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特許7228672多層細胞シートの製造方法、及び、これを用いて製造された多層細胞シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】多層細胞シートの製造方法、及び、これを用いて製造された多層細胞シート
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230216BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20230216BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C12N5/071
A61L27/38 300
C12N5/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021505200
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019009544
(87)【国際公開番号】W WO2020027575
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】10-2018-0089461
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519134452
【氏名又は名称】ロキット ヘルスケア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソク ファン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ユン キム
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0115457(US,A1)
【文献】国際公開第2006/093151(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/030749(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/148321(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/077985(WO,A1)
【文献】特開2004-261532(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192909(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0171299(US,A1)
【文献】Masami Harimoto et al.,Novel approach for achieving double-layered cell sheets co-culture: overlaying endothelial cell sheets onto monolayer hepatocytes utilizing temperature-responsive culture dishes,Journal of Biomedical Materials Research,2002年,Vol.62, Issue 3,pp.464-470
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0℃~30℃のいずれかの地点の温度で溶解点を有するか、疎水性から親水性に変換される第1の基材上に第1の細胞層を形成する段階と、
(b)酵素によって分解される第2の基材上に第2の細胞層を形成する段階と、
(c)前記第1の細胞層と前記第2の細胞層を接触させる段階と、
(d)前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を提供し、前記第1の基材を選択的に除去する段階と、
(d’)露出した前記第1の細胞層と追加の第1の基材上に備えられた追加の第1の細胞層を接触させた後、前記追加の第1の基材の溶解点以下の温度または前記追加の第1の基材が親水性に変換される温度を提供し、前記追加の第1の基材を選択的に除去する段階と、
(e)酵素を含む溶液に前記第2の基材を接触させて前記第2の基材を選択的に除去する段階と、を含み、
(d)段階、(d’)段階及び(e)段階が順次行われ、
(d’)段階は、2回以上繰り返して行われ、前記第1の細胞層上に複数の追加の第1の細胞層を形成する、多層細胞シートの製造方法。
【請求項2】
(d)段階は、前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を持つ溶液に前記第1の基材を接触させるか、または周辺温度を前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度に下げることを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項3】
前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層は、それぞれ前記第1の基材及び前記第2の基材上に培養されて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項4】
(a)段階及び(c)段階は、35℃~40℃の雰囲気で行われることを特徴とする、 請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項5】
