(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】複層ガラスユニット
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20230216BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20230216BHJP
E06B 3/66 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C03C27/06 101H
E06B3/677
E06B3/66 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021131738
(22)【出願日】2021-08-12
(62)【分割の表示】P 2017519908の分割
【原出願日】2015-10-09
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2014-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エーミール ワイドナー
(72)【発明者】
【氏名】ニール マクスポーラン
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0089684(US,A1)
【文献】国際公開第00/037376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06
E06B 3/677
E06B 3/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層ガラスユニットが設置された建物であって、
前記複層ガラスユニットは、第1の板ガラス材料のシートと、第2の板ガラス材料のシートとを備え、前記第1の板ガラス材料のシートと前記第2の板ガラス材料のシートとの間に第1の空間があり、前記第1の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第2の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面と、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面とは、前記第1の空間に面し、前記第1の板ガラス材料のシートは、前記第2の板ガラス材料のシートから1mm未満離間し、前記第1の空間は、大気圧未満の圧力を有する低圧空間であり、前記第1の空間に配置された複数のスペーサがあり、
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が、低放射率被覆をその上に有し、前記低放射率被覆は少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を備え、前記低放射率被覆と前記第2の板ガラス材料のシートとの間に第1の虹色抑制被覆がある、ことを特徴とし、
当該複層ガラスユニットが、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が建物の内部に面するようにして設置された、建物。
【請求項2】
複層ガラスユニットが設置された建物であって、
前記複層ガラスユニットは、第1の板ガラス材料のシートと、第2の板ガラス材料のシートとを備え、前記第1の板ガラス材料のシートと前記第2の板ガラス材料のシートとの間に第1の空間があり、前記第1の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第2の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面と、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面とは、前記第1の空間に面し、前記第1の板ガラス材料のシートは、前記第2の板ガラス材料のシートから1mm未満離間し、前記第1の空間は、大気圧未満の圧力を有する低圧空間であり、前記第1の空間に配置された複数のスペーサがあり、
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上に低放射率被覆があり、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が、低放射率被覆をその上に有し、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の低放射率被覆は少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を備え、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の低放射率被覆と前記第2の板ガラス材料のシートとの間に第1の虹色抑制被覆がある、ことを特徴とし、
当該複層ガラスユニットが、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が建物の外部に面するようにして設置された、建物。
【請求項3】
フッ素ドープ酸化錫の前記少なくとも1つの層の幾何学的厚さが、100nm~600nmであるか、又は、フッ素ドープ酸化錫の前記少なくとも1つの層の幾何学的厚さが、100nm~300nmである、請求項1又は2に記載の建物。
【請求項4】
前記第1の虹色抑制被覆が第1の層と第2の層とを備え、前記第1の虹色抑制被覆の前記第1の層が、前記第1の虹色抑制被覆の前記第2の層よりも高い屈折率を有し、前記第1の虹色抑制被覆の前記第2の層が、前記第1の虹色抑制被覆の前記第1の層と前記低放射率被覆との間にある、請求項1~3のいずれかに記載の建物。
【請求項5】
前記第1の虹色抑制被覆の前記第1の層が酸化錫を
含む、請求項4に記載の建物。
【請求項6】
前記第1の虹色抑制被覆の前記第2の層がシリカを含む、請求項4または5に記載の建物。
【請求項7】
前記第1の虹色抑制被覆の前記第1の層が、10nm~50nmの幾何学的厚さを有し、及び/または、前記第1の虹色抑制被覆の前記第2の層が、10nm~50nmの幾何学的厚さを有する、請求項
4~6のいずれかに記載の建物。
【請求項8】
前記第2の板ガラス材料のシートと前記第1の虹色抑制被覆との間に第1のヘイズ低減層をさらに備える、請求項1~
7のいずれかに記載の建物。
【請求項9】
前記第1のヘイズ低減層がシリカを含
む、請求項
8に記載の建物。
【請求項10】
前記第1のヘイズ低減層の幾何学的厚さが、5nm~50nmである、請求項8または9に記載の建物。
【請求項11】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上に低放射率被覆があり、かつ/または前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上に低放射率被覆がある、請求項1に記載の建物。
【請求項12】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上に低放射率被覆がある、請求項2に記載の建物。
【請求項13】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆、及び/または前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の低放射率被覆が、少なくとも1つの銀層、及び/または少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を備える、請求項
11に記載の建物。
【請求項14】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆、及び/または前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆が、5nm~20nmの幾何学的厚さを有する少なくとも1つの銀層を備える、請求項
13に記載の建物。
【請求項15】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆、及び/または前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆が、100nm~600nmの幾何学的厚さを有する少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を備える、請求項
13または請求項
14に記載の建物。
【請求項16】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上に低放射率被覆を備える、請求項1~
15のいずれかに記載の建物。
【請求項17】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆上に、シリカの層またはチタニアの層があり、及び/または、前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆上に、反射防止被覆がある;あるいは、
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆上に他の層がない、請求項
16に記載の建物。
【請求項18】
前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆が、20nm未満の粗さを有する、請求項
16または請求項
17に記載の建物。
【請求項19】
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆上に、シリカの層またはチタニアの層がある、請求項1~
18のいずれかに記載の建物。
【請求項20】
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆上に、反射防止被覆がある、請求項1~
19のいずれかに記載の建物。
【請求項21】
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆上に、他の層がない、請求項1~
18のいずれかに記載の建物。
【請求項22】
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆が、20nm未満の粗さを有する、請求項1~
21のいずれかに記載の建物。
【請求項23】
前記複層ガラスユニットが、前記第1の板ガラス材料のシートに面し、第2の空間によって前記第1の板ガラス材料のシートから離される、第3の板ガラス材料のシートを備え、前記第3の板ガラス材料のシートが、第1の主面と第2の主面とを有し、前記複層ガラスユニットは、前記第3の板ガラス材料のシートの前記第2の主面と前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面とが、前記第2の空間に面するように構成される、請求項1~
22のいずれかに記載の建物。
【請求項24】
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面上の前記低放射率被覆が、前記複層ガラスユニットの面4上にある、請求項1~
