(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】霧化ユニット、及び非燃焼式吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20230216BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230216BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2019109749
(22)【出願日】2019-06-12
(62)【分割の表示】P 2019507358の分割
【原出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】201811255598.3
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小田 崇
(72)【発明者】
【氏名】シェン ピファ
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/157638(WO,A1)
【文献】特開2006-226382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000148(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0255832(US,A1)
【文献】実開平02-083863(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108576938(CN,A)
【文献】特開2018-046874(JP,A)
【文献】中国実用新案第203424300(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0324219(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108667097(CN,A)
【文献】特開2010-270838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
F16L 37/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のタンクと、
前記タンクの開口部側の内周面に嵌合されるホルダと、
を備え、
前記ホルダに前記タンクの底部側に向かって突出され、径方向の内側に弾性変形可能な係合片を2つ設け、
前記タンクに、各前記係合片に係合可能な2つの係合部を設け、
前記係合片及び前記係合部は、前記タンク及び前記ホルダの径方向中央を中心に対向配置されて
おり、
前記係合片の径方向内側の内面に、前記係合片の径方向内側への弾性変形に対して前記係合片に径方向外側に向かう弾性力を付勢する弾性付与部材を設けた霧化ユニット。
【請求項2】
前記ホルダの内周面に嵌合される弾性を有する容器を備えた請求項1に記載の霧化ユニット。
【請求項3】
前記係合片の先端から前記径方向の外側に突出する係合爪を有し、
前記係合部は、前記係合爪が挿入可能な係合孔である請求項1又は請求項2に記載の霧化ユニット。
【請求項4】
前記係合爪は、前記タンク及び前記ホルダの軸方向及び径方向に沿う平面の断面形状が略三角形状となるように形成されており、前記先端から前記径方向外側に向かうに従って、前記係合片の基端側に傾斜する傾斜面を有しているとともに、前記基端側の平面が前記軸方向に対して直交している請求項3に記載の霧化ユニット。
【請求項5】
前記タンク及び前記ホルダのいずれかに前記係合片を受け入れ、前記タンクと前記ホルダとの嵌合をガイドするガイド凹部が形成されている請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の霧化ユニット。
【請求項6】
前記タンクの内周面に、前記ホルダが嵌合されており、
前記弾性付与部材は、前記ホルダの内周面に嵌合される嵌合部を有している請求項
1に記載の霧化ユニット。
【請求項7】
請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の霧化ユニットと、
前記タンク内を、前記タンクの底部側に位置する液体収容室と、前記タンクの開口部側に位置する開口室と、に区分けする吸液性を有する仕切板と、
前記仕切板に連結される吸液性を有するウィックと、
前記ウィックを加熱する電熱線を有する加熱部と、を備え、
前記ホルダ、前記ウィック、及び前記加熱部は、前記仕切板よりも前記開口室側に位置している非燃焼式吸引器。
【請求項8】
前記霧化ユニットを収納する筒状の容器保持筒と、
前記容器保持筒の前記タンクの底部とは反対側の端部に連結される電源部と、
有底筒状の前記ホルダと、を備え、
前記ホルダの底部は、前記タンクの底部とは反対側に向けて配置されており、
前記ホルダの底部には、前記電熱線と接続されるとともに、前記電源部のピン電極と接触可能な電極が設けられている請求項
7に記載の非燃焼式吸引器。
【請求項9】
前記液体収容室に収容されるエアロゾル源と、
前記エアロゾル源が霧化したエアロゾルを吸引する吸引口が形成された吸口部と、
前記吸口部に装着された香味源容器と、を備える請求項
7又は請求項
8に記載の非燃焼式吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化ユニット、及び非燃焼式吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱により霧化させた蒸気(例えば、エアロゾル)を吸引する非燃焼式吸引器(以下、単に吸引器という)が知られている。この種の吸引器としては、例えば霧化可能な液体(例えば、エアロゾル源)が収容される霧化ユニットと、蓄電池が搭載された本体ユニットと、を備えたものがある。
霧化ユニットとしては、例えば、液体が収容される略円筒状のタンク(防護スリーブ)と、タンクの軸方向両端を閉塞するホルダ(吸引ノズルキャップ、バッテリーカートリッジコネクタ)と、を備え、タンク内に、液体が吸収されるコットン(含油綿)やコットンに吸収された液体を気化される加熱部(発熱部品)が設けられたものがある。
【0003】
ここで、タンクに対してホルダが容易に着脱できてしまうと、製造者の意図に反して例えば液体を補充したり、コットンや加熱部を交換したりできてしまう。このような事があると、製品の信頼性を損ねてしまう。このため、タンクに対してホルダが脱着できないようにするためのさまざま技術が開示されている。
例えば、ホルダのタンクとの連結部に全周に渡って溝部を形成し、この溝部における軸方向に直角な方向の断面の外周部に、間隔をおいて複数の凹部を形成するとともに、隣接する2つの凹部の間ごとに張り出し部を形成した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、ホルダに溝部を形成するので、この溝部が形成された箇所の肉厚が薄肉化してしまう。このため、溝が形成された箇所の機械的強度が弱くなり、簡単にホルダをこじ開けられる可能性があった。
【0006】
本発明は、意図的に分解することを困難にしつつ、機械的強度を十分確保することができる霧化ユニット、及び非燃焼式吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る霧化ユニットは、有底筒状のタンクと、前記タンクの開口部側の内周面に嵌合されるホルダと、を備え、前記ホルダに前記タンクの底部側に向かって突出され、径方向の内側に弾性変形可能な係合片を2つ設け、前記タンクに、各前記係合片に係合可能な2つの係合部を設け、前記係合片及び前記係合部は、前記タンク及び前記ホルダの径方向中央を中心に対向配置されており、前記係合片の径方向内側の内面に、前記係合片の径方向内側への弾性変形に対して前記係合片に径方向外側に向かう弾性力を付勢する弾性付与部材を設けた。
【0008】
(2)上記(1)の態様に係る霧化ユニットにおいて、前記ホルダの内周面に嵌合される弾性を有する容器を備えた。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係る霧化ユニットにおいて、前記係合片の先端から前記径方向の外側に突出する係合爪を有し、前記係合部は、前記係合爪が挿入可能な係合孔である。
【0010】
(4)上記(3)の態様に係る霧化ユニットにおいて、前記係合爪は、前記タンク及び前記ホルダの軸方向及び径方向に沿う平面の断面形状が略三角形状となるように形成されており、前記先端から前記径方向外側に向かうに従って、前記係合片の基端側に傾斜する傾斜面を有しているとともに、前記基端側の平面が前記軸方向に対して直交している。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれか一の態様に係る霧化ユニットにおいて、前記タンク及び前記ホルダのいずれかに前記係合片を受け入れ、前記タンクと前記ホルダとの嵌合をガイドするガイド凹部が形成されている。
【0013】
(6)上記(1)の態様に係る霧化ユニットにおいて、前記タンクの内周面に、前記ホルダが嵌合されており、前記弾性付与部材は、前記ホルダの内周面に嵌合される嵌合部を有している。
【0014】
(7)本発明の一態様に係る非燃焼式吸引器では、上記(1)から(6)のいずれか一の態様に係る霧化ユニットと、前記タンク内を、前記タンクの底部側に位置する液体収容室と、前記タンクの開口部側に位置する開口室と、に区分けする吸液性を有する仕切板と、前記仕切板に連結される吸液性を有するウィックと、前記ウィックを加熱する電熱線を有する加熱部と、を備え、前記ホルダ、前記ウィック、及び前記加熱部は、前記仕切板よりも前記開口室側に位置している。
【0015】
(8)上記(7)の態様に係る非燃焼式吸引器において、前記霧化ユニットを収納する筒状の容器保持筒と、前記容器保持筒の前記タンクの底部とは反対側の端部に連結される電源部と、有底筒状の前記ホルダと、を備え、前記ホルダの底部は、前記タンクの底部とは反対側に向けて配置されており、前記ホルダの底部には、前記電熱線と接続されるとともに、前記電源部のピン電極と接触可能な電極が設けられている。
【0016】
(9)上記(7)又は(8)の態様に係る非燃焼式吸引器において、前記液体収容室に収容されるエアロゾル源と、前記エアロゾル源が霧化したエアロゾルを吸引する吸引口が形成された吸口部と、前記吸口部に装着された香味源容器と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、タンクとホルダとを意図的に分解しにくくすることができる。また、タンクとホルダとを分解しにくくするにあたり、従来のように、タンクやホルダの全周に渡って溝部を形成する必要がない。このため、タンクやホルダの機械的強度を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】実施形態に係る電源ユニットの分解斜視図である。
【
図6】実施形態に係る電源ユニットの斜視図である。
【
図7】実施形態に係る電源ユニットを軸方向の保持ユニット側から見た平面図である。
【
図8】実施形態に係る保持ユニットの分解斜視図である。
【
図9】実施形態に係る第1連結部材及び第2連結部材の接続構造を示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係る保持ユニット及びカートリッジを軸方向の電源ユニット側から見た平面図である。
【
図12】
図1のXII-XII線に対応するマウスピースの分解斜視図である。
【
図13】実施形態に係るカートリッジの軸方向に沿う断面図である。
【
図14】実施形態に係るカートリッジの分解斜視図である。
【
図15】実施形態に係るタンクを開口部側からみた斜視図である。
【
図16】実施形態に係るヒータホルダを電源ユニット側からみた斜視図である。
【
図17】実施形態に係る霧化容器をメッシュ体側からみた斜視図である。
【
図19】実施形態に係る吸引器からマウスピースを取り外したときの軸方向に沿う断面図である。
【
図20】実施形態に係るカートリッジが縦係合凸部に乗り上げた状態を示す説明図である。
【
図21】実施形態に係るカートリッジの乗り上げ状態においてマウスピースを螺着する様子を示す説明図である。
【
図22】実施形態に係るマウスピースとカートリッジが共回りする様子を示す説明図である。
【
図23】実施形態に係るマウスピースを最後まで締め付けた様子を示す説明図である。
【
図24】実施形態の第1変形例に係るカートリッジの霧化容器に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。
【
図25】実施形態の第2変形例に係るカートリッジの霧化容器に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。
【
図26】実施形態の第3変形例に係るカートリッジの霧化容器に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。
【
図27】実施形態の第4変形例に係る霧化容器をメッシュ体側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[吸引器]
図1は、吸引器の斜視図である。
図1に示す吸引器1は、いわゆる非燃焼式吸引器であり、加熱により霧化されたエアロゾルを、たばこ葉を通して吸引することで、たばこ葉の香味を味わうものである。
【0027】
吸引器1は、本体ユニット10と、本体ユニット10に着脱可能に装着されるカートリッジ(霧化ユニットともいう)11及びたばこカプセル12と、を備えている。
【0028】
<本体ユニット>
図2は、吸引器1の分解斜視図である。
図2に示すように、本体ユニット10は、電源ユニット21と、保持ユニット22と、マウスピース23と、を備えている。電源ユニット21、保持ユニット22及びマウスピース23は、それぞれ軸線Oを中心軸とする筒状に形成されるとともに、軸線O上に並んで配置されている。以下の説明では、軸線Oに沿う方向を軸方向(法線方向)という。この場合、軸方向において、マウスピース23から電源ユニット21に向かう側を反吸口側や第1側ということもでき、電源ユニット21からマウスピース23に向かう側を吸口側や第2側ということもできる。また、軸方向から見た平面視で軸線Oに交差する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という場合がある。本明細書において、「方向」とは2つの向きを意味し、「方向」のうち1つの向きを示す場合には「側」と記載する。
【0029】
<電源ユニット>
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図3に示すように、電源ユニット21は、ハウジング31と、ハウジング31内に収容されたホルダアッセンブリ32と、を備えている。
【0030】
<ホルダアッセンブリ>
図4は、電源ユニット21の分解斜視図である。
図3、
図4に示すように、ホルダアッセンブリ32は、蓄電池33や、基板モジュール(第1基板モジュール34及び第2基板モジュール35)等が蓄電池ホルダ36に搭載されて構成されている。
蓄電池ホルダ36は、例えば樹脂材料により一体に形成されている。蓄電池ホルダ36は、ベース部40を備えている。ベース部40は、軸線Oを中心軸とする半円筒状に形成されている。なお、ベース部40は、蓄電池33等を受け入れる組付開口40a(
図4参照)が径方向の外側に開口していれば、半円筒状以外の形状であってもよい。
【0031】
