイ種又は上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の使用が開示されている。
【0124】
さらに、本発明によるL.カゼイ種又は本発明による上記L.カゼイ種の1種以上を含む組成物の種々の使用に関して、上記L.カゼイ種は、ヘムカタラーゼ及びマンガンカタラーゼを含む群から選択される1つ以上のカタラーゼ遺伝子を有する。
【0125】
本発明の更に別の実施形態において、そしてまた本発明によるL.カゼイ種又は上記L.カゼイ種を含む組成物の種々の使用に関して、上記種は、L.カゼイ株ATCC 393のゲノム配列に対して少なくとも93%の平均ヌクレオチド同一性を有するゲノムを有する。
【0126】
本発明の文脈においては、用語「線毛の平均長さ」は、最低6000 gでの細胞の遠心分離を間に挟んで適切なバッファー(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)で細菌を3回洗浄した後の、走査型電子顕微鏡法(SEM)による分析を基準とすることを意味する。1個又は2個の細菌細胞上の少なくとも10本の線毛の長さを慎重に測定し(μmで表現される)、平均が求められる。
【実施例
【0127】
実施例1:新規のL.カゼイ株(受託番号LMG P-30039として寄託される)の単離、並びに健康な被験体(CON)及び慢性副鼻腔炎(rhinosinusitis)(CRS)患者の鼻(N)及び鼻咽頭(NF)の間での、それらの微生物叢プロファイルにおける乳酸桿菌の存在又は不存在についての微生物叢の比較
材料及び方法
試料を、臨床試験NCT 02 933983(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02933983)の枠組みにおいて収集した。DNA抽出及び16Sアンプリコンのシーケンシングのための方法は、De Boeck et al., Frontiers in Microbiology 2017で最近公開された。
【0128】
結果
健康な被験体(CON)の少なくとも66%は鼻(N)内に乳酸桿菌を含み、59%は鼻咽頭(NF)内に乳酸桿菌を含むが、一方で、これは、慢性副鼻腔炎(CRS)患者の場合に鼻及び鼻咽頭のそれぞれについて15%未満及び10%未満に劇的に減少する(図1)。乳酸桿菌が上記プロファイル中に存在する場合の、健康な被験体及び慢性副鼻腔炎患者の鼻及び鼻咽頭における、乳酸桿菌の相対存在度の比較によって、乳酸桿菌は、健康なコントロールにおいてより多く存在するだけでなく、健康な被験体においてCRS患者と比較してより高い相対存在度を有することが示される(図2)。
【0129】
実施例2:新規のL.カゼイ分離株(受託番号LMG P-30039として寄託される)の特性評価
材料及び方法
細菌増殖アッセイ。乳酸桿菌の一晩培養物(± 2×109 CFU/ml)を、100倍希釈でマイクロタイタープレートのウェルに加えた。ラクトバチルス培養物を、MRS培地(Difco社、ベルギー)中で18時間にわたり増殖させ、Synergy HTXマルチモードリーダー(Biotek社、ベルギー、ドロゲンボス)を使用して、光学密度を600 nmで15分毎に測定した。
【0130】
懸濁液中でのS.アウレウス増殖についての、ラクトバチルス上清の抗微生物活性の経時的分析。経時的分析のために、S.アウレウスの一晩培養物(± 4×109 CFU/ml)を、10%のラクトバチルス上清を補って100倍希釈でマイクロタイタープレートのウェルに加えた。ヘキセチジン(0.1%)及びpH3.6のMRS培地を、ポジティブコントロールとして使用した。S.アウレウス培養物を、72時間にわたり増殖させ、Synergy HTXマルチモードリーダー(Biotek社、ベルギー、ドロゲンボス)を使用して、光学密度を600 nmで30分毎に測定した。各条件を、少なくとも3連で測定し、平均ODを計算した。
【0131】
ラクトバチルス種による、C.アルビカンスの上皮細胞への接着の阻害。カンジダ種のVK2/E6E7膣上皮細胞への接着に対する乳酸桿菌の影響を、カンジダ細胞(106 CFU)及び乳酸桿菌(108 CFU)を含む1 mlの容量を、上皮細胞のコンフルエントな単層を含む組織培養プレートのウェルに同時に加えて、接着をもたらすためにそれらを37℃にて1時間インキュベートすることにより調査した。インキュベート後に、細胞をダルベッコPBSで3回洗浄することで、全ての未接着の細胞を除去し、VK2/E6E7細胞に接着したカンジダ細胞の数を、真菌種に選択的であるサブロー寒天(Carl Roth社)上で大量希釈法によって求めた。各条件は、少なくとも3連で実施した。
【0132】