22のいずれかに記載の建物。
【請求項25】
複層ガラスユニットが設置された建物であって、
前記複層ガラスユニットは、第1の板ガラス材料のシートと、第2の板ガラス材料のシートとを備え、前記第1の板ガラス材料のシートと前記第2の板ガラス材料のシートとの間に第1の空間があり、前記第1の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第2の板ガラス材料のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面と、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面とは、前記第1の空間に面し、前記第1の板ガラス材料のシートは、前記第2の板ガラス材料のシートから1mm未満離間し、前記第1の空間は、大気圧未満の圧力を有する低圧空間であり、前記第1の空間に配置された複数のスペーサがあり、
前記第2の板ガラス材料のシートの前記第1の主面、及び/または前記第1の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が、その上に低放射率被覆を有し、前記複層ガラスユニットが、前記第1の板ガラス材料のシートに面し、第2の空間によって前記第1の板ガラス材料のシートから離される、第3の板ガラス材料のシートをさらに備え、前記第3の板ガラス材料のシートが、第1の主面と第2の主面とを有し、前記第3の板ガラス材料のシートの前記第2の主面と、前記第1の板ガラス材料のシートの前記第1の主面とが、前記第2の空間に面し、前記第3の板ガラス材料のシートの前記第2の主面がその上に低放射率被覆を有し、前記第3の板ガラス材料のシートの前記第1の主面がその上に低放射率被覆を有することを特徴とし、
当該複層ガラスユニットが、前記第2の板ガラス材料のシートの前記第2の主面が建物の内部に面するようにして設置された、建物。
【請求項26】
前記第3の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆が、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を備える、請求項
25に記載の建物。
【請求項27】
前記第3の板ガラス材料のシートの前記第1の主面上の前記低放射率被覆のフッ素ドープ酸化錫の前記少なくとも1つの層の幾何学的厚さが、100nm~600nmである、請求項
26に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性能が改善された複層ガラスユニットに関する。
【0002】
少なくとも2つの離間したガラスのシートを含む複層ガラスユニットが、知られている
。1つのこのようなタイプの複層ガラスユニットは、周辺シールによって離間した2つの
ガラスのシートを含み、二重ガラスユニットとして従来知られている。
【0003】
別のタイプの複層ガラスユニットは、減圧空間によって離間した2つのガラスのシート
を含む。2つのガラスのシート間で約0.2mmの空間を維持するための複数のスペーサ
が、減圧空間に配置される。2つのガラスのシートの周辺は、例えば、欧州特許第086
0406B1号に説明されるように、はんだガラスによって封止されてもよく、または、
欧州特許出願第1630344A1号に説明されるように有機材料によって封止されても
よい。このタイプの複層ガラスユニットは、しばしば真空複層ガラスユニット、即ち、V
IGと称される。VIGは、国際特許出願第95/15296A1号及び欧州特許出願0
999330A1号でも説明される。
【0004】
VIGは、例えば、欧州特許086040B1号、欧州特許出願103023A1号、
及び米国特許8,377,524B2号で説明されるように、1枚の二重ガラスユニット
であってもよいことも知られる。VIGは、ガラスシートなどの別のガラス板から離間す
る。このタイプの複層ガラスユニットは、減圧された低圧空間及び空隙(典型的に、アル
ゴンまたはクリプトンなどの不活性ガスが充填される)を有する。
【0005】
二重ガラスユニットなどの複層ガラスユニットの外面は、外面上に結露を形成するため
、曇り得るということが知られている。これは、外側のガラスからの熱の放射の結果であ
る。外部に面する二重ガラスユニットの面、即ち外面のために、不十分な熱が内部空間か
ら外面に流れると、低いU値を有する複層ガラスユニットの場合のように、外面の温度が
降下する。十分に高い相対外部大気湿度がある場合、これが、露点温度を下回って下がる
外面の温度の結果として、曇り、即ち、結露または着霜をもたらす。
【0006】
本発明は、改善された熱性能を有する複層ガラスユニットを提供する。
【0007】
第1の態様に従って、本発明は、第1の板ガラス材料のシートと、第2の板ガラス材料
のシートとを含み、第1の板ガラス材料のシートと第2の板ガラス材料のシートとの間に
第1の空間があり、第1の板ガラス材料のシートが、第1の主面と、対向する第2の主面
とを有し、第2の板ガラス材料のシートが、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し
、第1の板ガラス材料のシートの第2の主面と、第2の板ガラス材料のシートの第1の主
面とが、第1の空間に面し、第1の空間が大気圧よりも低い圧力を有する低圧空間であり
、複数のスペーサが第1の空間に配置され、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面が
、その上に低放射率被覆を有することを特徴とし、低放射率被覆が、少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層を含み、低放射率被覆と第2の板ガラス材料のシートとの間に第1
の虹色抑制被覆がある、複層ガラスユニットを提供する。
【0008】
第2の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の提供は、複層ガラスユニ
ットのU値を、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面上に低放射率被覆を有しない同
じ複層ガラスユニットと比較して、減少させる。
【0009】
このような複層ガラスユニットは、建物に設置されてもよい。建物に設置される場合、
第1の板ガラス材料のシートの第1の主面が建物の外部に面し、第2の板ガラス材料のシ
ートの第2の主面が建物の内部に面することが好ましい。代替的に、複層ガラスユニット
は、第1の板ガラス材料のシートの第1の主面が建物の内部に面し、第2の板ガラス材料
のシートの第2の主面が建物の外部に面するように建物に設置されてもよい。複層ガラス
ユニットが、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面が、複層ガラスユニットが設置さ
れる建物の外部に面するように構成される場合、第2の板ガラス材料のシートの第2の主
面上の低放射率被覆の提供は、第2の板ガラス材料のシートの温度が上昇させられ得るた
め、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面上の結露の形成を減少させるのに役立つ。
【0010】
好適には、第1の板ガラス材料のシートは、第2の板ガラス材料のシートから1mm未
満、好ましくは0.05mm~0.5mm、より好ましくは0.1mm~0.3mm離間
する。
【0011】
好適には、板ガラス材料の第1及び第2のシートの各々の周辺の周りに延在する気密シ
ールは、第1の板ガラス材料のシートを第2の板ガラス材料のシートに接合する。気密シ
ールは、第1の空間が好適に低圧に維持されることを確実にする。第1の空間に配置され
るスペーサは、第1の板ガラス材料のシートの第2の主面が、第2の板ガラス材料のシー
トの第1の主面と接触することを防止する。
【0012】
被覆が層B上に層Aを有する場合、1つ以上の他の層、即ち、層Aと層Bとの間に層C
、D、Eなどがある可能性を除外しないことが、本発明の文脈内で理解されるべきである
。同様に、板ガラス材料のシートの面がその上に層A’を有する場合、1つ以上の他の層
、即ち、層Aと板ガラス材料のシートの面との間に層B、C、D、Eなどがある可能性を
除外しない。
【0013】
明確性のために、第1の板ガラス材料のシートの第1の主面は、複層ガラスユニットの面iとも称される。明確性のために、第1の板ガラス材料のシートの第2の主面は、複層ガラスユニットの面iiとも称される。明確性のために、第2の板ガラス材料のシートの第1の主面は、複層ガラスユニットの面iiiとも称される。明確性のために、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面は、複層ガラスユニットの面ivとも称される。
【0014】
板ガラス材料のシートの主面を指すこの表記を使用することで、及び、疑義を避けるた
めに、本発明の第1の態様による複層ガラスユニットは、面iv上に低放射率被覆を有す
る。
【0015】
再び疑義を避けるために、複層ガラスユニットの方位に依存して、建物などに設置され
る場合、面iは建物の内部または建物の外部のいずれかに面してもよい。
【0016】
当該技術分野において従来的であるように、複層ガラスユニットが設置された構造の外
部環境に直接面するように構成された複層ガラスユニットの面は、面1と称される。面1
に対向する面は、面2と称され、即ち、面1は、ガラス板の1つの主面であり、面2は、
ガラス板の対向する主面である。複層ガラスユニットの面2に対向する面は面3と称され
る。面3に対向する面は面4と称され、追加のガラス板についても同様である。例えば、
2つの離間したガラス板、即ちガラスを有する複層ガラスユニットに関して、複層ガラス
ユニットの面1は、複層ガラスユニットが設置される構造の外部に面し、面4は、複層ガ
ラスユニットが設置される構造の内部に面する。本出願において採用される命名規則に関
連して、本発明の第1の態様の複層ガラスユニットの面iまたは面ivは、面1であって
もよい。
【0017】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何
学的厚さは、100nm~600nmである。
【0018】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iv上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好ましくは100
nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0019】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、低放
射率被覆が表面損傷を受けにくい。また、結露防止性能を達成するために必要な被覆が少
ないため、費用が減少する。さらに、複層ガラスユニットのG値が、フッ素ドープ酸化錫
のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニットと比較して、より高い。
