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特許7228686空気フィルタ装置及びこれを含む薬液注入装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】空気フィルタ装置及びこれを含む薬液注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/38 20060101AFI20230216BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
A61M5/38 500
A61M5/142
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021520185
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 KR2019013759
(87)【国際公開番号】W WO2020080889
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125465
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0136152
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159273
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139848
【氏名又は名称】キム ヨンヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒョン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-502127(JP,A)
【文献】特開昭57-167705(JP,A)
【文献】特表2005-532105(JP,A)
【文献】米国特許第5290238(US,A)
【文献】特開2012-192178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/38
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液の流路が形成された薬液注入用空気フィルタ装置において、
上記薬液の流路から分岐して外部に連結される空気の通路が形成されるハウジング;
上記薬液の流路上に配置され、上記薬液の流路を上流側の第1流路及び下流側の第2流路に区分させる親水性の境界フィルタ;及び
上記空気の通路と上記第1流路との境界に配置される疎水性の空気通過フィルタを含
上記第1流路は、
内部の薬液が上記空気通過フィルタに接触するように構成される接触流路;及び
上記接触流路の上流側に連結され、上記空気通過フィルタに向かう第1方向に上記接触流路の内部に薬液を吐出するように構成される対向流路を含み、
上記ハウジングは、
上記空気通過フィルタに向かい合うように上記第1方向に突出し、突出の末端に上記対向流路の吐出口が形成される対向突出部を含む、
空気フィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に係る発明において、
上記空気通過フィルタの上記第1流路に面している面は、上記第1流路の側面に沿って延びる、
空気フィルタ装置。
【請求項3】
請求項1に係る発明において
上記接触流路は、上記空気通過フィルタに向かう上記第1方向への上記接触流路の長さが、上記第1方向に垂直な何れか1つの方向である第2方向への上記接触流路の長さより短く形成される、
空気フィルタ装置。
【請求項4】
請求項3に係る発明において、
上記空気通過フィルタは、上記第1方向に沿って空気が通過するように構成され、上記第2方向に沿って延びる、
空気フィルタ装置。
【請求項5】
請求項3に係る発明において、
上記接触流路は、上記第1方向及び上記第2方向に垂直な第3方向への上記接触流路の長さが、上記第1方向への上記接触流路の長さより長く形成される、
空気フィルタ装置。
【請求項6】
請求項5に係る発明において、
上記空気通過フィルタは、上記第1方向に沿って空気が通過するように構成され、上記第2方向及び上記第3方向に沿って延びる、
空気フィルタ装置。
【請求項7】
請求項5に係る発明において、
上記接触流路の下流部分は、上記接触流路の上流部分から上記第2方向に離隔され、
上記接触流路は、上記第2方向への上記接触流路の長さが、上記第3方向への上記接触流路の長さより長く形成される、
空気フィルタ装置。
【請求項8】
請求項1に係る発明において
上記接触流路の断面は、上記空気通過フィルタに向かう上記第1方向への上記断面の長さが、上記第1方向に垂直な第2方向への上記断面の長さより短く形成される、
空気フィルタ装置。
【請求項9】
請求項1に係る発明において、
上記対向流路は、上記第1方向に延びる、
空気フィルタ装置。
【請求項10】
請求項1に係る発明において、
上記ハウジングは、
上記空気通過フィルタの縁部に沿って延び、上記空気通過フィルタと結合される空気通過フィルタ配置部を含む、
空気フィルタ装置。
【請求項11】
請求項10に係る発明において、
上記空気通過フィルタの上記第1流路に面している面の反対側面と上記ハウジングの内側面との間には間隙が形成され、
上記間隙は、上記空気の通路の一部を構成する、
空気フィルタ装置。
【請求項12】
請求項1に係る発明において、
上記空気の通路上に配置され、上記空気通過フィルタを通過した空気が通過するように構成される追加疎水性空気通過フィルタをさらに含む、
空気フィルタ装置。
【請求項13】
請求項12に係る発明において、
上記ハウジングは、
上記追加疎水性空気通過フィルタが挿入される溝を形成する追加空気通過フィルタ安着部を含む、
空気フィルタ装置。
【請求項14】
請求項1に係る発明において、
上記ハウジングは、
上記境界フィルタが配置されるフィルタボディー;及び
上記空気の通路の少なくとも一部を構成するベントホールを形成し、上記フィルタボディーに結合するベントキャップを含む、
空気フィルタ装置。
【請求項15】
請求項1に係る発明において、
上記ハウジングは、
上記境界フィルタの上記第1流路に面している面の反対側面と上記ハウジングの内側面との間にギャップを維持するように、上記境界フィルタに向かう方向に突出する間隔維持部を含み、
上記ギャップは、上記第2流路の一部を構成する、
空気フィルタ装置。
【請求項16】
請求項15に係る発明において、
第2流路は、
上記ギャップの下流側に連結され、曲がったり折れたりした部分を有する延長流路を含む、
空気フィルタ装置。
【請求項17】
請求項1に係る発明において、
上記ハウジングは、上記空気の通路が外部空間と連結される地点に位置する少なくとも1つのベントホールを形成し、
上記少なくとも1つのベントホールは、方向に配列された複数のベントホールを含むか、上記方向に沿って長く延びる、
空気フィルタ装置。
【請求項18】
薬液を加圧するように構成されたポンピング装置;
上記ポンピング装置での加圧によって上記ポンピング装置から流出する上記薬液が流れる延長チューブ;及び
上記延長チューブに連結され、上記薬液の流路が形成された空気フィルタ装置を含み、
上記空気フィルタ装置は、
上記薬液の流路の中間及び外部を連結する空気の通路が形成されるハウジング;
上記薬液の流路上に配置され、上記薬液の流路を上流側の第1流路及び下流側の第2流路に区分させる親水性の境界フィルタ;及び
上記空気の通路と上記第1流路との境界に配置される疎水性の空気通過フィルタを含
上記第1流路は、
内部の薬液が上記空気通過フィルタに接触するように構成される接触流路;及び
上記接触流路の上流側に連結され、上記空気通過フィルタに向かう第1方向に上記接触流路の内部に薬液を吐出するように構成される対向流路を含み、
上記ハウジングは、
上記空気通過フィルタに向かい合うように上記第1方向に突出し、突出の末端に上記対向流路の吐出口が形成される対向突出部を含む、
薬液注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は薬液内の空気をフィルタリングするための薬液注入用空気フィルタ装置及びこれを含む薬液注入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者に薬品を供給するために、患者に液状の薬液(例えば、注射液)を注入する薬液注入装置が知られている。上記薬液注入装置を用いて、所定の貯蔵空間内にある薬液が患者と連結される通路(例えば、管及び注射針の内部空間)を通過し、患者の体内に流入する。
【0003】
医療の目的上、患者の体内に一度に薬液が注入されることを防止し、相当時間の間徐々に体内に薬品が注入されるように毛細流路を形成する薬品移送管が構成された装置が知られている。薬液が薬品移送管を通過するようにすることで、上記薬液注入装置の上記通路に沿って流れる薬液の時間当りの流量を低減させる。
