(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】ボイル緑色野菜用品質保持剤および品質保持方法
(51)【国際特許分類】
A23B 7/153 20060101AFI20230217BHJP
【FI】
A23B7/153
(21)【出願番号】P 2019067940
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】516089979
【氏名又は名称】株式会社ウエノフードテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】上野 博史
(72)【発明者】
【氏名】岡 俊道
(72)【発明者】
【氏名】古川 陽二郎
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-033971(JP,A)
【文献】特開2015-000018(JP,A)
【文献】特開平08-056610(JP,A)
【文献】特開2009-106271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ナトリウム、
L-アスコルビン酸ナトリウム、
pH調整剤、および
塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウム
を含有し、酢酸ナトリウムの含有量が70重量%超87.5重量%以下であり、酢酸ナトリウム100重量部に対するL-アスコルビン酸ナトリウムの量が5~42重量部であり、4重量%水溶液のpHが6.3~6.9であるボイル緑色野菜用品質保持剤。
【請求項2】
pH調整剤が、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、プロピオン酸、酪酸、リン酸、炭酸、次亜リン酸および亜リン酸、又はそれらの塩類からなる群から選択される1種以上である(但し、酢酸ナトリウムおよびL-アスコルビン酸ナトリウムを除く)、請求項1に記載のボイル緑色野菜用品質保持剤。
【請求項3】
4重量%水溶液のナトリウムイオン濃度が0.2~1.6重量%である、
請求項1または2に記載のボイル緑色野菜用品質保持剤。
【請求項4】
さらに、微粒二酸化ケイ素を含有する、
請求項1~3のいずれかに記載のボイル緑色野菜用品質保持剤。
【請求項5】
ボイル緑色野菜がマメ科の緑色野菜をボイルしたものである、
請求項1~4のいずれかに記載のボイル緑色野菜用品質保持剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のボイル緑色野菜用品質保持剤を溶解させた溶液に、ボイル緑色野菜を浸漬することを特徴とする、ボイル緑色野菜の品質保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイル緑色野菜に対する静菌効果と変色抑制効果を有する、ボイル緑色野菜用品質保持剤に関する。また、本発明はボイル緑色野菜に対する静菌効果と変色抑制効果を向上する、ボイル緑色野菜の品質保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インゲン、グリーンピース、サヤエンドウ、枝豆等の緑色野菜をボイルしたボイル緑色野菜は、具材や付け合わせ等の目的で様々な加工食品に用いられている。しかしながら、加熱調理後のボイル緑色野菜は変色や退色が著しく、変色や退色の進行したボイル緑色野菜は、その価値が著しく低下する。
【0003】
このようなボイル緑色野菜の変色や退色を防止する手段として、緑色野菜に凍結・解凍等の前処理をした後、アルカリ性溶液に浸漬し、その後多価陽イオンを含む溶液に浸漬する方法(特許文献1)、緑黄色野菜に塩基性アミノ酸及びそれを主成分とするオリゴペプチドの少なくとも1種の化合物を添加し、加熱処理する方法(特許文献2)、卵白ペプチドを含有する組成物でボイル野菜を処理する方法(特許文献3)、などが提案されている。しかしながら、該方法はいずれもアルカリ性溶液で処理するものであり、変色抑制効果は認められるものの、静菌効果は必ずしも十分とは言えないといった問題点があった。
【0004】
一方で、静菌効果を向上させるためには、酸性薬剤への浸漬等の処理をすることが多かった。しかしながら、酸性薬剤で処理すると静菌効果は得られるものの、ボイル緑色野菜中のクロロフィルが酸によりフェオフィチンやフェオフォルバイドといった褐色成分に変化するため、緑色の退色がより一層顕著なものとなっていた。
【0005】
また、緑色野菜を酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの有機酸塩及びリン酸のアルカリ金属塩の群から選ばれる一種以上と、マスタードおよび/またはプルーンを含有するpH6~8.5の水溶液でボイルまたは浸漬する方法(特許文献4)も提案されているが、マスタードやプルーンによるボイル緑色野菜への味質の影響は無視できないものであった。
【0006】
したがって、食品の味質に対する影響が少なく、ボイル緑色野菜に対する静菌効果と変色抑制効果を有する、品質保持剤および品質保持方法が所望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-004821号公報