EPSの単離。ラクトバチルス株のEPSを、以前に記載(Lebeer et al., 2007)された抽出プロトコルで単離した。簡潔には、乳酸桿菌を0.6の光学密度まで増殖させ、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。次いで、EPSを、0.05 MのEDTA(Sigma Aldrich社、ベルギー、ディーゲム)中でインキュベート(氷上で振盪)し、引き続きエタノール沈殿し、そして蒸留水に対して透析(Spectra/Por(商標)透析膜(Spectrum Laboratories社、オランダ、ブレダー))することにより抽出した。その後に、試料をトリクロロ酢酸(Sigma Aldrich社)で処理してタンパク質を除去し、水に対して透析し、濾過滅菌(細孔サイズ0.2 μm(VWR社、ベルギー、ハースローデ))した。炭水化物の全量を、フェノール-硫酸法(DuBois et al., 1956)によって推定した。試料を、FreeZone 1 Liter Benchtop Freeze Dry System(モデル7740030)(Labconco社、米国、ミズーリ州)において凍結乾燥させ、使用するまで4℃にて貯蔵した。使用前に、EPSを純水中で溶解させた。THP-1マクロファージにおけるサイトカイン産生を、(Vargas Garcia et al., 2015; AEM)に記載される定量的RT-PCRによって監視した。
【0133】
C.アルビカンスによる菌糸形成の阻害。C.アルビカンスの菌糸(106 CFU/ml)を、ウシ胎児血清によって誘導させながら、乳酸桿菌(108 CFU/ml)と一緒に又は乳酸桿菌なしでインキュベートした。インキュベート後に、少なくとも3回の生物学的反復において少なくとも100個の酵母細胞及び/又は菌糸を計数し、菌糸対酵母細胞の比率を計算した。
【0134】
上皮細胞への接着。ラクトバチルス分離株の膣上皮VK2/E6E7細胞、腸上皮Caco-2細胞、及び気道上皮Calu-3細胞への接着能力を、乳酸桿菌(108 CFU/ml)を上皮単層に加えることにより調査した。接着をもたらす1回のインキュベート後に、細胞をダルベッコPBSで3回洗浄することで、全ての非接着細胞を除去し、残りの細胞をほぐし、MRS寒天上で大量希釈法によって定量化した。
【0135】
特別な線毛の発現。L.カゼイLMG P-30039(AMBR2)株及び参照のプロバイオティック菌株L.ラムノサスGGにおけるピリ線毛又は線毛(毛様の表面付属物)の存在を、走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用して評価した。細菌を金被覆した膜上にスポッティングし、2.5%のグルタルアルデヒド(0.1 MのNa+-カコジレート中)で室温(RT)にて1時間固定し、引き続き更に4℃にて一晩固定した。次いで細菌を、20分間にわたり3回すすぎ、カコジル酸緩衝液(7.5%のショ糖を含有する)中で4℃にて一晩静置した。引き続き、細菌を昇順列のエタノール(50%、70%、90%、95%)中でそれぞれ室温にて30分間脱水し、そして100%エタノール中で30分間3回脱水し、Leica EM Ace 600コーターで臨界点乾燥させた。それらの膜をスタブ上にマウントし、Leica EM Ace 600コーター中で5 nMのカーボンで覆った。SEMイメージングを、Quanta FEG250 SEMシステム(Thermo Fischer社、ベルギー、アッセ)で実施した。
【0136】
上皮バリア完全性の増強。鼻腔上皮バリアの修復に対するL.カゼイLMG P-30039(AMBR2)の効果を、Steelant et al.(2018; Journal of Allergy & Clinical Immunology)に記載されるように求めた。雄のBALB/c(6週齢~8週齢)を、Harlan(オランダ、ホースト)から入手し、通常の条件下で維持した。M4マウス(mice)に、1時間間隔でSEB(10 μg/ml)μl)又は生理食塩水を3回鼻腔内注入した。最後の鼻腔内注入の1時間後に、20 μLのフルオレセインイソチオシアネート-デキストラン4 kDa(FD4)(50 mg/mL)を鼻腔内に適用して、鼻腔粘膜透過性を評価した。1時間後に、血清及び鼻腔粘膜を、更なる分析のために回収した。
【0137】
結果
新規のL.カゼイAMBR2分離株(LMG P-30039)の増殖能力を、図3に示される幾つかのその他のラクトバチルス株の増殖能力と比較した。新規のL.カゼイAMBR2分離株の増殖能力は、ラクトバチルス種のその他の菌株の増殖能力と比較して改善されることが判明した。
【0138】
