(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/51 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
A61F13/51
(21)【出願番号】P 2018208442
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘植 今日子
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-189454(JP,A)
【文献】特開2018-083064(JP,A)
【文献】米国特許第06454747(US,B1)
【文献】特開2004-298467(JP,A)
【文献】特開2003-235892(JP,A)
【文献】特開2011-182816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する長手方向と、該長手方向に直交する幅方向とを有し、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側部に配される背側部と、これらの間に位置する股下部とを備え、該腹側部と該背側部との間にわたって吸収体を有する使い捨ておむつであって、
前記背側部及び前記腹側部はそれぞれ、前記吸収体の端部から外方に、複数の不織布から構成されたウエストフラップ部を有しており、
少なくとも前記背側部において、前記ウエストフラップ部は、
前記幅方向に沿って延びる少なくとも1つの親水領域と、該親水領域に
前記長手方向又は前記幅方向に隣接する非親水領域とを有しており、
前記親水領域においては、厚み方向に積層された複数の不織布のうちのいずれかが親水性不織布であり、
前記非親水領域は、前記使い捨ておむつの厚み方向において前記親水性不織布が存在しない部分であり、
前記親水性不織布は複数の開孔部を有しており、
前記非親水領域を構成する不織布のいずれかも複数の開孔部を有しており、
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積より小さい、使い捨ておむつ。
【請求項2】
平面方向において部分的に親水化された領域を有し、且つ前記親水領域及び前記非親水領域に跨って配された部分親水化不織布を有しており、
前記親水性不織布は、前記部分親水化不織布における前記親水化された領域によって形成されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記親水性不織布が、全体に親水性繊維を含むことで全体が親水性になっている
、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の個数が、前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の個数よりも多い、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記親水性不織布の個々の開孔部の面積が、前記非親水領域の個々の開孔部の面積よりも大きい、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記親水性不織布における開孔部どうしの最近接距離が、前記非親水領域における開孔部どうしの最近接距離よりも小さい、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に、疎水性不織布が配されている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記親水領域が疎水性不織布を含み、
前記疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積以下である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に疎水性不織布が配されており、
前記親水性不織布及び前記疎水性不織布を貫通する前記開孔部が形成されている
、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
汗等の水分の移行性や吸収性、通気性等の観点から、着用者の肌と当接する部位に、複数の開孔部を有するシート材を用いた使い捨ておむつが知られている。
例えば、本出願人は、先に、内層シート部材と外層シート部材との間に、おむつの横方向に伸長した状態で弾性部材が配され、且つ内層シート部材と外層シート部材とを貫通する複数個の貫通孔を有する外装体を、吸収体を含む吸収性本体の非肌対向面側に具備し、吸収性本体の近くにあるシートの方が、吸収性本体から遠くにあるシートに比べて、前記貫通孔の開孔面積が小さい使い捨ておむつを提案した(特許文献1)。
【0003】
また、本出願人は、背側ウエストフラップが疎水性の肌側シート及び親水性の非肌側シートを有し、該肌側シートが、窪み部と該窪み部内に肌側シートを貫通する開孔とを備え、該窪み部の厚みが開孔に近づくほど小さい使い捨ておむつを提案した(特許文献2)。
【0004】
特許文献3には、おむつの表面シートとして利用される不織生地であって、1dtex以下の繊度と少なくとも30mmの長さとを有し、かつ水流交絡によって結合された微細繊維を所定重量備えており、水流交絡前に梳毛されており、水流交絡によって穿孔される不織生地が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-107223号公報
【文献】特開2017-113187号公報
【文献】特表2009-532590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のおむつによれば、外装体に複数個の貫通孔を有することで孔のないおむつに比較して通気性が向上する。また特許文献2に記載のおむつによれば、肌側の疎水層に開孔部を有するシートによってそれに隣接する親水層での汗の吸収が可能である。しかし、汗の吸収後には通気性が低下することがあり、汗の吸収性と液吸収後の通気性とを共に高めることは困難であった。特許文献3には、シートが汗を吸収した後の通気性については何ら記載されていない。
【0007】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側部に配される背側部と、これらの間に位置する股下部とを備え、該腹側部と該背側部との間にわたって吸収体を有する使い捨ておむつであって、前記背側部及び前記腹側部はそれぞれ、前記吸収体の端部から外方に、複数の不織布から構成された背側ウエストフラップ部を有しており、少なくとも前記背側部において、前記ウエストフラップ部は、幅方向に沿って延びる少なくとも1つの親水領域と、該親水領域に隣接する非親水領域とを有しており、前記親水領域においては、複数の前記不織布のうちのいずれかが親水性不織布であり、前記親水性不織布は複数の開孔部を有しており、前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積より小さい、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の使い捨ておむつによれば、通気性と、汗の吸収性とを両立することができ、さらに汗などを吸収した後でも通気性を維持することができ、汗疹等の皮膚トラブルを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの使用状態(着用状態)を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すパンツ型使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す一部破断平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す背側ウエストフラップ部における親水領域及び非親水領域を模式的に示す概略平面図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、クレム吸水高さの測定方法を説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、部分親水化不織布における親水部と非親水部とを区切る境界線BLの位置を説明するための説明図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は、本発明に係る親水領域及び非親水領域における開孔部の配置パターンを例示する平面図である。
【
図8】
図8は、単位面積当たりの開孔部の個数の算出方法を説明するための説明図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明に係る背側ウエストフラップ部の別の実施形態を示す
図3相当図であり、
図9(b)は、
図9(a)の外装体を構成するシートを折り返す前の状態を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る背側ウエストフラップ部のさらに別の実施形態を示す
図3相当図である。
【
図12】
図12は、本発明に係る背側ウエストフラップ部のさらに別の実施形態を示す
図3相当図である。
【
図13】
図13は、本発明に係る背側ウエストフラップ部のさらに別の実施形態を示す図であり、背側ウエストフラップ部及び腹側ウエストフラップ部のおむつ長手方向に沿う断面を並べて示す断面図である。
【
図14】
図14は、本発明に係る背側ウエストフラップ部のさらに別の実施形態を示す
図4相当図である。
【
図15】
図15は、部分親水化不織布の原反ロールの一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~
図3には、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、
図1に示すように、おむつ1の着用状態において着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側部に配される背側部Bと、これらの間に位置する股下部Cとを備えている。おむつ1は、着用者の前後方向、即ち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する長手方向Xと、これに直交する幅方向Yとを有している。おむつ1は、
図2に示すように、長手方向Xに延びる、該おむつ1を幅方向Yに2等分する長手方向中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0012】
