(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】ボールバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20230216BHJP
F16K 31/53 20060101ALI20230216BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
F16K5/06 G
F16K5/06 E
F16K31/53
F16K31/04 A
(21)【出願番号】P 2021526810
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 CN2019115843
(87)【国際公開番号】W WO2020134613
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】201811582840.8
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811582853.5
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518379566
【氏名又は名称】ジャージャン サンフア オートモーティヴ コンポーネンツ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】汪立新
(72)【発明者】
【氏名】胡宏
(72)【発明者】
【氏名】王正▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼巨峰
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-014306(JP,A)
【文献】特開2002-013658(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108730553(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108730558(CN,A)
【文献】米国特許第06378841(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/06
F16K 31/53
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構と、伝動機構と、弁体アセンブリと、スプール部材とを含み、前記伝動機構は、前記駆動機構により前記スプール部材の動作が連動するように設けられるボールバルブであって、
前記弁体アセンブリは、第1弁体部材及び第2弁体部材を含み、前記第1弁体部材と前記第2弁体部材とは固定して接続され、前記弁体アセンブリに、第1弁体部材キャビティ及び第2弁体部材キャビティを含む収容室が形成され、前記第1弁体部材キャビティは前記第1弁体部材内に位置し、前記第2弁体部材キャビティは前記第2弁体部材内に位置し、前記スプール部材は、少なくとも一部が前記第1弁体部材キャビティ内に収容
され、前記伝動機構は、少なくとも一部が前記第2弁体部材キャビティ内に位置し、
前記伝動機構は第1リングギヤを含み、前記スプール部材の少なくとも一部は、前記第1リングギヤに固定して接続され又は位置制限して嵌合され、
前記スプール部材はプラットフォーム部及び平面部を含み、前記プラットフォーム部は前記スプール部材の回動中心に位置し又は前記スプール部材の回動中心に近づき、前記第1リングギヤの前記スプール部材に向かう一側は、前記プラットフォーム部に当接し、前記第1リングギヤの前記スプール部材に向かう一側は、前記平面部と予め定められた距離を維持
し、
前記駆動機構はモータ軸部材を含み、前記モータ軸部材が回転する際に、前記第1リングギヤにより、前記スプール部材が回動するように連動する、
ボールバルブ。
【請求項2】
前記スプール部材はスプールボール及びスプール柱を含み、前記スプール柱の第1端は前記第1リングギヤに固定して接続され又は位置制限して接続され、前記スプール柱の第2端は前記スプールボールに固定して接続され又は前記スプール柱と前記スプールボールは一体構造であり、前記第1リングギヤと前記プラットフォーム部との互いに当接する接触部分の外径は、第1リングギヤの内径よりも小さい、
