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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】貸金庫システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/00 20060101AFI20230216BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
E05B65/00 E
B65G1/00 521E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018203088
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020070567
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】ハーフォード アレキザンダー
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-119505(JP,U)
【文献】特開2004-105276(JP,A)
【文献】実開昭63-117329(JP,U)
【文献】特開2007-224719(JP,A)
【文献】特開2018-000588(JP,A)
【文献】実開平06-026561(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証機器が搭載されるとともに、貸金庫から搬送される保管函から物品を出し入れ可能とする開口部が形成された操作台ユニットと、
前記操作台ユニット上から側方に延びる天板と、
を備え、
前記天板は、前記操作台ユニットに対して着脱自在に配され、
前記操作台ユニット及び前記天板が設置されたブースと、
前記ブース内と前記貸金庫内とを連通させる出入口を有し、前記ブース及び前記貸金庫間を仕切る壁部と、
前記壁部に設けられるとともに、前記出入口を開閉するドアと、を備え、
前記天板は、前記操作台ユニットに連結された状態において前記ドアの前方に配置されて前記ドアを開閉不能とし、前記操作台ユニットから取り外された状態において前記ドアの前方を開放して前記ドアの開閉動作を許容する貸金庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸金庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貸金庫室に保管された保管函を、利用者の求めに応じて利用者が入室するブースまで自動で搬送する貸金庫システムが知られている。ブースには、利用者が操作可能な操作台が設置されている。例えば下記特許文献1に記載の操作台は、利用者を認証する機能を有する認証機器が搭載された認証装置と、ブースに搬送された保管函に対して物品を出し入れ可能な開口部が形成された投入用デスクと、認証装置および投入用デスクの間に配置された天板と、を備えている。天板は、利用者の所持品や保管函に出し入れする物品等を一時的に載置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6386647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の貸金庫システムでは、認証装置と投入用デスクとが別々に設けられているため、認証装置および投入用デスクの設置スペースを広く確保する必要がある。したがって、特許文献1に記載の貸金庫システムにおいて、利用者の作業スペースとなる天板の面積を確保するためには、ブースの大型化に繋がる可能性があった。
さらに、特許文献1に記載の貸金庫システムでは、認証装置と投入用デスクの端面に天板が突き合わされた構成であるため、認証装置と天板との間、および投入用デスクと天板との間の繋ぎ目が目立ち、意匠性の観点から改良の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、比較的小さなブースにおいて利用者の作業スペースを確保できるとともに、意匠性を高めることができる貸金庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る貸金庫システムは、認証機器が搭載されるとともに、貸金庫から搬送される保管函から物品を出し入れ可能とする開口部が形成された操作台ユニットと、前記操作台ユニット上から側方に延びる天板と、を備え、前記天板は、前記操作台ユニットに対して着脱自在に配されている。
【0007】
