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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/33 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
G01N21/33
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022505995
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2021008377
(87)【国際公開番号】W WO2021182279
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2020044828
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】出口 祥啓
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 正明
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158506(WO,A1)
【文献】特開2017-129374(JP,A)
【文献】特開昭62-266440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源および光検出器を有する電気ユニットと、ガスが流れる測定セルを有する流体ユニットと、前記光源から前記測定セルに入射したあと前記測定セルを通過した光の強度を前記光検出器で検出し、前記光検出器の出力に基づいて前記ガスの濃度を演算するように構成された処理回路とを有する濃度測定装置において行われる濃度測定方法であって、
前記測定セルに基準ガスを流すことにより前記光検出器を用いて前記基準ガスに関連付けて求められた基準吸光係数と、測定ガスに関連付けられた補正ファクタとを用いて、前記測定ガスの吸光係数を決定するステップと、
前記測定ガスの吸光係数を用いて、前記測定セル内を流れる測定ガスの濃度を求めるステップとを含み、
前記光源から発せられる光源光のピーク波長に対して、前記光源光の吸収による濃度測定を行う波長域における前記測定ガスの吸光ピーク波長が長いときは、前記光源光のピーク波長に対して前記波長域における吸光ピーク波長が長い第1の種の基準ガスについて求めた基準吸光係数を用いて前記測定ガスの吸光係数を決定し一方で、
前記光源光のピーク波長に対して、前記光源光の吸収による濃度測定を行う波長域における前記測定ガスの吸光ピーク波長が短いときは、前記光源光のピーク波長に対して前記波長域における吸光ピーク波長が短い、前記第1の種とは異なる第2の種の基準ガスについて求めた基準吸光係数を用いて前記測定ガスの吸光係数を決定する、濃度測定方法。
【請求項2】
前記光源から発せられる光は近紫外光であり、前記測定ガスおよび前記基準ガスは、前記近紫外光の吸収波長域において、300nmより長い吸光ピーク波長を有するガスである、請求項1に記載の濃度測定方法。
【請求項3】
前記基準ガスは、アセトンガス、アセトアルデヒドガス、SO2ガス、Cl2ガス、または、NO2ガスのいずれかである、請求項1に記載の濃度測定方法。
【請求項4】
前記濃度測定装置は、前記光源からの光を通過させるバンドパスフィルタを有し、半値幅が狭められた光を用いて濃度測定を行う、請求項1から3のいずれかに記載の濃度測定方法。
【請求項5】
前記測定ガスの濃度を測定するときの光源光のピーク波長を測定するステップを含み、
光源光のピーク波長に対応付けられた複数の基準吸光係数を参照したうえで、前記測定された光源光のピーク波長に基づいて決定された基準吸光係数を用いて前記測定ガスの濃度を求める、請求項1から4のいずれかに記載の濃度測定方法。
【請求項6】
前記測定ガスの濃度を測定するときのガス温度を測定するステップを含み、
測定セル内のガス温度に対応付けられた複数の基準吸光係数を参照したうえで、前記測定されたガス温度に基づいて決定された基準吸光係数を用いて前記測定ガスの濃度を求める、請求項1から5のいずれかに記載の濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃度測定方法および濃度測定装置に関し、特に、測定セル内を透過した光の強度に基づいて流体濃度を測定する濃度測定方法および濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置に原料ガスを供給するガス供給ラインに組み込まれ、ガスの濃度を測定するように構成された濃度測定装置(いわゆるインライン式濃度測定装置)が知られている。原料ガスとしては、例えば、液体材料や固体材料から得られる有機金属(MO)ガスが挙げられる。
【0003】
