(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】仮眠推定システム、仮眠推定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230217BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20230217BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20230217BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20230217BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/22 100
A61B5/02 310Z
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2021530533
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022268
(87)【国際公開番号】W WO2021005930
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2019127947
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳村 啓太
(72)【発明者】
【氏名】脇 有紀
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065749(WO,A1)
【文献】特開平06-217946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0132946(US,A1)
【文献】特許第6453512(JP,B1)
【文献】特開2015-217035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0190065(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
A61B 5/06-5/22
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の脈波を取得する脈波取得部と、
前記脈波の推移を表す概日リズムを推定する概日リズム推定部と、
前記
概日リズムを基に、
前記対象者に対して推奨する仮眠の開始時刻である仮眠時刻を推定する仮眠時刻推定部と、
前記仮眠時刻推定部が推定した前記仮眠時刻を、前記対象者に通知する通知部と、を備
え、
前記仮眠時刻推定部は、前記概日リズムで表される前記脈波の推移において、前記脈波がピークとなる時刻、又は前記ピークとなる時刻より所定時間前の時刻を、前記仮眠時刻として求める、
仮眠推定システム。
【請求項2】
前記対象者の活動量を取得する活動量取得部を、更に備え、
前記概日リズム推定部は、所定値以下である前記活動量に対応する前記脈波の推移を表す前記概日リズムを推定する、
請求項1に記載の仮眠推定システム。
【請求項3】
前記活動量は、前記対象者が消費する消費カロリー、又は前記対象者が活動を行ったときに安静状態を基準としたエネルギーの消費量である、
請求項2に記載の仮眠推定システム。
【請求項4】
前記対象者の位置に係る位置情報を取得する位置情報取得部を、更に備え、
前記仮眠時刻推定部は、所定の位置を表す前記位置情報に対応する前記脈波の推移を表す前記概日リズムを推定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の仮眠推定システム。
【請求項5】
前記通知部は、前記仮眠時刻推定部が推定した前記仮眠時刻から所定時間前に、前記仮眠時刻を前記対象者に通知する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の仮眠推定システム。
【請求項6】
対象者の脈波を取得する脈波取得ステップと、
前記脈波の推移を表す概日リズムを推定する概日リズム推定ステップと、
前記概日リズムを基に、前記対象者に対して推奨する仮眠の開始時刻である仮眠時刻を推定する仮眠時刻推定ステップと、
前記仮眠時刻推定ステップで推定した前記仮眠時刻を、前記対象者に通知する通知ステップと、を含み、
前記仮眠時刻推定ステップでは、前記概日リズムで表される前記脈波の推移において、前記脈波がピークとなる時刻、又は前記ピークとなる時刻より所定時間前の時刻を、前記仮眠時刻として求める、
仮眠推定方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の仮眠推定方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に仮眠推定システム、仮眠推定方法及びプログラムに関する。本開示は、より詳細には、仮眠時刻を推定する仮眠推定システム、仮眠推定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体のリズムを測定する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、日常的な作業場面において、被験者に苦痛を与えず、また、その作業行動に支障がなく、非侵襲的に生体のリズムを測定する。
