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特許7228584光学ベンチを用いるヘッドマウント拡張現実デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】光学ベンチを用いるヘッドマウント拡張現実デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230216BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20230216BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B7/00 B
H04N5/64 511A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020522734
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 IL2018051127
(87)【国際公開番号】W WO2019077614
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】62/575,477
(32)【優先日】2017-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504354265
【氏名又は名称】ラマス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グリーンシュタイン,ヤーコフ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ウリ
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,シュムエル
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/037089(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146802(US,A1)
【文献】特開平09-101479(JP,A)
【文献】特開2008-035146(JP,A)
【文献】特開2008-134471(JP,A)
【文献】特開平05-196898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01,27/02
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実のシーンを見るユーザに拡張現実表示を表示するためのヘッドマウント拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
(a) 前記ユーザの右眼のための右光学モジュール及び前記ユーザの左眼のための左光学モジュールを含む光学モジュールのペアであって、前記光学モジュールの各々は、光ガイドに光学的に結合されたコリメート表示ソースを含み、前記光ガイドは、少なくとも部分的に透明であるとともに、前記コリメート表示ソースによって投射された画像照明をカップリングアウト領域に誘導し、画像照明の少なくとも一部を前記カップリングアウト領域から前記ユーザの眼に向けて外へ結合するように構成される、光学モジュールと;
(b) 前記ユーザの頭部によって支持されるように、前記ユーザの前記頭部と係合するように構成される支持構造と;
(c) 光学ベンチであって:
(i) 前記右光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第1のセットと;
(ii) 前記左光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第2のセットと;
(iii) 前記支持構造に対して前記光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置と;を有する、
光学ベンチと;を有し、
前記光学ベンチは、前記光学モジュールのペアと前記支持構造との間に唯一の機械的接続を提供し、
前記アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、少なくとも1つの平面アライメント面と、前記少なくとも1つの平面アライメント面に対して前記光学モジュールの既知の基準位置を位置付けるための少なくとも2つの位置付け機構とを有し、
前記少なくとも2つの位置付け機構は、前記光学モジュールの前記カップリングアウト領域間の瞳間距離の調整のための1自由度を提供するように構成される、
デバイス。
【請求項2】
現実のシーンを見るユーザに拡張現実表示を表示するためのヘッドマウント拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
(a) 前記ユーザの右眼のための右光学モジュール及び前記ユーザの左眼のための左光学モジュールを含む光学モジュールのペアであって、前記光学モジュールの各々は、光ガイドに光学的に結合されたコリメート表示ソースを含み、前記光ガイドは、少なくとも部分的に透明であるとともに、前記コリメート表示ソースによって投射された画像照明をカップリングアウト領域に誘導し、画像照明の少なくとも一部を前記カップリングアウト領域から前記ユーザの眼に向けて外へ結合するように構成される、光学モジュールと;
(b) 前記ユーザの頭部によって支持されるように、前記ユーザの前記頭部と係合するように構成される支持構造と;
(c) 光学ベンチであって:
(i) 前記右光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第1のセットと;
(ii) 前記左光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第2のセットと;
(iii) 前記支持構造に対して前記光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置と;を有する、
光学ベンチと;を有し、
前記光学ベンチは、前記光学モジュールのペアと前記支持構造との間に唯一の機械的接続を提供し、
