(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】低クロストークの垂直接続インターフェース
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20230216BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20230216BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230216BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20230216BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230216BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/08 H
H01L25/04 Z
H01L23/12 E
H05K1/14 G
(21)【出願番号】P 2019563488
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018030259
(87)【国際公開番号】W WO2018212977
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シー, ホン
(72)【発明者】
【氏名】タン, スロウ チェク
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-147676(JP,A)
【文献】特開2018-082070(JP,A)
【文献】特開2014-192416(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0118929(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0124419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00-25/18
H01L 23/12、23/50
H05K 1/11、1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の集積回路コンポーネントの下方に積層されるように構成された、表面を有する第1の集積回路コンポーネントであって、前記第1の集積回路コンポーネントが、前記第1の集積回路コンポーネントの前記表面に露出した複数の第1の露出導体で終端するエスケープルーティングを備え、前記第1の露出導体が、少なくとも第1の行、第2の行、および第3の行を備える複数の行に配置され、すべてが前記複数の第1の露出導体の一部の間に画定された第1のバンクを通って延び、
前記複数の行の各行は、グラウンド信号を搬送するように構成された露出導体、およびデータ信号を搬送するように構成された露出導体を含み、前記第1の行が、前記第1の集積回路コンポーネントの第1の縁部に平行かつ隣接して配置され、前記第3の行が前記第1の縁部から間隔を空けており、前記第2の行が前記第1の行と前記第3の行との間に配置され、前記第1のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された前記第1の露出導体に対す
るグラウンド信号を搬送するように構成された前記第1の露出導体のグラウンド対信号比が、前記第
2の行と比べて前記第3の行においてより大きく
かつ前記第1の行と比べて前記第2の行においてより大きく、前記複数の行にわたる前記グラウンド対信号比が、縁部から中央にかけて増加する勾配を有し、グラウンド信号を搬送するように構成された前記第1の露出導体が、データ信号を搬送するように構成された前記第1の露出導体に結合されたルーティングを垂直方向に遮蔽するルーティングに結合される、第1の集積回路コンポーネント
を備える、集積回路デバイス。
【請求項2】
前記第1のバンクを通って延びる前記複数の行にわたる前記グラウンド対信号比が、概して、前記第1の縁部から遠い行よりも前記第1の縁部に近い行ほど小さい、または前記第1のバンクを通って延びる前記複数の行にわたる前記グラウンド対信号比が、概して、ビアが深い行よりもビアが浅い行ほど小さい、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項3】
第2の
集積回路コンポーネントであって、前記第2の
集積回路コンポーネントの第2の表面に露出した複数の第2の露出導体で終端する回路を備える、第2の
集積回路コンポーネントと、
前記第1の
集積回路コンポーネントに露出した個別の導体のうちの固有の導体をそれぞれが結合する複数のはんだ接続と、
をさらに備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項4】
前記第1の集積回路コンポーネントが集積回路(IC)ダイである、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項5】
前記第1の集積回路コンポーネントがインターポーザまたはパッケージ基板であり、
前記集積回路デバイスが、
前記第1の集積回路コンポーネントの前
記表面に取り付けられた集積回路(IC)ダイ
をさらに備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項6】
前記第1の集積回路コンポーネントがプリント回路基板であり、
前記集積回路デバイスが、
前記第1の集積回路コンポーネントの前
記表面に取り付けられた集積回路(IC)パッケージであって、前記ICパッケージが1つまたは複数のICダイを有する、集積回路(IC)パッケージ
をさらに備える、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項7】
前記第1の集積回路コンポーネントが第1のプリント回路基板である、請求項1に記載の集積回路デバイス。
