(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】センサアレイ撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/89 20060101AFI20230216BHJP
G01S 15/89 20060101ALI20230216BHJP
A61B 5/11 20060101ALN20230216BHJP
G01V 1/32 20060101ALN20230216BHJP
G06T 1/00 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
G01S13/89
G01S15/89 B
A61B5/11 110
G01V1/32
G06T1/00 500B
(21)【出願番号】P 2020507069
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045625
(87)【国際公開番号】W WO2019032594
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504466834
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,クリストファー,フロイド
(72)【発明者】
【氏名】ポンナスプ ナジェンドラ,スカンダ プラサド
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0058191(US,A1)
【文献】特開平08-054379(JP,A)
【文献】特開昭63-091684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72- 1/82
G01S 3/80- 3/86
G01S 5/18- 5/30
G01S 7/00- 7/42
G01S 7/52- 7/64
G01S 13/00-13/95
G01S 15/00-15/96
A61B 5/11
G01V 1/32
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知した視野内のシーンの内容の画像を生成するシステムであって、
信号を送信するセンサ素子のセンサアレイと、
画像表示装置と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記センサアレイから時間空間のセンサ素子データを受信し、
前記時間空間のセンサ素子データを処理し、
前記処理した時間空間のセンサ素子データから、感知した視野内のシーンの内容を表す画像データを生成し、
前記時間空間のセンサ素子データを処理することは、前記時間空間のセンサ素子データの波場反転を実行することを含み、
前記センサアレイは、無線通信アンテナアレイ、レーダーアンテナアレイ、地震アンテナアレイ、および音響アンテナアレイからなる群から選択され、
前記画像データは前記画像表示装置に表示される、システム。
【請求項2】
前記センサアレイの前記センサ素子が所定の空間的配置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像データは、一次元、二次元および三次元の視野からなる群から選ばれる次元の前記感知した視野に応じた前記感知した視野内のシーンの内容を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサはさらに、
前記感知した視野の交差範囲の空間のサイズが前記センサアレイの交差範囲の空間のサイズよりも大きい場合、ゼロパディングを実行して、前記時間空間のセンサ素子データを、前記感知した視野の交差範囲の空間のサイズに変更し、
前記感知した視野の交差範囲の空間のサイズが前記センサアレイの交差範囲の空間のサイズよりも大きい場合、前記ゼロパディングした時間空間のセンサ素子データをセンサデータバッファに格納し、前記感知した視野の交差範囲の空間のサイズが前記センサアレイの交差範囲の空間のサイズよりも大きくない場合、前記時間空間のセンサ素子データを前記センサデータバッファに格納する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記画像データは、所定のデータサンプル間隔を有し、
所定のデータサンプル間隔は、前記センサアレイの前記センサ素子の所定の空間配置に比例し、場合によってはそれに等しい、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記感知した視野の交差範囲にわたるピクセルの総数は、前記センサアレイのセンサ素子の総数より多いか、または等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサはさらに、
前記センサアレイの第一の参照点位置を決定し、
前記感知した視野の第二の参照点位置を決定し、
前記第一の参照点位置と、前記第二の参照点位置と、前記センサアレイから送信された信号と、前記感知した視野のサイズとに基づき、参照フレネルフィールドデータを生成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサはさらに、
前記参照フレネルフィールドデータに対して空間離散フーリエ変換(DFT)を実行して、順方向ホイヘンス・フレネル転送データを形成し、
前記順方向ホイヘンス・フレネル転送データの複素数共役演算を実行して、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファに格納するための逆ホイヘンス・フレネル転送データを形成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの素子の総数は、前記感知した視野の交差範囲にわたるデータサンプルの総数に等しい、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサはさらに、各別の関連付けられた参照点および参照フレネルフィールドデータを有する1つまたは複数の視野を生成する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサはさらに、
前記センサデータバッファに対して空間DFTを実行し、その結果、センサ波数データバッファを得、
前記センサ波数データバッファの各データ要素を前記逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの対応する各データ要素で乗算し、
前記センサアレイから送信される前記信号がパルス圧縮波形である場合、前記センサ波数データバッファの各データ要素を、パルス圧縮のために前記センサアレイから送信される前記信号に一致するフィルタの対応するデータ要素で乗算し、
前記乗算されたデータ要素を直線スペクトルデータバッファに格納する、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサはさらに、
前記直線スペクトルデータバッファに対してストルトマッピングを実行し、角スペクトルデータバッファに格納するための、不均一にサンプリングされた角スペクトルデータを形成し、
前記不均一にサンプリングされた角スペクトルデータの、均一な再サンプリングを実行し、
前記均一に再サンプリングされた角スペクトルデータに対して空間逆DFTを実行し、前記画像データを生成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記センサアレイは、一次元センサアレイ、および二次元センサアレイのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサアレイは、多次元アレイおよび共形面アレイのうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサはさらに、前記センサアレイの1つまたは複数のセンサ素子を移動することにより得られる、またはセンサ素子の各別のセンサアレイのシステムにより得られる、複数のセンサ素子位置からのデータを統合し、
前記各別のセンサアレイのシステムのそれぞれのセンサアレイは、静止しているセンサアレイおよび移動するセンサアレイからなる群らから選ばれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサ素子は、所定の間隔を有しており、所定の波形を送信するものであり、
前記プロセッサはさらに、
前記センサアレイの空間参照点を決定し、
撮像対象の視野の空間参照点を決定し、
前記センサアレイの前記空間参照点と、撮像対象の前記視野の空間参照点との間の間隔を考慮するために、前記所定の波形に基づいて参照フレネルフィールドサンプルデータを生成し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータを含むデータバッファを生成し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータは、前記センサ素子の前記所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、撮像対象の前記視野の交差範囲データサンプルの総数に等しい、請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記センサアレイの前記空間参照点は、前記センサアレイの公称中心を特定する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
撮像対象の前記視野の前記空間参照点は、撮像対象の前記視野の公称中心を特定する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記センサ素子は、所定の間隔を有しており、所定の波形を送信するものであり、
