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特許7228622喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法
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  • 特許-喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法 図1
  • 特許-喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法 図2
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  • 特許-喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法 図7A
  • 特許-喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法 図7B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料、ならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/10 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
A24D3/10
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021084439
(22)【出願日】2021-05-19
(62)【分割の表示】P 2019039213の分割
【原出願日】2013-10-09
(65)【公開番号】P2021121209
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】13/648,756
(32)【優先日】2012-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594112886
【氏名又は名称】アール・ジエイ・レイノルズ・タバコ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリーズ・ディー・セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エボン・ルウェリン・クルックス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・コビスキー
(72)【発明者】
【氏名】コートニー・アール・ジャクソン
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-120517(JP,A)
【文献】特開平07-076632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0000479(US,A1)
【文献】特表2015-523079(JP,A)
【文献】特開2000-093153(JP,A)
【文献】米国特許第03144025(US,A)
【文献】国際公開第00/053832(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/048397(WO,A1)
【文献】特開平09-316420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品のためのフィルター要素を形成するための方法であって、
第1の複数の酢酸セルロース繊維及び第2の複数の生分解性繊維を含む混合繊維束を受容することと、ここで、前記第2の複数の生分解性繊維は、レーヨン繊維であり;
前記混合繊維束を処理して、喫煙物品への組み込みに適した可塑化フィルターロッドを提供することと、
を含み、
前記混合繊維束は、少なくとも50重量%の第1の複数の酢酸セルロース繊維及び少なくとも25重量%の第2の複数の生分解性繊維を含み、
前記フィルターロッドは少なくとも90%の硬度を有し、
前記フィルターロッドは、100%酢酸セルロースフィルタートウよりも速い生分解速度を示す、前記方法。
【請求項2】
前記フィルターロッドの生分解速度が、100%酢酸セルロースフィルタートウよりも少なくとも50%速い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合繊維束が、100%再生セルロース繊維束と比較して、ASTM D-6691試験方法でテストした場合、ASTM D7081仕様標準に従って、海洋環境でより速い速度で生分解する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合繊維束は、100%再生セルロース繊維束と比較して、炭素変換%によって測定される生化学的メタン活性(BMP)試験において、より速い嫌気性生分解性を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合繊維束中の前記酢酸セルロース繊維と前記生分解性繊維の重量比が、50:50~70:30である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維の一方又は両方が、連続フィラメントの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記混合繊維束の繊維は、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維の前記繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維の前記繊維が、前記混合繊維束の断面にわたって、交互に配置される、及び互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酢酸セルロース繊維が前記生分解性繊維とは別個に可塑化されるように、前記混合繊維束の断面に関して、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維のうちの他方が、前記中心コアの周りに配列されるように、前記混合繊維束の前記繊維が配列される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合繊維束が3~5の範囲のdpfを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
喫煙物品における使用に好適なフィルター要素であって、前記フィルター要素が、第1の複数の酢酸セルロース繊維及び第2の複数の生分解性繊維を含む混合繊維束を含む可塑化フィルターロッドの形態であり、
前記第2の複数の生分解性繊維は、レーヨン繊維であり、
混合繊維トウは、少なくとも50重量%の前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び少なくとも25重量%の前記第2の複数の生分解性繊維を含み、
前記フィルターロッドは、少なくとも90%の硬度を有し、
前記フィルターロッドは、100%酢酸セルロースフィルタートウよりも速い生分解速度を示す、前記フィルター要素。
【請求項11】
前記フィルターロッドの生分解速度が、100%酢酸セルロースフィルタートウよりも少なくとも50%速い、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項12】
前記混合繊維束が、100%再生セルロース繊維束と比較して、ASTM D-6691試験方法でテストした場合、ASTM D7081仕様標準に従って、海洋環境でより速い速度で生分解する、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項13】
前記混合繊維束は、100%再生セルロース繊維束と比較して、炭素変換%によって測定される生化学的メタン活性(BMP)試験において、より速い嫌気性生分解性を示す、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項14】
前記混合繊維束中の前記酢酸セルロース繊維と前記生分解性繊維との重量比が、50:50~70:30である、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項15】
前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維の一方又は両方が、連続フィラメントの形態である、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項16】
前記混合繊維束の繊維は、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維の前記繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維の前記繊維が、前記混合繊維束の断面にわたって、交互に配置される、及び互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項17】
前記酢酸セルロース繊維が前記生分解性繊維とは別個に可塑化されるように、前記混合繊維束の断面に関して、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、前記第1の複数の酢酸セルロース繊維及び前記第2の複数の生分解性繊維のうちの他方が、前記中心コアの周りに配列されるように、前記混合繊維束の前記繊維が配列される、請求項10に記載のフィルター要素。
【請求項18】
喫煙可能な材料のロッドと、それに取り付けられる請求項10に記載のフィルター要素と、を含む、紙巻タバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[開示の背景]
本開示は、タバコまたはヒトの消費を意図する他の喫煙可能な材料から作製またはそれに由来する生成物に関する。特に、本開示は、紙巻タバコ等の喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料に関し、そのようなフィルター材料および関連フィルター要素を生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ等の人気のある喫煙物品は、実質的に円柱形のロッド状構造を有することができ、包装紙によって包囲された刻みタバコ等の喫煙可能な材料(例えば、カットフィラー形態)の充填、ロール、または円柱を含むことができ、それによっていわゆる「喫煙可能なロッド」または「タバコロッド」を形成する。通常、紙巻タバコは、タバコロッドとの端から端までの関係で整列された円柱形フィルター要素を有する。典型的に、フィルター要素は、「プラグラップ」として知られる紙材料によって外接される可塑化酢酸セルローストウを含み、フィルター要素は、「チッピング材料」として知られる外接包装材料を使用して、タバコロッドの一端に取り付けられる。吸い込まれた主流煙の周囲空気による希釈を提供するために、チッピング材料およびプラグラップを穿孔することが望ましい場合もある。紙巻タバコおよびその様々な構成要素に関する説明は、Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)に記載される。紙巻タバコは、喫煙者がその一端に点火し、タバコロッドを燃やすことによって用いられる。次に、喫煙者は、紙巻タバコの反対端(例えば、フィルター端)で吸い込むことによって主流煙を自身の口に受け入れる。
【0003】
フィルター要素を形成するために現在使用可能なフィルター技術は、いくつかの欠点を有し得る。例えば、酢酸セルローストウを含む従来のフィルター要素は、生分解性として特徴付けられるものの、実際に生分解するためには望ましくないほど長い時間を必要とし得る。いくつかの例において、生分解期間は、約2年~10年であり得る。これに応えて、丁合紙、不織ポリプロピレン網、または破砕網の丁合ストランド等の代替フィルター材料が提案された。しかしながら、そのような代替材料を含むフィルター要素が、従来の酢酸セルローストウフィルター要素を超える加速した生分解性を示す場合でも、主流煙に対するその効果は、喫煙者の期待に沿わない場合がある。つまり、従来の酢酸セルローストウは、トウがブルームされ、フィルター要素が得られるフィルターロッドに形成されるとき、一般にトリアセチン等の適切な可塑剤で可塑化される。この点において、トリアセチン可塑剤は、喫煙者に好ましいか、あるいは喫煙者によって期待されるようになる主流煙に対する特定の効果(すなわち、味)を提供する。代替フィルター材料に関する1つの問題は、それらの材料が、必ずしもトリアセチン等の可塑剤とブレンドされないか、またはそれを好適に受容しない場合があることである。つまり、そのような代替フィルター材料がトリアセチンを受容する場合でも、主流煙に対する複合の効果、例えば、煙の味は、喫煙者に好ましくないか、あるいはトリアセチン処理された酢酸セルローストウフィルター要素と関連する感覚受容特性に慣れた喫煙者によって期待される感覚に十分に類似しない場合がある。
【0004】
