(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】マルチコプター型電気飛行機
(51)【国際特許分類】
B64D 27/26 20060101AFI20230216BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230216BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230216BHJP
B64C 1/18 20060101ALI20230216BHJP
B64C 1/20 20060101ALI20230216BHJP
B64C 11/00 20060101ALI20230216BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20230216BHJP
B64U 20/77 20230101ALI20230216BHJP
【FI】
B64D27/26
B64D27/24
B64C27/08
B64C1/18
B64C1/20
B64C11/00
B64U10/16
B64U20/77
(21)【出願番号】P 2022159224
(22)【出願日】2022-10-03
【審査請求日】2022-10-03
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596045410
【氏名又は名称】酒井 泰三郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 泰三郎
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-370696(JP,A)
【文献】特開2021-109449(JP,A)
【文献】特表2020-518515(JP,A)
【文献】特開2021-049960(JP,A)
【文献】中国実用新案第204956916(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-99/00
B64U 10/00-80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のU字型支柱および/または変形U字型支柱が円筒形機体または筒形機体を下から支えるように各U字型支柱および/または変形U字型支柱の底辺が前記円筒形機体または筒形機体と結合して、円筒形ベース機体または断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体を構成し、前記円筒形ベース機体または筒形ベース機体の左右両側に前記U字型支柱および/または変形U字型支柱が左右対称に突き出た機体構造のマルチコプター型電気飛行機において、前記の各U字型支柱および/または変形U字型支柱の先端近くで横臥材に相当する横方向の線状部材が前記各U字型支柱および/または変形U字型支柱と結合して、前記円筒形ベース機体または筒形ベース機体の胴体を底辺とした立体的骨組み枠の構造体を形成し、前記骨組み枠構造体の
横臥材と各支柱との結合点より上に在る支柱先端部に回転翼ならびにDCモーターを装着した機体の構造を特徴とするマルチコプター型電気飛行機。
【請求項2】
前記
の断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の上に
、同じく、断面が馬蹄形またはカマボコ型の客室キャビンを載せて
、断面の平面部が互いに結合されて一体化した機体
構造および機体形状とすることにより乗客が安全な飛行機であると認識しやすくなり、乗客に安心感を持って乗ってもらえることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機の旅客輸送機。
【請求項3】
前記
の断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の
平面上に
、航空貨物用コンテナを載せることで、輸送中に振動で傷みやすい商品を簡易な包装で空輸することが可能になることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機
の貨物輸送
機。
【請求項4】
DCモーターで駆動されるプロペラの推進器がマルチコプター型電気飛行機の前記機体の側面、即ち、前記機体の前頭部及び後尾部のそれぞれ左右両側に取り付けられて
おり、これら4個の前記プロペラの推進器の出力を電気的に制御することにより飛行中の機体を操縦することを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機。
【請求項5】
