(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20230216BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20230216BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
F25D23/00 305G
F25D23/06 W
F25D19/00 530A
(21)【出願番号】P 2020527185
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2019005831
(87)【国際公開番号】W WO2020003587
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018119515
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】櫻澤 翔
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-117373(JP,U)
【文献】特開2011-052880(JP,A)
【文献】特開2005-164193(JP,A)
【文献】特開平08-261634(JP,A)
【文献】国際公開第2013/183304(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/163026(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0139737(KR,A)
【文献】特開2015-7526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 23/00
F25D 23/06 ~ 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と内箱とを有
して内部に発泡断熱材が充填される断熱箱体と、
前記断熱箱体の上部および下部のうちの何れか一方に配置されている電装ユニットと、
前記断熱箱体の上部および下部のうちの他方に配置され、電動部品を収容している機械室と、
前記断熱箱体の前記内箱側に配置される庫内電装部品と、
前記電装ユニットと前記電動部品とを連結している少なくとも一つの
機械室配線
と、
前記電装ユニットと前記庫内電装部品とを連結している少なくとも一つの庫内配線と
を備え、
前記
機械室配線は、
前記内箱には跨らないように前記外箱に固定されて
おり、
前記庫内配線は、前記内箱に固定されており、前記電装ユニットと前記内箱との間の1箇所で跨っている、冷蔵庫。
【請求項2】
前記断熱箱体は、真空断熱材を有しており、
前記
機械室配線は、前記真空断熱材と前記外箱との間に配置されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記
機械室配線を前記外箱に固定させるためのシール部材をさらに有し、
前記シール部材の一端部は、前記真空断熱材と前記外箱との間に挟まれており、
前記シール部材の他方の端部は、前記断熱箱体の上部および下部の少なくとも何れかの端部にまで延びている、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記断熱箱体は、放熱パイプを有しており、
前記放熱パイプは、前記シール部材によって固定されている、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
複数の
機械室配線を有し、
前記
機械室配線は、高圧交流用の配線と低圧直流用の配線とに分類され、
前記高圧交流用の配線と、前記低圧直流用の配線とは、互いに離間して配置されている、請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
複数の
機械室配線は、前記外箱の平面に沿って並べて配置されている、請求項1から5の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、断熱箱体を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷蔵庫には、周囲との断熱を行うために、貯蔵空間の外周を覆うように断熱箱体が設けられている。断熱箱体は、外箱と、内箱と、これらの間に充填された断熱材とで構成されている。断熱材としては、例えば、硬質発泡ウレタン断熱材などの発泡性の断熱材が用いられる。
【0003】
また、断熱箱体の内部には、断熱材の他に、冷蔵庫内に配設される制御基板、スイッチ、モータなどの各種電子部品同士を接続する電気配線なども存在する。このような電気配線は、断熱材中に埋め込まれるようにして存在する。
【0004】
例えば、特許文献1には、冷蔵庫本体の天面20に配置された電装ユニット21から延びる電気リード線22を、冷蔵庫本体の内箱3の背面に沿わせて配線した冷蔵庫が開示されている。この冷蔵庫では、電気リード線22は断熱性材料からなる複数のスペーサ部材23を介して内箱の背面に固定し、かつスペーサ部材23同士間の電気リード線22と内箱の間に発泡断熱材4を充填発泡させて介在させた構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冷蔵庫のように、従来の冷蔵庫では、断熱箱体内を通る配線は、内箱側に配置されている。
