(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/10 20060101AFI20230216BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20230216BHJP
【FI】
F24C3/10 G
H01M50/20
(21)【出願番号】P 2019094465
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若杉 裕司
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-019618(JP,A)
【文献】特開2013-012348(JP,A)
【文献】実開昭60-069467(JP,U)
【文献】特開2003-139332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/10
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒型の電池を収納する電池収納ケースを備えている加熱調理器であって、
前記電池収納ケースは、ケース本体と、前記ケース本体に固定されているリボンと、を備えており、
前記ケース本体は、手前側にある開口部と、前記開口部よりも奥側にある奥壁部と、を備えており、前記開口部と前記奥壁部との間で前記電池の長手方向が奥行き方向と直交するように前記電池を収納するように構成されており、
前記ケース本体は、前記奥壁部側の上側で前記電池を収納する上奥側収納部と、前記奥壁部側の下側で前記電池を収納する下奥側収納部と、前記開口部側の上側で前記電池を収納する上手前側収納部と、前記開口部側の下側で前記電池を収納する下手前側収納部と、を備えており、
前記奥壁部は、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部の筒状面と対向する位置で奥側に凹んでいる凹部を備えており、前記下奥側収納部に収納されている前記電池と対向する位置では凹部を備えておらず、
前記ケース本体に固定されている前記リボンは、前記凹部よりも前記電池の長手方向の他端部側の位置で前記電池の筒状面に巻き付くように配置されており、
前記電池収納ケースは、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部が奥側に押し入れられたときにその一端部が前記奥壁部の前記凹部内に押し入れられる一方で前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出され、かつ、前記リボンが手前側に引き出されたときに前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出される一方で前記電池の長手方向の一端部が前記凹部内に押し入れられるように構成されている、加熱調理器。
【請求項2】
前記奥壁部は、手前側に突出して前記電池の軸方向の中央部の筒状面に当接する当接部を備えており、
前記電池収納ケースは、前記電池の筒状面に当接する前記当接部が支点になり、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部が奥側に押し入れられる一方で、前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出されるように構成されている、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記電池収納ケースよりも外側に配置されて前記電池収納ケースを覆っており、前記電池収納ケースに対して回動する外側回動ケースを更に備えており、
前記外側回動ケースは、電池収納ケースに対して回動して、前記加熱調理器の正面よりも奥側に押し入れられる第1の姿勢と、前記加熱調理器の正面よりも手前側に引き出される第2の姿勢との間で姿勢を変更可能に構成されている、請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記凹部は、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の負極側の端部の筒状面と対向する位置に配置されており、
前記リボンは、前記凹部よりも前記電池の正極側の位置で前記電池の筒状面に巻き付くように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記外側回動ケースに固定されている液晶の表示パネルを更に備えている、