【0004】
上記貯蔵空間に薬液を充填する時、薬液とともに空気が流入し、空気が上記通路を通じて移動し得る。また、上記通路上の圧力などの条件に応じて薬液の中に溶けていた物質(例えば、溶存酸素または溶存二酸化炭素など)が空気となり、上記通路に沿って移動し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通路を移動する空気は、患者の体内に流入する場合、患者に致命的な悪影響を及ぼすことがあり、通路を移動する空気が薬品移送管を塞ぐ場合、薬品移送管が正常な機能を発揮し難くなる問題がある。本開示の実施例はこのような問題を解決する。
【0006】
空気フィルタ装置によって空気がフィルタリングされた場合にも、空気フィルタ装置の下流側の位置で薬液の中に溶けていた物質が空気となり得る問題がある。本開示の実施例はこのような問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、薬液の流路が形成された薬液注入用空気フィルタ装置の実施例を提供する。代表的な実施例による空気フィルタ装置は、上記薬液の流路から分岐して外部に連結される空気の通路が形成されるハウジング;上記薬液の流路上に配置され、上記薬液の流路を上流側の第1流路及び下流側の第2流路に区分させる親水性の境界フィルタ;及び上記空気の通路と上記第1流路との境界に配置される疎水性の空気通過フィルタを含む。
【0008】
実施例において、上記空気通過フィルタの上記第1流路に面している面は、上記第1流路の側面に沿って延び得る。
【0009】
実施例において、上記第1流路は、内部の薬液が上記空気通過フィルタに接触するように構成される接触流路を含み得る。上記接触流路は、上記空気通過フィルタに向かう第1方向への上記接触流路の長さが、上記第1方向に垂直な何れか1つの方向である第2方向への上記接触流路の長さより短く形成され得る。
【0010】
実施例において、上記空気通過フィルタは、上記第1方向に沿って空気が通過するように構成され、上記第2方向に沿って延び得る。
【0011】
実施例において、上記接触流路は、上記第1方向及び上記第2方向に垂直な第3方向への上記接触流路の長さが、上記第1方向への上記接触流路の長さより長く形成され得る。
【0012】
実施例において、上記空気通過フィルタは、上記第1方向に沿って空気が通過するように構成され、上記第2方向及び上記第3方向に沿って延び得る。
【0013】
実施例において、上記接触流路の下流部分は、上記接触流路の上流部分から上記第2方向に離隔され得る。上記接触流路は、上記第2方向への上記接触流路の長さが、上記第3方向への上記接触流路の長さより長く形成され得る。
【0014】
実施例において、上記第1流路は、内部の薬液が上記空気通過フィルタに接触するように構成される接触流路を含み得る。上記接触流路の断面は、何れか1つの第1方向への上記断面の長さが、上記第1方向に垂直な第2方向への上記断面の長さより短く形成され得る。
【0015】
実施例において、上記第1流路は、内部の薬液が上記空気通過フィルタに接触するように構成される接触流路;及び上記接触流路の上流側に連結され、上記空気通過フィルタに向かう第1方向に上記接触流路の内部に薬液を吐出するように構成される対向流路を含み得る。
【0016】
実施例において、上記ハウジングは、上記空気通過フィルタに向かい合うように上記第1方向に突出し、突出の末端に上記対向流路の吐出口が形成される対向突出部を含み得る。
【0017】
実施例において、上記対向流路は、上記第1方向に延び得る。
【0018】
実施例において、上記ハウジングは、上記空気通過フィルタの縁部に沿って延び、上記空気通過フィルタと結合される空気通過フィルタ配置部を含み得る。
【0019】
実施例において、上記空気通過フィルタの上記第1流路に面している面の反対側面と上記ハウジングの内側面との間には間隙が形成され得る。上記間隙は、上記空気の通路の一部を構成し得る。
【0020】
実施例において、上記空気の通路上に配置され、上記空気通過フィルタを通過した空気が通過するように構成される追加疎水性空気通過フィルタをさらに含み得る。
【0021】
実施例において、上記ハウジングは、上記追加疎水性空気通過フィルタが挿入される溝を形成する追加空気通過フィルタ安着部を含み得る。
【0022】
実施例において、上記ハウジングは、上記境界フィルタが配置されるフィルタボディー;及び上記空気の通路の少なくとも一部を構成するベントホールを形成し、上記フィルタボディーに結合するベントキャップを含み得る。
【0023】
実施例において、上記ハウジングは、上記境界フィルタの上記第1流路に面している面の反対側面と上記ハウジングの内側面との間にギャップを維持するように、上記境界フィルタに向かう方向に突出する間隔維持部を含み得る。上記ギャップは、上記第2流路の一部を構成し得る。
【0024】
実施例において、第2流路は、上記ギャップの下流側に連結され、曲がったり折れたりした部分を有する延長流路を含み得る。
【0025】
実施例において、上記ハウジングは、上記空気の通路が外部空間と連結される地点に位置する少なくとも1つのベントホールを形成し得る。上記少なくとも1つのベントホールは、特定方向に配列された複数のベントホールを含むか、上記特定方向に沿って長く延び得る。
【0026】
本開示の他の側面は、薬液注入装置の実施例を提供する。代表的な実施例による薬液注入装置は、薬液を加圧するように構成されたポンピング装置;上記ポンピング装置での加圧によって上記ポンピング装置から流出する上記薬液が流れる延長チューブ;及び上記延長チューブに連結され、薬液の流路が形成された空気フィルタ装置を含む。上記空気フィルタ装置は、上記薬液の流路の中間及び外部を連結する空気の通路が形成されるハウジング;上記薬液の流路上に配置され、上記薬液の流路を上流側の第1流路及び下流側の第2流路に区分させる親水性の境界フィルタ;及び上記空気の通路と上記第1流路との境界に配置される疎水性の空気通過フィルタを含む。
【発明の効果】
【0027】
本開示の一実施例によると、薬液とともに流入した空気または薬液から発生した空気を簡便にフィルタリングして、人体に空気が注入されることを防止し、空気によって薬品移送管が詰まる現象を防止することができる。
【0028】
本開示の一実施例によると、空気フィルタ装置の下流側で薬液から空気が発生する確率を顕著に減らすことができる。
【0029】
本開示の一実施例によると、薬液内の空気だけでなく、不純物をフィルタリングすることができる。
【0030】
本開示の一実施例によると、空気通過フィルタが重力方向に対して相対的に多様な方向及び角度に傾いても空気が簡単にフィルタリングされるようにすることができる。
【0031】
本開示の一実施例によると、薬液の漏水の可能性を顕著に減らし、特に薬液が抗癌剤などの高危険薬品である場合、装置の安全性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、一実施例による薬液注入装置(1)のシステム全体を示す概念図である。
図2図2は、第1実施例による空気フィルタ装置(900)の斜視図である。
図3図3は、図2の空気フィルタ装置(900)を他方向から見た斜視図である。
図4図4は、図2の空気フィルタ装置(900)の分解斜視図である。
図5図5は、図2の空気フィルタ装置(900)の縦断面図である。
図6図6は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS1-S1'に沿って切った横断面図である。
図7図7は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS2-S2'に沿って切った横断面図である。
図8図8は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS3-S3'に沿って切った横断面図である。
図9図9は、図4のE1部分を一方向から見た斜視図である。
図10図10は、図9に開示された部分を他方向から見た斜視図である。
図11図11は、図4のベントキャップ(912)を他方向から見た斜視図である。
図12A図12A及び図12Bは、他の実施例によるベントキャップ(912')の図面であって、図12Aは縦断面図である。
図12B図12A及び図12Bは、他の実施例によるベントキャップ(912')の図面であって、図12Bは立面図である。
図13A図13A及び図13Bは、更に他の実施例によるベントキャップ(912'')の図面であって、図13Aは縦断面図である。
図13B図13A及び図13Bは、更に他の実施例によるベントキャップ(912'')の図面であって、図13Bは立面図である。
図14図14は、第2実施例による空気フィルタ装置(2900)の縦断面図である。
図15図15は、図14の変形例による空気フィルタ装置(2900')の縦断面図である。
図16図16は、図14の他の変形例による空気フィルタ装置(2900'')の縦断面図である。
