(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】ウェットブラスト機械
(51)【国際特許分類】
B24C 5/04 20060101AFI20230216BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20230216BHJP
B24C 3/32 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B24C5/04 Z
B24C5/02 B
B24C3/32 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018021319
(22)【出願日】2018-02-08
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518047894
【氏名又は名称】ベイパーマット リミティッド
【氏名又は名称原語表記】Vapormatt Ltd
【住所又は居所原語表記】Rue a Chiens St. Sampsons Vale Guernsey British Channel Islands GY2 4AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テレンス アイブス アッシュワース
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-028987(JP,U)
【文献】特開平09-300220(JP,A)
【文献】特開2013-146850(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19954988(DE,A1)
【文献】米国特許第06695686(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 1/00 - 9/00
B23P 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を清浄する又は整えるためのウェットブラスト機械であって、
処理材の加圧混合体を供給するための処理材供給源と、
複数のノズルと、を備え、
前記複数のノズルのそれぞれは、
前記処理材の
前記加圧混合体を受け取る流入口と、
前記加圧混合体を吐出する流出口と、
前記ノズルの壁にある少なくとも1つの穴であって、前記穴を介して1以上の製品を前記ノズルに搬送させることで、前記製品の1以上の表面を前記ノズル内にある間に前記処理材にさらさせる前記穴と、を備え、
前記処理材供給源は、前記処理材を前記複数のノズルのそれぞれに供給するための処理パイプを備え、前記処理パイプは、前記処理パイプを貫通する処理ボアを備え、前記複数のノズルのそれぞれの流入口が前記処理ボアと流体連結するように、前記複数のノズルは前記処理パイプから延出し、
前記複数のノズルのそれぞれを通る処理材の流速は、前記処理パイプを通る処理材の流速より大きく、
前記機械は、さらに、前記処理パイプから延出する第1吸気口及び前記処理パイプから延出する第2吸気口を備え、前記第1吸気口は、前記処理ボア及び前記複数のノズルの1つである第1ノズルと流体連結する空気ボアを備え、前記第2吸気口は、前記処理ボア及び前記複数のノズルの1つであって前記第1
ノズルとは異なる第2ノズルと流体連結する空気ボアを備える機械。
【請求項2】
請求項1に記載の機械であって、
前記ノズルは、1以上の狭壁の部分を備え、前記部分のそれぞれは、前記穴を設けるための拡大された内径を有する、機械。
【請求項3】
請求項2に記載の機械であって、
前記部分は、前記穴の位置と実質的に一致する機械。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の機械であって、
前記部分において、前記処理材が前記製品の複数の表面を処理する機械。
【請求項5】
請求項4に記載の機械であって、
前記ノズルの中心軸は、前記処理ボアの中心軸に実質的に垂直である機械。
【請求項6】
請求項5に記載の機械であって、
前記処理パイプから延びている加圧吸気口をさらに備え、前記吸気口は、空気ボアを備え、前記空気ボアは、前記処理ボア及び前記ノズルの前記流入口と流体連結して、前記処理材の一部を前記流入口を通して前記ノズルへ誘導する機械。
【請求項7】
請求項6に記載の機械であって、
前記空気ボアの中心軸は、前記処理ボアの前記中心軸に実質的に垂直である機械。
【請求項8】
請求項7に記載の機械であって、
前記空気ボアの前記中心軸は、前記ノズルの前記中心軸と軸方向に一直線である機械。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の機械であって、
前記穴は、前記ノズルの前記中心軸に対して交差する方向に前記製品を導く機械。
【請求項10】
請求項1乃至請求項
9のいずれか1項に記載の機械であって、
前記処理ボアの径は、前記ノズルの径より大きい機械。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の機械であって、
前記穴は複数の対をなして設けられ、前記穴の複数の対のうちの少なくとも1つの前記穴の対は、前記ノズルの中心軸に実質的に垂直に設けられる機械。
【請求項12】
請求項11に記載の機械であって、
前記穴の複数の対のうちの前記少なくとも1つの前記穴の対は、前記ノズルの中心軸と交差する軸に沿って整列している機械。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の機械であって、
前記穴の複数の対のうちの少なくとも1つは、前記壁に対して角度を有して設けられ、前記角度は、好ましくは60度と120度の間である機械。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の機械であって、
前記流入口は、収束進入部を備える機械。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の機械であって、
前記1以上の穴は、前記処理材により同時に複数の製品の処理をするための複数の穴を備える機械。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の機械であって、
