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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/02 20210101AFI20230216BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20230216BHJP
   F24C 15/06 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
F24C3/02 H
F24C15/00 M
F24C15/06 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018240549
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020101336
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小澤 耕平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-044429(JP,A)
【文献】特開2015-031470(JP,A)
【文献】実開平03-116423(JP,U)
【文献】国際公開第2009/083364(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/02
F24C 3/12
F24C 15/00
F24C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にコンロバーナが配置される筐体と、
前記筐体内の前部に配置され、前記コンロバーナにガスを供給し、且つ前記コンロバーナへのガスの供給と遮断の操作を行う操作部を備える燃料供給装置と、
前記燃料供給装置の前方にて前記筐体に固定され、前記操作部の操作状態を示すパネル装置と
を備えたガスコンロであって、
前記燃料供給装置の前記操作部は、少なくともガスの供給時には前記パネル装置の前面に対して突出した状態にあり、回動操作によって前記コンロバーナに供給するガスの供給量を調整可能な操作つまみを含み、
前記パネル装置は、
前記燃料供給装置の前方にて前記筐体に固定され、前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を有するパネル本体と、
前記パネル本体の後面で、前記貫通穴の径方向外側にて周方向に沿う所定範囲の領域に設けられて発光し、前記パネル本体の前面側へ向けて光を出射する発光部と、
筒状を呈し、前記操作つまみの周囲を取り囲みつつ前記貫通穴内に回転可能に配置される本体部と、前記本体部の周方向の少なくとも一部、且つ前記本体部の回転範囲において前記発光部の前側で前記発光部と重なる部分にて径方向外向きに鍔状に突出するフランジ部と、前記フランジ部の周方向の一部にて穴状又は切欠状に形成され、前記発光部からの光が通過可能な光通過部と、前記操作部に係合し、前記操作つまみの回動操作に応じて前記本体部を回動させる係合部と、前記本体部の前端部に設け、円環状を呈し、前記本体部よりも内径が小さい目隠部とを有する鍔付筒部と、
前記パネル本体の前部に装着され、前記貫通穴と前後方向に重なる位置にて開口し、前記操作つまみが配置される開口部と、前記開口部の周りで前記発光部と前後方向に重なる位置にて設けられ、前記発光部が出射し、前記光通過部を通過した光を透過する透光部と、を有する化粧パネルと
を備え、
前記目隠部の外径は、前記開口部の内径よりも大きく、
前記目隠部の内径は、前記操作つまみの外径よりも大きく、且つ前記開口部の内径よりも小さく、
且つ、
前記操作部は、押し込み操作を行うたびに、前記操作つまみが前記パネル装置の前面に対して突出する操作位置と、前記操作つまみが前記操作位置よりも後方に位置する待機位置との間で交互に変位する構成であり、
前記目隠部の内周面は、
径方向内向きに膨出する曲面状を呈し、前方から後方へ向けて内径が小さくなる曲面部と、
前記曲面部に接続し、後方へ向けて徐々に内径が大きくなるテーパ状を呈するテーパ部と
を有し、
前記曲面部と前記テーパ部との接続部は、前記目隠部において最も内径が小さい部位であること
を特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記化粧パネルの後面には、前記開口部の形成位置を中心に前方へ向けて段状に凹む円形の段部が設けられ、
前記目隠部は、前記本体部の前端部から前方に突出し、先端部が前記段部内に配置されること
を特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記目隠部は、帯状且つ環状の前面を有し、
前記目隠部前記先端部が前記段部内に配置される場合に、
前記目隠部の前面は、前記段部の後面に当接又は近接した状態であり、
前記化粧パネルの後面における前記段部の内径は、前記目隠部の前記先端部の外径よりも大きいこと
を特徴とする請求項2に記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記操作つまみが前記待機位置にあるときに、前記操作つまみの外周面において、前記接続部に対向する対向位置における前記操作つまみの外径は、前記操作つまみの外周面における前端位置よりも外径が大きく、
