(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】入力装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20230217BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
H01H13/14 A
H01H9/18 B
(21)【出願番号】P 2019115786
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕也
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-162934(JP,A)
【文献】特開2008-192449(JP,A)
【文献】特開2014-130711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
H01H 89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の両側に第1面及び第2面を有する基板と、
前記基板から見て前記第1面側に配置され、前記厚み方向に沿った操作を受け付ける操作体と、
前記操作体又は前記操作体に連動する可動部からなる可動部材の移動方向を、前記厚み方向に沿った方向に制限するガイド部と、を備え、
前記基板には、前記操作体の操作に応じた電気信号を出力する検知素子が実装されており、
前記ガイド部と前記可動部材との一方は内壁部を有し、他方は外壁部を有しており、
前記外壁部は、前記厚み方向に沿った軸を持つ筒状に形成されており、
前記内壁部は、前記厚み方向において前記外壁部に対して相対的に移動可能な状態で、前記外壁部の内側に挿入されており、
前記内壁部と前記外壁部との一方を第1壁とし、他方を第2壁とした場合に、
前記第1壁における前記第2壁との対向面には、前記厚み方向に沿って延びる溝部が設けられており、
前記溝部は、1つの第1溝部と、一対の第2溝部とを含み、
1つの前記第1溝部には、前記第2壁に設けられた1つの第1突起が挿入され、
一対の前記第2溝部には、前記第2壁に設けられた一対の第2突起がそれぞれ挿入され、
前記ガイド部は、前記基板の前記厚み方向に直交する平面内において互いに離れて配置される第1部位及び第2部位を有し、
前記第1部位は、前記厚み方向に直交する第1方向における前記可動部材の移動を規制する1つの前記第1溝部、又は、1つの前記第1突起であり、
前記第2部位は、前記厚み方向および前記第1方向のいずれとも直交する第2方向における前記可動部材の移動を規制する一対の前記第2溝部、又は、一対の前記第2突起であり、
前記第1部位の少なくとも一部は、前記基板を前記厚み方向に貫通する貫通孔内に配置されることにより、前記厚み方向において前記第1面及び前記第2面の間に位置し、
前記第2部位は、前記基板から見て前記第1面側に位置する、
入力装置。
【請求項2】
前記ガイド部の少なくとも一部は、前記基板の側方に配置されることにより、前記厚み方向において前記第1面及び前記第2面の間に位置する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記基板と一体である、
請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記可動部材の少なくとも一部は、前記基板を前記厚み方向に貫通する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記基板の前記貫通孔には、前記ガイド部の少なくとも一部である挿入部が挿入されており、
前記挿入部は、前記厚み方向における前記操作体側が開放され、前記厚み方向における前記操作体側と反対方向側が閉じた筒状に形成されており、
前記第1部位の少なくとも一部は、前記挿入部に挿入されている、
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記基板の前記第1面には、発光素子が実装されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記ガイド部の少なくとも一部は、前記基板から見て前記第2面側に位置する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記可動部は、前記検知素子に対向し、前記厚み方向における前記基板側に突出する押片が設けられている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の入力装置と、
移動体本体と、を備える、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に入力装置及び移動体に関し、より詳細には、基板の一面側に配置される操作体を備える入力装置及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作体の操作を円滑に行うことができるようにした、入力装置(プッシュスイッチ)が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の入力装置は、第1外周壁を有するケーシングと、第2外周壁を有する操作体と、を備えている。ケーシングの第1外周壁には、ガイド部(第1ガイド部)が設けられている。操作体の第2外周壁には、ガイド部と嵌合するリブ(第1係合部)が設けられている。そして、操作体を下方に押されると、操作体は、リブがガイド部に沿って移動しながら、下方に移動する。そのため、操作体を操作するときに、がたつきが生じにくく、円滑に操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成では、操作体の良好な操作性を実現するために、操作体の移動方向において、ガイド部のうちリブを支持する部分の長さ(ガイド長)を十分に確保する必要がある。このガイド長を確保するためには、操作体の基板からの高さを比較的大きく確保する必要があって、入力装置のサイズ又はデザインの自由度が制約を受けることがある。
【0006】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、サイズ又はデザインの自由度を向上させやすい入力装置及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る入力装置は、基板と、操作体と、ガイド部と、を備える。前記基板は、厚み方向の両側に第1面及び第2面を有する。前記操作体は、前記基板から見て前記第1面側に配置される。前記操作体は、前記厚み方向に沿った操作を受け付ける。前記ガイド部は、可動部材の移動方向を、前記厚み方向に沿った方向に制限する。前記可動部材は、前記操作体又は前記操作体に連動する可動部からなる。前記基板には、前記操作体の操作に応じた電気信号を出力する検知素子が実装されている。前記ガイド部と前記可動部材との一方は内壁部を有し、他方は外壁部を有している。前記外壁部は、前記厚み方向に沿った軸を持つ筒状に形成されている。前記内壁部は、前記厚み方向において前記外壁部に対して相対的に移動可能な状態で、前記外壁部の内側に挿入されている。前記内壁部と前記外壁部との一方を第1壁とし、他方を第2壁とした場合に、前記第1壁における前記第2壁との対向面には、前記厚み方向に沿って延びる溝部が設けられており、前記溝部は、1つの第1溝部と、一対の第2溝部とを含む。1つの前記第1溝部には、前記第2壁に設けられた1つの第1突起が挿入され、一対の前記第2溝部には、前記第2壁に設けられた一対の第2突起がそれぞれ挿入される。前記ガイド部は、前記基板の前記厚み方向に直交する平面内において互いに離れて配置される第1部位及び第2部位を有する。前記第1部位は、前記厚み方向に直交する第1方向における前記可動部材の移動を規制する1つの前記第1溝部、又は、1つの前記第1突起であり、前記第2部位は、前記厚み方向および前記第1方向のいずれとも直交する第2方向における前記可動部材の移動を規制する一対の前記第2溝部、又は、前記第2突起である。前記第1部位の少なくとも一部は、前記基板を前記厚み方向に貫通する貫通孔内に配置されることにより、前記厚み方向において前記第1面及び前記第2面の間に位置し、前記第2部位は、前記基板から見て前記第1面側に位置する。
【0008】
本開示の一態様に係る移動体は、前記入力装置と、移動体本体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、サイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、実施形態1に係る入力装置の側面図である。
図1Bは、同上の入力装置の一部破断した斜視図である。
【
図2】
図2Aは、同上の入力装置の斜視図である。
図2Bは、同上の入力装置の分解斜視図である。
【
図4】
図4Aは、同上の入力装置の要部の斜め前方から見た分解斜視図である。