前記製品は、前記ノズルを貫く弦長を2等分する機械。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の機械であって、
前記ノズルは、不均一な内径を有する機械。
【請求項18】
請求項17に記載の機械であって、
前記内径は、前記流入口から前記流出口へ収束する機械。
【請求項19】
表面を清浄又は処理するためのシステムであって、
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の複数のウェットブラスト機械を備えるシステム。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のウェットブラスト機械を用いて、製品の表面を清浄する又は整える方法であって、
加圧処理材の流れを前記複数のノズルのうちの1以上のノズルの流入口に供給する工程と、
処理される1以上の製品を前記1以上のノズルの壁の複数の穴を通して搬送し、前記製品の表面を前記1以上のノズル内にある間、前記加圧処理材にさらす工程と、
を備える方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記加圧処理材は、前記ノズルを通って回転させられる方法。
【請求項22】
請求項20又は請求項21に記載の方法であって、
前記1以上の製品は、前記加圧処理材の流れに対して60度乃至120度の角度で前記ノズルの前記複数の穴を通過する方法。
【請求項23】
請求項20乃至請求項22のいずれか1項に記載の方法であって、
加圧処理材の流れを前記ノズルの前記流入口へ供給する工程は、
前記ノズルが前記処理材を供給する
前記処理パイプから延出するように、前記ノズルを前記処理パイプに取り付ける工程と、
前記処理材を前記処理パイプに通す工程と、
加圧吸気口により前記処理パイプへ注入された加圧空気を使用して
前記処理材を前記ノズルへ押し込む工程と、
を備える方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記ノズルへ押し込まれた前記処理材の流速は、前記処理パイプ内の前記処理材の流速より大きい方法。
【請求項25】
処理材の加圧混合体を供給するためのブラストガンであって、
ノズルと、
処理材供給源から前記処理材の前記加圧混合体の連続的な流れを供給する処理パイプであって、前記処理パイプを通る処理ボア
、及び
、前記ノズルを処理パイプに取り付けるためのノズル取付手段を備える前記処理パイプと、
前記処理パイプから延びている加圧吸気口であって、空気ボアを備え、前記空気ボアは、前記処理ボア及び前記ノズル取付手段と流体連結して、加圧空気を前記処理パイプへ注入し、
前記処理パイプの前記処理ボアを通って流れる前記処理材の
うちの一部を前記処理パイプから前記ノズルへ誘導する吸気口と、
を備えるブラストガン。
【請求項26】
請求項25に記載のブラストガンであって、
前記ノズル
取付手段の中心軸は、前記処理ボアの中心軸に実質的に垂直であるブラストガン。
【請求項27】
請求項25又は請求項26に記載のブラストガンであって、
前記空気ボアの中心軸は、前記処理ボアの
中心軸に実質的に垂直であるブラストガン。
【請求項28】
請求項25乃至請求項27のいずれか1項に記載のブラストガンであって、
前記空気ボアの
中心軸は、前記ノズル
取付手段の
中心軸に
対して軸方向に一直線であるブラストガン。
【請求項29】
請求項25乃至請求項
28のいずれか1項に記載のブラストガンであって、
前記ノズル
から供給される処理材の流速は、前記処理パイプを通
って流れる処理材の流速より大きいブラストガン。
【請求項30】
請求項25乃至請求項
29のいずれか1項に記載のブラストガンであって、
前記吸気口は、第1吸気口であって、さらに前記処理パイプから延びている第2吸気口及び追加ノズルを前記処理パイプに取り付けるための追加取付手段を備え、前記第2吸気口は、前記処理ボア及び前記追加
取付手段と流体連結する空気ボアを備えるブラストガン。
【請求項31】
請求項25乃至請求項29のいずれか1項に記載のブラストガンであって、前記ノズルは、前記ノズル取付手段に着脱自在に繋がるブラストガン。
【請求項32】
請求項31に記載のブラストガンであって、
前記ノズルは、不均一な内径を有するブラストガン。
【請求項33】
請求項32に記載のブラストガンであって、
前記内径は、
前記加圧混合体を受け取る流入口から
前記加圧混合体を吐出する流出口へ収束するブラストガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一態様に従って、ウェットブラスト機械が提供される。具体的には、ノズル、ノズルを備えるブラストガン及びノズルを使用して製品を処理する方法を実行するウェットブラスト機械が提供される。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ製造業では、ワイヤを引き出した後、意図する用途に適するようにワイヤを清浄又は処理する必要があることが多い。例えば、清浄に関しては、従来、酸浴により行われているが、環境配慮により、企業は、代替方法を見いだすようにプレッシャーを受けている。
【0003】
このような技術の1つに、ブラストガンのノズルを通った加圧処理材を使用する処理材の蒸気ブラスト(ウェットブラストとしても知られる)を用いるものがある。処理されるワイヤ又は他の材料は、ノズルから出てくる加圧処理材の出口処理であるブラストストリームを通るように搬送され、ワイヤの通過に伴い処理又は洗浄がなされる。
【0004】
しかし、ワイヤをブラストストリーム内で振動させる蒸気ブラストストリームは非常に大規模である必要があるため、小径ワイヤのブラスティングは高価になる。ブラストストリームの近くにガイドを追加することもできるが、これらはすぐに摩滅する傾向があり、処理又はブラストストリームを通してワイヤを搬送するために必要な機械の複雑さも増す。
【0005】
さらに、大量の処理材及びブラストストリームの円錐幅は、単一の小径ワイヤへ少しだけ衝突させた後には、全く無用となるため、当該技術は非常に非効率的である。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、表面を清浄する又は整えるためのウェットブラスト機械が提供される。当該機械は、処理材の加圧混合体を供給するための処理材供給源と、ノズルとを備える。前記ノズルは、前記処理材の加圧混合体を受け取るための流入口と、前記加圧混合体を吐出するための流出口と、前記ノズルの壁の少なくとも1つを備える。前記穴は、前記製品の1以上の表面が前記ノズル内にある間前記処理材にさらされるように、1以上の製品を前記ノズルに搬送するためのものである。