本態様によれば、操作台ユニットに認証機器と開口部とが備えられることにより、認証機器および開口部をまとめて設置できる。これにより、操作台ユニットのコンパクト化を図ることできる。また、天板に対して片側に認証機器および開口部をまとめて設置できるので、認証機器および開口部が別々に設けられている場合に比べて、操作台ユニットのコンパクト化を図ることできる。そして、操作台ユニット上から側方に天板ユニットを延ばすことで、ブースの大型化を抑制した上で、天板上に十分な作業スペースを確保できる。
その結果、貸金庫システムを快適に利用できる。
また、操作台ユニットと天板とを端面同士で突き合わせる場合に比べて、操作台ユニットと天板との繋ぎ目が目立ち難くなり、貸金庫システムの外観の意匠性を向上させることができる。
ここで、貸金庫システムにおいて、ブースの後方に貸金庫を配置した場合には、メンテナンス時等において、ブースから貸金庫にアクセスすることが考えられる。そこで、天板を操作台ユニットに対して着脱自在に配するようにした。これにより、天板の後方に貸金庫への出入口を設けることができる。すなわち、メンテナンス時等には、操作台ユニットから天板を外すことにより貸金庫へのアクセスが可能となる。これにより、天板と貸金庫への出入口を別々に設ける場合に比べて、ブースのコンパクト化を図った上で、天板の作業スペースを確保できる。
【0008】
本発明に係る態様において、前記操作台ユニットは、前記開口部が設けられた筐体と、前記開口部を開閉するスライド蓋と、前記筐体のうち前記開口部を回避した位置で、前記認証機器が設置された操作台と、を備え、前記スライド蓋は、開位置において前記操作台の下側に配置されることが好ましい。
認証機器と開口部とをまとめて設置した場合には、開口部を配する第1領域、スライド蓋を移動させるために必要とする第2領域、さらに認証機器を配する第3領域を合わせた第1~第3の3つの領域が操作台ユニットに必要となると考えられる。
これに対して、本態様では、スライド蓋の開位置において、操作台の下側にスライド蓋を配置することで、上述した第2領域及び第3領域を共用できる。これにより、上述した第1~第3の領域を別々に設ける場合に比べて操作台ユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0009】
本発明に係る態様において、前記天板が前記操作台を囲むように配されていることが好ましい。
本態様によれば、操作台を囲むように天板を配することにより、天板の表面(以下、天板面という)を広く確保でき、広く確保した天板面を物品の仮置き場、あるいは作業領域とすることができ、操作台を快適に利用できる。
また、操作台を囲むように天板が配されることにより、天板のうち、操作台を囲む部分と、操作台ユニットから側方に張り出した部分と、を同じ高さにできる。これにより、認証機器の操作時と、天板上での作業時と、で利用者の手の上下動が発生し難い。これにより、利便性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る態様において、前記操作台ユニットは、平面視において第1方向に延在するとともに、前記第1方向の第1側端部に前記開口部が位置し、第2側端部に前記認証機器が位置し、前記天板は、前記操作台ユニットにおける前記第2側端部から平面視で前記第1方向に交差する第2方向に直線状に延びることが好ましい。
本態様によれば、操作台ユニットの第2側端部から天板を延ばすことで、操作台ユニットにおける開口部を回避した位置から天板を直線状に延ばすことができる。これにより、操作台ユニットと天板とを別体で形成した場合であっても、操作台ユニットと天板とを一体的な外観とすることができる。
加えて、天板を大きな作業スペースとすることが可能になり、ブースにおいて貸金庫システムを快適に利用できる。
【0012】
本発明に係る態様において、前記天板の前縁は湾曲形状に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、天板の前縁が湾曲状に形成されていることで、天板と保管函との間で物品を移動させる際に、物品が天板の前縁に接触して物品の移動が妨げられるのを抑制できる。すなわち、開口部から取り出した物品を天板面に円滑に移動させることができる。
【0013】
本発明に係る態様において、前記操作台ユニットは、前記開口部が設けられた筐体と、前記開口部を開閉するスライド蓋と、を備え、前記認証機器は、前記筐体のうち、前記開口部に対して前記スライド蓋の開方向に配置され、前記保管函は、前記保管函を開閉する函蓋を備え、前記函蓋は、前記スライド蓋の開方向に対して反対側に開放されることが好ましい。
本態様によれば、函蓋を開放する際に、認証機器及び天板と開口部との間に函蓋が配置されるのを回避できる。これにより、操作台ユニットの上方空間を広く確保できるとともに、認証機器の操作後、開口部へのアクセスまでの間及び天板と保管函との間で物品を移動させる際に利用者と函蓋との干渉を抑制できる。これにより、利便性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係る態様において、前記操作台ユニットは、前記開口部を開閉するスライド蓋を備え、前記保管函は、前記保管函を開閉する函蓋を備え、前記操作台ユニットと前記天板とで囲まれた部分は、利用者の作業空間を構成し、前記函蓋は、前記作業空間に対して反対側に開放されることが好ましい。