【0004】
近年、職場等において1日の業務中に適切な仮眠をとることが好ましいとされている。適切な仮眠をとることで、その後の作業効率が上がることが知られているからである。
【0005】
ところで、特許文献1では、生体のリズムを被験者に苦痛を与えず、また、その作業行動に支障がなく測定することはできるが、被験者(対象者)は適切な仮眠時刻を知ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、適切な仮眠時刻を通知することができる仮眠推定システム、仮眠推定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
本開示の一態様に係る仮眠推定システムは、脈波取得部と、概日リズム推定部と、仮眠時刻推定部と、通知部と、を備える。前記脈波取得部は、対象者の脈波を取得する。前記概日リズム推定部は、前記脈波の推移を表す概日リズムを推定する。前記仮眠時刻推定部は、前記概日リズムを基に、前記対象者に対して推奨する仮眠の開始時刻である仮眠時刻を推定する。前記通知部は、前記仮眠時刻推定部が推定した前記仮眠時刻を、前記対象者に通知する。前記仮眠時刻推定部は、前記概日リズムで表される前記脈波の推移において、前記脈波がピークとなる時刻、又は前記ピークとなる時刻より所定時間前の時刻を、前記仮眠時刻として求める。
【0009】
本開示の一態様に係る仮眠推定方法は、脈波取得ステップと、概日リズム推定ステップと、仮眠時刻推定ステップと、通知ステップと、を含む。前記脈波取得ステップは、対象者の脈波を取得する。前記概日リズム推定ステップは、前記脈波の推移を表す概日リズムを推定する。前記仮眠時刻推定ステップは、前記概日リズムを基に、前記対象者に対して推奨する仮眠の開始時刻である仮眠時刻を推定する。前記通知ステップは、前記仮眠時刻推定ステップで推定した前記仮眠時刻を、前記対象者に通知する。前記仮眠時刻推定ステップでは、前記概日リズムで表される前記脈波の推移において、前記脈波がピークとなる時刻、又は前記ピークとなる時刻より所定時間前の時刻を、前記仮眠時刻として求める。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、前記仮眠推定方法を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る仮眠推定システムとしての仮眠推定装置を備える通信システムを説明する図である。
【
図2】
図2は、同上の仮眠推定装置の動作を説明する図である。
【
図3】
図3Aは、実施形態1に係る1日における脈波のデータの推移を示す図である。
図3Bは、実施形態1に係る1日における活動量の推移を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3Aに示す脈波のデータから、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータを除去した結果を表す図である。
【
図5】
図5Aは、複数日分の脈波のデータであって、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータを除去した結果を表す図である。
図5Bは、
図5Aに示す各データに対して平均化処理を施した結果を表す図である。
図5Cは、平均化処理を施した脈波のデータに対してローパスフィルタ処理を施した結果を表す図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る仮眠推定システムとしての仮眠推定装置を備える通信システムを説明する図である。
【
図7】
図7は、同上の仮眠推定装置の動作を説明する図である。
【
図8】
図8Aは、実施形態2に係る1日における脈波のデータの推移を示す図である。
図8Bは、実施形態2に係る1日における対象者が居る場所を示す図である。
図8Cは、同上の仮眠推定装置が推定した概日リズムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る仮眠推定システム1について、
図1~
図5Cを用いて説明する。
【0014】
(1)概要
本実施形態における仮眠推定システム1としての仮眠推定装置10は、通信システム2に備えられる(
図1参照)。言い換えると、通信システム2は、仮眠推定装置10を備える。
【0015】
通信システム2は、
図1に示すように、仮眠推定装置10の他、計測装置20及び情報端末30を備える。
【0016】
計測装置20は、仮眠を行う時刻を推定する対象者の生体情報に係るデータを計測する装置である。計測装置20は、例えばウェアラブル端末である。情報端末30は、上記対象者が利用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末である。計測装置20及び情報端末30は、同一の対象者に所持、利用される。計測装置20及び情報端末30は、インターネット等のネットワークNT1を介して、仮眠推定装置10と通信可能に構成されている。
【0017】
仮眠推定装置10は、計測装置20の計測結果を用いて、対象者の仮眠時刻を推定する。仮眠推定装置10は、ネットワークNT1を介して、計測装置20及び情報端末30と通信可能に構成されている。仮眠推定装置10は、対象者の脈波を計測装置20から取得し、取得した脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻を推定する。仮眠推定装置10は、推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。例えば、仮眠推定装置10は、対象者が利用する情報端末30に仮眠時刻を通知する。