【0007】
前記ノズル内にある間、加圧混合体のブラストストリーム内の前記製品を支持しながら、前記製品を前記処理材にさらす。これにより、前記ブラストストリーム内の前記製品の振動が減少し、使用されるブラストストリームの容積がより小さく又はより低くなる(前記ブラストストリームの幅は、より大きなブラスト円錐を必要とする製品を振動させる要因となる必要はないため)。次に、これにより、時には使用されうる前記製品を支持するために前記ノズルの外に置かれるガイドが不要になる。理解されるように、このようなガイドは摩滅するとともに前記ウェットブラスト機械を複雑化させる。
【0008】
処理される前記製品は、例えば、ワイヤ又は平板等の細長部材といった連続的製品でもよいし、前記ノズルへ搬送可能な特定の部品又は一連の部品でもよい。
【0009】
前記ノズルは、1以上の狭壁部分を備えてもよく、各部分は、前記ノズルに対して拡大された内径を有する。前記狭くなった部分は、前記1以上の穴の位置と実質的に一致していてもよい。前記狭くなった部分は、処理材を行き渡らせ、前記製品の複数の表面を処理するようにしてもよい。これにより、前記製品のより効果的でより効率的な処理を可能にしうる。
【0010】
複数の穴が設けられると、複数の製品を同一の処理材で同時に処理でき、これにより、消耗が減り、前記ウェットブラスト機械の効率が上がる。
【0011】
前記処理材供給源は、前記処理材を前記ノズルに供給するための処理パイプを備え、前記処理パイプは、処理ボアを備え、前記ノズルが前記処理パイプから延出することで、前記ノズルの流入口が前記処理ボアと流体連結してもよい。ある例において、前記ノズルの中心軸は、前記処理ボアの中心軸に実質的に垂直である。例えば、前記ノズルの前記中心軸は、前記中心軸及び前記処理ボアの処理材の流れの方向に対して80度と100度の間の角度であってもよい。他の例において、前記ノズルの前記中心軸は、前記処理ボアの前記中心軸及び処理材の流れの方向に対して斜角であってもよい。このような角度は、約30、40、45、50、60、又は70度であってもよく、入口から出口までの前記ノズルの前記ボアは前記処理の流れの方向と一直線になる。
【0012】
前記第1の態様と同様の方法で、本実施形態において、前記ウェットブラスト機械の効率は、前記処理材を前記ノズルへ搬送又は供給する処理パイプの使用により向上する。加えて、複数のノズルは前記処理パイプによる搬送が可能である。なお、各ノズルは上記で定義されたものである。
【0013】
前記処理パイプ内の処理材の圧力及び流速は、典型的には、前記ノズル内より低速であってもよい。前記ノズル内の高流速により、前記ノズル内で閉塞が生じないようにしてもよい。
【0014】
当該機械は、さらに前記処理パイプから延出する加圧吸気口を備え、前記吸気口は、空気ボアを備え、前記空気ボアは、前記処理ボア、及び、前記ノズルの前記流入口と流体連結して、前記処理材の一部を前記流入口を通して前記ノズルへ誘導してもよい。
【0015】
このような例において、処理材は、加圧空気が前記加圧吸気口を通って注入されると、前記ノズルに押し込まれうる。当該構成により、前記ノズルに入る処理材の量を限定してもよく、これにより前記処理材が前記ノズルの前記ボアで閉塞を生じさせるリスクが減少する。このことは、前記ノズルの前記内径又はボアが相対的に狭い又は小さい、例えば、わずか2~5mmの径を有する場合、特に都合がよい。加えて、前記処理パイプから前記ノズルへ前記加圧処理材を誘導する圧力が前記加圧空気により供給されるため、前記ノズル内の前記処理材は、前記処理パイプ内の前記処理材の圧力より高い又は低い圧力を有してもよい。
【0016】
前記処理パイプから前記ノズルへと処理材を誘導するために加圧空気を使用することにより、前記処理パイプ内で使用される処理材のより低い流速を可能とする一方、前記ノズルを通る処理材はより高い流速となる。上述のように、小口径ノズル内の処理材の高い流速は、閉塞を防ぎ、前記ノズルの前記1以上の穴を通過するワイヤ等の細長い材料を含む製品の効率的及び急速なブラスト清浄を可能にする。前記処理パイプ内の比較的高くない流量である比較的低い流速は、摩擦損失及び摩耗による損傷を減少させ、前記処理材を常に移動させるようにしうる。この両者により、前記処理材の凝固を防止し、前記ノズルいずれかへの処理材の供給に遅れが生じない(処理材の流れが前記ノズルに到達するのを待つ必要がない)ようにすることが可能である。
【0017】
さらに、当該構成により、以前のウェットブラスト機械システムで使用されていた従来の混合室を設けなくてもよくなる。これにより、前記ノズル及び/又はブラストガン構造は、潜在的に簡略化される一方、複数のノズルを供する単一の処理パイプも可能になる。
【0018】
前記処理パイプは、前記処理材が前記処理パイプ内で閉塞を引き起こすことを防止する機構を備えてもよい。例えば、前記処理パイプの流出口は、開口していてもよいし、前記処理材を前記処理パイプから離間させて誘導するバイパス機構を備えてもよい。前記処理パイプの流出口は、前記パイプ内の前記処理材の流量及び圧力が制御されるようにする加減弁を有してもよい。当該構成により、前記処理パイプ内に十分な流量が確保され、閉塞を防ぐ。
【0019】
このような処理パイプの使用により、単一の処理材供給で一連のノズルに処理材を供給できるようになる。上述のように、任意のノズルに対する圧縮空気吸気弁の作動により要求されて活性化されたノズルを用いて、圧縮空気を使用して処理材を前記ノズルへ誘導することにより、前記処理材が前記処理パイプ内を継続的に流れるようにしてもよい。
【0020】
ある例によれば、前記空気ボアの中心軸は、前記処理ボアの前記中心軸に実質的に垂直であってもよい。例えば、前記空気ボアの前記中心軸は、前記処理ボアの前記中心軸に対して80度と100度の間の角度であってもよい。
【0021】
前記空気ボアは、前記ノズルの前記中心軸と実質的に一直線であってもよい。例えば、前記空気ボアの前記中心軸は、前記ノズルと軸方向に一直線であってもよい。
【0022】
ある例によれば、前記処理ボアの径は、前記ノズルの内径より大きくてもよい。
【0023】
