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特許7228854ガス容器管理装置及びガス容器管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】ガス容器管理装置及びガス容器管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230217BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021214012
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2021-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500263758
【氏名又は名称】株式会社アシスト・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山口 武雄
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特許第5409943(JP,B1)
【文献】特開2003-288445(JP,A)
【文献】特開2003-050843(JP,A)
【文献】特開2003-058743(JP,A)
【文献】特開2018-096521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス容器を、前記ガス容器に関係する者の情報と前記ガス容器を識別するための識別情報とを関連づけて管理するガス容器管理装置であって、
前記ガス容器に関する保安情報を記憶する記憶部と、
前記ガス容器の管理処理を実行する際に前記管理処理ごとの前記保安情報を前記記憶部から取得、表示させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ガス容器の管理処理の内容に関係する前記保安情報を前記記憶部から取得する保安情報取得部を備え
前記記憶部には、前記ガス容器に関係する者が複数存在し、それぞれの立場ごとに複数の役割が認められる場合に、これらの前記ガス容器に関係する者の情報は、1つの前記ガス容器に関係する者の立場におけるそれぞれの前記役割ごとに階層を分けて記憶されていることを特徴とするガス容器管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
取得された前記保安情報に基づき、前記ガス容器管理装置の管理者に対して報知する報知部と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載のガス容器管理装置。
【請求項3】
前記ガス容器に関係する者は、前記階層を分けて記憶されている通りに前記階層に分けて表示部に表示されるとともに、前記階層ごとに前記ガス容器に関係する者の表示の態様を変化させて表示されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス容器管理装置。
【請求項4】
前記階層は3つに分けて設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガス容器管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ガス容器が配送される前記ガス容器に関係する者の前記ガス容器の所有者を区分する容器所有区分に応じて、前記ガス容器の管理処理において用いられる語句を、前記保安情報を参照して自動的に変換することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載のガス容器管理装置。
【請求項6】
ガス容器管理装置に、
前記ガス容器に関する保安情報を記憶するステップと、
前記ガス容器の管理処理を実行する際に前記ガス容器の管理処理の内容に関係する前記保安情報を前記管理処理ごとに記憶部から取得、表示させるステップと、
前記ガス容器に関係する者が複数存在し、それぞれの立場ごとに複数の役割が認められる場合に、これらの前記ガス容器に関係する者の情報は、1つの前記ガス容器に関係する者の立場におけるそれぞれの前記役割ごとに階層を分けて記憶するステップと、
前記ガス容器に関係する者の情報のうち、前記ガス容器が配送される前記ガス容器に関係する者の情報に紐付けられた前記ガス容器の保安情報を取得、表示させるステップと、
を含む処理を実行させることを特徴とするガス容器管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、ガス容器管理装置及びガス容器管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロパンガスやアセチレンガス、酸素ガスや窒素ガス等、一般に市場に流通しているガスは、まず充填工場においてガス容器に充填され、集配員によって傘下の販売店に運ばれる。そして、この各販売店から家庭や事業所等の最終顧客(ユーザ)に配送される。また、各販売店や配送業者が回収した空のガス容器は、充填工場や各販売店の集配車によって回収されて充填工場に運ばれる。そして、ガスの再充填が行われ、再び各販売店やユーザに送られる仕組みとなっている。
【0003】
このような各種ガスの売買において、売買の対象は充填されたガスであって、基本的にガスを収容するガス容器ではない。そして、上述したガスの流通においても明らかなように、当該ガス容器は充填工場、販売店、ユーザの間を循環して繰り返し使用される。そのため、ガス容器自体に関する安全管理の面から、ガス容器の所有者の登録やガス容器の素材に基づく検査、場合によっては廃棄等が確実に行われる必要がある。
【0004】
一方、ガス容器が循環する充填工場、販売店、ユーザにおいては、常時ガス容器の正確な所在地が把握されていることが重要である。特に、高圧ガスを貯蔵する場合においては、法令で定める一定の貯蔵量を超えると、ガス貯蔵の許可区分が変更になるため、新たな貯蔵許可または届け出が必要になる。
【0005】
そこでガス容器の管理について、ガス容器管理サーバーの使用者とガス容器所有者とガス容器の実際の管理者との関係を容器記号・容器番号により特定されるガス容器管理情報と共に管理者属性としてガス容器管理サーバーで管理し、その属性を表示する方法で管理する方法が提案されている。
【0006】
すなわち、個々のガス容器の管理者属性をそのガス容器管理サーバーの使用者の観点で表示することによって、ガス容器の所有者と管理者とが異なる場合においても実際の管理者を明確にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5409943号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かにガス容器を使用する者が誰であるのかについての情報は重要である。例えば、ガス容器の設置場所は実際にガスを使用する者が存在する場所であり、ガスの使用量等に対する費用を負担する者とは異なることも多い。また、ガス容器は大きく重い場合も多く、販売店から遠方の使用者に対する集配が必要な場合には、使用者の近くの販売店に集配を依頼する等の事情も生じうる。
【0009】
一方で、ガス容器を管理する際には、ガスを使用する者や費用を負担する者といった、それぞれの立場におけるガス容器を取り扱う者の関係だけではなく、上述したようにガス容器そのものの情報も不可欠であり、ガス容器に関係する保安上の観点から必要とされる情報は多岐にわたる。
【0010】
すなわち、売買の対象が取り扱いに注意を要するガスであること、そのためにその保安に関して様々な観点からの規制、制限が存在すること、上述したように様々な立場でガス容器を取り扱う者が存在し、ガス容器もその所在地が頻繁に変更されることになること等を考慮すると、法令を遵守しながらガス容器の管理、特に保安情報の管理、更新を行うことが非常に重要となる。
【0011】
他方で、多岐にわたる保安情報の管理、更新を常日頃意識しつつ、ガス容器の管理も行わなければならないとすると、確実な保安情報の管理、更新ができなくなってしまうばかりではなく、ガス容器の管理との両立を図ることも困難となりかねない。
【0012】
本発明は、ガス容器の管理に必要な情報を用いて、日々の処理において、特に意識せずとも確実な保安情報の管理を実行し、保安情報をガス容器の管理に反映させることが可能なガス容器管理装置及びガス容器管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置は、ガス容器を、ガス容器に関係する者の情報とガス容器を識別するための識別情報とを関連づけて管理するガス容器管理装置であって、ガス容器に関する保安情報を記憶する記憶部と、ガス容器の管理処理を実行する際に管理処理ごとの保安情報を記憶部から取得、表示させる制御部と、を備え、制御部は、ガス容器の管理処理の内容に関係する保安情報を記憶部から取得する保安情報取得部を備え、記憶部には、ガス容器に関係する者が複数存在し、それぞれの立場ごとに複数の役割が認められる場合に、これらのガス容器に関係する者の情報は、1つのガス容器に関係する者の立場におけるそれぞれの役割ごとに階層を分けて記憶されている。
【0014】
また、制御部は、さらに、取得された保安情報に基づき、ガス容器管理装置の管理者に対して報知する報知部とを備えている。
【0016】
本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置は、ガス容器に関係する者は、階層を分けて記憶されている通りに階層に分けて表示部に表示されるとともに、階層ごとにガス容器に関係する者の表示態様を変化させて表示される。また、表示部に表示される階層は3つに分けて設けられている。
【0017】
また制御部は、ガス容器が配送されるガス容器に関係する者のガス容器の所有者を区分する容器所有区分に応じて、ガス容器の管理処理において用いられる語句を、保安情報を参照して自動的に変換する。
【0018】
さらに、本発明の実施の形態におけるガス容器管理プログラムは、ガス容器管理装置に、ガス容器に関する保安情報を記憶するステップと、ガス容器の管理処理を実行する際にガス容器の管理処理の内容に関係する保安情報を管理処理ごとに記憶部から取得、表示させるステップと、ガス容器に関係する者が複数存在し、それぞれの立場ごとに複数の役割が認められる場合に、これらのガス容器に関係する者の情報は、1つのガス容器に関係する者の立場におけるそれぞれの役割ごとに階層を分けて記憶するステップと、ガス容器に関係する者の情報のうち、ガス容器が配送されるガス容器に関係する者の情報に紐付けられたガス容器の保安情報を取得、表示させるステップと、を含む処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このような本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置及びガス容器管理プログラムであれば、ガス容器の管理に必要な情報を用いて、日々の処理において、特に意識せずとも確実な保安情報の管理を実行し、保安情報をガス容器の管理に反映させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を含むガス容器管理システムの全体構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置内に記憶される情報の構成の一例を示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態において管理の対象となるガス容器の態様を示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置において、表示部に表示されたユーザの表示態様を示す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の大まかな処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を示したものである。また、本実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0023】
[ガス容器管理システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を含むガス容器管理システムSの全体構成を示す構成図である。ガス容器管理システムSは、例えば、インターネット等の情報通信ネットワークNにガス容器管理システムSを構成する各機器が接続されることによって構成される。
【0024】
このように、図1における情報通信ネットワークNに接続されるガス容器管理システムSは、管理の対象となるガス容器の管理及び当該管理に連携する保安情報を管理するために用いられるガス容器管理装置1が販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4において使用されることによって構成される。そこで図1においては、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4それぞれに、当該ガス容器管理装置1が配置されている状態を示している。