さらに、本発明による新規のL.カゼイ分離株は、スタフィロコッカス・アウレウス(図4)及びカンジダ・アルビカンス(図5及び図6)に対する抗病原性活性の改善を示す。さらに、L.カゼイAMBR2株は、呼吸器病原体、例えばモラキセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シゲラ・フレキシネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ソネイ(Shigella sonnei)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)に対する優れた抗微生物活性を示す。さらに、その上清は、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)に対する独自の抗バイオフィルム活性を示す(図7)。
【0139】
さらに、新規のL.カゼイAMBR2株はまた、気道上皮細胞、膣上皮細胞、及び腸管上皮細胞への接着能力の改善を示す(図8図12)。
【0140】
新規のL.カゼイ分離株はさらに、参照のラクトバチルス・ラムノサスGG株上で発現される線毛と比較して平均で明らかに長い線毛又はピリ線毛の発現を示す(表1及び図13)。
【0141】
表1 SEMに基づいた線毛の特性の比較
【表1】
【0142】
さらに、新規のL.カゼイLMG P-30039(AMBR2)株は、より多くの菌体外多糖を産生し、それはまた、L.ラムノサスGG及び任意のその他のラクトバチルスと比べて異なる形態であり、異なる生物学的活性を有する。L.カゼイAMBR2の細胞壁EPS(CW-PS)の抽出により、L.ラムノサスGGからのCW-PSの収率の2倍より高い約25 mg/mlが得られる(図14)。
【0143】
本発明のデータはさらに、L.カゼイLMG P-30039(AMBR2)からのCW-PSがTHP1マクロファージにおけるサイトカイン応答を調整し得ることを示している。ホルボールミリステートアセテートでの細胞分化の後に、THP1マクロファージを、L.カゼイAMBR2及びL.ラムノサスGGからの500 μg/mlのCW-PSで刺激した。qPCRに基づいて、EPSの両方の型について同様のサイトカイン誘導が観察されたが、IL-6は、L.カゼイAMBR2株によってより誘導されるとみられる。
【0144】
最後に、L.カゼイAMBR2株は、スタフィロコッカスの超毒素SEBにより誘導される上皮バリア破壊を妨げる(図16)。
【0145】
実施例2:L.カゼイ種のメンバーの新規の群の特性評価
材料及び方法
細菌分離株のシーケンシング及びNCBIゲノムアセンブリ
全ゲノムシーケンシングを、Nextera XT DNA Sample Preparation kit(Illumina社)を使用して実施し、Center of Medical Genetics Antwerp(アントワープ大学)でIllumina MiSeqプラットフォームによって2×250サイクルを使用してシーケンシングした。アセンブリを、SPAdes 3.8.0を使用して実施した(Bankevich et al., 2012)。L.カゼイ、L.パラカゼイ、L.ラムノサス、及びL.ゼアエとして分類された全てのゲノムアセンブリ(全体で210個)を、インハウススクリプトを使用して2017年2月19日にNCBIからダウンロードした。さらに、全ての未分類のラクトバチルスのアセンブリ(ラクトバチルス属の一種としてアノテーションされる、全体で28個)を培養された分離株からの1200ヌクレオチドより長い良質のラクトバチルスの16S rRNA配列のみを含むフィルタリングされたRDPデータベース(v11)(Cole et al., 2014)に対してブラスト(Camacho et al., 2019)することによって、該アセンブリをL.カゼイの群のメンバーについてスクリーニングした。これにより、品質管理された15個の追加のアセンブリが得られた。
【0146】
品質管理及びアノテーション
ゲノムアセンブリの品質を、Quast 4.3(Gurevich et al., 2013)により生成された出力を使用して評価した。種々の品質管理パラメータの可視化の後に、N75が10000 bp未満であり、かつ100000塩基当たりのNの数が500より高いゲノムを破棄した。引き続き、1つのゲノムアセンブリ(GCA_001063295)を取り除いた。それというのも、そのゲノムアセンブリは、5.8 Mbpのゲノムサイズを有し、ハイブリッドアセンブリと特定されたからである。次に、NCBIに見られる全ての完全なラクトバチルスゲノムを使用して、カスタムの属特異的BLASTデータベースを作成した。このデータベースを、Prokka(Seemann, 2014)において--usegenusオプションで使用することで、全てのゲノムアセンブリにアノテーションした。