【請求項8】
前記第1のプリント回路基板上に積層された第2のプリント回路基板
をさらに備える、請求項
7に記載の集積回路デバイス。
【請求項9】
前記グラウンド対信号比が、第1の露出導体が深いビアに結合されている前記第1のバンクの内部領域において、第1の露出導体が浅いビアに結合されている前記第1のバンクの縁部領域よりも大きく、前記縁部領域が前記第1の集積回路コンポーネントの縁部に近接しており、前記内部領域が前記縁部から間隔を空けている、請求項
1に記載の集積回路デバイス。
【請求項10】
前記第1のバンク内の2つの行の前記グラウンド対信号比が同じである、または前記第1のバンク内の同じ深さのビアを有する行の前記グラウンド対信号比が同じである、請求項
9に記載の集積回路デバイス。
【請求項11】
前記第1のバンクの中間領域の前記グラウンド対信号比が、前記
縁部領域より大きくかつ前記
内部領域より小さく、前記中間領域が、前記内部領域のビアよりも浅くかつ前記縁部領域のビアよりも深いビアに結合された第1の露出導体を有する、請求項
9に記載の集積回路デバイス。
【請求項12】
前記第1の集積回路コンポーネントが、
前記第1のバンクに横方向に隣接して配置された第2のバンクであって、前記第2のバンクの縁部から中央にかけてのグラウンド対信号比が、前記第1のバンクの前記縁部から中央にかけてのグラウンド対信号比にほぼ等しい、第2のバンク
をさらに備える、請求項
1に記載の集積回路デバイス。
【請求項13】
前記複数の行の各行が合計の相互インダクタンスを有し、前記複数の行の前記合計の相互インダクタンスが、縁部から中央に向かう方向に増加
する、
請求項1に記載の集積回路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、チップパッケージおよびチップパッケージを有する電子デバイスに関する。具体的には、積層コンポーネント間のグラウンドおよびデータ信号の通信を提供する、チップパッケージおよび電子デバイスの積層コンポーネント間の垂直接続インターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、とりわけ、タブレット、コンピュータ、サーバ、屋内電気通信、屋外電気通信、産業用コンピュータ、高性能コンピューティングデータセンタ、コピー機、デジタルカメラ、スマートフォン、制御システム、現金自動預払機などは、多くの場合、機能の向上およびコンポーネント密度の向上のためにチップパッケージを活用する電子コンポーネントを使用している。従来のチップパッケージは、チップパッケージ自体がプリント回路基板(PCB)上に積層された状態で、集積回路(IC)ダイ、シリコン貫通電極(TSV)インターポーザ、パッケージ基板などの1つまたは複数の積層コンポーネントを備える。ICダイは、メモリ、ロジック、MEMS、RF、または他のICデバイスを含み得る。
【0003】
これらの積層コンポーネントのいずれかの間の垂直インターフェースを通る、はんだ接続などの信号伝送ルーティングの数および密度が大きくなると、隣接するルーティング間のクロストークがますます問題になる。クロストークが増加するリスクは、積層PCBにも存在する。
【0004】
チップパッケージコンポーネントおよび積層PCBの間のインターフェースで使用される従来のエスケープルーティング技法は、一般に、水平ルーティングを垂直方向に間隔を空けるために複数の層を使用する。クロストークの可能性を減らすように層の厚さが選択され得る。しかしながら、厚い層は、製造業者にとっては追加のコストを意味し、またエスケープルーティングの垂直部分(すなわち、ビア)間のクロストーク保護を改善しない。
【0005】
したがって、当技術分野で従来使用されているものと比較してクロストークの可能性を低減する、チップパッケージおよびPCBの積層コンポーネント間の垂直接続インターフェースの改善が求められている。
【発明の概要】
【0006】
積層コンポーネント間の通信を改善する、チップパッケージのコンポーネントを積層するための垂直接続インターフェースを有する電子デバイスが提供される。
【0007】
1つの例では、第1の集積回路コンポーネントを備える集積回路デバイスが提供される。第1のコンポーネントは、第1のコンポーネントの第1の表面に露出した複数の第1の露出導体で終端するエスケープルーティングを備える。第1の露出導体は、少なくとも第1の行、第2の行、および第3の行を備える複数の行に配置され、すべてが複数の第1の露出導体の一部の間に画定された第1のバンクを通って延びる。第1の行は、第1の表面の第1の縁部に平行かつ隣接して配置される。第3の行は、第1の縁部から間隔を空けている。第2の行は、第1の行と第3の行との間に配置される。第1のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された第1の露出導体に対する、グラウンド信号を搬送するように構成された第1の露出導体のグラウンド対信号比は、第1の行と比べて第3の行においてより大きい。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された第1の露出導体に対する、グラウンド信号を搬送するように構成された第1の露出導体のグラウンド対信号比が、第1の行と比べて第2の行においてより大きくてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の行のグラウンド対信号比が、第3の行のグラウンド対信号比より小さくてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のバンクを通って延びる複数の行にわたるグラウンド対信号比が、概して、第1の縁部から遠い行よりも第1の縁部に近い行ほど小さくてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のバンクを通って延びる複数の行にわたるグラウンド対信号比が、概して、ビアが深い行よりもビアが浅い行ほど小さくてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、集積回路が、第2のコンポーネントの第2の表面に露出した複数の第2の露出導体で終端する回路を有する第2のコンポーネントと、第1のコンポーネントに露出した個別の導体のうちの固有の導体をそれぞれが結合する複数のはんだ接続と、をさらに備えてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントが集積回路(IC)ダイであってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントがインターポーザまたはパッケージ基板であってもよい。