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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】光触媒装置および光触媒ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20230216BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20230216BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20230216BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230216BHJP
   B01J 23/06 20060101ALN20230216BHJP
   B01J 27/04 20060101ALN20230216BHJP
   B01J 23/30 20060101ALN20230216BHJP
   B01J 21/06 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
A61L9/00 C
F24F7/003
A61L9/18
B01J35/02 J ZAB
B01J23/06 M
B01J27/04 M
B01J23/30 M
B01J21/06 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020144190
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2021037285
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019156323
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518199621
【氏名又は名称】カルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】染井 潤一
(72)【発明者】
【氏名】畑澤 健二
(72)【発明者】
【氏名】原園 豊洋
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕彦
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-513970(JP,A)
【文献】特開2017-148484(JP,A)
【文献】登録実用新案第3097434(JP,U)
【文献】特開2019-017855(JP,A)
【文献】特表2017-536884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00- 9/22
F24F 7/00-7/007、
8/20
B01J 21/00-38/74
B01D 53/34-53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向および左右方向よりも前後方向の幅が狭くなるように構成された薄型の筐体と、
前記筐体の内部に垂直方向に配置され光触媒シートを含む光触媒ユニットと、
前記光触媒に光を提供するためのライトと、
上下方向に空気を流すことによって、前記光触媒の表面に前記空気を流すためのファンとを備え、
前記光触媒ユニットが、前記光触媒シートの面と平行に水平方向にスライドすることによって、前記筐体から取り外し可能に構成される、光触媒装置。
【請求項2】
前記光触媒ユニットは、前記光触媒シートの表面側に、前記光触媒シートと対向して配置される保護部材を含む、請求項に記載の光触媒装置。
【請求項3】
前記保護部材は、前記ファンからの空気の流れと平行な上下方向の複数の棒状部材を含む、請求項に記載の光触媒装置。
【請求項4】
前記保護部材は、前記ファンからの空気の流れと平行な上下方向の複数の棒状部材と、前記ファンからの空気の流れと垂直な水平方向の複数の棒状部材とを含み、
前記上下方向の複数の棒状部材の方が、前記水平方向の複数の棒状部材よりも密に配置される、請求項に記載の光触媒装置。
【請求項5】
前記上下方向の複数の棒状部材の両端部は前記光触媒ユニットの端部から立ち上がって、前記上下方向の複数の棒状部材の中央部は、前記光触媒シートの表面から離れた位置に前記光触媒シートと平行に配置され
前記光触媒ユニットは、前記光触媒シートの裏面をカバーする面と、前記光触媒シートの右側をカバーする面と、前記光触媒シートの左側をカバーする面とを含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の光触媒装置。
【請求項6】
触媒ユニットであって、
光触媒シートと、
前記光触媒シートの表面側に、前記光触媒シートと対向して配置される保護部材とを備え