【0018】
(2)構成
(2-1)計測装置
ここでは、計測装置20の構成について、説明する。
【0019】
計測装置20は、
図1に示すように、通信部21、脈波計測部22及び活動量計測部23を備える。
【0020】
計測装置20は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが計測装置20としての機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0021】
通信部21は、ネットワークNT1を介して、仮眠推定装置10と通信するための通信インタフェースを有している。
【0022】
脈波計測部22は、対象者の生体データとして当該対象者の脈波(脈拍数、心拍数)を計測する。脈波計測部22は、計測した対象者の脈波(計測結果)を、通信部21を介して仮眠推定装置10に送信する。
【0023】
活動量計測部23は、対象者の生体データとして当該対象者の活動量を計測する。具体的には、活動量計測部23は、加速度センサを有しており、加速度センサが出力した信号に応じた活動量を算出する。より詳細には、活動量計測部23は、加速度センサが出力した信号が表す電圧値を、活動量に換算する。活動量計測部23は、対象者の活動量を、通信部21を介して仮眠推定装置10に送信する。ここで、活動量は、例えば、対象者が活動を行ったときのエネルギーの消費量であって安静状態を基準としたエネルギーの消費量(単位:Mets)である。
【0024】
なお、活動量は、対象者が消費する消費カロリーであってもよい。この場合、消費カロリーは、数式“消費カロリー = 対象者の体重[kg] × 消費量[Mets] ×活動時間[h]”を用いて算出される。
【0025】
(2-2)仮眠推定装置
ここでは、仮眠推定装置10の構成について、
図1を用いて説明する。
【0026】
仮眠推定装置10は、
図1に示すように、通信部11、記憶部12及び制御部13を備える。
【0027】
仮眠推定装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0028】
通信部11は、ネットワークNT1を介して、計測装置20及び情報端末30と通信するための通信インタフェースを有している。
【0029】
記憶部12は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部12は、例えば、フラッシュメモリである。記憶部12は、計測装置20を識別する識別子(計測用識別子)と、情報端末30を識別する識別子(端末識別子)とを対応付けて記憶する。具体的には、記憶部12は、同一の対象者が利用する計測装置20の計測用識別子と情報端末30の端末識別子とを対応付けて記憶する。記憶部12は、対象者に対する計測結果のデータである当該対象者の脈波を時系列に記憶する。記憶部12は、対象者に対する計測結果のデータである当該対象者の活動量を時系列に記憶する。
【0030】
制御部13は、
図1に示すように、脈波取得部131、活動量取得部132、概日リズム推定部133、仮眠時刻推定部134及び通知部135を有している。
【0031】
脈波取得部131は、対象者の脈波を取得する。具体的には、脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを、計測装置20から取得する。脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを記憶部12に記憶する。
【0032】
活動量取得部132は、対象者の活動量を取得する。具体的には、活動量取得部132は、対象者の活動量のデータを、計測装置20から取得する。活動量取得部132は、対象者の活動量のデータを記憶部12に記憶する。
【0033】
概日リズム推定部133は、脈波の推移を表す概日リズムを推定する。例えば、概日リズム推定部133は、所定値(所定の閾値)以下である活動量に対応する脈波の推移を表す概日リズムを推定する。
【0034】
概日リズム推定部133は、所定期間分(例えば、1日分)の脈波のデータから、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータを除去する。概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータにおいて、除去されたデータを補完するために、ダウンサンプリングを行う。言い換えると、概日リズム推定部133は、所定値以下の活動量が計測された期間の脈波のデータに対してダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、所定期間分(例えば1日分)の脈波のデータを1つのグループとして、数日分の脈波のデータに対してグループごとに、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングを行う。
【0035】