【0020】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iv上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好ましくは、3
00nm~350nmである。
【0021】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iv上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好ましくは、5
00nm~580nmである。
【0022】
好ましくは、第1の虹色抑制層は、第1の層と第2の層とを含み、第1の虹色抑制層の
第1の層は、第1の虹色抑制層の第2の層よりも高い屈折率を有し、第1の虹色抑制層の
第2の層は、第1の虹色抑制層の第1の層と第1の低放射率被覆との間にある。
【0023】
好ましくは、第1の虹色抑制層の第1の層は、酸化錫を含む。
【0024】
好ましくは、第1の虹色抑制層の第2の層は、シリカを含む。
【0025】
好ましくは、第1の虹色抑制層の第1の層は、10nm~50nm、好ましくは、15
nm~35nmの幾何学的厚さを有する。
【0026】
好ましくは、第1の虹色抑制層の第2の層は、10nm~50nm、好ましくは、15
nm~35nmの幾何学的厚さを有する。
【0027】
好ましくは、第2の板ガラス材料のシートと第1の虹色抑制層との間に第1のヘイズ低
減層がある。
【0028】
好ましくは、第1のヘイズ低減層は、シリカを含む。
【0029】
好ましくは、第1のヘイズ低減層の幾何学的厚さは、5nm~50nm、より好ましく
は5nm~25nmである。
【0030】
いくつかの実施形態では、面iii上に低放射率被覆がある。
【0031】
好ましくは、面iii上の低放射率被覆と第2の板ガラス材料のシートとの間に虹色抑
制被覆がある。
【0032】
面iii上の低放射率被覆と第2の板ガラス材料のシートとの間の虹色抑制被覆は、第
1の虹色抑制被覆に関して上述したのと同じ好ましい特徴を有する。
【0033】
好ましくは、面iii上の低放射率被覆は、少なくとも1つの銀層、及び/または少な
くとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む。
【0034】
面iii上の低放射率被覆が少なくとも1つの銀層を含む場合、好ましくは、少なくと
も1つの銀層の幾何学的厚さは、5nm~20nmである。
【0035】
面iii上の低放射率被覆が少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む場合、好ま
しくは、面iii上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的
厚さは、100nm~600nmである。
【0036】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iii上の低放射率被覆の少なくとも1つの
フッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好ましくは10
0nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0037】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iii上の低放射率被覆の少なくとも1つの
フッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、250nm~350nmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iii上の低放射率被覆の少なくとも1つの
フッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好ましくは30
0nm~350nmである。
【0039】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面iii上の低放射率被覆の少なくとも1つの
フッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好ましくは50
0nm~580nmである。
【0040】
面iii上の低放射率被覆が少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む場合、好ま
しくは、面3上の低放射率被覆と第2の板ガラス材料のシートとの間にSiCOxの虹色
抑制層がある。好ましくは、SiCOx層は、50nm~100nmの幾何学的厚さを有
する。
【0041】
いくつかの実施形態では、面ii上に低放射率被覆がある。
【0042】
好ましくは、面ii上の低放射率被覆と第1の板ガラス材料のシートとの間に虹色抑制
被覆がある。
【0043】
面ii上の低放射率被覆と第1の板ガラス材料のシートとの間の虹色抑制被覆は、第1
の虹色抑制被覆に関連して上述したのと同じ好ましい特徴を有する。
【0044】
好ましくは、面ii上の低放射率被覆は、少なくとも1つの銀層、及び/または少なく
とも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む。
【0045】
面ii上の低放射率被覆が少なくとも1つの銀層を含む場合、好ましくは、少なくとも
1つの銀層の幾何学的厚さが、5nm~20nmである。
【0046】
面ii上の低放射率被覆は、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含み、好ましく
は、面ii上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは
、100nm~600nmである。いくつかの実施形態では、好ましくは、面ii上の低
放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~3
00nm、より好ましくは100nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~
250nmである。
【0047】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面ii上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、250nm~350nmである。
【0048】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面ii上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好ましくは、30
0nm~350nmである。
【0049】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面ii上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好ましくは、50
0nm~580nmである。
【0050】
面ii上の低放射率被覆が少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む場合、好まし
くは、面ii上の低放射率被覆と第1の板ガラス材料のシートとの間のSiCOxの虹色
抑制層がある。好ましくは、SiCOx層は、50nm~100nmの幾何学的厚さを有
する。
【0051】
いくつかの実施形態では、面i上に低放射率被覆がある。
【0052】
複層ガラスユニットが、第1の板ガラス材料のシートの第1の主面(即ち、面i)が、複
層ガラスユニットが設置される建物の外部に面するように構成される場合、第1の板ガラ
ス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆の提供は、第1の板ガラス材料のシートの
温度が上昇させられ得るため、第1の主面上の結露の形成を減少させるのに役立つ。
【0053】
好ましくは、面i上の低放射率被覆と第1の板ガラス材料のシートとの間に虹色抑制被
覆がある。
【0054】
面i上の低放射率被覆と第1の板ガラス材料のシートとの間の虹色抑制被覆は、第1の
虹色抑制被覆に関連して上述されたのと同じ好ましい特徴を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む面i上の低
放射率被覆がある。
【0056】
好ましくは、面i上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学
的厚さは、100nm~600nmである。
【0057】
好ましくは、面i上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学
的厚さは、100nm~300nm、より好ましくは100nm~290nm、さらによ
り好ましくは100nm~250nmである。
【0058】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、低放
射率被覆が表面損傷を受けにくい。また、結露防止性能を達成するために必要な被覆が少
ないため、費用が減少する。さらに、複層ガラスユニットのG値が、フッ素ドープ酸化錫
のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニットと比較して、より高い。
【0059】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面i上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ
素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好ましくは300n
m~350nmである。
【0060】
いくつかの実施形態では、好ましくは、面i上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ
素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好ましくは500n
m~580nmである。
【0061】
本発明の第1の態様による複層ガラスユニットは、他の好ましい特徴を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、面iv上の低放射率被覆上に他の層がない。
【0063】
いくつかの実施形態では、面iv上の低放射率被覆に層がある。好ましくは、面iv上
の低放射率被覆上のシリカの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、面iv上の低放射率被覆上にチタニアの層がある。好ましく
は、面iv上の低放射率被覆上のチタニアの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有
する。
【0065】
面i上に低放射率被覆がある、実施形態では、好ましくは、面i上に低放射率被覆上の
