(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018188192
(22)【出願日】2018-10-03
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 良孝
(72)【発明者】
【氏名】川添 智久
(72)【発明者】
【氏名】中山 覚
(72)【発明者】
【氏名】牧 智宣
(72)【発明者】
【氏名】柏木 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶野 浩司
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-048754(JP,A)
【文献】特開2002-186729(JP,A)
【文献】特開2000-135338(JP,A)
【文献】特開2010-099324(JP,A)
【文献】特開2004-065437(JP,A)
【文献】特開2017-104296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入球口への遊技球の入球に基づいて、当たりとなるか否かの判定を行い、その判定の結果が当たりである場合に、特別遊技を実行する遊技制御手段と、
所定の表示を実行する演出制御手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御手段は、
前記判定の結果を示す特別図柄を変動表示させ、前記特別図柄を当たり態様で停止表示させた場合に、前記特別遊技を実行し、
前記特別遊技の終了後に、
不利遊技状態よりも遊技者にとって有利な
有利遊技状態に
制御可能とし、
前記有利遊技状態において、所定回数の前記特別図柄の変動表示が行われたことに基づいて、前記不利遊技状態に制御可能とし、
前記演出制御手段は、
前記遊技機の性能に関する情報を示す特定表示を実行可能であり、
前記不利遊技状態に制御されることに基づいて、前記特定表示を実行可能であることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機や回胴式遊技機(パチスロ遊技機)等に代表される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例として、パチンコ遊技機では、始動口への遊技球の入球に基づいて、大当たりと判定されると(所定の条件が成立すると)、特別遊技が実行される。例えば下記特許文献1に記載の遊技機には、その遊技機の性能に関する情報を示唆する表示が遊技盤に貼付されており、遊技者はその表示を確認することで遊技機の性能に関する情報を把握することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パチンコ遊技機の遊技盤に貼付された上記遊技機の性能に関する情報を示唆する表示では、遊技者にとって趣向にあった遊技機を選択し難いものとなっていた。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。すなわちその課題は、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、
所定の入球口への遊技球の入球に基づいて、当たりとなるか否かの判定を行い、その判定の結果が当たりである場合に、特別遊技を実行する遊技制御手段と、
所定の表示を実行する演出制御手段と、を備えた遊技機において、
前記遊技制御手段は、
前記判定の結果を示す特別図柄を変動表示させ、前記特別図柄を当たり態様で停止表示させた場合に、前記特別遊技を実行し、
前記特別遊技の終了後に、不利遊技状態よりも遊技者にとって有利な有利遊技状態に制御可能とし、
前記有利遊技状態において、所定回数の前記特別図柄の変動表示が行われたことに基づいて、前記不利遊技状態に制御可能とし、
前記演出制御手段は、
前記遊技機の性能に関する情報を示す特定表示を実行可能であり、
前記不利遊技状態に制御されることに基づいて、前記特定表示を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の遊技機によれば、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能とある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同遊技機が備える遊技機枠の構造を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すA部分の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の背面図である。
【
図7】同遊技機の遊技制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】同遊技機の演出制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図10】
図9に示す7セグ表示器においてダイナミック点灯制御を説明するための図である。
【
図12】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図13】(A)は設定値が「1」のときの大当たり判定テーブルであり、(B)は設定値が「2」のときの大当たり判定テーブルであり、(C)は設定値が「3」のときの大当たり判定テーブルであり、(D)は設定値が「4」のときの大当たり判定テーブルであり、(E)は設定値が「5」のときの大当たり判定テーブルであり、(F)は設定値が「6」のときの大当たり判定テーブルであり、(G)はリーチ判定テーブルであり、(H)は普通図柄当たり判定テーブルであり、(I)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
【
図15】電チューの開放パターン決定テーブルである。
【
図16】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図18】メイン側タイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図24】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図25】大当たり判定処理のフローチャートである。
【
図26】変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図27】変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図28】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図29】特別図柄確定処理のフローチャートである。
【
図30】遊技状態管理処理のフローチャートである。
【
図31】特別電動役物処理のフローチャートである。
【
図32】遊技状態設定処理のフローチャートである。
【
図33】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図34】受信割り込み処理のフローチャートである。
【
図35】1msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図36】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図37】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図38】性能表示設定処理のフローチャートである。
【
図39】モードステータス設定処理のフローチャートである。
【
図41】エンディング演出選択処理のフローチャートである。
【
図42】客待ち演出選択処理のフローチャートである。
【
図43】各種の演出モードが設定されているときの背景画像を示す図である。
【
図44】客待ち演出で表示される各待機画像を示した図である。
【
図45】エンディング演出で表示される各画像を示した図である。
【
図46】低確時短状態から通常遊技状態に移行するときに表示される各画像を示した図である。
【
図47】初期機能の設定変更を行うときに表示される各画像を示した図である。
【
図48】第2形態における客待ち演出で表示される待機画像を示した図である。
【
図49】第3形態におけるパチンコ遊技機の演出制御基板側の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図50】第3形態における客待ち演出で表示される各待機画像を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
【0010】
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機PY1は、遊技機枠2を備えている。遊技機枠2は、
図2に示すように、外枠22と内枠21と前扉23(前枠)とを備えている。外枠22は、パチンコ遊技機PY1の外郭部を形成する縦長方形状の枠体である。内枠21は、外枠22の内側に配置されていて、後述の遊技盤1を取付ける縦長方形状の枠体である。前扉23は、外枠22及び内枠21の前面側に配置されていて、遊技盤1を保護する縦長方形状のものである。前扉23は、遊技者に正対する部分であり、種々の飾り付けがなされている。
【0011】
遊技機枠2は、左端側にヒンジ部24を備えて構成されている。このヒンジ部24により、前扉23は、外枠22及び内枠21に対してそれぞれ回動自在になっていて、内枠21は、外枠22及び前扉23に対してそれぞれ回動自在になっている。前扉23の中央には開口部23aが形成されていて、遊技者が後述の遊技領域6を視認できるように透明の透明板23tが開口部23aに取付けられている。透明板23tは、本形態ではガラス板であるが、透明な合成樹脂板であってもよい。すなわち、透明板23tは、前方から遊技領域6を視認可能なものであればよい。
【0012】
図2に示すように、この遊技機枠2の内枠21には、その内枠21が外枠22に対して開放(回動)していることを検出可能な枠開放センサ2aが設けられている。そのため、内枠21が外枠22に対して閉鎖しているときには、枠開放センサ2aが内枠21の開放を検出していない状態(OFF状態)になる。一方、内枠21が外枠22に対して開放しているときには、枠開放センサ2aが内枠21の開放を検出している状態(ON状態)になり、ON状態を示す検出信号を出力する。
【0013】
また、遊技機枠2の内枠21には、各種入賞口(第1始動口11、第2始動口12、大入賞口14、一般入賞口10)に入賞した遊技球、又はアウト口19に進入した遊技球であって、言い換えれば、遊技領域6に打込まれた全ての遊技球(発射球数)をパチンコ遊技機PY1外へ排出する排出口33(
図2参照)が設けられている。そして排出口33には、排出口33を通過する遊技球を検出可能な排出口センサ30aが設けられている。排出口センサ30aは、電磁式のスイッチである近接スイッチで構成されている。具体的に、排出口センサ30aは、高周波発振回路を有し、高周波発振回路の検出コイルのインピーダンスの変化によって金属体(遊技球)を検出するものである。なお、排出口センサ30aは、電磁式のスイッチである近接スイッチに限られるものではなく、光学式のフォトセンサや、機械式のスイッチ(マイクロスイッチ)等であっても良い。
【0014】
本パチンコ遊技機PY1では、排出口33から1球ずつ遊技球が当該パチンコ遊技機PY1の外部(遊技機島の設備等)へ排出される。このときに、排出口センサ30aにより、排出口33を通過する遊技球を1球ずつ検出することが可能である。こうして、内枠21に設けた1つの排出口センサ30aにより、発射球数を1球ずつ精度良く検出することが可能である。なお、遊技領域6に打込まれた全ての遊技球の数は、総発射球数と呼ぶこともできる。また、パチンコ遊技機PY1外に排出される全ての遊技球の数と同じことであるため、排出球数、総排出球数、アウト球数と呼ぶこともできる。
【0015】
図1~
図3に示すように、前扉23には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル72k(遊技球打込手段)、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)34、及び打球供給皿34に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)35が設けられている。また前扉23には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン(入力部)40k及びセレクトボタン42kが設けられている。なおセレクトボタン(十字キー)42kは、上方向ボタンと下方向ボタンと左方向ボタンと右方向ボタンとによって構成されている。また前扉23には、装飾用の枠ランプ212及び音を出力するスピーカ(
図1において不図示)が設けられている。
【0016】
遊技機枠2には、
図4に示す遊技盤1が取付けられている。
図4に示すように、遊技盤1には、ハンドル72kの操作により発射された遊技球が流下する遊技領域6が、レール部材62で囲まれて形成されている。また遊技盤1には、装飾用の盤ランプ54が設けられている。また遊技領域6には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎが突設されている。なお遊技盤1は、前側に配されている板状部材と、後側に配されている裏ユニット(後述する各種制御基板、画像表示装置50、ハーネス等を取付けるユニット)とが一体化されたものである。
【0017】
また遊技領域6の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置50が設けられている。なお画像表示装置50は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置50の表示画面50a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示に同期した演出図柄EZ(装飾図柄)の可変表示を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄EZを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
【0018】
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの演出図柄表示領域からなる。左演出図柄表示領域には左演出図柄EZ1が表示され、中演出図柄表示領域には中演出図柄EZ2が表示され、右演出図柄表示領域には右演出図柄EZ3が表示される。演出図柄EZはそれぞれ、例えば「1」~「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置50は、左演出図柄EZ1、中演出図柄EZ2、右演出図柄EZ3の組み合わせによって、後述の第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bにて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
【0019】
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特図表示器81aや第2特図表示器81bにより把握するのではなく、画像表示装置50にて把握する。なお、演出図柄表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
【0020】
画像表示装置50は、上記のような演出図柄EZを用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面50aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄EZのほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄EZ以外の演出画像も表示される。
【0021】
また画像表示装置50の表示画面50aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて保留アイコンHA(演出保留画像)を表示する保留アイコン表示領域がある。保留アイコンHAの表示により、後述の第1特図保留表示器83aにて表示される第1特図保留の記憶数や、後述の第2特図保留表示器83bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
【0022】
遊技領域6の中央付近であって画像表示装置50の前方には、センター枠61(内側壁部)が配されている。センター枠61の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口11へと誘導可能なステージ61sが形成されている。またセンター枠61の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ61sへ遊技球を流出させるワープ61wが設けられている。またセンター枠61の上部には、上下動可能な盤可動体55kが設けられている。盤可動体55kは、表示画面50aの上方の原点位置から表示画面50aの中央と前後方向に重なる演出位置に移動可能なものである。
【0023】
遊技領域6における画像表示装置50の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口11を備える第1始動入賞装置11Dが設けられている。第1始動口11を、第1入球口や、固定入球口、第1始動入賞口、第1始動領域ともいう。第1始動口11への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0024】
また遊技領域6における第1始動口11の下方には、第2始動口12を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)12Dが設けられている。第2始動口12を、第2入球口や、可変入球口、第2始動入賞口、第2始動領域ともいう。電チュー12Dを、第2入球手段や、可変入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口12への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。
【0025】
電チュー12Dは、開状態と閉状態とをとる電チュー開閉部材12k(入球口開閉部材)を備え、電チュー開閉部材12kの作動によって第2始動口12を開閉するものである。電チュー開閉部材12kは、後述の電チューソレノイド12sにより駆動される。電チュー開閉部材12kが開状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口12への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口12は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チュー12Dは、電チュー開閉部材12kが開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口12への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口12への入球を不可能とするものでなくてもよい。
【0026】
また、遊技領域6における第1始動口11の右方には、大入賞口14を備えた大入賞装置(特別電動役物)14Dが設けられている。大入賞口14を、特別入賞口ともいう。また大入賞装置14Dを、アタッカー(AT)や、特別入賞手段、特別可変入賞装置ともいう。大入賞装置14Dは、開状態と閉状態とをとるAT開閉部材14k(特別入賞口開閉部材)を備え、AT開閉部材14kの作動により大入賞口14を開閉するものである。AT開閉部材14kは、後述のATソレノイド14sにより駆動される。大入賞口14は、AT開閉部材14kが開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
【0027】
また、センター枠61の右方には、遊技球が通過可能なゲート13が設けられている。ゲート13を、通過口や通過領域ともいう。ゲート13への遊技球の通過は、電チュー12Dを開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域6の下部には、複数の一般入賞口10が設けられている。また遊技領域6の最下部には、遊技領域6へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域6外へ排出するアウト口19が設けられている。
【0028】
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域6には、左右方向の中央より左側の左遊技領域6L(第1遊技領域)と、右側の右遊技領域6R(第2遊技領域)とがある。左遊技領域6Lを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域6Rを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機PY1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
【0029】
第1流路R1上には、第1始動口11と、一般入賞口10、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口11や一般入賞口10への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー12Dが開放されることはない。
【0030】
一方、第2流路R2上には、ゲート13と、一般入賞口10と、大入賞装置14Dと、電チュー12Dと、アウト口19とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート13への通過や、一般入賞口10、第2始動口12、及び大入賞口14への入賞を狙うことができる。
【0031】
また
図4に示すように、遊技盤1の右下部には表示器類8が配置されている。表示器類8には、
図5に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特図表示器81a、第2特別図柄を可変表示する第2特図表示器81b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普図表示器82が含まれている。第1特別図柄を、第1特図又は特
図1ともいい、第2特別図柄を第2特図又は特
図2ともいう。また、普通図柄を普図ともいう。
【0032】
また表示器類8には、第1特図表示器81aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器83a、第2特図表示器81bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器83b、および普図表示器82の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器84が含まれている。
【0033】
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口11への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口12への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81bを総称して特図表示器81ということがある。また、第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83bを総称して特図保留表示器83ということがある。また第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがある。
【0034】
特図表示器81では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口14を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口14の開放パターンについては後述する。
【0035】
具体的には特図表示器81は、例えば横並びに配された8個のLED(Light Emitting Diode)から構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
【0036】
本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、後述の特図保留記憶部105に一旦記憶される。詳細には、第1始動口11への入賞であれば第1特図保留として、後述の第1特図保留記憶部105aに記憶され、第2始動口12への入賞であれば第2特図保留として、後述の第2特図保留記憶部105bに記憶される。各々の特図保留記憶部105に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ「4」となっている。