前記アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、少なくとも1つの平面アライメント面と、前記少なくとも1つの平面アライメント面に対して前記光学モジュールの既知の基準位置を位置付けるための少なくとも2つの位置付け機構とを有し、
前記右光学モジュールを位置合わせするための前記少なくとも1つの平面アライメント面と、前記左光学モジュールを位置合わせするための前記少なくとも1つの平面アライメント面は、互いに相対的に傾斜して、両眼輻輳の角度を規定する、
バイス。
【請求項3】
現実のシーンを見るユーザに拡張現実表示を表示するためのヘッドマウント拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
(a) 前記ユーザの右眼のための右光学モジュール及び前記ユーザの左眼のための左光学モジュールを含む光学モジュールのペアであって、前記光学モジュールの各々は、光ガイドに光学的に結合されたコリメート表示ソースを含み、前記光ガイドは、少なくとも部分的に透明であるとともに、前記コリメート表示ソースによって投射された画像照明をカップリングアウト領域に誘導し、画像照明の少なくとも一部を前記カップリングアウト領域から前記ユーザの眼に向けて外へ結合するように構成される、光学モジュールと;
(b) 前記ユーザの頭部によって支持されるように、前記ユーザの前記頭部と係合するように構成される支持構造と;
(c) 光学ベンチであって:
(i) 前記右光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第1のセットと;
(ii) 前記左光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第2のセットと;
(iii) 前記支持構造に対して前記光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置と;を有する、
光学ベンチと;を有し、
前記光学ベンチは、前記光学モジュールのペアと前記支持構造との間に唯一の機械的接続を提供し、
前記アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、少なくとも1つの平面アライメント面と、前記少なくとも1つの平面アライメント面に対して前記光学モジュールの既知の基準位置を位置付けるための少なくとも2つの位置付け機構とを有し、
前記アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、前記光学モジュールのうちの対応する一方の前記カップリングアウト領域に対して両側に配置された2つの平面アライメント面を有する、
バイス。
【請求項4】
現実のシーンを見るユーザに拡張現実表示を表示するためのヘッドマウント拡張現実デバイスであって、前記デバイスは:
(a) 前記ユーザの右眼のための右光学モジュール及び前記ユーザの左眼のための左光学モジュールを含む光学モジュールのペアであって、前記光学モジュールの各々は、光ガイドに光学的に結合されたコリメート表示ソースを含み、前記光ガイドは、少なくとも部分的に透明であるとともに、前記コリメート表示ソースによって投射された画像照明をカップリングアウト領域に誘導し、画像照明の少なくとも一部を前記カップリングアウト領域から前記ユーザの眼に向けて外へ結合するように構成される、光学モジュールと;
(b) 前記ユーザの頭部によって支持されるように、前記ユーザの前記頭部と係合するように構成される支持構造と;
(c) 光学ベンチであって:
(i) 前記右光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第1のセットと;
(ii) 前記左光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第2のセットと;
(iii) 前記支持構造に対して前記光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置と;を有する、
光学ベンチと;を有し、
前記光学ベンチは、前記光学モジュールのペアと前記支持構造との間に唯一の機械的接続を提供し、
前記光学ベンチは、前記右光学モジュールを強固に支持するための第1の閉ループフレームと、前記左光学モジュールを強固に支持するための第2の閉ループフレームとを有する、
バイス。
【請求項5】
前記アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、少なくとも1つの平面アライメント面と、前記少なくとも1つの平面アライメント面に対して前記光学モジュールの既知の基準位置を位置付けるための少なくとも2つの位置付け機構とを有する、
請求項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも2つの位置付け機構は:前記光学モジュールのアライメント開口に係合するためのピンと、前記ピンを受けるための前記アライメント開口と、からなるグループから選択される、
請求項1~3、5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記光学ベンチは、前記光学モジュールの各々を各対応する前記平面アライメント面に対して締め付けるためのボルトを受けるためのボルト穴をさらに備える、
請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記光学ベンチは、材料の単一ブロックとして形成される、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記光学ベンチは、前記光学モジュールのペアに対して少なくとも1つの撮像デバイスを位置合わせするためのカメラアライメント機構をさらに有する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記サスペンション装置は、前記支持構造から前記光学ベンチへの振動の通過を防止するように配置された少なくとも1つのエラストマー減衰要素を有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記光学ベンチ及び前記光学モジュールのペアは合わせて、全体の幅を有し、前記サスペンション装置は、前記幅の中央領域内でのみ前記光学ベンチに接続する