【文献】特開2003-210130号公報
【文献】特開2001-095479号公報
【文献】特開2009-033971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、食品の味質に対する影響が少なく、ボイル緑色野菜に対する静菌効果と変色抑制効果を有する、ボイル緑色野菜用品質保持剤および品質保持方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、ボイル緑色野菜に対して酢酸ナトリウムとL-アスコルビン酸ナトリウムを適正な重量割合で併用し、且つpH調整剤を用いて液体に溶解させた場合のpHを制御することにより、食品の味質に対する影響が少なく、ボイル緑色野菜に対する静菌効果と変色抑制効果が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は酢酸ナトリウム70重量%超87.5重量%以下、酢酸ナトリウム100重量部に対してL-アスコルビン酸ナトリウム5~42重量部およびpH調整剤を含有し、4重量%水溶液のpHが6.3~6.9であるボイル緑色野菜用品質保持剤を提供する。
【0011】
本発明はまた、上記ボイル緑色野菜用品質保持剤を溶解させた溶液に、ボイルした緑色野菜を浸漬することを特徴とする、ボイル緑色野菜の品質保持方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において「品質保持」とは、静菌によるボイル緑色野菜の日持ち向上と、ボイル緑色野菜の変色抑制の両方が達成されることを意味する。
【0014】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤における酢酸ナトリウムの割合は、品質保持剤全量に対して70重量%超87.5重量%以下であり、好ましくは70重量%超85重量%以下、より好ましくは70重量%超80重量%以下である。酢酸ナトリウムの割合が70重量%以下である場合、十分な静菌効果または変色抑制効果が発揮されない傾向があり、87.5重量%超である場合、十分な変色抑制効果が発揮されず、また食品の味質への影響が大きくなる傾向がある。
【0015】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤に使用されるL-アスコルビン酸ナトリウムと酢酸ナトリウムは食品添加物として市販されているものを用いればよい。
【0016】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤における、L-アスコルビン酸ナトリウムと酢酸ナトリウムの割合は、酢酸ナトリウム100重量部に対してL-アスコルビン酸ナトリウム5~42重量部であり、好ましくは8~40重量部、より好ましくは10~35重量部、更に好ましくは12~30重量部である。酢酸ナトリウムおよびL-アスコルビン酸ナトリウムの割合が上記範囲内であることで、静菌効果および変色抑制効果がバランスよく発揮される。
【0017】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤は、4重量%水溶液のpHが6.3~6.9であり、6.4~6.8が好ましく、6.5~6.7がより好ましい。pH6.3未満では変色や退色が顕著となるため好ましくなく、6.9を超えると静菌効果が低下するため好ましくない。
【0018】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤は、4重量%水溶液のpHが上記範囲となるようpH調整剤を含有する。pH調整剤としては、酢酸ナトリウムとL-アスコルビン酸ナトリウム以外で食品添加物として使用可能であることが確認されているものであればいずれを用いてもよい。好ましいpH調整剤としては、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、プロピオン酸、酪酸、リン酸、炭酸、次亜リン酸および亜リン酸、又はそれらの塩類からなる群から選択される1種以上が挙げられる。その中でも水溶性の高さや食品の味質に与える影響の少なさの点で酢酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、フマル酸一ナトリウムおよびリンゴ酸からなる群から選択される1種以上がより好ましく、クエン酸、クエン酸三ナトリウムおよび/またはフマル酸一ナトリウムが特に好ましい。pH調整剤の添加量は、本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤の4重量%水溶液のpHが上記範囲内に入るよう適宜調整すればよい。