概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータを基に、概日リズムを推定する。具体的には、概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータに対して平均化処理を行う。概日リズム推定部133は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施して、その結果を、1日における脈波の推移を表す概日リズムとして求める。
【0036】
仮眠時刻推定部134は、対象者の脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻、すなわち対象者に対して推奨する仮眠の開始時刻を推定する。具体的には、仮眠時刻推定部134は、概日リズム推定部133が推定した概日リズムが表す脈波の推移において、脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める。
【0037】
通知部135は、仮眠時刻推定部134が推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。通知部135は、仮眠時刻を含む時刻情報を、通信部11を介して対象者の情報端末30に送信する。例えば、通知部135は、仮眠時刻の推定に用いた脈波のデータを計測した計測装置20に対応する情報端末30に、仮眠時刻を含む時刻情報を送信する。
【0038】
(2-3)情報端末
ここでは、情報端末30の構成について説明する。
【0039】
情報端末30は、
図1に示すように、通信部31、制御部32及び表示部33を備える。
【0040】
情報端末30は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが制御部32として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0041】
通信部31は、ネットワークNT1を介して、仮眠推定装置10と通信するための通信インタフェースを有している。
【0042】
制御部32は、通信部31、及び表示部33等を制御するように構成されている。
【0043】
表示部33は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部33は、仮眠推定装置10が推定した仮眠時刻を含む情報を通信部31が受信すると、当該情報に含まれる仮眠時刻を表示する。
【0044】
(3)動作
次に、仮眠推定装置10の動作について、
図2を用いて説明する。
【0045】
脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを、計測装置20から取得する(ステップS1)。脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを記憶部12に記憶する。
【0046】
活動量取得部132は、対象者の活動量のデータを、計測装置20から取得する(ステップS2)。活動量取得部132は、対象者の活動量のデータを記憶部12に記憶する。
【0047】
概日リズム推定部133は、概日リズム推定処理を行う(ステップS3)。概日リズム推定部133は、所定期間分(例えば、1日分)の脈波のデータから、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータを除去し、ダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、1日ごとの脈波のデータに対して、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータに対して平均化処理を行う。概日リズム推定部133は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施して、その結果を、1日における脈波の推移を表す概日リズムとして求める。
【0048】
仮眠時刻推定部134は、仮眠時刻推定処理を行う(ステップS4)。仮眠時刻推定部134は、概日リズム推定部133が推定した概日リズムが表す脈波の推移において、脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める。
【0049】
通知部135は、仮眠時刻推定部134が推定した仮眠時刻を、対象者に通知する(ステップS5)。
【0050】
(4)具体例
ここでは、概日リズムの推定について、具体例を用いて説明する。
【0051】
概日リズム推定部133は、記憶部12から1日分の脈波のデータを1つのグループとして、数日分の脈波のデータを取得する。
図3Aの線分G1は、1日分の脈波のデータの推移を表す。
【0052】
概日リズム推定部133は、記憶部12から1日分の対象者の活動量のデータを1つのグループとして、数日分の活動量のデータを取得する。
図3Bの線分G2は、1日分の活動量のデータの推移を表す。
図3Aの脈波のデータと、
図3Bの活動量のデータとは、同一の対象者のデータであり、同日に計測されたデータである。
【0053】
概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータから、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータを除去する。例えば、概日リズム推定部133は、
図3Aに示す脈波のデータのうち、閾値“a1”より大きい活動量が計測された期間で計測された脈波のデータを除去する。