使用後にフィルター要素の生分解を促進し得る材料を含有する、紙巻タバコのための特定のフィルター要素が開発された。例えば、生分解性を強化するようにフィルター材料に添加することができる、特定の添加剤が記述された(例えば、水溶性セルロース材料、水溶性繊維結合剤、デンプン粒子、光活性色素、および/またはリン酸)。例えば、Itoらの米国特許第5,913,311号、Wilsonらの同第5,947,126号、Buchananらの同第5,970,988号、およびYamashitaの同第6,571,802号、ならびにRobertsonの米国特許出願公開第2009/0151735号およびSebastianの同第2011/0036366号を参照されたい。場合によって、従来の酢酸セルロースフィルター材料は、水分崩壊性シート材料、押出されたデンプン材料、またはポリビニルアルコール等の他の材料と置き換えられた。Arzonicoらの米国特許第5,709,227号、Bergerの同第5,911,224号、Loercksらの同第6,062,228号、およびCaseらの同第6,595,217号を参照されたい。Wilsonらの米国特許第5,947,126号およびGarthaffnerの同第7,435,208号に記載されるように、フィルター要素へのスリットの組み込みが、生分解性を強化し得ることも示唆された。生分解性は、例えば、Kauffmanらの米国特許第5,453,144号およびSebastianらの米国特許出願公開第2012/0000477号に記載されるように、特定の接着剤の使用によって付与されることも提案された。生分解性を強化するための別の可能な手段は、Asaiらの米国特許第6,344,349号に記載されるように、従来の酢酸セルロースフィルター材料を、セルロースエステルでコーティングされた繊維状または粒子状セルロース材料のコアと置き換えることである。
【0005】
フィルター要素、ならびにそれを生成するための装置および方法におけるさらなる進歩が望ましい場合があり、そのような進歩は、喫煙者によって期待される、主流煙に対する感覚効果(すなわち、煙の味)を保持するための従来の可塑剤とブレンドしながら、フィルタートウ/フィルター要素の生分解性を最大化するか、あるいは強化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,913,311号明細書
【文献】米国特許第5,947,126号明細書
【文献】米国特許第5,970,988号明細書
【文献】米国特許第6,571,802号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0151735号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0036366号明細書
【文献】米国特許第5,709,227号明細書
【文献】米国特許第5,911,224号明細書
【文献】米国特許第6,062,228号明細書
【文献】米国特許第6,595,217号明細書
【文献】米国特許第5,947,126号明細書
【文献】米国特許第7,435,208号明細書
【文献】米国特許第5,453,144号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0000477号明細書
【文献】米国特許第6,344,349号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)
【発明の概要】
【0008】
上記および他の必要性は、本開示の態様によって満たされ、一態様において、喫煙物品のフィルター要素のための混合繊維トウを形成する方法を提供する。本発明は、特定の実施形態において、従来の紙巻タバコフィルターと比較して、強化された生分解性を示す一方で、依然として、従来の紙巻タバコフィルターと関連する望ましい味および濾過特性を提供する、喫煙物品のフィルター要素における使用に好適な混合繊維トウを提供する。
【0009】
一態様において、本発明は、喫煙物品のためのフィルター要素における使用に好適な混合繊維トウを形成するための方法を提供し、この方法は、第1の複数の酢酸セルロース繊維を、第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の繊維(例えば、再生セルロース繊維)と複合して、混合繊維ブレンドを形成することと、混合繊維ブレンドを延伸して、混合繊維ブレンドの繊維の1フィラメント当たりのデニールを低減し、延伸繊維ブレンドを形成することと、延伸繊維ブレンドを捲縮して、混合繊維トウを形成することと、を含む。2つの繊維種の重量比は異なり得るが、典型的に、第1の複数の酢酸セルロース繊維と第2の複数の繊維との重量比は、約25:75~約75:25である。この方法は、混合繊維トウを、喫煙物品における使用に好適なフィルター要素に組み込む等のさらなるステップを含むことができ、典型的に、混合繊維トウをブルームすること、および混合繊維トウに可塑剤を適用することのうちの1つ以上を必要とする。
【0010】
第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維は、典型的に、前述の複合ステップの前に未延伸であるか、または部分的に延伸されており、繊維が、後次の延伸ステップ中に破断する傾向を有しないようになる。混合繊維ブレンド内の2種類の繊維の配列は異なり得る。特定の実施形態において、混合繊維ブレンド内の第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維の長手方向軸は、互いに対して実質的に平行に配置される。別の実施形態において、混合繊維ブレンドの繊維は、第1の複数の酢酸セルロース繊維の繊維および第2の複数の繊維の繊維が、混合繊維ブレンドの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される。さらに別の実施形態において、混合繊維ブレンドの繊維は、混合繊維ブレンドの断面に関して、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように配列される。
【0011】
分解性フィルター要素が所望される場合、第2の複数の繊維は、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリ乳酸またはポリヒドロキシアルカノエート)、セルロース、再生セルロース、埋め込まれたデンプン粒子を有する酢酸セルロース、アセチル基でコーティングされたセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、脂肪族ポリウレタン、ポリエステルアミド、シス-ポリイソプレン、シス-ポリブタジエン、ポリ無水物、ポリブチレンサクシネート、タンパク質、アルギン酸塩、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンド等の分解性ポリマー材料を含むことができる。
【0012】
混合繊維トウは、典型的に、約20,000デニール~約80,000デニール、例えば、約30,000デニール~約60,000デニールの範囲内の総デニールを有する。さらに、混合繊維トウは、典型的に、約3~約5の範囲内のdpfを有する。
【0013】
本発明の別の態様において、喫煙物品のフィルター要素を形成するための方法が提供され、この方法は、第1の複数の延伸および捲縮された酢酸セルロース繊維と、第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の延伸および捲縮された繊維とのブレンドを含む混合繊維トウであって、約20,000デニール~約80,000デニールの範囲内の総デニールを有する混合繊維トウを受容することと、喫煙物品への組み込みに好適なフィルター要素を提供するように混合繊維トウを加工すること(例えば、混合繊維トウをブルームすること、および/または混合繊維トウに可塑剤を適用すること、および/または混合繊維トウをプラグラップと外接させること)と、を含む。本発明のこの態様において使用される混合繊維トウは、上記の特徴のうちのいずれかを有することができる。
【0014】
本開示の別の態様は、喫煙物品における使用に好適なフィルター要素を提供し、このフィルター要素は、第1の複数の延伸および捲縮された酢酸セルロース繊維と、第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の延伸および捲縮された繊維とのブレンドを含む混合繊維トウを含み、この混合繊維トウは、約20,000デニール~約80,000デニールの範囲内の総デニールを有する。フィルター要素の混合繊維トウは、本明細書に記載される特徴のうちのいずれかを有し得る。特定の実施形態において、本発明のフィルター要素は、伝統的な酢酸セルロースフィルター要素の分解速度より少なくとも約50%速い分解速度を示す。フィルター要素の混合繊維トウの繊維は、典型的に、第1の複数の酢酸セルロース繊維の繊維および第2の複数の繊維の繊維が、混合繊維トウの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される。代替として、フィルター要素の混合繊維トウの繊維は、混合繊維トウの断面に関して、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように配列される。特定の実施形態において、フィルター要素の硬度は、少なくとも約90%、または少なくとも約92%、または少なくとも約94%となる。追加として、特定の有利な実施形態において、混合繊維トウは、少なくとも約50重量%の第1の複数の酢酸セルロース繊維(例えば、少なくとも約60重量%または少なくとも約70重量%の第1の複数の酢酸セルロース繊維)を含む。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は、喫煙可能な材料のロッドと、本明細書に記載される任意の実施形態に従うフィルター要素と、を含む紙巻タバコまたは他の喫煙物品を提供する。
【0016】
本開示のさらなる態様は、喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料を形成するためのシステムを提供する。そのようなシステムは、第1の複数の酢酸セルロース繊維を、第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の繊維と複合して、混合繊維ブレンドを形成するように構成された複合ユニットと、混合繊維ブレンドを受容し、延伸して、延伸繊維ブレンドを形成するように構成された延伸ユニットと、延伸繊維ブレンドを受容し、捲縮して、混合繊維トウを形成するように構成された捲縮ユニットと、を備えることができる。特定の実施形態において、複合ユニットは、その長手方向軸が、混合繊維ブレンドを形成する際に、互いに対して実質的に平行に配置されるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される。いくつかの実施形態において、複合ユニットは、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維が、混合繊維ブレンドの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される。なおもさらなる実施形態において、複合ユニットは、混合繊維ブレンドの断面に関して、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される。所望される場合、延伸ユニットは、約3~約5の範囲内のdpfを有するように、混合繊維ブレンドを延伸するように構成され得る。このシステムは、混合繊維トウをブルームするように構成されたブルーミングユニットを含むこともできる。
【0017】
したがって本開示の態様は、未延伸であるか、または部分的に延伸されている酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維をブレンドし、次に複合繊維を延伸ステップに共した後、混合繊維束を捲縮して混合繊維トウを生成することによって作製された生分解性フィルタートウを提供することができる。酢酸セルロース繊維と、再生セルロース繊維との比率を、混合繊維トウの生分解性を最大化する一方で、フィルターが望ましい煙の味を保持するように、例えば、トリアセチンを用いてブルームされたトウを可塑化する能力を保持するように最適化することができる。
【0018】
本発明は、制限なく以下の実施形態を含む。
【0019】
実施形態1:喫煙物品のためのフィルター要素に好適な混合繊維トウを形成するための方法であって、
第1の複数の酢酸セルロース繊維を、この第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の繊維と複合して、混合繊維ブレンドを形成することと、
この混合繊維ブレンドを延伸して、混合繊維ブレンドの繊維の1フィラメント当たりのデニールを低減し、延伸繊維ブレンドを形成することと、
この延伸繊維ブレンドを捲縮して、混合繊維トウを形成することと、を含む、方法。
【0020】
実施形態2:第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維が、前述の複合ステップの前に未延伸であるか、または部分的に延伸されている、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0021】
実施形態3:第2の複数の繊維が、分解性ポリマー材料を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0022】