【0007】
ところで、断熱箱体内に発泡断熱材料を注入する際には、外箱を上側に内箱を下側に配置させた状態で、外箱の背面部分に形成された開口部(注入口)から断熱材料を滴下する。断熱箱体内に注入された発泡断熱材料は、先ず下側に位置する内箱側から発泡を開始し、外箱側へ向かって膨張する。しかし、断熱箱体内に配線を這わせていると、断熱材料の発泡時に配線によって発泡断熱材の形成が妨げられる可能性がある。特に、配線が外箱と内箱とに跨がっていると発泡時に障害物となりやすくなる。これにより、断熱箱体内に発泡断熱材が充填されない空隙などが存在し、断熱性能が低下する可能性がある。すなわち、断熱材料の流動性が配線によって阻害される。
【0008】
そこで、本発明では、断熱箱体の断熱性能をより向上させることのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、外箱と内箱とを有する断熱箱体と、前記断熱箱体の上部および下部のうちの何れか一方に配置されている電装ユニットと、前記断熱箱体の上部および下部のうちの他方に配置され、電動部品を収容している機械室と、前記電装ユニットと前記電動部品とを連結している少なくとも一つの配線とを備えている。そして、前記配線は、前記外箱に固定されている。
【0010】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫において、前記断熱箱体は、真空断熱材を有しており、前記配線は、前記真空断熱材と前記外箱との間に配置されていてもよい。
【0011】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫において、前記配線を前記外箱に固定させるためのシール部材をさらに有し、前記シール部材の一端部は、前記真空断熱材と前記外箱との間に挟まれており、前記シール部材の他方の端部は、前記断熱箱体の上部および下部の少なくとも何れかの端部にまで延びていてもよい。
【0012】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫において、前記断熱箱体は、放熱パイプを有しており、前記放熱パイプは、前記シール部材によって固定されていてもよい。
【0013】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫は、複数の配線を有しており、前記配線は、高圧交流用の配線と低圧直流用の配線とに分類され、前記高圧交流用の配線と、前記低圧直流用の配線とは、互いに離間して配置されていてもよい。
【0014】
上記の本発明の一局面にかかる冷蔵庫において、複数の配線は、前記外箱の平面に沿って並べて配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一局面にかかる冷蔵庫によれば、電装ユニットと機械室に配置された電動部品とを連結している配線を外箱に固定することで、断熱箱体の断熱層における空隙の発生を抑えることができ、断熱箱体の断熱性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の断熱箱体の内部構成を示す断面模式図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体内部の背面部分の構成を示す平面図である。
【
図4】
図3に示す断熱箱体のB-B線部分の構成を示す断面図である。
【
図5】第2の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体内部の背面部分の構成を示す平面図である。
【
図6】第3の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体内部の背面部分の構成を示す平面図である。
【
図7】
図6に示す断熱箱体のC-C線部分の構成を示す断面図である。
【
図8】第4の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体内部の背面部分の構成を示す平面図である。
【
図9】
図8に示す断熱箱体のD-D線部分の構成を示す断面図である。
【
図10】第1の実施形態の変形例にかかる冷蔵庫の断熱箱体の内部構成を示す断面模式図である。
【
図11】第5の実施形態にかかる冷蔵庫の断熱箱体の内部構成を示す断面模式図である。
【
図12】第5の実施形態の変形例にかかる冷蔵庫の断熱箱体の内部構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の断熱構造体の一例として、冷蔵庫に備えられた断熱箱体を例に挙げて説明する。但し、本発明は、これに限定はされない。
【0019】
(冷蔵庫の全体構成)
まず、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を示す側面断面図である。
図2には、冷蔵庫1を構成している断熱箱体50の横断面の構成を示す。
図2は、
図1のA-A線部分の断面に相当する。
【0020】
図1に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室11などの複数の貯蔵室を備えている。冷蔵室11には、冷蔵室扉11aが設けられている。他の貯蔵室にも、開口部に扉が設けられている。