図4は、除去後の1日分の脈波のデータの推移を示す。概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータにおいて、除去されたデータを補完するために、ダウンサンプリングを行う。例えば、概日リズム推定部133は、1分ごとのデータの推移を、15分ごとのデータの推移となるように、ダウンサンプリングを行う。数日分の脈波のデータに対して日ごとに、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングを行う。
図5Aは、数日分(図示例では3日分)の脈波のデータに対して日ごとに、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングが行われた結果を示す。
図5Aに示す線分G31,G32,G33の各々が、対応する日に対する脈波のデータについて、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングが行われた結果を示す。
【0054】
概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータに対して平均化処理を行う。
図5Bの線分G4は、
図5Aに示す線分G31~G33に対して平均化処理を行った結果であり、1日における脈波の平均の推移を表す。
【0055】
概日リズム推定部133は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施して、その結果を、1日における脈波の推移を表す概日リズムとして求める。
図5Cの線分G5は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施した結果を表す。
【0056】
仮眠時刻推定部134は、ローパスフィルタ処理が施された結果を用いて、脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める。例えば、仮眠時刻推定部134は、
図5Cの線分G5を用いて、脈波がピークとなる時刻t1を仮眠時刻として求める。
【0057】
(5)利点
以上説明したように、本実施形態では、仮眠推定システム1は、対象者の脈波を取得し、取得した脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻を推定する。仮眠推定システム1は、推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。
【0058】
この構成によると、対象者に対して適切な仮眠時刻を通知することができる。
【0059】
さらに、仮眠推定システム1は、対象者の活動量を取得する。仮眠推定システム1は、所定値以下である活動量に対応する脈波の推移を表す概日リズムを推定し、推定した概日リズムを用いて対象者の仮眠時刻を推定する。
【0060】
脈波は、運動等の影響により著しく変動する。そこで、仮眠推定システム1は、所定値以下である活動量に対応する脈波の推移を表す概日リズムを推定する。つまり、仮眠推定システム1は、運動等の影響を受けた脈波を除外して概日リズムを推定する。これにより、仮眠推定システム1は、より精度が高い概日リズムを推定することができる。その結果、仮眠推定システム1は、対象者に適切な仮眠時刻を通知することができる。
【0061】
(6)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0062】
上記実施形態1において、仮眠推定装置10(の概日リズム推定部133)は、複数日分の脈波のデータを用いて概日リズムを推定する構成としたが、この構成に限定されない。仮眠推定装置10(の概日リズム推定部133)は、1日分の脈波のデータを用いて概日リズムを推定してもよい。この場合、上述した平均化処理は省略される。
【0063】
上記実施形態1において、仮眠推定装置10(の仮眠時刻推定部134)は、概日リズムで表される脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める構成としたが、この構成に限定されない。仮眠時刻推定部134は、脈波がピークとなる時刻よりも所定時間前の時刻(例えば、10分前の時刻)を、仮眠時刻として求めてもよい。
【0064】
上記実施形態1において、通知部135は、仮眠時刻推定部134が推定した仮眠時刻から所定時間前の時刻、例えば仮眠時刻から30分前の時刻に、当該仮眠時間を通知してもよい。
【0065】
また、通知部135による通知の方法は、情報端末30の表示部33に表示することに限定されない。通知部135による通知の方法は、音声であってもよい。例えば、情報端末30は、仮眠推定装置10から仮眠時刻を受け取ると、音声で仮眠時刻を取得力する。
【0066】
また、上記実施形態では、仮眠推定装置10は、ネットワークNT1を介して、計測装置20及び情報端末30と通信する構成としたが、この構成に限定されない。仮眠推定装置10は、ネットワークNT1を介することなく、計測装置20及び情報端末30と直接通信(無線通信又は有線通信)を行う構成であってもよい。または、仮眠推定装置10、計測装置20及び情報端末30を1つの装置で構成してもよい。
【0067】
(実施形態2)