実施形態4:分解性ポリマー材料が、脂肪族ポリエステル、セルロース、再生セルロース、埋め込まれたデンプン粒子を有する酢酸セルロース、アセチル基でコーティングされたセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、脂肪族ポリウレタン、ポリエステルアミド、シス-ポリイソプレン、シス-ポリブタジエン、ポリ無水物、ポリブチレンサクシネート、タンパク質、アルギン酸塩、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0023】
実施形態5:第1の複数の酢酸セルロース繊維と第2の複数の繊維との重量比が、約25:75~約75:25である、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0024】
実施形態6:第2の複数の繊維が、再生セルロース繊維、ポリ乳酸繊維、またはポリヒドロキシアルカノエート繊維を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0025】
実施形態7:混合繊維ブレンド内の第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維の長手方向軸が、互いに対して実質的に平行に配置される、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0026】
実施形態8:混合繊維ブレンドの繊維は、第1の複数の酢酸セルロース繊維の繊維および第2の複数の繊維の繊維が、混合繊維ブレンドの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0027】
実施形態9:混合繊維ブレンドの繊維は、混合繊維ブレンドの断面に関して、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように配列される、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0028】
実施形態10:混合繊維トウが、約20,000デニール~約80,000デニールの範囲内の総デニールを有する、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0029】
実施形態11:混合繊維トウが、約30,000デニール~約60,000デニールの範囲内の総デニールを有する、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0030】
実施形態12:混合繊維トウを、喫煙物品における使用に好適なフィルター要素に組み込むことをさらに含み、混合繊維トウが、第1の複数の延伸および捲縮された酢酸セルロース繊維と、第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の延伸および捲縮された繊維とのブレンドを含む、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0031】
実施形態13:前述の組み込みステップが、混合繊維トウをブルームすること、および混合繊維トウに可塑剤を適用することのうちの1つ以上を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0032】
実施形態14:混合繊維トウが、約3~約5の範囲内のdpfを有する、任意の前述または後述の実施形態に記載の方法。
【0033】
実施形態15:喫煙物品における使用に好適なフィルター要素であって、第1の複数の延伸および捲縮された酢酸セルロース繊維と、第1の複数の繊維とは異なる分解性ポリマー材料を含む第2の複数の延伸および捲縮された繊維とのブレンドを含む混合繊維トウを含み、この混合繊維トウが、約20,000デニール~約80,000デニールの範囲内の総デニールを有する、フィルター要素。
【0034】
実施形態16:混合繊維トウが、約30,000デニール~約60,000デニールの範囲内の総デニールを有する、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0035】
実施形態17:分解性ポリマー材料が、脂肪族ポリエステル、セルロース、再生セルロース、埋め込まれたデンプン粒子を有する酢酸セルロース、アセチル基でコーティングされたセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、脂肪族ポリウレタン、ポリエステルアミド、シス-ポリイソプレン、シス-ポリブタジエン、ポリ無水物、ポリブチレンサクシネート、タンパク質、アルギン酸塩、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0036】
実施形態18:第1の複数の酢酸セルロース繊維と第2の複数の繊維との重量比が、約25:75~約75:25である、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0037】
実施形態19:フィルター要素が、伝統的な酢酸セルロースフィルター要素の分解速度より少なくとも約50%速い分解速度を示す、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0038】
実施形態20:第2の複数の繊維が、再生セルロース繊維、ポリ乳酸繊維、またはポリヒドロキシアルカノエート繊維を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0039】
実施形態21:混合繊維トウの繊維は、第1の複数の酢酸セルロース繊維の繊維および第2の複数の繊維の繊維が、混合繊維トウの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように配列される、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0040】
実施形態22:混合繊維トウの繊維は、混合繊維トウの断面に関して、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、第1の複数の酢酸セルロース繊維および第2の複数の繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように配列される、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0041】
実施形態23:フィルター要素の硬度が、少なくとも約90%である、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0042】
実施形態24:混合繊維トウが、少なくとも約50重量%の第1の複数の酢酸セルロース繊維を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素。
【0043】
実施形態25:喫煙可能な材料のロッドと、それに取り付けられる任意の前述または後述の実施形態に記載のフィルター要素と、を含む、紙巻タバコ。
【0044】
実施形態26:喫煙物品のフィルター要素のためのフィルター材料を形成するためのシステムであって、
第1の複数の酢酸セルロース繊維を、この第1の複数の繊維とは異なるポリマー材料を含む第2の複数の繊維と複合して、混合繊維ブレンドを形成するように構成された複合ユニットと、
混合繊維ブレンドを受容し、延伸して、延伸繊維ブレンドを形成するように構成された延伸ユニットと、
延伸繊維ブレンドを受容し、捲縮して、混合繊維トウを形成するように構成された捲縮ユニットと、を備える、システム。
【0045】
実施形態27:第2の複数の繊維が、分解性ポリマー材料を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0046】
実施形態28:分解性ポリマー材料が、脂肪族ポリエステル、セルロース、再生セルロース、埋め込まれたデンプン粒子を有する酢酸セルロース、アセチル基でコーティングされたセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、脂肪族ポリウレタン、ポリエステルアミド、シス-ポリイソプレン、シス-ポリブタジエン、ポリ無水物、ポリブチレンサクシネート、タンパク質、アルギン酸塩、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0047】
実施形態29:第2の複数の繊維が、再生セルロース繊維、ポリ乳酸繊維、またはポリヒドロキシアルカノエート繊維を含む、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0048】
実施形態30:複合ユニットは、その長手方向軸が、混合繊維ブレンドを形成する際に、互いに対して実質的に平行に配置されるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0049】
実施形態31:複合ユニットは、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維が、混合繊維ブレンドの断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0050】
実施形態32:複合ユニットは、混合繊維ブレンドの断面に関して、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成される、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0051】
実施形態33:延伸ユニットは、延伸繊維ブレンドが、約3~約5の範囲内のdpfを有するように、混合繊維ブレンドを延伸するように構成される、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0052】
実施形態34:混合繊維トウをブルームするように構成されたブルーミングユニットをさらに備える、任意の前述または後述の実施形態に記載のシステム。
【0053】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下に簡単に説明される添付の図面と一緒に、以下の詳細な説明を読むことから明らかとなるであろう。本発明は、上記実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い任意の組み合わせ、ならびにそのような特徴または要素が本明細書において特定の実施形態の記述に明白に組み込まれるかどうかにかかわらず、本開示に記載される任意の2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い特徴または要素の組み合わせを含む。本開示は、開示される発明の任意の分離可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態において、文脈上別途明確な指示がない限り、組み合わせ可能であるよう意図されると見なされるべきであるように、総合的に読まれることを意図する。本発明の他の態様および利点は、以下から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
ここまでは一般論として本開示を説明したが、必ずしも原寸で描かれていない添付の図面をここで参照する。
【0055】
図1】本開示の一態様に従う、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成する方法の概略図である。
図2】本開示の特定の態様に従う、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成する混合繊維束の例示的な断面図である。
図3】本開示の特定の態様に従う、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成する混合繊維束の例示的な断面図である。
図4】本開示の一態様に従う、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成するためのシステムの概略図である。
図5】本明細書に開示されるシステム、方法、および装置に従って生成される紙巻タバコの例示の実施形態の展開図である。
図6】本発明に従う、フィルター材料の実施形態についての、海洋環境における生分解速度を示す。
図7A】本発明に従う、フィルター材料の実施形態についての好気性環境における生分解速度を示す。
図7B】本発明に従う、フィルター材料の実施形態についての好気性環境における生分解速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本開示はここで、開示の全ての態様ではないが、いくつかが示される添付の図面を参照して、以下より完全に説明される。実際に、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてよく、本明細書に記載される態様に限定されると見なされるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0057】