ある例によれば、この機械は、追加ノズルを備えてもよい。このような例において、この機械は、前記処理パイプから延出する第1吸気口、及び、前記処理パイプから延出する第2吸気口を備え、前記第1吸気口は、前記処理ボア及び前記ノズルと流体連結する空気ボアを備え、前記第2吸気口は、前記処理ボア及び追加ノズルと流体連結する空気ボアを備えてもよい。
【0024】
このような例において、複数の製品が前記複数のノズルにより同時に処理されてもよい。各ノズルは、対応する加圧吸気口を有してもよい。空気が吸気口を通って注入されると、処理材は、前記処理ボアから吸気口に対応付けられる前記ノズルへ押し込まれる。各吸気口は、任意の他の吸気口とは無関係に操作されうる。
【0025】
加えて、追加の吸気口及び加圧空気を使用して処理材を誘導して複数のノズル内に流すことにより、どのノズルを用いるか、及び、前記製品の前記表面のブラスティングの速度についての、より優れた制御が可能になる。加圧空気の流れがレギュレータ又は他の適切な装置により遮断されると、未使用のノズルは、自動的に閉じられてもよい。
【0026】
前記製品は、典型的には、ワイヤ、帯鋸刃、又はカーディングワイヤ等、細長部材であってもよい。しかし、簡潔さのため、ワイヤが以下の説明で使用される場合、一般的な製品への言及と捉えてもよい。
【0027】
実施形態において、前記穴は、前記ノズルの壁に実質的に垂直に設けられてもよい。例えば、前記穴は、前記ノズルの前記中心軸と交差する軸に沿って整列されてもよく、前記ノズルの前記中心軸と交差しない軸に沿って整列されてもよい。
【0028】
加えて又は代わりに、前記複数の穴は、前記ノズルの壁に対して角度を有して設けられてもよく、前記角度は、好ましくは約45度であり、例えば、前記角度は、40度と50度の間、または60度と120度の間でもよい。このような角度は、典型的には、最も高い除去速度を提供する。暴露の増加とともに、前記処理材によるブラスト効果は、このような角度で最も強くなる。前記壁に対して角度を有して前記穴を設けることによって、前記ノズル内での経過時間であって、前記ボアに垂直に整列された穴に対する前記処理材と接触している相対的時間が増加するため、前記穴を通って前記処理材へ移動する製品の表面の暴露を増加させる。言い換えると、前記製品は、角度を有して前記ノズルへ搬送される。前記ブラスト効果は、また、約45度の角度で最も強力であってもよい。すなわち、前記材料の除去速度は、このような角度で最大化されうる。
【0029】
ある例によれば、前記1以上の穴は、前記処理材により同時に複数の製品の処理をするための複数の穴を備えてもよい。他の実施形態において、前記穴は、前記製品をボアを既定する壁に交差して誘導してもよい。
【0030】
複数のワイヤを受け取るための複数の穴を設けることにより、生成された前記ノズルを通過する加圧処理材の前記ブラストストリームがさらされた表面の全領域に作用するように、より多くの前記処理材が一度に利用される。
【0031】
加えて、前記穴を利用して前記製品が前記処理材にさらされる前記角度を揃えることにより、加圧処理材の前記ブラストストリーム内に設けられるガイドを不要としてもよい。その結果、前記ウェットブラスト機械の操作寿命は、前記ノズル及び別のガイド手段の両方よりはむしろ、前記ノズル単独の寿命にのみ依存し、前記機械のダウンタイムを減少させる。
【0032】
実施形態によっては、前記穴は、未処理のワイヤ又は製品の前記ノズルへの進入に用いる1以上の進入穴、及び、前記処理材による処理後の前記ワイヤ又は製品の退出に用いる1以上の退出穴を備えてもよい。各進入穴は、直接的に対応する退出穴と一直線であってもよい。これにより、前記ワイヤが前記進入穴から前記退出穴へと移動するように、前記ワイヤのより簡易な整列がなされる。代わりに、又は加えて、前記進入及び退出穴は、各穴の前記中心軸が揃わないようにして、異なる角度で整列してもよい。これにより、前記ワイヤに対する捻れ角度を小さくし、前記ワイヤが前記ノズルを通過することで、入射される前記加圧処理材にさらされる前記ワイヤの前記表面を変更することができる。
【0033】
前記流入口は、収束進入部を備えてもよい。前記収束進入部は、円錐台状の形で、前記ノズルを通る処理ガスの圧流を管理するように動作してもよい。
【0034】
実施形態において、ボアは、前記ノズルの中で、実質的に平行になりうる。これにより、前記収束進入部から進入後、前記ノズルを通る前記加圧処理ガスの流れが促進されるように動作する。前記ボアの相対的な大きさによって、生成されたベンチュリー効果が調整され得る。
【0035】
前記ボアは、典型的に、実質的に前記ノズルの中心を通る。これにより、前記加圧処理ガスの流れが最大化され、前記ボアの前記壁からの摩擦力に起因する損失が最小化される。前記ボアの横断面は、実質的に円状でもよく、正方形又は長方形等、任意の他の形状でもよい。
【0036】
前記1以上の穴は、前記処理材により複数のワイヤを同時に処理するための複数の穴から構成することができる。これにより、前記ノズル内で単一のワイヤを使用する場合より、処理材の前記圧流が効率的に利用される。
【0037】
前記処理材は、典型的には、研磨剤及び流体のスラリーである。これにより、ダストが減少し、制御された表面のブラスティングがなされるように動作する。
【0038】
前記ノズルは、蒸気ブラストガン内に嵌まるような外部形状を備えてもよい。このようなノズルは、典型的に、より大きい蒸気ブラスト機器内で交換可能な構成要素である。このような外部形状により、蒸気ブラストガン等のこのような蒸気ブラスト材料との押し込み型接続が簡略化されてもよい。
【0039】
当該機械は、さらに上述の前記ブラストガンに関して説明されているような特性を有する第2ブラストガンを備えてもよく、製品は、前記ブラストガン及び第2ブラストガンの前記ノズルを通過する。
【0040】
本開示の第2の態様によれば、製品を処理するためのシステムが提供される。前記システムは、前記第1の態様の任意の実施形態に記載の複数のウェットブラスト機械を備える。このようなシステムの提供により、前記システムの生産性が増加し、第1ウェットブラスト機械からの製品は、続いて、第2ウェットブラスト機械へ搬送されてもよい。代わりに、又は加えて、この場合には、共通の処理パイプが処理材を各ウェットブラスト機械に供給してもよい。
【0041】
