(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】情報提供システムおよび表示制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230216BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20230216BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230216BHJP
B60L 3/00 20190101ALN20230216BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/04 D
H04N7/18 D
H04N7/18 V
B60L3/00 N
(21)【出願番号】P 2019066335
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-07-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163979
【氏名又は名称】濱名 哲也
(72)【発明者】
【氏名】土橋 大介
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-238970(JP,A)
【文献】特開2002-137736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
G08G 1/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと、
前記カメラの撮影画像を送信する送信装置と、
車両に設けられて前記カメラの撮影画像の表示を制御する表示制御装置とを備え、
前記表示制御装置は、複数の撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示し、かつ、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する
情報提供システム。
【請求項2】
車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと前記カメラの撮影画像を送信する送信装置とを含むシステムから送信される撮影画像を受けて、前記撮影画像の表示を制御する表示制御装置であって、
前記表示制御装置は、車両に設けられて、複数の撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示し、かつ、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する
表示制御装置。
【請求項3】
車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと、
前記カメラの撮影画像を送信する送信装置と、
車両に設けられて前記カメラの撮影画像の表示を制御する表示制御装置とを備え、
前記監視領域ごとに、車両進行方向において前記監視領域よりも後方の第1地点と前記監視領域よりも前方の第2地点との間の設定区間が設けられ、
前記送信装置は、前記車両の進行に伴って各監視領域に対応する各設定区間を通過するとき、前記車両が各設定区間を通過する期間にわたって、前記撮影画像を送信し、
前記表示制御装置は、複数の前記設定区間が重なることにより同時に複数の撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示
し、かつ、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する
情報提供システム。
【請求項4】
前記送信装置は、複数の前記カメラそれぞれから撮影画像を収集し、複数の前記設定区間が重なっている区間を前記車両が通過するときには、複数の前記設定区間それぞれについて前記撮影画像を前記表示制御装置に送信する
請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項5】
車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと、
前記カメラの撮影画像を送信する送信装置と、
車両に設けられて前記カメラの撮影画像の表示を制御する表示制御装置とを備え、
複数の前記監視領域ごとに前記カメラが設けられ、
前記カメラは、前記車両と無線通信できる前記送信装置を含み、
前記各カメラは、前記車両が前記カメラ自体に対応する監視領域を通過する期間にわたって前記撮影画像を送信し、
前記表示制御装置は、複数の前記カメラから同時に撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示
し、かつ、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する
情報提供システム。
【請求項6】
車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと、
前記カメラの撮影画像を送信する送信装置と、
車両に設けられて前記カメラの撮影画像の表示を制御する表示制御装置とを備え、
複数の前記監視領域ごとに前記カメラが設けられ、
前記カメラは、前記車両と無線通信できる前記送信装置を含み、
前記カメラそれぞれは、常時、前記撮影画像を送信し、
前記表示制御装置は、前記車両の進行に伴い、前記車両の無線伝送エリアと各カメラの無線伝送エリアとが重なることで前記撮影画像の受信を開始し、
前記表示制御装置は、複数の前記カメラから同時に撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示
し、かつ、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する
情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に情報を提供する情報提供システムおよび表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報提供システムとして、特許文献1に記載の技術が知られている。同文献に記載の情報提供システムは、踏切内を撮影し、撮影画像を列車に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、列車に限らず、車両に、監視領域の撮影画像を送る情報提供システムにおいて、次のことが懸念される。
