(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】エラストグラフィ撮像およびビスコエラストグラフィ撮像のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
A61B8/08 ZDM
(21)【出願番号】P 2020549594
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 US2019023944
(87)【国際公開番号】W WO2019191009
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-02
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520350959
【氏名又は名称】エラスタンス イメージング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】マコウ、ケネス、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ティモンズ、ウィリアム、ディー.
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/000103(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0316267(US,A1)
【文献】特表2015-524740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0200805(US,A1)
【文献】特開平04-336052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049029(US,A1)
【文献】特表2005-537835(JP,A)
【文献】特表2015-514532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの物体内の関心のあるエリアを撮像するための高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ装置であって、
2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスと、
各々のHDVE慣性ドライバデバイスは、
ドライバ信号をコントローラから受信することを可能とするドライバインタフェースと、
共鳴表面と、
前記ドライバインタフェースに通信可能に結合されて、
0.1Hz~80kHzの音響周波数範囲内のせん断波を誘導するように、前記共鳴表面に機械的に結合されて、前記共鳴表面の共鳴変位を独立に生成する慣性ドライバとを含み、
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスをターゲットの物体と音響的接触するように位置決めして、前記ターゲットの物体内の前記関心のあるエリアの容積を通じてせん断波場を生成する支持部材とを
備え、
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスは独立して駆動され、前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスの各々の一つのそれぞれのベースは、ユニタリベースの隣接する部分を含み、前記装置は、前記ユニタリベース内に音響的分離材料をさらに含む前記HDVE慣性ドライバ装置。
【請求項2】
前記2つ以上のドライバインタフェースの各々に対する独立したシーケンス化されたドライバ信号を生成して、(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つを含む前記せん断波場を誘導する前記コントローラをさらに備える、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項3】
前記コントローラは、0.1~50マイクロメータ(μm)の範囲内の変位を生成するに充分な出力を持つ10Hz~80kHzの音響周波数範囲内の前記独立したシーケンス化されたドライバ信号を生成する、請求項2に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項4】
音響センサと、
前記音響センサに通信可能に結合された音響周波数分析器と、
(i)複数の周波数波形信号を生成し、(ii)前記複数の周波数波形信号を増幅して、前記音響周波数分析器により弾性および粘性を測定するための前記せん断波場を生成するドライバ信号を生成する前記コントローラとをさらに備える、請求項2に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項5】
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスのうちの一つに結合された温度センサをさらに備え、前記コントローラは、前記温度センサに通信可能に結合されて、前記温度センサによる温度測定値に対して、選択された独立したドライバ信号の出力の量を減少させて、
対応する共鳴表面の制御温度を緩和することにより応答する、請求項2に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項6】
前記共鳴表面は、前記慣性ドライバにより生成された熱を前記ターゲットの物体から奪う熱ヒートシンクを含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項7】
少なくとも1つの共鳴表面がラウドスピーカであり、
前記ターゲットの物体に接触し、前記共鳴表面を前記ターゲットの物体の表面から分離させる空気カラムを密閉する接触表面を有する筐体を含み、
前記共鳴表面を前記ターゲットの物体の表面から分離させる距離が、1cm未満、好ましくは0.5cm未満、最も好ましくは0.25cm未満である、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項8】
少なくとも1つの共鳴表面が、前記ターゲットの物体に適合し、音響的に透過性である弾力的表面を含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項9】
関心のあるエリア内に形成された前記せん断波場を検出するために、前記ターゲットの物体に対して位置決め可能な音響センサをさらに備える、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項10】
前記支持部材は、前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスの対を、前記音響センサの両側に間隔を置いた線形のアラインメントで取り付ける、請求項9に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項11】
前記支持部材は、前記ターゲットの物体を取り囲む調整可能ハーネスを含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項12】
前記支持部材は、前記ターゲットの物体が設置される可撓性基板を含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項13】
前記支持部材は、前記ターゲットの物体を支持する台に調整可能に係合された対向するクランプデバイスの対を含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項14】
前記対向するクランプデバイスの対のうちの少なくとも一方が、前記台の細長いチャネル内にスライド的に受容される係合部材を含む、請求項13に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項15】
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスのうちの各々の一つが、
台構造により支持可能であるベースと、
前記ベースと、前記共鳴表面との間にそれぞれ取り付けられた複数のスプリング部材とを含む、請求項1に記載のHDVE慣性ドライバ装置。
【請求項16】
高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ装置であって、
各々のHDVE慣性ドライバデバイスが、
ドライバ信号をコントローラから受信することを可能とするドライバインタフェースと、
共鳴表面と、
前記ドライバインタフェースに通信可能に結合され
て、0.1Hz~80kHzの音響周波数範囲内のせん断波を誘導するように、前記共鳴表面に機械的に結合されて、前記共鳴表面の共鳴変位を独立に生成する慣性ドライバとを含む2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスと、
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスをターゲットの物体と音響的接触するように位置決めして、前記ターゲットの物体内の材料の容積を通じてせん断波場を生成する支持部材とを含
み、前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスは独立して駆動され、前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスの各々の一つのそれぞれのベースは、ユニタリベースの隣接する部分を含み、前記装置は、前記ユニタリベース内に音響的分離材料をさらに含む前記HDVE慣性ドライバ装置と、
前記2つ以上のドライバインタフェースの各々に対する独立したシーケンス化されたドライバ信号を生成して、前記せん断波場を誘導する前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスの前記それぞれのドライバインタフェースに通信可能に結合されたコントローラと、
前記ターゲットの物体上に位置決めされた音響センサと、
前記音響センサに通信可能に結合された音響周波数分析器と、
前記コントローラは、(i)複数の周波数波形信号を生成し、(ii)前記複数の周波数波形信号を増幅して、前記音響周波数分析器により弾性および粘性を測定するための前記せん断波場を生成するドライバ信号を生成し、
前記弾性および粘性の測定値を処理して、粘性画像を含み得るエラストグラフィ画像を形成するプロセッサと、
前記粘性画像を含み得る前記エラストグラフィ画像を表示するためのディスプレイモニタとを備える、撮像システム。
【請求項17】
前記せん断波場は、0.1~50μmの範囲内の変位を生成するに充分な出力を持つ20Hz~80kHzの音響周波数範囲内にある(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つを含む、請求項1
6に記載の撮像システム。
【請求項18】
複数の周波数波形信号を生成して、それらをドライバ信号になるように増幅することと、
ターゲットの物体に対して保持された共鳴表面の共鳴変位を生成する2つ以上の高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバデバイスのうちのそれぞれの
0.1Hz~80kHzの音響周波数範囲内のせん断波を誘導する慣性ドライバを駆動することと、
前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスは独立して駆動され、前記2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスの各々の一つのそれぞれのベースは、ユニタリベースの隣接する部分を含み、HDVE慣性ドライバデバイス装置は、前記ユニタリベース内に音響的分離材料をさらに含み、各々のHDVE慣性ドライバデバイス装置に結合されたドライバ信号を生成して、前記ターゲットの物体内の材料の容積を通じてせん断波場を生成することと、
前記ターゲットの物体に対して保持された音響センサにより音響波を受信することと、
ドライバ信号を生成することと、
前記ターゲットの物体の材料を通じて通過した前記複数の周波数波形信号の周波数に対する周波数応答を分析して、組織の弾性または粘弾性を測定することと、
各々のHDVE慣性ドライバデバイス装置に結合されたドライバ信号を修正して、前記ターゲットの物体内の材料の前記容積を通じて通過するせん断波場を改善することと、
前記ターゲットの物体内の材料の前記容積を通じて通過する前記せん断波場が満足できるようになるまで、前記分析および修正を繰り返すことと、
前記せん断波場に基づいて弾性および粘性を測定することとを含む、方法。
【請求項19】
前記ターゲットの物体内の組織の前記容積を通じる前記せん断波場は、0.1~50μmの範囲内の変位を生成するに充分な出力を持つ20Hz~80kHzの音響周波数範囲内にある(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つを含む、請求項1
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、譲受人に譲渡され、2018年3月24日に「エラストグラフィ撮像およびビスコエラストグラフィ撮像のためのシステムおよび方法」の名称で出願された米国仮特許出願第62/647,672号および2018年8月8日に「エラストグラフィ撮像およびビスコエラストグラフィ撮像のためのシステムおよび方法」の名称で出願された米国仮特許出願第62/716,303号に基づく米国特許法第119条の規定による優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、外部振動を採用するエラストグラフィデバイスおよびビスコエラストグラフィデバイスならびにエラストグラフィ方法およびビスコエラストグラフィ方法に関する。本発明は、撮像のために、非破壊試験および地震マッピングを含むエラストグラフィ方法およびビスコエラストグラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エラストグラフィ撮像は、組織または物体の剛性マップを提供し、剛性値は、これに限定されないが超音波撮像または磁気共鳴撮像などの一般的な撮像システムから獲得された画像上にオーバーレイされる。剛性マップは、一般的には、組織または物体中に注入されたまたは誘導された音響振動の伝搬を監視することができる撮像モダリティまたは感知モダリティを使用して組織または物体を撮像することにより獲得される。振動は、超音波生成されたプッシュを使用して誘導することができる。
【0004】
音響放射力インパルス(ARFI)は、関心のある領域内で、超音波トランスデューサアレイ自身を使用して、組織または物体中に音響インパルスを生成するエラストグラフィ技法である。超音波アレイをその後に使用して、結果として生じるビーム方向に沿った組織の変位の伝搬および/または誘導された横方向のせん断波の伝搬を監視する。音響インパルスは、安全であり(組織または物体を過熱しない)、トランスデューサを過熱しない強度に制限しなければならない。結果として、ARFIシステムは、一般的には、組織または物体中に最大で6cmまでしか貫通せず、その有用性は、表面の組織または物体の近傍を撮像することに制限される。くわえて、ARFIインパルス自身は、ARFIプローブの組織接点の最初の1.5~2cm内に著しいエコーおよび歪みを作成し、ARFIで生成したエタストグラフィ画像内のこの表面ゾーン内に著しいノイズの原因となる。ARFI方式の低解像度が、この技法の有効性を制限する。