図1は、本開示の一態様に従い、要素100によって一般に示される、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成するプロセスまたは方法を概略的に示す。そのような態様は、例えば、酢酸セルロース繊維を、本明細書において集合的に繊維投入量と称される異種繊維(例えば、再生セルロース繊維)と複合して、混合繊維束またはブレンド(要素200)を形成することを含むことができる。混合繊維束のさらなる加工は、複合された酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維を延伸して、延伸複合繊維(すなわち、延伸繊維ブレンド、要素300)を形成することと、延伸繊維ブレンドを捲縮して、混合繊維トウ(要素400)を形成することと、を含むことができる。
【0058】
本発明において使用される酢酸セルロース繊維は、紙巻タバコの繊維性トウを形成するために従来使用される繊維性材料であり得る。酢酸セルロース繊維は、例えば、Eastman Chemical Companyから市販されている。従来の酢酸セルロース繊維形成の第1のステップは、セルロース材料をエステル化することである。セルロースは、無水グルコースの繰り返し単位で形成されたポリマーである。各モノマー単位は、エステル置換(例えば、酢酸置換)に使用可能な3つのヒドロキシル基を有する。セルロースエステルは、セルロースを酸無水物と反応させることによって形成され得る。酢酸セルロースを作製するために、酸無水物は、無水酢酸である。木材または綿繊維からのセルロースパルプは、典型的に、硫酸等の酸触媒の存在下で無水酢酸および酢酸と混合される。セルロースのエステル化プロセスは、多くの場合、使用可能なヒドロキシル基のエステル基への本質的に完全な変換をもたらす(例えば、無水グルコース単位当たり平均約2.9個のエステル基)。エステル化に続いて、ポリマーは、典型的に加水分解され、置換度(DS)を無水グルコース単位当たり約2~約2.5個のエステル基に低下させる。得られる生成物は、典型的に、薄片形態で生成され、後次加工において使用され得る。繊維性材料を形成するために、酢酸セルロース薄片は、典型的に、溶媒(例えば、アセトン、メタノール、塩化メチレン、またはその混合物)に溶解され、粘性溶液を形成する。溶液中の酢酸セルロースの濃度は、典型的に、約15重量%~約35重量%である。所望される場合、増白剤(例えば、二酸化チタン)等の添加剤を溶液に添加することができる。得られる液体は、時に液体「ドープ」と称される。酢酸セルロースドープは、スピナレットを通じて液体ドープを押出すること必要とする、融解紡糸技法を使用して、フィラメントに紡績される。フィラメントは、硬化/乾燥チャンバを通過し、回収前にフィラメントを凝固させる。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記のように、酢酸セルロース繊維とブレンドされた繊維は、セルロース(例えば、レーヨン)を含む。セルロースは、天然であるか、または加工され得る。特定の実施形態において、本明細書において使用されるセルロースは、再生セルロース繊維を指し得る。再生セルロース繊維は、典型的に、非セルロース系化合物を木材から抽出し、抽出された木材を苛性ソーダ、続いて二硫化炭素、次に水酸化ナトリウムと接触させ、粘性溶液を得ることによって調製される。後次に、溶液をスピナレット頭部に押し通して、再生繊維の粘性スレッドを作り出す。再生セルロースの調製のための例示的な方法は、Leoniらの米国特許第4,237,274号、Baldiniらの同第4,268,666号、Baldiniらの同第4,252,766号、Ishidaらの同第4,388,256号、Yokogiらの同第4,535,028号、Laityの同第5,441,689号、Vosらの同第5,997,790号、およびSumnichtの同第8,177,938号において提供され、それらは参照により本明細書に組み込まれる。再生セルロースが作製される方法は制限的でなく、例えば、レーヨンおよびTENCEL(登録商標)プロセスの両方を含むことができる。Lenzing(オーストリア)、Cordenka(ドイツ)、Aditya Birla(インド)、およびDaicel(日本)を含む、再生セルロースの様々な供給者が知られている。本発明における使用の場合、特定の実施形態におけるセルロース繊維は、アセチル官能性を繊維表面に付与する二次仕上げを提供するように有利に処理される。コーティングされたセルロース繊維は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、全てSebastianらの米国特許出願公開第2012/0017925号、同第2012/0000480号、および同第2012/0000479号に概説される方法を使用して提供され得る。Toyoshimaの米国特許第4,085,760号も参照されたい。酢酸セルロースおよびセルロース繊維の複合は、酢酸セルロースおよびセルロース繊維の生分解速度が、個別の繊維分解速度の合計を超えることが示されたため(すなわち、混合物は相乗的に生分解する)、特に有益である。参照により本明細書に組み込まれる、Ducketらの米国特許第5,783,505号を参照されたい。
【0060】
本発明のプロセスに対する繊維投入量(例えば、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維)は、典型的に、連続フィラメント形態であり、異なる1フィラメント当たりのデニール、すなわち、「dpf」を有し得る。1フィラメント当たりのデニールは、繊維の個別のフィラメントの単位長当たりの重量の測定値であり、繊維から生成されたフィルター要素全体で所望される圧力低下を達成するように操作され得る。繊維投入量を含むフィラメントの例示的なdpf範囲は、約1~約15(例えば、約4~約12または約5~約10)であり得、デニールは、グラム/9000メートルの単位で表されるが、より大きいフィラメント、およびより小さいフィラメントを、本発明から逸脱することなく使用することができる。個別のフィラメント断面の形状も異なり得、多葉形(例えば、「X」、「Y」、「H」、「I」、または「C」形状等の形状を示す)、長方形、円形、または楕円形を含み得るが、それに限定されない。
【0061】
本発明の方法に従って用いられる各繊維種の相対量は異なり得る。例えば、繊維投入量は、ほぼ等しい重量比であり得、約1:1の酢酸セルロース繊維材料:再生セルロース繊維材料を含む最終生成物を提供する。いくつかの実施形態において、投入量の50%超が、酢酸セルロース材料を含むように、または投入量の50%超が、再生セルロース材料を含むように、投入量は異なり得る。酢酸セルロース繊維投入量と第2の繊維投入量との重量比は、約1:99から約99:1、典型的に約25:75から75:25であり得る。例えば、混合繊維束は、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30の比率、または複合繊維/糸の所望の特徴を提供するように決定された任意の他の比率の酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維で構成され得る。
【0062】
特定の実施形態において、得られる生成物の生分解性を最大化するように、分解性投入量(例えば、再生セルロース)を最大化することが望ましい場合がある。しかしながら、分解性投入量を最大化することは、特定の実施形態において、得られるブレンド繊維束を(例えば、トリアセチンで)可塑化する能力を妨げ得る。そのような実施形態において、したがって、特定レベルの酢酸セルロースは、十分な可塑化、ならびに所望の味および酢酸セルロースの濾過特性を保証するために有利に維持される。
【0063】
いくつかの例において、混合繊維束を形成するために本発明で使用される繊維投入量は、ブレンドする前に最大でも部分的に延伸され得る。つまり、混合繊維束(例えば、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維から形成された複合繊維束)は、繊維が複合された後に延伸されるため、繊維投入量が複合される前に完全に延伸されないことが望ましい場合がある。そのようなものとして、酢酸セルロース繊維または再生セルロース繊維が、複合される前に延伸される場合、後次プロセスにある混合繊維束を延伸するときに繊維がさらに伸長することを許容するように、それらの繊維が最大でも部分的に延伸されていることが望ましい場合がある。特定の実施形態において、ブレンドの時点で残留する繊維投入量は、少なくとも約50%の破断伸度を有する(例えば、少なくとも約60%または少なくとも約70%)。破断伸度(EB)および強靭性は、ASTM D-2256に従って測定され得る。
【0064】
繊維投入量として使用される酢酸セルロースおよび再生セルロース繊維は、異なる形態で提供され得る。一態様において、繊維は、それぞれの糸の形態で提供され得る。例えば、各糸は、約300総デニールの糸を提供するように、約4dpfで約70フィラメントから構成され得る。フィラメントの数、dpf、および総デニールは、本発明から逸脱することなく異なり得る。そのような糸を形成することにおいて、その中の繊維は、糸の軸に沿って互いに対して実質的に平行であるように配置され得る。そのようなものとして、酢酸セルロース繊維糸を再生セルロース繊維糸と複合するとき、糸および/またはその繊維の長手方向軸は、混合繊維束を形成するように、互いに対して実質的に平行に配置され得るという結果になり得る。
【0065】
いくつかの態様において、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維は、得られるフィルター材料の所望の生分解性を達成するために、必要に応じて、または所望されるように、異なる方法および/または異なる割合で複合され得る。例えば、図2に示されるように、酢酸セルロース繊維500および再生セルロース繊維600は、繊維および/または糸が、混合繊維束の断面にわたって、交互に配置されるか、または互いに対して実質的に均一に散在するように複合され得る。つまり、いくつかの例において、酢酸セルロース繊維/糸500および再生セルロース繊維/糸600はそれぞれ、例えば、その断面全体を見たとき、得られる混合繊維束全体に実質的に均一に分布するように配置され得る。前述のように、再生セルロース繊維/糸は、得られるフィルター材料の生分解性を強化し得るが、酢酸セルロース繊維/糸は、例えば、トリアセチン等の好適な可塑剤を用いて、複合繊維の可塑化性を強化し、喫煙者/使用者によって期待される煙の味または他の特徴を維持または強化することができる。したがって、いくつかの例において、それぞれの繊維/糸の実質的に均一な配置は、喫煙者/使用者によって期待される、得られるフィルター材料のこれらの所望の特徴を強化または平衡させるのに役立ち得る。しかしながら、当業者であれば、他の例において、一種の繊維および/糸が、混合繊維束の外周の周りに配置される一方で、他種の繊維/糸が、外周内に配置されることが望ましい場合があることを理解するであろう(例えば、図3参照)。例えば、混合繊維束700の中心コアは、再生セルロース繊維/糸600を含むことができ、次に、中心コアは、酢酸セルロース繊維/糸500の周囲によって包囲されるか、またはその逆である。そのような構成において、酢酸セルロース繊維は、再生セルロース繊維から別個に可塑化され得る。一例において、喫煙物品と関連する煙の所望の味は、混合繊維束の中心コアが、再生セルロース繊維/糸を含み、次に中心コアが、酢酸セルロース繊維/糸の外周によって包囲される構成によって達成され得る(例えば、図3参照)。
【0066】
以前に開示されたように、一旦酢酸セルロース繊維/糸および再生セルロース繊維/糸が混合繊維束に複合されると、次に混合繊維束は、延伸および捲縮され、混合繊維トウを形成することができる。牽引または延伸プロセスは、一般に、結果として繊維束の重量/ヤードを低減し、その長さを増加させる。そのような例において、例えば、混合繊維束の延伸プロセスの程度に応じて、構成糸は、延伸プロセスに続いて、混合繊維トウの所望の総デニールおよび1フィラメント当たりのデニールの達成を促進するように、わずかに高い1フィラメント当たりのデニールで提供され得る。例えば、一例において、酢酸セルロースおよび/または再生セルロース繊維の個別の糸は、延伸プロセスの後、延伸混合繊維トウ(例えば、約20,000総デニール~約80,000総デニールを有する)において、1フィラメント当たり約3デニール~1フィラメント当たり約5デニールを達成するために、およそ1フィラメント当たり約6デニール~1フィラメント当たり約8デニールであり得る。延伸プロセス前および/または延伸プロセス中、混合繊維束は、その中の繊維の延伸を促進するように、加熱されることが望ましい場合もある。
【0067】
典型的な延伸プロセスは、当該技術分野において既知の装置を使用する複数の延伸段階からなる。一実施形態において、混合繊維束は、クリールから引き抜かれ、それぞれが繊維束に張力を印加するいくつかのローラーからなる、いくつかの延伸スタンドを通過する。延伸ストランド間において、繊維束は、加熱された水浴、蒸気室、加熱されたロール、またはそれらの組み合わせを通過することができる。延伸スタンドの数は異なり得るが、典型的な延伸プロセスにおいて、2~4個の延伸スタンドが使用される。
【0068】
延伸に続いて、混合繊維束は、捲縮ステップに供される。「捲縮」は、個別の繊維または混合繊維束全体としての質感またはうねりである。1インチ当たりの捲縮(cpi)で報告される捲縮頻度は、材料のバルクの間接的測定である。いくつかの実施形態において、捲縮は、一般に繊維束をローラーに通して「押込み室(stuffing boxまたはstuffer box)」に入れることを含むことができ、ここで摩擦が圧力を生成し、繊維を歪める。様々な捲縮レベルが提供され得る。例えば、いくつかの実施形態において、捲縮レベルは、1インチ当たり約10~約30捲縮、例えば、1インチ当たり約15~約26捲縮であり得る。捲縮は、捲縮率に関して表すこともでき、約1.2~約1.8の例示的な捲縮率を有する。捲縮頻度は、ASTM D3937-94に従って測定され得る。
