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特許7228213重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙
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  • 特許-重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙 図1
  • 特許-重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/34 20060101AFI20230216BHJP
   B65D 33/00 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
B65D65/34
B65D33/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020059219
(22)【出願日】2020-03-28
(65)【公開番号】P2021155091
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116862
【氏名又は名称】旭加工紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059219(JP,A)
【文献】特開平09-142487(JP,A)
【文献】特開2014-205934(JP,A)
【文献】特開2017-057012(JP,A)
【文献】特開2009-218238(JP,A)
【文献】特開平11-038557(JP,A)
【文献】特開平09-142494(JP,A)
【文献】特開2002-326640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/34
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙であって、
前記補強紙は略長方形であり、前記カットテープは帯形で前記補強紙の長手方向に走行するように添着されてなり、
前記補強紙は、長網抄紙機で抄いた長網原紙と円網抄紙機で抄いた円網原紙とが貼合されてなり、
前記円網原紙の機械方向は前記補強紙の長手方向と一致している、重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙。
【請求項2】
カットテープ、接着剤、長網原紙及び円網原紙の順に積層一体化された請求項1記載の重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙。
【請求項3】
接着剤が再湿型接着剤である請求項2記載の重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカットテープ付き補強紙を得るための補強紙。
【請求項5】
請求項4記載の補強紙にカットテープを添着して、カットテープ付き補強紙を得る工程、
前記カットテープ付き補強紙を、クラフト紙よりなる筒の底部開口部に設けられた折り畳み外表部に、前記カットテープを当接させて接着して封緘する工程、
前記筒の前記底部開口部に対向する上部開口部から内容物を充填する工程及び
前記筒の前記上部開口部を封止する工程よりなる重包装紙袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙に関し、特に開封時に紙粉等が内容物に混入しにくいカットテープ付き補強紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、セメント、米、小麦粉、飼料又は石油化学品等の内容物を包装収納するのに、重包装紙袋が使用されている。重包装紙袋は、クラフト紙よりなる筒の底部開口部を折り畳み、折り畳み外表部にカットテープ付き補強紙で封緘して製造されている。そして、底部開口部と対向する上部開口部から内容物を充填した後、上部開口部を種々の手段により手で開封することが困難なように封止されて運搬されるものである。かかる重包装紙袋を開封するには、底部開口部の折り畳み外表部を封緘したカットテープ付き補強紙のカットテープのみを外方へ引き剥がすことにより、補強紙を切断して行う。
【0003】
カットテープ付き補強紙は、略長方形の補強紙に帯形のカットテープが、補強紙の長手方向に走行するように添着されてなるものである。補強紙としては、クラフト紙が用いられている。また、カットテープとしては、比較的剛性のある合成樹脂製フィルムが用いられている。しかるに、カットテープを外方へ引き剥がして、補強紙を切断する際に、補強紙から紙粉が発生することがあった。そして、この紙粉が内容物中に混入するということがあった。
【0004】
このため、補強紙として、プラスチックフィルムを用いることが提案されている(特許文献1)。プラスチックフィルムとしては、カットテープで切断しやすいように、補強紙の長手方向にのみ延伸されている、一軸延伸フィルムを用いることが提案されている。確かに、補強紙としてプラスチックフィルムを使用すれば紙粉の発生を防止しうるが、以下のような欠点があった。