(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】耐火被覆構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
E04B1/94 X
E04B1/94 V
E04B1/94 E
E04B1/94 D
(21)【出願番号】P 2019041848
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 武
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016030(JP,A)
【文献】特開2006-002534(JP,A)
【文献】登録実用新案第3171133(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形鋼の長手方向の表面の異なる領域をそれぞれ被覆する異種の耐火被覆材を備え、この異種の耐火被覆材の端部どうしが所定の重ね代を介して重ね合された耐火被覆構造であって、
異種の耐火被覆材は、形鋼の表面の第一の領域に設けられて加熱により発泡する発泡性の耐火被覆材と、第一の領域に隣接する形鋼の表面の第二の領域に設けられて端部が発泡性の耐火被覆材の表面に重ね合された非発泡性の耐火被覆材とからな
り、
形鋼がH形鋼であり、非発泡性の耐火被覆材は布状であり、非発泡性の耐火被覆材の端部は、形鋼のウェブとフランジの間においてウェブに向かって見た場合にU字状に配置された第一材と、第一材のU字状の凹部においてフランジに向かって見た場合にL字状に配置された第二材と、第一材、第二材およびフランジを外側から被覆する第三材とを含んで構成されることを特徴とする耐火被覆構造。
【請求項2】
第一材は、U字状の凹部が第二の領域に向けて開口する方向に配置されることを特徴とする請求項
1に記載の耐火被覆構造。
【請求項3】
発泡性の耐火被覆材が耐火塗料であり、非発泡性の耐火被覆材がロックウールであることを特徴とする請求項1
または2に記載の耐火被覆構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の柱や梁の表面を異種の耐火被覆材で被覆した耐火被覆構造に関し、特に、表面の一方側を耐火塗料で被覆し、所定の重ね代を介して他方側を耐熱ロックウールで被覆した耐火被覆構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼材からなる建物の柱や梁には、耐火性能を向上させる目的で耐火被覆が施されている。耐火被覆の外観の美しさを確保するために、人目に触れない部位にロックウール被覆等を形成し、人目に触れる部分に発泡性の耐火塗料を塗布することがある。ロックウール被覆等と耐火塗料との境目において十分な耐火被覆が形成できなければ、建物の耐火性能が低下してしまう。こうした問題を解決するための技術として、例えば特許文献1の構造が知られている。
【0003】
特許文献1の構造では、鋼材の表面を、発泡性の耐火塗料からなるA領域と、ロックウール等の非発泡性の耐火材からなるB領域とに境界部を介して分け、この境界部の近傍における耐火塗料の厚みを局所的に厚くしている。こうすることで、耐火塗料が加熱されて発泡したときに、境界部付近での耐火塗料の厚みが薄くなってしまうことを防ぎ、境目の耐火性能を確保するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、H形鋼からなる鉄骨梁の長手方向の一方側をロックウールで耐火被覆し、他方側を耐火塗料で耐火被覆する構造に対して、上記の従来の特許文献1の技術を適用すると、耐火塗料の塗装作業が煩雑となり、施工コストを押し上げるおそれがある。このため、簡易に施工でき、かつ、異種耐火被覆材の境界部の耐火性能を確保することのできる構造が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易に施工でき、かつ、異種耐火被覆材の境界部の耐火性能を確保することのできる耐火被覆構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る耐火被覆構造は、形鋼の長手方向の表面の異なる領域をそれぞれ被覆する異種の耐火被覆材を備え、この異種の耐火被覆材の端部どうしが所定の重ね代を介して重ね合された耐火被覆構造であって、異種の耐火被覆材は、形鋼の表面の第一の領域に設けられて加熱により発泡する発泡性の耐火被覆材と、第一の領域に隣接する形鋼の表面の第二の領域に設けられて端部が発泡性の耐火被覆材の表面に重ね合された非発泡性の耐火被覆材とからなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造は、上述した発明において、発泡性の耐火被覆材が耐火塗料であり、非発泡性の耐火被覆材がロックウールであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造は、上述した発明において、形鋼がH形鋼であり、非発