【0147】
系統樹の構築
系統樹の構築のための入力として使用される遺伝子セットの生成は、Roary(Page et al., 2015)を使用してblastpの70の最小同一性パーセンテージ及び分離株のパーセンテージとしての96の閾値で行い、コア遺伝子として定義するには遺伝子が内在せねばならない。これらのコア遺伝子を翻訳し、外群のGCA_000026065(L.サケイ)ゲノムのタンパク質のBLASTデータベースと比較した。75%超のカバー率及び50%超の同一性のパーセンテージを有する全てのヒットを、インハウススクリプトを使用してアライメントに加えた。このアライメントをRaxML 8.2.9(Stamatakis, 2014)において高速のブートストラップアルゴリズムと複数の異なる初期系統樹から出発するツリースペース(tree space)の大規模な検索とを兼ね備える--aオプションで使用することで、最大尤度系統樹を作り上げた。主系統樹を、iTOL(Letunic and Bork, 2016)においてプロットしたが、部分系統樹は、R(R Core Team, 2015)パッケージのggtree(Yu et al., 2016)を使用して作成した。
【0148】
GC含量
全ゲノムGC含量及び遺伝子当たりのGC含量を、Quast 4.3(Gurevich et al., 2013)及びEMBOSS 6.6.0.0(Rice et al., 2000)からのinfoseqをそれぞれ使用して計算した。可視化は、Rにおいてggplot2(Wickham, 2009)を使用して行った。
【0149】
ANIb、ANIm、及びTETRA
全てのペアワイズのANIb値、ANIm値、及びTETRA値を、Pythonのpyaniパッケージを使用して計算し、ggtree(Yu et al., 2016)を使用して可視化した。
【0150】
興味駆動アプローチ
全ての興味駆動アプローチのために、3つの異なる方法を使用した。1つ目に、対象の遺伝子、例えばカタラーゼ遺伝子の存在を、それらのアノテーションに基づいて評価した。2つ目に、対象の遺伝子の既知の変異体について文献を手動でスクリーニングした。次いで、これらの遺伝子を、それぞれの分岐群の代表的なコア遺伝子に対してブラストし、ヒットを評価した。最後に、3つ目のアプローチとして、可能であればPFAMデータベースを使用して、対象の遺伝子のタンパク質ファミリーのHMMをダウンロードした。次いで、Hmmer(Finn et al., 2011)を使用して、各分岐群の代表的なコア遺伝子をこれらのHMMに対してスキャンした。
【0151】
結果
表2は、この研究で使用したL.カゼイの群に属する全ての公開されたゲノム(NCBI; 2017年2月19日)の概要を示す。全体で183個のパブリックゲノムアセンブリがQCに合格した(10000 bp未満のN75値及び500未満の100000塩基当たりのNの数)。これらのゲノムのうち、92個がL.ラムノサスとして分類され、36個がL.カゼイとして分類され、38個がL.パラカゼイとして分類され、かつ2個がL.ゼアエとして分類された。L.カゼイの群として分類されたパブリックゲノムに加えて、全ての未分類のラクトバチルスゲノム(NCBIでラクトバチルス属の一種として類別される)を、それらの16S rDNA配列とRDPデータベース(v11)(Cole et al., 2014)のフィルタリングされたものとを比較することによってL.カゼイの群のメンバーについてスクリーニングした。これにより、追加の15個のゲノムが得られた。さらに、ヒトURTから分離された1つの新たにシーケンシングされたラクトバチルス・カゼイ株(AMBR2)を分析に加えた。これにより、全体で184種のL.カゼイの群の菌株が研究された。
【0152】
分類学的構造
GC含量
全てのアセンブリのGC含量を図18に示す。この図は、L.パラカゼイ種、L.ラムノサス種、及びL.ゼアエ種のGC含量が、1つの種内で46.3、46.7、及び47.8のそれぞれの平均値で安定していることを示している。これらの種間の重複は小さいか又は存在しない。それに対して、L.カゼイのゲノムは、2つの群に分けることができる。1つの大きな群は、L.パラカゼイのGC含量値の範囲内のGC含量値を示すが、5個のゲノムは、L.ゼアエのゲノムのGC含量と同様のはるかに高いGC含量を示す。未分類のアセンブリ(ラクトバチルス属の一種として類別される)については、2個のゲノムは、L.ゼアエのゲノムと同じ高さのGC含量を示すが、その残りは、L.ラムノサス/L.パラカゼイの範囲内である。L.カゼイAMBR2と呼ばれる本発明の新たな分離株のゲノム配列は、その他のL.ゼアエのゲノムと同様のGC含量を示す。