集積回路デバイスが、第1の集積回路コンポーネントの第1の表面に取り付けられた集積回路(IC)ダイをさらに備えてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントがプリント回路基板であってもよい。集積回路デバイスが、第1の集積回路コンポーネントの第1の表面に取り付けられた集積回路(IC)パッケージをさらに備えてもよい。ICパッケージは、1つまたは複数のICダイを有してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントがインターポーザであってもよい。集積回路デバイスが、第1の集積回路コンポーネントの第1の表面に取り付けられた集積回路(IC)ダイをさらに備えてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントが第1のプリント回路基板であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、集積回路デバイスが、第1のプリント回路基板上に積層された第2のプリント回路基板をさらに備えてもよい。
【0019】
別の例では、第1の集積回路コンポーネントを備える集積回路デバイスが提供される。第1の集積回路コンポーネントは、第1のコンポーネントの第1の表面に露出した複数の第1の露出導体で終端するエスケープルーティングを備える。第1の露出導体は、第1の表面上に露出し、複数の第1の露出導体の一部の間に画定された第1のバンクを通って延びる複数の行に配置される。第1のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された第1の露出導体に対する、グラウンド信号を搬送するように構成された第1の露出導体のグラウンド対信号比は、縁部から中央にかけての勾配を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、グラウンド対信号比が、第1の露出導体が深いビアに結合されている第1のバンクの内部領域において、第1の露出導体が浅いビアに結合されている第1のバンクの縁部領域よりも大きくてもよい。縁部領域は第1の集積回路コンポーネントの縁部に近接していてもよく、内部領域は縁部から間隔を空けていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のバンク内の2つの行のグラウンド対信号比が同じであってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のバンク内の同じ深さのビアを有する行のグラウンド対信号比が同じであってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のバンクの中間領域のグラウンド対信号比が、内部領域より大きく、縁部領域より小さくてもよい。中間領域は、内部領域のビアよりも浅く、縁部領域のビアよりも深いビアに結合された第1の露出導体を有してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の集積回路コンポーネントが、第1のバンクに横方向に隣接して配置された第2のバンクをさらに備えてもよい。第2のバンクの縁部から中央にかけてのグラウンド対信号比は、第1のバンクの縁部から中央にかけてのグラウンド対信号比にほぼ等しくてもよい。
【0025】
別の例では、第1のコンポーネントの下方に積層され、複数のはんだ接続により第1のコンポーネントに結合された第2のコンポーネントを備える集積回路デバイスが提供される。第1のコンポーネントは、第1のコンポーネントの第1の表面に露出した複数の第1の露出導体で終端する回路を備える。第2のコンポーネントは、第2のコンポーネントの第2の表面に露出した複数の第2の露出導体で終端するエスケープルーティングを備える。第2の露出導体は、第2の表面上に露出し、複数の第2の露出導体の一部の間に画定された第1のバンクを通って延びる複数の行に配置される。第1のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された第2の露出導体に対する、グラウンド信号を搬送するように構成された第2の露出導体のグラウンド対信号比は、縁部から中央にかけての勾配を有する。
【0026】
別の例では、エスケープルーティングを決定するための方法が提供される。本方法は、(A)クロストーク許容閾値を入力することと、(B)クロストーク許容閾値に応じて、第1の深さを有する第1のビアを介して結合される接続のための第1のグラウンド対データ信号(GDS)比を決定することと、(C)クロストーク許容閾値に応じて、第2の深さを有する第2のビアを介して結合される接続のための第2のGDS比を決定することであって、第1の深さが第2の深さより大きく、第1のGDSが第2のGDSより大きい、ことと、(D)クロストーク許容閾値に応じて、第3の深さを有する第3のビアを介して結合される接続のための第3のGDS比を決定することであって、第2の深さが第3の深さより大きく、第2のGDSが第3のGDSより大きい、ことと、を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のGDS、第2のGDS、および第3のGDSで構成された接続を含むエスケープルーティング命令をコンパイルすることをさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の上記の特徴を詳細に理解できるように、上で簡単に要約した本発明のより具体的な説明が、実施形態を参照することにより得られ、そのいくつかは添付の図面に示されている。ただし、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しているに過ぎず、したがって、本発明には他の同等に効果的な実施形態を含むことができることから、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】コンポーネント間のいくつかの垂直インターフェースを示している、プリント回路基板に取り付けられた集積チップパッケージの概略断面図である。