本態様によれば、函蓋を開放する際に、利用者と開口部との間に函蓋が配置されるのを回避できる。これにより、開口部へアクセスする際に利用者と函蓋との干渉を抑制できる。これにより、利便性を向上させることができる。
本発明に係る態様において、前記操作台ユニット及び前記天板が設置されたブースと、前記ブース内と前記貸金庫内とを連通させる出入口を有し、前記ブース及び前記貸金庫間を仕切る壁部と、前記壁部に設けられるとともに、前記出入口を開閉するドアと、を備え、前記天板は、前記操作台ユニットに連結された状態において前記ドアの前方に配置されて前記ドアを開閉不能とし、前記操作台ユニットから取り外された状態において前記ドアの前方を開放して前記ドアの開閉動作を許容することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の貸金庫システムによれば、比較的小さなブースにおいて利用者の作業スペースを確保できるとともに、意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る実施形態の貸金庫システムのスライド蓋が閉位置の場合を示す斜視図である。
図2】実施形態の貸金庫システムのスライド蓋が開位置の場合を示す平面図である。
図3】実施形態の貸金庫システムの操作システムを示す斜視図である。
図4】実施形態の貸金庫システムの操作システムの分解斜視図である。
図5】(a)は実施形態の貸金庫システムを示す正面図、(b)は図5(a)に示すV部を拡大した正面図である。
図6】実施形態の貸金庫システムのスライド蓋および函蓋が開位置の場合を示す側面図である。
図7】実施形態に係る変形例の天板ユニットを示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、フロア3に直交する方向を上下方向(矢印UPが上側)とし、上下方向に直交する2方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前側)および左右方向(矢印LHが左側)として説明する。
【0018】
本発明の実施形態による貸金庫システム1を図1図6に基づいて説明する。図1は、本発明に係る実施形態の貸金庫システム1において、スライド蓋52が閉位置P2の場合を示す斜視図である。図2は、貸金庫システム1において、スライド蓋52が開位置P1の場合を示す平面図である。
図1図2に示すように、貸金庫システム1は、貸金庫室5からブース6に保管函11を搬出し、搬出した保管函11に物品の出し入れなどを行った後、保管函11をブース6から貸金庫室5に搬入するシステムである。貸金庫システム1は、例えば金融機関などに導入されて使用される。
具体的には、貸金庫システム1は、貸金庫室(貸金庫)5と、ブース6と、操作システム9と、を備えている。
【0019】
貸金庫室5には、ラック10と、複数の保管函11と、クレーン12と、が設置されている。複数の保管函11は、ラック10に着脱自在に配置されている。クレーン12は、ラック10とブース6との間で保管函11を搬送する。なお、保管函11は利用者2(図3参照)ごとに決められている。保管函11については図6で詳しく説明する。
【0020】
図2に示すように、ブース6は、貸金庫室5の前方に隣接している。ブース6には、予め登録された利用者2のみが認証操作を行うことによって入室できる。ブース6は、後壁15と、右壁16と、左壁17と、前壁18と、で平面視矩形状に区画されている。なお、ブース6の平面視形状は、適宜変更可能である。ブース6は、貸金庫室5に対して前後左右の何れの方向に隣接していてもよい。また、貸金庫室5に対して複数のブース6が隣接していてもよい。
【0021】
後壁15は、貸金庫室5とブース6とを仕切る壁部である。後壁15には、貸金庫室5内とブース6内とを連通させる第1出入口20が形成されている。第1出入口20は、第1ドア21によって開閉可能とされている。すなわち、第1ドア21が閉じられることにより、第1出入口20が閉塞され、貸金庫室5とブース6とが仕切られる。第1ドア21が開けられることにより、第1出入口20が開放され、ブース6と貸金庫室5との間での出入りが可能になる。
【0022】
右壁16には、ブース6の内外を連通させる第2出入口22が形成されている。第2出入口22は、第2ドア24によって開閉可能とされている。すなわち、第2ドア24が閉じられることにより、ブース6と外部25とが仕切られる。第2ドア24が開けられることにより、外部25とブース6との間での出入りが可能になる。
【0023】
図3は、操作システム9を示す斜視図である。図4は、操作システム9の分解斜視図である。図3図4は、スライド蓋52が閉位置である場合を示す。