前記プロセッサはさらに、参照フレネルフィールドデータの空間離散フーリエ変換を決定して、順方向ホイヘンス・フレネル転送バッファのための順方向ホイヘンス・フレネル転送データを生成し、
前記参照フレネルフィールドデータは、前記センサ素子の前記所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、撮像対象の前記視野の交差範囲データサンプルの総数に等しく、
前記プロセッサはさらに、前記順方向ホイヘンス・フレネル転送データの複素共役を決定して、逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのためのデータを生成する、請求項1記載のシステム。
【請求項20】
前記センサ素子は、所定の間隔を有しており、所定の波形を送信するものであり、
前記プロセッサはさらに、
前記センサアレイの空間参照点を決定し、
撮像対象の視野の空間参照点を決定し、
前記センサアレイの前記空間参照点と、撮像対象の前記視野の空間参照点との間の間隔を考慮するために、前記所定の波形に基づいて参照フレネルフィールドサンプルデータを生成し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータを含むデータバッファを生成し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータは、前記センサ素子の前記所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有し、
前記参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、撮像対象の前記視野の交差範囲データサンプルの総数に等しく、
前記プロセッサはさらに、
参照フレネルフィールドデータの空間離散フーリエ変換を決定して、順方向ホイヘンス・フレネル転送バッファのための順方向ホイヘンス・フレネル転送データを生成し、
前記順方向ホイヘンス・フレネル転送データの複素共役を決定して、逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのためのデータを生成し、
前記逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのデータを処理し、
前記画像表示装置に前記生成した画像データを表示し、
画像データの生成は、前記処理した逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのデータから前記感知した視野内の前記シーンの内容を表す画像データを生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのデータを処理することは、前記プロセッサがさらに、
前記所定の波形に対して空間離散フーリエ変換(DFT)を実行し、その結果、センサ波数データバッファを得、
前記センサ波数データバッファの各データ要素を前記逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの対応する各データ要素で乗算し、
所定の波形がパルス圧縮波形である場合、前記センサ波数データバッファの各データ要素を、パルス圧縮のために前記所定の波形に一致するフィルタの対応するデータ要素で乗算し、
前記乗算されたデータ要素を直線スペクトルデータバッファに格納し、
前記直線スペクトルデータバッファに対してストルトマッピングを実行し、角スペクトルデータバッファに格納するための、不均一にサンプリングされた角スペクトルデータを形成し、
前記不均一にサンプリングされた角スペクトルデータの、均一な再サンプリングを実行し、
前記均一に再サンプリングされた角スペクトルデータに対して空間逆DFTを実行し、前記感知した視野内のシーンの内容を表す前記画像データを生成する、ことを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記プロセッサはさらに、
第一の参照点位置、
1以上の第二の参照点位置、
前記センサアレイから送信された信号、および
感知した視野の1以上のサブシーンまたはフルシーンの1以上の交差範囲の1以上のサイズ、
に基づいて、1以上の時間空間領域の参照信号データセットを生成し、
参照フレネルフィールドデータの1以上のデータセットに対して1以上の空間離散フーリエ変換(DFT)を実行して、1以上の周波数波数領域の参照順方向ホイヘンス・フレネル転送データセットを形成し、
1以上の前記周波数波数領域の参照順方向ホイヘンス・フレネル転送データセットに複素数共役演算を実行して、1以上の逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファに格納するための逆ホイヘンス・フレネル転送データセットを形成する、請求項1記載のシステム。
【請求項23】
前記プロセッサはさらに、
前記時間空間のセンサ
素子デー
タの時間次元に対して時間離散フーリエ変換を実行し、その結果として、周波数空間センサデータバッファに保存された周波数空間センサデータを得、
前記センサアレイから送信される時間信号がパルス圧縮波形である場合に、前記周波数空間センサデータバッファの周波数次元の各データ要素を、パルス圧縮のために前記センサアレイから送信された前記信号のスペクトルに一致するフィルタの対応するデータ要素で乗算し、
前記周波数空間センサデータバッファに対して空間離散フーリエ変換を実行して、その結果を周波数空間センサデータバッファに格納し、
前記周波数空間センサデータバッファの各データ要素を、1以上の逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの対応する各データ要素で乗算し、前記感知した視野の1以上のサブシーンまたはフルシーンのスペクトルを表す周波数波数シーンデータを生成し、
前記周波数波数
シーンデー
タの乗算された前記データ要素を、周波数波数シーンデータバッファに格納する、請求項22記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月9日付で出願された米国仮出願第62/543,128号に基づく優先権を主張するものであり、当該仮出願の全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、データを取得するセンサアレイと、データを処理して、感知した視野内のシーンの内容の、一次元、二次元または三次元の画像を作成する手段とを含むシステムに関する。特に、本発明は、センサアレイを静止または移動させた状態で、センサアレイに近いまたは遠い視野内のシーンおよび物体の感知画像を形成することに関する。
【背景技術】
【0003】
センサアレイは、信号の送信と受信の両方で実用性が実証されている。送信時には、アレイを用いて、従来の方法でセンサアレイのファーフィールドに「ビーム」を形成し、送信信号エネルギーを関心領域に集中させ、それにより「視野」を作成することができる。受信時には、センサアレイは、伝統的に、ファーフィールド内の散乱体に反射された信号の到来角を推定するための1つまたは複数のステアリングしたビームを形成するのに用いられてきた。「散乱体」は、送信信号エネルギーを反射してセンサアレイに戻すことができる、視野内の点である。センサアレイは、ステアリングした送信ビームを関心領域に掃引し、視野内の散乱体からのエコーを探すことにより、遠方の物体の存在をサーチするのに用いられている。伝統的に、センサアレイには、ビームフォーミングとビームステアリングの手段が必要であり、これらは、従来、アレイ上のアナログ信号処理回路によって提供される。運用上は、センサアレイは、伝統的に、一連のステアリングされたビームを必要とし、各ビームは1つまたは複数のパルスを送信し、サーチ対象の視野に広がる必要がある。ビームベースのセンサアレイの遠方環境のサーチは、検索ボリュームをスキャンするのに必要な時間リソースという点で非常にコストが高く、また複数の掃引ビームの送信中に消費する必要がある電力リソース量という点で非常にコストが高い。さらに、従来の処理方法の制約により、アレイ検知の従来のビームフォーミングは、アレイの「ファーフィールド」でのみ物理的に可能である。ここで、「ファーフィールド」という概念は、伝統的に、アレイから十分に遠くて、アレイによって送信される電磁波または音響波面が下方範囲(down-range)の視野の近くでほぼ平面となるような距離を表す。従来の、いわゆる「フラウンホーファー平面波ビームフォーミング」の、このファーフィールドの制約は、ビームを形成するのに用いられるプロセスの性能に固有のものである。従来の平面波処理は、ファーフィールド距離にのみ存在する送受信フラウンホーファー平面波ビームを作成する。
【0004】
センサアレイの伝統的なニアフィールドで散乱体の位置を特定し、また伝統的なファーフィールドで散乱体の位置特定を強化するような、センサアレイデータを処理する手段と方法が求められている。ビームフォーミングおよびビームステアリングによるアプローチに代わり、センサアレイデータを処理する撮像ベースのアプローチが、このようなニーズを満たすであろう。撮像ベースのアプローチは、センサアレイの視野の内容の画像を提供しうる。ここで、視野画像内のピクセル強度とピクセル位置の値は、その視野内の反射散乱体の位置(範囲と角度)と強度の両方を示す。
【0005】
ビームベースのサーチ手順を画像ベースのサーチ手順に置き換える必要がある。センサアレイから画像を生成できるデータ処理方法は、撮像される視野内の個々の散乱体の正確な性質(位置/強度)に関するより多くの情報を提供しうる。伝統的なビームベースのサーチ方法では、限られたサイズの視野内で散乱体の範囲とかなり粗い位置角を特定することしかできない。
【0006】