泡性の耐火被覆材は布状であり、非発泡性の耐火被覆材の端部は、形鋼のウェブとフランジの間においてウェブに向かって見た場合にU字状に配置された第一材と、第一材のU字状の凹部においてフランジに向かって見た場合にL字状に配置された第二材と、第一材、第二材およびフランジを外側から被覆する第三材とを含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造は、上述した発明において、第一材は、U字状の凹部が第二の領域に向けて開口する方向に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る耐火被覆構造によれば、形鋼の長手方向の表面の異なる領域をそれぞれ被覆する異種の耐火被覆材を備え、この異種の耐火被覆材の端部どうしが所定の重ね代を介して重ね合された耐火被覆構造であって、異種の耐火被覆材は、形鋼の表面の第一の領域に設けられて加熱により発泡する発泡性の耐火被覆材と、第一の領域に隣接する形鋼の表面の第二の領域に設けられて端部が発泡性の耐火被覆材の表面に重ね合された非発泡性の耐火被覆材とからなるので、簡易に施工でき、かつ、異種耐火被覆材の境界部の耐火性能を確保することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、発泡性の耐火被覆材が耐火塗料であり、非発泡性の耐火被覆材がロックウールであるので、簡易に施工でき、かつ、耐火塗料とロックウールの境界部の耐火性能を確保することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、形鋼がH形鋼であり、非発泡性の耐火被覆材は布状であり、非発泡性の耐火被覆材の端部は、形鋼のウェブとフランジの間においてウェブに向かって見た場合にU字状に配置された第一材と、第一材のU字状の凹部においてフランジに向かって見た場合にL字状に配置された第二材と、第一材、第二材およびフランジを外側から被覆する第三材とを含んで構成されるので、H形鋼を耐火被覆する異種耐火被覆材の境界部を簡易に施工できるとともに、その耐火性能を確保することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、第一材は、U字状の凹部が第二の領域に向けて開口する方向に配置されるので、第一の領域側からの境界部の見栄えをよくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を示す概略図であり、(1)は側面図、(2)はC-C線に沿った断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を示す部分図であり、(1)は側面図、(2)はC-C線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を示す要部拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を示す部分図であり、(1)は側面図、(2)はC-C線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を示す部分図であり、(1)は側面図、(2)はC-C線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る耐火被覆構造の他の実施の形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る耐火被覆構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態では、プレコート部材で架構を構築する際に、接合部や継手部を異種材料で耐火被覆することを想定している。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造10は、H形鋼(形鋼)からなる梁12の長手方向の異なる領域A(第一の領域)、領域B(第二の領域)をそれぞれ被覆する耐火塗料14と、耐熱ロックウール16(異種の耐火被覆材)を備える。梁12は、ウェブ18と上フランジ20、下フランジ22を有し、上フランジ20の上面には、床スラブ24が設けられる。
【0018】
耐火塗料14は、加熱により発泡して増厚する発泡性のものであり、
図2に示すように、ウェブ18と下フランジ22の表面全体と、上フランジ20の小口および下面に塗装等により設けられる。耐熱ロックウール16は、
図1に示すように、布状に加工された非発泡性のものであり、ピース1(第一材)と、ピース2(第二材)と、ピース3(第三材)により構成される。
図3に示すように、耐火塗料14と耐熱ロックウール16の境界部26においては、耐熱ロックウール16の端部16Aが、耐火塗料14の端部14Aの上に重ね代Wを介して重ね合されている。耐火塗料14の厚さt1は、耐熱ロックウール16の厚さt2に比べて非常に小さく設定されている。
【0019】
ピース1は、