列車の路線においては、踏切の設置には様々なパターンがある。例えば、複数の踏切が連続して設置されることがある。このような場合、列車には複数の撮影画像が同時に送信されることが想定される。バスの路線においては、監視領域が連続して配置されることも想定される。このような場合でも、バスに複数の撮影画像が同時に送信されることが想定される。しかし、運転手は、安全運航のため、運転中に前方窓からの外景を視認しつつ視線移動して撮影画像を視認しなければならず、運転手にかかる負担は大きい。このようなことから、運転手が複数の撮影画像を誤認する虞がある。例えば、車両から近い距離にある撮影画像と、車両から遠い距離にある撮影画像とを間違えて認識する虞がある。そこで、複数の撮影画像を誤認し難い情報提供システムおよび表示制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する情報提供システムは、車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと、前記カメラの撮影画像を送信する送信装置と、車両に設けられて前記カメラの撮影画像の表示を制御する表示制御装置とを備え、前記表示制御装置は、複数の撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示する。
【0006】
この構成によれば、複数の撮影画像は、車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法によって並べられる。車両が移動することによって、表示される撮影画像が、先に表示されていた撮影画像の監視領域とは異なる監視領域のものになるときでも、複数の撮影画像の配列の順は、予め設定された配列方法に従う。このため、利用者は、戸惑うことなく、車両から近い監視領域の撮影画像を把握できる。このように、利用者が複数の撮影画像を誤認することを抑制できる。
【0007】
(2)上記情報提供システムにおいて、前記表示制御装置は、複数の撮影画像に関する情報を受信するとき、前記撮影画像が撮影された監視領域の位置情報に基づいて、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に順番付けする。この構成によれば、複数の前記撮影画像の順番付けのために監視領域の位置情報を用いるため、確実に、複数の前記撮影画像の順番付けできる。
【0008】
(3)上記情報提供システムにおいて、前記配列方法は、複数の前記撮影画像を前記車両から近い監視領域の順に、利用者からみて左から右に向かって一列に並べることである。この構成によれば、撮影画像が一列に並べられるため、車両の移動とともに撮影画像が一方向に順に送られる。車両の移動にともなう撮影画像の移動がシンプルな動きであるため、撮影画像の誤認をさらに抑制できる。
【0009】
(4)上記情報提供システムにおいて、前記配列方法は、複数の前記撮影画像を前記車両から近い監視領域の順に、利用者からみて左上、右上、左下、右下の順に並べることである。この構成によれば、複数の撮影画像の表示が一方向に長くなることを抑制できる。
【0010】
(5)上記情報提供システムにおいて、前記表示制御装置は、複数の撮影画像に関する情報を受信するとき、前記車両から近い監視領域の撮影画像ほど前記撮影画像を大きく表示する。
【0011】
車両から近い監視領域の撮影画像ほど撮影画像を大きくなる表示態様は、遠近法に基づく表示と同じである。このように、上記構成の表示方法は人の感覚に合致することから、撮影画像の誤認をさらに抑制できる。
【0012】
(6)上記情報提供システムにおいて、前記送信装置は、車両進行方向において前記カメラの監視領域よりも後方の第1地点と、前記カメラの監視領域よりも前方の第2地点との間の設定区間を前記車両が通過するとき、前記車両が前記設定区間を通過する期間にわたって、前記撮影画像を送信する。この構成によれば、撮影画像を送信する設定区間が決められているため、送信装置が送信する情報量を抑制できる。
【0013】
(7)上記情報提供システムにおいて、前記第1地点の車両通過を検出しかつ車両通過検出時点で前記監視領域の位置情報を送信する第1検出器をさらに備え、前記表示制御装置は、前記第1検出器から得られる前記監視領域の位置情報を前記送信装置に送信することによって前記送信装置から前記撮影画像を受ける。
【0014】
この構成によれば、表示制御装置は、第1地点を車両が通過する時点に監視領域の位置情報を取得し、第1検出器から得られる監視領域の位置情報を送信装置に送信することによって、送信装置から撮影画像を受ける。これによって、表示制御装置は、適切なタイミングで撮影画像を取得できる。
【0015】
(8)上記情報提供システムにおいて、前記表示制御装置は、前記車両の位置情報を取得する位置情報取得装置を備え、前記表示制御装置は、前記位置情報取得装置から得られる位置情報に基づいて前記車両が前記第1地点および前記第2地点を通過することを判定し、前記第1地点を通過することを示す第1通過情報および前記第2地点を通過することを示す第2通過情報を、前記送信装置に送信することによって前記送信装置から前記撮影画像を受ける。
【0016】
この構成によれば、第1地点の通過および第2地点の通過を位置計測システムによって検出する。このように既存の通信設備を利用できるため、情報提供システムを簡単に構築できる。
【0017】
(9)上記課題を解決する表示制御装置は、車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域のそれぞれに対応して設けられる複数のカメラと前記カメラの撮影画像を送信する送信装置とを含むシステムから送信される撮影画像を受けて、前記撮影画像の表示を制御する表示制御装置であって、前記表示制御装置は、車両に設けられて、複数の撮影画像を受信するとき、複数の前記撮影画像を、前記車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法に従って表示する。
【0018】
この構成によれば、複数の撮影画像は、車両から近い監視領域の順に予め設定された配列方法によって並べられる。車両が移動することによって、表示される撮影画像が、先に表示されていた撮影画像の監視領域とは異なる監視領域のものになるときでも、複数の撮影画像の配列の順は、予め設定された配列方法に従う。このため、利用者は、戸惑うことなく、車両から近い監視領域の撮影画像を把握できる。このように、利用者が複数の撮影画像を誤認することを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