さらに、静止センサアレイからの単一の送信パルスの送信により、拡張視野体積(すなわち、単一のフラウンホーファー平面波ビーム幅よりも大きい視野)をより迅速にサーチする手段が求められている。このニーズに対し、ボリュームサーチの掃引ビームまたはステアリングされた到来角の推定アプローチをアレイ検知で置き換える必要がある。単一の送信パルスから受信したエコーでアレイのデータを処理することにより拡大視野の内容の画像を形成できる場合、拡張ボリュームサーチに対する単一パルスアプローチを実現できる。単一パルス撮像法でサポートされる視野が掃引ビームベースのサーチ方法の伝統的なビーム幅よりも大きい場合、サーチ速度を上げることができる。
【0007】
「合成」アレイ撮像プロセスと組み合わせることができる、単一パルスの「本物の」センサアレイ撮像方法が求められている。「合成アレイ」と呼ばれるアレイ検知の一形式のための撮像方法が存在する。合成アレイは、一般に「合成開口レーダー」(SAR)と呼ばれるレーダーシステムで用いられる。合成アレイレーダーでは、単一のセンサ素子(アンテナ)が所定の(飛行)経路に沿って移動すると、典型的には、多くのパルスが送信および収集され、合成アレイを形成する。この単一のセンサ素子の動きにより、「合成」アレイが作成されるが、多くのパルスの送受信が犠牲になる。送信されるパルスの数を減らし、合成開口の形成に必要なセンサの移動量を減らすことにより、合成アレイ撮像法の効果を高める必要がある。本物の静止センサアレイからセンサアレイベースの画像を形成する手段が求められる。
【0008】
さらに、デジタルアレイの形の本物のアレイがより一般的になりつつある。デジタルアレイは、ビームを形成およびステアリングするためのアレイ上のアナログ処理に用いられていたアナログハードウェアを取り払う。デジタルアレイでは、複数のアナログ・デジタルコンバータを各アレイセンサ素子の近くに配置する。そして、デジタルデータは、コンピュータソフトウェアで処理するためにアレイ外に転送される。デジタルアレイを用いると、センサ素子データが各センサ素子からデジタルフォーマットで直接(アナログフラウンホーファービームフォーミングアナログ処理回路なしで)取得される。したがって、デジタルセンサアレイは、アレイ外デジタル処理をより洗練させる機会を提供する。
【0009】
静止デジタルセンサアレイからの単一パルスの送信と受信で画像を形成する新たな手段が求められている。また、センサアレイの近くおよび遠くから収集したデジタルデータを用いて、デジタルセンサアレイで画像を形成する必要がある。また、単一パルス静止デジタルセンサアレイの方法を、複数パルス移動センサアレイ、合成アレイの運用コンセプトと組み合わせる必要もある。「単一パルス・ドウェル」と呼べる、画像形成のために収集された単一パルスデータの集合は、SARに似たアプリケーションにおいてデジタルセンサアレイが移動するときに「複数パルス・ドウェル」に拡張できる。伝統的にセンサの動きを必要としていたSARに似た画像手法の性能(画像生成速度など)を改善するには、単一パルスで達成可能な画像手法を用いる必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本開示の技術は、デジタルセンサアレイからの単一パルスの送信および受信により拡大視野の画像を形成するシステムに関する。本開示の技術は、単一パルス静止センサアレイ運用に関する。また、本開示の技術は、複数パルス非静止センサアレイ運用に関する。
【0011】
本開示の技術の一態様は、感知画像(センシングされた画像)を生成するシステムに関する。システムは、波形信号を送信しエコーを受信することができる複数のセンサ素子を含むセンサアレイを含む。システムはまた、画像表示装置とプロセッサを含む。プロセッサは、センサアレイの送信波形からセンサ素子エコーデータを受信し、記録したセンサ素子データに対して時間離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を実行する。表示される視野のサイズがセンサアレイのサイズよりも大きい場合、プロセッサはゼロパディングを実行して、センサアレイから受信したセンサ素子データを、センサデータバッファに格納するための拡張視野のサイズに変更する。表示される視野のサイズがセンサアレイのサイズよりも大きくない場合、プロセッサはゼロパディングを行わずにセンサ素子データをセンサデータバッファに格納する。システムは、センサデータバッファに対して空間DFTを実行し、その結果、センサ波数データバッファを得る。プロセッサは、センサアレイの第一の空間参照点位置を決定する。プロセッサは、視野の第二の空間参照点位置を決定する。プロセッサは、送信波形に基づき、また拡張視野のサイズに基づき、また第一および第二の空間参照点位置に基づいて参照フレネルフィールドを生成し、参照フレネルフィールドデータを得る。プロセッサは、参照フレネルフィールドデータに対して空間DFTを実行して、順方向ホイヘンス・フレネル転送データを形成する。プロセッサは、順方向ホイヘンス・フレネル転送データに対して複素数共役演算を実行して、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファに格納するための逆ホイヘンス・フレネル転送データを形成する。プロセッサは、センサ波数バッファの各データ要素に、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの、対応する各データ要素と、従来のパルス圧縮の意味において送信波形に一致するフィルタの、対応する要素データとを乗算する。プロセッサは、乗算されたデータ要素を直線スペクトルデータバッファに格納する。プロセッサは、直線スペクトルデータバッファに対してストルトマッピングを実行し、角スペクトルデータバッファに格納するための、不均一にサンプリングされた角スペクトルデータを形成する。プロセッサは、不均一にサンプリングされた角スペクトルデータの、均一な再サンプリングを実行する。プロセッサは、均一に再サンプリングされた角スペクトルデータに対して空間逆DFTを実行し、視野の内容を示す潜在拡張視野の画像を生成する。プロセッサは、画像を画像表示装置に表示する。
【0012】
一実施形態において、センサ素子は、所定の空間的配置を有する。
【0013】
一実施形態において、視野の画像は一次元、二次元または三次元である。
【0014】
一実施形態において、視野の画像は所定のデータサンプル間隔を有する。
【0015】
一実施形態において、視野の画像の所定のデータサンプル間隔は、センサアレイのセンサ素子間の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい。
【0016】
一実施形態において、一次元、二次元、または三次元の視野の、方位角次元、仰角次元、または両方の交差範囲次元における交差範囲にわたるピクセルの総数は、センサアレイのセンサ素子の総数に等しい。一実施形態において、視野の交差範囲にわたるピクセルの総数は、センサアレイのセンサ素子の総数より少ないか、等しいか、または多い。
【0017】
一実施形態において、一次元、二次元、または三次元の、拡大または拡張視野の、方位角次元、仰角次元、または両方の交差範囲次元における交差範囲にわたるピクセルの総数は、センサアレイのセンサ素子の総数より多い。
【0018】
一実施形態において、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの素子の総数は、視野の交差範囲にわたるデータサンプル(画像ピクセル)の総数に等しい。
【0019】
一実施形態において、プロセッサは、各別の関連付けられた空間参照点、各別の参照フレネルフィールド、および各別の参照フレネルフィールドデータバッファを有する1つまたは複数の視野を生成する。
【0020】
一実施形態において、センサアレイは二次元センサアレイである。
【0021】
一実施形態において、センサアレイは、多次元アレイおよび共形面アレイのうちの少なくとも一方を含む。
【0022】
一実施形態において、プロセッサは、1つまたは複数のセンサアレイを移動することにより得られる、またはそれぞれ静止しているか移動する各別の複数のセンサアレイのシステムにより得られる、複数のセンサ位置からのデータを統合する。
【0023】
本開示の技術の別の態様は、参照フレネルフィールド信号を生成するためのシステムに関する。システムは、複数のセンサ素子を含むセンサアレイを含む。センサ素子は所定の間隔を有する。センサ素子はセンサ素子から送信される所定の波形を有していてもよい。システムは、プロセッサを含む。プロセッサは、センサアレイの空間参照点を決定する。プロセッサは、撮像対象の視野の空間参照点を決定する。プロセッサは、センサアレイと視野の空間参照点間の間隔を考慮するために、送信された波形に基づいて参照フレネルフィールドサンプルデータを生成する。プロセッサは、参照フレネルフィールドサンプルデータを含むデータバッファを生成する。参照フレネルフィールドサンプルデータは、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有し、これは、センサ素子間の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい。参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、視野の交差範囲データサンプルの総数に等しい。
【0024】
一実施形態において、センサアレイの空間参照点は、センサアレイの公称中心点位置を特定する。
【0025】
一実施形態において、視野の空間参照点は、視野の公称中心点位置を特定する。
【0026】
本開示の技術のさらなる態様は、逆ホイヘンス・フレネル転送信号を生成するためのシステムに関する。システムは、複数のセンサ素子を含むセンサアレイを含む。センサ素子は所定の間隔を有する。センサ素子はセンサ素子から送信される所定の波形を有していてもよい。システムは、プロセッサを含む。プロセッサは、参照フレネルフィールドデータの空間離散フーリエ変換を決定して、順方向ホイヘンス・フレネル転送バッファのための順方向ホイヘンス・フレネル転送データを生成する。参照フレネルフィールドデータは、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有し、これは、センサ素子間の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい。参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、視野の交差範囲データサンプルの総数に等しい。プロセッサは、順方向ホイヘンス・フレネル転送データの複素数共役を決定して、逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのためのデータを生成する。