【0019】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤は、上記L-アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、pH調整剤が食品の味質に与える影響を少なくするため、さらに塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムを含有してもよい。変色抑制効果および味質が特に優れる点から塩化ナトリウムがより好ましい。塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムの添加量は特に限定的ではなく、ボイル緑色野菜用品質保持剤を適用した場合の味質への影響を考慮して決定すればよい。
【0020】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤は、4重量%水溶液とした際のナトリウムイオン濃度が0.2~1.6重量%であることが好ましく、0.4~1.4重量%であることがより好ましく、0.6~1.2重量%であることがさらに好ましい。ナトリウムイオン濃度が上記範囲内であることで、食品の味質に与える影響が少なく、変色抑制効果に優れる。
【0021】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤の調製には特別な操作は必要なく、上記各成分を混合すればよい。また、製剤の物性及び安定性を改善する目的で、デキストリン等の賦形剤または微粒二酸化ケイ素等の固結防止剤と混合した粉末製剤としてもよい。製剤のケーキングや着色・着臭を抑え、保管安定性を改善する点で微粒二酸化ケイ素が特に好ましい。固結防止剤は、本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤100重量部に対して0.1~2.0重量部を混合するのが好ましい。
【0022】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤を適用するタイミングは、緑色野菜をボイルする前であっても後であってもよく、ボイル中であってもよい。本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤の適用方法としては、粉体を添加したボイル液にて緑色野菜をボイルする、緑色野菜をボイルした後、ボイル液に粉体を添加する、粉体をドレッシングなどの調味液に添加してボイル緑色野菜にまぶす、粉体を直接ボイル緑色野菜にまぶす、ボイル緑色野菜用品質保持剤を溶解させた溶液に、ボイル緑色野菜を浸漬する、当該溶液を緑色野菜に噴霧する、塗布する等の方法が挙げられる。ボイル緑色野菜用品質保持剤の効果をより高める点で、緑色野菜をボイルした後に、ボイル緑色野菜を、ボイル緑色野菜用品質保持剤を溶解させた溶液に浸漬させる方法が好ましい。
【0023】
本発明のボイル緑色野菜の品質保持方法は、本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤を溶媒に溶解させた溶液に、ボイル緑色野菜を浸漬することを特徴とする。浸漬液は溶媒に対して、ボイル緑色野菜用品質保持剤を好ましくは2~7重量%、より好ましくは3~5重量%溶解して調製する。2重量%未満では変色抑制効果および静菌効果が不足するため好ましくなく、7重量%を超えると味質に対する影響が大きくなるため好ましくない。
【0024】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤を溶解させた溶液のpHは6.3~6.9であり、6.4~6.8が好ましく、6.5~6.7が特に好ましい。溶媒としては、水および水とエタノールの混合液が例示され、溶液のpHが上記範囲内である限り、核酸系液体調味料、醤油系液体調味料等の調味料を含有する調味液に溶解させて食品の調味と共に用いてもよい。本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤としては、上記各成分を適当な溶媒あるいは調味液へ溶解させた溶液剤として提供されるものも包含する。
【0025】
浸漬液の温度および浸漬時間は特に限定されるものではないが、0~15℃で10~120分間程度が好ましく、0~10℃で30~90分間程度がより好ましい。浸漬液の液量は処理する野菜が浸かる量であれば特に限定されず、目安としては野菜重量の2倍量程度である。
【0026】
本発明に用いられる緑色野菜としてはクロロフィルを含有している緑色野菜であればよいが、インゲン、グリーンピース、サヤエンドウ、枝豆等のマメ科の緑色野菜に対してより効果が期待できる。本発明に用いられる緑色野菜は、緑色野菜全体であっても、その一部であってもよく、丸のまま又は最終的な用途に合わせた様々な大きさに切られた緑色野菜を使用してもよい。また、一旦冷凍保存された緑色野菜をボイルしたもの、あるいは一旦冷凍保存されたボイル緑色野菜を解凍したものであってもよい。
【0027】
本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤が任意の方法で適用されたボイル緑色野菜は、そのままで提供されても、あらたに調理および/または調味されて提供されてもよい。そのまま、あるいは調理および/または調味されたボイル緑色野菜を冷凍して、冷凍食品として提供されてもよい。
【0028】
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
試験例
<ボイルインゲンの変色抑制試験(1)>