図17図17は、図16の空気フィルタ装置(2900'')の斜視図である。
図18図18は、図16の空気フィルタ装置(2900'')の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲は、以下に提示される実施例やこれら実施例に関する具体的な説明に限定されるわけではない。
【0034】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示を更に明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0035】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語と理解されなければならない。
【0036】
本開示で記述された単数型の表現は、特に言及しない限り、複数型の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0037】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0038】
本開示で、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「結合されて」いると言及された場合、上記ある構成要素が上記他の構成要素に直接的に連結され得るか結合され得るものと、または、新たな他の構成要素を媒介として連結され得るか結合され得るものと理解されなければならない。
【0039】
本開示で用いられる「上流」及び「下流」は、ポンピング装置(100)が薬液を加圧する時に薬液が流れる方向を基準として定義される。具体的には、図1の矢印F2、F3及び図5の矢印F4の方向が下流方向と定義され、上記下流方向の反対方向が上流方向と定義される。
【0040】
本開示で用いられる「薬液」は、治療用物質が含まれた液体だけでなく、治療用物質を補助したり治療用物質とともに用いられたりする液体、患者に投入されることができる液体も含むものと理解されなければならない。後述のプライミング液体はこのような薬液のうちの1つである。
【0041】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面で、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与され得る。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素が、ある実施例に含まれないものと意図されるわけではない。
【0042】
図1は、一実施例による薬液注入装置(1)のシステム全体を示す概念図である。図1を参照して、薬液注入装置(1)は、一実施例による空気フィルタ装置(900)及び/又は他の実施例による空気フィルタ装置(2900)を含み得る。一実施例による空気フィルタ装置(2900)は、薬液の時間当りの流量を調節する薬品移送管(820)を含む。他の実施例による空気フィルタ装置(900)は、上記薬品移送管を含まない。空気フィルタ装置(900及び/又は2900)は、延長チューブ(300)に連結され、延長チューブ(300)を通じて空気フィルタ装置(900及び/又は2900)の内部に薬液が流入することができる。
【0043】
本実施例では、空気フィルタ装置(900)の下流側に追加の延長チューブ(300)の一部分(330)が連結されるが、図示されていない他の実施例で空気フィルタ装置(900)の下流側末端に患者コネクター(600または600')やエンドキャップ(700)が直接連結されることも可能である。本実施例では、空気フィルタ装置(2900)の下流側にもう1つの空気フィルタ装置(900)が位置するが、図示されていない他の実施例で空気フィルタ装置(900)の下流側に別途の追加の空気フィルタ装置が備えられないこともある。
【0044】
図1を参照して、本開示の実施例による薬液注入装置(1)を用いて薬液を患者に注入する過程は、順次進行されるプライミング段階及び薬液注入段階を含み得る。
【0045】
上記プライミング段階で、プライミング液体が延長チューブ(300)に沿って流れるようにする。延長チューブ(300)に沿って流れる上記プライミング液体は、一実施例による空気フィルタ装置(900)内に流入する。薬液注入装置(1)は、空気フィルタ装置(2900)の下流側に分離可能に連結されるエンドキャップ(700)を含み得る。延長チューブ(300)の内部の空気は空気フィルタ装置(2900)を通じて外部に排出されることもでき、エンドキャップ(700)を経て外部に排出されることもできる。延長チューブ(300)の内部の空気は、他の実施例による空気フィルタ装置(2900)を通じて外部に排出されることができる。
【0046】
これにより、延長チューブ(300)及び空気フィルタ装置(2900)の内部に上記プライミング液体が満たされる。上記プライミング用液体は、治療用物質が含まれた液体または食塩水などの患者に投入されることができる液体であり得る。
【0047】
エンドキャップ(700)は、空気フィルタ装置(2900)を経て流れる上記プライミング液体及び空気を受けるように構成される。エンドキャップ(700)は、空気を外部に流出させるものの、上記プライミング液体が外部に流出されることを防ぐように構成され得る。
【0048】
エンドキャップ(700)は、上記プライミング液体の通過を防ぐものの、気体の通過を許容するベントフィルタ(710)を含む。ベントフィルタ(710)は、疎水性フィルタを含む。エンドキャップ(700)は、ベントフィルタ(710)の上流側に配置されるスポンジ(720)を含み得る。エンドキャップ(700)は、ベントフィルタ(710)を内部に収容するエンドキャップケーシング(730)を含む。エンドキャップケーシング(730)は、スポンジ(720)を内部に収容する。エンドキャップケーシング(730)は、気体が通過するベントホール(730a)を有する。エンドキャップ(700)は、空気フィルタ装置(2900)の下流連結部(815a)と結合可能に構成されるエンドキャップ結合部(740)を含む。図1の矢印E2は、エンドキャップ結合部(740)の下流連結部(815a)に対する結合及び分離方向を示す。
【0049】
エンドキャップ(700)に上記プライミング液体が満たされれば、エンドキャップ(700)を空気フィルタ装置(2900)から分離させ、空気フィルタ装置(2900)と患者コネクター(600または600')を連結することができる。
【0050】
患者コネクター(600または600')は、注射針(610)やカテーテル等を含み得る。患者コネクター(600または600')は、注射針(610)等の患者の体内に引き込まれる構成要素を含む。
【0051】
患者コネクター(600または600')は、「注射針(610)等の患者の体内に引き込まれる構成要素を含む引込部品」と「残りの部品」を含み得る。上記引込部品と上記残りの部品は、互いに分離可能に結合され得る。この場合、上記引込部品は、患者と連結されているものの、上記残りの部品と分離された状態で、使用者は、上記残りの部品を空気フィルタ装置(2900)と結合させた後、上記引込部品と上記残りの部品を互いに結合させることができる。この場合、空気フィルタ装置(2900)を経た液体は、順次上記残りの部品と上記引込部品を経て、患者の体内に流入することができる。
【0052】
患者コネクター(600または600')は、注射針(610)を支持する注射支持部(620)を含む。患者コネクター(600または600')は、空気フィルタ装置(2900)の下流連結部(815a)と結合可能に構成されるユニット結合部(630)を含む。図1の矢印E3は、ユニット結合部(630)の下流連結部(815a)に対する結合及び分離方向を示す。
【0053】
一例として、患者コネクター(600)は、注射針(610)、注射支持部(620)及びユニット結合部(630)が順次連結されて構成されることができる。
【0054】
他の例として、患者コネクター(600)は、ユニット結合部(630)の下流側に連結される患者連結管固定部(650')をさらに含む。患者コネクター(600')は、患者連結管固定部(650')と注射支持部(620)を連結する患者連結管(640')をさらに含む。患者連結管(640')は、フレキシブルな材質から形成され得る。患者コネクター(600')は、注射針(610)、注射支持部(620)、患者連結管(640')、患者連結管固定部(650')及びユニット結合部(630)が順次連結されて構成されることができる。
【0055】
上記薬液注入段階で、ポンピング装置(100)での加圧により薬液が患者の体内に流入する。薬液注入段階での薬液とは、治療用物質が含まれた液体である。上記プライミング液体が、治療用物質が含まれた液体ではなく、食塩水などである場合には、上記プライミング液体がまず患者の体内に流入し、上記プライミング液体に続いて流れる治療用物質が含まれた液体が患者の体内に流入することができる。
【0056】