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記支持構造は、前記光学ベンチを少なくとも部分的に囲むケーシングを有し、前記ケーシングは、通常前記デバイスが動作するのに必要とされる振動、機械的応力及び動作温度の範囲の条件の下で、前記ケーシングと、前記光学ベンチ及び前記光学モジュールのペアの両方との間の接触を回避するように、前記光学ベンチから及び前記光学モジュールのペアから離間されている、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ガイドの少なくとも一部は、前記ケーシングから下方に突出する、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記支持構造は、前記ユーザの前記頭部を取り囲むためのヘッドバンドを有する、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記支持構造は、前記ユーザの耳に係合するように配置される側部アームのペアを有する、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張現実ディスプレイに関し、特に、光学モジュールのアライメント(alignment)を達成し、維持するために光学ベンチ(optical bench)を用いるヘッドマウント(head-mounted)拡張現実デバイスを提供する。
【背景技術】
【0002】
複合現実とも呼ばれる拡張現実は、仮想画像を現実世界のユーザの視界(view)と混合することを可能にする技術である。仮想物体の物理的性質(例えば、形状、色、サイズ、テクスチャ)をディスプレイで現実的にすることに加えて、実際の物体に対する仮想物体の位置と動きを現実的に表示することが望ましい。ヘッドマウントデバイスにおいてこのような機能性を可能にするために、カメラ及び配向センサなどの追加のセンサが、現実の画像と仮想の画像を統合するコンパクトな光学モジュールのそばに取り付けられることができる。このようなコンパクトな光学要素は、結像レンズ及びコンバイナの両方として機能し、これらの中で二次元ディスプレイが、無限大に結像され、観察者の眼内に反射される。このような光学モジュールは、典型的には、コリメート光学系と組み合わされた光変調ディスプレイを照明する光源又はアクティブ照明ディスプレイのいずれであり得るコリメート表示ソースと、コリメート表示ソースからコリメートされた画像を受信し、それを観察者の眼に投射する光ガイドとを含む。
【0003】
コリメート表示ソース構成要素と光ガイドとの間の機械的アライメント及び配置安定性の要件は、厳密である。さらに、両眼視のための互いに対する光学モジュールのアライメント及び配置、並びに任意の追加のセンサに対する及び観察者に対するアライメントは、厳しい公差の対象である。デバイスに対する機械的応力、振動、衝撃、熱変動及び熱勾配の全てが、光学モジュール及び他の構成要素の急激な又は緩やかなミスアライメント(位置ずれ)、又はモジュールの損傷につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ヘッドマウント拡張現実デバイスである。
【0005】
本発明の一実施形態の教示によれば、現実のシーン(scene)を見るユーザに拡張現実表示(augmented reality display)を表示するためのヘッドマウント拡張現実デバイスが提供され、該デバイスは:(a)ユーザの右眼のための右光学モジュール及びユーザの左眼のための左光学モジュールを含む光学モジュールのペアであって、光学モジュールの各々は、光ガイドに光学的に結合されたコリメート表示ソース(collimating display source)を含み、光ガイドは、少なくとも部分的に透明であり、前記コリメート表示ソースによって投射された画像照明をカップリングアウト領域(coupling-out region)に誘導し、画像照明の少なくとも一部をカップリングアウト領域からユーザの眼に向けて外へ結合する(couple out)ように構成される、光学モジュールと;(b)ユーザの頭部によって支持されるように、ユーザの頭部と係合するように構成される支持構造と;(c)光学ベンチであって:(i)右光学モジュールを位置合わせし(aligning)且つ固定する(affixing)ためのアライメント機構(alignment features)の第1のセットと;(ii)左光学モジュールを位置合わせし且つ固定するためのアライメント機構の第2のセットと;(iii)支持構造に対して光学ベンチを吊るす(suspending)ためのサスペンション装置と;を有する、光学ベンチと;を有し、光学ベンチは、光学モジュールのペアと支持構造との間に唯一の機械的接続を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、少なくとも1つの平面アライメント面と、少なくとも1つの平面アライメント面に対して光学モジュールの既知の基準位置を位置付ける(locating)ための少なくとも2つの位置付け機構(locating features)とを含む。
【0007】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも2つの位置付け機構は:光学モジュールのアライメント開口に係合するためのピンと、ピンを受けるためのアライメント開口と、からなるグループから選択される。
【0008】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、光学ベンチは、光学モジュールの各々を各対応する平面アライメント面に対して締め付けるためのボルトを受けるためのボルト穴をさらに備える。
【0009】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、少なくとも2つの位置付け機構は、光学モジュールのカップリングアウト領域間の瞳間距離の調整のための1自由度を提供するように構成される。
【0010】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、右光学モジュールを位置合わせするための少なくとも1つの平面アライメント面と、左光学モジュールを位置合わせするための少なくとも1つの平面アライメント面は、互いに相対的に傾斜して、両眼輻輳(binocular convergence)の角度を規定する。