おむつ1は、腹側部Aと背側部Bとの間にわたって吸収体23を有している。吸収体23は、液保持性の吸収性コア(図示せず)と、その外面に接触してこれを包むコアラップシート(図示せず)とによって、構成されている。おむつ1は、吸収体23を含む吸収性本体2を幅方向Yの中央部に備えると共に、該吸収性本体2の非肌対向面側即ち該吸収性本体2よりも着用者の身体から遠い側に配された外装体3を備え、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体3の長手方向Xに沿う両側縁部どうしが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されて、一対のサイドシール部S,S、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部WH、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LH(一方のみ図示)が形成されている。
【0013】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば表面シート)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0014】
吸収性本体2は、
図2に示す如きおむつ1の展開且つ伸長状態において、平面視長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bにわたって長手方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の長手方向Xに一致させて、外装体3の幅方向Yの中央部に配置され、接着剤により外装体3に接合されている。おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0015】
吸収性本体2は、
図3に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート21、非肌対向面を形成する液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性の裏面シート22、及び両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23を具備しており、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収性本体2の長手方向Xの全長は、吸収体23のそれと略同じであり、吸収体23の長手方向両端縁23a,23bは、吸収性本体2の長手方向端縁と同位置にある。表面シート21及び裏面シート22としては、それぞれ、この種の吸収性物品に従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、裏面シート22としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。
【0016】
吸収体23は、
図2に示す如き平面視において長手方向Xに長い長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bにわたって長手方向Xに延在している。吸収体23における吸収性コアの主体をなす吸収性材料としては、この種の吸収性物品において吸収体の材料として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、親水化処理された合繊繊、吸水性ポリマー等が挙げられる。吸収性コアの典型的な形態として、木材パルプ等の親水性繊維の繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたものを例示できる。
【0017】
おむつ1において、コアラップシートは、吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面の全域を被覆している。コアラップシートは連続した1枚のシートであってもよく、吸収性コアの肌対向面を被覆する1枚の肌側コアラップシートと、該肌側コアラップシートとは別体で、吸収性コアの非肌対向面を被覆する1枚の非肌側コアラップシートとを含んで構成されていてもよい。コアラップシートとしては、紙、各種不織布、開孔フィルム等の液透過性シートを用いることができる。吸収性コアとコアラップシートとの間は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により接合されていてもよい。
【0018】
図2及び
図3に示すように、吸収性本体2の肌対向面における長手方向Xに沿う両側部には、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の防漏カフ形成用シートから構成された一対の防漏カフ26,26が設けられている。各防漏カフ26は、長手方向Xに伸長状態で配された糸状の防漏カフ形成用弾性部材を1本以上具備しており、該弾性部材がおむつ1の着用時に収縮することによって少なくとも股下部Cで起立し、それによって尿等の排泄液の幅方向Yの外方への流出を阻止する。
【0019】
外装体3は、
図2に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1の外形を形作っており、外装体3の周縁は、その状態のおむつ1の輪郭線、即ち腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの輪郭線を形成している。外装体3は、
図2に示すように、腹側部A及び背側部Bにおいては、股下部Cに比して、幅方向Yの長さが長くなっている。換言すれば、股下部Cにおいては、外装体3の長手方向Xに沿う両側縁部が幅方向Yの中央に向かって凸の円弧状に湾曲しており、
図2に示す如き平面視において、長手方向Xの中央域が幅方向Yの内方に向けて括れている。
【0020】
外装体3は、
図3に示すように、着用状態においておむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外層シート31と、外層シート31の肌対向面に対向配置された内層シート32との積層体を含んで構成されている。おむつ1の着用状態において、外層シート31は着用者の身体から遠い側に位置して、おむつ1の非肌対向面(外面)を形成し、内層シート32は着用者の身体に近い側に位置して、おむつ1の肌対向面(内面)を形成している。外層シート31と内層シート32とは、所定の部位において接着剤等の接合手段を介して互いに接合されている。
【0021】
おむつ1の背側部Bにおいて、外層シート31は、
図3に示すように、内層シート32の長手方向Xの端縁から延出し、内層シート32の肌対向面側に折り返される折り返し部31aを有し、該折り返し部31aは、吸収性本体2の長手方向Xの端縁部を被覆している。即ち、外層シート31は、おむつ1の内面側(肌対向面側)に折り返された折り返し部31aと、おむつ1の外面(非肌対向面)を形成する非折り返し部31bとを有している。外層シート31の折り返し位置は、ウエスト開口部WHの周縁端WEと一致する。一方、内層シート32は、折り返されていない。外層シート31は、おむつ1の腹側部A側にも、同様の折り返し部及び非折り返し部を有している。
【0022】
外層シート31、又は内層シート32等の、外装体3を構成するシートとしては、各種製法による不織布を用いることができ、例えばスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、メルトブローン不織布、又はこれらの積層不織布等が挙げられる。後述する補助シートも、前述の不織布を用いることができる。
【0023】
おむつ1の背側部B及び腹側部Aはそれぞれ、吸収体23の端部23A,23Bから外方に、複数の不織布から構成されたウエストフラップ部を有している。ウエストフラップ部は、幅方向Yにおける一対のサイドシール部S,S間の領域であって、吸収体23の長手方向Xの端縁から長手方向Xの外方に延出した領域、及び該吸収体23の長手方向Xの各側縁と各サイドシール部Sとの間の領域である。本実施形態において、ウエストラップ部の長手方向Xの最大長さL(
図4参照)は、サイドシール部Sの長手方向Xの全長と等しい。以下、背側部Bにおけるウエストフラップ部を背側ウエストフラップ部Fb、及び腹側部Aにおけるウエストフラップ部を腹側ウエストフラップ部Faともいう。詳細には、背側ウエストフラップ部Fbは、吸収体23の長手方向Xの背側部B側の後端部23Bの端縁23bから長手方向Xの外方に位置して幅方向Yに延びる領域b1と、吸収体23の長手方向Xの背側部B側の後端部23Bの側縁から幅方向Yの外方に延びる領域b2とを合わせた領域を意味する。また、おむつ1の腹側部Aは、吸収体23の端部から外方に、腹側ウエストフラップ部Faを有している。腹側ウエストフラップ部Faは、吸収体23の長手方向Xの腹側部A側の前端部23Aの端縁23aから長手方向X外方に位置して幅方向Yに延びる領域a1と、吸収体23の長手方向Xの腹側部A側の前端部23Aの側縁から幅方向Yに延びる領域a2とを合わせた領域を意味する。
【0024】
本実施形態において背側ウエストフラップ部Fbは、長手方向Xにおける吸収体23の端縁23bよりも同方向X外方に延出した外装体3から構成されている。具体的には、背側ウエストフラップ部Fbは、
図3に示すように、外層シート31の折り返し部31a及び非折り返し部31bと、該折り返し部31aと非折り返し部31bとの間に位置する内層シート32とが積層した積層構造を有している。このように、背側ウエストフラップ部Fbは、複数の不織布から構成される。背側ウエストフラップ部において折り返されている不織布を含む場合、該不織布を2枚分の不織布とする。背側ウエストフラップ部Fbは、外装体3を構成する不織布から構成されていてもよく、外装体3を構成する不織布及びそれ以外の不織布から構成されていてもよい。
【0025】
背側ウエストフラップ部Fbは、幅方向Yに沿って延びる少なくとも1つの親水領域40と、該親水領域40に隣接する非親水領域45とを有している。親水領域40においては、複数の不織布のうちのいずれかが親水性不織布である。即ち、背側ウエストフラップ部Fbにおいて親水領域40は、おむつの厚み方向において親水性不織布が存在する領域を意味し、該親水領域における親水性不織布に疎水性不織布が重なって配されていてもよい。逆に、非親水領域45は、おむつの厚み方向において親水性不織布が存在しない部分を意味しており、1枚又は複数枚の疎水性不織布から構成される。本実施形態では親水性不織布41が、部分的に親水化された領域を有している部分親水化不織布であり、該部分親水化不織布の親水化された部分が、親水領域40となっている。部分親水化不織布は、親水化された領域を有している。一方、前記部分親水化不織布における親水化されていない部分であって、おむつの厚み方向に他の親水性不織布41が存在しない領域が、非親水領域45となっている。親水領域40は、1枚の親水性不織布を有してもよく、2枚以上の複数の親水性不織布を有していてもよい。
【0026】
親水性不織布41は、親水性繊維を含むことでその全体又は一部が親水性になっている。親水性不織布41と非親水領域45とは、後述する<クレム吸水高さ>の測定値によって区別される。
【0027】
図4は、本実施形態における親水領域40及び非親水領域45の配置を模式的に示す概略平面図である。本実施形態において親水領域40及び非親水領域45は、