シリカの層がある。好ましくは、面i上の低放射率被覆上のシリカの層は、5nm~50
nmの幾何学的厚さを有する。
【0066】
面i上に低放射率被覆がある実施形態では、好ましくは、面i上に低放射率被覆上のチ
タニアの層がある。好ましくは、面i上の低放射率被覆上のチタニアの層は、5nm~5
0nmの幾何学的厚さを有する。
【0067】
面i上に低放射率被覆がある実施形態では、好ましくは、面i上の低放射率被覆上に他
の層がない。
【0068】
いくつかの実施形態では、面iv上の低放射率被覆上に虹色抑制被覆がある。
【0069】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の虹色抑制被覆は、少なくとも4つの層を含む
。
【0070】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の虹色抑制被覆は、順に、第1の酸化錫の層と
、第2のシリカの層と、第3のフッ素ドープ酸化錫の層と、第4のシリカの層とを含み、
第1の酸化錫の層が、第2のシリカの層と、面iv上の低放射率被覆との間にある。
【0071】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第1の酸化錫の層は、10n
m~15nmの幾何学的厚さを有する。
【0072】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第2のシリカの層は、20n
m~30nmの幾何学的厚さを有する。
【0073】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第3のフッ素ドープ酸化錫の
層は、100nm~150nmの幾何学的厚さを有する。
【0074】
好ましくは、面iv上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第4のシリカの層は、80n
m~100nmの幾何学的厚さを有する。
【0075】
面i上に低放射率被覆がある実施形態では、好ましくは、面i上の低放射率被覆上に反
射防止被覆がある。
【0076】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆は、少なくとも4つの層を含む。
【0077】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆は、順に、第1の酸化錫の層と、
第2のシリカの層と、第3のフッ素ドープ酸化錫の層と、第4のシリカの層とを含み、第
1の酸化錫の層が、第2のシリカの層と、面1上の低放射率被覆との間にある。
【0078】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第1の酸化錫の層は、8nm~
15nm、より好ましくは11nm~13nmの幾何学的厚さを有する。
【0079】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第2のシリカの層は、20nm
~30nm、より好ましくは22nm~27nmの幾何学的厚さを有する。
【0080】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第3のフッ素ドープ酸化錫の層
は、100nm~150nm、より好ましくは120nm~140nmの幾何学的厚さを
有する。
【0081】
好ましくは、面i上の低放射率被覆上の反射防止被覆の第4のシリカの層は、70nm
~120nm、より好ましくは80nm~100nmの幾何学的厚さを有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、面iv上の低放射率被覆の粗さは、20nm未満であり、よ
り好ましくは3nm~15nm、さらにより好ましくは5nm~12nmである。
【0083】
面i上に低放射率被覆がある実施形態では、好ましくは、面i上の低放射率被覆の粗さ
は、20nm未満であり、より好ましくは3nm~15nm、さらにより好ましくは5n
m~12nmである。
【0084】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、複層ガラスユニットは、第1の板ガラ
ス材料のシートに面し、第2の空間によって第1の板ガラス材料のシートから離される第
3の板ガラス材料のシートを含み、第3の板ガラス材料のシートは、第1の主面と第2の
主面とを有し、複層ガラスユニットは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面と第1
の板ガラス材料のシートの第1の主面(即ち、面i)とが、第2の空間に面するように構
成される。
【0085】
好ましくは、第2の空間は、空隙である。
【0086】
好ましくは、第2の空間は、アルゴンまたはクリプトンなどの不活性ガスが充填される
。
【0087】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートは、第1の板ガラス材料のシートから2mm
以上、好ましくは5mm~50mm、より好ましくは5mm~25mm離間する。
【0088】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面は、その上に低放射率被覆を有
する。
【0089】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面は、その上に低放射率被覆を有
する。好ましくは、第3の板ガラス材料の第2の主面上のシート上の低放射率被覆は、少
なくとも1つの銀の層、及び/または少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫を含む。
【0090】
第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上に低放射率被覆を有する第3の板ガラス材
料のシートを有する本発明の第1の態様の実施形態は、他の好ましい特徴を有する。
【0091】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆と、第3の板
ガラス材料のシートとの間に虹色抑制被覆がある。
【0092】
好ましくは、虹色抑制層は、第1の層と第2の層とを含み、虹色抑制層の第1の層は、
虹色抑制層の第2の層よりも高い屈折率を有し、虹色抑制層の第2の層は、虹色抑制層の
第1の層と、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0093】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層は、酸化錫を含む。
【0094】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層は、シリカを含む。
【0095】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層は、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0096】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層は、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0097】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートと、第3の板ガラス材料のシートの第1の主
面上の虹色抑制被覆との間にヘイズ低減層がある。
【0098】
好ましくは、ヘイズ低減層は、シリカを含む。
【0099】
好ましくは、ヘイズ低減層の厚さは、5nm~50nm、より好ましくは5nm~25
nmである。
【0100】
第3の板ガラス材料のシートの第1の主面がその上に低放射率被覆を有する場合、好ま
しくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆は、少なくとも1つ
のフッ素ドープ酸化錫の層を含む。
【0101】
好ましくは、第3の板ガラス材料の第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~600nmである。
【0102】
好ましくは、第3の板ガラス材料の第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好ましくは10
0nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0103】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、第3
の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆が表面損傷を受けにくい。また、
結露防止性能を達成するために必要な被覆が少ないため、費用が減少する。さらに、複層
ガラスユニットのG値が、フッ素ドープ酸化錫のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニ
ットと比較して、より高い。
【0104】
好ましくは、第3の板ガラス材料の第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好ましくは30
0nm~350nmである。
【0105】
好ましくは、第3の板ガラス材料の第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも1つのフ
ッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好ましくは50
0nm~580nmである。
【0106】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上に他の層が
ない。
【0107】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上にシリカの
層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の
シリカの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0108】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上にチタニア
の層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上
のチタニアの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0109】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上に反射防止
被覆がある。
【0110】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆が、少なくとも4つの層を含む。