断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の上に、同じく、断面が馬蹄形またはカマボコ型の客室キャビンを載せて
、断面の平面部が互いに結合されて一体化した機体構造および機体形状とすることにより乗客が安全な飛行機であることを認識しやすくなり、50人以上の乗客を乗せて垂直離着陸が可能な大型旅客機を製作できることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気飛行機に関する。マルチコプターは特許第6156669号および特許第6764207号に記述されている電気飛行機であり、円筒形の機体両側に多数の回転翼を左右対称に配している。マルチコプター型電気飛行機は固定翼を有しない。回転翼のみで浮揚するので、マルチコプター型電気飛行機は垂直離着陸が出来る電気飛行機である。
【0002】
前記マルチコプター型電気飛行機はホバリングも可能であり、離陸および着陸する際に滑走路を必要としない。また、マルチコプター型電気飛行機は飛行中に機体を前傾姿勢にする必要はなく、機体を水平姿勢に保ったまま前進飛行が出来る特徴を持っている。それ故、本発明のマルチコプター型電気飛行機は離陸から水平飛行を経て着陸するまでの全飛行行程で機体が水平姿勢を維持しており、旅客機として利用すれば、乗客に安心感を与える安全性が高い飛行機であると言うことができる。
【0003】
そのため、本発明のマルチコプター型電気飛行機は旅客機や貨物輸送機として優れた機体構造の飛行機になる、と本発明者は考えている。何故なら、前記マルチコプター型電気飛行機は円筒形機体の内部空間が広いため、大出力の大型燃料電池または大容量の二次電池を搭載できるためである。そのため、前記マルチコプター型電気飛行機は航続距離の長い旅客機として使用することが出来る。
【0004】
特許第6156669号および特許第6764207号に記述されているマルチコプター電気飛行機では、円筒形機体に多数のU字型支柱が取り付けられており、機体を下から支えるように機体から上方向に伸びる支柱が左右対称に、機体底部から伸びている。前記U字型支柱の先端部に回転翼および駆動用DCモーターが設置されている機体構成である。
【0005】
特許第6156669号および特許第6764207号に記述されているマルチコプター電気飛行機は、考案の初期段階では、ドローンのような小型無人機の電気飛行機を目指していた。そのため、U字型支柱の先端部にDCモーターと回転翼を取り付けても、模型機のような小型無人機であったから機体を試作できたのである。
【0006】
他方で、前記マルチコプター型電気飛行機の直線状円筒形の機体は、機体を大型化するのに有利な特長を持つ。何故なら、直線状円筒形機体は炭素繊維/樹脂複合材シートを円筒形に丸めて成形することで大型の機体でも十分な強度と剛性を有しており、容易に製作できるためである。この円筒形機体の内部空間に電気飛行機の動力源として重要な大型の燃料電池またはリチウムイオン電池を格納することができる。
【0007】
しかしながら、大型のマルチコプター型電気飛行機では、U字型支柱支柱の先端部にDCモーターと回転翼を取り付けた機体構造では、支柱の強度不足が問題になる。この問題が解決されると、垂直離着陸できる大型のマルチコプター型電気飛行機は、実用的な旅客輸送機として実用化できる可能性がある。しかも、低コストで大量生産が可能になる。と本発明者は考えている。
【0008】
更に詳しく説明すると、本発明は、マルチコプターの円筒形機体から突き出しているU字型支柱の剛性および強度を改良することに在る。即ち、U字型支柱全体の強度を増し、前記U字型支柱を含む機体の剛性を高めることにより、大型のマルチコプター機体を空輸機として実用化できるように、特許第6156669号および特許第6764207号に記述されているマルチコプターを改良することが本願発明の目的である。
【0009】
特許第6156669号または特許第6764207号では、初期の段階で、ドローンを代替することができる小型無人機の電気飛行機を目指して、模型機のような小さな飛行体を考案する予定だった。これが、回転翼と駆動用DCモーターが一緒に前記U字型支柱の先端部に配置された理由である。模型機のような小型無人機の電気飛行機では、このような機体形状の電気飛行機を製作できることが試作して見て分かっていた。
【0010】
前記円筒形機体は強化繊維および樹脂からなる複合材で作られる直線状円筒形の機体である。また、前記マルチコプター型電気飛行機は円筒形機体の両側に回転翼を左右対称に配置して機体全体に対して均一な揚力を作り出して、機体を浮揚させて飛行する方式の飛行体である。そして、前記マルチコプター電気飛行機は常時機体が水平姿勢で飛行する方式の飛行機であるため、前記回転翼は揚力のみを出力して推進力を発生しない。そのため、前記マルチコプター型電気飛行機は回転翼の他に推進器を持っている。
【0011】