前記第1の基材は、ポリホスファゼン系ハイドロゲル、プルロニック系ハイドロゲル及びポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)のうち少なくとも1種を含み、
前記プルロニック系ハイドロゲルは、ポリエチレンオキシド(PEO)-ポリプロピレンオキシド(PPO)-ポリエチレンオキシド(PEO)の構造(PEO-PPO-PEO)を有する高分子を利用する材料である、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項6】
前記第1の基材は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)で表面処理されたことを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項7】
前記第2の基材は、カルボキシメチルセルロースまたはアルジネートを含むハイドロゲル基材であることを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項8】
前記カルボキシメチルセルロースまたはアルジネートは、チラミンでコンジュゲーションされたことを特徴とする、請求項に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項9】
前記酵素は、カルボキシメチルセルロース分解酵素またはアルジネート分解酵素であることを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【請求項10】
前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層は、それぞれ間葉系幹細胞(MSCs;mesenchymal stem cells)、筋組織前駆細胞(myocyte precursor cells)、筋細胞(myocytes)、繊維芽細胞(fibroblasts)、軟骨細胞(chondrocytes)、内皮細胞(endothelial cells)、上皮細胞(epithelial cells)、胚性幹細胞(ESCs;embryonic stem cells)、造血幹細胞(hematopoietic stem cells)、付着依存性細胞前駆体(anchorage-dependent cell precursors)、誘導された全分化能幹細胞(iPSCs;induced pluripotent stem cells)、及び心筋細胞(cardiomyocytes)からなる群から選ばれる細胞を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層細胞シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2018年7月31日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0089461号の出願日の利益を主張し、その内容の全部は、本発明に含まれる。
【0002】
本発明は、組織工学及び再生医学分野に関し、具体的には、多層細胞シートの製造方法、及び、これを用いて製造された多層細胞シートに関する。
【背景技術】
【0003】
再生医学分野における組織工学的治療は、生分解性高分子支持体を基盤として、細胞を培養して組織を再建した後、損傷した部位に移植して正常な機能が誘導されるようにする方向へ発展している。ただし、生分解性高分子支持体は、体内に移植されたとき、酸性物質の生成による炎症反応が発生する問題がある(Ronneberger B et al.,J Biomed Mater Res,30(1)(1996),31-40)。
【0004】
これと異なる方向のアプローチとして、細胞を生分解性高分子溶液と混合して損傷した部位に注入する方法が提案されたことがあるが、これは細胞外基質(ECM;Extra Cellular Matrix)の損傷により移植部位における細胞再生効率が大きく低下するという問題点がある(Canavan H et al.,J Biomed Mater Res A. 2005 Oct 1;75(1):1-13)。
【0005】
前記のような問題点を解決するため、生分解性高分子なしに細胞を移植するための手段として、細胞シートが開発された(Yang J et al.Biomaterials.2005 Nov;26(33):6415-22)。ただし、細胞シートを作製したとしても、これを臨床的に適用するためには、細胞シートを多層に積層する過程が必要であるが、現在知られている方法では、過度に複雑な過程及び長期間の製造時間により経済的でないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単な工程により多層構造の細胞シートを製造する方法及びこれを用いて製造された多層細胞シートを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、(a)0℃~30℃のいずれかの地点の温度で溶解点を有するか、疎水性から親水性に変換される第1の基材上に第1の細胞層を形成する段階と、(b)酵素によって分解される第2の基材上に第2の細胞層を形成する段階と、(c)前記第1の細胞層と前記第2の細胞層を接触させる段階と、(d)前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を提供し、前記第1の基材を選択的に除去する段階と、(e)酵素を含む溶液に前記第2の基材を接触させて前記第2の基材を選択的に除去する段階と、を含む、多層細胞シートの製造方法を提供する。
