(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】充電制御装置及び充電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230217BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230217BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230217BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 303D
H02J7/00 P
H02J1/00 309D
B60R16/02 645Z
B60R16/04 W
(21)【出願番号】P 2019018891
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】桑原 崇
(72)【発明者】
【氏名】瀧地 宏
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134591(JP,A)
【文献】特開平09-037478(JP,A)
【文献】特開2010-213559(JP,A)
【文献】特開2016-052186(JP,A)
【文献】特開2016-168758(JP,A)
【文献】特開2006-158043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J1/00-1/16
B60R16/00-17/02
G06F1/26-1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末の充電を制御する充電制御装置であって、
入力電圧を取得し、前記入力電圧を変換して、出力電圧を生成する電圧生成部と、
前記端末へ電圧を供給するための電圧供給ラインを介して、前記出力電圧を前記端末へ供給する給電部と、
前記給電部による前記出力電圧の供給を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記入力電圧又は前記出力電圧が第1の閾値以上の電圧である場合、前記給電部により前記出力電圧を供給させ、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記給電部による前記出力電圧の供給を電気的に遮断し、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、
且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記給電部による前記出力電圧の供給を再開させる、
充電制御装置。
【請求項2】
前記給電部は、トランジスタを有し、
前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が第1の閾値以上の電圧である場合、前記トランジスタの閾値電圧以上の電圧を前記給電部に供給し、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記閾値電圧以上の電圧を前記給電部に供給せず、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、前記給電部への前記閾値電圧以上の電圧の供給を再開する、
請求項
1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記給電部への前記閾値電圧以上の電圧の供給を再開する、
請求項
2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力電圧が前記第1の閾値以上の電圧である場合、前記出力電圧を前記給電部へ出力し、
前記入力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記出力電圧を前記給電部へ出力せず、
前記入力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、前記出力電圧の前記給電部への出力を再開する、
請求項
1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記出力電圧の前記給電部への出力を再開する、
請求項
4に記載の充電制御装置。
【請求項6】
通信ラインを介して前記端末の充電の制御に関するデータを通信する通信部、を更に備え、
前記制御部は、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧である場合、前記通信ラインへ電圧を供給し、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記通信ラインへの電圧の供給を遮断し、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、前記通信ラインへの電圧の供給を再開する、
請求項1
~5のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記通信ラインへの電圧の供給を再開する、
請求項
6に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記通信ラインは、前記端末との間で前記充電の制御に関するネゴシエーションを行うための第1の通信ラインを含み、
前記制御部は、前記第1の通信ラインの供給電圧を遮断又は定電流源を遮断することにより、前記第1の通信ラインを介した通信を遮断する、
請求項
6または
7に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記通信部は、前記端末との間で接続を認識するためのハンドシェイクを行う第2の通信ラインを含み、
前記制御部は、前記第2の通信ラインを切断することで、前記第2の通信ラインへの電圧の供給を遮断する、
請求項
6~
8のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値よりも大きな第2の閾値以上の電圧に復帰した場合、前記給電部による給電を再開させる、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第2の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記給電部による前記出力電圧の供給を再開させる、
請求項
10に記載の充電制御装置。
【請求項12】
前記充電制御装置は、USB(Universal Serial Bus)による充電を制御する、
請求項1~
11のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項13】
前記入力電圧は、車両に搭載されたバッテリ又は車両用電源装置から入力された電圧である、
請求項1~
12のいずれか1項に記載の充電制御装置。
【請求項14】
端末の充電を制御する充電制御方法であって、
入力電圧を取得し、前記入力電圧を変換して、出力電圧を生成するステップと、
前記端末へ電圧を供給するための電圧供給ラインを介して、前記出力電圧を前記端末へ供給するステップと、
前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を制御するステップと、
を有し、
前記出力電圧の供給を制御するステップは、