ベース部40において、軸方向で保持ユニット22とは反対側の端部には、圧入筒部41が連なっている。圧入筒部41は、軸線Oを中心軸とする円筒状に形成されている。圧入筒部41において、周方向の一部には、圧入筒部41を径方向に貫通するコネクタ通過孔42が形成されている。圧入筒部41のうち、軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する開口部は、閉塞部43により閉塞されている。閉塞部43は、圧入筒部41よりも大径の円形状に形成されている。
【0032】
ベース部40のうち、軸方向で保持ユニット22側に位置する部分には、ボタン開口44(
図3参照)が形成されている。ボタン開口44は、ベース部40における周方向の一部を径方向に貫通している。上述したコネクタ通過孔42及びボタン開口44は、例えば周方向で180°異なる位置に配置されている。本実施形態では、周方向におけるコネクタ通過孔42及びボタン開口44それぞれの中心を通る径方向を、表裏面方向とする。この場合、軸線Oに対してコネクタ通過孔42側を裏面側とし、軸線Oに対してボタン開口44側を表面側とする。なお、コネクタ通過孔42及びボタン開口44の位置は適宜変更が可能である。
【0033】
ベース部40において、ボタン開口44の開口縁には、裏面側に延びるボタンガイド筒45が形成されている。ボタンガイド筒45は、ボタン開口44の周囲を取り囲んでいる。
ベース部40において、ボタン開口44よりも軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する部分には、ベース部40を軸方向に仕切る仕切壁46が形成されている。
【0034】
図5は、
図1のV-V線に沿う断面図である。
図3~
図5に示すように、ベース部40のうち、軸方向で保持ユニット22側に位置する端部には、段差部47が連なっている。段差部47は、ベース部40と同軸に配置された半円筒状に形成されるとともに、軸線Oからの径方向の距離が軸方向で保持ユニット22に接近するに従い段々と縮小している。段差部47における軸方向で保持ユニット22側に位置する端縁には、接続台座48が連なっている。接続台座48は、軸線Oを中心軸とする円形状に形成されている。接続台座48には、一対の電極保持部50と、連通ポート51が形成されている。
【0035】
図4、
図5に示すように、一対の電極保持部50は、軸方向で保持ユニット22側に突出する筒状に形成されている。各電極保持部50は、軸線Oに対して径方向の両側に位置している。本実施形態において、各電極保持部50は、径方向のうち、上述した表裏面方向に直交する方向(以下、左右方向という場合がある。)に並んで配置されている。なお、各電極保持部50は、軸方向に延び、径方向で互いに連なっている。
図3、
図4に示すように、連通ポート51は、接続台座48において、軸線Oに対して径方向の裏側に位置する部分から軸方向で保持ユニット22側に向けて突出している。
【0036】
図5に示すように、各電極保持部50には、ピン電極49が各別に保持されている。ピン電極49は、ピン状の電極本体が筒状ケース内に弾性支持された構成である。ピン電極49は、筒状ケースが電極保持部50内に嵌め込まれた状態で、電極本体が電極保持部50を軸方向に貫いて構成されている。ピン電極49(電極本体)における軸方向の両端部のうち、軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する端部は、蓄電池ホルダ36内において、電極配線を通じて後述する第1基板60に接続されている。
【0037】
蓄電池33は、軸線Oを軸方向とする円柱状に形成されている。蓄電池33は、ベース部40において、仕切壁46に対して軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する部分に収容されている。なお、吸引器1に搭載される電源部は、充放電可能な電源として、蓄電池33等の二次電池に限らず、スーパキャパシタ等であってもよい。また、電源部は、一次電池であってもよい。
【0038】
図3、
図4に示すように、第1基板モジュール34は、ベース部40において、仕切壁46に対して軸方向で保持ユニット22側に位置する部分に配置されている。具体的に、第1基板モジュール34は、第1基板60と、スイッチ素子52(
図3参照)と、圧力センサ53と、を備えている。
第1基板60は、表裏面方向を厚さ方向として配置されている。具体的に、第1基板60は、組付開口40aの開口端面上に載置された状態で、ビス等によってベース部40に固定されている。第1基板60は、第1接続配線(不図示)を介して蓄電池33に接続されている。なお、
図3に示す例において、第1基板60は、軸線O上に位置している。
【0039】
スイッチ素子52は、第1基板60の表面(第1主面)上において、表裏面方向から見てボタン開口44と重なり合う位置に配置されている。本実施形態において、スイッチ素子52は、第1基板60に表面実装されている。但し、スイッチ素子52は、スイッチ素子52から引き出された接続端子が第1基板60の貫通孔に挿通された状態で、第1基板60に実装されていてもよい。
【0040】
圧力センサ53は、第1基板60の裏面(第2主面)上において、スイッチ素子52に対して軸方向で保持ユニット22側に配置されている。すなわち、圧力センサ53は、表裏面方向から見た平面視でスイッチ素子52から重なり合わない位置に配置されている。なお、本実施形態では、圧力センサ53がスイッチ素子52に対して軸方向で保持ユニット22側にずれた位置に配置されているが、この構成のみに限られない。すなわち、スイッチ素子52及び圧力センサ53は、第1基板60の面内方向でずれた位置に配置されていれば、軸方向で保持ユニット22とは反対側にずれた位置に配置されていてもよく、径方向のうち、左右方向にずれて配置されていてもよい。
【0041】
圧力センサ53は、例えば静電容量式のものを採用することができる。すなわち、圧力センサ53は、圧力変動に応じて変形するダイアフラムの挙動を静電容量の変化として検出する。本実施形態の圧力センサ53は、圧力センサ53から引き出された接続端子が第1基板60の貫通孔に挿通された状態で、第1基板60に実装されている。但し、圧力センサ53は、第1基板60に表面実装されていてもよい。
【0042】
圧力センサ53には、センサホルダ54が装着されている。センサホルダ54は、シリコーン樹脂等、蓄電池ホルダ36よりも軟らかく、かつ弾性を有する樹脂材料により形成されている。センサホルダ54は、蓄電池ホルダ36に取り付けられた取付部55と、圧力センサ53を覆う被覆部56と、を備えている。
【0043】
取付部55は、半円状に形成されている。取付部55は、上述した接続台座48に軸方向で保持ユニット22とは反対側から突き当てられた状態で、蓄電池ホルダ36に組み付けられている。なお、上述した段差部47には、接続台座48との間で取付部55を軸方向で挟持する挟持片57(
図4参照)が形成されている。挟持片57は、段差部47における径方向(左右方向)の外側に位置する円弧の両端面から周方向に突出している。
【0044】
被覆部56は、取付部55から軸方向で保持ユニット22とは反対側に連なっている。被覆部56は、表面側に開口するキャップ状に形成されている。被覆部56の底壁部56aには、表面側に膨出するスペーサ56bが形成されている。圧力センサ53は、スペーサ56bに突き当てられた状態で被覆部56内に嵌め込まれている。これにより、底壁部56aの内面と、圧力センサ53と、の間には径方向の隙間が設けられている。なお、底壁部56aには、底壁部56aを径方向に貫通する空気置換孔58が形成されている。
【0045】
上述した取付部55には、連通ポート51内と被覆部56内とを連通させる連通路59が形成されている。連通路59は、取付部55内を軸方向に延在している。連通路59における軸方向で保持ユニット22とは反対側の端部は、被覆部56の内周面上で開口している。一方、連通路59における軸方向で保持ユニット22側の端部は、取付部55における軸方向で保持ユニット22側を向く面上で開口している。なお、本実施形態において、連通路59の最小内径は、空気置換孔58の最大内径よりも大きくなっている。また、連通路59において、少なくとも軸方向で保持ユニット22側の端部の内径は、連通ポート51の内径よりも大きくなっている。
【0046】
本実施形態において、連通ポート51及び連通路59は、軸方向から見て少なくとも一部が圧力センサ53と重なり合う位置に配置されている。但し、連通ポート51及び連通路59は、軸方向から見て圧力センサ53とずれた位置に配置されていてもよい。
【0047】
図3~
図5に示すように、第2基板モジュール35は、蓄電池33を間に挟んで軸方向で第1基板モジュール34とは反対側に配置されている。すなわち、本実施形態の基板モジュール34,35は、蓄電池33を間に挟んで軸方向の両側に各別に配置されている。第2基板モジュール35は、第2基板61と、雌コネクタ62と、を備えている。
第2基板61は、上述した圧入筒部41内に径方向(表裏面方向)を厚さ方向として収容されている。
図5に示すように、第2基板61は、圧入筒部41から径方向の内側に突出したボス部41aに載置された状態で、ビス等によりボス部41aに固定されている。第2基板61は、第2接続配線61aを介して第1基板60に接続されている。すなわち、第2接続配線61aは、蓄電池ホルダ36の外側において、蓄電池33の周囲を通して軸方向に引き回されている。
【0048】
図3、
図4に示すように、雌コネクタ62は、蓄電池33への充電に用いられるものであって、外部電源から引き出された雄コネクタ(不図示)が抜き差しされる。本実施形態において、雌コネクタ62は、例えばUSBコネクタ(Universal Serial Bus)が採用されている。但し、雌コネクタ62は、USBコネクタに限られない。また、雌コネクタ62は、必ずしも充電に用いられる必要はなく、例えば通信に用いられるものであってもよい。
【0049】
雌コネクタ62は、開口部を裏面側に向けた状態で、第2基板61に実装されている。雌コネクタ62の先端部(開口部寄りの端部)は、上述したコネクタ通過孔42内に挿入されている。但し、雌コネクタ62は、コネクタ通過孔42から径方向の内側に退避していてもよい。
【0050】
<ハウジング>
図3、
図4に示すように、ハウジング31は、外装筒部71と、介装部材72と、接続機構73と、を有している。
外装筒部71は、軸線Oを中心軸とする円筒状に形成されている。外装筒部71内には、軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する開口部を通じてホルダアッセンブリ32が挿入されている。具体的に、ホルダアッセンブリ32は、蓄電池ホルダ36の圧入筒部41が外装筒部71における保持ユニット22とは反対側に位置する端部に圧入された状態で、外装筒部71内に組み付けられている。これにより、ホルダアッセンブリ32は、軸方向で保持ユニット22側に位置する端部が外装筒部71から突出した状態で、外装筒部71内に収容されている。なお、外装筒部71における軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する開口部は、蓄電池ホルダ36の閉塞部43によって閉塞されている。
【0051】
外装筒部71における軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する端部において、径方向から見て上述したコネクタ通過孔42及び雌コネクタ62と重なり合う部分には、コネクタ露出孔75が形成されている。コネクタ露出孔75は、外装筒部71を径方向に貫通している。本実施形態では、雌コネクタ62が径方向に開口する構成について説明したが、雌コネクタ62が軸方向に開口する構成であってもよい。
【0052】
外装筒部71における軸方向で保持ユニット22側の端部において、径方向から見て上述したボタン開口44と重なり合う部分には、ボタン露出孔76が形成されている。ボタン露出孔76は、外装筒部71を径方向に貫通している。
【0053】
ボタン露出孔76及びボタン開口44内には、ボタン78が収容されている。ボタン78は、ボタンガイド筒45に支持された状態で径方向に移動可能に構成されている。ボタン78は、径方向の内側への移動に伴い、スイッチ素子52を押圧操作する。ボタン78の表面は、ボタン露出孔76を通じて外装筒部71の外周面上に露出している。なお、ボタン78は、径方向に移動するものに限らず、例えば軸方向にスライド移動するものであってもよい。また、ボタン78に替えてタッチセンサ等により吸引器1を操作する構成であってもよい。
【0054】
介装部材72は、軸線Oを中心軸とする円筒状に形成されている。介装部材72は、ホルダアッセンブリ32と外装筒部71との間に、軸方向の保持ユニット22側から嵌め込まれている。これにより、外装筒部71における軸方向で保持ユニット22側に位置する開口部において、ホルダアッセンブリ32と外装筒部71との間が封止されている。
【0055】
図3に示すように、ハウジング31内において、センサホルダ54により囲まれた空間は、吸引器1の使用(吸引)に応じて上述した連通ポート51を通じて圧力変動する圧力変動室S1を構成している。一方、ハウジング31内において、圧力変動室S1以外の空間は、大気圧が作用する常圧室S2を構成している。本実施形態では、蓄電池33及び基板モジュール34,35のうち、圧力センサ53以外は常圧室S2内に収容されている。但し、少なくとも圧力センサ53が圧力変動室S1内に収容されていれば、圧力センサ53以外の部品が圧力変動室S1内に収容されていてもよい。なお、ハウジング31内には、ハウジング31内への液体の進入を把握するために、液検出シール等が設けられていてもよい。
【0056】
<接続機構>
図4、
図5に示すように、接続機構73は、接続キャップ80と、第1連結部材81と、環状片82と、を備えている。
接続キャップ80は、シリコーン樹脂等、蓄電池ホルダ36よりも軟らかく、かつ弾性を有する樹脂材料により形成されている。接続キャップ80は、上述した接続台座48に対して軸方向の保持ユニット22側から装着されている。接続キャップ80は、ベース部91と、フランジ部92と、囲繞凸部93と、を有している。
【0057】
図5に示すように、ベース部91は、軸線Oを中心軸とする円柱状に形成されている。ベース部91のうち、平面視で各電極保持部50と重なり合う位置には、軸方向で保持ユニット22側に窪む収容凹部95がそれぞれ形成されている。各収容凹部95は、軸方向に延び、径方向で連なっている。ベース部91において、各収容凹部95と平面視で重なり合う位置には、電極挿通孔97が形成されている。電極挿通孔97は、ベース部91を軸方向に貫通して、収容凹部95内に連通している。
図3に示すように、ベース部91のうち、平面視で連通ポート51と重なり合う位置には、ポート挿通孔99が形成されている。ポート挿通孔99は、ベース部91を軸方向に貫通している。
【0058】
図3、
図5に示すように、上述した接続キャップ80のうち、各収容凹部95内には電極保持部50が収容され、かつポート挿通孔99内には連通ポート51が挿通される。これにより、接続キャップ80は、接続台座48における軸方向で保持ユニット22側を向く端面に突き合わされた状態で蓄電池ホルダ36に組み付けられている。この状態において、ピン電極49は、電極挿通孔97を通じてベース部91から軸方向の保持ユニット22側に突出している。連通ポート51は、ポート挿通孔99を通じてベース部91から軸方向の保持ユニット22側に突出している。すなわち、接続キャップ80(ベース部91)のうち、保持ユニット22側を向く面は、ピン電極49が突出するとともに、連通ポート51が開口するベース面91aを構成している。
