(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】製袋装置及びそれを用いた包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20230216BHJP
B65B 63/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B65B9/067
B65B63/00
(21)【出願番号】P 2019210852
(22)【出願日】2019-11-21
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一也
(72)【発明者】
【氏名】須賀 佑多
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036078(JP,A)
【文献】特開平01-308705(JP,A)
【文献】特開昭47-046286(JP,A)
【文献】特開2000-203509(JP,A)
【文献】実開昭59-186201(JP,U)
【文献】米国特許第05967291(US,A)
【文献】国際公開第2014/060223(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0257820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/067
B65B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の温度よりも低温の製品を包装する包装機に用いられる製袋装置であって、
帯状の包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、
前記製袋器の外底面に空気を吹き付ける噴射手段を備え、
前記製袋
器の内底面に、上流側から下流側に延びる線状の凸部を
設け、
前記凸部は、搬送方向に対して交差する方向に所定の間隔をおいて配置し、
前記所定の間隔は前記製品の幅より狭いことを特徴とする製袋装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記搬送方向と平行に配置したことを特徴とする請求項1に記載の製袋装置。
【請求項3】
前記凸部は、上端先細り状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の製袋装置。
【請求項4】
前記外底面には、前記凸部に対応する位置に凹部を設けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の製袋装置。
【請求項5】
前記凹部は、前記製袋器の上流端縁まで形成されることを特徴とする請求項4に記載の製袋装置。
【請求項6】
前記噴射手段は、空気を上流側に向けて噴射することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の製袋装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の製袋装置と、
前記包装フィルムを前記製袋器に対して供給するフィルム供給装置と、
前記製袋装置の上流側に配置され、前記製品を前記製袋器に対して供給する製品搬送供給装置と、
前記製袋器の下流側に配置され、筒状に製袋された前記包装フィルムの両側端縁をシールするシール装置と、
そのシール装置の下流側に配置され、前記包装フィルムを搬送方向に対して交差する方向にシール・カットするトップシール装置を備えたことを特徴とする包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋装置及びそれを用いた包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機の一例として逆ピロー包装機は、例えば以下のような構成を備えている。まず、原反ロールに巻き取られた帯状の包装フィルムを連続して製袋器に供給し、その製袋器を通過させる際に筒状に製袋する。また、この製袋器の上流側には製品搬送供給装置を配置し、その製品搬送供給装置から所定間隔毎に搬送される製品が、製袋器内に供給される。これにより、製品が製袋器内を通過すると、筒状に製袋された包装フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その製品は包装フィルムとともに搬送される。そして、その搬送方向に沿って、センターシール装置並びにトップシール装置が配置され、包装フィルムの所定位置をシールしたりカットしたりして包装体を製造する。
【0003】
そして逆ピロー包装機は、原反ロールが製袋器よりも下方の空間に配置し、包装フィルムを製袋器の下側から供給する。これにより、両側端縁は筒状に製袋された包装フィルムの上方側に形成される。
【0004】