【0027】
したがって、本発明は、いくつかのステップと、そのようなステップの1つまたは複数と他の各ステップとの関係、およびそのようなステップに影響を与えるようにした構成、要素の組み合わせ、および部品の配置の特徴を具現化する装置を含み、これらはすべて以下の開示の詳細において例示され、本発明の範囲は、特許請求の範囲において示される。
【0028】
本発明のより完全な理解のために、以下の説明および添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】
図1Aは、本開示の技術の一態様によるシステムのブロック図を示す。
【
図1C】
図1Cは、本開示の技術の一態様による均一線形センサアレイを示す。
【
図1D】
図1Dは、本開示の技術の一態様による不均一線形センサアレイを示す。
【
図1E】
図1Eは、本開示の技術の一態様による平面センサアレイを示す。
【
図1F】
図1Fは、本開示の技術の一態様による共形センサアレイを示す。
【
図1G】
図1Gは、本開示の技術の一態様によるセンサアレイのニアフィールドおよびファーフィールドの定義を示す。
【
図1H】
図1Hは、本開示の技術の一態様による、それぞれが平面アレイを有する20個の各別のセンサアレイ群により収集されたデータを示す。
【
図1I】
図1Iは、本開示の技術の一態様による、それぞれが平面アレイを有する20個のセンサアレイ群によって感知および記録されたデータを有する19個の各別の散乱体の集合の立体画像を示す。
【
図2】
図2は、先行技術のフラウンホーファービームフォーミングにおいて、単一パルス波形の送信による方位角における散乱体位置の解決に失敗した場合を示す。
【
図3】
図3は、本開示の技術の一態様による、単一パルスのエコーからの二次元視野画像を示す。
【
図4】
図4は、本開示の技術の一態様による、
図3の画像を生成する拡張視野内の散乱体の集合を示す。
【
図5】
図5は、本開示の技術の一態様による、単一パルスのエコーからの三次元視野画像を示す。
【
図6】
図6Aは、一列の点散乱体の二次元視野画像を示し、
図6Bは、本開示の技術の一態様による静止センサアレイにより取得された、対応する単一パルス視野画像を示す。
【
図7】
図7Aは、
図6Aの一列の散乱体の複数パルス・ドウェル視野画像を示し、
図7Bは、拡張複数パルス・ドウェル視野画像を示し、これらはともに、本開示の技術の一態様によるセンサアレイの移動により達成される。
【
図8】
図8は、本開示の技術の一態様による、センサアレイに比較的近い視野の画像(一次元)を示す。
【
図9】
図9は、本開示の技術の一態様による、センサアレイから比較的遠い視野の画像(一次元)を示す。
【
図10】
図10は、本開示の技術の一態様による、センサアレイ素子の間隔および視野の所定のデータサンプルの間隔を示す。
【
図11A】
図11Aは、本開示の技術の一態様による、近距離のセンサアレイデータの例を示す。
【
図11B】
図11Bは、本開示の技術の一態様による、中距離のセンサアレイデータの例を示す。
【
図11C】
図11Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離のセンサアレイデータの例を示す。
【
図12A】
図12Aは、本開示の技術の一態様による、近距離のゼロパディングセンサアレイデータの例を示す。
【
図12B】
図12Bは、本開示の技術の一態様による、中距離のゼロパディングセンサアレイデータの例を示す。
【
図12C】
図12Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離のゼロパディングセンサアレイデータの例を示す。
【
図13A】
図13Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の視野のセンサ波数データバッファの内容を示す。
【
図13B】
図13Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の視野のセンサ波数データバッファの内容を示す。
【
図13C】
図13Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の視野のセンサ波数データバッファの内容を示す。
【
図14】
図14は、本開示の技術の一態様による参照フレネルフィールドを示す。
【
図15A】
図15Aは、本開示の技術の一態様による、二次元フォーマットで提示される参照フレネルフィールドの例を示す。
【
図15B】
図15Bは、本開示の技術の一態様による、三次元フォーマットで提示される参照フレネルフィールドの例を示す。
【
図16】
図16は、本開示の技術の一態様による、センサアレイの交差範囲サイズ、ゼロパディングセンサアレイデータバッファ、拡張視野、参照フレネルフィールドデータバッファ、順方向ホイヘンス・フレネル転送関数、および逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの定義を示す。
【
図17A】
図17Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の参照フレネルフィールドデータバッファの内容の例を示す。
【
図17B】
図17Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の参照フレネルフィールドデータバッファの内容の例を示す。
【
図17C】
図17Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の参照フレネルフィールドデータバッファの内容の例を示す。
【
図18】
図18は、本開示の技術の一態様による、複数の受信視野を用いた全方向性信号送信の利用を示す。
【
図19A】
図19Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の視野の逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの内容を示す。
【
図19B】
図19Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の視野の逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの内容を示す。
【
図19C】
図19Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の視野の逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファの内容を示す。
【
図20A】
図20Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の視野の直線スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図20B】
図20Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の視野の直線スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図20C】
図20Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の視野の直線スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図21A】
図21Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の視野の角スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図21B】
図21Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の視野の角スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図21C】
図21Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の視野の角スペクトルデータバッファの内容を示す。
【
図22A】
図22Aは、本開示の技術の一態様による、直線スペクトルの表現がとりうるフォーマットの一つを示す。
【
図22B】
図22Bは、本開示の技術の一態様による、直線スペクトルの、不均一にサンプリングされた角スペクトルへのストルトフォーマット化を示す。
【
図22C】
図22Cは、本開示の技術の一態様による角スペクトルデータの均一な再サンプリングを示す。
【
図23A】
図23Aは、本開示の技術の一態様による
図1Aのシステムによって実行されるプロセスの例のフロー図を示す。
【
図23B】
図23Bは、本開示の技術の一態様による
図1Aのシステムによって実行されるプロセスの例のフロー図を示す。
【
図24】
図24は、本開示の技術の一態様による
図1Aのシステムによって実行されるプロセスの例の別のフロー図を示す。
【
図25】
図25は、本開示の技術の一態様による
図1Aのシステムによって実行されるプロセスの例のさらに別のフロー図を示す。
【
図26A】
図26Aは、本開示の技術の一態様による、近距離の視野の二次元画像を示す。
【
図26B】
図26Bは、本開示の技術の一態様による、中距離の視野の二次元画像を示す。