前記の強化繊維には炭素繊維またはガラス繊維等の高強度繊維が使用される。また、合成樹脂にはエポキシ樹脂等の熱硬化型樹脂またはポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂が使用される。
【背景技術】
【0012】
20年ほど前からドローンと呼ばれる模型機のような小型無人機の電気飛行機が実用化されて、ビデオカメラを搭載して、空撮用途等に利用されている。最近では、高分解能のカメラを搭載して測量用途や観測・観察用途にも使われている。
【0013】
このドローンの機体を大型化して、4~5人乗りの空飛ぶ乗り物として商品化して、例えば、空飛ぶタクシーとして実用化しようとする飛行体の開発競争が世界中のベンチャー企業で行われている。
【0014】
ドローン型の電気飛行機は4~8個の回転翼が機体の中心点から等距離の円周上に均等に分散されて配置された機体構成を有していることが特徴である。
【0015】
ドローン型の電気飛行機は機体構造の制約から、大容量の電池を搭載するためのスペースを確保することが難しいと考えられる。ドローン型電気飛行機の大型化を模索している企業の多くが4~5人乗りの空飛ぶタクシーを実用化しようとしていることがドローン型電気飛行機の大型化が難しいことの証左である。
【0016】
電気飛行機の動力源として二次電池または燃料電池が使われる。二次電池にはリチウムイオン電池や全個体電池が実用化されている。燃料電池には水素燃料電池が電気自動車の動力源として実用化されつつあり、将来の電気飛行機の動力源として有望である。
【0017】
ドローン型の電気飛行機に比べて、特許第6156669号および特許第6764207号に記述されている本発明のマルチコプター型電気飛行機に用いられる直線状円筒形または筒形の機体は内部空間が大きな容量のスペースを有しており、大容量の大きな電池を収納できる。そのため、前記マルチコプター型電気飛行機は航続距離の長い大型の電気飛行機に適した機体構成である。と本発明者は考える。
【0018】
また、特許第6156669号および特許第6764207号に記述されているマルチコプターに採用されている直線状円筒形または筒形の機体は金属骨組み構造を持たない。それゆえ、機体の製作工程は簡素であり、大型機体の製作が容易である。そのため、低コストで大型マルチコプター電気飛行機を生産できると考えられる。
【0019】
電気飛行機の機体を大型化して、貨物輸送機や旅客輸送機を実用化するためには、特許第6156669号および特許第6764207号に記述されている本発明のマルチコプターに採用されている直線状円筒形または筒形の機体の電気飛行機が、ドローン型電気飛行機に比べて、大型化した製品を作り易いと本発明者は考えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特許公報(B1)特許第6156669号
【文献】特許公報(B1)特許第6764207号
【非特許文献】
【0021】
【文献】週刊エコノミスト2018.1.16号77頁「電気飛行機の開発競争」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
特許第6156669号および特許第6764207号に記載されているマルチコプターでは、直線状の円筒形機体の両側に均等に、そして左右対称に配置された8~24個の回転翼を有している。
【0023】
特許公報(B1)特許第6156669号の
図9または
図15に描かれているように、前記回転翼は直線状円筒形機体から左右対称に肋骨のように突き出た支柱によって支えられている。前記回転翼は前記支柱先端部に回転翼駆動用DCモーターとともに固定されている。
【0024】
しかし、大型のマルチコプター型電気飛行機では、このようなDCモーターと回転翼を支柱先端部に取り付ける機体構造は実用的でないことが明らかになった。即ち、支柱を含めた機体構造の強度と剛性が不足していることが明らかになった。
【0025】
マルチコプター型電気飛行機は、飛行中において機体が常に水平姿勢を保っており、前進飛行する時も機体を前傾姿勢にすることはない。前記マルチコプターの機体両側に均等に配置されている多数個の回転翼ローターは揚力のみを発生して、推進力を発生しない方式である。そのため、前記マルチコプターでは多数個の回転翼とは別に、機体の前頭部および後尾部に推進器が取り付けられている。
【0026】
飛行中に機体が常に水平姿勢を保つ飛行体は、将来において旅客輸送用の輸送機、即ち、旅客機などに製品化され商業的に利用される際には、滞空安定性が優れた長所として評価されると予想される。
【0027】
特許公報(B1)特許第6156669号および特許公報(B1)特許第6764207号に記載されているマルチコプターに取り付けられた多数のU字型支柱を補強して、前記支柱を含めた機体全体の強度ならびに剛性を強化する方法として、横臥材をU字型支柱と結合させて、立体的骨組み構造を前記円筒形または筒形機体の上に形成する方策がある。