上記情報提供システムおよび表示制御装置は、複数の撮影画像を誤認し難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る情報提供システムの模式図。
【
図4】表示制御装置が表示する表示画面であって、
図4(a)は、第1段階の表示画面の図、
図4(b)は、第2段階の表示画面の図、
図4(c)は、第3段階の表示画面の図、
図4(d)は、第4段階の表示画面の図、
図4(e)は、第5段階の表示画面の図。
【
図5】第2実施形態に係る情報提供システムについて、表示制御装置が表示する表示画面であって、
図5(a)は、第1段階の表示画面の図、
図5(b)は、第2段階の表示画面の図、
図5(c)は、第3段階の表示画面の図、
図5(d)は、第4段階の表示画面の図、
図5(e)は、第5段階の表示画面の図。
【
図6】第3実施形態に係る情報提供システムについて、表示制御装置が表示する表示画面であって、
図6(a)は、第1段階の表示画面の図、
図6(b)は、第2段階の表示画面の図、
図6(c)は、第3段階の表示画面の図、
図6(d)は、第4段階の表示画面の図、
図6(e)は、第5段階の表示画面の図。
【
図7】第4実施形態に係る情報提供システムの模式図。
【
図9】他の実施形態に係る情報提供システムの模式図。
【
図10】他の実施形態に係る情報提供システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
図1~
図4を参照して、情報提供システムについて説明する。
情報提供システム1は、車両通行経路が予め設定されている車両2に撮影画像PAを提供する。車両2として、列車2a、バス2b、および自動車が挙げられる。車両2およびバス2bは、予め設定された路線を走行する。自動車は、カーナビゲーションシステムにおいて予め目的地までの経路が決定された場合に、予め設定された経路を走行する。自動車の場合、予め目的地までの経路が決定された場合に、情報提供システム1が利用可能となる。本実施形態の情報提供システム1は、列車2aに車両通行経路内の撮影画像PAを提供する。
【0022】
図1を参照して、情報提供システム1の一例を説明する。
監視領域3は、例えば、人と車両2との接触または車両2同士の接触が発生する虞がある場所に設定される。例えば、踏切4内、および、駅のホーム5を通る線路内に監視領域3が設定される。本実施形態では、監視領域3は、踏切4が設置されている領域である。本実施形態では、3カ所の踏切4が隣接する。監視領域3は、踏切4内に設定される。監視領域3に設けられる設定区間(後述参照)は、重なっている。
【0023】
情報提供システム1は、複数のカメラ10と、送信装置20と、車両2に設けられる表示制御装置30とを備える。カメラ10は、車両通行経路において車両進行方向の順に設定された複数の監視領域3のそれぞれに対応して設けられる。
【0024】
図2に示されるように、カメラ10は、撮影部11と、制御部12とを備える。撮影部11は、監視領域3を撮影する。制御部12は、撮影部11によって撮影された撮影画像PAを送信装置20に送信する。
【0025】
送信装置20は、カメラ10の撮影画像PAを、後述のように特定される送信先(車両2に設けられる表示制御装置30)に送信する。好ましくは、送信装置20は、カメラ10の撮影画像PAとともに、カメラ10が撮影する監視領域3の位置情報IPを送信先に送信する。複数のカメラ10は、送信装置20に接続されている。送信装置20は、ネットワークNに繋がるサーバに設けられてもよい(第4実施形態および
図7を参照)。
【0026】
送信装置20は、車両2に設けられる表示制御装置30から表示制御装置30の識別情報IDを取得する。表示制御装置30の識別情報IDは、後述されるように、車両2が設定区間の第1地点P1を通過するときに表示制御装置30から送信される。送信装置20は、表示制御装置30から表示制御装置30の識別情報IDを取得することに基づいて、識別情報IDに対応する表示制御装置30に撮影画像PAを送信する。
【0027】
送信装置20は、第1地点P1と第2地点P2との間の設定区間を車両2が通過するとき、車両2が設定区間を通過する期間にわたって、撮影画像PAを送信する。設定区間は、監視領域3に対して設けられる。第1地点P1は、車両進行方向においてカメラ10の監視領域3よりも後方に配置される。第2地点P2は、車両進行方向においてカメラ10の監視領域3よりも前方に配置される。すなわち、車両2が監視領域3を通過する前の時点では、第1地点P1は、監視領域3に対して車両2側にあり、第2地点P2は、監視領域3に対して車両2側とは反対側にある。
【0028】
本実施形態では、車両2が設定区間を通過することを検出する手段として、情報提供システム1は、第1地点P1の車両通過を検出する第1検出器15と、第2地点P2の車両通過を検出する第2検出器16とを備える。第1検出器15および第2検出器16は、車両2の車軸を検出するものであっても、車両本体を検出するものであってもよい。一例では、第1検出器15および第2検出器16は、レーダまたは磁気変化によって車両2の車軸を検出する。第1検出器15は、車両通過を検出するとき、第1被検出信号SAを車両2に出力する。第1被検出信号SAには、監視領域3の位置情報IPが含まれる。第2検出器16は、車両2を検出するとき、車両2に第2被検出信号SBを出力する。第1被検出信号SAおよび第2被検出信号SBは、無線によって直接的に車両2の表示制御装置30に送信されてもよいし、ネットワークNを介して車両2の表示制御装置30に送信されてもよい。
【0029】
図3を参照して、表示制御装置30について説明する。
表示制御装置30は、制御部31と、送受信部32とを備える。表示制御装置30には、表示装置40が接続される。表示制御装置30の制御部31は、カメラ10の撮影画像PAの表示を制御する。具体的には、制御部31は、表示装置40に表示される撮影画像PAの、配置、表示タイミング、非表示タイミング、複数の撮影画像PAの表示順を制御する。
【0030】
送受信部32は、第1検出器15から出される第1被検出信号SAおよび第2検出器16から出される第2被検出信号SBを受信する。送受信部32は、第1被検出信号SAを受信するとき、第1被検出信号SAに含まれる監視領域3の位置情報IPを取り出す。
【0031】