【0025】
販売店2は、ガスの使用者であるユーザ4にガスを販売する者である。販売店2は、ユーザからの要求に基づいて、必要なガスが充填されたガス容器をユーザ4に納品する。また、ユーザ4がガスを使ってしまった後は、空になったガス容器を回収等して改めてガス容器にガスを充填等する。
【0026】
充填工場3は、ガス容器にガスを充填する工場であり、いわゆるメーカに該当する。販売店2は、ユーザからの発注に対応するべく充填工場3においてガス容器にガスを充填してもらい、在庫として保有しておく。そしてユーザ4からの発注に従って該当するガスが充填されたガス容器をユーザ4へと納品する。或いは、販売店2に充填工場3と同様の機能が備えられている場合においては、販売店2においてガスを充填の上、ユーザ4へと納品する。
【0027】
ユーザ4は、販売店2及び充填工場3と同様、ガス容器に関係する者であり、販売店2から配送されたガス容器内のガスを使用する者である。ユーザ4としては、個人や各種工場、或いは、病院等を挙げることができる。
【0028】
ここで例えば、ユーザ4が個人の場合にはガスを使用する者と当該ガスの使用によって発生する費用を負担する者とは一致することが多い。一方で、企業の場合、実際にガスを使用する者と費用を負担する者とが、例えば、前者は工場であり、後者は本社である場合等、異なる場合がある。
【0029】
このように、ガスの使用に関する費用負担の観点からすると、ガスの使用者と費用の負担者とは必ずしも一致しない。一方で保安情報は、実際にガス容器が存在する場所ごとに把握されていなければならない。
【0030】
そこで以下の本発明の実施の形態においては、適宜これらをまとめて広く「ユーザ」と表す。一方で、ガス容器の管理処理と連携して保安情報を確認する場合等、ユーザの概念に含まれるガス容器に関係する者を細かく場合に分けて説明する場合もある。
【0031】
上述したようにガス容器は、図1に示す販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4の間を循環して移動する。そのため、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4は、それぞれの立場からガス容器管理装置1を用いて必要に応じてガス容器の管理、保安情報の管理を行う必要がある。従って、ガス容器管理装置1は、図1に示す通り、販売店2等にそれぞれ設置され得る。
【0032】
但し以下においては、販売店2に設置されているガス容器管理装置1が用いられることを前提に説明する。また、ガス容器の管理情報や保安情報等を含む各種情報は、当該ガス容器管理装置1において管理されているが、これらの情報は、例えば、情報通信ネットワークN上に置かれる図示しないクラウドサーバに保管されているものであっても良い。
【0033】
また、販売店2等に設置されるガス容器管理装置1の他、図1に示すガス容器管理システムSには、携帯用情報端末5Aないし5C(以下、これらの各携帯用情報端末については、まとめて説明する場合には単に「携帯用情報端末5」と表す。)も情報通信ネットワークNを介して接続されている。当該携帯用情報端末5は、例えば、上述したユーザ4等の各所にガス容器を集配する際に集配員によって使用されるものである。
【0034】
このような携帯用情報端末5は、例えば、ガス容器に設けられているバーコード等を読み取って、ガス容器の特定等、ガス容器の管理を出先で行うために用いられる装置である。従って、例えば、以下において説明するガス容器管理装置1の全ての機能が実行可能とされていても、或いは、ガス容器管理装置1の機能のうち、選択された機能のみ実行可能とされていても良い。
【0035】
なおここで図1においては、携帯用情報端末5について、いわゆるハンディターミナルと言われる端末である携帯用情報端末5A,5Bの他、例えばスマートフォンの形態をもつ携帯用情報端末5Cの3つが示されている。但し、携帯用情報端末5としては、これらの形態の他、上述した機能を実行可能とする装置であれば、タブレットやPDA(Personal Digital Assistant)に含まれる各種機器等、どのような形態をしていても良い。
【0036】
情報通信ネットワークNは、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4の各所に設置されるガス容器管理装置1と、携帯用情報端末5とをそれぞれつないでいる。これら各機器は、情報通信ネットワークNに接続されることによって、互いの間で、例えばガス容器に関する保安情報やガス容器に関係する者の情報等のやりとりを可能とされている。情報通信ネットワークNの例としては、インターネット等のネットワークやLAN(Local Area Network)を挙げることができる。
【0037】
なお、図1においては、情報通信ネットワークNには、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4の各所に設置されるガス容器管理装置1と、携帯用情報端末5とが接続された状態が示されているが、これらの各機器以外の機器が接続されていても構わない。
【0038】
また、図1に示すガス容器管理システムSでは、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4の各所は、それぞれ情報通信ネットワークNとの間が実線でつながれて示されている。これは、これらの装置、場所がそれぞれ有線で情報通信ネットワークNに接続されていることを示している。
【0039】
但し、これら各部が情報通信ネットワークNにそれぞれ無線で接続される構成としても良い。一方、携帯用情報端末5については、いずれも無線で情報通信ネットワークNに接続される様子が示されている。
【0040】
[ガス容器管理装置の内部構成]
次に、以下、ガス容器管理装置1について、さらに詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
ガス容器管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13及び入出力インターフェイス14がバスBを介して接続される構成を備えている。さらに当該入出力インターフェイス14には、ガス容器管理装置1を操作する者が使用する入力部15と、表示部16と、通信制御部17と、記憶部18と、制御部19とが接続される。
【0042】
CPU11は、入力部15からの入力信号に基づいてROM12からガス容器管理装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部18に格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU11は、入力部15や入出力インターフェイス14を介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいてガス容器の管理や保安情報の管理を行うこととされていても良い。
【0043】
さらにCPU11は、RAM13や記憶部18等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM13にロードするとともに、RAM13から読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、ガス容器管理装置1自体の管理やガス容器の管理処理を行う際に必要なデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0044】
入力部15は、ガス容器管理装置1の操作者が各種の操作を入力する、例えばキーボードやタッチパネル等の入力デバイスにより構成されている。入力部15を介した操作者の操作に基づいて入力信号が作成されバスBを介してCPU11に送信される。また、この他、マイク、カメラ等、ガス容器管理装置1に設けられている装置、または、当該ガス容器管理装置1に接続可能な各種装置も入力部15の一種として挙げることができる。
【0045】
表示部16は、例えばモニタである。この表示部は、CPU11からバスBを介して出力信号を受信し、例えば、ガス容器を管理する際に必要な情報、ユーザの情報等、或いは、CPUの処理結果を表示する。なお、表示部16としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、或いは、音声にて操作者に対して報知する装置も含まれる。
【0046】
通信制御部17は、LANカードやモデム等の手段であり、ガス容器管理装置1をインターネットやLAN等の情報通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部17を介して情報通信ネットワークNと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス14及びバスBを介してCPU11に送受信される。
【0047】
記憶部18は、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU11で実行される、例えば、ガス容器の管理処理や保安情報の報知等を行うための、例えばガス容器管理プログラムといったプログラムやデータが記憶されている。
【0048】
また、ここでは、記憶部18がガス容器管理装置1の内部に設けられていることを前提としているが、例えば、外付けハードディスクやフラッシュメモリ等の外部記憶媒体を使用することが可能である。或いは、情報通信ネットワークNに接続されているサーバを記憶部として使用することも可能である。
【0049】
図3は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1内に記憶される情報の構成の一例を示す説明図である。すなわち、記憶部18には、例えば、保安管理情報181、ガス容器管理情報182、販売管理情報183、販売店情報184、充填工場情報185、及び、ユーザ情報186が記憶されている。
【0050】
なお、図3においては、本発明の実施の形態における説明に必要な情報のみが記憶されているように示されている。そのため、記憶部18内に記憶される情報の内容としては、図3に示す各種情報のみならず、例えば、上述したような各種オペレーティングシステムが記憶されていても良い。
【0051】
保安管理情報181は、ガス容器の保安に関する情報である。保安管理情報(以下、適宜「保安情報」と表す)は、多岐にわたるが、例えば、ガス容器の検査や廃棄管理、ガス容器内のガスの貯蔵量といった情報である。また、保安管理情報181には、これらの保安情報をユーザ4に対して周知する際に提供される周知書等に関する情報も含まれる。
【0052】
すなわち、ガス容器を管理する際、ガス容器に関する検査期間や廃棄期間、或いは、ガスの充填量といった保安情報については、実際にガスが使用される場所、すなわち、ガス容器の最終届け先ごとに把握しておく必要がある。これはガス容器が存在するのは当該最終届け先であり、この場所での保安情報を管理することが最も適切であり、安全に資するからである。
【0053】
そこで、最終届け先におけるガス容器の管理処理及び販売管理処理が行われるとともに、これらの処理が実行される際に、記憶部18に記憶されている、主に保安管理情報181、ガス容器管理情報182、販売管理情報183を互いに連携させて保安管理が実行される。
【0054】
ここで、「保安情報」とは、ガス容器の安全性を確保するために必要とされる様々な情報の総称である。すなわち、ガス容器の安全性について考えた場合に、例えば、上述したガス容器の材質や検査期間、廃棄期間といった、ガス容器自体に関する情報の他、当該ガス容器がどのような場所で保管されているのか、使用するユーザがどのような者であり、使用目的はどのようなものであるのか、といった、ガス容器に関係するユーザに関する情報も挙げることができる。
【0055】
このように、保安情報は多岐にわたり情報としても様々な場所に記憶されている。従って、ガス容器管理装置1の操作者がこれらの保安情報を適宜更新する等、管理することは、困難である。そこで、本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、ガス容器の管理処理、或いは、販売管理処理の中で、適宜これらの処理の実行に関連する保安情報を操作者に提供することで、操作者としては自身で都度保安情報にアクセスしてその内容を確認する等の処理を行わずとも確実に保安情報の確認、法令等の遵守を図るようにするものである。
【0056】
そこで、以下、主な保安情報について説明する。なお、ガス容器管理装置1において取り扱うことが可能な保安情報については、以下に説明する保安情報に限られない。
【0057】
まず、ガス容器に関する保安情報について説明する。図4は、本発明の実施の形態において管理の対象となるガス容器6の態様を示す説明図である。本発明の実施の形態におけるガス容器6の外装面には、再検査年月61と、容器所有者番号62と、容器記号・容器番号63と、充填ガス名64が刻印されている。当該充填ガス名64は、当該ガス容器6に充填されるガス種を示すための刻印である。
