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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】湿密容器及びその作製及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20230216BHJP
   B65D 53/02 20060101ALI20230216BHJP
   B65D 43/16 20060101ALI20230216BHJP
   A61J 1/00 20230101ALI20230216BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B65D81/26 N
B65D53/02
B65D43/16 300
A61J1/00 370Z
A61J1/05 313Z
A61J1/05 315Z
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020506790
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 US2018045697
(87)【国際公開番号】W WO2019032636
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】62/542,358
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/542,391
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・アール・フリードマン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・リー・フーバー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ティフト
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン・リー・ルーカス・ジュニア
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532604(JP,A)
【文献】特表2016-507435(JP,A)
【文献】特開2004-142778(JP,A)
【文献】特開2014-073496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144804(US,A1)
【文献】特開2003-261160(JP,A)
【文献】特開平04-267756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0056951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
B65D 39/00-55/16
A61J 1/00
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気に敏感な製品を保管及び保存する方法であって、
(a)ポリマー材料から形成された湿密容器を提供することであって、前記容器は12mL~30mLの範囲の内部容積を有し、前記容器は、
(i)ベースとベースから延びる側壁とを有する容器本体であって、内部を画定し、前記内部に通じる開口をさらに有する容器本体と、
(ii)ヒンジによって前記容器本体に接続された蓋であって、前記容器本体と湿密シールを形成するように前記蓋が前記開口を覆う閉位置と、前記開口が露出される開位置との間で前記容器を移動するように前記容器本体に対して前記ヒンジの周りで回動可能な蓋と、
(iii)前記容器本体の前記内部内に固定されたインサートであって、ベース材料と乾燥剤とを含み、前記ベース材料は前記インサートに構造を提供するポリマーであり、前記インサートは湿気に敏感な製品を収容するように構成された内部コンパートメントに通じるインサート開口を有するインサートと
を備える、湿密容器を提供すること、
(b)前記容器が前記開位置にあるときに、複数の湿気に敏感な製品を前記内部コンパートメント内に配置すること、及び
(c)前記容器を前記閉位置に移動して、それにより前記蓋と前記容器本体との間に前記湿密シールを形成すること
を含み、
前記容器が前記閉位置にあるときに、前記湿密シールが前記容器本体と前記蓋との間に複数の係合した噛み合いシールを直列に含み、前記複数の係合した噛み合いシールは少なくとも第1のシール及び前記第1のシールより内部の第2のシールを含み、前記第2のシールは、前記容器本体の熱可塑性シール面を前記蓋のエラストマーシール面と噛み合わせることによって形成され、前記エラストマーシール面は、前記容器が前記閉位置にあるときに前記開口を囲むリムの上面によって圧縮されるように構成された、エラストマーリングを含み、前記エラストマーリングの垂直方向の圧縮により、前記エラストマーリングの一部は前記容器本体と前記蓋との間に設けられた空隙内に半径方向に弾性的に拡張され、
(aa)前記容器は少なくとも12か月の保管寿命を前記湿気に敏感な製品に提供し、
(bb)前記容器は、前記閉位置にあるとき、30℃及び75%相対湿度(RH)の周囲条件で、500μg/日未満の水蒸気透過率を有し、
(cc)前記インサート質量が3.25g未満である、
方法。
【請求項2】
記第1のシールは前記容器本体の熱可塑性シール面を前記蓋の熱可塑性シール面に噛み合わせることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記第1のシールは、前記容器本体の中心軸に対する前記容器本体のアンダーカット、又は前記蓋から下方に延びるリップ部シール部材を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシールが前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記第1のシールと組み合わせた前記第2のシールは前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために前記開口力よりも大きな力を必要としない、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記容器が前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記開口力は3~7lbf(ポンド-力)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシールが前記容器本体の中心軸に対する前記容器本体のアンダーカットを含み、前記アンダーカットは前記側壁から上方に延在し前記開口を囲むリップ部に設けられ、前記蓋は垂下スカートを含み、前記アンダーカットは前記スカートの対応する表面と噛み合って前記第1のシールを形成する表面を有する、請求項~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のシールと前記第2のシールの間で、前記容器本体のアンダーカット面が前記蓋のアンダーカット面とスナップ嵌め閉鎖関係で係合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記容器本体の前記アンダーカット面及び/又は前記蓋の前記アンダーカット面が、そのそれぞれの周囲に完全には延在しない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記容器本体の前記アンダーカット面及び前記蓋の前記アンダーカット面が、それらの間に前記湿密シールを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
組み合わされた前記第1のシール及び前記第2のシールが、前記蓋が前記閉位置にあるときに、前記第1のシールが前記第2のシールなしで提供するであろうよりも低い水蒸気透過率(MVTR)を前記容器に提供する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
記エラストマーリングの厚さが0.25mm~1.25mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記インサートの外面の露出部分と前記容器本体の内面の一部との間に空隙が設けられ、少なくとも1つの流体経路が前記空隙と前記インサートの前記内部コンパートメントとの間に設けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インサートが、前記内部コンパートメントの露出表面積の少なくとも1.75倍の合計露出表面積を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
湿密容器であって、12mL~30mLの範囲の内部容積を有し、
(a)ベースとベースから延びる側壁とを有する容器本体であって、内部を画定し、前記内部に通じる開口と、前記開口を囲むリップ部とをさらに有する容器本体と、
(b)蓋であって、前記容器本体と湿密シールを形成するように前記蓋が前記開口を覆う閉位置と、前記開口が露出される開位置との間で前記容器に対して移動可能な蓋と、
(c)少なくとも第1のシール及び前記第1のシールより内部の第2のシールであって、前記第1のシールはそれぞれ前記蓋及び前記容器本体の熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール面の噛み合わせによって形成され、前記第1のシールは、前記容器本体の中心軸に対する前記容器本体のアンダーカット、又は前記蓋から下方に延びるリップ部シール部材を含み、前記第2のシールは、エラストマー対熱可塑性物質のシール面の噛み合わせによって形成され、前記エラストマー対熱可塑性物質のシール面は、前記蓋又は前記容器本体に形成されたエラストマーを含み、前記熱可塑性物質は非圧縮性であり、前記エラストマーは圧縮性である、少なくとも第1のシール及び第2のシールと、
(d)前記容器本体の前記内部内に固定されたインサートであって、ベース材料と乾燥剤とを含み、前記ベース材料は前記インサートに構造を提供するポリマーであり、前記インサートは製品を収容するように構成された内部コンパートメントに通じるインサート開口を有するインサートとを含み、
(i)前記容器は、前記閉位置にあるとき、30℃及び75%相対湿度(RH)の周囲条件で、500μg/日未満の水蒸気透過率を有し、
(ii)前記インサートは質量が3.25g未満であり、
(iii)前記容器はポリマー材料を含む、
容器。
【請求項15】
前記蓋がヒンジによって前記容器本体に接続され、前記蓋は前記容器を前記閉位置と前記開位置との間で移動するために前記容器本体に対して前記ヒンジの周りで回動可能である、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記第2のシールが、前記容器本体の熱可塑性シール面を前記蓋のエラストマーシール面と噛み合わせることによって形成され、前記エラストマーシール面は、前記容器が前記閉位置にあるときに、前記開口を囲むリムの上面によって圧縮されるように構成されたエラストマーリングを含み、前記エラストマーリングの垂直方向の圧縮により前記リングの一部は前記容器本体と前記蓋との間に設けられた空隙内に半径方向に弾性的に拡張される、請求項14又は15に記載の容器。
【請求項17】
前記第1のシールが前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記第1のシールと組み合わせた前記第2のシールは前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために前記開口力よりも大きな力を必要としない、請求項14~16のいずれか一項に記載の容器。
【請求項18】
前記容器が前記容器を前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記開口力は3~7lbf(ポンド-力)である、請求項14~17のいずれか一項に記載の容器。
【請求項19】
組み合わされた前記第1のシール及び前記第2のシールが、前記蓋が前記閉位置にあるときに、前記第1のシールが前記第2のシールなしで提供するであろうよりも低い水蒸気透過率(MVTR)を前記容器に提供する、請求項14~18のいずれか一項に記載の容器。
【請求項20】
前記エラストマーの厚さが0.25mm~1.25mmである、請求項14~19のいずれか一項に記載の容器。
【請求項21】
前記インサートの外面の露出部分と前記容器本体の内面の一部との間に空隙が設けられ、少なくとも1つの流体経路が前記空隙と前記インサートの前記内部コンパートメントとの間に設けられる、請求項14~20のいずれか一項に記載の容器。
【請求項22】
前記インサートが、底端部と、前記底端部の反対側に配置された上縁部とをさらに有し、前記上縁部が、前記内部コンパートメントに通じる前記開口を画定し、前記少なくとも1つの流体経路が、a)前記インサートの少なくとも1つの貫通孔、及び/又はb)前記上縁部と、前記容器本体の前記内面との間の少なくとも1つの間隙を介して設けられる、請求項21に記載の容器。
【請求項23】
前記少なくとも1つの流体経路が前記インサートの複数の貫通孔を介して設けられる、請求項22に記載の容器。
【請求項24】
複数の突起が、a)前記インサートの前記外面、及び/又はb)前記容器本体の前記内面に設けられ、前記複数の突起は前記容器本体の前記内面と係合する、請求項21~23のいずれか一項に記載の容器。
【請求項25】
前記複数の突起が、前記インサートの前記外面に設けられた隆起部を含み、前記隆起部が前記上縁部付近から前記底部付近まで長手方向に延在する、請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記インサートが、チャネリング剤をさらに含む同伴ポリマーである、請求項14~25のいずれか一項に記載の容器。
【請求項27】
前記インサートが、前記内部コンパートメントの露出表面積の少なくとも1.75倍の合計露出表面積を有する、請求項14~26のいずれか一項に記載の容器。
【請求項28】
診断試験片の保管のための請求14~27のいずれか一項に記載の容器の使用。
【請求項29】
少なくとも40個の湿密性フリップトップ式バイアルのグループを製造する方法であって、各グループは17mLバイアル又は24mLバイアルからなり、前記方法は、バイアルごとに、
(a)ベースとベースから延びる側壁とを有する容器本体であって、前記容器本体は内部を画定し、前記容器本体は前記内部に通じる開口と前記開口を囲むリップ部とをさらに有する容器本体を提供すること、