【0153】
表2 この研究で使用したL.カゼイの群に属する全ての公開されたゲノムの概要。該当する場合に、菌株名は2列目に示されている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
ラクトバチルス・カゼイ
ラクトバチルス・パラカゼイ
ラクトバチルス・ラムノサス
ラクトバチルス属の一種
ラクトバチルス・ゼアエ
【0154】
系統学
ゲノムアセンブリの遺伝的関連性を研究するために、776個のコアのオーソロガス群のクラスター(COG)を使用して、L.カゼイの群の高品質最大尤度系統樹を構築した。これらのCOGは、少なくとも70%のblastp同一性を有し、かつ研究されたゲノムの最低96%に存在する遺伝子を含む。さらに、ラクトバチルス・ナスエンシス(Lactobacillus nasuensis)JCM 17158のゲノム(GCA_001434705)をアライメントに加えることで、外群として用いた。この菌株は、L.カゼイの群に密接に関連する3つの菌株の中で最高品質のアセンブリを有するため選択された(Sun et al., 2015)。得られた系統樹を図8に示す。その樹構造は、3つの別個の分岐群が、分岐群の間の枝長と比較して各分岐群内で非常に小さな枝長を有することを明らかにしている。分岐群Aは、L.カゼイゲノムの大部分及びL.パラカゼイゲノムの全て、並びに1個の未分類のラクトバチルス属(L.)の一種のアセンブリを含む。分岐群Bは、2個のL.ゼアエゲノム、5個のL.カゼイゲノム(L.カゼイの基準株ATCC 393を含む)、2個の未分類の乳酸桿菌、及び本発明の新しいURT分離株(L.カゼイAMBR2)を含む。興味深いことに、これらのメンバーの全ては、図18に示されるようにGC含量の上昇を伴うメンバーでもある。最後に、分岐群Cは、全てのL.ラムノサスゲノム及び残りの12個のラクトバチルス属の一種のゲノムからなる。
【0155】
ペアワイズゲノム比較
現代の全ゲノムシーケンシングにおいては、種の境界を検出するための操作方法として、ペアワイズゲノム比較測定法がしばしば使用される。Richter and Rossello-Mora (2009)は、TETRA測定法と場合により組み合わされる、原核性種の限界決定のための平均ヌクレオチド同一性(ANI)測定法の使用を提案している。ANIは、オープンリーディングフレーム又はゲノム断片のペアワイズアライメントに基づく。TETRA測定法は、2つのゲノムにおけるテトラヌクレオチド頻度の間の相関である。
【0156】
図10(19)は、全てのL.カゼイの群のゲノムの間でのANIb(blast実行を使用して計算されたANI)及びTETRAの距離を示す。それらのゲノムは、系統樹と同じ順序で示される。両者の距離の測定法は、図17における系統樹により定義される3つの分岐群におけるゲノムのグループ化を支援する。種の限界決定のために、Richter et al. (2009)は、95%~96%のANIカットオフ値を勧めているが、彼らは1つの種内の94%~95%の値も珍しいことではないと述べている。分岐群Aで96.05%、分岐群Bで93.64%、分岐群Cで96.26%の最小ANI値が観察されたことから、これらの3つの分岐群が、3つの個別の細菌種とみなされ得ることを示唆している。この結論はまた、分岐群Aで0.9941以上、分岐群Bで0.9872以上、分岐群Cで0.9882以上という各分岐群内の非常に高いTETRA値によっても裏付けられる。
【0157】
遺伝子含量
上記のように、L.カゼイの群は、776個のコアCOGからなり、それらを使用して系統樹を構築した。さらに、16636個のアクセサリーCOG及びゲノム当たり平均数2786個の遺伝子が特定された。
【0158】
GC含量(図18)、系統樹(図17)、及びANI値(図19)は全て3つの異なる分岐群のグループ化を支援するので、各分岐群のコアゲノム及びアクセサリーゲノムを、roary(Page et al., 2015)を使用して計算した。分岐群A、B、及びCを比較すると、ゲノム当たりの遺伝子の平均数に大きな差はないように見える(表3)。しかしながら、分岐群Cは、分岐群A及び分岐群Bと比較してコア遺伝子の数が増えているように見える。アクセサリー遺伝子の数は、分岐群Bの場合に最小であり、それはまた最小ゲノム数を有する。分岐群Aは最大のアクセサリーゲノムを有するが、本発明のデータでは分岐群Cが最も豊富である。
【0159】
表3.系統樹により画定される3つの分岐群の概要。コア遺伝子は、ゲノムの96%超に存在する遺伝子として定義される。
【表3】