【0058】
なお、ここで「刻印」と表しているが、ガス容器6の表面を実際に削って印を付ける場合の他、シール等で情報を示すような場合も含んでおり、いずれの態様であっても良い。
【0059】
再検査年月61は、ガス容器6について検査が実施された年月である。後述するように、ガス容器6については、例えばある期間ごとに検査を行う必要があり、耐用年数として設定されている年月を超えての使用は認められないこともある。
【0060】
そこで、ガス容器6に外装面に再検査年月61を刻印する。又、別途貼り付けられているパーコードから記号番号を取得し、ガス容器管理装置1にアクセスして検査が必要か否かを確認し検査期限切れを周知するものである。なおもちろん、再検査年月を含む、検査に関する各種情報についてはいずれも保安管理情報181、ガス容器管理情報182に格納されている。
【0061】
容器所有者番号62は、当該ガス容器6を所有する者に付与されている番号である。図4に示すガス容器6では4桁の記号・番号である。当該容器所有者番号62については、例えば、高圧ガス保安協会といった機関が付与する番号があり、当該機関が付与した番号が刻印される。なお、ガス容器6が売買等によりその所有者が変更された場合には、新たな刻印が必要とされる。
【0062】
容器記号・容器番号63は、個々のガス容器6を識別するための識別情報たる記号・番号である。ガス容器6に容器記号・容器番号63が刻印されているのは、当該ガス容器6に関する検査情報やガス種の情報といった、ガス容器6に個別の各種情報を確認することができるようにするためである。
【0063】
このような観点から、従来は記号・番号の重複がないように付与されていたが、ガス容器の自主保安となってからは、同一の記号・番号が複数存在する状況となっている。そこで、本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1においては、ガス容器6を区別するための記号・番号の桁数を増やすことや記号番号識別を付加する事で容器記号・容器番号63が重複せずに管理可能としている。
【0064】
そのため、例えば、ガス容器管理装置1の操作者や携帯用情報端末5を使用する集配員(以下、必要に応じてこれらをまとめて「操作者等」とも表す)がガス容器6の状態を確認するために当該ガス容器6の情報にアクセスする場合には、容器記号・容器番号63を入力、或いは、読み込む等して必要な情報を入手することができる。
【0065】
併せて、ガス種や容器管理者、容器所有者といった、その他の情報を関連付けることによって、これまで通りガス容器6に刻印された容器記号・容器番号63を入力、或いは、読み取るだけで判別することができるようにされている。
【0066】
具体的には、例えば、集配員が携帯用情報端末5を用いることによって容器記号・容器番号63が読み取られた場合に、同一の容器記号・容器番号63が複数存在する場合には、全ての容器記号・容器番号63に関する情報をリスト化して表示させる。そのため集配員は、当該リストに掲載されている容器記号・容器番号63の中から、例えばガス種等の情報を基に該当するガス容器6を選択することで特定することができる。
【0067】
また、ガス容器6には、ガス容器6を識別するための記録媒体65が貼附されている。当該記録媒体65にはガス容器6に関する各種情報が含まれており、例えば、携帯用情報端末5を用いて読み込むことによって、ガス容器6の情報にアクセスすることができる。また、当該情報を基に情報を加工した上で、ガス容器管理装置1へとその情報を送信することもできる。
【0068】
ここで図4に示すガス容器6では、記録媒体65としてバーコードが使用されているが、ガス容器6に関する情報を記録しておくことができる記録媒体であれば、例えば、QRコード(登録商標)やRFID等も採用することができる。
【0069】
以上説明した通り、ガス容器に対しては、最終的にそれぞれ固有の容器記号・容器番号が付与される。当該容器記号・容器番号は、個々にガス容器を管理するに当たって必要なものである。このようにガス容器については、1本ごとに管理されるが、これらのガス容器を複数本まとめて1基として組み込み、当該組を1つのかたまりとして流通させる場合がある。
【0070】
これはユーザ4が、例えば同じガス種で1本以上の容量をもって使用する場合等に利用されるもので、「カードル」と称される。そのため、カードルとしてまとめられたガス容器は、この単位で充填、納入、回収が行われる。
【0071】
ここで上述したように、ガス容器は1本ごとに容器記号・容器番号が付与されて管理されるが、カードルとして組み込まれたガス容器についても、例えば図4に示すガス容器6のように、当然1本ごとに容器記号・容器番号が付与されている。
【0072】
しかしながら、カードルとして1まとまりとされると、上述したように、このかたまりで移動することになる。またこのような状態にあるガス容器を都度1本ずつ管理するのでは、処理に手間が掛かってしまう。そこで、ガス容器1本ごとの管理の他に、当該カードルごとに容器記号・容器番号を付与し、カードル単位でも管理する。
【0073】
このようにカードル単位での管理が行われる場合にも当該カードルごとに容器記号・容器番号が付与されることになるため、操作者等が例えば充填対象となるガス容器を指定する場合に、1本のガス容器であるのか、カードルとして管理されているうちの1本のガス容器であるのかが明確となり、指定のミス等を防止することができる。
【0074】
なお、カードル単位での管理となるので、ガス容器がカードルを構成する1本として組み込まれている間は、ガス容器ごとに付与されている容器記号・容器番号での管理は却って操作者等を混乱させてしまうことにもなりかねない。
【0075】
そこで、本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、カードル単位での管理が実行される場合には、組み込まれたガス容器のいずれを指定したとしても、制御部19によってカードルの容器記号・容器番号へと自動的に変換される。
【0076】
そして、カードルの容器記号・容器番号と当該カードルを構成する個々のガス容器に付与されている容器記号・容器番号とは互いに関連付けられる。そのため、カードルの容器記号・容器番号を基に行った処理、或いは、個々のガス容器に付与されている容器記号・容器番号を基に行った処理は、それぞれの処理内容が互いに反映される。
【0077】
このような処理を行うことで、カードル単位でも、個々のガス容器ごとであっても確実に管理することができる。
【0078】
さらに例えば、ガス種がアセチレンの場合、上述したカードルと同じような考え方、すなわち、元々は1本ごとに管理されるべきガス容器を複数本まとめて管理することが考えられる。
【0079】
アセチレンが充填されるガス容器の場合であって、購入時にあるかたまりでガス容器を入手した場合、これらのかたまりに対して1つのロット番号を付与する。すなわち、ガス容器の登録処理が実行される場合に、1本のガス容器ごとの登録の他、当該かたまりに対してロット番号が付与される。
【0080】
これは、アセチレンのガス容器に対する特例であり、かたまりの中の1本について耐圧検査が行われた際に、この1本が含まれるかたまりを構成する(同一のロット番号が付与されている)他のガス容器についても代表するガス容器が検査済みであることをもって、検査済みとされる処理が行われることに即したものである。そして検査を受けた1本の他、同一のロット番号が付与されるその他のガス容器の外装面に対しても同じ検査年月が刻印される。
【0081】
このような管理がされることから、代表となるガス容器に対する新たな検査が完了した場合には、その旨が保安管理情報181、ガス容器管理情報182として登録されるとともに、当該ガス容器の外装面に新たな刻印が打刻される(改刻)。そして、同じロット番号を持つその他のガス容器についても、保安管理情報181、ガス容器管理情報182の更新とガス容器における改刻が必要になる。
【0082】
保安管理情報181、ガス容器管理情報182の更新については、ロット番号とそれぞれのガス容器の容器記号・容器番号とが関連付けられているため制御部19によって自動的に更新される。一方改刻については、1本1本実際の作業が必要となる。
【0083】
そこで、全てのガス容器に対する改刻のための管理が必要となり、操作者等に対してガス容器への改刻を促す報知が報知部192によってなされる。なお、保安管理情報181、ガス容器管理情報182の更新と改刻との順番はいずれが先でも良いが、例えば、全ての容器に対する改刻が完了したことをもって保安管理情報181、ガス容器管理情報182の更新を行うこととすれば、改刻がされなければ更新もされないことになり、より操作者等に対する報知の効果が大きい。
【0084】
このようにガス容器については、販売店2等を循環して移動するものの、ガス容器が最終的に配置されて使用される場所で、個別に保安管理を実行することでその実効性をより高めることができる。これは、個別、カードル単位を問わず、容器記号・容器番号を用いて管理されるからであり、さらにガス容器管理情報182及び販売管理情報183と保安管理情報181とが互いに連携することで操作者等の管理も漏れなくスムーズに進めることができる。
【0085】
次に、ガス容器の素材としては、アルミ合金や鋼製、或いは、FRP等があり、いずれも高圧のガスが充填されることからガス容器に掛かる負荷も大きい。そこで、ガス容器については一定の期限ごとの検査、使用期限が決められている。これら検査期限、使用期限は保安情報であり、期限管理が必要となる。
【0086】
検査や使用期限(廃棄の期限)については、3年や5年のように年単位で設定されるガス容器もあれば、2年半というように、年単位としては半端な期限が設定されている場合もある。そこで、本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、これらの期限については表示の仕方を統一して、例えば1年は12月、2年半は30月のように、月単位で表示させることとした。
【0087】
そのため、ガス容器の登録処理を行う際にもこのように検査期限や使用期限を月単位で入力可能とし、ガス容器ごとに月単位で設定されたこれらの期限がガス容器管理情報182に記憶される。そして、ガス容器管理装置1の制御部19では、ガス容器ごとの様々な期限の到来に併せて操作者等に報知部192を介して報知する。
【0088】
また、ガス容器がFRP容器の場合は、特にその使用期限が厳守されなければならないこととされている。これはFRPという素材に起因するものであるが、使用期限は廃棄期限とされ、期限を越えての使用は絶対的に禁止される。具体的には、ガス容器がFRP容器の場合、製造から15年で廃棄と定められており、15年で充填、移動等、その使用が完全に禁止される。従って、当該期限も保安情報に該当し、適宜操作者等に対して報知される。
【0089】
なお、操作者等に対して期限の到来を報知するに当たって、例えば、予め期限日までの所定の期間を定め、期限日の前に予め設定された期間が経過したら報知する、という処理を行うことも可能である。
【0090】
次に保安情報に該当する情報として、これまで説明したガス容器の観点からではなくガス容器に関係する者の観点から考えてみる。ガス容器に関しては、ガス容器に関係する者である、販売店2、充填工場3、及び、ユーザ4のいずれについても所有しうる。
【0091】
そのため、保安の対象となるガス容器が誰の所有物であるかは、その管理を適切に行うためにも重要な情報である。具体的には、例えば検査期限が到来間近なガス容器がどのガス容器に関係する者の手元にあるかによってその対応は異なってくる。
【0092】
また、上述したようなこれら3者の間を循環するガス容器の移動においても、所有者が誰であるかによって同じ移動であってもその概念が異なってくる。そのため、ガス容器が誰の所有に掛かる容器であるのか明らかにしておくことは、保安上重要である。
【0093】
そこで本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、ガス容器管理情報182として、ガス容器の所有者について登録することができるようにされている。すなわち、ガス容器、或いは、ユーザ4の登録の際に、予め定められているガス容器の所有区分の入力を行うように操作者に促している。
【0094】
本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、ガス容器の所有が例えば、販売店2の場合「自社:0」とし、メーカである充填工場3の場合「メーカ容器:1」とし、ユーザ4の所有の場合「ユーザ容器:2」として登録することができるようにされている。
【0095】
そして保安管理の観点から、ガス容器の管理処理、或いは、販売管理の処理を行う際にガス容器の所有者の情報に基づいて、例えば、ガス容器の移動に伴う各種処理が実行される際に操作者等が適切に処理を実行することができるように、制御部19において語句の自動変換を行い、その概念を所有者の処理に沿うように処理している。