【0011】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、アライメント機構の第1及び第2のセットの各々は、光学モジュールのうちの対応する一方のカップリングアウト領域に対して両側に配置された2つの平面アライメント面を有する。
【0012】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、光学ベンチは、材料の単一ブロックとして形成される。
【0013】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、光学ベンチは、右光学モジュールを強固に支持するための第1の閉ループフレームと、左光学モジュールを強固に支持するための第2の閉ループフレームとを有する。
【0014】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、光学ベンチは、光学モジュールのペアに対して少なくとも1つの撮像(imaging)デバイスを位置合わせするためのカメラアライメント機構をさらに有する。
【0015】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、サスペンション装置は、支持構造から光学ベンチへの振動の通過を防止するように配置された少なくとも1つのエラストマー減衰要素を有する。
【0016】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、光学ベンチ及び光学モジュールのペアは合わせて、全体の幅を有し、サスペンション装置は、幅の中央領域内でのみ光学ベンチに接続する。
【0017】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、支持構造は、光学ベンチを少なくとも部分的に囲むケーシングを有し、ケーシングは、通常の動作条件の範囲の下で、ケーシングと光学ベンチ及び光学モジュールのペアの両方との間の接触を回避するように、光学ベンチから及び光学モジュールのペアから離間されている。
【0018】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、ウェーブガイドの少なくとも一部は、ケーシングから下方に突出する。
【0019】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、支持構造は、ユーザの頭部を取り囲むためのヘッドバンドを有する。
【0020】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によれば、支持構造は、ユーザの耳に係合するように配置される側部アームのペアを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例示として本明細書に記載されている。
【0022】
図1】本発明の一実施形態に従って構成され且つ動作するヘッドマウント拡張現実デバイスの等角図である。
図2図1のデバイスで使用するための光学モジュールの等角図である。
図3A図1のデバイスに使用するための光学ベンチの背面及び前面の等角図である。
図3B図1のデバイスに使用するための光学ベンチの背面及び前面の等角図である。
図4A図2の光学モジュールを光学ベンチにアセンブリする前及びアセンブリ中の図3Aの光学ベンチの一部をそれぞれ示す部分等角図である。
図4B図2の光学モジュールを光学ベンチにアセンブリする前及びアセンブリ中の図3Aの光学ベンチの一部をそれぞれ示す部分等角図である。
図4C】2つの光学モジュールを有する光学ベンチのアセンブリの正面図である。
図5】追加のドライバ回路のアセンブリへの取り付け後の図4Cのアセンブリの等角図である。
図6】光学ベンチの閉ループの中心を通る垂直面に沿って図3Aの光学ベンチを通って取られた断面図である。
図7A】光学モジュール間の瞳孔間距離調整を可能にする変形実装形態を示す図4Aと同様の図である。
図7B】光学モジュール間の瞳孔間距離調整を可能にする変形実装形態を示す図4Bと同様の図である。
図8】瞳孔間距離の調整に適応するための光学モジュールの周囲の間隔を示す、図1のデバイスの下からの部分的な等角図である。
図9A】支持構造から図3Aの光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置を示す分解等角図であり、サスペンション装置は回転可能な減衰係合部を含む。
図9B】回転軸に平行な平面に沿って回転可能な減衰係合部を通って取られた断面図である。
図10】ケーシング内のサスペンション装置を介した光学ベンチの取り付けを示す、図1のデバイスの中央平面に沿って取られた部分垂直断面図である。
図11A】サスペンション装置が位置及び減衰を提供する直線運動及び回転運動の種々の方向を示す、サスペンション装置によって取り付けられた光学ベンチアセンブリの概略的な等角図である。
図11B】サスペンション装置の種々の減衰要素の相対配置を示す概略側面図である。
図12A】光学ベンチに取り付けられた追加のコンポーネントと一緒の、図4Cの光学モジュール及び光学ベンチのアセンブリの組み立てられた等角図である。
図12B】光学ベンチに取り付けられた追加のコンポーネントと一緒の、図4Cの光学モジュール及び光学ベンチのアセンブリの分解等角図である。
図13A】本発明の代替実装形態で使用するための光学ベンチの代替実装形態の前面等角図である。
図13B】本発明の代替実装形態で使用するための光学ベンチの代替実装形態の後面等角図である。
図13C図2の光学モジュールを有する図13Aの光学ベンチのアセンブリの等角図である。
図14A】本発明の代替実装形態で使用するための光学ベンチの代替実装形態の2つの後方等角図である。
図14B】本発明の代替実装形態で使用するための光学ベンチの代替実装形態の2つの後方等角図である。
図14C】本発明の一実施形態によるデバイスの代替実装形態を形成するための、2つの光学モジュールを有する図14Aの光学ベンチのアセンブリの部分等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ヘッドマウント拡張現実デバイスである。
【0024】