【0069】
一旦混合繊維トウが延伸および捲縮されると、その延伸および捲縮された混合繊維トウは、従来の酢酸セルローストウと同様の方法で、喫煙物品のフィルター要素に加工され得る。例えば、混合繊維トウは、喫煙物品のフィルター要素を形成するようにブルームされることができ、このブルーミングプロセスは、トリアセチン、カルボワックス、および/またはクエン酸トリエチル等の好適な可塑剤が、ブルームされた混合繊維トウに適用される、可塑化プロセスを含むことができるか、あるいはそれと関連付けられ得る。
【0070】
本開示の別の態様において、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料が提供され得、そのようなフィルター材料は、延伸および捲縮された複合繊維を含む混合繊維トウを含み、複合繊維は、酢酸セルロース繊維と、再生セルロース繊維とを含む。そのようなフィルター材料は、本明細書に別様に開示されるような有利な特徴を有するように、開示される方法に従って形成され得る。
【0071】
本開示の別の態様は、図4の要素800によって一般に示される、喫煙物品のフィルター要素のための生分解性フィルター材料を形成するためのシステムを対象とする。いくつかの例において、そのようなシステムは、酢酸セルロース繊維を、レーヨン繊維等の再生セルロース繊維と複合するように構成された複合ユニット825を備えることができる。例えば、酢酸セルロース繊維/糸850および再生セルロース繊維/糸875のボビンは、クリール(図示せず)に係合され得、次にその繊維/糸は、所望の総デニールを有する混合繊維束900に複合されるように、複合ユニット825に配向され得る。複合ユニット825は、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維が、混合繊維束の断面にわたって、交互に配置される、および互いに対して実質的に均一に散在する、のうちの一方であるように、繊維/糸を加工するように構成することもできる(例えば、図2参照)。他の例において、複合ユニットは、混合繊維束の断面に関して、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの一方が、中心コアを形成するように配列され、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維のうちの他方が、中心コアの周りで周囲方向に配列されるように、酢酸セルロース繊維を再生セルロース繊維と複合するように構成され得る(例えば、図3参照)。任意の例において、複合ユニット825は、その長手方向軸が、混合繊維束を形成する際に、互いに対して実質的に平行に配置されるように、酢酸セルロース繊維/糸を再生セルロース繊維/糸と複合するように構成され得る。
【0072】
このシステムは、複合ユニット825から混合繊維束900を受容し、複合された酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維を延伸して、延伸された複合繊維950を形成するように構成された延伸ユニット925をさらに備えることができる。開示されるように、延伸ユニット925は、複合された酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維を延伸して、約20,000総デニール~約80,000総デニールの延伸混合繊維束を形成するように構成され得る。捲縮ユニット975は、延伸複合繊維を受容し、捲縮して、混合繊維トウ1000を形成するように構成され得る。いくつかの例において、延伸ユニット925および/または捲縮ユニット975は、当業者によって理解されるように、延伸および/または捲縮された繊維/糸に熱を適用するように(すなわち、水浴または蒸気室または加熱されたロール等の適切な加熱装置またはデバイスによって)構成され得る。プロセスのこの時点で、延伸および捲縮された繊維を、紙巻タバコフィルター作製プロセスにおいて後に使用するために乾燥し、トウに形成することができる。代替として、図4に示されるように、混合繊維トウは、ブルーミングデバイス1025等のフィルター作製加工装置に直接移行することができる。次に、ブルームされたトウは、適切な可塑剤適用デバイス1050によって、トリアセチン等の可塑剤をそこに適用することによって可塑化され得る。所望される場合、混合繊維トウは、仕上剤が繊維に適用される場合、仕上剤付与装置(図示せず)を通過することもできる。
【0073】
混合繊維トウは、フィルター材料の各末端が露出されたままであるように、プラグラップで包装され得る。プラグラップは異なり得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Martinの米国特許第4,174,719号を参照されたい。典型的に、プラグラップは、多孔質または非多孔質紙材料である。好適なプラグラップ材料は市販されている。約1100CORESTA単位~約26000CORESTA単位の多孔性の範囲内の例示的なプラグラップ紙は、Schweitzer-Maudit InternationalからPorowrap 17-M1、33-M1、45-M1、70-M9、95-M9、150-M4、150-M9、240M9S、260-M4、および260-M4Tとして、ならびにMiquel-y-Costasから22HP90および22HP150として入手可能である。非多孔質プラグラップ材料は、典型的に、約40CORESTA単位未満、および多くの場合、約20CORESTA単位未満の多孔性を示す。例示的な非多孔質プラグラップ紙は、チェコ共和国のOlsany Facility(OP Paprina)からPW646として、オーストリアのWattenspapierからFY/33060として、スペインのMiquel-y-Costasから646として、ならびにSchweitzer-Mauduit InternationalからMR650および180として入手可能である。プラグラップ紙は、特に混合繊維トウに面する表面上を、フィルム形成材料の層でコーティングされ得る。そのようなコーティングは、好適なポリマーフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、炭酸カルシウムと混合されたエチルセルロース、ニトロセルロース、炭酸カルシウムと混合されたニトロセルロース、または紙巻タバコ製造に一般に用いられる種類のいわゆるリップ遊離コーティング組成物)を使用して提供され得る。代替として、プラスチックフィルム(例えば、ポリプロピレンフィルム)を、プラグラップ材料として使用することができる。例えば、Treofan Germany GmbH&Co.KGからZNA-20およびZNA-25として入手可能な非多孔質ポリプロピレン材料を、プラグラップ材料として用いることができる。
【0074】
所望される場合、いわゆる「非包装酢酸」フィルターセグメントを生成することもできる。そのようなセグメントは、本明細書に記載される種類の技法を使用して生成される。しかしながら、フィルター材料の長手方向に伸長する周囲に外接するプラグラップを用いるのではなく、例えば、成形された混合繊維トウに蒸気を適用することによって、ある程度剛性のロッドが提供される。非包装酢酸フィルターロッドを商業的に製造するための技法は、Filtrona Corporation(Richmond,Virginia)によって所有されている。
【0075】
本明細書に開示される混合繊維トウ等のフィルター材料は、従来のフィルタートウ加工ユニットを使用して加工され得る。例えば、フィルタートウは、バッセルジェット方法論またはねじ込みロール方法論を使用してブルームされ得る。例示的なトウ加工ユニットは、Arjay Equipment Corp.,Winston-Salem,N.Cによって供給されるE-60として市販されている。他の例示的なトウ加工ユニットは、Hauni-Werke Korber&Co.KG.からAF-2、AF-3、およびAF-4として、およびInternational Tobacco MachineryからCandor-ITM Tow Processorとして市販されている。当業者には周知のように、他の種類の市販のトウ加工装置を用いることができる。
【0076】
いくつかの態様において、本明細書に開示される混合繊維トウの構成要素に加えて、丁合紙、不織ポリプロピレン網、または破砕網の丁合ストランド等の他の種類のフィルター材料が提供され得、例えば、Pryorらの米国特許第4,807,809号およびRakerの同第5,025,814号に記載される種類の材料、装置、および技法を使用して加工され得る。さらに、フィルター材料供給ユニットおよびフィルター作製ユニットを操作するための代表的な様式および方法は、Bynreの米国特許第4,281,671号、Green,Jr.らの同第4,850,301号、Green,Jr.らの同第4,862,905号、Siemsらの同第5,060,664号、Riversの同第5,387,285号、およびLanier,Jr.らの同第7,074,170号に記載されている。
【0077】
フィルター付き紙巻タバコ等の喫煙物品のためのフィルター要素は、伝統的な種類の紙巻タバコ作製技法を使用して、混合繊維トウから製造されたフィルターロッドから提供され得る。例えば、フィルター付き紙巻タバコの製造のために従来使用されている一般的な形式および構成である、いわゆる「6アップ」フィルターロッド、「4アップ」フィルターロッド、および「2アップ」フィルターロッドは、従来の種類または好適に修正された紙巻タバコロッド処理デバイス、例えば、Hauni-Werke Korber&Co.KGからLab MAX、MAX、MAX SまたはMAX80として入手可能なチッピングデバイス等を使用して処理され得る。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Erdmannらの米国特許第3,308,600号、Heitmannらの同第4,281,670号、Reulandらの同第4,280,187号、Vosらの同第6,229,115号、Holmesらの同第7,434,585号、およびRead,Jr.の同第7,296,578号に記載される種類のデバイスを参照されたい。それらの種類のデバイスの操作は、自動紙巻タバコ製造の当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0078】
紙巻タバコフィルターロッドを使用して、多セグメントフィルターロッドを提供することができる。そのような多セグメントフィルターロッドは、多セグメントフィルター要素を有するフィルター付き紙巻タバコの生成に用いられ得る。2セグメントフィルター要素の例は、その中に挿入される物体の有無にかかわらず、一端に活性炭粒子を組み込む第1の円筒形セグメント(例えば、「ダルメーション」型のフィルターセグメント)と、フィルターロッドから生成される第2の円筒形セグメントと、を有するフィルター要素である。多セグメントフィルターロッドの生成は、多セグメント紙巻タバコフィルター構成要素を提供するために用いられている種類のロッド形成ユニットを使用して実行され得る。多セグメント紙巻タバコフィルターロッドは、例えば、Hauni-Werke Korber&Co.KG(Hamburg,Germay)からブランド名Mulfiで入手可能な紙巻タバコフィルターロッド作製デバイスを使用して製造され得る。フィルターロッドは、ロッド作製装置を使用して製造することができ、例示的なロッド作製装置は、ロッド形成ユニットを含む。代表的なロッド形成ユニットは、Hauni-Werke Korber&Co.KGからKDF-2、KDF-2E、KDF-3、およびKDF-3Eとして、International Tobacco MachineryからPolaris-ITMフィルターメーカーとして入手可能である。
【0079】
本発明に従って形成されたフィルター要素は、典型的に、従来の酢酸セルローストウから作製されたフィルター要素に相当する硬度を示す。フィルターロッドに添加される可塑剤の量およびフィルタートウの1フィラメント当たりのデニールは、フィルターの硬度に著しく作用し得る。フィルター硬度は、フィルター材料の圧縮性の測定値である。硬度試験に使用され得る試験器具は、Sodim SASから入手可能なD61自動硬度試験器である。この器具は、定荷重(例えば、300g)を、一定期間(例えば、3~5秒)試料に印加し、圧縮値をフィルター要素の平均直径内の差異率としてデジタル表示する。特定の実施形態において、本発明のフィルター要素は、少なくとも約90%、より多くの場合、少なくとも約92%、および最も多くの場合、少なくとも約94%(例えば、約90%~約99%、より典型的には約94~約98%)の硬度を示す。紙巻タバコフィルター硬度の試験手順は、例えば、下記実施例5、ならびにいずれも参照により本明細書に組み込まれる、Strydomの米国特許第3,955,406号、およびBaxterらの同第4,232,130号に記載されている。
【0080】