図4に示すように、背側ウエストフラップ部Fbの幅方向Yの全体に亘って延在しており、長手方向Xにおいて2つの非親水領域45が親水領域40を挟むようにして位置している。親水領域40は、長手方向Xにおいて非親水領域45と隣接している。親水領域40は、幅方向Yにおいて非親水領域45と隣接していてもよい。
図4では、弾性部材33の図示を省略している。
【0028】
親水性不織布41は、
図3及び
図4に示すように、複数の開孔部50を有している。親水性不織布41において開孔部50は、散点状に配されている。本実施形態においては、
図4に示すように、非親水領域45を構成する不織布も複数の開孔部55を有しているが、
図3では該開孔部55の図示を省略している。親水性不織布41における開孔部50を第1開孔部50ともいい、非親水領域45を構成する不織布における開孔部55を第2開孔部55ともいう。これら開孔部には、不織布を構成する繊維間の隙間や不織布を貫通する一方向に延びるスリットは含まれない。即ち、開孔部は、その面積が0.1mm
2以上20mm
2以下のものである。
【0029】
親水性不織布41と非親水領域45とは、単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部50,55の総面積が異なっている。即ち、単位面積当たりの第1開孔部50及び第2開孔部55それぞれの総面積が異なっている。非親水領域45の単位面積当たりの第2開孔部55の総面積は、親水性不織布41の単位面積当たりの第1開孔部50の総面積より小さい。
【0030】
非親水領域45に複数の不織布が積層されており、各不織布の単位面積当たりの第2開孔部55の総面積が異なる場合、該総面積が最大となる不織布を選択し、その不織布における単位面積当たりの第2開孔部55の総面積を非親水領域45の単位面積当たりの第2開孔部55の総面積とする。また、非親水領域45における複数の不織布のうち、一部の不織布又は全ての不織布が、第2開孔部55を有していなくてもよい。
親水領域40に複数の親水性不織布41が積層されており、これら親水性不織布41の単位面積当たりの第1開孔部50の総面積が異なる場合、該総面積が最小となる親水性不織布を選択し、その親水性不織布における単位面積当たりの第1開孔部50の総面積を親水領域40の単位面積当たりの第1開孔部50の総面積とする。
【0031】
おむつ1は、通常のおむつと同様にして着用者に着用される。背側ウエストフラップ部Fbは、着用状態において着用者の胴回りの肌に当接され、親水領域40の親水性不織布41が、着用者の汗を吸収する。
ところで、本発明者らは、親水性不織布の液吸収シートを用いた従来のおむつは、汗の吸収によって繊維間に液膜を形成し、それにより、液吸収後の通気性が疎水性不織布からなる非親水領域よりも低下することを知見した。通気性の低下は、おむつ内部の湿度上昇の原因となり、ひいては肌トラブルを引き起こす原因ともなり得る。
これに対して、おむつ1の背側ウエストフラップ部Fbは、第1及び第2開孔部50,55の単位面積当たりの総面積が上述した大小関係であることによって、親水性不織布41によって吸収された汗が、第1開孔部50では液膜を形成し難く、吸収された汗により通気性が低下することが抑制される。これにより、親水領域40が汗を吸収しても、第1開孔部50を介した通気性が良好に維持される。
また、非親水領域45の開孔部50の単位面積当たりの総面積よりも親水領域40の開孔部50の単位面積当たりの総面積が大きいことにより積極的に親水領域に通気が促され、親水性不織布41に吸収された汗を効率よく蒸発させることができる。
おむつ1によれば、このようにして、汗の吸収性と通気性とが両立され、汗を吸収してもおむつの着装内の湿度上昇が抑制され、また吸収された汗および肌上に残る汗を効率よく蒸発させることで、蒸れによる汗疹等の皮膚トラブルを低減できる等の優れた効果が奏される。
【0032】
非親水領域45は、親水性不織布41が配されていない部分である。即ち、非親水領域45は、疎水性不織布46のみが配されている部分である。非親水領域45は、長手方向Xに延在していてもよい。例えば、非親水領域45は、長手方向Xにおいて、吸収体23の後端部23Bから、股下部Cを介して、吸収体23の前端部23Aまで延びていてもよい。このように、非親水領域45は、ウエストフラップ部だけでなく、股下部Cに存在していてもよい。親水性不織布41は、疎水性不織布46に比して親水性が高いことから、疎水性不織布46に比して汗を吸収し易い。親水性不織布41と、疎水性不織布46とは以下の方法により区別される。
【0033】
<クレム吸水高さの測定方法>
クレム吸水高さの測定方法を、
図5を用いて説明する。クレム吸水高さは、JIS-P8141に準じて測定する。先ず、おむつから、背側ウエストフラップ部を構成する複数の不織布を切り出す。この際、背側ウエストフラップ部における積層位置を特定し得るように各不織布を切り出す。各不織布から、おむつの長手方向の長さが同方向におけるサイドシール部の全長に相当する長さ、及び長手方向中心線CLを中心におむつの幅方向の長さが200mmの測定片を切り出す。この短冊状の測定片を、幅方向Yを鉛直方向にして、該幅方向Yの肌対向面側から見て右側の端部Rから幅方向Yに15mmの位置に長手方向Xに延びる標線SLを引き、前記右側の端部Rにクリップなどのおもりを付け、端部Rから標線SLまでを静かに水につけ10分間浸す〔
図5(a)参照〕。その後、標線SLから測定片の長手方向の上方に向かって水が吸い上げられる。測定片の長手方向において、標線SLから水が吸い上げられた部分の長さ、即ちクレム吸水高さが5mm超である部分を「親水部」とし、クレム吸水高さが5mm以下である部分を「非親水部」とする。全体が親水性である親水不織布では、測定片の短手方向の全長に亘って親水部となる。非親水性不織布では、測定片の短手方向の全長に亘って非親水部となる。一部が親水性である部分親水化不織布では、測定片の短手方向における一部が親水部となり、該短手方向の他の部分が非親水部となる。
前記クレム吸水高さは、水が吸い上げられた部分の面積及び寸法により、クレム吸水高さを求める。具体的には、測定片の短手方向(おむつの長手方向)において、前記水が吸い上げられた部分の該短手方向の長さを2等分する二等分線CL1〔
図5(b)参照〕を中心に幅20mm、標線SLから長さ180mmの領域を評価域S0とし、該評価域S0における標線SLから
図5(b)中の上の部分の測定片のクレム吸水面積S1を評価域の幅W3(20mm)で割った値を求める。この測定を3回繰り返し、これらの平均値を、クレム吸水高さとする。
【0034】
一部が親水性である部分親水化不織布では、1枚の不織布において開孔部の配置パターンが相互に異なる領域を複数有している。開孔部の配置パターンは、開孔部の形状や大きさ、開孔部の配置が所定の形態であることを意味する。部分親水化不織布では、<クレム吸水高さの測定方法>における測定片を開孔部の配置パターン毎に切り出すか、又は
図5(b)に示すように切り出さずに開孔部の配置パターン毎にクレム吸水高さを測定する。測定片を開孔部の配置パターン毎に切り出す場合、一方の開孔部の配置パターンと他方の開孔部の配置パターンとの間の長さを2等分する中央線を、開孔部の配置パターンが異なる境界線と仮定し、前記中央線から一方の開孔部の配置パターン側又は他方の開孔部の配置パターン側に10mmの間隔を空けた上で、測定片を無作為に切り出す。前記中央線は、一方の開孔部の配置パターンと、他方の開孔部の配置パターンとの境目に最も近い、異なる配置パターンの開孔部の外縁どうしの間を2等分し、且つ幅方向Yに延びる直線である。例えば、前記境目に最も近い第1開孔部の外縁と第2開孔部の外縁との間を2等分し、且つ幅方向Yに延びる直線である。こうして部分親水化不織布から切り出された複数の測定片は、そのうちの一部の測定片が親水部となり、その他の測定片が非親水部となる。
【0035】
前記親水部は、クレム吸水高さが好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは180mm以下であり、また好ましくは5mm以上180mm以下、より好ましくは10mm以上180mm以下である。
前記非親水部は、クレム吸水高さが、好ましくは0mm以上であり、また好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0mm以上4mm以下、より好ましくは0mm以上3mm以下である。
親水部及び非親水部それぞれのクレム吸水高さは、好ましくは背側ウエストフラップ部Fb、より好ましくは背側及び腹側ウエストフラップ部において上述の範囲内であることが好ましい。
【0036】
おむつ等の吸収性物品からその構成部材(例えば内層シート)を取り出して評価測定する場合において、その構成部材が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、固定されていない部分において測定するか、その固定部分を除去してから取り出す。その際、構成部材に付与された親水化剤への影響を最小限に抑える観点から、固定部分の除去方法として、溶剤の塗布やドライヤーによる熱風吹き付けのような、油剤の変質、喪失を招くおそれのある方法は採用しないことが好ましい。
また、その構成部材が、後述する
図9に示すように、接着剤、融着などによってウエストフラップ部における他の不織布や弾性部材に固定されている場合には、固定されたままで測定してもよい。その際、不織布が十分に伸長した状態となるように端部Rにおもりをつけ、目的とする構成部材の断面が水に浸かるようにする。
【0037】
上述した方法により親水性不織布41と疎水性不織布46とを区別し、又は部分親水化不織布における親水部と非親水部とを区別した上で、背側ウエストフラップ部Fbにおける各不織布の積層位置を特定して、背側ウエストフラップ部Fbにおける親水領域40と非親水領域45とを区別し、親水領域の開孔部の配置パターンと非親水領域の開孔部の配置パターンとを特定する。腹側ウエストフラップ部Faにおいても、背側ウエストフラップ部Fbと同様の方法により、親水領域40と非親水領域45とを区別し、親水領域の開孔部の配置パターンと非親水領域の開孔部の配置パターンとを特定する。
【0038】
前記部分親水化不織布では、これを親水部と非親水部とに区別した上で、親水領域40の開孔部の配置パターンと、非親水領域45の開孔部の配置パターンとを特定する。この場合、部分親水化不織布における親水部と非親水部とを区切る境界線BLは、非親水部側の境界開孔部直線K2から長手方向Xの外方(
図6中上方)に10mm離間した位置と、親水部側の境界開孔部直線K3から長手方向Xの外方(
図6中下方)に10mm離間した位置との間に位置してもよい。境界開孔部直線K2は、非親水部において長手方向Xの最も親水部側に位置する開孔部55の外縁のうち、長手方向Xの最も親水部側に位置する部分を通り、且つ幅方向Yに延びる直線である。境界開孔部直線K3は、親水部において長手方向Xの最も非親水部側に位置する開孔部50の外縁のうち、長手方向Xの最も非親水部側に位置する部分を通り、且つ幅方向Yに延びる直線である。また、前記境界線BLは、遠位開孔部直線K1と境界開孔部直線K2とを結ぶ垂線の長さをL2としたとき、該境界開孔部直線K2を中心に親水部側及び非親水部側に前記長さL2の10%の範囲内に位置してもよい。遠位開孔部直線K1は、親水部において長手方向Xの非親水部から最も遠い開孔部の外縁のうち、長手方向Xの最も非親水部から遠い部分を通り、且つ幅方向Yに延びる直線である。部分親水化不織布において、親水部と非親水部とを区切る境界線BLは、前述した<クレム吸水高さの測定方法>にて確認することができる。