本発明によるデバイスの原理及び動作は、図面及び添付の説明を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0025】
次に、図面を参照すると、図1~14Cは、実際のシーンを見るユーザに拡張現実表示を表示するための、概して10で示される、ヘッドマウント拡張現実デバイスの種々の実施形態及び種々の構成要素を示している。一般的に言うと、デバイス10は、ユーザの右眼用の右光学モジュールと、ユーザの左眼用の左光学モジュールとを含む、図1に示すような、光学モジュール12のペアを含む。図2に最もよく示されているように、各光学モジュール12は、光ガイド16に光学的に結合されるコリメート表示ソース14を含み、この光ガイドは、少なくとも部分的に透明であり、コリメート表示ソース14によって投射された画像照明をカップリングアウト領域18に案内するように構成され、そこでそれは、カップリングアウト領域からの画像照明の少なくとも一部をユーザの眼に向けて外へ結合する。
【0026】
また、デバイスは、ユーザの頭部によって支持されるように、ユーザの頭部の領域に係合するように構成された支持構造20を含む。本発明の一態様の特定の特徴は、デバイス10が、右光学モジュールを位置合わせ及び固定するためのアライメント機構の第1のセット、左光学モジュールを位置合わせ及び固定するためのアライメント機構の第2のセット、及び支持構造に対して光学ベンチを吊るすためのサスペンション装置を提供する光学ベンチ22を含むことである。本発明のこの態様の特に好ましい特徴は、光学ベンチ22が、光学モジュール12のペアと支持構造20との間の唯一の機械的接続を提供することである。
【0027】
このような光学ベンチの使用は、身体装着(body-mounted)支持構造への光学モジュールの直接取り付けよりも多くの利点を提供する。具体的には、光学ベンチは、好ましくは、光学モジュール間の比較的剛性のある相互接続を提供し、2つの光学モジュール間の正確なアライメントを規定し、維持する一方で、通常の使用中に身体装着支持構造がさらされ得る応力、振動及び/又は衝撃の大部分から光学モジュールを少なくとも部分的に分離する。光学ベンチはまた、光学モジュールと、カメラ(複数可)及び/又は慣性測定ユニット(IMU)などの追加の構成要素との間のアライメントを規定し、維持するように機能し、同様に、これらの構成要素を、デバイスがさらされ得る機械的及び/又は熱的に誘発される応力の少なくとも一部から保護する。専用の光学ベンチの使用は、典型的には、支持構造に使用されるよりも剛性のある及び/又はより精密に機械加工可能な材料を使用して実装され、他の方法で達成され得るよりも光学モジュールのより精密なアライメントを容易にする。本発明の様々な実施形態のこれら及び他の利点は、以下のさらなる説明を参照してよりよく理解されるであろう。
【0028】
本明細書で参照する光学モジュール12は、本明細書ではコリメート表示ソース14と称する、コリメート画像プロジェクタと、投影された画像照明を現実世界からの光と組み合わせて、拡張現実表示を提供するための、本明細書では光ガイド16と称する、少なくとも部分的に透明なコンバイナとを含む、任意のタイプの光学モジュールであり得る。コリメート表示ソースは、典型的には、偏光ビームスプリッタ(PBS)に基づいたコンパクトな構成で、コリメート光学系と組み合わされた、OLEDアレイ又は照明付きLCOSアレイなどの画像生成要素に典型的には基づく。最も好ましくは、光学モジュールは、比較的大きい視野角(angular field of view)と、それにわたって表示された画像を見ることができる利用可能な眼の動きの「アイボックス(eyebox)」を達成しながら、小型画像プロジェクタの使用を可能にするための光学開口拡大のための機構を提供する。このような光学的開口拡大を達成するための利用可能な技術には、特に好ましいが非限定的な例として、Lumus Ltd(イスラエル)から市販されている種々の光学モジュールなどの、二次元開口拡大を達成するようにオプションで2段階拡大配置の、光ガイド16内の斜めに角度をつけた部分反射面の使用が含まれる。種々のソースから市販されている別の開口拡大技術は、拡大された領域にわたって光ガイドからの画像照明の外への結合(カップリングアウト)を達成するために、回折光学素子を使用する。上記は単なる例であり、本発明は、拡張現実表示を提供するための表示ソース及びコンバイナを含む任意の利用可能な技術に適用可能であることが留意されるべきである。光学モジュール設計の詳細は、それ自体は本発明の一部を構成しないので、本明細書ではこれ以上論じない。
【0029】
本発明を実装するための光学モジュール12は、多数の異なる構成及びフォームファクタであり得る。図1図13Cは、「トップダウン(top-down)」実装に適した構成を示し、そこでは、画像照明は、光ガイドの上端から光ガイド内に向けられる。しかし、本発明は、画像照明が光ガイドの側部又はコーナーから導入される実装にも同様に適用可能であることが留意されるべきである。1つのこのような実施形態が、図14A~14Cを参照して後述される。
【0030】
図1に示す例では、光学モジュール12の取り付けは、コリメート表示ソース14の対向する側部に位置する2つの取り付け領域24を介して達成され、したがって、光学モジュールのカップリングアウト領域18に対して両側に配置される。このように取り付け領域を離間することは、構成要素のアライメントの精度を高める傾向がある。
【0031】
各取り付け領域24は、光学ベンチ22上の対応するアライメント機構のセットとのアライメントのための相補的機構(complementary features)を有するように形成される基準位置を規定する。ここに示す好ましい例では、光学ベンチ22のアライメント機構の各セットは、少なくとも1つの、この場合には2つの、平面アライメント面26と、平面アライメント面26に対する光学モジュール12の既知の基準位置を位置付けるための少なくとも2つの位置付け機構とを含む。少なくとも2つの位置付け機構は、ここでは、光学モジュールの取り付け領域24の平面アライメント面から突出するアライメントピン30を受けるためのアライメント開口28として示されている。明らかに、アライメント面26から突出するアライメントピンと領域24の平面内のアライメント開口、又は両方に係合する別個のピンを備えた2つのアライメント開口を提供することによって、同等の効果を達成することができる。光学ベンチ22はまた、典型的にはアライメント面26の領域にも、光学モジュールの各々を各対応する平面アライメント面に対して締め付けるためにボルトを受けるための、ボルト孔32を備える。光学モジュール12は、好ましくは、光学モジュール12の取り付け領域24が、アライメントピン30がアライメント開口28に係合する状態で、光学ベンチ22の平面アライメント面26と共に一緒にされるとき、一対のボルト36が、使用して、図4、5及び7Bに示すように、要素を一緒に締めることができるように、対応するねじ付きボルト穴34を有する。