前記操作つまみの外周面は、前記前端位置から、前記対向位置よりも後側の位置にかけて、外径が大きくなるテーパ状を呈すること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロは、コンロバーナにガスを供給する燃料供給装置を備える。例えば特許文献1に記載の回転操作部は、押圧操作可能且つ回転操作可能に構成されている。回転操作部は、点火時には押圧操作によりガスコンロの前面パネルから突出する突出状態となり、消火時には押圧操作により突出状態よりも後方に退避する退避状態になる。そして突出状態のとき、回転操作部は回転操作によって火力の調整を行う。前面パネルには回転操作部が挿入される貫通孔が形成されており、貫通孔にはリング部材が配置される。リング部材は、貫通孔の内周壁と回転操作部との間に構成される環状空間を埋め、ガスコンロの美観の低下を抑える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-31470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のリング部材は、回転操作部とは別体の部品であるので、部品点数が増える。また、前面パネルは、リング部材を配置するための部位を設ける必要があるので、加工のための工数が増える。このため、ガスコンロの製造コストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、製造コストを低減しつつ美観を損ねないガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明のガスコンロは、上部にコンロバーナが配置される筐体と、前記筐体内の前部に配置され、前記コンロバーナにガスを供給し、且つ前記コンロバーナへのガスの供給と遮断の操作を行う操作部を備える燃料供給装置と、前記燃料供給装置の前方にて前記筐体に固定され、前記操作部の操作状態を示すパネル装置とを備えたガスコンロであって、前記燃料供給装置の前記操作部は、少なくともガスの供給時には前記パネル装置の前面に対して突出した状態にあり、回動操作によって前記コンロバーナに供給するガスの供給量を調整可能な操作つまみを含み、前記パネル装置は、前記燃料供給装置の前方にて前記筐体に固定され、前後方向に貫通し、前記操作つまみが配置される貫通穴を有するパネル本体と、前記パネル本体の後面で、前記貫通穴の径方向外側にて周方向に沿う所定範囲の領域に設けられて発光し、前記パネル本体の前面側へ向けて光を出射する発光部と、筒状を呈し、前記操作つまみの周囲を取り囲みつつ前記貫通穴内に回転可能に配置される本体部と、前記本体部の周方向の少なくとも一部、且つ前記本体部の回転範囲において前記発光部の前側で前記発光部と重なる部分にて径方向外向きに鍔状に突出するフランジ部と、前記フランジ部の周方向の一部にて穴状又は切欠状に形成され、前記発光部からの光が通過可能な光通過部と、前記操作部に係合し、前記操作つまみの回動操作に応じて前記本体部を回動させる係合部と、前記本体部の前端部に設け、円環状を呈し、前記本体部よりも内径が小さい目隠部とを有する鍔付筒部と、前記パネル本体の前部に装着され、前記貫通穴と前後方向に重なる位置にて開口し、前記操作つまみが配置される開口部と、前記開口部の周りで前記発光部と前後方向に重なる位置にて設けられ、前記発光部が出射し、前記光通過部を通過した光を透過する透光部と、を有する化粧パネルとを備え、前記目隠部の外径は、前記開口部の内径よりも大きく、前記目隠部の内径は、前記操作つまみの外径よりも大きく、且つ前記開口部の内径よりも小さく、且つ、前記操作部は、押し込み操作を行うたびに、前記操作つまみが前記パネル装置の前面に対して突出する操作位置と、前記操作つまみが前記操作位置よりも後方に位置する待機位置との間で交互に変位する構成であり、前記目隠部の内周面は、径方向内向きに膨出する曲面状を呈し、前方から後方へ向けて内径が小さくなる曲面部と、前記曲面部に接続し、後方へ向けて徐々に内径が大きくなるテーパ状を呈するテーパ部とを有し、前記曲面部と前記テーパ部との接続部は、前記目隠部において最も内径が小さい部位であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明のガスコンロは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記化粧パネルの後面には、前記開口部の形成位置を中心に前方へ向けて段状に凹む円形の段部が設けられ、前記目隠部は、前記本体部の前端部から前方に突出し、先端部が前記段部内に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明のガスコンロは、請求項2に記載の発明の構成に加え、
前記目隠部は、帯状且つ環状の前面を有し、前記目隠部の前記先端部が前記段部内に配置される場合に、前記目隠部の前面は、前記段部の後面に当接又は近接した状態であり、前記化粧パネルの後面における前記段部の内径は、前記目隠部の前記先端部の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
【0010】
請求項に係る発明のガスコンロは、請求項1から3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記操作つまみが前記待機位置にあるときに、前記操作つまみの外周面において、前記接続部に対向する対向位置における前記操作つまみの外径は、前記操作つまみの外周面における前端位置よりも外径が大きく、前記操作つまみの外周面は、前記前端位置から、前記対向位置よりも後側の位置にかけて、外径が大きくなるテーパ状を呈することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明のガスコンロによれば、操作つまみは、少なくともガスの供給時にはパネル装置の前面に対して突出し、ガスの供給量が調整される場合には回動操作される。故に、操作つまみの外周面と、化粧パネルの開口部の内周面との間には、円滑な操作のための間隙が設けられる。目隠部は、操作つまみの外径よりも大きく、開口部の内径よりも小さい。よって、ガスコンロを前方から見たとき、操作つまみと開口部の間隙内は、目隠部に遮られて奥が見えにくくなるので、ガスコンロの美観を損ねない。また、目隠部は鍔付筒部と一体に設けられるので、別体に設けた場合と比べて部品点数を減らすことができ、且つ目隠部を鍔付筒部と別体で設けた場合に化粧パネルにおいて必要となる目隠部の取付部位の加工に要する工数を削減できるので、ガスコンロの製造コストを低減することができる。