【0039】
汗をより確実に吸収する観点から、長手方向Xにおける親水領域40の長さL1(
図4参照)は、レッグ開口部LHの周縁端からウエスト開口部の周縁端WEまでの最短長さL(
図4参照)に対して、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは10%以上100%以下、より好ましくは20%以上90%以下である。背側ウエストフラップ部Fb及び腹側ウエストフラップ部Faの双方において、レッグ開口部LHの周縁端からウエスト開口部の周縁端WEまでの最短長さLに対する、長手方向Xにおける親水領域40の長さL1の割合が上述した範囲であることが好ましい。
上記と同様の観点から、長手方向Xにおける親水領域40の長さL1(
図4参照)は、成人用おむつの場合、好ましくは10mm以上180mm以下、より好ましくは20mm以上160mm以下であり、幼児用おむつの場合、好ましくは10mm以上140mm以下、より好ましくは20mm以上126mm以下である。
【0040】
汗をより確実に吸収する観点から、親水領域40の幅方向Yの長さW1(
図4参照)は、背側ウエストフラップ部Fbの幅方向Yの最大長さWに対して、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であり、また好ましくは100%以下であり、また好ましくは30%以上100%以下、より好ましくは40%以上100%以下である。腹側ウエストフラップ部Faの幅方向Yの最大長さに対する、親水領域40の幅方向Yの長さW1の割合も、上述した範囲であることが好ましい。
上記と同様の観点から、幅方向Yにおける親水領域40の長さW1(
図4参照)は、成人用おむつの場合、好ましくは200mm以上650mm以下、より好ましくは300mm以上550mm以下であり、幼児用おむつの場合、好ましくは100mm以上500mm以下、より好ましくは200mm以上470mm以下である。
【0041】
第1及び第2開孔部50,55の単位面積当たりの総面積は、上述した<クレム吸水高さの測定方法>の測定片を用いる。この測定片は親水性不織布41であるか、若しくは疎水性不織布46であるかを特定した上で、又は測定片が部分親水化不織布である場合は、該不織布における親水部及び非親水部を特定した上で、下記の方法により開孔部の単位面積当たりの総面積を測定する。
【0042】
<単位面積当たり開孔部の総面積の測定方法>
上述した<クレム吸水高さの測定方法>の測定片における単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部の総面積を、画像解析装置を用いて測定する。予め、測定片の水を吸い上げた部分は乾燥させる。測定は前記測定片の任意の3箇所(10mm四方の100mm2)で繰り返し、これらの平均値を、単位面積当たりの開孔部の総面積とする。不織布が部分親水化不織布である場合は、親水部の任意の3箇所(10mm四方の100mm2)で単位面積当たりの開孔部の総面積を測定し、これらの平均値を親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積とする。部分親水化不織布における非親水部も、同様の方法により、単位面積当たりの開孔部の総面積を測定する。画像解析装置として、例えば、KEYENCE社製、VHX-1000を用いることができる。
【0043】
通気性及び汗の吸収性を向上させる観点から、単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの第2開孔部55の総面積は、単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの第1開孔部50の総面積に対して、好ましくは75%以下、より好ましくは65%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは0%以上75%以下、より好ましくは10%以上65%以下である。前記と同様の観点から、単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの第1開孔部50の総面積は、好ましくは40mm2以下、より好ましくは30mm2以下であり、また好ましくは0.5mm2以上、より好ましくは1mm2以上であり、また好ましくは0.5mm2以上40mm2以下、より好ましくは1mm2以上30mm2以下である。前記と同様の観点から、単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの第2開孔部55の総面積は、好ましくは30mm2以下、より好ましくは20mm2以下であり、また好ましくは0mm2以上、より好ましくは0.5mm2以上であり、また好ましくは0mm2以上30mm2以下、より好ましくは0.5mm2以上20mm2以下である。
【0044】
親水性不織布41は、親水性繊維を含むことでその全体又は一部が親水性になっている。本実施形態において、親水性不織布41は、部分的に親水化された領域を有している。換言すると、本実施形態の親水性不織布41は、部分的に親水化された部分親水化不織布における親水化された領域(親水部)である。この部分親水化不織布は、親水化された領域と、非親水領域とを有する不織布である。「親水化された領域」は、前述した親水部である。前記部分親水化不織布に代えて、親水性不織布41は、全体に親水性繊維を含むことで全体が親水性になっていてもよい。親水領域40は、外装体3を構成する外層シート31及び内層シート32、並びに補助シート4の少なくとも何れかが親水性不織布41となる。補助シート4は、外層シート31及び内層シート32とは別体のシートであり、ウエストフラップ部において外層シート31及び内層シート32と重ねて配される。
【0045】
親水性不織布41とは逆に、疎水性不織布46は、主に疎水性繊維を構成繊維として含むことでその全体が疎水性となっている。親水性繊維と疎水性繊維とは、接触角の高低により区別される。具体的には、繊維の接触角が90°より小さければ親水度の高い親水性の繊維と判断し、また、接触角が90°以上であれば、親水度の低い疎水性の繊維と判断する。繊維の接触角は以下の方法により測定される。
【0046】
<接触角の測定方法>
上述した<クレム吸水高さの測定方法>において、親水性不織布又は非親水性不織布と特定された領域から、繊維を取り出す。この際、繊維は、吸水していないものを測定するため、前記<クレム吸水高さの測定方法>の測定片から繊維を採取する場合は、該測定片において水を吸い上げていない部分から繊維を採取する。あるいは、開孔部の配置パターンに基づき、親水性不織布と特定した不織布又は親水部43と特定した領域から繊維をランダムにサンプリングし、これを親水性不織布の繊維とする。これと同様に、疎水性不織布と特定した不織布又は非親水部47と特定した領域から繊維をランダムにサンプリングし、これを疎水性不織布の繊維とする。次いで、複数サンプリングした繊維の水の接触角を測定する。繊維の接触角の測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA-Jを用いる。接触角の測定には蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC-25)から吐出される液量を10ピコリットルに設定して、水滴を、それぞれの繊維の中央の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msecごとに画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。繊維は、繊維長10mm程度に裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第1桁で四捨五入)を接触角と定義する。接触角の低いものほど親水性が高いことを意味する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。前記測定を3回繰り返し、これらの繊維の接触角の平均値を繊維の接触角とする。
【0047】
親水性繊維の接触角は、好ましくは87度以下、より好ましくは80度以下、さらに好ましくは65度以下である。また、非親水性繊維の接触角は、好ましくは90度以上、より好ましくは120度以上である。
【0048】
第1開孔部50及び第2開孔部55は、単位面積当たりの個数や個々の開孔部の面積等を互いに異ならせることで、単位面積当たりの総面積を上述した大小関係にすることができる。この大小関係は、例えば、親水性不織布41の単位面積(10mm四方の100mm
2)当たりの開孔部50の個数が、非親水領域45の単位面積(10mm四方の100mm
2)当たりの開孔部55の個数よりも多いことによって達成される〔
図7(a)参照〕。このような態様を態様(1)ともいう。態様(1)の場合、通気性を向上させる観点から、第2開孔部55の単位面積当たりの個数は、第1開孔部50の単位面積当たりの個数に対して、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは0%以上90%以下、より好ましくは10%以上80%以下である。また、前記と同様の観点から、第1開孔部50の単位面積当たりの個数は、25個以下、より好ましくは20個以下であり、また好ましくは0.5個以上、より好ましくは1個以上であり、また好ましくは0.5個以上25個以下、より好ましくは1個以上20個以下である。また、前記と同様の観点から、第2開孔部55の単位面積当たりの個数は、22.5個以下、より好ましくは20個以下であり、また好ましくは0個以上、より好ましくは0.05個以上であり、また好ましくは0個以上22.5個以下、より好ましくは0.05個以上20個以下である。
【0049】
<単位面積当たりの開孔部の個数の算出方法>
単位面積当たりの開孔部の個数の算出方法を、
図8を用いて説明する。開孔部の個数は、親水性不織布又は非親水領域45を構成する不織布において基準範囲を想定し、該基準範囲内の開孔部の個数をカウントする。先ず、第1開孔部50を例に説明する。親水性不織布から、10mm×10mmの測定片を無作為に切り出す。当該測定片において長手方向X及び幅方向Yそれぞれの相対位置が同一の複数の第1開孔部50を1つの繰り返し単位Q1とする。そして、長手方向Xに配された繰り返し単位Q1の2つ分の長さを基準範囲B1の長手方向Xの長さe1とし、幅方向Yに配された繰り返し単位Q1の2つ分の長さを基準範囲B1の幅方向Yの長さw1とする。次いで、基準範囲B1内の開孔部の個数をカウントする。次いで、基準範囲B1の面積(w1×e1)を算出し、基準範囲B1内の開孔部の個数n1を基準範囲B1の面積で割り、単位面積当たりの開孔部の個数に変換する。単位面積当たりの第1開孔部の個数は、下記式(1)により算出される。サンプル片の外縁付近に、第1開孔部が部分的に存在する場合は、該開孔部を1/2個と見なしてカウントする。測定片は、3枚以上採取し、それらの単位面積当たりの開孔部の個数の平均値を求め、該平均値を単位面積当たりの開孔部の個数とする。