請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項3】
前記第1リングギヤは中心孔を有し、前記スプール柱の一端は前記中心孔に差し込まれ、且つ前記第1リングギヤに固定して接続され又は位置制限して接続され、
前記プラットフォーム部は、前記スプールボールの第1リングギヤに向かう一側に設けられ、前記スプール柱と前記プラットフォーム部とは固定して接続され、又は前記スプール柱と前記プラットフォーム部は一体構造であり、或いは、
前記プラットフォーム部は前記スプール柱に設けられ、前記プラットフォーム部は前記スプールボールに固定して接続され又は前記プラットフォーム部と前記スプールボールは一体構造であり、
前記プラットフォーム部の外径は、第1リングギヤの内径よりも小さく、前記平面部は、前記スプールボールの前記第1リングギヤに向かう一側に設けられ、前記平面部は、前記プラットフォーム部を取り囲んで設けられ、且つ前記プラットフォーム部は、前記第1リングギヤに向かう方向に前記平面部から突出する、
請求項2に記載のボールバルブ。
【請求項4】
前記第1リングギヤは、段部を含む段孔部を有し、前記プラットフォーム部は前記スプール柱の前記第1リングギヤに向かう一端に位置し、前記スプール柱は前記段孔部に差し込まれ、前記第1リングギヤに固定して接続され又は位置制限して接続され、前記プラットフォーム部は前記段部に当接し、前記平面部は、前記スプールボールの第1リングギヤに向かう一側に設けられる、
請求項2に記載のボールバルブ。
【請求項5】
前記スプール部材は、前記第1弁体部材キャビティの内底部に向かう一側に少なくとも1つのストッパ柱がさらに設けられ、前記第1弁体部材キャビティの内底部に、前記ストッパ柱に嵌合するストッパ凹溝が設けられ、前記ストッパ柱と前記ストッパ凹溝との間は摺動嵌めであり、
前記ストッパ柱は、2つ設けられ、前記2つのストッパ柱は、前記スプール部材の軸線の両側に対称に設けられ、前記ストッパ凹溝は、2つの円弧状溝を含み、前記2つの円弧状溝は、前記第1弁体部材の中心に沿って対称に分布し、且つ前記円弧状溝の円弧角は90°とし、前記ストッパ柱は、少なくとも一部が前記円弧状溝に差し込まれ、前記スプール部材は、前記円弧状溝のその中の一端部の内壁が前記ストッパ柱に当接すると、回動を停止するように設けられる、
請求項3又は4に記載のボールバルブ。
【請求項6】
前記駆動機構は、ロータ部材と、モータ軸部材と、ケーシングとを含み、前記ロータ部材は、前記ケーシングに位置し、前記モータ軸部材は、前記ロータ部材に固定して接続され又は位置制限して接続され、前記ケーシングと前記第2弁体部材とは固定して接続され又は一体成形され、前記第1弁体部材は、弁体部及びガスケットが設けられ、前記弁体部は、ポート部を有し、前記第2弁体部材の一端は、前記ポート部に嵌合し、前記ポート部の端面部に、環状凹溝がさらに設けられ、前記ガスケットは、環状凹溝内に設けられ、
前記伝動機構は、第2リングギヤ及び遊星ギヤを含み、前記第2リングギヤの前記遊星ギヤに背向する一側で前記第2弁体部材に固定して接続され、又は前記第2リングギヤは、前記第2弁体部材と一体成形する、
請求項5に記載のボールバルブ。
【請求項7】
前記スプール部材は、貫通孔が設けられ、前記モータ軸部材は貫通孔を通過し、前記モータ軸部材と前記貫通孔が対応する内壁との間はすきま嵌め、前記モータ軸部材の一端は、前記スプール部材から延出して前記第1弁体部材に位置制限され、
前記ロータ部材は第1貫通孔が設けられ、前記モータ軸部材の一端は前記第1貫通孔を通過して前記ケーシングに位置制限され、前記ケーシングは一端が閉塞された管状体であり、前記ケーシングの頂部の中心箇所又は中心箇所の近傍に、外向きに突出する第1盲孔部が設けられ、前記モータ軸部材の前記ロータ部材に近い一端は前記第1盲孔部に差し込まれ、前記モータ軸部材と前記第1盲孔部とはすきま嵌めされ、前記弁体部の内底部は前記貫通孔に対応する位置に、第2盲孔部が設けられ、前記モータ軸部材の前記スプール部材に近い一端は前記第2盲孔部に差し込まれ、前記モータ軸部材と前記第2盲孔部とはすきま嵌めである、
請求項6に記載のボールバルブ。
【請求項8】
前記伝動機構は、サンギヤをさらに含み、前記サンギヤは、軸方向中心線又は軸方向中心線の近傍に第2貫通孔が設けられ、前記モータ軸部材は、前記第2貫通孔を通過し、前記モータ軸部材と前記サンギヤとは、固定して接続され又は位置制限される、