前記保護部材は、縦方向の複数の棒状部材と、横方向の複数の棒状部材とを含み、
前記縦方向の複数の棒状部材の方が、前記横方向の複数の棒状部材よりも密に配置され、
前記縦方向の複数の棒状部材の両端部は前記光触媒ユニットの端部から立ち上がって、前記縦方向の複数の棒状部材の中央部は、前記光触媒シートの表面から離れた位置に前記光触媒シートと平行に配置され、
前記光触媒ユニットは、前記光触媒シートの裏面をカバーする面と、前記光触媒シートの右側をカバーする面と、前記光触媒シートの左側をカバーする面とを含む、光触媒ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒を利用して空気の脱臭や除菌などを行うための光触媒装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、空気の脱臭や除菌を行うための光触媒装置が知られている。たとえば、特開2014-219130号公報(特許文献1)には、光触媒を利用した冷蔵庫が開示されている。特開2014-219130号公報(特許文献1)によると、冷気通路を構成する背面パネルの貯蔵室側に光触媒が露出するように光触媒を担持した触媒基台を取り付け、触媒基台に向けて光を照射するように冷気通路を構成する内箱内面に発光ダイオードを設けた。背面パネルの一部に触媒基台を設け、内箱に設けた発光ダイオードによって光触媒を励起するようにしたので、触媒基台の大きさが任意に設定でき十分な触媒面積を確保することができる。このため、容積の大きい貯蔵室の臭気成分を効果的に脱臭したり、除菌することが可能となる。更には、光触媒の触媒作用によって発生する二酸化炭素によって貯蔵室の酸素濃度を低減することができるので、野菜類の呼吸作用を抑制して野菜類を新鮮な状態で長く保管することができるという効果も奏するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-219130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、メンテナンスが容易な光触媒装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に従うと、筐体と、筐体の内部に配置され、光触媒を含む光触媒ユニットと、光触媒に光を提供するためのライトと、光触媒の表面に空気を流すためのファンとを備える光触媒装置が提供される。光触媒ユニットが筐体から取り外し可能に構成される。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明によれば、メンテナンスが容易な光触媒装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の外観を示す前方斜視図である。
図2】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の外観を示す後方斜視図である。
図3】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の内部を示す側面断面図、すなわち図1におけるA-A断面図である。
図4】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の内側、すなわち正面パネルや筐体の前部やLEDライトを取り外した状態の光触媒装置を示す前方斜視図である。
図5】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の内側、すなわち筐体の後部や光触媒ユニットを取り外した状態の光触媒装置を示す後方斜視図である。
図6】第1の実施の形態にかかる筐体から光触媒ユニットを少し抜き出した状態を示す前方斜視図である。
図7】第1の実施の形態にかかる筐体から光触媒ユニットを少し抜き出した状態を示す後方斜視図である。
図8】第1の実施の形態にかかる筐体から光触媒ユニットを完全に抜き出した状態を示す前方斜視図である。
図9】第1の実施の形態にかかる筐体から光触媒ユニットを完全に抜き出した状態を示す後方斜視図である。
図10】第1の実施の形態にかかる筐体から光触媒ユニットを完全に抜き出した状態を示す正面図である。
図11】第1の実施の形態にかかる光触媒ユニットの側面断面図、すなわち図10のB-B断面図である。
図12】第1の実施の形態にかかる光触媒ユニットの平面断面図、すなわち図10のC-C断面図である。
図13】第1の実施の形態にかかる光触媒装置の構成を示す機能ブロック図である。
図14】第1の実施の形態にかかる取り付け用ユニットに取り付けた状態の光触媒装置を示す後方斜視図である。
図15】第1の実施の形態にかかる取り付け用ユニットの前方斜視図である。
図16】第1の実施の形態にかかる正面パネルの背面斜視図である。
図17】第4の実施の形態にかかる光触媒装置の正面上方斜視図である。
図18】第4の実施の形態にかかる光触媒装置の正面下方斜視図である。