【
図26C】
図26Cは、本開示の技術の一態様による、遠距離の視野の二次元画像を示す。
【
図27】
図27は、ニアフィールド球面波による離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)に基づく先行技術の到来角(AoA:Angle-Of-Arrival)推定に失敗した場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明においては、関連する教示の完全な理解を提供するために、例として多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、そのような詳細なしに本教示を実施できることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本教示の態様を不必要に曖昧にするのを避けるために、公知の方法、手順、構成要素、および/または回路を詳細なしで比較的高レベルで説明した。
【0031】
本出願は、センサアレイの視野の内容の画像を作成するための処理をサポートするデータを収集するためにディスクリートセンサのアレイを利用するシステムに関するが、これに限定されない。
図1A~
図1Bは、単一パルス信号の送信により撮像を実行するセンサアレイ10を備えた例示的な信号処理システム1を示し、ここで単一パルス信号は、センサアレイ10のすべての送信/受信センサ素子によって同時に送信される。「単一パルス」は、連続波信号、パルス波形、周波数変調波形、複数のサブパルスで形成された複合パルス波形、位相変調波形、または他の多くの波形選択の可能性のうちの1つであり得る。
【0032】
センサアレイ10は、センサ素子のアレイを含んでいてもよい。各センサ素子はアンテナ素子であってもよい。各アンテナ素子はエコー信号を受信し、記述的なデジタルデータを提供してもよい。センサ素子のセンサアレイは、センサアレイ位置参照点に関連付けられてもよい。アレイ位置参照点は、センサアレイ10全体の公称位置を記述する空間点であってもよい。整合フィルタリングなどの従来のパルス圧縮方法が本システムにより用いられてもよい。
【0033】
センサアレイ10は、単一パルス信号を使用することによりセンサアレイ視野内の物体の散乱体を表す画像を形成するデジタルセンサアレイを含んでいてもよい。散乱体は、センサアレイ10によって送信された波形を反射するオブジェクトの一部またはシーンの一部である。画像は、データサンプル/ピクセル/ボクセルのアレイで構成され、散乱体エコー強度(サンプル/ピクセル/ボクセル振幅値による)、散乱体位相(複素サンプル/ピクセル/ボクセル位相値による)、および散乱体位置(視野画像内のサンプル/ピクセル/ボクセル位置値による)を記述することができる。
【0034】
センサアレイ10のセンサ素子は、所定の間隔を有していてもよい。例えば、
図1C~
図1Fに示すように、センサ素子間に所定の物理的間隔が存在してもよい。センサアレイ10は、
図1Cに示されるような一次元線形センサアレイであってもよい。センサ素子の所定の空間配置は、線形アレイの場合について
図1C~
図1Dによってそれぞれ示されるように、均一または不均一であってもよい。センサアレイ10は、
図1Eに示されるような二次元平面センサアレイであってもよい。センサアレイ10は、
図1Fに示されるような多次元共形表面アレイであってもよい。
【0035】
本発明の文脈において、「ニア(近く)」とは、センサアレイに対して、隣接することを含む、近距離にあり得る視野を意味する。本発明の文脈において、「ファー(遠く)」とは、長距離にあり得る視野を意味する。本発明の文脈における「ニア」と「ファー」の境界は、
図1Gに示されるように、伝統的な方法で形成されたフラウンホーファー平面波ビームのビーム幅が、センサアレイの交差範囲のサイズと、交差範囲の次元において同じサイズとなるようなセンサアレイ10から距離に定義される。
【0036】
センサアレイ10の視野の下方範囲の長さは、任意に設定されるか、任意の有限値によって境界付けられてもよい。視野の交差範囲(方位角、仰角、または両方)の長さは、任意に設定されるか、任意の有限値によって境界付けられてもよいが、少なくとも、交差範囲の次元で、センサアレイ10の交差範囲の長さと少なくとも同じ大きさであってもよい。
【0037】
センサアレイ10は、無線通信アンテナアレイ、レーダーアンテナアレイ、地震アンテナアレイ、ソナーアンテナアレイ、音響アンテナアレイ、および超音波アンテナアレイを含んでいてもよいが、これらに限定されない。センサアレイ10は、以下のうちの1つまたは複数を実行してもよい:ワイヤレス通信検知、マイクロ波電磁検知、ミリ波電磁検知、無線周波電磁検知、低周波電磁検知、超低周波音響検知、低周波音響検知、および高/超音波周波数音響検知。音響検知は、空気中または水中で生じてもよい。
【0038】
システム1は、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体12、プロセッサ15、および画像表示装置20または画像処理コンピュータ30を含んでいてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体12は、以下のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい:センサデータバッファ40、参照フレネルフィールドデータバッファ70、直線スペクトルデータバッファ80、角スペクトルデータバッファ90、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92、およびセンサ波数データバッファ43。プロセッサ15は、以下のうちの1つまたは複数を実行してもよい:空間順方向離散フーリエ変換48、参照点決定部50、参照フレネルフィールド生成部60、空間逆空間離散フーリエ変換62、およびストルトフォーマット生成部64。
【0039】
プロセッサ15は、20個のセンサアレイ位置の集合に対する2次元センサデータアレイバッファが示された
図1Hに示されるように、センサアレイを動かすことにより得られる、または静止または移動する各別のセンサアレイのシステムにより得られる、複数のセンサアレイ位置からのデータを統合してもよい。
図1Iは、
図1Hの複数のセンサアレイデータで生成された立体画像を示している。
【0040】
従来の到来角(AoA)パラメーター推定値または範囲(のみの)プロファイルを生成する従来の技術とは異なり(単一フラウンホーファー平面波ビームによって生成される従来の範囲プロファイルの例については
図2を参照)、プロセッサ15は、信号波形の送信および反射信号エコーの受信により視野画像を生成してもよい。
図3は、
図2において従来使用されたのと同じデータセットで生成された視野画像の例を提供する。視野画像は、画像表示装置20または画像処理コンピュータ30に表示されてもよい。
図3は、一次元センサアレイによる単一パルスのエコーからの二次元(下方範囲/交差範囲)画像を示している。
図3は、
図4のように分布する10個の点散乱体を含む視野の画像を示している。散乱体は、視野の内容を記述するものであってもよく、また、センサアレイ10からセンサアレイ10に戻り受信された送信信号の一部を反射するシーンコンテンツのローカライズされた要素として見てもよい。
図3で画像化された散乱体はすべて、センサアレイデータ処理への画像化アプローチにより範囲および方位角で解像される。
図2は、先行技術によって生成された
図4の視野の単一フラウンホーファービームの従来の範囲プロファイルを示している。先行技術では、散乱体の範囲位置のみが回復され、送信/受信ビームのステアリング角以外の角度情報は、方位角または仰角の散乱体位置について収集されない。
【0041】
視野画像は立体画像であってもよい。
図5は、本発明によって生成される例示的な視野立体画像を提供する。
図5は、19個の別個の散乱体を含む視野の画像を示し、すべての散乱体の位置は、センサアレイデータ処理に対する画像化アプローチによって達成されるように、範囲、方位角および仰角で解像される。
図5は、二次元センサアレイによる単一パルスのエコーからの三次元(立体)画像を示している。
図5は、撮像装置の三次元点拡がり関数(PSF)を示している。点拡がり関数は、単一の点散乱体に対してシステム1によって形成される画像の焦点合わせの質を記述するものであってもよい。視野が現実の環境に典型的な複数の散乱体を含む場合、結果の画像はよりリアルになる。例えば、
図6Aは、一列の街灯柱、フェンス柱、または、ばらばらの散乱体の集合が一列に構成される他の可能性から生じ得る散乱体の集合を示す。
図6Bは、単一の送信パルスで得られた、これらの街灯柱などの、画像表示装置20上に表示される例示的な二次元視野画像を示す。
図6A~
図6Bの視野は、
図6Aの水平線によって示されている伝統的なビーム幅およびアレイサイズを超えて交差範囲の次元で著しく拡大されている。
図7A~
図7Bはまた、単一パルスの送信に基づいて画像表示装置20に表示される画像の例を示す。
図7Aは、複数パルス・ドウェルおよびセンサアレイの動きから生じる点拡がり関数の改良を示す。
図7Bは、追加のパルスおよび追加のセンサの動きで複数パルス・ドウェルを拡張することにより達成されるさらなる改良を示す。
【0042】
視野画像は、
図1Bのシーン内参照点の位置に応じて、センサアレイ10に隣接させることを含めて、センサアレイ10の近くまたは遠くのいずれかに配置することができる。本発明の文脈において、「近い(ニア)」とは、
図1Gに示すように「ニアフィールド」距離範囲内にあり得る視野を意味し、一方、「遠い(ファー)」とは、
図1Gに示すように「ファーフィールド」距離範囲内にあり得る視野を意味してもよい。本発明の文脈における「ニアフィールド」と「ファーフィールド」の境界は、
図1Gに示されるように、伝統的な方法で形成されたフラウンホーファー平面波ビームのビーム幅が、センサアレイの交差範囲のサイズと、交差範囲の次元において同じサイズであるような、センサアレイからの距離として定義される。