この種の濃度測定装置では、ガスが流れる測定セルに光源からの所定波長の光を入射させ、測定セルを通過した透過光を受光素子で受光することによって吸光度を測定する。また、測定した吸光度から、ランベルト・ベールの法則に基づいて測定ガスの濃度を求めることができる(例えば、特許文献1~3)。
【0004】
本明細書において、流体の濃度を検出するために用いられる種々の透過光検出構造を広く、測定セルと呼んでいる。測定セルには、流体供給ラインから分岐して別個に配置された測定セルだけでなく、特許文献1~3に示されるような流体供給ラインの途中に設けられたインライン式の透過光検出構造も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-219294号公報
【文献】国際公開第2017/029792号
【文献】国際公開第2018/021311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
濃度測定装置を用いて種々のガスの濃度を測定し得るが、これまで、本出願人は、出荷前に、例えばアセトンガスなどの基準ガス(または校正ガス)によって、基準となる吸光係数(以下、基準吸光係数と呼ぶことがある)を求めていた。ここで、吸光係数とは、流体に入射された光の吸収のされやすさを示す指標である。ランベルト・ベールの式によれば、測定された吸光度Aを、モル吸光係数αおよび光路長Lで除算することによって、その流体のモル濃度CMが求められる。
【0007】
また、ガス種に対応する補正ファクタを用いて基準吸光係数を補正し、補正した吸光係数を用いて、基準ガス以外の他の種類のガスの濃度を求めることができる。本出願人の1による国際公開第2020/158506号には、有機金属ガスの濃度測定を行うための補正ファクタ(MOファクタ)を用いて、基準ガス(ここではアセトンガス)の吸光係数を補正して有機金属ガスの濃度を求める方法が開示されている。
【0008】
ただし、光源から出射される光の波長は、使用する発光素子(典型的にはLED)によってわずかに異なる場合がある。例えば、300nmにピーク波長を有するように設計されたLEDであっても、実際には約295nm~約305nmにピーク波長を有する光が発せられる。また、長期間の使用を経てLEDの発光スペクトルが変動することもある。このため、想定されている波長からずれた波長の入射光が用いられることがあり、この場合には、測定セル内のガスの濃度が同じであっても、入射光の波長によって吸光度が異なるものとなり得る。
【0009】
これに対して、上記の国際公開第2020/158506号には、測定光の波長(および流体の温度)に対応する吸光係数および補正ファクタを用いることによって、上記の誤差を修正して濃度を求める方法が開示されている。このように発光波長に適合する吸光係数および補正ファクタを用いることによって、光学系の機差によって生じる誤差を抑制することができる。
【0010】
しかしながら、上記のように入射光波長ごとに異なる吸光係数や補正ファクタを用いたとしても、基準ガスおよび測定ガスの種類によっては、誤差の抑制が十分でない場合があることを本願発明者は見出した。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、基準ガスの吸光係数を補正して実際のガスの濃度測定を行うときに、測定精度を向上させることができる濃度測定方法および濃度測定装置を提供することをその主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態による濃度測定方法は、光源および光検出器を有する電気ユニットと、ガスが流れる測定セルを有する流体ユニットと、前記光源から前記測定セルに入射したあと前記測定セルを通過した光の強度を前記光検出器で検出し、前記光検出器の出力に基づいて前記ガスの濃度を演算する処理回路とを有する濃度測定装置において行われる濃度測定方法であって、前記測定セルに基準ガスを流し、前記光検出器を用いて前記基準ガスに関連付けて求められた基準吸光係数と、測定ガスに関連付けられた補正ファクタとを用いて、前記測定ガスの吸光係数を決定するステップと、前記測定ガスの吸光係数を用いて、前記測定セル内を流れる前記測定ガスの濃度を求めるステップとを含み、前記光源から発せられる光源光のピーク波長に対して、前記測定ガスの吸光ピーク波長が長いときは、前記光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が長い基準ガスを用い、前記光源光のピーク波長に対して前記測定ガスの吸光ピーク波長が短いときは、前記光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が短い基準ガスを用いる。
【0013】
ある実施形態において、前記光源から発せられる光は近紫外光であり、前記測定ガスおよび前記基準ガスは、300nmより大きい吸光ピーク波長を有するガスである。
【0014】