【0037】
特図保留記憶部105に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、第1始動口11または第2始動口12への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
【0038】
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器83に表示される。具体的には特図保留表示器83はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
【0039】
普通図柄の可変表示は、ゲート13への遊技球の通過を契機として行われる。普図表示器82では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口12を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口12の開放パターンについては後述する。
【0040】
具体的には普図表示器82は、例えば2個のLEDから構成されており(
図5参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
【0041】
本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、後述の普図保留記憶部106に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部106に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
【0042】
普図保留記憶部106に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機PY1では、ゲート13への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
【0043】
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器84に表示される。具体的には普図保留表示器84は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
【0044】
2.遊技機の電気的構成
次に
図6から
図8に基づいて、本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。
図6から
図8に示すように、パチンコ遊技機PY1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う遊技制御基板100(主制御基板)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う演出制御基板120(サブ制御基板)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板170等を備えている。なお、遊技制御基板100は、メイン制御部を構成し、演出制御基板120は、後述する画像制御基板140、音声制御基板161、及びサブドライブ基板162とともにサブ制御部を構成する。
【0045】
なお、サブ制御部199は、少なくとも演出制御基板120を備え、演出手段(画像表示装置50やスピーカ600、盤ランプ54、盤可動体55k、枠ランプ212等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
【0046】
またパチンコ遊技機PY1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、遊技制御基板100、演出制御基板120、及び払出制御基板170に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路192が設けられている。バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、後述する遊技制御基板100の遊技用RAM(Random Access Memory)104や演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給する。従って、遊技制御基板100の遊技用RAM104や演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている情報は、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持される。また電源基板190には、遊技用RAM104に記憶されている情報を遊技用CPU102にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ119が実装されている。なお、後述するようにRAMクリアスイッチ119は設定値を設定するために用いられる。さらに、RAMクリアスイッチ119は後述するように7セグ表示器150におけるベース(特定値)の表示を切り替えるために用いられる。また電源基板190には、電源スイッチ191が接続されている。電源スイッチ191のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、遊技制御基板100の遊技用RAM104に対するバックアップ電源回路を遊技制御基板100に設けたり、演出制御基板120の演出用RAM124に対するバックアップ電源回路を演出制御基板120に設けたりしてもよい。
【0047】
また、遊技制御基板100には、
図6に示すように、後述する設定値の変更を可能とするための設定値シリンダ70が設けられている。設定値シリンダ70には、専用の設定鍵を挿入させる挿入穴70Aが設けられている。挿入穴70Aに設定鍵(不図示)を挿入すると、設定値シリンダ70を基準の基本状態から90度時計回りに回転させることができる。そして、後述するように、設定値シリンダ70を基本状態から90度時計回りに回転させると設定状態となる。これにより、RAMクリアスイッチ119の操作による設定変更が可能となる。RAMクリアスイッチ119は押下操作可能に構成されている。さらに、遊技制御基板100の表面には、現在の設定値を表示する設定値表示器87が搭載されている。また設定値表示器87は、赤色7セグメント表示器で構成されている。
【0048】
また、遊技制御基板100には、
図6に示すように、遊技者が発射した遊技球の数である発射球数(総発射球数)に対して遊技者が獲得した賞球数(総賞球数)の割合(ベース)を表示可能とする7セグ表示器150が設けられている。なお、7セグ表示器150にて、ベースを確認することで、本パチンコ遊技機PY1に不正な改造が施されていたり、故障や不具合が生じていることを把握することが可能である。
【0049】
図6に示すように遊技制御基板100が本パチンコ遊技機PY1の裏側(後面側)に配されている他、電源基板190を含むその他の各種制御基板も本パチンコ遊技機PY1の裏側に配されている。そのため、遊技機枠2(内枠21)を開放可能なホールの従業員やベースを確認(検査)する人等でなければ、RAMクリアスイッチ119や設定値シリンダ70を操作することはできない。すなわち、RAMクリアスイッチ119や設定値シリンダ70などは、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。
【0050】
図7に示すように、遊技制御基板100には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)101が実装されている。遊技制御用マイコン(遊技制御手段)101には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶した遊技用ROM(Read Only Memory)103、ワークメモリとして使用される遊技用RAM104、遊技用ROM103に記憶されたプログラムを実行する遊技用CPU(Central Processing Unit)102、データや信号の入出力を行うための遊技用I/O(Input/Output)ポート118が含まれている。遊技用RAM104には、上述した特図保留記憶部105(第1特図保留記憶部105aおよび第2特図保留記憶部105b)と普図保留記憶部106が設けられている。また、遊技用RAM104には、後述する設定値を示す設定値データを記憶する設定値記憶部107が設けられている。なお、遊技用ROM103は外付けであってもよい。
【0051】
遊技制御基板100には、中継基板110を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、遊技制御基板100には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには遊技制御基板100から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、ゲートセンサ13a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a、排出口センサ30aが接続されている。
【0052】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11内に設けられて第1始動口11に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ12aは、第2始動口12内に設けられて第2始動口12に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ13aは、ゲート13内に設けられてゲート13を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ14aは、大入賞口14内に設けられて大入賞口14に入賞した遊技球を検出するものである。一般入賞口センサ10aは、一般入賞口10内に設けられて一般入賞口10に入賞した遊技球を検出するものである。排出口センサ30aは、排出口33内に設けられており、排出口33に進入した遊技球を検出するものである。枠開放センサ2aは、内枠21に設けられており(
図2参照)、内枠21の外枠22に対する開放(遊技機枠2の開放)を検出するものである。
【0053】
またソレノイド類としては、電チューソレノイド12s、およびATソレノイド14sが接続されている。電チューソレノイド12sは、電チュー12Dの電チュー開閉部材12kを駆動するものである。ATソレノイド14sは、大入賞装置14DのAT開閉部材14kを駆動するものである。
【0054】
さらに遊技制御基板100には、表示器類8(特図表示器81、普図表示器82、および、特図保留表示器83)、ならびに設定値表示器87が接続されている。これらの表示器類8および設定値表示器87の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
【0055】
さらに遊技制御基板100には、特図表示器81(第1特図表示器81aおよび第2特図表示器81b)、普図表示器82、特図保留表示器83(第1特図保留表示器83aおよび第2特図保留表示器83b)、および普図保留表示器84が接続されている。すなわち、これらの表示器類8の表示制御は、遊技制御用マイコン101によりなされる。
【0056】
また遊技制御基板100は、払出制御基板170に各種コマンドや信号を送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板170から信号を受信する。払出制御基板170には、カードユニットCU(パチンコ遊技機PY1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)、および賞球払出装置73が接続されているとともに、発射制御回路175を介して発射装置72が接続されている。発射装置72には、ハンドル72k(
図1参照)が含まれる。
【0057】
また遊技制御基板100には、7セグ表示器150が取付けられている(
図6参照)。7セグ表示器150では、遊技制御用マイコン101からの信号に基づいて、ダイナミック点灯制御が実行される(
図10参照)。
【0058】
払出制御基板170は、遊技制御用マイコン101からの信号や、パチンコ遊技機PY1に接続されたカードユニットCUからの信号に基づいて、賞球払出装置73の賞球モータ73mを駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため賞球センサ73aにより検知されて、賞球センサ73aによる検知信号が払出制御基板170に出力される。
【0059】
遊技制御基板100に接続されている各種センサ類には、設定値シリンダセンサ70aが含まれている。設定値シリンダセンサ70aは、設定値シリンダ70の回転操作を検知可能である。設定値シリンダ70の回転操作があった場合には、設定値シリンダセンサ70aが設定値シリンダ70の回転操作を検知し、設定値シリンダ70の回転操作があったことを示す検知信号を遊技制御基板100に出力する。
【0060】
また電源基板190にはRAMクリアスイッチセンサ119aが接続されている。RAMクリアスイッチセンサ119aは、RAMクリアスイッチ119の押下操作を検知可能である。RAMクリアスイッチ119の押下操作があった場合には、RAMクリアスイッチセンサ119aがRAMクリアスイッチ119の押下操作を検知し、RAMクリアスイッチ119の押下操作があったことを示す検知信号を遊技制御基板100に出力する。
【0061】
なお遊技者による発射装置72のハンドル72k(
図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ72aがハンドル72kへの接触を検知し、発射ボリューム72bがハンドル72kの回転量を検知する。そして、発射ボリューム72bの検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射ソレノイド72sが駆動されることとなる。本パチンコ遊技機PY1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
【0062】
また遊技制御基板100は、演出制御基板120に対し各種コマンドを送信する。遊技制御基板100と演出制御基板120との接続は、遊技制御基板100から演出制御基板120への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、遊技制御基板100と演出制御基板120との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0063】
図8に示すように、演出制御基板120には、プログラムに従ってパチンコ遊技機PY1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)121が実装されている。演出制御用マイコン121(演出制御手段)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶した演出用ROM123、ワークメモリとして使用される演出用RAM124、演出用ROM123に記憶されたプログラムを実行する演出用CPU122、データや信号の入出力を行うための演出用I/Oポート138が含まれている。なお、演出用ROM123は外付けであってもよい。また演出用RAM124には、設定値フラグを記憶する設定値フラグ記憶部125が設けられている。
【0064】
また
図8に示すように、演出制御基板120には、画像制御基板140、音声制御基板161(音声制御回路)、サブドライブ基板162(サブドライブ回路)が接続されている。画像制御基板140には画像表示装置50が接続され、音声制御基板161にはスピーカ600が接続されている。またサブドライブ基板162には、盤ランプ54、盤可動体55k、枠ランプ212が接続されている。
【0065】
図8に示すように、演出制御基板120の演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板140の画像用CPU141に画像表示装置50の制御を行わせる。画像制御基板140は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶した画像用ROM142、ワークメモリとして使用される画像用RAM143、及び、画像用ROM142に記憶されたプログラムを実行する画像用CPU141を備えている。なお、画像用ROM142には、画像表示装置50に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
【0066】
また演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板161を介してスピーカ600から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ600から出力する音声等の音響データは、演出制御基板120の演出用ROM123に格納されている。なお、音声制御基板161にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板161にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ600を画像制御基板140に接続し、画像制御基板140の画像用CPU141に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板140の画像用ROM142に音響データを格納してもよい。
【0067】
また
図8に示すように、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162を介して、枠ランプ212や盤ランプ54等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、各ランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプ駆動データともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
【0068】
さらに演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から受信したコマンドに基づいて、サブドライブ基板162を介して、盤可動体55kの駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン121は、盤可動体55kの動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って、盤可動体55kを駆動させるためのモータの駆動制御を行う。動作パターンデータの作成には演出制御基板120の演出用ROM123に格納されているデータを用いる。
【0069】
なお、サブドライブ基板162にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や、盤可動体55kの駆動制御を行わせてもよい。さらにこの場合、サブドライブ基板162にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0070】
また演出制御基板120には、演出ボタン検知センサ40aおよびセレクトボタン検知センサ42aが接続されている。演出ボタン検知センサ40aは、演出ボタン40k(
図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン40kが押下操作されると演出ボタン検知センサ40aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。セレクトボタン検知センサ42aは、セレクトボタン42k(
図1参照)が押下操作されたことを検知するものである。セレクトボタン42kが押下操作されるとセレクトボタン検知センサ42aから演出制御基板120に対して検知信号が出力される。
【0071】
なお
図7及び
図8は、あくまで本パチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、
図7及び
図8に示す基板だけが設けられているわけではない。遊技制御基板100を除いて、
図7及び
図8に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、
図7及び
図8に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
【0072】
3.ベースの表示
次に、
図6、
図9、及び
図10に基づいて、ベースの表示について説明する。本形態では7セグ表示器150にてベースを表示可能である。なお本形態において、ベースには3種類ある。通常遊技状態(低確率状態且つ非時短状態)でのベースと、時短状態(高確率状態且つ時短状態、又は低確率状態且つ時短状態)でのベースと、大当たり遊技状態でのベース(大当たり遊技の開始から終了までのベース)である。通常遊技状態でのベースは、通常遊技状態に限ってカウントされた発射球数に対する賞球数の割合である。時短状態でのベースは、時短状態に限ってカウントされた発射球数に対する賞球数の割合である。大当たり遊技状態でのベースは、大当たり遊技状態に限ってカウントされた発射球数に対する賞球数の割合である。こうして遊技状態毎に区切った各ベースを確認できることにより、全ての遊技状態に対するベースだけを確認できる場合に比べて、パチンコ遊技機PY1の異常をより正確に判断することが可能である。
【0073】
パチンコ遊技機PY1がホールに設置されている状態において、遊技機枠2が閉鎖(内枠21が外枠22に対して閉鎖)されていれば、遊技制御基板100及び7セグ表示器150を視認することが不可能である。これに対して、遊技機枠2を開放(内枠21を外枠22に対して開放)させれば、遊技制御基板100及び7セグ表示器150を視認することが可能である。こうして、7セグ表示器150で表示されるベースを確認するためには、内枠21(遊技機枠2)を開放させてから行うようになっている。
【0074】
遊技制御基板100(遊技制御用マイコン101)は、演出制御基板120等と異なり、試験において適正動作の検査対象になっている。つまり、遊技制御用マイコン101による制御処理は適正であることが保証されるようになっている。従って、遊技制御用マイコン101によってベースの表示が行われるのであれば、ベースの表示の信頼性が高い。要するに、ベースの表示自体が不正に行われるのを回避するために、7セグ表示器150を遊技制御基板100上に配して、ベースの表示を遊技制御用マイコン101に行わせている。その結果、ベースを確認する人に対して、信頼性のある情報としてのベースを把握させることが可能である。
【0075】
図9に示すように、7セグ表示器150は、所謂4連7セグであり、合計で32個の点灯(発光)する部分を備えている。具体的に、7セグ表示器150は、左から右に向かって順番に、第1表示領域151と第2表示領域152と第3表示領域153と第4表示領域154とを備えている。そして4つの表示領域151、152、153、154は、それぞれ「0」~「9」までの数字を表すことができるように、8個の点灯部分(LED素子)LB1~LB8、LB9~LB16、LB17~LB24、LB25~LB32を有している。なお4連7セグは市場に多く流通している流通品であるため、4連7セグ(7セグ表示器150)を用いることで、表示手段を安価に構成することが可能である。
【0076】
次に、7セグ表示器150での表示について説明する。第1表示領域151では、通常遊技状態でのベース(以下「通常ベース」と呼ぶ)、又は時短状態でのベース(以下「時短ベース」と呼ぶ)をパーセント(百分率)で表示する場合の十の位の数字を表示させる。但し、通常ベース及び時短ベースは1(100%)を超えることがほぼあり得ないが、大当たり遊技状態でのベース(以下「大当たりベース(出玉率)」と呼ぶ)はほぼ1を超えることになる。従って、第1表示領域151では、大当たりベースをパーセントで表示する場合の百の位を表示させる。
【0077】
第2表示領域152では、通常ベース又は時短ベースをパーセントで表示する場合の一の位の数字を表示させるのに対して、大当たりベースをパーセントで表示する場合の十の位を表示させる。なお、7セグ表示器150において、大当たりベースをパーセントで表示する場合の一の位を表示させることはない。大当たりベースのうち有効数字の3桁目まで確認するのはほとんど無意味であるためである。
【0078】
第3表示領域153では、第1表示領域151及び第2表示領域152で表示しているベースが、通常ベースと時短ベースと大当たりベースの何れであるかを示すようになっている。本形態では、通常ベースを表示している場合には、第3表示領域153で「1」を表示する。また時短ベースを表示している場合には、第3表示領域153で「2」を表示する。また大当たりベースを表示している場合には、第3表示領域153で「3」を表示する。
【0079】