【0059】
フランジ部92は、ベース部91における軸方向で保持ユニット22とは反対側の端部において、径方向の外側に張り出している。
【0060】
囲繞凸部93は、ベース部91における軸方向で保持ユニット22側を向く端面から軸方向に突出している。具体的に、囲繞凸部93は、ベース部91の外周縁に沿って延びる環状に形成されている。すなわち、囲繞凸部93は、ピン電極49及び連通ポート51に対して径方向の外側に離れた位置で、ピン電極49及び連通ポート51をまとめて取り囲んでいる。なお、囲繞凸部93は、ピン電極49及び連通ポート51の周囲をまとめて取り囲む構成であれば、ベース部91の外周縁に対して径方向の内側に位置していてもよい。また、囲繞凸部93は、環状に限らず、多角形状等であってもよい。また、本実施形態において、「囲繞」とは、連続的に延在しているものに限らず、間欠的に延在しているものも含む。すなわち、本実施形態における囲繞凸部93は、全体としてピン電極49及び連通ポート51の周囲を取り囲む構成であれば適宜変更が可能である。
【0061】
囲繞凸部93は、軸方向に沿う縦断面視において、軸方向の保持ユニット22側に向けて先鋭する三角形状に形成されている。囲繞凸部93におけるベース部91からの突出高さは、連通ポート51よりも高く、ピン電極49よりも低くなっている。但し、囲繞凸部93の突出高さは、ピン電極49より高くなっていてもよい。また、囲繞凸部93における縦断面視形状は、三角形状に限られない。
【0062】
第1連結部材81は、ベース筒部100と、縦係合凸部(第1縦係合凸部101a~第3縦係合凸部101c)と、横係合凸部102と、を備えている。
ベース筒部100は、軸線Oを中心として軸方向の保持ユニット22側に向かうに従い段々と縮径する多段筒状に形成されている。ベース筒部100における軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する端部は、介装部材72の内側に嵌め込まれている。この状態において、ベース筒部100における軸方向で保持ユニット22側の端部は、接続台座48との間にフランジ部92を軸方向で挟み込んだ状態で接続キャップ80の周囲を取り囲んでいる。ベース筒部100における軸方向の保持ユニット22側の端部には、径方向の外側に張り出す外フランジ部105が形成されている。
【0063】
図6は、電源ユニット21の斜視図である。
図5、
図6に示すように、縦係合凸部101a~101cは、ベース筒部100から軸方向の保持ユニット22側に突出している。各縦係合凸部101a~101cは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態において、各縦係合凸部101a~101cは、周方向に120°の間隔をあけて均等に配置されている。なお、縦係合凸部101a~101cは、単数であっても複数であってもよい。また、縦係合凸部101a~101cのピッチは適宜変更が可能である。この場合、複数の縦係合凸部101a~101cが不均等に配置されていてもよい。
【0064】
図7は、電源ユニット21を軸方向の保持ユニット22側から見た平面図である。
図7に示すように、上述した各縦係合凸部101a~101cそれぞれにおいて、周方向の中心と軸線Oとを結ぶ仮想直線La~Lc上に上述したピン電極49が配置されないように、各縦係合凸部101a~101cが配置されている。具体的に、ピン電極49は、第1縦係合凸部101aと軸線Oとを結ぶ仮想直線Laに対して線対称となる位置に配置されている。すなわち、各ピン電極49同士を結ぶ仮想直線T1と仮想直線Laとが互いに直交するとともに、仮想直線Laから各ピン電極49までの距離が互いに等しくなっている。
【0065】
図5、
図6に示すように、縦係合凸部101a~101cにおける軸方向の保持ユニット22側に位置する端縁は、ピン電極49よりも軸方向の保持ユニット22側に位置している。縦係合凸部101a~101cは、径方向から見た側面視で矩形状に形成されている。縦係合凸部101a~101cにおける軸方向で保持ユニット22側の端部において、径方向の内側を向く面は、軸方向の保持ユニット22側に向かうに従い径方向の厚さが漸次薄くなる傾斜面とされている。この傾斜面は、カートリッジ11の後述の係合凹部210に、縦係合凸部101a~101cをスムーズに導くためのガイドとして機能する。
【0066】
横係合凸部102は、外フランジ部105から径方向の外側に突出している。横係合凸部102は、平面視で矩形状に形成されている。横係合凸部102は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態において、各横係合凸部102は、周方向に90°間隔をあけて均等に配置されている。本実施形態では、一の横係合凸部102が第1縦係合凸部101aと周方向で同等の位置に配置されている。なお、横係合凸部102は、単数であっても複数であってもよい。また、横係合凸部102のピッチは適宜変更が可能である。この場合、複数の横係合凸部102が不均等に配置されていてもよい。
【0067】
環状片82は、薄肉の環状に形成されている。環状片82には、上述したベース筒部100が軸方向の保持ユニット22側から挿入されることで、介装部材72と外フランジ部105との間に軸方向で挟持されている。
図5に示すように、環状片82のうち、周方向の一部には撓み部106が形成されている。撓み部106は、径方向の外側に膨出するアーチ状に形成されている。撓み部106は、径方向に弾性変形可能に構成されている。撓み部106は、横係合凸部102における径方向の外側端面よりも径方向の内側に位置している。
【0068】
上述した撓み部106は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。例えば撓み部106は、各横係合凸部102のうち、径方向(左右方向)で対向する一対の横係合凸部102と周方向で同等の位置に配置されている。但し、撓み部106の数は、適宜変更が可能である。例えば、撓み部106は、各横係合凸部102に対応して形成されていてもよく、一の横係合凸部102のみに対応して形成されていてもよい。
【0069】
<保持ユニット>
図8は、保持ユニット22の分解斜視図である。
図8に示すように、保持ユニット22は、本体ユニット10に着脱可能に取り付けられる。具体的に、保持ユニット22は、容器保持筒120と、透過筒121と、第2連結部材122と、スリーブ123と、を備えている。
容器保持筒120は、軸線Oを中心軸とする円筒状に形成されている。容器保持筒120における軸方向の中央部には、観察孔130が形成されている。観察孔130は、容器保持筒120を径方向に貫通している。観察孔130は、軸方向を長手方向とする長円形状に形成されている。観察孔130は、容器保持筒120のうち、径方向で対向する部分に一対で形成されている。なお、観察孔130の数や位置、形状等は、適宜変更が可能である。
【0070】
容器保持筒120のうち、観察孔130よりも軸方向の電源ユニット21側に位置する部分には、通気口131が形成されている。通気口131は、容器保持筒120を径方向に貫通している。通気口131は、保持ユニット22の内外を連通させている。通気口131は、容器保持筒120のうち、径方向(表裏面方向)で対向する部分に一対で形成されている。なお、通気口131の数や位置、形状等は、適宜変更が可能である。
【0071】
透過筒121は、光透過性を有する材料により形成されている。透過筒121は、容器保持筒120内に挿入されている。具体的に、透過筒121は、容器保持筒120内おいて、通気口131よりも軸方向のマウスピース23側であって、観察孔130を径方向の内側から覆っている。すなわち、使用者は、観察孔130及び透過筒121を通じて保持ユニット22内を視認可能である。なお、保持ユニット22は、観察孔130や透過筒121を有さない構成であってもよい。
【0072】
第2連結部材122は、保持ユニット22の本体ユニット10への装着時に、上述した第1連結部材81に係止される。具体的に、第2連結部材122は、嵌合筒140と、ガイド筒141と、係止片142と、を備えている。
【0073】
嵌合筒140は、軸線Oを中心軸とする筒状に形成されている。嵌合筒140は、容器保持筒120のうち、透過筒121よりも軸方向の電源ユニット21側に位置する部分に、圧入等により嵌合されている。
【0074】
ガイド筒141は、嵌合筒140と同軸に配置されている。ガイド筒141は、嵌合筒140から軸方向のマウスピース23側に延設されている。ガイド筒141は、軸方向のマウスピース23側に向かうに従い内径が漸次拡大するテーパ筒状に形成されている。ガイド筒141の外径は、嵌合筒140の外径よりも小さくなっている。ガイド筒141のうち、径方向から見た側面視で上述した通気口131と重なり合う位置には、逃げ部145が形成されている。逃げ部145は、例えば軸方向のマウスピース23側に開口するU字状に形成されている。通気口131は、逃げ部145を通じて保持ユニット22内に開口している。なお、逃げ部145の形状は、通気口131における少なくとも一部を保持ユニット22内に露出させる構成であればよい。また、ガイド筒141と通気口131とが軸方向で異なる位置に配置される場合には、ガイド筒141は逃げ部145を有さない構成であってもよい。
【0075】
図9は、第1連結部材81及び第2連結部材122の接続構造を示す斜視図である。
図8、
図9に示すように、係止片142は、嵌合筒140から軸方向の電源ユニット21側に突出している。係止片142は、径方向から見た側面視でL字状に形成されている。具体的に、係止片142は、縦延在部150と、横延在部151と、を有している。
縦延在部150は、嵌合筒140から軸方向の電源ユニット21側に突出している。
【0076】
図9に示すように、横延在部151は、縦延在部150における軸方向の電源ユニット21側の端部から周方向の一方側に向けて片持ちで延在している。
【0077】
図10は、保持ユニット22及びカートリッジ11を軸方向の電源ユニット21側から見た平面図である。
図9、
図10に示すように、横延在部151において、周方向の一方側端部には、径方向の外側に向けて窪む係合凹部155が形成されている。係合凹部155は、径方向の外側に向けて半円状に形成されている。
【0078】
上述した係止片142は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。本実施形態において、各係止片142は、周方向に90°間隔をあけて均等に配置されている。周方向で隣り合う係止片142同士の間には、上述した横係合凸部102が挿入される係合溝158を画成している。係合溝158は、側面視でL字状に形成されている。
【0079】
図2、
図9に示すように、電源ユニット21と保持ユニット22は、係止片142と横係合凸部102とが接続されることで、着脱可能とされている。すなわち、電源ユニット21と保持ユニット22とを接続するには、横係合凸部102を係合溝158内に軸方向で差し込んだ後、電源ユニット21と保持ユニット22とを軸線O回りに相対回転させる。すると、横係合凸部102が横延在部151と嵌合筒140との間に軸方向で係合する。また、電源ユニット21と保持ユニット22とが軸線O回りに相対回転する過程で、環状片82の撓み部106が係合凹部155内に嵌まり込む。これにより、撓み部106が係合凹部155に周方向で係合する。その結果、電源ユニット21及び保持ユニット22は、軸方向及び周方向での位置決めがなされた状態で、互いに組み付けられる。
【0080】
図9に示すように、本実施形態の係合溝158において、嵌合筒140と横延在部151との間は、周方向の他方側から一方側に向かうに従い、軸方向の幅が漸次狭くなるテーパ状に形成されている。具体的に、横延在部151における軸方向のマウスピース23側を向く端面は、周方向の他方側から一方側に向かうに従い軸方向の電源ユニット21側に向けて延びる傾斜面とされている。
横係合凸部102は、周方向の一方側から他方側に向かうに従い軸方向の幅が漸次狭くなるテーパ状に形成されている。具体的に、上述した横係合凸部102における軸方向の保持ユニット22とは反対側を向く端面は、周方向の一方側から他方側に向かうに従い、軸方向のマウスピース23側に延びる傾斜面とされている。これにより、電源ユニット21と保持ユニット22の接続時において、横延在部151と横係合凸部102との干渉を抑制し、組付性を向上させることができる。
【0081】
図8に示すように、スリーブ123は、容器保持筒120内のうち、透過筒121よりも軸方向のマウスピース23側に位置する部分に圧入等により嵌合されている。上述した透過筒121は、第2連結部材122とスリーブ123との間に軸方向で保持されている。スリーブ123の内周面には、雌ねじ部123aが形成されている。
【0082】
<マウスピース>
図11は、
図1のXI-XI線に沿う断面図である。
図12は、
図1のXII-XII線に対応するマウスピース23の分解斜視図である。
図11、
図12に示すように、マウスピース23は、マウスピース本体160と、滑り止め部材(第1滑り止め部材161及び第2滑り止め部材162)と、を備えている。
マウスピース23には、たばこカプセル12を収容可能な吸引口23aが形成されている。マウスピース本体160は、軸線Oを中心軸とする多段筒状に形成されている。マウスピース本体160における軸方向の保持ユニット22側の端部には、雄ねじ部160aが形成されている。マウスピース本体160の雄ねじ部160aは、上述したスリーブ123の雌ねじ部123aに着脱可能に螺着される。なお、マウスピース本体160は、螺着以外の方法(例えば、嵌合等)によりスリーブ123に着脱される構成であってもよい。
【0083】
マウスピース本体160において、雄ねじ部160aに対して軸方向で保持ユニット22とは反対側に位置する部分には、突当フランジ165が形成されている。突当フランジ165は、径方向の外側に張り出す環状に形成されている。突当フランジ165は、マウスピース23が保持ユニット22に装着された状態において、保持ユニット22に軸方向に突き当てられる。なお、突当フランジ165は、軸方向で保持ユニット22から離間するに従い漸次外径が縮小している。
【0084】
マウスピース本体160における軸方向の保持ユニット22側の端部には、マウスピース本体160内を軸方向で仕切る仕切部167が形成されている。仕切部167において、軸線Oと重なる位置には、仕切部167を軸方向に貫通する貫通孔168が形成されている。貫通孔168は、例えば径方向のうち、一方向を長手方向とする長円形状とされている。なお、貫通孔168の平面視形状は、真円形状や多角形状等であってもよい。
【0085】
第1滑り止め部材161は、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料により一体形成されている。第1滑り止め部材161は、リング部169と、嵌合突起170と、当接突起171と、を備えている。
【0086】
リング部169は、マウスピース本体160内に軸方向で保持ユニット22側から嵌合されている。なお、第1滑り止め部材161は、リング部169が上述した仕切部167に軸方向で突き当てられることで、マウスピース本体160に対する軸方向の位置決めがなされている。
【0087】
リング部169の中心には、連通孔169aが形成されている。連通孔169aは、上述した貫通孔168を通じて保持ユニット22内とマウスピース本体160内とを連通させている。