目隠部は、接続部において最も内径が小さい。故に、操作つまみと開口部の間隙内は、接続部よりも後側が見えにくく、ガスコンロの美観を損ねない。また、目隠部の内周面は、接続部において操作つまみの表面に最も近接し、曲面部とテーパ部において接続部から離れるほど操作つまみの表面から遠ざかる。操作部の操作において目隠部が操作つまみに接触しても、接続部が操作つまみに接触し、曲面部とテーパ部を含む他の部分が接触することがないので、操作つまみにかかる接触抵抗は小さい。故に、点火操作を行うとき、操作つまみは前後方向に円滑に変位することができる。
【0012】
請求項2に係る発明のガスコンロによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、操作つまみの回動操作に応じて本体部が回動すると、目隠部は、操作つまみの外周面に沿って回動する。目隠部は、先端部が化粧パネルの段部内に配置され、回動時に段部によって位置決められるので、鍔付筒部の回動が安定する。操作つまみが回動する時も、目隠部の内周面と操作つまみの外周面との間に間隙が確保されるので、間隙内の奥が目隠部によって見えにくく、ガスコンロは美観を損ねない。また、間隙の確保により、目隠部は、操作つまみの回動操作に対し接触抵抗を与えにくいので、操作部の操作性を確保できる。
【0013】
請求項3に係る発明のガスコンロによれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、化粧パネルの後面における段部の内径は、目隠部の先端部の外径よりも大きい。故に、目隠部は、段部の内径と目隠部の先端部の外径との径差の範囲内で、開口部の中心軸に対する軸ずれが許容される。この構成により、開口部の中心軸に対する操作つまみの軸ずれに合わせて目隠部も軸ずれすることができるので、軸ずれによって間隙が偏り大きな隙間が生じた場合でも、間隙内の奥が目隠部によって見えにくく、ガスコンロは美観を損ねない。また、目隠部の前面が段部の後面に当接又は近接した状態であるので、振動等による目隠部の軸ずれを抑制し、目隠しの効果を維持することができる。
【0014】
【0015】
請求項に係る発明のガスコンロによれば、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加え、操作つまみが待機位置にあるとき、操作つまみと開口部の間隙は、接続部に対向する対向位置において最も小さい。更に、操作つまみの外周面は、前端位置から対向位置よりも後側の位置にかけて外径が大きくなるテーパ状を呈する。このため、前方から操作つまみと開口部の間隙内を覗いた場合に、対向位置の前側には目隠部が見え、対向位置の後側には操作つまみの外周面が見え、他の部位が見えにくいので、ガスコンロは美観を損ねない。
【0016】
なお、本発明は、請求項1からの夫々の発明特定事項を任意に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ガスコンロ1の斜視図である。
図2】燃料供給装置20の斜視図である。
図3図1のI-I線を矢視方向から見たガスコンロ1の断面図である。
図4】パネル装置9Bの分解斜視図である。
図5】化粧パネル80の背面図である。
図6】前側から見た鍔付筒部70の斜視図である。
図7】後側から見た鍔付筒部70の斜視図である。
図8図3の円Aを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0019】
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、ビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル装置(図示略)の排気口7が設けられる。
【0020】
ガスコンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル装置に設けられるグリル庫(図示略)の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が横方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さ位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が横方向に並んで設けられる。操作つまみ11~14の夫々は、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ11~14は、夫々、燃料供給装置20(図2参照)の前端部に取り付けられる。
【0021】