【0160】
機能的能力
呼吸能力
上記結果は、本発明の新規のURT分離株のL.カゼイLMG P-30039(AMBR2)が、L.カゼイの群のより小さい分岐群Bに属することを示している。興味深いことに、この分岐群の全てのメンバーは、残りのL.カゼイの群と比較してGC含量の上昇を示す。AMBR2に加えて、この分岐群は、2個のL.ゼアエアセンブリと、2個の未分類のラクトバチルス種と、L.カゼイの基準株ATCC 393及び呼吸能力のある菌株L.カゼイN87(Zotta et al., 2016)を含む5個のL.カゼイゲノムとを含む。
【0161】
L.カゼイLMG P-30039(AMBR2)が、典型的な嫌気性発酵適所ではない健常者の上気道から分離され、かつ呼吸能力のある菌株L.カゼイN87が同じ分岐群内に集まっているので、分岐群Bの呼吸能力を一緒にL.カゼイの群のその他のメンバーに対して評価した。したがって、本発明者らは、乳酸菌の電子伝達系において唯一知られる末端オキシダーゼ(Pedersen et al., 2012、Ianniello et al., 2015)であるシトクロムbdオキシダーゼをコードするcydABCDオペロンの存在についてゲノムをスクリーニングした。このオペロンが全てのカゼイの群のメンバーに存在することが判明したことから、それらのメンバーが全て最小限の呼吸機構を遺伝的に備えていることが示唆される。この中心的な呼吸成分に加えて、その他の補助的な呼吸成分の存在を評価した(Pedersen et al., 2012に記載される)。ホモロジー検索に基づいて、本発明者らは、ヘム取込み(fhuDBARオペロン)、ヘム排出(hrtRBAオペロン及びpefAB/pefRCDオペロン)、ヘム分解(yfeXオーソログ)、及びメナキノン生合成(menFDXBECオペロン)をコードする遺伝子を見出すことができなかった。しかしながら、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)のアルキルヒドロペルオキシドレダクターゼ(AhpC)のオーソログは、全ての研究されたゲノム中で特定され、それは細胞内ヘムを分解から守るヘム結合タンパク質であると提案されている(Pedersen et al., 2012、Lechardeur et al., 2011)。これらの結果は、L.カゼイAMBR2が、L.カゼイの群の全てのメンバーのように呼吸可能であることを示している。
【0162】
酸化ストレス耐性
呼吸は酸化ストレスの増加を伴う。全てのL.カゼイの群のメンバーは呼吸のための遺伝子を備えているので、本発明者らは、異なる分岐群が、酸化ストレスに対処するための異なるストレス機構を示すかどうかを評価した。
【0163】
O2 -をO2とH2O2へと消去する抗酸化物質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は、ラクトバチルス属には存在しないと長い間信じられていた。しかしながら、ゲノム分析によって最近L.カゼイ及びL.サケイにおけるSOD遺伝子の存在が明らかにされた(Liu et al., 2011、Zotta et al., 2014)。したがって、本発明者らは、全体のカゼイの群をSOD遺伝子についてスクリーニングし、それによりSOD遺伝子が分岐群Aの菌株(70個のゲノムのうち69個)にのみ存在することが明らかになった。