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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230217BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 433
F21S2/00 431
G09F13/18 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019101571
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020194759
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要介
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/137161(WO,A1)
【文献】特開2003-045214(JP,A)
【文献】特開2016-058388(JP,A)
【文献】特開平09-329710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G09F 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射端面から入射した光を、反射面に設けられたプリズムで反射させ、前記反射面と向かい合う出射面から出射させる導光板と、
前記導光板の入射端面に光を入射させる光源と、
を備えた表示装置であって、
前記反射面または前記出射面の少なくとも一方の面であって、前記入射端面から入射した光が、前記反射面または前記出射面で全反射されない領域の少なくとも一部に、前記入射端面から入射した光を吸収する吸収部、または、前記入射端面から入射した光を屈折させて、前記導光板の外部に出射する屈折部が設けられている、表示装置。
【請求項2】
前記入射端面から入射した光の前記反射面または前記出射面に対する入射角をθとしたとき、前記反射面または前記出射面で全反射されない領域は、入射角θが、以下の式(1)を満たす領域である、請求項1に記載の表示装置。
sinθ≦n/n ・・・(1)
ここで、nは、前記導光板の周辺にある物質の屈折率、nは前記導光板の材質の屈折率である。
【請求項3】
前記吸収部は、前記反射面または前記出射面の表面に形成された吸収層で構成されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記屈折部は、前記反射面または前記出射面の表面に形成された傾斜面で構成されており、前記傾斜面の中心における垂線と、前記傾斜面の中心と前記光源とを結ぶ線とのなす角度が20°以下である、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記屈折部は、複数の屈折部で構成されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記導光板の前記出射面側に配置され、該出射面から出射する光を透過させる散乱性を有する透光部と、該透光部よりも光透過率が低い遮光部とを有する隠蔽板をさらに備えている、請求項1~5の何れかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や図形、絵柄等の情報を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や図形、絵柄等の情報を表示する表示装置として、例えば、特許文献1に、透明な導光板と、導光板の端面に光を入射させるLED等の光源とを備えた表示装置が開示されている。導光板の端面に入射した光は、導光板の内部を伝搬して、導光板の反射面に形成されたプリズムで反射されて、反射面と向かい合う出射面から出射する。このとき、複数のプリズムを所定の位置に配置することによって、プリズムの集合体として、文字や図形、絵柄等の情報が表示される。
【0003】
ここで、光源を隠すために、導光板の出射面側に、隠蔽板を配置することがある。隠蔽板は、出射面から出射する光を透過させて情報を表示する透光部と、透光部よりも低い光透過率を有し、光源を隠す遮光部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-180823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された表示装置において、光源から導光板の端面に入射した光は、導光板の内部を伝搬する際、導光板の厚み分だけ光の伝播角が大きくなる。伝搬角が大きくなると、伝搬した光がプリズムで反射する際、プリズムからの光の出射角が大きくなる。そのため、表示する文字や図形等の輪郭が不鮮明になり、ぼやけて見えるという問題が生じる。
【0006】
以下、この問題を、図8及び図9を参照しながら説明する。
【0007】
図8に示すように、表示装置は、LEDなどの光源101と、導光板102と、隠蔽板106とを備えている。光源101から導光板102に入射した光104は、反射面102aに設けられたプリズム103で反射され、反射面102aと向かい合う出射面102bから出射される。隠蔽板106は、出射面102aから出射された光を透過させる散乱性を有する透光部107と、透光部107よりも光透過率が低い遮光部108とを有する。
【0008】
導光板102から出射した出射光105は、透光部107の点109に入射し、点109で散乱透過することにより、透過散乱光110が生じる。これにより、導光板102を隠蔽板106側から見た時、点109が光っているように見える。
【0009】
ところで、図9に示すように、導光板102に入射した光は、プリズム103に向かって進む光104と伝搬角度の違う光104'が存在する。光104'は、光104とは異なる方向からプリズム103に入射し、プリズム103では、光104と異なる方向に反射される。そのため、光104'による出射光105'が透光部107に入射する点109'は、光104による出射光105が透光部107に入射する点109と異なる。その結果、互いに離れた点109、109'で、透過散乱光110、110'が生じる。