また、表示制御装置30の送受信部32は、第1被検出信号SAを受信するとき、表示制御装置30の識別情報IDと監視領域3の位置情報IPとを送信装置20に送信することによって、送信装置20に、位置情報IPによって特定される監視領域3の撮影画像PAを要求する。さらに、送受信部32は、送信装置20から撮影画像PAと監視領域3の位置情報IPとを受信する。
【0032】
図1を参照して、車両2が監視領域3に接近するときの、カメラ10、送信装置20、および、表示制御装置30の動作について説明する。
車両2が監視領域3に近づくと、表示制御装置30の送受信部32は、第1検出器15から出される第1被検出信号SAを受信する。このとき表示制御装置30は、第1被検出信号SAから監視領域3の位置情報IPを取り出す。
【0033】
送受信部32は、第1被検出信号SAの受信後、表示制御装置30の識別情報IDと監視領域3の位置情報IPとを送信装置20に送信する。
送信装置20は、表示制御装置30の識別情報IDと監視領域3の位置情報IPとを取得すると、監視領域3の位置情報IPに基づいて監視領域3を特定し、特定された監視領域3を撮影するカメラ10が形成する撮影画像PAと監視領域3の位置情報IPとを、識別情報IDによって特定される表示制御装置30(送信先)に送信する。以上のようにして、表示制御装置30は、設定区間内にある監視領域3の撮影画像PAを取得する。表示制御装置30は、複数の撮影画像PAを取得するとき、監視領域3の位置情報IPに基づいて複数の撮影画像PAを車両2から近い監視領域3の順に順番付けする。
【0034】
車両2が監視領域3を通り過ぎると、表示制御装置30の送受信部32は、第2検出器16から出される第2被検出信号SBを受信する。送受信部32は、第2被検出信号SBの受信後、第2被検出信号SBを受信したことを示す区間通過情報IEと表示制御装置30の識別情報IDとを送信する。送信装置20は、区間通過情報IEと表示制御装置30の識別情報IDとを取得すると、表示制御装置30に対する送信を停止する。
【0035】
図4を参照して、表示制御装置30が行う撮影画像PAの表示の制御について説明する。送受信部32は、送信装置20から1つの撮影画像PAを受信したり、複数の撮影画像PAを受信したりする。例えば、2つの踏切4の区間が長く、2つのカメラ10に対して設けられる設定区間が重ならない場合、2つのカメラ10によって形成される撮影画像PAは、時間的に重なることなく、表示制御装置30に送信される。これに対して、2つの踏切4の区間が短く、2つのカメラ10に対して設けられる設定区間が重なっている場合、2つのカメラ10によって形成される撮影画像PAそれぞれは、設定区間が重なっている時間帯において同時に表示制御装置30に送信される。
【0036】
送受信部32が送信装置20から1つの撮影画像PAに関する情報を受信するとき、制御部31は、撮影画像PAを表示装置40に表示する。具体的には、制御部31は、車両2が設定区間を通過する期間にわたって、撮影画像PAを表示装置40に表示する。
【0037】
表示制御装置30は、送信装置20から複数の撮影画像PAに関する情報を受信するとき、撮影画像PAが撮影された監視領域3の位置情報IPに基づいて、複数の撮影画像PAを、車両2から近い監視領域3の順に順番付けする。
【0038】
一例では、表示制御装置30の送受信部32が、第1監視領域3aに関する第1撮影画像PA1と、車両2からみて第1監視領域3aよりも遠い第2監視領域3bに関する第2撮影画像PA2と、車両2からみて第2監視領域3bよりも遠い第3監視領域3cに関する第3撮影画像PA3とを受信する。この場合、制御部31は、順位として、第1撮影画像PA1を「1」に設定し、第2撮影画像PA2を「2」に設定し、第3撮影画像PA3を「3」に設定する。この順位は、表示の優先順を示す。順位が小さい値ほど表示が優先される。
【0039】
表示制御装置30の制御部31は、複数の撮影画像PAを受信するとき、複数の撮影画像PAを、車両2から近い監視領域3の順に予め設定された配列方法に従って表示する。本実施形態では、配列方法は、複数の撮影画像PAを車両2から近い監視領域3の順に、利用者からみて左から右に向かって一列に並べるという方法である。複数の撮影画像PAは、表示画面41において左詰めで表示される。
【0040】
図4を参照して、車両2の移動にともなう表示画面41の遷移を説明する。
図4は、
図1に示されるように3カ所の監視領域3が隣接しており、各監視領域3の設定区間が重なっている場所を、車両2が通過するときの表示画面41の遷移を示す。
図1では、車両2は、紙面上で、左から右に移動する。車両2に近い順に、3カ所の監視領域3を順に、「第1監視領域3a」、「第2監視領域3b」、「第3監視領域3c」と言う。「第1監視領域3a」を撮影するカメラ10を「第1カメラ10a」といい、「第2監視領域3b」を撮影するカメラ10を「第2カメラ10b」といい、「第3監視領域3c」を撮影するカメラ10を「第3カメラ10c」と言う。
【0041】
図4(a)に示されるように、車両2が第1監視領域3aの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が表示される。
【0042】
図4(b)に示されるように、車両2が第2監視領域3bの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とが表示される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とは横一列に配列される。車両2からみて第2監視領域3bは第1監視領域3aよりも遠い位置にあるため、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は第1カメラ10aの第1撮影画像PA1の右に配置される。
【0043】
図4(c)に示されるように、車両2が第3監視領域3cの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが表示される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とは横一列に配列される。車両2からみて第3監視領域3cが第2監視領域3bよりも遠い位置にあるため、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は第2カメラ10bの第2撮影画像PA2の右に配置される。
【0044】