【0008】
本発明の他の実施形態は、前記製造方法を用いて製造された多層細胞シートを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による多層細胞シートは、簡単かつ経済的な方法で多層の細胞シートを製造できるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による多層細胞シートの製造方法を示したものである。
図2】実施例によって製造されたプルロニックハイドロゲルシートの拡大画像を示したものである。
図3】実施例におけるプルロニックハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの拡大画像を示したものである。
図4】実施例におけるプルロニックハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの細胞が生存するかどうかを、染色を通じて確認した結果を示したものである。
図5】実施例におけるアルジネートハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの拡大画像を示したものである。
図6】実施例におけるアルジネートハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの細胞が生存するかどうかを、染色を通じて確認した結果を示したものである。
図7】実施例によるプルロニックハイドロゲルシート及びアルジネートハイドロゲルシートがすべて除去された細胞シートを撮影したものを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両方の部材の間に、さらに他の部材が存在する場合も含む。
【0012】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0013】
本明細書において、「追加の第1の基材」は、第1の基材に対する内容をすべて含んでもよく、また、第1の基材と同じものであってもよい。
【0014】
本明細書において、「追加の第2の基材」は、第2の基材に対する内容をすべて含んでもよく、また、第2の基材と同じものであってもよい。
【0015】
本明細書において、「追加の第1の細胞層」は、第1の細胞層に対する内容をすべて含んでもよく、また、第1の細胞層と同じものであってもよい。
【0016】
本明細書において、「追加の第2の細胞層」は、第2の細胞層に対する内容をすべて含んでもよく、また、第2の細胞層と同じものであってもよい。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態は、(a)0℃~30℃のいずれかの地点の温度で溶解点を有するか、疎水性から親水性に変換される第1の基材上に第1の細胞層を形成する段階と、
【0019】
(b)酵素によって分解される第2の基材上に第2の細胞層を形成する段階と、
【0020】
(c)前記第1の細胞層と前記第2の細胞層を接触させる段階と、
【0021】
(d)前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を提供し、前記第1の基材を選択的に除去する段階と、
【0022】
(e)酵素を含む溶液に前記第2の基材を接触させて前記第2の基材を選択的に除去する段階と、を含む、多層細胞シートの製造方法を提供する。
【0023】
本発明による多層細胞シートの製造方法は、簡単な方法で多層の細胞層が積層された細胞シートを製造できるという長所がある。前記多層細胞シートの製造方法は、0℃~30℃のいずれかの地点の温度で溶解点を有するか、疎水性から親水性に変換される第1の基材、及び酵素によって分解される第2の基材を使用して細胞層を積層した後、選択的にいずれかの基材を除去し得る。これを用いて選択的に除去された基材によって露出される細胞層上に追加の細胞層を積層し得る。また、除去されていない基材上に積層された細胞層が備えられているので、容易に転写し得、転写後、選択的に残りの基材を除去して多層細胞層の移植が可能である。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、(d)段階及び(e)段階が順次行われ、(d)段階と(e)段階の間に、(d’)露出された前記第1の細胞層と追加の第1の基材上に備えられた追加の第1の細胞層を接触させた後、前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を提供し、前記追加の第1の基材を選択的に除去する段階をさらに含んでもよい。具体的には、(c)段階により形成される「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体は、(d)段階及び(d’)段階によって「追加の第1の細胞層/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体が形成されてもよい。
【0025】