ポンピング装置(100)は、薬液を収容可能に構成されたチャンバ(110)を含む。チャンバ(110)は、加圧部(120)とともに内部空間を形成する。上記内部空間に薬液が貯蔵されることができる。他の一実施例では、上記内部空間に一時的に食塩水などが貯蔵されることができる。チャンバ(110)には、チャンバ(110)の内部の液体が排出される排出ポート部(111)が形成される。
【0057】
ポンピング装置(100)は、薬液を加圧するように構成される。ポンピング装置(100)は、チャンバ(110)の内部の液体を加圧する加圧部(120)を含む。加圧部(120)は、所定の加圧方向(Ap1)に移動することによって、チャンバ(110)の内部の液体を加圧することができる。チャンバ(110)の内部に液体が充填されている途中では、加圧部(120)は上記加圧方向(Ap1)の反対方向(Ap2)に移動する。図1には、120Aを参照して、加圧部(120)が上記反対方向(Ap2)に移動した状態の位置が示される。
【0058】
ポンピング装置(100)は、加圧部(120)が加圧方向(Ap1)に移動するように動力を提供する加圧動作部(130)を含み得る。一例として、加圧動作部(130)は、ガス活性による体積膨張を用いてチャンバ(110)内の液体を加圧するように構成され得る。他の例として、加圧動作部(130)は使用者がつかむことができる部分を提供し、使用者の力で加圧部(120)を上記加圧方向(Ap1)に移動させることができる。
【0059】
図示されてはいないが、他の例として、加圧部(120)は、バルーン等の弾性体の弾性力を用いて液体を加圧するように構成され得る。この場合、加圧部(120)は、上記バルーン内の液体が加圧されるように構成される上記バルーンを含み得る。
【0060】
薬液注入バルブ(200)は、チャンバ(110)内に液体を充填可能に構成される。液体が外部から薬液注入バルブ(200)を通じて延長チューブ(300)またはチャンバ(110)に流入することができる。薬液注入バルブ(200)は延長チューブ(300)に連結されるが、図示されていない他の実施例で、薬液注入バルブ(200)はチャンバ(110)に連結されることもできる。
【0061】
薬液注入バルブ(200)は、延長チューブ(300)の第1連結部(310)の下流側末端に連結される第1延長部(210)と、延長チューブ(300)の第2連結部(320)の上流側末端に連結される第2延長部(220)を含む。薬液注入バルブ(200)は、外部から液体が流入可能に構成された流入部(230)と、流入部(230)に分離可能に結合されるように構成された流入ポート開閉部(240)を含む。図1の矢印E1は、流入ポート開閉部(240)の流入部(230)に対する結合及び分離方向を示す。
【0062】
延長チューブ(300)は、上記プライミング液体の流れを案内するように構成される。延長チューブ(300)は、ポンピング装置(100)から空気フィルタ装置(2900)まで薬液の移動を案内することができる。
【0063】
延長チューブ(300)は、ポンピング装置(100)での加圧によりポンピング装置(100)から流出する薬液が流れるように構成される。延長チューブ(300)の上流側末端はポンピング装置(100)に連結される。延長チューブ(300)は、ポンピング装置(100)の薬液注入排出ポート部(111)に連結される上流連結部(350)を含む。
【0064】
延長チューブ(300)の下流側末端は空気フィルタ装置(2900)に連結される。延長チューブ(300)を経た液体は、空気フィルタ装置(2900)の流入口を通じて空気フィルタ装置(2900)の内部に流入する。
【0065】
延長チューブ(300)は、上流連結部(350)と薬液注入バルブ(200)の第1延長部(210)を連結する第1連結部(310)を含む。延長チューブ(300)は、薬液注入バルブ(200)の第2延長部(220)と他の実施例による空気フィルタ装置(900)を連結する第2連結部(320)を有する。延長チューブ(300)は、空気フィルタ装置(900)と延長チューブ(300)の下流側末端部を連結する第3連結部(330)を有する。
【0066】
薬液注入装置(1)は、少なくとも1つの連結管開閉装置(400)を含み得る。連結管開閉装置(400)は、延長チューブ(300)の外部を押して延長チューブ(300)のうち一地点の液体の流れを止めることができる。少なくとも1つの連結管開閉装置(400)は、第1連結部(310)の一地点(B1)の開閉を変更できる第1開閉装置(410)と、第2連結部(320)の一地点(B2)の開閉を変更できる第2開閉装置(420)を含み得る。例えば、連結管開閉装置(400)はクランプ形状に構成され得る。
【0067】
一実施例によるプライミング段階及び薬液注入段階を説明すると、次の通りである。一実施例によるプライミング段階では、上記プライミング液体として、薬液ではなく、食塩水などを用いる。一実施例によるプライミング段階で、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)から分離し、第1連結管開閉装置(410)で第1連結部(310)を遮断し(B1参照)、第1連結部(310)を除いた延長チューブ(300)の残りの部分は開放する。矢印F1及びF3に示すように、食塩水などのプライミング液体は、流入部(230)、第2延長部(220)、第2連結部(320)、第3連結部(330)及び空気フィルタ装置(2900)を順次流れることによって、延長チューブ(300)の内部及び空気フィルタ装置(2900)の内部が上記プライミング液体で満たされる。
【0068】
一実施例によるプライミング段階の後、一実施例による薬液注入段階が進められる。一実施例による薬液注入段階で、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)から分離し、第2連結管開閉装置(420)で第2連結部(320)を遮断し(B2参照)、第1連結管開閉装置(410)を第1連結部(310)から分離して第1連結部(310)を開放する。矢印F0に示すように、薬液が薬液注入バルブ(200)及び第1連結部(310)を経てチャンバ(110)内に流入し、加圧部(120)は上記方向(Ap2)に移動する。その後、流入ポート開閉部(240)を流入部(230)に結合させ、第2連結管開閉装置(420)を第2連結部(320)から分離して延長チューブ(300)を開放状態にする。矢印F2及びF3に示すように、その後、加圧部(120)を上記加圧方向(Ap1)に移動させ、薬液が延長チューブ(300)及び空気フィルタ装置(2900)を順次通過することができる。
【0069】
他の実施例によるプライミング段階及び薬液注入段階を説明すると、次の通りである。他の実施例によるプライミング段階では、上記プライミング液体として薬液を用いる。他の実施例によるプライミング段階で、チャンバ(110)内に薬液を満たし、エンドキャップ(700)を空気フィルタ装置(2900)と連結させ、流入ポート開閉部(240)で流入部(230)を遮断し、連結管開閉装置(400)を延長チューブ(300)から分離して延長チューブ(300)を開放状態にする。矢印F2及びF3に示すように、その後、加圧部(120)を上記加圧方向(Ap1)に移動させ、プライミング液体である薬液が延長チューブ(300)及び空気フィルタ装置(2900)を順次流れることによって、延長チューブ(300)及び空気フィルタ装置(2900)の内部が上記プライミング液体で満たされる。
【0070】
他の実施例によるプライミング段階の後、他の実施例による薬液注入段階が進められる。他の実施例による薬液注入段階で、矢印F2及びF3に示すように、加圧部(120)を上記加圧方向(Ap1)にさらに移動させ、薬液が延長チューブ(300)及び空気フィルタ装置(2900)を順次通過することができる。
【0071】
図2は、第1実施例による空気フィルタ装置(900)の斜視図である。図3は、図2の空気フィルタ装置(900)を他方向から見た斜視図である。図4は、図2の空気フィルタ装置(900)の分解斜視図である。図5は、図2の空気フィルタ装置(900)の縦断面図である。図2図5を参照して、第1実施例による空気フィルタ装置(900)を説明すると、次の通りである。
【0072】
空気フィルタ装置(900)には薬液の流路(Q)が形成される。空気フィルタ装置(900)は延長チューブ(300)に連結される。空気フィルタ装置(900)には流路(Q)から分岐して外部に連結される空気の通路(R)が形成される。ハウジング(910)には流路(Q)が形成される。ハウジング(910)には空気の通路(R)が形成される。空気の通路(R)はハウジング(910)に形成されたベントホール(910h)を含む。
【0073】