【0096】
すなわち、例えばガス容器が販売店2所有の容器である場合を例に挙げると、ユーザ4への納品はガスの「出庫(出荷)」であり、ユーザ4からのガス容器を引き取ることは「回収」に該当する。つまり販売店2からみれば、これはユーザ4へのガス容器の貸し出しである。従って、販売店2としては、ユーザ4に対してガス容器の使用料を徴収することができる。
【0097】
また、例えば、ユーザ4から回収したガス容器を販売店2から充填工場3に対して充填の依頼を行う場合には、ガス容器は販売店2の所有であるので「依頼出庫」であり、充填後に充填工場3から引き取るのは「依頼分入庫」に該当する。
【0098】
次に、ガス容器が充填工場3、すなわち、メーカの所有である場合、販売店2が充填工場3所有のガス容器への充填を依頼するために空のガス容器を充填工場3に配送する行為はガス容器の「返却」となる。一方で、ガス容器にガスが充填された後に販売店2が引き取ることは、いわば商品の「入庫」に該当する。従って、この両者の関係において販売店2からみると、「入庫」と「返却」である。
【0099】
逆に、ガス容器が充填工場3所有の場合に、充填工場3が販売店2から充填の依頼を受けてガス容器を受け取るのは「回収」であり、充填後に販売店2にガス容器を出荷することは「出庫」である。
【0100】
最後にユーザ4がガス容器を所有している場合、ガス容器にガスを充填するために販売店2、或いは、販売店2を介して充填工場3にガス容器を移動させて改めて配送してもらうことは、上述の例からすれば「回収」に該当する。但し、移動するガス容器はあくまでもユーザ4所有であるので、販売店2からすれば「充填預かり」に該当する。そして、ガスが充填されたガス容器をユーザ4に配送することは、「出庫(出荷)」である。
【0101】
このようにガス容器が2者間を移動するに当たって単純に「出庫」と「回収」ではなく、その概念は多様である。そこで、より実態に即した表現となるようにガス容器管理装置1において登録された所有区分に従ってその表現を自動的に変換することによって、操作者等がまごつくことなくその処理をより直感的に行うことができるようにしている。
【0102】
次に、ガス容器に充填され使用されるガス種の観点から保安情報について考えてみる。ガス容器に充填されるガスは概ね高圧を掛けて充填されるため、例えば、圧力が一気に開放されると危険である。また、ガスそのものも引火の危険性がある等、その貯蔵量についてはガス種ごとに厳格に定められている。
【0103】
具体的には、ガス種はヘリウムやネオンといった不活性ガスと空気が含まれる第一種ガスと第一種ガス以外のガスを含む第二種ガスとの2種に分かれる。そして貯蔵するガス種がいずれに該当するかによって、第一種貯蔵所と第二種貯蔵所に分かれ、それぞれの貯蔵所において貯蔵が認められる量が定められている。
【0104】
上述したように、保安情報は実際にガス容器が保管される場所における状況を基に管理される必要がある。従って、販売店2、充填工場3、或いは、ユーザ4ごとにそれぞれ貯蔵可能な量は異なる。そこでそれぞれの場所における貯蔵可能な量を把握した上で、ガス容器の移動による貯蔵量の増減等も勘案しながら保安管理を行う必要がある。
【0105】
そこで制御部19の保安情報取得部191では、例えば、販売管理情報183として受注処理や売り上げ処理の情報が登録された場合には、当該受注等がいずれのユーザ4からのものであり、どのようなガス種をどのくらいの量受注したのかの情報を取得する。
【0106】
その上で、当該ユーザ4における貯蔵量に関する情報から、受注したガスを配送した場合に、ユーザ4の貯蔵量の範囲内に収まるか否かを判定する。そして、その結果、貯蔵量を超える場合には、例えば、ユーザ4の手元にあるガス容器を回収することでユーザ4における貯蔵量が減ることを見越して出荷することができるかどうかの確認を行う、といった処理が行われる。
【0107】
また、消防法第9条の3において、アンモニア、アセチレンガス等の貯蔵・取扱いの届出が制定されている。従ってこのようなガス種を貯蔵する場合には、その旨を所轄消防長等への届け出が必要となるが、どのくらいの貯蔵量が認められるか否かについては貯蔵場所の市区町村によって異なる。
【0108】
そこで本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、ガス容器管理情報182、或いは、販売管理情報183の1つとして、ガス容器が貯蔵される場所、ガス容器を管理する者の住所について登録することが可能とされている。
【0109】
そして一旦貯蔵場所が登録されれば、例えばガス容器の観点から同じ貯蔵場所にどのようなガス種がどのくらいの量貯蔵されており、当該場所において許可されている貯蔵量と比較してさらなる貯蔵が可能であるか否か、すなわち、例えば受注処理が実行できるか否かを操作者に対して報知することができる。
【0110】
このようにガス種や貯蔵場所といった情報と関連付けられた貯蔵量についても保安情報の1つと捉えることができ、この観点からの操作者等への保安情報の提供も重要である。
【0111】
なお、貯蔵量を算出する上で、どのような種類のガスがどの程度貯蔵されているかを把握する必要がある。しかしながら、ガス種によって、例えば売買における容量の表し方はまちまちである。
【0112】
すなわち、業界の慣習として「本」、「m」、「Kg」、及び「L」の4種類の取引単位が使用されている。そのため、ガス種ごと、或いは、納入相手先ごとに、使用される取引単位が異なることも多い。そこで、取引単位ごとの換算を行うための、例えば換算情報が、販売管理情報183の1つとして記憶されている。
【0113】
例えば、保安情報取得部191が貯蔵量に関する保安情報を取得する際に、ガス容器ごとの容量をいずれかの取引単位を選択し、異なる取引単位で取引されているガス種については、上述した換算情報を用いて取引単位を統一して貯蔵量を集計する。そして集計された貯蔵量が、ユーザ4において許容される貯蔵量以下であるか否かを判断する。
【0114】
次に例えば、ユーザ4から受注したガスについては、ガス容器に充填されて配送される。その際、配送するトラックには、配送効率等の観点から、多くの場合、様々なユーザ4に配送される様々なガス種のガス容器が搭載されることになる。しかしながら、ガス種によっては1台のトラックに一緒に搭載することができない、混載禁止とされているガス種が存在する。例えば、塩素のガス容器と水素のガス容器とは混載することはできない。
【0115】
そこで、本発明の実施の形態におけるガス容器管理装置1では、例えば販売管理情報183の1つである受注処理に伴うガス容器配送指示書の作成において、混載禁止のガス容器が同じ配送トラックに搭載されることがないように確認され、上記配送指示書が作成される。
【0116】
具体的には、例えば、保安情報取得部191が販売管理情報183にアクセスしてユーザ4からの発注内容から、混載禁止の対象となっているガス種のガス容器が1台のトラックに搭載されるか否かが判定される。
【0117】
そして、もし混載禁止の対象となっているガス種のガスが混載される可能性がある場合には、例えば、その旨の警告が操作者等に対して報知部192を介して報知され、配送に使用されるトラックの変更がなされる。
【0118】
このような処理を実行して操作者等に事前に保安情報として提供することにより、混載されたことに伴う危険な状態が生ずることを回避することができる。またより良い配送計画を立案できることにつながる。
【0119】
次に、ガス種によっては、用途に応じてユーザ4への周知義務が必要な場合がある。すなわち、例えばユーザ4が初めて取り扱うガス種がある場合、当該ガス種の性質や取り扱い方、注意しておくべき点等について、販売店2からユーザ4に対して説明しておく必要がある。そこで販売店2は書面をもって説明を行うが、この書面のことを周知書という。また、定期的にユーザ4に対して周知書を交付しなければならない場合もある。
【0120】
従って、保安管理情報181を構成する保安情報の1つとして周知を行う期限の管理が行われる。これは上述したように周期的に周知を行う場合と初めて取り扱うガス種がある場合等、ガス種ごとに期限が設定され管理されるものである。
【0121】
また、ガス種が同じである場合であっても、最終届け出先での使用用途によっては、周知の有無が異なる場合も考えられる。例えば、ガス種が「酸素」である場合、「溶接・熱切断」に使用される場合、「医療用」に用いられる場合、或いは、スキューバダイビング等「呼吸用」に用いられる場合、といったように、同じ酸素でもその用途は多彩であり、用途ごとに周知する内容、期間も異なることが考えられる。そこで、ガス容器管理情報182には、ガス種のみならず使用用途まで登録し、使用用途に従った周知の有無、期間、手法等が設定される。
【0122】
ガス容器の管理処理の中で、例えば、ユーザ4から当該ユーザ4が取り扱ったことがなかったガス種について受注を受けることも考えられる。このような場合には、制御部19の保安情報取得部191が保安管理情報181から周知に関する保安情報を抽出し、報知部192が表示部16に周知に関する情報を表示させることによって、ガス容器管理装置1の操作者に報知する。
【0123】
ガス容器管理情報182は、ガス容器ごとにガス容器を管理する際に必要となる情報である。ガス容器が販売店2等の間を移動する処理に関して、例えば、ガス容器へのガスの充填データやガス容器を回収する処理を行う際の回収データ(空瓶データ)が挙げられる。
【0124】
また、ガス容器のマスタ管理の情報として、例えば、上述したような、容器管理者の情報、容器所有区分情報、ガス(商品)情報、ガス容器の貯蔵量に関する情報、或いは、容器に付与されている記号・番号の情報等を挙げることができる。
【0125】
また、ガス容器は様々な材質をもって製造され、また、国内で製造されたガス容器であるか、外国で製造されたガス容器であるかといった違いもある。このため、ガス容器ごとに、検査時期や廃棄時期が定められることになる。特に、上述したような例えばガス容器がFRPでできている場合の制限等から、検査時期や廃棄時期といった各種期間についての情報も記憶されている。
【0126】
さらに、法令が改廃されることによって、検査の周期や検査機関が変更される場合もある。ガス容器は、その製造日によって適用される法令が異なることになるため、当該法令において定められる期間とどの法令がどのガス容器に適用されるのかの関係についても記憶されている。
【0127】
販売管理情報183は、販売店2等がユーザ4に商品であるガスを販売する処理を実行する際に用いる情報が記憶されている。例えば、受注処理はユーザ4からの発注内容(例えば、ガス種、希望する量等)の情報が用いられるため、これらの情報が記憶されている。
【0128】
また、販売管理情報183のマスタ管理情報としては、例えば、容器管理者の情報、容器所有区分情報といった、ガス容器管理情報182と同様の情報が記憶されている。一方、ガス容器管理情報182と異なる情報としては、例えば、契約情報、周知情報やSDS(Safty Data Sheet)に関する情報を挙げることができる。
【0129】
なお、ここでSDSとは、製品の説明、安全性の告知と事故が起きた際の対処方法が記載されている文書であり、販売店2からユーザ4へと交付されるものである。すなわち、ユーザ4が初めて取り扱うガス種については、ガスの性質や取扱方、注意すること等を説明する必要があり、その内容が記載されている文書である。
【0130】
従って、周知情報を基に販売店2からユーザ4へと報知される周知処理に必要となり、例えば、期限が到来したことをもって、販売管理情報183に記憶されている情報を基に当該SDSや周知書が発行される。
【0131】
以上説明した通り、保安管理情報181、ガス容器管理情報182、及び販売管理情報183には様々な情報が格納されている。そこで制御部19は、操作者等によってガス容器管理情報182や販売管理情報183が用いられて種々の処理が実行される際に、保安情報取得部191を介して保安管理情報181、ガス容器管理情報182及び販売管理情報183から必要な情報を抽出する。そして、取得された各種情報から得られた保安情報を報知部192から表示部16を経由して、ガス容器管理装置1の操作者や携帯用情報端末5を使用する集配員に対して報知を行う。
【0132】
すなわち、保安情報取得部191では、これら保安管理情報181、ガス容器管理情報182及び販売管理情報183が記憶している様々な情報を互いに連携させて、操作者等に対して必要な保安情報を提供するものである。
【0133】
具体的には、例えば、ユーザ4の手元に保管されているガス容器内のガスの量を示す貯蔵量について例を挙げて説明する。例えば、販売店2からユーザ4に対してガス容器が出庫される。
【0134】
すなわち、操作者が売り上げ処理を実行する際には、販売管理情報183に記憶されている出庫データを参照する。その際、当然どのようなガス種をどのくらいの量、ユーザ4に販売したのかの情報が存在することから、保安情報取得部191では、このような操作者の処理をトリガとして、ガス容器管理情報182に記憶されている商品情報や容器情報を抽出する。