図3図4に示すように、ブース6には、利用者2が操作可能な操作システム9と、利用者2が着座可能な椅子23と、が設置されている。操作システム9は、後壁15および左壁17に沿って延びる平面視でL字状に形成されている。操作システム9は、操作台ユニット7および天板ユニット8を備えている。
【0024】
操作台ユニット7は、筐体(デスク)31と、操作台32と、認証機器33と、を備えている。筐体31は、平面視において前後方向を長手方向とする直方体状に形成されている。筐体31は、後壁15に突き当たった状態で、ブース6の左壁17の壁面に沿って前後方向に延在している。なお、筐体31の内部は、後壁15に形成された搬送口(不図示)を通じて貸金庫室5内に連通している。
【0025】
筐体31は、上方を向く第1表面37と、第2表面38と、を有する。
第1表面37は、筐体31の前部上面を構成している。第1表面37は、平坦面とされている。第1表面37の中央部には、筐体31の内外を連通させる開口部34が開口している。
図4に示すように、第2表面38は、第1表面37の後方において、筐体31の後部上面を構成している。第2表面38は、第1表面37に対して上方に配置され、平坦なL字状に形成されている。第2表面38の前端縁は、段部39を介して第1表面37の後端縁に連なっている。なお、段部39は、筐体31における左右方向の全域に亘って形成されている。
第2表面38と第1表面37との間に段部39を形成した理由については後で詳しく説明する。
【0026】
筐体31のうち、第2表面38の左後側の端部には操作台32が設置されている。操作台32は、筐体31の後面と左面とに寄せた状態に配置されている。操作台32は、操作面42と、操作台段部43と、を有する。操作面42は、第2表面38の上側に位置する平坦な面であり、第2表面38から操作台段部43で仕切られている。
【0027】
操作台段部43は、第1段部43a、第2段部43b、および第3段部43cにより平面視で右前方に突出する凸形L字状に形成されている。
第1段部43aは、段部39に対して後方に間隔をおいて配置されている。第1段部43aは、第2表面38から操作面42まで立ち上げられた状態において左右方向に沿って延びている。
第2段部43bは、筐体31の右面に対して左右方向に間隔をおいて配置されている。第2段部43bは、第2表面38から操作面42まで立ち上げられた状態において前後方向に沿って延びている。
第3段部43cは、第2表面38から操作面42まで立ち上げられた状態において、第1段部43aの右側端43dから第2段部43bの前側端43eまで、前方に向かうに従い左側に傾斜して延びている。
【0028】
認証機器33は、操作面42上に設置されている。認証機器33は、例えば利用者2がカード差込口45からカードを差し込んだ後、タッチパネル式表示装置46にパスワードなどを入力できるように構成されている。タッチパネル式表示装置46に入力されたパスワードや、IDカード認証装置などに基づいて利用者2が正規の利用者であることが特定された場合、保管函11(図1参照)の取り出し操作が実行される。すなわち、貸金庫室5に保管された保管函11は、上述した搬送口を通じてブース6の操作台ユニット7内(筐体31内)まで搬出される。具体的に、保管函11は、操作台ユニット7内において、開口部34の下側まで搬出される。
なお、実施形態では、パスワードなどを入力する装置としてタッチパネル式表示装置46を例示するが、その他の例として、タッチパネルを有しない表示装置を設けてもよい。
【0029】
図2に戻って、開口部34は、平面視において、前後方向を長手方向とする矩形状に形成されている。操作台ユニット7は、開口部34を開閉するスライド蓋52を備えている。スライド蓋52は、利用者2がブース6に存在しない場合に常時閉位置P2に保持され、保管函11が操作台ユニット7まで搬送された場合に開位置P1となるように構成されている。また、スライド蓋52は、利用者2による保管函11の利用後に閉位置P2となるように構成されている。
【0030】
スライド蓋52は、前後方向にスライド移動自在に支持されている。具体的には、スライド蓋52は、操作台32に向けて開位置P1まで開方向へ移動することにより開口部34を開放する。これにより、操作台ユニット7まで搬出された保管函11に開口部34を通じてアクセス可能となる。
ここで、スライド蓋52が開位置P1に配置された状態において、例えばスライド蓋52の少なくとも後部52a(図6も参照)が操作台32の下側に配置される。すなわち、上述した認証機器33(操作台32)は、開口部34に対してスライド蓋52の開方向に配置されている。
【0031】
一方、スライド蓋52は、開位置P1から前方に向けて閉位置P2まで閉方向へ移動することにより開口部34を閉じる。スライド蓋52が閉方向へ移動することにより、後部52aが操作台32の下側から抜け出す。すなわち、スライド蓋52の後部52aは、開方向及び閉方向へ移動することにより、操作台32の下側に出し入れされる。