図2図3を参照し、燃料供給装置20について説明する。ガスコンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、及びグリル装置にガスを供給する4つの燃料供給装置を備える。そのうち、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20は公知のプッシュ・プッシュ機構24を備えた同一構成の装置である。また、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置(図示略)は、燃料供給装置20と同様のプッシュ・プッシュ機構を備えるが、ガス流量の調節を電磁弁によって行うため、流量調節部(図示略)を別体に設ける。以下では、左バーナ5にガスを供給する燃料供給装置20を一例として説明し、右バーナ4、奥バーナ6、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置については説明を省略する。なお、右バーナ4にガスを供給する燃料供給装置と、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20と同一構成であるので、便宜上、同一の符号を付して燃料供給装置20と呼ぶ。
【0022】
図2図3に示すように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の押し込み操作と回動操作により、左バーナ5の点火と消火、及び左バーナ5に供給するガス量の調節を行う装置である。押し込み操作は、操作つまみ14の前面を後方へ押圧し、ガスコンロ1の前面よりも奥側に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ14の側面を把持し、前後方向の軸(軸線AX)を中心に回転する操作である。燃料供給装置20は、操作部21、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31等を備える。
【0023】
操作部21は操作つまみ14、プッシュ・プッシュ機構24、連結部材25を備える。連結部材25は後述する。操作つまみ14は略円柱状に形成される。操作つまみ14は、ガスコンロ1の後方へ向けて押し込み移動させることにより、待機位置、押込位置、操作位置の各位置に移動する。待機位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面とほぼ面一となる位置である。待機位置において、操作つまみ14の先端面は、ガスコンロ1の前面よりも僅かに後側に位置してもよいし、僅かに前側に位置してもよい。なお、図2に示す燃料供給装置20は、操作つまみ14が待機位置に位置する。押込位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面よりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、押込位置にて待機位置よりも後方に位置する。操作位置は、操作つまみ14の先端面が、ガスコンロ1の前面に対して突出する位置である。操作つまみ14は、操作位置にて待機位置よりも前方に位置する。操作位置にあるとき、操作つまみ14は、前後方向に沿う軸線AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。
【0024】
プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14を待機位置、押込位置、操作位置の各位置にて位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁39を開放状態又は閉鎖状態に維持する。プッシュ・プッシュ機構24の内部には、操作つまみ14の押し込み操作に合わせて前後方向に移動するスライダ40と、スライダ40を前方へ向けて付勢するバネと、メイン弁39を駆動する弁駆動部41が設けられる。スライダ40には公知のカム機構44が設けられる。スライダ40は、操作つまみ14が押し込み操作される度に、操作つまみ14を待機位置から押込位置を経て操作位置に移動する動作と、操作位置から押込位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。弁駆動部41は、操作つまみ14が待機位置から操作位置に移動する動作に連動してメイン弁39を開放し、且つ開放状態に維持する動作を行い、操作つまみ14が操作位置から待機位置に移動する動作に連動してメイン弁39を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する動作を行う。
【0025】
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路46が形成される。第一ガス通路46は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管17から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路46には安全弁48とメイン弁39が設けられる。安全弁48は、第一ガス通路46を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。メイン弁39は、操作つまみ14の押し込み操作に応じて第一ガス通路46の開閉を行う弁である。なお、メイン弁39と安全弁48はいずれも周知のものであるので、動作の詳細な説明は省略する。
【0026】