【0032】
これまでに説明したアライメント機構は、6自由度(3つの直線/並進及び3つの角度/回転)で正確に定義された配向で各光学モジュール12を光学ベンチ22に固定するのに効果的であることが理解されよう。特に、平面表面に対する平面表面(表面24及び26)の締め付けは、2つの回転配向及び1つの並進自由度(平面に対して垂直)を定義するのに十分である。次いで、第1のアライメントピンとアライメント開口との係合は、2つの面内並進自由度を除外し、軸としてのピンの周りの回転に関する不確実性のみを残す。従って、第1の係合から離間されたアライメント開口との第2のアライメントピンの係合は、6自由度全てにおけるアライメントを完全に規定する。アライメント開口間の高精度の間隔あけの必要性を低減するために、第2のアライメント開口は、有利には、第1のアライメント開口に向かう方向/第1のアライメント開口から離れる方向に伸長された楕円開口部又はスロットとして実施され得、これは依然として、全体の係合の面内回転配向を完全に決定するのに十分である。
【0033】
表面24及び26は、好ましくは、正確なインターフェース表面であり、これは、例えば、機械加工又は研削プロセスを使用して、高精度の平面を達成することによって、これらの要素の他の領域と比較して、より高いレベルの精度を達成するために、製造中に特に加工され得る。各光学モジュールのために2つの離間した場所に平面を設けることにより、高精度のアライメント精度を実現することができる。ここに記載されるアライメント機構の特定の実装は、単に例示であり、アライメント機構の種々の構成が等しく使用され得ることが留意されるべきである。他の例は、光学モジュール取り付け領域24上の対応する機構との当接(abutment)によって光学モジュールを位置合わせする、リッジ、スロット、又はエッジアバットメント機構(abutment features)を有するアライメント面の種々の組み合わせを含む。
【0034】
各光学モジュール12を位置合わせするための2つの平面アライメント面26は、好ましくは同一平面である。一方の光学モジュールを位置合わせするための表面は、他方の光学モジュールを位置合わせするための表面と同一平面であってもよく、その場合、2つのディスプレイの光軸は平行であってもよく、或いはわずかな収束が、デジタル的に或いは光学コンポーネントのアライメントに導入されてもよい。しかし、いくつかの特に好ましい実装形態では、右光学モジュール12を位置合わせするためのアライメント面26は、両眼輻輳の角度を規定するために左光学モジュールを位置合わせするためのアライメント面に対して傾いている。例えば、1つの特に好ましい実装形態では、各光学モジュールのためのアライメント面は、ユーザから約4メートルの両眼輻輳に対応して、アライメント面間に179.1度の角度を与えるように、基準面に対して0.45度だけ傾斜している。望ましい両眼輻輳の程度は、典型的には、拡張現実表示がスーパーインポーズされることになる現実世界の動作範囲に対応して、意図される用途に応じて変化し得る。例えば、屋外用途は、典型的には6~10メートルの範囲で、より遠方の輻輳点(point of convergence)を使用し得、一方、AR支援手術用途は、典型的には0.4~1メートルの範囲で、より短い輻輳ジオメトリ(convergence geometry)を使用し得る。(輻輳距離は、基準面に対する各光学モジュールの傾斜角の正接(tangent)に等しい輻輳長に対する瞳孔間距離(IPD)の半分の比で、簡単な三角測量によって定義されるように、瞳孔間距離(IPD)の関数でもあることに留意されたい。しかし、所望の傾斜角を決定するためには、IPDの平均値が十分な精度を与える。)
【0035】
次に、光学ベンチ22の他の特徴に目を向けると、光学ベンチは、有利には、材料の単一ブロックとして形成され得、これは、所与の重さに対してその剛性及び構造強度を高める傾向がある。光学ベンチ22に適した材料は、アルミニウムなどの種々の金属又は金属合金、及び、炭素複合材料などの繊維強化ポリマーを含むが、これらに限定されない。光学ベンチの設計及び寸法、並びに関連する製造プロセスは、当業者にとって明らかなように、選択された材料の特性に応じて調整される。
【0036】
構造及び材料は、光学モジュール12間に実質的に剛体(rigid)の相互接続を提供するために選択される。この文脈において、「実質的に剛体」とは、が移動中に人の頭部及び/又は身体によって行われる線形加速度及び角加速度を含み、且つモジュール自体の重量に留意して、身体装着デバイスが通常さらされる機械的動作条件の範囲にわたって光学モジュールのアライメントを維持する構造を指すために使用される。図12A及び図12Bに最もよく示されるように、光学ベンチ22は、光学モジュールとの正確な位置合わせが重要である及び/又は光学モジュールに近接することが有利である、いくつかの異なる構成要素を支持するために必要とされ得る。図12A図12Bの例では、これは、カメラのステレオペア42を含むカメラアセンブリ40と、IMU44と、光学モジュール12のためのドライバ回路46とを含む。これらの要素の各々は、典型的には、カメラアセンブリ40(ここではIMU44と一体化されている)を取り付けるためのカメラアライメント機構を提供するフロントブラケット48及びドライバ回路46を取り付けるためのトップブラケット50などの、光学ベンチの構造における専用の取り付け構成を備える。これらの構成要素の位置及び重量は、光学ベンチ22の設計にさらなる機械的要件を課す。
【0037】