【0050】
【0051】
親水性不織布が部分親水化不織布である場合、該不織布において開孔部の配置パターンがそれぞれ異なる各領域から、測定片を切り出す。この際、開孔部の配置パターンが異なる境界線EF(
図8参照)を、一方の開孔部の配置パターンと他方の開孔部の配置パターンとの間の長さを2等分する中央線EFと仮定し、該中央線から一方の開孔部の配置パターン側又は他方の開孔部の配置パターン側に10mmの間隔を空けた上で、測定片を無作為に切り出す。前記中央線EFは、前記境目に最も近い第1開孔部の外縁と第2開孔部の外縁との間を2等分し、且つ幅方向Yに延びる直線である。
【0052】
第2開孔部55についても、親水性不織布と同様の方法によって、単位面積当たりの開孔部の個数を算出する。部分親水化不織布の非親水部47における単位面積当たりの第2開孔部55の個数を算出する場合、部分親水化不織布における開孔部の配置パターンの境界線(EF)から長手方向Xの非親水領域45側に10mm間隔を空けたうえで、基準範囲B2を想定し、該基準範囲B2内の第2開孔部55の個数をカウントする(
図8参照)。
図8に示す符号Q2は、第2開孔部55についての繰り返し単位である。また、基準範囲B2の面積(w2×e2)を算出し、基準範囲B2内の第2開孔部55の個数n2を基準範囲B2の面積で割り、単位面積当たりの開孔部の個数に変換する。なお、第2開孔部55に関し、単位面積当たりの開孔部の個数は、下記式(2)により算出される。
【0053】
【0054】
前記の大小関係は、例えば、親水性不織布41の個々の第1開孔部50の面積が、非親水領域45の個々の開孔部55の面積よりも大きいことによっても達成される〔
図7(b)参照〕。このような態様を態様(2)ともいう。態様(2)の場合、通気性及び汗の吸収性を向上させる観点から、個々の第2開孔部55の面積は、個々の第1開孔部50の面積に対して、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは0%以上90%以下、より好ましくは10%以上80%以下である。前記と同様の観点から、個々の第1開孔部50の面積は、好ましくは20mm
2以下、より好ましくは15mm
2以下であり、また好ましくは0.5mm
2以上、より好ましくは1mm
2以上であり、また好ましくは0.5mm
2以上20mm
2以下、より好ましくは1mm
2以上15mm
2以下である。前記と同様の観点から、個々の第2開孔部55の面積は、好ましくは18mm
2以下、より好ましくは12mm
2以下であり、また好ましくは0.1mm
2以上、より好ましくは0.2mm
2以上であり、また好ましくは0.1mm
2以上18mm
2以下、より好ましくは0.2mm
2以上12mm
2以下である。個々の開孔部の面積は、上述の<単位面積当たりの開孔部の個数の算出方法>と同様の方法で採取した測定片から、無作為に5個の開孔部を選び、画像解析装置(例えば、KEYENCE社製、VHX-1000)を用いて、開孔部の1個当たりの面積の平均値を求める。測定片は、3枚以上採取し、それらの開孔部の1個当たりの面積の平均値を求め、該平均値を個々の開孔部の面積とする。
【0055】
前記の大小関係は、例えば、親水性不織布41における第1開孔部50どうしの最近接距離D1が、非親水領域45における第2開孔部55どうしの最近接距離D2よりも小さいことによっても達成される〔
図7(a)参照〕。このような態様を態様(3)ともいう。態様(3)の場合、通気性を向上させる観点から、第1開孔部50どうしの最近接距離D1〔
図7(a)参照〕は、第2開孔部55どうしの最近接距離D2〔
図7(a)参照〕に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また好ましくは80%以上10%以下、より好ましくは70%以上20%以下である。前記と同様の観点から、第1開孔部50どうしの最近接距離D1は、好ましくは16mm以下、より好ましくは14mm以下であり、また好ましくは1mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは1mm以上16mm以下、より好ましくは4mm以上14mm以下である。前記と同様の観点から、第2開孔部55どうしの最近接距離D2は、好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下であり、また好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは2mm以上20mm以下、より好ましくは5mm以上18mm以下である。開孔部どうしの最近接距離は、開孔部及び該開孔部と最も近接する他の開孔部からなる一対の開孔部を無作為に2組選び、一対の開孔部間の最短距離の平均値を画像解析装置により測定する。測定は3回繰り返し、これらの平均値を、開孔部どうしの最近接距離とする。
【0056】
上述した態様(1)~(3)は、非親水領域45における不織布が開孔部55を有していることを前提とする。これら態様(1)~(3)を組み合わせて、前記の大小関係を達成してもよい。例えば、
図7(a)に示すように、前記態様(1)と前記態様(3)とを組み合わせてもよい。
【0057】
前記の大小関係は、親水性不織布41にのみ開孔部50を有することによっても達成される。即ち、非親水領域45における不織布は、開孔部55を有さない。このような態様を態様(4)ともいう。態様(4)では、親水性不織布41が部分親水化不織布である場合、非親水領域45における部分親水化不織布は非親水部に開孔部を有さない。
【0058】
本実施形態の背側部Bにおいて、吸収体23は、非親水領域45と長手方向Xにおいて隣接している。このように、吸収体23近傍が非親水領域45であると、吸収体23が吸収した体液等が、該吸収体23近傍のシートに伝って漏れが生じることが抑制される。
【0059】
本実施形態において親水領域40は、長手方向Xにおいてサイドシール部Sと重なる領域に位置している。これに代えて、親水領域40は、ウエストフラップ部だけでなく、股下部Cに存在していてもよい。例えば、親水領域40の股下部C側の端部が、吸収体23の長手方向Xの端縁よりも股下部C側に延在してもよい。また、親水領域40は、吸収体23の長手方向X端縁を跨いで、長手方向Xに分割して配されていてもよい。
【0060】
腹側部Aは、背側部Bと同じ構成を具備していてもよく、背側部Bと異なる構成を具備していてもよい。例えば、腹側部Aは、吸収体23の端部23Aから外方に、複数の不織布から構成された腹側ウエストフラップ部Faを有し、該腹側ウエストフラップ部Faが、背側ウエストフラップ部Fbと同じ構成を具備していてもよく、異なる構成を具備していてもよい。腹側部Aが背側部Bと同じ構成を具備する場合、腹側部Aについては背側部Bについての説明が適宜適用される。
【0061】
本実施形態の親水領域40には、外層シート31の非折り返し部31bと内層シート32との間に、複数の胴回り弾性部材33が配されている。着用時に弾性部材33が収縮することにより、親水性不織布41が着用者の肌に近くなって、汗をより吸収する観点から、親水領域40は、複数の幅方向Yに延びる弾性部材を有していることが好ましい。前記と同様の観点から、親水領域40における前記弾性部材は、好ましくは2本以上25本以下、より好ましくは3本以上20本以下である。
【0062】
第1開孔部50及び第2開孔部55の形状は特に限定されず、任意の形状とすることができる。前記形状として、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、星形、ハート形等が挙げられる。
【0063】
おむつ1について更に説明すると、
図1及び
図2に示すように、おむつ1における腹側部A及び背側部Bそれぞれには、糸状又は帯状の胴周り弾性部材33が幅方向Yに伸長状態で複数本配され、それら複数本の胴周り弾性部材33は長手方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。このように、胴周り弾性部材33がその弾性伸縮性が発現される状態で配されていることにより、ウエスト開口部WHの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のウエストギャザーが形成される。また、レッグ開口部LHそれぞれの開口縁部を形成するレッグ縁部LSには、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材34が伸長状態で配されており、これによってレッグ開口部LHそれぞれの開口縁部には、その全周にわたって実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。これらの弾性部材33,34は、何れも外装体3を構成する外層シート31と内層シート32との間に接着剤等の接合手段により挟持固定されている。
【0064】
おむつ1においては前記の通り、外装体3は、吸収体23よりもおむつ1の着用者の肌から遠い側に配されている。また外装体3は、幅方向Yに伸長状態で固定された胴周り弾性部材33を具備することに起因して、幅方向Yに伸縮性を有しており、同方向に伸縮性を有する伸縮シートである。「伸縮性」とは、所定方向に伸長可能であり且つ伸長を解除すると収縮する性質を意味する。
【0065】
おむつに用いられる弾性部材の形成材料としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができる。弾性材料の形成素材のとしては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0066】
次に、本発明に係る背側ウエストフラップ部の第2~第7実施形態を
図9~12に示す。第2~第7実施形態について、特に説明しない点は、第1実施形態と同様であり、矛盾しない限り、上述した第1実施形態の背側ウエストフラップ部の説明が適宜適用される。
図9~12中には、第1実施形態の背側ウエストフラップ部と同様の構成について、第1実施形態の背側ウエストフラップ部に付した符号と同一の符号を付してある。
【0067】
図9(a)及び(b)並びに
図10に本発明に係る背側ウエストフラップ部の第2実施形態を示す。第2実施形態の親水領域40における疎水性不織布は、後述するように第2開孔部55を有しているが、
図9(a)及び(b)では該第2開孔部55の図示を省略している。
【0068】
第2実施形態では、背側ウエストフラップ部Fb2において、内層シート32が肌対向面側に折り返された折り返し部32aと、折り返されていない部分である非折り返し部32bとを有している。内層シート32の折り返し部32aは、長手方向Xにおいて、ウエスト開口部WHの周縁端WEと吸収体23の長手方向Xの端部との間に位置しており、該折り返し部32aの股下部C側の端部は、吸収体23の端部まで至っていない。