空気フィルタ装置(900)は、薬液の流路(Q)上に配置される親水性の境界フィルタ(980)を含む。境界フィルタ(980)は、流路(Q)を上流側の第1流路(Q1)及び下流側の第2流路(Q2)に区分させる。境界フィルタ(980)は、薬液に濡れた場合、第1流路(Q1)と第2流路(Q2)の圧力境界面として作用するように構成される。境界フィルタ(980)により第1流路(Q1)及び第2流路(Q2)が互いに異なる内圧を有することができる。例えば、境界フィルタ(980)は、網構造及びファイバ構造のうち少なくとも1つの方式で構成され得る。境界フィルタ(980)は、不純物をフィルタリングする機能を更に有し得る。
【0074】
空気フィルタ装置(900)は、空気の通路(R)と薬液の流路(Q)の境界に配置される疎水性の空気通過フィルタ(960)を含む。空気通過フィルタ(960)は、空気の通路(R)と第1流路(Q1)の境界に配置される。空気通過フィルタ(960)は、薬液の通過を遮断するものの、空気を通過させる。図5の矢印R1は、通路(R)に沿って空気が通過する方向を示す。
【0075】
ハウジング(910)には薬液の流入口(910a)及び流出口(910b)が形成される。薬液の流路(Q)は、流入口(910a)及び流出口(910b)を連結して形成され得る。空気の通路(R)は、流路(Q)の中間と外部空間を連結して形成される。空気の通路(R)は、流路(Q)の中間で第1方向(X)に延び得る。本開示で用いられる「第1方向(X)」は、薬液の流路(Q)において空気通過フィルタ(960)に向かう方向と定義され得る。
【0076】
ハウジング(910)は、境界フィルタ(980)が配置されるフィルタボディー(911)を含む。フィルタボディー(911)は、外表面を形成するボディー部(911d)を含む。ボディー部(911d)の内部に後述の接触流路(Q1c)が形成され得る。ボディー部(911d)の第1方向(X)にベントキャップ(912)が結合され得る。
【0077】
フィルタボディー(911)は、流入口(910a)が形成された流入部(911e)を含む。流入部(911e)は、ボディー部(911d)から第2方向(Y)の反対方向に突出し得る。流入部(911e)の第2方向(Y)の反対方向の末端に流入口(910a)が形成され得る。本開示で用いられる「第2方向(Y)」は、第1方向(X)に垂直な何れか1つの方向と定義され得る。
【0078】
フィルタボディー(911)は、流出口(910b)が形成された流出部(911c)を含む。流出部(911c)は、ボディー部(911d)から第2方向(Y)に突出し得る。流出部(911c)の第2方向(Y)の末端に流出口(910b)が形成され得る。
【0079】
フィルタボディー(911)の外表面には境界フィルタ(980)が配置された内部方向に陥没したコアリング溝(910g)が形成され得る。フィルタボディー(911)の外表面のうち第1方向(X)の反対方向の側面に溝(910g)が形成される。溝(910g)は、フィルタボディー(911)の外表面が第1方向(X)に陥没して形成され得る。
【0080】
ハウジング(910)は、フィルタボディー(911)に結合するベントキャップ(912)を含む。ハウジング(910)は、空気の通路(R)が外部空間と連結される地点に位置する少なくとも1つのベントホール(910h)を形成する。ベントホール(910h)はベントキャップ(912)に形成される。ベントホール(910h)は、空気の通路(R)が外部に連結される地点に位置するホールである。ベントホール(910h)は、第1方向(X)に向かってオープンにされ得る。
【0081】
ベントキャップ(912)は、ハウジング(910)に結合されるカバー部(912a)を含む。カバー部(912a)は空気通過フィルタ(960)を覆い得る。カバー部(912a)は接触流路(Q1c)を覆う。カバー部(912a)は、第1方向(X)に厚さを有する板状に形成され得る。
【0082】
ベントキャップ(912)は、カバー部(912a)から外側に突出するベント突出部(912b)を含み得る。ベント突出部(912b)は、第1方向(X)に突出し得る。ベント突出部(912b)の内側面は空気の通路(R)の少なくとも一部を定義することができる。ベント突出部(912b)の突出末端にベントホール(910h)が形成され得る。
【0083】
一方、チャンバ(110)の内部及び延長チューブ(300)内には空気があり得る。例えば、上記プライミング段階でチャンバ(110)の内部及び延長チューブ(300)の内部に完全に除去されていない空気が残存し得る。薬液とともに空気通過フィルタ(960)の内部に流入した空気は、第1流路(Q1)で空気の通路(R)を経て外部に排出されることができる。
【0084】
また、薬液注入装置(1)のチャンバ(110)の内部の薬液には空気が溶解している。例えば、チャンバ(110)の内部に薬液を充填しながら流入した空気のある量が大気圧より大きい圧力状態のチャンバ(110)の内部で薬液に溶解することができる。これと関連し、ヘンリーの法則による数式c1/p1=c2/p2で薬液に溶解した空気の量を推論してみることができる。ここで、c1及びc2は薬液に溶解した気体のモル濃度(mol/L)であり、p1及びp2は気体の分圧である。c1及びp1はある状態での値であり、c2及びp2は他のある状態での値である。
【0085】
第1流路(Q1)は空気の通路(R)と連結されるので、相対的に低い大気圧に近い内圧を有し、第2流路(Q2)は下流側の管路抵抗によって第1流路(Q1)より相対的に高い内圧を有し得る。第1流路(Q1)の内圧(p1)は相対的に低いので、第1流路(Q1)内の薬液に溶解した気体のモル濃度(c1)は相対的に低くなり、第1流路(Q1)内の薬液から空気が発生しやすくなり、発生した空気は通路(R)を通じて外部に排出されることができる。また、第2流路(Q2)の内圧は相対的に高くなるため、第2流路(Q2)内では薬液から空気が発生し難くなるので、空気通過フィルタ(960)の下流側では薬液から空気が発生する確率を減らすことができる。
【0086】
図6は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS1-S1'に沿って切った横断面図である。図7は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS2-S2'に沿って切った横断面図である。図8は、図5の空気フィルタ装置(900)をラインS3-S3'に沿って切った横断面図である。図5図8を参照して、空気フィルタ装置(900)を具体的に説明すると、次の通りである。
【0087】
第1流路(Q1)は、内部の薬液が空気通過フィルタ(960)に接触するように構成される接触流路(Q1c)を含む。第1流路(Q1)は、接触流路(Q1c)の上流側に連結される対向流路(Q1b)を含む。対向流路(Q1b)は、空気通過フィルタ(960)に向けて第1方向(X)に接触流路(Q1c)の内部に薬液を吐出するように構成される。対向流路(Q1b)は第1方向(X)に延び得る。第1流路(Q1)は、上記第1流路(Q1)の流入口(910a)に連結され、接触流路(Q1c)の上流側に位置する流入流路(Q1a)を含み得る。流入流路(Q1a)は対向流路(Q1b)の上流側に連結され得る。
【0088】
第2流路(Q2)は、第2流路(Q2)の流出口(910b)に連結される流出流路(Q2c)を含む。流出流路(Q2c)は、流出口(910b)を通じて薬液を排出させるように案内する。第2流路(Q2)は、第1方向(X)の反対方向に延びる部分を含む延長流路(Q2b)を含む。延長流路(Q2b)は曲がったり折れたりするように延びる。延長流路(Q2b)は、流出流路(Q2c)の上流側に連結され得る。第2流路(Q2)は、境界フィルタ(980)とハウジング(910)との間のギャップ(Q2a)を含み得る。延長流路(Q2b)は、ギャップ(Q2a)の下流側に連結され得る。
【0089】
一実施例において、流入流路(Q1a)は第2方向(Y)に延びる。対向流路(Q1b)は流入流路(Q1a)の下流部分で第1方向(X)に延びる。対向流路(Q1b)は第1方向(X)にオープンにされた流出口(917a)を有する。対向流路(Q1b)は流入流路(Q1a)と接触流路(Q1c)を互いに連結する。一実施例において、接触流路(Q1c)は第2方向(Y)に延びる。接触流路(Q1c)は空気通過フィルタ(960)と境界フィルタ(980)との間の空間を含む。第2流路(Q2)のギャップ(Q2a)は第2方向(Y)に延びる。ギャップ(Q2a)は接触流路(Q1c)の第1方向(X)の反対方向に配置される。ギャップ(Q2a)は境界フィルタ(980)を境界として接触流路(Q1c)の第1方向(X)の反対方向に配置される。延長流路(Q2b)は第1方向(X)の反対方向で第2方向に曲がったり折れたりする部分を含む。延長流路(Q2b)は第1方向(X)にオープンされた流入口(917a)を有する。流出流路(Q2c)は第2方向に延びる。
【0090】
空気通過フィルタ(960)の第1流路(Q1)に面している面は、第1流路(Q1)の側面に沿って延び得る。本実施例において、空気通過フィルタ(960)は第1流路(Q1)の側面に沿って平坦に延びるが、図示されていない他の実施例において、空気通過フィルタ(960)は第1流路(Q1)の側面に沿って曲がったり折れたりしながら延びることもできる。これを通じて流路(Q)上で空気通過フィルタ(960)と薬液との間の接触面積及び接触時間を増やすことができ、以下ではこれと関連した空気通過フィルタ(960)及び流路(Q)の多様な構成例示を説明する。