すなわち、一軸延伸フィルムは、補強紙の長手方向と直交する方向(補強紙の幅方向)の強度が低く、重包装紙袋を運搬している際に、幅方向に破断しやすく、折り畳み外表部の封緘が解けてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭57-154649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、重包装紙袋を開封する際に、紙粉の発生を抑制すると共に、運搬時においても、折り畳み外表部の封緘が解けにくいカットテープ付き補強紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の補強紙を採用することによって、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙であって、補強紙1は略長方形であり、カットテープ2は帯形で補強紙1の長手方向に走行するように添着されてなり、補強紙1は、長網抄紙機で抄いた長網原紙4と円網抄紙機で抄いた円網原紙3とが貼合されてなり、円網原紙3の機械方向は補強紙1の長手方向と一致している、重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙に関するものである。より具体的には、カットテープ2、接着剤5、長網原紙4及び円網原紙3の順に積層一体化された重包装紙袋に用いるカットテープ付き補強紙に関するものである。また、本発明は係るカットテープ付き補強紙を得るための補強紙1に関するものである。
【0008】
本発明に係る補強紙1は、長網原紙4と円網原紙3とが貼合されてなる略長方形のものである。補強紙1の坪量は60~180g/m2程度であり、好ましくは80~150g/m2程度であり、最も好ましくは120g/m2である。長網原紙4と円網原紙3の坪量比は、長網原紙4:円網原紙3=1:0.5~1.5であり、好ましくは1:0.6~1である。長網原紙4の坪量比がこの範囲よりも高くなると、カットテープ2で補強紙1を切断する際に、補強紙1の長手方向に沿ってきれいに切断しにくくなる。逆に、長網原紙4の坪量比がこの範囲よりも低くなると、補強紙1の幅方向の強度が低下し、重包装紙袋を運搬している際に、幅方向に破断しやすくなる。なお、補強紙1は、長手方向の長さが40~50cm程度で、幅方向の長さが8~10cm程度である。
【0009】
長網原紙4は、長網抄紙機で抄造されたものである。長網抄紙機で抄造された長網原紙4は、円網原紙3に比べて、パルプ繊維が比較的無作為に配列されており、機械方向と幅方向との強度差が小さいものである。一方、円網原紙3は、円網抄紙機で抄造されたものである。円網抄紙機で抄造された円網原紙3は、長網原紙4に比べて、パルプ繊維が比較的機械方向に配列されており、機械方向の強度が高く、幅方向の強度が低いものである。そして、円網原紙3は、その機械方向が補強紙1の長手方向と一致している。
【0010】
補強紙1には、一般的に、その全面に接着剤5が塗布されている。接着剤5としては、従来公知のものが採用され、たとえば、再湿型接着剤、感熱型接着剤又は感圧型接着剤等が採用される。本発明においては、特に再湿型接着剤を採用するのが好ましい。再湿型接着剤は水に浸すだけで接着できるため、合理的に重包装紙袋を製造することができる。接着剤5は、補強紙1の長網原紙4面の全面に塗布されているのが好ましい。また、接着剤5は、予め補強紙1に塗布されていてもよいし、重包装紙袋の製造時に塗布してもよい。
【0011】
本発明に用いるカットテープ2は、略長方形の補強紙1の幅より短い幅を持つ帯形となっている。カットテープ2は、補強紙1の長手方向に走行するように添着されている。カットテープ2は、補強紙1の幅方向の任意の位置に添着されるが、一般的に補強紙1の幅方向の中央部に添着するのが好ましい。カットテープ2を添着するには、補強紙1に塗布されている接着剤5によって添着してもよいし、他の接着剤を用いて添着してもよい。また、カットテープ2の添着は、重包装紙袋の製造時に添着してもよいし、重包装紙袋の製造前に予め添着しておいてもよい。
【0012】
本発明に係る補強紙1を用いて重包装紙袋を製造するには、たとえば、以下の方法により行う。まず、補強紙1にカットテープ2を添着する。補強紙1に接着剤5が塗布されている場合には、この接着剤5によってカットテープ2を添着すればよい。補強紙1に接着剤5が塗布されていない場合には、他の接着剤を用いて添着すればよい。なお、接着剤5が塗布されている場合であっても、他の接着剤によってカットテープ2を添着してもよい。次に、クラフト紙よりなる筒の底部開口部に設けられた折り畳み外表部に、カットテープ2が当接するようにして、カットテープ2及び補強紙1を接着し、底部開口部を封緘する。この接着は、補強紙1に接着剤5が塗布されている場合には、この接着剤5によって行えばよい。また、補強紙1に接着剤5が塗布されていない場合には、他の接着剤を用いて行えばよい。その後、底部開口部に対向している筒の上部開口部から、セメントや小麦粉等の内容物を充填した後、この上部開口部を封止して重包装紙袋を製造する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る補強紙1を用いて得られた重包装紙袋は、カットテープ2をその長手方向外方へ引き剥がすと、補強紙1が切断され、底部開口部が開封される。この際、補強紙1中の円網原紙3は、長手方向にパルプ繊維が配列しているので、長手方向にきれいに切断され、紙粉が発生しにくいという効果を奏する。特に、補強紙1の表面に円網原紙3を配し、長手方向への切断性に優れたカットテープ2及び円網原紙3の両者で、長網原紙4を挟んだ形態にしておくと、長網原紙4もより長手方向にきれいに切断されやすくなり、紙粉の発生がより少なくなるという効果を奏する。また、補強紙1が円網原紙3のみではなく、長網原紙4が貼合されてなるものであるため、補強紙1の幅方向の強度も高く、重包装紙袋の運搬時に補強紙1が切断しにくく、折り畳み外表部の封緘が解けにくいという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一例に係るカットテープ付き補強紙の裏面図である。
図2】本発明の一例に係るカットテープ付き補強紙の縦断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 補強紙
2 カットテープ
3 円網原紙
4 長網原紙
5 接着剤
図1
図2