流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22の上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路19が形成される。第二ガス通路19は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口32に接続されるガス供給管18を介して左バーナ5に供給する。流量調節部31の前端部には第二ガス通路19に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路19内にて前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。ピン29の下端部は、火力調節カム26のカム溝27(後述)に係合する。
【0027】
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸線AXの回りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸線AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
【0028】
火力調節カム26は、前方に延びる延伸部(図示略)を備え、延伸部の前端部分に内向きに突出する歯部35を有する。歯部35は操作つまみ14が操作位置にあるときに連結部材25の歯部38(後述)に噛合し、連結部材25を介して火力調節カム26を操作つまみ14と共に軸線AXを中心に回転する。火力調節カム26の延伸部の外周面には、LED操作部材36が固定される。LED操作部材36は、前方に延びる係合片37を有する。LED操作部材36は鍔付筒部70(後述)に係合し、鍔付筒部70を火力調節カム26と共に軸線AXを中心に回転する。
【0029】
操作部21の連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダ40から前方に延び、軸線AXを軸とする軸体34に係合する。連結部材25は軸体34の前端部にて操作つまみ14を一体に固定し、操作つまみ14と共に軸線AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25は、後端部外周面に、火力調節カム26の歯部35に噛合する歯部38を有する。操作つまみ14が操作位置にあるとき、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部35と噛合し、操作つまみ14と火力調節カム26を連結する。操作つまみ14が操作位置にない場合には、火力調節カム26の歯部35は連結部材25の歯部38の前方に位置して噛合せず、操作つまみ14と火力調節カム26の連結状態を解除する。
【0030】
次に、操作つまみ14の回動操作による点火及び消火と火力の調節について説明する。左バーナ5の消火時、操作つまみ14は、待機位置にある。ユーザが操作つまみ14を押し込み、操作つまみ14が押込位置に移動する過程で、安全弁48とメイン弁39が開放され、イグナイタ(図示略)によって左バーナ5が点火される。ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はバネの付勢により操作位置に移動する。安全弁48とメイン弁39は開放状態に維持される。連結部材25によって、操作つまみ14と火力調節カム26が連結される。
【0031】
操作つまみ14が操作位置にある状態で操作つまみ14が回動操作されると、火力調節カム26は操作つまみ14と共に軸線AXの回りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動するので、ニードル弁28の位置に応じて、第二ガス通路19を流通するガスの流量が調節され、左バーナ5の火力が変更される。
【0032】
ユーザが操作つまみ14を押し込み、操作つまみ14が押込位置に移動する過程で、安全弁48とメイン弁39が閉鎖される。左バーナ5は消火する。ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はバネの付勢により待機位置に移動する。安全弁48とメイン弁39は閉鎖状態に維持される。
【0033】
このように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の回動操作に伴い、火力調節カム26がニードル弁28を移動することによって、流量調節部31の第二ガス通路19を流通するガスの流量を無段階に調節する。即ち、操作つまみ14の回転量に応じて、左バーナ5の火力がリニアに変化する。右バーナ4、奥バーナ6に夫々対応する操作つまみ11、13についても同様である。ガスコンロ1は、操作つまみ11、13、14の夫々の回転量に応じた火力表示を行うため、前面に設けるパネル装置9A、9Bに火力表示機能を備える。
【0034】
図1に示すように、ガスコンロ1は、グリル扉8の右側の領域に、右バーナ4とグリル装置の火力表示を行うパネル装置9Aを備え、グリル扉8の左側の領域に、左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行うパネル装置9Bを備える。
【0035】
なお、グリル装置の燃料供給装置は、操作つまみ12の回転位置に応じてオン・オフが切り替わる複数のスイッチ(図示略)を備える。グリル装置の流量調節部は、複数のスイッチのオン・オフの状態に応じて複数の電磁弁の開閉状態を切り替えることによって、グリルバーナの火力調節を行う。従って、グリル装置の火力表示は、複数のスイッチのオン・オフの状態に合わせ、パネル装置9Aに設けたLEDの点灯・消灯の状態を段階的に切り替えることによって行われる。
【0036】