【0043】
センサアレイ10の構成およびシステム1の処理オプションに応じて、視野画像は一次元画像であってもよい。
図8は、センサアレイの近くの視野の一次元画像の例を提供する。
図9は、センサアレイから比較的遠い視野の一次元画像の例を提供する。視野画像は、ピクセルの画像アレイによって提供されるような二次元画像であってもよい。
図3は2次元の視野画像の例を提供する。視野画像は、ボクセルベースの三次元画像アレイなどの三次元画像であってもよい。
図5は、三次元視野画像の例を提供する。
図3、
図5、および
図8~
図9はそれぞれ、視野内に1つまたは複数の点散乱体を含む。
【0044】
図10を参照して、一実施形態においては、視野画像は、任意の次元の所定の画像サンプル(ピクセル/ボクセル)間隔に関連付けられてもよい。センサアレイ10と位置合わせされた次元の視野画像の所定のサンプル間隔は、センサアレイ10のセンサ素子間の所定の間隔に比例してもよく、場合によってはそれに等しい。つまり、画像内の2つの隣接するピクセル(視野内における関連付けられた点)間の物理的距離は、センサアレイの物理的環境内の2つのセンサ素子間の物理的距離に比例し、場合によってはそれに等しい。例えば、センサ素子間の所定の間隔は、送信正弦波形の波長の半分に設定してもよい。同様に、画像サンプル間隔の所定の距離も、この信号の波長の半分に設定してもよい。
図10では、センサアレイ10内の各黒点はセンサ素子を表してもよく、黒点間の空間はセンサ素子の間隔を表してもよい。
図10では、右側の各黒点は、プロセッサ15によって構築された画像サンプル(ピクセル/ボクセル)アレイ内の画像ピクセルの点を表してもよい。各ピクセルは、視野の物理的環境内の場所に関連付けてもよい。視野の画像が1次元画像の場合、黒い点は、線上のデータサンプル位置を表す。視野の画像が二次元画像の場合、黒い点は、画像内のピクセル位置と、対応する視野内の位置とを表す。視野の画像が三次元画像の場合、黒い点は、画像内のボクセル位置と、対応する三次元視野内の位置とを表す。引き続き
図10を参照して、視野画像の交差範囲にわたるピクセルの総数は、センサアレイ10内のセンサ素子の総数以上であってもよい。「交差範囲」は、センサアレイ10の位置と視野の公称中心位置とを結ぶ線に直交する方向(例えば、方位角、仰角)を指してもよい。
【0045】
一実施形態において、センサアレイ10は、静止センサアレイを含んでいてもよい。あるいは、プロセッサ15は、センサアレイ10の移動を命令し、センサ移動経路に沿った各位置で単一パルスのエコーからデータを収集し、これにより、複数のパルスから複数のエコーを収集し、(従来のSAR処理方法と比較して)より迅速に視野画像内で達成される交差範囲解像度をセンサアレイ10の交差範囲サイズに比例する値に改善してもよい。プロセッサ15は、より多くのパルスおよびより長いセンサ移動経路から、または(従来の「逆SAR」システムで行われるように)移動視野からデータをさらに収集し、交差範囲解像度を、
図6~
図7に示すように送信信号波長に比例する値に改善してもよい。
【0046】
システム1は、センサアレイ10からセンサ素子データを受信するためのセンサデータバッファ40を含んでいてもよい。センサデータバッファ40の内容の例が
図11A~
図11Cに示されており、ここではセンサアレイ10から近距離、中距離および遠距離で収集されたセンサアレイデータの例が示されている。プロセッサ15は、受信したセンサ素子データに対してゼロパディングを実行してもよい。ゼロパディングを行ったセンサデータバッファ40の内容の例が
図12A~
図12Cに示されており、ここではセンサアレイデータの例がセンサアレイ10から近距離、中距離および遠距離で収集され、センサアレイデータの各辺において部分的なゼロパディングが行われている。ゼロパディングの合計サイズは、視野画像内のサンプル数からセンサアレイのサイズ(センサ素子の数)を引いたサイズに等しくてもよい。センサアレイサイズ(センサ素子の数)と視野画像サイズ(画像サンプルの数)が同じ場合、ゼロパディングは不要であってもよい。視野の最小サイズは、センサアレイ10のサイズに設定してもよい。
【0047】
プロセッサ15は、センサデータバッファ40に対して時間離散フーリエ変換を実行し、センサデータバッファ40に対して空間離散フーリエ変換を実行して、センサアレイ10によって受信された、ゼロパディングした時間空間データを周波数波数領域に変換してもよい。周波数波数領域は、センサ波数バッファ43に配置されるデータである。センサ波数バッファ43の内容の例が
図13A~
図13Cに示されており、ここではセンサアレイ10から近距離、中距離および遠距離について処理したセンサ波数データの例が示されている。
【0048】
プロセッサ15は、送信波形に応じて設計されたパルス圧縮整合フィルタのスペクトルデータとの乗算によるセンサ波数データバッファ43のデータを乗算することにより、典型的にはレーダーシステムで行われるように従来の波形パルス圧縮を実行してもよい。プロセッサ15は、必要に応じて、整合フィルタスペクトルとセンサ波数バッファデータの乗算により、パルス圧縮整合フィルタリングを実行してもよい。
【0049】
プロセッサ15は、センサアレイ10の空間参照点と視野の空間参照点を決定してもよい。これらの空間参照点は、センサアレイ10と視野の位置を特定する。例えば、プロセッサ15は、参照点決定部50を実行し、また参照フレネルフィールド生成部60を実行してもよい。参照点決定部50は、センサアレイ10の公称中心点位置を特定する空間参照点を決定してもよい。参照点決定部50は、プロセッサ15に実行されると、視野の公称中心点位置を特定する空間参照点を決定してもよい。視野とセンサアレイ10の両方の空間参照点は、典型的には航空機または人工衛星の合成アレイレーダーシステムで用いられる位置決定および動き補償システムによって決定されてもよい。
【0050】
プロセッサ15は、参照フレネルフィールドサンプルデータを生成してもよく、これはセンサアレイ10の空間参照点と視野との距離または間隔を示すものであり、また、
図14に示すように、センサアレイと視野のサイズの交差範囲差異を示す。参照フレネルフィールド生成部60は、
図14に示すように、原点としてセンサアレイ10の空間位置参照点を有し、目標として視野の空間位置参照点を有する参照フレネルフィールドを決定してもよい。
図15A~
図15Bに示されているような参照フレネルフィールドは、場合により多色の(通過帯域)送信波形の各単色スペクトル要素について空間等方性正弦波場を含んでいてもよい。
図15Aは、二次元形式の単色(センサアレイ送信波形について選択された連続波信号の選択に対応する)参照フレネルフィールドを示す。
図15Bは、3次元形式の単色(単一周波数)参照フレネルフィールドを示す。
図14に示されるように、視野内の画像サンプル位置は、参照フレネルフィールドのサンプルデータを決定する。視野画像サンプル位置に沿って決定された参照フレネルフィールドサンプルデータは、参照フレネルフィールドデータバッファ70に保存される。プロセッサ15は、センサ素子の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照信号データのサンプル間隔を用いて、また、
図16に示すように、視野の交差範囲データサンプルの総数および視野画像の対応するピクセル数と同一の交差範囲次元のデータサンプルの総数を用いて、参照フレネルフィールドデータバッファ70のような、参照フレネルフィールドサンプルデータを含むデータバッファを生成してもよい。参照フレネルフィールドデータバッファ70に保存された参照フレネルフィールドサンプルデータの例が
図17A~
図17Cに示されている。参照フレネルフィールド生成部60によって作成された参照フレネルフィールドは、システム1と視野の間の空隙に広がる電磁場または音響場を特徴づける、拡張された(視野画像がセンサアレイサイズよりも大きい可能性があるため)、等方性、高調波、単色または多色の参照フレネル波場であってもよい。システム1と視野との間の空隙の範囲は、視野とセンサアレイ10の空間位置参照点によって決定されてもよい。
【0051】
プロセッサ15は、それぞれが各別の視野参照点を有する1つまたは複数のばらばらな視野を生成してもよい。したがって、各別のフレネル参照信号が生成されて、参照データが各別の参照フレネルフィールドデータバッファ70に配置される。
図18は、自動運転車を含む1つの応用について定義された複数の立体視野の適用例を示している。
図18は、複数の視野ボックス1402で構築された立体画像を示している。センサアレイが電磁式であり、例として自動運転車に用いた場合、複数の視野画像が、車の周囲環境全体の立体撮像機能を提供してもよい。電磁センサアレイには、昼夜両方の動作による検知という利点があり、悪天候での検知という利点があってもよい。悪天候には、様々な可能性のうち、雨、氷、雪などが含まれていてもよい。
【0052】
プロセッサ15は、参照フレネルフィールド生成部60によって生成され、参照フレネルフィールドデータバッファ70に格納されたデータに対して空間順方向離散フーリエ変換48を実行し、その結果を逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92に格納してもよい。一実施形態では、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92に含まれるデータサンプルの総数は、参照フレネルフィールドデータバッファ70のデータサンプルの数に等しくてもよい。プロセッサ15は、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92の複素数共役演算を実行して、それにより逆ホイヘンス・フレネル伝達関数を作成してもよい。逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92の内容の例が