【0021】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の前面(正面)とする。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。
【0022】
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。断熱箱体50は、主として、外箱51、内箱52、断熱層(発泡断熱材)53、および真空断熱材(VIP)54などを備えている(
図2参照)。
【0023】
本明細書では、冷蔵庫1の各面の呼び方と合わせて、断熱箱体50の外面をそれぞれ、上面部51a、底面部51b、背面部51c、側面部51dと呼ぶ。
【0024】
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機31、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器(図示せず)などが接続されて構成されている。
【0025】
また、冷蔵庫1の内部には、制御部が設けられている。この制御部が、冷凍サイクルの運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機31を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、サイクル内を冷媒が流通する。圧縮機31により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高温の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器に送られる。冷却器に流入する冷媒は冷却室内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機31に送られる。このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器と熱交換した気流によって冷気が生成される。
【0026】
冷却器は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室内に配置されている。冷却室は、各貯蔵空間と、断熱箱体50との間に配置されている。冷却室内には、冷却器の他に、冷却ファンなどが備えられている。また、
図1に示すように、圧縮機31は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室30内に配置されている。
【0027】
本実施形態では、制御部は、庫外電装ユニット41及び庫内電装ユニット(図示せず)などとして実現される。
【0028】
庫外電装ユニット41は、断熱箱体50の上面部51aに配置されている。庫外電装ユニット41は、制御基板で構成されており、各部品の制御を行う。庫外電装ユニット41は、圧縮機31などの断熱箱体50の外側に配置されている各部品と配線(ハーネスとも呼ばれる)21などによって接続されている。また、庫外電装ユニット41は、庫内電装ユニットと配線23によって接続されている。
【0029】
庫内電装ユニットは、例えば、冷蔵室11の背面に配置されている。すなわち、庫内電装ユニットは、断熱箱体50の内箱52側に配置されている。庫内電装ユニットは、制御基板で構成されており、各部品の制御を行う。庫内電装ユニットは、断熱箱体50の内側に配置されている各部品(冷却器、冷却ファン、各種スイッチなど)と接続されている。なお、庫内電装ユニットは省略可能であり、その場合は、断熱箱体50の内側に配置されている各部品(冷却器、冷却ファン、各種スイッチなど)が配線23によって庫外電装ユニット41に接続されている。
【0030】
各種配線21,23は、断熱箱体50の内部に配置されている。すなわち、配線21,23は、断熱箱体50の断熱層53内に埋め込まれている。配線21,23は、庫外電装ユニット41、庫内電装ユニット、及び各部品の間をそれぞれ接続する。具体的には、配線21は、庫外電装ユニット41と機械室30内の各電動部品(例えば、圧縮機31など)とを電気的に接続する。配線21は、機械室配線とも呼ばれる。また、配線23は、庫外電装ユニット41と庫内電装ユニットとを電気的に接続する配線である。配線23は、庫内配線とも呼ばれる。
【0031】
図1および
図2に示すように、配線21は、断熱箱体50の背面部51c(すなわち、外箱51側)を這うようにして断熱箱体50の内部に配置されている。また、配線23は、断熱箱体50内の内箱52側に配置されている。配線21(機械室配線)の配置方法の詳細については、後述する。
【0032】
(断熱箱体の説明)
続いて、断熱箱体50のより具体的な構成について、
図1から
図4などを参照しながら説明する。
図3は、断熱箱体50を構成する外箱51の背面部51cの構成を示す平面図である。
図3は、背面部51cの内側(断熱層53が形成される側)を示す。
図4は、
図3に示す外箱51の背面部51cのB-B線部分の構成を示す断面図である。
図2に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層53と、真空断熱材(VIP)54とを備えている。
【0033】