請求項3又は請求項3を引用する請求項4に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筒型の電池を収納する電池収納ケースが開示されている。特許文献1の電池収納ケースは、手前側にある開口部と、開口部よりも奥側にある奥壁部とを備えており、開口部と奥壁部との間で電池の長手方向が奥行き方向と直交するように電池を収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、電池収納ケースに収納されている電池を取り出すときに、例えば、ユーザが指先や爪先を電池の正極側又は負極側の端面に引っ掛けた状態で電池を手前側に引き出さなければならないという問題があった。そのため、特許文献1の技術では、電池収納ケースから電池を容易に取り出すことができないという問題があった。そこで、本明細書は、電池収納ケースから電池を容易に取り出すことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する加熱調理器は、筒型の電池を収納する電池収納ケースを備えていてもよい。前記電池収納ケースは、ケース本体と、前記ケース本体に固定されているリボンと、を備えていてもよい。前記ケース本体は、手前側にある開口部と、前記開口部よりも奥側にある奥壁部と、を備えており、前記開口部と前記奥壁部との間で前記電池の長手方向が奥行き方向と直交するように前記電池を収納するように構成されていてもよい。前記ケース本体は、前記奥壁部側の上側で前記電池を収納する上奥側収納部と、前記奥壁部側の下側で前記電池を収納する下奥側収納部と、前記開口部側の上側で前記電池を収納する上手前側収納部と、前記開口部側の下側で前記電池を収納する下手前側収納部と、を備えていてもよい。前記奥壁部は、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部の筒状面と対向する位置で奥側に凹んでいる凹部を備えており、前記下奥側収納部に収納されている前記電池と対向する位置では凹部を備えていなくてもよい。前記ケース本体に固定されている前記リボンは、前記凹部よりも前記電池の長手方向の他端部側の位置で前記電池の筒状面に巻き付くように配置されていてもよい。前記電池収納ケースは、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部が奥側に押し入れられたときにその一端部が前記奥壁部の前記凹部内に押し入れられる一方で前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出され、かつ、前記リボンが手前側に引き出されたときに前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出される一方で前記電池の長手方向の一端部が前記凹部内に押し入れられるように構成されていてもよい。
【0006】
この構成によれば、ユーザがケース本体に収納されている電池を取り出すときに、電池の長手方向の一端部をケース本体の奥側に押し入れることによって、その一端部が奥壁部の凹部に押し入れられる一方で、長手方向の他端部がケース本体の手前側に引き出される。また、ケース本体に固定されているリボンをユーザが手前側に引き出すことによって、電池の長手方向の他端部がケース本体の手前側に引き出される一方で、電池の長手方向の一端部が凹部に押し入れられる。ケース本体の手前側に引き出された電池の長手方向の他端部を利用して電池をケース本体から取り出すことによって、電池収納ケースから電池を容易に取り出すことができる。
【0008】
ケース本体が奥側収納部と手前側収納部とを備えている場合は、手前側収納部に収納されている電池は手前側にあるので取り出し易いものの、奥側収納部に収納されている電池は奥側にあるので取り出し難い。しかしながら、ケース本体の奥壁部が凹部を備えていると共に、リボンが乾電池の筒状面に巻き付くように配置されているので、凹部とリボンを利用することによって奥側収納部に収納されている電池を容易に取り出すことができる。
【0009】
前記奥壁部は、手前側に突出して前記電池の筒状面に当接する当接部を備えていてもよい。前記電池収納ケースは、前記電池の筒状面に当接する前記当接部が支点になり、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の長手方向の一端部が奥側に押し入れられる一方で、前記電池の長手方向の他端部が手前側に引き出されるように構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、電池の筒状面に当接する当接部を支点として利用することによって、電池の長手方向の一端部を奥側に押し入れると同時に他端部を手前側に引き出す作業を容易に行うことができる。そのため、電池をケース本体から容易に取り出すことができる。
【0011】
前記加熱調理器は、前記電池収納ケースよりも外側に配置されて前記電池収納ケースを覆っている外側回動ケースであって、前記電池収納ケースに対して回動する外側回動ケースを更に備えていてもよい。前記外側回動ケースは、前記電池収納ケースに対して回動して、前記加熱調理器の正面よりも奥側に押し入れられる第1の姿勢と、前記加熱調理器の正面よりも手前側に引き出される第2の姿勢との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。
【0012】
電池収納ケースに対して回動する外側回動ケースがあると、電池収納ケースから電池を取り出し難くなる場合がある。例えば、外側回動ケースがあることによって電池収納ケース内が見え難くなり、電池を取り出し難くなる場合がある。しかしながら、凹部とリボンを利用することによって電池収納ケースから電池を容易に取り出すことができる。