本開示の第3の態様によれば、製品の表面を清浄する及び整える方法が提供される。前記方法は、加圧処理材の流れをノズルの流入口に供給する工程と、処理される1以上の製品を前記ノズルの複数の穴を通して搬送し、前記製品の表面を前記ノズル内にある間、前記加圧処理材にさらす工程とを備える。前記第1の態様に関連する利点が前記第3の態様に関連性のあってもよいことは理解され得る。
【0042】
実施形態において、前記加圧処理材は、前記ノズルを通って回転させられてもよい。これは、前記加圧処理材に渦を適用することにより実現されてもよい。前記処理材に角運動量を適用することにより、処理材の入射する流れに差し出される面だけでなくむしろ、処理されるワイヤの両辺への処理が提供されてもよい。
【0043】
実施形態において、前記1以上の製品は、約45度の角度、例えば40度と50度の間の角度又は60度乃至120度の角度で、前記ノズルの前記複数の穴を通って、前記加圧処理材の流れに移動させられ得る。これにより、前記第1の態様に記載されたものと同様の利点が提供される。
【0044】
ある例によれば、加圧処理材の流れを前記ノズルの前記流入口へ供給する工程は、前記ノズルが前記処理パイプから延出するようにして前記ノズルを処理パイプに取り付ける工程と、処理材を前記処理パイプに通す工程と、加圧吸気口により前記処理パイプへ注入された加圧空気を使用して処理材を前記ノズルへ押し込む工程とを備えてもよい。
【0045】
本開示の第4の態様によれば、処理材及びガスの混合体を排出するためのブラストガンが提供される。前記ブラストガンは、細長い形の内部混合室を有するボディと、前記処理材及びガスの別々の流れを前記混合室の共通の端部へ導入させるダクト手段と、前記混合室内に着脱自在に設けられたノズルと、を備える。前記ノズルは、処理材の前記加圧混合体を受け取るための流入口と、前記加圧混合体を吐出するための流出口とを備える。前記ノズルの壁は、少なくとも1つの穴を有し、各穴は、製品の表面が前記ノズル内にある間、前記処理材にさらされるようにして、前記製品を前記ノズルを通して搬送するためにある。
【0046】
また、先行する任意の態様に関連する利点、特に、前記ノズル内にある間、前記製品をさらすことに関連付けられている利点及び前記処理材を供給するための処理パイプの潜在的使用は、前記第4の態様に適用されてもよいことが理解され得る。
【0047】
前記ノズルは、さらに本開示の任意の他の態様の任意の他の実施形態に記載された前記ノズルのいずれかの特性を備えてもよい。
【0048】
前記ブラストガンは、さらに前記混合室と前記ノズルの間に処理パイプを備えてもよい。前記ノズルは前記処理パイプに実質的に垂直に取り付けられる。
【0049】
前記ブラストガンは、さらに圧縮空気を前記処理パイプへ注入し、前記混合体を前記ノズルに押し込むための加圧吸気口を備えてもよい。
【0050】
本開示の態様によれば、ブラストガン又はマイクロブラストガンに対するノズルが提供される。前記ノズルは、ブラストガンから処理材の加圧混合体を受け取るための流入口と、前記処理材を吐出するための流出口と、前記流入口から前記流出口へ前記ノズルを通るボアを画定する壁とを備える。前記壁は、前記ワイヤが前記ボア内で前記処理材にさらされるようにして、1以上の製品を前記ボアを通って誘導するための複数の穴を備える。
【0051】
前記ノズルは、さらに本開示の任意の態様に関して説明されている任意のノズルの任意の特性を備えてもよい。
【0052】
本開示の他の態様によれば、処理材の加圧混合体を供給するためのブラストガン又はマイクロブラストガンが提供される。前記ブラストガンは、処理ボアを備える処理パイプ及びノズルを前記処理パイプに取り付けるためのノズル取付手段と、前記処理パイプから延出する加圧吸気口を備える。前記吸気口は、空気ボアを備える。前記空気ボアは、前記処理ボア及び前記ノズル取付手段と流体連結する。
【0053】
前記吸気口は、圧縮空気を前記ノズルへ撃ち込むように構成されてもよい。これにより、処理材が前記パイプから前記ノズルへそれる。前記ノズル内の前記処理材の流速は、前記処理パイプ内の前記加圧材料の流速より大きくなり得る。これにより上述の利点を有する。前記吸気口が所望のラスティング処理及び速度に対して正しい速度で圧縮空気ブラストを撃ち込むように構成され得ることは理解され得る。これにより、加圧処理材の単一供給源からの径が異なる複数ノズル、又は、加圧処理材の単一供給源が備える単一ノズルのいずれかを使用して前記流速を規制する場合と比較して、前記ブラスト処理のより優れた調整が可能になる。
【0054】
前記処理パイプ及び吸気口は、さらに前記第1の態様の前記処理パイプ及び吸気口又は流入口に関して説明されている任意の特性を備えてもよい。具体的には、前記ノズルの中心軸は、前記処理ボアの中心軸に実質的に垂直であってもよい。前記空気ボアの中心軸は、前記処理ボアの前記中心軸に実質的に垂直であってもよい。前記空気ボアの前記中心軸は、前記ノズルの前記中心軸に軸方向に一直線であってもよい。前記処理ボアの前記径は、前記ノズルの前記径より大きくてもよい。前記ノズルを通る処理材の流速は、前記処理パイプを通る処理材の流速より大きくてもよい。
【0055】
実施形態によっては、前記吸気口は、第1吸気口であってもよく、前記ブラストガンは、さらに前記処理パイプから延出する第2吸気口及び追加ノズルを前記処理パイプに取り付けるための追加取付手段を備えてもよい。前記第2吸気口は、前記処理ボア及び前記追加ノズルと流体連結する空気ボアを備える。
【0056】
前記ノズルは不均一な内径を有してもよい。前記内径は、前記流入口から前記流出口へ収束してもよい。
【0057】
本開示の他の態様によれば、ワイヤを処理するための装置が提供される。前記装置は、ワイヤ処理用の加圧処理材を供給するための手段と、任意の先行する態様に記載されたようなノズルと、前記ノズル内の前記穴を通してワイヤを提供し、前記処理材による前記ワイヤの処理を可能にする手段と、を備える。
【0058】
前記加圧処理材を供給するためのこのような手段は、加圧処理材を供給するためのダクト、ホース及び他の適切な構成要素を備える蒸気ブラストガンであってもよい。ワイヤを供給するためのこのような手段は、ワイヤスプーリング・メカニズムを含んでもよい。
【0059】
本態様に係る実施形態によっては、前記ノズルは、第1ノズルであり、前記装置は、さらに第2ノズルを備える。前記第1ノズルの前記複数の穴の少なくとも1つのペアは、前記第2ノズルの前記複数の穴の1つのペアと一直線になっている。