【
図2】
図1に示すようなコンポーネント間の垂直インターフェースのための1つの例のインターフェースレイアウトの概略図である。
【
図3】
図2のインターフェースレイアウトのエスケープルーティングの一部の一例の概略上面図である。
【
図4】
図2のインターフェースレイアウトのエスケープルーティングの一部の一例の概略断面図である。
【
図5】1:6のグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。
【
図6】1:4のグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。
【
図7】1:3のグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。
【
図8】1:1のグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。
【
図9】異なるグラウンド対信号比でのクロストークとビア深さとの関係を示すグラフである。
【
図10】コンポーネントのうちの1つの縁部からの距離に対して変化するグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。
【
図11】コンポーネントのうちの1つの縁部からの距離に対して変化するグラウンド対信号比を有するコンポーネント間の垂直インターフェースのためのインターフェースレイアウトの別の例の概略図である。
【0030】
理解を容易にするために、可能な場合、各図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。1つの実施形態の要素は、他の実施形態に都合よく組み込むことができることが企図されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の実施形態は、概して、積層コンポーネント間の通信を改善する、チップパッケージおよび電子デバイスの積層コンポーネント間の垂直接続インターフェースを提供する。本明細書で説明される技法により、クロストークの可能性を減らしながら、信号接続密度を高めることができる。具体的には、垂直接続インターフェースは、浅いビアの領域よりも深いビアの領域においてより多くのグラウンド接続を使用する。深いビアの領域は通常、エスケープルーティングの縁部から離れて配置されているため、接続のバンク内でデータ信号を搬送するように構成された接続に対する、グラウンド信号を搬送するように構成された垂直インターフェースのコンポーネント間の接続のグラウンド対信号比が縁部から中央にかけての勾配を有する。換言すれば、エスケープルーティングのコンポーネント縁部から遠い接続の行は、概して、コンポーネント縁部に近い接続の行に比べて、垂直インターフェースの導体間の接続のグラウンド対信号比が高くなる。有利なことに、グラウンド対信号比の勾配は、接続の縁部には、クロストーク閾値を満たすために必要なグラウンド接続の量を減らす一方で、垂直インターフェースにわたるコンポーネント間の通信のために利用可能な信号接続の量を増やす。
【0032】
ここで
図1を参照すると、プリント回路基板(PCB)112上に取り付けられた例示的な集積チップ(IC)パッケージ100を有する集積回路電子デバイス110が概略的に示されており、コンポーネント間のいくつかの垂直インターフェース120が示されている。垂直インターフェース120を間に画定し得るコンポーネントには、ICパッケージ100およびPCB 112自体と、ICダイ102、オプションの基板貫通ビア(TSV)インターポーザ104、およびパッケージ基板106のうちの少なくとも2つと、2つの積層されたPCB 112とが含まれる。ICダイ102は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、メモリデバイス、光学デバイス、プロセッサ、または他のICロジック構造などのプログラマブルロジックデバイスであり得る。光学デバイスは、光検出器、レーザ、光源などを含む。
【0033】
1つの例では、チップパッケージ100は、例えばフリップチップボールグリッドアレイ(FCBGA)、ボールグリッドアレイ(BGA)、ワイヤボンドなどとしてパッケージ基板106に直接接続され得る1つまたは複数のICダイ102を備える。別の代替的な例では、チップパッケージ100は、3Dまたは積層ダイパッケージとしても知られる垂直積層構成の2つ以上のICダイ102を有するように構成されてもよい。1つの例では、チップパッケージ100は、インターポーザ104を介してパッケージ基板106に接続され得る1つまたは複数のICダイ102を備える。チップパッケージ100は他の構成を有し得ることが企図されている。
図1には1つのICダイ102が示されているが、ICダイの数は、1個から、設計基準を満たすためにチップパッケージ100内に収まり得る、できる限り多くまでの範囲であり得る。
【0034】