ある実施形態において、前記基準ガスは、アセトンガス、アセトアルデヒドガス、SO2ガス、Cl2ガス、または、NO2ガスのいずれかである。
【0015】
ある実施形態において、前記濃度測定装置は、前記光源からの光を通過させるバンドパスフィルタを有し、半値幅が狭められた光を用いて濃度測定を行う。
【0016】
ある実施形態において、上記濃度測定方法は、前記測定ガスの濃度を測定するときの光源光のピーク波長を測定するステップを含み、光源光のピーク波長に対応付けられた複数の基準吸光係数を参照したうえで、前記測定された光源光のピーク波長に基づいて決定された基準吸光係数を用いて前記測定ガスの濃度が求められる。
【0017】
ある実施形態において、上記濃度測定方法は、前記測定ガスの濃度を測定するときのガス温度を測定するステップを含み、測定セル内のガス温度に対応付けられた複数の基準吸光係数を参照したうえで、前記測定されたガス温度に基づいて決定された基準吸光係数を用いて前記測定ガスの濃度が求められる。
【0018】
本発明の実施形態による濃度測定装置は、光源および光検出器を有する電気ユニットと、ガスが流れる測定セルを有する流体ユニットと、前記光源から前記測定セルに入射したあと前記測定セルを通過した光の強度を前記光検出器で検出し、前記光検出器の出力に基づいて前記ガスの濃度を演算する処理回路とを有し、前記測定セルに入射させる前に前記光源からの光が通過するバンドパスフィルタが設けられ、前記処理回路は、基準ガスに関連付けられた基準吸光係数と、測定ガスに関連付けられた補正ファクタとを記憶する記憶部を有し、前記基準吸光係数と前記補正ファクタと前記光検出器の出力とに基づいて、前記測定ガスの濃度を演算するように構成されており、前記基準吸光係数として、前記光源から発せられる光源光のピーク波長に対して、前記測定ガスの吸光ピーク波長が長いときには、前記光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が長い基準ガスから求められた基準吸光係数が用いられ、前記光源光のピーク波長に対して前記測定ガスの吸光ピーク波長が短いときには、前記光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が短い基準ガスから求められた基準吸光係数が用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、種々のガスについて光学的手法による濃度測定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態による濃度測定方法で用いられる濃度測定装置の全体構成を示す模式図である。
図2】同設計の複数のLEDの実際のピーク波長と半値幅(FWHM)のばらつきを示すグラフである。
図3】(a)は、LEDの前方にバンドパスフィルタが存在しないときのスペクトルを示し、(b)は、バンドパスフィルタが存在するときのスペクトルを示す。
図4】(a)は基準ガス(ここではアセトン)について、LEDピーク波長およびセル内ガス温度ごとに設定した吸光係数を示し、(b)は測定ガス(ここでは有機金属ガス)に適用するときの対応する補正ファクタ(MOファクタ)を示す。
図5】各種ガスの吸光特性およびLEDスペクトルを示すグラフである。
図6】バンドパスフィルタが存在しないときと、存在するときとでの吸光係数の波長依存性を示すグラフであり、(a)はアセトンについてのグラフ、(b)は二酸化硫黄(SO2)についてのグラフである。
図7】バンドパスフィルタが存在しないときと、存在するときとでの吸光係数の波長依存性を示すグラフであり、(a)は塩素(Cl2)についてのグラフ、(b)は二酸化窒素(NO2)についてのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態で用いられる濃度測定装置100の全体構成を示す図である。濃度測定装置100は、ガス供給ラインに組み込まれる測定セル1を有する流体ユニット10と、流体ユニット10と離れて配置される電気ユニット20とを備えている。流体ユニット10と電気ユニット20とは、入射用の光ファイバケーブル11、出射用の光ファイバケーブル12、および、センサケーブル(図示せず)によって、光学的および電気的に接続されている。
【0023】
流体ユニット10は、使用温度は特に限定されず、例えば室温環境下での使用も可能であるが、測定ガスの種類によって100℃~150℃程度にまで加熱される可能性がある。一方、流体ユニット10に接続される電気ユニット20は、高温耐性が低いために、通常は室温環境下に配置されている。そのため、測定する時の温度が室温程度の時は、流体ユニット10と一体化されていても、別体で隔離されていても良いが、電気ユニット20の耐熱温度よりも高くなりそうなときは、別体で隔離して配置することになる。電気ユニット20には、通常、濃度測定装置100に動作制御信号を送信したり、濃度測定装置100から測定濃度信号を受信したりするための外部制御装置が接続されている。