外箱51は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱51は、冷蔵庫1の外形も部分的に形成している。内箱52は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱52は、各貯蔵空間(例えば、冷蔵室11)を区画している。内箱52は、フードライナーとも呼ばれる。
【0034】
断熱箱体50の底面部の背面側には、機械室30を配置するための空間が形成されている。つまり、機械室30は、断熱箱体50の外側に配置される。これは、圧縮機31が可動することにより、機械室30内の温度が上昇するためである。
【0035】
断熱層53は、主として、発泡断熱材で構成される。具体的には、断熱層53は、硬質発泡ウレタン(硬質ウレタンフォームともいう)などで形成することができる。硬質発泡ウレタンは、2種類の主原料に触媒、発泡剤、製泡剤などを混合し、泡化反応と樹脂化反応を同時に起こして得られる均一な樹脂発泡体である。
【0036】
また、断熱箱体50の内部には、発泡断熱材で構成された断熱層53の他に真空断熱材54が含まれている。真空断熱材54は、グラスウールやシリカ粉末等の微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外被材(袋状体、例えばラミネートフィルム)で覆い、外被材の内部を減圧密封して形成される。真空断熱材は、その内部空間を高真空に保ち、気相を伝わる熱量を出来る限り小さくすることにより、高い断熱効果を実現することができる。真空断熱材54は、例えば、長方形の平面を有する平板状の部材である(
図3参照)。
【0037】
図2に示すように、真空断熱材54は、断熱箱体50の背面側に配置されている。すなわち、真空断熱材54は、外箱51の背面部51cに貼付されている。また、機械室配線21は、外箱51の背面部51cと真空断熱材54との間に挟まれている。このように、機械室配線21は、外箱51に固定されている。
【0038】
図10には、変形例にかかる断熱箱体50の断面構成を示す。
図10に示すように、配線21は、複数本設けられていてもよい。この場合、複数の配線21は、背面部51cの平面に沿って並べて配置されていることが好ましい。これにより、背面部51cと平板状の真空断熱材54との間に挟まれた配線21が、背面部51cに対する真空断熱材54の貼り付けを大きく妨げることが抑えられ、真空断熱材54の取り付けを比較的容易に行うことができる。なお、配線23(庫内配線)も配線21と同様に複数本束ねられていてもよい。
【0039】
上記のような構成を有する断熱箱体50は、例えば次のように製造される。まず、内箱52の内部に、庫内電装ユニット等の制御基板、及び庫内配線23などを所定の位置に取り付ける。
【0040】
また、外箱51の所定の位置に機械室配線21などを取り付ける。その後、真空断熱材54を外箱51に接着固定する。
【0041】
具体的には、
図3に示すように、外箱51の背面部51cの上端(上面部51a)側から下端(底面部51b)へ機械室配線21を這わせる。なお、機械室配線21には、その上方の端部に第1のコネクタ21aが取付けられており、下方の端部に第2のコネクタ21bが取付けられている。これらの各コネクタ21aおよび21bを含む機械室配線21の両端部は、背面部51cの端部から外側へはみ出している。
【0042】
背面部51cに機械室配線21が取り付けられた状態で、背面部51cの内側面に真空断熱材54を貼り付ける。このとき、背面部51cに機械室配線21を仮止めした状態で、接着剤を用いて真空断熱材54を背面部51cに貼り付けることで、接着剤層に機械室配線21が埋め込まれた状態となる。これにより、機械室配線21の大部分は、真空断熱材54で覆われた状態で固定される。すなわち、
図4に示すように、機械室配線21は、真空断熱材54と外箱51の背面部51cとの間に挟まれた状態となる。
【0043】
そして、外箱51と内箱52とを組み立てて固定する。これにより、断熱箱体50の外形が形成される。
【0044】
その後、断熱箱体50の背面部51cを上にした状態で、背面部51cの左右両側の端部付近に形成された注入口55(
図3参照)より液体状の発泡断熱材の材料を注入する。発泡断熱材の材料は、外箱51と内箱52との間の空間内で前面側から背面側へと順に発泡して体積を増加しながら充填されていく。発泡した断熱材はその後、硬化する。
【0045】
これにより、断熱箱体50の内部は、発泡断熱材で充填された状態となり、断熱層53が形成される。庫内電装ユニット及び庫内配線23は、内箱52の壁面に貼り付けられたままで発泡断熱材(硬質発泡ウレタン)の内部に埋め込まれた状態となる。また、機械室配線21は、その大部分が真空断熱材54と外箱51の背面部51cとの間に挟まれた状態となり、その一部分(例えば、上端部および下端部)が発泡断熱材(硬質発泡ウレタン)の内部に埋め込まれた状態となる。また、第1のコネクタ21aを含む機械室配線21の上端部、および庫内配線23の上端部は、断熱箱体50から外箱51の上面部51aに設けた庫外電装ユニット41の取り付け部に飛び出た状態となっている。同様に、第2のコネクタ21bを含む機械室配線21の下端部は、断熱箱体50から機械室30に飛び出た状態となっている。
【0046】
その後、外箱51の上面部51aに庫外電装ユニット41を取り付け、電装ユニット側のコネクタと機械室配線21の第1のコネクタ21aとを接続する。また、機械室配線21の第2のコネクタ21bを、機械室30内の各部品(例えば、圧縮機31など)のコネクタと接続する。