図19】第4の実施の形態にかかる光触媒装置の正面図である。
図20】第4の実施の形態にかかる正面パネルの正面斜視図である。
図21】第4の実施の形態にかかる正面パネルの背面斜視図である。
図22】第4の実施の形態にかかる正面パネルの上方斜視図である。
図23】第4の実施の形態にかかる本体側の正面斜視図である。
図24】第4の実施の形態にかかる光触媒装置の内部を示す側面断面図、すなわち図19におけるB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また以下では、光触媒装置100の説明においても、光触媒装置100に含まれる光触媒ユニット110などの説明においても、図1および図2に示すように光触媒装置100が起立された状態における方向、すなわち前方・後方・左方・右方・上方・下方など、を用いて説明を行う。
[第1の実施の形態]
<光触媒装置100の外部構成>
【0009】
まず、本実施の形態にかかる光触媒装置100の外部構成について説明する。図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる光触媒装置100は、壁に掛けられるように構成されている。光触媒装置100および筐体101は、前後方向に薄型に構成されている。光触媒装置100および筐体101は、正面視において、略正方形に構成される。筐体101の下部には吸い込み口102が形成される。筐体101の上部には吹き出し口103が形成される。筐体101の正面には、正面パネル109が取り付けられる。
【0010】
筐体101の背面には、凹部106が形成される。凹部106の上端の左端と右端には、後述する取り付け用ユニットに引っ掛けるための取り付け片108,108が形成される。取り付け片108,108と凹部106上端とによって、取り付け用ユニットに引っ掛けるための凹部が形成される。
【0011】
なお、筐体101の底面には、後述する取付けユニットの下部の取り付けリブがネジ止めされるためのネジ穴107,107が形成される。
<光触媒装置100の内部構成>
【0012】
次に、本実施の形態にかかる光触媒装置100の内部構成について説明する。図3図5を参照して、本実施の形態にかかる光触媒装置100は、主な構成部品として、光触媒ユニット110と、ファン120と、LEDライト140を含み、それらが筐体101に内包されている。
【0013】
ファン120は、筐体101の下部の吸い込み口102の近傍に配置される。ファン120と吸い込み口102の間には、フィルタ129が着脱可能に取り付けられる。これによって、ファン120にゴミなどが吸い込まれる可能性を低減している。
【0014】
ファン120は、フィルタ129を介して、前下方から空気を吸い込んで、後上方から噴き出す。本実施の形態においては、フィルタ129の後上方には、遮光板1021が設けられる。これによって、ファン120からの空気をスムーズに光触媒シート112の方に送りつつ、LEDライト140からの光が吸い込み口102から漏れることを防止している。
【0015】
本実施の形態においては、ファン120は、クロスフローファンであって、モータ121と回転軸122と複数の羽123,123・・・とを備える。
【0016】
ファン120の上方、換言すれば、筐体101の上下略中央部分には、光触媒ユニット110と、LEDライト140とが、互いに向き合って配置される。ファン120から送られる空気は、光触媒ユニット110とLEDライト140の間を通って、上方へと流れていく。
【0017】
より詳細には、光触媒ユニット110は、ケース111と、光触媒シート112と、複数の縦フレーム113,113・・・と、横フレーム114,114・・・と、を含む。
【0018】
ここで、光触媒シート112は、表面に吸着した空気中の酸素と水分とを光反応によって分解し、反応性の高いスーパーオキサイドアニオン(O2-)とOHラジカル(・OH)とを生成する。そして、スーパーオキサイドアニオン(O2-)とOHラジカル(・OH)とは、臭気成分を分解したり、雑菌を除去したり、エチレンガスを分解して食品などの鮮度低下を抑制したりすることができる。なお、光触媒シート112としては、例として、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、三酸化タングステン(WO3)、二酸化チタン(TiO2)等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
そして、特に本実施の形態においては、図6~9に示すように、光触媒ユニット110は、左方向にスライドさせることによって、筐体101から取り外すことができる。
【0020】