スライド蓋52の後部52aを操作台32の下側に出し入れする構成とした理由については後で詳しく説明する。但し、スライド蓋52は、必ずしも開位置P2において操作台32と平面視で重なり合わなくてもよい。
【0032】
このように、本実施形態の操作台ユニット7は、認証機器33と開口部34とが一体に備えられたユニットで、前後方向に延在している。そして、操作台ユニット7には、前部(第1側端部)に認証機器33が設置され、後部(第2側端部)に開口部34が形成されている。
【0033】
天板ユニット8は、ブース6内において、第1ドア21の前方に配置されている。そのため、天板ユニット8が設置された状態では、第1ドア21が開閉不能とされている。天板ユニット8は、後壁15および第1ドア21に沿って操作台ユニット7上から側方(右側)に延在している。具体的に、天板ユニット8は、操作台ユニット7の後部から、操作台ユニット7の延在方向(操作台ユニット7における操作台32と開口部34とを結ぶ方向(前後方向))に対して交差する方向(左右方向)に延在している。これにより、操作台ユニット7及び天板ユニット8が互いに直交する方向に延在することで、操作システム9が平面視でL字状に形成されている。なお、ブース6内において、操作台ユニット7及び天板ユニット8で囲まれた部分は、椅子23に利用者2が着座して操作システム9を操作する作業空間Sを構成している。
【0034】
図5(a)は、貸金庫システム1を示す正面図である。図5(b)は、図5(a)に示すV部を拡大した正面図である。
図4図5に示すように、天板ユニット8は、脚部54と、天板55と、を備えている。脚部54は、第1脚57と、第2脚58と、連結プレート59と、を備えている。第1脚57は、ブース6の後壁15と、筐体31の右面の後部と、に沿って配置されている。第1脚57は、例えば筐体31に着脱自在に連結されている。第1脚57は、前後方向の幅寸法がW1となる板状に形成されている。
第2脚58は、第1脚57に対して右側に間隔をおいて位置し、ブース6の後壁15と、ブース6の右壁16の後部と、に沿って配置されている。第2脚58は、第1脚57と同様に、前後方向の幅寸法がW1となる板状に形成されている。なお、第1脚57および第2脚58は、ブース6の壁面や筐体31から離間していてもよい。
【0035】
連結プレート59は、第1脚57の上端部57aおよび第2脚58の上端部58aを連結している。連結プレート59は、第1ドア21の前面に沿って左右方向に延びる。連結プレート59のプレート表面59aは、筐体31の第2表面38に対して上下方向において面一に配置されている。連結プレート59は、第1脚57および第2脚58と同様に、前後方向の幅寸法がW1となる板状に形成されている。
【0036】
脚部54は、第1脚57、第2脚58、および連結プレート59により下方に開口するU字状に形成された状態でフロア3に設置されている。また、上述したように第1脚57が筐体31に着脱自在に連結されていることで、脚部54が操作台ユニット7に着脱自在に連結されている。
これにより、脚部54は、筐体31に対する第1脚57の連結が解除されることで、筐体31(すなわち、操作台ユニット7)から簡単に取り外すことができる。
また、第1脚57、第2脚58、および連結プレート59が板状に形成されている。これにより、脚部54が筐体31から取り外された状態において、脚部54を後壁15や第1ドア21の前方から容易に移動させることができる。
脚部54をブース6の後壁15(すなわち、第1ドア21)から移動させる理由については後で詳しく説明する。
【0037】
天板55は、プレート表面59aおよび第2表面38上に載置されている。天板55は、第2表面38に支持される第1天板部62と、連結プレート59に支持される第2天板部63と、を有する。第1天板部62および第2天板部63は一体に形成されている。よって、天板55の表面(以下、天板面55aという。)は、第1天板部62と第2天板部63との境界でずれることがなく、意匠性が高められている。天板55の材質は、木材、金属材、石材など適宜選択が可能である。
【0038】
第1天板部62は、天板55のうち左側の部位である。第1天板部62は、前側部位62aと、右側部位62bと、によりL字形に形成されている。前側部位62aは、第2表面38のうち、段部39と第1段部43aとの間、および段部39と第3段部43cとの間の部位38aに載置される。前側部位62aの前端部は、段部39よりも前方に突出している(図6参照)。
【0039】
右側部位62bは、第2表面38のうち、筐体31の右面と第2段部43bとの間の部位38bに載置される。すなわち、第1天板部62は、第2表面38に載置されることにより第2表面38で支持されている。第1天板部62は、L字形に形成されることにより、利用者2から見て左後側に開放された天板凹部64を有する。