所与の重量及び材料の選択に対して光学ベンチ22の剛性を高めるために、特定の構造的特徴が使用され得る。一つの好ましいオプションによれば、光学ベンチ22は、少なくとも一つの閉ループ構造を、最も好ましくは、図3A図5に示すように、右光学モジュールを強固に支持するための第1の閉ループフレームと、左光学モジュールを強固に支持するための第2の閉ループフレームとを用いる。
【0038】
このような閉ループ構造の場合、本発明のある実装形態は、最大剛性の方向が非平行である、非対称剛性を持つクロスビーム(cross-beam)を使用することによって、高められた多軸剛性を達成する。このオプションは、図6に最もよく示されており、ここでは、垂直断面図は、閉ループの一方の2つのクロスビームを切断する(網掛け領域)。各クロスビームは、長軸と短軸とを有する、この場合、長方形断面の長側と短側とを有する、断面を有する。下部クロスビームの長軸は、上部クロスビーム断面の長軸に対して、有意に非平行(45°超)、好ましくはおおよそ垂直(90°±15°)であり、これにより、異なる方向の曲げモーメントに対する抵抗が増大する。
【0039】
図示された光学ベンチ22の閉ループ構造は、さまざまな実装形態にとって有利であると考えられているが、本発明は、そのような実装形態に限定されるものではなく、特に、より少ない追加の構成要素がベンチに取り付けられる必要がある場合には、削減された実装形態で十分であることに留意されたい。図13A~13Cは、本発明の代替実装形態による、光学モジュール12のペアを支持するために使用される光学ベンチ22の削減バージョンを示す。光学ベンチ設計の詳細は、支持されることになる構成要素の特定の組み合わせ、及び、最終的なデバイスの所望のフォームファクタによる利用可能なスペースに応じて、特定の用途ごとに変化し得る。
【0040】
次に、図7A図7B及び図8を参照すると、本発明のいくつかの好ましい実装形態によれば、光学ベンチ22への光学モジュール12の取り付け位置は、異なる瞳孔間距離(IPD)に適応するように調節可能であり得る。本発明のARディスプレイは、典型的には、ユーザのアイモーションボックス(eye motion box)が、そこから表示画像照明が投影されるカップリングアウト領域18の外側のユーザの視野をとらない限り、IPDの変動に影響されないことに留意されたい。しかし、IPDの調整可能性は、比較的小さなカップリングアウト領域の使用を可能にし、その結果、投影システムの全体的なサイズが小さくなる。
【0041】
IPDを調整するための1つの特に好ましいオプションが図7Aに示されており、そこでは、アライメント開口28及びボルト孔32が、水平方向に細長いスロットとして形成されている。これは、予め定められた可動範囲にわたって、光学モジュールの水平方向の移動のための1自由度を緩和する。光学モジュール12の画像投影は、概して、表示領域の限界に達しない限り、回転無しの面内移動には影響されないので、この調整は、表示に影響を与えない。二つの眼の各々について、いずれかの方向の数ミリメートルの範囲は、典型的には、カップリングアウト領域18の(中心の)間のIPDを調整し、人口の大部分についてのIPDの変動に適応するのに十分であり、カップリングアウト領域18のサイズの対応する縮小を可能にする。オプションで、各光学モジュールの水平位置は、前述のように、摩擦接触によってモジュールを所定の位置にクランプするボルト36の締め付けによって固定され得る。より好ましくは、スプリングワッシャ、又は他の弾性要素が、各光学モジュールの位置の摩擦保持を提供するために設けられ得るが、摩擦保持を克服するために単に穏やかな手動力を加えることによって、ユーザによる光学モジュールの横方向変位を可能にする。光学ベンチのアライメント機構は、光学モジュールの所望のアライメントを、全ての軸周りの角度配向及び2つの線形寸法で、確実に維持し、それによって、複雑な変位機構を必要とせずに、便利なIPD調整を提供する。図8に示すように、光学モジュールの任意の部分に隣接する支持構造20の任意の部分は、光学モジュールの位置に対する利用可能な調整範囲を提供するのに十分なクリアランスで実装される。
【0042】
次に、支持構造20に対して光学ベンチ22を吊るすためのサスペンション装置に目を転じると、これは、特定の用途の詳細及び支持構造のフォームファクタに応じて、多くの異なる形態をとり得る。特に好ましい実装形態の1つのサブセットでは、サスペンション装置は、光学モジュール12を有する光学ベンチ22のアセンブリの全幅の、中央20パーセント以内として定義される、幅の中央領域内でのみ、光学ベンチに接続する。最も好ましくは、接続は、例えば、中央取り付け面52(図12A)を介してのみ光学ベンチ22を支持構造に取り付けることによって達成され得る、全幅の中央10%以内に限定される。取り付け具はリジッド(rigid)であり得るが、支持構造から光学ベンチ22への振動の伝達を抑制(減衰)するように配置された少なくとも1つの弾性減衰要素を介することがより好ましい。中央領域においてのみ光学ベンチ22を支持することによって、支持構造から光学ベンチへの応力の伝達が実質的に排除され、支持構造が、光学アセンブリへの対応する変形又は応力を導入することなく、曲がる、ねじれる、及び/又は熱膨張又は収縮を受けることを可能にする。
【0043】
他の実装形態では、支持構造20に対する光学ベンチ22のアライメントを維持しながら要素間の振動をより効果的に減衰させる、より洗練されたサスペンション装置が提供され得る。そのようなサスペンション装置の一例を、図9A~11Bを参照して説明する。
【0044】
まず、図9Aを参照すると、支持構造(図示せず)は、ここでは、エラストマーグロメット58が内側に配置された開口56で終端する2つの側部ブラケット54を備える。ボルト60及びワッシャ62が、各グロメット58の中央ボアを通過し、光学ベンチ22の各側部のネジ穴64と係合する。組み立てられた接続部は、図9Bの断面図に示されている。側部ブラケット54へのこの両側の取り付けは、光学ベンチ22を、図11Aに示された6自由度のうちの5つ、すなわち、3つの線形変位軸及び2つの回転軸に対して、明確に規定された位置に吊るす。これは、ボルト60の共通軸の周りの回転に対応する、図11Aにおいて「6」とラベル付けされた回転軸のみを残す。この最後の回転自由度は、減衰コネクタ66によって相殺され、この減衰コネクタは、光学ベンチの中心に近いボルト60に対して軸外に取り付けられ、別のブラケット(図示せず)を介して支持構造に接続され、それによって、光学ベンチ22と支持構造との間に減衰接続を形成する。この幾何学的形状は、図11Bに最もよく示されている。ネジ付き開口56は、ネジ付き開口56の間の軸上に実質的に存在する重心をその上に取り付けられた他の構成要素を有する光学ベンチ22のアセンブリが有するように配置されることが、本発明の特定の実装形態の特定の特徴である。これは、この支持構造を介してアセンブリに伝達される衝撃又は振動が、さらなる振動運動を導く可能性がある、正味のモーメント(net moment)を生じないことを確実にする。