図4に示すように、矩形のものをU字状に折り曲げた布状物であり、ウェブ18と上下フランジ20、22で区画形成された凹部28に設けられる。このピース1は梁12の側面視でコの字状に配置され、縁部がウェブ18に密接するとともに、折り曲げられた端部1A側が溶接ピン30で上下フランジ20、22に固定されている。コの字状の凹部32は領域Bに向けて開口している。ピース2は、
図5に示すように、矩形のものをL字状に折り曲げた布状物であり、ピース1の凹部32に梁12の下面視でL字状に密接配置される。ピース2の一面2Aは溶接ピン34でウェブ18に固定されている。ピース3は、
図1に示すように、ピース1、2および下フランジ22を外側から被覆する布状物である。ピース3の端部3Aは、床スラブ24に沿って外側に折り曲げられ、溶接ピン36で上フランジ20に固定される。ピース1、ピース2、ピース3は同じ厚さt2で構成されている。
【0020】
重ね代Wは、例えば耐熱ロックウール16の厚さt2程度に設定することができる。また、ピース1を上下フランジ20、22に固定する溶接ピン30の位置は、耐火塗料14の端部14Aから若干の距離(例えば10mm程度)だけ離れた位置に設定することができる。ただし、本発明の重ね代、固定位置(溶接ピン30の位置)はこれに限るものではなく、本発明の作用効果を阻害しない範囲で適宜変更可能である。また、耐火塗料14の厚さt1を1.75mm程度、耐熱ロックウール16の厚さt2を20mm程度に設定するとともに、境界部26の重ね代Wを20mm程度(例えば20mm±10mm)に設定してもよい。このようにすれば、後述するように、優れた耐火性能を確保することができる。
【0021】
本実施の形態の耐火被覆構造10によれば、境界部26における発泡性の耐火塗料14の厚さを局所的に厚くすることなく、境界部26のみならず全体の耐火性能を確保することができる。したがって、本実施の形態は、上記の従来の構造に比べて簡易に施工でき、かつ、異種耐火被覆材の境界部26の耐火性能を確保することができる。また、領域A側からの境界部26の見栄えをよくすることができる。本実施の形態は、プレコート部材で架構を構築する際に、接合部や継手部を異種材料で耐火被覆する場合に境界部の耐火性能を確保するのに特に有効である。
【0022】
なお、上記の実施の形態では、耐熱ロックウール16のピース1の凹部32が領域Bに向けて配置される場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば
図6に示すように、凹部32が耐火塗料14側(領域A)に向くようにピース1を配置するとともに、凹部32にピース2を配置してもよい。このようにすると、耐火塗料14側(領域A)からの境界部26の見栄えを損なうおそれがあるが、所定の耐火性能を確保することが可能である。
【0023】
また、上記の実施の形態では、H形鋼を耐火塗料と耐熱ロックウールで耐火被覆する場合を例にとり説明したが、本発明はH形鋼に限るものではなく、例えば、溝形鋼や山形鋼などを耐火塗料と耐熱ロックウールで耐火被覆する場合にも適用可能である。このようにしても上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0024】
(本発明の効果の検証)
次に、本発明の効果を検証するために行った実験および結果について説明する。
【0025】
本実験は、本発明に係る耐火被覆構造において、載荷時の異種耐火被覆材の取合い部の耐火性能(1時間耐火性能)を調べたものである。試験体は、耐火塗料と耐熱ロックウールで被覆された鉄骨梁(H形鋼)で構成し、耐火塗料主材厚さ1.75mm、耐熱ロックウールの厚さ20mm、重ね代20mmとした。
【0026】
H形鋼は、H-400×200×8×13mm、SM490Aを用いた。耐火塗料は、関西ペイント(株)社製のものを用いた。下塗は、商品名:エスコNBマイルドK(エスコは登録商標)(JIS K 5551:弱溶剤変性エポキシ系樹脂塗料)を用い、膜厚(ドライ)は60μm(目標値)とした。主材は、商品名:耐火テクト(登録商標)(ポリエーテル系樹脂塗料)を用い、膜厚(ドライ)は1750μm(実膜厚測定)とした。中塗は、商品名:耐火テクトE(JIS K 5659:エポキシ系樹脂塗料)を用い、膜厚(ドライ)は30μm(目標値)とした。上塗は、商品名:耐火テクトF(JIS K 5659:フッ素系樹脂塗料)を用い、膜厚(ドライ)は25μm(目標値)とした。耐熱ロックウールは、ニチアス(株)社製の高耐熱ロックウール(商品名:マキベエ(登録商標)、厚さ20mm)を使用した。
【0027】
境界部の耐熱ロックウールは、その厚さが20mmであり、ピース1(第一材)、ピース2(第二材)、ピース3(第三材)で構成した。ピース1は縦断面コの字形のものであり、高さ500mm×幅110mm×厚さ20mmである。ただし、高さのうち50mm程度は上フランジに、50mm程度は下フランジに沿わせる長さである。ピース2は横断面L字形のものであり、高さ350mm×幅160mm×厚さ20mmである。ただし、幅のうち50mmはH形鋼のウェブに沿わせる折り返しの幅である。ピース3は梁断面に対して上側端部を折り返したU字形のものであり、長さ(梁断面周方向)1120mm×幅(軸方向)915mm×厚さ20mmである。ピース1と耐火塗料との重ね代は20mmである。