【0091】
空気通過フィルタ(960)は、第1方向(X)に沿って空気が通過するように構成され得る。空気通過フィルタ(960)は、第2方向(Y)に沿って延び得る。空気通過フィルタ(960)は、第1方向(X)の厚さより第2方向(Y)の長さが長くなり得る。接触流路(Q1c)は、空気通過フィルタ(960)に向かう第1方向(X)の長さより第2方向(Y)の長さが長く形成され得る。空気通過フィルタ(960)は、接触流路(Q1c)の第2方向(Y)の長さに沿って延び得る。
【0092】
空気通過フィルタ(960)は、両面を有する板状に形成され得る。空気通過フィルタ(960)は、第2方向(Y)及び第3方向(Z)に沿って延び得る。本開示で用いられる「第3方向(Z)」は、第1方向(X)及び第2方向(Y)に垂直な方向と定義され得る。空気通過フィルタ(960)は、第1方向(X)の厚さより第2方向(Y)の長さ及び第3方向(Z)の長さが長くなり得る。接触流路(Q1c)は、第1方向(X)の長さより第3方向(Z)の長さが長く形成され得る。空気通過フィルタ(960)は、接触流路(Q1c)の第3方向(Z)の長さに沿って延び得る。
【0093】
接触流路(Q1c)の下流部分(Q1cb)は、接触流路(Q1c)の上流部分(Q1ca)から第2方向(Y)に離隔され得る。空気通過フィルタ(960)は、第3方向(Z)の長さより第2方向(Y)の長さが長くなり得る。接触流路(Q1c)は、第3方向(Z)の長さより第2方向(Y)の長さが長く形成され得る。
【0094】
上流部分(Q1ca)は、薬液が接触流路(Q1c)内に流入するように形成された開口部(917a)に相対的に近い部分を意味し、下流部分(Q1cb)は、薬液が接触流路(Q1c)から流出するように形成された開口部(917b)に相対的に近い部分を意味する。本実施例において、接触流路(Q1c)内の薬液が開口部(917b)を通じて流出するためには境界フィルタ(980)を通過する。
【0095】
空気通過フィルタ(960)は、接触流路(Q1c)の第1方向(X)の側面を覆い得る。空気通過フィルタ(960)は、接触流路(Q1c)の第1方向(X)の側面の約90%以上を覆い得る。
【0096】
接触流路(Q1c)の上下流方向に垂直な断面は、一側に長く形成され得る。接触流路(Q1c)の上下流方向に垂直な断面は、何れか1つの第1方向(X)の長さより第1方向(X)に垂直な第3方向(Z)の長さが長く形成され得る。
【0097】
空気通過フィルタ(960)の面積は、境界フィルタ(980)の面積より大きくなり得る。空気通過フィルタ(960)の第1方向(X)の長さは、境界フィルタ(980)の第1方向(X)の長さより長くなり得る。
【0098】
境界フィルタ(980)は、第1方向(X)の反対方向に薬液が通過するように構成され得る。境界フィルタ(980)は、第2方向(Y)に沿って延び得る。境界フィルタ(980)は、第1方向(X)の厚さより第2方向(Y)の長さが長くなり得る。境界フィルタ(980)は、接触流路(Q1c)の第2方向(Y)の長さに沿って延び得る。
【0099】
境界フィルタ(980)は、両面を有する板状に形成され得る。境界フィルタ(980)は、第2方向(Y)及び第3方向(Z)に沿って延び得る。境界フィルタ(980)は、第1方向(X)の厚さより第2方向(Y)の長さ及び第3方向(Z)の長さが長くなり得る。境界フィルタ(980)は、接触流路(Q1c)の第3方向(Z)の長さに沿って延び得る。境界フィルタ(980)は、第3方向(Z)の長さより第2方向(Y)の長さが長くなり得る。境界フィルタ(980)は、接触流路(Q1c)の第1方向(X)の反対の側面の一部を覆い得る。
【0100】
空気フィルタ装置(900)は、疎水性の2次空気通過フィルタ(970)をさらに含み得る。2次空気通過フィルタ(970)は、空気の通路(R)上に配置され、空気通過フィルタ(960)を通過した空気が通過するように構成される。2次空気通過フィルタ(970)は、空気通過フィルタ(960)の気孔や接着部位などが損傷した場合にも内部の薬液が外部に流れ出ないようにする機能を行うことができる。2次空気通過フィルタ(970)は、追加疎水性空気通過フィルタ(970)と称され得る。
【0101】
2次空気通過フィルタ(970)は、空気通過フィルタ(960)と同一材質であるか、多孔質のプラスチック素材が加工されて形成され得る。一例として、2次空気通過フィルタ(970)は、疎水性の多孔質のプラスチック樹脂材料が空気の通路(R)上の2次空気通過フィルタ安着部(914)に対応する形状に加工されて形成され得る。例えば、2次空気通過フィルタ(970)の材料は、米国ジョージア州フェアバーン(Fairburn,GA 30213)所在のポレックスコーポレーション(Porex Corporation)(ウェブサイト:www.porex.com)から入手することができる。上記ポレックスコーポレーションのポレックス・ハイドロフォビック・ベント(Porex Hydrophobic Vents)という製品名のものを用いることができるが、この製品はポリエチルポリテトラフルオロエチレン(polyethyle polytetrafluoroethylene)の材料で作ったものである。
【0102】
図5及び図6を参照して、ハウジング(910)は、延長チューブ(300)が挿入される流入流路(Q1a)に配置される止め突起(919)を含み得る。止め突起(919)は、延長チューブ(300)の末端を係止させ得る。止め突起(919)は、流入流路(Q1a)の境界を形成するハウジング(910)の内側面から流入流路(Q1a)の内部方向に突出する。止め突起(919)は、延長チューブ(300)が空気フィルタ装置(900)の流入流路(Q1a)の内部に挿入される深さを制限する。止め突起(919)の延長チューブ(300)に接触するように構成された係止面は、対向流路(Q1b)の上流側末端より第2方向(Y)の反対方向に位置する。止め突起(919)の上記係止面は、止め突起(919)の第2方向(Y)の反対の側面である。複数の止め突起(919a,919b)が備えられ得る。
【0103】
図9は、図4のE1部分を一方向から見た斜視図である。図10は、図9に開示された部分を他の方向から見た斜視図である。図6図10を参照して、空気フィルタ装置(900)をより具体的に説明すると、次の通りである。
【0104】
ハウジング(910)は、空気通過フィルタ(960)に向かい合うように第1方向(X)に突出する対向突出部(917)を含み得る。対向突出部(917)は、接触流路(Q1c)の内部に位置し得る。対向突出部(917)の突出末端に対向流路(Q1b)の出口(917a)が形成され得る。
【0105】
対向突出部(917)の突出末端及び空気通過フィルタ(960)の間の第1方向(X)の第1離隔距離は、接触流路(Q1c)内の任意の他の構成及び空気通過フィルタ(960)の間の第1方向(X)の第2離隔距離より短くなり得る。例えば、上記第1離隔距離は空気通過フィルタ(960)及び境界フィルタ(980)の間の第1方向(X)の離隔距離より短い。
【0106】
ハウジング(910)は、境界フィルタ(980)が結合される境界フィルタ安着部(915)を含む。境界フィルタ安着部(915)は、境界フィルタ(980)の縁部に沿って延び得る。境界フィルタ安着部(915)は、フィルタボディー(911)に形成され得る。境界フィルタ安着部(915)は、ハウジング(910)の内側面から第1方向(X)に突出し得る。境界フィルタ(980)は、境界フィルタ安着部(915)にUV(紫外線)接合、超音波接合、強制フィッティングなどの多様な方式で結合されることができる。
【0107】
ハウジング(910)は、境界フィルタ(980)の第1流路(Q1)に面している面の反対側面とハウジング(910)の内側面との間にギャップ(Q2a)を維持するように、境界フィルタ(980)に向かう方向に突出する間隔維持部(916)を含み得る。ギャップ(Q2a)は、第2流路(Q2)の一部を構成する。間隔維持部(916)は、境界フィルタ(980)が液体に濡れた場合、境界フィルタ(980)がハウジング(810)の内側面に付着して透湿効率が落ちることを防止することができる。
【0108】
間隔維持部(916)は、フィルタボディー(911)に形成され得る。間隔維持部(916)の第1方向(X)の突出末端は、境界フィルタ安着部(915)の第1方向(X)の突出末端より第1方向(X)の反対方向に位置し得る。間隔維持部(916)は、第1方向(X)に突出して第2方向に延び得る。間隔維持部(916)は、少なくとも1つのリブを含み得る。複数の間隔維持部(916a,916b,916c)は、第3方向(Z)に互いに離隔されて配置され得る。複数の間隔維持部(916a,916b,916c)は平行に第2方向(Y)に延び得る。
【0109】