請求項7に記載のボールバルブ。
【請求項9】
シールリングをさらに含み、前記弁体部の周側に、少なくとも2つの開口部が開設され、前記弁体部の内周壁に、第1突出部が突出して設けられ、前記第1突出部は、少なくとも1つの前記開口部の一側に設けられ、前記弁体部の内底部に近づき、前記第1突出部の前記開口部から離れた第1端は前記弁体部の内底部まで延在し、前記第1突出部の前記開口部に近い第2端に、第1円弧部が形成され、前記第1円弧部は前記開口部の下方に位置し、
前記第2弁体部材は、前記弁体部に向かう一側に第2突出部が設けられ、前記第2突出部は、前記第1突出部に対向して設けられ、前記第2突出部の前記開口部に近い一端に、第2円弧部が形成され、前記第1円弧部と前記第2円弧部とは嵌合し、前記シールリングは、前記第1円弧部と第2円弧部との間に設けられ、且つ前記シールリングは、第1円弧部と第2円弧部とそれぞれ圧着して当接される、
請求項6~8のいずれか一項に記載のボールバルブ。
【請求項10】
前記開口部は、それぞれ前記第1突出部と一対一に対応して設けられ、前記第2突出部の数量は、前記第1突出部の数量と同じであり、前記弁体部の内周壁には、複数の第3突出部がさらに設けられ、前記第3突出部は、前記弁体部の内底部から前記弁体部の頂部まで延出し、前記第3突出部の一側は、前記第1突出部に接続され、前記第2突出部が、各2つの前記第3突出部の間に位置制限されるように、前記第3突出部の少なくとも一部は、各2つの前記第2突出部の間に位置し、
前記第3突出部の各2つの第2突出部の間に位置する部分の厚さは、前記第1突出部の厚さ以下であり、
前記第3突出部は、前記弁体部の頂部に近い一端の両側にそれぞれ第1凹凸部が設けられ、前記第2突出部は、前記第1凹凸部に対応する部位に、第2凹凸部が設けられ、前記第1凹凸部と前記第2凹凸部は嵌合し、
前記第3突出部の厚さの小さい部分と前記第3突出部の厚さの大きい部分との接続箇所には、肩部が形成され、前記第2弁体部材は、各2つの前記第2突出部の間に、第4突出部がさらに設けられ、前記第4突出部は、前記肩部と対向して設けられ、前記第4突出部の前記弁体部に向かう一端は前記肩部に当接する、
請求項9に記載のボールバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2018年12月24日、出願番号が201811582840.8、及び出願日が2018年12月24日、出願番号が201811582853.5である中国特許出願に対して、優先権の利益を主張するものであり、上記出願の全ての内容は引用により本願に援用される。
【0002】
本願は、流体制御技術の分野に関し、例えば、ボールバルブに関する。
【背景技術】
【0003】
電動ボールバルブは、新エネルギー自動車の空調システム及び電池冷却などの熱管理システムの構成要素としてもよく、媒体の流れを切り替える役割を有する。一般的には、電動ボールバルブの伝動機構とスプールはバルブステムにより伝動接続され、バルブステムの第1端は弁体の外に位置し、バルブステムの第2端は弁体の中に差し込まれ、伝動機構とスプールは弁体により間隔を置いて分離され、さらにバルブカバーを設けることでスプールボールの上下変位を制限する必要があり、構造が複雑である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、伝動機構とスプールが弁体により間隔をおいて分離されるため、さらにバルブカバーを設けることによりスプールボールの上下変位を制限する必要があることで、ボールバルブの構造を複雑にさせるという技術問題を解決できるボールバルブを提供する。
【0005】
一実施形態では、駆動機構と、伝動機構と、弁体アセンブリと、スプール部材とを含み、前記伝動機構は、前記駆動機構により前記スプール部材の動作が連動するように設けられるボールバルブであって、前記弁体アセンブリは、第1弁体部材及び第2弁体部材を含み、前記第1弁体部材と前記第2弁体部材とは固定して接続され、前記弁体アセンブリに、第1弁体部材キャビティ及び第2弁体部材キャビティを含む収容室が形成され、前記第1弁体部材キャビティは前記第1弁体部材内に位置し、前記第2弁体部材キャビティは前記第2弁体部材内に位置し、前記スプール部材は、少なくとも一部が前記第1弁体部材キャビティ内に収容され、前記伝動機構は、少なくとも一部が前記第2弁体部材キャビティ内に位置し、前記伝動機構は第1リングギヤを含み、前記スプール部材の少なくとも一部は、前記第1リングギヤに固定して接続され又は位置制限して嵌合され、前記スプール部材はプラットフォーム部及び平面部を含み、前記プラットフォーム部は前記スプール部材の回動中心に位置し又は前記スプール部材の回動中心の近くにあり、前記第1リングギヤの前記スプール部材に向かう一側は、前記プラットフォーム部に当接し、前記第1リングギヤの前記スプール部材に向かう一側は、前記平面部と予め定められた距離を維持する、