図4Bは、同上の入力装置の要部の斜め後方から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6Aは、比較例に係る入力装置の構成を示し、
図5AのC2-C2線断面に相当する断面図である。
図6Bは、同上の入力装置の構成を示し、
図5AのC3-C3線断面に相当する断面図である。
【
図7】
図7Aは、実施形態1に係る入力装置の構成を示し、
図5AのC2-C2線断面に相当する断面図である。
図7Bは、同上の入力装置の構成を示し、
図5AのC3-C3線断面に相当する断面図である。
【
図8】
図8Aは、実施形態1の変形例に係る入力装置の要部の概略断面図である。
図8Bは、実施形態1の他の変形例に係る入力装置の要部の概略断面図である。
【
図9】
図9Aは、実施形態1の変形例に係る入力装置の断面図である。
図9Bは、実施形態1の他の変形例に係る入力装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る入力装置1は、
図1A~
図2Bに示すように、基板2と、基板2の一面(第1面21)側に配置される操作体3を備えている。本開示でいう「入力装置」は、人又はアクチュエータ等による操作を受け付ける機能を有し、操作に応じた電気信号を出力する装置であって、例えば、スイッチ装置、エンコーダ装置又は可変抵抗器等である。
【0012】
本実施形態では一例として、入力装置1が、人による操作体3の押操作に応じて検知素子5(
図1B参照)がオン/オフするプッシュスイッチ(スイッチ装置)である場合を想定する。つまり、入力装置1は、人による押操作を、押ボタンとしての操作体3にて受け付けると、検知素子5のオン/オフが切り替わって検知素子5の出力が変化する。
【0013】
この種の入力装置1は、例えば、移動体100(
図3A参照)に搭載される。すなわち、本実施形態に係る移動体100は、
図3A及び
図3Bに示すように、入力装置1と、移動体本体101と、を備えている。移動体本体101は、一例として、自動車(四輪車)の車両である。本実施形態では、入力装置1は、移動体本体101(車両)のインストルメントパネル102に設けられるスイッチとして用いられる。
図3Aにおいては、移動体本体101のインストルメントパネル102部分を吹き出し内に表しているが、「吹き出し」は実体を伴わない。
【0014】
ところで、本実施形態に係る入力装置1は、
図1A及び
図1Bに示すように、基板2と、操作体3と、ガイド部4と、を備えている。基板2は、厚み方向の両側に第1面21及び第2面22を有する。操作体3は、基板2から見て第1面21側に配置されている。操作体3は、(基板2の)厚み方向に沿った操作を受け付ける。ガイド部4は、可動部材30の移動方向を、(基板2の)厚み方向に沿った方向に制限する。可動部材30は、操作体3又は操作体3に連動する可動部からなる。ここで、ガイド部4の少なくとも一部は、(基板2の)厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置する。
【0015】
本実施形態では一例として、可動部材30が操作体3からなる場合について説明する。つまり、可動部材30は、その全体が押ボタンとしての操作体3である。そのため、ガイド部4は、操作体3の移動方向を、(基板2の)厚み方向に沿った方向に制限することになる。
【0016】
上述した構成によれば、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の長さであるガイド長を、比較的大きく確保しやすくなる。すなわち、ガイド部4の少なくとも一部は、(基板2の)厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置するのであって、言い換えれば、ガイド部4は、少なくとも一部が基板2の厚み内に食い込むように設けられることになる。したがって、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが同じであるとすれば、基板2から見て第1面21側のみにガイド部4が位置する場合に比べて、操作体3の移動方向である厚み方向における、ガイド部4の寸法を大きく確保できる。よって、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さを抑えながらも、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の移動方向の長さであるガイド長については、比較的大きく確保しやすくなる。その結果、入力装置1のサイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。
【0017】
(2)詳細
以下に、本実施形態に係る入力装置1及び移動体100の構成について、
図1A~
図7Bを参照して詳細に説明する。
【0018】
(2.1)前提
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を設定し、特に、基板2の厚み方向に沿った軸を「Y軸」とし、基板2の長手方向に沿った軸を「X軸」とする。「Z軸」は、これらX軸及びY軸のいずれとも直交する。以下の説明では、Y軸方向を単に「厚み方向」とすることもある。さらに、入力装置1を移動体本体101に搭載した状態では、Z軸の正の向きが上方となるので、Z軸の正の向きを「上方」ということもある。同様に、Y軸に沿った方向は前後方向となるので、Y軸方向を前後方向とし、Y軸の正の向きを「前方」ということもある。X軸、Y軸及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は入力装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。さらに、
図6A~
図7B中の方向を示す矢印(D1)等、図面中において各部の動作(移動)を表すために付した記号(矢印)についても、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。
【0019】
本開示でいう「沿う」とは、2者間が略平行、つまり2者が厳密に平行な場合に加えて、2者間の角度が数度(例えば10度未満)程度の範囲に収まる関係にあることをいう。例えば、操作体3がY軸に沿って移動するといえば、操作体3が、Y軸に対して略平行な(厳密に平行、又は両者間の角度が数度程度に収まる関係にある)方向に移動することを意味する。
【0020】
同様に、本開示でいう「直交」とは、2者間が略90度で交わる、つまり2者が厳密に直交する場合に加えて、2者間の角度が90度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。
【0021】
(2.2)入力装置の全体構成
まず、本実施形態に係る入力装置1の全体構成について、
図1A~
図3Bを参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係る入力装置1は、上述したように、基板2と、操作体3と、ガイド部4と、を備えている。本実施形態では、入力装置1は、基板2、操作体3及びガイド部4に加えて、
図2Bに示すように、検知素子5、ボディ6、カバー7及び発光素子8を更に備えている。
【0023】
本実施形態では一例として、1枚の基板2に対して、操作体3が複数設けられている場合を想定する。すなわち、入力装置1は、複数の操作体3を備えている。さらに、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8は、操作体3に対応して設けられるので、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8の各々についても、操作体3と同様に、1枚の基板2に対して複数設けられている。
【0024】
本実施形態では、1枚の基板2に対して3つの操作体3が設けられている。よって、本実施形態に係る入力装置1は、
図2A及び
図2Bに示すように、3つの操作体3と、3つのガイド部4と、3つの検知素子5と、3つの発光素子8と、を備えている。言い換えれば、入力装置1は、操作体3、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8の組み合わせを、3組備えている。そして、複数組(ここでは3組)の操作体3、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8は、基板2の長手方向であるX軸方向に並べて配置されている。
【0025】
これら複数の操作体3は、個別に操作可能であって、各組の操作体3、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8は同様の動きをする。すなわち、入力装置1は、複数(ここでは3つ)のスイッチが連ねて配置された3連スイッチを構成する。本実施形態では、特に断りが無い限り、複数組の操作体3、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8のうち、いずれか1組の操作体3、ガイド部4、検知素子5及び発光素子8について説明する。