【0005】
クローリング波などの他の形態のエラストグラフィおよびより初期のソノエラストグラフィシステムもまた、典型的には外部の、時に複数の音響信号ソースを使用し、音響振動を使用して、せん断波を身体または物体中に導入する。例えば、クローリング波は、少し異なる周波数で振動する2つの振動ソースを使用して、せん断波を身体または物体中に誘導し、これで視野全体にわたってゆっくりと運動する干渉パターンを作成するようにする。ゆっくりと運動するパターンをその後に使用して、関心のある領域内でのせん断波長を測定することができる。ARFIとは違って、外部の音響振動およびその結果として生じるそのせん断波は、身体または物体中に安全に貫通し、そのため完全な貫通深さに及ぶ超音波撮像モダリティを使用することができる。
【0006】
別の方式においては、ドイツのグループは、音波を通過させるために試験台にドリルで開けられた穴を持つ検査台の底部にボルト締めされたラウドスピーカを使用したが、音波はその後、せん断波に変換して身体を通じて伝搬する。音波は空気を通じて伝搬するので、潜在的な音の大きさは、スタッフ、患者および他者にある問題を提示する。音波は、患者の皮膚に密閉されず、ノイズの抑制は、音のすべての脱出ルートを完全にはカバーしない。また、患者の身体への空気結合は、特により高い周波数においては弱いせん断波しか生成しないが、これは空気が恐るべき電力伝達媒体であるからである。
【0007】
振動デバイスおよびシステムのより旧いバージョンでは、「高周波数」とは200Hzであるとみなされる旨が記載されているが、そのような周波数では組織における減衰が大きいため、振動デバイスなどが作動しない場合があると推測されている。
【0008】
残響せん断波エラストグラフィは、複数の音響振動トランスデューサが、様々な固有の周波数、位相および振幅の振動波を複数の方向から注入して、残響せん断波場を作成し、この場を関心のある領域内で監視して使用して、伝搬速度をせん断波周波数の関数として推定することができ、これをその後に周波数の関数としての剛性に変換することができ、これを次に使用して粘性を算出することができる方法である。音響振動および結果として生じるそのせん断波は、安全に身体または物体に深く貫通し、これにより超音波撮像システムは、その完全な深さの撮像を利用することができる。一般的に周知の残響せん断波エラストグラフィは、より高い周波数では深く貫通できない低周波数用に設計されているので、初期の触覚振動ソースと類似した制限を有する。
【0009】
例えば、EchoSens外部振動システムは、低周波数に限られており、肝臓内において高周波数(例えば、4kHz)で使用された場合に潜在的なエイリアシングを有するが、これは往復超音波エコーが、Shannonのサンプリング定理が指示する必要とされるサンプルレートを上回ってサンプリングするために肝臓から戻ってくるための十分な時間がないからである。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、200Hz未満の振動の範囲(現在のエラストグラフィシステムで使用される)を提供する能力を持ち、同時にまた200Hzを越えても身体または物体中に深く貫通する能力を有する、結果として生じるせん断波が単一の周波数、2つの周波数または(帯域制限された白色ノイズなどの無限の周波数を含む)複数の周波数を有するエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ撮像方法のための外部振動デバイスを使用するエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ撮像のための身体または物体内に機械的振動を誘導するためのデバイスおよびシステムを提供する。1つ以上の実施形態において、波は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25以上の離散的周波数を含む。
【0011】
本開示の1つの態様においては、トランスデューサを有する超音波システムを使用して物体の機械的特性を測定するための方法が提供される。方法は、単一周波数もしくは様々な周波数、位相および振幅を持つ複数の正弦波、三角波、方形波、複合波(ノイズを含む)を持つ波形などの単一、複数および任意の波形を生成して注入することができる電気機械式振動ドライバソースなどの音響エネルギーソースを含むシステムを提供することを含む。
【0012】
ノイズの色とは、ノイズ信号(確率論的プロセスにより生成された信号)のパワースペクトルのことである。ノイズの色が異なれば、ノイズの特性も著しく異なり、例えば、音声信号としては、それらは人間の耳には異なる音に聞こえ、画像としては、見た目には異なるテクスチャになる。ノイズ信号に対する「色」のこの感覚は、音楽の音色の概念(「トーンカラー」とも呼ばれる)に類似している。しかしながら、音色の概念は、ほとんど常に、音に対して使用され、スペクトルの非常に詳細な特徴を考慮し得る。ノイズの種類を色にちなんで命名する慣習は、白色ノイズ、すなわちそのスペクトルが、任意の等しい周波数間隔内に等しい電力を有する信号から始まった。他のノイズの色は、ピンク、赤および青を含む。これらの名前のいくつかは、特定の専門分野においては標準的な定義がある。これらの定義の多くは、帯域幅の単位あたりのパワースペクトル密度が1 /fβに比例する、すべての周波数において構成要素を持つ信号を想定しており、したがって、べき乗則ノイズの例である。連邦規格1037C電気通信用語集は、白色、ピンク、青色および黒色のノイズを定義している。それでも、ノイズは異なるパターンを有することができる。連続ノイズは、中断することなく連続して生成されたノイズである。断続的なノイズは、急速に増加および減少するノイズレベルである。インパルスノイズは、ノイズが突然バーストするようなものである。
【0013】
1つ以上の実施形態においては、本発明の方法およびシステムは、トランスデューサを通じて処理された信号の周波数を変更することに対応する。1つ以上の実施形態においては、信号は、所定の周波数(ヘルツまたはHz)範囲内の周波数を走査して、所望の効果を達成することを含み得る。1つ以上の実施形態においては、2つ以上のトランスデューサを同時に使用する。1つ以上の実施形態においては、複数のトランスデューサは、同一のHz範囲、所定のセットの異なるHz範囲または可変のHz範囲を含み得る。1つ以上の実施形態においては、複数のトランスデューサは、ユーザが、1つの周波数を別の周波数に対してチューニングし、出力周波数からのフィードバックを受信し、これらの周波数を分析し、等化、圧縮および位相変動を提供することを可能とする。
【0014】
別の態様においては、本開示は、撮像対象の表面に隣接して位置決めされるように構成され、機械的エネルギーを対象の組織または材料中に付与するように構成された振動部材を含むエラストグラフィ用の装置を提供する。音響エネルギーソースもまた含まれ、振動部材に外部から結合され、それにより振動部材に、せん断波を対象内に生成させる。
【0015】
一態様においては、高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ装置は、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスを含む。各々のHDVE慣性ドライバデバイスは、(i)ドライバ信号をコントローラから受信することを可能とするドライバインタフェースと、(ii)共鳴表面と、(iii)ドライバインタフェースに通信可能に結合され、共鳴表面に機械的に結合されて、共鳴表面の共鳴変位を独立に生成する慣性ドライバとを有する。HDVE慣性ドライバ装置の支持部材は、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスを、身体と音響的接触するように位置決めして、身体内の組織の容積または物体内の材料の容積を通じてせん断波場を生成する。
【0016】
さらなる態様においては、本発明の撮像システムは、HDVE慣性ドライバ装置を含む。あるコントローラが、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイスのそれぞれのドライバインタフェースに通信可能に結合される。コントローラは、2つ以上のドライバインタフェースの各々に対する独立したシーケンス化されたドライバ信号を生成して、0.5~50μmの範囲内の変位を生成するに充分な出力を持つ20Hz~80kHzの音響周波数範囲内にある(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つを含むせん断波場を誘導する。撮像システムは、身体上に位置決めされた音響センサと、音響センサに通信可能に結合された音響周波数分析器とを含む。
【0017】
コントローラは、複数の周波数波形信号を生成し、それらをドライバ信号に増幅し、HDVE慣性ドライバデバイスを駆動し、組織の弾性および粘弾性を音響周波数分析器による周波数応答に基づいて測定するためのせん断波場を生成する。
【0018】
さらなる態様においては、ある方法は、複数の周波数波形信号を生成し、それらを増幅して駆動信号として使用されるようにすることを含む。方法は、身体に対して保持された共鳴表面の共鳴変位を生成するそれぞれのHDVE慣性ドライバデバイスのうちのある慣性ドライバを駆動することを含む。方法は、身体に対して保持された音響センサにより音響波を受信することを含む。方法は、組織の弾性を測定するために、身体の組織を通じて通過した複数の周波数波信号の周波数に対する周波数応答を分析することを含む。
【0019】
1つ以上の実施形態においては、方法は、各々のHDVE慣性ドライバデバイス装置に結合されたドライバ信号を生成して、0.1~50μmの範囲内の変位を生成するに充分な出力を持つ20Hz~80kHzの音響周波数範囲内の(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つを含む身体内の組織の容積を通じるせん断波場を生成することを含む。1つ以上の実施形態においては、音響周波数範囲は、測定される物体のサイズに依存して、20、18、16、14、12、10Hzよりも少ないとすることができる。1つ以上の実施形態においては、方法は、大きな物体(例えば、象、建物ベアリング、橋梁ベアリングなど)に対するドライバ信号を生成することを含み、周波数が10Hz以下である。1つ以上の実施形態においては、方法は、地震分析用のドライバ信号を生成することを含み、周波数は0.1Hz以下である。方法は、弾性および粘性をせん断波場の分析に基づいて測定することを含む。
【0020】
さらなる態様においては、トランスデューサのアレイを有するマルチチャネル触覚共鳴器を含むシステムが提供される。1つ以上の実施形態においては、システムは、対象にて関心のある内部領域の全体にわたって所望のせん断波場を生成するように、対象の外部の周りに設置された広帯域(または完全な周波数範囲)の慣性ドライバの可撓性アレイを含む。1つ以上の実施形態においては、アレイは、より低い周波数範囲に対して最適化されたたった1つのタイプの要素を有する。1つ以上の実施形態においては、アレイは、より高い周波数範囲に対して最適化されたたった1つのタイプの要素を有する。1つ以上の実施形態においては、アレイは、より低い周波数用のいくつかの要素と、より高い周波数用のいくつかの要素とを有する。1つ以上の実施形態においては、アレイは、スプリングおよび/または弾性のサポートおよびハーネスを使用することによりすべて可撓性であり、そのためそれらは、関心のあるエリアの近傍の身体または物体の外部の表面に適合する。1つ以上の実施形態においては、慣性ドライバのアレイは、対象の外部上に設置されて、関心のある内部領域内に少なくとも0.5マイクロメータの変位を生成する。1つ以上の実施形態においては、アレイは、低周波要素と高周波要素との両方を含む。1つ以上の実施形態においては、アレイは、関心のある指定された領域内に対象の内側に残響せん断波場を生成する。1つ以上の実施形態においては、アレイはさらに、ドライバの熱から保護する。
【0021】
1つ以上の実施形態においては、アレイは、対象の遠方からせん断波を付与する音声波慣性ドライバを含む。例えば、MRIの近傍で使用したとき、慣性ドライバはマシンの近傍には存在することができず、そのためアレイは遠方に設置され、せん断波はリモートで付与される。1つ以上の実施形態においては、アレイは、少なくとも約25~約35kHzの周波数を使用して対象の遠方からせん断波を付与する音声波慣性ドライバを含む。1つ以上の実施形態においては、アレイは、少なくとも約50~約60kHzの周波数を使用して対象の遠方からせん断波を付与し、少なくとも約90、100、120、140、160、180K以上のフレーム/秒の速度を有するX線検出器と一緒に使用される音声波慣性ドライバを含む。
【0022】
1つ以上の実施形態においては、検出器は、単一のソースから放出され、単一の検出器により受信される単一の多色X線ビーム(標準は120kVpで、70~140kVpの範囲に及ぶ)を利用する従来型または単一エネルギー型のCT(SECT)である。1つ以上の実施形態においては、検出器は、「スペクトル撮像」としても知られる二重エネルギー型CT(DECT)であり、2つのエネルギーレベル(一般的には、80および140kVp)を使用して画像を取得し、これらを処理して、追加のデータベースを生成することができる。
【0023】
これらおよび他の特徴を、以下に示す実施形態においてより完全に説明する。概して一実施形態の特徴はまた、別の実施形態の特徴と組み合わされて使用され得ることと、実施形態は本発明の範囲を限定することを意図しないこととを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
説明が進むに連れてより明らかになることであろう本発明の様々な典型的な実施形態を、以下の添付図面と共に次の詳細な説明において記述する。
【0025】
【
図1】せん断波周波数および病変剛性の関数として軟組織内におけるエラストグラフィ画像解像度に近似するグラフプロット100である。プロットは、物体の剛性(メートル/秒単位でせん断波速度として表される剛性)の測定精度(中間精度および高精度)の所望されるレベルに対する、せん断波周波数および物体の剛性の範囲にわたる軟組織内で検出可能な物体の最小直径を近似するプロットを示す。
【0026】
【
図2A】1つ以上の実施形態による支持部材としてハーネスを含む高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ装置を有する撮像システムのブロック図である。
【0027】
【
図2B】1つ以上の実施形態による支持部材として可撓性基板を含むHDVE慣性ドライバ装置を有する撮像システムのブロック図である。
【0028】
【
図2C】1つ以上の実施形態による支持部材としてクランプの対を含むHDVE慣性ドライバ装置を有する撮像システムのブロック図である。
【0029】
【
図2D】1つ以上の実施形態による台搭載式HDVE慣性ドライバデバイスを含むHDVE慣性ドライバ装置を有する撮像システムのブロック図である。
【0030】
【
図2E】1つ以上の実施形態によるプローブ筐体内に搭載されたHDVE慣性ドライバ装置および音響センサを有する撮像システムのブロック図である。
【0031】
【