【0024】
流体ユニット10には、測定ガスの流入口1a、流出口1bおよびこれらが接続された長手方向に延びる流路1cを有する測定セル1が設けられている。測定セル1の一方の端部には、流路に接する透過光性の窓部2(ここではサファイアプレート)が設けられ、測定セル1の他方の端部には反射部材4が設けられている。本明細書において、光とは、可視光線のみならず、少なくとも赤外線、紫外線を含み、任意の波長の電磁波を含み得る。また、透過光性とは、測定セルに入射させる光に対する内部透過率が濃度測定を行い得る程度に高いことを意味する。
【0025】
測定光の波長は、測定対象のガスの吸光特性に基づいて、適宜選択されてよい。本実施形態では、紫外光を吸収する有機金属ガス(例えば、トリメチルガリウム(TMGa))などの濃度測定に適した近紫外光(例えば、波長200nm~400nm)が用いられている。
【0026】
また、有機金属ガス以外にも、近紫外光を吸収するガスとしては、アセトンガス、塩素ガス、フッ素ガス、臭素ガス、塩化チタンガス、二酸化窒素ガス、二酸化硫黄ガス、アセトアルデヒドガスなどがある。本実施形態では、上記のような近紫外光を吸収可能なガスを基準ガスとして用い、近紫外光を吸収可能な測定ガスの濃度を検出する。ただし、後述するように、単に近紫外光を吸収可能なだけでなく、測定ガスに適合する吸光特性を有したガスが基準ガスとして選択される。
【0027】
測定セル1の窓部2の近傍には、光ファイバケーブル11、12が接続されたコリメータ3が取り付けられている。コリメータ3は、コリメートレンズとしての凸レンズを有しており、光源からの光を、窓部2を介して平行光として測定セル1に入射させるとともに、反射部材4からの反射光を受光するように構成されている。反射部材4の反射面は、入射光の進行方向または流路の中心軸に対して垂直に設けられている。測定セル1の流路1cは、測定光の光路としても利用される。
【0028】
窓部2としては、近紫外光等の濃度測定に用いる検出光に対して耐性および高透過率を有し、機械的・化学的に安定なサファイアプレートが好適に用いられる。ただし、他の素材、例えば石英ガラスやフッ化カルシウム、フッ化マグネシウムを用いることもできる。測定セル1の本体(流路形成部)は例えばSUS316L製である。
【0029】
また、反射部材4は、例えばサファイアプレートの裏面に反射層としてのアルミニウム層や誘電体多層膜が設けられた構成を有していてよい。反射層として誘電体多層膜を用いれば、特定波長域の光を選択的に反射させることができる。誘電体多層膜は、屈折率の異なる複数の光学薄膜の積層体(高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に積層したもの)によって構成され、各層の厚さや屈折率を適宜選択することによって、特定の波長の光を反射したり透過させたりすることができる。また、誘電体多層膜は、設計により、任意の割合で光を反射させることが可能であり、一部(例えば10%)の光を透過させ、反射部材4の下部に設置した光検出器によって参照光として検出してもよい。
【0030】
流体ユニット10は、また、測定セル1内を流れる測定ガスの圧力を検出するための圧力センサ5と、測定ガスの温度を測定するための温度センサ6とを備えている。圧力センサ5および温度センサ6の出力は、図示しないセンサケーブルを介して電気ユニット20に送られる。圧力センサ5および温度センサ6の出力は、ガス濃度を測定するために用いられる。
【0031】
本実施形態の濃度測定装置100において、電気ユニット20は、測定セル1内に入射させる光を発生する光源22と、測定セル1から出射した光を受光する光検出器24と、光検出器24が出力する検出信号(受光した光の強度に応じた検出信号)に基づいて測定ガスの濃度を演算する処理回路28とを備えている。
【0032】
処理回路28は、例えば、回路基板上に設けられたプロセッサやメモリなどによって構成され、入力信号に基づいて所定の演算を実行するコンピュータプログラムを含み、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現され得る。なお、図示する態様では処理回路28は、電気ユニット20に内蔵されているが、その構成要素の一部(CPUなど)または全部が電気ユニット20の外側の装置に設けられていてもよいことはいうまでもない。
【0033】
また、光源22は、互いに異なる波長の紫外光を発する2つの発光素子(ここではLED)23a、23bを用いて構成されている。発光素子23a、23bには、発振回路を用いて異なる周波数の駆動電流が流され、周波数解析(例えば、高速フーリエ変換やウェーブレット変換)を行うことによって、光検出器24が検出した検出信号から、各波長成分に対応した光の強度を測定することができる。発光素子23a、23bとしては、LD(レーザダイオード)を用いることもできる。また、複数の異なる波長の合波光を光源に用いる代わりに、単一波長の光源を利用することもでき、この場合、合波器や周波数解析回路は省略することができる。