【0026】
基板2は、プリント配線板である。基板2は、厚み方向(Y軸方向)の両側に第1面21及び第2面22を有している。基板2の前面となる第1面21には、検知素子5及び発光素子8が実装されている。基板2には、基板2を厚み方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔23が形成されている。貫通孔23は、複数の操作体3に一対一で対応するように複数(ここでは3つ)形成されている。貫通孔23には、後述するガイド部4の一部である挿入部42(
図1B参照)が挿入される。そのため、貫通孔23は、正面視において、挿入部42の形状に合わせた逆T字状に形成されている。
【0027】
操作体3は、例えば、合成樹脂製である。操作体3は、基板2から見て第1面21側に配置される。操作体3は、前方(Y軸の正の向き)に向けられた表面301を有している。操作体3は、(基板2の)厚み方向(Y軸方向)に沿った操作を受け付ける。具体的には、基板2の厚み方向は前後方向であるので、操作体3の表面301が後方(Y軸の負の向き)に押されると、操作体3はY軸に沿って真っ直ぐ後方に移動する。ここで、操作前の操作体3の位置を待機位置とし、操作後の操作体3の位置を操作位置とすると、操作体3は、待機位置と操作位置との間で、Y軸に沿って直進移動する。
【0028】
また、操作体3は、検知素子5に対向する位置に、検知素子5を押すための押片303を有している。本実施形態では、操作体3は、後面が開放された箱状に形成されている。押片303は、このような操作体3の前板32(
図1B参照)から後方(Y軸の負の向き)に突出する。したがって、操作体3は、その表面301が人によって直接的に押操作されることで、待機位置から操作位置に移動し、操作位置において押片303にて検知素子5を押操作する。これにより、操作体3の表面301に加えられた力は、押片303から検知素子5に伝達され、検知素子5は、操作体3にて間接的に操作されることになる。
【0029】
本実施形態では、上述したように、可動部材30は、その全体が押ボタンとしての操作体3である。つまり、操作体3は、可動部材30として、その移動方向が、ガイド部4にて(基板2の)厚み方向に沿った方向に制限されることになる。この点について詳しくは「(2.3)ガイド構造」の欄で説明する。
【0030】
検知素子5は、操作体3の操作に応じた電気信号を出力する素子であって、例えば、メカニカルスイッチ、タッチセンサ、又は光学式若しくは磁気非接触式のセンサ等である。検知素子5は、基板2の第1面21に実装されている。すなわち、基板2には、操作体3の操作に応じた電気信号を出力する検知素子5が実装されている。本実施形態では一例として、検知素子5は、モーメンタリ動作をするノーマリオフタイプ(常開型)のメカニカルスイッチである。そのため、操作体3が押操作され、待機位置から操作位置に操作体3が移動することをもって検知素子5がオンする。また、検知素子5は、操作体3が操作位置にある状態では、押片303を前方(Y軸の正の向き)に押し戻す力を操作体3に作用させる。したがって、操作体3から人が手(指)を離すと、操作体3は、検知素子5からの反力を受けて、操作位置から待機位置に復帰することになる。このとき、検知素子5はオフになる。
【0031】
ボディ6は、操作体3を保持する部材である。ここで、ボディ6は、少なくともY軸に沿って待機位置と操作位置との間で直進移動可能な状態で、操作体3を保持する。本実施形態では、ボディ6は、Y軸方向において、基板2と操作体3との間に配置されている。つまり、ボディ6は、基板2の第1面21側であって、操作体3の後方に配置されている。
【0032】
ボディ6は、例えば、合成樹脂製であって、接着、溶着又は圧着等の適宜の結合手段により、基板2と機械的に結合されている。具体的には、ボディ6には、ボディ6をY軸方向に貫通する窓孔61(
図4A及び
図4B参照)が形成されている。窓孔61は、正面視において、四角形状に開口する。窓孔61は、複数の操作体3に一対一で対応するように複数(ここでは3つ)形成されている。窓孔61の後面(操作体3とは反対側の面)を基板2にて塞ぐように、基板2とボディ6とが結合されている。言い換えれば、基板2の前面(第1面21)は、ボディ6にて覆われている。
【0033】
本実施形態では、ボディ6には、ガイド部4が一体に形成されている。ガイド部4は、可動部材30の移動方向を、(基板2の)厚み方向に沿った方向に制限する。ガイド部4は、複数の窓孔61の各々の周囲に形成されている。ガイド部4は、内壁部41と、挿入部42と、を有している。内壁部41は、ボディ6の前面(基板2とは反対側の面)における窓孔61の周縁から、前方(Y軸の正の向き)に突出する。内壁部41は、窓孔61の全周にわたって、窓孔61を囲むように形成されている。そのため、内壁部41は角筒状に形成される。挿入部42は、ボディ6の後面(基板2側の面)における窓孔61の周縁から、後方(Y軸の負の向き)に突出する。挿入部42は、窓孔61の四辺のうちの下辺のみ、つまり窓孔61から見て下方(Z軸の負の向き)に形成されている。挿入部42は、後面が閉じた筒状(袋状)に形成されている。ガイド部4について詳しくは「(2.3)ガイド構造」の欄で説明する。
【0034】
カバー7は、入力装置1の外郭の少なくとも一部を構成する部材である。カバー7は、例えば、合成樹脂製であって、接着、溶着又は圧着等の適宜の結合手段により、ボディ6と機械的に結合されている。具体的には、カバー7には、カバー7をY軸方向に貫通する露出孔71が形成されている。露出孔71は、Z軸方向よりもX軸方向に長い長方形状に形成されている。これにより、カバー7は、正面視において矩形枠状に形成されている。露出孔71内には、複数の操作体3が配置される。すなわち、操作体3の表面301は、露出孔71を通してカバー7から露出する。
【0035】
ところで、入力装置1は、上述したように、移動体本体101を備える移動体100に搭載される。特に、本実施形態では一例として、入力装置1は、
図3A及び
図3Bに示すように、移動体本体101(車両)のインストルメントパネル102に搭載されるスイッチとして用いられる。
図3Bは、
図3Aの領域R1の拡大図である。具体的には、入力装置1は、基板2の第1面21が前方を向くように、基板2を垂直(鉛直)に立てた状態でインストルメントパネル102に組み込まれる。入力装置1は、移動体本体101に搭載されているカーオーディオ、カーナビゲーション装置又は空調装置の操作等に用いられる。
【0036】
インストルメントパネル102に設けられるスイッチとしての入力装置1においては、車両のインテリアの雰囲気等に応じて、様々なデザインが要求されることがある。ここで、入力装置1をインストルメントパネル102に組み込んだ状態において、入力装置1がインストルメントパネル102の表面から必要以上に突出しないよう、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さについては、特に制限されやすい。そのため、インストルメントパネル102の表面が立体的な曲面である場合等において、インストルメントパネル102の表面形状に合わせて、操作体3の表面301についても立体的な曲面とすることが要求される場合がある。
【0037】
このような要求に鑑みて、本実施形態では一例として、入力装置1は、操作体3の表面301が立体的な曲面からなる。具体的には、入力装置1がインストルメントパネル102に組み込まれた状態において、操作体3の表面301は斜め下前方に向けられ、かつ斜め下前方に凸となるように湾曲している。本実施形態では、基板2を垂直に立てた状態で入力装置1が設置されているため、基板2からの操作体3の表面301の出代(突出量)は、操作体3の下端部に近づくほどに小さくなる。言い換えれば、基板2の第1面21からの操作体3の表面301の高さは、下方(Z軸の負の向き)側ほど徐々に小さくなる。そのため、操作体3の下端部付近では、特に、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さを確保しにくくなる。
【0038】
また、インストルメントパネル102等、移動体本体101の室内(車室内)に設置される入力装置1には、夜間等の暗所における視認の向上が求められる場合がある。そこで、本実施形態に係る入力装置1は、発光素子8を備えている。本実施形態では、基板2の第1面21に、発光素子8が実装されている。発光素子8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro Luminescence)素子等で実現される。
【0039】
ここで、