【0088】
嵌合突起170は、リング部169の内周縁のうち、連通孔169aを間に挟んで径方向で対向する位置に一対で形成されている。嵌合突起170は、リング部169から軸方向で保持ユニット22とは反対側に突出している。各嵌合突起170は、上述した貫通孔168内における径方向の両端部に嵌合されている。これにより、第1滑り止め部材161は、マウスピース本体160に対する周方向の位置決めがなされている。なお、本実施形態では、貫通孔168内に嵌合突起170が嵌合される構成について説明するが、貫通孔168とは別の孔に嵌合突起170が嵌合される構成であってもよい。
【0089】
当接突起171は、リング部169から軸方向の保持ユニット22側に突出している。当接突起171は、軸線Oを中心とする円形状に形成されている。本実施形態において、当接突起171は、同心円状に2条形成されている。なお、第1滑り止め部材161は、当接突起171を有さない構成であってもよい。
【0090】
第2滑り止め部材162は、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料により一体形成されている。第2滑り止め部材162は、マウスピース本体160内に軸方向の保持ユニット22とは反対側から嵌合されている。なお、第2滑り止め部材162は、上述した仕切部167に軸方向で突き当てられることで、マウスピース本体160に対する軸方向の位置決めがなされている。
【0091】
<たばこカプセル>
図2、
図11に示すように、たばこカプセル12は、マウスピース本体160内に軸方向で保持ユニット22とは反対側から着脱可能に装着される。たばこカプセル12は、カプセル部180と、フィルタ部181と、を備えている。
【0092】
図11に示すように、カプセル部180は、軸線Oを中心軸とする有底筒状に形成されている。カプセル部180のうち、軸方向で保持ユニット22側の開口部を閉塞する底壁部186には、底壁部186を軸方向に貫通するメッシュ開口が形成されている。
フィルタ部181は、カプセル部180内に軸方向の保持ユニット22とは反対側から嵌合されている。カプセル部180とフィルタ部181とで画成された空間には、たばこ葉が封入されている。
【0093】
<カートリッジ>
図2に示すように、カートリッジ11は、液体のエアロゾル源を貯留するとともに、この液体のエアロゾル源を霧化する。カートリッジ11は、保持ユニット22の透過筒121内に収納されている。
【0094】
図13は、カートリッジ11の軸方向に沿う断面図である。
図14は、カートリッジ11の分解斜視図である。
図13、
図14に示すように、カートリッジ11は、有底円筒状のタンク191と、タンク191内に収納された略円板状のガスケット192、略円板状のメッシュ体(仕切板ともいう)193、加熱部194、及び霧化容器(弾性付与部材ともいう)195と、タンク191の開口部191aを閉塞するヒータホルダ(ホルダともいう)196と、を備えている。
【0095】
図15は、タンク191を開口部191a側からみた斜視図である。
図13~
図15に示すように、タンク191の周壁191bには、開口部191aよりもやや底部191c側に、係合孔198が2つ形成されている。係合孔198は、タンク191にヒータホルダ196を固定するためのものである。係合孔198は、周方向に長くなるように、径方向からみて長方形状に形成されている。2つの係合孔198は、タンク191の軸線Qを挟んで両側に対向配置されている。なお、カートリッジ11が透過筒121内に収納された状態において、軸線Qは本体ユニット10の軸線Oと一致している。軸線Qは、カートリッジ11を構成する各部で共通する軸線である。以下では、軸線Qをタンク191の軸線Qに限らず、カートリッジ11を構成する各部の説明で使用するものとする。
【0096】
また、タンク191の周壁191bには、係合孔198からやや開口部191a寄りの内周面に、ガイド凹部198aが形成されている。ガイド凹部198aは、開口部191a側も開口されている。ガイド凹部198aは、タンク191にヒータホルダ196を固定する際、後述の係合片206をガイドする役割を有する。
【0097】
タンク191の底部191cには、径方向中央に底部191cを貫通する貫通孔191dが形成されている。貫通孔191dの周縁には、底部191cの内面からタンク191内に突出する円環状の流路管197が一体成形されている。そして、流路管197の内部と貫通孔191dとが連通されている。流路管197は、霧化されたエアロゾルの流路となる。流路管197は、底部191cからタンク191の軸方向略中央よりもやや開口部191a寄りに至る間に延在されている。
【0098】
周壁191bの内周面と流路管197の外周面との間には、これら周壁191bと流路管197とに跨る複数(本実施形態では3つ)のリブ199が一体成形されている。リブ199は、軸方向からみて放射状となるように、周方向に等間隔で配置されている。また、リブ199は、タンク191の底部191cから流路管197の開口部191a側の端部(先端)よりもやや手前に至る間に延在されている。リブ199は、流路管197を支持するためのものである。
【0099】
周壁191bの内周面には、リブ199が形成されている箇所に、凸部201が一体成形されている。凸部201は、リブ199に沿うように軸方向に延在されている。そして、凸部201は、タンク191の底部191cからリブ199の開口部191a側の端部(先端)と流路管197の先端との間に至る間に形成されている。凸部201は、タンク191の機械的強度を高める役割を有するとともに、ガスケット192の位置決めを行う役割を有している。
【0100】
ガスケット192は、外径がタンク191の内径とほぼ同一になるように形成されている。ガスケット192は、後述のメッシュ体193の位置決めを行うとともに、メッシュ体193の姿勢を保持する。つまり、ガスケット192は、後述のメッシュ体193を支持している。ガスケット192の径方向中央には、流路管197を挿入可能な挿入孔192aが形成されている。この挿入孔192aに流路管197が挿入されるように、タンク191内にガスケット192が収納される。また、ガスケット192は、一面192bが凸部201の端面201aに当接され、タンク191内での位置決めが行われる。ガスケット192が位置決めされた状態で、ガスケット192の外周面は、タンク191の内周面に接触している。また、ガスケット192の挿入孔192aは、流路管197の外周面に接触している。
【0101】
ガスケット192の挿入孔192aと外周面との間の大部分には、開口部192cが複数(本実施形態では4つ)形成されている。開口部192cは軸方向からみて円弧状に形成されている。各開口部192cは、周方向に等間隔で配置されている。タンク191内は、開口部192cを介し、ガスケット192を挟んだ両側が連通されている。このようなガスケット192の一面192bとは反対側の他面192dに、メッシュ体193が配置されている。
【0102】
メッシュ体193は、多孔状で吸液性を有する部材である。メッシュ体193は、例えばコットン系繊維材により形成されている。メッシュ体193もガスケット192とほぼ同一形状に形成されている。すなわち、メッシュ体193は、外径がタンク191の内径とほぼ同一になるように形成されている。メッシュ体193の径方向中央には、流路管197を挿入可能な挿入孔193aが形成されている。この挿入孔193aに流路管197が挿入され、ガスケット192の他面192dにメッシュ体193の一面193bが重なり合うことで、メッシュ体193の位置が決定される。メッシュ体193の外周面は、タンク191の内周面に接触している。また、メッシュ体193の挿入孔193aは、流路管197の外周面に接触している。
【0103】
メッシュ体193によって、タンク191の内部は、底部191c側の液体収容室202と開口部191a側の開口室203とに区画される。液体収容室202には、液体のエアロゾル源が貯留される。開口室203は、メッシュ体193に吸い上げられたエアロゾル源を霧化する部屋となる。
メッシュ体193の一面193bと反対側の他面193cは、開口室203に露出されている。この開口室203に露出されたメッシュ体193の他面193cに接続されるように、加熱部194が設けられている。
【0104】
加熱部194は、液体のエアロゾル源を霧化するためのものである。加熱部194は、開口室203に収納されている。加熱部194は、略U字状に形成されたウィック204と、ウィック204を加熱する電熱線205と、を備えている。ウィック204は、多孔状で吸液性を有する略円柱状の部材である。このようなウィック204を、略U字状に湾曲変形させている。
より詳しくは、ウィック204は、軸方向に延びる2つの軸方向延出部204aと、2つの軸方向延出部204aの一端同士を、屈曲部204bを介して連結する径方向延出部204cと、により構成されている。そして、メッシュ体193に、軸方向延出部204aの他端を接続させている。これにより、メッシュ体193に吸収されたエアロゾル源がウィック204に吸い上げられる。
【0105】
電熱線205は、ウィック204の径方向延出部204cの周囲を取り囲むように螺旋状に形成された電熱線本体205aと、電熱線本体205aの両端末から軸方向に沿ってヒータホルダ196側に向かって延出する2つの端末部205bと、を有する。電熱線205によってウィック204が加熱されると、ウィック204に吸収されたエアロゾル源が霧化される。2つの端末部205bの先端は、メッシュ体193側に向かって折り返されている。2つの端末部205bは、ヒータホルダ196に接続されている。
【0106】
図16は、ヒータホルダ196を電源ユニット21側(軸方向の第1側)からみた斜視図である。
図13、
図16に示すように、ヒータホルダ196は、略有底円筒状に形成されている。すなわち、ヒータホルダ196は、円筒部196bと、円筒部196bのタンク191とは反対側端に一体成形された底部196eと、を有している。そしてヒータホルダ196の開口部196aをタンク191側に向けるようにして、タンク191の開口部191aを閉塞している。
【0107】
ヒータホルダ196の円筒部196bは、外径がタンク191の周壁191bにおける外径とほぼ同一になるように形成されている。円筒部196bの外周面には、軸方向略中央から開口部196aに至る間に、段差面196cを介して縮径された嵌合部196dが形成されている。この嵌合部196dが、タンク191における周壁191bの内周面に嵌合される。また、円筒部196bの段差面196cに、タンク191の周壁191bにおける開口部191a側の端部が当接される。これにより、タンク191に対するヒータホルダ196の軸方向の位置決めが行われる。
【0108】
また、嵌合部196dの開口部196a側の端部には、タンク191の2つの係合孔198に対応する位置に、2つの係合片206が一体成形されている。2つの係合片206は、対応する係合孔198に向かって突出されている。すなわち、2つの係合片206は、ヒータホルダ196の軸線Qを挟んで両側に対向配置されている。
係合片206は、タンク191の係合孔198に係合されてタンク191とヒータホルダ196とを一体化する。係合片206は、径方向に弾性変形可能に形成されている。係合片206の先端には、タンク191の係合孔198に挿入可能な係合爪207が径方向外側に突出形成されている。
【0109】
係合爪207は、軸方向及び径方向に沿う平面の断面形状が略三角形状となるように形成されている。すなわち、係合爪207は、先端側の面が径方向外側に向かうに従って基端側(嵌合部196d側)に傾斜するように傾斜面207aとされている。一方、係合爪207の基端側の平坦面207bは、軸方向に対して直交している。
【0110】
また、ヒータホルダ196の円筒部196bには、嵌合部196dを避けた外周面に、係合爪207と軸方向で並ぶ凹部208が形成されている。凹部208は、径方向外側と段差面196c側とが開口されている。凹部208には、円筒部196bを厚さ方向に貫通する第1吸気孔209が形成されている。第1吸気孔209を介し、円筒部196bの内外が連通されている。
【0111】
さらに、ヒータホルダ196の円筒部196bには、底部196e側に、3つの係合凹部210が形成されている。3つの係合凹部210は、周方向に等間隔(周方向に120°間隔)で、かつ凹部208の形成位置を避けるように配置されている。係合凹部210は、径方向外側と底部196eとが開口するように形成されている。係合凹部210の底部196e側には、この底部196eに向かうに従って係合凹部210の周方向の幅が漸次広がるテーパ状の平面取り部210aが形成されている。
このように形成された3つの係合凹部210には、それぞれ第1連結部材81の縦係合凸部(凸部)101a~101cが挿入される。これにより、ヒータホルダ196(カートリッジ11)と第1連結部材81とが連結されるとともに、ヒータホルダ196(カートリッジ11)と第1連結部材81との周方向の位置決めが行われる。
【0112】
ヒータホルダ196の底部196eには、内面から軸方向に沿って立設された略板状の接続壁211が一体成形されている。また、接続壁211は、ヒータホルダ196の軸線Qを通る径方向に沿って延在されており、径方向の長手方向両端が円筒部196bの内面に接続されている。このような接続壁211によって、ヒータホルダ196内を2つの部屋に区画している。
さらに、ヒータホルダ196の底部196eには、2つのスリット212が形成されている。2つのスリット212は、接続壁211の板厚方向両面に沿うよう配置されている。
【0113】
接続壁211の厚さ方向両面には、それぞれ電極213,214が設けられている。電極213,214は、接続壁211に設けられた引き出し電極部213a,214aと、引き出し電極部213a,214aからそれぞれ対応するスリット212を介して底部196eの外面に屈曲延出された接続電極部(第1平面電極及び第2平面電極)213b,214bと、を有している。そして、各引き出し電極部213a,214aに、加熱部194を構成する電熱線205の2つの端末部205bが別々に接続されている。
【0114】
接続電極部213b,214bは、後述する絶縁部215を間に挟んで径方向の両側に略半円状に形成されている。具体的に、2つの接続電極部213b,214bは、軸方向からみて直線状の一辺213c,214cを径方向で対向させた形で配置されている。また、2つの接続電極部213b,214bは、軸方向からみて円弧状の円弧辺213d,214dが、外周部を構成している。2つの接続電極部213b,214bの一辺213c,214cの間には、接続壁211の端部が介在された形になる。各接続電極部213b,214bには、ヒータホルダ196(カートリッジ11)と第1連結部材81とが連結された状態で、各電極保持部50に保持されたピン電極49(電極本体)の先端が接触される。すなわち、ヒータホルダ196の底部196eは、カートリッジ11の本体ユニット10への装着状態において、上述したベース面91aに軸方向で対向する電極配置面として機能している。
【0115】
ここで、各接続電極部213b,214bは、電源ユニット21とカートリッジ11が軸線O(軸線Q)回りに相対回転した場合のピン電極49(第1ピン電極49a及び第2ピン電極49b)の回転軌跡上に少なくとも形成されている。すなわち、各接続電極部213b,214bは、軸線Oを中心として第1ピン電極49aを通る第1仮想円周C1、及び軸線Oを中心として第2ピン電極49bを通る第2仮想円周C2の双方を含む領域に形成されている。本実施形態では、各ピン電極49a,49bが線対称に配置されているため、各仮想円周C1,C2は一致している。