【0028】
更に、日本の木造家屋の建築構造を参考にした。日本の木造家屋は多数の柱を横臥材の梁で連結して構成される立体的骨組み構造である。
【0029】
木造家屋の構造は、多数の柱を横臥材または梁と呼ばれる線状部材で横方向に連結して、内側に空間を形成した立体的骨組み構造をつくり、内側の空間スペースを居住用として利用する。
【0030】
多数の柱を横臥材または梁で連結して、上からの荷重を支える立体骨組み構造を大型マルチコプター型電気飛行機を実現させるための課題解決に応用した。
【0031】
特許第6156669号および特許第6764207号に記述されているマルチコプターの機体は炭素繊維強化樹脂複合材で作られており、円筒形または筒形機体内部のスペースは燃料電池および燃料タンク等の設置に使われる。円筒形または筒形の機体はCFRP製であり、客室キャビンに利用できない。そのため、別途、客室キャビンを円筒形または筒形機体の上に設置して作る。これ以降、客室キャビンを円筒形または筒形のベース機体の上に載せて組み合わせ結合して、ひとつの飛行体を形成する。
【0032】
繊維強化樹脂複合材で一体成型して作られた円筒形または筒形の機体は機体側面に窓の開口部を作れないため客室には利用できない。しかし、前記円筒形または筒形の機体は大きな容積の内部空間を有しており、大型の電気飛行機に必要な大容量の電池や燃料タンクを収納することが出来る特長がある。大型の電気飛行機では、大出力を出せる大容量の二次電池または燃料電池を搭載する必要がある。
【0033】
そのため、旅客輸送用のマルチコプター型電気飛行機を具体化するためには、客室キャビンを前記円筒形または筒形ベース機体の上に載せて前記円筒形または筒形ベース機体に固定する機体製作方法が、マルチコプター型電気飛行機の旅客機を具体化させるための有効な手段になると考えられる。
【0034】
更に、また、前記客室キャビンの代わりに、航空貨物コンテナを収納できる上部機体構造物を前記ベース機体の上に設置固定すれば、マルチコプター型電気飛行機の貨物輸送機を具体化し実用化させることができると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0035】
複数のU字型支柱および/または変形U字型支柱が円筒形機体または筒形機体を下から支えるように各U字型支柱および/または変形U字型支柱の底辺が前記円筒形機体または筒形機体と結合して、円筒形ベース機体または断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体を構成し、前記円筒形ベース機体または筒形ベース機体の左右両側に前記U字型支柱および/または変形U字型支柱が左右対称に突き出た機体構造のマルチコプター型電気飛行機において、前記の各U字型支柱および/または変形U字型支柱の先端近くで横臥材に相当する横方向の線状部材が前記各U字型支柱および/または変形U字型支柱と結合して、前記円筒形ベース機体または筒形ベース機体の胴体を底辺とした立体的骨組み枠の構造体を形成し、前記骨組み枠構造体の横臥材と各支柱との結合点より上に在る支柱先端部に回転翼ならびにDCモーターを装着した機体の構造を特徴とするマルチコプター型電気飛行機。
【0036】
前記の断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の上に、同じく、断面が馬蹄形またはカマボコ型の客室キャビンを載せて、断面の平面部が互いに結合されて一体化した機体構造および機体形状とすることにより乗客が安全な飛行機であると認識しやすくなり、乗客に安心感を持って乗ってもらえることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機の旅客輸送機。
【0037】
前記の断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の平面上に、航空貨物用コンテナを載せることで、輸送中に振動で傷みやすい商品を簡易な包装で空輸することが可能になることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機の貨物輸送機。
【0038】
DCモーターで駆動されるプロペラの推進器がマルチコプター型電気飛行機の前記機体の側面、即ち、前記機体の前頭部及び後尾部のそれぞれ左右両側に取り付けられており、これら4個の前記プロペラの推進器の出力を電気的に制御することにより飛行中の機体を操縦することを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機。
【0039】