図11は、図4のベントキャップ(912)を他方向から見た斜視図である。図8図11を参照して、フィルタボディー(911)はベントキャップ(912)の結合位置を案内するキャップガイド(911f)を含む。キャップガイド(911f)は、フィルタボディー(911)から第1方向(X)に突出し得る。キャップガイド(911f)は、ベントキャップ(912)のカバー部(912a)の周りを取り囲み得る。
【0110】
フィルタボディー(911)は、ベントキャップ(912)のキャップ結合部(912c)と結合されるキャップ結合対応部(911g)を含み得る。キャップ結合対応部(911g)は第1方向(X)を見る表面を含み得る。
【0111】
ベントキャップ(912)は、カバー部(912a)の縁部に沿って延びるキャップ結合部(912c)を含み得る。キャップ結合部(912c)は、ベントキャップ(912)の第1方向(X)の反対方向の側面に形成される。本実施例において、キャップ結合部(912c)はキャップ結合対応部(911g)に超音波接合による融着方式で結合されるが、ベントキャップ(912)はフィルタボディー(911)にUV(紫外線)接合及び/又は強制フィッティングなどの多様な方式で結合されることができる。
【0112】
ハウジング(910)は、空気通過フィルタ(960)と結合される空気通過フィルタ配置部(913)を含む。空気通過フィルタ配置部(913)は、第1方向(X)の反対方向に突出し得る。空気通過フィルタ配置部(913)は、空気通過フィルタ(960)の縁部に沿って延び得る。空気通過フィルタ配置部(913)は、ベントキャップ(912)の内側面に形成され得る。空気通過フィルタ配置部(913)は、ベントキャップ(912)のカバー部(912a)の第1方向(X)の反対方向の側面に位置し得る。本実施例において、空気通過フィルタ(960)は空気通過フィルタ配置部(913)に超音波接合による融着方式で結合されるが、空気通過フィルタ(960)は空気通過フィルタ配置部(913)にUV(紫外線)接合及び/又は強制フィッティングなどの多様な方式で結合され得る。
【0113】
空気通過フィルタ(960)の第1流路(Q1)に面している面の反対側面とハウジング(910)の内側面との間には間隙(913a)が形成され得る。空気通過フィルタ配置部(913)が突出して空気通過フィルタ(960)をベントキャップ(912)の内側面と離隔させる。間隙(913a)は空気の通路(R)の一部を構成する。
【0114】
空気通過フィルタ(960)の背面がハウジング(910)の内側面から離隔されるように空気通過フィルタ配置部(913)が突出し得る。空気通過フィルタ配置部(913)はハウジング(910)の内側面から接触流路(Q1c)方向に突出し、空気通過フィルタ(960)の周りに沿って延び得る。
【0115】
ハウジング(910)は、2次空気通過フィルタ(970)が挿入される溝(914a)を形成する2次空気通過フィルタ安着部(914)を含み得る。2次空気通過フィルタ安着部(914)は、ベントキャップ(912)の内部に形成され得る。2次空気通過フィルタ安着部(914)は、ベント突出部(912b)の内側面に形成され得る。本実施例において、2次空気通過フィルタ(970)は2次空気通過フィルタ安着部(914)に強制フィッティング方式で結合されるが、必ずしもこれに制限される必要はない。2次空気通過フィルタ安着部(914)は、追加空気通過フィルタ安着部(914)と称され得る。
【0116】
図12A及び図12Bは、他の実施例によるベントキャップ(912')の図面であって、図12Aは縦断面図であり、図12Bは立面図である。図13A及び図13Bは、更に他の実施例によるベントキャップ(912'')の図面であって、図13Aは縦断面図であり、図13Bは立面図である。図12A図13Bを参照して、少なくとも1つのベントホール(910h',910h'')は、一側に長く延びるか、一側に配列された複数のベントホール(910ha,910hb)を含み得る。これを通じて、空気フィルタ装置(900)がどの方向に傾いても空気の排出をさらに円滑にすることができる。
【0117】
図12A及び図12Bを参照した他の実施例において、ベントホール(910h')は第2方向(Y)に長く延びる。空気の通路(R')は、第2方向(Y)に長い形状の流路断面積を有する部分を含む。ベントホール(910h')は、ベントキャップ(912)の第2方向(Y)の両端部にわたって長く形成され得る。ベント突出部(912b’)は、ベントホール(910h')に対応して第2方向(Y)に長く形成され得る。ベント突出部(912b’)の内部に挿入される2次空気通過フィルタ(図示せず)は、ベント突出部(912b’)と対応して第2方向(Y)に長く形成され得る。
【0118】
図13A及び図13Bを参照した更に他の実施例において、複数のベントホール(910h'')が第2方向(Y)に沿って互いに離隔されて形成される。空気の通路(R'')は、互いに分岐する第1通路(Ra)及び第2通路(Rb)を含む。複数のベントホール(910h'')は、ベントキャップ(912)の第2方向(Y)の両端部に配置され得る。複数のベントホール(910h'')に対応する複数のベント突出部(912b'')が備えられ得る。複数のベント突出部(912b1,912b2)は、互いに第1方向(X)に離隔され得る。複数のベント突出部(912b1,912b2)の内部にはそれぞれ2次空気通過フィルタ(図示せず)が配置され得る。複数のベント突出部(912b1,912b2)に対応する複数の2次空気通過フィルタ(図示せず)が備えられ得る。
【0119】
図14は、第2実施例による空気フィルタ装置(2900)の縦断面図である。図14を参照して、第1実施例との差異を中心に空気フィルタ装置(2900)を説明すると、次の通りである。
【0120】
境界フィルタ(980')は、多様な形態及び多様な配置方式で具現され得る。境界フィルタ(980')は、毛細流路(820p)の入口を見る方向(Y)に厚さを有するように配置され得る。第1流路(Q1')及び第2流路(Q2')の多様な形態及び多様な境界が具現され得る。第2流路(Q2')は、上述の流出流路(Q1c)を含むものの、上述の延長流路(Q2b)及びギャップ(Q2a)を含まないことがある。第1流路(Q1')は、多様な形状の接触流路(Q1c)を有し得る。図5及び図14での境界フィルタ(980,980')の位置及び配置方向はいくつかの例示であるだけで、これに制限される必要がない。
【0121】
空気フィルタ装置(2900)は、一体型に構成された薬品移送管装置をさらに含む。本実施例において、境界フィルタ(980')の下流側に薬品移送管(820)が備えられ、流路(Q)内の薬液の時間当りの流量を調節することができる。
【0122】
薬品移送管(820)は、流量制限部品の機能を有し得る。即ち、薬品移送管(820)は、流路(Q)を流れる薬液の時間当りの流量を制限する機能を有し得る。一例として、薬品移送管(820)は毛細管を含み得る。他の例として、薬品移送管(820)は高分子マイクロチューブを含み得る。その他にも、薬品移送管(820)は毛細流路を有する多様な形状及び材質で構成され得る。
【0123】
空気フィルタ装置(2900)は、流路(Q)と連結される毛細流路(820p)を有する薬品移送管(820)を含む。例えば、毛細流路(820p)は約0.04~0.08mmの直径を有することによって時間当りの薬液の流量を制限する役割をすることができる。
【0124】
薬品移送管(820)の少なくとも一部は、ハウジング(910)の内側面に接触し得る。薬品移送管(820)は、シーリング部材(830)を貫いて配置され得る。薬品移送管(820)の上流側末端に毛細流路(820p)の入口が形成される。薬品移送管(820)の上流側末端はスペーサ(840)に接触し得る。
【0125】
薬液の流路(Q)は毛細流路(820p)と連結される。空気フィルタ装置(2900)の全流路上で流路(Q)、毛細流路(820p)及び下流流路(P2)が順次位置し得る。流路(Q)及び下流流路(P2)は毛細流路(820p)より大きい流路断面積を有する。
【0126】
流路(Q)は、流入口(910a)と毛細流路(820p)を連結することができる。流路(Q)上に後述の流入フィルタ(850)が配置され得る。後述のスペーサ(840)のホールは流路(Q)の下流側末端の部分を構成し得る。
【0127】
空気フィルタ装置(2900)には毛細流路(820p)の下流側に配置される下流流路(P2)が形成され得る。空気フィルタ装置(2900)の流出ポート(O2)は下流流路(P2)の出口である。
【0128】
本実施例では、流路(Q)上で毛細流路(820p)と下流流路(P2)との間に下流空間(820t)が形成される。下流空間(820t)は、第2毛細流路(820p2)の流路断面積より大きい流路断面積を有する。下流空間(820t)は、下流流路(P2)の流路断面積より大きい流路断面積を有する。
【0129】