図19A~
図19Cに示されており、ここでは、センサアレイ10からの近距離、中距離および遠距離の逆ホイヘンス・フレネル伝達関数生成の例が示されている。プロセッサ15によって実行される参照フレネルフィールドのこの多次元空間離散フーリエ変換および複素共役により、波数領域で動作する等方性のホイヘンス・フレネル波場インバーターが作成される。従来の信号処理技術とは異なり、等方性波動伝播に基づくホイヘンス・フレネル波場反転関数は、従来のセンサアレイビームフォーミング方法でよく用いられるフラウンホーファー平面波の仮定を置き換える。参照フレネルフィールド生成部60は、球面(等方性)波場モデルを実装し、これは従来の信号処理技術で用いられる平面波近似を取り除くものである。
【0053】
センサ波数データバッファ43の各素子は、逆ホイヘンス・フレネルデータバッファ92の各対応する素子と接続されて、複数の信号経路を形成してもよい。
図1Bを参照すると、信号経路は、乗算記号94につながる矢印である。プロセッサ15は、センサ波数データバッファ43の内容を逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92で乗算してもよい。センサ波数データバッファ43の各要素は、逆ホイヘンス・フレネルデータバッファ92の内容の対応する要素で、また場合によっては従来のパルス圧縮整合フィルタのスペクトル要素で、乗算してもよい。センサ波数データバッファ43と逆ホイヘンス・フレネルデータバッファ92との対応する要素は、波数領域データ要素のペアリングであってもよい。
【0054】
システム1は、乗算結果を受信するための直線スペクトルデータバッファ80を含んでいてもよい。直線スペクトルデータバッファ80の内容の例が
図20A~
図20Cに示されており、ここではセンサアレイ10から近距離、中距離および遠距離の直線スペクトルデータの例が示されている。プロセッサ15は、ストルトフォーマット生成部64を用いたストルトフォーマット化により、直線スペクトルデータバッファ80を角スペクトルデータバッファ90に変換してもよい。角スペクトルデータバッファ90は、波数領域において不均一に間隔が空けられている。一例において、従来のストルトフォーマット処理で必要とされるように、直線スペクトルデータバッファ80は一次元であり、角スペクトルデータバッファ90は二次元である。角スペクトルデータバッファ90の内容の例が
図21A~
図21Cに示されており、ここではセンサアレイ10から近距離、中距離および遠距離の角スペクトルデータの例が示されている。
【0055】
ストルトフォーマット生成部64はまた、角スペクトルデータバッファ90に適用されて、
図22A~
図22Bに示されるような画像スペクトルを生成してもよい。ストルトフォーマット生成部64は、角スペクトルデータバッファ90の要素を均一に再サンプリングして、
図22Cに示すような視野画像スペクトルのフーリエ変換可逆スペクトルを作成する。
【0056】
図23A~
図23Bは、プロセッサ15によって実行されるフロー図の例を示す。102において、プロセッサ15はセンサアレイ10からエコーセンサ要素データを受信し、センサ要素データに対して時間離散フーリエ変換が実行され、センサアレイによって収集された波形エコーデータの受信時間空間形式の周波数空間表現を提供してもよい。周波数空間形式のセンサアレイデータの例が
図11A~
図11Cに示されている。103において、プロセッサ15は、視野のサイズがセンサアレイ10のサイズよりも大きいかどうかを判定する。104aにおいて、視野のサイズがセンサアレイ10のサイズより大きい場合、プロセッサ15は、ゼロパディングを実行して、周波数空間センサ要素データを、センサデータバッファ40に格納するための視野のサイズに修正してもよい。ゼロパディングセンサアレイデータの例が
図12A~
図12Cに示されている。視野とセンサアレイ10のサイズが同じ場合、ゼロパディングは不要であってもよい。104bにおいて、プロセッサはセンサ要素データをセンサデータバッファ40に格納する。105において、プロセッサ15は、場合によりゼロパディングされるセンサデータバッファ40の空間離散フーリエ変換を実行して、センサ波数データバッファ43を生成してもよい。空間DFTは、センサデータバッファ40の場合によりゼロパディングされるセンサアレイデータの周波数空間表現をセンサ波数データバッファ43の周波数波数領域データに変換する。センサアレイ10からの近距離、中距離、および遠距離の視野についてのセンサ波数データバッファ43の例が
図13A~
図13Cに示されている。106において、プロセッサ15は、センサアレイ10の第1の参照点位置と視野の第2の参照点位置を決定してもよい。108において、センサアレイ10および視野の第1および第2の参照点位置に基づいて、またセンサアレイ10から送信された信号波形に基づいて、また視野のサイズに基づいて、プロセッサ15は、参照フレネルフィールドを生成して、参照フレネルフィールドデータを取得してもよい。110において、プロセッサ15は、参照フレネルフィールドデータに対して空間DFTを実行して、順方向ホイヘンス・フレネル転送データを形成してもよい。111において、プロセッサ15は、順方向ホイヘンス・フレネル転送データに対して複素数共役演算を実行して、逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92に格納するための逆ホイヘンス・フレネル転送データを形成してもよい。センサアレイ10からの近距離、中距離、および遠距離の視野についての逆ホイヘンス・フレネル転送データの例が
図19A~
図19Cに示されている。112において、プロセッサ15は、センサ波数データバッファ43のデータ要素を逆ホイヘンス・フレネル転送データバッファ92の対応するデータ要素で乗算してもよい。113において、センサアレイ10から送信された信号波形がパルス圧縮波形である場合、プロセッサ15は、センサ波数データバッファ43の各データ要素を、パルス圧縮のためにセンサアレイ10から送信された信号波形に一致するフィルタの対応するデータ要素で乗算してもよい。従来の波形整合フィルタリングは、センサ波数データバッファ43を、センサアレイ10によって送信される信号波形の整合フィルタのスペクトルの対応するデータ要素で乗算することにより実行してもよい。114において、プロセッサ15は、ステップ112の乗算されたデータ要素を直線スペクトルデータバッファ80に格納してもよい。センサアレイ10からの近距離、中距離、および遠距離の視野についての直線スペクトルデータの例が
図20A~
図20Cに示されている。116において、プロセッサは、直線スペクトルデータバッファ80に対してストルトマッピングを実行し、不均一にサンプリングされた角スペクトルデータを形成してもよい。不均一にサンプリングされた角スペクトルデータは、角スペクトルデータバッファ90に格納される。センサアレイ10からの近距離、中距離、および遠距離の視野についての角スペクトルデータの例が
図21A~
図21Cに示されている。ステップ117において、プロセッサ16は、角スペクトルデータバッファ90を均一に再サンプリングしてもよい。ステップ118において、プロセッサは、均一に再サンプリングされた角スペクトルデータに対して空間逆DFTを実行して、センサアレイ10からの近距離、中距離、および遠距離の視野について、
図26A~
図26Cの単一の散乱体に対して示されるような画像を生成してもよい。画像は、視野の内容を示していてもよい。ステップ120において、プロセッサ15は、画像表示装置20に表示するための画像をフォーマットしてもよい。
【0057】
図24は、プロセッサ15によって実行されるフロー図の別の例を示す。240において、プロセッサは、センサアレイ10の空間参照点を決定してもよい。242において、プロセッサは、撮像対象の視野の空間参照点を決定してもよい。244において、プロセッサは、センサアレイと視野との空間参照点の間隔を考慮するために、センサアレイ10から送信された所定の波形に基づいて参照フレネルフィールドサンプルデータを生成してもよい。送信された波形が単色連続波信号ではない場合、プロセッサは、244で、時間DFTを実行してもよい。プロセッサに244で時間DFTを実行させ得る多色波形の例には、通過帯域における単一パルス信号が含まれていてもよい。246において、プロセッサは、参照フレネルフィールドサンプルデータを含むデータバッファを生成してもよい。参照フレネルフィールドサンプルデータは、センサアレイ10のセンサ素子間の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有していてもよい。参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、視野の交差範囲データサンプルの総数に等しくてもよい。
【0058】
図25は、プロセッサ15によって実行される処理例のさらに別のフロー図を示す。250において、プロセッサは、参照フレネルフィールドデータの空間離散フーリエ変換を決定して、順方向ホイヘンス・フレネル転送バッファのための順方向ホイヘンス・フレネル転送データを生成してもよい。参照フレネルフィールドサンプルデータは、センサアレイ10のセンサ素子間の所定の間隔に比例し、場合によってはそれに等しい、参照フレネルフィールドデータサンプル間隔を有していてもよい。参照フレネルフィールドサンプルデータのフレネルフィールドデータサンプルの総数は、視野の交差範囲データサンプルの総数に等しくてもよい。252において、プロセッサは、順方向ホイヘンス・フレネル転送データの複素共役を決定して、逆ホイヘンス・フレネル転送バッファのためのデータを生成してもよい。
【0059】
