(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-15
(45)【発行日】2023-02-24
(54)【発明の名称】スパークプラグ及びスパークプラグの作製方法
(51)【国際特許分類】
H01T 13/08 20060101AFI20230216BHJP
H01T 13/20 20060101ALI20230216BHJP
H01T 21/02 20060101ALI20230216BHJP
F02P 13/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
H01T13/08
H01T13/20 B
H01T21/02
F02P13/00 301J
(21)【出願番号】P 2022519818
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 AT2019060344
(87)【国際公開番号】W WO2021072458
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504344576
【氏名又は名称】インニオ ジェンバッハー ゲーエムベーハー アンド コー オーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】プランクル,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】クラウスラー,ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】グラブナー,ロバート
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220363(JP,A)
【文献】特開2017-59364(JP,A)
【文献】特開2012-129042(JP,A)
【文献】特開2004-169671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0294625(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3068001(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/00 - 13/60
F02P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-スパークプラグ(1)が内燃機関に装着されると燃焼室に面する前記スパークプラグ(1)の端部に配置される
点火手段であって、少なくとも1つの中心電極(6)と、少なくとも1つの接地電極(7)とを備え、前記少なくとも1つの中心電極(6)と前記少なくとも1つの接地電極(7)との間にスパークギャップ(8)が存在し、前記接地電極(7)は接地電極キャリア(9)上に配置されている、点火手段(2)と、
-前記点火手段(2)を少なくとも部分的に取り囲む壁(3)と、
-前記燃焼室を周囲環境に対してシールするために使用されるシール部(4)と、
を備える、内燃機関内の可燃性燃料に点火するスパークプラグ(1)であって、
前記シール部(4)は前記壁(3)の端部に設けられ、前記壁の端部は前記スパークプラグ(1)が前記内燃機関に装着されると前記燃焼室に面する
ものであり、前記シール部(4)は面取り部(5)として設計されていて、面取り部(5)として設計された前記シール部(4)が、前記接地電極キャリア(9)上に少なくとも部分的に延在することを特徴とする、内燃機関内の可燃性燃料に点火するスパークプラグ(1)。
【請求項2】
前記シール部(4)は前記壁(3)の終端部であり、前記終端部は前記スパークプラグ(1)が前記内燃機関に装着されると前記燃焼室に面することを特徴とする、請求項
1に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項3】
前記スパークプラグ(1)を電源装置に接続するために、前記スパークプラグ(1)の上端部に電気的接続部が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至
2のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接地電極(7)が好ましくはレーザビーム溶接によって前記接地電極キャリア(9)に接続されていることを特徴とする、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項5】
面取り部(5)として設計された前記シール部(4)が、前記少なくとも1つの接地電極(7)上に少なくとも部分的に延在していることを特徴とする、請求項1乃至
4に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項6】
面取り部(5)として設計された前記シール部(4)が、前記スパークプラグ(1)の中心軸(x)の垂線(y)に対して20°~50°の角度(α)、好ましくは27°~41°の角度(α)、とりわけ好ましくは34°の角度(α)を成すことを特徴とする、請求項
1乃至
5のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項7】