【0111】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆は、順に、第1の酸化錫の層と、第2のシリカの層と、第3のフッ素ドープ酸化錫の
層と、第4のシリカの層とを含み、第3の板ガラス材料のシートの場合、第1の酸化錫の
層が、第2のシリカの層と、第1の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0112】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆の第1の酸化錫の層は、10nm~15nmの幾何学的厚さを有する。
【0113】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆の第2のシリカの層は、20nm~30nmの幾何学的厚さを有する。
【0114】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆の第3のフッ素ドープ酸化錫の層は、100nm~150nmの幾何学的厚さを有す
る。
【0115】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆の第4のシリカの層は、80nm~100nmの幾何学的厚さを有する。
【0116】
第2の主面上に低放射率被覆を有する第3の板ガラス材料のシートを有する本発明の第
1の態様の実施形態は、他の好ましい特徴を有する。
【0117】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆と、第3の板
ガラス材料のシートとの間に虹色抑制被覆がある。
【0118】
好ましくは、虹色抑制層が第1の層と第2の層とを含み、虹色抑制層の第1の層が、虹
色抑制層の第2の層よりも高い屈折率を有し、虹色抑制層の第2の層が虹色抑制層の第1
の層と、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0119】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、酸化錫を含む。
【0120】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、シリカを含む。
【0121】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0122】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0123】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートと、第3の板ガラス材料のシートの第2の主
面上の虹色抑制被覆との間にヘイズ低減層がある。
【0124】
好ましくは、ヘイズ低減層は、シリカを含む。
【0125】
好ましくは、ヘイズ低減層の厚さは、5nm~50nm、より好ましくは5nm~25
nmである。
【0126】
いくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆
は、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。
【0127】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~600nmである。
【0128】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好まし
くは100nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0129】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、第3
の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆が表面損傷(例えば、輸送される
とき、または複層ガラスユニットの組み立て中に)を受けにくい。また、結露防止性能を
達成するために必要な被覆が少ないため、費用が減少する。さらに、複層ガラスユニット
のG値が、フッ素ドープ酸化錫のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニットと比較して
、より高い。
【0130】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好まし
くは300nm~350nmである。
【0131】
いくつかの実施形態では、好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の
低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、400nm
~600nm、より好ましくは500nm~580nmである。
【0132】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆上に他の層が
ない。
【0133】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆上にシリカの
層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆上の
シリカの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0134】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆上にチタニア
の層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆上
のチタニアの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0135】
第2の態様から、本発明は、第1の板ガラス材料のシートと、第2の板ガラス材料のシ
ートとを含み、第1の板ガラス材料のシートと第2の板ガラス材料のシートとの間に第1
の空間があり、第1の板ガラス材料のシートが、第1の主面と、対向する第2の主面とを
有し、第2の板ガラス材料のシートが、第1の主面と、対向する第2の主面とを有し、第
1の板ガラス材料のシートの第2の主面と、第2の板ガラス材料のシートの第1の主面と
が、第1の空間に面し、第1の空間が大気圧よりも低い圧力を有する低圧空間であり、第
1の空間に複数のスペーサがあり、第2の板ガラス材料のシートの第1の主面、及び/ま
たは板ガラス材料の第1のシートの第2の主面が、その上に低放射率被覆を有し、複層ガ
ラスユニットが、第1の板ガラス材料のシートに面し、第2の空間によって第1の板ガラ
ス材料のシートから離される第3の板ガラス材料のシートをさらに含み、第3の板ガラス
材料のシートが第1の主面と第2の主面とを有し、第3の板ガラス材料のシートの第2の
主面と、第1の板ガラス材料のシートの第1の主面とが、第2の空間に面し、第3の板ガ
ラス材料のシートの第2の主面がその上に低放射率被覆を有し、第3の板ガラス材料のシ
ートの第1の主面がその上に低放射率被覆を有することを特徴とする、複層ガラスユニッ
トを提供する。
【0136】
好適には、第1の板ガラス材料のシートは、第2の板ガラス材料のシートから1mm未
満、好ましくは0.05mm~0.5mm、より好ましくは0.1~0.3mm離間する
。
【0137】
好ましくは、第2の空間は、空隙である。
【0138】
好ましくは、第2の空間は、アルゴンまたはクリプトンなどの不活性ガスが充填される
。
【0139】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートは、第1の板ガラス材料のシートから2mm
以上、好ましくは5mm~50mm、より好ましくは5mm~25mm離間する。
【0140】
好ましくは、少なくとも1つの銀の層、及び/または少なくとも1つのフッ素ドープ酸
化錫上に含む、第1の板ガラス材料のシートの第2の主面上に低放射率被覆がある。
【0141】
好ましくは、少なくとも1つの銀層、及び/または少なくとも1つのフッ素ドープ酸化
錫上に含む、第2の板ガラス材料のシートの第1の主面上に低放射率被覆がある。
【0142】
好ましくは、第3の板ガラス材料の第1の主面上の低放射率被覆と、第3の板ガラス材
料のシートとの間に虹色抑制被覆がある。
【0143】
好ましくは、虹色抑制層が第1の層と第2の層とを含み、虹色抑制層の第1の層が、虹
色抑制層の第2の層よりも高い屈折率を有し、虹色抑制層の第2の層が虹色抑制層の第1
の層と、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0144】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、酸化錫を含む。
【0145】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、シリカを含む。
【0146】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0147】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0148】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートと、第3の板ガラス材料のシートの第1の主
面上の虹色抑制被覆との間にヘイズ低減層がある。
【0149】
好ましくは、ヘイズ低減層は、シリカを含む。
【0150】
好ましくは、ヘイズ低減層の厚さは5nm~50nm、より好ましくは5nm~25n
mである。
【0151】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の
主面上の低放射率被覆は、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。
【0152】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~600nmである。
【0153】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好まし
くは100nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0154】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、低放
射率被覆が表面損傷を受けにくい。また、結露防止性能を達成するために必要な被覆が少
ないため、費用が減少する。さらに、複層ガラスユニットのG値が、フッ素ドープ酸化錫
のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニットと比較して、より高い。
【0155】
第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆の少なくとも1つのフッ素
ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さのいくつかの実施形態では、250nm~350nmで
