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特許7228307球状タンタル-チタン合金粉末、それを含有する製品、及びその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】球状タンタル-チタン合金粉末、それを含有する製品、及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20230216BHJP
   C22C 14/00 20060101ALI20230216BHJP
   C22C 27/02 20060101ALI20230216BHJP
   B22F 1/142 20220101ALI20230216BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20230216BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20230216BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20230216BHJP
   B22F 9/08 20060101ALI20230216BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230216BHJP
【FI】
B22F1/00 R
C22C14/00 Z
C22C27/02 103
B22F1/142
B22F9/04 Z
B22F10/34
C22C1/04 E
B22F9/08 Z
B33Y70/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022503460
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020037347
(87)【国際公開番号】W WO2021061209
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】62/876,018
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512189233
【氏名又は名称】グローバル アドバンスト メタルズ ユー.エス.エー.,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】スンガイ,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】アビッド,アーミル
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-521333(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106735280(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109434117(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00
C22C 14/00
C22C 27/02
B22F 1/142
B22F 9/04
B22F 10/34
C22C 1/04
B22F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.20重量%~80重量%のタンタルと、20重量%~80重量%のチタンとを有し、
b.1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
c.5μm~25μmのD10粒径、20μm~50μmのD50粒径、及び/又は、30μm~100μmのD90粒径を有し、
d.4.5 g/cc~11 g/ccの見掛け密度を有し、かつ、
e.ASTM B213規格に従う30秒/50 g以下のホールフローレートを有する、タンタル-チタン合金粉末。
【請求項2】
20 ppm~250 ppmの酸素レベルを有する、請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末。
【請求項3】
前記平均アスペクト比が1.0~1.05である、請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末。
【請求項4】
100 ppm~1000 ppmの酸素含量を有する、請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末。
【請求項5】
請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末を含む物品。
【請求項6】
ニッケル元素を含まない、請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末。
【請求項7】
ジルコニウム、ニオブ、タングステン、モリブデン、ハフニウム、レニウム、又はこれらの任意の組合せから選ばれる少なくとも1つの元素を合金の一部として更に含む、請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末。
【請求項8】
物品を形成する方法であって、請求項1に記載の合金粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、物品を積層造形することを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載のタンタル-チタン合金粉末を作製する方法であって、
a.不活性雰囲気中で、出発合金粉末又は合金線をプラズマ熱処理して、該出発合金粉末又は合金線の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済合金粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済合金粉末を冷却して、前記タンタル-チタン合金粉末を得ることと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記出発合金粉末が、i)出発タンタル粉末と出発チタン粉末とを共にブレンドして、粉末ブレンドを形成することと、ii)前記粉末ブレンドを溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを水素化して、水素化インゴットを形成することと、v)前記水素化インゴットを水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記出発合金粉末が、i)出発タンタルロッド又は出発タンタル板と、出発チタンロッド又は出発チタン板とを共に凝縮して、複合積層体を形成することと、ii)前記複合積層体を溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを水素化して、水素化インゴットを形成することと、v)前記水素化インゴットを水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記出発合金粉末が第1の粒度分布を有しており、前記タンタル-チタン合金粉末が第2の粒度分布を有しており、
前記第1の粒度分布のD10粒径と前記第2の粒度分布のD10粒径とが、互いに10%以内であり、
前記第1の粒度分布のD50粒径と前記第2の粒度分布のD50粒径とが、互いに10%以内であり、かつ
前記第1の粒度分布のD90粒径と前記第2の粒度分布のD90粒径とが、互いに10%以内である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記出発合金粉末が、i)TaCl5蒸気と、TiCl4蒸気と、Na蒸気とを反応させて、Ta-Ti粉末を形成することと、ii)前記Ta-Ti粉末を成形体へと圧縮することと、iii)過剰なNaClを除去することと、iv)前記成形体を水素化して、水素化成形体を形成することと、v)前記水素化成形体を水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記出発合金線が、i)出発タンタル粉末と出発チタン粉末とを共にブレンドして、粉末ブレンドを形成することと、ii)前記粉末ブレンドを溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを合金線へと延伸することと、v)任意で、前記合金線に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、vi)任意で、前記合金線に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年7月19日に出願された米国仮特許出願第62/876,018号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、この出願の全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、合金金属、特にタンタル-チタン合金に関し、また、タンタル-チタン合金から作製された製品、並びにタンタル-チタン合金を作製する方法及び処理する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンタル粉末等の弁金属粉末は、その多くの用途の中でも、コンデンサ電極を製造するのに広く用いられているが、この産業以外でも、スパッタリングターゲット産業、軍需領域、宇宙産業等において他の用途があり、その性質に鑑みると、タンタルは医療用インプラント領域及び歯科用インプラント領域において有望である。
【0004】
タンタルは、医療用及び歯科用インプラント領域において単独で利用されてきたが、チタン等の他の金属は、価格のため、かつ、低密度、比強度、及び生体適合性のためにより頻繁に使用されてきた。しかしながら、医療用及び歯科用インプラント領域において使用されるチタンは、現在一般的に使用されているが、アルミニウム及びバナジウム等の生体に対して優しくない金属と合金化することが多いことを含め、幾つかの不利点に直面していることが分かっている。
【0005】
タンタルとチタンとを共に利用することにおいて幾つかの取り組みが行われてきたが、これらの取り組みのほとんどは、タンタル粉末とチタン粉末とを、粉末ブレンド又は粉末冶金製品として組み合わせるものであった。これらのアプローチの問題は、真に均質な合金が形成されず、その代わりに、混合物が形成され、非合金化金属(すなわち、Ta及び/又はTi)領域のために不均一な特性が生じ、強度、伸び、靭性等の物理的特性が最適なものよりも低くなり、及び/又は低サイクル疲労及び低溶接性となることである。
【0006】
また、このようなブレンド粉末を積層造形において供給材料として使用すると、積層造形プロセスから得られる物品において、非合金化Ta領域及び/又は非合金化Ti領域、及び/又は非均一な粒子構造等の一貫性のない特性が生じる可能性があり、引張特性の低下につながる可能性がある。
【0007】
したがって、積層造形及び/又は他の産業において有用となり得る真のタンタル-チタン合金粉末を開発することに対する要求と希望がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、積層造形、すなわち、3D印刷において非常に有用となり得るタンタル-チタン合金粉末を提供することを特徴とする。
【0009】
本発明は、使用がより容易なタンタル-チタン合金粉末を使用した積層造形、すなわち、3D印刷により物品、製品、及び/又は部品を提供すること、及び/又は、そのようなプロセスにおいて1つ以上の性質を向上させることを他の特徴とする。
【0010】
本発明は、タンタル-チタン合金粉末を作製するプロセス、及び該合金粉末を含有する物品、製品、及び/又は部品を作製するプロセスを提供することを更なる特徴とする。
【0011】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の明細書で一部説明され、本明細書から一部明らかとなるか、又は本発明の実施により認識することができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素及び組合せを用いて実現及び達成される。
【0012】
これらの利点及び他の利点を達成するために、並びに本発明の目的に従って、本明細書中で具体化され、かつ概説されるように、本発明は、タンタル-チタン合金粉末に関する。このタンタル-チタン合金粉末は、1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、ガス不純物を除くタンタル-チタン合金粉末の全重量に対して、少なくとも90重量%の任意のタンタル-チタン合金純度を有し、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、6.5 g/cc~15.5 g/ccの真密度を有し、約4.5 g/cc~約11 g/ccの見掛け密度を有し、かつ、30秒以下のホールフローレートを有する。上記タンタル-チタン合金粉末は、プラズマ熱処理されていてもよく、プラズマ熱処理されていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、本発明のタンタル-チタン合金粉末から作製されるか又は形成される、物品又は製品(又は、その部分若しくはその部品)に関する。この物品又はその部分若しくはその部品としては、物理蒸着プロセス用のコイルセットのボス、連続気泡構造と中実構造とを含むボス、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品、整形外科用インプラント又はその部品、歯科用インプラント又はその部品、及び他の医療用インプラント又はその部分を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