【0047】
上述した断熱箱体の構成は、本発明の一例である。したがって、本発明の一態様にかかる冷蔵庫において、断熱箱体の構成は、上記のようなものに限定はされない。
【0048】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、断熱箱体50と、庫外電装ユニット41と、機械室30とを備えている。断熱箱体50は、外箱51と内箱52とを有している。また、外箱51と内箱52との間には、断熱層53が形成されている。断熱層53は、発泡断熱材で形成されている。また、外箱51と内箱52との間には、真空断熱材54が備えられている。庫外電装ユニット41は、断熱箱体50の上方(すなわち、外箱51の上面部51a)に配置されている。機械室30は、断熱箱体50の下方(すなわち、庫外電装ユニット41の配置側とは反対側、具体的には、外箱51の底面部51b)に配置され、圧縮機31などの機械部品を収容している。なお、庫外電装ユニット41と、圧縮機31とは、本実施形態とは上下逆の位置にそれぞれ配置されていてもよい。
【0049】
また、冷蔵庫1は、庫外電装ユニット41と機械部品とを連結している少なくとも一つの配線(機械室配線)21を有している。この配線21は、断熱層53内に埋め込まれており、外箱51の背面部51cと真空断熱材54との間に挟まれている。このように、機械室配線21は、外箱51に固定されている。
【0050】
上記の構成によれば、外箱51の上面部51aに配置された庫外電装ユニット41と、底面部51bに配置された圧縮機31などの電動部品とを連結している配線21を外箱51に固定することで、発泡断熱材料の流動性を妨げる可能性のある配線の数を減らすことができる。これにより、発泡断熱材の形成過程で生じ得る断熱材料の未充填部の発生を抑制し、断熱層53中のボイド(空隙)の発生を抑えることができる。
【0051】
特に、断熱箱体50の上部に配置された庫外電装ユニット41と、断熱箱体50の下部に配置された機械室30内の圧縮機31などの電動部品とを連結する配線に関しては、内箱52側に配置することの必然性は低い。そのため、本実施形態では、機械室配線21を外箱51側に配置している。断熱箱体50の背面部51cでは、発泡断熱材料は内箱52側から順に流動、発泡し、その後に外箱51側へと流動する。したがって、外箱51側に配置した配線が発泡断熱材料の流動性を妨げることで断熱材料の未充填部が発生する可能性は、内箱52側に配置した配線による可能性に比べて、かなり低くなる。そのため、配線の用途に応じて、断熱箱体50内の配線の配置位置を変更することで、断熱層53内に配線を配置することによる発泡断熱材料の流動性の低下を最小限に抑えることができる。
【0052】
また、従来の技術では、全ての配線を内箱52側に配置していたため、機械室配線21を、断熱箱体50の上端部において外箱51側から一旦内箱52側へ引き回し、また、断熱箱体50の下端部において内箱52側から外箱51側へと引き回していた。この構成では、当該配線が外箱51と内箱52とに跨がる箇所が少なくとも上下に1箇所ずつ存在することになる。
【0053】
これに対して、本実施形態では、機械室配線21は外箱51と内箱52とには跨がらず、庫内配線23が庫外電装ユニット41と内箱52との間の1箇所のみで跨がるような構成となる。配線には、通常、銅線などの熱伝導性の高い金属が用いられるため、配線が外箱51と内箱52とに跨がる箇所が多いと、断熱箱体の断熱性能が低下する。これに対して、本実施形態では、外箱51と内箱52とに跨がる配線を減らすことで、断熱箱体50の断熱性能を維持できる。
【0054】
また、本実施形態にかかる冷蔵庫1では、機械室配線21を外箱51の背面部51cと真空断熱材54との間に挟みこんでいる。このような構成により、配線が発泡断熱材料の流動の妨げになることをより効果的に抑制し、かつ真空断熱材54の貼付面の接着剤により機械室配線21を固定することができる。
【0055】
また、庫内側の冷熱が真空断熱材54によって遮断されるため、機械室配線21が庫内の冷熱によって冷やされることが抑制される。そのため、冷熱が機械室配線21を伝わって、庫外に配置された電動部品や電装ユニットの制御基板に漏れることが抑制され、庫外の部品や制御基板の結露の可能性を低減させることができる。
【0056】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、機械室配線が、高圧交流用の配線と、低圧直流用の配線とに分けられている構成例について説明する。なお、外箱の背面部における機械室配線の配置以外については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第2の実施形態では、外箱の背面部の構成を中心に説明する。
【0057】
図5は、本実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体50を構成する外箱51の背面部51cの構成を示す平面図である。第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層53と、真空断熱材(VIP)54とを備えている。これらの各構成部材については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0058】