インターポーザ104は、ICダイ102の回路をパッケージ基板106の回路114に電気的に接続するための回路114を備える。インターポーザ104の回路114は、場合によりトランジスタを含むことができる。マイクロバンプなどのはんだ接続108を使用して、ICダイ102の回路をインターポーザ104の回路114に機械的および電気的に接続することができる。パッケージバンプ(すなわち、「C4バンプ」)などのはんだ接続108を使用して、インターポーザ104の回路114とパッケージ基板106の回路114との間に電気接続を提供することができる。パッケージ基板106は、はんだボール、ワイヤボンディング、または他の適切な技法などのはんだ接続122を使用して、PCB 112に取り付けられ、電気的に接続されてもよい。場合により2つのPCB 112が積層されるとき、PCB 112のうちの1つのPCBの回路114は、はんだ接続122を使用して他のPCB 112の回路114に結合され得る。はんだ接続108、122は、垂直インターフェース120を含む隣接するコンポーネントの対向する表面を接続する。
【0035】
図2は、垂直インターフェース220のための1つの例のインターフェースレイアウト200の概略図である。垂直インターフェース220は、
図1に示したようなコンポーネント間、または集積回路デバイスの他の垂直積層コンポーネント間の垂直インターフェース120のいずれかであり得る。
図2に示す例では、インターフェースレイアウト200は例示的なBGAのインターフェースレイアウトである。
【0036】
インターフェースレイアウト200は、一般に、インターフェースを画定するコンポーネントの対向する表面間のはんだ接続(
図1の接続108または116など)を通して取られて示されている。インターフェースレイアウト200は、一般に、エスケープルーティングを含まないインターフェース220を構成するコンポーネントの縁部に対応する縁部202、204、206、208によって囲まれている。インターフェースレイアウト200はまた、縁部202、204、206、208に近接して配置された縁部領域212と、縁部領域212により囲まれた中央内部領域214とを含む。
【0037】
図2では、はんだ接続は信号ピン116およびグラウンドピン118として概略的に示されている。ピン116およびグラウンドピン118はまた、露出導体を表す、すなわち、インターフェース220を含むコンポーネントの対向する表面に形成された、露出したメタライゼーションまたはボンドパッドを表す。信号ピン116およびグラウンドピン118は、接続のバンク210に集まって示されている。各バンク210またはバンク210のグループは、一般に、ICパッケージ100のダイ102の特定の1つのダイへの電気接続を担当する。電力接続は示されておらず、通常、レイアウト200の内部領域214に配置される。バンク210は一般に、レイアウト200の縁部領域212に配置される。
図2において菱形で示されている他の接続は、他の接続を規定している。バンク210は、対向する縁部202、204に沿って集中していてもよい。
【0038】
信号ピン116およびグラウンドピン118はまた、インターフェース220を横切る行260
Xおよび列270
Yに配置され、XおよびYは整数である。例えば、インターフェース220のはんだ接続の行260を備えるピン116、118は、一般に、縁部202、204にほぼ平行な向きに配置される。同様に、インターフェース220のはんだ接続の列270を備えるピン116、118は、一般に、縁部206、208にほぼ平行な向きに配置される。
図2に示す実施形態では、42の行260および42の列270が示されている。
【0039】
図3および
図4はそれぞれ、
図2の垂直接続インターフェース220のエスケープルーティングのための一部の一例の概略上面図および概略断面図である。
図3および
図4の両方を参照すると、インターフェース220は、第2のコンポーネント300上に積層された第1のコンポーネント400を含む。コンポーネント300、400は、
図1を参照して上述したコンポーネントの任意の組み合わせであってもよい。
【0040】
第1のコンポーネント400は、複数の第1の露出導体(すなわち、ボンドパッド)430で終端する回路(
図1に示す回路114など)を備える。第1の露出導体430は、第1のコンポーネント400の第1の側部432に配置される。
【0041】
第2のコンポーネント300は、第1のコンポーネント400の下に積層される。第2のコンポーネント300は、複数の第2の露出導体(すなわち、ボンドパッド)302で終端するエスケープルーティング(第2のコンポーネント300の回路114に含まれる)を備える。第2の露出導体302は、第2のコンポーネント300の第2の表面434上に配置される。第1のコンポーネント400の第1の表面432は、第2のコンポーネント300の第2の表面434に面している。第2の表面434に露出した第2の露出導体302は、第1のコンポーネント400によって覆われる。
図2に示すように、第1および第2の露出導体302、430は、複数の行および列に構成される。
【0042】
図1に示すはんだ接続108、122などの複数のはんだ接続408が、第1のコンポーネント400の第1の表面432を、第2のコンポーネント300の対向する第2の表面434に機械的に結合している。各はんだ接続408はまた、第1のコンポーネント400上に露出した個別の導体302のうちの固有の導体を、インターフェース220を含む第2のコンポーネント300に露出した個別の導体430のうちの固有の導体に電気的に結合する。第1のコンポーネント400が第2のコンポーネント300の上に重なると、第2のコンポーネント300の露出導体302の位置決めは、第1のコンポーネント400の縁部204と同一直線上にある、第2のコンポーネント300を通って延びる
図4の破線で示すように、第1のコンポーネント400の縁部のうちの1つを基準にしてなされてもよい。よって、
図3および
図4に示すように、第1のコンポーネント400の縁部204に最も近い縁部領域212の露出導体302、430が第1の行260
1に並べられると同時に、その次に縁部204に近い露出導体302、430が第2の行260
