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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20230217BHJP
   G01R 21/133 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
G01R15/18 B
G01R21/133 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018046035
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019158621
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】水野 洋二
(72)【発明者】
【氏名】中南 良浩
(72)【発明者】
【氏名】永野 友一朗
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-234570(JP,A)
【文献】特開平10-026641(JP,A)
【文献】特開2015-090269(JP,A)
【文献】特開2000-261952(JP,A)
【文献】特開平10-185961(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278243(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/18
G01R 21/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐用ハーネスと、
前記分岐用ハーネスのカレントトランス側コネクタと接続され、導体を流れる電流を計測する1つのカレントトランスと、
前記分岐用ハーネスの複数の計測ユニット側コネクタと一対一に接続する複数の計測ユニットと、
前記複数の計測ユニットに対して前記カレントトランスからの出力を調整する調整部と、を備え、
前記分岐用ハーネスは、
前記1つのカレントトランスと接続するカレントトランス側コネクタと、
前記複数の計測ユニットと一対一に接続する複数の計測ユニット側コネクタとを備え、
前記カレントトランスからの出力を、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々を介して前記複数の計測ユニットに出力し、
前記1つのカレントトランスはアナログ信号を出力しており、
前記複数の計測ユニットの各々は、前記1つのカレントトランスから出力された電流を計測するための2つ以上の並列に接続された負担抵抗を有しており、
前記複数の計測ユニット側コネクタの各々は、前記複数の計測ユニットのうち対応する計測ユニットが有する前記2つ以上の並列に接続された負担抵抗のうち1つの負担抵抗と接続しており、
前記複数の計測ユニット側コネクタは、前記複数の計測ユニット側コネクタに前記複数の計測ユニットがそれぞれ接続された際に前記カレントトランス側コネクタに対して前記複数の計測ユニットがそれぞれ有し、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々に接続された複数の前記負担抵抗が並列接続するように構成されており、
前記1つのカレントトランスは、前記分岐用ハーネスを介して、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々に接続され、かつ並列接続された前記複数の負担抵抗のすべてに前記アナログ信号を出力し、
前記調整部は、前記複数の計測ユニットの各々に設けられており、
前記調整部の各々は、前記複数の計測ユニットの数に応じて、対応する計測ユニットが有する前記2つ以上の並列に接続された負担抵抗のうち1つの負担抵抗を選択する
ことを特徴とする計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に計測システムに関し、より詳細には電流を計測するセンサに用いる分岐用ハーネスを含む計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電流を計測する電流センサが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、電流センサとして、被計測電線を流れる電流を計測するための分割形変流器が記載されている。分割形変流器の開口部に被計測電線が挿通される。被計測電線に電流が流れると、分割形変流器に電流が発生し、分割形変流器から出力される電流を用いて、被計測電線に流れる電流を計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-13171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分割形変流器から出力される電流を用いた計測として、電力計測、逆潮流用計測等、複数の用途がある。複数の用途について計測を行う場合には、用途ごとに電流センサを用意する必要がある。そのため、複数の用途について計測を行う場合には、電流センサ(カレントトランス)の設置スペースが不足するという問題がある。