断面が馬蹄形またはカマボコ型の筒形ベース機体の上に、同じく、断面が馬蹄形またはカマボコ型の客室キャビンを載せて、断面の平面部が互いに結合されて一体化した機体構造および機体形状とすることにより乗客が安全な飛行機であることを認識しやすくなり、50人以上の乗客を乗せて垂直離着陸が可能な大型旅客機を製作できることを特徴とする請求項1に記載のマルチコプター型電気飛行機。
【発明の効果】
【0040】
これまで、航空機の主流は固定翼を持つ飛行機であった。固定翼機は石油系燃料を使用する内燃機関、例えば、ターボファンエンジン等を動力源として飛行し浮揚する。固定翼が発生する揚力は飛行速度が速いほど大きくなるので、固定翼機はエネルギー効率の良い飛行体である。
【0041】
しかしながら、固定翼機は離着陸するときには数千メートルの滑走路が必要であり、何処でも自由に離陸や着陸が出来るわけではない。そのため、回転翼だけで浮揚して飛行する電気飛行機は垂直離着陸できるので、飛行場を必要としないため、固定翼機では得られなかった用途が潜在すると考えられる。。
【0042】
電気飛行機は電池から得られる電力でDCモーターにより回転翼を駆動させて揚力を得る飛行体を作ることが出来る。回転翼を持つ飛行機は垂直離着陸が可能であり、ホバリングも可能である。回転翼を持つ電気飛行機は滑走路が不要なので、一般市民が手軽に利用できる新しい交通手段として提供できる可能性がある。
【0043】
しかしながら、電池は石油系燃料を利用する内燃機関よりエネルギー密度が小さいので、電気飛行機で航続距離の長い大型の旅客輸送機を実現させるためには、大容量の電池を搭載できる大きな機体内部空間が必要である。
【0044】
前記円筒形または筒形のベース機体は大きな機体内部空間を有しており、大容量の電池を収納する余裕がある。例えば、リチウムイオン電池の蓄電容量が大きな電池パックを前記円筒形または筒形のベース機体内部に搭載することができる。または、例えば、大出力の水素燃料電池および大きな燃料タンクを前記円筒形または筒形のベース機体の内部に収納できる。これによって、マルチコプター型電気飛行機の航続距離を従来の固定翼飛行機と同等の、例えば、3000~4000キロメートルに延ばすことができるので、垂直離着陸が可能な大型電気飛行機の旅客輸送機や貨物輸送機を具現化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は前記マルチコプター型電気飛行機を正面から見た断面図である。円筒形ベース機体を底辺としてU字型支柱と横臥材としての梁で連結された骨組み枠で形成された空間内に一階建ての客室キャビンが設置された機体構成を示している。
【
図2】
図2は前記マルチコプター型電気飛行機を横から見た断面図である。円筒形ベース機体の上に一階建ての客室キャビンが設置されて固定された機体構造を示している。
【
図3】
図3は前記マルチコプター型電気飛行機を正面から見た断面図です。円筒形ベース機体を底辺としてU字型支柱と横臥材としての梁で連結された骨組み枠で形成された空間内に二階建て客室キャビンが設置されて固定された機体構造を示している。
【
図4】
図4は前記マルチコプター型電気飛行機を横から見た断面図である。二階建ての客室キャビンが円筒形ベース機体の上に設置されて固定された機体構造を示している。
【
図5】
図5は改良される前のマルチコプター型電気飛行機を上から見た平面図である。
図5では、円筒形ベース機体とU字型支柱および回転翼並びにDCモーターの位置関係を示している。
【
図6】
図5と比較して、
図6は改良された後のマルチコプター型電気飛行機を上から見た平面図である。
図6では、各U字型支柱が横臥材としての梁で連結されて強化された骨組み枠が円筒形ベース機体の上に形成された機体構成を示している。図の中で、図解を容易にするため、客室キャビンは省略されている。
【
図7】
図7はマルチコプター型電気飛行機の旅客機の機体の前方正面から見た断面図である。
図7の機体断面図は、断面が馬蹄形のCFRP製筒形ベース機体1の上に同じく断面がカマボコ形の客室キャビン7を載せて、ベース機体1と客室キャビン7を結合させて一体化した機体構造を示している。
【
図8】
図8は、
図7に示したCFRP製筒形ベース機体1と断面がカマボコ形の客室キャビン7を結合して一体化されたマルチコプター型電気飛行機の旅客機の機体の横断面図である。CFRP製筒形ベース機体1の中に燃料電池12と圧縮水素ガス燃料タンク13が収納されている。
【
図9】
図9はマルチコプター型電気飛行機の二階建てエアバス旅客機の機体の前方正面から見た断面図である。
図9の機体断面図は、横断面が馬蹄形のCFRP製筒形ベース機体1の上に同じく断面がカマボコ形の二階建て客室キャビン8を載せて、ベース機体1と客室キャビン8を結合させて一体化した機体構造を示している。
【
図10】