本実施形態の仮眠推定装置は、活動量の代わりに対象者の位置を表す位置情報を取得する点が、実施形態1とは異なる。以下、実施形態1とは異なる点を中心に説明する。なお、実施形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0068】
本変形例の通信システム2は、本実施形態の仮眠推定システム1としての仮眠推定装置10A、計測装置20A及び情報端末30を備える。
【0069】
計測装置20Aは、
図6に示すように、通信部21、脈波計測部22及び位置計測部24を備える。
【0070】
計測装置20Aは、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが計測装置20Aとしての機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0071】
位置計測部24は、GPS(Global Positioning System)機能を有している。位置計測部24は、GPS機能を用いて計測装置20Aの位置、要は対象者の位置を計測する。位置計測部24は、計測結果(対象者の位置のデータ)を含む位置情報を仮眠推定装置10Aに通信部21を介して送信する。
【0072】
本実施形態の仮眠推定装置10Aは、
図6に示すように、通信部11、記憶部12A及び制御部13Aを備える。
【0073】
仮眠推定装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13Aとして機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0074】
記憶部12Aは、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部12Aは、例えば、フラッシュメモリである。記憶部12Aは、計測装置20Aの計測用識別子と、情報端末30の端末識別子とを対応付けて記憶する。具体的には、記憶部12Aは、同一の対象者が利用する計測装置20Aの計測用識別子と情報端末30の端末識別子とを対応付けて記憶する。記憶部12Aは、対象者に対する計測結果のデータである当該対象者の脈波を時系列に記憶する。記憶部12は、対象者に対する計測結果のデータである当該対象者の位置を表す位置情報を時系列に記憶する。記憶部12Aは、所定の場所を表す情報を記憶する。本実施形態では、記憶部12Aは、所定の場所として、対象者の自宅の位置を示す第1情報と、対象者が勤務する場所の位置を示す第2情報と、を記憶する。
【0075】
制御部13Aは、
図6に示すように、脈波取得部131、概日リズム推定部133、仮眠時刻推定部134、通知部135及び位置情報取得部136を有している。
【0076】
位置情報取得部136は、対象者に係る位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部136は、対象者の位置情報を、計測装置20Aから取得する。位置情報取得部136は、対象者の位置情報を記憶部12Aに記憶する。
【0077】
概日リズム推定部133は、所定期間分(例えば、1日分)の脈波のデータから、所定の場所以外の場所が計測(検知)された期間の脈波のデータを除去する。本実施形態では、概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータから、自宅及び勤務地の双方以外の場所が計測された期間の脈波のデータを除去する。例えば、概日リズム推定部133は、位置情報が表す位置が、記憶部12が記憶する第1情報が表す位置及び第2情報が表す位置の双方ともと一致しない場合には、当該位置情報が取得された期間に対応する脈波のデータを除去する。
【0078】
除去後の動作は、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0079】
次に、本実施形態の仮眠推定装置10Aの動作について、
図7を用いて説明する。
【0080】
脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを、計測装置20Aから取得する(ステップS11)。脈波取得部131は、対象者の脈波のデータを記憶部12Aに記憶する。
【0081】
位置情報取得部136は、対象者に係る位置情報を、計測装置20Aから取得する(ステップS12)。位置情報取得部136は、対象者の位置情報を記憶部12Aに記憶する。
【0082】
概日リズム推定部133は、概日リズム推定処理を行う(ステップS13)。概日リズム推定部133は、所定期間分(例えば、1日分)の脈波のデータから、自宅及び勤務地の双方以外の場所が計測(検知)された期間の脈波のデータを除去し、ダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、1日ごとの脈波のデータに対して、自宅及び勤務地の双方以外の場所が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータに対して平均化処理を行う。概日リズム推定部133は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施して、その結果を、1日における脈波の推移を表す概日リズムとして求める。
【0083】
仮眠時刻推定部134は、仮眠時刻推定処理を行う(ステップS14)。仮眠時刻推定部134は、仮眠時刻推定部134は、概日リズム推定部133が推定した概日リズムが表す脈波の推移において、脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める。