前記壁(3)が、前記スパークプラグ(1)を前記内燃機関及び/又はシリンダヘッド及び/又はスパークプラグ・スリーブ(15)に装着するための装着部(11)を備えることを特徴とする、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項8】
前記装着部(11)が雄ねじ(12)を少なくとも部分的に含むことを特徴とする、請求項
7に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの中心電極(6)が中央に配置された中心電極キャリア(13)に接続されており、好ましくはレーザビーム溶接によって、前記中心電極キャリア(13)に接続されていることを特徴とする、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項10】
前記中心電極キャリア(13)と前記接地電極キャリア(9)との間に、絶縁体(14)が配置されていることを特徴とする、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの接地電極(7)が環状電極として設計され、前記環状電極が円形の中心電極(6)を少なくとも部分的に取り囲み、前記接地電極(7)と前記中心電極(6)との間に環状スパークギャップ(8)が形成されていることを特徴とする、請求項1乃至
10のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項12】
前記シール部(4)をシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブ(15)の表面に対してプレロードするように構成された予荷重装置が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項13】
前記予荷重装置が装着部(11)によって形成され、好ましくは雄ねじ(12)によって形成されていることを特徴とする、請求項
12に記載のスパークプラグ(1)。
【請求項14】
スパークプラグ(1)を受容するシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブ
であって、スパークプラグ・スリーブ(15)は雌ねじ(17)及びシール部(18)を有するねじ込み部(16)を備えており、シール部(18)がスパークプラグ・スリーブ(15)の更なる面取り部(19)として設計されることによって、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスパークプラグの前記面取り部(5)の対応物が形成される、シリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブ。
【請求項15】
前記壁(3)の前記シール部(4)は前記スパークプラグ(1)の前記端部に設けられ、前記スパークプラグ(1)が
前記内燃機関に装着されると
前記燃焼室に面する
ことによって、前記内燃機関の前記燃焼室を周囲環境に対してシールすることを行
う、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のスパークプラグ(1)の使用方法。
【請求項16】
-スパークプラグ(1)が内燃機関に装着されると燃焼室に面する前記スパークプラグ(1)の端部に点火手段(2)を設けるステップ
であって、前記点火手段(2)は少なくとも1つの中心電極(6)と、少なくとも1つの接地電極(7)とを備え、前記少なくとも1つの中心電極(6)と前記少なくとも1つの接地電極(7)との間にスパークギャップ(8)が存在し、前記接地電極(7)は接地電極キャリア(9)上に配置されている、ステップと、
-前記点火手段(2)を少なくとも部分的に取り囲む壁(3)を設けるステップと、
-前記燃焼室を周囲環境に対してシールするためのシール部(4)を設けるステップと、
を含むスパークプラグ(1)の作製方法であって、
前記スパークプラグ(1)が前記内燃機関に好ましくは機械加工プロセスによって装着されると前記燃焼室に面する前記壁(3)の端部に、
面取り部(5)として設計された前記シール部(4)が形成され
、前記シール部(4)は前記接地電極キャリア(9)上に少なくとも部分的に延在するように形成されることを特徴とする、スパークプラグ(1)の作製方法。
【請求項17】
前記面取り部(5)の作製後に、溶接シーム(10)の少なくとも一部が前記接地電極キャリア(9)とスパークプラグ本体との間の接続部として機能するような深さで、溶接シーム(10)用の溝を作製する、請求項16に記載の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有する、内燃機関内の可燃性燃料に点火するスパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
スパークプラグは、内燃機関のシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブに装着されており、その際、点火手段を少なくとも部分的に取り囲むスパークプラグ本体の雄ねじ部(又は雄ねじ)をシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブの雌ねじ部に螺挿することによって、この点火手段が燃焼室に面するスパークプラグの端部に配置されるようにしている。
【0003】