【0040】
天板凹部64は、第1天板部62が第2表面38で支持された状態において、凸形L字状の操作台段部43に沿って接触するように凹形L字状に形成されている。よって、第1天板部62が第2表面38で支持された状態において、第1天板部62が操作台32を前側から右側まで囲むように配される(図3も参照)。
この状態において、第1天板部62は、開口部34と操作台32(すなわち、認証機器33)との間に前側部位62aが配され、かつ、筐体31の右面と操作台32(すなわち、認証機器33)との間に右側部位62bが配される。
【0041】
第2天板部63は、第1天板部62の右側部位62bから第1ドア21の前面に沿って左右方向に延在している。第2天板部63は、前後方向での幅寸法W2が右側部位62bの幅寸法と同じ大きさに形成され、かつ、連結プレート59の幅寸法W1より大きく形成されている。
第2天板部63は、平面視において左右方向を長手方向とする矩形状に形成されている。第2天板部63の後部は、連結プレート59のプレート表面59aに支持されている。
【0042】
天板55は、開口部34を回避した状態において後壁15および第1ドア21に沿って操作台ユニット7の外側位置まで直線状に延びている。このように、開口部34を回避するように天板55を操作台ユニット7上から直線状に延ばすことにより、操作台ユニット7と天板ユニット8とを別体で形成した場合であっても、操作システム9を一体的な外観とすることができる。
また、天板55が操作台ユニット7の延在方向に交差(直交)する方向に直線状に延在することで、天板面55aを広く確保することができる。これにより、ブース6を快適に利用できる。
【0043】
ここで、認証機器33および開口部34は、ブース6の左側にまとめて設置されている。これにより、例えば、認証機器33および開口部34をブース6の左右両側に分割して設置する場合と比べて、操作台ユニット7の小型化を図ることができる。
さらに、第2天板部63に対して片側(左側)に認証機器33および開口部34がまとめて設置されている。これにより、天板55に対して左右両側に認証機器33および開口部34が別々に設けられている場合に比べて、ブース6に天板55を設置する際の自由度を高めることができる。
【0044】
また、第1天板部62が操作台32の周囲を取り囲んでいる。これにより、天板面55aを広く確保でき、天板面55aを物品の仮置き場、あるいは作業領域とすることができる。これにより、操作台32を快適に利用できる。
さらに、天板面55aが、操作台32を囲む部分(第1天板部62)と、操作台ユニット7から側方に張り出した部分(第2天板部63)と、の全体に亘って同じ高さに形成されるとともに、天板面55aと操作面42とが面一に形成されている。これにより、認証機器33の操作時と、天板55上での作業時と、で利用者2の手の上下動が発生し難い。その結果、利便性を向上させることができる。
また、操作台32を囲むように天板55を配することにより、操作台ユニット7と天板ユニット8との一体感を生むことが可能になる。これにより、意匠性を高めることができる。
【0045】
加えて、天板55の前縁55d(利用者2側の縁部)が例えば前方に向けて凸形の湾曲状に形成されている。本実施形態において、天板55の前縁55dは、下面側が前方に向かうに従い上方に延びる傾斜面とされ、上面側が前方に向かうに従い下方に延びる湾曲面とされている。
よって、天板と保管函との間で物品を移動させる際に、物品が天板55の前縁55dに接触して物品の移動が妨げられるのを抑制できる。すなわち、開口部34から取り出した物品を天板面55aに円滑に移動させることができる。
【0046】
さらに、図5(b)に示すように、天板55は、第2表面38および連結プレート59に支持された状態において、L金具66で筐体31に着脱自在に取り付けられている。具体的に、L金具66は、水平部66aと、鉛直部66bと、を有する。水平部66aが天板55の裏面に第1ねじ67でねじ結合され、鉛直部66bが筐体31の右面に第2ねじ68でねじ結合されている。これにより、天板55がL金具66で筐体31に取り付けられている。
さらに、水平部66aから第1ねじ67を外し、あるいは、鉛直部66bから第2ねじ68を外すことにより、天板55を筐体31から容易に外すことができる。すなわち、天板55は操作台ユニット7に対して着脱自在に配されている。
【0047】
図4に戻って、本実施形態の操作システム9では、貸金庫室5内のメンテナンス時等において、天板ユニット8を取り外すことで、第1ドア21を開放する。具体的には、L金具66を取り外して、天板55と筐体31との連結を解除する。その後、操作台ユニット7及び脚部54から天板55を取り外す。その後、脚部54と筐体31との連結を解除して、操作台ユニット7から脚部54を取り外す。これにより、第1ドア21の前方が開放され、第1ドア21の開閉動作が許容される。その後、第1ドア21を開放し、第1出入口20を通じて貸金庫室5内に進入することで、貸金庫室5内のメンテナンスを行うことができる。なお、メンテナンス終了後は、上述した動作と逆の動作により操作台ユニット7に対して天板ユニット8を取り付ける。