また、製袋器は、平板状の底板と、その底板から上方に向けて延びる側壁等を有し、底板が包装フィルム並びに上流側から供給される製品の搬送路も兼ねる。この種の逆ピロー包装機は、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば製品が冷凍ピザなどの冷凍食品等の冷たい物品の場合、その冷たい物品が包装フィルムの上に載った状態で製袋器内を移動する。冷凍食品の場合、非常に冷たいこともあり、周囲の雰囲気の温度との差等から、例えば製袋器の内底面や外底面に結露が生じることがある。特に包装フィルムを間欠搬送するような場合、冷たい物品が製袋器内で一時停止して留まることにより結露が生じやすくなる。
【0007】
そして、そのように結露が生じると、製袋器の内底面に付着した水滴により包装フィルムが製袋器の内底面に密着し、スムーズな搬送を阻害することがある。特に、搬送方向に対して交差する横方向(フィルムの幅方向)への移動が抑止されるので、例えば、幅方向の調整機構を備えた装置の場合、調整機構を動作しても包装フィルムが幅方向にずれないと更に幅方向に移動させる制御を行う。そして、水滴による密着が解除されると、包装フィルムは一気に横にずれて製袋器から外れるおそれがある。
【0008】
また、例えばシュリンクフィルムは、フィルム厚が薄いため、製袋器に密着しやすい。その結果、上記の問題はより顕著に生じる。
【0009】
また、上述したように結露による水滴により包装フィルムが製袋器に密着する現象が生じなくても、例えば、包装フィルムに水滴が付着したまま下流側に進み、その水滴が付着したフィルム部位がシール装置で加熱・加圧されると、シール不良を生じるおそれがある。
【0010】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明のセンターシール装置は、(1)周囲の温度よりも低温の製品を包装する包装機に用いられる製袋装置であって、帯状の包装フィルムを筒状に製袋する製袋器と、前記製袋器の外底面に空気を吹き付ける噴射手段を備え、前記製袋器の内底面に、上流側から下流側に延びる線状の凸部を設け、前記凸部は、搬送方向に対して交差する方向に所定の間隔をおいて配置し、前記所定の間隔は前記製品の幅より狭いようにした。
【0012】
製袋器内を通過する製品は、包装フィルムを介して複数の凸部で支持された状態となり、製袋器の内底面の凸部の未形成領域との間は所定の空間が確保される。空間は断熱層であり、製品の低い温度は、線状の凸部を介して製袋器へ伝わる。よって、製品の温度が製袋器に伝わりにくくなり、製袋器の温度が低下して結露を生じにくくなる。さらに、製袋器の外底面に空気を吹き付けることで、製袋器の周囲の雰囲気が冷たい冷気が留まることがなく、結露の発生をより可及的に抑制する。
【0013】
(2)前記凸部は、前記搬送方向と平行に配置するとよい。このようにすると、包装フィルムに加わる抵抗が小さくなり、包装フィルムをスムーズに搬送することができるのでよい。
【0014】
(3)前記凸部は、上端先細り状に形成されるとよい。このようにすると、包装フィルムを介して製品と接触する面積をより小さくし、製品の温度が製袋器に伝わり製袋器の温度が低下するのをより効果的に抑制することができる。先細り状の上端は、実施形態のように尖った形態としてもよいし、所定の幅を有するものでも良いが、実施形態のように尖った形状とするより好ましい。
【0015】
(4)前記外底面には、前記凸部に対応する位置に凹部を設けるとよい。このようにすると、製品から直接冷やされる凸部の裏面側が、噴射された空気が凹部内を移動することで、凸部が冷やされるのを可及的に抑制する。
【0016】
(5)前記凹部は、前記製袋器の上流端縁まで形成するとよい。このようにすると、製袋器の上流端側の周面に凹部が開口する。すると、凹部内を移動してきた空気の一部は、その開口した部分を通って製袋器の内底面側に回り込み、製袋器内を下流側に向けて進む。よって、より確実に結露の発生を抑止することができる。
【0017】
(6)前記噴射手段は、空気を上流側に向けて噴射するように構成するとよい。このようにすると、噴射した空気の流れを促し、停滞するのを抑止する。よって、製袋器の外底面の周囲の雰囲気は、噴射された新鮮な空気が流れるので当該雰囲気の温度が低下し、ひいては製袋器の底面の温度低下を抑制して結露の発生を抑制することができる。
【0018】
(7)本発明に係る包装機は、(1)から(6)のいずれかに記載の製袋装置と、前記包装フィルムを前記製袋器に対して供給するフィルム供給装置と、前記製袋装置の上流側に配置され、前記製品を前記製袋器に対して供給する製品搬送供給装置と、前記製袋器の下流側に配置され、筒状に製袋された前記包装フィルムの両側端縁をシールするシール装置と、そのシール装置の下流側に配置され、前記包装フィルムを搬送方向に対して交差する方向にシール・カットするトップシール装置を備えるように構成するとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば製袋器の結露の発生を可及的に抑制することができる。その結果、製袋器の内底面の上に水滴が発生し、その水滴により包装フィルムが製袋器に密着してスムーズな搬送が阻害されるような事態の発生も抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る逆ピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る製袋装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