【0034】
発光素子23a、23bは、ハーフミラー23cに対していずれも45°の角度で光を照射するように配置されている。また、ハーフミラー23cを挟んで一方の発光素子23bと対向するように、参照光検出器26が設けられている。光源22からの光の一部は、参照光検出器26に入射され、光学素子の劣化等を調べるために用いられる。残りの光は、ボールレンズ23dによって集光されてから、入射光用の光ファイバケーブル11に入射される。光検出器24および参照光検出器26を構成する受光素子としては、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタが用いられる。
【0035】
なお、上記には、入射光と反射光とを別個の光ファイバケーブルで伝送する態様を説明したが、入射光と反射光とを一本の光ファイバケーブルで伝送するとともに、電気ユニット20において反射光を分離して光検出器24に導く分光素子を設けるようにしてもよい。また、上記のような反射部材4を用いずに、反射部材の側から出射用窓部を介してセル内を通過した光を取り出すように構成された透過型の測定セルを用いてもよい。
【0036】
上記のように構成された濃度測定装置100では、光源22から出射し、測定セル1を通過した光の強度を光検出器24で検出することによって、セル内のガスの濃度の測定を行う。ただし、光源22を構成する発光素子23a、23bは、同じ設計であっても、そのピーク波長や半値幅が、個体差を有している。
【0037】
図2(a)および(b)は、LED400個(ピーク波長300±5nm)についてのピーク波長および半値幅の分布を示すグラフである。このように、実際に使用するLEDによってピーク波長や半値幅は異なっている。そして、このことが原因で、濃度測定の誤差が増加するおそれがある。
【0038】
そこで、本実施形態の電気ユニット20においては、光源22にバンドパスフィルタ(以下、BPFと記載することがある)30を設けている。図1に示すように、BPF30は、各発光素子23a、23bの前にそれぞれ配置されている。本実施形態では、BPF30は、BPF固定用カプラを用いて固定されており、必要に応じてBPF30を交換することができる。BPF30としては、例えば、シグマ光機社製のものを用いることができる。
【0039】
バンドパスフィルタ30は、発光素子23a、23bのピーク波長から離れた波長の成分を減衰させるように作用する。バンドパスフィルタ30を通過した光のスペクトルは、より急峻となり、その半値幅(例えばFWHM(Full Width at Half
Maximum))の値は、より小さくなる。
【0040】
図3(a)および(b)は、バンドパスフィルタを通す前と通した後との各LED(No.1~No.6)のスペクトルを示す図である。図3(a)は、バンドパスフィルタを通していない各LED(No.1~No.6)の規格化されたスペクトルを示し、図3(b)は、バンドパスフィルタ通過後の各LED(1B~6B)のスペクトルを示す。
【0041】
図3(a)および(b)からわかるように、バンドパスフィルタを通過させた後の光は、ピーク波長のばらつきはあまり変わらない一方で、いずれのLEDについても、FWHMはより小さくなる。このようにして、所望の波長域の光を選択的に入射させることが可能になるので、吸光係数の波長依存性を低減させ得る。本実施形態においては、BPFを通した後、FWHMは、15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましい。
【0042】
以下、本実施形態の濃度測定装置を用いて行う濃度測定の手順を説明する。図1に示した反射型の測定セル1において、測定セル1内を1往復する光の光路長は、窓部2と反射部材4との距離の2倍によって規定することができる。濃度測定装置100において、測定セル1に入射され、その後、反射部材4によって反射された波長λの光は、ガスの濃度に依存して吸収される。そして、処理回路28は、光検出器24からの検出信号を周波数解析することによって、当該波長λでの吸光度Aλを測定することができ、さらに、以下の式(1)に示すランベルト・ベールの法則に基づいて、吸光度Aλからモル濃度CMを算出することができる。
【0043】
Aλ=-ln(I/I0)=αLCM ・・・(1)
式(1)において、I0は測定セルに入射する入射光の強度、Iは測定セル内のガス中を通過した光の強度、αはモル吸光係数(m2/mol)、Lは光路長(m)、CMはモル濃度(mol/m3)である。モル吸光係数αは物質によって決まる係数(ただし、ここでは、自然対数に対する吸光係数αを用いている)である。I/I0は、一般に透過率と呼ばれる。透過率I/I0が100%のときに吸光度Aλは0となり、透過率I/I0が0%のときに吸光度Aλは無限大となる。なお、式(1)における入射光強度I0については、測定セル1内に吸光性のガスが存在しないとき(例えば、紫外光を吸収しないガスが充満しているときや、真空に引かれているとき)に光検出器24によって検出された光の強度を入射光強度I0とみなしてよい。