第4表示領域154では、第1表示領域151及び第2表示領域152で表示しているベースが、有効値又は参考値のどちらであるかを示すようになっている。有効値又は参考値を示す意味は、ベースがある程度収束した値になっているか否かを示すことである。本形態では、電源が投入されてから現時点までの発射球数(通常遊技状態での発射球数(通常発射球数)と時短状態での発射球数(時短発射球数)と大当たり遊技状態での発射球数(大当たり発射球数)の合計)が「100000」発以上であるという第1条件、又は電源が投入されてから現時点までに特別図柄の変動表示が実行された変動回数が「3000」(所定回転数)回以上であるという第2条件の何れかの条件が満たされていれば、ベースがある程度収束した値(有効値)とみなすようにしている。その反対に、上記した第1条件又は第2条件の何れも満たしていなければ、ベースがある程度収束していない値(参考値)とみなすようにしている。
【0080】
次に、
図10に基づいて、7セグ表示器150でのダイナミック点灯制御について説明する。ダイナミック点灯制御では、4ms毎に、4つの表示領域151,152,153,154のうち点灯させ得る表示領域を順次切替える。これにより、残像現象を利用して、人間の目には4つの表示領域151,152,153,154で同時に発光(点灯)しているように見せることが可能である。
【0081】
例えば、ダイナミック点灯制御により、有効値としての時短ベースを「60」%で示すこととする。この場合には、遊技制御用マイコン101が、
図10(A)に示すように、第1表示領域151で、点灯部分LB1,LB3,LB4,LB5,LB6,LB7を点灯させる。続いて4ms後に、遊技制御用マイコン101が、
図10(B)に示すように、第2表示領域152で、点灯部分LB9,LB10,LB11,LB12,LB13,LB14を点灯させる。続いて4ms後に、遊技制御用マイコン101が、
図10(C)に示すように、第3表示領域153で、点灯部分LB17,LB18,LB20,LB21,LB23を点灯させる。続いて4ms後に、遊技制御用マイコン101が、
図10(D)に示すように、第4表示領域154で、点灯部分LB26,LB27を点灯させる。
【0082】
その後、遊技制御用マイコン101は、
図10(A)⇒
図10(B)⇒
図10(C)⇒
図10(D)の点灯制御を上述したように繰り返す。これにより、ベースを確認する人の目には、7セグ表示器150において「6021」を示す発光態様で同時に発光しているように見える。その結果、ベースを確認する人は、有効値としての時短ベースが「60」%であるのを把握することが可能である。
【0083】
ここで本形態では、RAMクリアスイッチ119を操作する度に、7セグ表示器150にて、通常ベースと時短ベースと大当たりベースの表示を切替えるようにしている。具体的に、第1表示領域151及び第2表示領域152で通常ベースが表示されているときにRAMクリアスイッチ119を操作すると、第1表示領域151及び第2表示領域152では時短ベースの表示に切替わる。そしてこのときには、第3表示領域153では、時短ベースであることを示す表示として、「2」が表示される。続いて、RAMクリアスイッチ119を操作すると、第1表示領域151及び第2表示領域152では大当たりベースの表示に切替わる。そしてこのときには、第3表示領域153では、大当たりベースであることを示す表示として、「3」が表示される。続いて、RAMクリアスイッチ119を操作すると、第1表示領域151及び第2表示領域152では通常ベースの表示に切替わる。そしてこのときには、第3表示領域153では、通常ベースであることを示す表示として、「1」が表示される。
【0084】
以上により、RAMクリアスイッチ119という既存の操作手段を用いて、通常ベースと時短ベースと大当たりベースの表示を切替えることができる。従って、表示を切替えるための新たな操作手段を用いることがなくて、7セグ表示器150という1つの表示器によって、通常ベースと時短ベースと大当たりベースという3つのベースを逐次把握することが可能である。なお、RAMクリアスイッチ119という既存の操作手段ではなく、専用の操作手段を設けることも考えられる。
【0085】
4.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特図表示器81に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特図表示器81に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口14を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
【0086】
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口14の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。なお所定回数目のラウンド遊技を、単に「ラウンド」という。例えば、初回(1回目)のラウンド遊技のことを「1ラウンド(1R)」といい、10回目のラウンド遊技のことを「10ラウンド(10R)」という。
【0087】
大当たり遊技を構成する要素には、ラウンド遊技の回数、各回のラウンド遊技における大入賞口(大入賞口14)の開放回数、各開放が行われる大入賞口の種別および開放時間(開放パターン)、次回の開放まで閉鎖させる時間(閉鎖時間)、オープニングの時間(オープニング時間)、およびエンディングの時間(エンディング時間)などが含まれている。大当たり遊技制御テーブルには、大当たり遊技毎に大当たり遊技を構成する要素が格納されている。パチンコ遊技機PY1は、特図の停止表示後、
図11に示すような複数の大当たり遊技制御テーブルを用いて大当たり遊技を制御可能としている。なお、本形態では、1個の遊技球が大入賞口14に入球した場合に獲得する遊技球の球が15個である。
【0088】
大当たりには複数の種別がある。本形態では大きく分けて2つの種別がある。「確変大当たり」と「通常大当たり」である。「確変大当たり」は、その大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に移行させる大当たりである。「通常大当たり」は、その大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(非高確率状態、低確率状態)に移行させる大当たりである。確変大当たりとなった場合に実行する大当たり遊技として、
図11に示すように、大当たり遊技Aと大当たり遊技Cがあり、通常大当たりとなった場合に実行する大当たり遊技として、
図11に示すように、大当たり遊技Bと大当たり遊技Dがある。
【0089】
具体的には、特
図1の抽選によって確変大当たりに当選した場合に、第1特図表示器81aで大当たり図柄として、「特
図1_確変図柄」が停止表示されると、大当たり遊技Aが実行されることになる。この場合、
図11に示すように、1Rから6Rまで、最大で29.5秒にわたって大入賞口14が開放するラウンド遊技が行われる。また、各ラウンド遊技では、予め定めた所定個数(例えば10個)の遊技球が大入賞口センサ14aに検知されると、大入賞口14の最大開放時間が経過する前であっても、ラウンド遊技を終了させる。このため、大当たり遊技Aによって獲得可能な賞球数は6ラウンド×10個×15個で最大900個となる。
【0090】
また、特
図1の抽選によって通常大当たりに当選した場合に、第1特図表示器81aで大当たり図柄として、「特
図1_通常図柄」が停止表示されると、大当たり遊技Bが実行されることになる。この場合、
図11に示すように、1Rから6Rまで、最大で29.5秒にわたって大入賞口14が開放するラウンド遊技が行われる。このため、大当たり遊技Bによって獲得可能な賞球数は6ラウンド×10個×15個で最大900個となる。
【0091】
また、特
図2の抽選によって確変大当たりに当選した場合に、第2特図表示器81bで大当たり図柄として「特
図2_確変図柄」が停止表示されると、大当たり遊技Cが実行されることになる。この場合、
図11に示すように、1Rから10Rまで、最大で29.5秒にわたって大入賞口14が開放するラウンド遊技が行われる。このため、大当たり遊技Cによって獲得可能な賞球数は10ラウンド×10個×15個で最大1500個となる。
【0092】
また、特
図2の抽選によって通常大当たりに当選した場合に、第2特図表示器81bで大当たり図柄として、「特
図2_通常図柄」が停止表示されると、大当たり遊技Dが実行されることになる。この場合、
図11に示すように、1Rから10Rまで、最大で29.5秒にわたって大入賞口14が開放するラウンド遊技が行われる。このため、大当たり遊技Dによって獲得可能な賞球数は10ラウンド×10個×15個で最大1500個となる。
【0093】
いずれの大当たり遊技が終了した後でも、後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態に伴って制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)に伴って制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
【0094】
なお、特
図1の抽選および特
図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが実行されるのは65%、通常大当たりが実行されるのは35%となっている。但し、特
図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合にはラウンド数が6ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特
図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合にはラウンド数が10ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特
図1の抽選よりも特
図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
【0095】
ここで本パチンコ遊技機PY1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。
図12(A)に示すように、大当たり乱数は0~65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0~99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
【0096】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面50a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0~255までの範囲で値をとる。
【0097】
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~99までの範囲で値をとる。また、ゲート13への通過に基づいて取得される乱数には、
図12(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー12Dを開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。
【0098】
5.大当たり判定テーブルと設定値の説明
本形態のパチンコ遊技機PY1では、大当たり判定テーブルを用いて、大当たりか否か(大当たり遊技を実行するか否か)、言い換えると、大当たり又はハズレを決定する。大当たり判定テーブルは、例えば
図13(A)から
図13(F)に示すように、設定されている設定値ごとに設けることが可能である。すなわち、大当たり判定テーブルを、設定値に関連付けることが可能である。
【0099】
設定値とは、大当たり判定で大当たりと判定される確率(以下、「大当たり確率」ともいう)に関連付けられたパラメータのような値のことである。後述するように、設定値は、遊技制御基板100の電源投入時において設定することができる。また、設定値は前述の設定値シリンダ70とRAMクリアスイッチ119を用いて設定することができる。
【0100】
本形態では、設定値は1~6の6種類設定されている。具体的には、大当たり判定テーブルには、設定値が「1」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(A)参照)と、設定値が「2」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(B)参照)と、設定値が「3」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(C)参照)と、設定値が「4」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(D)参照)と、設定値が「5」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(E)参照)と、設定値が「6」のときに用いられる大当たり判定テーブル(
図13(F)参照)と、がある。
【0101】
そして、さらに設定値に関連付けられた大当たり判定テーブルのそれぞれには、通常確率状態で用いられる大当たり判定テーブル(以下、「通常確率用大当たり判定テーブル」という)と、高確率状態で用いられる大当たり判定テーブル(以下、「高確率用大当たり判定テーブル」という)と、がある。なお、設定値の種類は本形態のように6種類に限らず7種類以上であったり、5種類以下であっても良く、適宜に設定することができる。
【0102】
設定値および遊技状態に関連付けられた各大当たり判定テーブルでは、大当たり判定の結果である大当たり、およびハズレに、大当たり乱数の判定値(特別図柄乱数判定値)が振り分けられている。パチンコ遊技機PY1は、設定値および遊技状態に関連付けられた大当たり判定テーブルに、取得した大当たり乱数を照合して、大当たり又はハズレであるかを判定する。
図13(A)から
図13(F)に示すように、各設定値について、高確率用大当たり判定テーブルの方が、通常確率用大当たり判定テーブルよりも、大当たりと判定される特別図柄乱数判定値が多く設定されている。さらに、同一の遊技状態に対して、設定値が高くになるにつれて、大当たりと判定される特別図柄乱数判定値が多く設定されている。すなわち、設定値が高いほど大当たりと判定され易い。なお、大当たり確率や各種大当たり判定の判定結果に対する大当たり乱数の判定値の振り分け方については、本形態に限られるものではなく適宜に変更することが可能である。
【0103】
6.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機PY1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機PY1の特図表示器81および普図表示器82には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特図表示器81の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態、低確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。
【0104】
また、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた特図変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(
図14参照)。つまり、特図表示器81の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースを早くして、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生し易くなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりへの当選を狙うことができる。
【0105】
特図表示器81の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特図表示器81の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普図表示器82の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(
図13(H)参照)。つまり、普図表示器82の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普図表示器82による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
【0106】
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では
図13(I)に示すように、普通図柄の変動時間は、普通図柄の抽選の結果が当たり又はハズレの何れであっても、非時短状態では7秒であるのに対して、時短状態では1.0秒である。なお普通図柄の停止時間は、普通図柄の抽選の結果が当たりである場合に8msに設定され、ハズレである場合に500msに設定される。
【0107】
更に時短状態では、補助遊技における電チュー12Dの開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。すなわち、電チュー12Dの開放時間延長機能が作動している。具体的には
図15に示すように、非時短状態では、電チュー12Dが0.2秒だけ開放するのに対して、時短状態では、電チュー12Dが1.0秒だけ開放する。
ている(
図15参照)。
【0108】
普図表示器82の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー12Dの開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー12Dが頻繁に開放され、第2始動口12へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー12Dにより第2始動口12への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
【0109】
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普図表示器82の確率変動機能、普図表示器82の変動時間短縮機能、電チュー12Dの開放時間延長機能、および電チュー12Dの開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー12Dが開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
【0110】
本形態のパチンコ遊技機PY1では、確変大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
【0111】
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
【0112】
なお、パチンコ遊技機PY1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。
【0113】
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域6R(
図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されやすくなっており、第1始動口11への入賞よりも第2始動口12への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート13へ遊技球を通過させつつ、第2始動口12へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機PY1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
【0114】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域6L(
図4参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー12Dが開放されにくくなっており、第2始動口12への入賞よりも第1始動口11への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口11へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
【0115】
7.遊技制御用マイコンの動作
次に、
図16~
図32に基づいて遊技制御用マイコン101(遊技制御手段)の動作について説明する。なお、以下に説明する遊技を制御するためのフローチャートは、一例である。そして、フローチャートにおける複数の処理については、処理内容に矛盾が生じない範囲で、適宜に実行順序を変更することができる。
【0116】
[主制御メイン処理]遊技制御基板100に備えられた遊技制御用マイコン101は、電源投入時に、遊技用ROM103から
図16に示す主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。なお、遊技制御用マイコン101の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、遊技用RAM104に設けられている。カウンタの初期値は「0」であり、フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」である
【0117】
同図に示すように、主制御メイン処理では、遊技制御用マイコン101は、まず、割り込みを禁止し(S001)、次いで遊技用RAM104へのアクセスを許可に設定する(S002)。続いて、遊技制御用マイコン101は、設定値を設定する設定値設定の操作がされているか否かを判定する(S003)。具体的には、遊技制御用マイコン101は、設定値シリンダ70が基本状態から設定状態まで回転操作されていて、且つRAMクリアスイッチ119が押下操作されているか否かを判定する。遊技制御用マイコン101は、設定値設定の操作がされていると判定すると(S003でYES)、ステップS004に進んで、設定値を設定する設定値設定処理を行った後にステップS005に進む。設定値設定処理については後述する。
【0118】
一方、設定値設定の操作がされていないと判定すると(S003でNO)、ステップS007に進んで、RAMクリアスイッチ119のみが操作されているか否かを判定する(S007)。RAMクリアスイッチ119のみが操作されていると判定すると(S007でYES)、S005に進む。
【0119】
遊技制御用マイコン101は、ステップS005において、初期値を必要とする遊技用RAM104の使用領域に初期値を設定する遊技用RAM104の設定処理を行う。ステップS006において、RAMクリアコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして演出制御基板120に送信する。その後、ステップS011に進む。
【0120】
ステップS007において、RAMクリアスイッチ119のみが操作されていないと判定すると(S007でNO)、設定値シリンダ70が設定状態まで回転操作されているか否かを判定する(S008)。設定値シリンダ70が設定状態まで回転操作されていると判定すると(S007でYES)、ステップS009に進む。そして、遊技制御用マイコン101は、ステップS009において、初期値を必要とする遊技用RAM104の使用領域に初期値を設定する遊技用RAM104の設定処理を行う。続いて、S010において、遊技用RAM104の設定値記憶部107には設定値データが記憶されていることから、その設定値データを示す設定値を設定値表示器87に表示し、ステップS011に進む。一方、ステップS008において、設定値シリンダ70が設定状態まで回転操作されていないと判定すると(S008でNO)、RAMの設定を行わず、且つ設定値を表示することなく、ステップS011に進む。
【0121】
遊技制御用マイコン101は、ステップS011において、使用するCTC(Counter/Timer Circuit:割り込み時間の管理のための回路)等を設定するCTC起動設定処理を行い、ステップS012において、割り込みを許可する。
【0122】
続いて、遊技制御用マイコン101は、ステップS013において、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理では、普図関連判定情報および特図関連判定情報に係る種々の乱数のカウンタ値を1加算して更新する。各乱数のカウンタ値は上限値に達すると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数のカウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数のうちの少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