【0116】
また、2つの接続電極部213b,214bの一辺213c,214cの間に介在される接続壁211の端部は、ヒータホルダ196の軸線Qを通る径方向に沿って延在されているので、換言すれば、2つのピン電極49を結ぶ仮想直線T1のうち、所定の向きの仮想直線T1上に、接続壁211が設けられているといえる。この所定の向きは、ヒータホルダ196に形成されている3つの係合凹部210のうち、1つの係合凹部210の周方向中央と、ヒータホルダ196の軸線Qとを通る仮想直線T2と一致している。接続壁211は、短手方向(軸線Q回りの周方向)の幅が、各ピン電極49の軸径よりも若干大きくなるように形成されている。
【0117】
このように配置された接続壁211の端部は、接続電極部213b,214bを周方向で区画する絶縁部215として機能している。絶縁部215を、1つの係合凹部210の周方向中央と、ヒータホルダ196の軸線Qとを通る仮想直線T2上に配置させることにより、ヒータホルダ196(カートリッジ11)と第1連結部材81とが連結された状態において、2つの接続電極部213b,214bに、それぞれ別々に各ピン電極49の先端が確実に接触する。つまり、2つの接続電極部213b,214bのうちの1つに、2つのピン電極49が同時に接触してしまうことがない。このように、本実施形態の各接続電極部213b,214bは、仮想直線T2(絶縁部215)を間に挟んで径方向の両側に、仮想円周C1,C2を含み、かつ仮想円周C1,C2に対して径方向の外側(円弧辺213d,214d)及び内側(一辺213c,214c)に広がる半円状に形成されている。
【0118】
また、2つの接続電極部213b,214bの円弧辺213d,214dには、周方向略中央に、径方向内側に凹む凹部213e,214eが形成されている。ヒータホルダ196の底部196eにおいて、接続電極部213b,214bの凹部213e,214eに対応する箇所のうち、一方の凹部213eに対応する箇所には、底部196eの厚さ方向に貫通する第2吸気孔216が形成されている。第2吸気孔216を介し、底部196eの内外が連通されている。
【0119】
また、底部196eには、接続電極部213b,214bに対応する箇所に、この軸方向からみて接続電極部213b,214bと同形状の凹部196fが形成されている。この凹部196fに、接続電極部213b,214bが収納されている。凹部196fを形成することにより、接続電極部213b,214bの表面と、これら接続電極部213b,214bが配置されていない箇所の底部196eの表面とが同一平面上に位置される。このようなヒータホルダ196における円筒部196bの内周面に嵌合されるように、霧化容器195の一部が収納されている。
【0120】
図11に示すように、カートリッジ11が保持ユニット22内に装着された状態において、底部196eの外周部は上述した囲繞凸部93に軸方向で当接する。これにより、底部196eと接続キャップ80(ベース面91a及び囲繞凸部93)とで囲まれた空間は、連通ポート51内と第2吸気孔216とを連通させるバッファ空間S3が形成される。
図11の例において、連通ポート51及び第2吸気孔216は、軸方向で離間するとともに、周方向で互いにずれた位置に配置されている。なお、連通ポート51及び第2吸気孔216は、径方向で互いにずれた位置に配置されていてもよい。
【0121】
本実施形態の連通ポート51は、バッファ空間S3、第2吸気孔216等を通じて流路管197内に連通する。なお、底部(第2面)196eのうち、囲繞凸部93が当接する部分は、軸方向に直交する平坦面に形成されている。底部196eのうち、囲繞凸部93が当接する部分は、凸面や凹面、傾斜面等であってもよい。
【0122】
本実施形態において、囲繞凸部93は、マウスピース23によってカートリッジ11が押さえ付けられることで、弾性変形した状態で底部196eに密接している。但し、囲繞凸部93と底部196eとは、必ずしも密接している必要はなく、離間していてもよい。すなわち、吸引時に連通ポート51を通じて圧力変動室S1に負圧を発生させることができれば、囲繞凸部93と底部196eとの間には微小隙間が生じていてもよい。
【0123】
図17は、霧化容器195をメッシュ体193側(軸方向の第2側)からみた斜視図である。
図13、
図14、
図17などに示す霧化容器195は、弾性を有する部材、例えばシリコーン樹脂等の樹脂材料により形成されている。霧化容器195は、軸方向でメッシュ体193の他面193cとヒータホルダ196の底部196eの近傍との間に設けられている。すなわち、霧化容器195は、加熱部194の周囲を取り囲むように略円筒状に形成され、タンク191における周壁191bの内周面に嵌合される筒部217と、ヒータホルダ196における円筒部196bの内周面に嵌合される略ブロック状の嵌合部218とが一体成形されている。
【0124】
筒部217のメッシュ体193側の端部には、径方向中央の大部分に段差面217aが形成されている。段差面217aが形成されることにより、筒部217の外周部がメッシュ体193側に向かって突出したリング状の突出部219が形成される。この突出部219の端部が、メッシュ体193の他面193cに当接される。突出部219の外径は、タンク191における周壁191bの内径とほぼ同じか若干小さい程度である。
【0125】
段差面217aの大部分には、加熱部194の形状に対応するように、収納凹部220が形成されている。収納凹部220は、加熱部194によって霧化されたエアロゾルが貯留される霧化室Mとなる。この霧化室Mは、タンク191の流路管197に連通されている。
収納凹部220には、加熱部194を構成するウィック204の屈曲部204bが載置される座面221が形成されている。座面221の径方向内側の面には、加熱部194を構成する電熱線205の端末部205bとの干渉を避けるための凹部221aが形成されている。
【0126】
筒部217の外周面には、嵌合部218寄りに、シール部222が形成されている。シール部222は、後述する切欠き部222aを除き、全周に渡って、かつ径方向外側に突出形成されている。シール部222は、筒部217とタンク191の周壁191bとの間のシール性を確保する役割を有するとともに、タンク191からの霧化容器195の抜けを抑制する役割を有している。
シール部222の外径は、タンク191の周壁191bの内径よりも若干大きい。このため、タンク191内に霧化容器195を収納した状態では、シール部222が径方向に圧縮される。これにより、シール部222のシール性が確保されるとともに、シール部222の摩擦抵抗によりタンク191からの霧化容器195の抜けが抑制される。
【0127】
また、シール部222には、2つの切欠き部222aが形成されている。2つの切欠き部222aは、タンク191の軸線Qを挟んで両側に対向配置されている。切欠き部222aによって、外気と後述の液溜まり部223とが連通される。
【0128】
筒部217の外周面には、突出部219の先端からシール部222に至る間に液溜まり部223が形成されている。液溜まり部223は、メッシュ体193及びウィック204が飽和した際、タンク191の液体収容室202に貯留されている液体のエアロゾル源が、タンク191における周壁191bの内周面を伝って漏れ出た場合に、この漏れ出たエアロゾル源を一時的に貯留する部位である。
【0129】
液溜まり部223は、筒部217の外周面の全体をシール部222から突出部219の先端に向かうに従って筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次狭くなるように斜めに形成することでなる凹部である。換言すれば、液溜まり部223は、タンク191の開口部191aに向かうに従って、筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次広くなる凹部である。このように液溜まり部223が形成されているので、筒部217の突出部219付近では、この突出部219とタンク191の周壁191bとの間が微小隙間となる狭小部279が形成される。
ここで、筒部217における突出部219の端部は、メッシュ体193の他面193cに当接されている。また、メッシュ体193は、外周面がタンク191の内周面に接触している。このため、筒部217の突出部219とタンク191の周壁191bとの間に形成された狭小部279は、メッシュ体193の外周部で覆われている(塞がれている)。
【0130】
さらに、筒部217の外周面には、シール部222よりもヒータホルダ196側の係合片206に対応する位置に、この係合片206を受け入れる凹部224が形成されている。この凹部224に係合片206が挿入されることにより、霧化容器195とヒータホルダ196との周方向の位置決めが行われる。また、係合片206の径方向内側の内面に、筒部217における凹部224の底面224aが当接される。
【0131】
霧化容器195の嵌合部218は、ヒータホルダ196における円筒部196bの内周面に嵌合可能な略円柱状に形成されている。すなわち、嵌合部218は、外径が筒部217の外径よりも段差部217bを介して縮径形成されている。嵌合部218には、ヒータホルダ196の接続壁211が挿入可能なスリット225が形成されている。また、嵌合部218には、スリット225に連通され、電熱線205の端末部205bを挿入可能な不図示の電熱線用スリットが形成されている。この電熱線用スリットに電熱線205の端末部205bが挿入されることにより、霧化容器195に端末部205bが保持される。また、接続壁211に設けられた引き出し電極部213a,214aと電熱線205の端末部205bとが接続される。
【0132】
また、嵌合部218には、ヒータホルダ196の第1吸気孔209、及び第2吸気孔216に対応する箇所に、通気路226が形成されている。さらに、嵌合部218には、スリット225、及び通気路226と、筒部217の霧化室M(収納凹部220)とを連通するスリット218aが形成されている。このスリット218aを介し、通気路226と霧化容器195の霧化室M(収納凹部220)とが連通されている。これにより、通気路226、及びスリット218aを介し、霧化容器195の霧化室M(収納凹部220)と、ヒータホルダ196の第1吸気孔209、及び第2吸気孔216とが連通される。
【0133】
<吸引器全体の組立構造>
図18は、吸引器1の正面図である。
図18に示すように、吸引器1の本体ユニット10は、電源ユニット21、保持ユニット22、及びマウスピース23を、軸線O(中心軸)が延びる軸方向に接続する接続部300を備えている。接続部300は、電源ユニット21と保持ユニット22とを接続する第1回転接続部301と、保持ユニット22とマウスピース23とを接続する第2回転接続部302と、を有する。
【0134】
なお、以下の説明で、軸線O回りの周方向のうち、マウスピース23側から電源ユニット21側を軸線Oに沿って視た平面視において、軸線Oを時計回りに周回する方向を回転方向M1、軸線Oを反時計回りに周回する方向を回転方向M2という。
【0135】
第1回転接続部301は、電源ユニット21と保持ユニット22との軸線O回りの相対回転により、電源ユニット21と保持ユニット22との接続と接続解除を行う。電源ユニット21を基準にした場合、電源ユニット21に対して保持ユニット22を回転方向M1に回転させると、電源ユニット21と保持ユニット22とが接続する。また、電源ユニット21に対して保持ユニット22を回転方向M2に回転させると、電源ユニット21と保持ユニット22との接続が解除される。
【0136】
第1回転接続部301は、上述した
図9に示す第1連結部材81及び第2連結部材122による回転接続機構310と、上述した
図9及び
図10に示す環状片82及び第2連結部材122によるロック機構311を備えている。具体的に、回転接続機構310は、
図9に示すように、電源ユニット21の第1連結部材81に設けられた横係合凸部102を、保持ユニット22の第2連結部材122に設けられた係合溝158に軸方向に差し込んだ後、電源ユニット21に対し保持ユニット22を回転方向M1(
図18参照)に回転させることで、横係合凸部102を係止片142に係止させ、電源ユニット21と保持ユニット22とを接続する。
【0137】
ロック機構311は、この回転接続機構310による接続を解除する回転方向M2への保持ユニット22の回転を規制する。具体的に、ロック機構311は、
図9及び
図10に示すように、電源ユニット21に装着された環状片82に設けられ、径方向の外側に向かって突出する撓み部106と、保持ユニット22の第2連結部材122に設けられ、係止片142において係合凹部155の底部に対して相対的に径方向の内側に向かって突出した先端部142aと、を備えている。係止片142の先端部142aは、軸線O回りの撓み部106の移動経路上に位置している。
【0138】
回転接続機構310における接続の際(電源ユニット21に対し保持ユニット22を回転方向M1に回転させる際)には、撓み部106と係止片142の先端部142aとが接触し、撓み部106が径方向の内側に弾性変形しながら先端部142aを乗り越える。撓み部106は、先端部142aを乗り越えた後、径方向の外側に向かって復元変形し、係合凹部155に係合する。撓み部106が係合凹部155に係合すると、撓み部106が、係止片142の先端部142aと回転方向M1において対向し係止する。これにより、ある程度の力を加えないと電源ユニット21と保持ユニット22との接続を解除することはできなくなる。
【0139】
第1回転接続部301によれば、製造効率向上等のため、本実施形態のように、電源ユニット21と保持ユニット22とを分割可能とする場合であっても、回転接続機構310による電源ユニット21と保持ユニット22との接続の容易化、及び、ロック機構311による電源ユニット21と保持ユニット22との接続状態の信頼性(接続強度)の向上を図ることができる。また、回転接続機構310による接続と同時に、ロック機構311によるロックが行なわれるため、組み立ての利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0140】
ロック機構311においては、
図10に示すように、弾性変形する撓み部106が、環状片82よりも肉厚の剛性が高い係止片142の径方向内側に配置されている。このため、電源ユニット21と保持ユニット22とが接続されている状態では、撓み部106は、係止片142によって外部から覆われ、保護されている。したがって、仮に落下や衝突等があっても、撓み部106が損傷するケースが少なくなる。これにより、組み立ての繰り返し使用に対する強度が確保され、ロックの信頼性も向上する。
【0141】
撓み部106が係止する係止片142は、
図9に示すように、回転接続機構310の横係合凸部102が係合する係合溝158を形成している。このように、係止片142は、回転接続機構310の一部(係合溝158)を形成すると共に、ロック機構311の一部(先端部142a(凸部))を形成しているため、接続状態の信頼性(接続強度)を比較的容易に向上することができる。
【0142】
図18に示すように、第2回転接続部302は、保持ユニット22とマウスピース23との軸線O回りの相対回転により、保持ユニット22とマウスピース23との接続と接続解除を行う。保持ユニット22を基準にした場合、保持ユニット22に対してマウスピース23を回転方向M1に回転させると、保持ユニット22とマウスピース23とが接続する。また、保持ユニット22に対してマウスピース23を回転方向M2に回転させると、保持ユニット22とマウスピース23との接続が解除される。