図4(d)に示されるように、車両2が第1監視領域3aを通過して第1監視領域3aの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が消えて、表示画面41には、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが残る。第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とは、左側に移動して、表示画面41上において左詰めで表示される。
【0045】
図4(e)に示されるように、車両2が第2監視領域3bを通過して第2監視領域3bの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第2カメラ10bの第2撮影画像PA2が消えて、表示画面41には、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3が残る。第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は、左側に移動して、表示画面41上において左詰めで表示される。
【0046】
本実施形態の作用を説明する。
表示制御装置30は、複数の撮影画像PAを同時に受信する場合がある。一方、運転手は、安全運航のため、運転中、前方窓からの外景を視認しつつ視線移動して撮影画像を視認しなければならない。このように、複数の撮影画像PAを同時に視認することは、運転手に大きな負担をかける。このようなことから、運転手が複数の撮影画像PAを同時に見ると、車両2から近い距離にある撮影画像PAと、車両2から遠い距離にある撮影画像PAとを間違えて認識する虞がある。
【0047】
この点、
図4に示されるように、複数の撮影画像PAは、車両2から近い監視領域3の順に予め設定された配列方法に従って表示画面41に表示される。このように、複数の撮影画像PAは、「車両2から近い監視領域3の順」に配置されると、利用者は、車両2から近い距離にある撮影画像PAと、車両2から遠い距離にある撮影画像PAとを間違えることが抑制される。
【0048】
本実施形態の効果を説明する。
(1)情報提供システム1の表示制御装置30は、複数の撮影画像PAを受信するとき、複数の撮影画像PAを、車両2から近い監視領域3の順に予め設定された配列方法に従って表示する。
【0049】
この構成によれば、複数の撮影画像PAは、車両2から近い監視領域3の順に予め設定された配列方法によって並べられる。車両2が移動することによって、表示される撮影画像PAが、先に表示されていた撮影画像PAの監視領域3とは異なる監視領域3のものになるときでも、複数の撮影画像PAの配列の順は、予め設定された配列方法に従う。このため、利用者は、戸惑うことなく、車両2から近い監視領域3の撮影画像PAを把握できる。このように、利用者が複数の撮影画像PAを誤認することを抑制できる。
【0050】
(2)表示制御装置30は、複数の撮影画像PAに関する情報を受信するとき、撮影画像PAが撮影された監視領域3の位置情報IPに基づいて、複数の撮影画像PAを、車両2から近い監視領域3の順に順番付けする。この構成によれば、複数の撮影画像PAの順番付けのために監視領域3の位置情報IPを用いるため、確実に、複数の撮影画像PAの順番付けできる。
【0051】
(3)上記情報提供システム1において、配列方法は、複数の撮影画像PAを車両2から近い監視領域3の順に、利用者からみて左から右に向かって一列に並べる。この構成によれば、撮影画像PAが一列に並べられるため、車両2の移動とともに撮影画像PAが一方向に順に送られる。車両2の移動にともなう撮影画像PAの移動がシンプルな動きであるため、撮影画像PAの誤認をさらに抑制できる。
【0052】
(4)送信装置20は、第1地点P1と第2地点P2との間の設定区間を車両2が通過するとき、車両2が設定区間を通過する期間にわたって、撮影画像PAを送信する。この構成によれば、撮影画像PAを送信する設定区間が決められているため、送信装置20が送信する情報量を抑制できる。
【0053】
(5)情報提供システム1は、第1検出器15をさらに備える。第1検出器15は、第1地点P1の車両通過を検出しかつ車両通過検出時点で監視領域3の位置情報IPを送信する。表示制御装置30は、第1検出器15から得られる監視領域3の位置情報IPを送信装置20に送信することによって送信装置20から撮影画像PAを受ける。
【0054】
この構成によれば、表示制御装置30は、第1地点P1を車両2が通過する時点に監視領域3の位置情報IPを取得し、監視領域3の位置情報IPを送信装置20に送信することによって、送信装置20から撮影画像PAを受ける。これによって、表示制御装置30は、適切なタイミングで撮影画像PAを取得できる。
【0055】
(6)表示制御装置30は、情報提供システム1から撮影画像PAを受けて、撮影画像PAの表示を制御する。表示制御装置30は、車両2に設けられて、複数の撮影画像PAを受信するとき、複数の撮影画像PAを、車両2から近い監視領域3の順に予め設定された配列方法に従って表示する。この構成によれば、情報提供システム1の効果に準じた効果を奏する。
【0056】
<第2実施形態>
図5を参照して、第2実施形態に係る情報提供システム1について説明する。
本実施形態に係る情報提供システム1では、表示制御装置30が行う撮影画像PAの配列方法が、第1実施形態に示される配列方法と異なる。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
図5を参照して、車両2の移動にともなう表示画面41の遷移を説明する。
図5は、第1実施形態と同様に、
図1に示されるように3カ所の監視領域3が隣接しており、各監視領域3の設定区間が重なっている場所を、車両2が通過するときの表示画面41の遷移を示す。この例において、3カ所の監視領域3の呼び方、および3つのカメラ10の呼び方は、第1実施形態と同じである。
【0058】
図5(a)に示されるように、車両2が第1監視領域3aの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が表示される。
【0059】
図5(b)に示されるように、車両2が第2監視領域3bの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とが表示される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とは横一列に配列される。車両2からみて第2監視領域3bが第1監視領域3aよりも遠い位置にあるため、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は第1カメラ10aの第1撮影画像PA1の右に配置される。