図10は、
図9に示したCFRP製筒形ベース機体1と断面がカマボコ形の客室キャビン8を結合して一体化されたマルチコプター型電気飛行機の二階建てエアバス旅客機の機体の横断面図である。
【
図11】参考資料として、
図11は実施例1で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図12】参考資料として、
図12は実施例1で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図13】参考資料として、
図13は実施例1で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図14】参考資料として、
図14は実施例2で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に二階建て客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図15】参考資料として、
図15は実施例2で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に二階建て客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図16】参考資料として、
図16は実施例2で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。円筒形ベース機体の上に二階建て客室キャビンを載せた旅客機の機体模型の写真である。
【
図17】参考資料として、
図17は実施例3で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型ある。断面が馬蹄形またはカマボコ形の筒形ベース機体の上に同じく断面がカマボコ型の客室キャビンを載せ結合して一体化した機体の旅客機の機体模型の写真である。
【
図18】参考資料として、
図18は実施例3で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。断面が馬蹄形またはカマボコ形の筒形ベース機体の上に同じく断面がカマボコ型の客室キャビンを載せ結合して一体化した機体の旅客機の機体模型の写真である。
【
図19】参考資料として、
図19は実施例3で製作したマルチコプター型電気飛行機の機体模型である。断面が馬蹄形またはカマボコ形の筒形ベース機体の上に同じく断面がカマボコ型の客室キャビンを載せ結合して一体化した機体の旅客機の機体模型の写真である。
【
図20】参考資料として、
図20はマルチコプター型電気飛行機の無人機に長距離ミサイルを搭載した模型の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図5に示したのは、前記円筒形機体の前頭部および後尾部の左右両側にそれぞれ推進器を取り付けた本発明の円筒形機体マルチコプターを上から見た平面図である。また、円筒形ベース機体の機体前頭部の両側および機体後尾部の両側に合計4個の推進器を持っている。これらの推進器は個々の推進器の出力を電気的に制御できるので、推進器が舵の機能を兼ね備えることが出来る。
【0047】
例えば、飛行中に機体を左旋回させたいときには、機体前頭部左側の推進器の出力を落として左旋回する。マルチコプター型電気飛行機の機体は水平姿勢を保持したまま左旋回する。
【0048】
また、飛行中に機体を右旋回させたいときには、機体前頭部右側の推進器の出力を落として右旋回する。マルチコプター型電気飛行機の機体は水平姿勢を保持したまま右旋回する。
【0049】
しかしながら、本発明の主体はマルチコプター電気飛行機の機体構造および客室キャビンの設置場所を含む機体構成ならびに機体形状に関するものである。それ故、操縦システムの説明、および離着陸用脚、離着陸用車輪または離着水用フロート等の説明は省略する。
【0050】
また、本発明の主体は円筒形または筒形機体のマルチコプター型電気飛行機の機体構造または機体構成の改良にあるので、電子機構系の説明は省略する。
【0051】
以下に、実施例に基づいて本願発明を実施するための形態を説明する。航空機の機体構造または機体構成に関する発明内容を、実際に実物の飛行機を試作して実証することが資金的、時間的、設備的に難しいので、模型機を試作した時の写真を用いて説明する。
【実施例1】
【0052】
図11~13は本願発明のマルチコプター型電気飛行機の旅客輸送機を想定した模型の写真である。円筒形ベース機体の上に客室キャビンを載せた二層構造の機体構造により、電気飛行機でも大型の旅客機を製作できることを示している。
【実施例2】
【0053】