【0028】
梁の上側には、厚さ100mm、幅600mのALC版をスタッドボルトで取り付けて床を模擬した。試験体に対する荷重は3等分点2点載荷とし、梁に長期許容曲げモーメント(長期許容引張応力度)を作用させた状態で加熱を行った。加熱は、熱電対によって測定した温度の時間経過がISO834-1の標準加熱温度曲線に沿うように加熱した。加熱時間は60分とし、加熱終了後、鋼材温度が降下過程に入り変位が安定するまで載荷を続けた状態で放冷した。
【0029】
炉内温度・試験体温度・試験体変位・荷重を測定し、梁のたわみ量またはたわみ速度が規定値(最大たわみ量182.25mm、最大たわみ速度8.10mm/min)を超えた場合に、試験体が荷重を支持できなくなったと判定する試験を行った。この試験の結果、加熱前後を通じて、梁のたわみ量またはたわみ速度が規定値を超えることはなかった。これにより、試験体が所定の耐火性能(1時間耐火性能)を有することを確認できた。
【0030】
なお、上記の試験体においては、ピース1の高さ500mm×幅110mm×厚さ20mmの場合を説明したが、高さについては、高さ=[(梁成)-(フランジ厚さ)×2+126mm]以上、かつ+50mm以下,好ましくは+10mm以下に設定してもよい。幅については、幅=[((フランジ幅)-(ウェブ厚さ))/2+14.0mm]以上、かつ+10mm以下に設定してもよい。また、ピース2の高さ350mm×幅160mm×厚さ20mmの場合を説明したが、高さについては、高さ=[(梁成)-(フランジ厚さ)×2-(ピース1の厚さ)×2+16mm]以上、かつ+10mm以下に設定してもよい。幅については、幅=[(ピース1の幅)+50mm]以上、かつ+50mm以下,好ましくは+10mm以下に設定してもよい。また、ピース3の長さ(梁断面周方向)1120mm×幅(軸方向)915mm×厚さ20mmの場合を説明したが、長さについては、長さ=[(梁成)×2+(梁幅)+100mm]以上、かつ+50mm以下,好ましくは+20mm以下に設定してもよい。また、ピース1と耐火塗料との重ね代は20mmの場合を説明したが、重ね代については、重ね代=(耐熱ロックウールの厚さ)かつ±10mm以内に設定してもよい。以上のようにしても、上記の試験結果と同様の耐火性能が得られると考えられる。
【0031】
以上説明したように、本発明に係る耐火被覆構造によれば、形鋼の長手方向の表面の異なる領域をそれぞれ被覆する異種の耐火被覆材を備え、この異種の耐火被覆材の端部どうしが所定の重ね代を介して重ね合された耐火被覆構造であって、異種の耐火被覆材は、形鋼の表面の第一の領域に設けられて加熱により発泡する発泡性の耐火被覆材と、第一の領域に隣接する形鋼の表面の第二の領域に設けられて端部が発泡性の耐火被覆材の表面に重ね合された非発泡性の耐火被覆材とからなるので、簡易に施工でき、かつ、異種耐火被覆材の境界部の耐火性能を確保することができる。
【0032】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、発泡性の耐火被覆材が耐火塗料であり、非発泡性の耐火被覆材がロックウールであるので、簡易に施工でき、かつ、耐火塗料とロックウールの境界部の耐火性能を確保することができる。
【0033】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、形鋼がH形鋼であり、非発泡性の耐火被覆材は布状であり、非発泡性の耐火被覆材の端部は、形鋼のウェブとフランジの間においてウェブに向かって見た場合にU字状に配置された第一材と、第一材のU字状の凹部においてフランジに向かって見た場合にL字状に配置された第二材と、第一材、第二材およびフランジを外側から被覆する第三材とを含んで構成されるので、H形鋼を耐火被覆する異種耐火被覆材の境界部を簡易に施工できるとともに、その耐火性能を確保することができる。
【0034】
また、本発明に係る他の耐火被覆構造によれば、第一材は、U字状の凹部が第二の領域に向けて開口する方向に配置されるので、第一の領域側からの境界部の見栄えをよくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明に係る耐火被覆構造は、例えば、形鋼の長手方向に異なる領域を被覆する耐火塗料と耐熱ロックウールなどの異種耐火被覆材の境界部の耐火性能を確保するのに有用であり、特に、簡易に施工するのに適している。
【符号の説明】
【0036】
1 ピース(第一材)
1A,2A,3A 端部
2 ピース(第二材)
3 ピース(第三材)
10 耐火被覆構造
12 梁(形鋼)
14 耐火塗料
14A,16A 端部
16 耐熱ロックウール
18 ウェブ
20 上フランジ
22 下フランジ
24 床スラブ
26 境界部
28,32 凹部
30,34,36 溶接ピン
A 領域(第一の領域)
B 領域(第二の領域)
t1,t2 厚さ
W 重ね代