前記入力電圧又は前記出力電圧が第1の閾値以上の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介して前記出力電圧を供給させるステップと、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を
電気的に遮断するステップと、
前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、
且つ、前記電気的に遮断された前記電圧供給ラインを介した出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を再開させるステップと、を有する、
充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置及び充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを使用し、複数の接続ポートの1つに接続された携帯端末を充電可能な車載装置が知られている(特許文献1参照)。この車載装置は、バッテリ電圧を監視し、バッテリ電圧が閾値以下になると、切断可能な接続ポートを判別し、この切断可能な接続ポートへの電力供給を遮断する。一方、車載装置は、携帯端末との接続により音楽再生、通話、ソフトウェアのアップデート等を行っている切断不可能なポートへの電力供給を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アイドリングストップ機能を有する車両の場合、エンジン始動時のクランキングによりバッテリ電圧が一時的に低下する。特許文献1の車載装置は、バッテリ電圧の低下時、許容可能な電力範囲内で携帯端末の使用を継続させるが、携帯端末への電力供給を一旦停止し、バッテリ電圧が回復した後、携帯端末への電力供給を再開することについて何も考慮していない。
【0005】
車両に搭載された充電器は、バッテリ電圧の低下により携帯端末への電力供給を停止した後、バッテリ電圧が回復すると、携帯端末への電力供給を再開させることが多い。しかし、充電器が、電力供給可能な状態になっても、携帯端末を充電できない場合がある。例えば、充電器が、充電中のスマートフォンへの電力供給を停止した後、バッテリ電圧の回復により電力供給を再開しても、スマートフォンが、この給電を受け付けず、充電を再開しない場合がある。充電が再開されなくても、スマートフォンは、例えばUSB(Universal Serial Bus)で充電器に接続されたままである場合、ユーザが気付くことなく充電されない状態が長く継続することがある。
【0006】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、電力供給が可能な状態に復帰した場合に端末への充電の再開確率を向上できる充電制御装置及び充電制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、端末の充電を制御する充電制御装置であって、入力電圧を取得し、前記入力電圧を変換して、出力電圧を生成する電圧生成部と、前記端末へ電圧を供給するための電圧供給ラインを介して、前記出力電圧を前記端末へ供給する給電部と、前記給電部による前記出力電圧の供給を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入力電圧又は前記出力電圧が第1の閾値以上の電圧である場合、前記給電部により前記出力電圧を供給させ、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記給電部による前記出力電圧の供給を電気的に遮断し、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記給電部による出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記給電部による前記出力電圧の供給を再開させる、充電制御装置である。
【0008】
本開示の一態様は、端末の充電を制御する充電制御方法であって、入力電圧を取得し、前記入力電圧を変換して、出力電圧を生成するステップと、前記端末へ電圧を供給するための電圧供給ラインを介して、前記出力電圧を前記端末へ供給するステップと、前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を制御するステップと、を有し、前記出力電圧の供給を制御するステップは、前記入力電圧又は前記出力電圧が第1の閾値以上の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介して前記出力電圧を供給させ、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値未満の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を電気的に遮断し、前記入力電圧又は前記出力電圧が前記第1の閾値以上の電圧に復帰した場合、且つ、前記電気的に遮断された前記電圧供給ラインを介した出力電圧が無効の閾値以下の電圧である場合、前記電圧供給ラインを介した前記出力電圧の供給を再開させる、充電制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、電力供給が可能な状態に復帰した場合に端末への充電の再開確率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態における充電器の基本構成の一例を示すブロック図
【
図3】USB(Universal Serial Bus)コネクタのピン配列を示す図
【
図4】充電器における給電部付近の概略構成を示す図
【
図5】給電部の動作を説明するための各部における電圧の時間変化を示すグラフ
【
図6】比較例の充電器における給電部付近の概略構成を示す図
【
図7】比較例の給電部の動作を説明するための各部における電圧の時間変化を示すグラフ
【
図8A】SDP及びCDPの場合に通信部によるD+/D-ラインの切断動作を説明する図
【
図8B】DCPの場合に通信部によるD+/D-ラインの切断動作を説明する図
【
図10】変形例1における充電器の構成を示すブロック図
【
図11】変形例2における充電器の構成を示すブロック図
【
図12】変形例3における充電器の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る充電制御装置及び充電制御方法を具体的に開示した実施形態である充電器を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
図1は、本開示の実施形態の充電器1の基本構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
充電器1は、例えば車両に搭載され、電源としての車載用のバッテリ2と接続される。充電器1は、例えば筐体1z(
図2参照)にUSB(Universal Serial Bus)コネクタ18を有する。USBコネクタ18には、USBケーブルが接続される。充電器1は、バッテリ2から供給されるバッテリ電圧を用いて、充電器1のUSBコネクタ18、USBケーブル、及びスマートフォン3のUSBコネクタを介して、スマートフォン3を充電する。充電器1及びスマートフォン3等の装置側の接続部分(USBコネクタ)は、USBレセプタクルとなり、USBケーブル側の接続部分は、USBプラグとなる。
【0014】