図2Bに示すように、操作体3は、その表面301の一部に、表示窓302を有している。表示窓302は、光透過性を有している。そのため、可動部材30は、発光素子8から出力される光は、可動部材30の表示窓302を通して、入力装置1の外部(前方)に出射される。本実施形態では、表示窓302は、「OFF」、「OK」及び「MODE」といった文字をかたどった形状である。よって、本実施形態に係る入力装置1においては、発光素子8が発光することで表示窓302から光が出射され、夜間等の暗所における視認性が向上する。
【0040】
また、入力装置1は、外部回路を電気的に接続するための端子又はコネクタを更に備えている。端子又はコネクタは、基板2に電気的に接続される。
【0041】
(2.3)ガイド構造
次に、ガイド部4にて可動部材30(操作体3)の動作をガイドするための構造について、
図1A、
図1B、
図4A~
図5Cを参照して詳細に説明する。
図5Aは、
図1AのC1-C1線断面に相当する断面図である。
【0042】
上述したように、ガイド部4は、可動部材30(操作体3)の移動方向を、(基板2の)厚み方向(Y軸方向)に沿った方向に制限する。すなわち、ガイド部4では、可動部材30の移動方向をY軸方向に沿った方向に制限し、Y軸方向以外、つまりX軸方向又はZ軸方向への可動部材30の移動を規制する。これにより、可動部材30である操作体3は、その姿勢を維持したまま、Y軸に沿って待機位置と操作位置との間を直進動作することになり、可動部材30の「がたつき」、及びY軸に対する可動部材30の傾き等の発生が抑制される。言い換えれば、ガイド部4は、可動部材30の移動方向を制限することで、可動部材30の姿勢を維持する機能を有している。
【0043】
まず、ガイド部4と可動部材30(操作体3)との組み合わせに係る基本的な構造について説明する。すなわち、ガイド部4と可動部材30との一方は内壁部41を有し、他方は外壁部31を有している。外壁部31は、厚み方向(Y軸方向)に沿った軸を持つ筒状に形成されている。内壁部41は、厚み方向(Y軸方向)において外壁部31に対して相対的に移動可能な状態で、外壁部31の内側に挿入されている。
【0044】
本実施形態では、上述したように内壁部41は、ガイド部4に含まれている。つまり、ガイド部4と可動部材30とのうち、内壁部41を有する「一方」はガイド部4である。そのため、ガイド部4と可動部材30とのうち、外壁部31を有する「他方」は可動部材30(操作体3)である。言い換えれば、本実施形態では、ガイド部4は内壁部41を有し、可動部材30は外壁部31を有している。そして、可動部材30における筒状の外壁部31の内側に、ガイド部4の内壁部41が挿入されるように、ガイド部4と可動部材30とが組み合わされる。言い換えれば、厚み方向に直交する平面内において、可動部材30が外側、ガイド部4が内側となるように、ガイド部4と可動部材30とが組み合わされる。
【0045】
具体的には、
図4A及び
図4Bに示すように、可動部材30としての操作体3は、外壁部31と、前板32と、を有している。前板32は、正面視において四角形状である。前板32の前面が表面301となる。さらに、前板32の後面には、上述したように、後方に突出する押片303が設けられている。外壁部31は、(基板2の)厚み方向であるY軸方向に沿った軸を持つ筒状に形成されている。言い換えれば、外壁部31は、Y軸に平行な直線を中心軸とする筒状、つまりY軸に平行な直線を包囲する筒状に形成されている。外壁部31は、前板32の後面(表面301とは反対側の面)の外周縁から、後方(Y軸の負の向き)に突出する。外壁部31は、前板32の後面の全周にわたって、前板32の後面を囲むように形成されている。そのため、外壁部31は角筒状に形成される。このような外壁部31及び前板32により、操作体3は全体として後面が開放された箱状、言い換えれば前面が閉じた筒状に形成されている。
【0046】
ここで、操作体3の外壁部31は、正面視において、ガイド部4の内壁部41よりも一回り大きく形成されている。このような操作体3が、ボディ6の前面から前方に突出する筒状(角筒状)の内壁部41に被せられるようにして、ボディ6と一体に形成されているガイド部4と組み合わされる。これにより、ガイド部4の内壁部41は、厚み方向(Y軸方向)において外壁部31に対して相対的に移動可能な状態で、操作体3における外壁部31の内側に挿入されることになる。つまり、可動部材30としての操作体3とガイド部4とは、それぞれの筒状の部位(外壁部31及び内壁部41)同士を重ね合わせるように組み合わされることで、テレスコピック構造を構成する。これにより、可動部材30としての操作体3とガイド部4とは、Y軸方向に沿って相対的に移動可能な状態で組み合われることになる。
【0047】
ところで、本実施形態では、ガイド部4と一体化されたボディ6にて、操作体3を保持している。操作体3を保持するための構造として、ボディ6には、一対の保持爪62(
図4A及び
図4B参照)が設けられている。一方で、操作体3の前板32の後面には、後方に突出する一対の保持片304(
図4B参照)が設けられている。つまり、ボディ6は、一対の保持爪62を有し、操作体3は、一対の保持片304を有している。ここで、一対の保持片304の各々には、保持孔305が形成されている。一対の保持爪62の各々は、ボディ6(ガイド部4)に操作体3が組み合わされた状態で、保持孔305に対応する位置に配置されている。本実施形態では、内壁部41の内周面において、保持孔305に対向する各位置に、保持爪62が形成されている。
【0048】
これにより、可動部材30としての操作体3とガイド部4とが組み合わされる際に、一対の保持爪62は、一対の保持片304を互いに近づく向きに撓ませながら、一対の保持孔305に嵌り込む(
図5A参照)。その結果、操作体3はボディ6(ガイド部4)に保持されることになり、ボディ6からの操作体3の脱落が防止される。
【0049】
次に、ガイド部4にて可動部材30(操作体3)の動作をガイドするための、より詳細な構成について説明する。
【0050】
本実施形態では、内壁部41と外壁部31との一方を第1壁とし、他方を第2壁とした場合に、第1壁における第2壁との対向面410には、溝部411,412が設けられている。溝部411,412は、(基板2の)厚み方向(Y軸方向)に沿って延びている。溝部411,412には、第2壁に設けられた突起311,312が挿入される。
【0051】
本実施形態では、内壁部41と外壁部31とのうち、溝部411,412を有する「第1壁」は内壁部41である。そのため、内壁部41と外壁部31とのうち、突起311,312を有する「第2壁」は外壁部31である。言い換えれば、本実施形態では、ガイド部4の内壁部41(第1壁)は溝部411,412を有し、可動部材30(操作体3)の外壁部31(第2壁)は突起311,312を有している。溝部411,412は、内壁部41における外壁部31との対向面410、つまり内壁部41の外周面に設けられている。突起311,312は、外壁部31における内壁部41との対向面310、つまり外壁部31の内周面に設けられている。そして、Y軸に沿って延びる溝部411,412に、外壁部31の突起311,312が挿入されるように、ガイド部4と可動部材30とが組み合わされる。言い換えれば、厚み方向に直交する平面内において、外側に位置する外壁部31に設けられた突起311,312が、内側に位置する内壁部41に設けられた溝部411,412に挿入される。
【0052】
具体的には、
図5A~
図5Cに示すように、ガイド部4の内壁部41(第1壁)は、溝部411と、一対の溝部412と、を有している。溝部411は、内壁部41における外壁部31との対向面410(外周面)のうち、下方(Z軸の負の向き)を向いた面に形成されている。この溝部411は、Y軸に沿って真っ直ぐ延長されており、Z軸方向に「深さ」を有し、X軸方向に「幅」を有する溝(又はスリット)である。一対の溝部412は、内壁部41における外壁部31との対向面410(外周面)のうち、X軸方向の外側を向いた面に形成されている。一対の溝部412の各々は、Y軸に沿って真っ直ぐ延長されており、X軸方向に「深さ」を有し、Z軸方向に「幅」を有する溝(又はスリット)である。すなわち、本実施形態では、第1壁としての内壁部41の周方向において3箇所に、溝部411,412が形成されている。
【0053】
一方、可動部材30(操作体3)の外壁部31(第2壁)は、突起311と、一対の突起312と、を有している。突起311は、外壁部31における内壁部41との対向面310(内周面)のうち、溝部411と対向する部位から上方(Z軸の正の向き)に突出する。この突起311は、Y軸に沿って真っ直ぐ延長されており、Z軸方向に「高さ」を有し、X軸方向に「幅」を有するリブである。一対の突起312は、外壁部31における内壁部41との対向面310(内周面)のうち、一対の溝部412と対向する部位からX軸方向の内側に向けて突出する。一対の突起312の各々は、Y軸に沿って真っ直ぐ延長されており、X軸方向に「高さ」を有し、Z軸方向に「幅」を有するリブである。すなわち、本実施形態では、第2壁としての外壁部31の周方向において3箇所に、突起311,312が形成されている。
【0054】