【0135】
また、併せて当該ユーザ4の手元に存在する全てのガス容器に関する情報も販売管理情報183から取得するとともに、ガス容器管理情報182からはユーザ4において保管可能な貯蔵量に関する情報も取得する。
【0136】
保安情報取得部191はこのようにして収集した情報を基に、今回新たなガス容器をユーザ4に配送した場合に、当該ユーザ4における貯蔵量が、許容される貯蔵量を超えるか否か、配送されたガス容器を含めた貯蔵量がどのくらいの量になるのか、といった情報を表示部16に表示させる。
【0137】
このように、操作者がガス容器管理装置1を用いて売り上げ処理等、様々な処理を実行するのに合わせて、保安管理情報181、ガス容器管理情報182及び販売管理情報183の連携を基に、処理内容に関連する保安情報を抽出し表示させる。このような処理が行われることによって、操作者等は日々の処理において、意識的に都度自ら保安情報を取得して確認せずとも確実な保安情報の管理を実行し、保安情報をガス容器の管理に反映させることができる。
【0138】
販売店情報184は、ガス容器管理装置1を使用するガスの販売店に関する、例えば、名称や住所等の各種情報である。上述した際に、遠方への配送を行うことは基本的に困難であることから、ガスを使用するユーザ4に近い販売店2に配送を委託する場合もある。販売店情報184は、このような場合に使用される。
【0139】
充填工場情報185は、ガスを充填する充填工場に関する情報である。名称や住所等の他、充填可能なガス種等に関する情報などが記憶されている。
【0140】
ユーザ情報186は、ガスを使用する者等、いわゆるユーザに関する情報が記憶されている。具体的には、例えば、住所や配送先、取り扱われるガス種やどのくらいの量貯蔵可能であるか、といった情報である。また、設定された住所を基に、消防法第9条の3に規定されている貯蔵量に関する情報も記憶されている。
【0141】
さらに、ユーザ情報については、上述したように、実際にガスを使用する者と費用を負担する者とが相違することも考えられる。従って、このように費用を負担する者とガスの使用者とが異なる場合には、階層を分けて記憶することとしている。具体的には、本発明の実施の形態の記憶部18においては、3つの階層に分けて記憶している。
【0142】
1階層目には、取引先となるユーザが記憶されている。この1階層目に記憶されるユーザは、例えば、請求先である。上述したように、例えば、工場を有する企業の場合を例に挙げると、ガスの配送先は各工場であるが、支払いについては、本社となるような場合に、本社に関する名称や住所等が1階層目に記憶される。
【0143】
2階層目には、経由先や管理先となるユーザが記憶されている。すなわち、工場に配送といっても、例えば、大きな工場の場合、工場内において複数の配送先が存在する場合がある。このような場合、工場内の複数の配送先のガス容器の管理については、例えば、工場の管理部門で一括して管理していることが考えられる。そこで、このような管理部門について2階層目に記憶させる。
【0144】
また、例えば、上述したようにガス容器の配送先が遠方であるといった理由で、自身の販売店2からは配送できない場所に配送先が存在する場合も考えられる。このような場合には、配送先に近い販売店2にその配送を委託する場合(代納)も考えられる。2階層目にはこのような代納を依頼する販売店2に関する情報が記憶される。
【0145】
3階層目には、実際にガス容器を納入する場所である最終届け先が記憶される。上述した工場の例の場合、工場内に存在する複数の配送先(例えば、製造第○課等)が3階層目に記憶される情報である。また、代納の場合、代納する販売店が届ける先に関する情報が3階層目に記憶される。
【0146】
なお、ここでは最終届け出先が3階層目となっているが、全てのユーザ4においてこのような階層化が行われるわけではなく、例えば、2階層目、或いは、1階層目に記憶されているユーザ4が最終届け出先となる場合もあり得る。
【0147】
また、ユーザ4にはそれぞれ固有のユーザ番号が付与されるが、階層化されて記憶されるユーザ4については、下位の階層に記憶されるユーザ4は、その上位の階層に記憶されるユーザ4に付与されたユーザ番号を引き継いでいる。
【0148】
すなわち、例えば1階層目に「010601」というユーザ番号が付与された場合、2階層目に記憶されるユーザ4へのユーザ番号は、「01060101」のように、1階層目の番号を引き継ぎ、その末尾に2桁の数字を付加して構成される番号となる。
【0149】
同様に3階層目は、2階層目の「01060101」というユーザ番号を引き継いで、その末尾に数字を付加した、「0106010101」というユーザ番号となる。そして、同じ階層でユーザ4が増える場合には、例えば、「0106010102」とその階層を示す末尾の数字を増やすことで対応する。
【0150】
このようにユーザ4を階層化して記憶させるとともに、付与されるユーザ番号についても全ての階層におけるそれぞれのユーザ4が関連付けられている。そのため、例えば、最終届け出先への配送に関する費用を1階層目に記憶されているユーザ4に請求する処理を行う際も、当該最終届け先が特定されていれば操作者が都度宛先を指定せずとも自動的にガス容器管理装置1によって指定される。従って操作者等の処理に関して省力化を図るとともに入力ミス等の間違いを減らすことができる。
【0151】
また、階層化されてユーザ4が記憶されることに伴い、表示部16にユーザ4が表示される場合には、階層を分けて記憶されている通りに階層に分けた表示態様で表示部に表示される。図5は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1において、表示部16に表示されたユーザの表示態様を示す説明図である。
【0152】
図5に示す画面例では、上段に検索内容と入力するための項目が並んで表示されている。そして、その下に、ユーザ4が表示されている。図5に示す画面例では、「納入相手先コード」、「納入相手先区分」、「納入相手先略名」、「「納入相手先名」及び「納入相手先部署名」の5つの項目が左から右に向けて並んでいる。ここでは、表示されているユーザ4のうち、「秋△工業株式会社」を例に挙げて説明する。
【0153】
まず、理解のために、左から2番目の「納入相手先区分」から説明する。この納入相手先区分は、上述したガス容器の配送先であるユーザと費用を負担するユーザとが分かれているような場合に、取引先となるユーザ、経由先や管理先となるユーザ、そして、最終届け先となるユーザとを区別するための区分である。
【0154】
「秋△工業株式会社」の場合、「0 得意先(取引先)」(1階層目)、「1 届先1(経由先や管理先)」(2階層目)、「2 届先2(最終届け先)」(3階層目)の3つに分かれており、特に最終届け先である「2 届先2」については、3つ登録されている。すなわち、「納入相手先名」を見てみると、「0 得意先」は、「秋△工業株式会社」であり、届先の登録をみる限り、この「秋△工業株式会社」が取引先であるといえる。
【0155】
一方、「1 届先1(経由先や管理先)」の「納入相手先名」を見ると、「秋△工業株式会社東京支店」となっていることから、「秋△工業株式会社」の支店であることがわかる。そして当該支店の下に、さらに、「銀座営業所」、「江東営業所」、及び、「世田谷営業所」の3つが登録されている。これら3つの営業所の「納入相手先区分」は「2 届先2」であり、この3つの営業所がいわば最終届け先である。
【0156】
そしてこれら区分ごとの表示は、「納入相手先略名」の部分に表示される通りに表示される。すなわち、「0 得意先」の欄における「秋△工業株式会社」の表示を基準とすると、「1 届先1」の表示(「秋△工業 東京」)は、先頭の「秋」の字が右に1文字分ずれて表示されている。
【0157】
さらに、「2 届先2」に該当する各営業所については、「1 届先1」の欄における表示からさらに1文字右にずれて表示されている。換言すれば、基準となる「0 得意先」の表示からすれば、2文字右にずれている。なお、最終届け先である3つの営業所については、3階層目としていずれも同じ階層に属する納入相手先に該当することから、表示はいずれも同じ位置となる。
【0158】
当該「納入相手先略名」に示されているように、階層ごとにその表記をずらして表示させることによって、例えば、ユーザ4が複数の階層に分けて記憶されている場合には、1階層目から3階層目にかけて逆階段状となるようにユーザ4が表示されることになる。そのため、操作者等に対して表示されている納入相手先がどの階層に属するユーザであるのかを一目で理解させることができる。
【0159】
なお、表示項目の一番左に表示されている「納入相手先コード」は、ユーザ4ごとに付与されるコードである。ここでの例では、8桁のコードが基本として付与されており、「秋△工業株式会社」の場合、「10112010」である。
【0160】
そして上述した通り、この1階層目取引先に付与されたコードは、以下、2階層目の経由先等、3階層目の最終届け先においても桁を増やして使用される。ここでの例は、東京支店に対しては、末尾に2桁追加して「1011201001」のコードが付与されている。
【0161】
さらに最終届け先である営業所に対しては、2階層目の東京支店のコードの末尾にさらに2桁追加して「101120100101」のコードが付与されている。但し、同じ階層に属する納入相手先ごとに区別する必要があるので、ここでの例は、3つの各営業所に対して、「101120100101」から「101120100103」の3つの異なるコードが付与される。
【0162】
なお、階層化による記憶部18への記憶の仕方についてはユーザ情報186を例に挙げて説明したが、例えば、図5には図示していない、例えば商品に関する情報や各システムにおける処理の内容を示すメニューに関する情報を階層化して記憶していても良い。
【0163】
例えば、販売店2がガスを仕入れる際の、仕入先等について階層化して記憶されていても良い。例えば、充填工場3(メーカ)によってはガス種ごとに、さらに複数の充填工場3を有している場合がある。このようなメーカに対して販売店2がガスの充填依頼を出した場合、依頼先(仕入先)は当該メーカとなる。ただガス種によっては、依頼したガスが納品されるに当たり、納品書に充填工場3の名称のみが記載されている場合も考えられる。
【0164】
このような場合には、仕入先と実際に納品する充填工場(入庫先)が異なることになり、販売店2からみると、一見ガスの充填を依頼していない先から納品を受けたように見えてしまう。
【0165】
但し、上述したように仕入先と入庫先とを、例えば、「0 仕入先」、「1 入庫先1」、「2 入庫先2」というように互いに関連付けて階層化して記憶させておくことで、ガスが充填されたガス容器の納品を受けた場合における確認が容易となる。また、このように記憶されていることによって、納品されたガス容器がどこから納品されたかが明確になるため、充填工場3が所有するガス容器を返却するに当たっても有用である。
【0166】
[動作]
次に、販売店2がガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理処理を実行する流れについて、販売店2がユーザ4からの出荷依頼を受けて出荷するまでの一連の流れを例に挙げて、以下説明する。
【0167】
すなわち、販売店2に備えられているガス容器管理装置1内の、例えば記憶部18に記憶されているガス容器管理プログラムをガス容器管理装置1に実行させることによって、以下に説明する各種処理が行われる。
【0168】
図6ないし図14は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れを示すフローチャートである。このうち、図6のフローチャートは、以下に説明する一連の流れのうち、大まかな流れを示している。一方、図7以下は、図6に示す各流れを細かく説明するために用いられるフローチャートである。
【0169】
なお、以下の説明で用いる各フローチャートにおいては、ガス容器管理装置1における処理の流れの他、適宜その理解を助けるための、例えば集配員の行為等についても記載している。
【0170】
また、ここで「ユーザ4」と記載しているが、上述したように、ガス容器管理装置1のユーザ情報186はユーザ4を3階層に分けて記憶している。従って、1階層目に記憶されている取引先、2階層目に記憶されている経由先、管理先、そして3階層目に記憶されている最終届け先のいずれもがガス容器に関係する者であり、ユーザ4に該当する。
【0171】
ここで処理の流れの中では、ユーザ4と言っても、例えば発注が1階層目の取引先から届き、発注に基づいてガス容器を配送する先は最終届け先、というように、ユーザ4の詳細は異なることが考えられる。但し、以下においては説明の便宜上、これら各階層におけるガス容器に関係する者をまとめてユーザ4と示している。
【0172】
まず、図6を用いて販売店2がユーザ4からの出荷依頼を受けて出荷するまでの一連の流れを大まかに説明する。販売店2としては、ユーザ4からの発注に備えて、まず、仕入れを行う。すなわち、販売店2が商品を自身の店舗に揃える処理である(ST10)。販売店2は、ガスが充填されたガス容器を入庫させて在庫とした状態で、ユーザ4からのガスの発注を受ける(受注する)(ST30)。