また、スマートフォン3は、充電されるモバイルデバイス(電子機器)の一例である。電子機器としては、タブレット端末、スマートスピーカ、デジタルフォトフレーム、デジタルカメラ、ノートPC等、特に限定されない。また、充電器1及び電子機器間のインターフェースは、USBに限らず、電力供給可能なLAN(Local Area Network)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)等であってもよい。また、充電器1は、バッテリ2の電極端子に接続されてバッテリ電圧の供給を直接受けてもよいし、車のシガーソケットを介してバッテリ電圧の供給を受けてもよい。
【0015】
充電器1は、出力電圧生成部11、電圧監視部12、制御部13、給電部14、及び通信部15を含む構成である。
【0016】
出力電圧生成部11は、バッテリ2のバッテリ電圧Vbをスマートフォン3の充電に適した出力電圧Vmに変換する直流電圧変換(DC-DC変換)を行うDCDCコンバータを含んでよい。バッテリ電圧Vbは、例えば、9V~16Vの電圧であり、例えば12Vである。出力電圧Vmは、例えば5V又は9Vである。出力電圧Vmは、スマートフォン3への充電電圧Vsと一致してよい。
【0017】
電圧監視部12は、出力電圧生成部11で生成される出力電圧Vmを検知し、検知した出力電圧Vmを制御部13に通知する。
【0018】
制御部13は、充電器1内の各部を制御する。給電部14による電圧の供給を制御する。制御部13は、通常時、電圧監視部12によって検知された出力電圧Vmが第1閾値VL以上である場合、給電部14を制御し、スマートフォン3への電力供給を行ってよい。制御部13は、電圧監視部12によって検知された出力電圧Vmが第1閾値VLを下回ると、給電部14を制御し、スマートフォン3への電力供給を遮断してよい。この場合、制御部13は、VBUSラインLsを電気的に遮断してよい。制御部13は、通信部15を制御し、例えば通信ラインCCの電圧(供給電圧)を遮断若しくは定電流源を遮断させ、又はD+/D-ラインを切断させ、通信部15による通信を不能にさせてよい。なお、定電流源は、充電器1内に設けられ、スマートフォン3へ電流を供給するための電源である。定電流源の遮断により、スマートフォン3への電流の供給が遮断される。
【0019】
スマートフォン3への電力供給の停止(遮断)後、電圧監視部12が検知した出力電圧Vmが第2閾値VHを超えると、制御部13は、給電部14を制御し、スマートフォン3への電力供給を再開する。この場合、制御部13は、VBUSラインLsの導通を再開してよい。また、制御部13は、通信部15を制御し、通信ラインCCの電圧を所定の電圧に復帰(回復)させ、又は、D+/D-ラインを導通させ、通信を再開してよい。
【0020】
制御部13は、電圧監視部12が検知した出力電圧Vmが第2閾値VHを超え、且つ、電気的に遮断した電圧(遮断された給電部14による充電電圧Vs)が無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合に、スマートフォン3への電力供給を再開してもよい。無効の閾値電圧VIは、電力供給が無効化されたことを検出するための閾値電圧でよい。無効の閾値電圧VIは、略0Vを検出するための、0Vより大きく0Vに近い電圧であってよい。この場合、制御部13は、給電部14を電気的に遮断した後で、電圧降下の時間特性に基づき充電電圧Vsが低下して0Vの規定値に至るまで待機し、その後、充電電圧Vsが復帰した場合は電圧供給を再開させてよい。また、制御部13は、給電部14による充電電圧Vsを監視し、充電電圧Vsが低下して0Vの規定値に至るまで待機してもよい。これにより、充電器1は、遮断した電圧の復帰が非常に速い場合に、電圧が0Vまで低下せずにスマートフォン3への電力供給が復帰し、給電部14による充電が再開されない可能性を低減できる。
【0021】
第1閾値VLは、スマートフォン3への供給電圧が5Vあるいは9Vである場合、それぞれ例えば4.5Vあるいは8.1Vでよい。第2閾値VHは、第1閾値VL以上である。第1閾値VL及び第2閾値VHは、固定値でも可変値でもよい。
【0022】
VBUSラインLsは、充電器1からスマートフォン3へ電力を供給するためのラインであり、充電器1のUSBコネクタ18のVBUS端子とスマートフォン3のUSBコネクタのVBUS端子を通って形成される。通信ラインCCは、充電器1のUSBコネクタ18のCC1端子又はCC2端子とスマートフォン3のUSBコネクタのCC1端子又はCC2端子とを通って形成される。D+/D-ラインは、充電器1のUSBコネクタ18のD+端子又はD-端子とスマートフォン3のUSBコネクタのD+端子又はD-端子とを通って形成される。
【0023】
電気的な遮断は、物理的な遮断や切断を伴っても伴わなくてもよい。また、電気的な遮断は、電子的に制御されたものでもよい。
【0024】
給電部14は、出力電圧生成部11で生成された出力電圧Vmをスマートフォン3に供給するためのスイッチング素子を有する。このスイッチング素子は、VBUSラインLsを開閉するスイッチング素子である。給電部14は、このスイッチング素子を駆動し、スマートフォン3への充電の実施、遮断、再開、等を行う。スイッチング素子のオンオフは、制御部13により指示されてよい。スイッチング素子として、電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)141(
図4参照)が用いられてよい。MOSFETは、NチャンネルMOSFETでもPチャンネルMOSFETでもよい。スイッチング素子として、MOSFETの代わりに、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタ、ダイオード等が用いられてもよい。
【0025】
通信部15は、外部の通信装置との間で通信する。通信部15は、通信ラインCCを用いて、スマートフォン3と通信を行ってよい。通信部15は、通信ラインCCの供給電圧を遮断もしくは定電流源を遮断させ通信を遮断可能である。通信部15は、制御部13からの指示に従い、スマートフォン3との間で、通信ラインCCを介して、PD(Power Delivery)プロトコルに則ったネゴシエーション等の通信を行ってよい。例えば、通信部15は、充電器1からスマートフォン3への供給電圧を5Vにするか9Vにするかのリクエストをスマートフォン3に送信してよい。通信部15は、このリクエストに対し、スマートフォン3から供給電圧を5Vにする等のレスポンスを受信する。また、通信部15は、D+/D-ラインを用いて、スマートフォン3に電力供給するモードを設定してよい。通信部15は、D+/D-ラインを切断可能である。D+/D-ラインは、通信ラインCCを用いたPDプロトコルを実施しないスマートフォン3がUSBコネクタ18に接続された場合に、利用されてよい。
【0026】
なお、PDプロトコルに従って供給電圧が5V又は9Vに決定された場合、制御部13は、決定された供給電圧としての出力電圧Vmを出力電圧生成部11に通知してよい。また、供給電圧の変更に伴い、閾値電圧が更新されてもよい。
【0027】
図2は、充電器1を構成する電子部品を示す図である。充電器1は、筐体1zに内蔵された基板100を有する。基板100には、DCDCコントローラ30、PDコントローラ50、及び給電部14が実装される。
【0028】
DCDCコントローラ30は、前述した出力電圧生成部11を含む。PDコントローラ50は、前述した電圧監視部12、制御部13及び通信部15を含む。DCDCコントローラ30及びPDコントローラ50は、それぞれ電子部品であるIC(Integrated Circuit)モジュールで構成される。給電部14は、前述したMOSFET141を含む。