そして、可動部材30としての操作体3とガイド部4とが組み合われた状態では、
図5B及び
図5Cに示すように、溝部411に突起311が挿入され、溝部412に突起312が挿入される。
図5Bは、
図5Aの領域Z1の拡大図である。
図5Cは、
図5Aの領域Z2の拡大図である。
【0055】
ここで、溝部411の幅は、突起311の幅に比べて僅かに大きく設定されている。具体的には、突起311の幅方向(X軸方向)の両端面と、溝部411の内側面との間の隙間は、対向面310と対向面410との間の隙間G1に比べて、十分に小さく設定されている。したがって、突起311は、溝部411の内側面に対して軽く接触した状態で、溝部411の内側面上を滑りながら移動することで、溝部411の長手方向であるY軸方向に直進移動可能となる。よって、可動部材30(操作体3)は、ガイド部4に対して相対的にY軸方向への直進移動が可能となる。このとき、突起311が溝部411の内側面に接触することで、溝部411の幅方向(X軸方向)において、ガイド部4に対する可動部材30の移動が規制される。
【0056】
また、溝部412の幅は、突起312の幅に比べて僅かに大きく設定されている。具体的には、突起312の幅方向(Z軸方向)の両端面と、溝部412の内側面との間の隙間は、対向面310と対向面410との間の隙間G1に比べて、十分に小さく設定されている。したがって、突起312は、溝部412の内側面に対して軽く接触した状態で、溝部412の内側面上を滑りながら移動することで、溝部412の長手方向であるY軸方向に直進移動可能となる。よって、可動部材30(操作体3)は、ガイド部4に対して相対的にY軸方向への直進移動が可能となる。このとき、突起312が溝部412の内側面に接触することで、溝部412の幅方向(Z軸方向)において、ガイド部4に対する可動部材30の移動が規制される。
【0057】
ここにおいて、ガイド部4は、基板2の厚み方向に直交する平面内において互いに離れて配置された第1部位及び第2部位を有している。ガイド部4は、第1部位及び第2部位の各々で可動部材30の移動方向を制限する。本実施形態では、「第1部位」は溝部411であって、「第2部位」は一対の溝部412である。つまり、溝部411(第1部位)と、一対の溝部412(第2部位)とは、正面視において(Y軸方向に直交する平面内において)、互いに離れて配置されている。
【0058】
そして、ガイド部4は、第1部位(溝部411)にてX軸方向における可動部材30の移動を規制し、第2部位(溝部412)にてZ軸方向における可動部材30の移動を規制する。したがって、ガイド部4は、溝部411(第1部位)、及び一対の溝部412(第2部位)の複数箇所(ここでは3箇所)で、可動部材30の移動方向を制限することになる。結果的に、ガイド部4は、基板2の厚み方向に直交する平面内での可動部材30(操作体3)の移動を規制することになり、可動部材30の移動方向を、(基板2の)厚み方向に沿った方向(Y軸方向)に制限する。よって、可動部材30である操作体3は、その姿勢を維持したまま、Y軸に沿って待機位置と操作位置との間を直進動作することになり、可動部材30のがたつき、及びY軸に対する可動部材30の傾き等の発生が抑制される。
【0059】
ところで、上述したような構成においては、可動部材30(操作体3)の移動方向において、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の長さである「ガイド長」を、大きく確保することが好ましい。以下に、ガイド長を確保するための構成について説明する。
【0060】
本実施形態では、ガイド部4の少なくとも一部は、基板2を厚み方向(Y軸方向)に貫通する貫通孔23内に配置されている。これにより、ガイド部4の少なくとも一部は、厚み方向(Y軸方向)において第1面21及び第2面22の間に位置する。
【0061】
すなわち、上述したように、基板2には、挿入部42の形状に合わせた貫通孔23が形成されている。挿入部42は、
図1A及び
図1Bに示すように、ボディ6の後面から後方(Y軸の負の向き)に突出する。そして、ガイド部4と一体化されたボディ6が基板2と機械的に結合された状態においては、ガイド部4の一部である挿入部42は、貫通孔23を通して、第1面21側から第2面22側へと基板2を貫通する。
【0062】
このように、挿入部42が基板2を厚み方向に貫通していることで、少なくとも挿入部42の先端部(後端部)は、基板2の第2面22から後方(Y軸の負の向き)に突出する。すなわち、ガイド部4の一部である挿入部42の先端部は、基板2から見て第2面22側に位置することになる。よって、本実施形態では、ガイド部4の少なくとも一部は、基板2から見て第2面22側に位置する。これにより、基板2の第1面21から可動部材30である操作体3の表面301までの高さを抑えながらも、Y軸方向におけるガイド部4の寸法を確保することが可能である。
【0063】
また、挿入部42は、前面が開放された筒状(後面が閉じた筒状)に形成されており、挿入部42には、前方(Y軸の正の向き)から、可動部材30の一部が挿入される。具体的には、可動部材30(操作体3)は、
図4A及び
図4Bに示すように、外壁部31の後面の一部から後方(Y軸の負の向き)に突出する突出片33を更に有している。突出片33は、外壁部31のうちの内壁部41の溝部411と対向する部位から、後方に突出する。X軸方向における突出片33の幅寸法は、外壁部31の幅寸法に比べて小さく設定されており、突出片33は、X軸方向において外壁部31の中央部に配置されている。
【0064】
このような突出片33が、基板2を貫通するように配置された挿入部42に挿入されることで、
図1Bに示すように、可動部材30の一部である突出片33は、基板2を厚み方向(Y軸方向)に貫通することになる。すなわち、可動部材30の少なくとも一部は、基板2を厚み方向に貫通する。これにより、基板2の第1面21から可動部材30である操作体3の表面301までの高さを抑えながらも、Y軸方向における可動部材30の寸法を確保することが可能である。
【0065】
ここにおいて、突出片33のうち上方(Z軸の正の向き)を向いた面は、外壁部31における内壁部41との対向面310(内周面)と面一である。そして、突起311は、外壁部31から突出片33にかけて、連続して設けられている。つまり、突起311は、外壁部31における内壁部41との対向面310だけでなく、突出片33にも形成されている。本実施形態では、
図4Bに示すように、Y軸方向における外壁部31及び突出片33の全長(両端間)にわたって、突起311が設けられている。これにより、突出片33及び突起311におけるY軸に直交する断面形状は逆T字状となる。
【0066】
同様に、挿入部42の内周面のうち下方(Z軸の負の向き)を向いた面は、内壁部41における外壁部31との対向面410(外周面)と面一である。そして、溝部411は、内壁部41から挿入部42にかけて、連続して設けられている。つまり、溝部411は、内壁部41における外壁部31との対向面410だけでなく、挿入部42にも形成されている。本実施形態では、
図4Aに示すように、Y軸方向における内壁部41及び挿入部42の全長(両端間)にわたって、溝部411が設けられている。これにより、正面視における挿入部42の開口形状は逆T字状となる。
【0067】
要するに、本実施形態に係る入力装置1では、突出片33及び挿入部42の分だけ、可動部材30(操作体3)及びガイド部4のY軸方向の寸法が延長された上で、この延長分の寸法を、突起311及び溝部411として利用している。すなわち、ガイド部4の少なくとも一部は、(基板2の)厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置するのであって、言い換えれば、ガイド部4は、少なくとも一部(挿入部42)が基板2の厚み内に食い込むように設けられることになる。したがって、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが同じであるとすれば、基板2から見て第1面21側のみにガイド部4が位置する場合に比べて、操作体3の移動方向である厚み方向における、ガイド部4の寸法を大きく確保できる。よって、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さを抑えながらも、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の長さであるガイド長については、比較的大きく確保しやすくなる。
【0068】
特に、本実施形態では、上述したように、正面視において(Y軸方向に直交する平面内において)、互いに離れて配置された溝部411(第1部位)及び一対の溝部412(第2部位)の各々で、可動部材30の移動方向を制限している。ここで、ガイド長を確保するための構成は、溝部411(第1部位)及び一対の溝部412(第2部位)のうち、ガイド部4の下端部付近に位置する溝部411(第1部位)のみに採用されている。すなわち、第1部位(溝部411)の少なくとも一部は、厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置する。これに対して、第2部位(溝部412)は、基板2から見て第1面21側に位置する。