さらに、本発明は、本発明のタンタル-チタン合金粉末を作製する方法に関する。この方法は、不活性雰囲気中で、出発タンタル-チタン合金粉末又は合金線をプラズマ熱処理して、該出発タンタル-チタン合金粉末又は合金粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル-チタン合金粉末を得ることと、不活性雰囲気中で、熱処理済タンタル-チタン合金粉末を冷却して、タンタル-チタン合金粉末を得ることとを含むことができる。出発タンタル-チタン合金粉末は、インゴット誘導材料とすることができる。
【0015】
また、本発明は、物品を形成する方法であって、本発明のタンタル-チタン合金粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、積層造形して物品を形成する工程を含む、方法に関する。上記積層造形には、レーザー粉末床溶融、電子ビーム粉末床溶融、指向性エネルギー堆積、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディング、材料噴射、シート積層、及び/又は、液槽光重合が含まれ得る。
【0016】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が例示的及び説明的なものに過ぎず、請求項に記載の本発明を更に説明することを意図すると理解されるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、新規なタンタル-チタン合金粉末、及び本発明のタンタル-チタン合金粉末から形成される物品(又はその部分)に関する。さらに、本発明は、新規なタンタル-チタン合金粉末を作製する方法、及び積層造形技術及びプロセスを利用して物品(又はその部分)を形成する方法に関する。
【0018】
他の幾つかの球状化技術と異なり、プラズマ球状化では、粒子を形成するタンタルとチタンとを迅速に溶融するのに必要なエネルギーが提供され、高純度、及び/又は低酸素、及び/又は最小ガス封入、及び/又は制御された粒度分布(PSD)を有し、かつ、均質な合金を含む真球状粉末が作り出される。プラズマ球状化が好ましいが、本発明の目的のために他の球状化技術を代替的に利用してもよい。
【0019】
より詳細には、本発明のタンタル-チタン合金粉末は、1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状;ガス不純物を除くタンタル-チタン合金粉末の全重量に対して、少なくとも90重量%の任意のタンタル-チタン合金純度;約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;6.5 g/cc~15.5 g/ccの真密度;約4.5 g/cc~約11 g/ccの見掛け密度;及び、30秒以下のホールフローレートを含むか(comprises)、本質的にこれらからなるか(consists essentially of)、これらからなるか(consistsof)、又はこれらを含む(includes)。
【0020】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、タンタルとチタンとの単なる物理的な混合物ではなく、本発明のタンタル-チタン合金粉末は、これら2つの元素の機械的混合と考えられるものでもない。代わりに、本発明のタンタル-チタン合金粉末は、各粒子又はほぼ全ての粒子が、通常はタンタルとチタンとの固溶体であるTa-Ti相(又はTa-Ti-x相)を少なくとも有する複数の粒子を含む粉末である。この合金は、単相を有してもよく、2相以上を有してもよい。Ta-Ti-x相における「x」は、Nb、Zr、Hf、Mo、W、及び/又はRe等の、合金自体の一部を形成する1種以上の他の元素を示し、単相の一部となり得る。
【0021】
タンタル-チタン合金粉末は、TaとTiとの原子比又は重量比を約10:90(Ta:Ti)~約90:10、例えば、限定するものではないが、TaとTiとの原子比又は重量比を20:80~80:20、又は30:70~70:30、又は40:60~60:40とすることができる。更なる例として、タンタル-チタン合金粉末は、50重量%若しくは原子%のTa、又は約20重量%若しくは原子%~約40重量%若しくは原子%のTa、又は約30重量%若しくは原子%~約40重量%若しくは原子%のTaを含むことができる。更なる例として、タンタル-チタン合金粉末は、50重量%若しくは原子%のTi、又は約20重量%若しくは原子%~約40重量%若しくは原子%のTi、又は約30重量%若しくは原子%~約40重量%若しくは原子%のTiを含むことができる。
【0022】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、Ta-Ti主相を少なくとも60重量%若しくは原子%、又は少なくとも70重量%若しくは原子%、又は少なくとも80重量%若しくは原子%、又は少なくとも90重量%若しくは原子%、又は少なくとも95重量%若しくは原子%、又は少なくとも99重量%若しくは原子%含む。例えば、タンタル-チタン合金粉末は、Ta-Ti主相を、約10重量%若しくは原子%~99.999重量%若しくは原子%、又は約10重量%若しくは原子%~95重量%若しくは原子%、又は約10重量%若しくは原子%~90重量%若しくは原子%等で含むことができる。
【0023】
タンタル-チタン合金粉末は、更に任意で、TaとTiとの原子比又は重量比を20:80(Ta:Ti)~30:70、又は60:40~70:30とすることができる。具体例としては、20:80(Ta:Ti)、又は25:75、又は30:70、又は60:40、又は65:35、又は70:30が挙げられる。これらの範囲は、骨代替用の医療用物品を形成するのに特に好適である。ここで及び全体を通してTa及びTiに対して提供される重量%は、タンタル-チタン合金粉末の全重量を基準とするものである。
【0024】
タンタル-チタン合金粉末は、TaとTiとの単相均質固溶体、又はTaと、Tiと、1種以上の他の元素(例えば、金属元素(複数の場合もある)及び/又は非金属元素(複数の場合もある))との単相均質固溶体からなる粒子とすることができる。
【0025】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、二元タンタル-チタン合金粉末と考えることができる。
【0026】
タンタル-チタン合金粉末は、タンタル若しくはチタンの個々の粒子、又はその両方を500 ppm未満で、例えば、タンタル若しくはチタンの個々の粒子、又はその両方を400ppm未満、300 ppm未満、200 ppm未満、100 ppm未満、50 ppm未満、25ppm未満、10 ppm未満、5 ppm未満、又は1 ppm未満で含むことができる。
【0027】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、Ta及びTi以外の元素を実質的に含まない粉末とすることができる。例えば、タンタル-チタン合金粉末中に存在するTa及びTi以外の非ガス状元素(例えば、非ガス状一般元素又は非ガス状金属元素)は、合金粉末の重量に対して、1重量%未満、例えば、約0.1 ppm~約500 ppm、又は約1 ppm~250ppm、又は約1 ppm~100 ppm、又は約1 ppm~50 ppm、又は50ppm未満、又は25 ppm未満、又は500 ppm未満の量で存在することができる。
【0028】
タンタル-チタン合金粉末は、50 ppm未満の炭素元素、例えば、40 ppm未満の炭素、30 ppm未満の炭素、20 ppm未満の炭素、10 ppm未満の炭素、5 ppm未満の炭素、1 ppm未満の炭素、例えば、0 ppm~49 ppm、又は0.1 ppm~20ppm、又は0.1 ppm~2 ppmの炭素を含むことができる。
【0029】
タンタル-チタン合金粉末は、50 ppm未満の窒素元素、例えば、40 ppm未満の窒素、30 ppm未満の窒素、20 ppm未満の窒素、10 ppm未満の窒素、5 ppm未満の窒素、1 ppm未満の窒素、例えば、0 ppm~49 ppm、又は0.1 ppm~20ppm、又は0.1 ppm~2 ppmの窒素を含むことができる。
【0030】
タンタル-チタン合金粉末は、50 ppm未満の水素元素、例えば、40 ppm未満の水素、30 ppm未満の水素、20 ppm未満の水素、10 ppm未満の水素、5 ppm未満の水素、1 ppm未満の水素、例えば、0 ppm~49 ppm、又は0.1 ppm~20ppm、又は0.1 ppm~2 ppmの水素を含むことができる。
【0031】
タンタル-チタン合金粉末は、50 ppm未満の硫黄元素、例えば、40 ppm未満の硫黄、30 ppm未満の硫黄、20 ppm未満の硫黄、10 ppm未満の硫黄、5 ppm未満の硫黄、1 ppm未満の硫黄、例えば、0 ppm~49 ppm、又は0.1 ppm~20ppm、又は0.1 ppm~2 ppmの硫黄を含むことができる。
【0032】
タンタル-チタン合金粉末は、100 ppm未満のNi、又は50ppm未満のNi、又は10 ppm未満のNi、又は0 ppmのNiを含むことができる。
【0033】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のV、又は5 ppm未満のV、又は1 ppm未満のV、又は0 ppmのVを含むことができる。
【0034】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のAl、又は5 ppm未満のAl、又は1 ppm未満のAl、又は0 ppmのAlを含むことができる。
【0035】
タンタル-チタン合金粉末は、100 ppm未満のFe、又は50ppm未満のFe、又は10 ppm未満のFe、又は0 ppmのFeを含むことができる。
【0036】
タンタル-チタン合金粉末は、100 ppm未満のCr、又は50ppm未満のCr、又は10 ppm未満のCr、又は0 ppmのCrを含むことができる。
【0037】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のCd、又は5 ppm未満のCd、又は1 ppm未満のCd、又は0 ppmのCdを含むことができる。
【0038】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のHg、又は5 ppm未満のHg、又は1 ppm未満のHg、又は0 ppmのHgを含むことができる。
【0039】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のPb、又は5 ppm未満のPb、又は1 ppm未満のPb、又は0 ppmのPbを含むことができる。
【0040】
タンタル-チタン合金粉末は、10 ppm未満のBe、又は5 ppm未満のBe、又は1 ppm未満のBe、又は0 ppmのBeを含むことができる。
【0041】
球状形状、平均粒径、密度、及びホールフローレートに関してタンタル-チタン合金粉末について上述した性質を除いては、本明細書において記載される本発明の積層造形法で使用することのできるタンタル-チタン合金粉末の種類について重大な他の制約はないと理解される。
【0042】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、インゴット誘導タンタル-チタン合金粉末であると考えられるものであってもよく、好ましい実施形態においては、インゴット誘導プラズマ処理済タンタル-チタン合金粉末であると考えられるものであってもよい。
【0043】
上述したように、本発明のタンタル-チタン合金粉末は、球状形状を有する。その形状は、平均アスペクト比によって定義される。本明細書において、タンタル-チタン合金粉末の平均アスペクト比、すなわち、アスペクト比は、50個の粒子若しくは100個の粒子をランダムに測定するか、又は粉末バッチの約1重量%~約2重量%をランダムに測定することに基づいて、粒子(すなわち、タンタル-チタン合金粉末)の最大直線寸法の、同粒子(すなわち、タンタル-チタン合金粉末)の最小直線寸法に対する比率であると定義される。合金粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を用いて行う。真球状粒子は、1.0のアスペクト比を有する。本発明の目的のため、タンタル-チタン合金粉末は、1.0~1.25、又は1.0~1.2、又は1.0~1.15、又は1.0~1.1、又は1.0~1.05、又は約1.05~約1.25、又は1.05~約1.2、又は1.05~約1.1、又は約1.0の平均アスペクト比を有していれば球状であると考える。
【0044】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、高純度タンタル-チタン合金粉末とすることができる。これは、タンタル-チタン合金の純度を測定し、他の金属元素が意図的に存在しなかった場合に、タンタル-チタン合金粉末が、ガス不純物を除くタンタル-チタン合金粉末の全重量に対して、少なくとも90重量%、又は少なくとも99重量%、又は少なくとも99.5重量%、又は少なくとも99.9重量%、又は少なくとも99.99重量%、又は少なくとも99.999重量%の合金純度を有することを意味する。純度レベルは、X線蛍光法、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP-AES)、すなわち、ICP原子発光分析法、又は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、すなわち、ICP質量分析法、又はグロー放電質量分析法(GDMS)、スパーク源質量分析法(SSMS)、EDX、又はこれらの任意の組合せによって測定することができる。タンタル-チタン純度は、少なくとも99.95重量%Ta-Ti、少なくとも99.99重量%Ta-Ti、少なくとも99.995重量%Ta-Ti、又は約99.9重量%Ta-Ti~99.9995重量%Ta-Ti、又は約99.95重量%Ta-Ti~99.9995重量%Ta-Ti、又は約99.99重量%Ta-Ti~99.9995重量%Ta-Ti、又は他の純度値若しくは範囲とすることができる。