【
図5】底板部を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図、(d)は(c)中のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
図1は、本発明に係る包装機の一例である逆ピロー包装機の好適な一実施形態を示している。逆ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して製品13を所定間隔毎に供給する製品搬送供給装置14とを備えている。製品13は、例えば冷凍ピザ等の冷凍食品である。
【0023】
フィルム供給装置12は、製品13を包み込む包装フィルムとなる帯状の包装フィルム15を連続して包装機本体11に供給するためのものである。包装フィルム15は、例えばシュリンクフィルムといった薄いフィルム厚の包材を使用する。そして、フィルム供給装置12は、包装フィルム15を間欠搬送して包装機本体11に供給するように動作する。
【0024】
このフィルム供給装置12は、帯状の包装フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら間欠的に包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ9(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール16から送り出された包装フィルム15は、そのローラ9に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。このローラ9は、帯状の包装フィルム15に対して駆動を掛ける駆動ローラや、テンションを掛けるテンションローラや、帯状の包装フィルム15の搬送方向を変更したり搬送をガイドしたりするフリーローラなどがある。本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0025】
製品搬送供給装置14は、例えば板状の搬送路17と、その搬送路17の上方に配置されたコンベア装置18と、により構成される。コンベア装置18は、前後に配置されたスプロケット19と、その複数のスプロケット19に掛け渡されたエンドレスチェーン20と、そのエンドレスチェーン20に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー21とにより構成される。これにより、製品13の後面に押送フィンガー21が突き当たると、押送フィンガー21の移動に伴い、製品13も搬送路17上を前進移動する。なお、製品搬送供給装置14は、例えば、ベルトコンベアその他の搬送装置を用いてもよい。
【0026】
包装機本体11は、供給される包装フィルム15を筒状に製袋する製袋器25と、その製袋器25の下流側に配置され、筒状に製袋された包装フィルム15を搬送するベルトコンベア26と、ベルトコンベア26の上方に配置されたセンターシール装置27と、ベルトコンベア26の下流側に配置されたトップシール装置30と、トップシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア28と、ベルトコンベア26の上方であってトップシール装置30の直前に配置された抑えベルト29等を備えている。
【0027】
製袋器25は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状の包装フィルム15を通過させることで、包装フィルム15の両側端縁部15a同士を接触(重合)させるとともに、筒状に製袋するものである。本実施形態の製袋器25は、上側が開放されており、包装フィルム15の両側端縁部15aが上側に位置するように設定されている。
【0028】
また、製品搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される製品13は、製袋器25内に挿入される。これにより、製袋器25に供給された製品13は、筒状に製袋された包装フィルム15内に所定間隔ごとに配置されることになる。また、このように筒状の包装フィルム15内に製品13が内包されることから、ベルトコンベア26は、その製品13を内包した包装フィルム15を搬送することになる。
【0029】
センターシール装置27は、重合された包装フィルム15の両側端縁部15aをシールする。このセンターシール装置27は、包装フィルム15の両側端縁部15aを両側から挟み込みながら加熱することで熱シールする。図示の例では、その両側端縁部15aに対して予熱を与えるバー状のシーラ31と、左右一対の加圧ローラ32にて所定の圧力を加えつつ熱シールするものを備えている。さらに、センターシール装置27は、シーラ31の上流側に、左右一対のピンチローラ33を備えている。このピンチローラ33は、製袋器25を経て接触した包装フィルム15の両側端縁部15a同士を所定の圧力で挟み込むとともに、同期して回転することで、その両側端縁部15aひいては包装フィルム15に対して搬送力を与えるようになっている。