これに対し、パネル装置9Aにおける右バーナ4の火力表示と、パネル装置9Bにおける左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行う上で、燃料供給装置20は、操作つまみ11、13、14の回転量を検出するエンコーダを搭載しない。よって、パネル装置9A、9Bは、操作つまみ11、13、14の回転位置に応じてLEDの点灯・消灯の状態を切り替える制御は行わない。本実施形態では、パネル装置9A、9Bは、操作つまみ11、13、14の回転位置に対応する位置のLED光を透過し、他の位置のLED光を遮蔽することによって火力表示を行う。
【0037】
図2図8を参照し、パネル装置9Bについて説明する。なお、パネル装置9Aにおける右バーナ4の火力表示に係る部分の構成は、パネル装置9Bにおける左バーナ5、奥バーナ6の火力表示に係る部分の構成と同じである。よって、パネル装置9Aの構成は、パネル装置9Bの構成に準ずるものとして、説明を省略する。
【0038】
パネル装置9Bは、パネル本体部50、表示基板60、化粧パネル80、鍔付筒部70を備える。パネル本体部50は、筐体2の前端部に組み付けられる。図4に示すように、パネル本体部50の下側部分51は箱型に形成され、操作パネル(図示略)が収容される。パネル本体部50の上側部分52は、下側部分51から上方へ向けて板状に突出する。上側部分52には、前後方向に貫通する2つの貫通穴53が左右方向に並んで形成される。貫通穴53の内径D1は、操作つまみ14の外径D2より大きい。操作つまみ11~13も同様である。なお、操作つまみ14の外周面は、少なくとも一部が、僅かながら、前側よりも後側の外径が大きいテーパ状を呈しており(図8参照)、外径D2は最大外径をいう。左バーナ5用の燃料供給装置20と奥バーナ6用の燃料供給装置20は、左右に並べた状態で、取付金具33を用い、パネル本体部50の上側部分52の裏面に螺子で固定される。2つの燃料供給装置20の連結部材25と操作つまみ13、14は夫々、2つの貫通穴53内に配置される。
【0039】
2つの貫通穴53の上側外周部分には、夫々、複数の導光部54が周方向に並んで設けられる。導光部54は、前後方向に延びる筒穴であり、本実施形態では7つずつ設けられる。夫々の導光部54は、互いに独立に形成される。
【0040】
上側部分52の後面には、表示基板60が固定される。表示基板60は貫通穴53に干渉しないように下端部が二双の円弧状に形成される。表示基板60の前面には複数のLED61が実装され、下端部に沿って二双の円弧状に並んで配置される。本実施形態では、2つの円弧に沿って、夫々7つのLED61が設けられる。各LED61は、夫々の導光部54の形成位置に対応する位置に設けられる。これにより、導光部54を通過する光の強度を、1つの光源から拡散させた場合よりも強い強度に確保することができる。表示基板60がパネル本体部50に固定されると、表示基板60の前面によって導光部54の後側開口が閉じられる。複数のLED61は、夫々、導光部54内に配置される。導光部54が前後方向に延びるので、導光部54を通過することができるLED61の光は、前方へ向かう光のみに制限され、光の広がりが抑制される。
【0041】
図4図5に示すように、化粧パネル80は、パネル本体部50の上側部分52の前側に組み付けられる板状体である。化粧パネル80は正面視略長方形状であり、上端部にスライドロック85を備える。化粧パネル80を上側部分52に組み付けたとき、スライドロック85を右側にスライドすると、化粧パネル80がパネル本体部50に固定される。
【0042】
化粧パネル80には、前後方向に貫通する2つの開口部86が左右方向に並んで形成される。開口部86の内径D3は、操作つまみ14の外径D2より大きい(図4参照)。2つの開口部86内には夫々、操作つまみ13、14が配置される。2つの開口部86の上側外周部分には夫々、前後方向に貫通する円形の穴部83が周方向に7つ並んで形成される。各穴部83は、化粧パネル80をパネル本体部50の上側部分52に組み付けたときの導光部54の夫々の形成位置に対応する位置に設けられる。
【0043】
各穴部83には、透光部材84の透光部88が配置される。透光部材84は、例えば透明な樹脂によって形成された部材であり、前後方向に円柱状に延びる7つの透光部88が支持部89によって一体に支持される。支持部89は、化粧パネル80の背面に形成された溝部87に位置決めされ、各透光部88は各穴部83に係合する。支持部89の裏面側には、固定部90が設けられる。固定部90は板状で、化粧パネル80に接着剤で固定される。透光部88は、LED61から出射され、導光部54を介して後面から入射する光を、内部を通して前面に導き、前面から前方へ出射する。また、化粧パネル80の背面側には、開口部86の形成位置を中心に前方へ向けて段状に凹む円形の段部81が形成される。段部81は、開口部86の縁部分に設けられる。段部81内には、鍔付筒部70の目隠部78の先端部95が配置され、鍔付筒部70を位置決めする。
【0044】
図6図8に示すように、鍔付筒部70は、本体部71、フランジ部76、目隠部78を備える。本体部71は前後方向に延びる円筒形状を呈する。本体部71の外径D4はパネル本体部50の貫通穴53の内径D1より小さく、内径D5は操作つまみ14の外径D2より大きい(図8参照)。本体部71は周方向の3ヶ所に、後端から前方へ向けて切り欠き状に形成された2つのフック部72と1つの係合部74を有する。夫々のフック部72内には、パネル本体部50の貫通穴53の後面に掛け留めされるフック片75が設けられる。貫通穴53の前面に当接又は近接するフランジ部76と、フック片75とによって、鍔付筒部70は本体部71が貫通穴53内に配置された状態で抜け止めされ、且つ貫通穴53内で軸線AXを中心に回転可能に保持される。係合部74は、LED操作部材36の係合片37に係合する。本体部71において、係合部74を周方向の両側から挟む部分は夫々後方へ延び、係合片37を外れにくくする。