【0045】
タンタル-チタン合金粉末は、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有する。この平均粒径は、HORIBA LA-960レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA LA-300レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA SZ-100ナノ粒子解析装置、又はHORIBA Camsizer動的画像解析装置、又はHORIBA Camsizer X2動的画像解析装置等のレーザー回折技術、又は動的光散乱技術、又は動的画像解析技術を用いて、50個の粒子をランダムに測定することによって求める。平均粒径は、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0046】
タンタル-チタン合金粉末は、約4.5 g/cc~約11 g/cc、例えば、約5 g/cc~約10 g/cc、又は約6g/cc~約9 g/cc、又は約7 g/cc~約8 g/ccの見掛け密度、又はこれらの範囲内の他の見掛け密度数値とすることができる。見掛け密度は、ASTM B212規格に従って測定する。
【0047】
タンタル-チタン合金粉末は、30秒以下のホールフローレートを有する。ホールフロー試験は、ASTM B213規格に従って行い、この規格では、タンタル-チタン合金粉末がホールフローメーターの漏斗口を通って流れる時間を測定する。本発明のタンタル-チタン合金粉末のホールフローレートは、30秒以下、20秒以下、15秒以下、10秒以下、又は4秒~30秒、又は4秒~25秒、又は5秒~20秒、又は6秒~20秒、又は4秒~15秒、又は4秒~12秒、又は5秒~15秒、又はこれらの範囲内の他の値とすることができる。
【0048】
出発タンタル-チタン合金粉末は、プラズマ熱処理されて、プラズマ熱処理済粉末を形成していてもよい。タンタル-チタン合金粉末は、任意で、Ta及びTiを(個々に又は混合物として)タンディッシュで溶融し、溶融物に対して水アトマイズ化又はガスアトマイズ化のいずれかを行って、積層造形において利用することができる粉末を得ることによって形成することができる。
【0049】
タンタル-チタン合金粉末は、様々な酸素レベルを有することができる。例えば、タンタル-チタン合金粉末は、2500 ppm以下、又は1000 ppm以下、又は500 ppm未満、又は400 ppm未満、又は300 ppm未満、又は250 ppm未満、又は200 ppm未満、又は100 ppm未満、又は50 ppm未満、例えば、約20 ppm~500 ppm、約40 ppm~400ppm、約50 ppm~300 ppm、約100 ppm~495 ppm、又は約150ppm~約400 ppmの酸素レベルを有することができる。
【0050】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、任意で、タンタル及びチタンに加えて、1種以上の他の元素を含有することができる。合金は(合金の一部として)、任意で、a)少なくとも金属タンタルと、b)金属チタンと、c)i)1種以上の他の金属、及び/又は、ii)非金属元素、及び/又は、iii)半金属元素とを含有することができる。
【0051】
本発明のタンタル-チタン合金は、更に任意で、ドープされていてもよく、又は合金の一部として存在するか、及び/又は、合金の表面に存在する1種以上のガス状元素を有することができる。
【0052】
以下の1種以上の金属は、タンタル-チタン合金粉末の一部となり得るため、本発明の目的のためタンタル-チタン合金粉末とも考えることができる:Nb、Si、W、Mo、Re、Rh、V、Th、Zr、Hf、Cr、Mn、Sc、Y、C、B、Ni、Fe、Co、Al、Sn、Au、Th、U、Pu、及び/又は希土類元素(複数の場合もある)。例えば、タンタル-チタン合金粉末は、Ta-Ti-Nb合金又は他のTa-Ti-x合金(式中、xは、Ta及びTi以外の1種以上の元素である)とすることができる。合金での割合は、合金の全重量に対して、Taが20重量%~99.9重量%、Tiが20重量%~99.9重量%とすることができ、合金中の金属又は非金属である他の非Ta元素及び非Ti元素では、その重量%は、0.001重量%~70重量%、又は0.01重量%~50重量%、又は0.1重量%~25重量%、又は0.1重量%~15重量%、又は1重量%~5重量%とすることができる。Ta-Ti-x金属合金は、他の金属が1種、2種、又は3種以上存在する(但し、不純物としてではない)タンタル及びチタンとすることができる。Ta-Ti-x金属合金におけるタンタルは、優位金属(例えば、タンタルが、合金の重量に対して、最も高い割合で存在する金属である)であってもよい。タンタル-チタン-x金属合金は、xが1種、2種、又は3種以上存在する(但し、不純物としてではない)他の金属又は元素である、タンタル及びチタンとすることができる。
【0053】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、以下から選ばれる他の性質のうち1つ以上を有することができる:
約5ミクロン~約25ミクロンのD10径、
約20ミクロン~約80ミクロンのD90径、及び/又は、
(粉末の重量に対して)約20 ppm~約1000 ppm、例えば、約100 ppm~約1000 ppm、又は100ppm~約250 ppmの酸素含量。
【0054】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、非強凝集(non-aggregated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非強凝集粉末に対するものである。
【0055】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、非弱凝集(non-agglomerated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非弱凝集粉末に対するものである。
【0056】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、リンでドープされていてもよい。例えば、リンドープレベルは、少なくとも10 ppm、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約50 ppm~約500 ppm等とすることができる。リンの形態としては、リン酸又はヘキサフルオロリン酸アンモニウム等が提案される。
【0057】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、イットリウム、シリカ等の他の元素、又はガスドーパント及び/又は金属ドーパント等の1種以上の他のドーパントでドープすることができる。ドープレベルは、少なくとも5 ppm、少なくとも10 ppm、少なくとも25 ppm、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約5 ppm~約500 ppm等とすることができる。粉末、又は粉末から作製される物品の粒子安定性のため、及び/又は他の性質を高めるために、1種以上のドーパントを使用することができる。ドーパントは、合金粉末中に存在し得るが、合金自体の一部である必要はない。言い換えると、ドーパントは、合金粒子構造を修正するために存在することができ、通常、50 ppm未満の量で、最も一般的には10 ppm未満の量で使用する。
【0058】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、粉末の重量に対して、約0.01重量%~約5重量%(例えば、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.01重量%~約1重量%)の窒素含量を有することができる。
【0059】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、粉末の重量に対して、約0.001重量%~約5重量%(例えば、約0.1重量%~約4重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約5重量%、約0.3重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%)のリン含量を有することができる。
【0060】
タンタル-チタン合金粉末は、任意で、粉末の重量に対して、約0.001重量%~約5重量%(例えば、約0.1重量%~約4重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約5重量%、約0.3重量%~約5重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%)の水素含量を有することができる。
【0061】
窒素、リン、及び/又は水素等のガスの使用は、不動態化剤として更に働き、Ta-Ti合金粉末を更に安定化することができる。
【0062】
タンタル-チタン合金粉末(任意の酸化物層を除く)は、任意で、500 ppm未満のTa及びTi以外の元素、例えば、100 ppm未満(例えば、0 ppm~99ppm、1 ppm~75 ppm、1 ppm~50 ppm、1 ppm~25 ppm、1 ppm~10 ppm、5 ppm未満)のTa及びTi以外の元素からなることができる。本明細書において記載するこれらのppm限度値は、記載された元素のうち1つの元素、又は2つ以上の元素、又は全ての元素に適用することができる。
【0063】
Ta-Ti合金粉末は、任意で、タンタル-チタン合金粉末上にTa-Ti酸化物層を更に含むことができる。
【0064】
Ta-Ti酸化物層は、約1 nm~約20nm又はそれ以上の厚さ、例えば、約5 nm~約20 nm、又は約10 nm~約20 nmの厚さを有することができる。
【0065】
Ta-Ti酸化物層が存在する場合、Ta-Ti酸化物層は、任意で、タンタル-チタン合金粉末を部分的に被覆又は完全に被覆することができる。例えば、Ta-Ti粉末の95体積%超、又は99体積%超、又は99.9体積%超、又は100体積%が、該Ta-Ti粉末の有効外表面積の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、99%超、又は100%を被覆する酸化物層をその表面上に有することができる。
【0066】
Ta-Ti酸化物層は、任意で、リンを更に含むことができる。リンが存在する場合、リンは、約1ppm~5000 ppm、又は約50 ppm~約5000 ppm、例えば、約100 ppm~4000 ppm、又は200 ppm~約5000ppm、又は約100 ppm~3000 ppm、又は約100 ppm~2000 ppm、又は約100ppm~1000 ppm、又は約100 ppm~500 ppmのレベルで存在することができる。
【0067】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、物品又はその部分若しくはその部品を形成するのに使用することができる。
【0068】
例えば、物品は、整形外科用インプラント、又は他の医療用インプラント、又は歯科用インプラントとすることができる。整形外科用インプラントは、手、足首、肩、臀部、膝、骨、関節全再建(関節形成)、頭部顔面再建、又は脊椎、又は人間の体若しくは動物の体の他の部分の代わりになるものとすることができる。歯科用インプラントは、限定されるものではないが、下顎若しくは上顎を含む顔面の再建のためのもの、又は義歯(false teeth or dentures)を固定するポスト(posts)とすることができる。医療用インプラント又は歯科用インプラントは、ヒト、並びに、イヌ、ネコ、及び他の動物等の他の動物において、有用である。
【0069】
物品は、トレーサー、又は医療用マーカー、例えば放射線Taマーカー等のマーカーとすることができる。
【0070】
物品は、手術道具又はその部品とすることができる。物品は、増強材とすることができる。
【0071】
物品は、航空宇宙部品とすることができる。
【0072】
物品は、車両用部品とすることができる。
【0073】
物品は、原子炉格納容器部品とすることができる。
【0074】
物品は、物理蒸着プロセスにおいて使用されるコイルセットのボス等のボスとすることができる。ボスは、連続気泡構造と、中実構造とを含むことができる。
【0075】
物品は、金属蒸着プロセスにおいて使用する、スパッタリングターゲット、又はその部分、又はスパッタリングターゲット等を保持するのに使用する構造体等の任意の物品とすることができる。例えば、物品は、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品とすることができる。
【0076】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、物品又は表面をコーティング及び/又は修復するための合金の噴霧(例えば、コールドスプレー、溶射)において使用することができる。
【0077】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、金属射出成形用途及びプロセスにおいて使用することができる。
【0078】