(b)ヒンジによって前記容器本体に接続された蓋であって、前記容器本体と湿密シールを形成するように前記蓋が前記開口を覆う閉位置と、前記開口が露出される開位置との間で前記バイアルを移動させるために前記容器本体に対して前記ヒンジの周りで回動可能な蓋を提供すること、並びに
(c)少なくとも第1のシール及び前記第1のシールより内部の第2のシールであって、前記第1のシールはそれぞれ前記蓋及び前記容器本体の熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール面の噛み合わせによって形成され、前記第1のシールは、前記容器本体の中心軸に対する前記容器本体のアンダーカット、又は前記蓋から下方に延びるリップ部シール部材を含み、前記第2のシールは、エラストマー対熱可塑性物質のシール面の噛み合わせによって形成され、前記エラストマー対熱可塑性物質のシール面は、前記蓋又は前記容器本体に形成されたエラストマーを含み、前記熱可塑性物質は非圧縮性であり、前記エラストマーは圧縮性である、少なくとも第1のシール及び第2のシールを提供することを含み、
(i)少なくとも40個の17mLバイアルのグループは、前記閉位置にあるとき、30℃及び80%相対湿度(RH)の周囲条件で、275μg/日~325μg/日の標準偏差で有し、
(ii)少なくとも40個の24mLバイアルのグループは、前記閉位置にあるとき、30℃及び80%相対湿度(RH)の周囲条件で、375μg/日~425μg/日の標準偏差で有する、
方法。
【請求項30】
前記第2のシールが、前記容器本体の熱可塑性シール面を前記蓋のエラストマーシール面と噛み合わせることによって形成され、前記エラストマーシール面は、前記バイアルが前記閉位置にあるときに、前記開口を囲むリムの上面によって圧縮されるように構成されたエラストマーリングを含み、前記エラストマーリングの垂直方向の圧縮により前記リングの一部は前記容器本体と前記蓋との間に設けられた空隙内に半径方向に弾性的に拡張される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のシールが前記バイアルを前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記第1のシールと組み合わせた前記第2のシールは前記バイアルを前記閉位置から前記開位置へ移行するために前記開口力よりも大きな力を必要としない、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記バイアルが前記バイアルを前記閉位置から前記開位置へ移行するために開口力を必要とし、前記開口力は3~7lbf(ポンド-力)である、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
組み合わされた前記第1のシール及び前記第2のシールが、前記蓋が前記閉位置にあるときに、前記第1のシールが前記第2のシールなしで提供するであろうよりも低い水蒸気透過率(MVTR)を前記バイアルに提供する、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記エラストマーの厚さが0.25mm~1.25mmである、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「湿密容器及びその作製及び使用方法(MOISTURE TIGHT CONTAINERS AND METHODS OF MAKING AND USING THE SAME)」と題され、2017年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/542,358号、及び「17ML及び24ML次世代バイアルの設計及び性能(DESIGN AND PERFORMANCE OF 17ML AND 24ML NEXT GENERATION VIALS)」と題され、2017年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/542,391号に付与された優先権を主張し、これらの両方は参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された概念は、一般に、周囲条件に敏感な製品、例えば特定の医薬品、プロバイオティクス及び診断用試験片を収容するように適合された容器に関する。開示された概念はまた、そのような容器用のインサートにも関する。
【背景技術】
【0003】
特に医療分野におけるいくつかの製品の有効性は、周囲条件によって、例えば湿分又は酸素への露出を介して、悪影響を受ける可能性がある。例えば、医薬品は湿分によって損なわれる可能性がある。医薬品が湿分を吸収するにつれ、医薬品は、意図された目的に対して効果が低減する場合がある。糖尿病治療で使用される血糖試験片などの診断用試験片も、湿分への露出によって悪影響を受ける可能性がある。同様に、生きた微生物培養物(例えば、プロバイオティクス微生物)を含む医薬品投与形態は、湿分によって劣化し得ることが判明している。
【0004】
医薬品及び診断用試験片は、それらのライフサイクルにおいて何回も湿分に遭遇する可能性がある。このような遭遇は、製造段階中、出荷中、販売前の製品の保管中、販売後の製品の保管中、及び製品を含む容器が製品を使用できるように開封される度に発生し得る。医薬品又は診断用試験片が製造され、耐湿容器に保管されていたとしても、容器が医薬品又は試験片を引き出せるように開封される度に、湿分が容器に入る。容器に入る湿分は、容器が閉じられた後、容器内の医薬品又は試験片を取り囲む。このような湿分への露出は、医薬品又は試験片に悪影響を及ぼし、保管寿命を低下させる可能性がある。
【0005】
医薬品/試験片容器は繰り返し開閉されるので、及び容器が開封される度に湿分が容器に入るので、湿分を吸収するように作られた乾燥ユニットが容器にしばしば提供される。乾燥ユニットは、典型的には、医薬品と混じり合う小袋又はキャニスタ内の乾燥剤を含む。このような小袋又はキャニスタには、さまざまな問題が関連する可能性がある。例えば、袋/キャニスタは小さな子供が摂取する恐れがあり、これにより窒息の危険が生じ得る。また、容器が最初に開封された後に袋/キャニスタが捨てられる可能性がある。袋/キャニスタがなければ、消費者が容器から製品を取り出す度に容器が開閉され続けるときに湿分を吸収するものはない。
【0006】
固定されていない乾燥剤袋/キャニスタに関連する前述の欠点に対処するために、乾燥剤同伴不動インサートが容器内に提供されている。そのようなインサートは、ベースポリマー(構造用)、乾燥剤及び任意選択的にチャネリング剤(channeling agent)を含む乾燥剤同伴ポリマー配合物を含み得る。これらのタイプのインサート及びそれらの製造方法及び組み立て方法は、例えば、出願人の米国特許第5,911,937号明細書、同第6,214,255号明細書、同第6,130,263号明細書、同第6,080,350号明細書、同第6,174,952号明細書、同第6,124,006号明細書、及び同第6,221,446号明細書、並びに米国特許出願公開第2011/0127269号明細書に開示され、これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの乾燥剤インサートは、固定されずに配置された乾燥剤袋/キャニスタに優る独特の利点を提供する。
【0007】
乾燥剤インサートに関する1つの課題は、湿分を所望のレベルの有効性及び効率まで吸収するために、容器内の空気に対するインサートの表面領域の露出を最大にすることに関する。典型的な乾燥剤インサートは、容器内の空気に露出される内面を有するが、容器本体の内面と同一平面上にあるか又は一体である外面を有するスリーブ、ライナー等の形態で提供される。このように、インサートの外面のほぼ半分だけが、容器内の空気と接触する。乾燥剤インサートは、典型的には、インサート内の乾燥剤に対する空気中の湿分の連通(例えば、乾燥剤同伴ポリマー中のチャネリング剤によって形成されたチャネルを介した)を促進するように設計されているが、空気の表面接触をインサートの内面だけに制限することは、最適な吸湿活動を提供しない可能性がある。加えて、いくつかの用途では、より遅い吸湿速度を提供するチャネリング剤を使用することが望ましい場合がある。それというのも、それらは他の望ましい特性を提供し得るからである。そのような状況では、湿分に対する露出表面領域としてインサートの内壁のみを提供することは、いくつかの用途には不十分な吸湿能力を提供する可能性がある。
【0008】
乾燥剤インサートの欠点は、そのようなインサートのコストが総製造コストに追加されることである。改善されたシールは、計算された同じ湿分収支を達成するために必要な乾燥剤の量を低減するだろう、したがって製造コストがより低い容器につながるだろう。
【0009】
他方、シール自体は容器の製造コストを大幅に増加させるべきでない。さもなければ、乾燥剤の使用を減らすことによるコストの節約は帳消しになってしまうだろう。さらに、シール自体は、開けるのに大きな力を必要としない一方、同時に、例えば輸送中に発生し得る圧力変化のために容器が不意にぽんと開いてしまう可能性があるように簡単に開かないように慎重に設計する必要がある。したがって、医薬品及び診断パッケージング事業では、製品の改善と製造効率及びコストの現実とのバランスをとることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、安価に製造可能であり、開けるのに高い開口力を必要とせずに、開閉の数サイクルの間及び後に確実な湿密シール効果を提供する、医薬品又は診断試験片用の改良された容器が必要とされている。また、容器内の空気にさらされる可能性のある乾燥剤同伴ポリマーの表面積接触を増加させ、それにより必要な乾燥剤の量を最小限に抑える改良された乾燥剤インサートも必要とされている。現在開示されている技術は、上記及び他の目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一態様では、湿気に敏感な製品、任意選択的に診断試験片を保管及び保存する方法が提供される。この方法は、ポリマー材料を含む湿密容器を提供することを含み、容器は12mL~30mLの内部容積を有する。容器は、ベースとベースから延びる側壁とを有する容器本体を含み、本体は内部を画定し、本体はさらに内部に通じる開口を有する。容器はヒンジによって本体に接続された蓋を含み、蓋は本体と湿密シールを形成するように蓋が開口を覆う閉位置と、開口が露出される開位置との間で容器を移動させるために容器本体に対してヒンジの周りで回動可能である。インサートは、容器本体の内部に固定され、任意選択的にしっかりと固定され、ベース材料と乾燥剤を含む。ベース材料は、インサートに構造を提供し、任意選択的にポリマーである。インサートは、製品を収容するために構成された内部コンパートメントに通じるインサート開口を有する。この方法は、さらに、容器が開位置にあるときに、複数の湿気に敏感な製品、任意選択的に診断試験片を内部コンパートメントに配置することを含む。この方法は、容器を閉位置に移動することをさらに含み、それにより蓋と本体との間に湿密シールを形成する。容器は、少なくとも12ヶ月、任意選択的に少なくとも18ヶ月、任意選択的に少なくとも24ヶ月、任意選択的に18ヶ月~36ヶ月の保管寿命を湿気に敏感な製品に提供する。容器は、閉位置にあるとき、30℃及び75%相対湿度(RH)の周囲条件で、500μg/日未満、任意選択的に400μg/日未満、任意選択的に350μg/日未満、任意選択的に325μg/日未満、任意選択的に300μg/日未満、任意選択的に150μg/日から300μg/日、任意選択的に175μg/日~285μg/日の水蒸気透過率を有し、インサートは質量が3.25g未満、任意選択的に1.5g~3g、任意選択的に1.5g~2.75g、任意選択的に1.75g~2.75g、任意選択的に2g~2.75g、任意選択的に約2.5gである。
【0012】
別の態様では、12mL~30mLの内部容積を有する湿密容器が提供される。
【0013】
別の態様では、少なくとも40個の湿密フリップ部トップバイアルのグループを製造するプロセスが提供され、各グループは17mLバイアル又は24mLバイアルからなる。このプロセスは、平均湿分侵入からの比較的狭い標準偏差で、比較的低い湿分侵入を達成する。任意選択的に、30℃/75%RHでの中央値侵入は、17mLバイアルの場合159マイクログラムであり、24mLバイアルの場合195マイクログラムである。
【0014】
前述の概要、並びに現在開示されている技術の以下の詳細な記載は、添付の図面と併せて読む場合、より深く理解される。図面中、同様の数字は全体を通して同様の要素を示す。現在開示されている技術を例示する目的で、図面には様々な例示的な実施形態が示されている。しかしながら、現在開示されている技術は、示されている正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】開位置にある例示的な実施形態による容器の斜視図である。
図2図1の例示的な実施形態の第1の変形例を示す拡大断面図である。
図3図1の例示的な実施形態の第2の例示的な実施形態を示す拡大断面図である。
図4図2の特徴を示す断面図であり、図1の例示的な実施形態の第1の変形例による容器の追加の部分をさらに示している。
図5図3の特徴を示す断面図であり、図1の例示的な実施形態の第2の変形による容器の追加部分をさらに示す。
図6】閉位置にある第2の例示的な実施形態による容器の斜視図である。
図7】開位置にある図6の容器の斜視図である。
図8図7の容器の断面線8-8に沿った拡大断面図であり、蓋のシール面を示している。
図9図6の容器の断面線9-9に沿った拡大断面図であり、湿密シールを形成する直列の第1及び第2のシールの係合を示している。
図10A-10B】本体の熱可塑性物質のシール面と係合する直前の蓋のエラストマーリングを示す概略図(図10A)であり、それに続く蓋のエラストマーリングと本体の熱可塑性物質のシール面とのシール係合を示す概略図(図10B)である。
図11】開示される概念の1つの非限定的な実施形態による容器の等角図である。
図12図11の容器の分解された等角図である。
図13図12の容器用のインサートの等角図である。
図14図11の容器の上面図である。
図15A図14の線15A-15Aに沿って取られた図14の容器の断面図である。
図15B図15Aの容器の一部の拡大図である。
図16図14の容器の一部の拡大図である。
図17】開示された概念の別の非限定的な実施形態による別の容器の上面図である。
図18図17の容器の一部の拡大図である。
図19図17の容器の分解された等角図である。
図20図17の容器用のインサートの等角図である。
図21図17の容器用のインサートの等角図である。
図22】開示された概念の非限定的な実施形態による容器のサンプリングに関する湿分侵入(μg/日)を示すグラフ及び関連データである。