【0029】
図3は、USB(Universal Serial Bus)コネクタ18のピン配列を示す図である。
【0030】
USBコネクタ18は、USB Type-Cのコネクタでよい。USB Type-Cでは、通信速度10Gbpsの高速通信が可能である。また、USB Type-Cでは、PD機能として、20V、100Wまでの電力供給が可能である。また、USB Type-Cでは、オルタネートモード(制御モード)により、USB Type-C以外の他のコネクタと互換性がある。他のコネクタは、USB2.0,USB3.0、USB3.1の他、HDMIコネクタ、D-sub(15ピン)コネクタ、DisplayPortコネクタ、等でよい。USBコネクタ18の規格は、USB Type-Cに限らず、USB2.0,USB3.0、USB3.1等であってもよい。
【0031】
USB Type-Cのコネクタは、ピン端子A1~A12、ピン端子B1~B12の上下2段、24ピンのピン配列を有する。ピン端子A1~A12は、それぞれGND(接地用)、SSTXp1(SuperSpeed信号線1番、TX、正極)、SSTXn1(SuperSpeed信号線1番、TX、負極)、VBUS(バス電源)、CC1(接続コンフィグ用)、D+(Dp1、非SuperSpeed信号線1番、正極)、D-(Dn1、非SuperSpeed信号線1番、負極)、SBU(サイドバンド(SBU))、VBUS(バス電源)、SSRXn2(SuperSpeed信号線4番、RX、負極)、SSRXp2(SuperSpeed信号線4番、RX、正極)、GND(接地用)の端子である。ピン端子B1~B12は、それぞれGND(接地用)、SSTXp2(SuperSpeed信号線3番、TX、正極)、SSTXn2(SuperSpeed信号線3番、TX、負極)、VBUS(バス電源)、CC2(接続コンフィグ用)、D+(Dp2、非SuperSpeed信号線2番、正極)、D-(Dn2、非SuperSpeed信号線2番、負極)、SBU2(サイドバンド(SBU))、VBUS(バス電源)、SSRXn1(SuperSpeed信号線2番、RX、負極)、SSRXp1(SuperSpeed信号線2番、RX、正極)、GND(接地用)の端子である。
【0032】
これらのピン端子のうち、PD(Power Delivery)通信に使用される通信ラインCCに含まれるCC1端子及びCC2端子と、D+/D-ラインに含まれるD+端子及びD-端子と、について詳述し、本実施形態と直接に関係しない他の端子については説明を省略又は簡略化する。
【0033】
充電器1にUSBコネクタ18及びUSBケーブル(図示せず)を介してスマートフォン3が接続される場合、充電器1が電力を供給する側、つまりDFP(Downstream-Facing Port)側となり、スマートフォン3が電力を受ける側、つまりUFP(Upstream-Facing Port)側となる。
【0034】
例えば、UFP側のCC1端子又はCC2端子とDFP側のCC1端子又はCC2端子とが接続されて、通信ラインCCが確立される。UFP側のD+端子及びD-端子とUFP側のD+端子及びD-端子とが接続されて、D+/D-ラインが確立される。
【0035】
USBケーブルがDFP側のUSBコネクタ18及びUFP側のUSBコネクタに接続されていない場合、DFP側のCC1端子又はCC2端子は、プルアップ抵抗Rpにより5V等である。また、UFP側のCC1端子又はCC2端子は、プルダウン抵抗Rdによりいずれも例えば0Vである。
【0036】
USBケーブルが、DFP側のUSBコネクタ18、UFP側のUSBコネクタそれぞれに接続されると、DFP側のCC1端子又はCC2端子は、USBケーブルを通して、自身のプルアップ抵抗RpとUFP側のプルダウン抵抗Rdを介してUFP側のCC1端子又はCC2端子に接続される。したがって、DFP側のCC1端子又はCC2端子は、プルアップ抵抗Rpとプルダウン抵抗Rdの抵抗分圧により、一定の電圧にセットされる。
【0037】
通信ラインCCは、PDプロトコルのネゴシエーションに係る通信等に使用される。DFP側である充電器1は、UFP側であるスマートフォン3がUSBケーブルに接続されたことを検知すると、VBUSラインLsをオンにし、5V等の電圧を供給する。UFP側であるスマートフォン3は、VBUSラインLsに5Vの電圧が供給されると、DFP側である充電器1との接続を確立する。この接続により、電力供給(充電制御)に関するリクエストやレスポンスが行われる。
【0038】
また、D+端子とD-端子は、レガシータイプのUSB2.0をサポートするために使用される。USB Type-Cでは、D+/D-ラインを使用して電力供給を行うためのポートとして、SDP(Standard Downstream Port)、CDP(Charging Downstream Port)、DCP(Dedicated Charging Port)、等がある。SDPは、USBの標準給電を行うポートである。SDPは、USB2.0、USB3.0、USB3.1の規格に対応している。CDPは、最大1.5Aの給電を行うポートである。また、DCPは、1.5A以上の給電を行うポートである。DCPでは、通信が行われない。DCPでは、D+ラインとD-ラインの間が200Ωの抵抗器で短絡される。
【0039】
USBコネクタ18のD+端子及びD-端子は、それぞれUSBケーブルのD+/D-端子に接続される。スマートフォン3は、D+/D-ラインを介して充電器1とハンドシェイクを行い、SDP、CDP、DCPのいずれで電力供給が行われるかを認識してよい。スマートフォン3は、D+ラインに例えば0.6Vを出力し、D-ラインの電圧を計測してよい。D-ラインの電圧が例えば0.3V未満である場合、スマートフォン3は、SDPに接続されていると判断してよい。D-ラインの電圧が例えば0.3V以上0.8V未満である場合、スマートフォン3は、CDP又はDCPに接続されていると判断してよい。さらに、スマートフォン3は、D-ラインに例えば0.6Vを出力し、D+ラインの電圧を計測する。D+ラインの電圧が例えば0.3V未満である場合、スマートフォン3は、CDPに接続されていると判断してよい。D+ラインの電圧が例えば0.3V以上0.8V未満である場合、スマートフォン3は、DCPに接続されていると判断してよい。
【0040】
図4は、充電器1における給電部14付近の概略構成を示す図である。
【0041】
給電部14は、DCDCコントローラ30からの出力電圧Vmをスマートフォン3に供給するVBUSラインLsを開閉するスイッチング素子として、MOSFET141を有する。MOSFET141のソースは、DCDCコントローラ30内の出力電圧生成部11の出力ラインに接続される。MOSFET141のドレインは、VBUSラインLsに接続される。USBコネクタ18にUSBケーブルを介してスマートフォン3が接続されている場合、VBUSラインLsには、スマートフォン3に接続されたUSBケーブルのVBUSラインが接続される。制御部13からの信号によってMOSFET141のゲートの電圧が閾値電圧Vthを超えると、ソース-ドレイン間が導通し、出力電圧生成部11の供給電圧がスマートフォン3に供給される。
【0042】
また、MOSFET141のソース-ドレイン間には、寄生ダイオード143が存在する。この寄生ダイオード143は、カソードがソースに接続され、アノードがドレインに接続された状態にある。寄生ダイオード143により、充電器1側の電圧がスマートフォン3側へ意図せずに印加されることを防止可能である。
【0043】