また、本発明の一実施形態によれば、(d’)段階は、2回以上繰り返して行われ、前記第1の細胞層上に複数の追加の第1の細胞層を形成してもよい。具体的には、(d’)段階は、複数回にわたって繰り返し行われてもよく、これにより「追加の第1の細胞層/.../追加の第1の細胞層/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体が形成されてもよい。前記追加の第1の細胞層の数は、前記多層細胞シートの用途及び目的に応じて適切に調節されてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、(e)段階及び(d)段階が順次行われ、(e)段階と(d)段階の間に、(e’)の露出された前記第2の細胞層と追加の第2の基材上に備えられた追加の第2の細胞層を接触させた後、酵素を含む溶液に前記追加の第2の基材を接触させて前記追加の第2の基材を選択的に除去する段階をさらに含んでもよい。具体的には、(c)段階により形成される「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体は、(e)段階及び(d’)段階により「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/追加の第2の細胞層」の積層構造体が形成されてもよい。
【0027】
また、本発明の一実施形態によれば、(e’)段階は、2回以上繰り返して行われて前記第2の細胞層上に複数の追加の第2の細胞層を形成してもよい。具体的には、(e’)段階は、複数回にわたって繰り返し行われてもよく、これにより「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/追加の第2の細胞層/.../追加の第2の細胞層」の積層構造体が形成されてもよい。前記追加の第2の細胞層の数は、前記多層細胞シートの用途及び目的に応じて適切に調節されてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材は、30℃超過の温度雰囲気で固相または疎水性を有するものであってもよい。具体的には、前記第1の基材は、30℃以下の温度で液状または親水性に転換されてもよく、これを用いて第1の細胞層から選択的除去が可能である。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、(a)段階及び(c)段階は、35℃~40℃の雰囲気、具体的には、36℃~38℃の雰囲気、より具体的には、36℃~37℃の雰囲気で行われてもよい。これは、前記第1の基材は、0℃~30℃のいずれかの地点の温度で溶解点を有するか、疎水性から親水性に変換される性質を持つので、前記温度範囲(すなわち、35℃~40℃)の雰囲気で第1の基材が固相の形態または疎水性を保つようにし、細胞が活発に活動するようにして細胞層の形成を促進させるためである。同様に、(d’)段階の追加の第1の基材も第1の基材と同じ性質を持つので、追加の第1の細胞層の形成及び追加の第1の細胞層を積層する過程は、35℃~40℃の雰囲気で行われてもよい。さらに、(b)段階も細胞層の形成を促進させるため、35℃~40℃の雰囲気、具体的には、36℃~38℃の雰囲気、より具体的には、36℃~37℃の雰囲気で行われてもよい。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、(c)段階は、加圧して前記第1の細胞層と前記第2の細胞層を接触させるものであってもよい。このとき、加圧条件は、接触された細胞層が破壊されず、物質交換が可能なように密着されるように適切に調節されてもよい。同様に、(d’)段階及び(e')段階の追加の第1の細胞層及び追加の第2の細胞層を加圧して細胞層上に積層してもよい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材、前記第2の基材、追加の第1の基材及び追加の第2の基材は、それぞれハイドロゲルを主成分として含むハイドロゲル基材であってもよい。
【0032】
前記「ハイドロゲル」は、水を大量に含むことができる物質であって、酸素、水、水溶性栄養物、酵素及びサイトカインなどのポリペプチドなどの細胞生存に必要な物質、老廃物などを容易に伝染移動させることができる材料または形態であることを意味する。前記ハイドロゲルは、コロイド粒子を含有する水溶液を固相化して形成されるハイドロゲル粒子であってもよい。前記ハイドロゲルは、例えば、ポリアクリルアミド(poly(acrylamide))、ポリアクリル酸(poly(acrylic acid))、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(poly(hydroxyethyl methacrylate))、ポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))、ポリ乳酸(poly(lactic acid))、ポリグリコール酸(poly(glycolic acid))などの水溶性、親水性、または水吸収性合成高分子、及び多糖類、タンパク質、及び核酸などを化学架橋したハイドロゲルからなる粒子であってもよい。前記多糖類としては、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)及びコンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)などのグリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)、デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチン、セルロースなどが挙げられるが、これに限定されない。また、タンパク質としてコラーゲン及びその加水分解物であるゼラチン、プロテオグリカン(proteoglycan)、フィブロネクチン(fibronectin)、ビトロネクチン(vitronectin)、ラミニン(laminin)、エンタクチン(entactin)、テネイシン(tenascin)、トロンボスポンジン(thrombospondin)、ヴォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor)、オステオポンチン(osteopontin)、フィブリノゲン(fibrinogen)などが挙げられるが、これに限定されない。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材は、ポリホスファゼン系ハイドロゲル、プルロニック系ハイドロゲル及びポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)のうち少なくとも1種を含んでもよい。