本発明のタンタル-チタン合金粉末は、プラズマ熱処理プロセスを使用して、作製することができる。例えば、本発明のタンタル-チタン合金粉末を作製するプロセスは、以下の工程を含むか、本質的に以下の工程からなるか、以下の工程からなるか、又は以下の工程を含むことができる:不活性雰囲気中で、出発タンタル-チタン合金粉末又は合金線をプラズマ熱処理して、出発タンタル-チタン合金粉末又は合金線の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル-チタン合金粉末を得る工程a、及びそれに次ぐ、不活性雰囲気中で、熱処理済タンタル-チタン合金粉末を冷却して、タンタル-チタン合金粉末を得る工程b。出発タンタル-チタン合金粉末又は合金線は、プラズマ処理によって(例えば、プラズマ反応器のプラズマトーチ領域において)、完全に溶融することもできるし、少なくとも90重量%溶融することもできる。
【0079】
このプロセスにおいて、出発タンタル-チタン合金粉末又は合金線は、インゴット誘導タンタル-チタン合金粉末(又は合金線)であってもよく、又は他の任意の出発タンタル-チタン合金粉末源又は合金線源であってもよい。
【0080】
出発タンタル-チタン合金粉末(又は合金線)は、出発タンタル源(例えば、タンタル粉末、又はインゴット、又はバー、又はストリップ/シート、又はスクラップ)、及び出発チタン源(例えば、チタン粉末、又はインゴット、又はバー、又はストリップ/シート、又はスクラップ)を準備し、該出発タンタル源及び該出発チタン源を溶融し、溶融タンタルと溶融チタンとを共に組み合わせ、組み合わせた溶融タンタル及びチタンを凝固させて、Ta-Ti合金インゴットを得ることによって得ることができる。
【0081】
溶融用の出発タンタル源は、基本ロットタンタル等の基本ロット粉末と考えられるもの、又は他のタンタル源とすることができる。
【0082】
溶融用の出発タンタル源は、インゴット又はインゴット誘導タンタルとすることができる。
【0083】
溶融用の出発タンタル源は、粉末冶金(powder metallurgy (powder-met))誘導タンタルとすることができる。
【0084】
溶融用の出発チタン源は、粉末冶金誘導チタン又はスポンジとすることができる。
【0085】
溶融用の出発チタン源は、インゴット又はインゴット誘導チタンとすることができる。
【0086】
溶融用の出発チタン源は、市販のチタン粉末とすることができる。
【0087】
出発タンタル源及び/又はチタン源が、初期において粉末形態である場合、この粉末に対して、例えば、コールド又はホット静水圧プレスを行い、次いで焼結を行うことによって、塊又は圧粉体ログへと成形して、合金化プロセスにおける溶融がより容易で、より制御しやすい媒体を提供することができる。出発タンタル粉末は、任意で、チタン粉末と事前にブレンドすることができる。焼結は、従来のタンタル粉末用焼結温度で行うことができる。例えば、単なる一例として、粉末を、約700℃~約1450℃(又は約800℃~約1400℃、又は約900℃~約1300℃)の温度で焼結することができる。焼結時間は、1分~数時間、例えば、約10分~4時間、又は10分~3時間、又は約15分~約2時間、又は約20分~約1時間、又は他の時間とすることができる。任意で、熱処理又は焼結を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。焼結は、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことができる。焼結は、金属粉末の焼結に使用される従来の炉内で行うことができる。
【0088】
本発明の最終製品を形成するのに使用する出発Ta-Ti粉末(又はTa-Ti線)は、数多くの方法で作製することができる。1つの選択肢は、タンタル又はその酸化物を含む第1の粉末(例えば、タンタル含有固体)を、チタンを含む第2の粉末又はチタン含有固体とブレンドすることである。代替的な方法は、TiとTaとを交互にバー又はシート(ストリップ)ストックを圧縮し、溶接又は爆着(クラッディング)により接着することである。
【0089】
本発明の目的のため、チタン含有固体は、続いて液体の状態になり、金属タンタル中にチタン元素を与えることができる任意の固体である。さらに、タンタル含有固体は、液体の状態になり、金属タンタルを形成することができる少なくともタンタルを含有する任意の固体材料である。タンタル含有固体の例としては、タンタル粉末又はタンタルスクラップ等が考えられる。
【0090】
出発Ta粉末と出発Ti粉末とをブレンドしてブレンドを形成し、次いで、このブレンドを溶融等によって液体の状態にする。ブレンドを溶融等によって液体の状態にする方法は、任意の手段によって達成することができる。例えば、溶融は、電子ビーム溶融、真空アーク再溶融処理、又はプラズマ溶融を個々で又は組み合わせて使用することにより達成することができる。
【0091】
ブレンドを液体の状態にした後、次いで、水冷銅坩堝等の坩堝内での冷却、又はアトマイズ化(例えば、ガスアトマイズ化又は液体アトマイズ化)、急冷凝固法等を含む任意の手段によって、液体ブレンドを固体の状態に成形するか、又は固体の状態に戻して、固体合金を形成することができる。
【0092】
このプロセスにおいては、その量でもなおタンタル-チタン合金が形成される限り、通常、金属タンタルにおいて任意の量のチタン含有化合物又はチタン元素を使用又は導入することができる。
【0093】
作製する合金が、Ta及びTiに加えて他の元素を含有する場合、合金におけるこれらの所望の他の成分を所望の量で達成するために、ブレンドは、任意で、他の成分、添加剤、又はドーパントを更に含有することができる。
【0094】
粉末ブレンドは、任意で、(真空中での)電子ビーム溶融によって液体の状態にする。ここで、ブレンドは、例えば、10インチ~12インチのインゴットを鋳造することができるLeybold社の1200 KWのEB炉を使用して、1時間当たり約200 lbs.~1時間当たり約700 lbs.の速度を含む任意の速度で溶融することができる。EB炉の種類及びその冷却能力に応じて、任意のサイズのインゴットを作製することができる。
【0095】
続いて形成された合金を、任意で、1回超、好ましくは少なくとも2回以上、液体の状態に戻すか又は溶融する。少なくとも2回溶融する場合、初回の溶融速度を、2回目以降の溶融よりも小さくすることができる。例えば、初回の溶融速度を1時間当たり約200 lbs~約500 lbsとし、2回目の溶融を、1時間当たり約600 lbs~約800lbsの溶融速度で行うことができる。よって、一旦形成した合金を任意の回数液体の状態に戻して、より純度の高い合金を更に得ることができる。
【0096】
次いで粉末へと粉末化される合金インゴットを形成する選択肢として、合金インゴットは、任意の体積、又は直径、又は形状を有するか、又は任意の体積、又は直径、又は形状とすることができる。電子ビーム処理又は溶融に使用される他の装置は、約1×10-3 Torr~約1×10-6 Torrの真空下、20000ボルト~28000ボルト及び15アンペア~40アンペアを用いて、1時間当たり、約300lbs.~約800 lbs.の溶融速度で行うことができる。溶融速度は、約1×10-4 Torr~1×10-5 Torrの真空下、24000ボルト~26000ボルト及び17アンペア~36アンペアを用いて、1時間当たり、約400lbs.~約600 lbs.であることがより好ましい。VAR処理に関して、溶融速度は、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、25ボルト~45ボルト及び12000アンペア~22000アンペアを用いて、1時間当たり、500 lbs.~2000 lbs.であることが好ましく、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、30ボルト~60ボルト及び16000アンペア~18000アンペアで、1時間当たり、800lbs.~1200 lbs.であることがより好ましい。
【0097】
合金インゴットは、少なくとも4インチ、又は少なくとも8インチの直径を有することができ、又は少なくとも9.5インチ、少なくとも11インチ、少なくとも12インチ以上の直径を有することができる。例えば、合金インゴットは、約5インチ~約20インチ、又は約9.5インチ~約13インチ、又は10インチ~15インチ、又は9.5インチ~15インチ、又は11インチ~15インチの直径を有することができる。インゴットの高さ、すなわち、長さは、少なくとも5インチ、又は少なくとも10インチ、又は少なくとも20インチ、少なくとも30インチ、少なくとも40インチ、少なくとも45インチ等の任意の大きさとすることができる。例えば、インゴットの長さ、すなわち、高さは、約20インチ~約120インチ、又は約30インチ~約45インチとすることができる。インゴットは、円筒形状を有することができるが、他の形状も使用することができる。インゴットの形成後、従来技術を用いて、インゴットを任意で機械洗浄することができる。例えば、(表面の)機械洗浄によって、インゴットの直径を減少することができ、例えば、約1%~約10%の直径減少が達成される。具体例としては、インゴットは、12インチの鋳放し呼び径を有することができ、機械洗浄により、機械洗浄後には10.75インチ~11.75インチの直径を有することができる。
【0098】
本発明の合金を作製する他のプロセスは、チタン含有固体及びタンタル含有固体を液体の状態にすることを含む。このプロセスにおいては、チタン含有固体を別個で液体にし、タンタル含有固体も別個で液体の状態にすることができる。次いで、2つの液体の状態を共に組み合わせることができる。代替的には、チタン含有固体及びタンタル含有固体を共に固体として添加し、次いで、引き続き液体又は気体の状態にすることができる。
【0099】
チタン含有固体及びタンタル含有固体を、溶融等によって液体の状態にした後、次いで、2つの液体を共に混合して、液体ブレンドを形成した後に固体合金へと成形する。上述のプロセスと同様、プロセスの際に、追加の成分、添加剤、及び/又はドーパントを添加することができる。
【0100】
本発明の合金インゴットは、通常、純粋な又は実質的に純粋な金属タンタルにおいて典型的に見られる粒径を含む任意の粒径を有することができる。合金は、1800℃で30分加熱した場合に、好ましくは約50ミクロン~約210ミクロン、より好ましくは約60ミクロン~約125ミクロンの粒径を有する。また、合金は、1530℃で2時間加熱した場合に、好ましくは約19ミクロン~約27ミクロンの粒径を有することができる。
【0101】
出発Ta-Ti合金を作製する他の方法は、火炎合成プロセスを含み得る。より詳細には、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす米国特許第7,442,227号及び米国特許第5,498,446号に記載されたプロセスと類似の火炎粒子形成プロセスを使用することができる。より具体的には、アルカリ金属供給物、好ましくはナトリウム供給物を、火炎反応器に注入し、チタンを含有するハロゲン化物及びタンタルを含有するハロゲン化物の別個の供給物も同様に、単数又は複数の供給物として火炎反応器に導入する。Tiを含有するハロゲン化物はTiCl4とすることができ、Taを含有するハロゲン化物はTaCl5とすることができる。次いで、これら3つの供給物を、火炎反応器に導入する(例えば、注入する)。ハロゲン化チタン及びハロゲン化タンタルを含有する供給物は、火炎反応器に入れる前に組み合わせてもよく、又は別々に火炎反応器に導入してもよい。供給物の導入は、通常、アルゴン等の不活性ガス環境下で行うことができる。火炎反応器では、種々の供給物を、任意で、蒸気に変換してもよく、又は供給物を蒸気として反応器に供給してもよい。ハロゲン化チタン及びハロゲン化タンタルは、典型的には、塩化ナトリウム等のハロゲン化物の存在下で、アルカリ金属と反応してTa-Ti合金粉末を形成する。一次粒子を核形成及び核成長させ、最終的にこれらの粒子の強凝集体(aggregates)を形成することができ、この凝集体は、塩化ナトリウム等の塩によって被覆して、最終的に、塩、例えば塩化ナトリウムによってTa-Ti合金粉末が被覆されるように、固化させることができる。次いで、過剰なナトリウムを様々な技法で除去し、塩化ナトリウム等の塩でコーティングされたTa-Ti合金粒子を、通常、粒子捕集器又はフィルターを介して収集する。この収集は、不活性ガス環境下又はその他の非反応性環境下で行うことができる。任意で、不活性ガス環境中又は真空環境中での更なる熱処理を用いることができ、これにより、一次粒径を大きくすることができる。最終的に、塩化ナトリウムを除去(例えば、洗浄、又は溶解、又は昇華)することができ、Ta-Ti合金粉末が回収される。整流器を使用して、供給物を適当な方向及び配列に維持することができ、好ましくは、反応物質は不活性環境でシースされる(sheathed)。
【0102】
Ta-Ti合金インゴットを形成した後、このインゴットを粉末又は粒子状に粉末化することができ、その結果、この粉末を処理(例えば、プラズマ処理)して、本発明の球状Ta-Ti粉末を形成することができる。
【0103】
代替的には、Ta-Ti合金インゴットを形成した後、このインゴットを線材に成形又は延伸することができ、その結果、この線材を処理(例えば、プラズマ処理)して、本発明の球状Ta-Ti粉末を形成することができる。例えば、インゴットは、バーに分割又は成形することができ、次いで、バーを、例えば9 mm×9 mmに圧延して、例えば1300℃又は徐冷温度で1時間又は2時間以上徐冷することができる。次いで、様々な金型を通して引き続きバーを延伸し、出発Ta-Ti合金線に対して、所望の直径、例えば0.25 mm、又は他の直径を得ることができる。インゴット、又はプレート、又はバーから線材を形成する他の従来の技法を利用してもよい。
【0104】
インゴットを脆くし、次いで、インゴットを破砕するか、又はインゴットに、ミリング、ジョークラッシャー破砕、ロールクラッシャー破砕、クロスビート等の1種以上の粒子粉末化工程を行うことによって、合金インゴットを粉末へと粉末化することができる。インゴットを脆くするために、インゴットを、水素雰囲気の炉内へと投入する等により、水素化することができる。例えば、+1 psi~+5 psi以上の水素陽圧を維持しつつ、合金インゴットを容器内で加熱して、次いで、室温に冷却することができる。この破砕又は粒子粉末化工程(複数の場合もある)により、角状粉末を形成することができる。