より詳細には、図10図12に示すように、ケース111は、左側を構成する左フレーム111Aと、背面全体を構成する背面フレーム111Bと、右側を構成する右フレーム111Cとから構成される。左フレーム111Aに、握り部111Dが形成されており、ユーザは、当該握り部111Dを掴んで光触媒ユニット110を筐体101から容易に抜き出すことができる。これによって、ユーザは、光触媒ユニット110の光触媒シート11の表面を水で洗浄することができる。
【0021】
また、ケース111は、筐体101の一番奥まで差し込むと、その位置で固定される構成となっている。なお、ここでの固定とは、ユーザが、握り部111Dを掴んで光触媒ユニット110を筐体101から抜き出す際に抵抗が生じる程度のものであって、力が弱いユーザでも引き出せるものである。つまり、光触媒ユニット110を筐体101から抜き出す際に強い力が必要なるものではない。
【0022】
特に、本実施の形態にかかる光触媒ユニット110に関しては、光触媒シート112の表面側に縦フレーム113,113・・・や横フレーム114,114が設けられているため、ユーザが、光触媒ユニット110を洗浄する際に、光触媒シート112に触れてしまうおそれを低減することができる。
【0023】
より詳細には、本実施の形態にかかる光触媒ユニット110に関しては、光触媒シート112の表面から離れた位置に、縦フレーム113,113・・・や横フレーム114,114が設けられているため、ユーザが、光触媒シート112に触れてしまうおそれをさらに低減することができる。より詳細には、縦フレーム113,113・・・の各々は、ケース111の下部および上部から立ち上がる立ち上がり部113Aと、光触媒ユニット110の上下中央部に向けて折れ曲がる折れ曲がり部113Bと、光触媒シート112と平行に向き合う中央部113Cとから構成される。そして、横フレーム114,114・・・の各々は、光触媒シート112から離れた位置に、光触媒シート112と平行に向き合うように、縦フレーム113,113・・・によって支持される。
【0024】
本実施の形態においては、光触媒ユニット110が筐体101に内包された状態において、ファン120からの空気の流れと平行な縦フレーム113,113・・・の本数よりも、ファン120からの空気の流れと直角な横フレーム114,114・・・の本数の方が少なく構成されている。これによって、ファン120からの空気の流れの抵抗を減らしつつ、光触媒シート112を保護することができる。
【0025】
図3図5に戻って、LEDライト140は、光触媒ユニット110の光触媒シート112と互いに平行に向き合う基板141と、基板141の表面に分散して配置された複数のライト本体142,142・・・とを含む。
【0026】
光触媒ユニット110とLEDライト140の上方には、筐体101の吹き出し口103が形成される。特に、本実施の形態においては、吹き出し口103には、複数の遮光板1031,1031・・・が設けられる。より詳細には、遮光板1031は、側面断面視において、「く」の字状に形成される。これによって、LEDライト140からの直接光や反射による迷光が吹き出し口103から漏れることを防止している。
<光触媒装置100の機能構成>
【0027】
本実施の形態にかかる光触媒装置100の機能構成について説明する。図13に示すように、光触媒装置100は、主に、筐体101のいずれかの位置に配置される制御部130と、筐体101のいずれかの外壁に配置される操作部170と、接触センサ171と、LEDライト140と、ファン120と、電力部150とを含む。電力部150は、外部から電力を取得するためのコネクタやアダプタであってもよいし、筐体101に収容されるバッテリーであってもよい。
【0028】
制御部130は、操作部170を介して電源がONされると、電力部150からの電力を利用して、ファン120を駆動するとともに、LEDライト140を点灯させる。これにより、ファン120によって吸い込み口102から吸い込まれた空気が、光触媒ユニット110で除菌および脱臭され、除菌および脱臭後の空気が吹き出し口103から噴き出される。
【0029】
特に、本実施の形態においては、筐体101内部の、光触媒ユニット110が筐体101の一番右奥まで差し込まれた状態における、光触媒ユニット110の右端近傍に、接触センサ171が配置されている。これによって、光触媒ユニット110が筐体101の一番右奥まで差し込まれた状態において、接触センサ171がONされる。制御部130は、接触センサ171がONされているときのみ、ファン120を駆動するとともに、LEDライト140を点灯させる。逆にいうと、制御部130は、接触センサ171がOFFされているとき、または光触媒ユニット110が筐体101から取り外されているときは、ファン120を駆動せずに、LEDライト140も点灯させない。これによって、光触媒ユニット110が筐体101から取り外された際に、光触媒ユニット110の穴105からLEDライト140の光が漏れたり、光触媒ユニット110の穴105から空気が噴き出したりしてくることを防止することができる。
<光触媒装置100の壁面などへの取り付け構成>
【0030】