本開示に従って生成されるフィルター要素は、喫煙可能な材料の燃焼のために構成された従来の紙巻タバコ、ならびに参照により本明細書に組み込まれる、Clearmanらの米国特許第4,756,318号、Banerjeeらの同第4,714,082号、Whiteらの同第4,771,795号、Sensabaughらの同第4,793,365号、Clearmanらの同第4,989,619号、Clearmanらの同第4,917,128号、Korteの同第4,961,438号、Serranoらの同第4,966,171号、Baleらの同第4,969,476号、Serranoらの同第4,991,606号、Farrierらの同第5,020,548号、Shannonらの同第5,027,836号、Clearmanらの同第5,033,483号、Schlatterらの同第5,040,551号、Creightonらの同第5,050,621号、Bakerらの同第5,052,413号、Lawsonの同第5,065,776号、Nystromらの同第5,076,296号、Farrierらの同第5,076,297号、Clearmanらの同第5,099,861号、Drewettらの同第5,105,835号、Barnesらの同第5,105,837号、Hauserらの同第5,115,820号、Bestらの同第5,148,821号、Haywardらの同第5,159,940号、Riggsらの同第5,178,167号、Clearmanらの同第5,183,062号、Shannonらの同第5,211,684号、Deeviらの同第5,240,014号、Nicholsらの同第5,240,016号、Clearmanらの同第5,345,955号、Casey,IIIらの同第5,396,911号、Riggsらの同第5,551,451号、Bensalemらの同第5,595,577号、Meiringらの同第5,727,571号、Barnesらの同第5,819,751号、Matsuuraらの同第6,089,857号、Bevenらの同第6,095,152号、およびBevenの同第6,578,584号に記載される種類の紙巻タバコに組み込まれることができる。なおもさらに、上に提供される説明に従って生成されたフィルター要素は、R.J.Reynolds Tobacco Companyにより「Premier」および「Eclipse」というブランド名で市販されている種類の紙巻タバコに組み込まれ得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco,R.J.Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)およびInhalation Toxicology,12:5,p.1-58(2000)に記載されているそれらの種類の紙巻タバコを参照されたい。本発明のフィルター要素を組み込むことができる、一般に「電子タバコ(e-cigarette)」と呼ばれる非伝統的な紙巻タバコの他の例は、Robinsonらの米国特許第7,726,320号およびRobinsonらの同第8,079,371号、ならびに2011年8月9日に出願されたWormらの米国特許出願第13/205,841号、2012年3月28日に出願されたGriffith Jr.らの同第13/432,406号、および2012年6月28日に出願されたSebastianらの同第13/536,438号を含み、全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
喫煙可能なロッドの製造に用いられる喫煙可能な材料は異なり得る。例えば、喫煙可能な材料は、フィラーの形態を有し得る(例えば、タバコカットフィラー等)。本明細書において使用される場合、「フィラー」または「カットフィラー」という用語は、タバコ材料、および喫煙可能なロッドの製造における使用に好適な形態を有する他の喫煙可能な材料を含むことを意味する。そのようなものとして、フィラーはブレンドされ、紙巻タバコ製造者に対して準備ができた形態の喫煙可能な材料を含み得る。フィラー材料は、通常、従来の紙巻タバコ製造において一般的であるように、ストランドまたは小片の形態で用いられる。例えば、カットフィラー材料は、約1/20インチ~約1/60インチ、好ましくは約1/25インチ~約1/35インチの範囲の幅に切断されたシート状または「ストリップ」材料からのストランドまたは小片の形態で用いられ得る。一般に、そのようなストランドまたは小片は、約0.25インチ~約3インチの範囲の長さを有する。
【0082】
好適な種類のタバコ材料の例としては、鉄管乾燥タバコ、バーレータバコ、メリーランドまたはオリエンタルタバコ、希少または名産タバコ、およびそれらのブレンドが挙げられる。タバコ材料は、タバコラミナ、加工タバコ、加工タバコ幹(例えば、カットロール幹またはカットパフ幹)、再構成タバコ材料、またはそれらのブレンドの形態で提供され得る。喫煙可能な材料または喫煙可能な材料のブレンドは、タバコフィラー材料から本質的になり得る。喫煙可能な材料は、紙巻タバコ製造の様々な段階中に従来行われるように、ケースに入れ、トップドレスすることもできる。
【0083】
典型的に、喫煙可能なロッドは、約35mm~約85mm、好ましくは約40mm~約70mmの範囲の長さ、および約17mm~約27mm、好ましくは約22.5mm~約25mmの外周を有する。特に、比較的高い包装密度を有する喫煙可能なブレンドが用いられるとき、短い紙巻タバコロッド(すなわち、約35mm~約50mmの長さを有する)を用いることができる。
【0084】
ラッピング材料は異なり得、典型的に、低い空気透過性の値を有する紙巻タバコラッピング材料である。例えば、そのようなラッピング材料は、約5CORESTA単位未満の空気透過性を有し得る。そのようなラッピング材料としては、セルロースベースの網(例えば、木材パルプおよび/または亜麻繊維から提供される)および無機フィラー材料(例えば、炭酸カルシウムおよび/または水酸化マグネシウム粒子)が挙げられる。好適なラッピング材料は、炭酸カルシウムおよび亜麻から本質的になる紙巻タバコ紙である。特に好ましいラッピング材料は、望ましく低い空気透過性を提供するのに十分な量のポリマー系フィルム形成剤を含む。例示的なラッピング材料164は、Kimberly-Clark Corporationから入手可能なP-2540-80、P-2540-81、P-2540-82、P-2540-83、P-2540-84、およびP-2831-102、ならびにEcusta Corporationから入手可能なTOD 03816、TOD 05504、TOD 05560、およびTOD 05551である。
【0085】
ラッピング材料内に含有される喫煙可能な材料のブレンドの包装密度は、異なり得る。喫煙可能なロッドの典型的な包装密度は、約150~約300mg/cmの範囲であり得る。通常、喫煙可能なロッドの包装密度は、約200~約280mg/cmの範囲である。
【0086】
紙巻タバコ作製操作は、混合繊維トウベースのフィルター要素を喫煙可能なロッドに取り付けることを含む。例えば、フィルター要素および喫煙可能なロッドの一部分は、混合繊維トウベースのフィルター要素をタバコロッドの末端に連結するように、フィルター要素およびタバコロッドに結合するように構成された接着剤とともに、チッピング材料によって外接され得る。
【0087】
典型的に、チッピング材料は、そのチッピング材料が、喫煙可能なロッドの長さに沿って約3mm~約6mm伸長するように、フィルター要素および喫煙可能なロッドの隣接領域に外接する。典型的に、チッピング材料は、従来の紙チッピング材料である。チッピング材料は、異なり得る透過性を有し得る。例えば、チッピング材料は、本質的に空気不透過性、空気透過性であり得るか、または穿孔、開口部、もしくは通気口の領域を有するように(例えば、機械的またはレーザー穿孔技法によって)処理されることができ、それによって紙巻タバコに空気希釈を提供するための手段を提供する。穿孔の総表面積および紙巻タバコの周縁に沿った穿孔の位置は、紙巻タバコの性能特徴を制御するために異なり得る。
【0088】
したがって、紙巻タバコ(または他の喫煙可能な物品)は、上記の例示の実施形態に従って、または紙巻タバコを生成するためのシステムおよび方法の様々な他の実施形態の下で生成され得る。上記のように混合繊維トウの生成後に行われる紙巻タバコ作製操作は、特定の実施形態において、喫煙物品を生成するための伝統的なシステムにおいて行われるものと実質的に同じであり得る。したがって、既存の紙巻タバコ生成装置を利用することができる。紙巻タバコを形成するためのシステムは、上述の操作に対応する他の装置および構成要素を含むこともできることに留意されたい。
【0089】
図5は、本明細書に開示される装置、システム、および方法によって生成され得る、紙巻タバコ202の形態の喫煙物品の展開図を示す。紙巻タバコ202は、外接するラッピング材料216内に含有される喫煙可能なフィラー材料の充填またはロールの略円筒形ロッド212を含む。ロッド212は、従来「タバコロッド」と称される。タバコロッド212の末端は、喫煙可能なフィラー材料を露出するように開いている。紙巻タバコ202は、ラッピング材料216に適用される1つの任意の帯222(例えば、デンプン、エチルセルロース、またはアルギン酸ナトリウム等のフィルム形成剤を含むプリントコーティング)を有するとして示され、その帯は、紙巻タバコ202の長手方向軸に対して直角方向に紙巻タバコロッド212に外接する。つまり、帯222は、紙巻タバコ202の長手方向軸に対して十字型方向性領域を提供する。帯222は、ラッピング材料216の内面(すなわち、喫煙可能なフィラー材料に面する)、またはあまり好ましくないが、ラッピング材料の外面に印刷され得る。紙巻タバコは、1つの任意の帯を有するラッピング材料を有することができるが、紙巻タバコは、2つ、3つ、またはそれよりも多いさらなる任意の空隙帯を有するラッピング材料を有することもできる。
【0090】
タバコロッド212の一端には点火端218があり、口端220には、混合繊維トウ226が位置付けられる。混合繊維トウ226は、本明細書に開示される装置、システム、および方法によって生成され得る。混合トウベースのフィルター要素226は、略円筒形状を有することができ、その直径は、タバコロッド212の直径に本質的に等しい可能性がある。混合トウベースのフィルター226は、フィルター要素を形成するように、外側プラグラップ228の層によって、その外周または長手方向周縁に沿って外接される。フィルター要素は、そのフィルター要素およびタバコロッドが、端間関係で軸方向に整列する、好ましくは互いに隣接するように、タバコロッド212の一端に隣接して位置付けられる。フィルター要素の末端は、空気および煙がそこを通過することを許容する。
【0091】
通風または空気希釈された喫煙物品は、一連の穿孔230等の任意の空気希釈手段を用いて提供され得、それぞれがチッピング材料240およびプラグラップ228を通じて伸長する。任意の穿孔230は、レーザー穿孔技法等の当業者に既知の様々な技法によって作製され得る。代替として、いわゆるオフライン空気希釈技法を使用することができる(例えば、多孔質紙プラグラップおよび事前に穿孔されたチッピング材料)。空気希釈または通風された紙巻タバコの場合、空気希釈または通風の量または程度は異なり得る。多くの場合、空気希釈された紙巻タバコに対する空気希釈の量は、約10%超であり、一般に約20%超であり、多くの場合、約30%超であり、時に約40%超である。典型的に、空気希釈された紙巻タバコに対する空気希釈の上限レベルは、約80%未満であり、多くの場合、約70%未満である。本明細書において使用される場合、「空気希釈」という用語は、空気希釈手段を通じて吸い込まれる空気の体積と、紙巻タバコを通じて吸い込まれ、紙巻タバコの最遠の口末端部分から出る空気および煙の総体積との比(パーセンテージとして表される)である。混合トウベースのフィルター要素226は、フィルター要素の全長およびタバコロッド212の隣接領域の両方に外接するチッピング材料240(例えば、本質的に空気不透過性のチッピング材料)を使用して、タバコロッド212に取り付けられ得る。チッピング材料240の内面は、好適な接着剤を使用して、プラグラップ228の外面およびタバコロッドのラッピング材料216の外面にしっかり固定され、したがってフィルター要素およびタバコロッドは互いに接続され、紙巻タバコ202を形成する。
【0092】
特定の紙巻タバコまたは本発明の方法に従って作製された他の喫煙物品は、吸い込みに対する所望の抵抗性を示す。例えば、例示的な紙巻タバコは、17.5cc/秒の気流で約50mm~約200mm水圧低下の圧力低下を示す。特定の実施形態において、本発明の紙巻タバコは、17.5cc/秒の気流で約70mm~約180mm、より好ましくは約80mm~約150mm水圧低下の圧力低下値を示す。典型的に、紙巻タバコの圧力低下値は、Filtrona Instruments and Automation Ltdから入手可能なFiltrona品質試験モジュール(QTMシリーズ)を使用して測定される。
【0093】