【0069】
(2.4)比較例との比較
次に、
図6A~
図7Bを参照して、本実施形態に係る入力装置1と、比較例に係る入力装置1Xとの比較を行う。
図6A及び
図7Aは、
図5AのC2-C2線断面に相当する断面図である。
図6B及び
図7Bは、
図5AのC3-C3線断面に相当する断面図である。
【0070】
また、
図6A~
図7Bでは、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の、移動方向(Y軸方向)の長さであるガイド長を「L11」、「L12」、「L21」及び「L22」で表す。これらのガイド長L11,L12,L21,L22は、いずれもY軸方向において、溝部411(又は412)と突起311(又は312)とが重複する長さを意味する。ガイド長L11,L12,L21,L22は、操作体3が待機位置にある状態と、操作体3が操作位置にある状態とでは変化するため、本実施形態では、操作体3が待機位置にある状態での長さ(ガイド長)を指すこととする。このようなガイド長L11,L12,L21,L22についての適正値は、操作体3のサイズにもよるが、インストルメントパネル102に設けられるスイッチとして一般的なサイズであれば、一例として、10mm以上であることが推奨される。
【0071】
ここでは、比較例に係る入力装置1Xとして、
図6A及び
図6Bに示すように、本実施形態に係る入力装置1から、ガイド部4の挿入部42(
図7B参照)及び可動部材30の突出片33が省略された構成を想定する。つまり、比較例に係る入力装置1Xでは、ガイド部4及び可動部材30(操作体3)の全体が、基板2の第1面21側に位置する。
【0072】
このような比較例において、
図6Aに示すように、ガイド部4の第2部位である溝部412におけるガイド長(突起312との重複長さ)L11は、適正値(一例として10mm)以上確保される。また、比較例において、
図6Bに示すように、ガイド部4の第1部位である溝部411におけるガイド長(突起311との重複長さ)L12は、適正値(一例として10mm)以上確保することが難しい。すなわち、操作体3の下端部においては、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが小さく抑えられているため、溝部411(第1部位)のガイド長L12は、適正値に対して不足する。
【0073】
比較例に係る入力装置1Xでは、上述したように、溝部411(第1部位)のガイド長L12が不十分となり、操作体3が矢印D1の向きに押操作されたときに、可動部材30の「がたつき」、及びY軸に対する可動部材30の傾き等が発生しやすくなる。
【0074】
これに対して、本実施形態に係る入力装置1においては、
図7Aに示すように、ガイド部4の第2部位である溝部412におけるガイド長(突起312との重複長さ)L21は、比較例と同様に、適正値(一例として10mm)以上確保される。また、本実施形態においては、
図7Bに示すように、ガイド部4の第1部位である溝部411におけるガイド長(突起311との重複長さ)L22についても、適正値(一例として10mm)以上確保される。すなわち、本実施形態では、ガイド部4が基板2を貫通して、基板2の第2面22側まで延長されているので、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが小さく抑えられている操作体3の下端部でも、十分なガイド長L22を確保可能となる。
【0075】
本実施形態に係る入力装置1では、上述したように、溝部411(第1部位)のガイド長L22を十分に確保でき、操作体3が矢印D1の向きに押操作されたときに、可動部材30の「がたつき」、及びY軸に対する可動部材30の傾き等が発生しにくくなる。
【0076】
このように、本実施形態に係る入力装置1は、比較例に係る入力装置1Xと比較してガイド長を、大きく確保しやすくなる。特に、本実施形態では、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが小さく抑えられている操作体3の下端部において、比較例のガイド長L12に比べて、十分に大きなガイド長L22を確保可能となる(L22>L12)。したがって、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さが同じであるとすれば、基板2から見て第1面21側のみにガイド部4が位置する場合に比べて、ガイド長を比較的大きく確保しやすくなる。
【0077】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0078】
実施形態1では、内壁部41が溝部411,412を有する「第1壁」であって、外壁部31が突起311,312を有する「第2壁」であるが、この構成に限らない。すなわち、例えば、
図8Aに示すように、外壁部31が「第1壁」として溝部313を有し、内壁部41が「第2壁」として突起413を有していてもよい。この場合、厚み方向に直交する平面内において、内側に位置する内壁部41に設けられた突起413が、外側に位置する外壁部31に設けられた溝部313に挿入される。
図8Aは、
図5Bに相当する要部の拡大図である。
【0079】
また、
図8Bに示すように、ガイド部4は第1部位としての溝部411を複数(ここでは2つ)有していてもよい。
図8Bの例では、複数の溝部411が、各溝部411の幅方向(X軸方向)に並んで配置されている。さらに、
図8Bの例では、外壁部31には複数(ここでは2つ)の突起311が設けられ、複数の突起311が、各突起311の幅方向(X軸方向)に並んで配置されている。この場合、厚み方向に直交する平面内において、外側に位置する外壁部31に設けられた複数の突起311が、内側に位置する内壁部41に設けられた複数の溝部411に挿入される。
図8Bは、
図5Bに相当する要部の拡大図である。
【0080】
また、「第1壁」としての内壁部41が溝部411,412に加えて突起を有し、「第2壁」としての外壁部31が突起311,312に加えて溝部を有していてもよい。この場合、外壁部31に設けられた突起311,312が、内壁部41に設けられた溝部411,412に挿入され、かつ内壁部41に設けられた突起が、外壁部31に設けられた溝部に挿入される。
【0081】
また、そもそも内壁部41における外壁部31との対向面410、及び外壁部31における内壁部41との対向面310のいずれにも、溝部及び突起が形成されていなくてもよい。この場合、内壁部41を外壁部31に対して僅かな隙間を介して対向させることで、ガイド部4は、可動部材30の移動方向を制限する。
【0082】
また、ガイド部4は、溝部411(第1部位)、及び一対の溝部412(第2部位)の3箇所で、可動部材30の移動方向を制限する構成に限らず、例えば、1箇所、2箇所、又は4箇所以上で、可動部材30の移動方向を制限してもよい。
【0083】
また、ガイド部4は、基板2と一体であってもよい。言い換えれば、
図9A及び
図9Bに示すように、基板2がガイド部4としての機能を兼ね備えていてもよい。
【0084】
例えば、
図9Aに示す一変形例に係る入力装置1Aでは、基板2を厚み方向に貫通するガイド孔24が形成されており、基板2におけるガイド孔24の内周面が、ガイド部4として機能する。ガイド孔24は、正面視において、挿入部42(
図4B参照)と同一の開口形状を有する。つまり溝部411は、内壁部41からガイド孔24の内周面にかけて、連続して設けられている。この例では、基板2の第2面22から突出する挿入部42は省略されている。
【0085】
さらに、
図9Bに示す変形例に係る入力装置1Bでは、基板2の第2面22側にボディ6が配置されている。この例では、基板2におけるガイド孔24の内周面がガイド部4として機能し、かつ実施形態1と同様に、ボディ6に設けられた挿入部42もガイド部4として機能する。
【0086】
また、ガイド部4の少なくとも一部が、(基板2の)厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置すればよく、ガイド部4の一部が第2面22から後方に突出することは必須でない。すなわち、ガイド部4は、少なくとも一部が基板2の厚み内に食い込むように設けられていればよく、基板2を貫通していなくてもよい。
【0087】
また、入力装置1は、基板2の一面(第1面21)側に配置される操作体3を備えていればよく、実施形態1で説明した構成に限らない。例えば、入力装置1は、プッシュスイッチに限らず、操作体3がシーソ動作することによって、検知素子5の出力が変化するシーソスイッチであってもよい。シーソスイッチにおいては、操作体3の一端部が押されたときに操作体3が一方向に回転し、操作体3の他端部が押されたときに操作体3が反対方向に回転する。さらに、入力装置1は、オルタネイト動作をするロッカスイッチ又はトグルスイッチ等であってもよい。入力装置1は、少なくとも1つの検知素子5を備えていればよく、1つの検知素子5に限らず、2つ以上の検知素子5を備えていてもよい。入力装置1は、スイッチ装置に限らず、エンコーダ装置又は可変抵抗器等であってもよい。