2に並べられ、その際、露出導体302、430のさらなる行260は、縁部204から離れて第1のコンポーネント400の内部領域214に向かって配置される。
【0043】
第2のコンポーネント300に形成された回路114は、一般に、1つまたは複数の誘電体層404によって分離された、略水平ルーティング304および略垂直ルーティング(例えば、ビア)406を備える。グラウンドピン118として使用されるはんだ接続408に結合された回路114は、一般に、第1のコンポーネント400に形成された1つまたは複数のグラウンド層402に、ビア406によって露出導体434を介して結合されたはんだ接続408を有する。異なる深さ「h」を有するビア406に結合された水平ルーティング304は、少なくとも1つのグラウンド層402によって分離されている。第1の行2601に配置された露出導体302に結合された水平ルーティング304は、第1のコンポーネント400の面積範囲下から容易にルーティングされ得るため、第1の行2601は、一般に、例えば内部領域214により近い行260に配置された露出導体302に結合された水平ルーティング304と比べても、必要なビア406があったとしても少ない。
【0044】
さらに、内部領域214により近い行260は、一般に、縁部領域212により近い列260と比較して、より深い「h」を有するビア406を有する。例えば、行2604の露出導体302に結合されたビア406は、行2608の露出導体302に結合されたビア406よりも深さ「h」が短い。よって、平均すると、縁部領域212の行260は、縁部領域214の行206と比較して、より短いビア深さ「h」を有する。
【0045】
回路114におけるクロストークの主な原因の1つは、ルーティング304、406間の近さである。水平ルーティング304は、グラウンド層402によって少なくとも垂直方向のクロストークからほぼ遮蔽される。しかしながら、ビア406のうちのわずか(すなわち、グラウンドピン118に接続されたビア406)しかグラウンド層402に結合されていないため、信号ピン116を通じて通信またはデータ信号を送信するために使用されるビア406は、はるかにクロストークの影響を受けやすい。クロストークの影響の受けやすさは、影響を受けたビア406が呈する合計の相互インダクタンスによって説明できる。
【0046】
描写するならば、合計の相互インダクタンスは、隣接する信号搬送ビアによって一方を囲まれ、最も近いグラウンド搬送ビアによって他方を囲まれる、対象の信号搬送ビアを囲む領域として視覚化できる。例えば、
図4に示すように、領域410は行260
7のビア406の合計の相互インダクタンスを表し、領域412は行260
6のビア406の合計の相互インダクタンスを表し、領域414は行260
2のビアの合計の相互インダクタンスを表す。領域410、412、414の範囲の相対的な差から推定できるように、領域のサイズ、したがって合計の相互インダクタンスは、最も近いグラウンド搬送ビア406からの距離およびビア406の深さ「h」とともに増加する。特定のエスケープ構成の水平ルーティング304をルーティングするのに必要な層の数に起因して、ビア406の深さ「h」を最小化することは難しいため、以下に説明する方法を用いて、信号搬送ビア406の過剰数を不必要に犠牲にすることなく、最も近いグラウンド搬送ビア406からのビアの距離を短くすることができる。結果として、クロストークの制限を超えることなく、高密度の信号ピン116を好都合に実現することができる。
【0047】
合計の相互インダクタンスはまた、数学的に表現することもできる。例えば、行2603の信号ピン116に関連して、合計の相互インダクタンスMijは次のように表すことができる。
Mij=ΣLn[SiSj/Sij]
ここで:
Siは、行2603の対象信号ピン116と最も近いグラウンドピン116との間の距離であり、
Sijは、行2603の対象信号ピン116と、対象信号ピン116に最も近いグラウンドピン116とは反対側で隣接する信号ピン116との間の距離であり、
Sjは、SiとSijとの和である。
【0048】
インターフェース220内のグラウンドピン118の配置を決定するために合計の相互インダクタンスがどのように利用され得るかを示すために、バンク210などのインターフェースの一部を含む行260内の信号ピン116に対する、グラウンドピン118の異なる比を例示する、例示的なグラウンドピンおよび信号ピンのレイアウトを
図5~
図8に示す。
図5~
図8のレイアウトは、上記の合計の相互インダクタンスM
ijの式に従って
図9に示す異なるグラウンド対信号比についてクロストークとビア深さとの関係を示すグラフのコンテキストを与えるために提供される。
【0049】
図5は、1:6のグラウンド対信号比を有する
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース520のためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。例えば、各行260は、各グラウンドピン118に対して少なくとも6つの信号ピン116を含む。信号ピン116に対するグラウンドピン118のグラウンド対信号比は、バンク210全体で略均一である。
【0050】
図6は、1:4のグラウンド対信号比を有する
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース620のためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。例えば、各行260は、各グラウンドピン118に対して少なくとも4つの信号ピン116を含む。信号ピン116に対するグラウンドピン118のグラウンド対信号比は、バンク210全体で略均一である。
図5のレイアウトと比較して、
図6のレイアウトにおける信号ピン116に対するグラウンドピン118の比が高いため、垂直インターフェース620は、所与のビア深さに対してより低い合計の相互インダクタンスM