【0069】
第2実施形態において内層シート32は、部分親水化不織布42であり、折り返し部32aに親水化された領域、即ち親水部を有し、該親水部以外の領域が非親水性となっている。本実施形態における背側ウエストフラップ部Fb2では、
図9(a)に示すように、おむつの厚み方向Zにおいて部分親水化不織布42の親水部43が存在する領域が、親水領域40である。
【0070】
前述した第1実施形態では、親水領域40において、親水性不織布が着用者の身体に最も近い側に位置していたが、親水領域40において、親水性不織布よりも着用者の身体に近い側に、疎水性不織布が配されていてもよい。これとは逆に、親水領域40において、親水性不織布よりも着用者の身体に遠い側に、疎水性不織布が配されていてもよい。親水領域40に疎水性不織布が配されていると、着用者や、着用者の保護者等の使用者と、汗を吸収した後の親水性不織布とが接触することを抑制する点で好ましい。この場合、汗の吸収性を向上させる観点から、親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に配された疎水性不織布と該親水性不織布とが接合されていることが好ましい。第2実施形態においては、外層シート31及び内層シート32を折り返す前に、親水領域40における疎水性不織布と該親水性不織布とにエンボス加工を施して接合部60を形成する。これにより、親水領域40における各不織布を接合部60により接合する〔
図9(b)参照〕。この接合後、外層シート31及び内層シート32はそれぞれ、おむつ1の肌対向面側に折り返される。
【0071】
第2実施形態では、親水領域40において、親水性不織布よりも着用者の身体に近い側に、疎水性不織布として外層シート31の折り返し部31aが配されている。本実施形態における親水性不織布は、前述の親水部43である。また、第2実施形態では、親水領域40において、親水性不織布よりも着用者の身体に遠い側に、疎水性不織布として内層シート32の非折り返し部32bが配されている。
【0072】
背側ウエストフラップ部の親水領域40は、疎水性不織布46を含み、複数の不織布が積層されている。通気性を向上させる観点から、親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に配された不織布は、複数の開孔部を有していることが好ましい。この場合、着用時において着用者が運動すること等によって親水性不織布が加圧されると、該親水性不織布に吸収された汗が着用者の肌側に逆戻りすることがある。このような逆戻りを抑制する観点から、親水領域において親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に配された不織布は、該親水性不織布よりも単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部の総面積が小さいことが好ましい。具体的には、親水領域40において疎水性不織布46が複数の開孔部55を有していることが好ましく、該疎水性不織布46の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部55の総面積が、親水性不織布の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部50の総面積以下であることがより好ましい。前記と同様の観点から、親水領域40における疎水性不織布46の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部55の総面積は、親水性不織布の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部50の総面積に対して好ましくは75%以下、より好ましくは65%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上であり、また好ましくは0%以上75%以下、より好ましくは10%以上65%以下である。前記と同様の観点から、親水領域40における疎水性不織布46の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部55の総面積は、好ましくは40mm2以下、より好ましくは30mm2以下であり、また好ましくは0.1mm2以上、より好ましくは3mm2以上であり、また好ましくは0.1mm2以上40mm2以下、より好ましくは3mm2以上20mm2以下である。
【0073】
親水領域40における疎水性不織布46の単位面積(10mm四方の100mm2)当たりの開孔部55の総面積は、上述した<クレム吸水高さの測定方法>で特定した親水性不織布と重なる疎水性不織布の測定片について、上述した<単位面積当たり開孔部の総面積の測定方法>と同様の方法により測定される。親水性不織布と重なる疎水性不織布は、該親水性不織布の肌対向面側又は非肌対向面側に隣接する疎水性不織布であり、肌対向面側及び非肌対向面側の何れか一方の疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部55の総面積が前述した範囲内であることが好ましい。親水性不織布の肌対向面側及び非肌対向面側それぞれに隣接する疎水性不織布を有する場合、これら肌対向面側及び非肌対向面側の好ましくは何れか一方、より好ましくは双方の疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部55の総面積が前述した範囲内となる。
【0074】
図10に、第2実施形態の親水領域40における各不織布の開孔部を示す。
図10では、弾性部材33の図示を省略している。第2実施形態の親水領域40における疎水性不織布はそれぞれ、複数の第2開孔部55を有している。通気性を向上させる観点から、親水性不織布41及び疎水性不織布46を貫通する開孔部56が形成されていることが好ましい。このような開孔部56を貫通開孔部56ともいう。貫通開孔部56は、
図10に示すように、親水領域40を構成する複数の不織布を貫通しており、親水性不織布41の第1開孔部50aと、疎水性不織布46の第2開孔部55とを、おむつの厚み方向Zに連通させるように配することで形成されている。貫通開孔部56を介した通気を促進する観点から、貫通開孔部56を形成する複数の開孔部50a,55はそれぞれ、大きさが等しいことが好ましい。
第2実施形態における親水性不織布41は、貫通開孔部56を形成する第1開孔部50aと、貫通開孔部56を形成しない第1開孔部50bとを有しているが、親水性不織布41は貫通開孔部56を形成する第1開孔部50aのみを有していてもよい。
【0075】
図11に、本発明に係る背側ウエストフラップ部の第3実施形態を示す。本実施形態では、おむつ1の背側部Bにおいて、吸収体23の端縁とウエスト開口部の周縁端WEとの間に、外層シート31及び内層シート32とは別体の補助シート4が配されており、該補助シート4は、外層シート31の折り返し部31aの肌対向面側に位置している。本実施形態の背側ウエストフラップ部Fb3において補助シート4は、その全体が親水性である親水性不織布であり、該補助シート4と重なっている外層シート31及び内層シート32それぞれが疎水性不織布である。即ち、補助シート4と重なる領域が親水領域40となっている。補助シート4は、部分親水化不織布であってもよい。
【0076】
図12に、本発明に係る背側ウエストフラップ部の第4実施形態を示す。本実施形態の背側ウエストフラップ部Fb4における親水領域40の親水性不織布は、部分親水化不織布の親水部43である。内層シート32が部分親水化不織布となっており、その長手方向Xの端部側に親水部43を有している。本実施形態において、外装体3を構成するシート31,32は、何れも肌対向面側に折り返されていない。また、本実施形態の背側ウエストフラップ部を具備するおむつは、吸収体23の長手方向Xの端部を被覆する補助シート4を有している。吸収体23と接する又は吸収体23の近傍に位置する補助シート4は、疎水性不織布であることが好ましい。
【0077】
図13に、本発明に係る背側ウエストフラップ部の第5実施形態を示すとともに、腹側ウエストフラップ部を示す。本実施形態の背側ウエストフラップ部Fb5における親水領域40の親水性不織布は、部分親水化不織布の親水部43である。具体的には、内層シート32が部分親水化不織布となっており、その長手方向Xの両端部側に親水部を有している。親水性不織布である内層シート32は、肌対向面側に折り返されていない。腹側部Aにおいても汗を吸収させる観点から、腹側ウエストフラップ部Fa5は、背側ウエストフラップ部Fb5と同じ構成を具備していることが好ましい。この場合、腹側及び背側ウエストフラップ部Fa5,Fb5は、親水領域40、第1開孔部50、第2開孔部55等の構成を異ならせてもよい。
【0078】
図14に、本発明に係る背側ウエストフラップ部の第6実施形態を示す。本実施形態の背側ウエストフラップ部Fb6は、幅方向Yに相互に間隔を空けて配された複数の親水領域40を有している。このように、背側ウエストフラップ部は、複数の親水領域40を有していてもよい。複数の親水領域40を有する場合、該複数の親水領域40の幅方向Yの長さW1aの合計が、前述した親水領域40の幅方向Yの長さW1の範囲内であることが好ましい。本実施形態における親水領域40における親水性不織布が、部分親水化不織布である場合、該不織布における親水部及び非親水部のクレム吸水高さを測定する上での測定片は、開孔部の配置パターンに基づき、前述の<単位面積当たりの開孔部の個数の算出方法>と同様の方法で切り出す。この際、前記測定片の寸法は、前述の<クレム吸水高さの測定方法>に記載の寸法とする。
【0079】
親水性不織布又は第2開孔部を有する疎水性不織布は、原料シートに開孔加工を施すことによって製造することができる。開孔加工には、原料シートに複数の開孔部を部分的に形成する公知の開孔加工を用いることができる。この開孔加工としては、例えば、カッターロール、熱エンボスロール、ピンエンボスロール等を用いる方法が挙げられる。
【0080】
親水性不織布又は疎水性不織布の原料シートの坪量は、特に制限されず、適宜調整することができる。実用上十分な強度を確保しつつ嵩張らないようにする観点から、原料シートの坪量は、好ましくは9g/m2以上20g/m2以下、より好ましくは12g/m2以上18g/m2以下、さらに好ましくは15g/m2以上17g/m2以下である。
【0081】
原料シートとしては各種の不織布を用いることができ、例えば、外装体3を構成するシートに用いられる上述した不織布を用いることができる。
【0082】
疎水性不織布の原料シートに用いられる疎水性繊維としては、熱融着性繊維を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