【0013】
前記凹部は、前記ケース本体の前記上奥側収納部に収納されている前記電池の負極側の端部の筒状面と対向する位置に配置されていてもよい。前記リボンは、前記凹部よりも前記電池の正極側の位置で前記電池の筒状面に巻き付くように配置されていてもよい。
【0014】
通常の筒型の電池では電池を負極側から取り出すよりも正極側から取り出す方が取り出し易い。電池を手前側に引き出すためのリボンを電池の正極側に配置することによって、電池を更に容易に取り出すことができる。
【0015】
前記加熱調理器は、前記外側回動ケースに固定されている液晶の表示パネルを更に備えていてもよい。
【0016】
この構成によれば、液晶の表示パネルに電力を供給するための電池を表示パネルの近くに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】実施例に係る加熱調理器の要部の第1の状態(ケースカバーが閉じられている状態)の斜視図である。
【
図3】実施例に係る加熱調理器の要部の第2の状態(ケースカバーが開かれている状態)の斜視図である。
【
図4】実施例に係る加熱調理器の要部の第3の状態(電池収納ケースが引き出されている状態)の斜視図である。
【
図5】実施例に係る電池収納ケースの斜視図である。
【
図6】実施例に係る電池収納ケースの分解斜視図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII断面図である(1)。
【
図9】
図7のVIII-VIII断面図である(2)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例に係る加熱調理器について図面を参照して説明する。
図1は、実施例に係る加熱調理器1の斜視図である。
図1に示すように、加熱調理器1は、本体10と、3個のコンロバーナ12a、12b、12cと、1個のグリルバーナ12dと、を備えている。また、加熱調理器1は、3個のコンロ点火ボタン14a、14b、14cと、1個のグリル点火ボタン14dと、を備えている。また、加熱調理器1は、トッププレート16と、正面パネル18とを備えている。正面パネル18は、本体10の手前側に固定されている。
【0019】
図2から
図4に示すように、加熱調理器1は、支持ケース2と、外側回動ケース30と、電池収納ケース3と、表示パネル5と、ケースカバー6とを備えている。支持ケース2は、加熱調理器1の本体10内に配置され、本体10に固定されている。支持ケース2は、正面パネル18よりも奥側の位置に配置されている。支持ケース2内に外側回動ケース30と電池収納ケース3が収納される。
【0020】
外側回動ケース30は、支持ケース2に対して回動可能に固定されている。外側回動ケース30は、ヒンジ部22を中心にして回動する。外側回動ケース30は、支持ケース2内に押し入れられる第1の姿勢(
図2及び
図3参照)と、支持ケース2外に引き出される第2の姿勢(
図4参照)との間で姿勢を変更可能に構成されている。第1の姿勢では、外側回動ケース30が加熱調理器1の正面パネル18よりも奥側に押し入れられる。第2の姿勢では、外側回動ケース30が加熱調理器1の正面パネル18よりも手前側に引き出される。外側回動ケース30は、電池収納ケース3よりも外側に配置されている。外側回動ケース30は、電池収納ケース3を覆っている。外側回動ケース30は、ヒンジ部22を中心にして、電池収納ケース3に対して回動する。
図5及び
図6に示すように、外側回動ケース30は、開口部34を備えている。開口部34は、複数の乾電池100が出し入れされる部分である。開口部34は、後述するケース本体31の開口部24と連通している。外側回動ケース30は、複数個の係合凹部35を備えている。係合凹部35は、後述するケースカバー6の係合凸部65と係合する。
【0021】
図3に示すように、電池収納ケース3は、支持ケース2に固定されている。電池収納ケース3は、加熱調理器1の正面パネル18よりも奥側に配置されている。
図5及び
図6に示すように、電池収納ケース3は、ケース本体31と、ケース本体31に固定されているリボン7とを備えている。
【0022】
ケース本体31は、外側回動ケース30に収納されている。
図6から
図9に示すように、ケース本体31は、開口部24と、奥壁部25と、左側壁部26と、右側壁部27と、上壁部28と、下壁部29とを備えている。また、ケース本体31は、複数の正極接点部材46と、複数の負極接点部材47とを備えている。ケース本体31は、複数の筒型の乾電池100を収納する。各乾電池100は、正極101と負極102を備えている。各乾電池100は、筒状の外周面(筒状面)103を備えている。
【0023】
ケース本体31の開口部24は、奥行き方向(Y方向)の手前側で開口している。開口部24は、複数の乾電池100が出し入れされる部分である。奥壁部25は、開口部24よりも奥側に配置されている。開口部24と奥壁部25との間に複数個(本実例では4個)の乾電池100が収納される。各乾電池100は、横向きでケース本体31に収納される。すなわち、各乾電池100は、その長手方向(正極101から負極102に向かう方向)がケース本体31の奥行き方向(Y方向)と直交する状態でケース本体31に収納される。