【0105】
水素化及び粉末への粉末化後、この粉末に対して、任意で、スクリーニングを行い、より所望の粒度分布を得ることができる。振動スクリーナー又は超音波スクリーナーを使用することができる。スクリーニングによって達成される所望の粒度分布は、5ミクロン~300ミクロン、例えば、5ミクロン~15ミクロン、15ミクロン~45ミクロン、又は45ミクロン~150ミクロンである。
【0106】
任意のスクリーニング工程の前又は後に、粉末又はスクリーニング後の粉末に対して、脱水素化工程を行うことができる。例えば、真空炉内で、例えば1100℃で30分間加熱することによって、粉末から水素を除去することができる。
【0107】
脱水素化工程後、粉末に対して、1つ以上の脱酸素化工程を行うことができる。脱酸素化は、適当な還元剤、例えば、C、CO、Mg、Ca、H、Li、Na、及び/又はKを使用して達成することができる。例えば、マグネシウム脱酸素化を用いることができる。一例として、マグネシウム脱酸素化工程において、合金粉末の全重量に対して約4重量%~約6重量%のマグネシウムを使用することができ、このマグネシウム脱酸素化工程を行う温度は、約700℃~約1600℃、例えば、約750℃~約950℃、又は約750℃~約800℃の温度とすることができる。マグネシウム脱酸素化は、アルゴン等の不活性雰囲気中で達成することができる。また、マグネシウム脱酸素化は、通常、合金粉末における酸素の少なくともかなりの部分を除去するのに十分な時間及び十分な温度で行う。例えば、マグネシウム脱酸素化の時間の長さは、約20分~約3時間、例えば、約45分~約60分とすることができる。このマグネシウム脱酸素化工程においては、使用するマグネシウムは、通常、蒸発して、例えばMgO2として、例えば炉内の冷壁上に析出する。残存する任意のマグネシウムは、希硝酸及びフッ化水素酸の溶液による酸浸出等の任意のプロセスによって除去するか、又は実質的に除去することができる。
【0108】
破砕は、インパクトミル、エアミル、ローラーミル等の工業的に許容された方法、又は他の方法によって達成することができる。
【0109】
出発合金粉末(例えば、出発角状合金粉末)は、任意で、プラズマ処理に導入する前に水素化しなくてもよいし、又は水素化してもよい。
【0110】
プラズマ熱処理に関して、これは、プラズマ処理(plasma treatment)又はプラズマプロセシング(plasmaprocessing)としても知られていることがある。本発明において、RFプラズマ処理又は誘導プラズマ処理を使用することができる。例えば、カナダのケベック州、シャーブルックにあるTekna社のPL-35LS、又はPL-50、又はTEK-15、又は他のモデル等のRF熱プラズマシステム又は誘導プラズマ反応器を使用することができる。プラズマ用の中心ガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又はヘリウム等の他のガス等とすることができる。中心ガスの供給速度は、約10 L/min~約100 L/min、又は約15 L/min~約60 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。プラズマ用のシースガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。シースガスの供給速度は、約10 L/min~約120 L/min、又は約10 L/min~約100 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発合金粉末用のキャリアガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物(例えば、水素を添加してプラズマ強度を高めることができる)、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。キャリアガスの供給速度は、約1 L/min~約15 L/min、又は約2 L/min~約10 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発合金粉末(又は合金線)をプラズマトーチ領域へと供給する速度は、任意の流速とすることができ、例えば、約1 g/min~約120 g/minの合金粉末、又は約5 g/min~約80 g/minの出発合金粉末(又は合金線)である。一般的に、出発合金粉末(又は合金線)の供給速度が小さい程、出発合金粉末(又は合金線)を、より均一で、より完全に球状化する処理が確保される。プラズマトーチ領域を出た後、1つ以上の冷却口を介する等して、冷却ガスを任意で使用することができる。冷却ガスは、ヘリウム又はアルゴン等の任意の好適な非反応性ガスとすることができる。冷却ガスを使用する場合は、様々な流速で供給することができる。例えば、冷却ガスの流速は、約25 L/min~300 L/min、又は約50 L/min~約200 L/min、又は他の大きさとすることができる。冷却ガスを使用する代わりに、又は冷却ガスを使用することに加えて、重力及び/又は水冷冷却ジャケットを任意で使用することができる。米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載の設計を使用することができる。粉末を冷却した後、又は粉末を冷却し始めた後、不動態ガスを任意で使用することができる。不動態ガスは、酸素、空気、又は空気と酸素との組合せとすることができる。不動態ガスの流速は、約0.1 L/min~約1 L/minの流速、又は他の大きさ等の任意の流速とすることができる。プラズマトーチのチャンバー圧は、約0.05 MPa~約0.15 MPa等の任意の好適な圧力とすることができる。陽極電圧は、約5 kV~約7.5 kVとすることができる。RFプラズマシステムの周波数は、3 MHz、又は他の値とすることができる。陽極電流は、約2.5 A~約4.5 Aとすることができる。電力は、約15 kW~約35 kWとすることができる。プラズマトーチから供給ノズル又はプローブ位置までの距離は、調節又は変化させることができる。この距離は、0 cm、又は約0 cm、又は約0 cm~約8 cmとすることができる。距離が大きくなる程、出発粉末の表面蒸発が少なくなる。よって、出発合金粉末が非常に不規則な形状で、2超又は3超のアスペクト比を有する場合は、供給ノズルの距離を0 cmに近づけるという選択肢がある。出発合金粉末が約1.3~2のアスペクト比を有する等、より規則的な形状である場合は、供給ノズルの距離を、任意でプラズマトーチからより離すことができる。また、より不規則な形状の出発合金粉末を扱うために、より高いプラズマ粉末設定を使用することもできる。
【0111】
プラズマ処理した粉末を、任意で、回収すること、例えば、アルゴンのような不活性ガス等の保護雰囲気下で回収することができる。回収した粉末は、水槽を使用する等して、不動態化することができる。回収した粉末は、水槽に導入する(例えば、水槽に沈める)ことができる。
【0112】
合金球の合金表面上に堆積したナノ材料等の小さな粒子を除去(例えば、球上の付随物及び他の遊離材料を除去)するために、収集した粉末に対して、任意で、超音波処理法若しくは他の粉末振動法を行うか、又は粉末に対して、溶液のpH及び/又は等電点の調節を行うことができる。その得られる回収した合金球は、例えばアルゴンのような不活性ガス等の保護ガス下で、任意で乾燥することができる。この乾燥は、任意の温度、例えば、50℃~100℃の温度で、10分~24時間、又は1時間~5時間等行うことができる。回収した粉末は、更なる使用のために、アルミニウムで裏打ちした帯電防止バッグ等の密封バッグ、又はステンレス鋼UN容器、又はHDPEプラスチック帯電防止密封容器、又は他の好適な金属粉末貯蔵容器に入れることができる。
【0113】
本発明で使用するプラズマ処理によって、出発合金粉末(その形態を使用する場合)の粒度分布及び/又は他の形態を作り出す努力を、プラズマプロセスを出る完成合金粉末まで遂行することができる。他の方法によると、鋭端を除去するか、及び/又は表面粗さを除去するか、及び/又は出発合金粉末を球状にするか、若しくはより球状にすることを除いては、粒子のサイズを実質的に維持することができる。よって、出発合金粉末をプラズマ処理へと導入することに先立ち、望ましい粒度分布及び/又は他の粒子特性を達成する1以上の工程を、出発合金粉末に対して行うことができる。例えば、出発合金粉末の粒度分布は、そのD10及び/又はD90が、その出発合金粉末のD50の50%以内、又は40%以内、又は30%以内、又は25%以内、又は20%以内、又は15%以内、又は10%以内、又は5%以内になるようなものとすることができる。
【0114】
プラズマ処理に導入する前の出発合金粉末に、1以上の篩分け工程又は他の粒子スクリーニング工程を行って、例えば、上述の粒度分布を得たり、又は他の篩分をカットしたりすることができる。他の篩分のカットとしては、例えば、200以下のメッシュカット、225以下のメッシュカット、250以下のメッシュカット、275以下のメッシュカット、300以下のメッシュカット等(メッシュはUSメッシュサイズである)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0115】
プラズマ処理前の出発合金粉末は、以下の粒径範囲の1つを有することができる:平均粒径を、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0116】
合金粉末を作製するプロセスにおいて、出発合金粉末(その形態を使用する場合)は、第1の粒度分布を有することができ、得られた(すなわち、完成した)合金粉末(例えば、プラズマ処理後)は、第2の粒度分布を有することができる。第1の粒度分布と、第2の粒度分布とは、互いに15%以内、互いに10%以内、又は互いに5%以内、又は互いに2.5%以内、又は互いに1%以内である。
【0117】
合金粉末又は合金線から酸素を除去するために、プラズマ処理に導入する前の出発合金粉末又は合金線に対して、1つ以上の脱酸素化処理を行うことができる。
【0118】
合金粉末又は合金線から不純物を除去するために、プラズマ処理に導入する前の出発合金粉末又は合金線に対して、1つ以上の酸浸出処理を行うことができる。
【0119】
プラズマ処理前の出発合金粉末を、分級又は篩分けして、様々なサイズを除去、例えば、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、又は5ミクロン未満の粒子を除去することができる。
【0120】
プラズマ処理を出た後は、プラズマ処理済合金粉末に対して、1以上の後処理工程を行うことができる。
【0121】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済合金粉末を1つ以上の篩に通して、或る特定のサイズのプラズマ処理済合金粉末を除去することができる。
【0122】
例えば、1つの後処理工程として、超音波処理又は他の振動技術を用いて、合金球から不完全なものを除去することができる。例えば、プラズマ処理で得た合金球を、水槽に入れて、超音波処理し、合金球上のナノ材料を除去し、次いで、合金球を回収することができる。
【0123】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済合金球に対して、任意で、少なくとも1つの脱酸素化工程、すなわち、「deox」工程を行うことができる。脱酸素化は、プラズマ処理済合金を、少なくとも1種の酸素ゲッターの存在下で、約500℃~約1000℃以上の温度にすることを含み得る。例えば、酸素ゲッターは、マグネシウム金属又はマグネシウム化合物とすることができる。マグネシウム金属は、板状、ペレット状、又は粉末状とすることができる。他の酸素ゲッター材料を使用することもできる。
【0124】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済合金に対して、任意で、1以上の熱処理工程又は徐冷工程を行うことができる。プラズマ処理済合金の熱処理工程に関して、この熱処理は、真空下又は不活性温度下で、従来の炉内で行うことができる。熱処理温度は、通常、少なくとも800℃、又は少なくとも1000℃、又は約800℃~約1450℃、又は約1000℃~約1450℃等である。任意の熱処理時間を用いることができるが、その例としては、少なくとも10分、少なくとも30分、約10分~約2時間以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。任意で、熱処理を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。熱処理を用いる場合には、熱処理後に、プラズマ処理済合金は、熱処理前に達成したホールフローレートを維持するか、又は該ホールフローレートの20%以内、又は10%以内、又は5%以内とすることができる。
【0125】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済合金に対して、従来技術又は他の好適な方法を用いる等して、酸浸出を行うことができる。米国特許第6,312,642号及び米国特許第5,993,513号に記載の様々なプロセスは、例えば、本明細書において使用することができ、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。酸浸出は、主な酸として、強鉱酸、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等を含む酸水溶液を用いて行うことができる。また、フッ酸(例えば、HF)を少量(例えば、酸の全重量に対して、10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満)で使用することができる。鉱酸濃度(例えば、HNO3濃度)は、酸溶液中、約20重量%~約75重量%の範囲とすることができる。酸浸出は、例えば、米国特許第6,312,642号に示されるような酸組成物及び技術を用いて、昇温下(室温超~約100℃)又は室温下で行うことができる。酸浸出工程は、典型的に、標準大気条件下(例えば、約760 mmHg)で行われる。上述のような従来の酸組成物及び圧力条件を使用して行う酸浸出工程により、これらの条件に合わせて、脱酸素化粉末から可溶性金属酸化物を除去することができる。