親水性不織布の原料シートに用いられる親水性繊維としては、天然繊維、再生セルロール繊維或いは半合成繊維等を用いることができる。天然繊維としては、例えばコットン繊維、絹繊維、パルプ繊維或いは精製セルロース繊維であるリヨセル繊維等が挙げられる。再生セルロース繊維としては、レーヨン繊維やキュプラ繊維のような再生繊維等、半合成繊維としてはアセテート等が挙げられる。これらの親水性の非熱融着性繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
原料シート(不織布)の構成繊維の表面に親水性油剤を塗布して、親水性不織布を製造する場合、親水性不織布の原料シートに用いられる繊維は、上述した疎水性繊維であってもよい。
【0084】
上述の第1実施形態における部分親水化不織布は、連続シートがロール状に巻回された原反ロールを加工して製造される。原反ロールは、
図15に示すように、帯状シートの連続方向に延在する親水部43と、該親水部43に隣接する非親水部47とを有している。親水部43には、前述した第1開孔部50が形成されており、非親水部47には前述した第2開孔部55が形成されているか、又は開孔部自体が形成されていない。このようなロール巻回物では、開孔部の単位面積当たり総面積の相違により、親水部43と非親水部47とを視覚的に区別することができ、親水部を外装体の目的の位置に配置することができる。
【0085】
図15に示す原反ロール420は、該原反ロール420の連続方向に延びる親水部43を3つ有し、該連続方向と直交する原反ロール420の軸方向X1に沿って、非親水部47と親水部43とが交互に並んでいる。これに代えて、原反ロールは、1つの親水部43を有していてもよい。例えば、原反ロールの軸方向X1の両側の端部に非親水部47を有し、該非親水部47間に親水部43を有しているものが挙げられる。
【0086】
原反ロール420の連続シートに親水部43を部分的に形成する方法として、巻回する前の原料シート(不織布)の構成繊維の表面に親水性油剤を塗布する方法等が挙げられる。幅方向Yに延在する親水部43を容易に形成する観点から、不織布の構成繊維の配向に沿って、該構成繊維の表面に親水性油剤を塗布する方法を採用することが好ましい。このような方法としては、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、親水性油剤への浸漬等が挙げられる。
【0087】
上述の親水性油剤としては、衛生品用途に使用される一般的な親水化剤であれば特に限定されない。親水性油剤が表面に塗布された構成繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、該構成繊維の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。
親水性油剤の塗布量は、固形分換算で、好ましくは0.001g/m2以上、より好ましくは0.01g/m2以上であり、また好ましくは0.7g/m2以下、さらに好ましくは0.6g/m2以下であり、また好ましくは0.001g/m2以上0.7g/m2以下、より好ましくは0.01g/m2以上0.6g/m2以下である。
【0088】
親水部43及び非親水部47を有する原反ロール420において、連続方向に延びる切断線を適宜設定し、該接断線に沿って原反ロールを切断することで、親水部43及び非親水部47を有する帯状シート、即ち部分親水化不織布が得られる。例えば
図15に示す形態においては、符号I1及びI2の切断線に沿って原反ロールを切断することで、親水部43及び非親水部47を有する帯状シートが得られる。
外装体3を容易に製造する観点から、原反ロール420からの親水性不織布の切り出しは、背側ウエストフラップ部を構成する他の不織布の連続シートを積層した状態で切断することが好ましい。
【0089】
本実施形態における内層シート32として、熱可塑性繊維どうしを溶融接合した開孔部を複数有し、該熱可塑性繊維の配向方向に沿って連続する親水性が高い親水領域と、該親水領域に隣接する非親水領域とを有しており、該親水領域と該非親水領域とは、単位面積当たりの前記開孔部の総面積が異なっている、吸収性物品用シートを用いる。このような吸収性物品用シートは、上述の本発明の原反ロールと同様の効果が奏される。また、前記吸収性物品用シートは、吸収性物品における伸縮性を有する領域に用いられることが好ましい。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
例えば、上述した第2実施形態においては、内層シート32が部分親水化不織布であったが、外層シート31が部分親水化不織布であってもよい。この場合、外層シート31は、折り返し部31aに親水部を有していることが好ましい。
また、上述した第1実施形態におけるウエストフラップ部は、吸収体23の長手方向Xの端縁から長手方向Xの外方に延出した領域に親水領域40を有していたが、ウエストフラップ部は、吸収体23の長手方向Xの各側縁と各サイドシール部Sとの間の領域に親水領域40を有していてもよい。
【0091】
上述した実施形態のおむつは、展開且つ伸長状態において、外装体3が腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って連続していたが、外装体3は、着用者の背側に配される背側外装体と腹側に配される腹側外装体とに分割されたものであってもよい。この場合、吸収性本体が、背側外装体と腹側外装体との間に架け渡して固定される。
上述した実施形態のおむつは、パンツ型使い捨ておむつであったが、背側部にファスニングテープを有し、該ファスニングテープを腹側部の外面に設けたランディングテープに止着して装着する、いわゆる展開型の使い捨ておむつであってもよい。
【0092】
上述した実施形態において伸縮領域は、外層シート31及び内層シート32との間に複数の弾性部材33を配することで伸縮性を有していたが、外層シート31及び内層シート32との間にシート状の弾性部材を配していてもよい。また、外層シート31及び内層シート32の何れか一方又は双方が幅方向Yに収縮する伸縮性シートで構成されていてもよい。伸縮性シートとしては、各種公知のものを用いることができ、例えば、特開2008-179128号公報に記載の伸縮シート、特開2007-22066号公報に記載の伸縮性シート、特開2007-22066号公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造される伸縮性不織布、特許3054930号公報等を用いることもできる。
【0093】
上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。
<1>
着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側部に配される背側部と、これらの間に位置する股下部とを備え、該腹側部と該背側部との間にわたって吸収体を有する使い捨ておむつであって、
前記背側部及び前記腹側部それぞれは、前記吸収体の端部から外方に、複数の不織布から構成されたウエストフラップ部を有しており、
少なくとも前記背側部において、前記ウエストフラップ部は、幅方向に沿って延びる少なくとも1つの親水領域と、該親水領域に隣接する非親水領域とを有しており、
前記親水領域においては、複数の前記不織布のうちのいずれかが親水性不織布であり、
前記親水性不織布は複数の開孔部を有しており、
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積より小さい、使い捨ておむつ。
【0094】
<2>
前記親水性不織布は、クレム吸収高さが好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは180mm以下である、前記<1>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<3>
前記非親水領域を構成する不織布は、クレム吸収高さが、好ましくは0mm以上であり、また好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下である、前記<2>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<4>
前記おむつは、前記吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、前記おむつの長手方向において、前記腹側部及び前記背側部それぞれにおける両側縁部どうしが、互いに接合されて、一対のサイドシール部、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成されており、
前記おむつの長手方向における前記親水領域の長さは、前記レッグ開口部の周縁端から前記ウエスト開口部の周縁端までの長さに対して、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下である、前記<1>~<3>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<5>
前記背側部において、前記親水領域の幅方向の長さは、前記ウエストフラップ部の幅方向の長さに対して、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であり、また好ましくは100%以下である、前記<1>~<4>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積に対して、好ましくは75%以下、より好ましくは65%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上である、前記<1>~<5>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<7>
前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積が、好ましくは40mm2以下、より好ましくは30mm2以下であり、また好ましくは0.5mm2以上、より好ましくは1mm2以上である、前記<1>~<6>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の総面積が、好ましくは30mm2以下、より好ましくは20mm2以下であり、また好ましくは0mm2以上、より好ましくは0.5mm2以上である、前記<1>~<7>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<9>
前記親水性不織布が、部分的に親水化された領域を有している、前記<1>~<8>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<10>
前記親水性不織布が、部分的に親水化された部分親水化不織布における親水化された領域である、前記<9>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【0095】
<11>
前記おむつは、前記吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを備え、前記おむつの長手方向において、前記腹側部及び前記背側部それぞれにおける両側縁部どうしが、互いに接合されて、一対のサイドシール部、並びに着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成されており、