【0123】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理が終了すると、遊技制御用マイコン101は、ステップS014において、電源が遮断されたか否かを判定する。具体的に、遊技制御用マイコン101は、電源基板190の電断検出回路から電断検出信号を入力したか否かを判定する。遊技制御用マイコン101は、電源が遮断されていないと判定するとステップS013に進む。このステップS013に進んでいる最中に、メイン側タイマ割り込み処理(S020)の実行が可能となる。一方、遊技制御用マイコン101は、電源が遮断されたと判定すると、ステップS015において、割り込みを禁止する。続いて、ステップS016において、遊技用RAM104へのアクセスを禁止して、遊技用RAM104に記憶されているデータをバックアップデータとして記憶してから、パチンコ遊技機PY1の電源が遮断されるのを待つ。
【0124】
[設定値設定処理]次に、
図17を用いて、設定値設定処理(S004)について説明する。遊技制御用マイコン101は、設定値設定処理においてまずは、ステップS051において、遊技用RAM104に記憶されている設定値データを設定値記憶部107に記憶して、その設定値データが示す設定値を設定値表示器87に表示する(S051)。
【0125】
次いで、遊技制御用マイコン101は、ステップS052において、RAMクリアスイッチ119の操作がされているのか否かを判定する。そして、RAMクリアスイッチ119の操作がされていると判定すると(S052でYES)、ステップS053に進む。一方、RAMクリアスイッチ119の操作がされていないと判定すると(S052でNO)、ステップS055に進む。
【0126】
ステップS053において、設定値データが示す設定値を「1」増加させて新しい設定値に設定し、ステップS054において、新しい設定値を設定値表示器87に表示し、ステップS055に進む。
【0127】
なお、本形態において設定値は1~6の6段階設定されており、設定値「6」のときにRAMクリアスイッチ119が操作されると、設定値「1」が新たに設定されることになる。RAMクリアスイッチ119の操作による設定値の変化態様は「1」増加に限られず、「1」減少やランダムに変化などであっても良い。
【0128】
ステップS055において、遊技制御用マイコン101は、設定値を確定する設定値確定の操作があったか否かを判定する。具体的に、遊技制御用マイコン101は、設定値シリンダセンサ70aに基づいて、設定値シリンダ70がOFFになっている、すなわち、設定値シリンダ70が設定状態から回転操作されて基本状態に戻ったか否かを判定する。遊技制御用マイコン101は、設定値確定の操作がないと判定すると(S055でNO)、ステップS052に進む。一方、設定値確定の操作があったと判定すると(S055でYES)、本処理を終了(リターン)する。
【0129】
なお、ステップS055に係る設定値シリンダ70を設定状態から基本状態に移行させる回転操作を行うことによって、設定値設定処理が終了し、設定値が確定することから、この操作は、設定値を確定させるための操作と位置づけることできる。これに対して、ステップS003に係る設定値シリンダ70を基本状態から設定状態にする回転操作は、設定値を設定するための操作と位置づけることできる。
【0130】
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S020)について説明する。
図18に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S020)では、まず出力処理を実行する(S101)。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において遊技制御基板100の遊技用RAM104に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、演出制御基板120や払出制御基板170等に出力する。
【0131】
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機PY1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a等(
図6参照))が検知した検出信号を読み込み、賞球情報として遊技用RAM104の出力バッファに記憶する。また、下皿35の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとして遊技用RAM104の出力バッファに記憶する。
【0132】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、
図16の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S013)と同じである。即ち、
図12に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S020)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S020)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S020)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
【0133】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)を実行する。その後、その他の処理(S107)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S020)を終了する。その他の処理(S107)としては、後述の特図保留球数に基づいて特図保留表示器83をその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次に遊技用CPU102に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS013~S014の処理が繰り返し実行され(
図16参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S020)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S020)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S020)にて遊技用RAM104の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0134】
[出力処理]
図19に示すように、出力処理(S101)ではまず、遊技制御用マイコン101は、遊技機枠2が(内枠21が外枠22に対して)開放しているか、即ち枠開放センサ2aによる検出があるか否かを判定する(S201)。遊技機枠2が開放している(S201でYES)即ち枠開放センサ2aによる検出があれば、続いて、客待ち状態であるか否かを判定する(S202)。客待ち状態であれば(S202でYES)、続いて、ステップS203におけるダイナミック点灯制御によって、7セグ表示器150にベースを表示するためのベース表示処理を実行して、ステップS205に進む。こうして、ベース表示処理(S203)により、第1表示領域151及び第2表示領域152にて、ベースの値が2桁で表示される。また第3表示領域153では、表示しているベースの値が、通常ベース又は時短ベース或いは大当たりベースの何れであるかが示される。また第4表示領域154では、表示しているベースの値が有効値であるか又は参考値であるのかが示される(
図10参照)。具体的には、電源が投入されてから現時点までの発射球数(通常発射球数と時短発射球数と大当たり発射球数の合計)が「100000」発以上であるという第1条件、又は電源が投入されてから現時点までに特別図柄の変動表示が実行された変動回数が「3000」(所定回転数)回以上であるという第2条件の何れかの条件が満たされていれば、ベースがある程度収束した値(有効値)と判断する。一方、上記した第1条件又は第2条件の何れも満たされていなければ、ベースは未だ収束していない値(参考値)と判断する。
【0135】
また、遊技機枠2が閉鎖している(S201でNO)、即ち枠開放センサ2aによる検出がなない場合、又は客待ち状態でない場合(S202でNO)には、遊技表示処理を実行して(S204)、ステップS205に進む。なお遊技表示処理(S204)は、遊技の進行に係る遊技情報(特別図柄や遊技状態等)を表示器類8に表示(変動表示や停止表示も含む)させるための処理である。
【0136】
ステップS205では、その他の出力設定処理として、遊技制御基板100の遊技用RAM104に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、演出制御基板120や払出制御基板170等に出力して、本処理(リターン)を終える。
【0137】
こうして本形態では、遊技機枠2が閉鎖していたり、特別図柄の変動表示や大当たり遊技の実行中であれば、遊技表示処理(S204)を実行する。一方、遊技機枠2が開放していて、特別図柄の変動表示及び大当たり遊技が実行されていなければ、ベース表示処理(S203)を実行する。言い換えると、7セグ表示器150にベースを表示させるための表示条件(以下、単に「表示条件」ともいう)を、遊技機枠2が開放していて且つ客待ち状態であることに制限している。このように表示条件を制限しているのは、以下の理由に基づく。
【0138】
先ず、ベースを確認する人に信頼性のある情報としてのベースを確認させるべく、7セグ表示器150は遊技制御基板100に配されている(
図6参照)。そのため、遊技機枠2を開放しなければ7セグ表示器150を視認できないことになる。従って、表示条件を、7セグ表示器150が視認できるようになる遊技機枠2の開放とするのは、好適である。言い換えれば、遊技機枠2が開放しているときには、基本的に遊技者による遊技が行われていないこととして、表示器類8に遊技情報(特別図柄等)を表示させなくても良いという点で好適である。
【0139】
但し、遊技機枠2が開放された直後において、未だ特別図柄の変動表示が実行されていたり、遊技球が第1始動口11又は第2始動口12に入球して特別図柄の変動表示が開始されてしまう場合はあり得る。この場合には、表示器類8に遊技情報を表示しなければならない。即ち、表示器類8での遊技情報の表示処理(遊技表示処理(S204))と、7セグ表示器150でのベースの表示処理(ベース表示処理(S203))とを択一的に実行している関係上、7セグ表示器150でベースを表示しないようにする必要がある。こうして、表示条件を遊技機枠2の開放中であることに加えて、客待ち状態であることに制限している。なお、ベースは遊技者に対して見せるものではなく、主に本パチンコ遊技機PY1に不正な改造が施されているか否かを検査する人に対して見せるものであり、基本的に検査時だけに表示されていれば十分である。従って、遊技中にベースを表示する必要はなく、表示条件を上記したように制限しても全く問題にならない。
【0140】
[入力処理]
図20に示すように、入力処理(S102)ではまず、主にパチンコ遊技機PY1に取付けられている各種センサ(第1始動口センサ11a,第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a、排出口センサ30a)が検知した検出信号を読み込む(S301)。そして、その検出信号が排出口センサ30aの検出に基づく信号(排出検知信号)であるか否かを判定する(S302)。
【0141】
ステップS302にて、排出検知信号であると判定すれば(S302でYES)、排出球数(排出口33を通過した遊技球の数、即ち発射球数)をカウントするカウンタの値を「1」だけ加算する排出球数カウント処理(発射球数カウント処理)を実行して(S303)、ステップS304に進む。こうして、排出口センサ30aによる検出に基づいて、発射球数をカウントすることが可能である。但し本形態では、ステップS303の処理は、具体的に以下のようになっている。即ち、遊技状態毎にカウンタが区分けされていて、通常遊技状態であれば、通常排出球数カウンタの値を加算して、時短状態であれば、時短排出球数カウンタの値を加算して、大当たり遊技状態であれば、大当たり排出球数カウンタの値を加算する。こうして、遊技状態毎の発射球数(排出球数)をカウントしている。ステップS302にて、排出検知信号でないと判定すれば(S302でNO)、ステップS303をパスして、ステップS304に進む。
【0142】
ステップS304では、ステップS301で読み込んだ検出信号が、賞球の払い出し(各種入賞口への入賞)に係る入賞検知信号であるか否かを判定する(S304)。入賞検知信号であれば(S304でYES)、遊技用ROM103に記憶されている賞球数テーブル(図示省略)を参照する。そして、賞球数をカウントするカウンタの値を、入賞口の種類に応じた賞球数の値だけ加算する賞球数カウント処理を実行する(S305)。但し本形態では、ステップS305の処理は、具体的に以下のようになっている。即ち、遊技状態毎にカウンタが区分けされていて、通常遊技状態であれば、通常賞球数カウンタの値を加算して、時短状態であれば、時短賞球数カウンタの値を加算して、大当たり遊技状態であれば、大当たり賞球数カウンタの値を加算する。こうして、遊技状態毎の賞球数をカウントしている。またこのステップS305においては、入賞口の種類に応じた賞球数を払い出すための賞球コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットする。この賞球コマンドは、前述した出力処理(S101)により払出制御基板170に送信される。ステップS304にて、入賞検知信号でないと判定すれば(S304でNO)、ステップS305をパスして、ステップS306に進む。
【0143】
ステップS306では、遊技機枠2が(内枠21が外枠22に対して)開放している、即ち枠開放センサ2aによる検出があるか否かを判定する。遊技機枠2が開放している、即ち枠開放センサ2aによる検出を受信していれば(S306でYES)、続いて、客待ち状態であるか否かを判定する(S307)。客待ち状態は、特別図柄の変動表示が実行されておらず、且つ大当たり遊技が実行されていない状態のことである。客待ち状態であれば(S307でYES)、ベース演算処理を実行する(S308)。
【0144】
ベース演算処理(S308)では、通常ベース、時短ベース、大当たりベースを演算する。具体的には、通常賞球数カウンタの値を通常排出球数カウンタの値で除算して、通常ベースを演算する。また、時短賞球数カウンタの値を時短排出球数カウンタの値で除算して、時短ベースを演算する。また、大当たり賞球数カウンタの値を大当たり排出球数カウンタの値で除算して、大当たりベースを演算する。一方、ステップS306の判定結果がNOである場合、又はステップS307の判定結果がNOである場合には、ステップS308のベース演算処理を実行することなく、ステップS309に進む。
【0145】
こうして本形態では、遊技機枠2が開放していて且つ客待ち状態であるという表示条件が成立する場合に限って、ベース演算処理(S308)を行う。これは以下の理由に基づく。即ち、パチンコ遊技機PY1の遊技制御用マイコン101には、処理能力に制限がある。そして、特別図柄の変動表示の実行中や大当たり遊技状態への制御中(遊技制御状態)では、客待ち状態に比べて、遊技制御用マイコン101にとって、負荷が大きい制御処理の実行中になる。従って、仮に遊技制御用マイコン101が特別図柄の変動表示に関わる制御処理(特定の制御処理)又は大当たり遊技状態の制御中での制御処理(特定の制御処理)に加えて、負荷が大きい除算の処理を行うベース演算処理(S308)まで実行することになると、過大な処理負担になる可能性がある。
【0146】
以上のことから、制御処理の負担が大きい遊技制御状態では、ベース演算処理(S308)を行わず、制御処理の負担が小さい客待ち状態では、ベース演算処理(S308)を行うことにより、遊技制御用マイコン101の制御処理の負担を分散させることが可能である。また遊技機枠2が閉鎖している又は客待ち状態でない場合(表示条件が成立しない場合)には、7セグ表示器150にベースを表示しない。そのため、ベースを表示しないときにはベース演算処理(S308)を実行しないことで、無駄な制御処理を行わないようにしている。
【0147】
ステップS309では、その他の入力設定処理を実行して、本処理を終える。例えば磁気センサや衝撃センサ等の検出による不正検知信号を入力した場合には、その他の入力設定処理(S309)として不正報知を行うための処理を実行する。
【0148】
[センサ検出処理]
図21に示すように、センサ検出処理(S104)ではまず、遊技球がゲート13を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ13aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S401)。ゲート13を遊技球が通過していなければ(S401でNO)、ステップS405に進む。遊技球が通過していれば(S401でYES)、普図保留球数(普図保留の数、具体的には遊技用RAM104に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」に達しているか否かを判定する(S402)。そして、普図保留球数が「4」に達している場合には(S402でYES)、ステップS405に進むが、普図保留球数が「4」未満である場合には(S402でNO)、普図保留球数に「1」を加算する(S403)。
【0149】
続いて、普図関係乱数取得処理を行う(S404)。普図関係乱数取得処理(S404)では、普通図柄乱数カウンタの値(ラベル-TRND-Hの値、
図12(B)参照)を取得し、その取得乱数値を普図保留記憶部106のうち現在の普図保留球数に応じた記憶領域に格納する。
【0150】
ステップS405では、第2始動口12に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ12aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S405)。第2始動口12に遊技球が入賞していない場合(S405でNO)にはステップS409に進むが、第2始動口12に遊技球が入賞した場合には(S405でYES)、特
図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には遊技用RAM104に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S406)。そして、特
図2保留球数が「4」に達している場合(S406でYES)には、ステップS407に進むが、特
図2保留球数が「4」未満である場合には(S406でNO)、特
図2保留球数に1を加算する(S407)。
【0151】
続いて特
図2関係乱数取得処理を行う(S408)。特
図2関係乱数取得処理(S408)では、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図12(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部105bのうち現在の特
図2保留球数に応じた第2特図保留記憶部105bの記憶領域に格納する。
【0152】
続いてセンサ検出処理(S104)では、第1始動口11に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ11aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S409)。第1始動口11に遊技球が入賞していない場合(S409でNO)には処理を終えるが、第1始動口11に遊技球が入賞した場合には(S409でYES)、特
図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には遊技用RAM104に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S410)。そして、特
図1保留球数が「4」に達している場合(S410でYES)には、処理を終えるが、特
図1保留球数が「4」未満である場合には(S410でNO)、特
図1保留球数に「1」を加算する(S411)。
【0153】
続いて特
図1関係乱数取得処理(S412)を行って、本処理を終える。特
図1関係乱数取得処理(S412)では、特
図2関係乱数取得処理(S408)と同様に、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図12(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部105aのうち現在の特
図1保留球数に応じた第1特図保留記憶部105aの記憶領域に格納する。
【0154】
[普通動作処理]遊技制御用マイコン101は、センサ検出処理(S104)に次いで普通動作処理(S105)を行う(
図18参照)。
図22に示すように、普通動作処理(S105)ではまず、電チュー12Dの作動中か否かを判定する(S501)。電チュー12Dの作動中でなければ(S501でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S502)。普通図柄の停止表示中でなければ(S502でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S503)。普通図柄の変動表示中でなければ(S503でNO)、続いて、普通図柄の保留球数が「0」か否かを判定する(S504)。普通図柄の保留球数が「0」であれば(S504でYES)、本処理を終える。
【0155】
ステップS504において普通図柄の保留球数が「0」でなければ(S504でNO)、当たり判定処理を行う(S505)。当たり判定処理(S505)では、普図保留記憶部106に格納されている普通図柄乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Hの値)を読み出し、
図13(H)に示す普通図柄当たり判定テーブルに基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データを遊技用RAM104の所定の記憶領域にセットする図柄決定処理を行う(S506)。つまり図柄決定処理(S506)では、「ハズレ」であれば「普図ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。
【0156】
続いて遊技制御用マイコン101は、普通図柄変動時間決定処理を行う(S507)。普通図柄変動時間決定処理(S507)では、
図13(I)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が7秒の普通図柄変動パターンを選択する。
【0157】
次いで遊技制御用マイコン101は、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S508)。そして、普図保留記憶部106における各普図保留の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、普図保留記憶部106における保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S509)。このようにして、普図保留が保留された順に消化されるようにしている。その後、遊技制御用マイコン101は、ステップS507で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S510)。なおこれに伴い、演出制御基板120に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
【0158】
上述のステップS503にて普通図柄の変動表示中であれば(S503でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S511)、経過していなければ(S511でNO)、処理を終える。一方、経過していれば(S511でYES)、普通図柄の変動表示を、普通図柄乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S512)。そして、演出制御基板120に普通図柄の変動停止を知らせるための普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S513)、普通図柄の停止時間をセットして(S514)本処理を終える。
【0159】
また、上述のステップS502にて普通図柄の停止表示中であれば(S502でYES)、続いて、ステップS514でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S515)、経過していなければ(S515でNO)、処理を終える。一方、経過していれば(S515でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S516)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S516でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S516でYES))、電チュー12Dの開放パターンをセットする(S517)。詳細には、時短状態中であれば、電チュー12Dの開放パターンとして時短状態中の開放パターン(