ある。
【0156】
いくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆
の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、300nm~400nm
、より好ましくは300nm~350nmである。
【0157】
いくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆
の少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、400nm~600nm
、好ましくは500nm~580nmである。
【0158】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の
主面上の低放射率被覆上に他の層がない。
【0159】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、好ましくは、第3の板ガラス材料のシ
ートの第1の主面上の低放射率被覆上にシリカの層がある。好ましくは、第3の板ガラス
材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上のシリカの層は、5nm~50nmの幾何
学的厚さを有する。
【0160】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の
主面上の低放射率被覆上にチタニアの層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシー
トの第1の主面上の低放射率被覆上のチタニアの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さ
を有する。
【0161】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第1の
主面上の低放射率被覆上に反射防止被覆がある。
【0162】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆が、少なくとも4つの層を含む。
【0163】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第1の主面上の低放射率被覆上の反射防止
被覆は、順に、第1の酸化錫の層と、第2のシリカの層と、第3のフッ素ドープ酸化錫の
層と、第4のシリカの層とを含み、第3の板ガラス材料のシートの場合、第1の酸化錫の
層が、第2のシリカの層と、第1の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0164】
好ましくは、第1の酸化錫の層は、10nm~15nmの幾何学的厚さを有する。
【0165】
好ましくは、第2のシリカの層は、20nm~30nmの幾何学的厚さを有する。
【0166】
好ましくは、第3のフッ素ドープ酸化錫の層は、100nm~150nmの幾何学的厚
さを有する。
【0167】
好ましくは、第4のシリカの層は、80nm~100nmの幾何学的厚さを有する。
【0168】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆と、第3の板
ガラス材料のシートとの間に虹色抑制被覆がある。
【0169】
好ましくは、虹色抑制層が第1の層と第2の層とを含み、虹色抑制層の第1の層が、虹
色抑制層の第2の層よりも高い屈折率を有し、虹色抑制層の第2の層が虹色抑制層の第1
の層と、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆との間にある。
【0170】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、酸化錫を含む。
【0171】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、シリカを含む。
【0172】
好ましくは、虹色抑制層の第1の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0173】
好ましくは、虹色抑制層の第2の層が、10nm~50nm、好ましくは15nm~3
5nmの幾何学的厚さを有する。
【0174】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、好ましくは、第3の板ガラス材料のシ
ートと、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の虹色抑制被覆との間にヘイズ低減
層がある。
【0175】
好ましくは、ヘイズ低減層は、シリカを含む。
【0176】
好ましくは、ヘイズ低減層の厚さは5nm~50nm、より好ましくは5nm~25n
mである。
【0177】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第2の
主面上の低放射率被覆は、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。
【0178】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫層の幾何学的厚さは、100nm~600nmである。
【0179】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、100nm~300nm、より好まし
くは100nm~290nm、さらにより好ましくは100nm~250nmである。
【0180】
フッ素ドープ酸化錫の薄い層を有することによって、被覆の粗さが低くなるため、低放
射率被覆が表面損傷を受けにくい。また、結露防止性能を達成するために必要な被覆が少
ないため、費用が減少する。さらに、複層ガラスユニットのG値が、フッ素ドープ酸化錫
のより厚い層を有する同じ複層ガラスユニットと比較して、より高い。
【0181】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、300nm~400nm、より好まし
くは300nm~350nmである。
【0182】
好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆の少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層の幾何学的厚さは、400nm~600nm、より好まし
くは500nm~580nmである。
【0183】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第2の
主面上の低放射率被覆上に他の層がない。
【0184】
いくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆
上にシリカの層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放
射率被覆上のシリカの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低放射率被覆
上にチタニアの層がある。好ましくは、第3の板ガラス材料のシートの第2の主面上の低
放射率被覆上のチタニアの層は、5nm~50nmの幾何学的厚さを有する。
【0186】
本発明の第1及び第2の態様の実施形態は、他の好ましい特徴を有する。これらの他の
好ましい特徴は、任意の組み合わせで、及び本発明の第1及び/または第2の態様で、使
用されてもよくてよい。
【0187】
本発明の第1及び第2の態様において、好適な板ガラス材料はガラスであり、特に、ソ
ーダ石灰シリカガラスまたはホウケイ酸ガラスである。典型的なソーダ石灰シリカガラス
の組成(重量による)は、SiO2 69~74%、Al2O3 0~3%、Na2O
10~16%、K2O 0~5%、MgO 0~6%、CaO 5~14%、SO3 0
~2%、Fe2O3 0.005~2%である。
【0188】
好ましくは、本発明の第1及び第2の態様において使用される板ガラス材料のシートは
、2mm~10mm、より好ましくは3mm~8mm、さらにより好ましくは3mm~6
mmの厚さを有する。
【0189】
特定の複層ガラスユニットについて、板ガラス材料のシートは、同じ、または異なる厚
さを有してもよい。
【0190】
特定の複層ガラスユニットについて、板ガラス材料のシートは、同じ、または異なるガ
ラスの組成を有してもよい。
【0191】
本発明の第1及び第2の態様による複層ガラスは、3つ以上の板ガラス材料のシートを
含んでもよい。
【0192】
本発明の第1及び第2の態様による複層ガラスは、2つ以上の低圧空間を含んでもよい
。
【0193】
本発明の第1及び第2の態様による複層ガラスは、2つまたは真空複層ガラス板を含ん
でもよい。
【0194】
本発明の第1及び第2の態様によるガラスユニットは、建物における窓として使用され
てもよく、第2の板ガラス材料のシートの第2の主面が建物の内部に面する。
【0195】
本明細書で説明された被覆のいずれも、大気圧化学蒸着(APCVD)またはスパッタ
リングなどの、既知の蒸着技術を使用して蒸着されてもよい。当該技術分野で知られてい
るように、酸化物層は、典型的にAPCVDを使用して蒸着される。銀層は、既知のスパ
ッタリング技術を使用して蒸着されてもよい。
【0196】
本発明の文脈において、U値は、EN12898及びEN673に従って判定された。
【0197】
本発明の文脈において、粗さの値は、原子間力顕微鏡を使用して判定され、ISO/D
IS 25178-2(2007)に従い、パラメータについて定義された。
【0198】
ここで、本発明の実施形態を、添付の図面(正寸ではない)を参照して例示の目的のみ
で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【
図1】本発明の第1の態様による真空複層ガラスの一部の概略図を示す。
【
図2】本発明の第1の態様による別の真空複層ガラスの一部の概略図を示す。
【
図3】本発明の第1の態様による複層ガラスユニットの一部の概略図を示す。
【
図4】本発明の第1の態様による別の真空複層ガラスの一部の概略図を示す。
【
図5】本発明の第2の態様による複層ガラスユニットの一部の概略図を示す。
【
図6】本発明の第1または第2の態様による複層ガラスにおける使用用の被覆ガラスシートの概略図を示す。
【0200】
図1は、本発明の第1の態様による複層ガラスユニットの一部の概略図を示す。この特
定の例において、複層ガラスユニットは、真空複層ガラスユニット1(VIG)である。
VIGなどの製造が、例えば、欧州特許出願0999330A1号において説明される。
【0201】
VIG1は、第1のガラスのシート3と、第2のガラスのシート5とを有する。第1の
ガラスのシート3は、第1の主面7と、対向する第2の主面(図において標識されていな
い)とを有する。第2の被覆ガラスのシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを
有する(両方とも図において標識されていない)。