【0060】
上述の特定の例及び実施形態は、主として単一の態様に関して説明されているが、説明されている特性は、本明細書中に定義される他の態様にも適用可能であることは理解され得る。
【0061】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明されている前記実施形態から明らかであり、前記実施形態を参照して解明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
単に一例として、図面を参照して実施形態を説明する。
【
図2】
図1の蒸気ブラスト装置の一部の分解組立図を示す。
【
図8】
図5に示されるようなノズルを利用するブラストガンの例を示す。
【
図10】
図3又は
図4に示されるようなノズルを利用する蒸気ブラスト装置を示す。
【0063】
なお、図はダイアグラムであり、原寸に比例して描かれてはいない。これらの図の部位の相対寸法及び比率は、図面の明快さのため及び便宜上、大きさが拡大又は縮小されて示されている。同一の参照符号は、一般に修正済み及び異なる実施形態において対応又は類似する特性を参照するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、蒸気ブラスト装置100であって、処理材(典型的には研磨剤)及び空気等のガスの加圧混合体を吐出するための蒸気ブラストガンを示す。典型的な装置100は、GB2065514Aに詳述されている。簡潔には、装置100は、一般に、ボディ110を備える。ボディ110内で、(典型的には研磨剤及び水からなる)スラリー120等の処理材及び圧縮空気等の加圧ガス122が混合室124に供給され、混合されて、加圧スラリー112が形成される。ダクト126は、混合室に材料120及びガス122を供給する。ダクトは、材料及びガスに回転角運動量を生じさせ、渦紡糸スラリーを生成してもよい。混合室は、一般に金属又は高度プラスチック等の強靱材料製の1つの鋳造物からなる。ボディ内にノズル130が設けられる。
図1及び
図2に示されるように、従来のブラスト装置100において、このようなノズルは、ノズルの流入口132から中央通路であるボア134を介して流出口136へ向けて加圧スラリー112を移動させるために動作する。ボア134は、流入口132及び流出口136より狭くてもよい。より狭いボア134と加圧ガスの膨張が協働することで、加圧スラリー112の速度が上昇する。
【0065】
スラリー112は、続いて、円錐形の流出口であるブラストストリーム140内で、処理されるワイヤ150又は他の表面に向けられる。示される例では、ワイヤ150と流出口136の間の距離dは、ワイヤ150の入射面とノズル流出口136との間の相対角度と共に、制御可能である。蒸気ブラスト装置100は、方向xに沿って左右に移動させられることで、ワイヤ150の他の部分を処理することもでき、ワイヤはストリーム140の正面を通ってもよい。実施形態によっては、ブラストストリーム140は、実質的に平行な側面を有して、流れの発散に起因する力の分散を回避してもよい。ブラストストリーム140は、典型的には円状の横断面を有してもよい。
【0066】
図2は、
図1の装置100の分解組立図を示す。
図1に記載の要素に加えて、処理材120及び加圧ガス122を供給するための構成要素が示される。各々は、ホース170、172をボディ110にホースクリップ164、166又は他の手段で繋げるコネクタ160、162により供給される。
【0067】
図3は、本開示に係るノズルの横断面図を示す。このようなノズル230は、上述のような手段により供給された入射加圧されたスラリーである処理材212を受け取るように構成される。ノズル230は、ノズル230の外部からノズル内を通して設けられるボア234へ向けて先細になる円錐台状の流入口232を備える。
【0068】
ボア234は、一般に、流入口232から流出口236へノズル230の主軸の中心に及び平行に延びる。ボア234の壁286(すなわち、ノズルの壁)は、ワイヤ250a~eをボア234に垂直に通るように導いて、ワイヤ250a~eを加圧された処理材212にさらすように機能する複数の穴280a~e、282a~eを有する。示される例では、進入穴280及び退出穴282が設けられる。進入及び退出穴は、整列している。穴は、整列していなくてもよいし、ノズル230のコードを横切るような、異なる方法で整列していてもよいことが理解されうる。5本のワイヤ250が
図3に示されているが、ノズル230内の空間や、ブラストストリーム140の減速に伴うノズルに沿ったブラスト効果の低下に応じて、任意の数のワイヤが単一の入射加圧された処理材212により一度に処理されてもよいことは理解され得る。
【0069】
ノズル230の外壁286には、
図1に示されるような蒸気ブラスト装置100にノズル230を繋げるような特徴をも有する。
【0070】
図4は、
図3のノズルの他の実施形態を示す。本実施形態において、穴290a~d、292a~dは、ノズル230のボア234の垂直軸に対して約45度の角度で設けられる。進入穴290及び退出穴292は、この場合も整列し、ワイヤ250がボアを通り、ノズル230を流れる加圧された処理材212のストリームにさらされるようにする。
【0071】
図5は、他のノズルを示す。ノズル330は、取付部材及び/又は成形突起等(不図示)を使用してブラストガン(詳細は後述)に取り付けられるように設けられる。ノズルは、一般に、高い摩耗抵抗を持った、細長い、典型的には管状の金属又は他の材料から成る。
【0072】
ノズル330は、加圧された処理材を受け取るための、流入口232と同様の流入口332を備える。ノズル330は、さらに、ボア234と同様の、流入口332と連結するボア334を備える。しかしながら、ボア234と比較すると、ボア334は、拡大部338を備える。拡大部338におけるボアの径は、非拡大部におけるボアの径よりも大きい。穴280、282と同様の穴380、382は、拡大部338の近くのノズル330の壁を通過する。穴380、382を通過する製品350は、その結果、拡大部338におけるボア334を通過する。
【0073】
穴380、382は、
図3のノズル230のように、ボア334の垂直軸に沿って整列してもよいし、ボア334の垂直軸に対して角度を有して設けられてもよい。具体的には、穴380、382は、