図23】開示される概念の非限定的な実施形態による、相対湿度のパーセンテージ対キャパシティのパーセンテージをプロットするグラフである。
図24】世界中の様々な環境帯の平均温度及び湿度に関する調和国際会議(ICH)ガイドラインを示す画像である。
図25】開示された概念の非限定的な実施形態による、30℃/75%RHで4週間試験されたバイアルを示すグラフ及び関連データである。
図26】開示された概念の非限定的な実施形態による容器のサンプリング及び従来の容器設計の容器のサンプリングについての湿分侵入(μg/日)の比較を示すグラフ及び関連データである。
図27】開示された概念の非限定的な実施形態による、2つの異なるサイズの容器のサンプリングについての湿分侵入(μg/日)の比較を示すグラフ及び関連データである。
図28】開示された概念の非限定的な実施形態によるグラフ及び関連データである。
図29】開示された概念の非限定的な実施形態によるさらなるグラフ及び関連データである。
図30】開示された概念の非限定的な実施形態による追加のグラフ及び関連データである。
図31】開示された概念の非限定的な実施形態によるさらなるグラフ及び関連データである。
図32】開示された概念の非限定的な実施形態による別のグラフ及び関連データである。
図33】開示された概念の非限定的な実施形態による最後のグラフ及び関連データである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
システム、デバイス、及び方法が例及び実施形態として本明細書に記載されているが、当業者は、現在開示されている技術が、記載された実施形態及び図面に限定されないことを認識する。むしろ、現在開示されている技術は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内にある全ての修正、均等物、及び代替物を網羅している。本明細書に開示されるいずれか1つの実施形態の特徴は省略することができる、又は別の実施形態に組み込むことができる。
【0017】
本明細書で使用されるいずれの見出しも、もっぱら構成のためであり、本記載及び特許請求の範囲の範囲を限定するつもりはない。本明細書で使用する場合、「得る(may)」という単語は、強制的な意味(すなわち、「しなければならない」という意味)ではなく、寛容な意味(すなわち、可能性があるという意味)で使用される。本明細書で特に明記しない限り、「a」、「an」、及び「the」という用語は、1つの要素に限定されず、代わりに「少なくとも1つ」を意味するものとして読まれるべきである。術語には、上記の単語、その派生語、及び同様の意味の単語が含まれる。
【0018】
一般に、一実施形態において、現在開示されている技術は、容器本体と本体をシールする蓋との間で容器に入る湿分の量を減らすための容器及びその製造方法に関する。一態様では、開示される実施形態は、少なくとも2つのシールを直列に設けることにより、本体と蓋との間を流れる可能性がある湿分の量を減らすように構成され、1つのそのようなシールは、エラストマーと熱可塑性物質の界面によって形成され、それは独自に容器を開くのに必要な力を増加しない。本明細書で使用される場合「エラストマー」という用語は、その広い意味で理解されるものとする。
【0019】
一実施形態では、特に好ましいエラストマーは、熱可塑性エラストマー(TPE)であり、任意選択的に、20~50、好ましくは20~40、より好ましくは20~35のショアA硬度を有するものである。代替的に、「エラストマー」という用語は、より硬い(例えば、熱可塑性)表面に対して圧縮シールを形成するのに適したシリコーンゴム又は他の好ましくは射出成形可能な柔らかく弾力性のある材料を含み得る。いずれの実施形態でも、エラストマーは繰り返し使用するように構成されるべきである。すなわち、開閉の数サイクル(例えば、少なくとも10サイクル、好ましくは少なくとも25サイクル、より好ましくは少なくとも50サイクル)にわたって劣化しないようにするべきである。
【0020】
任意選択的に、現在開示される技術は、エラストマーシールがワンショットで製造され、熱可塑性容器が別の後続のショットで製造される、ツーショット又はマルチショット射出成形プロセスで製造される容器に関する。本明細書に開示される容器の実施形態は、ヒンジ付きフリップ部トップ蓋を組み込むことができ、本体と蓋の間には、本体と蓋の間の熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールと直列に作用する低質量エラストマー対熱可塑性物質のシールが含まれる。組み合わせられたシールは、閉じられている場合、どちらかのシール単独よりも容器への水蒸気の透過をさらに低減し、より長い保管寿命保護を可能にする一方、容器は低い開口力を有し、消費者の使用に利益を与えることを依然可能にする。
【0021】
任意選択的に、現在開示されている技術は、シール、容器壁、及び蓋が開かれたときの開口のいずれかを介して容器に入る湿分を吸収するための乾燥剤インサートに関する。一実施形態では、インサートは、活性ポリマー溶液、脱酸素剤などの捕集剤、放出剤、又は抗菌材料から形成することができる。任意選択的に、インサートは吸着又は脱着に使用することができる。
【0022】
外部容器は、2つの材料、すなわち(主に)ベース熱可塑性物質(例えば、ポリプロピレン)及び本発明の1つのシール面としてのエラストマー、好ましくは熱可塑性エラストマー(TPE)から構成される。一実施形態において、容器は、消費者によって容易に開閉されるように設計されたヒンジ、任意選択的にリビングヒンジによって本体に接続された一体化された蓋を有する。しかしながら、現在開示されている技術は、ヒンジを含むことに限定されず、その特徴は省略され得る。材料の選択と熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール設計の性質により、容器は低い水蒸気透過率(MVTR)を有する。この容器にはエラストマー材料も組み込まれており、エラストマー対熱可塑性物質のシールを追加して、MVTRをさらに低減する。MVTRをさらに低減することにより、目標の保管寿命を達成するために、乾燥方法を問わず、容器に必要な湿分保護が少なくなる。シールの組み合わせにより、容器は、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールのみを備えた他の比較可能な基準容器よりも低いMVTRを提供し、同時に熱可塑性物質対エラストマーのシールのみを使用した場合に予想されるよりも低い開閉力を可能にする。さらに、エラストマー材料の質量が少ないため、容器製造プロセスで外部容器材料をリサイクル/再利用することが可能になる。
【0023】
開示されている概念の例示的な実施形態による熱可塑性ヒンジフリップ部トップ容器は、低い蒸気透過率を有する材料、例えばポリプロピレンで構成される。さらに、容器の蓋は、任意選択的にマルチショット射出成形を介して、任意選択的に蓋のシール領域の内側に永久的に形成された熱可塑性物質対エラストマーのシールと組み合わされた熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールの両方を組み込んだシール機構で設計される。熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール領域は、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールの一部であるだけでなく、その形状のために、バイアルの開閉力も制御するバイアルの中心軸に対して斜め(又は丸みを帯びた又は傾斜状)のアンダーカットを有するように設計することができる。熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールを熱可塑性物質対エラストマーのシールと直列に作用させることにより、同じレベルの湿分侵入を達成するために熱可塑性物質シールに加えられる必要な圧縮力は、本発明の任意選択の態様において、削減され得る。これは、開閉力の低減を促進し得、したがって、消費者にとって容器をより使いやすくする。これは、糖尿病性神経障害の患者や高齢者など、容器の開閉が困難な可能性のある消費者集団に特に役立つ。
【0024】
熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールは、閉じた関係(例えば、スナップ嵌め)を提供し、効果的な湿分バリアとして機能するために、幾何学的に非常に密接に一致しなければならない2つの非圧縮性表面の噛み合いに依存する。これには、対向する非圧縮性表面を噛み合わせ、したがってシールを形成するのに十分な圧縮力が必要である。シールの有効性は、湿分を通過させる表面間の接触面積と空間の量(例えば、マイクロギャップを通した、又は熱可塑性材料の不完全性又は摩耗や亀裂による)に依存する。
【0025】
熱可塑性物質対エラストマーのシールは、1つの非圧縮性表面(熱可塑性表面)が、圧縮可能な、好ましくは弾性の表面(エラストマー表面)と噛み合うことに依存する。このタイプのシールは、表面間に十分な力を発生させて、エラストマーを圧縮し、対向する非圧縮性表面のあらゆる存在し得るギャップ又は不完全性を「満たす」ようにする。湿密性を提供するために容器が閉じられているときは常にこの圧力を維持して、容器を開けるためにそれを克服する必要がある。
【0026】
熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールを熱可塑性物質対エラストマーのシールと直列に組み合わせることにより、消費者に人間工学的に有利な範囲に容器の開口力を維持しながら、水蒸気の侵入を減らすことができる。
【0027】
本明細書に開示される実施形態の1つの最適な態様では、エラストマー対熱可塑性物質のシールは、シールの圧縮方向がバイアルの主軸と平行であり、シール表面に垂直になるように構成及び配向される。これは、エラストマーがバイアル蓋の内側部分にある、バイアル本体から半径方向に突出する外側リムにある、又は開口の周囲に配置されたバイアル本体の上縁にある(又は、任意選択的に前述の2つ又は3つ全てにある)場合である。このようにして、バイアルの開閉時、エラストマー対熱可塑性物質のシールは、エラストマー及びスカーフをこする、又はシールを破損し得る(これはそのようなシールがバイアルリムの側面又はバイアル蓋の内側スカートにある場合に起こり得る)半径方向の力を受けない。これにより、エラストマー対熱可塑性物質のシールの性能を低下させることなく、繰り返しの開口が可能になる。この構成により、エラストマー対熱可塑性物質のシール以外は同一である基準バイアルよりも低い侵入率で、より低い圧縮力を必要とし、低い開口力を再び提供するより低いデュロメータのシール材料の使用が可能になる。さらに、この構成は、半径方向に圧縮されるエラストマー要素を備えたストッパー型シールとは異なり、シールの開口力を増加させない。
【0028】
ここで、同様の参照番号が同様の部品を指す図面の様々な図を詳細に参照すると、図1には、開示される概念の例示的な実施形態を提供するために様々な特徴と組み合わせて使用され得る容器が示されている。容器10は、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンを含む、1種又は複数の射出成形可能な熱可塑性材料から主に作製され得る。任意選択の実施形態によれば、容器は、主に熱可塑性材料とごく小さな割合の熱可塑性エラストマー材料とを含む混合物から作製され得る。
【0029】
容器10は、ベース14と、ベース14から延びる任意選択的に管状の側壁16とを有する容器本体12を含み、本体12は、製品、例えば診断試験片を収容するように構成された内部18を画定する。側壁16は、上縁を有するリップ部20で任意選択的に終端し、リップ部20は、本体12の開口22を囲み、内部18につながる。
【0030】
蓋24は、好ましくは、ヒンジ26、任意選択的にリビングヒンジによって本体12に接続され、フリップ部トップ容器10又はバイアルを形成する。蓋24は、容器本体12に対してヒンジ26の周囲で回動可能であり、蓋24が(好ましくは本体との湿密シールを形成するように)開口22を覆う閉位置(例えば、図4又は5参照)と、開口22が露出される開位置(例えば、図1参照)と間で容器を移動させる。
【0031】
容器本体12は、側壁16から半径方向外向きに突出し、容器本体12をその上部付近で完全に取り囲む外側リム28を任意選択的に含み得る。任意選択的に、リップ部20は、リム28から垂直に突出する。任意選択的に、任意の実施形態において、リップ部20は、側壁16の残りの部分にほぼ等しい厚さを有する。任意選択的に、任意の実施形態において、リップ部20は、側壁16の残りの部分よりわずかに薄い厚さを有する。
【0032】
蓋24は、蓋ベース30と、好ましくは垂下スカート32とを含む。蓋24は、蓋外側リム34と、任意選択的に蓋24から半径方向に延びる親指タブ36とをさらに含む。容器10を閉じるために、蓋24は、蓋24が開口22を覆い、蓋24と本体12のそれぞれの噛み合いシール面を係合して蓋24を閉位置に配置するようにヒンジ26の周りで回動する。
【0033】
図2は、図1の例示的な実施形態の第1の変形による容器の断面図である。本体12は図の底部付近に示され、蓋24は図の上部付近に示されている。図1に関して上述したように、本体12は、本体12の周囲に沿って及び本体12の上部近くで半径方向に突出する外側リム28を任意選択的に含む。蓋24は、任意選択的に蓋24の垂下スカート32の内側部分から半径方向に突出する蓋外側リム34を含む。
【0034】
蓋24が閉位置にあるとき、蓋リム表面38は本体リム表面40に面する。したがって、蓋24が閉位置にあるとき、本体リム表面40及び蓋リム表面38の少なくとも一部は互いに係合する。本体リム表面40に取り付けられているのはエラストマーシール42aである。シール42aは、好ましくは、本体リム表面40の周囲に配置された環状リングである。図示の例示的な実施形態では、エラストマーシール42aが蓋リム表面38に係合して圧縮されることにより、エラストマー対熱可塑性物質のシールが形成される。
【0035】