【0030】
また、加圧ローラ32は、ピンチローラとしての機能も備える。つまり、加圧ローラ32は、所定の圧力で包装フィルム15の両側端縁部15aを挟み込んだ状態で同期して回転しているため、その両側端縁部15aひいては包装フィルム15に対して搬送力を与えることになる。つまり、本実施形態では、シーラ31の前後にピンチローラを配置する構成を採っていると言える。
【0031】
進行方向前方の加圧ローラ32の回転速度(フィルムに接触する外周面の速度)を、ピンチローラ33の回転速度(フィルムに接触する外周面の速度)と同じか若干早くなるようにすることで、シーラ31内を両側端縁部15aが重合した状態でピンと張った状態のまま通過させることができる。ピンチローラは、本実施形態ではシーラ31の両側に配置したがいずれか一方でも良い。また、加圧ローラ32がピンチローラの機能を備えるとしたが、シーラの進行方向前方に加圧ローラとは別にピンチローラを配置する構成を採っても良い。
【0032】
トップシール装置30は、製品13を内包する筒状の包装フィルム15に対し、搬送方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向にシールするとともにカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の製品13の間の所定位置である。このトップシール装置30は、包装フィルム15を挟んでその上下に上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bを備える。上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、ヒータが内蔵され、互いの先端のシール面が所定の温度に加熱される。さらに、上側トップシーラ30aのシール面の前後方向の中央部には、可動カッター刃が内蔵される。
【0033】
本形態では、上側トップシーラ30aと下側トップシーラ30bは、シール面が対向した状態のまま所定の軌跡で移動して接近離反し、接近時に上下のシール面が包装フィルム15を挟み込んで加熱し、可動カッター刃でカットする。よって、トップシール装置30は、センターシールされた包装フィルム15の所定位置(製品の存在しない部分)を横方向にシール・カットする。これにより、包装フィルム15の先端部分(先頭の製品13を内包する部分)は、後続の包装フィルム15から分離され、中間包装体35が製造される。そして、この中間包装体35が搬出コンベア28上を搬送される。
【0034】
搬出コンベア28の搬送経路に、シュリンクトンネル36を配置する。シュリンクトンネル36は、内部に熱風を噴射する装置を備え、トンネル内が高温の雰囲気となる。これにより、そのシュリンクトンネル36内を中間包装体35が通過すると、包装フィルム15が熱収縮し、製品13に外形状に沿って密着した包装体が製造される。
【0035】
本実施形態では、製袋器25の下方空間に、空気を噴射する噴射装置40を備える。噴射装置40は、例えばエアコンプレッサー・ボンベ等の空気の供給源となる噴射装置本体41と、その噴射装置本体41から噴射される空気を所定のエリアに導く配管42と、その配管42の先端に取り付けられた噴射ノズル43を備える。噴射装置40は、加熱装置などの温度調整装置を備えておらず、空気は、加熱することなく室温のものが製袋器25の底面に噴射される。この製袋器25と噴射装置40にて、製袋装置が構成される。
【0036】
本実施形態では、配管42を2本備え、噴射装置本体41と非接続側の先端側を、それぞれ製袋器25の底面の搬送方向に対して交差する方向の左右両側の所定位置に配置する。さらに、噴射ノズル43は、斜め上方の上流側に向かって延びるように配置し、先端の噴射口から噴射される空気は、その延びる方向、すなわち、上流側に向けて移動する。さらに本実施形態では、噴射装置本体41は、連続して空気を噴射する。よって、噴射された空気は、製袋器25の下方空間に留まることなく、上流に向かって流れていき、製袋器25の下方空間の雰囲気は、常に新鮮な空気に入れ替わる。
【0037】
製袋器25は、底板部45と、その底板部45の搬送方向に沿った左右両側に起立するように連結する側壁部46を備える。側壁部46の下端は、略90度折れ曲がり、底板部45と平行な方向に延びる連係板部47を備える。側壁部46と連係板部47は、例えば一枚の板部材を適宜位置で折り曲げたL字プレートを用いて構成すると良い。
【0038】