【0202】
ガラス3、5の各シートは、フロート法を使用して作製されたソーダ石灰シリカ組成物
である。各ガラスシート3、5は、3mmの厚さである。
【0203】
第1のガラスのシート3は、複数のステンレス鋼のスペーサ11(そのうち5つのみが
図1に示される)によって第2のガラスのシート5から離間される。スペーサは、2つの
ガラスシート3、5間に空間12を維持する。空間12は、VIG1の構築中に減圧され
た低圧空間である。はんだガラスなどの周辺シール10は、空間12が低圧のままである
ことを確実にし、即ち、周辺シール10は気密シールである。
【0204】
第1のガラスのシート3の第2の主面上に、低放射率被覆13がある。第2のガラスの
シート5の第2の主面上に、低放射率被覆15がある。
【0205】
VIG1は、使用において、被覆ガラス3の第1のシートの第1の主面7が、VIG1
が設置される建物の外部に面し、被覆ガラス5の第2のシートの第2の主面(及び結果的
に低放射率被覆15)が、VIGが設置される建物の内部に面するように構成される。
【0206】
VIGの面についての従来の命名体系を使用して、第1の主面7はVIGの面1であり
、第1のガラス3のシートの第2の対向する主面は、VIGの面2であり、被覆ガラス5
の第2のシートの第1の主面は、VIGの面3であり、第2のガラスシート5の第2の主
面上の低放射率被覆15の外の面は、VIGの面4である。低放射率被覆15の外面は、
図1において数字9で標識されている。
【0207】
本出願において採用される表記を使用して、第1の主面7は、面iに対応してもよく、
その場合、第2の対向するガラスシート3の主面は、面iiに対応し、被覆ガラス5の第
2のシートの第1の主面は、面iii(即ち、空間12に面する被覆ガラスシート5の面
)に対応し、ガラスシート5の対向する主面は、面ivに対応する。
【0208】
低放射率被覆13は、単一のスパッタリングされた銀の層を含むが、スパッタリングさ
れた銀の二重の層または三重の層を含んでもよい。各銀層は、5nm~20nmの厚さを
有してもよい。このような被覆の例は、米国特許5,344,718号及び米国特許5,
557,462号で説明される。代替的に、低放射率被覆13は、大気圧化学蒸着を使用
してガラス面上に蒸着された少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。低放射率
被覆13は、低放射率被覆15と同じであってもよい。低放射率被覆13は、75nmの
幾何学的厚さを有するSiCOxの下地層と、320nmの幾何学的厚さを有するフッ素
ドープ酸化錫(SnO2:F)の下地層の上の低放射率層とからなり、即ち、第2の主面
上の低放射率被覆13を有するガラスシート3は、ガラス/SiCOx(75nm)/S
nO2F(320nm)の構造を有する。
【0209】
低放射率被覆15は、
図6を参照して、より詳細に説明される。
【0210】
図1に示される実施形態の代替では、第1のガラスのシート3の第2の主面上に低放射
率被覆13がなく、例えば、ガラスのシート3は被覆されていないガラスのシートであっ
てもよい。
【0211】
図1に示される実施形態の別の代替では、ガラスの方位が、第1の被覆ガラスのシート
3の第1の主面7が、VIG1が設置される建物の内部に面し、第2の被覆ガラスのシー
ト5の第2の主面(及び、結果的に低放射率被覆15)が、VIGが設置される建物の外
部に面するように変えられ、即ち、低放射率被覆15が太陽に面する。VIGがこのよう
に構成される場合、VIGの主面に面する外部上の低放射率被覆は、ガラス5のシートの
温度が上昇させられ得るため、その上の結露の形成を減少させるのに役立つ。この代替に
おいて、ガラスシート3は、被覆されていないガラスのシートであってもよい。
【0212】
図1に関連して上述された代替のいずれでも、ガラスシート5の第1の主面上に低放射
率被覆があってもよく、即ち、ガラスシート5の面は、空間12に面する。
【0213】
図2は、本発明の第1の態様による別の複層ガラスユニットの一部の概略図である。複
層ガラスユニットは、真空複層ガラスユニット21(VIG)でもある。
【0214】
VIG21は、第1のガラス23のシートと、第2のガラスのシート25とを有する。
ガラス23の第1のシートは、第1の主面と、対向する第2の主面とを有する(両方とも
図において標識されていない)。第2のガラスのシートは、第1の主面と、対向する第2
の主面とを有する(両方とも図において標識されていない)。
【0215】
ガラス23、25の各シートは、フロート法を使用して作製されたソーダ石灰シリカ組
成物である。各ガラスシート3、5は、3mmの厚さであるが、6mmの厚さであっても
よい。
【0216】
第1のガラス23のシートは、複数のステンレス鋼スペーサ22(そのうち5つのみが
図2に示され、スペーサ22は
図1におけるスペーサ11と同じである)によって第2の
ガラスのシート25から離間する。スペーサ22は、2つのガラスシート23、25間の
空間32を維持する。空間32は、VIG21の構築中に減圧された低圧空間である。は
んだガラスなどの周辺シール30が、空間32が低圧のままであることを確実にし、即ち
、周辺シール30は気密シールである。
【0217】
第1のガラスのシート23の第1の主面上には、低放射率被覆31がある。第1のガラ
スのシート23の第2の主面上には、低放射率被覆33がある。第2のガラスのシート2
5の第2の主面上には、低放射率被覆35がある。
【0218】
VIG21は、使用において、被覆ガラスの第1のシート23の第1の主面(及び、結
果的に低放射率被覆31)が、VIG21が設置される建物の外部に面し、被覆ガラスの
第2のシート25の第2の主面(及び、結果的に低放射率被覆35)が、VIG21が設
置される建物の内部に面するように構成される。
【0219】
低放射率被覆33は、スパッタリングされた銀の単一の層を含むが、スパッタリングさ
れた銀の二重の層または三重の層を含んでもよい。各銀層は、5nm~20nmの厚さを
有してもよい。このような被覆の例は、米国特許5,344,718号及び米国特許5,
557,462号で説明される。代替的に、低放射率被覆33は、典型的にガラスがフロ
ート法で製造される場合、大気圧化学蒸着を使用してガラス面上に蒸着された少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。低放射率被覆33は、低放射率被覆35と同じで
あってもよい。低放射率被覆33は、75nmの幾何学的厚さを有するSiCOxの下地
層と、320nmの幾何学的厚さを有するフッ素ドープ酸化錫の下地層の上の低放射率層
とからなり、即ち、第2の主面上の低放射率被覆33を有するガラスシート23は、ガラ
ス/SiCOx(75nm)/SnO2:F(320nm)の構造を有する。
【0220】
低放射率被覆31及び35は、
図6を参照して、より詳細に説明される。
【0221】
図3は、複層ガラスユニット41の一部を示す。複層ガラスユニット41は、
図1を参
照して説明されるように、シートの主面上に低放射率被覆45を有する3mmのソーダ石
灰シリカガラス43のシートと、VIG1とを含む。このような複層ガラスユニットは、
3つの板ガラス材料のシートと、シート間に2つの空間とがあるため、典型的に、三重複
層ガラスユニットと称される。
【0222】
VIG1は、金属のスペーサ44と、ポリウレタンなどの周辺シール410とによって
、被覆ガラスシートから約12mm離間し、それによって空間42を作る。空間42は、
空隙であり、アルゴンまたはクリプトンなどの不活性ガスが充填されてもよい。
【0223】
低放射率被覆45は、空間42に面するガラスシート43の主面上にある。
【0224】
低放射率被覆45は、スパッタリングされた銀の単一の層を含むが、スパッタリングさ
れた銀の二重の層または三重の層を含んでもよい。各銀層は、5nm~20nmの厚さを
有してもよい。このような被覆の例は、米国特許5,344,718号及び米国特許5,
557,462号で説明される。代替的に、低放射率被覆45は、典型的にガラスがフロ
ート法で製造される場合、大気圧化学蒸着を使用してガラス面上に蒸着された少なくとも
1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。低放射率被覆45は、低放射率被覆15と同じで
あってもよい。低放射率被覆45は、75nmの幾何学的厚さを有するSiCOxの下地
層と、320nmの幾何学的厚さを有するフッ素ドープ酸化錫の下地層の上の低放射率層
とからなってもよく、即ち、第2の主面上の低放射率被覆45を有するガラスシート43
は、ガラス/SiCOx(75nm)/SnO2:F(320nm)の構造を有する。
【0225】
複層ガラスユニット41は、使用において、ガラスシート43の被覆されない面が、建
物の外部に面するように構成される。これは面1と称される。ガラスシート43の被覆面
は、空隙42に面し、面2と称される。空隙42にエイシングするVIG1のガラスシー
ト3の面は、面3と称される。低圧空間12に面するVIG1のガラスシート3の被覆面
は、面4と称される。低圧空間12に面するVIG1のガラスシート5の被覆されていな
い面は、面5と称され、VIG1のガラスシート5の被覆面は、面6と称され、建物の内
部に面する。
【0226】
これは、三重複層ガラスユニットの面を命名するための従来の規則である。
【0227】
面2、4、及び6上の低放射率被覆45、13、及び15は、複層ガラスユニット41
のU値をそれぞれ減少させる。
【0228】
図3に示される例の変形では、ガラスのシート43は、低放射率被覆を有する両方の主
面が被覆されてもよく、即ち、面1は低放射率被覆をその上に有する。
【0229】
変形では、面1上の低放射率被覆は、低放射率被覆45と同じであってもよい。空隙に
面するガラスシート43の主面上の低放射率被覆は、少なくとも1つのフッ素ドープ酸化
錫層を含むことが好ましく、
図6を参照して説明された低放射率被覆15と同じであるこ
とが好ましい。好ましくは、面1上の低放射率被覆は、
図1及び6を参照して説明される
被覆15と同じである。面1上の低放射率被覆の提供は、ガラスシート43の温度を上昇
させるのに役立ち、それによってその上の結露の形成を減少させるのに役立つ。
【0230】
図3に示される複層ガラスの別の変形では、ガラス43のシートの位置及びVIG1は
逆であってもよい。
【0231】
図4は、本発明の第1の態様による別の複層ガラスユニットの概略図である。特定の例
では、複層ガラスユニットは、真空複層ガラスユニット51(VIG)であり、上述され
たVIG1及びVIG21と同様である。
【0232】
VIG51は、第1のガラスのシート53と、第2のガラスのシート55とを有する。
第1のガラスのシート53は、第1の主面と、第2の主面とを有する(両方とも図におい
て標識されていない)。被覆ガラスの第2のシートは、第1の主面と、第2の主面とを有
する(両方とも図において標識されていない)。
【0233】
各ガラスのシート53、55は、フロート法を使用して作製されたソーダ石灰シリカ組
成物である。各ガラスシート53、55は、3mmの厚さである。