【0126】
プラズマ処理済合金粉末を、任意で窒素ドープすることができる。窒素に関して、該窒素は、気体、液体、又は固体等の任意の状態であってもよい。本発明の粉末は、ドーパントとして存在するか、又は他の形態で存在する窒素を任意の量で有することができる。窒素は、結晶形態及び/又は固溶体形態で、任意の割合で存在することができる。窒素ドープレベルは、5 ppm~5000 ppm以上とすることができる。
【0127】
本発明のプラズマ処理済合金粉末は、多くの方法において使用することができる。例えば、プラズマ処理済合金は、3D印刷とも呼ばれる積層造形法又は積層造形プロセスに使用して、物品、又は物品の部品を形成することができる。本発明のプラズマ処理済合金粉末は、金属粉末を使用できるプロセス又は装置において使用することができる。本発明のプラズマ処理済粉末によって、積層造形の実施が容易となる。それに加えて、又はそれに替えて、本発明のプラズマ処理済粉末によって、積層造形装置に対する粉末の供給が改良され、及び/又は、印刷装置にプログラムされた設計によって、より精密な物品が得られる。
【0128】
本発明のプラズマ処理済合金粉末を利用することができる積層造形プロセスとしては、レーザー粉末床溶融、電子ビーム粉末床溶融、指向性エネルギー堆積、粉末若しくはワイヤーを介したレーザークラッディング、材料噴射、シート積層、又は液槽光重合が挙げられる。追加的に、これらの合金粉末は、金属射出成形(MIM)において使用することができる。
【0129】
これらの積層造形プロセスには、レーザー金属溶融、レーザー焼結、金属レーザー溶融、又は直接金属印刷、又は直接金属レーザー焼結と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、高出力のレーザービームを粉末床上に走査して、レーザービームの経路において粉末を必要な形状に焼結する。各層後、粉末床を短い距離だけ降下させ、新しい粉末層を適用する。プロセス全体を、不活性(例えば、アルゴン)又は活性の制御ガス雰囲気を有する密閉チャンバーで行い、材料/製品の性質を微調整する。
【0130】
上記の積層造形プロセスには、レーザー金属蒸着(LMD)又はニアネットシェイプと呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、ロボット又はガントリーシステムに接続した高出力のレーザービームを使用して、粉末又は金属ワイヤーを供給する溶融プールを金属基板上に形成する。LMDにおいては、粉末はキャリアガスに含有されており、レーザービームと同心のノズルを介して基板に向けられる。代替的には、ワイヤーを側面から供給してもよい。粉末又はワイヤーを溶融して溶融池を形成し、この溶融池が基板に接着し、層ごとに成長する。レーザービームと同心の追加のガスジェットによって、更なるシールド又はプロセスガス保護を提供することができる。
【0131】
上記の積層造形プロセスには、金属粉末を溶融して、層ごとに3D形状を形成するガスメタルアーク溶接技術及びプラズマ溶接技術と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、アーク中、電極溶融物として金属粉末又はワイヤーを添加し、その液滴が基板上に層を成す。積層造形において使用する大部分の材料の熱感度を考慮すると、制御短絡金属移行等の低入熱のプロセスが好ましい。シールドガスによって、周囲空気から層を保護する。
【0132】
プラズマ積層造形は、レーザー金属蒸着と類似しており、粉末又はワイヤーをガス流において基板へと誘導し、プラズマ加熱により溶融させる。
【0133】
上記の積層造形プロセスには、溶射と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、溶融加熱した粉末粒子又は液滴を、ガス流において基板へと加速させ、運動エネルギー及び熱によって局所的な接着を確保する。積層造形において使用する場合、溶射を層ごとに適用し、幾何学的な複雑さのない部品、例えば、チューブ又はレデューサー(reducers)を構築する。プロセスガスは、周囲雰囲気ガスから熱い材料を保護し、材料の性質を微調整するのに役立つ。
【0134】
上記の積層造形プロセスには、電子ビーム溶融、又は真空中で電子ビームを使用した粉末床溶融プロセスと呼ばれるものがある。このプロセスは、レーザー焼結と類似している。
【0135】
物品を形成するのに使用する積層造形装置又はプロセスは、以下の設定の1つ以上を有することができる:100 W~約400 W、又は100 W~約200 W、155 W~約200 Wのレーザー出力;約100 mm/s~約500 mm/s、例えば、約300 mm/s~約400 mm/sの走査速度;約20ミクロン~約150ミクロン、例えば、約80ミクロン~約120ミクロンのハッチ間隔;約10ミクロン~約50ミクロン、例えば、約30ミクロン~約40ミクロンの層厚さ;及び/又は、約3 J/mm2~約20 J/mm2、例えば、約4 J/mm2~約6 J/mm2のエネルギー密度。場合により、熱入力を低減する、及び/又は、熱応力を最小限にする、及び/又は、部品変形を最小限にするために、最大レーザー設定よりも低いものを利用してもよい。
【0136】
積層造形プロセスにおいて、形成する物品は、中実構造、又は連続気泡若しくはメッシュ構造を有することができる。連続気泡又はメッシュ構造の形成は、重量又は密度においてより軽量な物品を作製するのに特に有用となる可能性があり、及び/又は所望の目的に対する物品の有用性を損なうことなく、所望のヤング率及び/又は他の所望の特性を得るのに有用となる可能性がある。メッシュ又は連続気泡構造は、不均一であってもよく、勾配を有していてもよく、又は均一であってもよい。メッシュ又は連続気泡構造は、任意で、実際の骨の骨密度を模倣又はシミュレーションするように印刷することができる。
【0137】
積層造形プロセスにおいては、コンピュータシミュレーションプログラムを使用した複合物理領域モデリングを使用することができる。このような積層印刷のコンピュータシミュレーションを用いると、所望のデザイン(例えば、メッシュ又は連続気泡構造)を作り出し、最適化することができる。積層(3D)プリンターで利用可能なこのようなプログラムしては、MaterialiseMagics及びAutodeskが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の類似のシミュレーションプログラムを使用して、積層印刷において所望の構造及び特性を作り出すことができる。
【0138】
積層造形においては、タンタル又はTa-Ti又はTiベースプレートを利用することが好ましいが、ステンレス鋼又はステンレス鋼合金等の他のベースプレートを使用することもできる。タンタル又はTa-Ti又はTiベースプレートによって、部品とベースプレートとの熱膨張係数(CTE)の差及び/又は熱伝導率の差を最小限にすることができる。その効果により、部品における残留熱応力を最小限にすることができ、及び/又は、プレートから部品が浮き上がるのを防ぐことができる。
【0139】
本発明の合金粉末を用いて、積層造形プロセスを利用することにより、本発明の合金粉末から形成された物品が望ましい引張特性を達成できることが発見された。物品を、約800℃~約2000℃の温度等で(例えば、10分~10時間、又は30分~3時間、又は1時間~2時間)徐冷すると、これらの特性の1つ以上を高めることができる。
【0140】
本発明によると、積層造形によって形成した物品は、ヒトの骨等の動物の骨に対して、25%以内、又は10%以内、又は5%以内、又は1%以内のヤング率(ASTM-E111-17により測定)を有することができる。例えば、物品のヤング率は、10 GPa~60 GPa、又は15 GPa~50GPa、又は20 GPa~40 GPaとすることができる。測定は、超音波的に及び/又は機械的に行うことができるか、又は測定することができる。機械的測定で読み取るヤング率は、通常、超音波測定よりも10%~30%低くなり得る。
【0141】
積層造形(AM)物体又は物品の形成において、本発明により以下の性質の1つ以上を達成することができる。最大引張強度(UTS)は、同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%又は少なくとも100%大きいものとすることができる。UTSは、50 KSI超、70 KSI超、80 KSI超、又は90 KSI超、例えば、約50 KSI~約100 KSIとすることができる。降伏応力は、同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%又は少なくとも100%大きいものとすることができる。降伏応力は、35 KSI超、40 KSI超、50KSI超、又は80 KSI超、例えば、約35 KSI~約90 KSIとすることができる。本発明の徐冷済積層造形合金物品は、降伏応力を向上することができる。本発明の徐冷済積層造形合金物品は、UTSを損なうことなく、降伏応力を向上することができる。伸びは、約1%~約50%、例えば、約3%~40%、又は5%~35%とすることができる。本発明の徐冷済積層造形合金物品は、伸びを向上することができる。本発明によって、許容可能及び/又は良好なUTS、降伏応力、及び伸びのバランスが可能となる。
【0142】
本発明によると、積層造形によって形成した物品は、加工したTaに対して、10%以内若しくは50%以内、又は加工したTiに対して、90%以内若しくは50%以内の高サイクル疲労HCF(ASTM-E466により測定)を有することができる。例えば、物品の疲労強度は、1 MPa~600 MPaとすることができる。
【0143】
積層造形において利用されるプラズマ処理済合金粉末によって、様々な物品が可能となり、その物品の品質及び精度は優れたものとなり得る。例えば、物品は、整形外科用インプラント、又は他の医療用インプラント、又は歯科用インプラントとすることができる。整形外科用インプラントは、手、足首、肩、臀部、膝、骨、関節全再建(関節形成)、頭部顔面再建、又は脊椎、又は人間の体若しくは動物の体の他の部分の代わりになるものとすることができる。歯科用インプラントは、顔面再建のためのものとすることができ、顔面再建には、下顎又は上顎が含まれるが、これらに限定されるものではない。医療用インプラント又は歯科用インプラントは、ヒト、及び、イヌ又はネコ等の他の動物において、有用である。
【0144】
物品は、物理蒸着プロセスにおいて使用されるコイルセットのボス等のボスとすることができる。ボスは、連続気泡構造と、中実構造とを含むことができる。
【0145】
物品は、金属蒸着プロセスにおいて使用する、スパッタリングターゲット、又はその部分、又はスパッタリングターゲット等を保持するのに使用する構造体等の任意の物品とすることができる。例えば、物品は、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品とすることができる。
【0146】
選択肢として、プラズマ処理済合金を更に処理して、コンデンサ電極(例えば、コンデンサ陽極)を形成することができる。これは、例えば、プラズマ処理済粉末を圧縮してプレス体を形成し、プレス体を焼結して多孔質体を形成し、多孔質体を陽極酸化することによって行うことができる。粉末のプレスは、任意の常法、例えば、粉末を金型に入れ、この粉末をプレスの使用により圧縮することによって、例えば、プレス体、すなわち、圧粉体を形成することによって、達成することができる。様々なプレス密度を用いることができ、プレス密度としては、約1.0 g/cm3~約7.5 g/cm3が挙げられるが、これに限定されるものではない。粉末は、任意の常法によって、焼結、陽極酸化、及び/又は電解質を含浸することができる。例えば、米国特許第6,870,727号、米国特許第6,849,292号、米国特許第6,813,140号、米国特許第6,699,767号、米国特許第6,643,121号、米国特許第4,945,452号、米国特許第6,896,782号、米国特許第6,804,109号、米国特許第5,837,121号、米国特許第5,935,408号、米国特許第6,072,694号、米国特許第6,136,176号、米国特許第6,162,345号、及び米国特許第6,191,013号に記載の焼結技術、陽極酸化技術、及び含浸技術を本明細書において使用することができる。これらの特許は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。焼結陽極ペレットは、例えば、粉末に対して上記したのと同様のプロセスで脱酸素化することができる。
【0147】
以下、出発合金粉末、プラズマ処理済合金粉末、合金粉末から形成される構成要素の更なる詳細を説明する。この更なる詳細は、本発明の選択的な態様を更に成す。
【0148】
本発明の方法によると、以下を有することができる合金粉末を作製することができる:
a)約4.5 g/cc~約11 g/ccの見掛け密度、
b)約5ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約50ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約100ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.05 m2/g~約20 m2/gのBET表面積。