【0173】
販売店2は、ユーザ4からの発注を基に商品であるガス(ガス容器)を揃えて、販売店2からユーザ4へと配送する(納入する)(ST50)。このとき、配送に併せてユーザ4から不要となったガス容器を回収する(ST70)。
【0174】
ユーザ4からガス容器を回収して(引き取って)きた販売店2は、次のユーザ4からの発注に備えて、空となったガス容器をその所有区分に従って、あるガス容器は、充填工場3へと返却し、あるガス容器に対しては、ガスの充填を充填工場3に依頼する(ST90)。
【0175】
販売店2からガスの充填を依頼された充填工場3では、依頼に従って、ガス容器にガスの充填を行う(ST110)。
【0176】
このような流れでユーザ4へは販売店2からガスが配送されることになり、販売店2、充填工場3、ユーザ4の間をガス容器が順々に循環することになる。
【0177】
次に以下、上述した販売店2がユーザ4からの出荷依頼を受けて出荷するまでの一連の大まかな流れに沿って、各々の流れにおける細かな処理について、説明する。まずは、販売店2がユーザ4からの発注に備えて在庫を揃える流れである。
【0178】
すなわち、例えば、ユーザ4が新規顧客である場合を考えてみると、販売店2は、ユーザ4からの依頼に応じてガスが充填されたガス容器を出荷(納品)する。そして次の依頼からは空になったガス容器と充填されたガス容器とを交換する形で納品することになる。従って、販売店2としては、事前にユーザ4に対して納品するべきガスが充填されたガス容器を在庫として持っている必要がある。
【0179】
図7は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の流れのうち、販売店2が在庫を揃えるための流れを示している。まず、販売店2は、充填工場3に対してガス容器にガスの充填を依頼(発注)する(ST11)。充填工場3では、当該依頼に基づいて、ガス容器への充填処理を行うが、この処理の流れについては、後述する。
【0180】
充填工場3でガス容器にガスが充填されると、充填工場3から販売店2に当該ガス容器が配送される。このことは、販売店2の観点からすれば、注文したガスが充填されたガス容器が入庫したことになり、販売店2としては当該ガスを仕入れたことを意味する(ST12)。
【0181】
そこでガスを仕入れた販売店2は、商品であるガスが充填されたガス容器を受け取ったことについての入庫処理を開始する。まず販売店2では、入庫したガス容器がガスの充填を依頼した仕入先から入庫したものであるか否かを確認するための依頼先のチェックを行う(ST13)。
【0182】
すなわち、注文を出した依頼先からガス容器が入庫していれば、依頼先と伝票に記載されるガスを充填した充填工場3(入庫先)とは一致する(ST13のYES)。一方で上述したように、ガスの充填に当たっては、仕入先と入庫先とが異なる場合があり得る(ST13のNO)。そこでこのような場合には、本当にガスの充填を依頼した仕入先から当該ガス容器が納品されたものであるか否かを確認する(ST14)。
【0183】
具体的な確認処理としては、例えば、上述したように仕入先と入庫先とが階層化されて記憶されている場合に、該当するガス容器の伝票に記載されている入庫先等が仕入先等と関連付けられて記憶されているか否かを確認する。
【0184】
具体的には、操作者がガス容器管理装置1の入力部15から伝票に記載されている入庫先の情報を入力する。当該入力に基づき、保安情報取得部191が充填工場情報185にアクセスして、関連する充填工場3に関する情報を抽出する。そして、抽出された情報が報知部192を介して表示部16に表示される。上述したように、階層化して記憶されている場合には、例えば図5の画面例に示すように、仕入先と入庫先の関係が一目で把握することができる。
【0185】
確認が取れた場合には(ST15のYES)、次に説明する処理に移る。一方、確認が取れなかった場合には(ST15のNO)、依頼先のデータを修正する(ST16)。
【0186】
例えば、販売店2にすれば自社所有のガス容器にガスが充填されて納品されれば、たとえ依頼先が一致せずともガス容器に所定のガスを充填するという、所期の目的は達成できる。そこで、依頼先が一致しない場合、すなわち、ガス容器管理情報182に登録されている充填の依頼を出した依頼先の情報と実際にガス容器を納品した納品元の情報とが一致しないであっても、現物の商品であるガスが充填されたガス容器の情報を優先して対応する。
【0187】
つまり依頼先が一致しない場合には、実際に納品されたガス容器の情報を基に依頼先の情報を変更して、当該ガス容器に関する充填の依頼先のデータを納品元(新たな依頼先)のデータへと変更する処理を行う。
【0188】
そして改めて依頼先が一致するか否かを確認するステップST13に戻る。ここでは上述したように、既に依頼先のデータが仕入れの対象となるガス容器を納品してきた納品元のデータへと修正されているので、依頼先が一致したものとして(ST13YES)、次の処理に移る。
【0189】
依頼先の確認が取れた場合には、次に、当該ガス容器がいずれの所有に掛かるものであるかを確認する。具体的には、ここでは該当するガス容器がメーカ(充填工場3)所有であるか否かを確認する(ST17)。
【0190】
すなわち、販売店2から見ると、販売店2の依頼に基づいてガスが充填されて入庫した場合に、当該ガス容器が充填工場3の所有であると、このガス容器を充填工場3から借りることになる。従って、所有を確認することによって、入庫したガス容器が充填工場3の所有である場合には(ST17のYES)、充填工場3の所有するガス容器として受け入れる(ST18)。そして、ガス容器管理装置1では、ガス容器管理情報182における当該ガス容器の所有区分を「1」とするとともに、その表示を「借入容器」として処理する(ST19)。
【0191】
一方、例えば、販売店2、或いは、ユーザ4が所有するガス容器に充填してもらうように販売店2がガスの充填を充填工場3に依頼したのであれば(ST17のNO)、これは自社所有等のガス容器にガスが充填されて戻ってきた(入庫した)ことになるので、ガス容器管理装置1において発注(充填依頼)受け入れ、として取り扱う(ST20)。
【0192】
以上で、販売店2が充填工場3に対して行った発注に基づく入庫処理が完了する(ST21)。これにより、販売店2としては、ガスを在庫として置いておくことができ、ユーザ4からの発注に備えることができる。
【0193】
次に、販売店2がユーザ4からガスの購入依頼(発注)を受けた場合(図6のST30)の流れについて説明する。図8及び図9は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の中で、特に販売店2がユーザ4から発注を受けた場合の流れを示すフローチャートである。
【0194】
販売店2は、ユーザ4からガスの購入に関する発注を受ける(受注する)(ST31)。実際の受注については、どのような媒体で受けても良いが、受けた発注の内容がガス容器管理装置1に入力される。
【0195】
ガス容器管理装置1では、受け付けた発注の内容を基に、配送予定を立案する(ST32)。ここで「配送予定立案」とは、様々なユーザ4からの様々な依頼内容を配送予定表にまとめる処理のことである。
【0196】
上述したように、配送の対象となるガスは安全性に対する配慮が求められるとともに、ガス容器が重量物である。そのため、適宜配送するわけにはいかず、最も安全で効率の良い配送が求められる。そのため販売店2とすれば、受注して最初に考えることは、配送(トラックの手配)となる。
【0197】
なお、配送予定は特定のユーザ4に対して配送される場合だけではなく、複数のユーザ4に対して順に配送する場合も含まれる。また、配送予定は、集配員、或いは、トラックごとに立案、作成される。
【0198】
配送予定を立案するに当たって、保安情報取得部191は混載が禁止されているガスが充填されたガス容器が同じトラックに混ざって載せられることがないか、すなわち、トラックに乗せるガスが混載可能であるか否かを確認する(ST33)。
【0199】
これは上述したように、ガス種によって運搬車に混載することが認められていないためであり、危険物であるガスを運搬する上で遵守しなければならない事項である。そこで、最終届け出先に納入しなければならないガス種を確認して混載の可否を判定する。
【0200】
判定の結果、判定の結果混載できないガス種が存在する場合には混載不可であるとして(ST33のNO)、保安情報取得部191は報知部192を介して混載に関する警告を表示部16表示させ(ST34)、操作者に配送するガス容器を複数のトラックに振り分ける(配車変更を行う)ように促す。
【0201】
一方、配送されるガス種の中に混載が認められないガス種がない場合には(ST33のYES)、さらに車載重量が配送のために使用される予定のトラックの積載可能重量との兼ね合いで確認される(ST35)。当該トラックの積載可能重量に関する情報は、例えば、販売店情報184に記憶されている。
【0202】
保安情報取得部191が販売店情報184にアクセスして上記積載可能重量に関する情報を取得して確認した結果、配送予定のガス容器を全て積み込むと当該トラックの積載可能重量を超えてしまう可能性がある場合(過積載の場合)には(ST35のNO)、保安情報取得部191は車載重量に関する警告を表示部16に表示させる(ST36)。そして、操作者に配送するガス容器を複数のトラックに振り分ける(配車変更を行う)ように促す。
【0203】
一方、保安情報取得部191が車載重量に関してもトラックの積載可能重量未満であると判定した場合には(ST35のYES)、次に、発注してきたユーザ4において、発注の対象となったガス種がこれまで販売店2との間で取引されていたか否かを確認する(ST37)。
【0204】
当該チェックは、いわゆる販売店2とユーザ4との間で売買契約がなされているか否かの確認を行うものである。例えばユーザ4との間で新規のガス種に関する発注である等、もし確認の上、当該売買契約が見当たらない場合は(ST37のNO)、新たに契約を締結する等して販売管理情報183に登録をして(ST38)、ガスの取引を可能とする状態を作出するようにする。
【0205】
なお、販売店2によっては、ユーザ4との間で売買契約が締結されていない限り、たとえ発注を受けても納入しない、という処理としているところもある。この場合には、発注を受けた段階でステップST37に示すガス取引の有無を確認する処理が実行されることになる。
【0206】
一方、販売店2とユーザ4との間で売買契約が存在する場合には(ST37のYES)、次にユーザ4への配送対象となるガス種に関して、周知書が不要か否かの確認が行われる(図9のST39)。これまで周知されていない、或いは、周知の期限が到来しているような周知書が必要な場合には(ST39のNO)、周知書が作成される(ST40)。
【0207】
具体的には制御部19の保安情報取得部191が、ガス種ごとにまとめられている周知の期限に関する情報や周知書の授受に関する情報といった保安情報を保安管理情報181から取得する。そして、報知部192が表示部16に当該取得した周知に関する情報を表示させる。操作者等は上述したような新たなガス容器を登録する処理及び当該処理に連携して提示されるガス種やガス容器ごとに必要な保安情報を確認の上、周知書を作成する。
【0208】
なお、保安情報取得部191が適宜必要な保安情報を収集して、必要となる周知書を自動的に作成することとしても良い。
【0209】
そして、周知書が不要な場合(ST39のYES)、或いは、周知書が作成された場合には、さらに、配送予定の最終届け出先であるユーザ4における貯蔵量が規定内であるか否かの確認が行われる(ST41)。
【0210】
具体的には、保安情報取得部191は、当該ユーザ4の手元に存在する全てのガス容器に関する情報を販売管理情報183から取得するとともに、ユーザ情報186からはユーザ4において保管可能な貯蔵量に関する情報も取得する。
【0211】
保安情報取得部191はこのようにして収集した情報を基に、今回新たなガス容器をユーザ4に納入した場合に、当該ユーザ4における貯蔵量が、配送されたガス容器を含めた貯蔵量がどのくらいの量になり、この貯蔵量が許容される貯蔵量を超えるか否か、判定する。
【0212】
具体的には、まず保安情報取得部191は、配送予定のガス容器に充填されたガスの量を把握するとともに、現時点で最終届け出先であるユーザ4において保管されているガスの量を把握し、両者の総量を求める。
【0213】
総量を求める場合、発注時の情報においてガス種によっては、依頼された充填量の単位が異なる場合が考えられる。すなわち上述したように、ガス種や取引慣行によって、複数の単位が混在する可能性がある。
【0214】
そこで発注を受けたガス種ごとに異なる可能性がある単位を記憶部18内に記憶されている、例えば、換算表を用いて1つの単位に揃える。制御部19では当該換算表を使用した換算を行い、総量を算出する。その上で、発注を受けて納入されるガスの量を含めた最終届け出先における貯蔵量の総量と認められている貯蔵量とを比較する。