本開示の技術は、センサアレイによって用いられる複数パルスビームフォーミング/ビームステアリングアプローチを単一パルス撮像アプローチに置き換える。本開示の技術は、従来のフラウンホーファー平面波ベースのビームフォーミングの代わりとなる撮像を提供する。特に、従来の技術で提示されたセンサアレイデータの到来角およびビーム形成/ビームステアリングに基づく処理の制約を克服するため、また、拡張されうる視野の内容の一次元、二次元、または三次元の撮像機能を提供するため、本開示の技術は、以下の機能を実装している。
【0060】
第1に、本開示の技術は、従来のセンサアレイ機能のコアの平面波近似を取り除き、基本的な平面波システムの構築を球面(等方性)波場モデルに置き換える。
【0061】
第2に、本開示の技術は、ビーム形成に必要なアレイ上のアナログ結合を取り除く。例えば、本開示の技術は、本開示のシステムと撮像対象の拡張視野の間隙に広がる電磁場または音響場を特徴づける、拡張された、等方性、高調波、参照、単色または多色のフレネル波場を作成する。本開示の技術は、波場反転演算子を作成する。これは、逆ホイヘンス・フレネル転送とも呼ばれる。これらの等方性波場インバーターは、多次元フーリエ変換と参照フレネル波場の複素数共役によって作成される。本開示の技術は、離散フーリエ変換を実行して、アレイによって受信された時間空間データを周波数波数領域に変換する。本開示の技術は、波数領域で実行される単純な乗算により逆ホイヘンス・フレネル転送で感知された波動場を反転する。このフーリエ変換されたデータは、直線スペクトルを含む。本開示の技術は、フーリエ移動を介して、反転感知波場直線スペクトルを視野の内容のスペクトルを示す角スペクトルに変換し、結果として生じるフーリエ移動データは不均一な間隔を有する。ストルトフォーマット演算子は、角スペクトルを生成するフーリエ変換で用いられる。本開示の技術は、角度スペクトルを均一に再サンプリングして、画像スペクトルのフーリエ変換可逆スペクトルを作成する。逆フーリエ変換を実行して、感知された視野の内容の一次元、二次元、または三次元の画像を作成する。
【0062】
図27は、線形センサアレイを備えたニアフィールドセンサにおける先行技術の失敗の領域を示す。
図27は、入射平面波および球面波場によるDFTベースのAoA推定値を示している。ニアフィールド散乱体は球面波場を生成し、有効なAoA推定値を解決し提供することができない。対照的に、
図8は、センサアレイのニアフィールドにおける単一の散乱体のAoA推定値の作成における本技術の成功を示している。
【0063】
図8は、先行技術のニアフィールドにおけるアレイ検知の失敗について本開示の技術が解決に成功したことを示している。
図8は、本開示の技術の一態様による画像表示装置20に表示されるニアフィールドにおける交差範囲画像を示す。
【0064】
図9は、先行技術のファーフィールドの拡張視野におけるアレイ検知の失敗について本開示の技術が解決に成功したことを示しており、
図9は、本開示の技術の一態様によるファーフィールド拡張視野における交差範囲画像を示す。特に、この例の図は、ゼロパディングセンサアレイデータの値を、より大きく遠い視野のサイズに合わせて示している。センサアレイ内のセンサ素子の数は、従来、ビームパターンのメインローブの一部のみにまたがる交差範囲画像のみをサポート可能であり、これは従来技術により形成されたフラウンホーファービームのメインローブにほぼ対応する。ゼロパディングにより、遠方散乱体のメインローブとサイドローブの両方の特性を、単一の送信パルスでプローブされた拡張視野内で、交差範囲画像点拡がり関数で表現できるようになる。
【0065】
図4は、視野内の散乱体を示す(線2002はアレイサイズを示し、線2004は視野におけるビーム幅を示し、線2006は処理視野を示す)。
【0066】
図2は、先行技術が散乱フィールドの範囲/交差範囲画像を提供できず、単一のフラウンホーファー平面波ビームの従来の範囲プロファイルのみを生成することを示している。
【0067】
したがって、上記説明から明らかになる目的のうち、上記目的が効率的に達成され、上記方法の実施、および示された構成について、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく一定の変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるものとする。
【0068】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載の本発明の一般的および特定の特徴のすべてを網羅することを意図することも理解されたい。また本発明の範囲についてのすべての記載は、言語の問題として、その範疇にあると言える。
【0069】
本開示の技術の特定の実装は、現在最も実用的と考えられるものおよびさまざまな実装に関連して説明されているが、本開示の技術は、開示された実装に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正および同等の配置を網羅することを意図したものであることを理解されたい。ここでは特定の用語が用いられているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ用いられており、限定する目的で用いられているものではない。
【0070】
例えば、本開示の技術は、自動運転車用のレーダーセンサアレイと、空中ドローン交通の監視用のレーダーセンサアレイを含んでいてもよい。本開示の技術は、他の多くの可能性の中でも特に、地震探査、レーダーおよびソナーにおける防衛および民間の用途、および医療用超音波画像装置のための、コンピュータによる撮像を実装し得る。本開示の技術は、第5世代(Fifth Generation:5G)ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution:LTE)ワイヤレス通信およびデータネットワークの一部としての複数入力/複数出力(multiple-input/multiple-output:MIMO)アレイ処理プロトコルでのユーティリティによる電磁ベース通信を含む、複数の目的に役立つ。本開示の技術は、MIMO基地局がセンサアレイ撮像を利用し、それによりセンサアレイの視野内に存在するモノのインターネット(Internet-of-Things:IOT)内のエンティティなどの固定および移動送信機の位置を特定できるようにしてもよい。
【0071】
本開示の技術の特定の実装は、本開示の技術の実装例によるシステム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品のブロック図およびフロー図を参照して、上に説明されている。ブロック図およびフロー図の1つまたは複数のブロック、およびブロック図およびフロー図のブロックの組み合わせは、それぞれコンピュータ実行可能プログラム命令によって実施できることが理解されるであろう。同様に、本開示の技術のいくつかの実装によれば、ブロック図およびフロー図のいくつかのブロックは、必ずしも提示された順序で実行される必要はなく、あるいはまったく実行されなくてもよい。
【0072】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能させることができるコンピュータ読み取り可能メモリに格納してもよく、その結果、コンピュータ読み取り可能メモリに格納された命令は、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定された1つまたは複数の機能を実施する指示手段を含む製品を生成する。
【0073】
本開示の技術の実施により、コンピュータプログラム製品を提供してもよく、当該コンピュータプログラム製品は、具現化されたコンピュータ読み取り可能プログラムコードまたはプログラム命令を有するコンピュータ利用可能媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能プログラムコードが、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定される1つまたは複数の機能を実施するために実行されるような、コンピュータ利用可能媒体を含む。コンピュータプログラム命令をコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードして、一連の動作要素またはステップをコンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行して、コンピュータにより実施されるプロセスを生成し、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行される命令が、フロー図の1つまたは複数のブロックで指定された機能を実施するための要素またはステップを提供するようにしてもよい。
【0074】
したがって、ブロック図およびフロー図のブロックは、指定された機能を実行する手段の組み合わせ、指定された機能を実行する要素またはステップの組み合わせ、および指定された機能を実行するプログラム命令手段をサポートする。また、ブロック図とフロー図の各ブロック、およびブロック図とフロー図のブロックの組み合わせは、指定された機能、要素、手順、または専用ハードウェアとコンピュータの命令の組み合わせを実行する専用のハードウェアベースのコンピューターシステムで実施できることも理解される。
【0075】
本明細書では、例を用いて、ベストモードを含む本開示の技術の特定の実施を開示し、また、当業者が、任意の装置またはシステムを作成および使用し、組み込まれた任意の方法を実行することを含め、本開示の技術の特定の実装を実施できるようにする。本開示の技術の特定の実装の特許可能な範囲は、特許請求の範囲で定義されており、当業者が思い付く他の例を含んでいてもよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の字義どおりの構造要素を持っている場合、または特許請求の範囲の字義と実質的な違いを持たない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。