合金粉末は、以下の性質の少なくとも1つを有することができる:
a)約6 g/cc~約10 g/ccの見掛け密度、
b)約12ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約40ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約70ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.1 m2/g~約15 m2/gのBET表面積。
【0149】
本発明の目的のために、これらの性質の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は5つ全ての性質が存在することができる。
【0150】
本発明の少なくとも1つの実施形態においては、プラズマ処理済合金粉末(又は出発合金粉末)、又は本発明の合金粉末によって形成した任意の物品は、以下の特性を有することができるが、この粉末又は物品はこれらの範囲外の特性を有することもできると理解される:
純度レベル:
酸素含量は、約20 ppm~約60000 ppm、又は約100 ppm~約60000 ppm、例えば、約20 ppm~約1000 ppm、又は約40ppm~約500 ppm、又は約50 ppm~約200 ppm、又は約250 ppm~約50000ppm、又は約500 ppm~約30000 ppm、又は約1000 ppm~約20000 ppmである。BET(m2/g)に対する酸素(ppm)の割合は、約2000~約4000、例えば、約2200~約3800、約2400~約3600、約2600~約3400、又は約2800~約3200等とすることができる。
炭素含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約10 ppm~約50 ppm、又は約20ppm~約30 ppmである。
窒素含量は、約5 ppm~約20000 ppm、又は約100ppm~約20000 ppm以上であり、より好ましくは約1000ppm~約5000 ppm、又は約3000 ppm~約4000 ppm、又は約3000 ppm~約3500 ppmである。
水素含量は、約1 ppm~約1000 ppm、約10ppm~約1000 ppmであり、より好ましくは約300ppm~約750 ppm、又は約400 ppm~約600 ppmである。
鉄含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約20 ppmである。
ニッケル含量は、約1 ppm~約150 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約100 ppm、又は約25ppm~約75 ppmである。
クロム含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約5ppm~約20 ppmである。
ナトリウム含量は、約0.1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約0.5 ppm~約5 ppmである。
カリウム含量は、約0.1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約30ppm~約50 ppmである。
マグネシウム含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約25 ppmである。
リン(P)含量は、約1 ppm~約500ppm、又は約5 ppm~約500 ppmであり、より好ましくは約100 ppm~約300 ppmである。
フッ化物(F)含量は、約1 ppm~約500ppmであり、より好ましくは約25 ppm~約300 ppm、又は約50 ppm~約300 ppm、又は約100ppm~約300 ppmである。
【0151】
プラズマ処理済粉末(又は出発合金粉末)(一次、二次、又は三次)は、米国メッシュサイズに基づき、以下のような(全体の%に対する)粒度分布を有することができる:
+60#が、約0.0%~約1%、好ましくは約0.0%~約0.5%、より好ましくは0.0%又は約0.0%である。
60/170が、約45%~約70%、好ましくは約55%~約65%、又は約60%~約65%である。
170/325が、約20%~約50%、好ましくは約25%~約40%、又は約30%~約35%である。
325/400が、約1.0%~約10%、好ましくは約2.5%~約7.5%、例えば、約4%~約6%である。
-400が、約0.1%~約2.0%、好ましくは約0.5%~約1.5%である。
【0152】
本発明のプラズマ処理済合金粉末は、約0.01 m2/g~約20 m2/g、より好ましくは約0.05 m2/g~約5 m2/g、例えば、約0.1 m2/g~約0.5 m2/gのBET表面積を有することができる。BET表面積は、Micromeritics社のTriStar II Plus 3030装置を用いて測定することにより求めることができる。
【0153】
原料又は出発合金粉末は、1ミクロン~約500ミクロン、又は10ミクロン~300ミクロン、又は15ミクロン~175ミクロン、又は20ミクロン~150ミクロン、又は25ミクロン~100ミクロン、又は30ミクロン~90ミクロン、又は他のサイズの範囲の平均粒径を有する一次粒子を含んでもよい。一次粒子の平均粒径及び粒度分布は、調製法に依存し得る。一次粒子は、一次粒子よりも粒径の大きな塊(clusters or agglomerates)を形成する傾向を有し得る。原料又は出発合金粉末粒子の形状としては、フレーク状、角状、団塊状、若しくは球状、及びこれらの任意の組合せ、又はこれらの変化形を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明を実施するのに使用する原料粉末は、タンタル金属及びチタン金属に関して、任意の純度を有することができるが、純度はより高い方が好ましい。例えば、原料又は出発粉末の(例えば、重量%による)合金純度は、95%以上、又は99%以上、例えば、約99.5%以上、より好ましくは99.95%以上、更に好ましくは99.99%以上、又は99.995%以上、又は99.999%以上とすることができる。ここで、%は、合金の全重量に対する、Ta-Ti合金の重量での純度である。
【0154】
本発明のプラズマ処理済合金粉末製造プロセスの一部として、プラズマ処理の前後の任意の段階で、空気等の酸素含有ガスを用いて、合金粉末を不動態化することができる。不動態化は、典型的には、処理の際、かつ、粉末を使用した焼結体形成の前に、粉末上に安定した酸化物膜を形成するために用いられる。そのため、本発明の粉末製造プロセスは、水素ドープ及び不動態化操作を含み得る。
【0155】
合金粉末の不動態化は、任意の好適な方法によるものとすることができる。不動態化は、任意の好適な容器、例えば、レトルト、炉、真空チャンバー、又は真空炉において達成することができる。不動態化は、熱処理、脱酸素化、窒化、脱油化(delubing)、造粒、ミリング、及び/又は焼結等の金属粉末の処理に使用した任意の設備において達成することができる。金属粉末の不動態化は、真空下で達成することができる。不動態化は、特定のガス圧まで、酸素含有ガスで容器を充填し戻すこと、及び特定の時間、容器内でガスを保持することを含み得る。粉末の不動態化に用いられるガスの酸素含量レベルは、1重量%~100重量%、又は1重量%~90重量%、又は1重量%~75重量%、又は1重量%~50重量%、又は1重量%~30重量%、又は20重量%~30重量%、又は空気若しくは大気と同じか、それ以上の酸素含量、又は他の含量レベルとすることができる。酸素を、窒素、アルゴン、若しくはこれらの組合せ等の不活性ガス、又は他の不活性ガスと組み合わせて使用することができる。不活性ガスは、不動態化プロセスの際に、合金と反応しない。窒素ガス及び/又はアルゴンガス等の不活性ガスは、酸素を除く不動態化ガスの残りの部分の全て又は本質的に全て(例えば、98%超)を構成し得ることが好ましい。空気を、不動態化ガスとして使用することができる。空気とは、大気又は乾燥空気を指し得る。乾燥空気の組成は、典型的には、窒素(約75.5重量%)、酸素(約23.2重量%)、アルゴン(約1.3重量%)、及び全量で約0.05%未満の残部である。乾燥空気における水素含量レベルは、約0.00005体積%である。
【0156】
米国特許第7,803,235号に開示された技術から、不動態化プロセスに採用し得る追加的な技術を適用することができる。該文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0157】
本発明を以下の実施例により更に明らかにするが、これは本発明を純粋に例示するものであることが意図される。
【実施例
【0158】
実施例1-理論例
この例では、球状Ta-Ti粉末を形成した。まず、基本ロット合金粉末を使用したが、これは0.1 m2/gのBET表面積を有していた。この基本ロットタンタル粉末(ナトリウム還元粉末)を、Tiスポンジから得た0.4 m2/gのBET表面積を有する市販のチタン粉末とブレンドした。タンタルとチタンとの配合量は、タンタル粉末が80重量%、チタン粉末が20重量%とした。次いで、ブレンド粉末混合物をプレスし、2500℃~3000℃の焼結温度で、3時間、圧粉体ログへと焼結した。圧粉体ログを、電子ビーム炉へと供給し、そこで、坩堝を用いて金属を溶融した。金型を通して溶融物を延伸し、これにより、溶融物が凝固し、合金インゴットを形成した。次いで、合金インゴットを、同じ電子ビームプロセスを用いて更に2回再溶融した。次いで、得られた合金インゴットを、水素雰囲気を有する高温炉を用いて水素化し、水素化後は室温まで冷却した。次いで、水素化したインゴットを(ジョークラッシャー、次いで、ロールクラッシャーを用いて)破砕し、-20 #の篩サイズにスクリーニングした。破砕後のインゴットを、10ミクロン~25ミクロン、又は15ミクロン~40ミクロン、又は45ミクロン~105ミクロンの所望のサイズカットにスクリーニングした。次いで、スクリーニング後の各ロット用の粉末を酸浸出した。次いで、各ロット用の粉末を、マグネシウムチップを用いて(700℃で2時間)脱酸素化し、酸素レベルを、全て1000 ppm未満の様々なレベルへと低減した。次いで、各ロットを、下記のように、別々にプラズマ処理した。なお、各ロットに対して、初期脱酸素化に加えて、球状化後に追加の脱酸素化(マグネシウムチップを用いて、700℃、2時間)を行って(脱酸素化を2回)、超低酸素不純物粉末を得た。
【0159】
次いで、出発角状合金粉末をその後プラズマ処理した。特に、合金粉末をフィーダーに導入することにより、該合金粉末を球状化した。フィーダーは、プラズマ球状化反応器(カナダのTekna社のTEKSPHERO15)へと粉末をエアロゾル散布するアルゴン供給機(5 LPM)を備えていた。粉末の供給速度は、フィーダーを調節することにより、0.75kg/hrに維持した。エアロゾル化した粉末を、プラズマ反応器のプラズマ熱源に導入した。プラズマ反応器は、同心管を用いる米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載された設計を使用した誘導プラズマトーチを備えていた。粉末を球状化するのに使用するプラズマエネルギーは、陽極電圧を6.5 V、陽極電流を2.3 A、及び格子電流を0.4 Aに設定した場合に、15 KWであった。キャリアガス流速を5 LPM、シースガス流速を30 LPM、中心ガス流速を10 LPM、及びノズルガス流速を1 LPMに設定して、アルゴンガス流を用いて反応器を不活性化した。水素ガスを(4 LPMの流速を用いて)添加することにより、プラズマ強度を高めた。運転条件を表1にまとめる。プラズマトーチに導入した基本ロット合金粉末は、少なくとも部分的に溶融し、次いで球状化した。合金液滴は、プラズマトーチから下流へと運ばれ、そこで、プラズマ反応器上の活性水冷ジャケットによって急冷した。この例では、冷却した球状合金粉末が、重力によって、プラズマ反応器の底部に落下し、球状粉末をアルゴンガスブランケット下で回収し、水槽内で不動態化した。水に入れてすぐ、スラリーを(150 W/gal.未満のエネルギーで)超音波処理して、球状粉末の表面に堆積している可能性のあるナノ材料を除去した。洗浄後の合金球を、次いで、アルゴン下、80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥粉末を、性質を試験するまで、Alで裏打ちした帯電防止バッグに充填した。
【0160】
【表1】
【0161】
製造した粉末は、SEMによって求めたアスペクト比が1.0~1.2の範囲の球状を有していた。粉末のホールフローレートは、50 gに対して7.5秒±2.0秒であり、見掛け密度は8g/cm3±2.0 g/cm3であった。動的光散乱によって測定した粉末のPSDは、D10が5ミクロン~15ミクロン、D50が10ミクロン~30ミクロン、D90が20ミクロン~50ミクロンであった。合金粉末の純度は、少なくとも99.95% Ta-Tiであり、全てのガス不純物は1000 ppm未満であった。
【0162】
実施例2-理論例
実施例1の合金粉末を、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスに用いた。具体的には、合金造形を、250 mm×250 mm×325 mmの造形容積、及び400 Wの最大レーザー出力で、EOS M290において行った。使用するベースプレートは、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼とした。
【0163】