図3】1つ以上の実施形態による身体の組織のビスコエラストグラフィ特性を測定するための方法のフロー図である。
【0032】
【
図4】ここでは残響場を生成するところが示されている、1つ以上の実施形態による4つのHDVE慣性ドライバ(ソース)を使用するシステムを示す。
【0033】
【
図5】身体または物体に対して
図2のHDVE慣性ドライバを保持する、1つ以上の実施形態によるハーネスを示す。
【0034】
【
図6】HDVE慣性ドライバを身体または物体上に、この場合は超音波プローブの撮像サイトの近傍において必要とされる場所に設置することを可能とする、1つ以上の実施形態によるハーネスを示す。
【0035】
【
図7】ここでは残響場を生成するところを示している、1つ以上の実施形態による脚、腕、首または類似した身体部分もしくは物体に対するハーネスシステムを示す。
【0036】
【
図8-10】1つ以上の実施形態による適合性のあるハーネスシステムを示す。
【0037】
【
図11】ここでは残響場を生成するところを示している、1つ以上の実施形態による検査場を妨害することなく身体に対してHDVE慣性ドライバを保持するスプリングバー「ヘッドフォンスタイル」システムを示す。
【0038】
【
図12】ここでは残響場を生成するところを示している、1つ以上の実施形態による埋め込み式HDVE慣性ドライバを持つマットを示す。
【0039】
【
図13】1つ以上の実施形態による患者接触ドームと通信状態にあるHDVE慣性ドライバの設置を調整するためのスライドチャネルを持つパッドを示す。
【0040】
【
図14】1つ以上の実施形態による
図13のスライドチャネルHDVE慣性ドライバシステムを示す。
【0041】
【
図15】1つ以上の実施形態による
図14のスライドチャネルシステムに対するスレッデドTロックを示す。
【0042】
【
図16】1つ以上の実施形態による2つのスライドトラック電子機械式振動システムによる実施形態を示す。
【0043】
【
図17】1つ以上の実施形態による圧力ロックを示す。
【0044】
【
図18】1つ以上の実施形態による超音波プローブと統合されたHDVE慣性ドライバを示す。
【0045】
【
図19】1つ以上の実施形態による身体の外部表面(図示せず)に付着された中低周波数HDVE慣性ドライバも含むことができるシステムの一部として超音波経直腸プローブと統合された小型のより高い周波数HDVE慣性ドライバを示す。
【0046】
【
図20】1つ以上の実施形態による、信号ソースと、走査される身体または物体内での機械的せん断波へのその変換との全体的フロー図を示す。
【0047】
【
図21】1つ以上の実施形態によるマルチチャネルクワッド共鳴器ボードを含む別の実施形態を示す。
【0048】
【
図22】1つ以上の実施形態によるマルチチャネル増幅器に接続されたマルチチャネルクワッド共鳴器ボードを含む別の実施形態を示す。
【0049】
【
図23】1つ以上の実施形態による、1つ以上の重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムが検査場を妨害することなく組織に隣接して位置付けられた胸部などの身体の表面の近傍の組織に対する重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムを含む別の実施形態を示す。
【0050】
【
図24】
図23の重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムの実施形態を示すが、1つ以上の実施形態による、このHDVE慣性ドライバシステムは、患者の皮膚に接触して、ラウドスピーカコーンと患者の皮膚との間に密閉された空気カラムを作成する筐体内に埋め込まれたラウドスピーカから成り、ラウドスピーカコーンと患者の皮膚とを分離する。
【詳細な説明】
【0051】
本開示の態様によれば、あるデバイス、システムおよび方法は、組織のビスコエラスティックな機械的特性の客観的な撮像を通じて成果を改善し、経費を軽減する。ビスコエラスティック撮像は、組織の重要な機械的特性を提供する。エラストグラフィ撮像は、せん断波を身体内に誘導し、せん断波の進行を撮像モダリティにより追跡し、弾性のおよび/または粘性の特性を算出して、1つもしくは他のものまたは組み合わせを、撮像モダリティおよびシステムにより生成された標準の画像上にオーバーレイされたカラーマップとして表示することにより、組織の弾性特性をマッピングする撮像モダリティである。粘性画像は、一般的には同時マルチ周波数エラストグラフィを獲得し、その後エラストグラフィのセットから分散(この言葉はエラストグラフィの分野で使用される)を算出することにより組織の粘性特性をマッピングする。弾性(しばしば、その逆の「剛性」の形で)と粘性(「流れに対する抵抗」)は、健康な組織を不健康な組織から区別することを前提とする。本開示は、組織の最深の部分内を含む組織の全体にわたって、著しくより高い周波数を含む一般的なビスコエラストグラフィと比較してより大きい範囲の周波数にわたって、せん断波を導入する外部の高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバを、ビスコエラスティックな機械的特性を変更する疾患状態に対する診断撮像ツールとして提供する。
【0052】
現在の超音波ビスコエラストグラフィ撮像は、その使用を限定する不十分な解像度および/または物理的制限を有し、より高価でより侵入性の診断を必要とする。現在の最も一般的に使用されている形態の臨床の超音波エラストグラフィ(ARFIベースのエラストグラフィ)は、組織を過熱することを防止するために浅い(最大で6cmの深さの)組織撮像しか提供せず、解像度が制限されるが、それは、組織内で安全な条件下で生成されたせん断波構成要素はほとんど500Hz未満であり、ARFI焦点からたった数ミリメートル伝搬した後には200Hz未満に急速に減少するからである。磁気共鳴撮像(MRI)エラストグラフィは、お粗末な空間的解像度しか提供しないが、それはせん断波誘導モータをMRI磁石から安全な距離で動作させなければならず、これが一般的に、せん断波周波数を患者のところで120Hz未満に制限するからである。一般的に周知の方式は、組織境界の近傍で画像を劣化させるエコー残響を作成する。一般的に周知の超音波およびMRIエラストグラフィは、狭い範囲の周波数測定値を使用しており、これが信頼性のない粘性測定値を提供する。特に、一般的に周知の方式は、臨床的に、30~120Hzの範囲のせん断波周波数で使用され、これは、弾性のたった約1.5cmという解像度しか、および粘性のお粗末な測定値しか達成できない。最大で180~200Hzのいくつかの成功した試みがなされたと信じられているが、これは、解像度をたった約30%しか改善しないはずである。従来は、約180Hzを超えるせん断波周波数により動作させることによっては、診断的に有用なものはなにも得られなかったと信じられている。
【0053】
本開示は、著しくより良好な空間的解像度およびより信頼性のある粘性推定値のためにより高い振動周波数を生成する外部HDVE慣性ドライバを提供する。外部HDVE慣性ドライバは、信頼性のある粘性測定値および改善された解像度のために広範囲の周波数により組織内にせん断波を導入する。このように、本開示は、(i)超音波の完全な走査深度にまで組織を撮像する能力と、(ii)従来のエラストグラフィよりも4~10倍以上の深部組織解像度(例えば、肝臓での)、(iii)従来のエラストグラフィよりも10倍以上の(例えば、胸部での)近距離表面組織解像度(すなわち、1~3mmの解像度)と、(iv)エコー組織(例えば、腎臓カプセル)を撮像する能力と、(v)より信頼性のある粘性の測定値および粘性(分散)マップとを提供する。1つ以上の典型的な実装例においては、HDVE慣性ドライバは、0.1Hz未満~80,000Hzを越える範囲のせん断波を誘導し、そのため、胸部超音波ビスコエラストグラフィに対して現在の一般的な臨床超音波プローブを使用するとき、40~5,000Hzの範囲を誘導して測定することができ、肝臓超音波ビスコエラストグラフィに際しては、40~3,000Hzの範囲を測定することができる。これらの周波数は、音響(超音波)波が、身体中に(胸部組織全体を撮像するために)5cm走行し、その後、音響センサにまで5cm戻り、身体中に(肝臓全体を撮像するために)14cm走行し、その後、音響センサにまで14cm戻らなければならないことを予測している。
【0054】
結果として低解像度となる従来の40Hzと比較して、本革新は、参考になる1~3mm解像度をサポートし、結果として生じる解像度の量が、組織の内部で撮像される物体の剛性により(および、特に別様に述べられていないかぎり、組織により、すなわち軟組織により)影響される。上に提供した胸部および肝臓に対する振動周波数は、この範囲の解像度をサポートする。
【0055】
これにより、本革新は、既存の撮像アプリケーションを改善し、次のような新たな撮像アプリケーションに対する潜在的な機会を予想する:
(i)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のすべての段階を識別することができる深部肝臓ビスコエラストグラフィ、
(ii)超音波ビスコエラストグラフィを、X線のイオン化や不快感がない胸部マンモグラフィに対する潜在的な代替物、潜在的にバイオプシに対するニーズに取って代わることが可能な1~3mmという解像度、
(iii)残響せん断波ビスコエラストグラフィと共に利用された場合、腎臓の微小細胞粘性の変化が、特定の腎臓癌の重要な指標である、腎臓のようなエコー組織を撮像することができること、
(iv)超音波ビスコエラストグラフィは、前立腺癌の検出、甲状腺、脾臓、角膜、睾丸、筋肉、靭帯、腱、ガイド付きバイオプシ、治療モニタリングなど多くの他のアプリケーションでの一般的化された放射線医学ツールであること、
(v)特殊なバージョンは、(a)損傷した心臓組織をマッピングするための心臓壁剛性撮像および(b)血管壁剛性の撮像などのアプリケーションに使用できること、および
(vi)橋梁および建物ベアリングの非破壊テストならびに地下撮像などの非医療アプリケーション。
【0056】
1つ以上の実施形態においては、撮像アプリケーションは、好ましくは、所望される効果にしたがって調整をすることができる。典型的な調整は、トーンの周波数の調整、触覚点間の周波数の変調の調整、音の事前設定値の記憶、およびフィードバック情報に基づく音、トーンもしくは視覚の刺激の帰還を含む。1つ以上の実施形態においては、デバイスアプリケーションは、周波数を高め、媒体のピッチをシフトして、ユーザの周波数嗜好に対応することが可能である。様々な代替的な実施形態においては、装置は、規定された周波数を触覚出力に送信する調整可能EQフィルタを含み得る。いくつかのアプリケーションにおいては、このシステムは、左/右の方位を様々な方法で切り替えるマトリックスコントロールを有する。
【0057】
せん断波は、次の側面を有する、すなわち(i)周波数がより高いほど、波長はより小さくなる、(ii)波長が小さいほど、解像度はより良好になる、(iii)概して、1/4波長は、中程度の精度で剛性を測定するためには物体の内側に適合する必要があると考えられる、および(iv)約1.24波長は、高い精度で剛性を測定するためには物体の内側に適合する必要がある。
【0058】
HDVE慣性ドライバにより生成されたせん断波を音響放射力インパルス(ARFI)により生成されたせん断波と比較すると次のようになる。ARFIは、(i)せん断波出力スペクトルの95%は<500Hzであり、距離および深度と共に急速に減少し、これが解像度を制限する、(ii)従来は、より新しい方式による6cm深度が幾分かはより深くなるが、解像度は低下する、および(iii)視野が小さい。対照的に、HDVE慣性ドライバは次の属性を有する、すなわち(i)出力スペクトル全体による0.1~80,000Hzは、軟組織内の剛性の物体の1~3mm解像度を可能とし、信頼性のある粘性測定値が得られる、(ii)深度全体にまで貫通する、および(iii)視野の全体が得られる。実験的な使用は次を示した、すなわち、(i)ソフトウェアおよびハードウェアのソリューションは、ロバストで信頼性がある、(ii)人間の肝臓、腎臓、甲状腺、胸部および腱内などでの深部組織マルチ周波数再構成を達成した、(iii)他の方法よりも高い周波数のせん断波を示し、これは劇的により良好な解像度および改善された粘性推定値となる。
【0059】
本革新の態様によれば、周波数固有の正弦波、方形波および三角波ならびに複合波形(ノイズを含む)を持つせん断波を人体組織に誘導するための方法と装置が提供され、適切なアダプタおよび拡張機能と結合されたときに、これらに限定されないが、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、コンピュータトモグラフィ(CT)、X線および磁気共鳴撮像(MRI)システムを含む超音波および他のエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィに適用可能な撮像モダリティを使用するエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ撮像で使用される、ターゲットの組織または材料内の様々な領域および構造を励起させる目的の、ゴムやプラスチックなどの1つ以上の材料から成る柔軟または弾性のベッド、ベスト、身体ハーネスまたは手持ち式のアプリケーションシステムとして具現化される。身体または物体内で、これらに限定されないが、残響せん断波場、クローリング波動場ならびに他のエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィに適用可能なせん断波場を含む非侵入性せん断波場を誘導し身体または物体に適合しこれと接触している1つ以上のHDVE慣性ドライバ、電力増幅器およびデジタル信号処理機能を持つクランプをその後、適用可能であれば超音波または他の撮像モダリティにより走査する。様々な構造、節点、塊および異常性の弾性および粘性特性の違いが、関心のある領域内で可視となる。システムはまた、圧縮と希薄化の典型的な波の後を追う周波数固有の波、非周波数固有の波(ノイズ)ならびに複合した縦波およびせん断波を誘導することができる。波形の周波数は、組織および可撓性もしくは弾性の材料の各々のタイプおよび密度に固有である。
【0060】
HDVE慣性ドライバにより生成された複数の周波数信号は、単一の周波数波形または複合した(もしくは任意の)波形を含み得る。複合波形は、自然な倍音列、メジャーコード、マイナーコードおよびその他のシリーズなどの2つ以上の周波数から成り、粘性の測定に不可欠である。残響せん断波、クローリング波および多くの他のせん断波場などの様々なせん断波場を作成するには、複数のソースが不可欠である。
【0061】
音は、気体、液体または固体などの伝達媒体を通じて圧力の聴覚波また触覚波として伝搬する振動である。各々の圧力波は、圧縮および希薄化と呼ばれる圧力の増加および減少を引き起こす。伝達媒体なしでは、音は存在しない。音は、内力(例えば、弾性または粘性などの力)を持つ媒体中で伝播する圧力、ストレス、粒子変位、粒子速度などの発振またはそのような伝搬した発振の重ね合わせとして定義される。(非弾性の媒体を通じて走行する音は、媒体を通じて転送されるだけで、多くの場合、減衰は最小に抑えられる。)
【0062】