図5は、給電部14の動作を説明するための各部における電圧の時間(t)変化を示すグラフである。ここでは、DCDCコントローラ30の出力電圧Vmが5.0Vである場合を示す。
【0044】
充電器1は、スマートフォン3への電力供給の停止及び再開する動作にヒステリシスを持たせてよい。例えば、電力供給を停止するための第1閾値VLが4.5Vに設定され、電力供給を再開するための第2閾値VHが4.8Vに設定されてよい。バッテリ電圧Vbは、車載器の使用状態等によって変動し得る。特に、アイドリングストップ機能を有する車両では、クランキング等の過渡時にバッテリ電圧が急激に低下し得る。グラフg1では、バッテリ電圧Vbを基に生成される出力電圧Vmは、時刻t1で第1閾値VLを下回る。なお、ここでは、電圧監視部12は、出力電圧Vmと第1閾値VLを比較しているが、バッテリ電圧Vbと第1閾値VLを比較してもよい。この場合、例えばバッテリ電圧Vbが12Vであることに対し、第1閾値VLは例えば10.5Vでよい。同様に、電圧監視部12は、バッテリ電圧Vbと第2閾値VHを比較してもよい。この場合、例えばバッテリ電圧Vbが12Vであることに対し、第2閾値VHは例えば11.5Vでよい。
【0045】
電圧監視部12によって検知される出力電圧Vmが時刻t1において第1閾値VLを下回ると、制御部13は、グラフg2に示すように、MOSFET141のゲートに供給する電圧Vgを略0V(閾値電圧Vth以下の電圧の一例)に切り替えてよい。よって、MOSFET141がオフとなり、ソース-ドレイン間は、非導通となる。これにより、USBコネクタ18では、VBUSラインLsについてスマートフォン3との物理的な接続が切断されたように認識される。
【0046】
MOSFET141のソース-ドレイン間が遮断されると、MOSFET141のドレイン電圧、つまりVBUSラインLsの充電電圧Vsは、グラフg3に示すように、時刻t1において、略0Vに低下する。なお、VBUSラインLsの電圧は、略0Vに限らず、スマートフォン3が充電停止を判断できる電圧以下であればよい。これにより、スマートフォン3への充電が停止する。
【0047】
クランキング等の過渡期の終わりに近づくと、バッテリ電圧Vbを基に生成される出力電圧Vmは、徐々に復帰し、グラフg1に示すように、時刻t2で第2閾値VHを超える。電圧監視部12によって検知される出力電圧Vmが時刻t2において第2閾値VHを超えると、制御部13は、グラフg2に示すように、MOSFET141のゲートに印加する電圧Vgをオン電圧(閾値電圧Vthを超える電圧)に切り替える。よって、MOSFET141がオンし、ソース-ドレイン間は、導通する。
【0048】
MOSFET141のソース-ドレイン間が導通すると、MOSFET141のドレイン電圧、つまりVBUSラインLsの充電電圧Vsは、グラフg3に示すように、時刻t2において、出力電圧生成部11の供給電圧に復帰する。これにより、スマートフォン3への充電が受け入れられる可能性が高くなる。
【0049】
図6は、比較例の充電器における給電部付近の概略構成を示す図である。比較例の充電器は、PDコントローラを除き、実施形態と同一の構成を有する。
図7は、比較例の給電部の動作を説明するための各部における電圧の時間(t)変化を示すグラフである。なお、
図6及び
図7の比較例の説明では、本実施形態において同じ名称の構成部について、末尾に「X」を付して説明する。
【0050】
クランキング等の過渡期において、グラフg11に示すように、DCDCコントローラ30の出力電圧Vmが第1閾値VLを下回っても、制御部13Xは、グラフg12に示すように、MOSFET141Xのゲートに印加する電圧Vgを変化させず、MOSFET141Xをオンにする電圧(閾値電圧Vthを超える電圧)を継続して出力する。したがって、MOSFET141のソース-ドレイン間は、導通したままである。MOSFET141Xのドレイン電圧、つまりVBUSラインLsXの充電電圧Vsは、グラフg13に示すように、バッテリ電圧Vbの変動に応じて変化する電圧となる。この場合、充電器1は、充電電圧Vsが第1閾値VLを下回ったことで給電を停止し、その後、出力電圧Vmが第2閾値VHを超えるまで復帰しても、充電が初期化されたと判断せず、充電を再開しない。
【0051】
このように、比較例のように、出力電圧Vmの大きさに応じて給電部のMOSFETのゲート電圧を制御しない場合には、バッテリ電圧Vbや出力電圧Vmの変動がスマートフォン3に伝達される。一方、本実施形態のように、出力電圧Vmの大きさに応じて給電部のMOSFETのゲート電圧を制御する場合には、バッテリ電圧Vbや出力電圧Vmの変動がスマートフォン3に伝達されず、中途半端な電圧(例えば第1閾値VL未満の電圧)の際にはMOSFETをオフにして、充電電圧Vsを0Vにする。よって、スマートフォン3側においても、供給される電圧の状況を判断し易く、電圧の復帰後に、充電が再開されたことを認識し易く、充電再開を受け入れやすくなる。よって、例えば、スマートフォン3の充電の異常が発生した場合に、USBケーブルを抜き差ししないとスマートフォン3が充電しないような設計になっていたとしても、充電器1は、疑似的に切断状態を作り出すことができ、スマートフォン3による充電再開を行い易くできる。
【0052】
図8Aは、SDP及びCDPの場合に通信部15によるD+/D-ラインの切断動作を説明する図である。
【0053】
通信部15は、D+端子に繋がるD+ラインと、D-端子に繋がるD-ラインをそれぞれ開閉自在でよい。通信部15は、バッテリ電圧Vbを基に生成される出力電圧Vmが第1閾値VLを下回り、スマートフォン3への電力供給が停止すると、制御部13による制御により、D+ライン及びD-ラインをそれぞれ一定期間切断してよい。一定期間は、出力電圧Vmが第1閾値VLを下回ってから再び第2閾値VHを超えるまでの期間であってもよいし、それより短い期間であってもよい。VBUSラインLsが電気的に遮断され、かつ、D+/D-ラインが一定期間切断されると、スマートフォン3は、充電停止(充電器1からの電力供給の停止)を認識する。
【0054】
図8Bは、DCPの場合に通信部15によるD+/D-ラインの切断動作を説明する図である。
【0055】
通信部15は、D+端子及びD-端子を200Ωの抵抗器で短絡するラインを開閉自在でよい。通信部15は、バッテリ電圧Vbを電源として生成される出力電圧Vmが第1閾値VLを下回り、スマートフォン3への充電が停止すると、制御部13による制御により、D+端子及びD-端子を200Ωの抵抗器で短絡するラインを一定期間切断してよい。一定期間は、出力電圧Vmが第1閾値VLを下回ってから再び第2閾値VHを超えるまでの期間であってもよいし、それより短い期間であってもよい。制御部13は、VBUSラインLsが電気的に遮断され、かつ、D+端子及びD-端子を200Ωの抵抗器で短絡するラインが一定期間切断されると、スマートフォン3は、充電停止(充電器1からの電力供給の停止)を認識する。
【0056】
なお、スマートフォン3は、VBUSラインLsの遮断、通信ラインCCの供給電圧の遮断若しくは定電流源の遮断(例えば略0Vの電圧となること)、及びD+/D-ラインの一定期間切断の少なくとも1つによって、充電停止を認識してもよい。
【0057】
上記構成を有する充電器1の動作を示す。
図9は、充電制御手順を示すフローチャートである。この動作は、例えば、充電器1の電源オンによって開始される。充電器1は、起動後、バッテリ2から供給されるバッテリ電圧Vbを電源として、USBコネクタ18にUSBケーブルを介して接続されたスマートフォン3の充電を開始する。