蓋24は、蓋ベース30とスカート32とによって画定される蓋内部44を含む。本体12のリップ部20は蓋24が閉位置にあるとき蓋内部44内に延びる。その位置で、本体12の本体アンダーカット面46は蓋アンダーカット面48と噛み合う。したがって、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール面が形成される。加えて、この構成は、例えばスナップ嵌め噛み合い構成を介して閉位置を提供し、蓋24を閉位置に保持し、それが不注意に開くことを防止する。図2に示されるように、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール及び閉位置は、それぞれのアンダーカット面46、48によって形成される。これは、例えば、その長さに沿って本体12の中心を通って延びる軸50(図4参照)を基準にして画定され得る。蓋アンダーカット面48及び本体アンダーカット面46は、その軸50と平行ではない。むしろ、図示のように、蓋アンダーカット面48及び本体アンダーカット面46は、軸50に対して例えば10°~30°のわずかな角度で形成される。任意選択的に、それぞれのアンダーカット面は、代替的に、互いに噛み合うように相補的に丸くするか、傾斜させてもよい。このようなアンダーカット構成では、ユーザが蓋24を本体12から持ち上げて蓋24を開位置に移行しようとする場合、蓋24が閉位置にある場合の蓋アンダーカット面48と本体アンダーカット面46との間の力に打ち勝つために開口力が必要になる。
【0036】
図2に示す例示的な実施形態では、蓋24は、任意選択的に蓋エラストマーシール52を含むものとして示され、このシールは任意選択的にスカート32に隣接して又は当接して蓋ベース30に固定される環状リングの形態である。したがって、蓋エラストマーシール52と上縁20との間にシールが形成され得る。これにより、蓋24が閉位置にあるときに、蓋エラストマーシール52と上縁20との間にエラストマー対熱可塑性物質のシールが形成される。任意選択的に、本発明は、エラストマーシール52又はエラストマーシール42aのどちらかを省略し、したがって、任意選択の実施形態において単一のエラストマー対熱可塑性物質のシールのみを提供してもよい。
【0037】
本発明の態様による実施形態は蓋24と本体12との間に直列の複数の異なるシールを含み得ることが企図される。例えば、シールは、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカット面46との間のシール、及びエラストマーシール42aと蓋リム表面38との間のシールを含み得る。或いは、2つのシールは、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカット面46との間のシール、及び蓋エラストマーシール52と上縁20との間のシールを含み得る。3つのシール(シールA~Cとして表示される)が図2に示されているが、これは単に例示であり、本発明の例示的な実施形態によれば、2つのシール又は3つより多くのシールを含めることができる。例えば、合計3つのシール、3つより多くのセル、又は上で説明したように2つのみのシールが存在する可能性がある。さらに、シールのうちの少なくとも1つはエラストマー対熱可塑性物質のシールであり、シールのうちの少なくとも1つは熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールである。換言すると、エラストマー対熱可塑性物質及び熱可塑性物質対熱可塑性物質の組み合わせが含まれている限り、図示の3つのシールのうちの任意の2つ(又はそれ以上)を含めることができる。
【0038】
熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールは、エラストマー対熱可塑性物質のシールを維持するために必要な圧縮力を提供することにさらに留意すべきである。この構成では、エラストマー対熱可塑性物質のシールが半径方向の圧縮力の源である必要はない(例えば、チューブに差し込まれたエラストマーストッパーの場合のように)。したがって、エラストマー対熱可塑性物質のシールは、蓋24を閉位置から開位置に移行するために熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールに打ち勝つのに必要な開口力を増大しない。実際、蓋24が閉位置にあるときの圧縮エラストマーの弾性は、それぞれのアンダーカット面48、46を互いに向けて垂直に付勢するわずかな垂直ばね力をもたらし、それにより熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールを補強又は強化する。したがって、もしあれば、エラストマー対熱可塑性物質のシールによって生成されたそのようなわずかな垂直ばね力は、エラストマーシール面のない同一の容器と比較して、実際に開口力を減らす傾向があり得る。
【0039】
図2に示す例示的な実施形態に関して上述したように、エラストマーシール42aは、本体12の外側リム28の上面に取り付けられる。図3は、エラストマーシール42bが蓋外側リム34に取り付けられ、本体12の外側リム28と接触する代替例示的実施形態を示す。このようにして、図2の実施形態及び図3の実施形態に関して、エラストマー対熱可塑性物質のシールが形成される。
【0040】
図4は、図2に示されるシールを示し、図2に示される本体12のより多くをさらに示す。図4は、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカットサービス46との間に形成されたシール面と、本体12の長さに沿って及びその中心を通って延びる中心軸50との間の関係を示すのに役立つ。図4に見られるように、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカット面46は、これらの2つの面の間のシールが中心軸50に平行ではないため、アンダーカットを形成する。このようにして、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカットサービス46との間のアンダーカットは、垂直方向と水平方向の両方の圧縮力ベクトルを含む。垂直圧縮力ベクトルは、蓋24を本体12から分離し、したがって蓋24を閉位置から開位置に移行させるために開口力が適用されることを必要とする。
【0041】
図5は、図3に示されるシールを示し、図3に示される本体12のより多くをさらに示す。図5は、蓋アンダーカット面48と本体アンダーカット面46との間に形成されるシール面と、本体12の長さに沿って及びその中心を通って延びる中心軸50との間の関係を示すのに同様に役立つ。蓋24及び本体12のそれぞれのアンダーカット面48、46の構成及び機能は、図4に示されたものと同一であり、簡潔にするためにここでは繰り返さない。
【0042】
現在開示されている技術の任意選択の態様による、エラストマー対熱可塑性物質のシールと直列の熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールの組み合わせは、周囲条件が最低30℃/80%相対湿度(RH)外部及び最大30℃/1%RH内部である場合、最大で任意選択的に42μg/日-シール周囲cmのシールシステムを通るMVTRを提供する一方、任意選択的に3N/シール周囲cm以下の開口力を可能にする。
【0043】
ここで、図6~10Bを参照すると、本発明の任意選択の態様による容器60の第2の例示的な実施形態が示されている。図6~10Bの容器60の多くの特徴は、図1~5の容器10の対応する特徴と同様又は同一である。したがって、ここでは、前述の実施形態と同様又は同一の対応する特徴の概要のみが提供される。しかしながら、それら実施形態間の重要な違い及び追加の装飾について記載する。
【0044】
容器60は、ベース64と、任意選択的にベースから延びる側壁66とを有する本体62を含む。本体62は内部68を画定する。側壁66は、任意選択的に、上縁72を有するリップ部70で終端する。リップ部70は本体62の開口74を囲み、内部68に通じている。図示の実施形態では、容器本体62は外側リム76を含む。リップ部70は任意選択的にリム76から垂直に突出する。
【0045】
蓋78は、好ましくは、ヒンジ80、任意選択的にリビングヒンジによって本体62に接続され、フリップ部トップ容器60又はバイアルを形成する。蓋78は、容器本体62に対してヒンジ80の周囲で回動可能であり、容器60を閉位置と開位置との間で移動させる。図示の実施形態では、蓋62は、蓋ベース82と、好ましくは垂下スカート84及び親指タブ86とを含む。
【0046】
蓋78が閉位置にあるとき、湿密シール88(図9参照)が、少なくとも第1のシール90及び第2のシール92を含む直列の複数の係合した噛み合いシールによって形成される。第1のシール90は、本体62の熱可塑性シール面を蓋78の熱可塑性シール面と噛み合わせることにより形成される。第1のシール90は、切り離すために開口力を必要とするように構成される。図示の任意選択の実施形態では、第1のシール90は、本体62のアンダーカット面99と蓋78のアンダーカット面97との係合を含む。このシールは、図1~5の容器10に関して上で開示したアンダーカット対アンダーカットのシールと同一であり、したがってここではこれ以上詳しく説明しない。
【0047】
第2のシール92は、本体62又は蓋78の熱可塑性シール面を本体62又は蓋78のエラストマーシール面と噛み合わせることにより形成される。図示の任意選択の実施形態では、第2のシール92は、本体62の熱可塑性シール面を蓋78のエラストマーシール面と噛み合わせることによって形成される。エラストマーシール面94は、蓋78が閉位置にあるときに開口74を囲むリップ部70の熱可塑性上面72によって圧縮されるように構成されたエラストマーリング96を含む。図9~10Bに最もよく示されているように、エラストマーリング96の垂直方向の圧縮により、リング96の一部が、本体62と蓋78との間に設けられた空隙98内に半径方向に弾性的に拡張する。この動作についてここで詳細に説明する。
【0048】
本明細書で使用される場合「リング」という用語は、中央開口を備えた環状の円形要素を指し得る。しかしながら、「リング」は必ずしもそのような構成に限定されるわけではなく、非円形の構成、並びに少なくとも部分的に中央で充填されるエラストマー要素(すなわち、ここではリングの開口が別の態様で存在し得る)を含み得る。したがって、「リング」は、例えば、ディスク形状のエラストマー部材を含み得る。
【0049】
図9は、容器60の部分拡大断面図を示し、蓋78は閉位置にある。図示のように、本体62のアンダーカット面99と蓋78のアンダーカット面97との係合を含む第1のシール90が設けられる。第2のシール92は、リップ部70の熱可塑性上面72と、蓋78のベース82の下側に提供されたリング96の係合面94との係合を含む。図9に見られるように、リップ部70の上面72とエラストマーリング96との間に設けられた圧縮シールは、リング96の断面に、エラストマーリング96の係合面94に沿ってわずかな段差又はくぼみを生じさせる。このくぼみは、図10Bに示される拡大図においてより顕著である。図10Aは、リップ部70の上面72に接触して第2のシールを形成する直前のリング96の断面を示している。図10Aに示されるように、リング96は、リップ部と係合していないとき、そのようなくぼみを持たない。エラストマーリング96の係合面94のくぼみは、リム70とのシール係合から生じるリング96の弾性変形の産物である。
【0050】
特に、エラストマーリング96は、そのすぐ右側96R及び左側96Lのいずれにおいても境界を定められておらず、ブロックもされていない。したがって、エラストマーリング96が垂直方向に圧縮されると、その一部は、半径方向外向き、内向き、又はその両方に弾性的に拡張又は移動する。空隙98が、例えばエラストマーリング96と蓋78のスカート84との間に設けられ、第2のシール92が係合したときにリング材料が半径方向に拡張する「リビングスペース」を提供する。図10Bは、空隙98の一部を占めるエラストマーリング96の半径方向に拡張した部分96E(図10Bの方向Eに拡張した状態で示されている)を示している。そのような拡張が図中実際の実施と比較して誇張されているように見える程度まで、これは単に説明を目的としている。空隙特徴部へのこの半径方向の拡張は、少なくとも2つの重要な機能を提供する。
【0051】
第1に、それはエラストマーとリムとの間の垂直ばね力を和らげる。第1のシールを強化又は補強するために若干のばね力が提供されることが望ましいが、過度のばね力は、容器が不意にぽんと開き得る程度まで開口力を低下させる傾向があり得る。一方で望ましく低い開口力(特に高齢者及び/又は糖尿病ユーザの場合)と、例えば輸送中に容器内で発生し得る一般的な圧力変動によって意図しない容器の開口をもたらし得るほど低い開口力との間でバランスをとる必要がある。エラストマーが半径方向に拡張することを許容されると、垂直方向のばね力が許容レベルで提供され得る。
【0052】
第2の重要な機能は、第2のシールのシール面間の接触の表面積が、リングのエラストマー材料の半径方向の拡張を介して増加することである。エラストマー対熱可塑性物質のシール表面積のこの増加は、第2のシールの係合部位でより緊密なシールを提供する。
【0053】
図1~5に開示されたシール構成のいずれも図6~10Bに開示されたものと組み合わせることができることは理解されよう。
【0054】
任意選択的に、任意の実施形態において、可撓性熱可塑性リップ部シール部材が、容器の内部と当接し、したがってシールを提供するために、蓋のベースから下向きに垂れ下がり得る。そのような実施形態は、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる米国特許第9,650,181号明細書に記載されている特徴の一部又は全てを含み得る。換言すると、容器の内部に当接するそのようなリップ部シール部材は、開示された概念の範囲内で熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールの実施形態を提供し得る。任意選択的に、そのような実施形態では、リップ部シール部材と容器の内部との間に形成されたシールは、容器に唯一の湿密性の熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールを提供し得る。さらに、そのような実施形態では、任意選択的に、本体のアンダーカット面及び/又は蓋のアンダーカット面は、本体/蓋の周囲の周りに完全には延びない。任意選択的に、アンダーカットのそのような係合は、閉じた関係、例えばスナップ嵌め構成を促進し得るが、必ずしもアンダーカット自体の間に湿密シールを確立しなくてもよい。代替的に、アンダーカットの係合は、アンダーカット自体間の閉じた関係、例えばスナップ嵌め構成、並びに湿密シールの両方を提供する。
【0055】
シール単独の侵入性能は、合計バイアル侵入率を取得し、バイアルの外殻を構成する熱可塑性物質を通るMVTR(水蒸気透過率)を差し引くことにより測定される。
【0056】