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、複数の用途について計測を行う場合であっても、カレントトランスの設置スペースを確保することができる計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る計測システムは、分岐用ハーネスと、前記分岐用ハーネスのカレントトランス側コネクタと接続され、導体に流れる電流を計測する1つのカレントトランスと、前記分岐用ハーネスの複数の計測ユニット側コネクタと一対一に接続する複数の計測ユニットと、前記複数の計測ユニットに対して前記カレントトランスからの出力を調整する調整部と、を備える。前記分岐用ハーネスは、前記1つのカレントトランスと接続するカレントトランス側コネクタと、前記複数の計測ユニットと一対一に接続する複数の計測ユニット側コネクタとを備える。前記分岐用ハーネスは、前記カレントトランスからの出力を、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々を介して前記複数の計測ユニットに出力する。前記1つのカレントトランスはアナログ信号を出力する。前記複数の計測ユニットの各々は、前記1つのカレントトランスから出力された電流を計測するための2つ以上の並列に接続された負担抵抗を有している。前記複数の計測ユニット側コネクタの各々は、前記複数の計測ユニットのうち対応する計測ユニットが有する前記2つ以上の並列に接続された負担抵抗のうち1つの負担抵抗と接続している。前記複数の計測ユニット側コネクタは、前記複数の計測ユニット側コネクタに前記複数の計測ユニットがそれぞれ接続された際に前記カレントトランス側コネクタに対して前記複数の計測ユニットがそれぞれ有し、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々に接続された複数の前記負担抵抗が並列接続するように構成されている。前記1つのカレントトランスは、前記分岐用ハーネスを介して、前記複数の計測ユニット側コネクタの各々に接続され、かつ並列接続された前記複数の負担抵抗のすべてに前記アナログ信号を出力する。前記調整部は、前記複数の計測ユニットの各々に設けられている。前記調整部の各々は、前記複数の計測ユニットの数に応じて、対応する計測ユニットが有する前記2つ以上の並列に接続された負担抵抗のうち1つの負担抵抗を選択する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、複数の用途について計測を行う場合であっても、カレントトランスの設置スペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る計測システムの構成を説明する模式的な図である。
図2図2は、同上の計測システムの使用形態の一例を説明する図である。
図3図3は、実施形態1の変形例に係る計測システムの構成を説明する模式的な図である。
図4図4は、実施形態1の別の変形例に係る計測システムの構成を説明する模式的な図である。
図5図5は、実施形態2に係る計測システムの構成を説明する模式的な図である。
図6図6は、実施形態3に係る計測システムの構成を説明する模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る計測システムについて、図1図2を用いて説明する。
【0012】
(1)概要
本実施形態に係る計測システム1は、分電盤6に用いられ、分電盤6に流れる電流を計測する電流センサであるカレントトランス(CT)10の出力を、複数の計測ユニットに分岐する。
【0013】
分電盤6は、例えば単相3線式の配電方式であれば、図2に示すように、第1電圧線(L1)41と第2電圧線(L2)42と中性線(N)43とを有する電力線4に電気的に接続される。この場合、分電盤6は、第1電圧線41及び中性線43が電気的に接続された第1電圧系統と、第2電圧線42及び中性線43が電気的に接続された第2電圧系統と、第1電圧線41及び第2電圧線42が電気的に接続された第3電圧系統と、を有する。
【0014】
分電盤6は、需要家施設に設けられ、電力線4を介して第1電圧系統、第2電圧系統及び第3電圧系統から供給される交流電力を複数の分岐回路に分配する。具体的には、第1電圧線41と中性線43とに電気的に接続される分岐回路は、第1電圧系統から電力が供給される。第2電圧線42と中性線43とに電気的に接続される分岐回路は、第2電圧系統から電力が供給される。第1電圧線41と第2電圧線42とに電気的に接続される分岐回路53は、第3電圧系統から電力が供給される。ここでいう「分岐回路」は、分岐ブレーカ、並びに分岐ブレーカの二次側に接続される配線路、配線器具(アウトレット、壁スイッチなど)、及び各種の機器(照明器具、調理家電など)を含んでいる。
【0015】
第1電圧線41には、第1電圧線41に流れる電流を計測するためのCT10が設けられている。第2電圧線42には、第2電圧線42に流れる電流を計測するためのCT11が設けられている。
【0016】
分電盤6は、図2に示すように、電力線4に電気的に接続される主幹ブレーカ61と、主幹ブレーカ61の二次側端子に電気的に接続される複数の分岐ブレーカ62とをキャビネット60内に備えている。さらに、分電盤6は、計測システム1をキャビネット60内に備えている。
【0017】
主幹ブレーカ61の一次側端子は、3線式(第1電圧線41、第2電圧線42、及び中性線43)の電力線4を介して、系統電源に電気的に接続されている。主幹ブレーカ61の二次側端子には、3極(L1、L2、N)の導電バーが接続されている。これら3極の導電バーは、第1電圧線(L1)41、第2電圧線(L2)42、及び中性線(N)43と一対一に電気的に接続される。主幹ブレーカ61は、第1電圧系統、第2電圧系統及び第3電圧系統から供給される電力を複数の分岐回路に分配する。