【0034】
具体的には、前記第1の基材及び前記追加の第1の基材は、それぞれポリホスファゼン系ハイドロゲル基材、プルロニック系ハイドロゲル基材またはポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)基材であってもよい。また、前記追加の第1の基材は、前記第1の基材の内容と同一であってもよい。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記ポリホスファゼン系ハイドロゲルは、温度感応性のポリホスファゼン系化合物を含み、溶解点が約4℃~約10℃に調節されてもよい。例えば、大韓民国公開公報第10-2017-0061530号に開示された温度感応性及び架橋性ホスファゼン系ハイドロゲル、大韓民国公開公報第10-2014-0016521号に開示された分解速度の調節が可能なイオン基を有するホスファゼン系高分子、大韓民国公開公報第10-2007-0076386号に開示された生分解性温度感応性ポリホスファゼン系ハイドロゲルが、本発明のポリホスファゼン系ハイドロゲルに含まれてもよい。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記プルロニック系ハイドロゲルは、プルロニック高分子を用いて、溶解点の温度を約0℃~30℃に調節してもよい。前記プルロニック高分子は、ポリエチレンオキシド(PEO)-ポリプロピレンオキシド(PPO)-ポリエチレンオキシド(PEO)の構造(PEO-PPO-PEO)を有する高分子であればすべて使用可能である。例えば、Fで始まるF38、F68、、F77、F98、F108、F127誘導体などと、Lで始まるL31、L42、L43、L44、L62、L72、L101誘導体などと、Pで始まるP75、P103、P104誘導体など(すべて商品名)が含まれてもよい。より具体的には、前記プルロニック高分子のうち、米国食品医薬局(FDA)の許可を受けた分子量が約8,700ダルトンであるF68と分子量が約12,600ダルトンであるF127を使用してもよい。
【0037】
ただし、前記第1の基材は、ポリホスファゼン系ハイドロゲル、プルロニック系ハイドロゲルに限定されるものではなく、30℃以下の温度で溶解点を有するハイドロゲルであれば、前記第1の基材及び/又は追加の第1の基材として適用してもよい。
【0038】
また、本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)基材であってもよい。また、前記第1の基材及び/又は前記追加の第1の基材は、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)で表面処理されたものであってもよい。具体的には、前記第1の基材及び/又は前記追加の第1の基材は、表面にポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)がクリープチング結合されるか、表面コーティングされたものであってもよい。前記ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)は、30℃以下の雰囲気、具体的には、約20℃~約30℃の雰囲気で疎水性から親水性に転換されるので、前記第1の基材がポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)基材またはこれにより表面処理された基材である場合、約20℃~約30℃の生理食塩水を用いて第1の基材を容易に選択的に除去し得る。また、前記ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を介して、前記第1の基材及び/又は前記追加の第1の基材上で細胞層がよりよく形成され得、前記第1の基材及び/又は前記追加の第1の基材の除去時、前記ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)もともに細胞層から容易に分離され得る。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、30℃以下の温度で疎水性から親水性に変換する特性を持つ物質であれば、前記ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)と同様に適用してもよい。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、(d)段階は、前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を持つ溶液に前記第1の基材を接触させるか、または周辺温度を前記第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度に下げるものであってもよい。