周囲環境(即ち、大気圧における燃焼室の外側の空間)に対して燃焼室をシールするために、最新技術のものとして知られるスパークプラグはガスケットを備える。これらのガスケットは、スパークプラグのシール部において、スパークプラグとシリンダヘッド(又はスパークプラグ・スリーブ)との間に配置されるシールワッシャとして設けられる。このシール部は、スパークプラグにおいて雄ねじと絶縁体との間にある部分に配置されており、その結果、雄ねじはシール部と燃焼室との間に配置されることになる。
【0004】
シールワッシャは、スパークプラグをシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブに装着する際に、塑性変形又は弾性変形する。このため、スパークプラグは、自身が適切な雌ねじ部に螺挿されることにより、シリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブのシール部に対してプレロードされる。スパークプラグをシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブ側のねじ込み部に締め付けて固定すると、ガスケットに荷重がかかり、その結果変形して、所定のシール性が確保されるようになる。
【0005】
そのような最新技術の実施形態は、例えば欧州特許第2709219号明細書又は欧州特許第2050171号明細書に開示されている。
【0006】
スパークプラグは、最新技術の種々の実施形態であるものが知られている。期待寿命を向上させる努力が図られているため、気密性及び温度管理に関する要件、即ち、一方のスパークプラグと、他方のシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブとの間で適正な熱伝達が行われるようにすることが、より重要となった。
【0007】
スパークプラグは、自身の少なくとも一部が燃焼室、ひいては燃焼プロセスと直接接触しているため、高い温度条件の影響を受ける。燃焼室内での燃焼からスパークプラグに熱が伝わり、この熱は雄ねじを経てシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブへと放散される。したがって、雄ねじとシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブとの間で一定の熱伝導性を有することが重要である。
【発明の概要】
【0008】
スパークプラグの耐用期間中に、スパークプラグとシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブとの間で、スパークプラグ本体の雄ねじに沿って燃焼堆積物が形成される。これらの堆積物は燃焼プロセスから発生するものであり(一次すす)、スパークプラグとシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブとの間で熱伝導性の低下をもたらす。
【0009】
したがって、最新技術のものとして知られるスパークプラグの問題は、一方では、例えばねじ領域にすすのような燃焼堆積物が発生することに起因して、耐用期間中にスパークプラグ本体とシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブとの間の熱伝達性が低下することである。
【0010】
他方で、ねじ山フランク同士の接触が厳密でない可能性が高いことに起因して、スパークプラグ本体の雄ねじとシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブ内の対応する雌ねじとの間での熱伝達性それ自体が低下していることが、主要な問題となっている。
【0011】
本発明の目的は、上述の不都合な事態のうちの少なくとも1つを阻止することである。本発明の別の目的は、その耐用年数が向上するようなスパークプラグ、スパークプラグの作製方法及びスパークプラグの使用方法を提供することであってもよい。
【0012】
このことは、請求項1の特徴を有する内燃機関内の可燃性燃料に点火するスパークプラグによって達成される。請求項15に記載の特徴を有するシール部の使用方法、及び請求項16に記載の特徴を有するスパークプラグの作製方法について、保護がさらに求められる。本発明のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0013】
本発明によれば、シール部が壁の端部に設けられ、当該端部はスパークプラグが内燃機関に装着されると燃焼室に面するものであり、当該壁は点火手段を少なくとも部分的に取り囲むものであり、当該点火手段はスパークプラグが内燃機関に装着されると燃焼室に面するスパークプラグの端部に配置される。
【0014】
一方で、燃焼室に面するスパークプラグの端部のシール部として壁を使用することにより、例えばスパークプラグの雄ねじによって提供され得る熱伝導部において、熱伝導性に直接影響を及ぼす燃焼堆積物(例えば、すす)がない状態を維持することができる。他方で、前記シール部内の壁を用いたシーリングを行うことにより、スパークプラグ本体(好ましくは、少なくとも部分的に接地電極キャリアと合わせて)との有効接触面積が増加し、その結果、熱伝導性又は熱伝達性がそれぞれ向上する。総じて、スパークプラグの耐用年数を大幅に延長させることができる。
【0015】
可燃性燃料は、例えば、混合気及び/又は気体燃料として存在し得る。
【0016】
壁は、スパークプラグ本体として、又は別個の要素として形成され得る。