【0024】
ケース本体31は、奥壁部25側で乾電池100を収納する奥側収納部41(41a、41b)と、開口部24側で乾電池100を収納する手前側収納部42(42a、42b)とを備えている。ケース本体31は、2個の奥側収納部41(上奥側収納部41a及び下奥側収納部41b)と、2個の手前側収納部42(上手前側収納部42a及び下手前側収納部42b)とを備えている。上奥側収納部41aは、下奥側収納部41bよりも上側に配置されている。上手前側収納部42aは、下手前側収納部42bよりも上側に配置されている。
【0025】
奥壁部25は、奥行き方向(Y方向)の奥側に凹んでいる凹部40を備えている。凹部40は、上奥側収納部41aの奥側に設けられている。凹部40は、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の長手方向の一端部(負極102側の端部)の筒状面103と対向する位置に設けられている。すなわち、凹部40は、乾電池100の負極102の近傍の外周面と対向している。また、奥壁部25は、手前側に突出している当接部44を備えている。当接部44は、奥側収納部41(上奥側収納部41aと下奥側収納部41b)に収納されている2個の乾電池100のそれぞれの筒状面103の奥側部分に当接するように設けられている。当接部44は、各乾電池100の軸方向の中央部に当接する。
【0026】
左側壁部26と右側壁部27は、ケース本体31に収納されている各乾電池100の電極と対向するように設けられている。左側壁部26には複数個の正極接点部材46と、複数個の負極接点部材47とが固定されている。同様に、右側壁部27にも複数個の正極接点部材46と、複数個の負極接点部材47とが固定されている。ケース本体31に収納されている乾電池100の正極101が正極接点部材46に接触し、乾電池100の負極102が負極接点部材47に接触する。正極接点部材46と負極接点部材47との間に乾電池100が収納される。
【0027】
ケース本体31の下壁部29は、上側に突出している2個の支持部49を備えている。各支持部49は、下奥側収納部41bに収納されている乾電池100の手前側の筒状面103に当接するように設けられている。また、下壁部29の手前側にはリボン7が固定されている。
【0028】
リボン7は、下壁部29と奥壁部25と上壁部28に沿って延びるように配置されている。リボン7は、その一端部が下壁部29に固定され、他端部がケース本体31の開口部24よりも手前側に突出するように配置されている。リボン7の他端部は、開口部24の上壁部28側の端部から手前側に突出している。リボン7は、奥側収納部41(上奥側収納部41aと下奥側収納部41b)に収納されている2個の乾電池100のそれぞれの筒状面103の奥側部分に巻き付くように配置されている。リボン7は、2個の乾電池100のそれぞれの長手方向の中央部よりも一方の電極側の筒状面103に巻き付くように配置されている。リボン7は、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の正極101側の筒状面103に巻き付く位置に設けられている。リボン7は、下奥側収納部41bに収納されている乾電池100の負極102側の筒状面103に巻き付く位置に設けられている。リボン7は、奥壁部25に設けられている当接部44を挟んで凹部40と反対側の位置に配置されている。リボン7は、凹部40よりも乾電池100の正極101側の位置で乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されている。
【0029】
図5及び
図6に示すように、表示パネル5は、外側回動ケース30に固定されている。表示パネル5の裏側に外側回動ケース30が配置されている。表示パネル5は、液晶パネルである。表示パネル5は、電池収納ケース3に収納されている複数個の乾電池100から供給される電力によって動作する。表示パネル5は、加熱調理器1の状態に関する情報を表示する。
【0030】
ケースカバー6は、電池収納ケース3に対して回動可能に固定されている。ケースカバー6は、ヒンジ部23を中心にして回動する。ケースカバー6は、電池収納ケース3のケース本体31の開口部24と、外側回動ケース30の開口部34とを開閉する。ケースカバー6は、複数個の係合凸部65を備えている。ケースカバー6が閉じられたときに、ケースカバー6の各係合凸部65が外側回動ケース30の各係合凹部35と係合する。
【0031】
次に、電池収納ケース3に収納されている複数個の乾電池100を取り出す方法について説明する。電池収納ケース3に収納されている複数個の乾電池100を取り出すときは、まずケース本体31の上手前側収納部42aに収納されている乾電池100を取り出す。例えば、加熱調理器1のユーザが、指先や爪先を乾電池100の正極101側又は負極102側の端面に引っ掛けた状態で乾電池100を手前側に引き出す。
【0032】
続いてユーザは、ケース本体31の上奥側収納部41aに収納されている乾電池100を取り出す。上奥側収納部41aに収納されている乾電池100を取り出すときは、