【0234】
第1のガラスのシート53は、複数のステンレス鋼のスペーサ52によって第2のガラ
スのシート55から離間する(そのうちの5つのみが
図4に示される)。スペーサは、空
間62を約0.2mmの2つのガラスシート53、55間に維持する。空間62は、VI
G51の構築中に減圧される低圧空間である。はんだガラスなどの周辺シール60は、空
間62が低圧のままであることを確実にし、即ち、周辺シール60は気密シールである。
【0235】
ガラスシート53の第2の主面は、空間62に面する。ガラスシート55の第1の主面
は、空間62に面する。
【0236】
ガラスシート53の両方の主面は被覆されない。ガラスシート55の第1の主面上に、
低放射率被覆63がある。ガラスシート55の第2の主面上に、低放射率被覆65がある
。
【0237】
VIG51は、使用において、第1のシート53の第1の主面が、VIG51が設置さ
れる建物の外部に面し、ガラスの第2のシート55の第2の主面(及び、結果的に低放射
率被覆65)が、VIG51が設置される建物の内部に面するように構成される。
【0238】
低放射率被覆63は、スパッタリングされた銀の単一の層を含むが、スパッタリングさ
れた銀の二重の層または三重の層を含んでもよい。各銀層は、5nm~20nmの厚さを
有してもよい。このような被覆の例は、米国特許5,344,718号及び米国特許5,
557,462号で説明される。代替的に、低放射率被覆63は、大気圧化学蒸着を使用
してガラス面上に蒸着された少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。低放射率
被覆63は、低放射率被覆65と同じであってもよい。低放射率被覆63は、75nmの
幾何学的厚さを有するSiCOxの下地層と、320nmの幾何学的厚さを有するフッ素
ドープ酸化錫の下地層の上の低放射率層とからなってもよく、即ち、ガラスシート55は
、第1の主面上の低放射率被覆63を有するガラス/SiCOx(75nm)/SnO2
:F(320nm)の構造を有する。
【0239】
低放射率被覆65は、
図6を参照して、より詳細に説明される。
【0240】
図4に示される実施形態の代替では、VIG51の方位は、使用において、即ち、建物
に設置される場合、低放射率被覆65が建物の外部に面し、空間62に面さない第1のガ
ラスシート53の被覆されていない主面は、VIGが設置される建物の内部に面するよう
に、逆であってもよい。
【0241】
別の実施形態では、
図2、3、及び4を参照して、
図3のVIG1は、
図2のVIG2
1または
図4のVIG51と置き換えられてもよい。
【0242】
図5は、本発明の第2の態様による複層ガラスユニット71の一部の概略図である。
【0243】
複層ガラスユニット71は、金属スペーサ72によってVIG81から12mm離間す
る3mmの厚さのソーダ石灰シリカガラス73のシートと、周辺シール74とを含む。ガ
ラスシート73とVIG81との間に空隙76がある。
【0244】
ガラスシート73は、第1及び第2の対向する主面を有する。ガラスシート73の第2
の主面は、空隙76に面する。ガラスシート73の第1の主面上に低放射率被覆75があ
り、ガラスシート73の第2の主面上に低放射率被覆77がある。
【0245】
低放射率被覆77は、スパッタリングされた銀の単一の層を含むが、スパッタリングさ
れた銀の二重の層または三重の層を含んでもよい。各銀層は、5nm~20nmの厚さを
有してもよい。このような被覆の例は、米国特許5,344,718号及び米国特許5,
557,462号で説明される。代替的に、低放射率被覆77は、大気圧化学蒸着を使用
してガラス面上に蒸着された少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫の層を含む。低放射率
被覆77は、低放射率被覆75と同じであってもよい。低放射率被覆77は、75nmの
幾何学的厚さを有するSiCOxの下地層と、320nmの幾何学的厚さを有するフッ素
ドープ酸化錫の下地層の上の低放射率層とからなってもよく、即ち、SiCOx層は、ガ
ラス面と接触しており、SnO2:F層は、SiCOx層上にある。
【0246】
低放射率被覆75は、
図6を参照して、より詳細に説明される。
【0247】
VIG81は、複数のステンレス鋼のスペーサ82によって、互いから約0.2mm離
間する、第1のガラスのシート83と、第2のガラスのシート85とを含む。スペーサは
、空間92を2つのガラスシート83、85間に維持する。空間92は、VIG81の構
築中に減圧された低圧空間である。はんだガラスなどの周辺シール80は、空間92が低
圧のままであることを確実にし、即ち、周辺シール80は気密シールである。
【0248】
ガラスシート83は、空隙76に面する第1の主面と、低圧空間92に面する第2の主
面とを有する。ガラスシート83の第2の主面上に、低放射率被覆93がある。低放射率
被覆は、低放射率被覆77と同じであってもよい。
【0249】
ガラスシート85は、低圧空間92に面する第1の主面と、第2の対向する主面とを有
する。ガラスシート85の両方の主面は、被覆されていない。
【0250】
使用において、ガラスシート85の第2の主面は、複層ガラスユニット71が設置され
る建物の内部に面する。
【0251】
図5において、面1上の追加の低放射率被覆75は、ガラスシート73の温度を上昇さ
せるのに役立ち、その上の結露の形成を減少させる。
【0252】
図6は、本発明の第1または第2の態様のいずれかによる複層ガラスにおけるガラス板
として有用な被覆ガラスの断面を示す。
【0253】
図6を参照すると、3mmの厚さの透明フロートガラスのシート105を含む被覆ガラ
ス板101は、例えば、国際出願97/42357A1号で説明されるように、フロート
炉のフロートバス領域において大気化学蒸着を使用して被覆構造115で被覆される。
【0254】
ガラスシート105の組成物は、Fe2O3の0.11重量%の含有量を有する従来の
透明フロートガラス組成物(ソーダ石灰シリカガラス)であるが、別の実施形態では、F
e2O3の含有量は0.001重量%~0.1重量%であり、典型的には約0.05重量
%であった。別の例では、約0.18重量%のFe2O3の含有量を有する、より高いF
e2O3含有量のフロートガラス組成物が使用された。
【0255】
ホットフロートガラスリボンは、まず、15nmの幾何学的厚さを有するSiO2の層
102で被覆される。この層102は、本発明による被覆ガラスシートが、この層を有し
ない被覆ガラスシートよりも少ないヘイズを有するようなヘイズ低減層である。例えばS
i3N4などの他のこのような被覆が使用されてもよい。
【0256】
次に、25nmの幾何学的厚さを有するSnO2の層104が、SiO2層上に蒸着さ
れる。この層は、虹色抑制被覆構造の一部を形成する。次に、30nmの幾何学的厚さを
有するSiO2の層106がSnO2層104上に蒸着される。SnO2の25nmの層
とSiO2の30nmの層との組み合わせが、虹色抑制被覆である。層104は、虹色抑
制被覆の第1の層である、層106は、虹色抑制被覆の第2の層である。
【0257】
最後に、フッ素ドープ酸化錫(SnO2:F)の層108は、30nmの厚さのSiO
2層上に蒸着された。SnO2:F層108は、230nmの幾何学的厚さを有した。
【0258】
層102、104、106、及び108は、被覆構造115を形成する。被覆構造11
5は、低放射率被覆である。
【0259】
被覆構造115は、
図1における低放射率被覆15、
図2における低放射率被覆31、
及び/または低放射率被覆35、
図4における低放射率被覆65、及び
図5における低放
射率被覆75に対応する。
【0260】
SnO2:F層108が厚すぎる場合、例えば、取り扱われるとき、または清掃される
ときに損傷を受ける傾向がより多い。結果的に、低放射率被覆108上のいずれの追加の
被覆層を使用する必要もない。他の被覆層が低放射率被覆108上に蒸着されてもよいが
、これは費用及び製造の複雑さを増加させる。
【0261】
低放射率SnO
2:F層108がより薄くなるため、被覆の耐久性は増加するが、放射
率が増加し、これは望ましくない。
図6に示される被覆基板について、被覆の放射率は0
.22である。
【0262】
SnO2:F層の粗さは、約10nmであると判定された。粗さは、原子間力顕微鏡を
使用して測定され、ISO/DIS 25178-2(2007)に従い、パラメータに
ついて定義された。
【0263】
上述と同じ被覆は、3.92mmの厚さの低鉄フロートガラスのシート上に蒸着された
(0.02重量%のFe2O3を有する)。この被覆されたシートの可視光線透過率は、
EN410(2011)/673(CEN)に従って算出され、84.6%であった。
【0264】
図6に示された被覆構造115の代替では、SiO
2の層102がなくてもよく、代わ
りに層104がガラスシート105の面に接触している。この実施形態では、SnO
2の
層104の幾何学的厚さは、20nm~30nmであってもよく、層104上のSiO
2
の層106の幾何学的厚さは、10nm~30nmの幾何学的厚さを有してもよい。Si
O
2層106上のフッ素ドープ酸化錫(SnO
2:F)の層108は、300nm~40
0nmの幾何学的厚さを有してもよく、典型的に、約320nmである。代替的に、Si
O
2層106上のフッ素ドープ酸化錫(SnO
2:F)層108は、400nmより大き
な幾何学的厚さを有してもよく、典型的に、約600nmまでであり、即ち、500~5
80nm内である。
【0265】
説明されたような被覆構造115は、本発明の第1及び第2の態様による、1つ以上の
板ガラス材料の主面上の低放射率被覆として使用されてもよい。
【0266】
本発明の例は、露出面上に低放射率被覆を有しない等価の複層ガラスユニットと比べて
、U値を減少させた。複層ガラスユニットの外部に面する面(即ち、面1)上の低放射率
被覆の提供は、上述の面上の低放射率被覆を上から覆う必要を伴わずに、結露防止の性質
を複層ガラスユニットに提供することができるという利点を有する。これは、製造費用及
び製造の複雑性を減少させる。比較的薄い低放射率層を使用することによって、被覆は、
比較的滑らかであり、外部環境に露出している同様のより厚い被覆に、さもなければ起こ
り得る損害をより受けにくい。
【0267】
要するに、第1の態様から、間に低圧空間を有する板ガラス材料の第1及び第2のシー
トを含む複層ガラスユニットが、本明細書で説明される。低圧空間に面さない板ガラス材
料の第2のシートの主面は、その上に少なくとも1つのフッ素ドープ酸化錫層を含む低放
射率被覆を有する。低放射率被覆と、板ガラス材料の第2のシートとの間に第1の虹色抑
制被覆がある。また、第2の態様から、第1及び第2の板ガラス材料のシート間に低圧空
間と、第1及び第3の板ガラス材料のシート間に第2の空間とを有する、板ガラス材料の
3つの(第1、第2、及び第3の)シートを含む複層ガラスユニットが本明細書で説明さ
れる。第2の態様では、低圧空間に面する1つまたは両方の主面上の低放射率被覆があり
、板ガラス材料の第3のシートは、両方の対向する主面上に低放射率被覆を有する。