ハウジング(910)に薬品移送管(820)が結合される。ハウジング(910)は、薬品移送管(820)が結合される薬品移送管ハウジング(811)を含み得る。薬品移送管ハウジング(811)は、フィルタボディー(911)に結合され得る。ハウジング(910)は、薬品移送管ハウジング(811)の下流側の部分に結合される下流ハウジング(815)を含み得る。
【0130】
空気フィルタ装置(2900)は、薬品移送管(820)の外側面とハウジング(910)の内側面との間に挟まって配置される少なくとも1つのシーリング部材(830)を含み得る。シーリング部材(830)は、薬液が薬品移送管(820)の外側面及びハウジング(910)の内側面との間に流れることを遮断することができる。シーリング部材(830)は、薬品移送管(820)の周りを取り囲むことができる。シーリング部材(830)は、リング形状に形成され得る。シーリング部材(830)は、ゴムなどの弾性材質で形成され得る。
【0131】
空気フィルタ装置(2900)は、薬品移送管(820)の上流側末端に接触するスペーサ(840)を含む。スペーサ(840)には中央を通過するホールが形成される。スペーサ(840)の上記ホールを経た薬液が毛細流路(820p)に流入する。
【0132】
スペーサ(840)は、薬品移送管(820)の上流側末端と流入フィルタ(850)との間に配置され、間隔を維持させ得る。スペーサ(840)は、流入フィルタ(850)が毛細流路(820p)の入口を塞がないように流入フィルタ(850)を毛細流路(820p)の入口から離隔させる。
【0133】
空気フィルタ装置(2900)は、毛細流路(820p)の上流側に配置される流入フィルタ(850)を含み得る。流入フィルタ(850)は、空気通過フィルタ(960)の下流側に配置され得る。流入フィルタ(850)は、境界フィルタ(980)の下流側に配置され得る。流入フィルタ(850)は、流路(Q)を流れる薬液が流入フィルタ(850)を通過するように配置される。流入フィルタ(850)は、流路(Q)を経た相対的に大きい空気泡(気泡)が毛細流路(820p)の入口を塞がないようにすることができる。
【0134】
図15は、図14の変形例による空気フィルタ装置(2900')の縦断面図である。図15を参照して、空気フィルタ装置(2900')は流路(Q)と連結される毛細流路(820p)をそれぞれ有する複数の薬品移送管(820)を含む。本実施例において、空気フィルタ装置(2900')は2つの薬品移送管(821,822)のみを含むが、これに制限される必要なく、空気フィルタ装置は3つ以上の薬品移送管を含み得る。空気フィルタ装置(2900')は、複数の薬品移送管(820)が結合されるハウジング(910)を含む。
【0135】
複数の薬品移送管(820)は、流路(Q)の一部を構成する第1毛細流路(820p1)を有する第1薬品移送管(821)と、流路(Q)の一部を構成する第2毛細流路(820p2)を有する第2薬品移送管(822)を含む。第2毛細流路(820p2)は、第1毛細流路(820p1)を経た薬液が流入するように第1毛細流路(820p1)の下流側に配置される。
【0136】
空気フィルタ装置(2900')には上下流方向に隣接した2つの薬品移送管(821,822)の間に介在空間(820s)が形成される。介在空間(820s)の流路断面積は、第1毛細流路(820p1)の流路断面積及び第2毛細流路(820p2)の流路断面積より大きい。本開示で用いられる「流路断面積」とは、上下流方向に垂直な方向に流路を切った断面積を意味する。
【0137】
介在空間(820s)は、ハウジング(910)の内部で第1薬品移送管(821)と第2薬品移送管(822)との間に形成される。介在空間(820s)は、第1毛細流路(820p1)を経た薬液が流入するように構成される。介在空間(820s)は、内部の薬液が第2毛細流路(820p2)に移動するように構成される。
【0138】
ハウジング(910)の内側面は、介在空間(820s)の境界のうち少なくとも一部を形成し得る。第1薬品移送管(821)は、介在空間(820s)の境界のうち一部を形成し得る。第2薬品移送管(822)は、介在空間(820s)の境界のうち一部を形成し得る。
【0139】
ハウジング(910)に第1薬品移送管(821)及び第2薬品移送管(822)が結合される。空気フィルタ装置(2900)の全流路上で流路(Q)、第1毛細流路(820p1)、介在空間(820s)及び第2毛細流路(820p2)が順次位置し得る。
【0140】
少なくとも1つのシーリング部材(830)は、第1薬品移送管(821)の外側面とハウジング(910)の内側面との間に挟まって配置される第1シーリング部材(831)を含む。少なくとも1つのシーリング部材(830)は、第2薬品移送管(822)の外側面とハウジング(910)の内側面との間に挟まって配置される第2シーリング部材(832)を含む。スペーサ(840)は、第1薬品移送管(821)の上流側末端に接触し得る。
【0141】
図16は、図14の他の変形例による空気フィルタ装置(2900'')の縦断面図である。図17は、図16の空気フィルタ装置(2900'')の斜視図である。図18は、図16の空気フィルタ装置(2900'')の分解斜視図である。
【0142】
図16図18を参照して、空気フィルタ装置(2900'')は、介在空間(820s)と外部空間を連結し、介在空間(820s)内の空気及び薬液のうち空気を外部空間に排出するように構成されるエアーベント(890)をさらに含み得る。エアーベント(890)のベントホール(890h)は、薬品移送管ハウジング(811)に形成され得る。
【0143】
エアーベント(890)は、疎水性の空気通過フィルタ(891)を含む。エアーベント(890)は、介在空間(820s)内の空気が通過(矢印R2参照)する空気通路(図示せず)を含む。空気通過フィルタ(891)は、エアーベント(890)の上記空気通路と介在空間(820s)との間の境界を形成する。
【0144】
介在空間(820s)は、エアーベント(890)の上記空気通路と連結されるように構成される空気通路連結空間(820sp)をさらに含み得る。空気通路連結空間(820sp)は、介在空間(820s)の半径側末端に形成され得る。空気通過フィルタ(891)は、エアーベント(890)の上記空気通路と空気通路連結空間(820sp)との間の境界を形成する。
【0145】
空気フィルタ装置(2900'')の空気通過フィルタ(960')は、背面がハウジング(910)の内側面(913')に密着し、上述の間隙(913a)なしに空気の通路(R)が形成されることができる。
【0146】
薬品移送管ハウジング(811)は、フィルタボディー(911)に結合される第1結合部(811a)を含み得る。第1結合部(811a)はフック形状であり得る。第1結合部(811a)は、フィルタボディー(911)の第1結合対応部(911a’)に係止され得る。
【0147】
薬品移送管ハウジング(811)は、下流ハウジング(815)に結合される第2結合部(811b)を含み得る。第2結合部(811b)はフック形状であり得る。第2結合部(811b)は、下流ハウジング(815)の第2結合対応部(815b)に係止され得る。
【0148】
薬品移送管ハウジング(811)は、フィルタボディー(911)の下流側の一部が挿入される第1安着部(811c)を含み得る。薬品移送管ハウジング(811)は、下流ハウジング(815)の上流側の一部が挿入される第2安着部(811d)を含み得る。
【0149】
薬品移送管ハウジング(811)は、第1安着部(811c)と第2安着部(811d)との間に配置される挟み部(811e)を含み得る。挟み部(811e)の内部に介在空間(820s)が配置される。挟み部(811e)に第1薬品移送管(821)の下流側末端が挿入される。挟み部(811e)に第2薬品移送管(822)の上流側末端が挿入される。
【0150】
フィルタボディー(911)は、第1薬品移送管(821)の少なくとも一部を収容し得る。フィルタボディー(911)に第1薬品移送管(821)の上流部分が収容される。フィルタボディー(911)の流出部(911c')は薬品移送管ハウジング(811)に挿入される。
【0151】
下流ハウジング(815)は、第2薬品移送管(822)の少なくとも一部を収容し得る。下流ハウジング(815)に第2薬品移送管(822)の下流部分が収容される。下流ハウジング(815)は、薬品移送管ハウジング(811)に挿入される挿入部(815c)を含む。下流ハウジング(815)に流出ポート(O2)が形成される。下流ハウジング(815)に上記患者コネクターと連結される下流連結部(815a)が形成される。
【0152】
以上、一部の実施例と添付の図面に示された例によって本開示の技術的思想が説明されたが、本開示の属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点を理解すべきである。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属すると考えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18