本開示は、酢酸セルロース繊維および再生セルロース繊維を含む生分解性フィルター要素の実施形態に焦点を当てているが、本発明は、本明細書に記載される方法、システム、および装置を使用して、異種繊維の他の複合にも適用可能である。いくつかの実施形態において、2つ以上の異種繊維は、異なる濾過特性を有するか、または異なるレベルの生分解性を示すとして特徴付けられ得る。本開示の装置、システム、および方法を使用して、そのような繊維を同じフィルター要素内で複合することによって、フィルター要素の生分解性の全体レベルは、所望のレベルに調整され得るか、または主流煙の特定の固体または気体成分に関する濾過効率は、必要に応じて調整され得る。異なる濾過特徴を示す繊維種の複合の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Sebastianらの米国特許出願公開第2012/0024304号において見出され得る。いくつかの実施形態において、本開示の装置、システム、および方法を使用し、同じフィルター要素内で異なる繊維種を複合することによって、紙巻タバコ内に組み込まれるフィルター要素は、所望の機能(例えば、所望のレベルの生分解性および/または濾過効率)を達成することができる一方、伝統的な酢酸セルロースベースのフィルター要素と典型的に関連する、許容される味特徴を使用者に提供する。本明細書に開示される繊維種のうちのいずれかを、本明細書に教示される再生繊維投入量の代用として使用することができ、本発明から逸脱することなく、本明細書に教示される同じフィラメント/糸特徴(例えば、dpf、総デニール、フィラメント断面等)を示し得る。
【0094】
例えば、特定の実施形態において、酢酸セルロース以外の第2の繊維投入量は、任意の分解性(例えば、生分解性)繊維である。「生分解性」という用語は、分解性ポリマーに関して使用される場合、好気性および/または嫌気性条件下、細菌、真菌、藻類、および/または他の微生物の存在下で二酸化炭素/メタン、水、およびバイオマスに分解するポリマーを指すが、ヘテロ原子を含有する材料は、アンモニアまたは二酸化硫黄等の他の生成物を産出することもできる。「バイオマス」は、存在する生物の細胞構造に組み込まれるか、または生物起源の材料と区別できない腐食画分に変換される代謝材料の部分を指す。
【0095】
生分解性は、例えば、分解につながることが予想される環境条件に試料を置くことによって、例えば、水、微生物を含有する溶液、堆肥材料、または土壌に試料を置くことによって測定され得る。分解の程度は、環境条件に一定期間にわたって露出した試料の減量によって特徴付けられ得る。本発明の特定のフィルター要素の実施形態の例示的な分解速度としては、土壌に60日間埋めた後の少なくとも約20%の減量、または典型的な公営コンポスターに15日間露出した後の少なくとも約30%の減量が挙げられる。しかしながら、生分解の速度は、使用される分解性粒子の種類、フィルター要素の残りの組成物、および分解試験と関連する環境条件に応じて広く異なり得る。Buchananらの米国特許第5,970,988号およびYamashitaの同第6,571,802号は、分解試験のための例示的な試験条件を提供する。プラスチック材料の分解性は、以下のASTM試験方法:D5338、D5526、D5988、D6400、およびD7081のうちの1つ以上を使用して決定することもできる。他の分解性試験方法としては、ISO方法9408および生物化学的メタン活性(BMP)試験が挙げられる。
【0096】
特定の実施形態において、本発明の混合繊維トウを使用して、喫煙物品のフィルター(例えば、紙巻タバコのフィルター)を生成することができ、フィルター要素は、従来の酢酸セルロースフィルター要素(すなわち、100%酢酸セルロースフィルタートウ)の分解速度より速い分解速度を示す。本発明の特定の実施形態の例示的な分解速度としては、従来のCAフィルター要素より少なくとも約50%速いか、または少なくとも約60%もしくは少なくとも約70%速い。分解速度は、炭素変換(酸化)または酸素取込みのパーセント等の様々な手段を使用して決定することができる。
【0097】
本発明において繊維形態で使用され得る例示的な生分解性材料としては、脂肪族ポリエステル、セルロース、再生セルロース、埋め込まれたデンプン粒子を有する酢酸セルロース、アセチル基でコーティングされたセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、脂肪族ポリウレタン、ポリエステルアミド、シス-ポリイソプレン、シス-ポリブタジエン、ポリ無水物、ポリブチレンサクシネート、タンパク質、アルギン酸塩、ならびにそれらのコポリマーおよびブレンドが挙げられる。生分解性材料の追加の例としては、日本のToray Industries,Inc.から入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる、Aranishiらの米国特許第6,984,631号に記載される熱可塑性セルロース、およびBASF Corporationから入手可能なEcoflex(登録商標)脂肪族-芳香族コポリエステル材料等の熱可塑性ポリエステル、または参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Seppalaらの米国特許第6,087,465号に記載されるポリ(エステルウレタン)ポリマーが挙げられる。これらの生分解性繊維のうちのいずれかは、その外面上に酢酸セルロースコーティングをさらに含むことができる。
【0098】
本発明において有利に使用される例示的な脂肪族ポリエステルは、構造-[C(O)-R-O]-を有し、式中、nは、ポリマー鎖中のモノマー単位の数を表す整数であり、Rは、脂肪族炭化水素、好ましいC1~C10アルキレン、より好ましくはC1~C6アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン等)であり、アルキレン基は、直鎖または分岐であり得る。例示的な脂肪族ポリエステルとしては、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)(例えば、ポリ(L-乳酸)またはポリ(DL-乳酸))、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、例えば、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシバレエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、およびポリヒドロキシオクタノエート、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート、アジピン酸ポリブチレンサクシネート、およびそれらのコポリマー(例えば、ポリヒドロキシブチレート-コ-ヒドロキシバレエート(PHBV))が挙げられる。
【0099】
本発明における使用に好適な様々な他の分解性材料は、例えば、Hutchensの米国特許出願公開第2009/0288669号、Sebastianの同第2011/0036366号、Sebastianらの同第2012/0000479号、Sebastianの同第2012/0024304号、および2011年7月29日に出願されたSebastianらの米国特許出願第13/194,063号に記載され、これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
いくつかの実施形態において、繊維投入量のうちの1つは、標準酢酸セルロース繊維を含み、繊維投入量のうちの1つは、炭素繊維、イオン交換繊維、および/または触媒繊維を含む。炭素繊維は、前駆体繊維の制御された熱分解によって得られる繊維として記載され得る。炭素繊維の供給元としては、Toray Industries、Toho Tenax、Mitsubishi、Sumitomo Corporation、Hexcel Corp.、Cytec Industries、Zoltek Companies、およびSGL Groupが挙げられる。例示的な市販の炭素繊維としては、American Kynol,Incから入手可能なACF-1603-15およびACF-1603-20が挙げられる。出発物質、炭素含有繊維を調製する方法、および炭素含有繊維の種類の例は、Chamberlainの米国特許第3,319,629号、Sublettらの同第3,413,982号、Buissonの同第3,904,577号、Bynreらの同第4,281,671号、Arakawaらの同第4,876,078号、Brooksらの同第4,947,874号、Iizukaの同第5,230,960号、Paul,Jr.の同第5,268,158号、Nolandらの同第5,338,605号、Endoの同第5,446,005号、Bairの同第5,482,773号、Nagataらの同第5,536,486号、Arterberyらの同第5,622,190号、およびPanterらの同第7,223,376号、ならびにXueらの米国特許公開第2003/0200973号、Zhangらの同第2006/0201524号、Newberyらの同第2006/0231113号、およびHutchensの同第2009/0288672号に開示されており、それらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
イオン交換繊維は、喫煙物品からの主流煙のガス相成分とのイオン交換が可能な繊維である。そのような繊維は、典型的に、イオン交換材料の粒子を繊維構造に埋め込むか、またはイオン交換樹脂で繊維をコーティングすることによって構築される。繊維内に存在するイオン交換材料の量は異なり得るが、典型的に、イオン交換繊維の総重量に基づいて、約10重量%~約50重量%、より多くの場合、約20重量%~約40重量%である。イオン交換繊維の例は、Rembaumらの米国特許第3,944,485号およびEconomyらの同第6,706,361に記載されており、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。イオン交換繊維は、例えば、ベラルーシのFibanおよびドイツのKelheim Fibers GmbHから市販されている。Fibanの例示的な製品としては、FIBAN A-1(-N(CHCl官能基を有する単官能強塩基繊維)、FIBAN AK-22-1(≡N、=NH、および-COOH官能基を有する多官能繊維)、FIBAN K-1(-SO3-官能基を有する単官能強酸繊維)、FIBAN K-3(-COOH、-NH、および=NH官能基を有する多官能繊維)、FIBAN K-4(-COOH官能基を有する単官能弱酸繊維)、FIBAN X-1(イミノ二酢酸繊維)、FIBAN K-1-1(カリウム-コバルト-フェロシアン化物により修飾されたFIBAN K-1に類似する強酸繊維)、FIBAN A-5(-N(CH、=NH、および-COOH官能基を有する多官能繊維)、FIBAN A-6およびA-7(強塩基および弱塩基アミン基を有する多官能繊維)、FIBAN AK-22B(FIBAN K-3に類似する多官能繊維)、ならびにFIBAN S([FeOH]2+官能基を有する単官能繊維)が挙げられる。Kelheim Fibersからの1つの例示的な製品は、Poseidon Fiberである。
【0102】
触媒繊維は、主流煙の1つ以上のガス相成分の反応を触媒することができ、それによってフィルター要素を通じて吸い込まれる煙中のガス相成分の存在を低減または排除する繊維である。例示的な触媒繊維は、一酸化炭素、窒素酸化物、シアン化水素、カテコール、ヒドロキノン、または特定のフェノール等の主流煙中に存在する1つ以上のガス種の酸化を触媒する。本発明において使用される酸化触媒は、典型的に、主流煙の1つ以上のガス種を酸化する触媒金属化合物(例えば、酸化鉄、酸化同、酸化亜鉛、および酸化セリウム)である。例示的な触媒金属化合物は、Seehoferらの米国特許第4,182,348号、Daleらの同第4,317,460号、Elliottらの同第4,956,330号、Creightonらの同第5,050,621号、Augustineらの同第5,258,340号、McCormickの同第6,503,475号、Liらの同第7,011,096号、Liらの同第7,152,609号、Luanらの同第7,165,553号、Hajaligolらの同第7,228,862号、Saoudらの同第7,509,961号、Dellingerらの同第7,549,427号、Pillaiらの同第7,560,410号、およびBockらの同第7,566,681号、ならびにBillietらの米国特許公開第2002/0167118号、Yadavらの同第2002/0172826号、Leeらの同第2002/0194958号、Lilly Jr.らの同第2002/014453号、Beremanらの同第2003/0000538号、Banerjeeらの同第2005/0274390号、Banerjeeらの同第2007/0215168号、Gedevanishviliらの同第2007/0251658号、Banerjeeらの同第2010/0065075号、Banerjeeらの同第2010/0125039号、およびSearsらの同第2010/0122708号に記載されており、全てが参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。触媒繊維は、例えば、触媒材料の粒子を繊維構造に埋め込むか、または繊維を金属酸化物粒子等の触媒材料でコーティングすることによって構築され得る。繊維内に存在する触媒材料の量は異なり得るが、典型的に、イオン交換繊維の総重量に基づいて、約10重量%~約50重量%、より多くの場合、約20重量%~約40重量%である。国際出願第WO1993/005868号も参照により本明細書に組み込まれ、ノースカロライナ州モーリスビルに所在するNorth Carolina Centerから入手可能な酸化銅および酸化マンガンの両方を含む材料である、表面処理されたホプカライト材料を、繊維性支持体の上にコーティングすることによって形成された触媒繊維の使用について説明する。