興味深いことに、Hmmerを使用して4つの異なるSOD Pfamファミリー(PF00080、PF00081、PF02777、PF09055)にマッピングすると、2つの異なるヒットが得られ、1つは、鉄/マンガンSOD(70個の分岐群Aのゲノムのうち69個に存在)を表すPF00081との予想されるヒットであり、1つは、真核生物により最も一般的に使用されるSODである銅SOD(70個の分岐群Aのゲノムのうち4個)とのかなり予想外のヒットである。銅SODには、全て仮想タンパク質とアノテーションされ、ゲノムブラウザ使用した検査により、それらはトランスポザーゼに囲まれた小さなコンティグ上に見出されることが分かった。
【0164】
H2O2からH及びO2への分解を触媒するカタラーゼはまた、細胞を酸化ストレスから守るのに重要な役割を担う。ラクトバチルス属はカタラーゼ陰性と定義されているが、最近の研究では、呼吸能力のある菌株L.カゼイN87を含む幾つかの菌株においてカタラーゼ活性が示された。したがって、カタラーゼ遺伝子の存在を、全体のカゼイの群内で評価した。興味深いことに、カタラーゼ遺伝子としてアノテーションされたORFは、分岐群Bに属する菌株、及び分岐群Cの1つの単一のゲノムにおいてのみ特定された。1つはヘムカタラーゼとしてアノテーションされ(長さ=1461 bp)、もう1つはマンガンカタラーゼとしてアノテーションされる(長さ=807 bp)2つの異なるタイプが見出された。ヘムカタラーゼ遺伝子は、分岐群Bの全ての10個のゲノムアセンブリ中で見出されたが、マンガンカタラーゼ遺伝子は、10個の分岐群Bのゲノムのうち7個だけに存在していた。
【0165】
さらに、2つの遺伝子は、1つの分岐群Cの菌株(ラクトバチルス・ラムノサスCRL1505)においてカタラーゼとしてアノテーションされた。2つのORFのうち1つは、全ての分岐群Bのゲノムにおいて特定されたヘムカタラーゼ遺伝子の第1の部分と極めて高い配列類似性を示したが、もう1つの遺伝子は、ヘムカタラーゼ遺伝子の第2の部分と高い類似性を示した。ゲノムブラウザでの視覚化により、両方の遺伝子が互いに直接隣接していることが明らかになったことで、以前は完全なヘムカタラーゼ遺伝子であったが、フレームシフトにより2つの別々のコーディング配列に分割されたことが示唆される。
【0166】
チオレドキシンレダクターゼ、NADHペルオキシダーゼのような酸化ストレスに関連する追加の遺伝子は、全てのカゼイの群のゲノムに見出された。8-オキソGトリホスファターゼであるMutTも全ての研究されたアセンブリ中に見出される。MutTは、GTPの酸化形の8-オキソGTPを8-オキソGMPへと加水分解し、それにより、酸化ストレスによる還元的突然変異を助ける複製の間の8-オキソGTPのDNA中への誤取込みを抑制する(Veen and Tang, 2015)。全てのゲノムは、MutT遺伝子の1つの単一のコピーを含むが、10個の分岐群Bのメンバーのうち7個は、2個の異なるコピーを有することが判明した。興味深いことに、これらの7個のメンバーは、2つのカタラーゼ遺伝子を有する同じアセンブリである。
【0167】
まとめると、これらの結果は、カタラーゼ遺伝子の存在がカゼイの群内で系統発生的に別個の分岐群Bの独自の形質であることを示唆しているが、SODは分岐群Aに独自に見出されるように見える。
【符号の説明】
【0168】
図面訳
図1
present 存在
FALSE 偽
TRUE 真
condition 条件