例示的な実施形態では、蓋が閉位置にあるとき、水蒸気透過率MVTRは、30℃/80%RH(相対湿度)で370μg/日未満である。本発明の実施形態による24mlバイアルの例示的な実施形態では、乾燥剤同伴三相ポリマースリーブの重量は2.5~3.25グラム(任意選択的に約3.0g)であり、湿分侵入は30℃/70%RHで1日当たり約400マイクログラムである。本発明の実施形態による17mlバイアルの例示的な実施形態では、乾燥剤同伴三相ポリマースリーブの重量は2.0~2.75グラム(任意選択的に約2.5g)であり、湿分侵入は30℃/70%RHで1日当たり約300マイクログラムである。これは、試験片に適切な保管期間を提供するために6.3gの乾燥剤スリーブを必要とする従来のバイアルに比べて驚くべき改善である。
【0057】
診断試験片バイアルに関する公称容積測定値は近似値であり、業界では一般的に理解されていることに留意されたい。例えば、「17mL」バイアルは、「24mL」バイアルと同様に、正確な容積測定値からわずかに変化する場合がある。これらのバイアル容積は、業界でよく理解されている。この問題に対処するために、いくつかの実施形態では、容積範囲、例えば、12mL~30mLの内部容積を有する容器が提供される。
【0058】
「三相ポリマー」という用語は、例えば、米国特許第5,911,937号明細書、同6,080,350号明細書、同6,124,006号明細書、同6,130,263号明細書、同6,194,079号明細書、同6,214,255号明細書、同6,486,231号明細書、同7,005,459号明細書、及び米国特許出願公開第2016/0039955号明細書に記載されているような、ベースポリマー、乾燥剤及びチャネリング剤を含む乾燥剤同伴ポリマーを指す。前出の特許のそれぞれは完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。有利なことに、本発明の任意選択の態様において、第2のシールは、そのような乾燥剤材料の使用の減少を可能にし、その結果、より低い製造コストをもたらす。
【0059】
例示的な実施形態では、組み合わされた第1のシールと第2のシールが容器を提供する場合、蓋が閉位置にあるときに第1のシールよりも低いMVTRが第2のシールなしで提供し得る。
【0060】
例示的な実施形態では、組み合わされた第1のシールと第2のシールが容器を提供する場合、蓋が閉位置にあるときに第2のシールよりも低いMVTRが第1のシールなしで提供し得る。
【0061】
開示された概念の例示的な実施形態では、容器は診断試験片を保管するために使用される。
【0062】
開示された概念の例示的な実施形態では、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール面の少なくとも1つは、本体の外側に沿って半径方向に突出したリム上にある。
【0063】
開示された概念の例示的な実施形態において、エラストマーは、20~50、好ましくは20~40、より好ましくは20~35のショアA硬度を有する。射出成形の当業者は、通常、50未満のショアA硬度を有するTPE材料を容器シールに使用することを回避するだろう。これは、このような柔らかいTPE材料は一般に、成形中にシールを損傷又は移動することなくベースポリマーに接着することが難しいためである。しかしながら、出願人が開発した成形技術により、容器シールに50未満のショアA硬度を有するTPE材料を使用することが可能になる。このような低デュロメータの材料を使用すると、成形中の流動抵抗が低くなり、成形中の流動抵抗が有利に低くなり、断面を薄くすることが可能になる。完成したシールに、シールの完全性に悪影響を及ぼす可能性のあるニットラインを形成する傾向が小さくなる。加えて、より柔らかいTPE材料は、シールするために必要な圧縮力が小さく、これにより過度の垂直ばね力の可能性が低減される。過度のばね力は上述のように容器を意図せずに開く可能性がある。
【0064】
フリップ部トップ容器の設計において、キャップ開口力は、製品の品質特性にとって重要である。開口力の許容範囲は、バイアルの本体をバイアルのベース上に立たせて固定し、次に、20±2℃の制御された温度で500mm/分の一定速度でバイアルの軸に平行な上向きの力をキャップのビルの下側に加えることにより測定した場合、3~7lbf(ポンド-力)であり、好ましい範囲は4~6lbfである。上述のように、開けるのが容易すぎる容器は不意に開く可能性があり、この範囲を超える開口力を有する容器は、ユーザが開けるのに難しすぎる可能性がある。
【0065】
差圧下での開口に対する抵抗は、周囲環境で開閉された容器を密閉されたチャンバに入れ、その後、30秒から1分の期間にわたってチャンバ内で外圧を下げ、容器内部と外部環境との間に少なくとも450ミリバール(商用航空輸送中に容器がさらされる最大圧力差)の差圧を作ることにより、任意選択的に測定することができる。
【0066】
開示された概念の例示的な実施形態では、エラストマーは、0.5mmから1.25mmの厚さを有し、任意選択的に、外側バイアルリムの露出幅は0mmから2.5mmである。
【0067】
開示された概念の例示的な実施形態によるバイアルは、使用後にリサイクルされてもよい。このリサイクルとは主要な材料のことであり、追跡矢印はそのリサイクルクラスに対応する。熱可塑性エラストマーを使用したバイアルの蓋シールは、より低質量のエラストマーで設計されており、主要な材料の指定とともに容器を再利用/リサイクルすることが依然可能である。
【0068】
したがって、追加のエラストマーシールは、バイアル容器の蓋シールを通る水蒸気透過率を低下させて、より少ない必要な乾燥剤質量を可能にする。直列に機能するシールの組み合わせにより、消費者の体験を最適化する低い蓋の開閉力と組み合わせて水蒸気の透過を抑制することができる。バイアル蓋シール内の低質量のエラストマーは、バイアルの再利用/バイアル主要材料のリサイクル可能性を許容する。
【0069】
例示的な実施形態は、丸いシールを有する丸い容器として示されているが、本発明はそれに限定されないことに留意されたい。開示された概念は、本体と蓋との間のシール完全性を改善するために、非円形のフリップ部トップ容器に関連して利用することもできると考えられる。実際、本明細書に記載のエラストマー対熱可塑性物質のシールは、非円形容器のシール完全性を高めるのに特に有用であろうと考えられる。例えば、本明細書に開示される第1及び第2のシールは、楕円形容器、正方形容器、長方形容器、角の丸い四辺形容器及び他の多くの形状で利用されてもよい。任意選択的に、開示された概念の実施形態は、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0127269号明細書に開示された容器形状及び構成で利用される。
【0070】
さらに、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシール(例えば、第1のシール90)は、添付図面の図に示されるような構成に必ずしも限定されないことに留意されたい。例えば、任意選択の態様において、熱可塑性物質対熱可塑性物質のシールは、蓋ベースの下側から垂れ下がる内側ポリマーリングと、それとインターフェースする容器本体壁の内面の一部との間に提供されてもよい。任意選択的に、そのような実施形態では、内側ポリマーリングの環状突出部は、容器本体壁の内面内の半径方向のアンダーカットに係合して、図6~10Bに関して開示された第1のシール90の変形を作り出す。第1のシールのこの変形は、そのシールを切り離すために開口力を克服することを同様に必要とするだろう。
【実施例
【0071】
本発明を以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されると見なされないことを理解すべきである。
【0072】
実施例1
図6~10Bに示される容器の実施形態に従う24mLバイアル(グループA)の湿分侵入を測定するために試験を実施した。周囲条件は30℃及び相対湿度80%に設定した。試験した母集団には、このような容器が48個あった。これらの湿分侵入の結果を、グループAの容器と材料面で同一の7553個の容器の母集団(グループB)の試験から収集された試験データと比較した。ただし、グループBの容器は、第1のシール(プラスチック対プラスチック)だけを含み、第2のシール(エラストマー対プラスチック)を含んでいなかった。次の表は、収集されたデータの並列比較を示す。
【0073】
【表1】
【0074】
データが示すように、第2のシールの追加は平均侵入の有意な減少及び湿分侵入の標準偏差の驚くべき有意な減少をもたらした。この標準偏差の大幅な減少は、生産の観点から注目に値し、重要である。基本的に、第2のシールを第1のシールと組み合わせることで、はるかにより制御され予測可能な(つまり、変動がより少ない)湿分侵入が可能になるため、容器の湿分収支をはるかにより正確に適合し、拒絶されるバイアルをより少なくすることができる。これはまた、バイアルあたりに必要な乾燥剤材料の削減を可能にし、したがって、乾燥剤材料の削減量に関連して製造コストの削減を可能にする。
【0075】
実施例2
図6~10Bに示される容器の実施形態に従う17mLバイアル(グループA’)の湿分侵入を測定するために試験を実施した。周囲条件は30℃及び相対湿度70%に設定した。試験した母集団にはこのような容器が144個あった。これらの湿分侵入の結果を、グループA’の容器と材料面で同一の2923個の容器の母集団(グループB’)の試験から収集された試験データと比較した。ただし、サンプルB’の容器は第1のシール(プラスチック対プラスチック)だけを含み、第2のシール(エラストマー対プラスチック)を含んでいなかった。次の表は、収集されたデータの並列比較を示す。
【0076】
【表2】
【0077】
実施例1と同様に、データは、第2のシールの追加が平均侵入の有意な減少及び湿分侵入の標準偏差の驚くべき有意な減少をもたらしたことを示している。
【0078】
実施例3
図6~10Bに示される容器の実施形態に従う17mLバイアル(グループA’)の湿分侵入を測定するために試験を実施した。結果を図26に示す。周囲条件は30℃及び相対湿度75%に設定した。試験した母集団にはこのような容器が319個あった。図27に示されるように、これらの湿分侵入の結果を、シール構成を除いて容器と材料面で同一のこれまでの設計の985個の容器(すなわち「標準CSPバイアル」)の母集団の試験から収集された試験データと比較した。
【0079】
実施例1及び2と同様に、データは、本明細書に記載の改良されたシール構成が、平均湿分侵入の有意な減少(すなわち、311.2μg/日から232.3μg/日)及び湿分侵入の標準偏差の有意な減少(すなわち、31.68から13.77)をもたらしたことを示す。
【0080】
図27は、同様の設計であるがより大きな容積(すなわち、24mL容量対17mL容量)の容器のサンプリングに対して30℃/相対湿度80%)で測定したことを除いて図26と同様のデータの追加比較を示す。図26及び27のデータの比較は、相対湿度の増加及び/又は容積の増加に伴い、平均湿分侵入及び湿分侵入の標準偏差が増加することを示している。
【0081】
同伴ポリマー乾燥剤インサート
開示された概念の1つの特徴は、容器に浸透する湿分を吸収するための同伴された活性材料から作られたインサートに関する。任意選択的に、そのような特徴は、例えば、図1~10Bに示されるような、上述のシール構成を備えた実施形態のいずれかの容器に組み込まれる。以下の定義及び実施例は、そのようなインサート及びそのようなインサートが形成される材料の態様を説明している。
【0082】
定義
本明細書で使用される場合、「活性」という用語は、選択された物質(例えば、湿分又は酸素)に作用する、相互作用する、又は反応することができるものとして定義される。そのような作用又は相互作用の例は、選択された物質の吸収、吸着(収着、一般的に)又は放出を含み得る。
【0083】
本明細書で使用される場合、「活性剤」という用語は、(1)ベース材料(例えば、ポリマー)と好ましくは非混和性であり、ベースポリマー及びチャネリング剤と混合されて加熱される場合、溶融しない、すなわち、ベースポリマー又はチャネリング剤の融点よりも高い融点を有し、(2)選択された物質に作用する、相互作用する、又は反応する材料として定義される。「活性剤」という用語は、選択された物質を吸収、吸着又は放出する材料を含み得るが、これに限定されない。本発明による活性剤は、鉱物などの粒子(例えば、乾燥剤の場合にはモレキュラーシーブ又はシリカゲル)の形態であってもよいが、本発明は粒子状活性剤のみに限定されると見なすべきではない。例えば、いくつかの実施形態では、酸素捕捉製剤は、活性剤として作用するか又は活性剤の成分として作用する樹脂から製造され得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、「ベース材料」という用語は、同伴される材料の構造体を提供する、活性剤以外の、同伴される活性材料の成分(好ましくはポリマー)である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「ベースポリマー」という用語は、チャネリング剤のガス透過率よりも実質的に低い、低い又は実質的に等しい、選択された物質のガス透過率を任意選択的に有するポリマーである。例として、このような透過率は、選択された物質が湿分であり且つ活性剤が吸水性乾燥剤である実施形態における水蒸気透過率であり得る。ベースポリマーの主な機能は、同伴ポリマーのための構造を提供することである。適切なベースポリマーは、熱可塑性ポリマー、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-メタクリレートコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ無水物、ポリアクリリアニトリル(polyacrylianitrile)、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、アクリル、ポリウレタン及びポリアセタール、又はそれらのコポリマー若しくは混合物を含み得る。
【0086】
ベースポリマー及びチャネリング剤の水蒸気透過率のこのような比較を参照すると、一実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも2倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも5倍の水蒸気透過率を有する。別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも10倍の水蒸気透過率を有する。さらに別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも20倍の水蒸気透過率を有する。さらに別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも50倍の水蒸気透過率を有する。さらに別の実施形態において、チャネリング剤は、ベースポリマーの水蒸気透過率の少なくとも100倍の水蒸気透過率を有する。