図15の電チュー開放TBL2参照)をセットする。これに対して、非時短状態中であれば、電チュー12Dの開放パターンとして非時短状態中の開放パターン(
図15の電チュー開放TBL1参照)をセットする。そして、ステップS517でセットした開放パターンに従って、電チュー12Dを作動させる(S518)。
【0160】
また、上述のステップS401にて電チュー12Dの作動中であれば(S501でYES)、続いて、電チュー12Dの作動時間が経過したか否かを判定し(S519)、経過していなければ(S519でNO)、処理を終える。一方、経過していれば(S519でYES)、電チュー12Dの作動を終了させる(S520)。
【0161】
[特別動作処理]遊技制御用マイコン101は、普通動作処理(S105)に次いで特別動作処理(S106)を行う(
図18参照)。
図23に示すように特別動作処理(S106)では、特図表示器81および大入賞装置14Dに関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして、遊技制御用マイコン101は、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S1301でYES)、特別図柄待機処理(S1302)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S1301でNO、S1303でYES)、特別図柄変動中処理(S1304)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S1301,S1303で共にNO、S1305でYES)、特別図柄確定処理(S1306)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S1301,S1303,S1305の全てがNO)、特別電動役物処理(S1307)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0162】
[特別図柄待機処理]
図24に示すように、特別図柄待機処理(S1302)ではまず、第2始動口12の保留球数(即ち特
図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1401)。特
図2保留球数が「0」である場合(S1401でYES)、即ち、第2始動口12への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口11の保留球数(即ち特
図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1407)。そして、特
図1保留球数も「0」である場合(S1407でYES)、即ち、第1始動口11への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、客待ちフラグがONか否かを判定する(S1415)。ONであれば(S1415でYES)本処理を終え、ONでなければ(S1415でNO)、客待ちコマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットするとともに(S1416)、客待ちフラグをONにして(S1417)、本処理を終える。
【0163】
ステップS1401において特
図2保留球数が「0」でない場合(S1401でNO)、即ち、第2始動口12への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特
図2大当たり判定処理(S1402)及び特
図2変動パターン選択処理(S1403)を行う。その後、遊技制御用マイコン101は、特
図2保留球数を1ディクリメントする(S1404)。そして、第2特図保留記憶部105bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部105bにおける保留1個目に対応する記憶領域をクリアする(S1405)。続いて遊技制御用マイコン101は、特
図2変動開始処理(S1406)を実行して、ステップS1413に進む。特
図2変動開始処理(S1406)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特
図2変動開始処理(S1406)でセットされる変動開始コマンド(特
図2変動開始コマンドともいう)には、特
図2大当たり判定処理(S1402)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0164】
また、特
図2保留球数が「0」であるが特
図1保留球数が「0」でない場合(S1401でYES且つS1407でNO)、即ち、特
図2の保留情報はないが、第1始動口11への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特
図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特
図1大当たり判定処理(S1408)及び特
図1変動パターン選択処理(S1409)を行う。その後、遊技制御用マイコン101は、特
図1保留球数を1ディクリメントする(S1410)。そして、第1特図保留記憶部105aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部105aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1411)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン101は、特
図1変動開始処理(S1412)を実行して、ステップS1413に進む。特
図1変動開始処理(S1412)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特
図1変動開始処理(S1412)でセットされる変動開始コマンド(特
図1変動開始コマンドともいう)には、特
図1大当たり判定処理(S1408)でセットされた特図停止図柄データの情報や特
図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
【0165】
ステップS1413に進むと客待ちフラグがONか否かを判定し、ONであれば(S1413でYES)、客待ちフラグをOFFして(S1414)、処理を終える。一方、OFFであれば(S1413でNO)、そのまま本処理を終える。上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1401でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。
【0166】
[特
図2大当たり判定処理(特
図1大当たり判定処理)]特
図2大当たり判定処理(S1402)と特
図1大当たり判定処理(S1408)とは、処理の流れが同じであるため
図25に基づいてまとめて説明する。
図25に示すように、特
図2大当たり判定処理(S1402)又は特
図1大当たり判定処理(S1408)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Aの値)を読み出す(S1501)。詳細には、特
図2大当たり判定処理(S1402)では、遊技用RAM104の第2特図保留記憶部105bの第1記憶領域(即ち第2特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特
図1大当たり判定処理(S1408)では、遊技用RAM104の第1特図保留記憶部105aの第1記憶領域(即ち第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
【0167】
次に、設定値データが示す設定値に基づいて、大当たり判定テーブル(
図13(A)から
図13(F)のいずれか)をセットする(S1502)。次いで、確変フラグがONであるか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1503)。そして、高確率状態でなければ(S1503でNO)、すなわち通常確率状態(非高確率状態)であれば、大当たり判定テーブル(
図13(A)から
図13(F)のいずれか)のうち非高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「1」~「210」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1504)。一方、高確率状態であれば(S1503でYES)、大当たり判定テーブル(
図13(A)から
図13(F)のいずれか)のうち高確率状態用のテーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1505)。
【0168】
大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「大当たり」であれば、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、当たり種別判定テーブルに基づいて当たり種別を判定する(S1506)。当たり種別を判定した後(S1506)、大当たりフラグをONにするとともに(S1507)、当たり種別に応じた特図停止図柄データを、遊技用RAM104に設けた当たり種別バッファにセットして(S1508)処理を終える。一方、大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「ハズレ」であれば、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)をセットして(S1508)処理を終える。
【0169】
[特
図2変動パターン選択処理(特
図1変動パターン選択処理)]特
図2変動パターン選択処理(S1403)と特
図1変動パターン選択処理(S1409)とは、処理の流れが同じであるため
図26及び
図27に基づいてまとめて説明する。
図26に示すように、特
図2変動パターン選択処理(S1403)又は特
図1変動パターン選択処理(S1409)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1601)。
【0170】
時短状態でなければ(S1601でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1602)。ONであれば(S1602でYES)、非時短状態中大当たり通常テーブル(
図14に示す特図変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1603)。
図14に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。
【0171】
本パチンコ遊技機PY1の変動演出では、ドハズレ、ノーマルリーチの他、SP(スーパーリーチ)が実行され得る。ドハズレとは、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3の組み合わせが、バラケ目(例えば「458」)で停止表示される変動演出のことである。ノーマルリーチは、上述したリーチを形成した後に発展演出が実行されずに、変動表示し続けている残り一つの演出図柄が停止表示される変動演出のことである。SPリーチは、上述したリーチを形成した後に発展演出が実行されて、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長い変動演出のことである。こうして本形態では、ドハズレ、ノーマルリーチ、SPリーチが実行され得るように、変動パターンが選択される。
【0172】
SPリーチでは、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がノーマルリーチよりも高くなるように各種の変動パターンの振分率が設定されている(
図14参照)。従って遊技者は、変動時間が長いSPリーチを見れば、ノーマルリーチよりも当選期待度が高いことを把握することができる。ここでSPリーチの中には、弱SPリーチA、弱SPリーチB、強SPリーチという種類が設けられている。弱SPリーチA⇒弱SPリーチB⇒強SPリーチの順番に、大当たりへの当選期待度が高くなるように、各種の変動パターンの振分率が設定されている。よって遊技者は、強SPリーチを見れば当選期待度が非常に高いことを把握することができ、弱SPリーチBを見れば当選期待度がある程度高いことを把握することができ、弱SPリーチAを見れば当選期待度があまり高くないことを把握することができる。
【0173】
図26に示すステップS1602において、大当たりフラグがONでなければ(S1602でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1604)。なお、
図13(G)に示すように、リーチ成立乱数値は非時短状態であれば「1」~「30」であり、時短状態であれば「1」~「10」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
【0174】
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1604でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(
図14に示す特図変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1605)。
【0175】
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1604でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(
図14に示す特図変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1606)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」~「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている(
図14参照)。
【0176】
またステップS1601において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1601でYES)には、
図27に示すように、参照する特図変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(
図14に示す特図変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は上記ステップS1602~S1606と同様の流れで処理(S1607~S1611)を行う。
【0177】
すなわち大当たりであれば、
図14の時短状態中且つ大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1608)。またリーチ有りハズレであれば、
図14の時短状態中且つリーチ有りハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1610)。またリーチ無しハズレであれば、
図14の時短状態中且つリーチ無しハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1611)。
【0178】
なお、時短状態中の特図変動パターン判定テーブル(
図14に示す特図変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無しハズレ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」~「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、短縮変動としての変動時間は、時短状態中の方が非時短状態中よりも短くなっている。つまり、時短状態中の特図変動パターン判定テーブルは、非時短状態中の特図変動パターン判定テーブルよりも変動時間が短くなるようなテーブルとなっている。
【0179】
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、
図26に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1612)、本処理を終える。ステップS1612でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S1302)におけるステップS1406又はS1412でセットされる変動開始コマンドに含められて、出力処理(S101)により演出制御基板120に送られる。
【0180】
[特別図柄変動中処理]
図28に示すように、特別図柄変動中処理(S1304)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、
図14参照)が経過したか否かを判定する(S1801)。経過していなければ(S1801でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0181】
一方、変動時間が経過していれば(S1801でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1802)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1803)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1804)、この処理を終える。
【0182】
[特別図柄確定処理]
図29に示すように、特別図柄確定処理(S1306)ではまず、特別図柄の停止時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる停止時間、
図14参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。経過していなければ(S1901でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の停止表示が継続される。一方、停止時間が経過していれば(S1901でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1902)。
【0183】
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1903)。大当たりフラグがONであれば(S1903でYES)、当選した大当たりの種別に応じた開放パターンをセットする(S1904)。なおこのときに、大当たり遊技中に実行した単位開放遊技(ラウンド遊技)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を、当選した大当たりの種類に応じたラウンド数にセットする。なお、開放パターンのセット(開放パターンに応じたデータのセット)は、ラウンド毎に行うようにしてもよい。
【0184】
遊技制御用マイコン101は、ステップS1904に続いて、遊技状態リセット処理を行う(S1905)。遊技状態リセット処理(S1905)ではまず、確変フラグがONであれば確変フラグをOFFにして、時短フラグがONであればOFFにする。つまり、大当たり遊技の実行中は、非高確率状態且つ非時短状態に制御される。その後、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットするとともに(S1906)、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1907)。そして特別動作ステータスを「4」にセットして(S1908)、本処理を終える。
【0185】
また、ステップS1903において大当たりフラグがONでなければ(S1903でNO)、大当たり遊技を開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1909)、本処理を終える。
【0186】
[遊技状態管理処理]
図30に示すように、遊技状態管理処理(S1902)ではまず、確変フラグがONか否か判定する(S2001)。ONであれば(S2001でYES)、高確率状態中に実行した特別図柄の変動回数をカウントする確変カウンタの値を1ディクリメントして(S2002)、確変カウンタの値が「0」か否か判定する(S2003)。「0」であれば(S2003でYES)、確変フラグをOFFにして(S2004)、ステップS2005に進む。ステップS2001又はS2003の判定結果がNOであれば、直ちにステップS2009に進む。
【0187】
ステップS2005では、時短フラグがONか否か判定する。ONであれば(S2005でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動回数をカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントして(S2006)、時短カウンタの値が「0」か否か判定する(S2007)。「0」であれば(S2007でYES)、時短フラグをOFFにして(S2008)、ステップS2009に進む。ステップS2005又はS2007の判定結果がNOであれば、直ちにステップS2009に進む。ステップS2009では、現在の遊技状態の情報(確変フラグ及び時短フラグがON又はOFFの何れであるかの情報)、確変カウンタの値及び時短カウンタの値の情報等を含む遊技状態指定コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、本処理を終える。
【0188】
[特別電動役物処理(大当たり遊技)]
図31に示すように、特別電動役物処理(S1307)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2201)。大当たり終了フラグは、実行中の大当たり遊技において大入賞口14の開放が全て終了したことを示すフラグである。
【0189】
大当たり終了フラグがONでなければ(S2201でNO)、大入賞口14の開放中か否かを判定する(S2202)。開放中でなければ(S2202でNO)、大入賞口14を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たり遊技のオープニングの時間が経過して初回のラウンド遊技における開放開始の時間に至ったか、又は、一旦閉鎖した大入賞口14を再び開放させるまでのインターバル時間(閉鎖時間)が経過して開放開始の時間に至ったか否かを判定する(S2203)。
【0190】
ステップS2203の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2203の判定結果がYESであれば、大当たり遊技の種類に応じた開放パターン(
図11参照)に従って大入賞口14を開放させる(S2204)。
【0191】
続くステップS2205では、ラウンド指定コマンド送信判定処理を行う。ラウンド指定コマンド送信判定処理(S2205)では、ステップS2204での大入賞口14の開放が1回のラウンド遊技中での初めての開放か否かを判定し、そうであれば、実行中の大当たり遊技のラウンド数の情報を含むラウンド指定コマンドを、遊技用RAM104の出力バッファにセットする。なお本形態では、1回のラウンド遊技中に複数回の大入賞口14の開放がなされることはない。そのため、このステップS2205では、必ずラウンド指定コマンドがセットされることとなる。
【0192】
特別電動役物処理(S1307)のステップS2202において、大入賞口14の開放中であれば(S2202でYES)、大入賞口14の閉鎖条件が成立しているか否かを判定する(S2206)。本形態では、閉鎖条件は、そのラウンド遊技における大入賞口14への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では1R当たり8個)に達したこと、又は、大入賞口14を閉鎖させる時間に至ったこと(すなわち大入賞口14を開放してから所定の開放時間(
図11参照)が経過したこと)のいずれかが満たされていることである。そして、大入賞口14の閉鎖条件が成立していなければ(S2206でNO)、処理を終える。
【0193】
これに対して、大入賞口14の閉鎖条件が成立している場合には(S2206でYES)、大入賞口14を閉鎖(閉塞)する(S2207)。そしてステップS2207の閉鎖によって1回のラウンド遊技が終了するか否かを判定する(S2208)。1回のラウンド遊技が終了しない場合には(S2208でNO)、本処理を終える。一方、1回のラウンド遊技が終了する場合には(S2208でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2209)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2210)。「0」でなければ(S2210でNO)、次のラウンド遊技を開始するためにそのまま処理を終える。