ボールバルブを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係るボールバルブの斜視模式図斜視模式図である。
【
図2】
図1に示されたボールバルブの断面模式図である。
【
図3】
図1に示されたボールバルブにおけるロータ部材の斜視模式図である。
【
図4】
図1に示されたボールバルブにおけるスリーブと第2弁体部材の斜視模式図である。
【
図5】
図1に示されたボールバルブにおける第1弁体部材の斜視模式図である。
【
図6】
図1に示されたボールバルブにおける伝動機構の斜視模式図である。
【
図7】
図1に示されたボールバルブにおける第1リングギヤの斜視模式図である。
【
図8】
図1に示されたボールバルブにおけるスプール部材の斜視模式図である。
【
図9】
図1に示されたボールバルブにおけるスプール部材の別の視点からの斜視模式図である。
【
図10】
図1に示されたボールバルブにおける第1弁体部材の別の視点からの斜視模式図である。
【
図11】一実施形態に係るボールバルブの、第1作動状態での断面模式図である。
【
図12】一実施形態に係るボールバルブの、第2作動状態での断面模式図である。
【
図13】一実施形態に係るスリーブと第2弁体部材の別の視点からの斜視模式図である。
【
図14】一実施形態に係るボールバルブにおけるスリーブと弁体アセンブリの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~
図14に示すように、本実施形態のボールバルブは、駆動機構10と、弁体アセンブリ11と、伝動機構12と、スプール部材13とを含む。
図2に示すように、駆動機構10はステーターコイル1と、モータ軸部材2と、ロータ部材3と、ケーシング8とを含み、モータ軸部材2とロータ部材3とは固定して接続され、ロータ部材3は回動することで、モータ軸部材2が回動するように連動し、ケーシング8は一端が閉塞された管状体であり、ステーターコイル1はケーシング8の外に嵌設され、ロータ部材3の少なくとも一部はケーシング8に内蔵される。
【0008】
図3に示すように、ロータ部材3は軸方向中心線又は軸方向中心線の近傍に第1貫通孔55が設けられ、モータ軸部材2は第1貫通孔55に通過し、モータ軸部材2とロータ部材3は、射出により固定して接続され、モータ軸部材2とロータ部材3は、キー溝嵌めに設けられてもよく、これにより、モータ軸部材2とロータ部材3との結合の堅牢性を高める。
【0009】
ケーシング8の閉塞する一端は、頂部として定義され、
図4に示すように、ケーシング8の頂部の中心箇所又は中心箇所の近傍に、外向きに突出する第1盲孔部82が設けられ、モータ軸部材2のロータ部材3に近い一端は第1盲孔部82に差し込まれ、モータ軸部材2と第1盲孔部82とはすきま嵌めされ、第1盲孔部82は、モータ軸部材2に対して、位置制限の役割を果たす。
【0010】
図1及び
図2に示すように、弁体アセンブリ11は第1弁体部材4及び第2弁体部材6を含み、弁体アセンブリ11がプラスチック材料で調製された場合、ケーシング8と第2弁体部材6は、射出プロセスにより一体成形されてもよく、
図4に示すように、このように設けると、ケーシング8と第2弁体部材6との間の封止性がより良い。一実施例では、ケーシング8と第2弁体部材6との間は、連結ベースを設けることで固定して接続されてもよい。
【0011】
図5に示すように、第1弁体部材4は弁体部40を含み、弁体部40の一端が開口して設けられ、弁体部40は、弁体部40の開口端に位置するポート部45を含み、弁体部40の開口する一端は、頂部として定義され、頂部と対向する他端は、底部として定義され、第2弁体部材6の一端は、ポート部45に嵌合し、ボルト接続により弁体部40に固定され、一実施例では、第2弁体部材6と弁体部40は溶接等の他の態様で固定して接続されてもよい。
【0012】