【0048】
このように、天板ユニット8が操作台ユニット7に対して着脱自在に配されているため、天板ユニット8の後方に貸金庫室5への第1出入口20(第1ドア21)を設けることができる。すなわち、メンテナンス時等には、操作台ユニット7から天板ユニット8を外すことにより貸金庫室5へのアクセスが可能となる。これにより、天板ユニット8と貸金庫室5への第1出入口20を別々に設ける場合に比べて、ブース6のコンパクト化を図った上で、天板55の作業スペースを確保できる。しかも、第1ドア21の未使用時には、第1ドア21の前方に天板ユニット8が配されるので、防犯性能の向上も図ることができる。
【0049】
ここで、第2表面38と第1表面37との間に段部39を形成した理由を図6に基づいて説明する。図6は、貸金庫システム1のスライド蓋52および函蓋72が開位置の場合を示す側面図である。
例えば、第2表面38が第1表面37と同じ高さの場合、天板55の下面が第1表面37に対して同じ高さに配置される。これにより、天板55を操作台ユニット7から外す際に、手前側に引き出した天板55で開口部34の周辺を傷つけることが考えられる。このため、天板55を一旦持ち上げてから手前側に引き出す必要がある。
これに対して、本実施形態では、第2表面38と第1表面37との間に段部39を形成して、天板55が載置される第2表面38を、段部39の高さだけ第1表面37に対して上方に配置した。よって、天板55は第1表面37に対して上方に配置されている。これにより、天板55を操作台ユニット7から取り外す際に、前側に引き出した天板55で開口部34の周辺が傷付くのを抑制できる。
【0050】
図4図6に示すように、操作台ユニット7まで保管函11が搬出された状態において、スライド蓋52が開位置P1まで移動する。これにより、開口部34が開放され、開口部34を通じて保管函11にアクセス可能となる。
図6に示すように、保管函11は、上方に開口する箱型の函本体71と、函本体71の開口部を開閉する函蓋72と、を備えている。函蓋72は、開口部34の下方まで搬出された状態において、左右方向に延びる軸線回りに回動可能に函本体71の前端部に連結されている。すなわち、函蓋72の開方向は、スライド蓋52の開方向に対して反対側になっている。
【0051】
本実施形態の函蓋72は、後端部を把持した状態で、上方に引き上げることで、開口部34を経て前方に向けて回動する。これにより、函本体71の開口部が開放されることで、開口部34を通じて保管函11に対して物品を出し入れできる。
このように、スライド蓋52の開方向に対して反対側に函蓋72を開放するようにした。これにより、函蓋72を開放する際に、認証機器33と開口部34との間に函蓋72が配置されるのを回避できる。これにより、操作台ユニット7の上方空間を広く確保できるとともに、認証機器33の操作後、開口部34へのアクセスまでの間に利用者2と函蓋72との干渉を抑制できる。また、天板55と保管函11との間で物品を移動させる際に利用者2と函蓋72との干渉を抑制できる。これにより、利便性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、函蓋72をスライド蓋52の開方向に対して反対側に開放する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、函蓋72を利用者2の作業空間Sに対して反対側(左側)に開放するように構成することも可能である。
これにより、函蓋72を開放する際に、利用者2と開口部34との間に函蓋72が配置されるのを回避できる。これにより、開口部34へアクセスする際に利用者2と函蓋72との干渉を抑制できる。これにより、利便性を向上させることができる。
【0053】
以上説明したように、貸金庫システム1によれば、図3に示すように、操作台ユニット7に認証機器33と開口部34とが備えられることにより、認証機器33および開口部34がまとめて設置されている。これにより、操作台ユニット7のコンパクト化を図ることできる。そして、操作台ユニット7上から側方に天板ユニット8を延ばすことで、ブース6の大型化を抑制した上で、天板55上に十分な作業スペースを確保できる。その結果、貸金庫システム1を快適に利用できる。
また、操作台ユニット7と天板ユニット8とを端面同士で突き合わせる場合に比べて、操作台ユニット7と天板ユニット8との繋ぎ目が目立ち難くなり、操作システム9の外観の意匠性を向上させることができる。
【0054】
次に、スライド蓋52の開位置P1において、スライド蓋52の少なくとも後部52aが操作台32の下側に配置される構成とした理由を図2に基づいて説明する。