音は、空気、水および固体などの媒体を縦波として、また固体内を横波(せん断波)として伝播することができる。音波は、ラウドスピーカまたは触覚シェーカの振動ダイヤフラムなどの音ソースによって生成される。音ソースは、囲む媒体中に振動を作成する。音ソースが媒体を振動させ続けるに連れて、振動は、音の速度でソースから伝搬して離れ、このようにして音波を形成する。ソースから固定した距離のところでは、媒体の圧力、速度および変位は時間と共に変動する。ある瞬間において、圧力、速度および変位は空間内で変化する。媒体の粒子は、音波と共には走行しないことに注意されたい。これは固体に対しては直感的に明らかであり、液体および気体にも当てはまる(すなわち、気体または固体内での粒子の振動は振動を輸送するが、粒子の平均的位置は、時間は経過しても変化しない)。伝搬中、波は、媒体により反射、屈折または減衰することができる。
【0063】
音伝搬の挙動は、概して、次の三つ、すなわち(i)温度により影響され媒体中の音の速度を決定する、媒体の密度と圧力との間の複雑な関係と、(ii)媒体自身の運動とにより影響される。媒体が運動している場合、運動は、媒体の方向に依存して音波の絶対速度を増加または減少させ得る。例えば、風と一緒に運動する音は、音と風が同一の方向に運動している場合には、その伝搬速度は風の速度だけ増加する。音と風が反対の方向に運動している場合には、音波の速度は風の速度だけ減少し、これは「ドップラー効果」と呼ばれ、および(iii)媒体の粘性である。媒体粘性は、音が減衰するレートを決定する。空気または水などの多くの媒体に対しては、粘性による減衰は無視可能である。他方、音は、柔軟な粘土の塊を通じては良好には走行しない。
【0064】
音が一定の物理的特性を有しない媒体中を伝わるとき、音は多かれ少なかれ屈折(分散するか焦点を生じる)または減衰し得る。音は、圧縮波とも呼ばれ、主に縦波として気体、プラズマ、液体および固体を通じて伝達される。音が伝搬するためには媒体が必要である。縦波の音波は、平衡圧力から交互に圧力が変動する波であり、圧縮と希薄化の局所的領域を引き起こし、一方、横波(固体内)は、伝搬方向に対して直角に交互なせん断応力の波である。あらゆる媒体中で、材料の密度に依存して、横波(せん断波としても周知である)は、縦波よりもはるかに遅い測度で生成され走行する。
【0065】
発振する音波により搬送される潜在的なエネルギーは、物質の余分な圧縮(縦波の場合)又は横方向の変位歪み(横波の場合)と、媒体を構成する粒子の変位速度という機械的エネルギーとの間を交互に変換する。
【0066】
音波は、しばしば正弦平面波という語で単に説明されるが、これは、次の一般的な特性により特徴付けられる、すなわち(i)周波数またはその逆の波長、(ii)振幅、すなわち媒体中の音圧または強度、(iii)音の速度および(iv)方向。
【0067】
音の速度は、伝達媒体によって影響され、材料の基本的な特性である。これらの物理的特性と音の速度とは、周囲の条件により変化する。68°Fにおいて音の速度の平均は、空気中で1,127fpsであり、水中で4,805fpsであり、鋼中で16,850fpsである。人間の組織は、組織の構造に依存するが、水の範囲であり、軟組織から骨または石灰化した塊までの範囲である。音の速度はまた、少し反応性があり、音の振幅に対する二次エンハーモニック効果を受けるが、これは、オリジナルの音には存在しない高調波および混合音の生成などの、非線形伝播効果があることを意味する。
【0068】
音は、波の速度により決定される単一の周波数または組み合わせから成る。連続した1Hzの正弦波は、その媒体中で、1秒/波にわたって振動する。500Hzの波は、1秒当たり500回振動する。各々の周波数は、ある「ピッチ」を提供する。人間にとっての可聴周波数は、平均して20Hzと20,000Hzの間で知覚される。単一の波形はまた、変動する振幅および位相を持つ多くの周波数を含み得る。
【0069】
2つ以上のソースから到来する複数の周波数は、媒体中で互いに影響する。ピアノ調律師は、例えば、弦を基準ピッチ(440Hzなどの中央ハの上方のイなど)と比較するだけでなく、弦が互いに同調しているときに「ビーティング」の効果を聴取することにより、1つの単音の個々の弦をチューニングする。互いに調子が少し外れている2つの弦は、音響的ビーティングを生成する。弦が同調しているとき、ビーティングは停止する。
【0070】
音響学においては、ビートは、少し異なる周波数の2つの音の間の干渉パターンであり、2つの周波数の差をレートとする音量の周期的な変動として生成される。2つのトーンをユニゾンにチューニングすることは、特有の効果を提示する、すなわち、2つのトーンが、ピッチは近いが同一ではないとき、周波数の差が、ビーティングを生成する。音が建設的および破壊的に交互に干渉するため、振幅はトレモロのように変動する。2つのトーンが徐々にユニゾンに近づくに連れて、ビーティングは遅くなる。2つのトーンがさらに離れるに連れて、そのビート周波数は、干渉が停止するまで増加する。
【0071】
この現象は音響学または音楽で最もよく知られているが、任意の線形システムで発見することができ、「重ね合わせの法則によれば、同時に鳴る2つのトーンは、非常に簡単な方法、すなわちそれらの振幅を加算するという方法で重ね合わされる」。2つの波の位相がほぼ180度ずれている場合、一方の波の最大値が他方の最小値をキャンセルするが、それらがほぼ同相のとき、それらの最大値が合計され、振幅が大きくなる。
【0072】
2つのオリジナルの周波数が非常に近い(例えば、差が約12ヘルツ)場合、上記の式の右辺の余弦の周波数、すなわち(f1-f2)/2は、しばしば可聴のトーンまたはピッチとしては低すぎて知覚されない。それどころか、それは、上記の式の最初の項の振幅の周期的な変動として知覚される。より低い周波数の余弦項は、より高い周波数のそれの包絡線である、すなわち、その振幅が変調されていると言うことができる。変調の周波数は(f1+f2)/2、すなわち2つの周波数の平均である。変調パターンにおいて、バーストが2つ目毎に反転することが分かる。即ち、バーストの正側のピークが負側のピークに置き換えられ、その逆も同様である。
【0073】
第一音符のいくつかの倍音が第二音符の倍音とビートしているため、倍音の間隔にピッタリではないが近い音符間でビーティングが発生することもできる。例えば、完全5度の場合、低音音符の三次倍音(すなわち、二次オーバートーン)は、他の音符の二次倍音(一次オーバートーン)とビートする。調子外れの音符の場合でも、これはまた、いくつかの正確にチューニングされた等しい気質間隔でも発生することができるが、それはそれらと、対応する純正律間隔との差のためである。
【0074】
クローリング波超音波エラストグラフィ撮像は、組織内に「ビーティング」効果を生成する2つ以上のせん断波周波数の使用に基づく。2つのせん断波は、例えば、少し離れた(音楽では、「調子外れ」と呼ばれる)波形を、例えば200Hzおよび199.5Hzで生成し得るが、これは、組織内にビーティングパターンを生成し、これが、縦波と横波(せん断波)との間に対応する関係をもたらし、画像を、超音波スクリーンを横切って「クローリング」または運動させることになる。残響ビスコエラストグラフィの場合、これらの特性は、より複雑で新しいものとなる。
【0075】
複数のHDVE慣性ドライバを使用して、技術上新しい深さおよび強さで、人間の組織内で、無数の複雑な干渉と位相調整の波形パターンを生成する。これが、クローリング波、残響、および他の撮像方法が、無限の様々な組み合わせおよび効果を利用することを可能とするが、それは波形の各々の組み合わせが、組織の弾性および粘性に依存して組織に異なって影響するからである。2つ以上のHDVE慣性ドライバが互いに180°位相がずれているとき、各々の波形の機械的な対向する圧力のために発生する機械的運動、すなわち前後に作動する「ロッキング」が存在する。この効果と、位相調整の任意の数の組み合わせとはまた、クローリング波、残響、および他の撮像方法に対して有用である。HDVE慣性ドライバシステムはまた、方向性特徴と周波数依存性とを有し、波形を身体の固有のエリアにターゲット化する(ビームステアリングする)場合に有用とすることができる。
【0076】
図は、一定の比率になっていないし、いくつかの特徴は、特定的な要素の詳細を示すために誇張または最小化され得ると同時に、関連する要素が、新規な態様を曖昧化することを防止するために省略され得る。したがって、本明細書に開示する固有の構造的および機能的な詳細は、限定的なものであると解釈されるべきではなく、単に、クレームの基礎として、および当業者を、本発明を様々に採用するように教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。限定目的ではなく教示目的で、例示する実施形態は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像および磁気共鳴撮像(MRI)などの他のコンパティブルな撮像モダリティに対する拡張による超音波エラストグラフィおよびビスコエラストグラフィのデバイスを対象とする。
【0077】
1つ以上の実施形態においては、例示する実施形態は、超音波診断装置、X線診断装置、X線コンピュータトモグラフィ(CT)装置、磁気共鳴撮像(MRI)装置、単一光子放出コンピュータトモグラフィ(SPECT)装置、陽電子放出コンピュータトモグラフィ(PET)装置、SPECT装置とX線CT装置との組み合わせであるSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置との組み合わせであるPET-CT装置、および対象テスト装置のうちの任意の一つである医療画像診断装置で使用される外部振動デバイスを対象とする。
【0078】
超音波プローブは、ターゲットの物体の表面に接触するまたはターゲットの物体の身体中に挿入される部分であり、超音波を伝達して受信し得る。具体的には、超音波プローブは、本体から提供された伝達信号にしたがってターゲットの物体の内側に超音波を伝達し、ターゲットの物体の固有の部分から反射されたエコー超音波を受信し、エコー超音波を本体に伝達し得る。
【0079】
超音波プローブは、ケーブルを通じて接続されて、超音波プローブを制御するために必要とされる様々な信号を受信、または超音波プローブにより受信された超音波エコー信号に対応するアナログ信号またはデジタル信号を本体に伝達し得る。しかしながら、超音波プローブの実施形態はこれには限定されず、超音波プローブは本体に無線で接続され得る。この場合、超音波プローブは、無線プローブとして実装され得る。くわえて、複数の超音波プローブは、1つの本体に接続され得る。
【0080】
デバイスは、ユーザの入力を受信するように構成され得るが、ユーザは、診断を開始し、診断領域を選択し、診断タイプを選択し、超音波画像に対するモードを選択するためのコマンドを入力し得る。超音波画像に対するモードの例は、Aモード(振幅モード)、Bモード(明度モード)、Dモード(ドップラーモード)、Eモード(エラストグラフィモード)およびMモード(運動モード)を含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、発光ダイオード(LED)パネルまたは有機発光ダイオード(OLED)などの様々な表示パネルのうちの少なくとも1つを使用して実現され得る。ディスプレイを2つ以上のディスプレイから構成し、これでそれぞれのディスプレイが異なる画像を同時に表示し得るようにすることも可能である。例えば、1つのディスプレイが2Dの超音波画像を表示し得るとともに、他のディスプレイが3Dの超音波画像を表示し得る。あるいは、1つのディスプレイがBモード画像を表示し得るとともに、他のディスプレイが造影剤画像を表示し得る。
【0081】
医者などのユーザは、ディスプレイ上に表示された超音波画像を使用して固有の疾患の診断を実施し得るとともに、超音波画像を取得するための領域は、診断される疾患に依存して変動し得る。例えば、腹部超音波画像を使用して脂肪肝を診断し得る。
【0082】
肝臓の脂肪沈着によって引き起こされる疾患である脂肪肝は、肝硬変または肝細胞癌などの末期肝疾患に発展し、また脂肪性肝炎および肝線維症に進行し得ることが周知である。くわえて、脂肪肝の高い罹病率が世界中で報告されており、特に非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は肥満およびメタボリックシンドロームと密接に関連しているため、脂肪肝の発見は、超音波画像を使用した診断において非常に重要な領域である。脂肪肝は、肝臓組織の粘弾性を測定することにより発見し得る。粘弾性は、粘性と弾性が共存する特性であり、これは、弾性変形と粘性流を伴う特性を意味する。肝臓を含む生体内の組織の粘弾性特性は、超音波を使用して測定され得る。具体的には、せん断波を検出することにより測定され得る。
【0083】
超音波信号をターゲットの物体中に強力に照射したとき、組織は、実際には微細に運動し得るとともに、せん断波が、組織の運動のために組織内で生成される。ターゲットの物体内で強力な超音波によって生成されたせん断波は、焦点領域から周辺に進行し、ここで波の進行方向は、横方向であり、組織粒子の振動の方向は垂直である。進行するせん断波の速度は、媒体の振動特徴にしたがって変化する。したがって、せん断波の速度は、媒体の弾性特性、すなわち弾性率を測定するための主要な変数である。
【0084】
したがって、せん断波の速度は、組織内で生成されたせん断波の運動を継続的に追跡することにより測定され得るとともに、組織の弾性率は、せん断波の速度から推定し得る。他方、組織が純粋な弾性を有しないが、弾性と粘性との両方を有する粘弾性を有する場合があり得る。例えば、脂肪が肝臓内に蓄積する脂肪肝の場合において、肝臓は、純粋な弾性ではなく、粘性と弾性とを有する粘弾性を有する。組織が粘弾性を有する場合においては、せん断波の振幅の減衰が、せん断波の速度がその周波数に依存して変動するという分散現象と共に、さらに観察され得る。
【0085】
この場合、せん断波中を波が進行するに連れて波エネルギーが減少する減衰現象が発生する。概して、波が進行するに連れて、それは、空間的に拡散し、波面を広げ、波のエネルギーを低減させる。くわえて、波のエネルギーが、媒体を通じて通過する間に媒体中に吸収される物理現象が発生するため、波のエネルギーが軽減される。前者は幾何学的拡散による減衰であり、後者は媒体中への吸収による減衰である。粘弾性の臨界的減衰は、媒体中への吸収による減衰である。これを計算するには、観察される減衰における幾何学的拡散現象による構成要素を補償する必要がある。
【0086】
せん断波の速度は各々の周波数成分に対して一定ではなく、周波数に依存して変動する速度分散現象が発生する。減衰係数もまた、分散現象(減衰分散)を示す。したがって、ターゲットの物体の粘弾性特性を測定して表示するためのシステムは、せん断波速度、せん断波減衰係数、せん断波速度分散、せん断波減衰分散、粘性および剛性率のうちの少なくとも1つのパラメータを含み得る。
【0087】