【0058】
電圧監視部12は、出力電圧生成部11から供給される出力電圧Vmを検知し、この出力電圧Vmが第1閾値VLより小さいか否かを判別する(S1)。出力電圧Vmが第1閾値VL以上である場合、電圧監視部12は、S1の処理を繰り返し、スマートフォン3の充電(スマートフォン3への電力供給)を継続する。
【0059】
S1で、バッテリ電圧Vbの低下等により出力電圧Vmが第1閾値VLより小さい場合、制御部13は、MOSFET141に入力されるゲートの電圧を閾値電圧Vth未満にしてMOSFET141をオフにし、少なくともVBUSラインLsを電気的に遮断する(S2)。また、制御部13は、通信ラインCCの供給電圧を遮断若しくは定電流源を遮断させ、通信ラインCCを電気的に遮断してもよい(S2)。また、制御部13は、D+/D-ラインを電気的に遮断してもよい。また、制御部13は、通信ラインCCの供給電圧を遮断若しくは定電流源を遮断させると共に、D+/D-ラインを電気的に遮断してもよい。VBUSラインLsの電気的な遮断と、通信ラインCCの電圧低下(電気的な遮断)又は/及びD+/D-ラインの電気的な切断との組み合わせによって、スマートフォン3は、充電が停止したと判断可能である。
【0060】
充電停止後、電圧監視部12は、出力電圧生成部11から供給される出力電圧Vmを検知し、出力電圧Vmが第2閾値VHより大きいか否かを判別する(S3)。出力電圧Vmが第2閾値VH以下である場合、充電器1は、S3の処理を繰り返し、スマートフォン3への充電停止を継続する。
【0061】
S3で、バッテリ電圧Vbの復帰等により出力電圧Vmが第2閾値VHより大きくなった場合、制御部13は、MOSFET141に入力されるゲート信号の電圧を閾値電圧Vthより大きな電圧にして、MOSFET141をオンにし、VBUSラインLsを導通させる(S4)。また、制御部13は、出力電圧Vmが第2閾値VHより大きくなった場合、且つ、充電電圧Vsが無効の閾値電圧VI以下の電圧になった場合に、MOSFET141をオンにし、VBUSラインLsを導通させてもよい。また、制御部13は、通信ラインCCの供給電圧を遮断若しくは定電流源を遮断させた(通信ラインCCを電気的に遮断した)場合、通信ラインCCの供給電圧の遮断若しくは定電流源の遮断から通信ラインCCの供給電圧を復帰若しくは定電流源を復帰させ、導通させてよい(S4)。また、制御部13は、D+/D-ラインを電気的に遮断した場合、D+/D-ラインの電気的な遮断を解除し、導通させてよい。この後、制御部13は、本動作を終了する。
【0062】
充電器1では、充電器1が充電中のスマートフォン3への電力供給を一旦停止させた後、バッテリ電圧の復帰により電力供給を再開しても、スマートフォン3が電力供給を受け付けず、スマートフォン3のバッテリの充電が再開されないといった不具合の発生を回避できる。したがって、電力供給が再開されずに、スマートフォン3がUSBコネクタ18及びUSBケーブルを介して充電器1に接続されたままとなり、ユーザが気付くことなく、充電されない状態が長く継続することを抑制できる。例えば、車両に搭載された充電器1へのバッテリ電圧がクランキング時に低下して電力供給不能な状態に陥った後、充電器1が電力供給可能な状態に復帰した場合にスマートフォン3への充電の再開確率を向上できる。
【0063】
(変形例1)
図10は、変形例1における充電器1Aの構成を示すブロック図である。充電器1Aでは、DCDCコントローラ30Aは、出力電圧生成部11A及び電圧監視部12Aを含むICモジュールで構成される。PDコントローラ50Aは、制御部13及び通信部15を含むICモジュールで構成される。
【0064】
電圧監視部12Aは、出力電圧生成部11Aの入力側の電圧、つまりバッテリ電圧Vbを検知する。電圧監視部12Aは、バッテリ電圧Vbが第1閾値VLを下回ると、出力電圧生成部11Aの動作を停止させる信号を出力し、その後にバッテリ電圧Vbが第2閾値VHを超えると、出力電圧生成部11Aの動作を再開させる信号を出力する。よって、出力電圧生成部11Aは、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上であると、出力電圧Vmを給電部14へ出力し、バッテリ電圧Vbが第1閾値VLを下回ると、出力電圧Vmを給電部14へ出力せず、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧に復帰すると、出力電圧Vmの給電部14への出力を再開する。出力電圧生成部11Aは、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧に復帰し、且つ、充電電圧Vsが無効の閾値電圧VI以下の電圧になった場合、出力電圧Vmの給電部14への出力を再開してもよい。バッテリ電圧Vbの通常時の電圧は、例えば12Vでよい。この場合、第1閾値VLは、例えば10.5Vに設定されてよい。第2閾値VHは、例えば11.5Vに設定されてよい。
【0065】
出力電圧生成部11Aの動作が停止すると、出力電圧生成部11Aから供給される出力電圧Vmは、略0Vに低下する。MOSFET141のソースが略0Vの電圧であるので、MOSFET141のドレインから略0Vの充電電圧Vsを出力する。したがって、MOSFET141のドレインに繋がるVBUSラインLsは、遮断された状態に等しくなる。
【0066】
また、PDコントローラ50Aは、出力電圧生成部11Aから供給される出力電圧Vmが略0Vに低下すると、通信部15は、制御部13の制御により、通信ラインCCの供給電圧を遮断若しくは定電流源を遮断させてよい。また、この場合、通信部15は、制御部13の制御により、D+/D-ラインを電気的に切断してよい。
【0067】
また、DCDCコントローラ30AがPDコントローラ50Aに電力を供給する場合、バッテリ電圧Vbが第1閾値VLを下回ると、DCDCコントローラ30Aは、PDコントローラ50Aに電力を供給しなくてもよい。PDコントローラ50Aに電力が供給されないと、PDコントローラ50Aは、動作しなくなる。よって、通信ラインCC及びD+/D-ラインは、電気的に遮断された状態となる。これにより、VBUSラインLs、通信ラインCC、及びD+/D-ラインの電気的な遮断によって、スマートフォン3は、充電器1との接続が解除されたと判断可能である。よって、VBUSラインLs、通信ラインCC、D+/D-ライン、等の電気的な再接続が行われることで、スマートフォン3が充電器1と再接続されたと認識し、充電を再開する可能性を高くすることができる。
【0068】
VBUSラインの遮断と、通信ラインCCの供給電圧の遮断、定電流源の遮断、及びD+/D-ラインの切断の少なくとも1つと、の組み合わせによって、スマートフォン3は、充電器1との接続が解除されたと判断可能である。よって、VBUSラインLs、通信ラインCC、D+/D-ライン、等の電気的な再接続が行われることで、スマートフォン3が充電器1と再接続されたと認識し、充電を再開する可能性を高くすることができる。
【0069】
充電器1Aでは、DCDCコントローラ30Aが電圧監視部12Aを含むので、PDコントローラ50Aの構成を簡単化できる。また、DCDCコントローラ30Aがバッテリ電圧Vbの低下によってVBUSラインLsの電圧を低下させることができる。したがって、充電器1Aは、制御部13による給電部14への制御を簡単化できる。
【0070】
(変形例2)
図11は、変形例2における充電器1Bの構成を示すブロック図である。実施形態の変形例2における充電器1Bは、変形例1における充電器1Aとほぼ同様の構成を有する。変形例1における充電器1Aと同一の構成要素については、同一の符号を付すことでその説明を省略する。