【0060】
図5(c)に示されるように、車両2が第3監視領域3cの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが表示される。具体的には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1は、左上に、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は、右上に、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は、右下に配置される。
【0061】
図5(d)に示されるように、車両2が第1監視領域3aを通過して第1監視領域3aの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が消えて、表示画面41には、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが残る。車両2からみて第3監視領域3cが第2監視領域3bよりも遠い位置にあるため、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は第2カメラ10bの第2撮影画像PA2の右に配置される。
【0062】
図5(e)に示されるように、車両2が第2監視領域3bを通過して第2監視領域3bの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第2カメラ10bの第2撮影画像PA2が消えて、表示画面41には、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3が残る。第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は、表示画面41上において拡大して表示される。
【0063】
本実施形態の効果を説明する。
上記情報提供システム1では、配列方法は、複数の撮影画像PAを車両2から近い監視領域3の順に、利用者からみて左上、右上、左下、右下の順に並べることである。この構成によれば、複数の撮影画像PAの表示が一方向に長くなることを抑制できる。このため、一方向に長い長尺の特別な表示装置を使わずに、配列方法に従うように複数の撮影画像PAを表示できる。
【0064】
<第3実施形態>
図6を参照して、第2実施形態に係る情報提供システム1について説明する。
本実施形態に係る情報提供システム1の撮影画像PAの配列方法は、第1実施形態に示される配列方法に準じたものであり、表示方法が異なる。表示制御装置30の制御部31は、複数の撮影画像PAに関する情報を受信するとき、車両2から近い監視領域3の撮影画像PAほど、撮影画像PAを大きく表示する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0065】
図6を参照して、車両2の移動にともなう表示画面41の遷移を説明する。
図6は、第1実施形態と同様に、
図1に示されるように3カ所の監視領域3が隣接しており、各監視領域3の設定区間が重なっている場所を、車両2が通過するときの表示画面41の遷移を示す。この例において、3カ所の監視領域3の呼び方、および3つのカメラ10の呼び方は、第1実施形態と同じである。
【0066】
図6(a)に示されるように、車両2が第1監視領域3aの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が表示される。
【0067】
図6(b)に示されるように、車両2が第2監視領域3bの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とが表示される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2とは横一列に配列される。車両2からみて第2監視領域3bが第1監視領域3aよりも遠い位置にあるため、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は第1カメラ10aの第1撮影画像PA1の右に配置される。車両2からみて第1監視領域3aが第2監視領域3bよりも近い位置にあるため、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1は第2カメラ10bの第2撮影画像PA2よりも大きく表示される。
【0068】
図6(c)に示されるように、車両2が第3監視領域3cの設定区間の第1地点P1を通過するとき、表示画面41には、第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが表示される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とは横一列に配列される。車両2からみて第3監視領域3cが第2監視領域3bよりも遠い位置にあるため、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は第2カメラ10bの第2撮影画像PA2の右に配置される。第1カメラ10aの第1撮影画像PA1と第2カメラ10bの第2撮影画像PA2との大きさの関係は、
図6(b)と同じである。車両2からみて第2監視領域3bが第3監視領域3cよりも近い位置にあるため、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は第3カメラ10cの第3撮影画像PA3よりも大きく表示される。
【0069】
図6(d)に示されるように、車両2が第1監視領域3aを通過して第1監視領域3aの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第1カメラ10aの第1撮影画像PA1が消えて、表示画面41には、第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とが残る。第2カメラ10bの第2撮影画像PA2と第3カメラ10cの第3撮影画像PA3とは、左側に移動して、表示画面41上において左詰めで表示される。第2カメラ10bの第2撮影画像PA2は、前段階よりも拡大される。
【0070】
図6(e)に示されるように、車両2が第2監視領域3bを通過して第2監視領域3bの設定区間の第2地点P2を通過するとき、表示画面41から第2カメラ10bの第2撮影画像PA2が消えて、表示画面41には、第3カメラ10cの第3撮影画像PA3が残る。第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は、左側に移動して、表示画面41上において左詰めで表示される。第3カメラ10cの第3撮影画像PA3は、前段階よりも拡大される。