【0143】
第2回転接続部302は、上述した
図11に示すように、マウスピース23に設けられた雄ねじ部160aと、保持ユニット22に設けられた雌ねじ部123aと、を備えている。具体的に、第2回転接続部302は、マウスピース23に設けられた雄ねじ部160aを、保持ユニット22に設けられた雌ねじ部123aに対し、回転方向M1に回転させることで、保持ユニット22及びマウスピース23を接続する。また、マウスピース23に設けられた雄ねじ部160aを、保持ユニット22に設けられた雌ねじ部123aに対し、回転方向M2に回転させることで、保持ユニット22及びマウスピース23の接続を解除する。
【0144】
図18に示すように、回転方向M1は、電源ユニット21に対する保持ユニット22の接続方向であると共に、保持ユニット22に対するマウスピース23の接続方向でもある。また、回転方向M2は、電源ユニット21に対する保持ユニット22の接続解除方向であると共に、保持ユニット22に対するマウスピース23の接続解除方向でもある。このように、第1回転接続部301及び第2回転接続部302において、軸線O回りの接続及び接続解除の回転方向は一致している。このため、ユーザーにユニット組み立て作業の統一感を与え、利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0145】
カートリッジ11の差し替え等のため、マウスピース23と保持ユニット22との接続を解除する頻度は、電源ユニット21と保持ユニット22との接続を解除する頻度よりも高い。本実施形態では、第1回転接続部301において、電源ユニット21と保持ユニット22との接続を、軸線O回りに第1のトルク301Tをかけて解除するようにし、第2回転接続部302においては、保持ユニット22とマウスピース23との接続を、第1のトルク301Tよりも小さい第2のトルク302Tをかけて解除するようにしている。これにより、マウスピース23を保持ユニット22から取り外すときの、保持ユニット22と電源ユニット21との連れ回りを防止できる。
【0146】
第1のトルク301Tは、電源ユニット21に対し保持ユニット22が回転方向M2に回転するときのトルク値のピーク値であって、
図9及び
図10に示す撓み部106の径方向の弾性変形に対するばね係数等に依存する。第2のトルク302Tは、保持ユニット22に対しマウスピース23が回転方向M2に回転するときのトルク値のピーク値であって、
図11に示す雄ねじ部160aと雌ねじ部123aとの静止摩擦力等に依存する。なお、第1のトルク301Tは、第2のトルク302Tよりも、例えば1.5倍以上あるとよい。
【0147】
第1回転接続部301と第2回転接続部302とは、接続構造が異なっているため、第1のトルク301Tと第2のトルク302Tとの大小関係の調整は容易である。例えば、第1回転接続部301のロック機構311を形成する撓み部106(環状片82)の材料の選別や厚みの調整をすると、撓み部106の径方向の弾性変形に対するばね係数が変更され、第2のトルク302Tに対する第1のトルク301Tの大きさを容易に調整することができる。
【0148】
図19は、吸引器1からマウスピース23を取り外したときの軸方向に沿う断面図である。
図19に示すように、吸引器1においては、本体ユニット10からマウスピース23を取り外すことで、カートリッジ11を軸方向において着脱することが可能となっている。なお、本体ユニット10からマウスピース23を取り外したものを、カートリッジ収容部320という。すなわち、カートリッジ収容部320は、保持ユニット22及び電源ユニット21を含む。
【0149】
カートリッジ収容部320は、有底筒状のカートリッジ収容空間321を形成している。カートリッジ収容空間321を形成するカートリッジ収容部320の周壁は、保持ユニット22により形成されている。また、カートリッジ収容空間321を形成するカートリッジ収容部320の底部は、電源ユニット21により形成されている。すなわち、カートリッジ収容部320の周壁(保持ユニット22)は、カートリッジ収容部320の底部(電源ユニット21)に対して着脱可能である。
【0150】
カートリッジ収容部320の底部には、上述した第1連結部材81に設けられた縦係合凸部101(
図19以降では縦係合凸部101a~101cに符号101を付している)が軸方向に立設している。縦係合凸部101は、カートリッジ11に設けられた係合凹部210に対し、軸方向において挿入可能な配置とされている。すなわち、縦係合凸部101と係合凹部210は、軸線Oを中心とする同一半径上に配置されている。縦係合凸部101と係合凹部210は、カートリッジ11のカートリッジ収容部320(カートリッジ収容空間321)に対する軸線O回りの相対回転を規制する第1回転規制部330を形成している。
【0151】
第1回転規制部330においては、カートリッジ11とカートリッジ収容部320とを軸線O回りに相対回転させると、同一半径上に設けられた縦係合凸部101が係合凹部210に挿入され、カートリッジ11の軸線O回りの回転規制が行われる。これにより、カートリッジ11が周方向において位置決めされ、カートリッジ11の底部196eの接続電極部213b,214b(
図10参照)と、電源ユニット21のピン電極49との電気的導通が確保される。
【0152】
第1回転規制部330は、マウスピース23と共に、マウスピース23のカートリッジ収容部320(保持ユニット22)に対する螺着に連動して、カートリッジ11をカートリッジ収容部320に対して位置決めする位置決め機構340を形成している。この位置決め機構340によれば、カートリッジ11の位置決めが、マウスピース23のカートリッジ収容部320に対する螺着と同時に行える。したがって、カートリッジ収容部320に対して着脱可能なカートリッジ11の位置決めが容易になり、組み立ての煩雑さが解消される。また、カートリッジ11を直接手で回す必要がなくなる。
【0153】
具体的に、マウスピース23は、カートリッジ11を、カートリッジ収容部320に対し軸線O回りに回転させる上述した第1滑り止め部材(カートリッジ当接部)161を備えている。第1滑り止め部材161は、マウスピース本体160に取り付けられており、マウスピース本体160が保持ユニット22に接続される途中で、カートリッジ11に当接する。第1滑り止め部材161がカートリッジ11に当接すると、カートリッジ11がマウスピース23と共に回転し始め、係合凹部210と縦係合凸部101との周方向の位置が一致したところで、カートリッジ11がカートリッジ収容部320の底部側に向かって重力によって落ち込み、係合凹部210に縦係合凸部101が挿入されることで、カートリッジ11の周方向の位置決めが行われる。
【0154】
さらに、マウスピース23をねじ込んでいくと、電源ユニット21(縦係合凸部101等)に支持されたカートリッジ11とマウスピース本体160との間で、第1滑り止め部材161が軸方向に圧縮される。第1滑り止め部材161は、
図11に示すように、マウスピース23が保持ユニット22に螺着した状態で、カートリッジ11を電源ユニット21に向かって押圧している。これにより、カートリッジ11の軸方向の位置決めが行なわれる。
【0155】
第1滑り止め部材161は、上述のようにシリコーン樹脂により形成されているため、周方向においてカートリッジ11を回転させる摩擦力を発現させ、また、軸方向においてカートリッジ11を押圧する押圧力を発現させやすい。また、
図19に示すように、第1滑り止め部材161は、カートリッジ11に対向する対向面161aに、当接突起171が形成されている。当接突起171によって、カートリッジ11に対する第1滑り止め部材161の接触が平面接触でなくなるため、接触圧が増え、周方向における摩擦力及び軸方向における押圧力がより発現し易くなる。
【0156】
また、
図11に示すように、当接突起171が軸方向に押し潰されることで、カートリッジ11の貫通孔191dと、第1滑り止め部材161の連通孔169aとの間が、気密にシールされ、カートリッジ11とマウスピース23の流路が連通し、カートリッジ11で発生したエアロゾルがマウスピース23を介して吸引可能となる。当接突起171は、二重環状(
図12参照)に形成されているため、気密性の高い二重シールを形成することができる。
【0157】
マウスピース23は、
図19に示すように、第1滑り止め部材161のマウスピース本体160に対する相対回転を規制する第2回転規制部350を備えている。第2回転規制部350は、第1滑り止め部材161に設けられた嵌合突起170(
図12参照)と、マウスピース本体160に設けられた長孔の貫通孔168(
図12参照)と、によって形成されている。嵌合突起170は、マウスピース本体160に向かって軸方向に一対で延び、貫通孔168の長手方向両端部に嵌合している。
【0158】
第2回転規制部350によれば、仮に凝縮したエアロゾルが、マウスピース本体160と第1滑り止め部材161との間に溜まったとしても、マウスピース本体160に対する第1滑り止め部材161の空転(滑り)を防止できる。このため、カートリッジ11の周方向における位置決めを確実に行える。また、貫通孔168を長孔に形成し、吸引口23aと一体にしてもよい。
【0159】
[作用]
<吸引器の組立方法>
次に、上述した吸引器1の組立方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態の吸引器1を組み立てるにあたっては、まず電源ユニット21に保持ユニット22を組み付ける。具体的には、横係合凸部102を係合溝158内に軸方向に差し込んだ後、電源ユニット21と保持ユニット22とを軸線O回りに相対回転させる。すると、電源ユニット21及び保持ユニット22は、上述した第1回転接続部301において、軸方向及び周方向での位置決めがなされた状態で、互いに組み付けられる。なお、電源ユニット21と保持ユニット22とを取り外す際は、上述した動作と逆の動作を行う。
【0160】
続いて、保持ユニット22内にカートリッジ11を挿入する。具体的には、カートリッジ11の接続電極部213b,214bを軸方向の保持ユニット22側に向けた状態で、保持ユニット22内にカートリッジ11を挿入する。電源ユニット21の縦係合凸部101a~101cと、カートリッジ11の係合凹部210と、の周方向位置が一致している場合、各縦係合凸部101a~101cが対応する係合凹部210内に挿入される。係合凹部210には、平面取り部210aが形成されている一方、縦係合凸部101a~101cの先端には、傾斜面が形成されている。このため係合凹部210に、縦係合凸部101a~101cがスムーズに挿入される。これにより、電源ユニット21に対するカートリッジ11の周方向及び軸方向の位置決めが行われ、カートリッジ11が正規の位置で電源ユニット21に組み付けられる。
【0161】
すなわち、電源ユニット21のピン電極49のうち、一のピン電極49とカートリッジ11における接続電極部213b,214bのうちの一方の接続電極部213b,214bとが接続される。また、他のピン電極49とカートリッジ11における接続電極部213b,214bのうちの他方の接続電極部213b,214bとが接続される。これら接続電極部213b,214b(電極213,214)を介し、電源ユニット21の電力が加熱部194の電熱線205に通電可能となる。さらに、カートリッジ11の底部196eが囲繞凸部93に当接することで、カートリッジ11と接続キャップ80とによってバッファ空間S3が画成される。
【0162】
次に、マウスピース23を保持ユニット22に上述した第2回転接続部302によって組み付ける。具体的には、マウスピース本体160の雄ねじ部160aをスリーブ123の雌ねじ部123aに螺着する。すると、マウスピース23の第1滑り止め部材161がカートリッジ11の底部191cに接触する。この状態で、さらにマウスピース23を締め付けると、第1滑り止め部材161が弾性変形することで、カートリッジ11が軸方向の電源ユニット21側に向けて押し付けられた状態で、保持ユニット22内に保持される。なお、カートリッジ11は、縦係合凸部101a~101cによって電源ユニット21に対する周方向の移動が規制されている。そのため、第1滑り止め部材161とカートリッジ11との間に作用する摩擦力によっては、カートリッジ11がマウスピース23に連れ回らない構成となっている。
【0163】
次に、マウスピース23にたばこカプセル12を差し込む。具体的には、メッシュ開口をマウスピース23に向けた状態で、マウスピース本体160内にたばこカプセル12を嵌合させる。
以上により、吸引器1の組み立てが完了する。
【0164】
ところで、上述したカートリッジ11の挿入時において、カートリッジ11の周方向での向きによっては、電源ユニット21の縦係合凸部101a~101cと、カートリッジ11の係合凹部210と、の周方向位置が一致しない場合がある。この場合には、カートリッジ11の底部196eが縦係合凸部101a~101cに乗り上げた状態(以下、単に「乗り上げ状態」という。)となる。
【0165】
図20は、カートリッジ11が縦係合凸部101に乗り上げた状態を示す説明図である。
図20に示すように、カートリッジ11の乗り上げ状態では、電源ユニット21に対するカートリッジ11の軸方向の電源ユニット21側への移動が規制される。そのため、ピン電極49と接続電極部213b,214bとが軸方向で離間し、電源ユニット21とカートリッジ11との導通が確保されない。乗り上げ状態において、仮にピン電極49と接続電極部213b,214bとが接触した場合であっても、ピン電極49と接続電極部213b,214bとが所望の周方向位置に配置されない可能性がある。
【0166】
図21は、カートリッジ11の乗り上げ状態においてマウスピース23を螺着する様子を示す説明図である。
図21に示すように、カートリッジ11の乗り上げ状態のままでマウスピース23を回し、保持ユニット22に螺着すると、後述する
図22に示すように、少なくとも螺着が完了する前に第1滑り止め部材161がカートリッジ11に当接する。具体的には、
図21に示すように、マウスピース23の雄ねじ部160aが保持ユニット22の雌ねじ部123aにかかる瞬間は、第1滑り止め部材161はカートリッジ11に当接していないが、
図22に示すように、雄ねじ部160aが雌ねじ部123aに螺合し、半回転から1、2回転ほどすると、第1滑り止め部材161がカートリッジ11に当接する。
【0167】
図22は、マウスピース23とカートリッジ11が共回りする様子を示す説明図である。
図22に示すように、第1滑り止め部材161がカートリッジ11に当接した状態で、マウスピース23の螺着操作を継続すると、第1滑り止め部材161とカートリッジ11との間に作用する摩擦力によってマウスピース23とカートリッジ11が共回りする。すなわち、マウスピース23の螺着操作により、カートリッジ11は軸方向の電源ユニット21側に押さえ付けられながら、周方向(締め付け方向(回転方向M1))に回転する。
【0168】
その後、カートリッジ11の接続電極部213b,214bと、電源ユニット21の縦係合凸部101a~101cと、の周方向位置が一致すると、縦係合凸部101a~101cが対応する係合凹部210内に進入する。すなわち、電源ユニット21に対するカートリッジ11の軸方向の移動が許容されることで、カートリッジ11が正規の位置に組み付けられる。これにより、電源ユニット21に対するカートリッジ11の周方向の移動が規制された状態で、ピン電極49及び接続電極部213b,214bが接触する。
【0169】
図23は、マウスピース23を最後まで締め付けた様子を示す説明図である。