【0018】
複数の分岐ブレーカ62は、導電バーに接続されることにより、主幹ブレーカ61の二次側端子に電気的に接続される。なお、複数の分岐ブレーカ62は、導電バーの幅方向の両側(上段と下段)に分かれて、それぞれ複数ずつ配置されている。
【0019】
本実施形態における「需要家施設」は、電力の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。本実施形態では、戸建住宅を需要家施設の一例として説明する。
【0020】
本実施形態に係る計測システム1は、第1電圧線41に設けられた1つのCT10と、分岐用ハーネス20と、複数の計測ユニット(ここでは、2つの計測ユニット31,32)を含む計測ユニット群30とを備える。CT10は、第1電圧線41に流れる電流を計測する。分岐用ハーネス20は、CT10からの出力を、計測ユニット31,32に分岐する。計測ユニット31,32では、CT10からの出力を基に各種計測を行う。ここでは、計測ユニット31,32が行う計測は、例えば電力計測、逆潮流防止のための計測、波形分析用の計測及びピークアラーム用の計測等である。
【0021】
(2)計測システムの詳細
計測システム1は、図1図2に示すように、第1電圧線41に設けられた1つのCT10と、分岐用ハーネス20と、複数の計測ユニットを含む計測ユニット群30とを備える。本実施形態では、計測ユニット群30は、2つの計測ユニット31,32を含む。
【0022】
CT10は、例えば貫通型CTであり、リング状のコア15と、コア15に巻回された励磁コイル16と、コネクタ17とを有する。コア15は、主幹ブレーカ61の一次側端子に接続された電力線4の電流を計測するように、電力線4に取り付けられている(図2参照)。具体的には、コア15は、第1電圧線41に取り付けられる。
【0023】
励磁コイル16の両端は、コネクタ17に接続されている。例えば、巻数が1000回である導線で励磁コイル16が形成される場合、第1電圧線41に10Aの電流が流れると、励磁コイル16では10mAの電流が流れる。励磁コイル16は、発生した電流を電流信号(アナログ信号)としてコネクタ17から出力する。
【0024】
分岐用ハーネス20は、CT側コネクタ21と、ハーネス22と、複数の計測ユニット側コネクタ(ここでは、2つの計測ユニット側コネクタ23,24)とを有している。
【0025】
CT側コネクタ21は、コネクタ17と接続される。
【0026】
計測ユニット側コネクタ23,24は、計測ユニット31,32と一対一に接続される。ここでは、計測ユニット側コネクタ23は計測ユニット31に、計測ユニット側コネクタ24は計測ユニット32に、それぞれ接続される。
【0027】
ハーネス22は、複数の導線を含んでいる。本実施形態では、ハーネス22は、3本の導線22a,22b,22cを含んでいる。ハーネス22が含む導線の本数は、CT10からの出力を分岐する数、つまり分岐用ハーネス20を介してCT10と接続される計測ユニットの数に応じて変更される。
【0028】
導線22aの一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の一端に接続される。導線22aの他端は、計測ユニット側コネクタ23に接続される。
【0029】
導線22bの一端は、計測ユニット側コネクタ23に接続され、導線22bの他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続される。
【0030】
導線22cの一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の他端に接続される。導線22cの他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続される。
【0031】
計測ユニット群30は、複数の計測ユニット(ここでは、2つの計測ユニット31,32)を含んでいる。
【0032】
計測ユニット31は、コネクタ35及び負担抵抗R1を有している。コネクタ35は、分岐用ハーネス20の計測ユニット側コネクタ23に接続される。負担抵抗R1は、低インピーダンス(例えば、100Ω)の抵抗であり、励磁コイル16から出力された電流を、電圧に変換する。負担抵抗R1の一端は、コネクタ35に接続され、コネクタ35及び計測ユニット側コネクタ23を介して導線22aと接続される。負担抵抗R1の他端は、コネクタ35に接続され、コネクタ35及び計測ユニット側コネクタ23を介して導線22bと接続される。計測ユニット31は、負担抵抗R1で変換された電圧を利用して、例えば第1電圧線41に供給される電力(消費電力)を計測する。
【0033】
計測ユニット32は、コネクタ36及び負担抵抗R2を有している。コネクタ36は、分岐用ハーネス20の計測ユニット側コネクタ24に接続される。負担抵抗R2は、低インピーダンス(例えば、100Ω)の抵抗であり、励磁コイル16から出力された電流を、電圧に変換する。負担抵抗R2の一端は、コネクタ36に接続され、コネクタ36及び計測ユニット側コネクタ24を介して導線22bと接続される。負担抵抗R2の他端は、コネクタ36に接続され、コネクタ36及び計測ユニット側コネクタ24を介して導線22cと接続される。計測ユニット32は、負担抵抗R2で変換された電圧を利用して、例えば第1電圧線41における逆潮流防止のための電力計測を行う。
【0034】
(3)利点