弁体部40のポート部45の端面部に、環状凹溝450がさらに設けられ、環状凹溝450内に、ガスケットが設けられることで、第2弁体部材6と弁体部40との接続箇所の封止性が向上される。一実施例では、第2弁体部材6と弁体部40が溶接で固定される場合、ガスケットが設けられなくてもよい。
【0013】
図2に示すように、弁体アセンブリ11に、第1弁体部材キャビティ50を含む収容室が形成され、第1弁体部材キャビティ50は、弁体部40内に位置し、スプール部材13は、少なくとも一部が第1弁体部材キャビティ50内に収容され、収容室は第2弁体部材6内に位置する第2弁体部材キャビティ65をさらに含み、伝動機構12は、少なくとも一部が第2弁体部材キャビティ65内に位置する。
【0014】
図2と
図6に示すように、伝動機構12は、サンギヤ20と、遊星ギヤ21と、第1リングギヤ22と、第2リングギヤ23と、第1取付プレート24と、第2取付プレート25と、ギヤ軸26とを含み、本実施形態では、遊星ギヤ21の数量は3つであり、対応するギヤ軸26の数も3つであり、第1取付プレート24と第2取付プレート25は、円環形構造であってもよく、第1取付プレート24の中心円貫通孔と第2取付プレート25の中心円貫通孔は、モータ軸部材2とサンギヤ20との嵌合を容易にし、3つの遊星ギヤ21は、ギヤ軸26により第1取付プレート24と第2取付プレート25との間に回動可能に設けられ、3つの遊星ギヤ21は、いずれもサンギヤ20に噛合して接続される。
【0015】
第1リングギヤ22と第2リングギヤ23は、いずれも内歯部を有し、遊星ギヤ21の第1端は、第1リングギヤ22の内歯部で第1リングギヤ22と噛合して接続され、遊星ギヤ21の第2端は、第2リングギヤ23の内歯部で第2リングギヤ23と噛合して接続される。第2リングギヤ23の、遊星ギヤ21に背向する側で第2弁体部材6と固着し、例えば、しまり嵌め又は位置制限嵌めによって第2弁体部材6に取り付けられている。
【0016】
一実施例では、第2弁体部材6と第2リングギヤ23がいずれもプラスチック材料で調製される場合、第2リングギヤ23は第2弁体部材6と一体成形されてもよく、例えば射出プロセスにより一体成形され、このように設けると、ボールバルブの部品数を減らせ、取り付けをより容易にする。
【0017】
モータ軸部材2と伝動機構12は伝動接続され、サンギヤ20は、軸方向中心線又は軸方向中心線の近傍に第2貫通孔56が設けられ(
図6を参照)、モータ軸部材2は、第2貫通孔56を通過し、モータ軸部材2とサンギヤ20は、しまり圧着又は係合接続してもよく、モータ軸部材2が回動する際に、サンギヤ20が同時に回動し、さらに遊星ギヤ21、第1リングギヤ22及び第2リングギヤ23が回動するように連動する。ギヤ比が同じである場合、この種類の伝動機構の構造は、相対的にコンパクトで体積が小さいことで、ボールバルブの体積を相対的に小さくさせる。
【0018】
図7に示すように、第1リングギヤ22は中心孔220を有し、
図8に示すように、スプール部材13はスプールボール130とスプール柱30を含み、スプール柱30の第1端は中心孔220に差し込まれてしまり圧着し、又は中心孔220は異形に設けられてもよく、従って、スプール柱30の形状は、中心孔の形状と嵌合することで回動の連動を実現し、即ち、スプール柱30は第1リングギヤ22と嵌合することで第1リングギヤ22がスプール柱30が回動するように連動することを実現する。スプール柱30の第2端とスプールボール130は伝動接続し、又はスプール柱30とスプールボール130は一体構造であり、スプール柱30が回動すると、スプールボール130が一緒に回動するように連動することができる。
【0019】
一実施例では、スプールボール130は係合溝が設けられてもよく、スプール柱30は係合溝に係合して回動の連動を実現し、本実施形態では、スプール柱30とスプールボール130が一体構造である。
【0020】
一実施例では、スプールボール130は円柱形及び楕円形などの一般的な形状に設けられてもよい。
【0021】
図8及び
図2に示すように、スプールボール130は、プラットフォーム部131を含み、プラットフォーム部131はスプール部材13の回動中心に位置し又はスプール部材13の回動中心に近づき、スプール柱30とプラットフォーム部131とは固定して接続され又はスプール柱30とプラットフォーム部131は一体構造であり、或いは、スプール柱30はプラットフォーム部131を含み、プラットフォーム部131はスプールボール130と固定して接続され又はプラットフォーム部131とスプールボール130は一体構造である。第1リングギヤ22のスプール部材13に向かう一側がプラットフォーム部131に当接し、プラットフォーム部131の外径L1は、第1リングギヤ22の内径L2よりも小さく、これによりスプール部材13を駆動するために必要な駆動力を低減する。