具体的には、(d)段階の第1の基材を選択的に除去する過程は、(c)段階により形成される「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体は、第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度を持つ溶液に浸漬して、第1の基材を選択的に除去するものであってもよい。また、(d)段階の第1の基材を選択的に除去する過程は、(c)段階により形成される「第1の基材/第1の細胞層/第2の細胞層/第2の基材」の積層構造体の周辺温度(大気温度)を第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度に下げて第1の基材を選択的に除去するものであってもよい。このとき、前記第1の基材の溶解点以下の温度を持つ溶液は、約4℃~約30℃の温度を持つ生理食塩水であってもよい。また、前記周辺温度(大気温度)は、約4℃~約30℃であってもよい。同様に、(d’)段階の追加の第1の基材を選択的に除去する過程は、約4℃~約30℃の温度を持つ生理食塩水に積層構造体を浸漬して選択的に追加の第1の基材を除去するか、周辺温度(大気温度)を第1の基材の溶解点以下の温度または前記第1の基材が親水性に変換される温度に下げるものであってもよい。前記第1の基材又は追加の第1の基材の溶解点以下の温度を持つ溶液、または周辺温度が20℃未満で積層構造物の細胞層が損傷する可能性がある場合、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)基材またはポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)で表面処理された基材を用いて、20℃~30℃で前記第1の基材を選択的に除去し得る。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記第2の基材は、酵素感応性ペプチド(enzyme-susceptible peptide)を含むハイドロゲル基材であってもよい。例えば、前記第2の基材は、酵素感応性ペプチドとポリ(エチレングリコール)(PEG)ゲルを含むハイドロゲル基材であってもよい。また、前記第2の基材は、MMPs(matrix metallopro teinases)、エラスターゼ及び/又はプラスミンにより分解され得るアミノ酸配列が付着したハイドロゲル基材であってもよい。具体的には、前記第2の基材は、アミノ酸配列が付着したPEG-スクシンイミジルプロピオネートハイドロゲル(PEG-succinimidyl propionate hydrogel)基材、例えば、合成テトラペプチドAla-Pro-Gly-Leu(4armPEG10k-LGPA)で機能化されたPEG-アミンが付着したPEG-スクシンイミジルプロピオネートハイドロゲル基材であってもよい。または、前記第2の基材は、アミン反応性PEG-モノアクリレートとコラゲナーゼ感応性ペプチド(collagenase sensitive peptide)(Gly-Gly-Leu'Gly-Pro-Ala-Gly-Gly-Lys)、またはインテグリン結合ドメインペプチド(integrin-binding domain peptide)(Tyr-Ile-Shy-Ser-Arg)が付着したPEG-ハイドロゲル基材であってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記第2の基材は、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはアルジネート(Al)を含むハイドロゲル基材であってもよい。
【0042】
具体的には、本発明の一実施形態によれば、前記カルボキシメチルセルロースまたはアルジネートは、チラミンでコンジュゲーションされたものであってもよい。すなわち、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材は、チラミンでコンジュゲーションされたカルボキシメチルセルロース(CMC-ty)を含むハイドロゲル基材であってもよい。また、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材は、チラミンでコンジュゲーションされたアルジネート(Al-ty)を含むハイドロゲル基材であってもよい。
【0043】
前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材は、少なくとも0.5%のCMC-tyまたはAl-tyを含むハイドロゲル基材であってもよい。具体的には、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材は、0.5%~4%のCMC-tyまたはAl-tyを含むハイドロゲル基材であってもよい。前記%はwt%またはvol%であってもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記酵素は、カルボキシメチルセルロース分解酵素またはアルジネート分解酵素であってもよい。具体的には、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材がカルボキシメチルセルロース基材である場合、前記酵素は、カルボキシメチルセルロース分解酵素であってもよい。また、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材がアルジネート基材である場合、前記酵素は、アルジネート分解酵素であってもよい。
【0045】