1つ以上の実施形態において、超音波画像装置は、電気信号を超音波信号に、または超音波信号を電気信号に変換するためのトランスデューサモジュールと、伝達ビームおよび受信ビームを生成するためのビームフォーマと、ビームフォーマから出力されたエコー信号を使用して超音波画像を生成するための画像プロセッサと、超音波画像装置の内部コンポーネントの動作を制御するためのコントローラと、1つ以上のディスプレイとを含む。トランスデューサモジュールは、電気信号を超音波信号に、または超音波信号を電気信号に変換し得る。この目的のために、トランスデューサモジュールは、様々な要素の超音波トランスデューサを含み得るし、超音波トランスデューサは、圧電材料の圧電効果を使用する圧電超音波トランスデューサ、磁性材料の磁歪効果を使用する磁歪超音波トランスデューサ、数百または数千の微細加工された薄膜の振動を使用して超音波を伝達そして受信する容量性微細加工超音波トランスデューサ(cMUT)などのうちの任意の一つとして実現され得る。くわえて、電気信号にしたがって超音波を生成するまたは超音波にしたがって電気信号を生成することが可能な他のタイプのトランスデューサもまた、超音波トランスデューサの例であり得る。さらに、トランスデューサモジュールは、超音波信号を伝達および受信するために使用されるトランスデューサ要素を選択するためのマルチプレクサ(MUX)などのスイッチをさらに含み得る。トランスデューサモジュール110は、超音波プローブの内側に提供され得る。
【0088】
本明細書で使用される「音響の」という用語は、超低周波、音および超音波の振動および/または波のことである。振動は、剛性材料の発振する機械的運動、弾性もしくは粘弾性材料中を伝播する機械的振動および/または波、ならびに油圧もしくは空気圧流体内を伝播する圧力波を含み得るが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される「音響エネルギー」という用語は、音響の振動または波の形態で蓄積されたエネルギーのことである。振動または波は、一般的に約0.01~80,000ヘルツの範囲内の周波数で、弾性固体または液体もしくは気体を介して伝達され得るとともに、検出されることが可能であり得る。
【0090】
本明細書で使用する「音響エネルギーソース」とは、アクチュエータ、ドライバ、トランスデューサまたは音響振動および/または波を生成することが可能な他のデバイスのことである。典型的な音響エネルギーソースは、音声スピーカなどの電気音響デバイス、線形モータなどの発振線形運動を生成するように適合されたデバイス、触覚トランスデューサ、圧電トランスデューサ、超音波トランスデューサ、磁気音響トランスデューサ、音響振動を空気圧流体に結合するように適合された圧縮空気デバイス、表面音響波トランスデューサ、マイクロ電気機械システムおよび電磁音響トランスデューサのことであるが、これに限定されない。
【0091】
本明細書で使用する「トランスデューサ」、「音声トランスデューサ」、「触覚音声変換器」、「電気機械振動ドライバ」および「高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ」という用語は、周波数固有の振動を身体または物体中に導入するための振動誘導装置のことである。1つ以上の実施形態においては、周波数固有の振動は、周知のシステムによって提供されるよりも深く、より速いせん断波を誘導する。
【0092】
図1は、せん断波周波数および病変剛性の関数としての軟組織内での近似したエラストグラフィ画像解像度のグラフプロット100である。プロットは、物体の剛性(メートル/秒単位のせん断波速度として表される剛性)の測定精度(中間精度および高精度)の所望されるレベルに対する、せん断波周波数および物体の剛性のある範囲にわたる軟組織内で検出可能な近似の最小直径物体の輪郭を示す。組織は次の3つの機械的特性を有する、(i)密度であり、これは概して軟組織内では不変であり、X線撮像で測定できる、(ii)スプリングのような剛性(ヤング率の逆数)は、健康な組織と傷およびその他の疾患もしくは損傷のある組織とを区別するためにしばしば使用することができる、および(iii)粘性(流れに対する抵抗)は、しばしばダッシュポットとしてモデル化され、有用な診断情報を提供する可能性がある。本開示は、剛性および粘性を決定する非侵入性の方式を提供する。
【0093】
図2Aは、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイス204を含む高解像度ビスコエラストグラフィ(HDVE)慣性ドライバ装置202aを有する撮像システム200aのブロック図である。各々のHDVE慣性ドライバデバイス202は、コントローラ210からドライバ信号208を受信することを可能にするドライバインタフェース206を含む。各々のHDVE慣性ドライバデバイス204は、それぞれの共鳴表面212を含む。各々のHDVE慣性ドライバデバイス204は、ドライバインタフェース206に通信可能に結合され、共鳴表面212に機械的に結合されて、共鳴表面212の共鳴変位を独立して生成する慣性ドライバ214を含む。
【0094】
コントローラ210は、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイス204のそれぞれのドライバインタフェース206に通信可能に結合される。コントローラ210は、身体220の組織218内にせん断波場216を誘導する独立したシーケンス化されたドライバ信号208を生成する。せん断波場216は、(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つである。せん断波場216は、0.1~50μmmの範囲の変位を生成するのに十分な出力を持つ20Hz~80kHzの音響周波数範囲内にある。
【0095】
音響周波数分析器222は、音響センサ224に通信可能に結合される。コントローラ210は、音響周波数分析器222に対する複数の周波数波形信号を生成して、周波数応答に基づいて組織弾性を測定する。コントローラ210は、音響周波数分析器222により粘性を測定するためにせん断波場216を生成するドライバ信号を生成する。
【0096】
ある支持部材が、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイス204を、身体220と音響的接触するように調整可能に位置決めする。1つ以上の実施形態において、支持部材は、身体220を取り囲むことにより身体220に対してHDVE慣性ドライバデバイス204を保持するハーネス226である。ハーネス226は、身体220の異なるサイズにフィットするための調整および係合の特徴部を含むことができる。1つ以上の実施形態において、少なくとも1つの共鳴表面212が身体220に適合し、音響的に透過性である弾力的表面228を含む。
【0097】
1つ以上の実施形態において、温度センサ229が、2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイス204aのうちの一つに結合される。コントローラ236は、温度センサ242に通信可能に結合されて、温度センサ242による温度測定値に応答する。コントローラ236は、選択された独立ドライバ信号206の出力の量を軽減させて、対応する共鳴表面210a~210dの制御温度を緩和する。
【0098】
1つ以上の実施形態において、
図2Bは、コントローラ210、分析器222および音響センサ224を含むHDVE慣性ドライバ装置202bを有する撮像システム200bを示す。身体220は、HDVE慣性ドライバデバイス202bがそれを通じて身体220に接触するアパーチャ232を有する弾力的マット230などの可撓性基板により支持される。弾力的マット230およびHDVE慣性ドライバデバイス202bは次に、台またはフロアなどの支持表面234上に休止する。1つ以上の実施形態において、各々のHDVE慣性ドライバデバイス202bの支持部材は、共鳴表面212が、HDVE慣性ドライバデバイス202b上に休止する身体220に適合することを可能とする、HDVE慣性ドライバデバイス202bの複数のスプリングなどの圧縮部材236である。
【0099】
1つ以上の実施形態において、
図2Cは、コントローラ210、分析器222および音響センサ224を含むHDVE慣性ドライバ装置202cを有する撮像システム200cを示す。身体220は、台などの支持表面234により支持される。1つ以上の実施形態において、各々のHDVE慣性ドライバデバイス204cの支持部材は、支持表面234に取り付けられたクランプ240の対応する対である。クランプ240の対の少なくとも一方の端部は、身体220に音響的接触を提供するように調整可能である。1つ以上の実施形態において、クランプ240の対は、身体220から熱を奪うためのヒートシンク経路を提供する。1つ以上の実施形態において、調整機構236にくわえて、クランプ240は、身体220にわたる間隔を少し変化させることができる弾力があるものとすることができる。
【0100】
1つ以上の実施形態において、
図2Dは、コントローラ210、分析器222および音響センサ224を含むHDVE慣性ドライバ装置202dを有する撮像システム200dを示す。身体220は、アパーチャ242を有する、台などの支持表面234により支持される。2つ以上のHDVE慣性ドライバデバイス204dは、アパーチャ242内に位置決めされ、ユニタリベース244が支持表面234に取り付けられている。1つ以上の実施形態において、少なくとも1つの共鳴表面212が、身体220に接触する接触表面248を有する筐体246により包含される。筐体246は、共鳴表面212を接触表面248から分離し、分離を1cm未満、好ましくは0.5cm未満、最も好ましくは0.25cm未満に最小化する密閉された空気カラム250を含む。
【0101】
1つ以上の実施形態において、
図2Eは、音響センサ224を2つのHDVE慣性ドライバデバイス204e間にまた位置決めするプローブ筐体252内にインストールされたHDVE慣性ドライバ装置202eを有する撮像システム200eを示す。コントローラ210および分析器222は、プローブ筐体252を通じて、それぞれ2つのHDVE慣性ドライバデバイス204eおよび音響センサ224に通信可能に接続される。
【0102】
図3は、身体の組織のビスコエラストグラフィ特性を測定するための方法300のフロー図である。1つ以上の実施形態において、方法300は、複数の周波数波形信号を駆動信号として生成することを含む(ブロック302)。方法300は、身体に対して保持された共鳴表面の共鳴変位を生成するそれぞれのHDVE慣性ドライバデバイスのうちのある慣性ドライバを駆動して(ブロック304)、身体内の組織の容積を通じてせん断波場を誘導することを含む。方法300は、身体に対して保持された音響センサにより音響パルスを送信して音響エコーを受信することを含む(ブロック306)。方法300は、音響エコーを分析して、身体の組織を通じて通過した複数の周波数波信号中の周波数のうちの少なくとも一つに対する組織変位または組織速度を算出することを含む(ブロック308)。方法300は、複数の周波数波信号中の周波数の内の少なくとも一つに対する組織の容積内の組織変位または速度からせん断波速度を算出して、剛性を決定し、2つ以上の周波数に対して実行された場合、粘性も算出する(ブロック310)。1つ以上の実施形態において、せん断波場は、0.1~50μmの範囲内の変位を生成するために充分な出力を持つ0.1Hz~80kHzの音響周波数範囲内の(i)クローリング波、(ii)残響波および(iii)一方向波のうちの選択された一つである。その後、方法300は終了する。
【0103】
1つ以上の実施形態において、方法300は、台上の検査対象の身体をHDVE慣性ドライバデバイスと皮膚接触させることを含む。方法300において、複数の周波数波信号は、和音とすることができる。例えば、和音は、10~15以上の離散した周波数を含むことができる。和音は、数百の離散した周波数を含むことができ、また一時にすべての周波数を持つ白色ノイズとすることができる。ある典型的な実施形態においては、周波数が一時に発生し、これにより各々の周波数が同一の条件下で組織の同一の領域を通じて通過するようにする。
【0104】
1つ以上の実施形態において、応答を分析するに際して、ドップラー超音波を使用して、組織の変位または速度を算出する。スクリーン上に置かれる次の(a)スクリーン上での通常超音波出力表示(Bモード、グレースケール)、(b)カラーマップとして剛性画像がオーバーレイされた通常Bモード表示および(c)粘性画像をオーバーレイした、または剛性と粘性とが一緒に両方通常Bモード超音波画像上にオーバーレイされた通常Bモード表示のうちの1つ、2つまたは3つを選択する。粘性は、一般的には、剛性が周波数の関数としてどのように変化するかの関数として算出される。1つ以上の実施形態において、3つすべての入力は、内側プローブとすることができる同一の入力センサを通じる。例えば、超音波ワンドは、超音波をピングアウトし、その後、セラミックとすることができる圧電結晶を通じて読み出す。波が到来するに連れて、圧電結晶(もしくはセラミック)は、跳ね返る超音波(エコー)を聴取して受信する。
【0105】
1つ以上の実施形態において、本開示は、エラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ撮像で使用されるシステムおよび方法を提供する。1つ以上の他の実施形態において、本開示は、非破壊テストおよび地震マッピングのために音響振動を利用するためのシステムおよび方法を提供する。
【0106】
1つ以上の実施形態において、本開示は、せん断波および縦波ベースのエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ用の安全で単一のマルチソース式外部HDVE慣性ドライバに対する残響波場、クローリング波場および他のせん断波場および縦波場を含む、身体または物体内に縦波場、横波場およびせん断波場を作成するためのシステムを提供する。
【0107】
1つ以上の実施形態において、システムは、単一の周波数または様々な周波数、位相および振幅の複数の正弦波、三角波、方形波、複合波(ノイズを含む)を持つそれなどの単一、複数および任意の波形を生成および注入できるHDVE慣性ドライバソースなどの音響エネルギーソースを含む。これらのソースの1つ以上が身体または物体上に設置されたとき、独立した波形を、関心のある組織または領域中に注入して方向付けし、残響せん断波場、クローリング波、せん断波場または他の波動場を作成することができる。
【0108】
1つ以上の実施形態において、いくつかの要素が、特により大きく肥満した身体内に深く貫通するために人間内に残響せん断波場を作成するために使用される。これらは、(a)深部組織内でせん断波から少なくとも0.5マイクロメータ~50マイクロメータの変位を生成することが可能な20Hzを越えるところで動作する複数のソースを含む。ソースは、最小の加熱で長時間走査にわたって高い効率を有しなければならず、(b)あるいは、可撓性要素を1つもしくは2つの離散ソースに組み込むことにより作成された拡張ソースを含み、(c)エラストグラフィの関心のあるエリアの近傍の表面上に付着する特殊設計された接触表面ドームを含み、(d)少なくとも0.1ポンドの接触力をいくつかの組織に対してドームに印加し、(e)接触力を迅速に印加しその後に除去して、臨床医が必要とする検査時間および作業を短縮する。
【0109】
1つ以上の実施形態において、本開示は、撮像対象に隣接して位置決めされるように構成され、機械的エネルギーを対象の組織または材料中に付与するように構成されたHDVE慣性ドライバまたはHDVE慣性ドライバシステムを含むエラストグラフィのためのシステムおよび方法を提供する。1つ以上の実施形態において、外部HDVE慣性ドライバソースが含まれ、エラストグラフィおよびビスコエラストグラフィで使用される身体内の組織の容積または対象内の材料の容積中にせん断波を誘導するように構成される。
【0110】