以上説明したように、分岐用ハーネス20は、CT10の励磁コイル16と複数の計測ユニット31,32との間に設けられる。複数の計測ユニット側コネクタ23,24に、計測ユニット31,32が一対一に接続されることで、複数の負担抵抗R1,R2は、直列に接続される(図1参照)。
【0035】
この構成によると、CT10の励磁コイル16と複数の計測ユニット31,32との間に分岐用ハーネス20を設けることで、CT10からの出力(電流)を複数の計測ユニット31,32に出力可能となる。この構成では、複数の負担抵抗R1,R2に流れる電流の量は、複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合に、それぞれの負担抵抗に流れる電流の量と同じである。そのため、この構成では、複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合と同様の電流を得るので、複数の計測ユニット31,32の負担抵抗R1,R2を変更する必要はない。したがって、分岐用ハーネス20を用いることで、既存の計測ユニットに何ら変更を加えることなく、1つのCT10から複数の計測ユニット31,32に出力するように簡単に構成を変更することができる。
【0036】
なお、第2電圧線42に設けられた1つのCT11についても、分岐用ハーネス20と同様の構成を有する分岐用ハーネスを介して、複数の計測ユニットと接続され、CT10と同様に計測システムを構成している。
【0037】
(4)変形例
実施形態では、計測システム1は、分岐用ハーネス20を用いることで、複数の負担抵抗R1,R2を直列に接続する構成としたが、この構成に限定されない。
【0038】
計測システム1は、分岐用ハーネスを用いることで、複数の負担抵抗R1,R2を並列に接続する構成としてもよい。
【0039】
本変形例の計測システム1について、図3を用いて説明する。以下、実施形態1とは異なる点を中心に説明する。実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0040】
本変形例の計測システムは、1つのCT10と、分岐用ハーネス20aと、2つの計測ユニット31,32を含む計測ユニット群30とを備える。
【0041】
分岐用ハーネス20aは、CT側コネクタ21と、ハーネス25と、複数の計測ユニット側コネクタ23,24とを有している。
【0042】
CT側コネクタ21は、コネクタ17と接続される。計測ユニット側コネクタ23は計測ユニット31に、計測ユニット側コネクタ24は計測ユニット32に、それぞれ接続される。
【0043】
ハーネス25は、複数の導線を含んでいる。本実施形態では、ハーネス25は、4本の導線25a,25b,25c,25dを含んでいる。ハーネス25が含む導線の本数は、CT10からの出力を分岐する数、つまり分岐用ハーネス20aを介してCT10と接続される計測ユニットの数に応じて変更される。
【0044】
導線25aの一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の一端に接続される。導線25aの他端は、計測ユニット側コネクタ23に接続され、計測ユニット側コネクタ23を介して負担抵抗R1の一端に接続される。
【0045】
導線25bの一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の他端に接続される。導線25bの他端は、計測ユニット側コネクタ23に接続され、計測ユニット側コネクタ23を介して負担抵抗R1の他端に接続される。
【0046】
導線25cの一端は、導線25aに接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の一端に接続される。導線25cの他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続され、計測ユニット側コネクタ24を介して負担抵抗R2の一端に接続される。
【0047】
導線25dの一端は、導線25bに接続され、CT側コネクタ21を介して励磁コイル16の他端に接続される。導線25dの他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続され、計測ユニット側コネクタ24を介して負担抵抗R2の他端に接続される。
【0048】
本変形例では、分岐用ハーネス20aの計測ユニット側コネクタ23,24に、計測ユニット31,32が一対一に接続されることで、複数の負担抵抗R1,R2は、並列に接続される(図3参照)。
【0049】
並列接続では、励磁コイル16から出力された電流が負担抵抗R1,R2に分配されるので、複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合において各計測ユニットで得られる電流の量と、複数の計測ユニット31,32で得られる電流の量は異なる。複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合において各計測ユニットで得られる電圧を、計測ユニット31,32で得るためには、負担抵抗R1,R2の値を調整する必要がある。例えば、第1電圧線41に10Aの電流が流れ、励磁コイル16では10mAの電流が流れる場合において、複数の計測ユニット31,32には5mAの電流がそれぞれ流れる。一方、複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合には、複数の計測ユニット31,32には10mAの電流がそれぞれ流れる。本変形例の構成において、複数の計測ユニットにそれぞれ個別にCTを設けた場合に得られる電圧を得るためには、負担抵抗R1,R2の値を200Ωにする必要がある。負担抵抗R1,R2の値を200Ωとした場合、負担抵抗R1,R2の合成抵抗の値は、100Ωとなる。つまり、並列接続させる負担抵抗の数に応じて、負担抵抗の値を調整して、合成抵抗が元の数値と一致させることで、理想のCT状態を保つことができる。