【0044】
また、濃度測定装置100は、測定セル1を流れるガスの圧力および温度も考慮して、ガスの濃度を求めるように構成されていてもよい。以下、具体例を説明する。上記のランベルト・ベールの式(1)が成り立つが、上記のモル濃度CMは、単位体積当たりのガスの物質量であるので、CM=n/Vと表すことができる。ここで、nはガスの物質量(mol)すなわちモル数であり、Vは体積(m3)である。そして、測定対象がガスであるので、理想気体の状態方程式PV=nRTから、モル濃度CM=n/V=P/RTが導かれ、これをランベルト・ベールの式に代入し、また、-ln(I/I0)=ln(I0/I)を適用すると、以下の式(2)が得られる。
【0045】
ln(I0/I)=αL(P/RT) ・・・(2)
式(2)において、Rは気体定数=0.0623(Torr・m3/K/mol)であり、Pは圧力(Torr)であり、Tは温度(K)である。また、式(2)のモル吸光係数αは、透過率の自然対数に対応する吸光係数αである。
【0046】
ここで、圧力センサが検出できる圧力は、測定ガスとキャリアガスとを含む混合ガスの全圧Pt(Torr)である。一方、吸収に関係するガスは、測定ガスのみであり、上記の式(2)における圧力Pは、測定ガスの分圧Paに対応する。そこで、測定ガスの分圧Paを、ガス全体中における測定ガス濃度Cv(体積%)と全圧Ptとによって表した式であるPa=Pt・Cvを用いて式(2)を表すと、圧力および温度を考慮した測定ガスの濃度(体積%)と吸光度との関係は、測定ガスの吸光係数αaを用いて、以下の式(3)によって表すことができる。
【0047】
ln(I0/I)=αaL(Pt・Cv/RT) ・・・(3)
また、式(3)を変形すると、以下の式(4)が得られる。
【0048】
Cv=(RT/αaLPt)・ln(I0/I) ・・・(4)
したがって、式(4)によれば、各測定値(ガス温度T、全圧Pt、および透過光強度I)に基づいて、測定光波長における測定ガス濃度(体積%)を演算により求めることが可能である。このようにすれば、ガス温度やガス圧力も考慮して混合ガス中における吸光ガスの濃度を求めることができる。なお、測定ガスの吸光係数αaは、既知濃度(例えば100%濃度)の測定ガスを流したときの測定値(T、Pt、I)から、式(3)または(4)に従って予め求めておくことができる。このようにして求められた吸光係数αaはメモリに格納されており、式(4)に基づいて未知濃度の測定ガスの濃度演算を行うときは、吸光係数αaをメモリから読み出して用いることができる。
【0049】
ここで吸光係数について説明する。吸光係数は、ガスの種類ごとに異なるものであるが、基準となるガスの吸光係数(以下、基準吸光係数と呼ぶことがある)と補正ファクタとを用いることによって、測定対象のガスについての吸光係数を求めることもできる。このような補正ファクタについては、本出願人の1による国際公開第2020/158506号に開示されている。補正ファクタは、例えば、基準ガスの吸光係数を測定ガスの吸光係数で除算した値として定義される。補正ファクタは、測定ガスの吸光係数を基準ガスの吸光係数で除算した値として定義されてもよい。
【0050】
例えば、基準ガスがアセトンガスであり、測定対象が所定のガス(ここではNO2とする)であるとき、アセトンガスの吸光係数をαaceとし、アセトンガスの濃度をCaceとし、測定対象のガスの吸光係数をαNO2とし、測定対象のガスの濃度をCNO2とし、測定ガス用の補正ファクタ(αace/αNO2)をMFとすると、下記の関係式が成り立つ。
【0051】
NO2=(αace/αNO2)・Cace=MF・Cace ・・・(5)
ここで、Caceは、上記の式(4)より、Cace=(RT/αaceLPt)・ln(I0/I)で与えられる。
【0052】
したがって、出荷前などに濃度測定装置を用いて基準ガスの吸光係数αaceを求めてメモリに格納しておき、測定ガスの濃度測定を行うときには、基準ガスの吸光係数αaceを補正ファクタMFで除算した吸光係数αNO2を用いて、式(4)から濃度を求めることが可能である。あるいは、式(5)からわかるように、アセトンと仮定して求められた濃度に、補正ファクタMFを乗じることによって、測定ガスの濃度を求めることができる。
【0053】
上記の補正ファクタMFは、既知濃度の測定ガスを流したときの濃度測定装置の測定値(T、Pt、I)からの吸光係数αNO2を算出するとともに、測定値から算出された吸光係数αNO2で、基準ガスの吸光係数αaceを除算することによって求めることができる。
【0054】