図9に示すように、ユーザが、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の長手方向の負極102側の端部を奥側に押し入れる(矢印参照)。乾電池100の負極102側の端部が奥側に押し入れられると、その端部が、ケース本体31の奥壁部25に設けられている凹部40内の空間に押し入れられる。また、乾電池100の筒状面103の奥側部分が奥壁部25に設けられている当接部44に当接する。そうすると、乾電池100の負極102側の端部が奥側に押し入れられる一方で、乾電池100の筒状面103に当接する当接部44が支点になり、乾電池100の正極101側の端部が手前側に引き出される(矢印参照)。
【0033】
更に、加熱調理器1のユーザは、ケース本体31の開口部24から手前側に突出しているリボン7の端部を手前側に引き出す。そうすると、ケース本体31の上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の正極101側の端部が手前側に引き出される(矢印参照)。乾電池100の正極101側の端部が手前側に引き出される一方で、乾電池100の筒状面103に当接する当接部44が支点になり、乾電池100の負極102側の端部が凹部40内の空間に押し入れられる。加熱調理器1のユーザは、手前側に引き出された乾電池100の正極101側の端部を利用して乾電池100を電池収納ケース3から取り出すことができる。
【0034】
上手前側収納部42aと上奥側収納部41aのそれぞれに収納されている各乾電池100が取り出されると、上手前側収納部42aと上奥側収納部41aに空間ができる。
【0035】
続いてユーザは、ケース本体31の下手前側収納部42bに収納されている乾電池100と、下奥側収納部41bに収納されている乾電池100とを取り出す。例えば、ユーザは、上手前側収納部42aと上奥側収納部41aに空間ができているので、その空間に指先を入れて、下手前側収納部42bと下奥側収納部41bのそれぞれに収納されている各乾電池100を取り出す。以上により、電池収納ケース3に収納されている複数個の乾電池100を取り出すことができる。
【0036】
以上、実施例について説明した。上記の説明から明らかなように、実施例に係る加熱調理器1は電池収納ケース3を備えている。電池収納ケース3のケース本体31は、手前側にある開口部24と、開口部24よりも奥側にある奥壁部25とを備えている。ケース本体31は、開口部24と奥壁部25との間で筒型の乾電池100の長手方向が奥行き方向と直交するように乾電池100を収納する。奥壁部25は、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の長手方向の負極102側の端部の筒状面103と対向する位置で奥側に凹んでいる凹部40を備えている。また、ケース本体31に固定されているリボン7は、凹部40よりも乾電池100の長手方向の正極101側の位置で乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されている。電池収納ケース3は、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の負極102側の端部が奥側に押し入れられたときに負極102側の端部が凹部40内に押し入れられる一方で正極101側の端部が手前側に引き出されるように構成されている。また、電池収納ケース3は、リボン7が手前側に引き出されたときに乾電池100の正極101側の端部が手前側に引き出されるように構成されている。
【0037】
この構成によれば、電池収納ケース3の手前側に引き出された乾電池100の正極101側の端部を利用して乾電池100をケース本体31から取り出すことによって、乾電池100を容易に取り出すことができる。
【0038】
また、上記の構成では、ケース本体31が、奥壁部25側で乾電池100を収納する上奥側収納部41aと、開口部24側で乾電池100を収納する上手前側収納部42aとを備えている。この構成では、上手前側収納部42aに収納されている乾電池100は手前側にあるので取り出し易いものの、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100は奥側にあるので取り出し難い。しかしながら、ケース本体31の奥壁部25が凹部40を備えていると共に、リボン7が乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されているので、凹部40とリボン7を利用することによって上奥側収納部41aに収納されている乾電池100を容易に取り出すことができる。
【0039】
また、上記の構成では、奥壁部25が、手前側に突出して乾電池100の筒状面103に当接する当接部44を備えている。電池収納ケース3は、上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の負極102側の端部が奥側に押し入れられたときに、乾電池100の筒状面103に当接する当接部44が支点になり、乾電池100の正極101側の端部が手前側に引き出されるように構成されている。この構成によれば、当接部44を利用することによって乾電池100の正極101側の端部を容易に手前側に引き出すことができる。そのため、乾電池100を容易に取り出すことができる。