【0194】
一方「0」であれば(S2210でYES)、大当たり遊技を終了させる大当たり終了処理として、大当たりのエンディングコマンドをセットするとともに(S2211)、大当たりのエンディングを開始する(S2212)。そして、大当たり終了フラグをセットして(S2213)、処理を終える。
【0195】
またステップS2201において大当たり終了フラグがONであれば(S2201でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当たりのエンディング時間が経過したか否かを判定する(S2214)。エンディング時間が経過していなければ(S2214でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2214でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2215)、大当たりフラグをOFFし(S2216)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S2217)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)において、特別動作処理(
図18参照)として再び特別図柄待機処理(S1302)が実行されることになる。その後、後述の遊技状態設定処理(S2218)を行って、本処理を終える。
【0196】
[遊技状態設定処理]
図32に示すように、遊技状態設定処理(S2218)ではまず、大当たりの種類が確変大当たり(停止図柄が特
図1_確変図柄又は特
図2_確変図柄)であるか否かを判定する(S2301)。確変大当たりでなければ(S2301でNO)、時短フラグをONするとともに(S2306)、時短カウンタに「100」をセットして(S2307)、ステップS2308に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が通常確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が100回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
【0197】
一方、ステップS2301において確変大当たりであれば(S2301でYES)、確変フラグをONするとともに(S2302)、時短フラグをONにする(S2303)。そして確変カウンタに「10000」をセットすると共に(S2304)、時短カウンタに「10000」をセットして(S2305)、ステップS2308に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、実質的に次の大当たりに当選するまで継続することになる。確変カウンタの値及び時短カウンタの値が「10000」から「0」になるまで特別図柄の変動表示が実行されることがほぼあり得ないため、確変フラグ及び時短フラグが次回の大当たり遊技が開始されるまでOFFされることがないためである。なお確変カウンタを設けずに確変フラグだけを用いて、高確率状態が次の大当たりに当選するまで継続するようにしても良い。
【0198】
ステップS2308では、現在の遊技状態の情報(確変フラグ及び時短フラグがON又はOFFの何れであるかの情報)、確変カウンタの値及び時短カウンタの値の情報等を含む遊技状態指定コマンドを遊技用RAM104の出力バッファにセットして、本処理を終える。
【0199】
8.各遊技状態に対応する演出モード
本形態では各遊技状態に対応して演出モードが設定される。演出モードは、画像表示装置50における演出の態様である。演出モードが異なると、登場するキャラクタやアイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置50の表示画面50aに表示される画像が異なり、変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。本形態では
図43に示すように、低確非時短状態に対応する昼モードと、低確時短状態に対応する夜モードと、高確時短状態に対応する宇宙モードとがある。
【0200】
昼モードに設定されているときには、
図43(A)に示すように、表示画面50aに昼を示す昼背景画像H1が表示される。そのため、昼背景画像H1を見た遊技者に対して、低確非時短状態(通常遊技状態)に制御されていると認識させることが可能である。
【0201】
夜モードに設定されているときには、
図43(B)に示すように、表示画面50aに夜を示す夜背景画像H2が表示される。そのため、夜背景画像H2を見た遊技者に対して、比較的有利な遊技状態(低確時短状態)に制御されていると認識させることが可能である。また夜モードの設定中には、
図43(B)に示すように、表示画面50aの右上部に右打ちを促すための右打ち画像Raが表示される。この右打ち画像Raの表示により、遊技者は右打ちすべき状況を把握して、電チュー12Dへの入賞を狙うことが可能である。
【0202】
また宇宙モードに設定されているときには、
図43(C)に示すように、表示画面50aに宇宙を示す宇宙背景画像H3が表示される。そのため、宇宙背景画像H3を見た遊技者に対して、最も有利な遊技状態(高確時短状態)に制御されていると認識させることが可能である。また宇宙モードの設定中には、
図43(C)に示すように、表示画面50aの右上部に右打ち画像Raが表示される。この右打ち画像Raの表示により、遊技者は右打ちすべき状況を把握して、電チュー12Dへの入賞を狙うことが可能である。
【0203】
9.性能表示
本形態のパチンコ遊技機PY1では、そのパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として、第1性能表示画像J1が表示画面50aに表示される。なお、本形態では表示画面50aに第1性能表示画像J1を表示する期間が設けられており、
図44から
図46を用いて説明する。
【0204】
まず、初めに、
図44に基づいて客待ち演出中に第1性能表示画像J1が表示される場合について説明する。ここで客待ち演出とは、特図保留が無くて変動演出が実行されない場合に、表示画面50a上で当該変動演出が実行されていないことを示す演出である。本形態では客待ち演出により表示される待機画像が4段階にわたって変化するようになっている。具体的には、
図44に示すように、(A)通常待機画像T1⇒(B)選択待機画像T2⇒(C)ホールコード対応画像T3⇒(D)デモ画像T4が順番に、時間の経過に伴って表示される。なお、本形態のパチンコ遊技機PY1では、表示画面50aに通常待機画像T1が表示された後に、選択待機画像T2、ホールコード対応画像T3、又はデモ画像T4が表示される状態を待機状態とする。
【0205】
図44(A)に示すように、通常待機画像T1は、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示されていることを示す待機画像である。通常待機画像T1は、演出図柄EZ1,EZ2,EZ3が停止表示されてから第1待機時間(本形態では60秒)の間だけ、表示される。そして、第1待機時間が経過すると、選択待機画像T2が表示されるようになっている。
【0206】
図44(B)に示すように、選択待機画像T2が表示画面50a上に表示されている場合、セレクトボタン42kの左方向ボタン又は右方向ボタンを押下操作すれば設定音量を変更可能となっている。選択待機画像T2は、セレクトボタン42kを操作しなければ、第2待機時間(本形態では30秒)の間、表示される。そして、第2待機時間が経過すると、ホールコード対応画像T3が表示されるようになっている。
図44(B)に示すように、選択待機画像T2の表示中に第1性能表示画像J1が表示される。
【0207】
図44(B)に示す第1性能表示画像J1には、設定値「1」に対する大当たり確率1/300、設定値「2」に対する大当たり確率1/280、設定値「3」に対する大当たり確率1/260、設定値「4」に対する大当たり確率1/240、設定値「5」に対する大当たり確率1/220、設定値「6」に対する大当たり確率1/200が表示されている。これは、遊技者にパチンコ遊技機PY1の各設定値に対する大当たり確率を示唆するものである。また第1性能表示画像J1には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第1性能表示画像J1には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0208】
図44(C)に示すように、ホールコード対応画像T3は、ホールコード情報に対応した遊技場の名称を示す待機画像である。ホールコード対応画像T3は、第3待機時間(本形態では30秒)の間だけ表示される。そして、第3待機時間が経過すると、デモ画像T4が表示されるようになっている。
図44(C)に示すように、ホールコード対応画像T3の表示中に第1性能表示画像J1が表示される。なお、
図44(C)に示す第1性能表示画像J1は、
図44(B)に示す第1性能表示画像J1と同じである。
【0209】
図44(D)に示すように、デモ画像T4は、第4待機時間(本形態では30秒)の間だけ表示される。このデモ画像T4の表示中に第1性能表示画像J1が表示される。そして、第4待機時間が経過すると、
図44(B)に示す選択待機画像T2が表示されるようになっている。すなわち、変動演出が終了して客待ち演出が開始されると、1周目では(A)通常待機画像T1⇒(B)選択待機画像T2⇒(C)ホールコード対応画像T3⇒(D)デモ画像T4が表示され、2周目以降では、(B)選択待機画像T2⇒(C)ホールコード対応画像T3⇒(D)デモ画像T4が表示されることになる。なお、
図44(D)に示す第1性能表示画像J1は、
図44(B)に示す第1性能表示画像J1と同じである。
【0210】
次に、
図45に基づいて大当たり遊技のエンディング演出にて第1性能表示画像J1が表示される場合について説明する。例えば、大当たり遊技A又は大当たり遊技Cが実行された場合、大当たり遊技が所定のラウンドまで進むと、
図45(A)に示すように、表示画面50aにラウンド演出に係るラウンド画像Uが表示される。
【0211】
そして、最終ラウンドである10ラウンドを終了すると、
図45(B)に示すように、エンディング演出が表示される。このエンディング演出では、大当たり遊技の種類が大当たり遊技A又は大当たり遊技Cであるため、大当たり遊技後に高確高ベース状態が継続することを示唆するエンディング画像Vが表示される。さらに、このエンディング演出では、
図45(B)に示すように、表示画面50aに第1性能表示画像J1が表示される。
【0212】
図45(B)に示す第1性能表示画像J1には、設定値「1」に対する大当たり確率1/300、設定値「2」に対する大当たり確率1/280、設定値「3」に対する大当たり確率1/260、設定値「4」に対する大当たり確率1/240、設定値「5」に対する大当たり確率1/220、設定値「6」に対する大当たり確率1/200が表示されている。これは、遊技者にパチンコ遊技機PY1の各設定値に対する大当たり確率を示唆するものである。また第1性能表示画像J1には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第1性能表示画像J1には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0213】
次に、
図46に基づいて低確時短状態から通常遊技状態に戻ったときに第1性能表示画像J1が表示される場合について説明する。
図46(A)に示すように、夜モードに設定されていて、特
図2の変動表示中(特図変動演出中)であり、電サポ回数(時短回数)が残り1回であるとする。そして、変動表示中の特
図2がハズレとなり、電サポ回数(時短回数)を全て消化して、次の特
図2の抽選でもハズレであった場合には、
図46(B)に示すように、ハズレとなったことを示唆する演出図柄EZ1,EZ2,EZ3(「258」)が停止表示される。こうして、電サポ回数(時短回数)を全て消化したことで、低確高ベース状態から通常遊技状態に戻るときには、
図46(C)に示すように、表示画面50aに連続して大当たりとなって獲得したポイント(賞球数)を示す獲得ポイント画像Wが表示される。これにより、通常遊技状態に戻る前に連続して大当たりとなって獲得した賞球数を遊技者に認識させることが可能である。また、このときには、
図46(C)に示すように、表示画面50aに第1性能表示画像J1が表示される。
【0214】
図46(C)に示す第1性能表示画像J1には、設定値「1」に対する大当たり確率1/300、設定値「2」に対する大当たり確率1/280、設定値「3」に対する大当たり確率1/260、設定値「4」に対する大当たり確率1/240、設定値「5」に対する大当たり確率1/220、設定値「6」に対する大当たり確率1/200が表示されている。これは、遊技者にパチンコ遊技機PY1の各設定値に対する大当たり確率を示唆するものである。また第1性能表示画像J1には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第1性能表示画像J1には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0215】
ところで、従来のパチンコ遊技機の遊技盤には、大当たり確率や獲得賞球数に関する情報などを記載したスペックシールが貼付されている。なお、遊技者はスペックシールを確認することで、パチンコ遊技機の性能に関する情報(大当たり確率や獲得賞球数に関する情報など)を把握することが可能となっている。しかしながら、スペックシール自体は小さいため、遊技者にとって気が付きにくいものとなっている。さらに、スペックシールに記載された文字が小さいため、遊技人口の多くを占める高齢者にとって読みにくいものとなっている。そこで、本形態では、上記したように、表示画面50aにてパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示を実行した。これにより、表示画面50aに表示されるため、パチンコ遊技機の性能に関する情報に遊技者は気が付きやすいものとなった。さらに、第1性能表示画像J1からパチンコ遊技機の性能に関する情報を把握し易いものとなった。よって、高齢者等はパチンコ遊技機の性能を踏まえて、趣向にあったパチンコ遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0216】
10.性能表示設定変更
次に、
図47に基づいて性能表示設定変更について説明する。本形態では、電源が投入されたときに遊技用RAM104の初期化(ラムクリア)が実行されると、
図47(A)に示すように、表示画面50aにラムクリア報知画像S1が表示される。そして、ラムクリアの実行後の所定時間(本形態では30秒)内に、所定操作(演出ボタン40kを5回連続押下操作)を行うと、
図47(B)に示すように、表示画面50aに初期機能設定画像S2が表示される。なお上記した所定操作は、演出ボタン40kを5回連続押下操作に限られるものではなく、適宜変更可能である。この初期機能設定画像S2の表示から、性能表示設定のON/OFF設定といった初期機能の設定変更を行うことが可能となっている。
【0217】
すなわち、
図47(B)に示す初期機能設定画像S2の表示中に、セレクトボタン42kを操作して、性能表示設定の「設定画面へ切替」に合わせる。そして、演出ボタン40kを押下操作すると、
図47(C)に示すように、表示画面50aに性能表示設定画像S3が表示される。これにより、「ON」にカーソルを合わせた状態で演出ボタン40kを押下操作すれば、
図47(D)に示すように、表示画面50aに性能表示実行画像S4が表示され、性能表示の実行がONに設定される。一方、「OFF」にカーソルを合わせた状態で演出ボタン40kを押下操作すれば、
図47(E)に示すように、表示画面50aに性能表示非実行画像S5が表示され、性能表示の実行がOFFに設定される。よって性能表示の実行をONに設定した場合には、所定の期間に上述した表示画面50aにて性能表示が実行されることになる。
【0218】
ラムクリア報知中に演出ボタン40kとセレクトボタン42kを操作して、性能表示をON/OFFに設定することで、表示画面50aに第1性能表示画像J1を表示するか否かを選択することができる。これにより、遊技店に来店する顧客の年齢層などに応じて、表示画面50aに第1性能表示画像J1を表示するか否かを選択するといった、遊技店の裁量によって選択を行わせることができる。
【0219】
11.演出制御用マイコン121の動作
[サブ制御メイン処理]次に
図33から
図42に基づいて演出制御用マイコン121の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン121の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、演出用RAM124に設けられている。演出制御基板120に備えられた演出制御用マイコン121は、パチンコ遊技機PY1の電源がオンされると、演出用ROM123から
図33に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、演出用CPU122の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
【0220】
続いて、電源断信号がONで且つ演出用RAM124の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、演出用RAM124の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、演出用RAM124の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであっても演出用RAM124内容が正常でない場合には(S4002でNO)、演出用RAM124を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったが演出用RAM124の内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、演出用RAM124を初期化しない。なお、演出用RAM124を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001~S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0221】
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお演出決定用乱数には、演出図柄を決定するための演出図柄決定用乱数、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の遊技制御基板100が行う乱数更新処理においても同様である。
【0222】
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理(S4006)では、演出制御基板120の演出用RAM124内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板140に送信する。コマンドを受信した画像制御基板140は、コマンドに従い画像表示装置50を用いて各種の演出(変動演出や、オープニング演出、ラウンド演出およびエンディング演出からなる大当たり演出等)を実行する。なお、画像制御基板140による各種の演出の実行に伴って演出制御基板120は、音声制御基板161を介してスピーカ600から音声を出力したり、サブドライブ基板162を介して盤ランプ54、枠ランプ212を発光させる。また、サブドライブ基板162を介して盤可動体55kを駆動させたりする。演出制御用マイコン121は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
【0223】
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)は、ストローブ信号(STB信号)がONになると、すなわち遊技制御基板100から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン121の外部INT入力部に入力されると、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
図34に示すように、受信割り込み処理(S4008)では、遊技制御基板100から送信されてきた各種のコマンドを演出用RAM124の受信バッファに格納する(S4101)。
【0224】
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、演出制御基板120に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。
図35に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検知センサ40a(
図8参照)やセレクトボタン検知センサ42a(
図8参照)からの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
【0225】
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、演出に合うタイミングで盤ランプ54や枠ランプ212を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるその他の処理(S4304)で作成したランプデータをサブドライブ基板162に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ54や枠ランプ212を所定の発光態様で発光させる。
【0226】
次いで、駆動制御処理(S4203)を行う。駆動制御処理(S4203)では、演出に合うタイミングで盤可動体55kを駆動させるべく、駆動データを作成したり、出力したりする。つまり、駆動データに従って、盤可動体55kを所定の動作態様で駆動させる。そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。
【0227】
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、演出制御基板120に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。
図36に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301)。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして演出用RAM124に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4302)。続いて、スイッチ状態取得処理(S4302)にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面50aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4303)。続いて、演出制御用マイコン121は、後述する性能表示設定処理を行う(S4304)。
【0228】
その後、演出制御用マイコン121は、ランプデータ(盤ランプ54や枠ランプ212の点灯を制御するデータ)を作成したり、音声データ(スピーカ600からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板161への出力をしたり、各種の演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行する(S4305)。
【0229】
[受信コマンド解析処理]
図37に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からRAMクリアコマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、受信していれば(S4401でYES)、所定操作が完了されたか、即ちラムクリア報知中に演出ボタン40kを5回連続押下操作がなされたか否かを判定する(S4402)。一方、RAMクリアコマンドを受信していない場合(S4401でNO)、又は所定操作が完了されていない場合(S4402でNO)には、そのままS4404に進む。
【0230】
ステップS4402の判定結果がYESである場合、即ちラムクリア報知中に演出ボタン40kを5回連続押下操作がなされたと判定すると、続いて、初期機能画像表示処理(S4403)を行い、ステップS4404に進む。初期機能画像表示処理(S4403)では、表示画面50aに初期機能設定画像(
図47(B)参照)を表示するための初期機能画像コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0231】