【0017】
「燃焼室に面するスパークプラグの端部」という用語は、これがスパークプラグの最端部であることを必ずしも意味しない。例えば、スパークプラグの特定の構成要素が、壁を越えて燃焼室内へと突出していることは十分に考えられる(例えばスパークプラグの中心電極である)。したがって、「燃焼室に面するスパークプラグの端部」は、装着される際に本スパークプラグの燃焼室に面する側を指していてもよい。
【0018】
スパークプラグは通常、例えば少なくとも1つの中心電極と、少なくとも1つの接地電極とを備え得る点火手段を含み、少なくとも1つの中心電極と少なくとも1つの接地電極との間にスパークギャップが存在している。また、点火手段がレーザ点火又は他の形態の点火を含む実施形態も考えられる。
【0019】
シール部が面取り部として設計されるように定めることができる。
【0020】
シール部は、スパークプラグが内燃機関に装着されると燃焼室に面する壁の終端部となるように定めることもできる。
【0021】
壁の端部又は終端部は、スパークプラグ全体の端部又は終端部であり得る。
【0022】
本明細書において、壁の端部にあるとは、壁の端部からの距離がスパークプラグの全長の30%以内、20%以内又は10%以内である必要があることを意味する。終端部は、装着状態において燃焼室に面する壁の一番端であるとして理解されるべきである。
【0023】
スパークプラグを電源装置に接続するために、スパークプラグの上端部に電気的接続部が配置されるように定めることができる。
【0024】
壁が接地電極キャリアとして設計され、少なくとも1つの接地電極が好ましくはレーザビーム溶接によって接地電極キャリアに接続されるように定めることができる。
【0025】
面取り部として設計されたシール部が、少なくとも1つの接地電極上に少なくとも部分的に延在するように定めることができる。
【0026】
面取り部として設計されたシール部が、スパークプラグの中心軸の垂線に対して20°~50°の角度、好ましくは27°~41°の角度、とりわけ好ましくは34°の角度を成すように定めることができる。
【0027】
スパークプラグ本体が、スパークプラグを内燃機関及び/又はシリンダヘッド及び/又はスパークプラグ・スリーブに装着するための装着部を備えるように定めることができる。当該装着部が、面取り部及び/又はシール部をシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブの表面に対してプレロードするよう構成されることを定めることができる。それ故、当該装着部が雄ねじを少なくとも部分的に含むように定めることができる。
【0028】
スパークプラグのすべての実施形態において、スパークプラグの前端部領域にあるシール部とスパークプラグ・スリーブとの間に、追加のシール手段、好ましくはシールリングが配置されるように定めることができる。そのようなシールリングは、銅又は銅合金若しくは他の任意の材料から作製され得る。
【0029】
少なくとも1つの中心電極が中央に配置された中心電極キャリアに接続され、好ましくはレーザビーム溶接によって中心電極キャリアに接続されるように定めることができる。
【0030】
中心電極キャリアと接地電極キャリアとの間に、絶縁体が配置されるように定めることができる。
【0031】
少なくとも1つの接地電極が環状電極として設計され、環状電極が円形の中心電極を少なくとも部分的に取り囲み、接地電極と中心電極との間に環状スパークギャップが形成されるように定めることができる。
【0032】
本発明によるスパークプラグを受容するシリンダヘッド又はスパークプラグ・スリーブについても、保護が求められる。
【0033】
スパークプラグの作製方法に関して、スパークプラグが内燃機関に装着されると燃焼室に面する本スパークプラグの端部に点火手段が設けられ、点火手段と、燃焼室を周囲環境に対してシールするために使用されるシール部とを少なくとも部分的に取り囲むスパークプラグ本体が設けられ、且つ、スパークプラグが内燃機関に好ましくは機械加工プロセスによって装着されると燃焼室に面する壁の端部にシール部が形成されるように定めることができる。
【0034】
好ましくは、電極キャリアが燃焼室に面する壁の端部の終端部に配置されており、電極キャリアは壁と溶接され、溶接手段、好ましくはレーザ溶接装置の出力は、燃焼室に面するスパークプラグの壁の端面に貫入する溶接シームを作成するのに十分であるため、面取り部(当該面取り部は、周囲環境に対して燃焼室をシールするためのシール部として使用される)を作製した後でも、電極キャリアは溶接シームを介して依然として壁と接合されている。
【0035】
中心電極及び/又は接地電極は、貴金属を含むか、又は貴金属から成るものであり得る。
【0036】
本発明のさらなる詳細及び利点は、添付の図面並びに以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明によるスパークプラグの第1の実施形態を示す図である。
【
図1b】
図1aと同様の一実施形態を示す等角図である。
【
図2a】本発明によるスパークプラグの第3の実施形態を示す図である。
【
図2b】本発明によるスパークプラグの第4の実施形態を示す図である。
【
図3】本発明によるスパークプラグを受容するスパークプラグ・スリーブを示す図である。
【
図4】本スパークプラグ・スリーブに装着されたスパークプラグを示す図である。
【