【0022】
図2及び
図8に示すように、スプールボール130の第1リングギヤ22に向かう一側に、平面部132がさらに設けられ、平面部132は、プラットフォーム部131を取り囲んで設けられて、プラットフォーム部131は、第1リングギヤ22に向かう方向に平面部132から突出し、
図2に示すように、第1リングギヤ22のスプール部材13に向かう一側と平面部132との間は、予め定められた距離を維持する。一実施例では、平面部132は、曲面部又はテーパ面部等に設けられてもよい。
【0023】
本実施例では、伝動機構12は、スプール部材13に直接接触し、即ち、第1リングギヤ22のスプール部材13に向かう一側は、プラットフォーム部131に当接し、このように設けると、第1弁体部材4のバルブカバーを省き、ボールバルブの部品数を減らし、ボールバルブの構造を相対的にコンパクトにすることができる。
【0024】
一実施例では、第1リングギヤ22の中心孔220は段孔部として設けられてもよく、段孔部は、段部を含み、スプール柱30は、プラットフォーム部を含み、プラットフォーム部はスプール柱30の第1リングギヤ22に向かう一端に位置し、スプール柱30は段孔部に差し込まれ、スプール柱30のプラットフォーム部は段部に当接し、スプールボール130の第1リングギヤ22に向かう一側に、平面部がさらに設けられ、第1リングギヤ22のスプール部材13に向かう一側と前記スプールボール130の平面部との間は予め定められた距離を維持し、このように設けると、第1リングギヤ22とスプール部材13との接触面の直径がより小さくなり、スプール部材13を駆動するために必要な駆動力を低減することに有利になる。一実施例では、段孔部を有する第1リングギヤ22は、上記2種類の態様のプラットフォーム部に同時に当接してもよい。
【0025】
図8に示すように、スプール部材13は、軸方向中心線又は軸方向中心線の近傍に貫通孔57を設けており、貫通孔57の一部はスプール柱30に位置し、一部はスプールボール130に位置する。モータ軸部材2は貫通孔57を通過し、モータ軸部材2と貫通孔57に対応する内壁とがすきま嵌めされ、一実施例では、モータ軸部材2が回動する際に、直接スプール部材13が回動するように連動することができないため、第1リングギヤ22により、スプール部材13が回動するように連動してもよい。
【0026】
図2及び
図10に示すように、弁体部40は内底部47をさらに含み、内底部47は貫通孔57に対応する位置に第2盲孔部49が設けられ、第2盲孔部49の軸線は、第1盲孔部82の軸線と重なり合い又は略重なり合い、モータ軸部材2のスプール部材13の近くにある一端は第2盲孔部49に差し込まれ、モータ軸部材2と第2盲孔部49とがすきま嵌めされ、第2盲孔部49は、モータ軸部材2に対して、位置制限の役割を果たす。
【0027】
本実施形態では、モータ軸部材2は順次にロータ部材3、サンギヤ20及びスプール部材13を通過し、モータ軸部材2の第1端は、第1盲孔部82内に位置制限され、モータ軸部材2の第2端は、第2盲孔部49内に位置制限され、モータ軸部材2は、スプール部材13とすきま嵌めされ、このように設けると、スプール部材13が回動中に歪みやふらつきを発生することを防止することができ、スプール部材13の安定性を向上することに有利になる。
【0028】
図9に示すように、スプール部材13の内底部47に向かう一側に、少なくとも1つのストッパ柱31が設けられ、本実施形態では、2つのストッパ柱が設けられ、ストッパ柱31は、スプール部材13の軸線の両側に対称に設けられ、2つのストッパ柱31は、スプール部材13と一体構造になってもよい。
【0029】
図10に示すように、弁体部40の内底部47に、ストッパ柱31に嵌合するストッパ凹溝が設けられ、ストッパ柱31とストッパ凹溝との間は摺動嵌めされ、ストッパ凹溝は、少なくとも1つの円弧状溝32を含み、本実施形態では、ストッパ凹溝は、2つの円弧状溝32を含み、2つの円弧状溝32は、第2盲孔部49を中心として対称に分布する。
【0030】