【0215】
保安情報取得部191によって、もし納入することによってユーザ4において許容される貯蔵量を超えてしまうと判定された場合には(ST41のNO)、さらにユーザ4に納入に行った際に空のガス容器を回収してくることを前提とした、ユーザ4における貯蔵量の再確認を行う(ST42)。
【0216】
すなわち、ユーザ4における貯蔵量は、当該ユーザ4において保管されている全てのガス容器の容量を基に算出されるものである。従って、たとえ空のガス容器があったとしても、ガスが充填されている前提で貯蔵量を算出することになってしまう。そこで、例えば、今回新たに納入されるガス容器と交換で回収される空のガス容器の容量はないものとして改めて貯蔵量を確認するものである。
【0217】
当該再確認の結果、貯蔵量が規定内に収まる場合には(ST43のYES)、今回新たに充填されたガス容器を納入することが可能であると判定する。一方、このような処理を行ったとしても貯蔵量が規定量を超えてしまう場合には(ST43のNO)、ユーザ4への納入が中止される(ST44)。
【0218】
配送先となるユーザ4における貯蔵量を確認した結果、規定内である場合には(ST41のYES、ST43のYES)、さらに消防法第9条の3に規定されている範囲内に貯蔵量が収まるか否かの確認が行われる(ST45)。
【0219】
すなわち、今回ユーザ4に納入されるガス種の中に上述した消防法で規制される、例えば、アンモニア、アセチレンガス等のガス種が含まれる場合には、例えば、その場所、すなわち、最終届け出先であるユーザ4において認められている貯蔵量の範囲内しか保管することができない。
【0220】
そこでまず、制御部19は、保安情報取得部191を介して最終届け先として設定されているユーザ4の住所に関する情報、或いは、貯蔵量に関する情報をユーザ情報186から抽出する。
【0221】
そして、ガス容器の保管に関して認められる貯蔵量を把握する。そして配送予定のガス容器に充填されたガスの量を把握するとともに、現時点で最終届け出先において保管されているガスの量を把握し、両者の総量を求める。なお、ガスの総量を求める方法は上述した通りである。
【0222】
保安情報取得部191によって、もし納入することによって消防法に規定されている許容量を超えてしまうと判定された場合には(ST45のNO)、さらにユーザ4に納入に行った際に空のガス容器を回収してくることを前提とした、ユーザ4における貯蔵量の再確認を行う(ST46)。
【0223】
当該再確認の結果、貯蔵量が規定内に収まる場合には(ST47のYES)、今回新たに充填されたガス容器を納入することが可能であると判定する。一方、このような処理を行ったとしても貯蔵量が規定量を超えてしまう場合には(ST47のNO)、納入が中止される(ST48)。
【0224】
以上、配送予定を立案するに当たって保安情報取得部191が上述したような様々な条件を確認し、全ての条件をクリアすることによって、販売店2から最終届け先であるユーザ4への納入が可能となる。そこで、最終的に固まった配送予定に基づいてガス容器配送指示書が作成される(ST49)。
【0225】
また、上述したように、ユーザ4にガス容器を納入する際には、併せて空となったガス容器の回収も行われる。そこで、ガス容器を回収するためのガス容器回収指示書も併せて作成される。
【0226】
次に、販売店2からユーザ4に対して発注を受けたガス(ガス容器)を配送する場合(図6のST50)の流れについて、図10を基に説明する。図10は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の中で、特に販売店2がユーザ4にガス容器を配送する際の流れを示すフローチャートである。
【0227】
上述したように、販売店2はユーザ4からの発注を受けて、ガス容器管理装置1を用いて様々な保安情報についての確認を行いながらガス容器配送指示書を作成する。従って、販売店2から集配員がユーザ4にガス容器の配送を行う際には、当該ガス容器配送指示書に基づいて必要なガス容器を倉庫から出庫させる(ST51)。
【0228】
すなわち、集配員は販売店2の倉庫からガス容器を取り出してトラックに積み込む(ST52)。積み込みの際、集配員はガス容器1本ごとに配送前のチェックを実行する。例えば、集配員が携帯用情報端末5を用いてガス容器6に貼附等されている記録媒体65を読み取る、或いは、ガス容器6に刻印されている容器記号・容器番号63を入力することによって、1本ごとに確認する。
【0229】
具体的には、ガス容器6の容器記号・容器番号63からそのガス容器6のガス容器管理情報182を確認することで実行する。まず、配送の対象となっているガス容器に必要なガスが充填されているか否かをチェックする(ST53)。これは、空のガス容器をユーザ4へと配送することを避けるためである。
【0230】
上述したように、空のガス容器にガスが充填されると図7に示すフローチャートを用いて説明した入庫処理が実行される。従って、例えば、「充填入庫」のステータスが表示されない場合には(ST53のNO)、当該ガス容器に関する入庫処理が完了していないことになる。そのため集配員はガス容器の移動状況を確認し、或いは、併せてガス容器の現物を確認するというような必要な処理を行った後に(ST54)、改めて当該ガス容器にガスが充填されているか否かの確認を行う。
【0231】
一方、確認の対象となっているガス容器について配送が可能な、充填済みのガス容器である場合には(ST53のYES)、「充填入庫」とのステータスが表示される。この場合には、ガス容器に所定のガスが充填されていることが認められる。
【0232】
そこでこのような場合には、さらに保安情報取得部191は、当該ガス容器の素材について確認する。もしガス容器がFRPで形成されている容器の場合、FRP容器の廃棄日よりも前であるか否かの確認が実行される(ST55)。上述したように、ガス容器がFRP容器の場合には、製造から15年で絶対廃棄となるからである。
【0233】
なお、後述するように、ガス容器がFRP容器の場合の廃棄期限の確認は、充填工場3において当該ガス容器にガスが充填される際にも確認されている。ただここでの確認処理は、充填時における期限の確認処理である。すなわち、例えば廃棄期限間近のガス容器の場合、充填工場3における充填時には廃棄期限前だったものの、販売店2が充填工場3からガスが充填された当該ガス容器を仕入れた後、ユーザ4に配送されるまでの間に、廃棄期限が到来する可能性がある。
【0234】
そこで、改めてユーザ4に配送する際に廃棄期限の確認を行うことによって、廃棄期限を見落とすことを回避し、法令の遵守を徹底するものである。従って、確認の結果、廃棄期限が到来していた場合には(ST55のNO)、当該ガス容器は廃棄処理される(ST56)。
【0235】
この時点においても廃棄期限が到来していない場合には(ST55のYES)、さらに容器管理者が販売店2に発注をかけたユーザ4と一致するか否かの確認を行う(ST57)。これは、ユーザ4が管理していないガス容器を間違って配送してしまわないようにするためのチェックである。
【0236】
例えば、保安情報取得部191は販売管理情報183から発注を受けたユーザ4に関する情報を取得するとともに、ガス容器管理情報182から当該ガス容器の容器管理者の情報を取得して、両者が一致するか否かを判定する。その結果、もしガス容器が配送される予定のユーザ4と当該ガス容器の容器管理者と一致しない場合には(ST57のNO)、改めて当該ガス容器の容器管理者を確認する(ST58)。
【0237】
確認が取れて一致した場合には(ST59のYES)問題ないが、配送先となるユーザ4と容器管理者とが一致しない場合には(ST59のNO)、当該ガス容器の納入は中止となる(ST60)。
【0238】
以上の確認処理の結果、いずれも問題がないとされた場合に、ガス容器はガスを発注したユーザ4(最終届け出先)へと配送されることになる(ST61)。
【0239】
次に、販売店2がユーザ4に配送したガス容器と交換して空のガス容器6を回収する流れ(図6のST70)について説明する。図11及び図12は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の中で、特に販売店2がユーザ4から空のガス容器を回収する流れを示すフローチャートである。
【0240】
上述したように、ガスが充填されていること等、各種チェック事項について確認が取れたガス容器については、ガス容器配送指示書に基づいて最終届け出先であるそれぞれのユーザ4へと配送される。このとき多くの場合、配送される充填済みのガス容器は使い切って空になったガス容器6と交換され、空のガス容器は回収される。集配員は、ガス容器配送指示書とともに作成されたガス容器回収指示書に従って該当するガス容器を回収する(ST71)。
【0241】
具体的には、ガス容器をトラックに積み込む際に、配送のためにガス容器をトラックに積み込む際と同様、ガス容器の容器記号・容器番号63を携帯用情報端末5で1本ずつ読み取ってガス容器ごとに確認を進める。
【0242】
まずは、トラックに積み込むガス容器が回収の対象であるか否かが確認される(ST73)。この確認は、例えば保安情報取得部191が、容器記号・容器番号63を基にガス容器管理情報182にアクセスすることで確認する。
【0243】
すなわち、ユーザ4から以前納入したガス容器を回収して欲しい、という要望のあったガス容器なのかどうか、ということを確認する。販売店2としては、自身が納入したガス容器であれば問題なく回収することができる(ST73のYES)。一方、回収の要望があったものの、他の販売店2が納入したガス容器であって自身が納入していない容器の場合には回収してしまうわけにはいかない(ST73のNO)。
【0244】
ただ確認の結果、回収対象外のガス容器である場合であっても、例えば、このガス容器の納入した販売店2にガスの充填を依頼するよりも今回併せて回収してもらって充填を依頼したい、というユーザ4も存在する。従って、回収対象外のガス容器であっても、充填の依頼があるガス容器については回収することも考えられる。
【0245】
そこで、改めて充填依頼があることが確認できた場合には(ST74のYES)、回収の対象とし、それ以外のガス容器については、回収中止の処理を行う(ST75)。
【0246】
次にガス容器がFRP容器の場合、廃棄期限前であるか否かの確認を行う(ST76)。これは、ユーザ4が使用中にFRP容器の廃棄期限が到来したか否かをチェックするものであり、保安情報取得部191が保安管理情報181やガス容器管理情報182から該当する情報を抽出して携帯用情報端末5に表示される。もし廃棄期限後の場合には(ST76のNO)、集配員はユーザ4に対して当該ガス容器が廃棄の対象である旨の報告を行い、回収後廃棄処理を行う(ST77)。
【0247】
一方、廃棄期限が到来していない場合には(ST77のYES)、引き続き当該ガス容器の所有者が確認される(図12のST78)。ここでは容器の所有区分が「2」、すなわち、対象となるガス容器がユーザ4の所有に係るものであるか否かの確認が実行される。なお、ここでの確認処理については、3階層目に記憶されている最終届け出先であるユーザ4だけではなく、例えば1階層目に記憶されている取引先であるユーザ4に該当するか否かについても確認されるようにされていても良い。
【0248】
確認の結果、ユーザ4のガス容器であると確認された場合には(ST78のYES)、保安管理情報181を基に当該ガス容器が充填期限前、すなわち、検査期限が到来する前であるか否かがチェックされる(ST79)。空のガス容器を回収する、ということは、基本的には、回収されたガス容器に再度ガスを充填する必要がある。
【0249】
そこで、現時点で次回の検査日よりも前である場合には、充填可能であるとの確認ができるので(ST79のYES)、制御部19は回収されるガス容器のステータスを「充填預かり」と自動的に変換する(ST80)。すなわち、販売店2としては、ユーザ4所有のガス容器にガスを充填するために回収することになるため、当該回収行為はガスを充填するための預かり行為となる。
【0250】
一方、検査期限後、すなわち検査を受けなければならない期限が到来しており、検査期限切れとなっているガス容器である場合には(ST79のNO)、ガス容器管理情報182における回収対象のガス容器のステータスを「検査預かり」へと変換するとともに、携帯用情報端末5やガス容器管理装置1の表示部16への表示を「検査預かり」とする(ST81)。
【0251】
これらの処理は、回収対象となるガス容器がユーザ4の所有に係るものだからである。一方、回収対象となるガス容器が自社(販売店2)所有のガス容器であったり、充填工場3(メーカ)所有である場合には、上述した処理とは異なる処理が行われる。
【0252】
つまり、回収するガス容器が販売店2や充填工場3の所有である場合には(ST78のNO)、同じく充填することが可能な期限内、つまり検査期限の到来前であるか否かの確認が実行され(ST82)、もし検査期限が到来している場合には(ST82のNO)、検査を行うように促す検査警告を携帯用情報端末5やガス容器管理装置1に表示させる(ST83)。