このようにして補正ファクタが求められていれば、出荷前には、基準ガスを用いて濃度測定装置ごとに基準吸光係数を求めておき、出荷後には、補正ファクタを用いて吸光係数を補正して、測定対象のガスの濃度を測定することができる。濃度測定装置のそれぞれの光学系の設計によって生じる濃度測定の誤差は、基準ガスを用いて吸光係数を求める過程で予め校正されている。したがって、出荷後に測定ガスの濃度を測定するときに、濃度測定装置ごとの機差が生じることが抑制される。
【0055】
また、国際公開第2020/158506号には、基準ガスの吸光係数を、入射光波長とガス温度とに関連付けて複数求めておき、例えば、テーブルに各吸光係数を格納しておくことが開示されている。また、補正ファクタも同様に、入射光波長とガス温度とに関連付けて複数求めておき、測定ガスの濃度測定を行う際には、そのときの入射光波長とガス温度とに基づいて、適切な基準吸光係数および補正ファクタを用いて、測定ガス用の吸光係数を決定することが開示されている。図4(a)は、LEDピーク波長とセル温度とに関連付けて設定されたアセトンについての吸光係数のテーブルを示し、図4(b)は、対応する補正ファクタ(MOファクタ)のテーブルを示す。
【0056】
しかしながら、本願発明者の実験によって、上記のように測定光波長に変動幅があるときには、基準ガスの種類と測定ガスの種類とによって、測定ガスの濃度測定の誤差が増大し得ることが確認された。
【0057】
図5は、光源LEDのスペクトルと、各ガスの吸収曲線を示すグラフである。各ガスの吸光ピーク波長は、アセトンで約280.25nm、塩素(Cl2)で約325.5nm、二酸化硫黄(SO2)で約286.25nm、二酸化窒素(NO2)で約350nmである。
【0058】
光源LEDのピーク波長は約300nmであるのに対して、アセトンの吸収ピーク波長は300nmよりも小さい280nm近傍に存在し、塩素ガスの吸収ピーク波長は300nmよりも大きい326nm近傍に存在する。また、ここでの濃度測定対象であるNO2の吸収ピーク波長は、300nmよりも大きい350nm近傍に存在する。なお、半導体製造で用いられる有機金属ガスにおいても、吸収ピーク波長が300nm以上(例えば約320nm)のものが存在する。
【0059】
このような場合に、光源のピーク波長が300nmよりも長波長側にあり、例えば、302.5nmのピーク波長を有する光が発せられている場合、アセトンガスでは吸収がより小さくなるのに対して、塩素ガスおよび測定ガスでは吸収がより大きくなる。また、光源のピーク波長が300nmよりも短波長側にあり、例えば、297.5nmのピーク波長を有する光が発せられている場合、アセトンガスでは吸収がより大きくなるのに対して、塩素ガスおよび測定ガスでは吸収がより小さくなる。
【0060】
このため、測定ガスの吸光ピーク波長が300nmより大きいにもかかわらず、例えばアセトンガスや二酸化硫黄ガスを基準ガスとして用いた場合には、適切な補正ファクタが波長ごとに大きく異なることになり、このことによって、濃度測定の誤差が増大し得る。一方で、塩素ガスや二酸化窒素ガスを基準ガスとして用いた場合には、適切な補正ファクタ自体は、波長ごとには大きくは異ならないものとなる。したがって、例えば基準ガスを用いた校正段階で波長ごとに吸光係数を求めておけば、補正ファクタとしては、波長によらず同じものを用いることも可能になる。これにより、測定ガスを用いた波長ごとの補正ファクタの測定を行わなくても、濃度測定の誤差を軽減し得る。また、補正ファクタを波長ごとに設定するときにも、これらが大幅に異なる値にはなりにくいため、結果として誤差を軽減できる。
【0061】
以上のことから、補正ファクタを用いて濃度測定を行う場合、基準ガスとして、測定ガスと同様の吸光特性を有するガスを用いることが誤差軽減のために有効であると考えられる。より具体的には、光源から発せられる光源光のピーク波長に対して、測定ガスの吸光ピーク波長が長いときには、光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が長い基準ガスを用い、光源光のピーク波長に対して前記測定ガスの吸光ピーク波長が短いときには、光源光のピーク波長に対して吸光ピーク波長が短い基準ガスを用いることが好適であると考えられる。
【0062】
また、図6(a)、(b)および図7(a)、(b)は、バンドパスフィルタを通したとき(黒丸)と、通さなかったとき(白抜き四角)とでの、吸光係数の波長依存性を示すグラフである。なお、使用した複数の光源(LED)は、ピーク波長が299.5nm~303.5nmのものである。また、バンドパスフィルタなしでのFWHMは17.5nm~21.25nmであり、バンドパスフィルタありでのFWHMは10.5nm~11.25nmであった。
【0063】
図6(a)および(b)は、100Torr、125℃の条件下でアセトンおよびSO2を流したときの、光源ピーク波長と、吸光係数との関係を示す。アセトンおよびSO2は、300nm未満の吸光ピーク波長を有するガスである。したがって、LEDの波長が300nmから大きくなるにつれ、吸光係数の値はおおむね減少している。