【0050】
また、CT10に接続される計測ユニットの数が可変である場合には、上述したように計測ユニットの数に応じて負担抵抗の値を変更する必要がある。そこで、計測ユニット31、32の各々は、複数の負担抵抗を有する(図4参照)。具体的には、計測ユニット31は、複数の負担抵抗(例えば、2つの負担抵抗R1,R11)を有する。計測ユニット32は、複数の負担抵抗(例えば、2つの負担抵抗R2,R21)を有する(図4参照)。
【0051】
計測ユニット31、32の各々は、複数の負担抵抗のうちCT10に接続される1つの負担抵抗を切り替えるスイッチを有している。具体的には、計測ユニット31は、負担抵抗R1、R11のうちCT10に接続される1つの負担抵抗を切り替えるスイッチSW1を有している(図4参照)。計測ユニット32は、負担抵抗R2、R21のうちCT10に接続される1つの負担抵抗を切り替えるスイッチSW2を有している(図4参照)。
【0052】
スイッチSW1,SW2は、CT10に接続される計測ユニット31,32の数に応じて、CT10の出力から得られる電圧の補正(調整)を行う調整部として機能する。
【0053】
本変形例では、計測ユニットは、スイッチを用いて負担抵抗を切り替える構成としたが、この構成に限定されない。計測ユニットは、オペアンプを用いて負担抵抗に対する電圧を補正してもよい。または、計測ユニットは、負担抵抗で変換された電圧の値と、補正後の電圧の値とを対応付けた出力電圧テーブルを予め記憶しておき、当該出力電圧テーブルを用いて、負担抵抗で得られる電圧の値を補正してもよい。これらの場合、オペアンプの機能が本開示の調整部に、出力電圧テーブルを用いて負担抵抗で得られる電圧の値を補正する機能が本開示の調整部に、それぞれ相当する。
【0054】
(実施形態2)
本実施形態では、CT10から出力された電流信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換して計測ユニット31,32に出力する点が、実施形態1と異なる。以下、実施形態1とは異なる点を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0055】
本実施形態の分岐用ハーネス20bは、CT側コネクタ21、ハーネス200、複数の計測ユニット側コネクタ(ここでは、2つの計測ユニット側コネクタ23,24)を有している(図5参照)。
【0056】
ハーネス200は、複数の通信線(ここでは、2つの通信線201,202)を含んでいる。ハーネス200が含む通信線の本数は、分岐用ハーネス20bを介してCT10と接続される計測ユニットの数に応じて変更される。通信線201の一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21からの出力を受ける。通信線201の他端は、計測ユニット側コネクタ23に接続される。通信線202の一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21からの出力を受ける。通信線202の他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続される。
【0057】
CT側コネクタ21は、A/D変換部210を有している。A/D変換部210は、CT10の励磁コイル16から出力された電流信号をデジタル信号に変換する。A/D変換部210は、デジタル化された電流の値を、通信線201を介して計測ユニット31に、通信線202を介して計測ユニット32に、それぞれ出力する。
【0058】
計測ユニット31は制御部310と、計測ユニット32は制御部320を、それぞれ備える。
【0059】
計測ユニット31は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有している。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、制御部310の機能を実現する。プログラムは、ここではインターネット等の電気通信回線を通じて、あるいはメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されるが、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよい。
【0060】
制御部310は、A/D変換部210から受け取った電流の値(デジタル信号)を基に、例えば第1電圧線41に供給される電力(消費電力)を計測する。
【0061】
計測ユニット32は、CPU及びメモリを有している。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、制御部320の機能を実現する。プログラムは、ここではインターネット等の電気通信回線を通じて、あるいはメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されるが、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよい。
【0062】