本実施の形態にかかる光触媒装置100は、図14および図15に示すような取り付け用ユニット160を介して、壁に固定されるように構成されている。なお、以下では、説明のために、壁面に取り付ける対象物として、光触媒装置を例に挙げて説明を行っているが、そのような脱臭装置に限らず、その他の装置を壁面に取り付けるためにも利用できる技術である。そして、脱臭装置と、取り付けユニットとを合わせて、脱臭システムともいう。
【0031】
より詳細には、本実施の形態にかかる取り付け用ユニット160は、鉄などの丈夫な板金161で形成されている。板金161の右上部と左上部と右下部と左下部とには孔163,163,163,163が形成される。本実施の形態においては、当該孔163,163,163,163の各々に石膏釘165,165,165,165を打つことによって、取り付け用ユニット160を壁などに固設する。
【0032】
取り付け用ユニット160の板金161に関しては、左右略中央部に、図14に示すように背面から見てI字状の凸部、図15に示すように正面から見てI字状の凹部162が形成されている。これによって、取り付け用ユニット160の強度を高めている。
【0033】
そして、図14および15を参照して、凹部162の左右上下略中央部に、水準器169が取り付けられる。凹部162内に水準器169が配置されるため、取り付け用ユニット160の正面に光触媒装置100の筐体101が取り付けられても、水準器169と筐体101の背面とがぶつからない。
【0034】
なお、本実施の形態においては、図15を参照して、凹部162内に凸部168が形成され、当該凸部168に水準器169が埋め込まれている。これによって、強度を高めつつ、水準器169が筐体101の背面の凹部106に接触しないように構成できる。
【0035】
本実施の形態にかかる取り付け用ユニット160は、このように形成されているため、光触媒装置100を壁に取り付ける際に、以下のように作業する。
【0036】
まず、ユーザは、取り付け用ユニット160を、光触媒装置100を設置したい壁面に配置する。ユーザは、水準器169を見ながら、取り付け用ユニット160の姿勢を水平に合わせる。この状態で、ユーザは、石膏釘165,165,165,165を孔163,163,163,163に打ち込む。これによって、取り付け用ユニット160が壁面に固定される。
【0037】
次に、筐体101の背面の取り付け片108,108すなわち凹部を、取り付け用ユニット160の上端の左端と右端の凸形状164,164に引っ掛けることによって、光触媒装置100を壁に保持する。
【0038】
好ましくは、取り付け用ユニット160の正面の下端部の左端と右端には取り付けリブ167,167が設けられる。ユーザは、取り付けリブ167,167と筐体101の背面の下端部のネジ穴107,107とをネジなどによって固定する。これによって、光触媒装置100が、より強固に固定されるようになり、衝撃による脱落の可能性を低減することができ、容易に壁から取り外されて盗難される可能性を低減することができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、光触媒装置100は、正面視において、正面パネル109が筐体101よりも大きく構成されている。このため、ユーザは、正面パネル109が取り付けられていない状態の筐体101の背面の凹部106の上端の左右両端を取り付け用ユニット160の上端の左右上端に引っ掛けてから、取り付けリブ167,167にネジ止めし、最後に正面パネル109を筐体101の正面に取り付ける。これによって、容易に、筐体101を取り付け用ユニット160に取り付けることができる。
【0040】
なお、図16に示すように、正面パネル109の背面の上部の取り付け片109A,109Aを筐体101に上端に引っ掛けたり、正面パネル109の背面の下部の取り付け片109B,109Bを筐体101に下部に差し込んだりすることによって、正面パネル109を筐体101に固定することができる。
【0041】
なお、ユニット160は全てが板金で構成されているものに限らず、樹脂と部分的な板金の組み合わせで構成してもよい。
[第2の実施の形態]
【0042】
上記の実施の形態においては、光触媒ユニット110が縦フレーム113,113・・・と横フレーム114,114・・・とを有するものであった。しかしながら、縦フレーム113,113・・・だけによって光触媒シート112を保護することによって、つまり横フレーム114,114・・・を設けないことによって、ファン120からの空気の流れの抵抗をさらに減らしつつ、光触媒シート112の表面を保護する構成を採用することもできる。
[第3の実施の形態]
【0043】
また、上記の実施の形態においては、遮光板1031が、側面断面視において「く」の字状に形成されるものであったが、LEDライト140の光を吹き出し口103から漏れないようにすればよいので、遮光板1031は、「く」の字状に限らず、側面視において円弧上であったり直線であったりしてもよい。