本実施形態では、断熱箱体50の内部を通っている配線は、第1機械室配線(高圧交流用の配線)21、第2機械室配線22(低圧直流用の配線)22、および庫内配線23という3種類のもので構成されている。庫内配線23は、第1の実施形態と同様に、断熱箱体50内の内箱側に配置されている。
【0059】
第1機械室配線21は、第1の実施形態の配線21と同様に、庫外電装ユニット41と機械室30内の各電動部品(例えば、圧縮機31など)とを電気的に接続する。第1機械室配線21は、主に、主電源、並びに圧縮機31およびインバータなどの各電動部品を駆動するために用いられる配線である。言い換えると、第1機械室配線21は、高圧交流の電気を供給するための配線である。
【0060】
第1機械室配線21の上方側の端部に設けられた第1のコネクタ21aは、庫外電装ユニット41側のコネクタと接続される。第1機械室配線21の下方側の端部に設けられた第2のコネクタ21bは、機械室30内の各部品(例えば、圧縮機31など)のコネクタと接続される。
【0061】
第2機械室配線22は、第1機械室配線21と略平行に配置されている。第2機械室配線22は、庫外電装ユニット41と機械室30内の各電動部品(例えば、圧縮機31など)とを電気的に接続する。第2機械室配線22は、機械室30に配置された各種装置(例えば、凝縮器ファン、冷媒切換弁など)に電気信号を伝達するために用いられる配線である。言い換えると、第2機械室配線22は、低圧直流の電気を供給するための配線である。
【0062】
第2機械室配線22の上方側の端部に設けられた第1のコネクタ22aは、庫外電装ユニット41側のコネクタと接続される。第2機械室配線22の下方側の端部に設けられた第2のコネクタ22bは、機械室30内の各部品(例えば、圧縮機31など)のコネクタと接続される。
【0063】
以上のように、本実施形態では、機械室配線が、送信する電気信号の種類によって、第1機械室配線21と第2機械室配線22とに分けられている。そして、
図5に示すように、第1機械室配線21と第2機械室配線22とは、互いに離間した状態で外箱51の背面部51c上に配置されている。これにより、第1機械室配線21と第2機械室配線22との間で発生し得るノイズの発生を低減させることができる。
【0064】
なお、第1機械室配線21は、例えば、
図10に示す配線21のように、複数本の配線を束ねて構成されていてもよい。同様に、第2機械室配線22は、複数本の配線を束ねて構成されていてもよい。
【0065】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、外箱の背面部に放熱パイプが取り付けられている構成例について説明する。なお、外箱の背面部以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第3の実施形態では、外箱の背面部の構成を中心に説明する。
【0066】
図6は、本実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体50を構成する外箱151の背面部151cの構成を示す平面図である。
図6は、背面部151cの内側を示す。第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱151と、内箱52と、断熱層53と、真空断熱材(VIP)54とを備えている。内箱52および断熱層53については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0067】
図6に示すように、背面部151cには、真空断熱材(VIP)54が貼り付けられている。背面部151cの左右両側の端部付近には、断熱材料の注入口55が形成されている。これらの構成は、第1の実施形態と同様である。
【0068】
また、真空断熱材54の外周(具体的には、上端部および左右両端部)には、放熱パイプ171が延びている。放熱パイプ171には、冷凍サイクルにおいて温められた冷媒が流れている。このような放熱パイプ171が設けられていることで、断熱箱体50の表面の結露の発生を抑えることができる。
【0069】
放熱パイプ171は、シート状の粘着テープ(シール部材)161および162によって、背面部151cに固定されている。具体的には、背面部151cの上端に沿って延びる放熱パイプ171の一部171aが、比較的幅広の粘着テープ161によって固定されている。また、背面部151cの左右両端部に沿って延びる放熱パイプ171の一部171bが、比較的幅狭の粘着テープ162によって固定されている。
【0070】
機械室配線21は、外箱51の背面部151cと真空断熱材54との間に挟まれている。本実施形態では、機械室配線21の上方側の部分が、粘着テープ161によって放熱パイプ171とともに固定されている。
【0071】
図7には、
図6に示す背面部151cのC-C線部分の断面構成を示す。粘着テープ161は、背面部151cの上端に沿って貼り付けられている。この粘着テープ161の幅方向の一方の端部161a(下方側の端部)は、真空断熱材54と背面部151cとの間に挟まれており、真空断熱材54の上端部よりも下方まで達している。また、粘着テープ161の幅方向の他方の端部161b(上方側の端部)は、背面部151cの上方側(上面部51a側)の端部にまで達している。
【0072】