【0010】
すなわち、導光板102を隠蔽板106側から見た時、互いに離れた点109、109’が光っているように見える。このように、一つのプリズム103で反射された光が、透光部107において複数箇所で光っているように見えるため、プリズムの集合体として表示される文字や図形、絵柄等の輪郭がぼやけることになる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、表示する文字や図形等の輪郭が鮮明で、見栄えのよい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る表示装置は、入射端面から入射した光を、反射面に設けられたプリズムで反射させ、反射面と向かい合う出射面から出射させる導光板と、導光板の入射端面に光を入射させる光源とを備え、反射面または出射面の少なくとも一方の面であって、入射端面から入射した光が、反射面または出射面で全反射されない領域の少なくとも一部に、入射端面から入射した光を吸収する吸収部、または、入射端面から入射した光を屈折させて、導光板の外部に出射する屈折部が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示する文字や図形等の輪郭が鮮明で、見栄えのよい表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における表示装置の構成を模式的に示した断面図である。
図2】隠蔽板の平面図である。
図3】導光板を隠蔽板側から見た平面図である。
図4】導光板の反射面に設けられた複数のプリズムの集合体を示した図である。
図5】光源から導光板に入射した光の伝搬角度と、導光板の出射面における光の反射との関係を模式的に示した断面図である。
図6】本発明の他の実施形態における表示装置を模式的に示した断面図である。
図7図6において屈折部が設けられた部分を拡大して示した断面図である。
図8】従来の表示装置の構成を示した断面図である。
図9】従来の表示装置の問題点を説明した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における表示装置の構成を模式的に示した断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態における表示装置1は、導光板3の入射端面3cに光を入射させる光源2と、入射端面3cから入射した光を、反射面3aに設けられたプリズム4で反射させ、反射面3aと向かい合う出射面3bから出射させる導光板3とを備えている。また、導光板3の出射面3b側には、隠蔽板6が配置されている。隠蔽板6は、図2の平面図に示すように、出射面3bから出射する光を透過させる散乱性を有する透光部7と、透光部7よりも光透過率が低い遮光部8とを有する。
【0018】
図3は、導光板102を隠蔽板6側から見た平面図である。導光板3の反射面3aに文字Bが形成されている。ここで、文字Bは、図4に示すように、導光板3の反射面3aに配置された複数のプリズム4の集合体により形成されている。
【0019】
本実施形態では、図1に示すように、入射端面3c側の反射面3a及び出射面3bに、入射端面3cから入射した光を吸収する吸収部5が設けられている。入射端面3cから入射した光のうち、伝播角が小さい光10は、吸収部5で吸収されることなく、導光板3内を伝播し、プリズム4で反射して、出射面3bから出射光12として出射される。一方、伝播角が大きい光11は、吸収部5で吸収されて、プリズム4まで伝搬しない。そのため、プリズム4で反射されて、出射面3bから出射される出射光12の出射角が小さくなる。その結果、導光板3の出射面3b側に隠蔽板6を配置した場合でも、表示する文字や図形等の輪郭を鮮明にすることができる。
【0020】
図5は、光源2から導光板3に入射した光の伝搬角度と、導光板3の出射面3bにおける光の反射との関係を模式的に示した断面図である。
【0021】
図5に示すように、光源2から伝搬角αで導光板3に入射した光Lは、導光板3の出射面3bに入射角θで入射する。そして、出射面3bで、一部は反射光L'として反射し、一部は、屈折光L''として、導光板3の外部に出射する。伝搬角αが小さくなると、導光板3の出射面3bに入射する入射角θが大きくなる。そして、入射角θが臨界角θで入射した光Lは、屈折角が90°の屈折光L''のみとなる。さらに、臨界角θより大きな入射角θで入射した光Lは、導光板3の出射面3bで全反射して、反射光L'のみとなる。
【0022】
ここで、臨界角θは、導光板3の材質の屈折率をnとし、導光板3の周囲にある物質(一般的には空気)の屈折率をnとすると、以下の式(1)で表される。
【0023】
sinθ=n/n ・・・(1)
例えば、導光板3の材質をアクリル、導光板3の周辺の物質を空気とすると、nは約1.49、nは1となるため、臨界角θは、約42°となる。この場合、伝搬角α(α=90°-θ)は、約48°となる。従って、入射角θが42°よりも大きい光、すなわち、伝搬角αが48°より小さい光は、導光板3内を全反射して伝搬することとなる。
【0024】
逆に言えば、図5に示すように、出射面3bにおいて、入射角θが以下の式(2)を満たす領域Aで反射された光は、伝搬角αが大きいため、プリズム4に到達する光の角度広がりが大きくなる。
【0025】
sinθ≦n/n ・・・(2)
本実施形態では、入射端面3cから入射した光が、出射面3bで全反射されない領域A(入射角θが上記式(2)を満たす領域)に、図1に示すように、入射端面3cから入射した光を吸収する吸収部5を設けたことを特徴とする。これにより、伝播角αの大きな光を吸収部5で吸収することができるため、プリズム4に到達する光の角度広がりを抑制できる。その結果、表示する文字や図形等の輪郭がぼけるのを抑制することができる。
【0026】