【0084】
通知部135は、仮眠時刻推定部134が推定した仮眠時刻を、対象者に通知する(ステップS15)。
【0085】
次に、本実施形態における概日リズムの推定について、具体例を用いて説明する。
【0086】
概日リズム推定部133は、記憶部12Aから1日分の脈波のデータを1つのグループとして、数日分の脈波のデータを取得する。
図8Aの線分G6は、1日分の脈波のデータの推移を表す。
【0087】
概日リズム推定部133は、記憶部12Aから1日分の位置情報を1つのグループとして、数日分の位置情報を取得する。
図8Bは、1日において、
図8Aで表す脈波のデータが計測された日に対象者が居た場所の推移を表す。
【0088】
概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータから、自宅及び勤務地の双方以外の場所が計測(検知)された期間の脈波のデータを除去する。例えば、時刻t11~t12の期間、時刻t13~t14の期間、時刻t15~t16の期間のそれぞれの期間は、対象者は、自宅及び勤務地の双方以外の場所に居る(
図8B参照)。そこで、概日リズム推定部133は、時刻t11~t12の期間、時刻t13~t14の期間、時刻t15~t16の期間で計測された脈波のデータを除去する。
【0089】
概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータにおいて、除去されたデータを補完するために、ダウンサンプリングを行う。例えば、概日リズム推定部133は、1分ごとのデータの推移を、15分ごとのデータの推移となるように、ダウンサンプリングを行う。数日分の脈波のデータに対して日ごとに、所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去、及びダウンサンプリングを行う。概日リズム推定部133は、日ごとにダウンサンプリングされた脈波のデータに対して平均化処理を行う。概日リズム推定部133は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施して、その結果を、1日における脈波の推移を表す概日リズムとして求める。
図8Cの線分G61は、平均化処理された脈波のデータに対して、ローパスフィルタ処理を施した結果を表す。
【0090】
仮眠時刻推定部134は、ローパスフィルタ処理が施された結果を用いて、脈波がピークとなる時刻を、仮眠時刻として求める。例えば、仮眠時刻推定部134は、
図8Cの線分G61を用いて、脈波がピークとなる時刻t21を仮眠時刻として求める。
【0091】
以下に、本実施形態に対する変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、実施形態2と適宜組み合わせて適用可能である。
【0092】
実施形態2において、仮眠推定装置10A(の概日リズム推定部133)は、1日分の脈波のデータを用いて概日リズムを推定してもよい。この場合、上述した平均化処理は省略される。
【0093】
実施形態2において、仮眠推定装置10A(の仮眠時刻推定部134)は、脈波がピークとなる時刻よりも所定時間前の時刻(例えば、10分前の時刻)を、仮眠時刻として求めてもよい。
【0094】
実施形態2において、通知部135は、仮眠時刻推定部134が推定した仮眠時刻から所定時間前の時刻、例えば仮眠時刻から30分前の時刻に、当該仮眠時間を通知してもよい。また、通知部135による通知の方法は、通知部135による通知の方法は、音声であってもよい。
【0095】
実施形態2では、仮眠推定装置10Aは、実施形態1で説明した活動量取得部132を備えない構成としたが、この構成に限定されない。仮眠推定装置10Aは、活動量取得部132を備えてもよい。この場合、計測装置20Aは、活動量計測部23を備える。仮眠推定装置10Aの概日リズム推定部133は、1日分の脈波のデータから自宅及び勤務地の双方以外の場所が計測(検知)された期間の脈波のデータの除去、及び所定の閾値より大きい活動量が計測された期間の脈波のデータの除去を行う。脈波のデータを除去した後の処理は、既に説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0096】
(変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、仮眠推定システム1と同様の機能は、仮眠推定方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る仮眠推定システム1の仮眠推定方法は、脈波報取得ステップと、仮眠時刻推定ステップと、通知ステップと、を含む。脈波報取得ステップは、対象者の脈波を取得する。仮眠時刻推定ステップは、対象者の脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻を推定する。通知ステップは、仮眠時刻推定ステップで推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。
【0097】
一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した仮眠推定システム1又は仮眠推定システム1の仮眠推定方法として機能させるためのプログラムである。