このような構成によって、機械室配線21を固定している粘着テープ161と背面部151cと間にわずかな隙間が形成される。この隙間は、粘着テープ161の端部161aが真空断熱材54の上端部と背面部151cとによって挟まれていることにより、真空断熱材54の上端部と背面部151cとの間に形成される空間と連通する。また、粘着テープ161の端部161bが背面部151cの上方側(上面部51a側)の端部にまで達していることで、真空断熱材54の上端部と背面部151cとの間の空間が外気と連通する。
【0073】
これにより、断熱箱体50の製造工程などにおいて、発泡断熱材から発生した発泡ガスが真空断熱材54と背面部151cとの間に侵入した場合であっても、蓄積させずに速やかに外気に放出することができるため、背面部251cの変形が起こりにくくなる。
【0074】
なお、本実施形態では、外箱151の背面部151cに放熱パイプ171が取り付けられている冷蔵庫を例に挙げて説明した。しかし、第1の実施形態などのように、冷蔵庫の背面部に放熱パイプが設けられていない構成の場合にも、粘着テープ161を用いて、機械室配線21を固定してもよい。放熱パイプが設けられていない構成の場合であっても、本実施形態のように、機械室配線21を固定している粘着テープ161の幅方向の一方の端部161aが、真空断熱材54と背面部151cとの間に挟まれており、真空断熱材54の上端部よりも下方まで達していることが好ましい。また、粘着テープ161の幅方向の他方の端部161bが、背面部151cの上方側(上面部51a側)の端部にまで達していることが好ましい。これにより、真空断熱材54と背面部151cとの間の空間が外気と連通する。なお、この場合は、粘着テープ161は機械室配線21を覆う程度の左右幅があればよい。
【0075】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、外箱の背面部に放熱パイプが取り付けられているもう一つの構成例について説明する。なお、外箱の背面部以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第4の実施形態では、外箱の背面部の構成を中心に説明する。
【0076】
図8は、本実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体50を構成する外箱251の背面部251cの構成を示す平面図である。
図8は、背面部251cの内側を示す。第1の実施形態と同様に、断熱箱体50は、主として、外箱251と、内箱52と、断熱層53と、真空断熱材(VIP)54とを備えている。内箱52および断熱層53については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0077】
図8に示すように、背面部251cには、真空断熱材(VIP)54が貼り付けられている。背面部251cの左右両側の端部付近には、断熱材料の注入口55が形成されている。これらの構成は、第1の実施形態と同様である。
【0078】
また、真空断熱材54の下方側には、真空断熱材54の下端部に沿って放熱パイプ271が延びている。放熱パイプ271は、シート状の粘着テープ(シール部材)261および262によって、背面部251cに固定されている。具体的には、背面部251cの下端に沿って延びる放熱パイプ271の一部271aが、粘着テープ261によって固定されている。また、背面部251cの左右両端部に沿って延びる放熱パイプ271の他の部分が、粘着テープ262によって固定されている。
【0079】
本実施形態にかかる構成では、放熱パイプ271が背面部251cの下方部分にのみ配置されており、背面部251cの左右両側の端部には配置されていない。これにより、第3の実施形態の構成と比較して、真空断熱材54を左右両側に拡張させて配置させることができる。そのため、真空断熱材54の表面積が増加し、冷蔵庫1の断熱性能をより向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる背面部251cでは、第2の実施形態と同様に、機械室配線が、第1機械室配線(高圧交流用の配線)21と第2機械室配線22(低圧直流用の配線)22とに分けられて、背面部251cにそれぞれ固定されている。
【0081】
第1機械室配線21および第2機械室配線22は、外箱51の背面部251cと真空断熱材54との間に挟まれている。本実施形態では、第1機械室配線21および第2機械室配線22の下方側の部分が、粘着テープ261および262によって放熱パイプ271とともに固定されている。
【0082】
具体的には、第1機械室配線21の下方側は、真空断熱材54の下方で屈曲(21c)し、一旦横方向(左方向)に延びている。そして、横方向に延びる第1機械室配線21は、放熱パイプ271の屈曲部の近傍で再度屈曲し、縦方向(下方向)に延びて、背面部251cから飛び出している。
【0083】
また、第2機械室配線22の下方側は、真空断熱材54の下方で屈曲(22c)し、一旦横方向(右方向)に延びている。そして、横方向に延びる第2機械室配線22は、放熱パイプ271の屈曲部の近傍で再度屈曲し、縦方向(下方向)に延びて、背面部251cから飛び出している。
【0084】
真空断熱材54の下端部に沿って横方向に延びる第1機械室配線21および第2機械室配線22の一部は、粘着テープ261によって固定されている。背面部251cの左右両側の端部で縦方向に延びる第1機械室配線21および第2機械室配線22の一部は、粘着テープ262によって固定されている。