図23に示すように、縦係合凸部101と係合凹部210の周方向における位置決めにより、カートリッジ11の軸方向の移動が許容されると、さらなるマウスピース23のねじ込みが可能となる。マウスピース23を最後まで締め付けると、接続電極部213b,214bがピン電極49に押さえ付けられると共に、電源ユニット21に支持されたカートリッジ11とマウスピース本体160との間で第1滑り止め部材161が軸方向に圧縮され、カートリッジ11が軸方向において位置決めされる。このように、マウスピース23の螺着により、カートリッジ11の周方向及び軸方向における位置決め、さらにはカートリッジ11と電源ユニット21との電気的導通が行なわれる。加えて、第1滑り止め部材161の当接突起171が軸方向に圧縮されることで、カートリッジ11とマウスピース23との隙間がシールされる。
また、このように、カートリッジ11が正規の位置に組み付けられると、このカートリッジ11に、接続キャップ80の囲繞凸部93が当接される。このため、カートリッジ11のヒータホルダ196の底部196eと、接続キャップ80との間に、囲繞凸部93で周囲を取り囲まれたバッファ空間S3(
図3参照)が形成される。
【0170】
<カートリッジの組立方法>
次に、上述したカートリッジ11の組立方法について説明する。
まず、タンク191の液体収容室202に液体のエアロゾル源を充填し、この後、タンク191の開口部191aから、ガスケット192、メッシュ体193をこの順で挿入する。このとき、タンク191の凸部201の端面201aにガスケット192の一面192bを当接させる。また、ガスケット192の他面192dにメッシュ体193の一面193bを重ね合わせる。これにより、タンク191内が、メッシュ体193によって液体収容室202と開口室203とに正しく区画される。メッシュ体193自体は柔らかいが、ガスケット192によって姿勢が保持されるとともに位置決めが行われる。
【0171】
また、上記工程と平行してヒータホルダ196に加熱部194及び霧化容器195を組み付ける。具体的には、まず、霧化容器195の収納凹部220に、加熱部194を組み付ける。続いて、ヒータホルダ196の開口部196aに霧化容器195の嵌合部218側を向け、ヒータホルダ196に霧化容器195を挿入する。そして、ヒータホルダ196おける円筒部196bの内周面に、嵌合部218を嵌合させる。この際、ヒータホルダ196の接続壁211と嵌合部218のスリット225との向きを合わせ、スリット225に接続壁211を挿入させる。
【0172】
続いて、タンク191の開口部191aに、ヒータホルダ196を組み付ける。具体的には、タンク191の開口部191a側にヒータホルダ196の係合片206側が向かい合うようにして、タンク191の開口部191aにヒータホルダ196を挿入する。また、このとき、タンク191の周壁191bに形成された係合孔198及びガイド凹部198aと、ヒータホルダ196の係合片206との位置も合わせる。
この状態でタンク191の開口部191aにヒータホルダ196を挿入していくと、まず、タンク191の周壁191bに、係合片206の係合爪207に形成されている傾斜面207aが当接される。この傾斜面207aによって、タンク191のガイド凹部198aに係合爪207が滑らかに当接される。
【0173】
この後、さらにタンク191内にヒータホルダ196を押し込んでいくと、ガイド凹部198aに係合爪207が受け入れられて収まる。そして、ガイド凹部198aによって、係合片206が径方向内側に押圧されて弾性変形する。このとき、係合爪207の傾斜面207aによって、係合片206がスムーズに径方向内側に弾性変形する。ここで、2つの係合片206は、軸線Qを挟んで両側に対向配置されているので、ヒータホルダ196全体でみたとき、2つの係合片206にかかる径方向内側への力が偏りにくい。このため、係合片206を弾性変形させる際の力のバランスがとれて、タンク191の開口部191aにヒータホルダ196を挿入しやすい。また、係合片206の径方向内側の内面には、霧化容器195の凹部224の底面224aが当接されている。このため、係合片206が径方向内側に弾性変形する際、霧化容器195の凹部224が僅かに径方向内側に変形する。
【0174】
この後、さらにヒータホルダ196を押し込むと、ガイド凹部198aに沿って係合爪207が移動する。この後、係合爪207がガイド凹部198aの終端(タンク191の係合孔198側の端部)を乗り上げ、さらに、係合片206の復元力、及び霧化容器195の凹部224の復元力により、タンク191の係合孔198に係合爪207が挿入される。これにより、タンク191にヒータホルダ196が固定され、カートリッジ11の組み立てが完了する。
【0175】
ここで、タンク191にヒータホルダ196が固定された状態では、タンク191の周壁191bによって、係合片206の径方向外側の面が覆われている。また、2つの係合爪207のうちの一方の係合を解除しようとして、例えば係合孔198から係合爪207が抜けるようにタンク191又はヒータホルダ196を傾けようとすると、他方の係合爪207が径方向外側へ押圧されることになる。このため、一旦係合されると、係合孔198と係合片206とを解除しにくい。
【0176】
<吸引器の使用方法>
上述した吸引器1を使用する際、使用者はボタン78を押圧操作する。この際、例えばボタン78を複数回(例えば、5回)押圧することで、第1基板モジュール34に搭載された制御部に対してスイッチ素子52から起動準備信号が出力される。
【0177】
続いて、使用者はマウスピース23又はたばこカプセル12を咥えた状態で吸引する。すると、保持ユニット22内の空気が吸引されることで、保持ユニット22内が負圧になる。保持ユニット22内が負圧になると、カートリッジ11の霧化容器195内(霧化室M内)、バッファ空間S3、及び連通ポート51を通じて圧力変動室S1内の空気も吸引されることで、圧力変動室S1内も負圧になる。具体的に、圧力変動室S1内の空気は、連通ポート51を通じてバッファ空間S3内に流入した後、第2吸気孔216を通じてヒータホルダ196内に流入する。ヒータホルダ196内に流入した空気は、通気路226及び霧化容器195を通じ、流路管197を通過した後、マウスピース23を通って使用者の口内に進入する。圧力センサ53は、圧力変動室S1内の圧力が例えば所定値未満になったことを検出すると、制御部に向けて起動信号を出力する。
【0178】
起動信号を受信した制御部は、カートリッジ11の加熱部194を通電させる。なお、保持ユニット22内が負圧になることで、保持ユニット22内には通気口131を通じて新たな空気が導入される。さらに、カートリッジ11のヒータホルダ196に形成されている第1吸気孔209、及び霧化容器195の通気路226を通じて、カートリッジ11の霧化室M(タンク191の開口室203)に新たな空気が導入される。
【0179】
加熱部194が通電されることにより、電熱線205が発熱する。すると、メッシュ体193を介してウィック204に含浸された液体のエアロゾル源が加熱されて霧化する。霧化されたエアロゾルは、霧化室Mに充満する。そして、霧化されたエアロゾルは、霧化室Mに導入された新たな空気とともに、タンク191の流路管197を通ってマウスピース23側に吸い上げられる。この後、霧化されたエアロゾルと空気との混合気体は、たばこカプセル12を通じて使用者の口内に進入する。これにより、使用者は、たばこの香味を味わうことができる。
【0180】
<カートリッジの作用>
ところで、カートリッジ11では、タンク191の液体収容室202に貯留されている液体のエアロゾル源が、メッシュ体193に吸収され、さらにウィック204に吸収される。メッシュ体193やウィック204が飽和すると(液保持力を超えると)、メッシュ体193の外周部とタンク191における周壁191bの内周面との間から、この内周面を伝って液体のエアロゾル源がヒータホルダ196側へと漏れ出るおそれがある。
【0181】
ここで、メッシュ体193のヒータホルダ196側に位置する霧化容器195には、外周面に液溜まり部223が形成されている。このため、液体のエアロゾル源は、液溜まり部223に溜まり、ヒータホルダ196側に漏れ出てしまうことが防止される。
具体的には、本実施形態では、液溜まり部223の容量(空間体積)は約53.4mm3である。そして、タンク191の液体収容室202内の液体残量を1/3とし、ヘッドスペース体積膨張率(液体収容室202内の残りの2/3の空間部分の空気の体積膨張率)を6%と仮定した場合、タンク191の液体収容室202内の空気膨張によって、この液体収容室202から約100mm3の液体のエアロゾル源が押し出される。この押し出された液体のエアロゾル源のうち、約20~30mm3のエアロゾル源を、メッシュ体193やウィック204によって保持することが可能である。約100mm3の液体のエアロゾル源のうち、残りの70~80mm3のエアロゾル源は、液溜まり部223に溜まる。
【0182】
ここで、液溜まり部223は、シール部222から突出部219の先端に向かうに従って筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次狭くなるように形成されてなる。つまり、筒部217の突出部219付近では、この突出部219とタンク191の周壁191bとの間の間隙が狭くなる狭小部279が形成されている。このため、タンク191の液体収容室202から押し出された液体のエアロゾル源のうち、メッシュ体193やウィック204が飽和した後の残りのエアロゾル源が狭小部279によって吸い上げられやすくなり、積極的に狭小部279を通って液溜まり部223に流れる。
【0183】
つまり、タンク191の液体収容室202に貯留された液体のエアロゾル源は、まず、メッシュ体193に吸収された後、ウィック204に吸収される。これらメッシュ体193やウィック204が飽和した後、狭小部279に液体のエアロゾル源が吸い上げられ、液溜まり部223に溜まる。
【0184】
一方、メッシュ体193の飽和状態が解消されると、狭小部279(突出部219とタンク191の周壁191bとの間)を介し、液溜まり部223に貯留された液体のエアロゾル源が吸い上げられる。そして、この液体のエアロゾル源がメッシュ体193に吸収される。つまり、液溜まり部223に貯留された液体のエアロゾル源が、狭小部279を介してタンク191の液体収容室202に還流される。この際、狭小部279は、メッシュ体193の外周部で覆われている(塞がれている)ので、メッシュ体193による毛管力も作用して、効率よくタンク191の液体収容室202に液体のエアロゾル源が還流される。
【0185】
また、筒部217のシール部222には、2つの切欠き部222aが形成されているので、液溜まり部223と外気とが、シール部222の切欠き部222a、及びタンク191の係合孔198とヒータホルダ196の係合片206(係合爪207)との間の隙間を介して連通されている。別実施例として、液溜まり部223と外気とが、シール部222の切欠き部222a、及びヒータホルダ196の第1吸気孔209を介して連通されてもよい。このため、液溜まり部223の内外で圧力差が生じてしまうことがない。この結果、液溜まり部223から意図せず液体のエアロゾル源が外部へと流出してしまうことを防止しつつ、さらに効率よく、タンク191の液体収容室202に液体のエアロゾル源が還流される。
【0186】
[効果]
このように、本実施形態のカートリッジ11は、ヒータホルダ196の円筒部196bに嵌合部196dを形成している。この嵌合部196dが、タンク191の周壁191bにおける内周面に嵌合される。このように構成したうえで、タンク191の周壁191bに2つの係合孔198を形成するとともに、ヒータホルダ196の嵌合部196dに、2つの係合孔198に各々係合される2つの係合片206を形成している。係合片206は、径方向に弾性変形可能に形成されている。このため、タンク191にヒータホルダ196を嵌合固定させた状態では、タンク191の周壁191bによって、係合片206の径方向外側の面が覆われているので、係合片206に触れることができない。つまり、タンク191にヒータホルダ196を嵌合固定させた後では、係合片206を意図的に弾性変形させることができない。よって、タンク191とヒータホルダ196とを意図的に分解しにくくすることができる。
【0187】
また、タンク191とヒータホルダ196とを分解しにくくするにあたり、従来のように、タンク191やヒータホルダ196の全周に渡って溝部を形成する必要がない。このため、タンク191やヒータホルダ196の機械的強度を十分確保することができる。
【0188】
また、タンク191とヒータホルダ196との係合を、係合孔198と係合片206の係合爪207とにより行うように構成している。このような簡素な構造で、タンク191とヒータホルダ196とを確実に係合できる。また、一旦固定されたタンク191とヒータホルダ196とを脱着しづらくすることができる。
係合爪207は、先端側の面が径方向外側に向かうに従って基端側(嵌合部196d側)に傾斜するように傾斜面207aとされている。一方、係合爪207の基端側の平坦面207bは、軸方向に対して直交している。このため、タンク191の開口部191aにヒータホルダ196を挿入していく際、傾斜面207aによって、タンク191の周壁191bに係合爪207を滑らかに当接させることができる。このため、係合孔198に、係合爪207をスムーズに挿入させることができる。
【0189】
一方、係合孔198に係合爪207が挿入された後、タンク191からヒータホルダ196を引き抜こうとしても、係合孔198の内周縁に係合爪207の基端側の平坦面207bが当接されるので、引き抜こうとする力が径方向に分散されにくい。つまり、係合片206を弾性変形させにくい。このため、係合孔198と係合爪207との係合を、より解除しにくくすることができる。
【0190】
また、2つの係合孔198、及び2つの係合片206は、軸線O,Qを挟んで両側に対向配置されている。このため、ヒータホルダ196全体でみたとき、2つの係合片206にかかる径方向内側への力が偏りにくい。よって、係合片206を弾性変形させる際の力のバランスがとれて、タンク191の開口部191aにヒータホルダ196を挿入しやすい。
また、2つの係合爪207のうちの一方の係合を解除しようとし、係合孔198から係合爪207が抜けるようにタンク191又はヒータホルダ196を傾けようとすると、他方の係合爪207が径方向外側へ押圧されることになる。このため、一旦係合された係合孔198と係合片206とを、より解除しにくくすることができる。
【0191】
また、タンク191の周壁191bには、ガイド凹部198aが形成されている。そして、タンク191内にヒータホルダ196を押し込んでいく際、ガイド凹部198aに係合爪207が受け入れられて収まる。このように、ガイド凹部198aを利用して、タンク191とヒータホルダ196(円筒部196b)との位置決めを行いつつ、タンク191とヒータホルダ196との嵌合を容易に行うことができる。
【0192】
また、ヒータホルダ196における円筒部196bの内周面には、霧化容器195の嵌合部218が嵌合されている。そして、係合片206の径方向内側の内面に、霧化容器195の凹部224の底面224aが当接されている。このため、係合片206に、霧化容器195の弾性力を作用させることができる。すなわち、係合片206が径方向内側へ弾性変形しようとすると、霧化容器195の弾性力によって、係合片206に径方向外側に向かう弾性力が作用する。つまり、霧化容器195(嵌合部218)は、係合片206に径方向外側に向かう弾性力を付勢する弾性付与部材として機能している。このため、一旦係合された係合孔198と係合片206とを、さらに解除しにくくすることができる。