図14~16は本願発明のマルチコプター型電気飛行機の二階建てエアバス旅客輸送機を想定した模型の写真である。円筒形ベース機体の上に二階建て客室キャビンを載せた二層構造の機体構造により、電気飛行機でも大型の旅客機を製作できることを提案している。。
【実施例3】
【0054】
図17~19は本願発明のマルチコプター型電気飛行機の新しい発想の旅客輸送機を提案する模型機の写真である。断面が馬蹄形またはカマボコ形の筒形ベース機体の上に同じく断面がカマボコ型の客室キャビンを載せ結合して一体化した機体であり、コミューターとして使える短距離用の旅客輸送機を想定している。
【実施例4】
【0055】
図20はマルチコプター型電気飛行機の無人機に長距離ミサイルを搭載した模型の写真である。マルチコプター型電気飛行機の無人機は戦闘機よりも遥かに長時間滞空できるので、また、戦闘機が搭載するミサイルよりも射程距離の長い大型ミサイルを搭載できるので、防衛戦力として有効である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
マルチコプター型電気飛行機は垂直離着陸が可能なため、短距離の空輸機として効率の良い輸送手段になり得ることが予想される。 現在の陸上の道路を走る自動車のトラックによる物流の一部を代替することが予想される。マルチコプター型電気飛行機は輸送中の振動も少なく、商品に傷みを生じることもなく、簡単な包装で出荷できるため、低コストで輸送できる。商品の産地や工場の出荷元から需要者へ、例えば、食品スーパー等へ直接届けられるので物流コストが安くなる。農業や水産業では、地方の農水産品、即ち、野菜、果物、酪農品、生鮮魚介類を産地から空路で直接に大都会近郊の食品スーパーへ届けることが出来る。食品スーパーは広い敷地の駐車場を持っており、その上にヘリポートを建設できる。新鮮な生鮮食材を提供できる食品スーパーは売り上げが増加して繁盛すると予想される。上記に述べた技術構想は地方および僻地の農水産業振興に役立ち、国民経済的貢献が大きいと考えられる。
【0057】
マルチコプター型電気飛行機は回転翼と推進器がそれぞれ独立した役割を担っているので、飛行中は常に機体姿勢を水平に保つことが出来るため、飛行安定性に優れている。これは、旅客輸送機として乗り心地が良く、乗客に安心感を与える飛行機である。また、貨物輸送機としても、輸送中に振動が無く、傷みやすい生鮮食材などを簡易な包装荷造りで需要者へ直接届けられる等の優れた利点がある。マルチコプター型電気飛行機のもう一つの利点は、自動運転化を取り入れて無人運転システムを採用し易いことである。 マルチコプター型電気飛行機はホバリングが可能であり、飛行中にブレーキをかけて空中停止することも出来る。バーチャル航空路を設定して空中立体交差する航空路網を全国規模で設定することにより、無人運転輸送機による物流革命を実現することもできると予想される。
【0058】
図10はマルチコプター型電気飛行機の無人機の模型である。この無人機はミサイルを搭載して防衛戦力として有効である。マルチコプター型電気飛行機は戦闘機よりも大型のミサイルを搭載できる。即ち、マルチコプター型電気飛行機は戦闘機が搭載できるミサイルよりも射程距離が長いミサイルを搭載できるので、空中戦で優位である。例えば、日本列島の周辺には6000余の離島が存在すると言われる。離島にマルチコプター型電気飛行機の哨戒機を配置しておけば、敵機の飛来をレーダーで感知して、即時に離島から垂直離陸上昇して応戦態勢に入れる。また、大型のマルチコプター型電気飛行機は対艦ミサイルを搭載できる。マルチコプター型電気飛行機は海面上を高度数メートルで這うように飛行して巡航ミサイルのように艦船を攻撃できる。地上戦でも、マルチコプター型電気飛行機は有効である。地表から高度数メートルの高さで這うように飛行して、河川や湖沼にも関係なく作戦行動できる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・円筒形または筒形ベース機体
2・・・運転席(操縦士)
3・・・変形U字型支柱に支えられた回転翼
4・・・U字型支柱に支えられた回転翼
5・・・DCモーター
6・・・線状部材
7・・・一階建て客室キャビン
8・・・二階建て客室キャビン
9・・・推進器(プロペラ)
10・・・U字型支柱
11・・・変形U字型支柱
12・・・水素燃料電池
13・・・圧縮水素ガス燃料タンク
14・・・多目的トイレ室
【要約】 (修正有)
【課題】大型のマルチコプター機体を空輸機として実用化できる技術を提供する。
【解決手段】すべてのU字型および変形U字型支柱10,11を横臥材の梁に相当する横方向の線状部材6で連結して各支柱10,11の強度及び剛性を高めて、同時にベース機体の上に支柱10,11と梁6で構成される立体的骨組み構造体を作り、骨組み構造体の中に客室キャビン7を設置して、下のベース機体1と結合して一体化された機体で大型のマルチコプター型電気飛行機である。
【選択図】
図7