図4に示されるノズル230と同様に、ボア334の垂直軸に対して約45度(例えば、40度と50度の間)の角度で設けられてもよい。
【0074】
加圧された処理材は、流入口332に注入され、ボア334に沿って力が作用し、穴380、382を通って搬送されている製品350へ向かってもよい。拡大部によって処理材が製品350の周囲を通るようにすることで、製品350はより効果的及び効率的に処理される。
【0075】
ノズル330は、一連の拡大部338及び複数の対をなす穴380、382を備えてもよい。穴380、382の対のそれぞれは、拡大部338の近傍でボア334に入り込んでもよい。このように、ノズル330は、上記ノズル230と同様に、同時に複数の製品350を処理するために利用されてもよい。
【0076】
特定の例においては、非拡大部におけるボア334の径は、直径2~5mmのように、比較的細くてもよい。このような場合、ボア334において閉塞を引き起こす可能性があるため、ブラストガン100は、処理材をノズルに注入するのに適していないかもしれない。
【0077】
図6は、ノズルの他の実施形態を示す。
図3の実施形態と同様に、
図6の実施形態のボアの壁は、ボア434に垂直な複数の穴480a、b及び482a、bを有する。
図6に示される図では、穴480a、b及び482a、bのみが見えているが、ノズルは、(例えば、
図7のノズルに示すように)さらに穴を備えてもよい。
図3の実施形態と比較して、の穴480a、b及び482a、bの対のそれぞれは、ボア434の中心軸と交差しない軸に沿って整列している。例えば、ボアが実質的に円形の横断面を有する場合、穴480a、b及び482a、bの対のそれぞれは、円形の横断面の径ではない円形の横断面のコードに沿って整列していてもよい。穴480a、b(及び482a、b)のみが示されているが、穴480、482の数は、使用目的により調整でき、使用されるノズル430の長さ及び処理されるワイヤ450(又は製品)の厚さに応じて変えうることは理解され得る。
【0078】
図7は、
図6のノズルの他の図を示す。本実施形態において、ボアの壁は、複数の穴480a~u、482a~uを有する。穴480a~u、482a~uの対がノズルの長さ方向に沿って2列で配置されるように、穴480a~u、482a~uの対のそれぞれは、隣接している穴480a~u、482a~uの対から離間する。示された図では、穴482a~uのみ見えている。穴480a~uは、ノズル430の反対側にある。従って、穴480a、482a、480b、482b…480u、482uの対のそれぞれは、ノズル430のボアを垂直方向に2等分し、ワイヤ又は製品350の一部をブラストストリームにさらす。ワイヤの各部が弦長に沿ってノズルを2等分することも考えられる。
【0079】
他の実施形態においては、穴は、ノズルの丈に沿った異なる数の列を形成するように配置されてもよい。例えば、穴480a~u、482a~uの対のいくつかは、穴がノズルの長さに沿って3列を形成するように、ボア434の中心軸に交差しない軸に沿って整列してもよい。
【0080】
ノズル330と共に使用されるブラストガン500の他の例を
図8に示す。ブラストガン500は、例えば、マイクロワイヤブラストガンとも称されうる。
【0081】
ブラストガン500は、処理パイプ510及び加圧吸気口520を備える。ノズル330は、処理パイプ510に備え付けられる。ノズル330は、上述の任意の図により説明されたようなノズルでもよい。処理パイプ510は、処理パイプ510を通る処理ボア512を備える。処理ボア512の径は、ノズル330のボアの非拡大部より大きい。処理パイプを通る処理材の流れは連続的で、閉塞を防ぐことができる。処理パイプは連続的な流れを維持するように端部が開口してもよく、又はバルブ又は制御オリフィスにより制御されて部分的に端部が開口してもよい。
【0082】
ノズル330がパイプ510に備え付けられることで、ノズルの流入口332がパイプ510のボア512と流体連結する。そのため、ノズル330は、パイプ510から延出する。示された例では、ノズル330は、パイプ510から実質的に、垂直に延出するが、他の例において、ノズルは、パイプ510から別の角度で延出してもよい。
【0083】
ノズル330は、例えばノズル取付手段(不図示)によりパイプ510に備え付けられてもよい。ノズル取付手段は、例えば、パイプ510を通りボア512まで延びる穴であってもよい。そして、ノズル330は、当該穴に挿入され、処理パイプ510のボア512と流体連結するノズル330の流入口332を設置することができる。
【0084】
加圧吸気口520も、パイプ510から延出する。吸気口520は、パイプ510の処理ボア512、及び、ノズル330の流入口332(及びボア334)と流体連結する空気ボア(不図示)を備える。一般に、吸気口520はノズル330に沿って配列されるので、加圧空気はボア512を通りノズル330内へ注入される。
【0085】
使用に当たって、処理材(典型的には研磨剤)であるスラリーやガス等である処理材は、例えば低圧で、処理パイプ510のボア512を通って流れる。製品350を処理するためにノズル330において処理材が必要な場合には、加圧空気は、吸気口520を通って注入される。加圧空気は、一部の処理材をボア512からノズル330へ押し込むように作用する。
【0086】
これにより、ノズル330内の処理材の圧力又は流速が、加圧空気が吸気口520により注入されるタイミング、期間及び力に応じて高度に制御されることが理解され得る。
【0087】
このようにすることで、小量の処理材のみが吸気口520から加圧空気によりノズル330へ注入される。このことは、特にノズルが小径のボアを備える場合、ノズル330内の閉塞を回避するのに役立つ。
【0088】
圧縮空気の流れを規制することにより、ノズル330内の処理材の流れも同様に制限される。これにより、処理材の圧力及び流速が非常に高くなり、閉塞が防止され、適用されるブラスティング必要条件(すなわち、生成物、径等に応じて異なるブラスティング条件)が調整される。加えて、処理パイプ内の処理材の流速は、ブラスティングに典型的に必要とされる速度より低速で保持され、システム内の摩擦損失を減少させ得る。
【0089】
複数の製品350を同時に処理するため、複数のノズル330がブラストガン500に備え付けられてもよい。
図9は、複数のノズル330が装着されたブラストガン500の例を示す。
【0090】