【0098】
本開示における仮眠推定システム1又は仮眠推定システム1の仮眠推定方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における仮眠推定システム1又は仮眠推定システム1の仮眠推定方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(UltraLarge Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0099】
コンピュータシステムである仮眠推定システム1は、1又は複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。例えば、仮眠推定システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0100】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の仮眠推定システム(1)は、脈波取得部(131)と、仮眠時刻推定部(134)と、通知部(135)と、を備える。脈波取得部(131)は、対象者の脈波を取得する。仮眠時刻推定部(134)は、対象者の脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻を推定する。通知部(135)は、仮眠時刻推定部(134)が推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。
【0101】
この構成によると、適切な仮眠時刻を対象者に通知することができる。
【0102】
第2の態様の仮眠推定システム(1)は、第1の態様において、概日リズム推定部(133)を、更に備える。概日リズム推定部(133)は、脈波の推移を表す概日リズムを推定する。仮眠時刻推定部(134)は、概日リズムを基に、仮眠時刻を推定する。
【0103】
この構成によると、概日リズムを基に適切な仮眠時刻を通知することができる。
【0104】
第3の態様の仮眠推定システム(1)は、第2の態様において、活動量取得部(132)を、更に備える。活動量取得部(132)は、対象者の活動量を取得する。概日リズム推定部(133)は、所定値以下である活動量に対応する脈波の推移を表す概日リズムを推定する。
【0105】
この構成によると、運動等の影響を受けた脈波を除外して概日リズムを推定する。これにより、仮眠推定システム(1)は、より精度が高い概日リズムを推定することができる。その結果、仮眠推定システム(1)は、対象者に適切な仮眠時刻を通知することができる。
【0106】
第4の態様の仮眠推定システム(1)では、第3の態様において、活動量は、対象者が消費する消費カロリー、又は対象者が活動を行ったときに安静状態を基準としたエネルギーの消費量である。
【0107】
この構成によると、消費カロリー又は対象者が活動を行ったときに安静状態を基準としたエネルギーの消費量を基に、運動等の影響を受けた脈波を除外して概日リズムを推定することができる。
【0108】
第5の態様の仮眠推定システム(1)は、第2~第4のいずれかの態様において、位置情報取得部(136)を、更に備える。位置情報取得部(136)は、対象者の位置に係る位置情報を取得する。仮眠時刻推定部(134)は、所定の位置を表す位置情報に対応する脈波の推移を表す概日リズムを推定する。
【0109】
この構成によると、所定の位置に応じた脈波を表す概日リズムを推定する。これにより、対象者が日常活動する場所(自宅、勤務地である職場等)での脈波を利用するので、より精度が高い概日リズムを推定することができる。
【0110】
第6の態様の仮眠推定システム(1)では、第2~第5のいずれかの態様において、仮眠時刻推定部(134)は、概日リズムで表される脈波の推移において、脈波がピークとなる時刻、又はピークとなる時刻より所定時間前の時刻を、仮眠時刻として求める。
【0111】
この構成によると、対象者に対して適切な仮眠時刻を求めることができる。
【0112】
第7の態様の仮眠推定システム(1)では、第1~第6のいずれかの態様において、通知部(135)は、仮眠時刻推定部(134)が推定した仮眠時刻から所定時間前に、仮眠時刻を対象者に通知する。
【0113】
この構成によると、仮眠時刻から所定時間前に仮眠時刻を対象者に通知するので、対象者が仮眠時刻を忘れるという可能性を低くすることができる。
【0114】
第8の態様の仮眠推定方法は、脈波報取得ステップと、仮眠時刻推定ステップと、通知ステップと、を含む。脈波報取得ステップは、対象者の脈波を取得する。仮眠時刻推定ステップは、対象者の脈波の推移を基に、対象者の仮眠時刻を推定する。通知ステップは、仮眠時刻推定ステップで推定した仮眠時刻を、対象者に通知する。
【0115】
この仮眠推定方法によると、適切な仮眠時刻を対象者に通知することができる。
【0116】
第9の態様のプログラムは、コンピュータに、第8の態様の仮眠推定方法を実行させるためのプログラムである。
【0117】
このプログラムによると、適切な仮眠時刻を対象者に通知することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 仮眠推定システム
10 仮眠推定装置
131 脈波取得部
132 活動量取得部
133 概日リズム推定部
134 仮眠時刻推定部
135 通知部
136 位置情報取得部