下記材料1gを水道水200gに溶解して0.5重量%水溶液を調製した。市販の冷凍インゲンを1%食塩水で1分30秒間ボイルした後、液切りし、調製した水溶液に4℃にて60分間浸漬した。浸漬液からインゲンを取り出し、25℃の恒温器内で1000lx照射下にて1日間保存した。保存後のサンプルの色調変化は目視で観察し、下記変色抑制効果評価基準(目視)により評価した。
【0030】
[変色抑制効果評価基準(目視)]
○:無処理と比べて変色抑制効果あり
×:無処理と比べて変色抑制効果なし
【0031】
【実施例】
【0032】
<ボイル緑色野菜用品質保持剤の調製>
下記材料を表2~6に示す重量%で配合して混合し、製剤A~Uを調製した。また、調製した製剤について、4重量%水溶液を調製し、pH測定器(株式会社堀場製作所製)を用いてpHを測定した。さらに、4重量%水溶液のナトリウムイオン濃度を算出した。結果を表2~6に示す。
・酢酸ナトリウム(日本合成化学工業株式会社製)
・L-アスコルビン酸ナトリウム(維生薬業有限公司製)
・塩化ナトリウム(日本食塩製造株式会社製)
・クエン酸三ナトリウム(磐田化学工業株式会社製)
・クエン酸(昭和化工株式会社製)
・酢酸(75%)(日和合精株式会社製)
・DL-リンゴ酸(扶桑化学工業株式会社製)
・微粒二酸化ケイ素(DSLジャパン株式会社製)
・グリシン(昭和電工株式会社製)
・フマル酸一ナトリウム(扶桑化学工業株式会社製)
・炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社製)
【0033】
実施例1~8および比較例1~12
<ボイルインゲンの変色抑制試験(2)>
方法:表2~5に示す製剤8gを水道水200gに溶解して4重量%水溶液を調製した。市販の冷凍インゲンを1%食塩水で1分30秒間ボイルした後、液切りし、調製した水溶液に4℃にて60分間浸漬した。浸漬液からインゲンを取り出し、5gずつ滅菌処理済みの細菌検査用ポリ袋に入れて密封し、サンプルとした。サンプルは25℃の恒温器内で1000lx照射下にて2日間保存した。保存後のサンプルの一般細菌数を測定し、下記静菌効果評価基準により評価した。保存後のサンプルの色調変化は目視で観察し、下記変色抑制効果評価基準(目視)により評価した。また、測色色差計(日本電色工業株式会社製:ZE‐2000)を用いて、製造直後と保存後のボイルインゲンの明度L*値、色相a*値(緑色⇔赤色)、色相b*値(青色⇔黄色)を測定した。製造直後の値をp、保存後の値をqの添え字で示すとき、下式により総合的な色の差であるΔE*を算出した。
【0034】
(式)ΔE*=[(L*q-L*p)2+(a*q-a*p)2+(b*q-b*p)2]1/2
なお、ΔE*は製造直後と保存後のL*、a*、b*の数値の差を表し、下記変色抑制効果評価基準(色差ΔE*)により評価した。さらに、浸漬液から取り出した直後のインゲンの味質を下記味質評価基準により評価した。
【0035】
[静菌効果評価基準]
○:一般細菌数(CFU/g)<103
△:103≦一般細菌数(CFU/g)<104
×:104≦一般細菌数(CFU/g)
【0036】
[変色抑制効果評価基準(目視)]
○:無処理と比べて変色抑制効果あり
×:無処理と比べて変色抑制効果なし
【0037】
[変色抑制効果評価基準(色差ΔE*)]
ΔE*の数値が小さいほど、製造直後からの変化が少なく、変色抑制効果が高いことを示す。ΔE*の値が12以下であるのが好ましく、11以下であるのがより好ましい。
【0038】
[味質評価基準]
○:ほとんど異味がなく、好ましい
△:僅かに異味があるが、好ましい
×:異味があり、好ましくない
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
結果:L-アスコルビン酸ナトリウム配合量が少ない場合(比較例1、2)は変色抑制効果が不足し、酢酸ナトリウムの配合量が少ない場合(比較例3、4、5、10)は静菌効果が不足したのに対して、本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤(実施例1~8)は、優れた変色抑制効果と優れた静菌効果を示した。
【0044】
pHが高い場合(比較例6、7、8)は静菌効果が不足し、pHが低い場合(比較例9、11)は変色抑制効果が不足したのに対して、本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤(実施例1~8)は、優れた変色抑制効果と静菌効果を示した。L-アスコルビン酸ナトリウムを含有せずpHが低い、従来の酸性薬剤で処理した場合(比較例12)、静菌効果は得られるものの、変色抑制効果は不足した。
【0045】
実施例9
<製剤の保管安定性試験>
方法:表6に示す製剤を調製し、100ml容のガラス瓶に80g入れて密封し、0℃および37℃の恒温器内で8週間保管した。37℃保管品のケーキングの有無を確認した。また、0℃保管品を対照に、37℃保管品の色調およびニオイを確認した。
【0046】
【0047】
結果:本発明のボイル緑色野菜用品質保持剤(実施例9)は、37℃保管では8週間経過後もケーキングは発生せず、色調およびニオイの変化もなかった。