【0044】
また、遮光板1031,1031,1031は、3つに限らず、1つや2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0045】
また、遮光板1021を設ける代わりに、ファン120の羽の数や配置や形状を調整して、LEDライト140の光が吸い込み口102から漏れないように構成してもよい。
【0046】
同様に、遮光板1031,1031,1031を設ける代わりに、吹き出し口103にもファンを配置したり、当該ファンの羽の数や配置や形状を調整して、LEDライト140の光が吹き出し口103から漏れないように構成したりしてもよい。
【0047】
また、吹き出し口103は黒っぽい材料を使用したり黒っぽい色で塗装したりすることによって、光の反射が抑制されより反射光が外部に漏れることを低減することができる。
[第4の実施の形態]
【0048】
上記の実施の形態においては、図3に示すように、ファン123の前下方から空気を吸い込むものであった。本実施の形態においては、より多くの空気をスムーズに吸い込むために、ファン123の前方からも空気を吸い込むものである。図17から図19に示すように、本実施の形態にかかる正面パネル200は、下部、すなわちファン123の前方部分に多数の孔が形成される開口部202X,202Xが形成されるものである。
【0049】
より詳細には、図17図21に示すように、正面パネル200は、上側フレーム201と下側フレーム202とを含む。上側フレーム201は意匠性を優先した素材で構成し、下側フレーム202は多数の孔が形成される開口部202X,202Xが形成しやすい素材で構成することが好ましい。
【0050】
図17図22を参照して、上側フレーム201も下側フレーム202も平面視において、略台形状に形成されている。すなわち、上側フレーム201は、2か所で曲がっており、正面エリア201Aと、右側面エリア201Bと、左側面エリア201Cとに分けられる。下側フレーム202も、2か所で曲がっており、正面エリア202Aと、右側面エリア202Bと、左側面エリア202Cとに分けられる。なお、右側面エリア201B,202Bと左側面エリア201C、202Cとが、本体側の筐体101の側面に引っ掛けられることによって、正面パネル200が本体の正面に取り付けられる。
【0051】
このようにして、本実施の形態においては、正面パネル200のうちの、ファン123の前方に、多数の孔が形成される開口部202X,202Xが形成される。
【0052】
そして、図3および図24に示すように、ファン123の前下方から前方までフィルタ129が配置される。フィルタ129は、弾性部材によって構成され、ファン123の周囲の前下方から前方までを囲うように構成されている。
【0053】
これによって、図24に示すように、ファン123が駆動されると、ファン123の前下方または下方の空気が吸い込み口102とフィルタ129とを通ってファン123に吸い込まれるとともに、ファン123の前方の空気が開口部202X,202Xとフィルタ129とを通ってファン123に吸い込まれて、両者が光触媒ユニット110の方に流れる。
【0054】
このように、本実施の形態においては、ファン123に吸い込まれる空気の通り道が広くなり、ファン123に吸い込まれる空気の量が増えるため、光触媒装置100の脱臭能力や除菌能力が向上するようになる。
【0055】
なお、開口部202X,202Xは、正面パネル200の下部に形成されるものには限定されない。たとえば、正面パネルの全面に開口部を形成してもよいし、正面パネルの全面に多数の凹部を形成しつつファン123の前方部分だけに開口部を形成してもよいし、正面パネルの全面に多数の溝部や畝部や凹凸を形成しつつファン123の前方部分だけに開口部を形成してもよい。
【0056】
また、開口部202X,202Xに形成される多数の孔の各々の形状は、丸型であってもよいし、長孔であってもよいし、細長い矩形などの形状であってもよい。また、孔の形状が全て互いに同じでなくてもよく、複数種類の形状の孔が形成されてもよい。
[まとめ]
【0057】
上記の実施の形態においては、筐体と、筐体の内部に配置され、光触媒を含む光触媒ユニットと、光触媒に光を提供するためのライトと、光触媒の表面に空気を流すためのファンとを備える光触媒装置が提供される。光触媒ユニットが筐体から取り外し可能に構成される。
【0058】
好ましくは、光触媒ユニットは、光触媒と平行な方向であって、ファンからの空気の流れと垂直な方向にスライドすることによって筐体から取り外し可能に構成される。
【0059】
好ましくは、光触媒ユニットは、光触媒の表面側に、光触媒と対向して配置される保護部材を含む。
【0060】
好ましくは、保護部材は、ファンからの空気の流れと平行な複数のフレームを含む。
【0061】