【0045】
フランジ部76は、本体部71の前端部にて径方向外向きに鍔状に形成される。フランジ部76は、切り欠き状に形成された光通過部77を有する。光通過部77は、なお、フランジ部76において穴状に形成されてもよい。フランジ部76は、光通過部77を除く周方向の全周に形成される。なお、フランジ部76は、光通過部77を除く周方向の一部に形成されてもよい。この場合、フランジ部76は、少なくとも、軸線AXを中心とする鍔付筒部70の回転範囲において、7つの導光部54の前側で導光部54と重なる部分を覆う範囲に形成されればよい。
【0046】
目隠部78は、本体部71の前端部にて円環状に設けられ、フランジ部76よりも前方に突出する。目隠部78の外径D6は、化粧パネル80の開口部86の内径D3よりも大きい。目隠部78の内径D7は、本体部71の内径D5よりも小さい。すなわち目隠部78は、本体部71の前端部において内向きに膨出する。目隠部78は、内周面に、曲面部91とテーパ部92を有する。曲面部91は、径方向内向きに膨出する曲面状を呈し、前方から後方へ向けて内径が小さくなる。テーパ部92は、曲面部91に接続し、後方へ向けて徐々に内径が大きくなるテーパ状を呈する。目隠部78の内周面は、曲面部91とテーパ部92との接続部93にて最小内径となる。目隠部78の内径D7は、接続部93における内径、すなわち目隠部78の最小内径をいう。また、目隠部78の内径D7は、操作つまみ14の外径D2よりも大きく、開口部86の内径D3よりも小さい。
【0047】
図8に示すように、パネル装置9Bを組み立てた場合に、鍔付筒部70のフランジ部76と目隠部78は、化粧パネル80とパネル本体部50との間に配置される。目隠部78の先端部95は、化粧パネル80の段部81内に配置される。段部81の後面(段部81を構成する凹部の底部)には、目隠部78の先端部95が当接又は近接する。フランジ部76が貫通穴53の前面に当接又は近接するので、目隠部78は、化粧パネル80とパネル本体部50との間にて前後方向に位置決めされる。また、段部81の内径D8は、目隠部78の先端部95の外径よりも大きい。なお、本実施形態では目隠部78の外径D6は目隠部78の前後方向において一定であり、先端部95の外径は、目隠部78の外径D6と同径であるものとする。故に、操作部21の操作の際に、操作つまみ14が軸ずれした場合に、目隠部78は、先端部95が段部81内に配置された状態を維持したまま、操作つまみ14と共に、段部81の内径D8と目隠部78の先端部95の外径D6との径差の範囲内で、軸線AXの径方向に軸ずれすることができる。軸ずれによって間隙Gが偏り、大きな隙間が生じた場合でも、間隙G内の奥は、目隠部78によって見えにくい。
【0048】
このような構成のパネル装置9Bにおいて、操作つまみ14の外周面と、化粧パネル80の開口部86の内周面との間には、操作つまみ14の円滑な操作を確保するための間隙Gが設けられている。目隠部78の内径D7は開口部86の内径D3よりも小さいので、パネル装置9Bを前方から見た場合、間隙G内には目隠部78が見え、目隠部78より後方の部材が目隠部78に遮られて視認しにくい。更に、操作つまみ14の外周面は、前端位置から、少なくとも操作つまみ14が待機位置にあるときに接続部93に対向する対向位置よりも後側の位置にかけて、外径が大きくなるテーパ状を呈する。故に、パネル装置9Bを前方から見た場合、間隙G内は、対向位置の前側に目隠部78が見え、対向位置の後側に操作つまみ14の外周面が見える。目隠部78の内周面と操作つまみ14の外周面との隙間は極めて小さくなるので、操作つまみ14の外周面がテーパ状でない場合と比べ、後方の部材は、より視認しにくい。
【0049】
また、目隠部78の内径D7は操作つまみ14の外径D2よりも大きい。故に、操作部21に対する操作において、目隠部78は操作つまみ14に接触しにくく、操作つまみ14に対する操作を妨げない。そして、点火時及び消火時に、操作つまみ14は押し込み操作され、前後方向に変位する。目隠部78の内周面は曲面部91とテーパ部92を有するので、接続部93から離れるほど操作つまみ14の表面から遠ざかる。故に、操作つまみ14が前後方向に変位するときに軸ずれした場合、操作つまみ14の外周面には接続部93のみが接触し、他の部分は接触しにくい。
【0050】
なお、表示基板60の複数のLED61は、安全弁48の開放時に全てが点灯する。操作つまみ14が操作位置にあるとき、火力調節カム26は操作つまみ14と連結し、操作つまみ14の回動操作に応じて左バーナ5の火力を調節することができる。操作つまみ14が回転すると、鍔付筒部70はLED操作部材36を介して火力調節カム26と共に軸線AXの周りを回転する。フランジ部76は、光通過部77と重なる位置を除き、導光部54を介して前方に照射されるLED61の光を遮る。操作つまみ14が回転され、火力が変更されると、光通過部77が軸線AXの周りを周方向に移動し、LED61の光が通過可能となる導光部54が周方向の並びに従って変更される。光通過部77を通過したLED61の光は、導光部54に対応する透光部材84の透光部88を介すことによって、化粧パネル80の表面において点灯表示される。よってパネル装置9Bは、化粧パネル80の表面においてLED61の光が点灯した位置によって、火力表示を行うことができる。操作つまみ13、及びパネル装置9Aの操作つまみ11の回動量に対応する火力表示についても同様である。
【0051】