【0253】
このようにユーザ4の所有となるガス容器の場合と処理が異なるのは、このようなガス容器の回収がユーザ4からの「預かり」に該当するわけではないからである。そして、警告を発して販売店2や販売店2を介して充填工場3に注意を促せばすぐに対応することができるからである。
【0254】
そして以上のような確認処理が全て完了することによって、ガス容器をユーザ4から回収する際のチェックが完了し、ガス容器を回収(引き取る)ことができることになる(ST84)。なお、その際に、ユーザ4に対して「容器引取書」のような書面を交付することもできる。
【0255】
次に、販売店2がユーザ4からガス容器を回収してからの流れ(図6のST90)について説明する。図13は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の中で、特に販売店2がユーザ4から空のガス容器を回収した後の流れを示すフローチャートである。
【0256】
販売店2は、ユーザ4から回収対象となっているガス容器を回収して、例えば、自社の倉庫に運び込む。これらの回収してきたガス容器に対しては、例えば、改めてガスを充填する、検査にまわす、といった処理が必要となる。ここではこのような各処理について説明する。
【0257】
販売店2はユーザ4からガス容器を回収してくると、1本ごとに次にどのような処理を行うのか、チェックする。すなわち、回収されたガス容器について、返却するか、依頼するかの否かの確認が行われる(ST91)。
【0258】
なお、ここでの「返却」は、回収時における確認によって、ガス容器が充填工場3の所有である場合に、ユーザ4から引き取ってきた販売店2が充填工場3に対して当該ガス容器を「返却」することを意味している。また、「依頼」についても販売店2から充填工場3への充填や検査の「依頼」を意味する。
【0259】
但し、これらの処理を実行する前に、まず、回収されたガス容器が空であるか否かが確認される(ST92)。操作者等は、回収されたガス容器ごとにその容器記号・容器番号を用いてその状態を確認する。
【0260】
すなわち、ユーザ4から回収されるガス容器は、新たに納入されるガスが充填されたガス容器との交換で引き取られるものであるから、一般的には空であると考えられる。但し、例えば、「返品」として引き取ってきた場合には、このガス容器にはガスが充填された状態のままである。或いは、空のガス容器であっても、例えば、事故、故障の対象となったガス容器であることも考えられる。
【0261】
これらのような状態にあるガス容器については(ST92のNO)、ガス容器管理情報182においてガス容器が空の状態であることを示す「空瓶」とはなっていない。そこで集配員は、それぞれのガス容器の現在の状態を確認して、データ上「空」となっていないガス容器については、充填工場3への返却を中止する(ST93)。そして返却が中止されたガス容器については、廃棄等、各々の状態に応じて適宜必要な対応が取られることになる。
【0262】
一方、回収されたガス容器が空であることが確認された場合には(ST92のYES)、次にガス容器が誰の所有に係るものであるか、所有区分を確認する。ここでは、ガス容器が充填工場3の所有(所有区分が「1」)である否かを確認する(ST94)。
【0263】
保安情報取得部191は、抽出したガス容器管理情報182に基づき、ガス容器が充填工場3の所有であるか否かの確認を行い、充填工場3の所有であることが確認された場合には(ST94のYES)、充填工場3に返却する処理を行う(ST95)。
【0264】
この処理により、ユーザ4から回収された充填工場3所有のガス容器は販売店2によって充填工場3に返却されたことになる。なお、ガス容器そのものについては、別途販売店2から充填工場3に配送される。
【0265】
一方、所有区分が「1」以外の場合、すなわち、ガス容器が販売店2の所有、或いは、ユーザ4の所有である場合には、まず、充填可能な期限内、すなわち、検査期限到来前であるか否かの確認が行われる(ST96)。
【0266】
もし充填期限内であると判定された場合には(ST96のYES)、当該ガス容器にガスを充填することができることになるため、ガス容器管理装置1によってガス容器管理情報182のステータスが「充填依頼」とされる(ST97)。
【0267】
すなわち、販売店2がユーザ4から回収してきたガス容器については、上述したように、今後のユーザ4からの発注に備えてガスを充填して販売店2が在庫として揃えておく必要がある。
【0268】
そこで、販売店2においては、ユーザ4から回収してきたガス容器のうち、販売店2、或いは、ユーザ4の所有にかかるガス容器であって、充填期限内にある場合にはガス容器管理情報182のステータスを「充填依頼」とし、適宜充填工場3に充填を依頼する。すなわち販売店2は、充填工場3に対してユーザ4から回収した当該ガス容器を送ってガスの充填をしてもらうように発注をかけることになる。
【0269】
一方、充填期間内ではない場合、すなわち検査期限が到来している場合には(ST96のNO)、まずガス容器管理装置1は、ガス容器管理情報182における当該ガス容器についてのステータスを「検査依頼」とする(ST98)。
【0270】
その上で、当該ガス容器への検査処理を実行させる(ST99)。検査処理が終了するまではこのステータスのままである(ST100のNO)。一方、検査が完了した場合には(ST100のYES)、その旨がガス容器管理情報182に登録されて、そのステータスが「検査戻り」となる(ST101)。この状態になれば、当該ガス容器にガスを充填することが可能となる。そこで、改めてステップST97に示すようにステータスを「充填依頼」と変更して、このガス容器に対するガスの充填を行うべく、充填工場3へと発注する。
【0271】
以上これまで説明したように、販売店2はユーザ4から発注に備えてガス容器にガスを充填して在庫として保持しておき、ユーザ4からの発注があった場合には、依頼に基づいてガス容器を配送する。併せてユーザ4からガス容器を回収するとともに、回収したガス容器に対して改めてガスの充填を行うべく、充填工場3へ発注する。
【0272】
このようにガス容器は、販売店2、充填工場3、及びユーザ4の間を循環するが、ここまでは販売店2を中心としたガス容器の流れに沿って、保安管理情報181、ガス容器管理情報182、及び、販売管理情報183がそれぞれ連携することで、操作者等に対して適宜保安情報が提供される様子を説明した。
【0273】
一方上述したように、充填工場3においてもガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を行っている。そこで次に、販売店2からの発注に基づいてガス容器6にガスを充填する充填工場3における流れ(図6のST110)について説明する。
【0274】
図14は、本発明の実施の形態に係るガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を実行する際の処理の中で、特に充填工場3がガス容器にガスを充填する流れを示すフローチャートである。充填工場3では、販売店2から空のガス容器が運び込まれることによって、充填依頼の対象となるガス容器への充填処理が開始される(ST111)。
【0275】
充填工場3では、まず、充填の対象となるガス容器がFRP容器であって、廃棄期限の前であるか否かの確認を行う(ST112)。充填工場3では上述したようにガス容器管理装置1を備えてガス容器を管理している。そこで、保安情報取得部191が当該ガス容器のガス容器管理情報182にアクセスして該当するガス容器の廃棄期限についてチェックを行う。
【0276】
その結果、廃棄期限日前ではない場合には(ST112のNO)、廃棄期限が到来していることから、このガス容器については、廃棄処理を行うように報知部192を介して操作者に報知する(ST113)。
【0277】
一方廃棄期限日前である場合には(ST112のYES)、充填期限内、すなわち、検査期限が到来しているか否かの確認が実行される(ST114)。これはガス容器がFRP容器ではない場合におけるチェック内容となる。
【0278】
なお、この確認項目についてもガス容器管理情報182をもって確認されるが、もし充填期限外であって検査が必要である場合には(ST114のNO)、充填処理が中止される(ST115)。
【0279】
なお、このように判断されるガス容器については、実際には、検査処理に移行する場合と、所有者の意向に従って、廃棄処理とされる場合がある。従って、詳細にはいずれの処理が行われるかによって、細かな処理が異なってくる。
【0280】
次に、当該ガス容器が充填期限内である場合には(ST114のYES)、ガス容器へのガスの充填が行われることになるが、その際には、例えば、ガス種ごとに決められている架台近傍に当該ガス種を充填するガス容器が配置される。ここで架台とは、ガス容器にガスを充填するための装置であり、多くの場合、ガス種ごとに異なる充填場所が用意されている。つまり、ガス種ごとにまとまって架台が設けられている。
【0281】
そして架台、或いは、その近傍には架台ごとに記録媒体が設けられている。当該記録媒体には、ガス種や充填圧力といった各種情報が記録されている。そこで、充填工場3におけるガス容器管理装置1では、まず当該記録媒体を介してガス種等の各種情報を取得するとともに、充填の対象となるガス容器に関する情報も取得する。そして、保安情報取得部191において両情報の突き合わせが行われ、一致するか否かが確認される。
【0282】
すなわち、まず、ガス種に関して架台の情報とガス容器の情報とが一致するか否かが確認される(ST116)。その結果、もし不一致である場合には(ST116のNO)、充填処理が中止される(ST117)。
【0283】
なお、ここでは酸素と窒素、というようにガスの種類そのものが異なる場合の他、例えば、「液体酸素」と「気体酸素」というように、ガス種としては同じであるが、その状態(相)が異なる場合も不一致であると判定される。
【0284】
一方、ガス種が一致する場合には(ST116のYES)、次に充填圧力に関して架台の情報とガス容器の情報とが一致するか否かが保安情報取得部191によって確認される(ST118)。その結果、もし不一致である場合には(ST118のNO)、充填処理が中止される(ST119)。
【0285】
そして充填圧力が一致する場合には(ST118のYES)、当該ガス容器については、ガスを充填するに必要な全ての条件を満たしたことになるので、そのガス容器へのガスの充填処理が実行される(ST120)。以上が、充填工場3が販売店2から預かったガス容器へのガスの充填処理の流れである。
【0286】
なお、ガス種も充填圧力も架台の情報とガス容器の情報とが一致しない場合には、充填中止となるが、充填圧力についてはその限りでない場合もある。すなわち、ガス種が異なる場合、例えば、酸素を充填する架台に窒素を充填する予定のガス容器が取り付けられるような場合には、絶対的に充填処理が中止(禁止)される。これはガス種が異なった場合、ガス種によっては爆発等の危険性があるからである。
【0287】
一方、充填圧力については、ガス容器が許容する充填圧力よりも架台における充填圧力が高い場合には、危険でありこのような充填処理は認められないが、反対に、ガス容器が許容する充填圧力よりも架台における充填圧力が低い場合には、危険性はない場合もある。従って、このように充填圧力が一致しない場合には、一律に充填中止とはせず、さらに危険でないことの確認が行われる。
【0288】
以上説明した通り、ガス容器管理装置1を用いてガス容器の管理を行うに当たって、適宜保安情報の提供が自動的に実施される。従って、ガス容器の管理に必要な情報を用いて、日々の処理において、特に意識せずとも確実な保安情報の管理を実行し、保安情報をガス容器の管理に反映させることが可能となる。
【符号の説明】
【0289】
1・・・ガス容器管理装置
2・・・販売店
3・・・充填工場
4・・・ユーザ
5・・・携帯用情報端末
11・・・CPU
12・・・ROM
13・・・RAM
14・・・入出力インターフェイス
15・・・入力部
16・・・表示部
17・・・通信制御部
18・・・記憶部
181・・・保安管理情報
182・・・ガス容器管理情報
183・・・販売管理情報
184・・・販売店情報
185・・・充填工場情報
186・・・ユーザ情報
19・・・制御部
191・・・保安情報取得部
192・・・報知部
【要約】
【課題】ガス容器の管理に必要な情報を用いて、日々の処理において、特に意識せずとも確実な保安情報の管理を実行し、保安情報をガス容器の管理に反映させることが可能なガス容器管理装置及びガス容器管理プログラムを提供する。
【解決手段】ガス容器を、ガス容器に関係する者の情報とガス容器の識別するための識別情報とを関連づけて管理するガス容器管理装置1であって、ガス容器に関する保安情報を記憶する記憶部18と、ガス容器の管理処理を実行する際に管理処理ごとの保安情報を記憶部18から取得、表示させる制御部19と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14