ストッパ柱31は、少なくとも一部が円弧状溝32に差し込まれ、円弧状溝32の内壁とストッパ柱31との間は摺動嵌めされ、円弧状溝32の内壁と嵌合することにより位置を制限し、円弧状溝32の両端部は、スプール部材13の回動範囲を制限することができ、スプール部材13が時計回りに回動する際に、円弧状溝32の一端部の内壁がストッパ柱31に当接すると、スプール部材13は、時計回り方向に回動を停止し、一般的には、円弧状溝32の両端部の間の円弧角の大きさを設けることにより、スプール部材13の回動範囲を制限することができ、本実施形態では、円弧状溝32の円弧角を90°とし、異なる作動環境では円弧角を適応的に設けてもよい。
【0031】
本実施例に係るボールバルブの作動原理は以下のとおりである。モータ軸部材2が時計回りに回動する場合、サンギヤ20が時計回りに回動するように連動し、噛合して接続されることで遊星ギヤ21が回動するように連動し、第2リングギヤ23は、固定して動かなく、遊星ギヤ21は、自身の軸線回りに回動するとともに、サンギヤ1を中心として周方向に回動し、即ち、モータ軸部材2を中心として回動し、且つ第2リングギヤ23と噛合回動することで、第1リングギヤ22が回動するように連動し、第1リングギヤ22は、スプール柱30が一緒に回動するように連動し、同時にスプール柱30は、スプールボール130が回動するように連動し、回動角度は0°~90°であり、円弧状溝32の一端部の内壁がストッパ柱31に当接する場合に、スプール部材13は回動方向に回動を停止し、モータ軸部材2は反時計回りに回動する場合にも同様である。
【0032】
図5に示すように、弁体部40は、第1開口部401と、第2開口部402と、第3開口部403と、第4開口部404とが開設され、第1開口部401と、第2開口部402と、第3開口部403と、第4開口部404とは、弁体部40の周側に時計回り方向又は反時計回り方向の順に設けられて、弁体部40の中心に対して対称に設けられる。
【0033】
第1弁体部材4は、第1インタフェース部41と、第2インタフェース部42と、第3インタフェース部43と、第4インタフェース部44とをさらに含み、
図11に示すように、第1インタフェース部41は、第1通路71が設けられ、第2インタフェース部42は、第2通路72が設けられ、第3インタフェース部43は、第3通路73が設けられ、第4インタフェース部44は、第4通路74が設けられ、第1インタフェース部41の一端は、第1開口部401と固定して接続され且つ接続箇所が封止され、第2インタフェース部42の一端は、第2開口部402と固定して接続され且つ接続箇所が封止され、第3インタフェース部43の一端は、第3開口部403と固定して接続され且つ接続箇所が封止され、第4インタフェース部44の一端は、第4開口部404と固定して接続され且つ接続箇所が封止される。
【0034】
図11に示すように、スプールボール130内部に第1スプール通路14と第2スプール通路15が設けられ、本実施例のボールバルブは、第1作動状態と第2作動状態である少なくとも2種類の作動状態を含み、ボールバルブが第1作動状態にある場合に、
図11に示すように、第1通路71は、第1スプール通路14によって第2通路72に連通し、第3通路73は、第2スプール通路15によって第4通路74に連通し、ボールバルブが第2作動状態にある場合に、
図12に示すように、第1通路71は、第1スプール通路14によって第4通路74に連通し、第2通路72は、第2スプール通路15によって第3通路73に連通する。
【0035】
図5に示すように、弁体部40の内周壁は、第1開口部401の内底部47に近い一側に、第1突出部411が設けられ、第1突出部411は、弁体部40の内周壁に対して内向きに突出し、第1突出部411の第1開口部401から離れた一端は内底部47まで延出し、第1突出部411の第1開口部401に近い一端に、第1円弧部412が形成され、第1円弧部412は第1開口部401の下方に位置する。第1円弧部412が対応する中心軸線は、第1開口部401の中心軸線と重なり合い又は略重なり合い、第1円弧部412が対応する円心角の大きさはここでは具体的に限定しないが、本実施形態では、第1円弧部412が対応する円心角は180°であり、これにより、弁体部40の射出成形時の型抜きプロセスに有利になる。
【0036】