LED61の光が、導光部54、光通過部77、透光部88を通過する際に、乱反射によって開口部86内に向かう場合がある。鍔付筒部70の目隠部78は、フランジ部76よりも前方に突出し、先端部95が化粧パネル80の段部81内に配置される。このため、乱反射した光は、光通過部77から開口部86内に向かった場合、目隠部78に遮られるので、開口部86内には届かない。
【0052】
以上説明したように、操作つまみ14は、少なくともガスの供給時にはパネル装置9Bの前面に対して突出し、ガスの供給量が調整される場合には回動操作される。故に、操作つまみ14の外周面と、化粧パネル80の開口部86の内周面との間には、円滑な操作のための間隙Gが設けられる。目隠部78の内径D7は、操作つまみ14の外径D2よりも大きく、開口部86の内径D3よりも小さい。よって、ガスコンロ1を前方から見たとき、操作つまみ14と開口部86の間隙G内は、目隠部78に遮られて奥が見えにくくなるので、ガスコンロ1の美観を損ねない。また、目隠部78は鍔付筒部70と一体に設けられるので、別体に設けた場合と比べて部品点数を減らすことができ、且つ目隠部78を鍔付筒部70と別体で設けた場合に化粧パネル80において必要となる目隠部78の取付部位の加工に要する工数を削減できるので、ガスコンロ1の製造コストを低減することができる。
【0053】
操作つまみ14の回動操作に応じて本体部71が回動すると、目隠部78は、操作つまみ14の外周面に沿って回動する。目隠部78は、先端部95が化粧パネル80の段部81内に配置され、回動時に段部81によって位置決められるので、鍔付筒部70の回動が安定する。操作つまみ14が回動する時も、目隠部78の内周面と操作つまみ14の外周面との間に間隙Gが確保されるので、間隙G内の奥が目隠部78によって見えにくく、ガスコンロ1は美観を損ねない。また、間隙Gの確保により、目隠部78は、操作つまみ14の回動操作に対し接触抵抗を与えにくいので、操作部21の操作性を確保できる。
【0054】
化粧パネル80の後面における段部81の内径D8は、目隠部78の先端部95の外径(本実施形態では目隠部78の外径D6と同径)よりも大きい。故に、目隠部78は、段部81の内径D8と目隠部78の先端部95の外径D6との径差の範囲内で、開口部86の中心軸に対する軸ずれが許容される。この構成により、開口部86の中心軸に対する操作つまみ14の軸ずれに合わせて目隠部78も軸ずれすることができるので、軸ずれによって間隙Gが偏り大きな隙間が生じた場合でも、間隙G内の奥が目隠部78によって見えにくく、ガスコンロ1は美観を損ねない。また、目隠部78の前面が段部81の後面に当接又は近接した状態であるので、振動等による目隠部78の軸ずれを抑制し、目隠しの効果を維持することができる。
【0055】
目隠部78は、接続部93において最も内径が小さい。故に、操作つまみ14と開口部86の間隙G内は、接続部93よりも後側が見えにくく、ガスコンロ1の美観を損ねない。また、目隠部78の内周面は、接続部93において操作つまみ14の表面に最も近接し、曲面部91とテーパ部92において接続部93から離れるほど操作つまみ14の表面から遠ざかる。操作部21の操作において目隠部78が操作つまみ14に接触しても、接続部93が操作つまみ14に接触し、曲面部91とテーパ部92を含む他の部分が接触することがないので、操作つまみ14にかかる接触抵抗は小さい。故に、点火操作を行うとき、操作つまみ14は前後方向に円滑に変位することができる。
【0056】
操作つまみ14が待機位置にあるとき、操作つまみ14と開口部86の間隙Gは、接続部93に対向する対向位置において最も小さい。更に、操作つまみ14の外周面は、前端位置から対向位置よりも後側の位置にかけて外径が大きくなるテーパ状を呈する。このため、前方から操作つまみ14と開口部86の間隙G内を覗いた場合に、対向位置の前側には目隠部78が見え、対向位置の後側には操作つまみ14の外周面が見え、他の部位が見えにくいので、ガスコンロ1は美観を損ねない。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。化粧パネル80の段部81はなくてもよい。この場合、目隠部78の先端部95は、化粧パネル80の後面に当接又は近接してもよい。また、目隠部78は、本体部71の前端部から前方に突出しなくてもよい。この場合、目隠部78は、本体部71の前端部から径方向内向き、又は前方斜め径方向内向きに突出してもよい。目隠部78の内周面において、曲面部91とテーパ部92はなくてもよいし、いずれか一方のみ形成されてもよい。操作つまみ14の外周面は、テーパ状でなく、外径が一定の筒状であってもよい。また、操作つまみ14の外周面がテーパ状である場合において、対向位置における外径が目隠部78の内径D7よりも小さいのであれば、対向位置よりも後側の位置における外径が、目隠部78の内径D7よりも大きくてもよい。この場合、間隙G内は、目隠部78によって確実に奥が見えないようにすることができる。
【0058】
上記説明において、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6が本発明の「コンロバーナ」の一例である。LED61が本発明の「発光部」の一例である。
【符号の説明】
【0059】
1 ガスコンロ
2 筐体
4 右バーナ
5 左バーナ
6 奥バーナ
9A、9B パネル装置
11~14 操作つまみ
21 操作部
30 穴部
50 パネル本体部
53 貫通穴
61 LED
70 鍔付筒部
71 本体部
74 係合部
76 フランジ部
77 光通過部
78 目隠部
80 化粧パネル
81 段部
86 開口部
88 透光部
91 曲面部
92 テーパ部
93 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8