そして、側壁部46は、例えば連係板部47の先端部位を、底板部45の左右両側端縁部に重ねた状態で配置する。本形態では連係板部47は、底板部45の下側に位置し、底板部45と連係板部47は相対的に搬送方向に対して直交する方向に移動可能に配置する。さらに側壁部46は、その下方外側部位をスライド移動機構48に連結し、スライド移動機構48に案内されて搬送方向に対して直交する方向に往復移動し、所望の位置で固定されるように構成する。例えば、スライド移動機構48の操作ハンドル48aが正逆回転すると、左右一対の側壁部46は、互いに接近したり離反したりする。そして、操作ハンドル48aの回転を停止すると、側壁部46は停止しその位置で留まる。
【0039】
これにより、左右一対に配置される側壁部46の間隔が、変更調整可能となる。また、両側壁部46の間隔を最大幅にした状態でも、連係板部47と底板部45は重複状態を維持するように設定する。よって、両側壁部46間の間隔をどのように変更しても、製袋器25の底面は、底板部45及び連係板部47が存在した状態となる。
【0040】
さらに、左右に配置されたそれぞれの連係板部47には、その上流端に、下方及び外側に延びるように配置される傾斜ガイド部材49の上流側端を連結する。包装フィルム15は、その幅方向の左右両側のフィルム部位が、それぞれ左右に配置される傾斜ガイド部材49に案内され、側壁部46の内周面に近接或いは接触するように導かれるように製袋器25に供給される。またこのとき、包装フィルム15の幅方向の中央部位は、左右の傾斜ガイド部材49間を進み、底板部45の上流端縁に至り、そこにおいて折り返されて底板部45の上面に沿って下流側に進む。これにより、帯状の包装フィルム15は、製袋器25の底板部45の上面並びに両側壁部46の内周面に沿って筒状に製袋され、包装フィルム15の両側端縁部15aが上方で重合される。
【0041】
さらに本実施形態では、底板部45は、その上面(製袋器25の内底面)の所定位置に、搬送方向に沿って延びる線状の凸部50を、搬送方向に対して直交する方向に所定の間隔をおいて複数本(本形態では4本)を備える。各凸部50の配置間隔は製品13の横幅より狭くする。これにより、製袋器25内を移動する製品13は、包装フィルム15を介して凸部50と線接触し、隣接する凸部50の間の領域では、製品13ひいては包装フィルム15は底板部45と非接触となり、包装フィルム15の下方と底板部45の上面との間に空間52が確保される。さらに凸部50は、上端先細り状で、上端がとがった山型,略三角形状とし、包装フィルム15を介して製品13に接触する面積を極めて小さくしている。
【0042】
よって、製品13が冷凍ピザのような冷凍食品であって、製袋器25内で一時停止する場合であっても、製品13の冷たい温度は、製袋器25に対して極僅かに線接触する凸部50の上端から伝わるに過ぎないとともに、製品13と非接触の底板部45との間に形成される空間52は断熱空間となることも相まって、製袋器25に製品13の冷たい温度が伝わりにくく、製袋器25の底板部45の温度が低下するのを抑制する。これにより、底板部45の上面並びに下面の温度が、周囲の雰囲気の温度に対して大きく低下することが抑制され、結露が生じにくくなる。
【0043】
さらに本実施形態では、製袋器25の底板部45の下面に向けて空気を噴射しているので、仮に底板部45の温度が低下しても、相対的に暖かい空気が底板部45にあたり、底板部45が温度低下をするのを抑制し、さらに、底板部45の下方空間の空気が停滞するのを抑制し、底板部45の下面側で空気の流れを生じさせることで、結露の発生をより確実に抑止する。
【0044】
さらに本実施形態では、底板部45の下面(製袋器25の外底面)には、凸部50に対応する位置に凹部51を設ける。凹部51は、凸部50と同様に、搬送方向に沿って延びる線状の凹溝になる。これにより、製袋器25に向けて噴射された空気が、線状の凹部51に案内されて、上流側に向けて流れるように促される。よって、上述した空気の流れによる結露の発生の防止効果がより高まる。さらに、凹部51は、凸部50の直下に形成されるので、凹部51内を流れる空気は、製品13により冷やされる凸部50の裏側に効率よく当たり、結露の発生の防止効果を高める。
【0045】
凸部50と凹部51は、平板の適宜位置を折り曲げやプレス加工等して、同時に形成すると良い。また、底板部45の板厚は、側壁部46,連係板部47の板厚に比べて薄くしている。このように底板部45の板厚を薄くすることで、凸部50,凹部51の形成をしやすくするとともに、底板部45の上面と連係板部47の上面の段差を少なくできるのでよい。また、側壁部46の板厚は相対的に厚くなり、強度が増すのでよい。
【0046】
また、本実施形態では、凸部50,凹部51の上流端と下流端は、それぞれ底板部45の上流端縁と下流端縁に至るように形成する。このように凸部50を底板部45の搬送方向の全長にわたって形成することで、製品13が製袋器25を通過する間、幅方向に配置される複数の凸部50によって製品13を支持し、底板部45の凸部50が未形成の上面から離反させることができる。よって、製袋器25の底板部45が冷却されて温度が大きく低下するのを可及的に抑制できる。特に、本形態のように、凸部50が搬送方向と平行に配置すると、包装フィルム15に対する接触抵抗を小さくし、包装フィルム15がスムーズに移動するのでよい。さらに搬送方向に沿って設けた隣接する凸部50間の空間52の上流端、及び下流端が開放されているので、空間52内の空気は空間52内に留まることがなく、製品13によって冷やされてしまうことがない。