1つ以上の実施形態において、本開示は、部材に機械的にまたは音響的に結合された撮像対象の外部の音響エネルギーソースを提供し、部材の遠位端部は、対象の表面に接触するように適合される。部材に結合された音響エネルギーは、少なくとも部材を機械的に振動させ、対象内にせん断波を生成させる。部材は、好ましくは、少なくともある部分上で可撓性であって、対象の輪郭付けを容易化する。
【0111】
1つ以上の実施形態において、部材は、対象上の選択されたロケーションに位置決めされ、生成された波の検出は、生成された波により作成された画像を解像することが可能なイメージャを持つ部材により生成されたせん断波を撮像することにより実行される。1つ以上の実施形態において、イメージャは、超音波および磁気共鳴撮像(MRI)を含む1つ以上の撮像デバイスであり得るが、これに限定されない。
【0112】
1つ以上の実施形態において、音響エネルギーソースは、部材に、その軸に沿って縦方向に振動させる。別の実施形態において、音響エネルギーソースは、トランスデューサの振動運動を、好ましくはその軸に沿って引き起こす。当業者は、部材と対象の身体の表面との間の機械的接触は、機械的エネルギーの隣接する材料への伝達およびせん断波の生成を保証することを理解するであろう。
【0113】
1つ以上の実施形態において、システムは、音響アクチュエータ(触覚トランスデューサ)に結合され、これを制御するように構成されたコントローラを含む。ある部材は、第一端部が音響アクチュエータに結合され、第二端部が対象の材料または関心のある組織領域に隣接して位置決めされている。1つの実施形態において、アクチュレータは、例えば、部材の第一端部を繰り返し振動させることにより音響エネルギーを部材中に結合する。このようにして、部材の縦方向振動により引き起こされた機械的波が、組織中に投影されて、せん断波を作成する。
【0114】
1つ以上の実施形態において、システムはコントローラを含み、このコントローラは、縦波およびせん断波の周波数が、例えば0.1Hz~5000Hzの範囲内になるようにさせ得る。1つ以上の実施形態において、システムはコントローラを含み、これは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、100、120、140、160、180、200Hz以上の周波数の縦波およびせん断波を引き起こし得る。1つ以上の実施形態において、システムはコントローラを含み、これは、最大で5000、4000、3000、2500、2000、1500、1000、800、600、400、200Hz以下の縦波およびせん断波の周波数を引き起こし得る。
【0115】
コントローラはまた、医療撮像装置(図示せず)の撮像シーケンスと同期して部材の振動をパルス化する、または部材を連続的に振動させるように設計され得る。
【0116】
1つ以上の実施形態において、システムは、コンピューティングシステムを含み、これは、プロセッサ、データストレージおよび論理を含み得る。これらの要素は、システムもしくはバスまたは他の機構により結合され得る。プロセッサは、1つ以上の汎用プロセッサおよび/または専用のプロセッサを含み得るとともに、システムからの出力のまたはこれに対して分析を実行するように構成され得る。ある出力インタフェースが、コンピューティングシステムからの出力をディスプレイに伝達するように構成され得る。コンピューティングシステムはさらに、トリガ信号を音響アクチュエータおよび信号発生器のうちの任意のものに送信するように構成され得る。そのようなトリガ信号は、アクチュエータを信号発生器と同期させるためにコンピュータシステムにより送信され得る。
【0117】
プロセッサはさらに、アクチュエータを制御する、例えばそれをオンまたはオフしたり、感知パラメータを設定したり、較正設定を提供したりしてアクチュエータを制御し得る。例となるコンピューティングデバイスは、プロセッサ、メモリ、入/出力インタフェースおよび通信インタフェースを含む。あるバスが、コンピューティングデバイスの2つ以上の構成要素間に通信経路を提供する。構成要素は、図示目的で提供し、限定するものではない。コンピューティングデバイスは、追加のもしくはより少ない構成要素または複数の同一の構成要素を有し得る。プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ機能性に影響するその他の回路またはそれらの組み合わせならびに関連付けられた論理およびインタフェース回路のうちの1つ以上を表す。メモリは、情報(例えば、命令およびデータ)を記憶するための揮発性および不揮発性のメモリのうちの一方または両方を表す。メモリの例には、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、RAMもしくはROMデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスクもしくはリムーバブルディスクまたは磁気テープ、磁気光ディスク、CD-ROMおよびDVD-ROMディスク、ホログラフィックディスクなどの磁気メディアなどを含む。
【0118】
別の実施形態において、部材は、波を組織中に付与する可撓性膜を含む。別の実施形態において、システムは、音声増幅器に結合された関数発生器を含む。音声増幅器は、HDVE慣性ドライバに変換されたラウドスピーカなどの音声出力デバイスを駆動する。本発明の別の実施形態においては、部材は、可撓性膜を含む。膜は、音声出力デバイスに結合される。本発明の別の実施形態においては、部材は、音声出力デバイスに流体的および空気圧的に結合され得る。本発明の別の実施形態においては、部材は、中空体ならびに弾性もしくはしなやかな膜を含み、これは機械的な波伝搬を可能とする。膜が振動する作用により縦波とせん断波の両方が生成するが、せん断波は、好ましくは膜の縁にて生成する。
【0119】
本発明の別の実施形態においては、関数発生器および音声増幅器を含む音声出力デバイスは、1つ以上の所望の周波数で時間変動する空気圧を誘導し、音響エネルギーは、部材に伝達される。部材内で時間変動する圧力を印加すると、膜および部材を振動させる。膜の振動を通じて、縦波およびせん断波は、関心のある組織領域中に伝搬される。
【0120】
本発明の別の実施形態においては、関数発生器は、縦波およびせん断波の周波数を、例えば30Hz~3000Hzの範囲内にする。関数発生器はまた、医療撮像装置(図示せず)の撮像シーケンスと同期して部材の振動をパルス化する、または遠位部材を連続的に振動させるように設計され得る。
【0121】
当業者は、広い範囲のHDVE慣性ドライバが本発明により考えられることを理解するであろう。例えば、HDVE慣性ドライバは、電磁アクチュエータ、圧電アクチュエータ、またはHDVE慣性ドライバに変換された空気圧アクチュエータであり得る。
【0122】
1つ以上の実施形態において、駆動信号は、例えば、0.01Hz~80,000Hzの範囲内の周波数で電力増幅器からHDVE慣性ドライバ中に駆動される25Vのピーク電圧を持つ正弦波信号であり得る。別の実施形態においては、5V振動のピーク電圧が、30Hz~300Hzの範囲内の周波数で生成され得る。別の実施形態においては、振動は、50Hz~1000Hzの範囲内の周波数で生成され得る。信号は、撮像に干渉し得る高周波数ノイズを除去する、例えば2kHzの遮断周波数で低域通過フィルタリングされ得る。信号は、バーストモードまたはパルス化モードで生成され、好ましくは、撮像が振動と同期されるように制御される。連続信号が替わりに、所望された場合には生成され得る。
【0123】
別の実施形態においては、システムはデジタル信号プロセッサを含み、これは、信号を二次増幅器を通じて伝達し、この増幅器は、信号を、好ましくはフィルタリングされていない状態で、HDVE慣性ドライバ装置に伝達する。
【0124】
ある実施形態において、電気活性トランスデューサは、少なくとも1つの統合能動的フィードバック制御ループおよび少なくとも1つの統合増幅器を有する。電気活性トランスデューサは、位置センサ、方位センサ、力センサ、負荷センサ、温度センサ、圧力センサ、近接センサ、光学センサ、電気センサおよび/または磁気センサのうちの1つ以上を含み得るとともに、そのようなセンサのうちの少なくとも一つからの入力を使用して、増幅器への少なくとも1つの信号を制御して、1つ以上のHDVE慣性ドライバの周波数応答を制御するために使用することができる。
【0125】
いくつかの実施形態においては、HDVE慣性ドライバ配列は、ウェアラブルデバイスに組み込まれ得る。デバイスは、ユーザの身体に対して設置されたまたは身体に着用されたもしくは身体に対して位置決めされた衣類に組み込まれた別個のユニットであり得る。HDVE慣性ドライバは、したがって、バックパック、ベスト、ボディスーツ、ジャケットまたは任意のガーメントもしくは衣類を含むがこれらに限定されない、任意のタイプのウェアラブル製品に組み込まれ得る。
【0126】
1つの実施形態においては、HDVE慣性ドライバは、能動的フィードバック制御ループおよび増幅器を含む。能動的フィードバック制御ループは、HDVE慣性ドライバ配列と統合され得る。さらに、増幅器は、HDVE慣性ドライバと統合され、増幅器とHDVE慣性ドライバとが、単一のユニットに統合されることを含み、緊密な近接性にあり得る。能動的フィードバック制御ループは、増幅器に動作可能に接続された1つ以上のセンサを含み得るが、例えば、1つ以上のセンサからの出力が1つ以上の後続のプロセスに対する入力として使用され得るが、例えば、それらを使用して、少なくとも1つのHDVE慣性ドライバを制御するのに適切な出力電気信号を提供する増幅器に対する少なくとも1つの信号を制御して、そのような能動的フィードバック制御ループにより決定された最適な周波数応答および/または他の特徴を提供し得る。
【0127】
いくつかの実施形態においては、フィードバック制御DSP(すなわち、フィードバック制御デジタル信号プロセッサ)、デジタルアナログコンバータ(DAC)、増幅器、HDVE慣性ドライバ、ならびにHDVE慣性ドライバおよびフィードバック制御DSPと動作可能に係合したセンサを含むHDVE慣性ドライバ中に最適な周波数応答を提供するためのシステムを開示するが、センサからの入力が、増幅器への少なくとも1つの信号を制御し、これによりHDVE慣性ドライバの周波数応答を制御する。いくつかの実施形態においては、センサは加速度計を含み得る。最適の周波数応答はまた、周波数と、周波数スペクトルの特定の部分をブーストするまたは減衰させることに基づく強度との間の関係に基づき得る。
【0128】
いくつかの実施形態において、制御システムが、そのような制御システムによる通信の異なるサンプルレートおよび周波数に対して異なるセンサ(および/またはそのセット)を構成し得る。いくつかのセンサは、到来する生のセンサデータに作用して、例えば、平均、最大最小、ポアソン分布、または1つ以上の制御システムへの通信に適した他の処理された出力を生成する1つ以上のアルゴリズムを採用し得る。
【0129】
1つの実施形態において、HDVE慣性ドライバは、電気信号を運動に変換するトランスデューサを含む。1つ以上の膜が、HDVE慣性ドライバに結合される。1つ以上の膜は、HDVE慣性ドライバからの振動をユーザの身体に転送する。第一センサは、HDVE慣性ドライバの振動を監視する。1つ以上の回路が、HDVE慣性ドライバの振動を監視する第一センサから受信した信号に基づいて電気信号を生成する。
【0130】
1つの実施形態において、1つ以上の回路は、第一センサから音声入力信号と信号とを受信するデジタル信号プロセッサ(DSP)であって、音声入力信号を処理して、修正された信号を第一センサからの信号に基づいて生成するDSPと、修正された信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ(DAC)と、アナログ信号を増幅して、HDVE慣性ドライバに対する電気信号を生成する増幅器とを含む。
【0131】
1つの実施形態において、HDVE慣性ドライバはエンクロージャを含み、第一センサおよび増幅器はエンクロージャ内に位置決めされる。1つの実施形態において、第一センサは、1つ以上の膜内に埋め込まれる。1つの実施形態において、1つ以上の回路が、第一センサから受信した信号に基づいて電気信号の等化を調整する。1つの実施形態において、1つ以上の回路は、所望された周波数応答を、第一センサから受信した信号により示された振動の周波数応答を比較して、比較に基づいて電気信号の等化を調整する。1つ以上の圧力センサが、例えば膜、理想的にはユーザと直接に接触している膜内に埋め込まれ、これによりそのような膜に対するユーザの相対的な圧力が測定され得るようにし得る。この測定値を使用して、膜に対するユーザの相対的な位置を算出し得る。
【0132】
いくつかの実施形態においては、多くのタイプのセンサを展開して、能動的フィードバックシステム内の1つ以上のDSPにより処理され得るセンサ出力信号の形態で情報セットを提供し得る。次の非限定的な例を以下に説明する。
【0133】
センサは、振動レベルをキャプチャして、キャプチャされた振動レベルを示す出力信号を生成するために使用される加速度計であり得る。キャプチャされた振動レベルを、DSPの初期化および構成および/またはHDVE慣性ドライバの出力の監視のために使用して、アプリケーションに対する周波数特徴を最適化および/またはカスタマイズする。ある加速度計を使用して、特定の周波数帯域内の振動を検出して、保護または強化目的でフィードバックシステムの応答を調整し得る。例えば、システム内に埋め込まれたある加速度計を使用して、1つ以上の特定の故障モードと相関された周知の周波数帯域内の振動を検出することができる。能動的フィードバックシステムはその後、測定の臨界性にしたがって応答を調整、制限または停止し得る。
【0134】
センサは、加速度計などの物理的または磁気的位置センサ、ホール効果センサ、ジャイロスコープもしくは水銀傾斜スイッチなどの方位センサ、電気的もしくは機械的圧力センサ、フォトダイオードもしくはフォトディテクタなどの光学センサであり得る。センサは、個別にまたは他のセンサと組み合わせて使用して、以前の状態に対するユーザの位置または方位の変化を監視または検出し得る。ユーザの位置または方位の変化を監視または検出するためのシステムは、これらのセンサの組み合わせを含むおよび/またはこれらのセンサのアレイを形成して、HDVE慣性ドライバ配列に対するユーザの位置の変化を検出し得る。これらのセンサまたはセンサアレイを使用して、環境および/または互いに対するユーザおよび/またはHDVE慣性ドライバ配列を初期化および構成し得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、他のセンサ、例えば力センサおよび負荷センサの組み合わせを含み得る圧力センサが、ユーザが印加している圧力の量を示すセンサ出力信号をHDVE慣性ドライバ装置に提供し得る。この情報を、HDVE慣性ドライバ配列の初期化および構成のために使用することができる。この情報はまた、ユーザの存在を検出し、ユーザが存在しない場合に、出力を変動させる(ミューティングを含む)ために使用され得る。これは、ユーザが着用しているおよび/またはユーザが、例えばベッドや椅子に座って対向しているHDVE慣性ドライバ配列の相対的および絶対的位置決めを含み得る。
【0136】