この実験では、実施例1の球状化合金粉末は、レーザー粉末床溶融(L-PBF)印刷に十分であり、中実形態とメッシュ形態が交互になり、顕著な突出部を有しており、十分緻密な引張バー及び実証部品を製造した。具体的には、標準寸法(ASTM E8)に対して1 mm大きく引張バーを印刷し、このバーを、旋盤で最終寸法へと機械加工した。引張特性は、Instron社の4210引張試験機で測定した。引張バーの微細構造と硬度を分析した。微細構造の分析では、サンプルをエポキシに取り付け、ダイヤモンドソーで切断した。取り付けたサンプルを、研磨して酸でエッチングし、Unition社の金属顕微鏡Versamet 2で粒子の特性評価を行った。微小硬度を、AMH32ソフトウェアを備えたLECO社のLM700-AT試験機を用いて試験した。
【0164】
印刷パラメータ及びレーザーパラメータとしては、上述の好ましいパラメータを用いた。その結果、テスト造形物において、良好な突出部を有する99.5%超の密度が得られた。この実験では、多孔質キューブも幾つか印刷した。この実証部品では、連続気泡構造をうまく印刷する能力を有する高解像度(30 μm未満)の特徴部が示された。このメッシュ-中実構造は、積層造形される軽量の航空宇宙部品及び産業部品において必要とされることが多く、また、医療用インプラントにおいても骨性結合を向上させるのに必要とされる。
【0165】
純粋なチタン及び純粋なタンタルと比べて、本発明の引張バーは、Ta-Ti合金試験バーに対して10%~30%低い引張特性を示した。
【0166】
実施例3(部分実例-部分理論例)
(実例)TaとTiとの質量比が80:20である塩被覆(salt-encapsulated:塩で被覆された)合金粉末を、米国特許第7,442,227号に記載された火炎合成プロセスによって製造した。蒸気状の塩化チタン及び塩化タンタル(ハロゲン化物)を、TaCl5に対するTiCl4の質量比が0.67となるように、中央管を通してアルゴンと共に反応器に導入した。同心Ar流を、ハロゲン化物と過剰に供給した蒸気ナトリウム流との間に配置した。米国特許第7,442,227号に記載されるように、塩化ナトリウムの副生成物は、粒子の焼結挙動を阻止する凝縮性蒸気材料として作用した。この塩被覆金属合金粉末を収集し、脱イオン水で洗浄して、塩化ナトリウムのコーティングを除去した。希硝酸を使用して粒子の沈降を補助した。この洗浄プロセスにより、薄い酸化物不動態化層が粒子の表面上に導入され、これは、粒子を真空下で乾燥しても維持された。次いで、得られたTa-Ti合金粉末を、2.0 g/cm3の密度にプレスした。
【0167】
(理論例)脱水素化した粉末をプラズマ球状化すると、Na又はClはいずれも最終的な粒子に残存しないと考えられる。
【0168】
次いで、得られた合金粉末を、水素雰囲気を有する高温炉を用いて水素化し、水素化後は室温まで冷却した。次いで、水素化した粉末を(ジョークラッシャー、次いで、ロールクラッシャーを用いて)破砕し、-20 #の篩サイズにスクリーニングした。破砕後の粉末を、10ミクロン~25ミクロン、又は15ミクロン~40ミクロン、又は45ミクロン~105ミクロンの所望のサイズカットにスクリーニングした。次いで、スクリーニング後の各ロット用の粉末を酸浸出した。次いで、各ロット用の粉末を、マグネシウムチップを用いて(700℃で2時間)脱酸素化し、酸素レベルを、全て1000 ppm未満の様々なレベルへと低減した。次いで、各ロットを、実施例1と同様に、別々にプラズマ処理した。なお、各ロットに対して、初期脱酸素化に加えて、球状化後に追加の脱酸素化(マグネシウムチップを用いて、700℃、2時間)を行って(脱酸素化を2回)、超低酸素不純物粉末を得た。
【0169】
本発明は以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序及び/又は任意の組合せで包含する。
1.
a.20重量%~80重量%のタンタルと、20重量%~80重量%のチタンとを有し、
b.1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、
d.約4.5 g/cc~約11 g/ccの見掛け密度を有し、
e.6.5 g/cc~15.5 g/ccの真密度を有し、かつ、
f.30秒以下のホールフローレートを有する、タンタル-チタン合金粉末。
2. プラズマ熱処理されている、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
3. 500 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
4. 20 ppm~250 ppmの酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
5. 前記平均アスペクト比が1.0~1.1である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
6. 前記平均アスペクト比が1.0~1.05である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
7. 非ガス状元素が500 ppm未満で存在する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
8. 前記平均粒径が約0.5ミクロン~約10ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
9. 前記平均粒径が約5ミクロン~約25ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
10. 前記平均粒径が約15ミクロン~約45ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
11. 前記平均粒径が約45ミクロン~約75ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
12. 前記平均粒径が約55ミクロン~約150ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
13. 前記平均粒径が約105ミクロン~約250ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
14. 以下の性質のうち少なくとも1つを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径、
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径、又は、
c.100 ppm~1000 ppmの酸素含量。
15. 任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末を含む物品。
16. 整形外科用インプラント又はその部品である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
17. 前記整形外科用インプラントが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
18. 歯科用インプラントである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
19. 前記歯科用インプラントが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
20. 少なくとも1つの追加の金属元素を合金の一部として更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
21. ニッケル元素を含まない、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
22. ジルコニウム、ニオブ、タングステン、モリブデン、ハフニウム、レニウム、又はこれらの任意の組合せから選ばれる少なくとも1つの元素を合金の一部として更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末。
23. 物品を形成する方法であって、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の合金粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、物品を積層造形することを含む、方法。
24. 前記積層造形が、レーザー粉末床溶融を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
25. 前記積層造形が、電子ビーム粉末床溶融を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
26. 前記積層造形が、指向性エネルギー堆積を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
27. 前記積層造形が、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディングを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
28. 前記積層造形が、材料噴射を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
29. 前記積層造形が、シート積層を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
30. 前記積層造形が、液槽光重合を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
31. 任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル-チタン合金粉末を作製する方法であって、
a.不活性雰囲気中で、出発合金粉末又は合金線をプラズマ熱処理して、該出発合金粉末又は合金線の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済合金粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済合金粉末を冷却して、前記タンタル-チタン合金粉末を得ることと、
を含む、方法。
32. 前記出発合金粉末又は合金線が、インゴット誘導合金である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
33. 前記出発合金粉末が、i)出発タンタル粉末と出発チタン粉末とを共にブレンドして、粉末ブレンドを形成することと、ii)前記粉末ブレンドを溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを水素化して、水素化インゴットを形成することと、v)前記水素化インゴットを水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
34. 前記出発合金線が、i)出発タンタル粉末と出発チタン粉末とを共にブレンドして、粉末ブレンドを形成することと、ii)前記粉末ブレンドを溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを合金線へと延伸することと、v)任意で、前記合金線に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、vi)任意で、前記合金線に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
35. 前記出発合金粉末が、i)出発タンタルロッド又は出発タンタル板と、出発チタンロッド又は出発チタン板とを共に凝縮して、複合積層体を形成することと、ii)前記複合積層体を溶融して、液体を形成することと、iii)前記液体を合金インゴットへと凝固させることと、iv)前記合金インゴットを水素化して、水素化インゴットを形成することと、v)前記水素化インゴットを水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
36. 前記出発合金粉末が第1の粒度分布を有しており、前記タンタル-チタン合金粉末が第2の粒度分布を有しており、前記第1の粒度分布と前記第2の粒度分布とが、互いに10%以内である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
37. 前記出発合金粉末が、i)TaCl5蒸気と、TiCl4蒸気と、Na蒸気とを反応させて、Ta-Ti粉末を形成することと、ii)前記Ta-Ti粉末を成形体へと圧縮することと、iii)過剰なNaClを除去することと、iv)前記成形体を水素化して、水素化成形体を形成することと、v)前記水素化成形体を水素化合金粉末へと粉末化することと、vi)任意で、前記水素化合金粉末を或る粒径範囲にスクリーニングすることと、vii)前記水素化合金粉末に対して1つ以上の脱水素化工程を行って、合金粉末を形成することと、viii)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の脱酸素化処理を行うことと、ix)任意で、前記合金粉末に対して1つ以上の酸浸出工程を行うこととを含むプロセスによって得られる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
【0170】
本発明は文及び/又は段落に記載される上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せが本発明の一部であるとみなされ、組み合わせることができる特徴に関しては何ら限定を意図しない。
【0171】
出願人はこの開示における全ての引用文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と任意の範囲下限又は好ましい値との任意の対からなる全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定されることは意図されない。
【0172】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。