【0047】
さらに、凹部51が底板部45の上流端縁まで形成しているので、凹部51の上端は底板部45の上流側の周面に開口する。そして、包装フィルム15は、その底板部45の上流側の周面に沿って回り込むようにして底板部45の上面側に移動する。その結果、上記の凹部51内を上流に向けて移動した空気の一部は、その凹部51の上流側開口部位から底板部45の上面側に移動する。当該空気の一部は、底板部45の上面に沿って下流側に進む。これにより、底板部45の上下両面の近傍に、空気の流れが生じ、底板部45の温度が低下するのをより確実に抑制するのでよい。
【0048】
上述した実施形態では、底板部45の下面に凹部51を設けたが、本発明はこれに限ることはなく、凹部51を設けずに凸部50のみを形成する構成としてもよい。凸部50のみを形成する構成としても、当該凸部50にて製品13を支持し、隣接する凸部50間の領域で製品13と非接触の断熱空間が形成されるため、底板部45の温度低下を抑制し、結露の発生を抑制する。但し、凸部50の下側に凹部51を設けると、凸部50の直下の部分に空気の流れが生じ、温度低下の抑制効果が高まるのでよい。凸部50のみを形成する場合、底板部の凸部以外の部分と一体に形成しても良いし、例えば平板の上面に細棒状の部材を貼付けて凸部を形成しても良い。例えば、丸棒、半丸棒、角棒等を溶接または接着により底板部45に取付けて凸部を形成してもよい。
【0049】
上述した実施形態並びに変形例では、凸部50並びに凹部51の両端を、底板部45の上流端縁並びに下流端縁に至るように形成したが、一方または両方を端縁に至らない位置としてもよい。但し、実施形態のように端縁まで形成するとより好ましい。また、凸部50並びに凹部51を形成する場合、全長に渡り連続した1本としているが、例えば、搬送方向に沿った途中で切断されて部分的に凸部50等が形成されていないようにしてもよい。但し、実施形態のように全長に渡るように連続して形成するのがより好ましい。
【0050】
上述した実施形態並びに変形例では、凸部50は、上端先細り状としたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、直方体のように真っ直ぐ上方に延びる側面を備えた形状としてもよい。但し、上端先細り状とすると、製品13との接触面積を小さくでき、底板部45の温度が低下するのをより効果的に抑制できるのでよい。さらに、上端先細り状とすることで、仮に結露が生じたとしても、水滴は傾斜面に沿って下降移動し、上方の先端部分に水滴が留まることを抑制するのでよい。上端先細り状は、実施形態のように縦断面が略三角形のように斜面が平面のものに限らず、縦断面が円形・半円形等のように斜面が湾曲面としてもよい。
【0051】
上述した実施形態並びに変形例では、凸部50は、搬送方向に沿って平行に形成するレイアウトとしたが、所定角度で交差するように傾斜したものや、直線状でなく、S字状、波状に湾曲させて形成してもよい。但し、それらの変形例は、接触面積が増えてしまうので搬送方向に沿った直線状のものがより好ましい。
【0052】
上述した実施形態並びに変形例では、包装フィルムとしてシュリンクフィルムを用いた例を説明したが、シュリンクフィルム以外の包装フィルムにも適用してよい。但し、シュリンクフィルムのようにフィルム厚が薄い包材に用いると、効果がより適切に発揮するのでよい。
【0053】
上述した実施形態並びに変形例では、包装フィルム15を間欠搬送し、製品13が搬送ライン上で一時停止する包装機に用いる例を説明したが、連続搬送するものに適用してもよい。但し、実施形態のように、間欠搬送する包装機に適用すると、効果がより適切に発揮するのでよい。
【0054】
上述した実施形態並びに変形例では、製袋器に対して包装フィルムを下側から供給するいわゆる逆ピロー包装機について適用した例について説明したが、本発明に係る包装機,製袋装置を実装する包装機は、これに限ることはなく、例えば、包装フィルムを製袋器の上方から供給して包装フィルムの両側端縁を下方側に位置させるように製袋する製袋器を備える正ピロー包装機や、包装フィルムの両側端縁が側方に位置させるように製袋する製袋器を備える横三方シール包装機など、各種の包装機に適用できる。そして、正ピロー包装機の場合には、製袋器のフィルム重合端が通過するスリットを避けて、裏側から底板に向かってエアを吹きつけるとよい。
【0055】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0056】
10 :逆ピロー包装機
11 :包装機本体
12 :フィルム供給装置
13 :製品
14 :製品搬送供給装置
15 :包装フィルム
15a :両側端縁部
25 :製袋器
27 :センターシール装置
30 :トップシール装置
35 :中間包装体
36 :シュリンクトンネル
40 :噴射装置
41 :噴射装置本体
42 :配管
43 :噴射ノズル
45 :底板部
46 :側壁部
50 :凸部
51 :凹部
52 :空間