【0193】
なお、上述の実施形態では、液溜まり部223は、筒部217の外周面の全体をシール部222から突出部219の先端に向かうに従って筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次狭くなるように斜めに形成することでなる凹部である場合について説明したが、この構成のみに限られない。液溜まり部223は、液体のエアロゾル源を溜める構造であればよい。例えば、筒部217の外周面の全体をシール部222から突出部219の先端に向かうに従って筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次狭くなるように湾曲形成してもよい。また、液溜まり部223は、単純に、狭小部279と連通する凹部であればよく形状は問わない。さらに、以下の各変形例のように、液溜まり部223を有する筒部217としてもよい。
【0194】
<第1変形例>
次に、
図24に基づいて、上述した実施形態の第1変形例について説明する。
図24は、第1変形例におけるカートリッジ11の霧化容器195に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。また、
図24は、
図13に対応している。
図24に示すように、上述の実施形態と本第1変形例との相違点は、霧化容器195の形状が異なる点にある。
【0195】
第1変形例では、霧化容器195における筒部217の液溜まり部223に、全周に渡って断面略矩形状の凹部280が形成されている。凹部230には、筒部217の内外を連通、つまり、液溜まり部223と収納凹部220(霧化室M)とを連通する貫通孔281が2つ形成されている。また、霧化容器195には、シール部222に切欠き部222a(
図17参照)が形成されていない。
【0196】
2つの貫通孔281は、軸線Qに直交する方向に沿って形成されている。2つの貫通孔281は、軸線Qを中心に対向配置されている。このように、貫通孔281は、切欠き部222aに代わって、ヒータホルダ196の第1吸気孔209と液溜まり部223とを連通させる。すなわち、貫通孔281、収納凹部220、及び霧化容器195のスリット218aを介し、ヒータホルダ196の第1吸気孔209と液溜まり部223とが連通される。
【0197】
また、貫通孔281の孔径は、液体のエアロゾル源の表面張力が作用する大きさに設定されている。このため、液溜まり部223に液体のエアロゾル源が溜まった場合であっても、貫通孔281を介して収納凹部220側に液体のエアロゾル源が流出されない。
【0198】
このように、本第1変形例のカートリッジ11によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、筒部217に凹部230を形成する分、液溜まり部223の容量を大きくすることができる。また、凹部280に貫通孔281を形成することにより、シール部222に切欠き部222aを形成することなく、液溜まり部223の内外で圧力差が生じてしまうことを防止できる。
【0199】
なお、上述の第1変形例では、筒部217に形成された凹部230が、断面略矩形状である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、筒部217の全周に渡って凹部230が形成されていればよい。例えば、凹部230をV溝状に形成したり、断面円弧状に形成したりしてもよい。
また、上述の第1変形例では、貫通孔281は、軸線Qに直交する方向に沿って形成され、かつ軸線Qを中心に対向配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、貫通孔281は、液溜まり部223と収納凹部220とを連通していればよい。また、貫通孔281は、少なくとも1つあればよく、2つ以上の複数であってもよい。
【0200】
<第2変形例>
次に、
図25に基づいて、上述した実施形態の第2変形例について説明する。
図25は、第2変形例におけるカートリッジ11の霧化容器195に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。また、
図25は、
図13に対応している。
図25に示すように、上述の実施形態と本第2変形例との相違点は、霧化容器195の形状が異なる点にある。
【0201】
霧化容器195の筒部217は、液溜まり部223が設けられている箇所が、切除され、この切除されている箇所に、筒部217とは別体の支持部材285が設けられている。筒部217の切除された面は、軸線Qに直交する平坦面217cとされている。平坦面217cの収納凹部220の周縁には、略円筒状の嵌合凸部286がメッシュ体193側に向かって突出形成されている。そして、嵌合凸部286に位置決めされるように、支持部材285が平坦面217c上に配置されている。
【0202】
支持部材285は、金属により形成されている。例えば、支持部材285は防錆の高いステンレス等により形成されていることが望ましい。支持部材285は、略円筒状で、かつ、軸線Qと直交する方向からみて、平坦面217cからメッシュ体193側に向かって末広がりとなるように、略円錐台状に形成されている。そして、支持部材285の小径部285aの内面が、筒部217の嵌合凸部286の外周面に嵌合されている。これにより、筒部217に対する支持部材285の位置決めが行われる。
【0203】
支持部材285の大径部285bの端部は、メッシュ体193の他面193cに当接されている。大径部285bの外径は、タンク191の周壁191bの内径よりも若干小さくなる程度に設定されている。これにより、大径部285bとタンク191の周壁191bとの間に形成される微小隙間が、狭小部279として機能する。
また、支持部材285は、上記の通り略円錐台状に形成されているので、小径部285aから大径部285b側に向かうに従って、支持部材285とタンク191の周壁191bとの間の間隙が漸次狭くなる。この間隙が、液溜まり部223として機能する。
【0204】
このように、本第2変形例のカートリッジ11によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、霧化容器195の筒部217を、支持部材285で分割構成し、この支持部材285の外周面に液溜まり部223を形成している。このため、霧化容器195の成形性を容易にすることができる。また、支持部材285を金属により形成しているので、支持部材285の機械的強度を高くできる。このような支持部材285の大径部285bの端部により、メッシュ体193を確実に支持できる。
【0205】
<第3変形例>
次に、
図26に基づいて、上述した実施形態の第3変形例について説明する。
図26は、第3変形例におけるカートリッジ11の霧化容器195に対応する箇所を拡大した軸方向に沿う断面図である。また、
図26は、
図13に対応している。
図26に示すように、上述の実施形態と本第2変形例との相違点は、霧化容器195、及びタンク191の周壁191bの形状が異なる点にある。
【0206】
霧化容器195の筒部217の外周面は、シール部222から突出部219の先端に至る間が斜めに形成されておらず、軸線Qとほぼ平行に形成されている。
これに対し、タンク191の周壁191bは、筒部217に対応する箇所の内周面が、筒部217の突出部219からシール部222に向かうに従って漸次拡径するように、斜めに形成された傾斜面191eとされている。このため、筒部217の外周面とタンク191の周壁191bとの間の間隙は、筒部217の突出部219に向かうに従って漸次狭くなる。
【0207】
したがって、上述の第3変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、第3変形例において、霧化容器195のシール部222の外径は、タンク191の周壁191bの内径が拡径された分、大きくなる。このため、タンク191内に霧化容器195を収納した状態では、シール部222が径方向に圧縮される。よって、シール部222のシール性が確保されるとともに、シール部222の摩擦抵抗によりタンク191からの霧化容器195の抜けが抑制される。
【0208】
<第4変形例>
次に、
図27に基づいて、上述した実施形態の第4変形例について説明する。
図27は、第4変形例における霧化容器195をメッシュ体193側(軸方向の第2側)からみた斜視図である。また、
図27は、
図17に対応している。
図27に示すように、上述の実施形態と本第4変形例との相違点は、霧化容器195の形状が異なる点にある。
【0209】
霧化容器195の筒部217の外周面は、シール部222から突出部219の先端に至る間が斜めに形成されておらず、軸線Qとほぼ平行に形成されている。このような筒部217の外周面には、螺旋状の溝287が形成されている。溝287は、シール部222から突出部219の端部に至る間に形成されている。このため、溝287は、液溜まり部223として機能する。
また、溝287のシール部222側の端部は、シール部222に形成された切欠き部222aに連通されている。このため、液溜まり部223の内外で圧力差が生じてしまうことがない。
【0210】
このように、本第4変形例のカートリッジ11によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、筒部217の外周面に螺旋状に形成された溝287を液溜まり部223として機能させている。溝287は、螺旋状に形成されているので、溝287に空気が入りにくい。このため、溝287に溜まった液体のエアロゾル源を、タンク191の液体収容室202に還流しやすくすることができる。
【0211】
<その他の変形例>
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0212】
例えば、上述した実施形態では、燃焼を伴わずにエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置の一例として、たばこカプセル12が着脱可能に構成された吸引器1を例に挙げて説明したが、この構成のみに限られない。エアロゾル生成装置の他の例として、電子たばこのようにたばこカプセル12を有さない構成としてもよい。この場合には、香味が含まれたエアロゾル源をカートリッジ11内に収容し、エアロゾル生成装置によって香味が含まれたエアロゾルを生成する。
【0213】
上述した実施形態では、本体ユニット10が電源ユニット21、保持ユニット22及びマウスピース23の分割構成である場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、電源ユニット21及び保持ユニット22が一体で形成されていても、保持ユニット22及びマウスピース23が一体で形成されていてもよい。
上述した実施形態では、保持ユニット22がカートリッジ11の周囲を取り囲む筒状に形成されている構成について説明したが、この構成のみに限られない。保持ユニット22は、カートリッジ11を保持可能な構成であればよい。なお、本明細書において、カートリッジ11と本体ユニット10(電源ユニット21)との着脱とは、保持ユニット22内にカートリッジ11を収容してマウスピース23で保持するものに限らず、単にピン電極49と接続電極部213b,214bとが接続及び接続の解除を行うものも含む。
【0214】
上述した実施形態では、電源ユニット21及び保持ユニット22が同軸に配置された筒状に形成された構成について説明したが、この構成のみに限られない。電源ユニット21及び保持ユニット22は、互いに異形状であってもよい。
上述した実施形態では、蓄電池33や基板モジュール34,35が蓄電池ホルダ36に搭載された構成について説明したが、この構成のみに限られない。蓄電池33や基板モジュール34,35がハウジング31内に直接搭載されていてもよい。
上述した実施形態では、起動準備信号を出力するためのボタン78(スイッチ素子52)が搭載された構成について説明したが、ボタン78を有さない構成(圧力センサ53による検出により起動する構成)であってもよい。
【0215】
上述した実施形態、及び各変形例では、筒部217の外周面、又はタンク191における周壁191bの内周面のいずれか一方に、液溜まり部223を設けた場合について説明した。しかしながら、この構成のみに限られない。筒部217の外周面、及びタンク191における周壁191bの内周面のいずれにも凹部等を形成し、液溜まり部223を設けてもよい。
【0216】
上述した実施形態では、メッシュ体193は、多孔状で吸液性を有する部材であり、例えばコットン系繊維材により形成されている場合について説明した。しかしながら、この構成のみに限られない。メッシュ体193に代わって吸液性を有さない板状の部材を用いてもよい。この板状の部材によって、タンク191の内部が、底部191c側の液体収容室202と開口部191a側の開口室203とに区画されればよい。但し、板状の部材を介し、液体収容室202に収容された液体のエアロゾル源がウィック4に吸収されるように、板状の部材を加工する必要がある。
【0217】
上述した実施形態では、タンク191における周壁191bの内周面に、ヒータホルダ196の円筒部196bが嵌合される場合について説明した。そして、タンク191とヒータホルダ196とを係合させる手段として、タンク191に係合孔198を形成するとともに、ヒータホルダ196に係合片206を形成した場合について説明した。しかしながら、この構成のみに限られない。ヒータホルダ196における円筒部196bの内周面に、タンク191の周壁191bを嵌合させるように構成してもよい。この場合、径方向内側に位置するタンク191の周壁191bに係合片206を形成するとともに、径方向外側に位置するヒータホルダ196の円筒部196bに係合孔198を形成する。
【0218】
また、係合片206に係合可能でればよく、係合孔198としなくてもよい。すなわち、例えば、係合孔198に代わって係合片206に係合可能な凹部としてもよい。このように構成することで、係合孔198を介して係合爪207が外部に露出することもなくなる。このため、さらに、タンク191とヒータホルダ196とを分解しにくくすることができる。
【0219】
上述した実施形態では、タンク191に2つ係合孔198を形成するとともに、ヒータホルダ196に2つの係合片206を形成し、タンク191とヒータホルダ196とを固定した場合について説明したが、この構成のみに限られない。タンク191やヒータホルダ196に、係合孔198や係合片206を2つずつ以上形成してもよい。
【0220】
上述した実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0221】
(付記1)
有底筒状のタンクと、
前記タンクの開口部側の内周面に嵌合されるホルダと、
を備え、
前記ホルダに前記タンクの底部側に向かって突出され、径方向の内側に弾性変形可能な係合片を2つ設け、
前記タンクに、各前記係合片に係合可能な2つの係合部を設け、
前記係合片及び前記係合部は、前記タンク及び前記ホルダの径方向中央を中心に対向配置されている
霧化ユニット。
【0222】
(付記2)
前記ホルダの内周面に嵌合される弾性を有する容器を備えた
霧化ユニット。
【0223】
(付記3)
前記係合片は、前記他方側の先端から前記径方向の外側に突出する係合爪を有し、
前記係合部は、前記係合爪が挿入可能な開口である
霧化ユニット。
【0224】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。