前記酵素は、(e)段階及び/又は(e’)段階において、前記第2の基材及び/又は前記追加の第2の基材を選択的に分解して除去し得る。また、前記酵素は、前記第2の基材及び前記追加の第2の基材を除いた残りの構成(例えば、第1の基材、第1の細胞層及び第2の細胞層など)を分解しなくてもよい。具体的には、前記酵素は、前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層の細胞と細胞外基質を分解しなくてもよい。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材及び前記第2の基材は、それぞれ第1の細胞層及び第2の細胞層の特性を具現するのに適した所定のパターンを持つものであってもよい。具体的には、前記それぞれの細胞層を構成する細胞の種類によって要求される基材のパターンが異なることがあり、細胞に適したパターンが備えられた基材上で細胞の培養及び特性がよく具現され得る。例えば、筋肉細胞を用いて細胞層を形成する場合、筋肉組織と類似したパターンを持つ基材上でより速く筋肉細胞層が形成されてもよく、筋肉細胞の特性もより容易に発現されてもよい。
【0047】
したがって、前記第1の基材及び前記第2の基材は、培養される細胞層の特性がよりよく具現されるように所定のパターンを含んでもよい。前記第1の基材及び前記第2の基材が所定のパターンを持つ場合、一面上に凹凸パターンを含んでもよく、または基材の全体にわたって所定のパターンによる様々な厚さを持つものであってもよい。前記第1の基材及び/又は前記第2の基材のパターン化方法は、当業界で知られている方法を用いることができる。例えば、ソフトリソグラフィ、自己組み立て、気象蒸着、フォトリソグラフィなどを用いてパターニングを行うことができる。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の基材及び前記第2の基材は、それぞれ第1の細胞層及び第2の細胞層の特性を具現するのに適した所定の強度を持つものであってもよい。具体的には、前記それぞれの細胞層を構成する細胞の種類によって要求される基材の強度(モジュラス)が異なることがあり、細胞に適した強度を持つ基材上で細胞の培養及び特性がよく具現され得る。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層は、それぞれ前記第1の基材及び前記第2の基材上に培養されて形成されてもよい。同様に、前記追加の第1の細胞層は、追加の第1の基材上で培養されて形成されてもよく、前記追加の第2の細胞層は、追加の第2の基材上で培養されて形成されてもよい。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層は、それぞれ間葉系幹細胞(MSCs;mesenchymal stem cells)、筋組織前駆細胞(myocyte precursor cells)、筋細胞(myocytes)、繊維芽細胞(fibroblasts)、軟骨細胞(chondrocytes)、内皮細胞(endothelial cells)、上皮細胞(epithelial cells)、胚性幹細胞(ESCs;embryonic stem cells)、造血幹細胞(hematopoietic stem cells)、付着依存性細胞前駆体(anchorage-dependent cell precursors)、誘導された全分化能幹細胞(iPSCs;induced pluripotent stem cells)、及び心筋細胞(cardiomyocytes)からなる群から選ばれる細胞を含んでもよい。具体的には、前記第1の細胞層、前記第2の細胞層、前記追加の第1の細胞層及び前記追加の第2の細胞層は、前記細胞の少なくとも1種が培養されて形成されたものであってもよい。また、前記第1の細胞層及び前記第2の細胞層は、互いに同じ細胞が培養されたものであってもよく、または互いに異なる細胞が培養されたものであってもよい。
【0051】
本発明の他の実施形態は、前記製造方法を用いて製造された多層細胞シートを提供する。前記多層細胞シートは、移植対象部位と類似した3次元的な構造を具現できる。具体的には、前記多層細胞シートは、所定のパターンを持つ基材を使用して形成された細胞層を積層して製造されてもよいので、目的とする組織と類似した形態の3次元的構造を持つものであってもよい。これにより、前記多層細胞シートは、移植後の細胞生存率が高く、さらに組織の再生に効果的である長所がある。
【0052】
また、前記多層細胞シートは、人体組織と類似した構造及び特性を具現し得るので、薬物検査に使用されてもよい。具体的には、新薬に対する組織反応を検査するため、前記多層細胞シートを用いることができる。
【0053】
図1は、本発明の一実施形態による多層細胞シートの製造方法を示したものである。具体的には、図1は、第1の細胞層が形成された第1の基材(A)を第2の細胞層が形成された第2の基材(B)の各細胞層を互いに接するようにした後(C)、温度を下げて第1の基材を除去して2層の細胞層が備えられた細胞シートを製造することを示したものである。図1の後続段階として、追加の細胞層をさらに積層してもよく、また、第2の基材を除去して2層の細胞層からなる細胞シートを収得してもよい。ただし、本発明は、図1に限定されず、追加の構成及び/又は段階がさらに含まれてもよい。
【0054】
以下、本明細書に具体的に説明するため、実施例を通じて詳細に説明する。しかし、本明細書による実施例は、様々な異なる形態に変形されることができ、本明細書の範囲が以下で述べる実施例に限定されるものとは解されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を持つ者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0055】