なお、吸収部5は、必ずしも、入射角θが上記式(2)を満たす領域Aの全域に設ける必要はなく、領域Aの少なくとも一部に設けられていればよい。また、吸収部5は、出射面3bだけでなく、反射面3aにも設けられていてもよい。また、反射面3aまたは出射面3bの少なくとも一方の面に設けられていてもよい。
【0027】
吸収部5は、光を吸収する材質で構成されていれば、特に限定されないが、例えば、反射面3aまたは出射面3bの表面に、水性ウレタン樹脂、NAD(Aqueous Dispersion)アクリル樹脂、カーボンブラック等の材質からなる吸収層を塗布することによって形成することができる。
【0028】
図6は、本発明の他の実施形態における表示装置を模式的に示した断面図である。
【0029】
図6に示すように、本実施形態における表示装置1は、図1に示した表示装置1において、反射面3aまたは出射面3bに吸収部5を設ける代わりに、入射端面3cから入射した光を屈折させて、導光板3の外部に出射する屈折部9が設けられている点が異なる。なお、本実施形態において、屈折部9以外の構成は、図1に示した表示装置1と同じであるため、説明は省略する。
【0030】
本実施形態では、図6に示すように、入射端面3cから入射した光のうち、伝播角が小さい光10は、屈折部9で屈折されることなく、導光板3内を伝播し、プリズム4で反射して、出射面3bから出射光12として出射される。一方、伝播角が大きい光11は、後述するように、ほとんどが屈折部9で屈折して、導光板3の外部に出射されるため、プリズム4まで伝搬しない。そのため、プリズム4で反射されて、出射面3bから出射する光の出射角が小さくなる。その結果、導光板3の出射面3b側に隠蔽板6を配置した場合でも、表示する文字や図形等の輪郭を鮮明にすることができる。
【0031】
図7は、図6において屈折部9が設けられた部分を拡大して示した断面図である。
【0032】
図7に示すように、出射面3bの表面において、入射端面3cから入射した光が、出射面3bで全反射されない領域A(上記式(2)を満たす領域)に、傾斜面9a、9bが形成されている。ここで、傾斜面9a、9bは、それぞれ屈折部9を構成する。
【0033】
本実施形態において、傾斜面9a、9bの各中心における垂線V、Vと、傾斜面9a、9bの各中心と光源2とを結ぶ線L、Lとのなす角度γ、γは、いずれも20°以下である。ここで、角度20°は、上記式(1)で示した臨界角θより小さい値として設定されている。例えば、導光板3の材質をアクリル、導光板3の周辺の物質を空気とすると、臨界角θは約42°となり、角度20°は、臨界角θの約1/2になっている。また、角度γ、γは、光源2から出射した光が、線L、Lに沿って傾斜面9a、9bに入射したときの入射角に相当するものである。
【0034】
例えば、光源2から出射した光Lは、傾斜面9aに角度γの入射角で入射する。そして、傾斜面9aで、一部は反射光L'として反射し、一部は、屈折光L''として、導光板3の外部に出射する。ここで、幾何光学でよく知られているように、入射角が小さい場合、それぞれの物質の屈折率差で規定される透過率で光が透過する。例えば、導光板3の材質をアクリル、導光板3の周囲の物質を空気とすると、入射角が20°以下の場合、透過率は90%以上となる。従って、傾斜面9aに入射した光Lの90%程度は、屈折光L''として導光板3の外部に出射し、10%程度の反射光L'しか導光板102内を伝搬していかない。
【0035】
同様に、光源2から出射した光Lは、傾斜面9bに角度γの入射角で入射する。そして、傾斜面9bで、一部は反射光L'として反射し、一部は、屈折光L''として、導光板3の外部に出射する。ここで、傾斜面9bの傾斜角が、傾斜面9aの傾斜角と同じ場合、角度γは、角度γより大きくなる。しかしながら、角度γが、20°以下であれば、傾斜面9bに入射した光Lは、傾斜面9aに入射した光Lと同様に、90%程度は、屈折光L''として導光板3の外部に出射し、10%程度の反射光L'しか導光板102内を伝搬していかない。なお、角度γが20°を超える場合には、傾斜面9bの傾斜角を、角度γが20°以下になるように調整すればよい。
【0036】
本実施形態によれば、入射端面3cから入射した光のうち、伝播角が大きい光は、ほとんどが領域Aに設けられた屈折部9で屈折して、導光板3の外部に出射されるため、プリズム4まで伝搬しない。そのため、プリズム4で反射されて、出射面3bから出射する光の出射角が小さくなる。その結果、導光板3の出射面3b側に隠蔽板6を配置した場合でも、表示する文字や図形等の輪郭を鮮明にすることができる。
【0037】
本実施形態において、屈折部9は、必ずしも、入射角θが上記式(2)を満たす領域Aの全域に設ける必要はなく、領域Aの少なくとも一部に設けられていればよい。また、屈折部9は、出射面3bだけでなく、反射面3aにも設けられていてもよい。また、反射面3aまたは出射面3bの少なくとも一方の面に設けられていてもよい。また、屈折部9は、複数の屈折部で構成されていてもよい。屈折部9の傾斜面9a、9bは、例えば、導光板3の反射面3aまたは出射面3bを切削加工または成形加工することによって形成することができる。
【0038】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態において、導光板3の材質としてアクリルを例示したが、これに限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニール、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリーカーボネード、テフロン(登録商標)等を用いることができる。また、上記実施形態では、導光板3の出射面3b側に隠蔽板6を配置した表示装置を例示したが、隠蔽板6が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 表示装置
2 光源
3 導光板
3a 反射面
3b 出射面
3c 入射端面
4 プリズム
5 吸収部
6 隠蔽板
7 透光部
8 遮光部
9 屈折部
9a、9b 傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9