続いて、遊技制御基板100から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定し(S4404)、受信していれば(S4404でYES)、後述するモードステータス設定処理を行う(S4405)。一方、受信していなければ(S4404でNO)、そのままS4406に進む。
【0232】
続いて、遊技制御基板100から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4406)、受信していれば(S4406でYES)、変動演出開始処理(S4407)を行う。一方、受信していなければ(S4406でNO)、そのままS4408に進む。変動演出開始処理(S4407)では、変動開始コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。なお、変動演出開始コマンドには、変動演出の時間、演出図柄の変動表示態様、リーチ演出の有無、リーチ演出の内容、SW演出(演出ボタン演出)の有無、SW演出の内容、演出展開構成、演出図柄の背景の種類等、変動演出の詳細な内容を示す変動演出パターンの情報が含まれている。
【0233】
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4408)、受信していれば(S4408でYES)、変動演出終了処理(S4409)を行う。一方、受信していなければ(S4408でNO)、そのままS4410に進む。変動演出終了処理(S4409)では、変動停止コマンドを解析し、その解析結果に基づいて、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0234】
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4410)、受信していれば(S4410でYES)、オープニング演出選択処理(S4411)を行う。一方、受信していなければ(S4410でNO)、そのままS4412に進む。オープニング演出選択処理(S4411)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0235】
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からラウンド指定コマンドを受信したか否か判定し(S4412)、受信していれば(S4412でYES)、ラウンド演出選択処理(S4413)を行う。一方、受信していなければ(S4412でNO)、そのままS4414に進む。ラウンド演出選択処理(S4413)では、ラウンド指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のラウンド遊技中に実行するラウンド演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したラウンド演出パターンにてラウンド演出を開始するためのラウンド演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0236】
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4414)、受信していれば(S4414でYES)、後述するエンディング演出選択処理(S4415)を行う。一方、受信していなければ(S4414でNO)、そのままS4416に進む。
【0237】
続いて、演出制御用マイコン121は、遊技制御基板100から客待ちコマンドを受信したか否か判定し(S4416)、受信していれば(S4416でYES)、後述する客待ち演出選択処理(S4417)を行う。一方、受信していなければ(S4416でNO)、そのままS4418に進む。
【0238】
続いて、演出制御用マイコン121は、その他の処理(S4418)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、普通図柄の変動表示に伴う演出を行うための処理等)を行う。そして、受信コマンド解析処理を終える。
【0239】
[性能表示設定処理]
図38に示すように、性能表示設定処理(S4304)ではまず、表示画面50aに初期機能設定画像S2が表示中であるか否かを判定する。表示中である場合には(S4501でYES)、続いて性能表示の設定がONに設定されているか、即ち表示画面50aにて性能表示設定画像S3(
図47(C)参照)が表示されているときに性能表示をONに設定されたか否かを判定する(S4502)。性能表示の設定がONに設定されている場合には(S4502でYES)、性能表示決定処理(S4503)を行い、本処理を終了(リターン)する。一方、初期機能設定画像S2が表示されていない場合(S4501でNO)、又は性能表示の設定がOFFに設定されている場合には(S4502でNO)、そのまま本処理を終える。性能表示決定処理(S4503)では、表示画面50aにてパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として、第1性能表示画像J1(
図44(B)、
図44(C)、
図44(D)、
図45(B)、
図46(C)参照)を表示することを決定する。
【0240】
[モードステータス設定処理]モードステータス設定処理(S4405)は、遊技状態への変更に伴って、演出モードの設定を変更するための処理である。演出制御用マイコン121は、低確非時短状態に制御されているときにモードステータスに「1」をセットすると、昼モード(
図43(A)参照)に設定する。また高確時短状態に制御されているときにモードステータスに「2」をセットすると、宇宙モード(
図43(C)参照)に設定する。また低確時短状態に制御されているときにモードステータスに「3」をセットすると、夜モード(
図43(B)参照)に設定する。なおモードステータスは、初期設定では「1」である。
【0241】
図39に示すように、モードステータス設定処理(S4405)ではまず、現在設定されているモードステータスを参照する(S4601)。続いて、受信した遊技状態指定コマンドを解析する(S4602)。次に、遊技状態指定コマンドに含まれている情報(確変カウンタの値の情報、時短カウンタの値の情報)に基づいて、各種演出カウンタの値の情報を更新する(S4603)。具体的には、確変カウンタの値の情報に基づいて、演出用RAM124に設けられている確変演出カウンタの値を更新する。また、時短カウンタの値の情報に基づいて、演出用RAM124に設けられている時短演出カウンタの値を更新する。
【0242】
続いて、遊技状態指定コマンドに基づいて、モードステータスを変更するか否かを判定する(S4604)。即ち、解析した遊技状態指定コマンドに含まれている遊技状態の情報(確変フラグがONか否かの情報、時短フラグがONか否かの情報)が、ステップS4601で参照したモードステータスに基づく遊技状態の情報と異なるか否かを判定する。モードステータスを変更すると判定した場合には(S4604でYES)、ステップS4605に進む。一方、変更しないと判定した場合には(S4604でNO)、本処理を終える。
【0243】
ステップS4605では、ステップS4602で解析した遊技状態指定コマンドに含まれている遊技状態の情報が、低確非時短状態の情報であるか否かを判定する。低確非時短状態の情報であれば(S4605でYES)、モードステータスに「1」をセットして(S4606)、左打ち表示コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4607)。これにより、左打ち表示コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、表示画面50aの左上部に左打ち画像(図示省略)を所定時間だけ表示する。この左打ち画像の表示により、低確非時短状態(通常遊技状態)に移行したときに、遊技者に左打ちを促すことが可能である。続いて、ステップS4608に進むと、後述する遊技性能表示処理(S4608)を行う。
【0244】
ステップS4608を経て、ステップS4614に進むと、昼モードの設定に基づく背景演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、その背景演出コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図43(A)に示すように、表示画面50aに昼背景画像H1を表示する。こうして遊技者には、昼背景画像H1の表示により、演出モードが昼モード(通常遊技状態)に設定されているのを把握させることが可能である。
【0245】
またステップS4605でNOと判定された場合、ステップS4602で解析した遊技状態指定コマンドに含まれている遊技状態の情報が、高確時短状態の情報であるか否かを判定する(S4609)。高確時短状態の情報であれば(S4609でYES)、モードステータスに「2」をセットして(S4610)、右打ち表示コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4611)。これにより、右打ち表示コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図43(C)に示すように、表示画面50aの右上部に右打ち画像Raを表示する。この右打ち画像Raの表示により、遊技者に右打ちを促すことが可能である。
【0246】
ステップS4611を経て、ステップS4614に進むと、宇宙モードの設定に基づく背景演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、その背景演出コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図43(C)に示すように、表示画面50aに宇宙背景画像H3を表示する。こうして遊技者には、宇宙背景画像H3の表示により、演出モードが宇宙モード(高確時短状態)に設定されているのを把握させることが可能である。
【0247】
またステップS4609でNOと判定された場合、低確時短状態であることになる。この場合、モードステータスに「3」をセットして(S4612)、右打ち表示コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4613)。これにより、右打ち表示コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図43(B)に示すように、表示画面50aの右上部に右打ち画像Raを表示する。この右打ち画像Raの表示により、遊技者に右打ちを促すことが可能である。
【0248】
ステップS4613を経て、ステップS4614に進むと、夜モードの設定に基づく背景演出コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。これにより、その背景演出コマンドが画像制御基板140に送信されると、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図43(B)に示すように、表示画面50aに夜背景画像H2を表示する。こうして遊技者には、夜背景画像H2の表示により、演出モードが夜モード(低確時短状態)に設定されているのを把握させることが可能である。
【0249】
[性能表示処理]
図40に示すように、性能表示処理(S4608)ではまず、演出制御用マイコン121は、性能表示の設定がONとされているか、即ち表示画面50aに性能表示設定画像S3(
図46(C)参照)が表示されているときに性能表示をONに設定されたか否かを判定する(S4701)。性能表示の設定がONとされている場合には(S4701でYES)、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図46(C)に示すように、表示画面50aの下部にパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として、第1性能表示画像J1を表示する。この第1性能表示画像J1から、通常遊技状態に移行したときに各設定値に対する大当たり確率、各大当たり遊技に対する最終ラウンド(最大ラウンド数)、ベースを把握することが可能である。一方、性能表示の設定がOFFとされている場合には(S4701でNO)、第1性能表示画像J1を表示することなく、そのまま本処理を終える。
【0250】
[エンディング演出選択処理]
図41に示すように、エンディング演出選択処理(S4415)ではまず、演出制御用マイコン121は、エンディングコマンドを解析する(S4801)。続いて、演出制御用マイコン121は、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする。
【0251】
ステップS4802を経て、ステップS4803に進むと、性能表示の設定がONとされているかを判定する(S4803)。性能表示の設定がONとされている場合(S4803でYES)には、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図45(B)に示すように、表示画面50aにパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として第1性能表示画像J1を表示し、本処理を終了(リターン)する。一方、性能表示の設定がOFFとされている場合には(S4803でNO)、そのまま本処理を終える。この第1性能表示画像J1から、エンディング演出の実行中に各設定値に対する大当たり確率、各大当たり遊技に対する最終ラウンド(最大ラウンド数)、ベースを把握することが可能である。
【0252】
[客待ち演出選択処理]
図42に示すように、客待ち演出選択処理(S4417)ではまず、演出制御用マイコン121は、客待ちコマンドを解析する(S4901)。続いて、演出制御用マイコン121は、その解析結果に基づいて、客待ち演出を開始するための客待ち演出開始コマンドを演出用RAM124の出力バッファにセットする(S4902)。
【0253】
ステップS4902を経て、ステップS4903に進むと、性能表示の設定がONとされているか否かを判定する(S4903)。性能表示の設定がONとされている場合には(S4903でYES)、画像制御基板140の画像用CPU141は、
図44(B)、
図44(C)、
図44(D)に示すように、表示画面50aにパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として第1性能表示画像J1を表示し、本処理を終える。一方、性能表示の設定がOFFとされている場合には(S4903でNO)、そのまま本処理を終える。この第1性能表示画像J1から、客待ち演出の実行中に各設定値に対する大当たり確率、各大当たり遊技に対する最終ラウンド(最大ラウンド数)、ベースを把握することが可能である。
【0254】
11.本形態の効果
<A>以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機PY1では、パチンコ遊技機PY1の性能に関する情報(各々の設定値に対する各々の大当たり確率の情報、各大当たり遊技の最大ラウンド数の情報、ベースの情報)を示唆する第1性能表示画像J1が所定の期間に表示される。ここで、所定の期間とは、(1)表示画面50aにて選択待機画像T2、ホールコード対応画像T3、又はデモ画像T4が表示されているとき(
図44(B)から
図44(D)参照)、(2)エンディング演出が表示されているとき(
図45(B)参照)、(3)低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったとき(
図46(C)参照)である。上記所定の期間にて、第1性能表示画像J1(
図44(B)から
図44(D)、
図45(B)、
図46(C)参照)を表示することで、遊技者はその第1性能表示画像J1を確認し、パチンコ遊技機PY1の性能を把握することが可能となる。これにより、そのパチンコ遊技機PY1の性能を踏まえて、遊技者の趣向にあったパチンコ遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0255】
また、6種類の設定値に応じて大当たり確率に関する情報を示唆する第1性能表示画像J1を表示画面50aに表示する。よって、遊技者はその第1性能表示画像J1を確認することで、設定値に応じた大当たり確率を把握することができる。これにより、設定値に応じた大当たり確率を踏まえて、遊技者の趣向にあったパチンコ遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0256】
また、6種類の設定値に対応する各々の大当たり確率(設定値「1」に対する大当たり確率1/300、設定値「2」に対する大当たり確率1/280、設定値「3」に対する大当たり確率1/260、設定値「4」に対する大当たり確率1/240、設定値「5」に対する大当たり確率1/220、設定値「6」に対する大当たり確率1/200)に関する情報を示唆する第1性能表示画像J1を表示画面50aに表示される。よって、遊技者はその第1性能表示画像J1(
図44(B)から
図44(D)、
図45(B)、
図46(C)参照)を確認することで、全ての設定値に応じた大当たり確率の全てを一度に把握することができる。これにより、全ての設定値に応じた大当たり確率を踏まえて、いずれの設定値が設定されているのだろうかと推測させながら、遊技者の趣向にあったパチンコ遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0257】
また、大当たり遊技A又は大当たり遊技Bによって獲得可能な賞球数は、6ラウンド×10個×15個で最大900個である。また、大当たり遊技C又は大当たり遊技Dによって獲得可能な賞球数は、10ラウンド×10個×15個で最大1500個である。本形態のパチンコ遊技機PY1では、各大当たり遊技に対する最大ラウンド数に関する情報を示唆する第1性能表示画像J1(
図44(B)から
図44(D)、
図45(B)、
図46(C)参照)を表示画面50aに表示する。これにより、大当たり遊技Aから大当たり遊技Dで獲得可能な賞球数を踏まえて、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0258】
また、表示画面50aに通常待機画像T1が表示されてから第1待機時間(本形態では60秒)を経過することを契機にして選択待機画像T2、ホールコード対応画像T3、又はデモ画像T4が順に表示される待機状態になる。その待機状態中にパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する第1性能表示画像J1(
図44(B)から
図44(D)参照)を表示画面50aに表示する。よって、遊技者はその第1性能表示画像J1を確認することで、待機状態中にパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を把握することができる。これにより、そのパチンコ遊技機PY1の性能を踏まえて、遊技者がこれから遊技を行うパチンコ遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0259】
また、大当たり遊技のエンディングにてエンディング演出が実行され、そのエンディング演出にて第1性能表示画像J1が表示される(
図45(B)参照)。よって、遊技者はその第1性能表示画像J1を確認することで、エンディング演出にてパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を把握することができる。これにより、そのパチンコ遊技機PY1の性能を踏まえて、エンディング演出が終了してからの今後の遊技展開を推測しながらそのパチンコ遊技機PY1で遊技を継続していくか否かを判断させることが可能となる。
【0260】
また、低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったときに、
図46(C)に示すように通常遊技状態に戻る前に大当たりとなって獲得した賞球数を示す獲得ポイント画像Wが表示画面50aに表示される。さらに、このときには表示画面50aにはパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する第1性能表示画像J1が表示される。よって、遊技者は獲得ポイント画像Wと第1性能表示画像J1を確認することで、低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったことやその状況で遊技機の性能に関する情報を把握することができる。これにより、そのパチンコ遊技機PY1の性能を踏まえて、遊技者に通常遊技状態に戻ってからもそのパチンコ遊技機PY1での遊技を継続するか否かを判断させることが可能となる。
【0261】
また、ラムクリア報知中に演出ボタン40kとセレクトボタン42kを操作して、性能表示をONに設定することで、表示画面50aにてパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として、第1性能表示画像J1が表示される。一方、性能表示をOFFに設定することで表示画面50aにて第1性能表示画像J1が表示されない。よって、ラムクリア報知中に演出ボタン40kとセレクトボタン42kを操作することによって、性能表示を実行するか否かの選択可能となり、遊技店の裁量により性能表示を実行するか否かを選択することが可能となる。
【0262】
12.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機PY1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0263】
<第2形態>
図48に基づいて第2形態のパチンコ遊技機PY1について説明する。上記第1形態では、設定値毎に対する大当たり確率を任意に設定可能となっていた。さらに、第1性能表示画像J1にて6種類の設定値の各々に応じた各々の大当たり確率を表示した。これに対して第2形態では、設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしており、1種類の大当たり確率(低確率1/300、高確率1/30)のみ設定されている。本形態では、低確率状態におけるパチンコ遊技機PY1の大当たり確率を示唆する第2性能表示画像J2が表示画面50aに表示される。
【0264】
例えば、表示画面50aに選択待機画像T2が表示されている場合に第2性能表示画像J2が表示された場合について、
図48に基づいて説明する。
図48に示すように、表示画面50a上に選択待機画像T2が表示されている場合には、表示画面50a上にパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示として、第2性能表示画像J2が表示される。
【0265】
図48に示すように、第2性能表示画像J2には各々の設定値に応じた各々の大当たり確率は表示されておらず、大当たり確率1/300のみ表示されている。これは、設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしており、遊技者にパチンコ遊技機PY1に設定されている大当たり確率のみ示唆するものである。また第1性能表示画像J1には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第1性能表示画像J1には「ベース:60%」と表示されている。これは、7セグ表示器150に演算したベースが「60%」であることを示唆するものである。
【0266】
第2形態のパチンコ遊技機PY1では、設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしている。そのため、表示画面50aにて表示する第2性能表示画像J2では、1種類の大当たり確率、各大当たり遊技の最大ラウンド数、遊技者が発射した遊技球の数である発射球数(総発射球数)に対して遊技者が獲得した賞球数(総賞球数)の割合(ベース)の情報が表示される。よって、遊技者はその第2性能表示画像J2を確認することで、設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしていることや、そのパチンコ遊技機PY1に設定されている大当たり確率を把握することができる。これにより、1種類しかない大当たり確率を踏まえて、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。即ち、不利な設定値が設定されることを嫌う遊技者に設定値による優劣がない遊技機であることを把握させ易くすることが可能である。
【0267】
<第3形態>
図49及び
図50に基づいて第3形態のパチンコ遊技機PY1について説明する。近年、表示画面にて同様の演出が実行されるが、大当たり確率や最大ラウンド数などといったスペックが異なるパチンコ遊技機が同じ遊技店に導入されることがある。特に、パチンコ遊技機の大当たり確率が異なれば、遊技者にとって遊技に使う金額に影響を与えるため、パチンコ遊技機の大当たり確率に対応した性能表示の内容を表示できなければ、遊技者に不利益を与えることになる。そこで、第3形態のパチンコ遊技機PY1は、大当たり確率の違いに対応してパチンコ遊技機の性能に関する性能表示の内容を切替可能となっている。なお第3形態では、性能表示に表示される内容を大当たり確率1/300、大当たり確率1/200、又は大当たり確率1/100のいずれかに切替可能となっている。