各ノズル330は、上述のようにパイプ510に備え付けられている。示される例では、ノズルは、処理パイプ510の処理ボア内の処理材の流れの方向に沿って及び関連して、約40度の角度で整列している。ブラストガン500は、各ノズル330に別々の加圧吸気口520を備える。各吸気口520は、各吸気口520のボアがパイプ510のボア512とその各ノズル330の流入口322の両方と連結するように、上述のようなパイプ510に備え付けられている。各吸気口520は、上述のように、その各ノズル330に加圧空気を注入するために使用されてもよい。加圧空気は、そパイプ510に沿って移動する処理材の一部を、吸気口520と対応するノズル330へ注入することにもなる。
【0091】
さらに、各ノズルが独立して制御され、異なる一連のブラスティングパラメータを提供してもよいことは理解され得る。また、製品が、複数のノズルの間及び複数のノズル内を通過して、それぞれ異なるブラスティング関数又はパラメータを提供してもよいことが想定される。
図9に示されるようなこのようなシステムは、複数のブラスティング又は複数の製品のブラスティングのためのより効率的で制御可能な処理を提供する。
【0092】
上記の任意のノズルが、代替的に、ノズル330の代わりにブラストガン500と共に使用されてもよい。
【0093】
図10は、
図1及び
図2に記載の蒸気ブラスト装置100と共に使用されるノズル230を示す。
図3及び
図4に関して上述されたタイプの進入穴280、290は、単一のノズル内に設けられ、ノズル230のボアを通過するワイヤ250に対する他の処理角度をもたらしうる。
【0094】
図11は、複数のノズル730a~c、731a~cを備える代替蒸気ブラスト装置700を示す。このような構成は、例えば、多数のワイヤ又は製品が説明されたウェットブラスト(又は蒸気ブラスト)処理方法を使用した処理を必要とする場合に、役立ちうる。単一のブラストストリームに多数の穴780を含むノズルのスケーリングには限界があることが分かっている。ひとたび20本より多いワイヤの処理が必要とされれば、蒸気ブラスト処理の効率は減少する。この制約を克服し、できるだけ多くのワイヤを高速ブラストストリームにさらされるように、
図8の構成が設計されている。
【0095】
各ノズル730a~c、731a~cは、例えば、別々の蒸気ブラスト装置100であってもよい。各ノズル730a~c、731a~cは、上述の穴280、282と同様な、穴780、782を有する。
図11に示されるノズル730a~c、731a~cにおいては、穴780のみ看視できる。明確性のため、図において、穴780は符号が付けられていない。
【0096】
各ノズル730a~cは、ノズル731a~cと対をなすノズルの一部である。ペアのノズル730a~c、731a~cはそれぞれに、単一のワイヤがノズルペアの第1ノズル730a~c及び第2ノズル731a~cを通過するように、第1ノズル730a~cの穴780、782が第2ノズル731a~cの穴780、782と一直線になっている。
【0097】
図11に示される拡張マルチワイヤノズルにおいて、50本までのワイヤ750a~c(簡略するため3本のみ表示)を処理できる。ワイヤ750a~cは、約10mmずつ離されて水平線上に供給される。示されたレイアウトでは、17本のワイヤのための「高速部分」をそれぞれ有する、ノズルを3つ利用する。残りの33本のワイヤは、わずかにずらされ、隣接するノズルの低速部分740(ノズル730、731のボア径がより大きい箇所)の下/上を通ることができる。
【0098】
説明された実施形態において、ワイヤ750aがノズル730b及び731bを通過するように示される一方、ワイヤ750b及び750cは、ノズル730c及び731cを通過する。このような構成により、ワイヤが追加で清浄されてもよい。穴780、782は、ノズル230の任意の実施形態において上述したように整列されてもよい。
【0099】
説明された実施形態に示されるように、各ノズル730a~c、731a~cは、ノズル長手方向の一部に沿ってノズルを囲む低速部分740を備える。低速部分740のそれぞれは、異なる対のノズル730a~c、731a~cを通り、その部分740の一部への、ワイヤの動きを容易にしてもよい。例えば、説明された実施形態において、ワイヤ750b及び750cは、ノズル730a、731a、730b及び731bを通過するとともに、ノズル730c及び731cを通過するように方向付けられる前に、ノズル730a、731a、730b、731bの低速部分740のより幅広のボアによってずらされる。好適な実施形態においては、穴780、782は、ノズル730、731の高速部分に位置するのみである。代わりに、ローラー又はスリーブがワイヤ750をずらるために使用され得る。
【0100】
複数のノズル730a~c、731a~cは、フレーム710等のフレーム内に結合されてもよい。複数のノズルは、任意の数のノズルから成ってもよい。
【0101】
本開示を読むことによる、他のバリエーション及び変形例も当業者には明らかとなる。このようなバリエーション及び変形例は、蒸気ブラスティングの技術分野で周知の同等の及び他の特性を含めてもよく、これらは、本明細書中で説明済みの特性に代えて、又は加えて使用されてもよい。
【0102】
添付の請求項は特性の特定の組合せを対象としているが、本発明の開示の適用範囲は、任意の請求項で現下主張されているような同一の発明に関するか否かに関わらず及び本発明が行うような同一の技術的課題のいずれか又は全てを軽減するか否かに関わらず、任意の新規の特性又は明示的又は黙示的のどちらかで本明細書中に開示されている特性の任意の新規の組合せ又はそれらの任意の一般化も含むことが理解されるべきである。
【0103】
別々の実施形態と関連して説明されている特性も、単一の実施形態における組合せで提供されてもよい。一方、簡略化のため、単一の実施形態と関連して説明されている様々な特性も、別々に又は任意の適切な副結合で提供されてもよい。本明細書の出願人は、新規の請求項は本願又は本願から導き出された任意の更なる出願の実行中のこのような特性及び/又はこのような特性の組合せに対して策定されてもよいことを通知する。
【0104】
完全を期すために、「を備える」という言葉は他の要素又は工程を除外せず、「ある」又は「1つの」という言葉は複数を除外せず、請求項の符号は請求項の適用範囲を限定するものとして解釈するものではないということも記しておく。