【0045】
上述のサスペンション装置は、3つの離間した位置での光学ベンチの支持を提供するが、各相互接続は、光学ベンチに重大な応力を伝えることを回避するように、衝撃及び振動を減衰し、(熱膨張係数の差など)応力条件下で変形する能力を有するエラストマー減衰要素を介して生じる。エラストマー要素はまた、光学ベンチ及び関連する光学構成要素の熱絶縁にも寄与する。
【0046】
本発明のいくつかの特に好ましい実装形態では、支持構造20は、図10に最もよく示されるように、少なくとも部分的に光学ベンチ22を囲むケーシング68を含む。この場合、ケーシング68は、ケーシングと、光学ベンチ及び光学モジュールのペアの両方との間の接触を通常の動作条件の範囲内で回避するために、光学ベンチ22及び光学モジュール12から最小ギャップ70だけ離間されることが好ましい。この文脈における「通常の動作条件の範囲」は、種々の標準によって定義され、かつ当技術分野で知られているような、製品が典型的に動作するために必要とされる振動、機械的応力、及び動作温度の範囲の条件に関する。第一に、ギャップは、デバイスが少なくとも1メートルの高さから硬い表面上に落下した場合、ギャップが閉じられず、衝撃の力積がエラストマー減衰要素を通してのみ光学ベンチに伝達されるように十分であるべきである。
【0047】
本明細書に例示されているように、少なくとも部分的に光学ベンチ及びデバイスの種々の電子及び/又は光学コンポーネントを囲むケーシングのオプションは、有利には、「トップダウン(top-down)」設計で実装されることができ、そこでは、画像照明が光ガイド16の上部に導入され、光ガイド内で下方に伝搬する。この場合、図1及び図8に見られるように、光学モジュール12のウェーブガイド16の少なくとも一部は、好ましくは、ケーシング68から下方に突出する。
【0048】
上述したように、光学ベンチ22は、好ましくは、光学モジュール12のペアと支持構造20との間の唯一の機械的接続を提供する。この文脈において、「機械的接続」という句は、荷重を受け、要素間で力を伝達することが意図される2つの要素間の接続を指すために使用される。典型的には、支持構造と光学モジュールとの間を通過する様々な可撓性の電気ケーブルが存在し、電力や映像信号などを供給することに留意されたい。これらの可撓性ケーブルは、要素間に何らかの小さな力を伝達することがあるが、いずれのこのような力も意図されず、意図的に最小化され、構造を支持する機械的接続に比べて無視できるものである。したがって、「唯一の機械的接続」という用語は、耐荷重性であることが意図されないそのような相互接続を排除するものではない。
【0049】
支持構造20は、デバイスの異なる「フォームファクタ」に対応する広範囲の構成で実装され得る。図1に示すように、1つの非限定的なオプションでは、支持構造20は、ユーザの頭部を取り囲むための、好ましくは調整可能な、ヘッドバンド72を含む。これは、デバイスのための安定したプラットフォームを提供し、特に、デバイスを使用している間にユーザが非常にアクティブである状況での使用に適している。同様の構成は、支持構造20がヘルメットと一体化されたヘルメット装着ディスプレイとして実装されることができる。
【0050】
代替的な「フォームファクタ」は、ガラスフレーム型デバイスを採用し、このデバイスでは、支持構造20は、ユーザの耳(図示せず)に係合するように配置された側部アームのペアを含む。この場合、ユーザの鼻に係合するための第3の支持点は、支持構造20から、或いは、場合によっては、光学ベンチ22から直接、下方に延び得る。本発明のほとんどの実装では、光学ベンチはユーザの身体と直接相互作用(interface with)しないことが好ましいと考えられているが、特に鼻に係合するための弾性ブリッジ又はパッドブリッジとして実装されているとき、中央サポートの1つの領域は、特定の実装において許容され得る。
【0051】
最後に、図14A~14Cを参照すると、本発明は、トップダウン光学モジュール実装を参照してこれまで図示されてきたが、他の構成を使用しても同様に実施することができ、これは、場合によっては、追加の利点を提供し得る。一例として、図14A及び14Bは、コリメート表示ソース(図示せず)が各光ガイドの横縁部に配置されている側方注入画像実装のために、図14Cに見られるように、2つの光ガイド16の間をリンクするための中央ブロックとして実装される光学ベンチ22を示す。また、この実装形態は、各光学モジュールを位置合わせし、取り付けるためのアライメント機能の代替の実装形態を例示する。この場合、アライメント面26が、光ガイド16の表面に直接当接するように設けられ、横方向当接特徴部(lateral abutment features)74が、ここでは、局部的な突起として実装される。光ガイド16の非直線及び非円形エッジに当接する3つの横方向当接特徴部の使用は、光ガイド唯一の位置及び光学ベンチに対するアライメントを規定するのに十分である。光ガイド16の光学ベンチ22への取り付けは、好ましくは、光ガイドとアライメント面26との間の薄い層において、及び/又は、横方向当接特徴部との間及び/又はその周りの光ガイドと光学ベンチとの間の空間において、接着剤の使用によって、達成される。接着剤の使用は、この実施形態に限定されるものではなく、上記の他の実施形態との関連で実施されてもよい。
【0052】
上述の説明は、例としてのみ役立つことを意図するものであり、多くの他の実施形態が、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の範囲内で可能であることが理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
【図 】
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C