【0268】
次に
図49に基づいて、第3形態のパチンコ遊技機PY1における電気的な構成を説明する。
図49に示すように、第3形態の演出制御基板120に性能表示切替スイッチ126が接続されている。この性能表示切替スイッチ126は、パチンコ遊技機の性能に関する情報を示唆する性能表示を大当たり確率に応じて変更可能とするものである。本形態では、性能表示切替スイッチ126を操作することで、3種類の性能表示画像(
図50参照)に切り替え可能となっている。なお、性能表示切替スイッチ126は、2接点式のスライドスイッチ、ロータリースイッチやスライドスイッチなどを用いても良い。また、演出制御基板120は演出基板ケースに収容されており、演出制御基板120に設けられた性能表示切替スイッチ126は、遊技店の従業員によって操作することができないものとなっている。しかし、性能表示切替スイッチ126の操作は演出制御基板120が演出基板ケースに収容される前であれば可能であることから、パチンコ遊技機の製造業者によって操作可能となっている。
【0269】
遊技店に設置されたパチンコ遊技機PY1の待機状態中に、性能表示が表示された場合について
図50に基づいて説明する。例えば、パチンコ遊技機PY1の大当たり確率が1/300である場合には、性能表示切替スイッチ126を操作することで、
図50(A)に示すように、大当たり確率1/300に対応した第2性能表示画像J2を表示することが可能となる。
【0270】
図50(A)に示すように、第2性能表示画像J2には大当たり確率1/300と表示されている。これは設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしており、遊技者にパチンコ遊技機PY1の大当たり確率を示唆するものである。また第2性能表示画像J2には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第2性能表示画像J2には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0271】
例えば、パチンコ遊技機PY1の大当たり確率が1/200である場合には、性能表示切替スイッチ126を操作することで、
図50(B)に示すように、大当たり確率1/200に対応した第3性能表示画像J3を表示することが可能となる。
【0272】
図50(B)に示すように、第3性能表示画像J3には大当たり確率1/200と表示されている。これは設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしており、遊技者にパチンコ遊技機PY1の大当たり確率を示唆するものである。また第2性能表示画像J2には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第3性能表示画像J3には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0273】
例えば、パチンコ遊技機PY1の大当たり確率が1/100である場合には、性能表示切替スイッチ126を操作することで、
図50(C)に示すように、大当たり確率1/100に対応した第4性能表示画像J4を表示することが可能となる。
【0274】
図50(C)に示すように、第4性能表示画像J4には大当たり確率1/100と表示されている。これは設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしており、遊技者にパチンコ遊技機PY1の大当たり確率を示唆するものである。また第1性能表示画像J1には、大当たり遊技Aの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Bの最大ラウンド数は6ラウンド、大当たり遊技Cの最大ラウンド数は10ラウンド、大当たり遊技Dの最大ラウンド数は10ラウンドと表示されている。これは、遊技者に各大当たり遊技が実行された場合にその大当たり遊技によって獲得可能な賞球数を示唆するものである。さらに、第4性能表示画像J4には「ベース:60%」と表示されている。これは、遊技者に通常遊技状態でのベースを示唆するものである。
【0275】
第3形態では、設定値を設けないことで、大当たり確率を設定値ごとに変えられなくしていたが、設定値を設けて各々設定値に対する大当たり確率を設定可能としてもよい。この場合、表示画面50aにて各々の設定値に対する各々の大当たり確率を全て表示してもよい。また、第3形態では、大当たり確率に対応するため性能表示の内容を変更しているが、性能表示の内容は大当たり確率だけでなく最大ラウンド数などに対応するために変更しても良い。
【0276】
第3形態のパチンコ遊技機PY1では、性能表示切替スイッチ126を操作することで、そのパチンコ遊技機に設定されている大当たり確率に応じた性能表示へと切り替えることができる。これにより、パチンコ遊技機の大当たり確率と表示画面50aに表示される性能表示の内容(大当たり確率)が相違するといったことを防ぐことが可能となる。また、性能表示切替スイッチ126を操作することで、表示される性能表示の内容を切り替えることが可能であることから、パチンコ遊技機の大当たり確率に対応する性能表示を表示させるための複雑な処理を設ける必要がない。
【0277】
<その他の変形例>
【0278】
また上記形態では、表示画面50aにて表示される性能表示は、設定値に対する大当たり確率、各大当たり遊技で獲得可能な賞球数、及びベースなどに関する情報を示唆するものとなっていた。これに限定されることはなく、性能表示は、高確率状態の大当たり確率、大当たり遊技後の遊技状態、パチンコ遊技機PY1の型式や遊技制御用マイコン101のソフト制御版数以外のその他の情報(製造年月日、製造メーカ、演出制御用マイコン121等のその他の制御手段のソフト制御版数等)を示唆(表示)するものであっても良い。
【0279】
また上記各形態では、パチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示において各大当たり遊技の最大ラウンド数を表示していたが、これに限定されるものではない。例えば、大当たり遊技で獲得可能な賞球数(例えば、大当たり遊技A:900個、大当たり遊技B:900個、大当たり遊技C:1500個、大当たり遊技D:1500個)を表示してもよい。
【0280】
また上記各形態では、パチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示において通常遊技状態でのベースを表示していたが、これに限定されるものではない。例えば、時短状態でのベースや、大当たり遊技状態でのベースを表示してもよい。また、待機状態、エンディング演出、及び低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったときによって、性能表示において表示するベースの内容を異ならせてもよい。例えば、待機状態では通常遊技状態でのベースを表示し、エンディング演出が表示されているときには大当たり遊技状態でのベースを表示し、低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったときには時短状態でのベースを表示してもよい。これにより、夫々の遊技状況に適した遊技者の知りたい内容を示唆することが可能となる。
【0281】
また上記形態では、性能表示にてベースに関する情報を示唆していたが、これに限定されることはない。例えば、性能表示にて発射球数(通常発射球数、時短発射球数、大当たり発射球数)に関する情報を示唆したり、出玉(賞球数-発射球数)、又は出率に関する情報を示唆しても良い。出率は電源が投入された時点から現時点までに獲得した賞球数(総賞球数)のうち役物の作動に基づいて獲得した賞球数の割合である。そして出率の中には、役物比率と連続役物比率とがある。役物比率は、賞球数のうち、普通電動役物(電チュー12D)及び特別電動役物(大入賞装置14D)を含む全ての役物の作動に基づいて獲得した賞球数(役物賞球数)の割合である。連続役物比率は、賞球数のうち、特別電動役物を連続して作動させることに基づいて獲得した賞球数(連続役物賞球数)の割合のことである。つまり連続役物比率は、総賞球数のうち、大当たり遊技の実行のみに基づいて獲得した賞球数の割合のことである。
【0282】
また上記第1形態では、設定値に対する大当たり確率の情報、各大当たり遊技で獲得可能な賞球数の情報、及びベースに関する情報といった、3種類のパチンコ遊技機の性能に関する情報を表示画面50aに表示していたが、これに限定するものではない。例えば、設定値に対する大当たり確率の情報と各大当たり遊技で獲得可能な賞球数の情報といった2種類以下の情報を表示してもよい。また、設定値に対する大当たり確率の情報、各大当たり遊技で獲得可能な賞球数の情報、ベースに関する情報、及びその他の情報といった4種類以上の情報を表示してもよい。
【0283】
上記各形態では、RAMクリアスイッチ119を操作することによって、遊技用RAM104に記憶されている情報を遊技用CPU102にクリアさせることや、パチンコ遊技機PY1ごとに設定値を設定することができたが、電源基板190にRAMクリアスイッチ119とは別個にパチンコ遊技機PY1ごとに設定値を設定するための専用スイッチを設けてもよい。
【0284】
上記各形態では、設定値を設定値表示器87で確認可能となっていたが、これに限る必要はない。遊技制御基板100に設定値表示器87を設けずに、設定値を7セグ表示器150にて確認可能であっても良い
【0285】
遊技制御基板100に設けた設定値シリンダ70を遊技制御基板100の付近に設けてもよい。また、設定値シリンダ70の構造は特に限定されずに適宜に変更できる。例えば、設定値を変更する操作を行えるようにする機械として、設定値シリンダ70に代えて、2接点式のスライドスイッチを用いても良い。この場合、一方の位置につまみが配置されると、設定値を変更する操作を行えるようにしても良い。さらに、設定値を設定する操作を行う機械として、上述した専用スイッチの場合、ロータリースイッチやスライドスイッチなどを用いても良い。この場合、つまみの位置を直接設定値に対応付けても良い。また、設定値シリンダ70、および専用スイッチの位置も特に限定されずに適宜に変更しても良い。
【0286】
上記各形態では、バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給している。従って、演出制御基板120の演出用RAM124に記憶されている設定値に関する情報などは、パチンコ遊技機PY1の電断時であっても保持されていた。これに限る必要はなく、バックアップ電源回路192は、本パチンコ遊技機PY1に対して電力が供給されていない場合に、演出制御基板120の演出用RAM124に対して電力を供給しなくてもよい。
【0287】
上記各形態では、エンディング演出中にパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示が表示されていたが(
図45(B)参照)、これに限定されるものではない。例えば、大当たり遊技のオープニングにて行われるオープニング演出や、大当たり遊技のラウンド遊技にて行われるラウンド演出などに性能表示が表示されても良い。また、変動演出中に性能表示が表示されてもよい。その場合、遊技者が選択したパチンコ遊技機の初回の変動演出にて性能表示を表示することが考えられる。これにより、パチンコ遊技機の性能に関する情報を把握させながら、遊技者に遊技を開始させることが可能となる。
【0288】
上記各形態では、低確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったときにパチンコ遊技機PY1の性能に関する情報を示唆する性能表示が表示されていたが(
図46(C)参照)、これに限定されるものではない。例えば、高確高ベース状態から通常遊技状態に戻ったときや、高確低ベース状態から通常遊技状態に戻ったときなどに性能表示が表示されても良い。
【0289】
上記第3形態のパチンコ遊技機PY1では、性能表示切替スイッチ126を操作することで、そのパチンコ遊技機の大当たり確率に対応する性能表示の内容へと切り替えることが可能であった。これに限定する必要はなく、例えば、遊技制御基板100から演出制御基板120にパチンコ遊技機PY1の大当たり確率に関する情報を含むコマンドを送信する。そして、演出制御基板120はそのコマンドに基づいてパチンコ遊技機の大当たり確率に対応する性能表示の内容に変更可能としてもよい。これにより、パチンコ遊技機の大当たり確率と表示画面50aに表示される性能表示の内容(大当たり確率)が相違するといったことを防ぐことが可能となる。また、演出制御基板120に性能表示切替スイッチ126といった専用の操作手段を備える必要はないため、パチンコ遊技機の製造する際に手間がかからず、専用の操作手段を実装するために必要なコストを省くことが可能となる。
【0290】
また、遊技者の一部にはパチンコ遊技機に設けた演出ボタン40kを激しく押下操作する人もいるため、表示画面50aにて演出ボタン40kを押下操作しても遊技の結果に影響しない旨を表示してもよい。これにより、パチンコ遊技機に設けた演出ボタン40kを激しく押下操作することで演出ボタン40kが故障することを防止することが可能となる。
【0291】
上記各形態では、ベースを表示する表示手段として、
図9に示すように各点灯部分LB1~LB32が配置されている4連7セグを用いた。しかしながら表示手段は、4連7セグに限られるものではなく、3つ以下の表示領域を備えるものや、5つ以上の表示領域を備えるものであっても良い。また1つの表示領域における点灯部分が、8つであるものに限られず、7つ以下や9つ以上であっても良い。更に、表示手段は、表示器類8のように点灯部分が不作為(バラバラ)に配されているものであったり、液晶表示装置、有機ELディスプレイ等であっても良く、適宜変更可能である。
【0292】
また上記各形態では、遊技領域6を流下した遊技球の数(発射球数)をカウントするために、排出口センサ30aを設けた。しかしながら、排出口センサ30aを用いずに、発射球数をカウントするようにしても良い。この場合には、例えばレール部材62の傍に遊技球を検出可能なセンサを設けて、そのセンサの検出により発射球数をカウントするようにしても良い。また例えば、アウト口19を通過する遊技球を検出可能なアウト口センサを設けて、そのアウト口センサの検出と、各種入賞口センサ(第1始動口センサ11a、第2始動口センサ12a、大入賞口センサ14a、一般入賞口センサ10a)の検出とに基づいて、発射球数をカウントするようにしても良い。
【0293】
また上記各形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本明細書に示されている発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
【0294】
また、特別遊技として、小当たり遊技(大入賞口の総開放時間が所定時間(例えば1.8秒)以下と短い特別遊技)を行うことがあってもよい。小当たり遊技の実行中の状態を小当たり遊技状態と言う。
【0295】
また、大入賞口(大入賞装置)は、複数(例えば2つ)あってもよい。この場合には、第1大入賞口と、第1大入賞口に入賞した遊技球を検出可能な第1大入賞口センサと、第2大入賞口と、第2大入賞口に入賞した遊技球を検出可能な第2大入賞口センサとが設けられている遊技機になる。
【0296】
また上記各形態では、第1始動口11又は第2始動口12への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
【0297】
また上記各形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。
【0298】
また、スロットマシンのタイプは、どのようなタイプであってもよい。ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機(Aタイプのスロットマシン)であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
【0299】
13.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
【0300】
〈手段A〉
手段A1に係る発明は、
所定の条件が成立すると、特別遊技(大当たり遊技)を実行する遊技制御手段(遊技制御用マイコン101)と、
所定の表示を実行する演出制御手段(演出制御用マイコン121)と、を備えた遊技機(パチンコ遊技機PY1)において、
前記演出制御手段は、
前記遊技機の性能に関する情報を示唆する特定表示(第1性能表示画像J1の表示)を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
【0301】
この構成の遊技機によれば、遊技機の性能に関する情報を示唆する特定表示が実行される。よって、遊技者がその特定表示を確認することで、遊技機の性能を把握することが可能となり、その遊技機の性能を踏まえて、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0302】
手段A2に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記遊技制御手段は、
入球口(第1始動口11、第2始動口12)への入球に基づいて判定処理を行うものとし、
前記特定表示は、前記判定処理により大当たりと判定される確率に関する情報を示唆する表示であることを特徴とする遊技機である。
【0303】
この構成の遊技機によれば、判定処理により大当たりと判定される確率に関する情報を示唆する特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、その遊技機の大当たりと判定される確率を把握することができる。これにより、その大当たりと判定される確率を踏まえて、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0304】
手段A3に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記遊技制御手段は、
入球口への入球に基づいて判定処理を行うものとし、
前記判定処理により大当たりと判定される確率が異なる複数の設定値(設定値「1」、設定値「2」、設定値「3」、設定値「4」、設定値「5」、設定値「6」)から一の設定値を設定可能とし、
前記特定表示は、
前記複数の設定値のうち一以上の設定値に応じて前記判定処理により大当たりと判定される確率に関する情報を示唆する表示であることを特徴とする遊技機である。
【0305】
この構成の遊技機によれば、設定値に応じて大当たりと判定される確率に関する情報を示唆する特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、設定値に応じて大当たりと判定される確率を把握することができる。これにより、設定値に応じて大当たりと判定される確率を踏まえて、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0306】
手段A4に係る発明は、
手段A3に記載の遊技機において、
前記特定表示は、
前記複数の設定値の各々に応じて前記判定処理により大当たりと判定される各々の確率に関する情報を示唆する表示であることを特徴とする遊技機である。
【0307】
この構成の遊技機によれば、各々の設定値に応じて大当たりと判定される各々の確率に関する情報を示唆する特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、全ての設定値に応じて大当たりと判定される確率の全てを一度に把握することができる。これにより、全ての設定値に応じて大当たりと判定される確率を踏まえ、いずれの設定値が設定されているのだろうかと推測させながら、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0308】
手段A5に係る発明は、
手段A1に記載の遊技機において、
前記特定表示は、
前記特別遊技にて獲得可能な賞球数に関する情報(大当たり遊技の最大ラウンド数)を示唆する表示であることを特徴とする遊技機である。
【0309】
この構成の遊技機によれば、特別遊技にて獲得可能な賞球数に関する情報を示唆する特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、その遊技機における特別遊技にて獲得可能な賞球数を把握することができる。これにより、その特別遊技にて獲得可能な賞球数を踏まえ、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0310】
手段A6に係る発明は、
手段A1から手段A5のいずれかに記載の遊技機において、
前記演出制御手段は、
客待ち演出(選択待機画像T2、ホールコード対応画像T3、デモ画像T4の表示中)であるときに、前記特定表示を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
【0311】
この構成の遊技機によれば、客待ち演出であるときに特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、客待ち演出中に遊技機の性能に関する情報を把握することができる。これにより、その遊技機の性能を踏まえて、遊技者がこれから遊技を行う遊技機を選択し易くすることが可能となる。
【0312】
手段A7に係る発明は、
手段A1から手段A6のいずれかに記載の遊技機において、
前記特別遊技には、特別入賞口(大入賞口14)が開放可能な開放遊技(ラウンド遊技)と、前記開放遊技の終了後のエンディングとが含まれており、
前記演出制御手段は、
前記エンディングにて、前記特定表示を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
【0313】
この構成の遊技機によれば、特別遊技のエンディングにて特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、エンディングにて遊技機の性能に関する情報を把握することができる。これにより、その遊技機の性能を踏まえて、遊技者にエンディングが終了してからもその遊技機での遊技を継続するか判断させることが可能となる。
【0314】
手段A8に係る発明は、
手段A1から手段A7のいずれかに記載の遊技機において、
前記遊技制御手段は、
前記特別遊技の終了後に、遊技者にとって有利な特定遊技状態(高確高ベース状態、低確高ベース状態)に移行可能とし、
前記演出制御手段は、前記特定遊技状態が終了した場合に、前記特定表示を実行可能であることを特徴とする遊技機である。
【0315】
この構成の遊技機によれば、遊技者にとって有利な特定遊技状態が終了した場合に特定表示が実行される。よって、遊技者はその特定表示を確認することで、特定遊技状態が終了した場合に遊技機の性能に関する情報を把握することができる。これにより、その遊技機の性能を踏まえて、遊技者に特定遊技状態が終了してからもその遊技機での遊技を継続するか判断させることが可能となる。
【0316】
手段A9に係る発明は、
手段A1から手段A8のいずれかに記載の遊技機において、
操作可能な操作手段(演出ボタン40k、セレクトボタン42k)を備え、
前記演出制御手段は、
前記操作手段の操作に基づいて、前記特定表示が実行されることがある設定有り又は前記特定表示が実行されることがない設定無しに設定可能とすることを特徴とする遊技機である。
【0317】
この構成の遊技機によれば、操作手段の操作に基づいて、遊技機の性能に関する情報を示唆する特定表示が実行されることがある設定有り、又は特定表示が実行されることがない設定無しに設定される。よって、操作手段の操作によって特定表示を実行するか否かが選択可能となり、遊技店は裁量により特定表示を実行するか否かを選択することが可能となる。
【0318】
ところで、特開2000-325573号公報に記載の遊技機では、始動口への遊技球の入球に基づいて大当たりとするか否かの判定処理を行う。また上記の遊技機では、遊技盤にその遊技機の性能に関する情報を示唆する表示が貼付されている。しかしながら、上記の遊技盤に貼付された上記遊技機の性能に関する情報を示唆する表示では、遊技者にとって趣向にあった遊技機を選択し難いものとなっていた。そこで上記した手段A1からA9に係る発明は、特開2000-325573号公報に記載した遊技機に対して、所定の表示を実行する演出制御手段により遊技機の性能に関する情報を示唆する特定表示を実行可能な点で相違している。これにより、遊技者の趣向にあった遊技機を選択し易くすることが可能な遊技機を提供するという課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
【符号の説明】
【0319】
PY1…パチンコ遊技機
2…遊技機枠
6…遊技領域
8…表示器類
14…大入賞口
70…設定値シリンダ
70a…設定値シリンダセンサ
87…設定値表示器
100…遊技制御基板
101…遊技制御用マイコン
119…RAMクリアスイッチ
119a…RAMクリアスイッチセンサ
120…演出制御基板
121…演出制御用マイコン
126…性能表示切替スイッチ
150…7セグ表示器
151~154…第1~第4表示領域
LB1~LB32…点灯部分