【0087】
本明細書で使用される場合、「チャネリング剤」という用語は、ベースポリマーと不混和性であり且つベースポリマーよりも速い速度で気相物質を輸送する親和性を有する材料として定義される。任意選択的に、チャネリング剤は、チャネリング剤をベースポリマーと混合することによって形成されたとき、同伴ポリマーを介してチャネルを形成することができる。任意選択的に、このようなチャネルは、ベースポリマー単独の場合よりも速い速度で同伴ポリマーを介して選択された物質を伝達することができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「チャネル」又は「相互接続チャネル」という用語は、ベースポリマーを貫通し且つ互いに相互接続され得るチャネリング剤から形成された通路として定義される。
【0089】
本明細書で使用される場合、「同伴ポリマー」という用語は、少なくとも、活性剤と、任意選択的に全体に同伴又は分散されたチャネリング剤とを有するベースポリマーから形成されたモノリシック材料として定義される。従って、同伴ポリマーは、2相ポリマー及び3相ポリマーを含む。「鉱物充填ポリマー」は、活性剤が鉱物、例えばモレキュラーシーブ又はシリカゲルなどの鉱物粒子の形態である一種の同伴ポリマーである。「同伴材料」という用語は、本明細書では、ベース材料中に同伴される活性剤を含むモノリシック材料を意味するために使用され、ここでベース材料はポリマーであってもなくてもよい。
【0090】
本明細書で使用される場合、「モノリシック」、「モノリシック構造」又は「モノリシック組成物」という用語は、2つ以上の別個の巨視的な層又は部分から構成されない組成物又は材料として定義される。従って、「モノリシック組成物」は、多層複合体を含まない。
【0091】
本明細書で使用される場合、「相」という用語は、全体に均一に分配され、構造又は組成物にそのモノリシックな特性を与えるモノリシック構造又は組成物の部分又は構成要素として定義される。
【0092】
本明細書で使用される場合、「選択された物質」という用語は、活性剤上で作用されるか、活性剤によって作用されるか、活性剤と相互作用するか、又は反応し、同伴ポリマーのチャネルを介して移送されることができる物質として定義される。例えば、乾燥剤が活性剤として使用される実施形態では、選択された物質は、乾燥剤によって吸収され得る湿分又はガスであり得る。放出物質が活性剤として使用される実施形態では、選択された物質は、湿分、香料、又は抗菌剤(例えば、二酸化塩素)などの放出物質によって放出される剤であり得る。吸着物質が活性剤として使用される実施形態では、選択された物質は特定の揮発性有機化合物であり得、吸着物質は活性炭であり得る。
【0093】
本明細書で使用される場合、「3相」という用語は、3つ以上の相を含むモノリシックな組成物又は構造体として定義される。本発明による3相組成物の例は、ベースポリマー、活性剤、及びチャネリング剤から形成された同伴ポリマーであり得る。任意選択的に、3相組成物又は構造体は、追加の相、例えば着色剤を含んでもよい。
【0094】
同伴ポリマーは、2相配合物(すなわち、ベースポリマー及び活性剤を含み、チャネリング剤を含まない)、又は3相配合物(すなわち、ベースポリマー、活性剤及びチャネリング剤を含む)であり得る。同伴ポリマーは、例えば、米国特許第5,911,937号明細書、同第6,080,350号明細書、同第6,124,006号明細書、同第6,130,263号明細書、同第6,194,079号明細書、同第6,214,255号明細書、同第6,486,231号明細書、同第7,005,459号明細書、及び米国特許出願公開第2016/0039955号明細書に記載され、これらのそれぞれは、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
例示的な同伴ポリマー
同伴材料又はポリマーは、構造を提供するためのベース材料(例えば、ポリマー)、任意選択的にチャネリング剤及び活性剤を含む。チャネリング剤は、同伴ポリマーを介して微細な相互接続チャネルを形成する。活性剤の少なくとも一部がこれらのチャネル内に含まれ、その結果、チャネルは、同伴ポリマーの外面に形成された微細なチャネルの開口部を介して、活性剤と同伴ポリマーの外部との間で通じている。活性剤は、例えば、以下にさらに詳細に記載されるような、様々な吸収性、吸着性又は放出性物質のいずれか1つであり得る。チャネリング剤が好ましいが、本発明は、任意選択的にチャネリング剤を含まない同伴材料、例えば2相ポリマーを広く含む。
【0096】
いずれかの実施形態において、適切なチャネリング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)、グリセリンポリアミン、ポリウレタン及びポリアクリル酸又はポリメタクリル酸を含むポリカルボン酸などのポリグリコールを含み得る。或いは、チャネリング剤は、例えば、CLARIANTによって製造されたPolyglykol B01/240などのプロピレンオキシド重合体-モノブチルエーテルなどの水不溶性ポリマーであり得る。他の実施形態では、チャネリング剤は、CLARIANTによって製造されたPolyglykol B01/20などのプロピレンオキシド重合体モノブチルエーテル、CLARIANTによって製造されたPolyglykol D01/240などのプロピレンオキシド重合体、エチレンビニルアセテート、ナイロン6、ナイロン66、又は上記の任意の組み合わせであり得る。
【0097】
本発明による適切な活性剤には、乾燥化合物などの吸収物質が含まれる。活性剤が乾燥剤である場合、所与の用途に適したいずれかの乾燥剤を使用することができる。典型的には、物理的吸収乾燥剤が多くの用途に好ましい。これらには、モレキュラーシーブ(例えば、4Åモレキュラーシーブ)、シリカゲル、クレー及びデンプンが含まれ得る。或いは、乾燥剤は、水を含む結晶を形成する化合物、又は水と反応して新しい化合物を形成する化合物であってもよい。
【0098】
任意選択的に、いずれかの実施形態において、活性剤は、脱酸素剤、例えば酸素捕捉樹脂配合物であってよい。
【0099】
適切な吸収物質はまた、(1)非限定的にニッケル、銅、アルミニウム、ケイ素、はんだ、銀、金などの金属及び合金;(2)銀めっき銅、銀設置ニッケル、銀めっきガラス微小球などの金属めっき微粒子;(3)BaTiO3、SrTiO3、SiO2、Al23、ZnO、TiO2、MnO、CuO、Sb23、WC、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、非晶質溶融シリカ、ゾルゲルシリカ、ゾルゲルチタネート、混合チタネート、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミックス、中空ガラス微小球などの無機物;(4)カーボン、活性炭、カーボンブラック、ケッチェムブラック(ketchem black)、ダイヤモンドパウダーなどの炭素系物質;(5)ポリブタジエン、ポリシロキサンなどのエラストマー、及び半金属、セラミック;及び(6)他の充填剤及び顔料を含み得る。
【0100】
別の例では、吸収物質は、酸化カルシウムなどの脱二酸化炭素剤であってもよい。湿分及び二酸化炭素の存在下で、酸化カルシウムは炭酸カルシウムに変換される。従って、酸化カルシウムは、二酸化炭素の吸収が必要な用途において吸収物質として使用されてもよい。そのような用途には、二酸化炭素を放出する新鮮な食品(例えば、果物及び野菜)の保存が含まれる。
【0101】
本発明による他の適切な活性剤は、放出物質を含む。そのような物質は、選択された物質を放出物質から放出する任意の適切な物質を含むことができる。放出物質から放出される選択された物質は、固体、ゲル、液体又は気体の形態であり得る。これらの物質は、香り、風味、又は香料源として働くこと;殺虫剤、害虫忌避剤、抗菌剤、餌料、芳香剤等などの生物活性成分を供給すること;加湿物質又は乾燥物質を提供すること;腐食防止剤などの空気担持活性化学物質を送達すること;熟成剤及び匂い生成剤を含む様々な機能を実行することができる。
【0102】
開示された概念の同伴ポリマー中で放出物質として使用するのに適した殺生物剤には、殺虫剤、除草剤、ネマタサイド、殺菌剤、殺鼠剤及び/又はそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。殺生物剤に加えて、活性剤はまた、栄養素、植物成長調節剤、誘引物質、枯葉剤及び/又はそれらの混合物を放出し得る。
【0103】
第4級アンモニウム化合物を本発明による放出物質として使用することもできる。そのような化合物は、界面活性剤として機能するだけでなく、同伴ポリマーの表面に無菌特性を付与する、又はその一部は病原性であり得る微生物の数を減少させるための条件を確立する。塩化ベンザルコニウム及びヘキサクロロフェンのような関連する化合物種などの多くの他の抗菌剤も本発明による放出剤として使用することができる。二酸化塩素放出剤などの他の抗菌剤を使用してもよい。
【0104】
他の潜在的な放出物質には、天然、精油及び合成香料、及びそれらのブレンド物を含む芳香性化粧品が含まれる。活性成分の一部又は場合により全部を形成し得る典型的な香料物質は、レモン油、マンダリン油、チョウジ葉油、プチグレン油、セダーウッド油、パッチュリ油、ラバンジン油、ネロリ油、イラン油、純バラ油又は純ジャスミン油などの天然精油;ラダナム樹脂又はオリバナム樹脂などの天然樹脂;例えば、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール、テトラヒドロゲラニオール、βフェニルエチルアルコール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、メントール又はセドロールなどのアルコールとして天然供給源から単離することができる又は合成的に製造することができる単一香料化学薬品;シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、ラウリンアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、シンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、バニリン又はヘリオトロピンなどのこのようなアルコールアルデヒドから誘導されるアセテート及び他のエステル;このようなアルデヒドから誘導されるアセタール;メチルヘキシルケトンなどのケトン、イオノン及びメチルイオノン;オイゲノール及びイソオイゲノールなどのフェノール化合物;ジャコウキシレン、ジャコウケトン、及びエチレンブラシラートなどの合成ジャコウを含む。
【0105】
混合物中の活性剤濃度が高いほど、最終組成物の吸収、吸着又は放出能力(場合によって)が高くなると考えられる。しかしながら、活性剤濃度が高すぎると、同伴ポリマーはより脆くなり、活性剤、ベースポリマー及びチャネリング剤の溶融混合物は、熱成形、押し出し又は射出成形がより困難になる可能性がある。一実施形態では、活性剤の充填レベルは、同伴ポリマーの総重量に対して、10重量%~80重量%、好ましくは40重量%~70重量%、より好ましくは40重量%~60重量%、さらにより好ましくは45重量%~55重量%の範囲であり得る。任意選択的に、チャネリング剤は、2重量%~10重量%、好ましくは約5重量%の範囲で提供されてもよい。任意選択的に、ベースポリマーは、組成物全体の10重量%~50重量%、好ましくは20重量%~35重量%の範囲であり得る。任意選択的に、着色剤が、例えば、組成物全体の約2重量%で添加される。
【0106】
容器及び同伴される活性材料インサートの実施形態
図11は、図1に関して上述した容器10と同様の開示された概念の1つの非限定的実施形態による容器200を示す。任意選択的に、図11の容器200は、図1~10Bを参照して本明細書に記載したシール構成のいずれかを組み込み得ることに留意されたい。
容器200は、容器本体201と、任意選択的に蓋220と、活性剤とともに同伴されるインサート、例えば乾燥剤インサート100とを含む。例示的なインサート100は、乾燥剤インサートである(すなわち、活性剤としての乾燥剤とともに同伴される)。しかしながら、開示された概念の任意選択の実施形態に従って、乾燥剤の代わりに又は乾燥剤と組み合わせて、代わりの活性剤が使用されてもよい(例えば、インサート100は代替的に脱酸素剤インサートであり得る)ことを理解されたい。
【0107】
例示的な実施形態では、容器本体201及びインサート100はほぼ円筒形であるが、楕円形、正方形、長方形、プリズム等を含む他の3次元(長手方向)形状も考慮される。インサートは、活性剤とともに同伴されるいずれかのモノリシック組成物であり得ることを認識されたい。
【0108】
乾燥剤インサート100は、別の材料、例えば、熱可塑性ポリマー中に同伴される乾燥剤を含む。乾燥剤は、当業者に知られている様々な方法で乾燥剤インサート100に組み込まれる。乾燥剤インサート100は、例えばシングルショット射出成形プロセスで形成されてもよい。或いは、乾燥剤インサート100は、容器を形成する際の2ショット射出成形プロセスの一部として形成されてもよく、この際、一方のショットは容器本体201(及び任意選択的に蓋220)を形成し、他方のショットは乾燥剤インサート100を形成する。
【0109】
インサート100を作製するために剛性ポリマーマトリックス内に乾燥剤を同伴する場合、構造体内に含まれる個々の乾燥剤粒子について湿分不透過性ポリマー容器を作製することができる。上述したように、チャネリング剤を、剛性本体の形成に使用されるポリマーベースマトリックスと組み合わせることができる。このようにして、乾燥剤インサート100は、好ましくは、ベースポリマー、活性剤(乾燥剤)及び任意選択的にチャネリング剤から(すなわち、3相乾燥剤ポリマーから)構成される。上述したように、いくつかの実施形態では、ベースポリマー及び活性剤を含む2相ポリマーを提供するために、チャネリング剤の省略が望ましい場合がある。モノリシック組成物を形成するために乾燥剤及び(任意選択的に)チャネリング剤がブレンドされるベースポリマーは、射出成形可能な熱可塑性物質、例えばポリエチレン又はポリプロピレンを含む。
【0110】
乾燥剤及びチャネリング剤は、ポリマーベースが容器に成形される前に溶融状態にあるときにポリマーに添加されてもよく、それにより、これらの添加剤がブレンドされ、ベースポリマー材料全体にわたって完全に混合され得るようにする。いくつかの材料を完全にブレンドし、その後混合プロセスを停止した後、チャネリング剤はポリマーベースから分離し、ポリマー全体に湿分連通通路として作用する微細な静脈又はチャネルを形成する。エチレンビニルアルコール(EVOH)及びポリビニルアルコール(PVOH)は、いくつかの用途のためにチャネリング剤として特に適していることが見出されている。これらのアルコールのそれぞれは、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのベースポリマーと機械的に混合され、その後溶融状態にある間に複数の領域に分離することができる。微細チャネルは、ポリマー構造の表面で開いており、それによって、ポリマーマトリックスの内側部分に向かう湿分の進入路を提供する。