【0085】
図9には、
図8に示す背面部251cのD-D線部分の断面構成を示す。粘着テープ261は、背面部151cの下端部に沿って横方向に延びている。この粘着テープ261の幅方向の一方の端部261a(上方側の端部)は、真空断熱材54と背面部251cとの間に挟まれている。
【0086】
また、粘着テープ262は、背面部251cの左右両側の端部で縦方向に延びている。なお、各粘着テープ262は、粘着テープ261の左右両側の端部と部分的に重なっている。粘着テープ262の一方の端部262a(上方側の端部)は、真空断熱材54と背面部251cとの間に挟まれている。また、粘着テープ262の他方の端部262b(下方側の端部)は、背面部251cの下方側(底面部51b側)の端部にまで達している。
【0087】
このような構成によって、第1機械室配線21および第2機械室配線22を固定している粘着テープ261および262と背面部151cと間にわずかな隙間が形成される。この隙間は、粘着テープ261の端部261aが真空断熱材54の上端部と背面部251cとによって挟まれていることにより、真空断熱材54の上端部と背面部251cとの間に形成される空間と連通する。また、粘着テープ262の端部262bが背面部251cの下方側(底面部51b側)の端部にまで達していることで、真空断熱材54の下端部と背面部251cとの間の空間が外気と連通する。
【0088】
これにより、断熱箱体50の製造工程などにおいて、真空断熱材54の収縮などが発生した場合に起こり得る背面部251cの変形が起こりにくくなる。
【0089】
なお、本実施形態では、外箱251の背面部251cに放熱パイプ271が取り付けられている冷蔵庫を例に挙げて説明した。しかし、第1の実施形態などのように、冷蔵庫の背面部に放熱パイプが設けられていない構成の場合にも、上述した方法で、粘着テープ261および262を用いて第1機械室配線21および第2機械室配線22を背面部251cに固定してもよい。
【0090】
<第5の実施形態>
続いて、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、真空断熱材が設けられていない冷蔵庫の構成例について説明する。なお、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。そこで、第5の実施形態では、第1の実施形態とは異なる構成を中心に説明する。
【0091】
図11は、本実施形態にかかる冷蔵庫1の断熱箱体350の横断面の構成を示す。断熱箱体350は、主として、外箱51と、内箱52と、断熱層53とを備えている。外箱51、内箱52、および断熱層53は、第1の実施形態と同様の構成を有している。
【0092】
断熱層53内には、各種配線21,23が配置されている。配線21は、庫外電装ユニット41と機械室30内の各電動部品(例えば、圧縮機31など)とを電気的に接続する。配線21は、機械室配線とも呼ばれる。また、配線23は、庫外電装ユニット41と庫内電装ユニットとを電気的に接続する配線である。配線23は、庫内配線とも呼ばれる。
【0093】
配線21は、断熱箱体50の背面部51c(すなわち、外箱51側)を這うようにして断熱箱体350の内部に配置されている。本実施形態では、真空断熱材が設けられていないため、配線21は、例えば、粘着テープによって背面部51cの内側に固定される。
【0094】
上記の構成によれば、外箱51の上面部51aに配置された庫外電装ユニット41と、底面部51bに配置された圧縮機31などの電動部品とを連結している配線21を外箱51に固定することで、第1の実施形態と同様に、発泡断熱材料の流動性を妨げる可能性のある配線の数を減らすことができる。これにより、発泡断熱材の形成過程で生じ得る断熱材料の未充填部の発生を抑制し、断熱層53中のボイド(空隙)の発生を抑えることができる。また、外箱51と内箱52とに跨がる配線を減らすことで、断熱箱体50の断熱性能を維持できる。
【0095】
図12には、変形例にかかる断熱箱体350’の断面構成を示す。
図12に示すように、配線21は、複数本設けられていてもよい。この場合、複数の配線21は、背面部51cの平面に沿って並べて配置されていることが好ましい。これにより、断熱箱体内に複数の配線21を配置させた際に、各配線が、断熱層53の形成過程で発泡断熱材料の流動性の妨げとなることを抑えることができる。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 :冷蔵庫
21 :機械室配線、第1機械室配線(配線、高圧交流用の配線)
22 :第2機械室配線(配線、低圧直流用の配線)
23 :庫内配線
30 :機械室
31 :圧縮機(電動部品)
41 :庫外電装ユニット(電装ユニット)
50 :断熱箱体
51 :外箱
51c :(外箱の)背面部
52 :内箱
53 :断熱層
54 :真空断熱材
151 :外箱
161 :粘着テープ(シール部材)
161a:(粘着テープの)端部
161b:(粘着テープの)端部
171 :放熱パイプ
251 :外箱
261 :粘着テープ(シール部材)
261a:(粘着テープの)端部
262 :粘着テープ(シール部材)
262b:(粘着テープの)端部
350 :断熱箱体
350’:断熱箱体