ijを有し、したがって、
図5の垂直インターフェース520と比較して、クロストークの影響を受けにくくなる。
【0051】
図7は、1:3のグラウンド対信号比を有する
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース720のためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。例えば、各行260は、各グラウンドピン118に対して少なくとも3つの信号ピン116を含む。信号ピン116に対するグラウンドピン118のグラウンド対信号比は、バンク210全体で略均一である。
図6のレイアウトと比較して、
図7のレイアウトにおける信号ピン116に対するグラウンドピン118の比が高いため、垂直インターフェース720は、所与のビア深さに対してより低い合計の相互インダクタンスM
ijを有し、したがって、
図6の垂直インターフェース620と比較して、クロストークの影響を受けにくくなる。
【0052】
図8は、1:1のグラウンド対信号比を有する
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース820のためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。例えば、各行260は、各グラウンドピン118に対して1つの信号ピン116を含む。信号ピン116に対するグラウンドピン118のグラウンド対信号比は、バンク210全体で略均一である。またここでも、
図7のレイアウトと比較して、
図8のレイアウトにおける信号ピン116に対するグラウンドピン118の比が高いため、垂直インターフェース820は、所与のビア深さに対してより低い合計の相互インダクタンスM
ijを有し、したがって、
図7の垂直インターフェース720と比較して、クロストークの影響を受けにくくなる。
【0053】
図9は、異なるグラウンド対信号比についてクロストークとビア深さとの関係を示すグラフ900である。グラフ900では、Y軸はクロストークを表し、X軸は
図4で「h」として示したビア深さを表している。クロストークは、上述のように合計の相互インダクタンスM
ijとして計算できる。各プロット線910、912、914、916は、信号ピン116に対するグラウンドピン118の異なる密度に対する、すなわちグラウンド対信号比に対する合計の相互インダクタンスM
ijである。例えば、プロット線910は、
図8に示すような1:1のグラウンド対信号比の合計の相互インダクタンスM
ijであり、プロット線912は、
図7に示すような1:3のグラウンド対信号比の合計の相互インダクタンスM
ijであり、プロット線916は、
図6に示すような1:6のグラウンド対信号比の合計の相互インダクタンスM
ijである。
【0054】
グラフ900から明らかなように、ビア深さが大きいほどクロストークが大きくなる。プロット線910、912、914、916のすべてが示すように、ビアが深いほどクロストークが大きくなる。例えば、破線932で示すビア深さでのクロストークは、破線930で示すビア深さでのクロストークよりも大きい。破線932および930はそれぞれ第6の行および第5の行(すなわち、
図9においてV6およびV5として識別される行260
6、260
5)におけるビア深さに対応すると同時に、行260
4、260
3、260
2、260
1のビア深さもそれぞれ、
図9のV4、V3、V2、V1としてX軸に沿って示されている。
【0055】
また、グラフ900から明らかなように、グラウンド対信号比が小さいほどクロストークが大きくなる。プロット線910、912、914、916の間の比較によって示されるように、グラウンド対信号比が大きいほど、クロストークが大きくなる。例えば、プロット線916で示すグラウンド対信号比(1:1)でのクロストークは、プロット線914で示すグラウンド対信号比(1:3)でのクロストークよりも大きく、プロット線914で示すグラウンド対信号比(1:3)でのクロストークは、プロット線912で示すグラウンド対信号比(1:4)でのクロストークよりも大きく、プロット線912で示すグラウンド対信号比(1:4)でのクロストークは、プロット線910で示すグラウンド対信号比(1:6)でのクロストークよりも大きい。
【0056】
グラフ900により与えられる情報は、目標クロストーク閾値に応じて、垂直インターフェースのピン118、116の所望のグラウンド対信号比を選択するために使用されてもよい。所与のビア深さで目標クロストーク閾値を満たす最も小さいグラウンド対信号比を選択することにより、信号ピン116の数を最大化することができ、これにより好都合にも、垂直インターフェース全体で信号ピンの密度を高めることができる。例えば、クロストーク閾値(すなわち、最大許容クロストーク)がグラフ900に破線920で表されている場合、最大許容グラウンド対信号比は、目標クロストーク閾値920を満たす各ビア深さで決定され得る。行V1、V2、V3の深さを有するビアが、プロット線910、912、914、916によって表されるグラウンド対信号比のすべてで目標クロストーク閾値920より下にあることは明らかである。しかしながら、最も小さいグラウンド対信号比を有するプロット線916を選択することにより、対応する行でより多くの数の信号ピン116を使用することが可能になる。同様に、行V4、V5、V6では、プロット線916、914は目標クロストーク閾値920を超えていることを示し、プロット線912、910は目標クロストーク閾値920よりも小さいクロストークを示している。しかしながら、より小さいグラウンド対信号比を有するプロット線912を選択することにより、対応する行でより多くの数の信号ピン116を使用することが可能になる。
【0057】