近接センサは、例えばフォトレジスタおよびまたは光学的もしくは赤外線LEDを採用して、光学的および/または赤外線波長の反射および/屈折を決定して、HDVE慣性ドライバ配列に対するユーザの近接性を決定し、この近接性を示すセンサ出力信号を生成し得る。例えば、そのようなセンサをベッドもしくは背もたれ内およびウェアラブルトランスデューサ配列内に設置して、ベッドまたはシートに対するユーザの距離の変動を決定して、ユーザが自分の背中がベッドから離れているか、椅子で前傾しているか、このようにしてHDVE慣性ドライバアレイに対する接続性が減少しているかを決定し得る。この例においては、DSPは、HDVE慣性ドライバ配列の出力を増加させて、ユーザが知覚する信号の一定の振幅を維持し得るおよび/またはHDVE慣性ドライバ配列内の固有のトランスデューサに対する振幅を増加または減少させる、例えばベッドの一方の側または椅子のベースにおいては振幅を増加させ、同時にベッドの他方の側または背もたれにおいては振幅を減少させ得るが、そのようなベッドまたは椅子は、そのようなHDVE慣性ドライバ配列とフィットしている。
【0137】
バックEMF(電磁場)センサを使用して、HDVE慣性ドライバ配列内の1つ以上のHDVE慣性ドライバの動作を感知して、例えば、DSPに印加され得るPWM(パルス幅変調)出力を生成し得る。そのような信号は、HDVE慣性ドライバ配列の動作を安全な動作ゾーンに維持することを通じてHDVE慣性ドライバ配列の保護のためおよび/または信号の最適化および/または分散の両方により、適切なせん断波場をユーザに提供するために使用し得る。
【0138】
様々なセンサを使用して、HDVE慣性ドライバの振動を測定することができる。例えば、加速度計を使用して、HDVE慣性ドライバの力または加速度を測定し得る。磁力計を使用して、磁束を測定し、これによりHDVE慣性ドライバの力を測定し得る。ガルバニック皮膚反応センサ(例えば、EKG)は、HDVE慣性ドライバ配列により提供される振動場とのユーザの係合を最適化するためにDSPが利用可能にし得る生理学的情報セットを提供し得る。
【0139】
温度センサは、接触タイプまたは非接触タイプのどちらかのセンサであり得る。温度センサは、HDVE慣性ドライバ配列および/または、増幅器などの支持構成要素を含む構成要素の温度を監視するために採用され得る例となるタイプを含み得るが、それに限定されない。熱電対またはサーモパイルを使用して、HDVE慣性ドライバ要素、電気的要素または機能的もしくは表面的なエンクロージャの温度を監視し得る。臨界的制限、例えば、構成要素を損傷しかねない温度またはユーザに対して不愉快であるような温度を超えた場合、DSPは、その出力を軽減させるまたはその出力をミューティングすることができる。温度センサの例は、サーモスタット、サーミスタ、抵抗温度検出器および熱電対を含む。
【0140】
DSPプロセッサは、能動的フィードバックシステムの一部を形成し得る。1つのDSPプロセッサまたは複数のDSPプロセッサは、ユニットに対して統合されるおよび/またはユニットの外部にある、デバイスに有線でもしくは無線で接続される、またはネットワークを介して遠隔にあり得る。DSPプロセッサは、1つ以上のセンサからの入力を受け入れ、そのような入力を評価し、この入力に基づいて1つ以上のアクションを取るように作用する。DSPは、HDVE慣性ドライバ配列の固有の動作状況を表すセンサ入力サンプルのリポジトリを有し得る。例えば、これは、垂直にまたは水平にアラインメントされたHDVE慣性ドライバ配列に対するセンサの応答を含み得る。いくつかの実施形態においては、これは、最適な周波数応答またはそのようなセンサまたは他のセンサおよび/またはユーザにより選択されたセンサにより測定された他の振動特徴を表す1つ以上のセンサにより作成された1つ以上のパターンを含み得る。DSPは、センサ入力および測定値、測定値の算出および相関化、臨界的測定値、臨界的障害および臨界的障害の頻度、特定の条件に対して実行される補正および強化、ならびにシステムもしくは特定のサブシステムの一般的な状態などの情報を記憶し得るが、これに限定されない。DSPプロセッサはまた、ローカルにまたはネットワークを介して、サブシステムにまたは外部システムにそのような情報を通信し得る。DSPはまた、構成情報、サブシステムまたは外部システムからの更新された設定またはシステム状態設定をローカルにまたはネットワークを介して受信し得る。
【0141】
DSPは、プロセスを始動して、到来する振動信号を修正して、HDVE慣性ドライバ配列に接続された増幅器に供給されたときに、最適化されたおよび/または固有の周波数応答または他の振動特徴を生成し得る出力信号を作成し得る。
【0142】
DSPプロセスは、例えば、ベッド、シートまたは他の環境的アーチファクトにより引き起こされる特有の共鳴を除去するために、Q(フィルタの急峻さ)のレートを変動させることによるフィルタリング(ノッチ、高、低、マルチバンド、バンドパスなど)を含み得る。DSPは、ある範囲のアルゴリズムを採用して、増幅器に供給される信号を変動させ得る。そのようなアルゴリズムは、例えば入力信号の分析および/またはセンサ出力信号の分析を通じて展開され得る。DSPはまた、増幅器の出力を監視して、増幅器の動作により引き起こされる任意の食い違いに合わせてさらに調整し得る。他のプロセスは、出力振動信号を制限して、過渡現象および他のピークを軽減させ、振動信号を圧縮して、全体的な動的範囲を軽減させ、より首尾一貫した動作レベルを生成することを含み得る。他のプロセスは、出力振動の位相アラインメントを含むことができ、これにより振動信号が潜在的に他の振動信号、例えば他の独立に駆動されるHDVE慣性ドライバなどからの振動信号と揃えるようにすることを含むことができる。
【0143】
DSPはまた、出力信号を減衰させたり、いくつかの場合においては、出力を完全に除去するように作用し得るのだが、一般的にHDVE慣性ドライバを保護するセンサ、例えば加速度センサおよび温度センサからの入力およびそのような情報の評価に応答している。加速度が超過し得る場合、または、HDVE慣性ドライバが、HDVE慣性ドライバにとって安全な動作環境を越える場合、および/または、例えばHDVE慣性ドライバのコイルが安全な動作条件を越えて熱を生成していることを示す温度測定値を示し得る場合である。DSPは、いくつかの実施形態においては、複数のセンサ入力を相関させて、偽陽性を回避するおよび/またはそのような入力を記憶された値と比較して、1つ以上の閾値を超過するより前に、出力信号の適切な変動を決定して、故障状態を回避し得る。
【0144】
DSPは初期構成状態を有し得るが、これによりDSPは固有の振動信号を生成し、その後センサを採用して、そのような信号を測定して、患者または物体内の1つ以上の臓器または組織に対する固有のHDVE慣性ドライバ配列に対して最適な振動出力を作成し得る。そのような構成はDSPにより記憶され得るとともに、入力信号に対して修正を生成して、患者または物体に対する振動場を最適化する特徴を持つ出力信号を作成し得る。いくつかの実施形態においては、これは、DSPが、例えば左側の膜の固有の点からインパルスを作成するなどの、例えば触覚興奮を通じて患者または物体に対して命令を提供することを伴い得るが、これが患者または物体に左側に傾くように通知し、このため膜に対するそれらの身体位置が決定され得るとともに、出力信号が最適な振動応答を提供するように調整され得る。例えば、1つのパルスは膜が内側に曲がることを意味し得るとともに、2つのパルスは膜が外側に曲がることを意味し得るとともに、3つのパルスは、このような構成の完了を意味し得る。DSPプロセッサはまた、到来する振動信号を受け入れてその信号を処理し、これでHDVE慣性ドライバ配列に適切な周波数が提供されるようにし得る。
【0145】
図4~19は、本革新およびその詳細のいくつかの実施形態を示す。当業者は、本発明が、様々な周波数、位相および振幅ならびにランダムなノイズ、単一正弦波、複合音声波形および他の任意の波形を持つ複数の正弦波を連続的にまたは同時に身体または物体中に注入することができる。したがって、本発明は、エラストグラフィ、ビスコエラストグラフィ、クローリング波エラストグラフィ、残響エラストグラフィおよびその他の多くの形態を含む様々なアプリケーションに対して使用することができることを理解されるであろう。
【0146】
図4は、1つ以上の実施形態による、身体に結合され、すべてが電気通信を介して接続されたマルチチャネル音声入力、電力ソース(例えば、ACまたはバッテリ)を使用するマルチチャネル増幅器により駆動される4つのHDVE慣性ドライバ(ソース)を使用して身体内に残響場を生成するシステムを示す。1つの実施形態においては、電気通信は、AC電力コード、音声ケーブルおよび標準のラウドスピーカケーブルから成る。当業者は、これらの通信のいくつかは無線および/またはバッテリで電力供給されることができることを理解されるであろう。このセットアップはまた、残響せん断波場、クローリング波動場および、患者または物体内で生成される他の有用な場を可能とする。この図においては、「触覚音声トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0147】
図5は、身体または物体に対して
図4のHDVE慣性ドライバを保持する1つ以上の実施形態によるハーネスを示す。
【0148】
図6は、身体または物体、この場合は超音波プローブの撮像部位の近傍の必要とされるところにHDVE慣性ドライバを設置することを可能とする1つ以上の実施形態によるハーネスを示す。
【0149】
図7は、超音波撮像で使用される手足または首または子供の胴体内に残響せん断波場(図示する)、クローリング波動場(図示せず)または他の有用な場を生成する1つ以上の実施形態によるハーネスシステムを示す。この図においては、「触覚音声トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0150】
図8~10は、身体または物体に対してHDVE慣性ドライバを位置決めして保持する1つ以上の実施形態による適合可能ハーネスシステムを示す。
図8は、ハーネスストラップ、容易なオンオフおよび調整可能なストラップ長のための迅速接続ファスナおよびHDVE慣性ドライバを保持するハーネスポケットの身体接触表面を示すハーネスの図である。
図9は、ハーネスポケットの外側表面(非接触表面)を示す同一のハーネスの図である。
図10は、身体に取り付けられたハーネスシステムの図である。
【0151】
図11は、残響せん断波場(図示する)、クローリング波動場(図示せず)または他の有用な場を生成する、補足ストラップがあったり無かったりする迅速オンオフのための身体に対してHDVE慣性ドライバを位置決めして保持する1つ以上の実施形態によるスプリングバー「ヘッドフォンスタイル」システムを示す。超音波プローブが設置されるゾーンまたは領域に干渉することなくまたはこれを物理的にブロックすることなくHDVE慣性ドライバの位置決めを可能とするオフセットを持ったスプリングバーの正面図を示す。患者の背面側の周りのオプションのストラップは、この特定的な図には示されていない。このスタイルは、肥満および非肥満の成人、子供、乳児およびその他の物体の胴体、脚、腕および首に対するアプリケーションを有する。この図において、「音声トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0152】
図12は、残響、クローリング波または他の有用な波動場を生成する1つ以上の実施形態による埋め込まれたHDVE慣性ドライバを持つマットを示す。患者は単にマット上に横たわるまたは物体がマット上に設置される。そのようなシステムは、多数のHDVE慣性ドライバを含むことができる。この図においては、「音声トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0153】
図13は、ドライバを、肋骨、腰または他の身体部分に対して迅速に位置決めし、同時に駆動することができる(例えば、一つのセットを肋骨に対して設定し、第二のセットを腰に対して設定し、他の組み合わせも同様)、1つ以上の実施形態による患者接触ドームを含むHDVE慣性ドライバの設置を調整するためのスライドチャネルを持つマットを示す。1つのアプリケーションにおいては、複数のシステムを使用し、システムのうちの一つを肋骨の近傍の台上に横向きに設置し、第二システムを腰の近傍の台上に横向きに設置し、その後、患者はそれらの頂部に横たわり、HDVE慣性ドライバを、各々のドライバドームが所望される角度および力で患者に接触するまで両側から患者に向けて運動させる。
【0154】
図14は、迅速ロックドライバ装置を有する、1つ以上の実施形態による
図13のスライドチャネルHDVE慣性ドライバシステムを示す。スプリング(金属またはプラスチック)、エラストマもしくは可撓性アームを持つヒンジが、患者の接触力の調整を可能とする。
【0155】
図15は、
図14のスライドチャネルHDVE慣性ドライバシステムに対する、1つ以上の実施形態によるネジ式T形状ロックを示す。
【0156】
図16は、2つのスライドトラックHDVE慣性ドライバシステム(2つの同一のシステムを示す)のある実施形態を示す。3つの金属スプリングを持つ可撓性アームヒンジは、各々が患者の接触角度および力の設定を可能とする。
【0157】
図17は、スライドトラックHDVE慣性ドライバシステムに対する、1つ以上の実施形態による圧力ロックを示す。この図においては、「トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0158】
図18は、超音波プローブと統合された、1つ以上の実施形態によるHDVE慣性ドライバを示す。この図において、「ゴム搭載」は、合成粘弾性ウレタンポリマーなどの「振動抑制粘弾性材料」を意味する。この図においては、「トランスデューサ」および「電気機械振動ドライバ」は、HDVE慣性ドライバを意味する。
【0159】
図19は、1つ以上の実施形態による超音波経直腸プローブと統合された小型HDVE慣性ドライバを示す。ドライバは、超音波トランスデューサアレイの両側に埋め込まれる。1つ以上の実施形態において、システムは、経食道エコー(TEE)超音波プローブ用に構成し得る。
【0160】
図20は、信号ソースの全体的なフロー図と、走査される患者または材料内の物理的振動へのそれらの変換とを示す。
【0161】
図21は、可撓性ジョイントにより互いに対して接続された4つの頂部プレートのアレイに配列された4つのHDVE慣性ドライバを有するマルチチャネルクワドロ共鳴器ボードを含む別の実施形態を示し、各々の頂部プレートは単一の共通する個体底部プレートまたは台に対して鋼スプリングにより接続される。
【0162】
マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードは、可撓性(ゴム、シリコーンまたは他の材料)ジョイントにより接続された複数の接触パネルから成る1つから複数のHDVE慣性ドライバを持つ振動ボードであり、各々のパネルは、独立に鋼スプリングにより吊されている。1つ以上の実施形態において、複数のパネルを有することにより、システムは、各々のパネルを独立して駆動することを可能とし、これでモノ、ステレオおよびマルチチャネルの振動分配の複雑なパターンを許容する。マルチチャネルの振動分配は、パニング、位相シフト、ヘテロダインおよび他の形態の音声再生パターンなどの効果を含み得る。マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードは、残響波およびクローリング波のエラストグラフィ撮像などの医療撮像技法目的で人間の身体で使用されるように、また粘弾性液体および固体などの他の材料の撮像目的で使用されるように設計される。