【0111】
乾燥剤インサート100は、図12及び図13に最も明確に示されている。インサート100は、製品(例えば、限定はしないが、医薬品及び診断用試験片)を収容するための内部コンパートメント102に通じる開口と外面104とを含む。内部コンパートメント102は、インサート100の外形(例えばカップ状)に概ね一致する形状を含むそれに関連する様々な形状を有してもよい。任意選択的に、インサート100は管状であり、底部がなく(図示せず)、その場合、内部コンパートメントは、1つではなく2つの端部で開放され得る。インサート100はさらに、上縁部108と、上縁部108の反対側及び遠位に配置された底端部110とを有する。1つの例示的な実施形態では、上縁部108は、内部コンパートメント102に通じる開口部を画定し、底端部110は、概ね円板状である。インサート100は、上縁部108から底端部110まで延在する。底端部110は、好ましくは閉じられており、インサート100全体にわたって同じ材料が使用されている。しかしながら、いくつかの実施形態において、インサート100が両端部で開放された円筒であるように、底端部110は省略される(又は部分的に省略される)。
【0112】
引き続き図12及び図13を参照すると、突起、例えば限定しないが移動止め112及び隆起部114が、外面104に設けられている。底端部110と容器本体201との間に空間を形成するために、移動止め112は、上縁部108から離れる方に底端部110から延在する。別の言い方をすれば、移動止め112は容器本体201の底203から底端部110をわずかに上昇させる。底端部110を上昇させることによって、底端部110は容器本体201とインサート100との間の空隙内の空気によく露出される。このようにして、及び後述するように、底端部110は、容器本体201内の湿分を吸収することができる。図示されているように、隆起部114は、互いに平行に配置され且つ上縁部108の近くから底端部110の近くまで長手方向に延在する複数の等間隔で離間された隆起部であってもよい。さらに別の実施形態では、隆起部114は、上縁部108から底端部110までの全長にわたって延在しない。隆起部114は、距離の一部のみに延在してもよく、又はそれぞれがそれらの間に空間を有する不連続な隆起部の線として存在してもよい。隆起部114の厚さは、様々な寸法のいずれかであってもよい。図2及び図3に示される例において、隆起部114は、上縁部108から底端部110までテーパ状にされる(すなわち、それらはインサート100の頂部に向かってより厚く、インサート100の底部に向かってより細くなる)。インサート100が圧入によって容器本体201に組み付けられる実施形態では、隆起部114のテーパは、隆起部114の上部が容器本体201との締り嵌めを確立する容器本体201へのインサート100の自動挿入を有利に促進し得る。
【0113】
例示的な実施形態では、インサート100は、任意選択的に剛性であり、従って最小の圧力が加えられたときに変形されない。この任意選択の剛性は、例えば、インサート100が円形でない(例えば楕円形等である)外側容器と組み合わせて使用される場合などのいくつかの用途において有用であり得る。この任意選択の剛性は、(湿密性を促進し得る)非円形(例えば楕円形)の容器のシール面周囲の変位に抵抗するための支持を提供し得る。非円形容器、例えば楕円形容器は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0127269号明細書に開示されている。
【0114】
湿密性は、湿分が容器に入り込むことと、そこに含まれる医薬品又は試験片の有効性を低下させることとを少なくとも部分的に防止するのに有利であり得る。湿分が容器に入ると、湿分の浸入が生じる。本発明のいずれかの実施形態によれば、乾燥剤が含まれる容器は、湿密性であり得る。容器に関する「湿密性」という用語は、80%の相対湿度及び22.2℃で、1日当たり1000マイクログラム未満の湿分浸入率を有する容器として定義される。従って、湿分浸入は、いくつかの範囲の1つに入る可能性がある。そのような範囲の1つは、上記の周囲条件の下で1日当たり25~1000マイクログラムの間である。別のそのような範囲は、上記の周囲条件の下で1日当たり50~1000マイクログラムである。さらなるそのような範囲は、上記の周囲条件の下で1日当たり100~1000マイクログラムである。なおもさらなる任意選択の範囲には、例えば、内部容積が12mL~30mLの容器の場合、前述の周囲条件の下で、1日あたり100~450マイクログラム、任意選択的に1日あたり150~400マイクログラム、任意選択的に1日あたり150~350マイクログラム、任意選択的に1日あたり150~300マイクログラムが含まれる。湿分侵入率を決定するために、次の試験方法を用いることができる:(a)容器に1グラムプラスマイナス0.25グラムのモレキュラーシーブを入れ、重量を記録し、(b)容器を完全に閉じ、(c)閉じた容器を相対湿度80%及び22.2℃の条件で環境チャンバに入れ、(d)1日後、モレキュラーシーブを含む容器の重量を量り、(e)4日後、モレキュラーシーブを含む容器の重量を量り、(f)4日目のサンプルから1日目のサンプルを差し引いて、水のマイクログラム単位で容器の湿分侵入を計算する。
【0115】
例示的な実施形態では、インサート100の露出表面領域を増加させることが望ましい場合がある。このようにして、湿分の吸収を促進するために、より多くの乾燥剤の表面領域が容器200内で空気に露出され得る。従って、例えば、隆起部114の半径方向の深さを増加させることが望ましい場合がある。しかしながら、インサート100の最外径を維持しながら、隆起部114の半径方向の深さを増加させると、インサート100の内径の減少がもたらされることが理解される。従ってこれは内部コンパートメント102の表面領域の減少によって、及び製品を収容するための内部コンパートメント102の容積の低減によって達成され得る。換言すると、インサート100に関連するいずれかの寸法に対するいずれかの修正は、修正がどのように行われるかに応じて、露出した乾燥剤同伴表面領域(又はコンパートメント容積)の増加又は減少をもたらし得る。
【0116】
図11及び12を参照すると、容器本体201の材料は、様々な異なる材料から選択することができる。好ましくは、容器本体は、1種又は複数種の射出成形可能なプラスチック材料、例えばポリプロピレン又はポリエチレンから作られる。容器本体201は、ベース部203及びそこから延びる側壁205を含む。容器本体201は、容器本体201の内部231を画定する内面207を有し、容器本体201は、内部231に通じる開口233をさらに有する。
【0117】
蓋220も好ましくは含まれる。蓋220は、容器本体201から分離可能であってもよく、又は好ましくは、ヒンジ240によって容器本体201に連結されて、図示のようにフリップトップ式容器を形成してもよい。代替実施形態では、蓋は、ストッパ、スクリューキャップ、ホイルシール-開口を覆うように構成されたいかなる構造であってもよい。
【0118】
図示されたフリップトップ式容器構成では、蓋220は、容器200を開位置と閉位置との間で移動させるべく、ヒンジ軸を中心に回動可能である。蓋220は、容器本体201に対して移動可能であり、蓋220が容器本体201の開口233を覆う閉位置と、開口233が露出する開位置との間で容器200を移動させる。容器200を閉鎖するために、蓋220はヒンジ240を介して回転され、それにより蓋220が容器本体201を密閉する。蓋220は、少なくとも1つの蓋シール面221を有し、容器本体201は、容器本体201の内部231につながる開口233の周囲に位置付けられた少なくとも1つの本体シール面202を有する。容器200が閉鎖位置にあるとき、本体シール面202及び蓋シール面221は結合して、蓋220と容器本体201との間に湿密シールを形成するように構成されている。
【0119】
図12は、容器本体201内に固定される前の乾燥剤インサート100を示す。図示のように、乾燥剤インサート100は、容器本体201の開口233を介して容器本体201内に摺動することができる。インサート100及び示される容器本体201の組み合わされた使用の実施形態は、単に例示的なものである。乾燥剤インサート100は、様々な形状、サイズ、特徴等を有する他の容器と共に使用することができることを理解されたい。
【0120】
図14は、容器本体201内に挿入された後の乾燥剤インサート100の上面図を示す。開示された概念の例示的な実施形態では、乾燥剤インサート100が容器本体201内に配置されるとき、湿分吸収のために乾燥剤インサート100の露出表面領域を最大化することが望ましい。従って、先に説明したように、移動止め112及び隆起部114は、インサートの外面の露出部分と容器本体の内面の一部との間に空隙を確立するために含まれ、空隙内の湿分は、インサート100の露出部分によって吸収され得る。
【0121】
図15Aは、容器200の断面図を示し、図15Bは、図15Aの一部の拡大図を示す。図15Bを参照すると、インサート100の外面104の露出部分と容器本体201の内面207の一部との間に空隙116が設けられていることが理解されるであろう。空隙116は、移動止め112及び隆起部114と、容器本体201の内面207との係合によって作り出される。
【0122】
図15Aに示すように、容器本体201は、容器本体201内にインサート100を保持するために、容器本体201の内面207から半径方向内方に延在する環状の保持リング260を含むことができる。保持リング260は、乾燥剤インサート100の最外径をわずかに越えて延在し、それによって、保持リング260が容器本体201内に乾燥剤インサート100を保持するようにする。一実施形態では、保持リング260は、容器200が反転して開放しているときに乾燥剤インサート100が容器本体201から脱落しないように十分な量だけ延在する。別の実施形態では、保持リング260は、手動力(すなわち重力より大きい)が加えられたときでも、乾燥剤インサート100が容器200から滑り落ちるのを防止するのに十分な量だけ延在する。
【0123】
図16は、図14の一部の拡大図を示す。示すように、インサート100の上縁部108と容器本体201の内面207との間に少なくとも1つの間隙118が存在する。従って、間隙118は、対応する流体経路を提供し、それを介して、空隙116(図15B)及びインサート100の内部コンパートメント102は流体連通できることが理解されよう。違う言い方をすると、内部コンパートメント102内の空気は、空隙116と流体連通している(すなわち、空隙116に露出される、及び/又は空隙116中へ自由に動くことができる)。流体経路を提供する間隙118は、空気が内部コンパートメント102と空隙116との間で比較的自由に移動することを可能にすることを理解されたい。これらの間隙は、微細チャネル内に含まれる乾燥剤への湿分蒸気の移送を促す同伴ポリマーを介した微細な相互接続チャネルと区別可能である。
【0124】
上述したように、開示された概念の目的は、乾燥剤インサート100による湿分の吸収を促進するために、インサート100が空気に露出される表面領域を増加させることである。従って、空隙116とインサート100の内部コンパートメント102との間に(例えば間隙118を介して)少なくとも1つの流体経路を提供することによって、外面104は、容器本体201内の空気に独自に且つ有利に露出される。これにより、乾燥剤インサートが一般的には容器本体の内面と同一平面上にあり従って両側から湿分を吸収できないより従来型の容器と比較して、インサート100によるより多くの吸湿が促される。
【0125】
開示された概念の1つの代替的な例示的実施形態では、隆起部又は移動止めを備えずにインサートが提供され、その代わりに、複数の突起部が容器本体の内面に設けられる。これは、本質的にインサートが隆起部を有する構成の逆である。この代替実施形態はまた、容器本体の内面の一部とインサートの外面との間に隙間を生じさせ、同時に、容器本体内にインサートを固定する。このような実施形態では、対応するインサートの露出した外面は、吸湿のために内部コンパートメント内の空気に露出される。
【0126】
好ましくは、インサートは、上述したように、ベース材料と乾燥剤(又は他の活性剤)とを含むブレンド物である。しかしながら、一態様において、本発明は、そのようなブレンド物を含まなくてもよいインサートを包含する。例えば、1つの代替的な例示的実施形態では、インサートは、そのいずれかの表面上に乾燥剤がコーティングされたベース材料(例えば、ポリマー又は剛性紙)から構成される。別の代替実施形態では、インサートは発泡剤を有するポリマーから作られ、それによりインサートはスポンジ状になる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、ベース材料は、非重合性結合剤、例えばクレーである。
【0127】
図17~19は、容器400の異なる図を示し、図20及び21は、開示された概念の別の非限定的な実施形態による、容器400用の乾燥剤インサート300の異なる図を示す。任意選択的に、図17の容器400は図1~10Bを参照して本明細書に記載したシール構成のいずれかを組み込み得ることに留意されたい。乾燥剤インサート300は、上述した乾燥剤インサート100が容器200に提供するのと実質的に同じ利点を容器400に提供する。従って、同様の構成要素は同様の参照番号で示されている。
【0128】
図20及び21に示すように、乾燥剤インサート300は、移動止め312及び隆起部314を含むことに加えて、上縁部308から半径方向外側に延在する環状のリップ309をさらに含む。このように、乾燥剤インサート300は、改善された吸湿性のために増大した表面領域の点で(すなわち、移動止め312及び隆起部314を介して)上述の利点を提供し、さらに追加の利点を提供する。より詳細には、リップ310は、容器本体401の内面407(図19)とインサート300の外面304(図19)との間の空間への流体の侵入に対する障壁を提供するために、上縁部308から容器本体401の内面407(図19)まで延在する。これは図18を参照して理解されるであろう。図18には、容器400のこの領域内への流体の侵入を阻止する(及び延在することによって、固体物質の侵入を阻止する)リップ309が示されている。換言すると、上述の容器200に関して記載したもののような間隙118はない。従って、糖尿病治療で使用される血糖試験片などの診断用試験片が、自動充填作業中に誤ってこの位置に挿入される又は差し込まれる可能性が大幅に低減及び/又は排除される。