前記ウエストフラップ部は、前記使い捨ておむつの非肌対向面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面に対向配置された内層シートとの積層体を含んで構成されており、
前記内層シートは、該内層シートが肌対向面側に折り返された折り返し部と、折り返されていない部分である非折り返し部とを有しており、
前記内層シートの前記折り返し部は、長手方向において、前記ウエスト開口部の周縁端と前記吸収体の長手方向の端部との間に位置しており、該折り返し部の前記股下部側の端部は、該吸収体の端部まで至っておらず、
前記内層シートは、前記部分親水化不織布であり、前記折り返し部に親水化された領域である親水部を有し、該親水部以外の領域が非親水性となっている、前記<10>に記載の使い捨ておむつ。
<12>
前記ウエストフラップ部は、前記使い捨ておむつの非肌対向面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面に対向配置された内層シートとの積層体を含んで構成されており、
前記内層シートが前記部分親水化不織布となっており、その長手方向の両端部側に部分的に親水化された親水部を有している、前記<10>に記載の使い捨ておむつ。
<13>
前記外層シート及び前記内層シートは、何れも肌対向面側に折り返されていない、前記<12>に記載の使い捨ておむつ。
<14>
前記親水性不織布が、全体に親水性繊維を含むことで全体が親水性になっている、前記<1>~<8>のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
<15>
前記親水性不織布の単位面積当たりの前記開孔部の個数が、前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の個数よりも多い、前記<1>~<14>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<16>
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の個数は、前記親水性不織布の単位面積当たりの前記開孔部の個数に対して、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上である、前記<1>~<15>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<17>
前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の個数は、25個以下、より好ましくは20個以下であり、また好ましくは0.5個以上、より好ましくは1個以上である、前記<1>~<16>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<18>
前記非親水領域の単位面積当たりの開孔部の個数は、22.5個以下、より好ましくは20個以下であり、また好ましくは0個以上、より好ましくは0.05個以上であり、また好ましくは0個以上22.5個以下、より好ましくは0.05個以上20個以下である、前記<1>~<17>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<19>
前記親水性不織布の個々の開孔部の面積が、前記非親水領域の個々の開孔部の面積よりも大きい、前記<1>~<18>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<20>
前記非親水領域の個々の開孔部の面積は、前記親水性不織布の個々の開孔部の面積に対して、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上である、前記<1>~<19>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【0096】
<21>
前記親水性不織布の個々の開孔部の面積は、好ましくは20mm2以下、より好ましくは15mm2以下であり、また好ましくは0.5mm2以上、より好ましくは1mm2以上である、前記<1>~<20>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<22>
前記非親水領域の個々の開孔部の面積は、好ましくは18mm2以下、より好ましくは12mm2以下であり、また好ましくは0.1mm2以上、より好ましくは0.2mm2以上である、前記<1>~<21>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<23>
前記親水性不織布における開孔部どうしの最近接距離が、前記非親水領域における開孔部どうしの最近接距離よりも小さい、前記<1>~<22>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<24>
前記非親水領域の開孔部どうしの最近接距離は、前記疎水性不織布における開孔部どうしの最近接距離に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である、前記<1>~<23>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<25>
前記親水性不織布における開孔部どうしの最近接距離は、好ましくは16mm以下、より好ましくは14mm以下であり、また好ましくは1mm以上、より好ましくは4mm以上である、前記<1>~<24>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<26>
前記非親水領域における開孔部どうしの最近接距離は、好ましくは20mm以下、より好ましくは18mm以下であり、また好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上である、前記<1>~<25>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<27>
前記親水性不織布にのみ開孔部を有する、前記<1>~<26>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<28>
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に、疎水性不織布が配されている、前記<1>~<27>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<29>
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に疎水性不織布が配されており、
前記疎水性不織布と前記親水性不織布とが接合されている、前記<1>~<28>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<30>
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側に、疎水性不織布として外層シートの折り返し部が配されている、前記<1>~<29>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【0097】
<31>
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に遠い側に、疎水性不織布として内層シートの非折り返し部が配されている、前記<1>~<30>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<32>
前記親水領域が疎水性不織布を含み、
前記疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積が、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積以下である、前記<1>~<31>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<33>
前記親水領域が疎水性不織布を含み、
前記親水領域における前記疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積は、前記親水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積に対して好ましくは75%以下、より好ましくは65%以下であり、また好ましくは0%以上、より好ましくは10%以上である、前記<1>~<32>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<34>
前記親水領域が疎水性不織布を含み、
前記親水領域における前記疎水性不織布の単位面積当たりの開孔部の総面積は、好ましくは40mm2以下、より好ましくは30mm2以下であり、また好ましくは0.1mm2以上、より好ましくは3mm2以上である、前記<1>~<33>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<35>
前記親水領域において、前記親水性不織布よりも着用者の身体に近い側又は着用者の身体から遠い側に疎水性不織布が配されており、
前記親水性不織布及び前記疎水性不織布を貫通する前記開孔部が形成されている、前記<1>~<34>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<36>
前記ウエストフラップ部は、前記使い捨ておむつの非肌対向面を形成する外層シートと、該外層シートの肌対向面に対向配置された内層シートとの積層体を含んで構成されており、
前記背側部の、前記吸収体の端縁とウエスト開口部の周縁端との間には、前記外層シート及び前記内層シートとは別体の補助シートが配されており、該補助シートは、前記外層シートの折り返し部の肌対向面側に位置している、前記<1>~<35>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<37>
前記補助シートが、前記親水性不織布である、前記<36>に記載の使い捨ておむつ。
<38>
前記背側部における前記ウエストフラップ部は、幅方向に相互に間隔を空けて配された複数の前記親水領域を有している、前記<1>~<37>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0098】
1 使い捨ておむつ
2 吸収性本体
23 吸収体
3 外装体
31 外層シート
32 内層シート
40 親水領域
45 非親水領域
50 第1開孔部
55 第2開孔部
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
Fa 腹側ウエストフラップ部
Fb 背側ウエストフラップ部
WE ウエスト開口部の周縁端