【0040】
また、上記の構成では、加熱調理器1が、電池収納ケース3よりも外側に配置されて電池収納ケース3を覆っている外側回動ケース30を備えている。外側回動ケース30は、電池収納ケース3に対して回動する。外側回動ケース30は、加熱調理器1の正面パネル18よりも奥側に押し入れられる第1の姿勢(
図3、5参照)と、加熱調理器1の正面パネル18よりも手前側に引き出される第2の姿勢(
図4参照)との間で姿勢を変更可能に構成されている。外側回動ケース30が第1の姿勢(
図5参照)のときに電池収納ケース3から乾電池100が取り出されるが、例えば、外側回動ケース30があることによって電池収納ケース3内がユーザから見え難くなり、電池収納ケース3から電池を取り出し難くなる場合がある。しかしながら、ケース本体31の奥壁部25が凹部40を備えていると共に、乾電池100の筒状面103に巻き付くリボン7があるので、凹部40とリボン7を利用することによって正面パネル18よりも奥側にある乾電池100を容易に取り出すことができる。
【0041】
また、上記の構成では、凹部40が、ケース本体31に収納されている乾電池100の負極102側の端部の筒状面103と対向する位置に配置されている。また、リボン7が、凹部40よりも乾電池100の正極101側の位置で乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されている。通常の筒型の乾電池100では負極102側から取り出すよりも正極101側から取り出す方が乾電池100を取り出し易い。乾電池100を手前側に引き出すためのリボン7を乾電池100の正極101側に配置しておくことによって、乾電池100を円滑に手前側に引き出すことができる。
【0042】
また、上記の加熱調理器1は、電池収納ケース3に固定されている液晶の表示パネル5を備えている。この構成によれば、液晶の表示パネル5に電力を供給するための乾電池100を表示パネル5の近くに配置することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0044】
(他の実施例)
(1)上記の実施例では、電池収納ケース3が複数の乾電池100を収納する構成であったが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、電池収納ケース3が1個の乾電池100のみを収納する構成であってもよい。電池収納ケース3のケース本体31が上奥側収納部41aに相当する収納部のみを備えている構成であってもよい。この構成でも凹部40とリボン7を利用して1個の乾電池100を容易に取り出すことができる。
【0045】
(2)上記の実施例では、乾電池100が用いられていたが、他の実施例では、乾電池100に代えて筒型の蓄電池が用いられてもよい。
【0046】
(3)リボン7は、帯状であっても紐状であってもよい。
【0047】
(4)当接部44は、奥壁部25に設けられているリブであってもよい。
【0048】
(5)電池収納ケース3が外側回動ケース30に固定されていてもよい。電池収納ケース3が外側回動ケース30と共に支持ケース2に対して回動する構成であってもよい。
【0049】
(6)支持ケース2と電池収納ケース3が一体で構成されていてもよい。
【0050】
(7)上記の実施例では、奥壁部25の凹部40が、ケース本体31の上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の負極102側の端部の筒状面103と対向する位置に配置されていた。また、リボン7が、凹部40よりも乾電池100の正極101側の位置で乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されていた。しかしながら、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、奥壁部25の凹部40が、ケース本体31の上奥側収納部41aに収納されている乾電池100の正極101側の端部の筒状面103と対向する位置に配置されていてもよい。また、リボン7が、凹部40よりも乾電池100の負極102側の位置で乾電池100の筒状面103に巻き付くように配置されていてもよい。すなわち、凹部40とリボン7に対する乾電池100の正極101と負極102の向きが上記の実施例と反対向きであってもよい。
【0051】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
1:加熱調理器、2:支持ケース、3:電池収納ケース、5:表示パネル、6:ケースカバー、7:リボン、10:本体、16:トッププレート、18:正面パネル、24:開口部、25:奥壁部、26:左側壁部、27:右側壁部、28:上壁部、29:下壁部、30:外側回動ケース、31:ケース本体、34:開口部、35:係合凹部、40:凹部、41:奥側収納部、41a:上奥側収納部、44:当接部、46:正極接点部材、47:負極接点部材、49:支持部、65:係合凸部、100:乾電池、101:正極、102:負極、103:筒状面