【0088】
また、実施形態1では、入力装置1が、1枚の基板2に対して、操作体3が複数(3つ)設けられた3連スイッチを想定したが、この例に限らない。例えば、入力装置1は、1枚の基板2に対して操作体3が1つ若しくは2つだけ設けられたスイッチ、又は1枚の基板2に対して操作体3が4つ以上設けられたスイッチであってもよい。
【0089】
また、入力装置1において、可動部材30が、人の操作を受け付ける操作体3として機能することは必須の構成ではない。つまり、入力装置1は、可動部材30とは別に操作体3を備え、操作体3の操作に連動して可動部材30が移動するように構成されていてもよい。この場合、可動部材30は、操作体3とは別体であって、操作体3に連動する可動部からなる。
【0090】
また、入力装置1を備える移動体100は、自動車(四輪車)に限らず、例えば、二輪車、電車、電動カート、航空機、建設機械又は船舶等であってもよい。また、移動体100が自動車である場合でも、入力装置1は、インストルメントパネル102に設けられるスイッチに限らず、例えば、ステアリングに搭載されるステアリングスイッチ又はドアスイッチ等に用いられてもよい。
【0091】
また、入力装置1は、移動体100に用いられる構成に限らず、例えば、家電機器、医療機器、電気設備又はオフィス機器等の種々の機器に適宜用いられてもよい。
【0092】
また、カバー7は、入力装置1のボディ6と一体化されていてもよいし、インストルメントパネル102、又はインストルメントパネル102に埋め込まれるスイッチケースと一体化されていてもよい。ここでいうスイッチケースは、入力装置1を収容するケースである。
【0093】
また、可動部材30(操作体3)及びガイド部4は合成樹脂製に限らず、例えば、可動部材30(操作体3)及びガイド部4の少なくとも一部が金属製であってもよい。
【0094】
また、実施形態1では、表示窓302は、「OFF」、「OK」及び「MODE」といった文字をかたどった形状であるが、これに限らず、例えば、その他の文字、数字、又は円形若しくは三角形等の記号をかたどった形状であってもよい。さらに、そもそも入力装置1は発光素子8を備えていなくてもよく、この場合には、操作体3の表示窓302も省略可能である。
【0095】
また、実施形態1では、ガイド部4が内壁部41を有し、可動部材30(操作体3)が外壁部31を有しているが、この構成に限らない。すなわち、ガイド部4が外壁部31を有し、可動部材30が内壁部41を有していてもよい。この場合、ガイド部4における筒状の外壁部31の内側に、可動部材30の内壁部41が挿入されるように、ガイド部4と可動部材30とが組み合わされる。言い換えれば、厚み方向に直交する平面内においては、ガイド部4が外側、可動部材30が内側となるように、ガイド部4と可動部材30とが組み合わされる。
【0096】
(実施形態2)
本実施形態に係る入力装置1Cは、
図10A~
図11Bに示すように、ガイド部4の一部が基板2の側方を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通している点で、実施形態1に係る入力装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0097】
すなわち、本実施形態では、ガイド部4の少なくとも一部は、基板2の側方に配置されることにより、厚み方向において第1面21及び第2面22の間に位置することになる。より詳細には、
図10A及び
図10Bに示すように、基板2の貫通孔23は下方(Z軸の負の向き)に開放されている。ガイド部4の一部である挿入部42は、
図11A及び
図11Bに示すように、貫通孔23を通して、つまり基板2の下方を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。ここでは、可動部材30の一部である突出片33についても、基板2の下方を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。また、本実施形態では、挿入部42は、その下面が開放されている。これにより、挿入部42に挿入される可動部材30の突出片33は、挿入部42から下方に露出する。
【0098】
本実施形態に係る入力装置1Cにおいても、実施形態1と同様に、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の長さであるガイド長を、比較的大きく確保しやすくなる。その結果、入力装置1Cのサイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。さらに、本実施形態では、挿入部42は基板2の側方を通して基板2を貫通するので、基板2の有効面積を確保しやすくなる。
【0099】
また、実施形態2の変形例として、ガイド部4の少なくとも一部は、例えば、基板2の上方を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通していてもよい。さらに、実施形態2では、基板2に貫通孔23が形成されることは必須ではなく、貫通孔23は適宜省略可能である。
【0100】
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0101】
(実施形態3)
本実施形態に係る入力装置1Dは、
図12A~
図13Bに示すように、可動部材30である操作体3の表面301が平面状である点で、実施形態1に係る入力装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0102】
本実施形態では、
図12A及び
図12Bに示すように、操作体3の表面301は、基板2の第1面21に平行な平面(平坦面)からなる。さらに、操作体3が被せられるガイド部4(内壁部41)の前面も、平坦に形成されている。そのため、基板2の第1面21からの操作体3の表面301の高さは、表面301の全域において略均一となる。そこで、本実施形態では、基板2の第1面21からの操作体3の表面301の高さを比較的低く抑えた、低背型の入力装置1Dを実現する。
【0103】
このような入力装置1Dでは、操作体3の下端部付近に限らず、その上端部付近であっても、基板2の第1面21から操作体3の表面301までの高さを確保しにくくなる。そこで、本実施形態では、ガイド長を確保するための構成は、溝部411(第1部位)及び一対の溝部412(第2部位)の両方に採用されている。
【0104】
具体的には、可動部材30は、外壁部31のうちの内壁部41の溝部411と対向する部位から後方に突出する突出片33に加えて、外壁部31のうちの内壁部41の一対の溝部412と対向する部位から後方に突出する一対の突出片34を有している。そして、ガイド部4においては、突出片33が挿入される挿入部42に加えて、一対の突出片34が挿入される一対の挿入部43を有している。また、基板2には、挿入部42が挿入される貫通孔23に加えて、挿入部43が挿入される貫通孔25が形成されている。
【0105】
すなわち、本実施形態に係る入力装置1Dでは、
図13A及び
図13Bに示すように、ガイド部4の一部である挿入部42は、貫通孔23を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。さらに、ガイド部4の一部である一対の挿入部43は、それぞれ貫通孔25を通して、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。そして、可動部材30の一部である突出片33は、挿入部42に挿入されることで、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。さらに、可動部材30の一部である一対の突出片34は、それぞれ挿入部43に挿入されることで、基板2を第1面21側から第2面22側に貫通する。
【0106】
本実施形態に係る入力装置1Dにおいても、実施形態1と同様に、ガイド部4のうち可動部材30を支持する部分の長さであるガイド長を、比較的大きく確保しやすくなる。その結果、入力装置1Dのサイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。
【0107】
特に、操作体3の表面301を、基板2の第1面21に近づけることができれば、基板2の第1面21に実装された発光素子8からの光が、操作体3の表示窓302に到達しやすくなり、表示窓302の輝度を向上させることができる。そのため、例えば、要求される表示窓302の輝度に対して、発光素子8での消費電流を小さく抑えることができ、場合によっては、要求される発光素子8の輝度ランクを下げることも可能である。
【0108】