制御部320は、A/D変換部210から受け取った電流の値(デジタル信号)を基に、例えば第1電圧線41における逆潮流防止のための電力計測を行う。
【0063】
以上説明したように、CT10で計測された電流をデジタル信号に変換することで、CT10で計測された電流をアナログで出力した場合と比較して減衰しないので、デジタル信号で表される電流の値は、複数の計測ユニット31,32の数によって変化しない値である。よって、CT10で計測された電流をデジタル信号に変換することで、正確な電流の値を計測ユニット31,32へ出力することができる。
【0064】
(実施形態3)
本実施形態では、CT10から出力された電流信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、その後再度アナログに変換して計測ユニット31,32に出力する点が、実施形態1,2と異なる。以下、実施形態1とは異なる点を中心に説明する。なお、実施形態1,2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0065】
本実施形態の分岐用ハーネス20bは、CT側コネクタ21、ハーネス200、複数の計測ユニット側コネクタ(ここでは、2つの計測ユニット側コネクタ23,24)を有している(図6参照)。
【0066】
ハーネス200は、複数の通信線(ここでは、2つの通信線201,202)を含んでいる。通信線201の一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21からの出力を受ける。通信線201の他端は、計測ユニット側コネクタ23に接続される。通信線202の一端は、CT側コネクタ21に接続され、CT側コネクタ21からの出力を受ける。通信線202の他端は、計測ユニット側コネクタ24に接続される。
【0067】
CT側コネクタ21は、A/D変換部210を有している。A/D変換部210は、CT10の励磁コイル16から出力された電流信号をデジタル信号に変換する。A/D変換部210は、デジタル化された電流の値を、通信線201を介して計測ユニット31に、通信線202を介して計測ユニット32に、それぞれ出力する。
【0068】
計測ユニット側コネクタ23は、D/A変換部230を有している。D/A変換部230は、A/D変換部210から受け取ったデジタル信号を、再度アナログ信号に変換する。D/A変換部230は、アナログ化された電流の値を、コネクタ35に出力する。
【0069】
計測ユニット側コネクタ24は、D/A変換部240を有している。D/A変換部240は、A/D変換部210から受け取ったデジタル信号を、再度アナログ信号に変換する。D/A変換部240は、アナログ化された電流の値を、コネクタ36に出力する。
【0070】
計測ユニット31は、コネクタ35及び負担抵抗R1を有している。コネクタ35は、分岐用ハーネス20の計測ユニット側コネクタ23に接続される。負担抵抗R1は、低インピーダンス(例えば、100Ω)の抵抗であり、D/A変換部230から出力された電流を電圧に変換する。計測ユニット31は、負担抵抗R1で変換された電圧を利用して、例えば第1電圧線41に供給される電力(消費電力)を計測する。
【0071】
計測ユニット32は、コネクタ36及び負担抵抗R2を有している。コネクタ36は、分岐用ハーネス20の計測ユニット側コネクタ24に接続される。負担抵抗R2は、低インピーダンス(例えば、100Ω)の抵抗であり、D/A変換部240から出力された電流を電圧に変換する。計測ユニット32は、負担抵抗R2で変換された電圧を利用して、例えば第1電圧線41における逆潮流防止のための電力計測を行う。
【0072】
以上説明したように、CT10で計測された電流をデジタル信号に変換し、送信後に再度アナログに変換することで、正確な電流の値を計測ユニット31,32へ出力することができる。
【0073】
(変形例)
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記各実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0074】
実施形態では、分岐用ハーネス20を、主幹ブレーカ61に流れる電流を計測するCT10(電流計測用のCT)に用いる構成としたが、この構成に限定されない。分岐用ハーネス20は、電力源CT、PLC(programmable logic controller)用CT等に用いてもよい。
【0075】
または、分岐用ハーネス20は、分岐回路に流れる電流を計測する電流センサに用いてもよい。
【0076】
実施形態では、需要家施設として戸建住宅を一例として説明したが、需要家施設は、非住宅の施設であってもよい。
【0077】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の分岐用ハーネス(20)は、カレントトランス側コネクタ(21)と、複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)とを備える。カレントトランス側コネクタ(21)は、導体(例えば、第1電圧線41、第2電圧線42)を流れる電流を計測するカレントトランス(10)と接続する。複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、複数の計測ユニット(31,32)と一対一に接続する。分岐用ハーネス(20)は、カレントトランス(10)からの出力を、複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)の各々を介して複数の計測ユニット(31,32)に出力する。