【0071】
DCDCコントローラ30Bの電圧監視部12Bは、出力電圧生成部11Bの入力側の電圧(バッテリ電圧Vb)を検知し、その検知結果を基に、制御部13に対し、直接に、MOSFET141をオフにする信号、又はMOSFET141をオンにする信号を出力する。これにより、DCDCコントローラ30Bが、VBUSラインLsの遮断・導通を制御可能である。
【0072】
出力電圧生成部11Bは、変形例1と異なり、電圧監視部12Bによって制御されない。出力電圧生成部11Bから供給される出力電圧Vmは、PDコントローラ50Bに入力される。通信部15は、出力電圧生成部11Bの出力電圧Vmが第1閾値VLを下回った場合、通信ラインCCを略0Vに低下させてよい。また、通信部15は、D+/D-ラインを電気的に切断してよい。出力電圧生成部11Bの出力電圧Vmが復帰した場合(第2閾値VHを上回った場合)、通信部15は、通信ラインCCの電圧を元の電圧に復帰させ、また、D+/D-ラインを導通させてよい。このように、VBUSラインLsの遮断と、通信ラインCCの供給電圧の遮断、定電流源の遮断、及びD+/D-ラインの電気的な切断の少なくとも1つとの組み合わせによって、スマートフォン3は、充電器1との接続が解除されたと判断可能である。よって、VBUSラインLs、通信ラインCC、D+/D-ライン、等の電気的な再接続が行われることで、スマートフォン3が充電器1と再接続されたと認識する可能性を高くすることができる。
【0073】
充電器1Bでは、変形例1と同様、DCDCコントローラ30Bが電圧監視部12Bを含むので、PDコントローラ50Bの構成を簡単化できる。また、充電器1Bは、直接制御できる。
【0074】
(変形例3)
図12は、実施形態の変形例3における充電器1Cの構成を示すブロック図である。実施形態の変形例3における充電器1Cは、変形例1における充電器1Aとほぼ同様の構成を有する。変形例1における充電器1A及び前記変形例2における充電器1Bと同一の構成要素については、同一の符号を付すことでその説明を省略する。
【0075】
充電器1Cは、DCDCコントーラ、PDコントローラ及び給電部を内蔵する単一のICモジュールであるチャージコントローラ80で構成される。電圧監視部12Cは、出力電圧生成部11の入力側のバッテリ電圧Vb、又は、出力電圧生成部11の出力側の出力電圧Vmを検知し、検知結果を制御部13に通知する。電圧監視部12Cがバッテリ電圧Vbを検知する場合、第1閾値VL及び第2閾値VHは、それぞれ例えば10.5V、11.5Vでよい。電圧監視部12Cが出力電圧生成部11の出力電圧Vmを検知する場合、第1閾値VL及び第2閾値VHは、それぞれ例えば4.5V、4.8Vでよい。制御部13は、上記の実施形態、変形例1、又は変形例2と同様の動作を行ってよい。
【0076】
充電器1Cでは、充電器1CがDCDCコントローラとPDコントローラの区別なく、単一のICモジュールであるチャージコントローラ80から構成されるので、取り扱いが容易である。
【0077】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
上記実施形態では、充電器は、充電制御を行うコントローラとして、PD機能を有するPDコントローラを備えることを例示したが、PD以外の充電規格に従うコントローラ(充電ポートコントローラ)を備えてもよい。充電ポートコントローラは、Type-C接続での充電規格の1つであるType-C Currentや従来のUSBの充電規格に従って、充電制御可能である。充電ポートコントローラは、Type-C Currentの充電規格に従う場合、CCピン(CC1端子又はCC2端子)の電圧値により供給電流を通知する。充電ポートコントローラは、通信部15を介したBMC符号を用いた通信を行わない。
【0079】
上記実施形態の変形例3では、チャージコントローラ80は、DCDCコンバータを内蔵したDCDCコンバータ内蔵のPDコントローラであることを例示したが、他のコントローラ(例えばDCDCコンバータ内蔵の充電ポートコントローラ)を有する単一のICモジュールとしてもよい。これにより、充電器は、単一のICモジュールで、PD機能を有しない充電規格に対応できる。
【0080】
上記実施形態では、充電器にUSBコネクタが1つ取り付けられている場合を示したが、複数のUSBコネクタが充電器に取り付けられてもよい。この場合、複数のUSBコネクタにそれぞれ接続された複数の電子機器は、個別にあるいは同時に充電されてもよい。
【0081】
上記実施形態では、充電器に入力される電源として、車載バッテリを示したが、これに限らず、太陽光発電パネル、発電機、等の入力電圧が変動し得る電源であってよい。また、充電器に入力される電源は、電気自動車やハイブリッドカー等の車両用の電源装置であってもよい。なお、車両用の電源装置には、車載バッテリが含まれてもよい。
【0082】
以上のように、上記実施形態の充電器1は、スマートフォン3(端末の一例)の充電を制御してよい。充電器1は、バッテリ2のバッテリ電圧Vbを入力し(入力電圧の取得の一例)、直流電圧変換を行い(入力電圧の変換の一例)、出力電圧Vmを生成する出力電圧生成部11(電圧生成部の一例)を備えてよい。充電器1は、VBUSラインLs(電圧供給ラインの一例)を介して充電電圧Vs(例えば出力電圧Vm)をスマートフォン3へ供給する給電部14を備えてよい。充電器1は、給電部14による充電電圧Vsの供給を制御する制御部13を備えてよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL(第1の閾値の一例)以上の電圧である場合、給電部14による充電電圧Vsをスマートフォン3に供給させてよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL未満の電圧である場合、給電部14による充電電圧Vsの供給を電気的に遮断してよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第2閾値VHを超える電圧に復帰した場合、給電部14による充電電圧Vsの供給を再開させてよい。上記の場合、制御部13は、バッテリ電圧Vb又は出力電圧Vmが第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、且つ、電気的に遮断された給電部14による充電電圧Vsが無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合に、給電部14による充電電圧Vsの供給を再開させてもよい。
【0083】
これにより、充電器1は、VBUSラインLsを電気的に遮断してから導通させることで、電気的に一度切断された状態を実現でき、スマートフォン3に新たに接続されたと認識させることができる。したがって、充電器1は、入力電圧が復帰した後、充電を再開できる。また、充電器1は、ユーザが気づかないまま充電されない状態が継続することを抑制できる。
【0084】