また、実施形態3において、基板2の第1面21からの操作体3の表面301の高さを比較的低く抑えることは必須ではなく、入力装置1Dは低背型でなくてもよい。また、操作体3の表面301は、基板2の第1面21に平行な平面に限らず、基板2の第1面21に対して傾斜した平面であってもよい。
【0109】
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0110】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る入力装置(1,1A~1D)は、基板(2)と、操作体(3)と、ガイド部(4)と、を備える。基板(2)は、厚み方向の両側に第1面(21)及び第2面(22)を有する。操作体(3)は、基板(2)から見て第1面(21)側に配置される。操作体(3)は、厚み方向に沿った操作を受け付ける。ガイド部(4)は、可動部材(30)の移動方向を、厚み方向に沿った方向に制限する。可動部材(30)は、操作体(3)又は操作体(3)に連動する可動部からなる。ガイド部(4)の少なくとも一部は、厚み方向において第1面(21)及び第2面(22)の間に位置する。
【0111】
この態様によれば、ガイド部(4)は、少なくとも一部が基板(2)の厚み内に食い込むように設けられることになる。したがって、基板(2)の第1面(21)から操作体(3)の表面(301)までの高さが同じであれば、基板(2)から見て第1面(21)側のみにガイド部(4)が位置する場合に比べて、厚み方向における、ガイド部(4)の寸法を大きく確保できる。よって、基板(2)の第1面(21)から操作体(3)の表面(301)までの高さを抑えながらも、ガイド部(4)のうち可動部材(30)を支持する部分の移動方向の長さであるガイド長については、比較的大きく確保しやすくなる。その結果、入力装置(1,1A~1D)のサイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。
【0112】
第2の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1の態様において、基板(2)には、操作体(3)の操作に応じた電気信号を出力する検知素子(5)が実装されている。
【0113】
この態様によれば、入力装置(1,1A~1D)を、スイッチ装置等の電気装置として用いることができる。
【0114】
第3の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1又は2の態様において、ガイド部(4)と可動部材(30)との一方は内壁部(41)を有し、他方は外壁部(31)を有している。外壁部(31)は、厚み方向に沿った軸を持つ筒状に形成されている。内壁部(41)は、厚み方向において外壁部(31)に対して相対的に移動可能な状態で、外壁部(31)の内側に挿入されている。
【0115】
この態様によれば、内壁部(41)と外壁部(31)とで、可動部材(30)の移動方向を、厚み方向に沿った方向に制限することができる。
【0116】
第4の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第3の態様において、内壁部(41)と外壁部(31)との一方を第1壁とし、他方を第2壁とする。この場合に、第1壁における第2壁との対向面(410,310)には、厚み方向に沿って延びる溝部(411,412,313)が設けられている。溝部(411,412,313)には、第2壁に設けられた突起(311,312,413)が挿入される。
【0117】
この態様によれば、溝部(411,412,313)に突起(311,312,413)が挿入されることで、可動部材(30)の移動方向を、厚み方向に沿った方向により厳密に制限することができる。そのため、例えば、可動部材(30)のがたつき、及び移動方向に対する可動部材(30)の傾き等が発生しにくくなり、スムーズな可動部材(30)の移動を実現しやすくなる。
【0118】
第5の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~4のいずれかの態様において、ガイド部(4)の少なくとも一部は、貫通孔(23,25)内に配置されることにより、厚み方向において第1面(21)及び第2面(22)の間に位置する。貫通孔(23,25)は、基板(2)を厚み方向に貫通する。
【0119】
この態様によれば、ガイド部(4)の少なくとも一部は、基板(2)の内側を通って第1面(21)及び第2面(22)の間に位置するので、厚み方向に直交する平面内での入力装置(1,1A~1D)全体のサイズを比較的小さく抑えることができる。
【0120】
第6の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~5のいずれかの態様において、ガイド部(4)の少なくとも一部は、基板(2)の側方に配置されることにより、厚み方向において第1面(21)及び第2面(22)の間に位置する。
【0121】
この態様によれば、ガイド部(4)の少なくとも一部は、基板(2)の側方を通って第1面(21)及び第2面(22)の間に位置するので、基板(2)の有効面積を確保しやすくなる。
【0122】
第7の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~6のいずれかの態様において、ガイド部(4)は、基板(2)の厚み方向に直交する平面内において互いに離れて配置される第1部位及び第2部位を有する。第1部位の少なくとも一部は、厚み方向において第1面(21)及び第2面(22)の間に位置する。第2部位は、基板(2)から見て第1面(21)側に位置する。ガイド部(4)は、第1部位及び第2部位の各々で可動部材(30)の移動方向を制限する。
【0123】
この態様によれば、ガイド部(4)のうち、第2部位については、基板(2)を貫通するための構成を採用する必要が無く、構成の簡略化を図ることができる。
【0124】
第8の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~7のいずれかの態様において、ガイド部(4)は、基板(2)と一体である。
【0125】
この態様によれば、基板(2)がガイド部(4)としての機能を兼ねるので、入力装置(1,1A~1D)全体のサイズを比較的小さく抑えることができる。
【0126】
第9の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~8のいずれかの態様において、可動部材(30)の少なくとも一部は、基板(2)を厚み方向に貫通する。
【0127】
この態様によれば、可動部材(30)についても、基板(2)を厚み方向に貫通することで、ガイド長をより大きく確保できる。
【0128】
第10の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~9のいずれかの態様において、基板(2)の第1面(21)には、発光素子(8)が実装されている。
【0129】
この態様によれば、発光素子(8)からの光で、例えば、操作体(3)を照らすことができる。
【0130】
第11の態様に係る入力装置(1,1A~1D)では、第1~10のいずれかの態様において、ガイド部(4)の少なくとも一部は、基板(2)から見て第2面(22)側に位置する。
【0131】
この態様によれば、ガイド部(4)の少なくとも一部は、基板(2)を厚み方向に貫通するので、ガイド長をより大きく確保できる。
【0132】
第12の態様に係る移動体(100)は、第1~11のいずれかの態様に係る入力装置(1,1A~1D)と、移動体本体(101)と、を備える。
【0133】
この態様によれば、ガイド部(4)は、少なくとも一部が基板(2)の厚み内に食い込むように設けられることになる。したがって、基板(2)の第1面(21)から操作体(3)の表面(301)までの高さが同じであれば、基板(2)から見て第1面(21)側のみにガイド部(4)が位置する場合に比べて、厚み方向における、ガイド部(4)の寸法を大きく確保できる。よって、基板(2)の第1面(21)から操作体(3)の表面(301)までの高さを抑えながらも、ガイド部(4)のうち可動部材(30)を支持する部分の移動方向の長さであるガイド長については、比較的大きく確保しやすくなる。その結果、入力装置(1,1A~1D)のサイズ又はデザインの自由度を向上させやすい、という利点がある。
【0134】
第2~11の態様に係る構成については、入力装置(1,1A~1D)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0135】
1,1A~1D 入力装置
2 基板
3 操作体
4 ガイド部
5 検知素子
8 発光素子
21 第1面
22 第2面
23,25 貫通孔
31 外壁部(第2壁)
41 内壁部(第1壁)
310,410 対向面
311,312,413 突起
313 溝部
411 溝部(第1部位)
412 溝部(第2部位)
100 移動体
101 移動体本体