図5】スパークプラグの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1aは、本発明によるスパークプラグ1の第1の実施形態を示し、スパークプラグ1が内燃機関に装着されると、燃焼室に面するスパークプラグ1の端部がより詳細に示されている。
【0039】
本スパークプラグは、中心電極6及び接地電極7によって実行される点火手段2を備え、中心電極6と接地電極7との間にはスパークギャップ8が存在している。接地電極7は、接地電極キャリア9上に配置されている。この特定の実施形態では、点火手段4を取り囲む壁3は、スパークプラグ本体の一部として形成されている。このスパークプラグ本体は接地電極キャリア9を取り囲んでおり、また少なくとも1つの接地電極7が、例えばレーザビーム溶接によって接地電極キャリア9に接続されている。
【0040】
溶接シーム10は、好ましくは面取り部の一部となるようなシームである。したがって、そのような実施形態では、接地電極キャリア9が溶接シーム10によって適切に固定されるように、溶接シーム10が十分に深くなることが必要となり得る。
【0041】
本作製プロセスは、面取り部5の作製後であっても、溶接シーム10の少なくとも一部が接地電極キャリア9とスパークプラグ本体との間の接続部として機能するような深さで、溶接シーム10用の溝が作製されるステップを含み得る。
【0042】
中心電極6もまたレーザビーム溶接によって、中心電極キャリア13に接続されている。
【0043】
この中心電極キャリア13と接地電極キャリア9との間に、絶縁体14が配置されている。
【0044】
周囲環境に対して燃焼室をシールするために、スパークプラグ1は面取り部5として設計されたシール部4を備える。この面取り部5(本実施形態ではスパークプラグ本体によって形成される)は壁3に設けられている。この面取り部5が領域内のシールとしてどのように機能するかについては、以下で
図3に関連して述べられている。
【0045】
スパークプラグ本体(壁3)は、スパークプラグ1を内燃機関及び/又はシリンダヘッド及び/又はスパークプラグ・スリーブに装着するための装着部11をさらに備える。この装着部11は、本実施形態では(雄)ねじ12として設けられている。
【0046】
図1bは、
図1aの実施形態と同様の第2の実施形態の等角図を示す。唯一の差異は、溶接シーム10が
図1bには示されていないことである。
【0047】
図1bにおいて、接地電極7が環状電極として設計されており、この環状電極が、円形に形成された中心電極6を取り囲み、接地電極7と中心電極6との間に環状スパークギャップ8が形成されていることが分かる。さらに、本実施形態において、面取り部5が接地電極キャリア9まで延在し、これによってスパークプラグ本体3とスパークプラグ・スリーブとの間、及び接地電極キャリア9とスパークプラグ・スリーブとの間での熱伝達性が向上するという利点が生じることが分かる。
【0048】
面取り部5の形態のシール部4は、スパークプラグ1の中心軸xの垂線yに対して角度αを成すように設計されている。このことは、
図2a及び
図2bからより詳細に分かる。
図2aは、スパークプラグ1の中心軸xの垂線yに対する角度αが41°となる面取り部5を有する、本発明によるスパークプラグ1の一実施形態を示し、
図2bは、角度αが27°となるように面取り部5を有する一実施形態を示す。
【0049】
スパークプラグ1は、中心軸xに対して実質的に対称であり得る。
【0050】
図3は、本発明によるスパークプラグ1(
図1aに示す)を受容するスパークプラグ・スリーブ15を示す。このため、スパークプラグ・スリーブ15は、雌ねじ17及びシール部18を有するねじ込み部16を備える。したがって、シール部18がスパークプラグ・スリーブ15の更なる面取り部19として設計されることによって、スパークプラグ1の面取り部5の対応物が形成される。
【0051】
図4は、スパークプラグ・スリーブ15(
図3から)に装着されたスパークプラグ1(
図1aから)を示す。スパークプラグ1の面取り部5をスパークプラグ・スリーブ15の表面に対して(具体的は、スパークプラグ・スリーブ15の更なる面取り部19に対して)プレロードするように、予荷重装置(雌ねじ17と連結する雄ねじ12によってもたらされる)が構成されていることが分かる。
【0052】
図5は、スパークプラグ・スリーブ15(
図3から)に装着された、本発明によるスパークプラグ1の更なる実施形態を示す。スパークプラグ1のシール部をスパークプラグ・スリーブ15の表面に対してプレロードするように、予荷重装置(雌ねじ17と連結する雄ねじ12によってもたらされる)が構成されていることが分かる。スパークプラグ1に関する本実施形態は、中心軸xから直角に延在するシール部を備える。このシール部は、スパークプラグ・スリーブ15の対応する内面と相互作用している。
【0053】
外側ねじ又は雄ねじと、内側ねじ又は雌ねじとを置き換えている実施形態も考えられる。
【符号の説明】
【0054】
1 スパークプラグ
2 点火手段
3 壁
4 シール部
5 面取り部
6 中心電極
7 接地電極
8 スパークギャップ
9 接地電極キャリア
10 溶接シーム
11 装着部
12 雄ねじ
13 中心電極キャリア
14 絶縁体
15 スパークプラグ・スリーブ
16 ねじ込み部(スパークプラグ穴)
17 雌ねじ
18 シール部
19 更なる面取り部
α 角度
x 中心軸
y 中心軸の垂線