【0064】
図7(a)および(b)は、100Torr、125℃の条件下でCl2およびNO2を流したときの、光源ピーク波長と、吸光係数との関係を示す。Cl2およびNO2は、300nmを超える吸光ピーク波長を有するガスである。したがって、LEDの波長が300nmから大きくなるにつれ、吸光係数の値はおおむね増加している。
【0065】
また、図6(a)、(b)および図7(a)、(b)からわかるように、バンドパスフィルタを通した場合(白抜き四角)、光源ピーク波長に対する吸光係数のばらつきが、アセトンガス、SO2、Cl2およびNO2のいずれにおいても、フィルタを通す前に比べて抑えられている。したがって、バンドパスフィルタを用いることによって、波長による吸光係数のばらつきの発生を抑制できることがわかる。
【0066】
以上のことから、基準ガスとして、測定ガスに対応する吸光特性を有するガスを用いて基準吸光係数を求めるとともに、バンドパスフィルタにより帯域が狭められた光源光を用いることによって、補正ファクタのばらつきをさらに効果的に抑制できることがわかった。これによって、測定ガスの濃度測定をさらに向上した精度で行うことが可能になった。
【0067】
以上、本発明の実施形態による濃度測定装置を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定解釈されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、測定に用いられる光としては、ガスの種類に応じて、紫外領域以外の波長領域の光(例えば可視光)を利用することも可能である。また、基準吸光係数として、波長および温度に関連付けられた複数の基準吸光係数が用いられてもよい。
【0068】
複数の基準吸光係数は、例えば、国際公開第2020/158506号に記載されるように、光源ピーク波長およびガス温度の少なくともいずれかに対応付けて設定される。光源ピーク波長に対応付けられる場合、測定ガスの濃度を測定するときに、光源ピーク波長を測定する工程が行われる。そして、測定された光源ピーク波長に基づいて、用いる基準吸光係数が決定される。
【0069】
このように光源光波長に適合する基準吸光係数(あるいは補正ファクタ)を用いることによって、より正確に測定ガスの濃度を求め得る。同様に、ガス温度に対応付けられる場合、測定ガスの濃度を測定するときに、ガス温度が測定され、測定されたガス温度に基づいて、用いる基準吸光係数(あるいは補正ファクタ)が決定される。もちろん、光源ピーク波長とガス温度との双方に関連付けられたマトリクス状の基準吸光係数(図4(a)参照)や対応する補正ファクタ(図4(b)参照)を予め設定しておいてもよい。この場合、濃度測定に際して測定した光源ピーク波長とガス温度との両方に基づいて、使用する基準吸光係数や補正ファクタを決定し、これに基づいて測定ガスの濃度を求めることができる。なお、基準吸光係数は、予め求めておくようにしても良いし、濃度を測定する際に求めるようにしても良い。
【0070】
また、上記には300nmより大きい吸収ピーク波長を有する測定ガス(例えばNO2)の濃度測定のために、同様の吸光特性を有する基準ガス(例えばCl2)の吸光係数を用いる態様を説明したが、本発明はこれに限られない。300nmよりも小さい吸収ピーク波長を有する測定ガス(例えばSO2)の濃度測定のために、同様の特性を有する基準ガス(例えばアセトンガス)の吸光係数を用いることも、本発明の実施形態に含まれる。
【0071】
また、上記に例示した基準ガスと測定ガスとが逆、すなわち、上記の基準ガスが測定ガスとして用いられ、上記の測定ガスが基準ガスとして用いられてもよい。さらに、基準となる光源波長は300nmに限られるわけではなく、任意の波長であってよいことは言うまでもない。測定ガスの吸光特性に適合する波長を有する光源を用いるとともに、その光源のピーク波長を基準として、測定ガスと同様の吸光ピーク波長を有する基準ガスを用いることによって、濃度測定精度を向上させ得る。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の実施形態に係る濃度測定方法は、半導体製造装置などにおいて種々のガスの濃度測定のために好適に利用される。
【符号の説明】
【0073】
1 測定セル
2 窓部
3 コリメータ
4 反射部材
5 圧力センサ
6 温度センサ
10 流体ユニット
11 光ファイバケーブル(入射用)
12 光ファイバケーブル(出射用)
20 電気ユニット
22 光源
23a、23b 発光素子
30 バンドパスフィルタ
24 光検出器
26 参照光検出器
28 処理回路
100 濃度測定装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7