【0071】
本実施形態の効果を説明する。
情報提供システム1において、表示制御装置30は、複数の撮影画像PAに関する情報を受信するとき、車両2から近い監視領域3の撮影画像PAほど、撮影画像PAを大きく表示する。
【0072】
車両2から近い監視領域3の撮影画像PAほど、撮影画像PAを大きくなる表示態様は、遠近法に基づく表示と同じである。このように、上記構成の表示方法は人の感覚に合致することから、撮影画像PAの誤認をさらに抑制できる。
【0073】
<第4実施形態>
図7および
図8を参照して、第4実施形態に係る情報提供システム1xについて説明する。本実施形態では、情報提供システム1xは、予め設定された路線を走行するバス2bに監視領域3の撮影画像PAを提供する。
【0074】
本実施形態に係る情報提供システム1xは、車両2が設定区間を通過することの検出手段の構成について、第1実施形態に係る情報提供システム1と異なる。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
図7に示されるように、この例では、2カ所の監視領域3が隣接する。監視領域3それぞれは、交差点に設定されている。監視領域3に設けられる設定区間(後述参照)は、重なっている。
【0076】
本実施形態では、車両2が設定区間を通過することの検出手段として、位置計測システムを利用する。位置計測システムの一例は、GPS(Global Positiing System)である。
【0077】
図8に示されるように、表示制御装置30は、第1実施形態の構成(制御部31および送受信部32)に加えて、位置情報取得装置33をさらに備える。
位置情報取得装置33は、位置計測システムから車両2の車両位置情報IPXを取得する。位置情報取得装置33は、監視領域3が設定された地図(以下、「監視領域設定地図」)を保持する。監視領域設定地図は、路線上に登録された監視領域3の位置情報と、監視領域3に対して設定された設定区間の位置情報と、設定区画の第1地点P1の位置情報および第2地点P2の位置情報とを含む。
【0078】
表示制御装置30の制御部31は、位置情報取得装置33から得られる車両位置情報IPXに基づいて車両2が第1地点P1および第2地点P2を通過することを判定する。制御部31は、第1地点P1を通過することを示す第1通過情報IFを、送信装置20に送信することによって送信装置20から撮影画像PAを受ける。第1通過情報IFは、第1地点P1の位置情報、および撮影画像PAを送信させる送信指令情報を含む。第2通過情報ISは、撮影画像PAの送信を停止させる送信停止指令情報を含む。
【0079】
本実施形態では、送信装置20は、ネットワークNに接続されるサーバに設けられる。送信装置20は、ネットワークNを介してカメラ10から撮影画像PAおよび監視領域3の位置情報IPを取得する。
【0080】
図7を参照して、車両2が監視領域3に接近するときの、カメラ10、送信装置20、および、表示制御装置30の動作について説明する。
表示制御装置30の制御部31は、位置情報取得装置33から得られる車両2の車両位置情報IPXに基づいて車両2が第1地点P1を通過することを判定する。車両2が監視領域3の設定区間の第1地点P1を通過するとき、制御部31は、第1地点P1を通過すると判定する。制御部31は、第1地点P1を通過するとき、制御部31は、第1地点P1を通過することを示す第1通過情報IFと表示制御装置30の識別情報IDとを、送信装置20に送信する。
【0081】
送信装置20は、表示制御装置30の識別情報IDと第1通過情報IFとを取得すると、第1通過情報IFに含まれる第1地点P1の位置情報に基づいて監視領域3を特定する。送信装置20は、ネットワークNを介して特定された監視領域3を撮影するカメラ10にアクセスして、カメラ10から撮影画像PAと監視領域3の位置情報IPとを取得し、撮影画像PAと監視領域3の位置情報IPとを、識別情報IDによって特定される表示制御装置30(送信先)に送信する。以上のようにして、表示制御装置30は、設定区間内にある監視領域3の撮影画像PAを取得する。表示制御装置30は、複数の撮影画像PAを取得するとき、監視領域3の位置情報IPに基づいて複数の撮影画像PAを車両2から近い監視領域3の順に順番付けする。
【0082】
車両2が監視領域3を通り過ぎると、表示制御装置30の制御部31は、位置情報取得装置33から得られる車両2の車両位置情報IPXに基づいて車両2が第2地点P2を通過することを判定する。制御部31は、第2地点P2を通過することを示す第2通過情報ISと表示制御装置30の識別情報IDとを、送信装置20に送信する。送信装置20は、第2通過情報ISと表示制御装置30の識別情報IDとを取得すると、表示制御装置30に対する撮影画像PAの送信を停止する。
【0083】
本実施形態の効果を説明する。
情報提供システム1xにおいて、表示制御装置30は、車両2の車両位置情報IPXを取得する位置情報取得装置33を備える。表示制御装置30は、位置情報取得装置33から得られる車両位置情報IPXに基づいて車両2が第1地点P1および第2地点P2を通過することを判定する。表示制御装置30は、第1地点P1を通過することを示す第1通過情報IFおよび第2地点P2を通過することを示す第2通過情報ISを、送信装置20に送信することによって送信装置20から撮影画像PAを受ける。
【0084】
この構成によれば、第1地点P1の通過および第2地点P2の通過を位置計測システムによって検出する。このように既存の通信設備(GPS)を利用できるため、情報提供システム1xを簡単に構築できる。
【0085】
<その他の実施形態>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0086】
・
図9に示されるように、監視領域3は、駅のホーム5および駅のホーム5の前後に設定することができる。情報提供システム1yでは、監視領域3は、駅のホーム5および駅のホーム5の前後に設定される。情報提供システム1yの構成は、情報提供システム1の構成に準ずる。
図9において、第1検出器15と制御部12との接続は省略され、第2検出器16と制御部12との接続は省略されている。この例では、監視領域3の設定区間は、車両2の進行方向において前方の設定区間と重なる。情報提供システム1yは、実質的に、第1実施形態の情報提供システム1yの構成と同じである。したがって、このような適用例は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0087】