図13に示すように、第2弁体部材6の弁体部40に向かう一側に、第2突出部511が設けられ、第2突出部511は、第1突出部411に対向して設けられ、第2突出部511は、第1突出部411の上部に位置し、第2突出部511の第1開口部401に近い一端に、第2円弧部512が形成され、第2円弧部512は、第1円弧部412に対向して設けられ、第2円弧部512が対応する中心軸線は、第1開口部401の中心軸線と重なり合い又は略重なり合い、第2円弧部512が対応する円心角の大きさはここでは具体的に限定しないが、本実施形態では、第2円弧部512が対応する円心角は180°である。
図14に示すように、第1円弧部412と第2円弧部512は、マッチングして円柱状の空間60を形成する。
【0037】
図2に示すように、ボールバルブは上述空間60に、シールリング90がさらに設けられ、シールリング90は、第1円弧部412と第2円弧部512との間に位置制限され、シールリング90の内径は、第1通路71の直径よりも大きく、スプール部材13の内部通路の直径よりも大きく、シールリング90の第1端は、弁体部40が対応する内壁に当接し、シールリング90の第2端は、スプール部材13が対応する外壁部に当接し、且つシールリング90は、第1円弧部412と第2円弧部512とそれぞれ圧着して当接される。
【0038】
関連技術では、シールリングを取り付けるために、第1開口部401と第1弁体部材4とは分離方式を採用し、シールリング90は、第1開口部401と第1弁体部材4との接続箇所を介して組み込まれ、まず、シールリング90を第1弁体部材4に組み込み、そして第1開口部401と第1弁体部材4を溶接又は螺接などで固定し、スプール部材13の第1弁体部材4に組み込まれる方向とシールリング90の第1弁体部材4に組み込まれる方向は一致しない。本実施例では、第1円弧部412と第2円弧部512とのマッチングにより、シールリング90に対する位置制限を実現することができ、弁体部40に第1突出部411を設けて且つ第2弁体部材6に第2突出部511を設けることにより、シールリング90の取り付けをより容易にさせ、スプール部材13とシールリング90はいずれもポート部45から第1弁体部材4に組み込まれるため、部品の取り付けがより簡単になる。
【0039】
ボールバルブは、第2開口部402、第3開口部403及び第4開口部404に同様又は類似の方式で円柱状の空間を形成し、且つシールリング90が設けられる。
【0040】
図5に示すように、弁体部40の内周壁は、第1開口部401と第2開口部402との間に第3突出部46がさらに設けられ、第3突出部46は、弁体部40の内底部47から弁体部40の頂部まで延出し、本実施形態では、第3突出部46の第1側は、第1開口部401が対応する第1突出部411と滑らかに接続され又は略滑らかに接続され、第3突出部46の第2側は、第2開口部402が対応する第1突出部411と滑らかに接続され又は略滑らかに接続され、第3突出部46の第1側と第2側とは対向する。第3突出部46の少なくとも一部は、2つの第2突出部511の間に位置し、第2突出部511は、2つの第3突出部46の間に位置制限され、第2突出部511と第1突出部411との嵌合精度を向上することができる。
【0041】
図5及び
図13に示すように、第3突出部46は、弁体部40の頂部に近い一端の両側に、それぞれ第1凹凸部461が設けられ、第2突出部511は、第1凹凸部461に対応する部位に、第2凹凸部513が設けられ、第1凹凸部461は、第2凹凸部513に嵌合することにより、第2弁体部材6と弁体部40とをより強固に結合させることができる。
【0042】
第3突出部46の2つの第2突出部511の間に位置する部分の厚さが、第1突出部411の厚さよりも小さく、第3突出部46の厚さの小さい部分と厚さの大きい部分との接続箇所には、肩部460が形成される。第2弁体部材6は2つの第2突出部511の間にさらに第4突出部48が設けられ(
図13を参照)、第4突出部48の両側は、第2突出部511と滑らかに接続され又は略滑らかに接続される。第4突出部48は、肩部460が対向して設けられ、第4突出部48の弁体部40に向かう一端は肩部460に当接し、第2弁体部材に対して位置制限の役割を果たす。
【0043】
第2開口部402と第3開口部403との間、第3開口部403と第4開口部404との間、及び第4開口部404と第1開口部401との間には、同様又は類似の方式で第3突出部46及び第3突出部46の第1凹凸部461が設けられ、第2弁体部材6にも、同様又は類似の方式で対応する第2凹凸部513が設けられる。