【0103】
例として、綿および/またはそこに導入されるイオン交換基を有する再生セルロースは、例えば、蒸気吸収のために構成されたイオン交換繊維として用いられ得る。例として、ポリ乳酸および/またはポリヒドロキシアルカノエートは、改善された生分解性のための1つ以上の繊維として用いられ得る。改善された粒子濾過および/または改善された蒸気吸収のために活性炭素繊維を用いることもできる。繊維は、改善された生分解性、改善された粒子濾過、改善された蒸気吸収、および/または繊維と関連する任意の他の有益な態様のために選択され得る、任意の他の繊維を含むことができる。さらなる例については、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Neurathらの米国特許第3,424,172号、Cohenらの同第4,811,745号、Hillらの同第4,925,602号、Takegawaらの同第5,225,277号、およびArzonicoらの同第5,271,419号に記載される材料組成物を参照されたい。それによって、例えば、望ましい場合がある酢酸セルロースの態様(例えば、味および濾過)が保持され得る一方、他の機能性(例えば、改善された生分解性、改善された粒子濾過、および/または改善された蒸気吸収)を提供する。
【実施例
【0104】
実験
実施例1:混合繊維トウの調製
以下の糸を使用して、混合繊維トウを調製する:(1)Chromspun(登録商標)酢酸セルロース繊維(黒色);(2)Estron(登録商標)酢酸セルロース繊維(白色);および(3)Carotexレーヨン天然繊維。Chromspun(登録商標)酢酸セルロース繊維(Eastman Chemical Companyから入手可能)は、1.38g/デニールの強靭性および32%の最大伸長を有する。Estron(登録商標)酢酸セルロース繊維(Eastman Chemical Companyから入手可能)は、300デニール、76フィラメントとして特徴付けられ、3.94dpfを有する。Estron(登録商標)酢酸セルロース繊維の強靭性は1.50g/デニールであり、最大伸長は30%である。Carotexレーヨン繊維(KCTex(Hickory,NC)から入手可能)は、300デニール、76フィラメントとして特徴付けられ、3.94dpfを有する。レーヨン繊維の強靭性は1.89g/デニールであり、32%の最大伸長を有する。繊維ブレンドの均一性を視覚的に評価するために、黒色および白色酢酸セルロース繊維を使用する。
【0105】
繊維投入量は、以下を順に含む繊維生成システム上で加工される:(1)第1の延伸スタンド;(2)水浴;(3)第2の延伸スタンド;(4)蒸気室;(5)第3の延伸スタンド;(6)仕上剤付与装置;(7)蒸気添加による捲縮器;(8)コンベアベルトを有する乾燥オーブン;(9)引張スタンド;および(10)トウベイラー。3つの酢酸セルロース/レーヨン比(ブレンド内のフィラメントの総数に基づいて)ブレンドを調製する:70/30酢酸セルロース/レーヨン;50/50酢酸セルロース/レーヨン;および30/70酢酸セルロース/レーヨン。
【0106】
最大混合を達成するように、2種の糸(酢酸セルロースおよびレーヨン)をクリール上に配列する。クリールを出る最終総デニールは、約40,000である。したがって、比率70/30の実験は、94本の酢酸糸および40本のレーヨン糸を有し、総デニール40,200にする。50/50ブレンドの実験は、68本の酢酸糸および66本のレーヨン糸を有し、総デニール40,200にする。30/70ブレンドの実験は、48本の酢酸糸および82レーヨン糸を有し、総デニール39,000にする。収集された糸束を、延伸なしに58メートル/分の速度で実行し、次に仕上剤付与装置浴を通過させて、繊維の約2.5重量%の仕上剤を適用する。次に、40psiの圧力を維持しながら、繊維束を捲縮ローラーに通過させる。チークプレート圧は50psiであり、フラッパー圧は10psiである。乾燥機に入る繊維束の1インチ当たりの捲縮は、約20~25である。乾燥機の温度は40℃である。
【0107】
3つのトウ繊維ブレンドは全て、主観的に評価したとき、従来の酢酸セルローストウと比較して、比較的低い破断強度を有する。非常に短期間の間、55~60℃で維持された湯浴を用いて、1.2倍の延伸を糸束に適用することによって、上記実行を変更し、得られるトウ束強度を著しく改善する。各トウブレンド中の混合は、トウ束内の白色および黒色酢酸セルロース繊維の配置の目視検査に基づいて良好であると判断される。
【0108】
実施例2:海洋環境における分解試験
いくつかの混合繊維トウを、ASTM D7081仕様標準につき、ASTM D-6691試験方法を用いて、海洋環境における生分解について試験した。以下の試料を評価する:(1)実施例1の各実行からの繊維束を使用して作製された3つの混合繊維トウの試料;(2)それぞれLenzingおよびEastman Chemical Companyから入手可能な100%レーヨンおよび100%酢酸セルロースから調製されたトウ繊維の試料;および(3)セルロース紙の正対照およびポリエチレン(LDPE)プラスチックラップの負対照。全ての試料を、30℃の制御された温湿環境で60日間海水中に置く。5リットル瓶中にある間、分解する堆肥化可能な試料から生じるCOガスを測定することによって、生分解を評価する。各材料について、試料を3回試験する。
【0109】
60日目の結果を図6に示す。表において、RAYはレーヨンを示し、CAは酢酸セルロースを示す。50%酢酸セルロースおよび50%レーヨンを有する混合繊維トウは、約4%生分解し、70%酢酸セルロースおよび30%レーヨンを有する混合繊維トウは、約3.3%生分解し、100%レーヨンを有するトウは、約3.3%生分解し、30%酢酸セルロースおよび70%レーヨンを有する混合繊維トウは、約3.2%生分解し、100%酢酸セルロースを有するトウは、約2%生分解し、セルロースの正対照は、約6%生分解し、負対照のLDPEプラスチックは、約1%生分解した。したがって、このデータは、レーヨンを酢酸セルロースと混合することは、100%酢酸セルローストウと比較して、生分解の速度を増加させることを示し、50/50ブレンドが100%レーヨンより速い速度で分解したという事実に基づいて、特定のCA/レーヨンの複合と関連するいくらかの相乗効果があり得る。
【0110】
実施例3:生化学的メタン活性(BMP)を使用する分解試験
BMP試験は、埋立て環境における嫌気性生分解性に対する物質の感受性の測定である。BMP試験において、少量の物質(約1gm)を添加して、密封された160mLの血清瓶を3つ作成する。各瓶は、(1)必要な栄養素を有する生物学的成長媒質、(2)住居ゴミ上に維持された微生物の接種源(すなわち、リグノセルロース基質)、および(3)試験物質を含有する。各接種時に、5つの対照を監視して、接種と関連する背景メタン生成を測定する。試料を37℃でインキュベートし、16日、31日、45日、および61日後に分析して、各瓶内のメタン体積を決定するが、メタンの大部分は、30日以内に生成される。結果は、試験物質のmL CH/乾燥gmとして報告される。Wang,Y.-S.,Byrd,C.S.and M.A.Barlaz,1994,″Anaerobic Biodegradability of Cellulose and Hemicellulose in Excavated Refuse Samples,″Journal of Industrial Microbiology,13,p.147-53を参照されたい。BMP試験は、本実施例において様々な混合繊維トウに適用される。
【0111】
BMP結果および炭素変換データは、下記の表1に表される。全てのデータは、接種源と関連する背景メタンに対して訂正された。結果に示されるように、レーヨンは、嫌気性生分解を示す一方、酢酸セルロースは示さない。興味深いことに、酢酸セルロースがレーヨンと混合されるとき、生分解性はレーヨン単独と比較して増加する。これは、相乗相互作用を示唆し、酢酸セルロースの存在が、追加のレーヨン変換を刺激するか、または酢酸セルロースが、レーヨンと混合されるときに生分解性であるかのいずれかである。CHのみが定量化されるため、1モルのCOが各モルのCHに対して生成されるという仮定に基づいて、炭素変換率(%)を計算した。1:1の比は、炭水化物(例えば、セルロース)に対して正確であり、他の材料の場合はいくらか異なる。表において、CAは酢酸セルロースを指し、RAYはレーヨンを指す。
【表1】
【0112】
実施例4:好気性環境における分解試験
レーヨンおよび酢酸セルロース繊維、ならびに実施例1に従って調製された3つのブレンド、および対照の、好気性環境における好気性生分解性を評価するために試験を行う。ISO方法9408「易生分解性」を使用して試験を行い、生分解に必要な酸素の取込みを経時的に測定する。試験計画は、RSA Pulse-Flow好気性呼吸計システムを使用して、試験期間にわたって酸素の取込みを測定し、各試料を、約100mg/Lの炭素(約300mg/L理論的酸素消費量、THOD)を提供する初期繊維濃度で試験することからなる。種培養は、Paul R.Noland Wastewater Treatment Plant(Fayetteville,AR,USA)からの好気性混合液である。試験温度は25℃である。ISO9408プロトコルに示されるように、栄養素、微量ミネラル、および緩衝液を添加する。
【0113】
14日間の操作を通じた繊維試験のデータを図7Aおよび7Bに示し、グラフは、酸素の取込み(7A)および炭素変換率(7B)において経時的に変化する。対照のそれと比較した、およびTHODのパーセントとしての酸素取込み曲線の形状は、ブレンドした試験繊維の生分解性を示す。これらのデータは、酢酸対照基質の急速な生分解、および繊維材料のより遅い生分解を示す。繊維材料の最高生分解率は、100%レーヨン試料の場合である。酢酸セルロース繊維のヨード分解は非常に低い。レーヨン/酢酸セルロースブレンドのヨード分解は、レーヨンのパーセントにある程度比例する。
【0114】
実施例5:混合繊維トウを使用する紙巻タバコフィルターの形成
従来のフィルター作製装置を使用し、実施例1に従って調製された3つのブレンド、および対照(従来の酢酸セルローストウ)を使用して、紙巻タバコフィルターを調製する。従来のトウおよび3つの混合繊維トウをトリアセチンで可塑化し、フィルターロッドセグメントを調製して、圧力低下および硬度について試験する。Filtrona Instruments and Automation Ltdから入手可能なFiltrona Quality Test Modules(QTMシリーズ)を使用して、圧力低下値(mm水中)を測定する。Sodim SAS製のD61自動硬度試験器を硬度試験に使用することができ、この器具は、一定の圧縮荷重(300g)を一定期間(3~5秒)試料に印加し、式:硬度(%)=[(D-A)/D]×100(式中、Dはフィルターセグメントの元の平均であり、Aはフィルターセグメントの平均圧縮径である)に従って圧縮率として表される圧縮値をデジタル表示する。
【0115】
試験したフィルターのデータは、下記表2に記載される。このデータは、トリアセチン重量のパーセンテージ(全フィルターセグメント重量のパーセンテージとして)、試験したフィルターセグメントの重量、試験したフィルターセグメントのサイズ、試験したフィルターセグメントの圧力低下、および試験したフィルターセグメントの硬度を含む。
【表2】
【0116】
30/70のCA/レーヨンおよび50/50のCA/レーヨンブレンドは、低強度のために装置上での加工が困難である。特にそれらのブレンドは、トウが適切な可塑化のために十分な幅のトウ帯に開くことを許容するために十分な強度を有しない。他の2つの混合繊維トウよりも強い70/30のCA/レーヨンブレンドは、約4インチのトウ帯幅に開くに過ぎない(従来のCAトウの場合の約12インチと比較して)。比較的狭いトウ帯を用いた場合でも、70/30のCA/レーヨンブレンドは、従来の紙巻タバコフィルターに比較的近い硬度レベルを生成するのに十分な程度に可塑化されることができる。この試験は、本発明に従う混合繊維トウが、従来の紙巻タバコフィルターに類似する圧力低下および硬度特徴を示す紙巻タバコフィルターセグメントに作製され得ることを確認する。
【0117】
実施例1に記載されるように、試験した混合繊維トウの繊維延伸プロセスは、水浴の使用を含んでいた。レーヨン繊維は、比較的親水性である。したがって、水浴の使用は、混合繊維トウの強度に著しい負の効果を有する可能性がある。水への過剰な露出を防ぐように混合繊維トウを加工することは、トウの強度を著しく強化することができ、紙巻タバコフィルター機械を使用して、そのような材料がどれほど効果的に加工され得るかを改善できると考えられる。
【0118】
本開示が属する技術分野の当業者であれば、前述の説明および関連する図面に提示される教示の利益を有する、本明細書に記載される開示の多くの修正および他の態様を思い付くであろう。したがって、本開示は、開示される特定の態様に限定されないこと、ならびに修正および他の態様が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらは単に一般的かつ説明的な意味において使用され、制限を目的としない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B