[実施例]
プルロニックハイドロゲルシート(第1の基材)の製造
ハイドロゲルシートを製造するため、ゼラチンモールドを準備し、モールドの底は、マイクロパターンを形成した。約25℃の雰囲気で、前記ゼラチンモールド内に約10wt%のプルロニックf-127(Sigma)水溶液を入れた。そして、製造されるハイドロゲルシートの上面を平らにするためにニトロセルロース膜で覆い、これを固定するためのプラスチックメッシュ及びガラス板を積層した。その後、温度を約37℃に上昇させてモールド内のプルロニックf-127(Sigma)水溶液のみを硬化させてハイドロゲル化した。以後、約37℃のwashing buffer(Saline、PBS、ddHO)を用いてゼラチンモールドを溶かす方法で除去し、プルロニックハイドロゲルシートを製造した。
【0056】
図2は、実施例により製造されたプルロニックハイドロゲルシートの拡大画像を示したものである。前記プルロニックハイドロゲルシートは透明であるため、図2のように、電子顕微鏡を用いたbright field imageを通じて形成されたパターンを確認できる。図2から確認されるように、製造されたプルロニックハイドロゲルシートは、一定の間隔でストライプパターンが形成されたことを確認できる。
【0057】
アルジネートハイドロゲルシート(第2の基材)の製造
ハイドロゲルシートを製造するため、ゼラチンモールドを準備し、モールドの底は、マイクロパターンを形成した。約25℃の雰囲気で、pH6-7のMESバッファーに約2wt%の含量でアルジネートが含まれたアルジネート溶液を前記ゼラチンモールド内に入れた。そして、製造されるハイドロゲルシートの上面を平らにするため、ニトロセルロース膜で覆い、これを固定するためのプラスチックメッシュ及びガラス板を積層した。その後、アルジネート架橋水溶液を適加してモールド内のアルジネート溶液をハイドロゲル化した。以後、約37℃のwashing buffer(Saline、PBS、ddHO)を用いてゼラチンモールドを溶かす方法で除去してアルジネートハイドロゲルシートを製造した。
【0058】
多層細胞シートの製造
約37℃の雰囲気で、前記製造されたプルロニックハイドロゲルシートのパターンが形成された面上にC2C12骨格筋細胞を培養して細胞層を形成し、アルジネートハイドロゲルシートの一面上にC2C12骨格筋細胞を培養して細胞層を形成した。その後、細胞層が接するようにした後、温度を約10℃に下げてプルロニックハイドロゲルシートを溶かして除去し、2-スタックの細胞シートを製造した。その後、細胞層の活性のために再び温度を約37℃に上昇させた。
【0059】
図3は、実施例におけるプルロニックハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの拡大画像を示したものである。具体的には、図3は、電子顕微鏡を用いて、プルロニックハイドロゲルシートが除去された面のbright field imageを撮影したものである。
【0060】
図4は、実施例におけるプルロニックハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの細胞の生存有無を、染色を通じて確認した結果を示したものである。具体的には、図4における染色は、Thermofisher社のLive/Dead mammalian cell kitを用いており、生きている細胞は、calcein AMで染色されて緑色に染色され、死んだ細胞は、ethidium homodimer-1で染色されて赤色に染色されて現れる。図4から確認できるように、プルロニックハイドロゲルシートを除去しても99%以上の細胞が生きていることを確認できる。
【0061】
さらに、アルジネート分解酵素が含まれた溶液を用いて、アルジネートハイドロゲルシートを除去した。
【0062】
図5は、実施例におけるアルジネートハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの拡大画像を示したものである。具体的には、図5は、電子顕微鏡を用いてアルジネートハイドロゲルシートが除去された面のbright field imageを撮影したものである。図5において、一部が凹んだ領域は、アルジネートハイドロゲルシートが細胞シートと分離し、細胞シートの一部の領域が収縮されたものと確認される。
【0063】
図6は、実施例におけるアルジネートハイドロゲルシートが除去された面の細胞シートの細胞の生存有無を、染色を通じて確認した結果を示したものである。具体的には、図6における染色は、Thermofisher社のLive/Dead mammalian cell kitを用いており、生きている細胞は、calcein AMで染色されて緑色に染色され、死んだ細胞は、ethidium homodimer-1で染色されて赤色に染色されて現れる。図6から確認できるように、アルジネートハイドロゲルシートを除去しても99%以上の細胞が生きていることを確認できる。
【0064】
図7は、実施例によるプルロニックハイドロゲルシート及びアルジネートハイドロゲルシートがすべて除去された細胞シートを撮影したものを示したものである。図4、6及び7から確認できるように、実施例のように製造された細胞シートは、完全な形態で高い生存力を示し、製造し得ることが分かる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7