【0078】
この構成によると、1つのカレントトランス(10)の出力を副薄の計測ユニット(31,32)に分岐するので、複数の用途について計測を行う場合であっても、カレントトランス(10)の設置スペースを確保することができる。
【0079】
第2の態様の分岐用ハーネス(20)では、第1の態様において、カレントトランス(10)はアナログ信号を出力している。複数の計測ユニット(31,32)の各々は、カレントトランス(10)から出力された電流を計測するための負担抵抗(R1,R2,R11,R21)を有している。複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)の各々は、複数の計測ユニット(31,32)のうち対応する計測ユニットが有する負担抵抗と接続している。
【0080】
この構成によると、複数の計測ユニット(31,32)の各々で、カレントトランス(10)から出力された電流を電圧に変換させることができる。そのため、複数の計測ユニット(31,32)の各々で、用途に応じた計測が可能となる。
【0081】
第3の態様の分岐用ハーネス(20)では、第2の態様において、複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、複数の計測ユニット(31,32)がそれぞれ有する複数の負担抵抗(R1,R2)が直列接続するように構成されている。
【0082】
この構成によると、分岐用ハーネス(20)を用いることで、既存の計測ユニットに何ら変更を加えることなく、1つのカレントトランス(10)から複数の計測ユニット(31,32)に出力するように簡単に構成を変更することができる。
【0083】
第4の態様の分岐用ハーネス(20)では、第2の態様において、複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、複数の計測ユニット(31,32)がそれぞれ有する複数の負担抵抗(R1,R2)が並列接続するように構成されている。
【0084】
この構成によると、負担抵抗の合成値を小さくすることができる。
【0085】
第5の態様の分岐用ハーネス(20)では、第1の態様において、複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、カレントトランス(10)から出力された電流に基づいて変換され、かつ複数の計測ユニット(31,32)の数によって変化しない値を、複数の計測ユニット(31,32)に出力する。
【0086】
この構成によると、正確な電流の値を計測ユニット(31,32)へ出力することができる。
【0087】
第6の態様の分岐用ハーネス(20)は、第5の態様において、カレントトランス(10)から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部(210)を、さらに備える。複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、デジタル信号を複数の計測ユニット(31,32)に出力する。
【0088】
この構成によると、カレントトランス(10)から出力された電流をデジタル信号に変換することで、正確な電流の値を計測ユニット(31,32)へ出力することができる。
【0089】
第7の態様の分岐用ハーネス(20)は、第6の態様において、デジタル信号を、アナログ信号に変換するD/A変換部(350,360)を、さらに備える。複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)は、D/A変換部(230,240)が変換したアナログ信号を複数の計測ユニット(31,32)に出力する。
【0090】
この構成によると、デジタル信号を再度アナログ信号に変換することで、正確な電流の値を計測ユニット(31,32)へ出力することができる。
【0091】
第8の態様の計測システム(1)は、第1~第7のいずれかの態様の分岐用ハーネス(20)と、カレントトランス(10)と、複数の計測ユニット(31,32)とを備える。カレントトランス(10)は、分岐用ハーネス(20)のカレントトランス側コネクタ(21)と接続する。複数の計測ユニット(31,32)は、分岐用ハーネス(20)の複数の計測ユニット側コネクタ(23,24)と一対一に接続する。
【0092】
この構成によると、複数の用途について計測を行う場合であっても、カレントトランス(10)の設置スペースを確保することができる。
【0093】
第9の態様の計測システム(1)は、第8の態様において、複数の計測ユニット(31,32)に対してカレントトランス(10)からの出力を調整する調整部(例えばスイッチSW1,SW2)を、さらに備える。
【0094】
この構成によると、カレントトランス(10)の出力から得られる値を補正することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 計測システム
10,11 カレントトランス(CT)
20,20a,20b 分岐用ハーネス
21 カレントトランス側コネクタ(CT側コネクタ)
23,24 計測ユニット側コネクタ
31,32 計測ユニット
41 第1電圧線(導体)
42 第2電圧線(導体)
210 A/D変換部
230,240 D/A変換部
R1,R2,R11,R21 負担抵抗
SW1,SW2 スイッチ(調整部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6