給電部14は、MOSFET141(トランジスタの一例)を有してよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧である場合、MOSFET141の閾値電圧Vth以上の電圧をMOSFET141のゲートに印加してよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL未満の電圧である場合、閾値電圧Vth以上の電圧をMOSFET141のゲートに印加しなくてよい。制御部13は、出力電圧Vm(又はバッテリ電圧Vb)が第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、MOSFET141のゲートへの閾値電圧Vth以上の電圧の供給を再開してよい。上記の場合、制御部13は、バッテリ電圧Vb又は出力電圧Vmが第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、且つ、電気的に遮断された給電部14による充電電圧Vsが無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合に、MOSFET141のゲートへの閾値電圧Vth以上の電圧の供給を再開してもよい。
【0085】
これにより、充電器1は、MOSFET141を用いてスイッチング動作を行い、VBUSラインLsの電気的な接続と遮断とを容易に制御できる。よって、スマートフォン3から見ると、VBUSラインの電気的な遮断と接続により、新たな充電器1にスマートフォン3が接続されたように見せることができ、スマートフォン3が充電を再開する確率が向上する。
【0086】
また、制御部13は、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧である場合、出力電圧Vmを給電部14へ出力してよい。制御部13は、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL未満の電圧である場合、出力電圧Vmを給電部14へ出力しなくてよい。制御部13は、入力電圧が第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、出力電圧Vmの給電部14への出力を再開してよい。上記の場合、制御部13は、バッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、且つ、電気的に遮断された給電部14による出力電圧Vmが無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合、出力電圧Vmの給電部14への出力を再開してもよい。
【0087】
これにより、充電器1は、スイッチングによるVBUSラインLsの電気的な遮断及び接続を行うことが不要となり、スイッチング制御が不要となり、充電器1の動作を簡素化できる。また、給電部14へ電力供給しないことで、VBUSラインLsに電力が供給されないので、省電力化を図れる。
【0088】
また、充電器1は、通信ライン(例えば通信ラインCC、D+/D-ライン)を介して、スマートフォン3の充電の制御に関するデータを通信する通信部15を備えてよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL以上の電圧である場合、通信ラインCCへ電圧を供給してよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VL未満の電圧である場合、通信ラインCCへの電圧の供給を遮断してよい。制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第2閾値VH以上の電圧に復帰した場合、通信ラインCCへの電圧の供給を再開してよい。この場合、制御部13は、バッテリ電圧Vb又は出力電圧Vmが第1閾値VL以上の電圧に復帰した場合、且つ、電気的に遮断された給電部14による出力電圧が無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合、通信ラインへの電圧の供給を再開してもよい。
【0089】
これにより、給電部14による電圧の供給と遮断とでは、スマートフォン3が充電を再開しなかった場合、充電器1は、通信ラインCCを電気的に遮断してから再度接続させることで、通信ラインCCが一旦切断された状態を実現できる。これにより、充電器1は、スマートフォン3が通信ラインCCに新たに接続したと認識する可能性を高めることができる。したがって、充電器1の入力電圧が復帰した後、スマートフォン3が充電を再開する可能性が高まる。
【0090】
また、通信ラインCCは、スマートフォン3との間で充電の制御に関するネゴシエーション(例えばPDプロトコルに則ったネゴシエーション)を行うための通信ラインCC(第1の通信ラインの一例)を含んでよい。制御部13は、通信ラインCCの供給電圧を遮断又は定電流源を遮断することにより、通信ラインCCを介した通信を遮断してよい。
【0091】
これにより、充電器1は、USB Type-Cの通信ラインCCを用いて、充電が停止したスマートフォン3の充電を再開させることができる可能性が高められる。
【0092】
また、通信部15は、スマートフォン3との間で接続を認識するためのハンドシェイクを行うD+/D-ライン(第2の通信ラインの一例)を含んでよい。制御部13は、D+/D-ラインを切断することで、D+/D-ラインへの電圧の供給を遮断してよい。
【0093】
これにより、充電器1は、USB2.0等の従来の信号伝送を行うためのD+/D-端子を用いて、充電が停止したスマートフォン3の充電を再開させることができる可能性を高められる。
【0094】
また、制御部13は、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VLよりも大きな第2閾値VH以上の電圧に復帰した場合に、給電部14による給電を再開させてよい。
【0095】
これにより、充電器1は、給電の停止と再開を行うタイミングにおいて、ヒステリシスを持たせることができ、給電の停止と再開とが繰り返されるハンチングを抑制できる。したがって、充電器1は、入力電圧が十分に所望の値に戻った後に、スマートフォン3への充電を再開させることができる。よって、充電再開後に、出力電圧Vm又はバッテリ電圧Vbが第1閾値VLの電圧を下回り、スマートフォン3への充電を停止する可能性を小さくでき、安定して充電可能となることが期待できる。
【0096】
なお、出力電圧生成部11に給電部14の機能が含まれてもよい。この場合、制御部13より出力電圧生成部11の給電制御機能を用いて電力の遮断、給電の再開を行っても、同等の機能が得られる。
【0097】
また、制御部13は、入力電圧又は出力電圧が第2閾値VH以上の電圧に復帰した場合、且つ、電気的に遮断された給電部14による出力電圧が無効の閾値電圧VI以下の電圧である場合、給電部14による出力電圧の供給を再開させてよい。
【0098】
これにより、充電器1は、給電部14による充電電圧Vsの供給の電気的な遮断後に、充電電圧Vsが十分に低い電圧に低下した後に、充電電圧Vsの供給を再開させることができ、充電の再開確率を一層向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本開示は、電力供給が可能な状態に復帰した場合に端末への充電の再開確率を向上できる充電制御装置及び充電制御方法等である。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B,1C 充電器
1z 筐体
2 バッテリ
3 スマートフォン
11,11A 出力電圧生成部
12,12A,12B 電圧監視部
13 制御部
14 給電部
15 通信部
18 USBコネクタ
30 DCDCコントローラ
50,50A,50B,150 PDコントローラ
80 チャージコントローラ
100 基板
141 MOSFET
143 寄生ダイオード
Ls VBUSライン
Vb バッテリ電圧
Vm 出力電圧
Vs 充電電圧