【0129】
さらに、図21で分かるように、インサート300の底端部310は、複数の貫通孔315を有する。容器400の空隙(図15Bに示す容器200の空隙116に実質的に類似)が、インサート300の外面304の露出部分と容器本体401の内面407の一部との間に設けられることが認識されよう。さらに、空隙とインサート300の内部コンパートメント302(図19)との間に、少なくとも1つの流体経路が設けられる。例示的な容器400の流体経路は、貫通孔315を介して設けられる。図示されていないが、空隙とインサート300の内部コンパートメント302との間に流体経路を提供するために、貫通孔がインサートの側壁305に代替的に又は追加的に設けられてもよいことも認識されよう。従って、容器400の吸湿能力は、突出部312、314、結果として生じる空隙及び貫通孔315を通る流体経路によって、インサートの外面が一般に容器本体の内面と面一である従来の容器に比べて、著しく改善される。開示された概念を例示的な実施形態を参照して本明細書で記載してきたが、本発明はそれに限定されないことを理解されたい。本明細書の教示へのアクセスを有する当業者は、その範囲内の追加の修正、用途、及び実施形態、並びに本発明が有用であろう追加の分野を認識するであろう。
【0130】
容器を作製するための例示的な方法
任意選択的に、容器200、400は射出成形プロセスで作製される。このようなプロセスは、少なくとも部分的に、米国特許第4,783,056号明細書、又は米国再発行特許第37,676号明細書の教示に従ってもよく、これら特許はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0131】
開示された概念の別の態様において、容器200、400を作製するための方法が提供される。任意選択の方法は、以下のステップを含むことができる:(a)内部に通じる開口233、433を有する容器本体201、401を準備するステップ;(b)蓋220、420が開口233、433を覆う閉鎖位置と、開口233、433が露出される開放位置との間で容器200、400を移動させるために容器本体201、401に対して移動可能な蓋220、420を任意選択的に設けるステップ;(c)容器本体201、401の内部231、431内にインサート100、300を固定するステップ;(d)インサート100、300の外面104、304の露出部分と容器本体201、401の内面207、407の一部との間に空隙116(又は容器400の空隙)を形成するステップ;及び(e)空隙116(すなわち、容器400の空隙(図示せず))とインサート100、300の内部コンパートメントとの間に少なくとも1つの流体経路を形成するステップ。固定ステップは、(i)容器本体201、401がインサート100、300の周りでわずかに収縮するように、任意選択的に容器本体201、401のポリマー材料が完全に固化される前に、インサート100、300を容器本体201、401に圧入すること;又は(ii)インサート100、300の周囲に容器本体201、401をオーバーモールドすること;又は(iii)容器本体201、401及びインサート100、300を作製するために2ショット成形プロセスを採用すること、のうちのいずれか1つを任意選択的に含んでもよい。
【0132】
容器及び乾燥剤インサートの任意選択の特性
いずれかの実施形態において、本発明によるインサートは、任意選択的に、容器本体の内壁と完全に面一である比較可能なインサートよりも速い吸湿速度を有する。
【0133】
任意選択的に、いずれかの実施形態において、インサート100、300の合計露出表面積(内面及び外面を含む)は、内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも1.1倍であり、任意選択的に内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも1.25倍であり、任意選択的に内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも1.5倍であり、任意選択的に内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも1.75倍であり、任意選択的に内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも2.0倍であり、任意選択的に内部コンパートメント102、302の露出表面積の少なくとも2.5倍である。出願人が実践のために低減した容器の好ましい実施形態では、インサート100、300の合計露出表面積は、内部コンパートメント102、302の露出表面積の約2.2倍である。
【0134】
任意選択的に、いずれかの実施形態において、インサート100、300は、空隙(例えば、116)を提供するために別個のインサートにも要素にも頼らない単一の一体部材である。
【0135】
任意選択的に、いずれかの実施形態において、空隙(例えば、116)は、(a)インサート100、300の底端部110と容器本体201のベース203との間;及び(b)インサートの外面104、304と容器本体201の側壁205との間、の両方に提供される。
【0136】
任意選択的に、いずれかの実施形態において、インサートは、乾燥剤に加えて又はその代わりに、活性剤、例えば脱酸素剤を含む。
【0137】
容器の任意選択の特徴
任意選択的に、本明細書に開示されるインサート100、300のいずれかは、本明細書に開示される容器10、60のいずれかとともに使用することができる。好ましくは、開示された概念の態様による容器は、湿分侵入を減らし、製造中の容器の品質の信頼性と一貫性を改善し、必要な乾燥剤の量を減らし、乾燥剤インサートの湿分取り込みの効率を改善するこれらの特徴を組み込み得る。このようにして、改善されたバイアルが提供され、任意選択的に、湿分に敏感な製品、例えば診断試験片に所望の保管寿命を提供する。
【0138】
17mL及び24mLの次世代バイアルの設計と性能
任意選択の実施形態による17mL次世代バイアルは、血中グルコース試験片の保護に対する性能ニーズを依然として満たしながら、これまでのバイアルに代わる高品質で低コストの代替品を提供するように設計された。コストを削減する能力は、2つの重要な要因に基づく:
(1)スリーブ重量の削減。この設計は、標準バイアルの現在の3相乾燥剤スリーブ(乾燥剤、チャネル形成剤、ベースポリマーを有する)を同じ配合のより軽い3相乾燥剤スリーブで置き換えることにより、バイアル内の乾燥剤質量をおよそ60%削減する。これは、バイアルへの湿分侵入を大幅に減らすシール設計の改善によって可能になる。
(2)効率を改善し、コストを削減するためのバイアル製造プロセスの修正。現在のプロセスは一般に、より高いキャビテーション工具を利用しており、100%検査プロセスは、2つのステップの間に保持されている仕掛品で物理的に分離されている。新しいバイアルの製造及び検査プロセスは完全に統合されており、追加のコストがかかるだけでなく、フィードバックループが改善されて、あらゆる問題へのより迅速な対応が可能になる。
【0139】
試験片の保護の鍵は、試験片の有効寿命にわたって低い相対湿度(RH)を維持することである。バイアル設計の2つの重要な要素は、バイアルの吸収キャパシティと、バイアルへの湿分の進入(湿分侵入)を阻止するバイアルの能力である。
【0140】
湿分の量を吸収する能力は、使用される乾燥剤の種類と量の関数である。標準のActiv-Vial(商標)製品の場合、それは4Aモレキュラーシーブである。バイアル内部の相対湿度は、モレキュラーシーブの吸収キャパシティの%の関数である。これは、乾燥剤の固定された特性であり、十分に特徴付けられている。さらに、出願人は、図23に示すように、出願人の3相乾燥剤配合におけるこのRH対キャパシティの曲線を特徴付けた。
【0141】
開示された概念の任意選択の実施形態である次世代17mLバイアルは、湿分収支として我々が参照する我々の設計文書で特徴付ける特定の環境の仮定の組において製品の寿命全体にわたって10%RHを維持するように設計されている。
【0142】
湿分収支における環境の仮定は、図24及び以下の表に示されるような、世界中の様々な環境帯の平均温度及び湿度に関するICH(調和国際会議)ガイドラインの使用に基づいている。
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
バイアル設計パラメータ及び設計環境条件に基づいて、有効寿命中にバイアルが吸収する湿分量の計算が作成される。次世代17mLバイアルの最大許容湿分負荷の計算を以下に示す:
【0146】
【表5】
【0147】
上に示した次世代17mLバイアルの最大許容湿分負荷は、以下に示すこれまでのバイアルの同じパラメータと対比され得る。
【0148】
【表6】
【0149】
17ml次世代バイアルの場合、バイアルの寿命にわたる平均侵入要件は、2.5グラムの乾燥剤スリーブ重量要件で、30℃/75%RHで346マイクログラム/日である。これまでのバイアルの場合、バイアルの寿命にわたる平均侵入要件は、6.3グラムの乾燥剤スリーブの重量で、1日あたり972マイクログラムだった。これは有意な差及び製造コストの節約を意味する。
【0150】
バイアルを30℃/75%RHで4週間試験した後、個々の侵入値をモデルを通して処理して、バイアルの寿命にわたる平均侵入の予測を生成した。その結果、2.75という非常に高いプロセス能力が実証された。図25を参照されたい。この母集団の変動係数は6%と非常に低い。
【0151】
次世代バイアルの性能は、これまでのバイアルと比較して著しく良好である。30℃/75%RHの設計環境条件下では、保管期間にわたる平均侵入は25%改善され、変動係数(標準偏差/平均)は42%減少される。図26を参照されたい。
【0152】
これはデータの管理上限(平均+3SD)を33%減少する。
(a)バイアル壁(ベースとキャップを含む)を通る水蒸気透過率(MVTR)。MVTRは、マイクログラム/mm2-日の単位ベースに変換することができる。データと仕様は、外部で30℃±2℃/80%±5%RH、内部で30℃±2℃/0%+5%RHの環境条件に基づく。MVTRは、使用する材料の種類とポリマーの厚さの関数である。特定のポリマーの場合、MVTRは厚さに反比例するため、厚さを2倍にすると、単位面積あたりのMVTRが50%減少する。
(b)シールを通過する湿分侵入。シール湿分侵入は、マイクログラム/mm-日の単位ベースに変換することができ、ここでmmはバイアルの周囲のシールの直線長さを指す。CSPデータ及び提示された仕様は、外部で30℃±2℃/80%±5%RH、内部で30℃±2℃/0%+5%RHの環境条件に基づく。シールを通る湿分侵入は、シールシステムの設計とシールの製造に用いられる製造品質との関数である。
【0153】
自己監視血中グルコース市場で典型的に使用される次世代バイアルの2つのサイズを試験した。小さい方のサイズは17mLバイアル又は容積と呼ばれ、大きい方のサイズは24mLバイアル又は容積と呼ばれる。これらのサイズは当業者に理解されている。17mL及び24mLの次世代バイアルの母集団について全体的な侵入率を試験し、結果は図28に含まれている。
【0154】
シール品質が両方の母集団間で同一であり、MVTR及びシールを通る水蒸気が実質的に等しいと仮定すると、各バイアルの総表面積とシール長さの比を使用して、一方の母集団は他方のサイズと正規化されることができ、理論上、平均侵入は同じであるはずである。
【0155】
【表7】
【0156】
図28に見られるように、結果は互いに3%以内で一致した。
【0157】
したがって、これらのサイズのバイアルについて、2つの母集団間のMVTRの平均効果は50%であり、シール侵入の平均効果は50%だったと仮定して、単位あたりのMVTR及びシール侵入の係数を計算した。
【0158】
【表8】
【0159】
MVTR係数はポリマーの特性及び壁厚に基づいているので、この係数は両方のバイアルについて一定に保たれた。シールの気密性又は品質が変動の主な原因であるので、この係数を各サイズのバイアルについて個別に計算し、計算結果が測定結果と可能な限り一致するようにした。
【0160】
【表9】
【0161】
シール侵入係数の範囲を決定するために、各母集団のUCL(平均+3*SD)及びLCL(平均-3*SD)を使用して、毎日4週間、30C/80%RHで測定した湿分シール侵入性能の変動を決定し、次いで各バイアルのデータをプロットし、各バイアルの侵入率として近似線形回帰線の勾配を使用した。
【0162】
UCLのシール係数は、実際の試験母集団のCpkが約2.0の計算されたUCLに対する能力(6シグマ能力)を示すまで増加した。
【0163】
【表10】
【0164】
図29及び30を参照すると、これまでのバイアルの性能を次世代バイアルシールの提案された性能と比較した場合、これまでのバイアルは設計基準を満たすことができないことが分かる。
【0165】
図31及び32を参照すると、追加のポリプロピレン内側リップ部シールを備えたこれまでのバイアルでさえ、次世代バイアルの基準と一致しない。
【0166】
図33を参照すると、次世代バイアルの侵入性能はこれまでのバイアルの性能よりも著しく良好であり、湿気に敏感な血中グルコース試験片の包装及び保護の要件を満たすのに必要な乾燥剤質量の大幅な削減を可能にする。
【0167】
次世代バイアルシールの性能は、任意選択的に、以下のように定義することができる、すなわち、0.0001グラムまで測定するのに十分な精度のスケールを用いて重量測定値を毎日取り、データをプロットし、線形回帰の勾配を使用してバイアルの全体的な湿分侵入を定義し、次に本体とキャップのMVTRを差し引き、mm単位で測定したシール長さで除算することによって4週間にわたって測定した場合、30℃±2℃/80%+/5%RHの外部環境及び30℃+/1 2℃/0%+5%RHの内部環境で測定された場合、シール長さの線形mm当たり4.3マイクログラム/日以下のシールを通る湿分侵入率を有すると定義することができる。
【0168】
現在開示されている技術は、特定の機能及びそれらの関係性の実装を示す機能的な構成要素の助けを借りて上に記載されている。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0169】
本発明を詳細に及びその特定の実施例を参照して記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
図1
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