図2
Lactobacillus ラクトバチルス
rel_abundance 相対存在度
condition 条件

図3
L. rhamnosus L.ラムノサス
L. zeae L.ゼアエ
L. casei L.カゼイ

図4
L. rhamnosus L.ラムノサス
Lactobacillus ラクトバチルス
S. aureus S.アウレウス
hextril ヘクストリル

図5
Percentage of adhered C. albicans 接着されたC.アルビカンスのパーセンテージ
C. albicans C.アルビカンス

図6
Ratio of hyphae to yeast cells 菌糸対酵母細胞の比率
C. albicans C.アルビカンス
live cells 生細胞
L. casei L.カゼイ
Water 水

図7
Score スコア
strain 菌株
Pathogen used in spot assay スポットアッセイで使用した病原体
E. coli E.コリ
H. influenzae H.インフルエンザエ
M. catarrhalis M.カタラーリス
S. pneumoniae S.ニューモニエ
S. aureus S.アウレウス
Shigella flexneri シゲラ・フレキシネル
S. hyicus S.ヒカス
Pathogen control 病原体コントロール

図8
% adhesion 接着(%)

図9
% adhesion 接着(%)

図10
% adhesion 接着(%)

図11
Adhesion Calu3 cells Calu3細胞への接着
% adhesion 接着(%)

図12
Percentage of adhesion 接着のパーセンテージ
Caco2 intestinal cells Caco2腸管細胞
Adhesion percentage 接着のパーセンテージ
vaginal cells 膣細胞

図13
Length fimbriae 線毛の長さ
L. rhamnosus L.ラムノサス
L. casei L.カゼイ

図14
EPS yield EPS収率
L. rhamnosus L.ラムノサス
L. casei L.カゼイ

図15
AMBR2 EPS (500 μg/mL) in THP1 THP1におけるAMBR2のEPS(500 μg/mL)
LGG EPS (500 μg/mL) in THP1 THP1におけるLGGのEPS(500 μg/mL)
Fold change 倍率変化
Log 2 scale Log 2スケール
Untreated 未処理

図16
Sham シャム
Saline 生理食塩水

図17
Clade 分岐群

図18
Whole genome GC-content 全ゲノムGC含量
Lactobacillus casei ラクトバチルス・カゼイ
Lactobacillus paracasei ラクトバチルス・パラカゼイ
Lactobacillus rhamnosus ラクトバチルス・ラムノサス
Lactobacillus zeae ラクトバチルス・ゼアエ
Lactobacillus sp. ラクトバチルス属の一種
clade 分岐群
(寄託証明書)
【表A-1】

【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19