別の例では、クロストーク閾値922が望まれる場合、行V1、V2、V3、V4に深さを有するビアは、プロット線910、912、914、916によって表されるグラウンド対信号比のすべてで目標クロストーク閾値922より下にある。しかしながら、最も小さいグラウンド対信号比を有するプロット線916を選択することにより、対応する行でより多くの数の信号ピン116を使用することが可能になる。同様に、行V5、V6では、プロット線916は目標クロストーク閾値920を超えていることを示し、プロット線914、912、910は目標クロストーク閾値920よりも小さいクロストークを示している。しかしながら、より小さいグラウンド対信号比を有するプロット線916を選択することにより、対応する行でより多くの数の信号ピン116を使用することが可能になる。
【0058】
このように、グラフ900を利用して、所与のビア深さに対してクロストーク閾値を満たすことができるピン118、116のグラウンド対信号比を選択することができる。ビア深さは、コンポーネントの縁部から離れた位置にある接続の行で変化する可能性があるため、信号ピンの数を最大にするグラウンド対信号比を特定してもよく、これにより、クロストークに起因して性能を損なうことなく、信号伝送ピン密度を高めることができる。したがって、より深いビアを持つ場所で信号ピン密度に対するグラウンドピン密度の比を大きくすると、縁部領域から中央領域に向かって増加する、信号ピン密度に対するグラウンドピン密度の比の勾配が生じる。ただし、1つまたは複数の行が縁部に近い行内での比に対して常に大きな比を持つとは限らず、領域全体の平均の比(例えば、内部領域および縁部領域などのいくつかの行)が勾配を呈することが企図されている。
【0059】
図10は、コンポーネントのうちの1つの縁部(縁部204など)からの距離に対して変化するグラウンド対信号比を有する、
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース1000のためのインターフェースレイアウトの1つの例の概略図である。1つの例では、垂直インターフェース1000のレイアウトは、上記の技法を使用して導出され得る。
図10に示す例では、変化するグラウンド対信号比は、例えば、縁部領域212と内部領域214との間に勾配を有する。例えば、縁部領域212は、内部領域214のグラウンド対信号比よりも小さいグラウンド対信号比を有してもよい。縁部領域212と内部領域214との間のグラウンド対信号比勾配は、滑らかに変化するのであってもステップ状に変化するのであってもよい。例えば、内部領域214と縁部領域212との間の中間領域のグラウンド対信号比は、縁部領域212と内部領域214とのグラウンド対信号比の間にあるグラウンド対信号比を有することができる。
図10の例では、行260
1から行260
10のグラウンド対信号比は1:4であり、行260
11から行260
16のグラウンド対信号比は1:3である。このようにして、縁部204に最も近く、縁部領域212に配置された行260はより少ないグラウンドピン118を有し、好都合にも、クロストーク要件を満たしながら高密度の信号ピン116を可能にする一方で、縁部206から遠く、内部領域214に近い列260は、比較的多くのグラウンドピン118を有して、クロストーク要件を依然として満たしながらより深いビアを用いることを可能にする。
【0060】
図11は、コンポーネントのうちの1つの縁部からの距離に対して変化するグラウンド対信号比を有する、
図1に示すような電子デバイス110のコンポーネント間の垂直インターフェース1100のためのインターフェースレイアウトの別の例の概略図である。1つの例では、垂直インターフェース1100のレイアウトは、上記の技法を使用して導出され得る。
図11に示す例では、
図10を参照して上述したのと同様に、変化するグラウンド対信号比は、例えば、縁部領域212と内部領域214との間に勾配を有する。例えば、縁部領域212は、中間領域のグラウンド対信号比よりも小さいグラウンド対信号比を有してもよく、中間領域は、内部領域214のグラウンド対信号比よりも小さいグラウンド対信号比を有してもよい。
図11の例では、行260
1から行260
5のグラウンド対信号比は1:4であり、行260
6から行260
10のグラウンド対信号比は1:3であり、行260
11から行260
17のグラウンド対信号比は1:2である。このようにして、縁部204に近い行260は、縁部204から遠い行260に比べてグラウンドピン118が少なく、それにより、クロストーク要件を満たしながら、信号ピン116の高密度化とより深いビアとを可能にする。
【0061】
図10および
図11では、バンク210間の共通の列260でグラウンド対信号比が変化する可能性があることが企図されている。また、グラウンド対信号比は、異なるバンク210を通って延びる共通の行260間で同じであってもよいことが企図されている。また、すべての行260が、縁部に近い行以上のグラウンド対信号比を有するわけではないことも企図されている。また、はんだ接続408およびピン116、118の間の幾何学的関係を記述する構成は、コンポーネント300、400の対向する面に露出した露出導体302、430間の幾何学的関係と同一であることも理解されたい。
【0062】
以上のように、積層コンポーネント間の通信を改善する、チップパッケージおよび電子デバイスの積層コンポーネント間の垂直接続インターフェースを説明してきた。好都合にも、より深いビアを有する領域においてより高密度のグラウンド接続の分布を戦略的に用いることにより、クロストークを低減した状態で信号接続密度の増加を実現できる。有利なことに、グラウンド接続を戦略的に分布させることによって提供されるグラウンド対信号比の勾配は、接続の縁部には、クロストーク閾値を満たすために必要なグラウンド接続の量を減らす一方で、垂直インターフェースにわたるコンポーネント間の通信のために利用可能な信号接続の量を増やす。
【0063】
以上は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、他のさらなる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定される。