【0163】
図22は、各々のドライバが電気的接続(ワイヤ)によりマルチチャネル音声増幅器に接続される、4つの頂部プレートのアレイに配列された4つのHDVE慣性ドライバプレートを有するマルチチャネルクワドロ共鳴器ボードを含む別の実施形態を示す。マルチチャネル音声増幅器は、複数の音声信号ソースから入力を受信する。
【0164】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムはスケーラブルであり、1つのプレートから最大で2、3、4、5、6、7、8、9または10以上のプレートを含み得る。1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、生きている患者に使用され、プレート毎に2つのドライバを含む。
【0165】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、2つ以上のプレートを含み、各々のプレートは、それ自身のHDVE慣性ドライバを、用途に依存して、プレート毎に1、2、3、または4以上のHDVE慣性ドライバ、およびシステム毎に1、2、3、または4以上のプレートを含むことができる。
【0166】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、身体全体に対して使用され、10、12、14、16、18または20以上の独立したプレートを含む。
【0167】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、複数のドライバを組み込み得るHDVE慣性ドライバエンクロージャを形成する2つ以上のプレートを含む。いくつかの実施形態においては、 HDVE慣性ドライバは、可撓性材料中に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態においては、エンクロージャは、HDVE慣性ドライバおよび関連付けられた構成要素により生成された熱の分散に適切な金属などの材料から成り得る。そのような金属は、アルミ、鋼、銅などのような金属を含む。これらは、セラミック、ポリマー、炭素繊維複合体、木材および天然繊維複合体、半導体などの熱分散特性を有する他の材料と組み合わせられ得る。エンクロージャはまた、搭載能力を組み込み、これが、エンクロージャをウェアラブルな衣類、シート、コーチおよび他のアーチファクトに取り付けることを可能とする。エンクロージャは、その用途に依存して剛性または柔軟性であり得る。
【0168】
理論により束縛されることを望むものではないが、スプリング、バンドまたは他の張力デバイスを含む共鳴器ボードが結合されている性質は、個々のクワッドが独立して、または、個々のクワッドが他のクワッドと協調して、過剰なせん断波場(クローリング波、残響波、一次一方向波などを含む)を生成する能力を備えると信じられているのであるが、過剰なせん断波場の過剰とは、他の実施形態で到達するのは困難な振幅および周波数ということである。本発明は、周波数範囲および熱問題を含む、この技術分野における様々な既知の問題を解決するが、それは、本システムが、必要に応じて、より大きい範囲の周波数を生成するとともに、患者から熱を安全に逃がすことができるからである。くわえて、本発明は、検査台または手術台に容易に設置することに対応しており、システムは、追加の振動を患者の固有の身体部分上に付与するように弾性のベルトまたはファブリック上に補足のHDVE慣性ドライバを含むように容易に拡張可能である。本発明のシステムは、必要であれば、安全にケーブルを配置し、ドライバ回路用に十分な空間を提供する。くわえて、本発明のシステムはまた、複数の患者接触点を提供するように適合することができる(例えば、様々な形状の複数の突出部を1つ以上の実施形態に含むことができる)。
【0169】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、出力信号のクリッピングを回避するために最大の公称電力出力以下の90、80、70、60、50、40、30または20パーセント未満の電力出力に設定された増幅器システムを有し得る。1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステム増幅器は、平坦な出力応答を提供するために等化され得る。1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムはさらに電力制限機能をDSP内に含み得るが、これはクリッピングを不可能とする。
【0170】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムはさらに、頭および脚用のクッションを持つファブリック設計と、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードの下方および/または上方のマットとを含み得る。1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムは、共鳴器ボードおよびクッションを保持し、システムを、輸送目的で(三つ折り財布のように)折り畳むことを可能とする。
【0171】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステム内のHDVE慣性ドライバシステムは、MISCO、AURA、Clark Synthesis、Tectonic Elements、Dayton Audio、Visaton、Vidsonic、Guitammerなどにより提供されるものなどの振動トランスデューサを含み得る。
【0172】
1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムはさらに、能動等化(EQ)システムを含み得るが、例えば400ポンドの人間がこのボード上に横たわるとき、EQ設定は、事前設定されたEQ設定を自動的に調整または選択して、追加された重量を収容し、そのためボードは音響的には中性(平坦)のまま留まる。1つ以上の実施形態において、マルチチャネルクワドロ共鳴器ボードシステムはさらに、ボード内に加速度計を含み、DSPにフィードバックして、ボードのEQを活性に制御し得る。
【0173】
図23は、1つ以上の実施形態による、1つ以上の重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムが検査場を妨害することなく組織に隣接して位置付けられた胸部などの身体の表面の近傍の組織に対する重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムを含む別の実施形態を示す。
【0174】
図24及び
図25は、
図23の重み付けされたHDVE慣性ドライバシステムの実施形態を示すが、1つ以上の実施形態による、このHDVE慣性ドライバシステムは、患者の皮膚に接触して、ラウドスピーカコーンと患者の皮膚との間に密閉された空気カラムを作成する筐体内に埋め込まれたラウドスピーカから成り、ラウドスピーカコーンと患者の皮膚とを分離する。1つ以上の実施形態において、選択された可変の波形を伝達して、エラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ測定または撮像で使用されるように身体または物体内にせん断波を誘導するための装置が提供されるが、これは、(a)電気信号を物理的振動に変換するまたは再現することが可能な1つ以上のHDVE慣性ドライバと、HDVE慣性ドライバは、身体または物体に物理的に接触する筐体に搭載されて、選択された周波数および振幅ならびに正弦波、方形波、三角波およびノイズを含む他の複合した波形形状などの任意の複合波形のせん断波を誘導し、(b)装置を動作させ、1つ以上のHDVE慣性ドライバの周波数、波形形状、固有周波数の振幅および位相、固有波形構成要素の振幅および位相、ならびに全体的波形振幅および位相を制御するための、音声電力増幅器およびデジタル信号処理を含むことが可能なコントローラと、(c)筐体および搭載システムと、(d)通信リンクと、(e)電力ソースを備える。
【0175】
1つ以上の実施形態において、選択された可変な波形を提供して、エラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ測定または撮像で使用される身体(身体はまた、物体または身体であり得る)のすべてまたは1つ以上の部分中にせん断波を誘導するように適合された装置が提供され、この装置は、(a)選択された周波数および振幅ならびに、正弦波、方形波、三角波、およびノイズを含む他の複合波形などの任意の複合波形を生成するための、結合伝達システムを持つ1つ以上の独立したHDVE慣性ドライバとして定義される振動の手段と、(b)装置を動作させ、周波数、波形形状、固有周波数の振幅および位相、固有波形構成要素の振幅および位相、ならびに前記振動手段の全体的波形振幅および位相を制御するための、音声電力増幅器およびデジタル信号処理を含むことが可能な制御手段と、(c)(i)身体または身体の1つ以上の部分に適合するまたは適合可能であり、前記身体または身体の1つ以上の部分に振動を伝導するストラップオンハーネスの形態の筐体および搭載手段と(ハーネスとは、ベルト、サッシ、ラップ、スリーブ、レギング、ガードル、コルセット、ガーメント、ベスト、または身体もしくは身体の1つ以上の部分に適合するまたは適合可能な他の可撓性材料を意味する)、(ii)搭載された振動手段を持つ台の形態の筐体および搭載手段と、(iii)振動手段を身体または身体の1つ以上の部分と接触するように設置するための可動のアームまたはレールの形態の筐体または搭載手段と、(iv)搭載された振動手段を持つ携帯式または非携帯式マットの形態の筐体または搭載手段と、前記携帯式マットは、台または他の構造上に設置可能であり、その上に、身体または身体の1つ以上の部分が設置され、前記非携帯式マットは、永久的または半永久的に患者の表面上に設置され、(v)2つの振動手段を、超音波トランスデューサアレイまたはプローブの両側に一つずつ取り付けられるまたは埋め込まれる筐体または搭載手段と、(vi)上記のもの(可動アームまたはレール、ハーネス、マットまたは他の組み合わせを持つ台など)の組み合わせの形態の筐体および搭載手段とから成る群から選択された前記振動手段に対する筐体および搭載手段と、(d)(i)前記制御手段を前記振動手段に接続するための有線通信手段と、(ii)前記制御手段を前記振動手段に接続するための無線通信手段と、(iii)前記制御手段を前記振動手段に接続するための有線および無線の通信手段とから成る群から選択された前記振動手段に前記制御手段を接続するための通信手段と、(e)制御手段内の異なる構成要素に対するバッテリもしくはAC壁コンセントもしくは他のソースまたはその組み合わせなどの標準的な電力ソースとすることができる前記制御手段に電力供給する手段と(これは、次に前記振動手段に電力供給する)を備える。
【0176】
1つ以上の実施形態において、残響波場、クローリング波場または他のせん断波場を広い周波数範囲により深部組織に作成する手段が提供される。1つ以上の実施形態において、手段は、(a)複数のソースと、(b)あるいは、これに限定されないが可撓性要素などの通信部材を1つもしくは2つの離散したソース中に組み込むことにより作成された拡張ソースと、(c)エラストグラフィの関心のあるエリアの近傍の表面と通信する、これに限定されないが接触表面ドームなどの特殊設計された通信部材を含むソースとを備え、(d)調整可能で可撓性接触装置の手段により身体または材料の表面に少なくとも0.1ポンドの接触力を印加し、(e)迅速で人間工学的な方法で接触力を印加して、臨床医が必要とする検査時間および作業を短縮化し、(f)処理を可能にするために、0.1Hz~80kHz周波数の範囲の周波数と、0.1ミクロン~50ミクロンの組織変位を引き起こすに充分な電力とを持つ残響、クローリング波または他のせん断波場を深部組織に作成することを含む。
【0177】
1つ以上の実施形態において、患者または材料がHDVE慣性ドライバシステムを使用して走査される方法が提供され、この方法は、(a)臨床医または技術者が、走査される一般的なエリアを識別するステップと、(b)臨床医または技術者が、アプリケーションに対する適切なHDVE慣性ドライバシステムを決定するステップと、(c)臨床医または技術者が、適切なHDVE慣性ドライバシステムを、走査される一般的エリアの周り、上、下、上方および/または近傍に設置するおよび/または適切なHDVE慣性ドライバシステムを、患者または材料がその後に設置されるグランド、プラットフォーム、ベッド、椅子などの表面上に設置するステップと、(d)臨床医または技術者が、患者または材料に対するHDVE慣性ドライバ(患者接触ドームおよび/または他の通信部材および、必要であれば可撓性部材を含む)の位置決めを調整するステップと、(e)臨床医または技術者が、走査中の組織または材料に対して、必要に応じて適切な振動波形信号フローを始動するステップと、(f)信号はその後、これに限定されないがDSP、EQ、フィルタリング、位相シフトおよび経路分配を含む処理を通じて流れるステップと、(g)信号はその後、これに限定されないが音声増幅器および/またはインバータなどの電力増幅器に流れるステップと、(h)信号はその後、電気信号を、1つ以上の通信部材を通じて患者または材料内で物理的振動に変換するHDVE慣性ドライバに流れるステップと、(i)臨床医または技術者が、患者または物体を走査して、データを処理して画像および/または測定値を作成するステップとのうちの1つ以上を含む。
【0178】
前記により、各々のデバイスが、医療撮像、材料撮像、非破壊テストおよび地震マッピングを含む様々なエラストグラフィおよびビスコエラストグラフィ方法に対して使用することができることを理解すべきである。
【0179】
本明細書および添付のクレームで使用される、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に別様に指示しないかぎり、複数の指示物を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「音響アクチュエータ」への言及は、2つ以上のそのようなアクチュエータを含む。
【0180】
別様に定義されないかぎり、本明細書で使用するすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が関する当業者により一般的に理解されるのと同一の意味を有する。
【0181】
本開示で用いられる場合には、「comprise」という用語、「comprising」という用語、および語幹「comprise」からの派生語は、任意の述べられた特徴、要素、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するオープンエンドの用語であることを意図し、1つ以上の他の機能、要素、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または追加を排除することを意図しないことに留意すべきである。
【0182】
本明細書に開示する本発明の例示的実施形態が上記の目的を達成することは明らかであるが、多くの修正例および他の実施形態が当業者によって考案され得ることが理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲内に含まれるそのようなすべての修正例および実施形態を網羅することを意図していることが理解されたい。