認証機器33と開口部34とを一体の操作台ユニット7とした場合には、開口部34を配する第1領域、スライド蓋52を移動させるために必要とする第2領域、さらに認証機器33を配する第3領域を合わせた第1~第3の3つの領域が必要になると考えられる。
【0055】
これに対して、本実施形態では、スライド蓋52の開位置P1において、操作台32の下側にスライド蓋52を配置することで、上述した第2領域及び第3領域を共用できる。これにより、上述した第1~第3の領域を別々に設ける場合に比べて操作台ユニット7のコンパクト化を図ることができる。
【0056】
(変形例)
実施形態の変形例を図7に基づいて説明する。変形例の天板ユニット80において実施形態の天板ユニット8と同一類似の構成部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図7は、実施形態に係る変形例の天板ユニット80を示す拡大正面図である。
図7に示すように、天板ユニット80は、L金具66を板部材81に代えたもので、その他の構成は実施形態の天板ユニット8と同じである。
すなわち、天板55は、第2表面38および連結プレート59に支持された状態において、板部材81で筐体31に着脱自在に取り付けられている。板部材81は、左側部81aと、右側部81bと、を有する。左側部81aが筐体31の第1表面37に第1ねじ83でねじ結合され、右側部81bが天板55の裏面に第2ねじ84でねじ結合されている。
【0057】
天板55を板部材81で筐体31に取り付ける場合には、まず、板部材81の左側部81aを筐体31の第1表面37に第1ねじ83でねじ結合する。つぎに、天板55を第2表面38および連結プレート59に載置する。ついで、板部材81の右側部81bを天板55の裏面に第2ねじ84でねじ結合する。これにより、天板55が板部材81で筐体31に取り付けられる。
一方、板部材81の右側部81bから第2ねじ84を外すことにより、天板55を筐体31から容易に外すことができる。すなわち、天板55は操作台ユニット7に対して着脱自在に配されている。
【0058】
以上、図面を参照して、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施形態では、ブース6の左側に操作台ユニット7を備えた例について説明したが、その他の例として、ブース6の右側に操作台ユニット7を備えることも可能である。
【0059】
また、実施形態では、天板55の全域を、筐体31の第2表面38と脚部54の連結プレート59とで支持する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、天板55の左側部(すなわち、第1天板部62)のみを筐体31の第2表面38で支持する片持支持とすることも可能である。よって、実施形態で必要とする脚部54を不要にできる。これにより、操作台ユニット7から天板55のみを外すことにより一層容易に貸金庫室5へのアクセスが可能となる。
また、脚部54を不要にすることにより、比較的小さなブース6に天板55を設置する際の自由度を高めることができる。なお、操作台ユニット7とブース6の壁との間で天板55を支持する構成としてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、操作台ユニット7の延在方向と天板ユニット8の延在方向とが直交する構成について説明したが、この構成のみに限られない。天板ユニット8は、操作台ユニット7上から操作台ユニット7の側方に延在する構成であれば、操作台ユニット7の延在方向と天板ユニット8の延在方向とが直交以外の交差する方向に延在していてもよく、操作台ユニット7と天板ユニット8とが直線状に並んでいてもよい。
上述した実施形態では、筐体31の第1表面37、第2表面38及び操作台32の高さが上下方向で異なる構成について説明したが、この構成のみに限られない。筐体31の上面は、全体に亘って同一高さに形成されていてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、天板ユニット8が操作台ユニット7に対して着脱自在とした場合について説明したが、この構成に限られない。すなわち、天板ユニット8が操作台ユニット7に固定された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 貸金庫システム
5 貸金庫室(貸金庫)
6 ブース
7 操作台ユニット
8 天板ユニット
11 保管函
31 筐体
32 操作台
33 認証機器
34 開口部
37 第1表面
38 第2表面
51 利用口
52 スライド蓋
55 天板
55d 天板の前縁
72 函蓋
S 作業空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7