好ましくは、保護部材は、ファンからの空気の流れと平行な複数のフレームと、ファンからの空気の流れと垂直な複数のフレームとを含む。ファンからの空気の流れと平行な複数のフレームの方が、ファンからの空気の流れと垂直な複数のフレームよりも密に配置される。
【0062】
好ましくは、保護部材の両端部は光触媒ユニットの端部から立ち上がって、保護部材の中央部は、光触媒の表面から離れた位置に光触媒と平行に配置される。
【0063】
上記の実施の形態においては、筐体に対して取り外し可能な光触媒ユニットが提供される。光触媒ユニットは、光触媒と、光触媒の表面側に、光触媒と対向して配置される保護枠とを備える。
【0064】
上記の実施の形態においては、吸い込み口と吹き出し口とが形成される筐体と、筐体の内部に配置され、光触媒を含む光触媒ユニットと、光触媒に光を提供するためのライトと、光触媒の表面に空気を流すための少なくとも1つのファンと、ライトの光が吸い込み口および吹き出し口の少なくともいずれかから筐体の外部に漏れないようにするための少なくとも1つの遮光部材と、を備える、光触媒装置が提供される。
【0065】
好ましくは、少なくとも1つの遮光部材は、複数の遮光板を含む。
【0066】
好ましくは、少なくとも1つの遮光部材は、断面視において「く」の字形状の遮光板を含む。
【0067】
好ましくは、吹き出し口または吸い込み口の一方に、少なくとも1つのファンが配置される。吹き出し口または吸い込み口の他方に、少なくとも1つの遮光部材が配置される。
【0068】
好ましくは、少なくとも1つのファンは、吸い込み口に配置される第1のファンである。少なくとも1つのファンは、吹き出し口に配置される第2のファンである。少なくとも1つの遮光部材として、第1のファンによって、ライトの光が吸い込み口から筐体の外部に漏れないように構成されつつ、第2のファンによって、ライトの光が吹き出し口から筐体の外部に漏れないように構成される。
【0069】
上記の実施の形態においては、対象物を壁面に取り付けるための取り付け用ユニットが提供される。取り付け用ユニットは、取付け用ユニットを壁面に固定するための固定部と、対象物を支持するための支持部と、水準器と、を備える。
【0070】
好ましくは、取り付け用ユニットには、補強のために凹凸が形成される。水準器は、凹部内に設けられる。
【0071】
好ましくは、取り付け用ユニットには、固定部として、石膏釘用の複数の穴部が形成され、複数の穴部の周囲が窪んでいる。
【0072】
上記の実施の形態においては、取り付け用ユニットと、対象物としての脱臭装置と、を備える脱臭システムが提供される。脱臭装置の背面の上部を、支持部としての取り付け用ユニットの上端の両端に引っ掛けることによって、脱臭装置を壁面に取り付ける。
【0073】
好ましくは、脱臭装置の下端部が、取り付け用ユニットの下端部にネジ止めされる。
【0074】
好ましくは、脱臭装置は、脱臭装置が取り付けユニットに取り付けされた後に、正面から取り付けられる正面パネルを備える。
【0075】
上記の実施の形態においては、光触媒と、光触媒に光を提供するためのライトと、光触媒の表面に空気を流すためのファンと、光触媒とライトとファンの前方を覆い、少なくともファンの前方部分に複数の開口部が形成されるカバーとを備える光触媒装置が提供される。ファンは、複数の開口部から空気を吸い込んで、光触媒に向けて空気を流す。
【0076】
好ましくは、ファンは、前方部分だけでなく、ファンの下方または前下方からも空気を吸い込む。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
100 :光触媒装置
101 :筐体
102 :吸い込み口
1021 :遮光板
103 :吹き出し口
1031 :遮光板
105 :穴
106 :凹部
107 :ネジ穴
108 :取り付け片
109 :正面パネル
109A :取り付け片
109B :取り付け片
110 :光触媒ユニット
111 :ケース
111A :左フレーム
111B :背面フレーム
111C :右フレーム
111D :握り部
112 :光触媒シート
113 :縦フレーム
113A :立ち上がり部
113B :折れ曲がり部
113C :中央部
114 :横フレーム
120 :ファン
121 :モータ
122 :回転軸
123 :羽
129 :フィルタ
130 :制御部
140 :LEDライト
141 :基板
142 :ライト本体
150 :電力部
160 :取り付け用ユニット
161 :板金
162 :凹部
163 :孔
165 :石膏釘
167 :取り付けリブ
169 :水準器
170 :操作部
171 :接触センサ
200 :正面パネル
201 :上側フレーム
201A :正面エリア
201B :右側面エリア
201C :左側面エリア
202 :下側フレーム
202A :正面エリア
202B :右側面エリア
202C :左側面エリア
202X :開口部
図1
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