・
図10に示されるように、第1実施形態において、カメラ10と表示制御装置30との間の通信形態は、情報提供システム1zは、次のように構成されてもよい。
表示制御装置30は無線伝送エリアARAで無線伝送し、カメラ10は無線伝送エリアARBで無線伝送する。表示制御装置30の無線伝送エリアARAとカメラ10の無線伝送エリアARBとが重なるエリアにおいて、表示制御装置30は撮影画像PAを受信できる。なお、カメラ10の無線通信手段は、例えばLTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LPWA(Low Power,Wide Area)等の無線通信規格に準拠した通信を行い得る。表示制御装置30の送受信部も同様である。第1実施形態と同様に、カメラ10は、監視領域3に対応するように設けられる。また、車両2を検出する検出器17が設定区間に対応して設けられる。検出器17は、車両2を検出し、車両検出に基づいてカメラ10に画像伝送指令を送信する。画像伝送指令は、カメラ10に撮影画像PAの伝送を開始させるための指令である。以下、車両2の進行するときの表示制御装置30の動作を説明する。
【0088】
(1)車両2の進行により車両2が設定区間に進入し、検出器17が車両2を検出すると、検出器17の指令に基づいて設定区間内の第1カメラ10aが画像伝送を開始する。車両2の進行によって無線伝送エリアARAが無線伝送エリアARBと重なり始めると、車両2の表示制御装置30は、第1カメラ10aの撮影画像PAについて受信を開始できる。車両2が次の設定区間に進入して検出器17が車両2を検出すると、次の設定区間の第2カメラ10bが画像伝送を開始する。さらに、車両2が次の設定区間に進入して検出器17が車両2を検出すると、次の設定区間の第3カメラ10cが画像伝送を開始する。このように、検出器17の車両検出によってカメラ10の画像伝送が開始される。
【0089】
(2)カメラ10は、常時に撮影画像PAを伝送してもよい。表示制御装置30は、検出器17の車両検出に基づいて、撮影画像PAの表示を開始する。これにより、無線伝送エリアARAと無線伝送エリアARBとが重なるとき、受信した撮影画像PAを順次表示できる。具体的には、車両2の進行により車両2が設定区間に進入し、検出器17が車両2を検出すると、直近の第1カメラ10aから受信する撮影画像PAの表示を開始する。車両2が次の設定区間に進入し、検出器17が車両2を検出すると、次の第2カメラ10bから受信している撮影画像PAの表示を開始する。
【0090】
(3)カメラ10が、常時、撮影画像PAを伝送する場合、検出器17を省略してもよい。例えば、車両2の進行により第1カメラ10aの無線伝送エリアARBと無線伝送エリアARAとが重なって第1カメラ10aの画像受信を開始するとき、画像表示を開始する。さらに、次の第2カメラ10bの無線伝送エリアARBと無線伝送エリアARAとが重なり第2カメラ10bから画像受信を開始するとき、画像表示を開始する。
【0091】
(4)表示制御装置30の無線伝送の動作開始を検出器17の動作に連動させてもよい。例えば、検出器17が車両2を検出するとき、表示制御装置30は検出器17からの指令に基づいて表示制御装置30の無線回路を動作させ、撮影画像PAの受信準備を開始する。
【0092】
上記(1)~(4)の効果を説明する。
上記(1)の構成によれば、車両2が監視領域3に接近したときにしかカメラ10が無線伝送しないため、カメラ10の通信帯域の負荷を減らせることが出来る。
【0093】
上記(2)の構成によれば、カメラ10の通信帯域の負荷は高まるが、無線回路の動作開始のタイムラグを減らせることが出来る。車両2が高速である場合、車両2が監視領域3に接近するときの無線回路の動作開始が間に合わない虞があるが、(2)の構成によれば、このような事態の発生を抑制できる。例えば、特急や新幹線の場合、監視領域3に接近する速度が速いため、特急や新幹線に対してこの技術を適用できる。
【0094】
上記(3)の構成によれば、検出器17が省略されるため、システム構築を簡素化できる。上記(4)の構成によれば、車両2が監視領域3に接近したときにしか表示制御装置30の無線回路が動作しないため、表示制御装置30の通信帯域の負荷を減らせることが出来る。
【0095】
・第1実施形態では、列車システムにおける線路に設置される踏切4に関して説明したが、列車2aおよび踏切4に設けられる情報提供システム1は、鉄道の複数のホームにも適用できる。具体的には、車両2に表示制御装置30が設けられる。複数のホームそれぞれにカメラ10と送信装置20とが設けられる。例えば、都市部の地下鉄や人口密集地域の鉄道では、駅と駅との間の距離が短いところがある。この場合、情報提供システム1によれば、第1のホームの撮影画像を表示した状態で、第1のホームよりも先の第2のホームの撮影画像を誤認し難い態様で表示できる。
【0096】
・第1実施形態では、列車システムにおける線路に設置される踏切4に関して説明したが、列車2aおよび踏切4に設けられる情報提供システム1は、バス運行システムにおける停留所にも適用できる。具体的には、バスに表示制御装置30が設けられる。停留所の周辺にカメラ10と送信装置20とが設置される。例えば、都市部や人口密集地域では、停留所と停留所との間の距離が短いところがある。この場合、情報提供システム1によれば、第1の停留所の撮影画像を表示した状態で、第1の停留所よりも先の第2の停留所の撮影画像を誤認し難い態様で表示できる。
【符号の説明】
【0097】
ARA…無線伝送エリア、ARB…無線伝送エリア、ID…識別情報、IE…区間通過情報、IF…第1通過情報、IP…位置情報、IPX…車両位置情報、IS…第2通過情報、N…ネットワーク、P1…第1地点、P2…第2地点、PA…撮影画像、PA1…第1撮影画像、PA2…第2撮影画像、PA3…第3撮影画像、SA…第1被検出信号、SB…第2被検出信号、1,1x,1y…情報提供システム、2…車両、2a…列車、2b…バス、3…監視領域、3a…第1監視領域、3b…第2監視領域、3c…第3監視領域、4…踏切、5…ホーム、10…カメラ、10a…第1カメラ、10b…第2カメラ、10c…第3カメラ、11…撮影部、12…制御部、15…第1検出器、16…第2検出器、17…検出器、20…送信装置、30…表示制御装置、31…制御部、32…送受信部、33…位置情報取得装置、40…表示装置、41…表示画面。