(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】操作されたナチュラルキラー細胞およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20230217BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230217BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230217BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230217BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230217BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230217BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230217BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230217BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
A61P35/00
A61K35/17 Z
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K47/68
C12N5/0783
C12N15/13
C12N15/62 Z
(21)【出願番号】P 2019551736
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2017082292
(87)【国際公開番号】W WO2018104562
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520179578
【氏名又は名称】オーエヌケイ セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】オドワイアー,マイケル エイモン ピーター
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/109668(WO,A1)
【文献】Haematologica,2016年02月,Vol.101, No.5,p.616-625
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD38に対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するナチュラルキラー(NK)細胞であって、該CARが、配列番号
1で示される配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2
3で示される配列を含む軽鎖可変領域を含む、NK細胞。
【請求項2】
前記NK細胞がE-セレクチンリガンドを発現する、請求項1に記載のNK細胞。
【請求項3】
前記NK細胞がHECA-452抗体を結合する、請求項1または2に記載のNK細胞。
【請求項4】
前記NK細胞がKHYG-1細胞である、請求項1から3のいずれかに記載のNK細胞。
【請求項5】
前記CD38 CARが、配列番号29、30および31中の重鎖CD
Rを含む、請求項1から4のいずれかに記載のNK細胞。
【請求項6】
前記CD38 CARが、配列番号35、36および37中の軽鎖CD
Rを含む、請求項1から
5のいずれかに記載のNK細胞。
【請求項7】
前記CD38 CARが、配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1つまたはそれ以上の共刺激ドメインを含む、請求項1から
6のいずれかに記載のNK細胞。
【請求項8】
前記NK細胞が、野生型TRAILと比べて、TRAIL細胞死受容体に対して増大した親和性を有するTRAIL改変体を発現するように改変されている、請求項1から
7のいずれかに記載のNK細胞。
【請求項9】
CD38発現癌の治療に使用するための医薬組成物であって、請求項1から
8のいずれかに記載のNK細胞を含む、医薬組成物。
【請求項10】
前記CD38発現癌が血液癌である、請求項
9に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
前記CD38発現癌が多発性骨髄腫(MM)である、請求項
9に記載の使用のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌を治療するための改変ナチュラルキラー(NK)細胞またはNK細胞株を用いた治療方法に関する。治療方法および細胞組成もまた、特に血液癌の治療において、本発明の一部を形成する。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、自然免疫機能において役割を果たす末梢血リンパ球である。NK細胞は、健康な細胞とウイルス感染細胞または形質転換(癌性)細胞との間の識別を担う様々な活性化および抑制性受容体を発現する。T細胞とは異なり、NK細胞は抗原非依存的に標的細胞に細胞傷害作用を及ぼす。結果として、NK細胞は抗原プライミングを必要とせず、そして特異的抗原の非存在下で強い細胞毒性を示し得る。
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)は、細胞傷害性T細胞を特定の細胞型および組織に標的化するために最近開発された。ほとんどのCARは、抗体由来の抗原認識ドメイン、ならびにT細胞シグナル伝達に関与する免疫シグナル伝達タンパク質由来の膜貫通および細胞内部分を有し、したがって、標的細胞集団に発現している標的抗原に結合するT細胞の細胞傷害機能の活性化を可能にする。
【0004】
より詳細には、CARは、免疫エフェクター細胞、本発明の場合にはNK細胞に特定の抗原特異性を導入する組換え抗原受容体である。CARは、免疫エフェクター細胞に導入された外因性ポリヌクレオチドから発現された規定のポリペプチド配列を含む。キメラ抗原受容体は、リーダー配列、標的ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。適切には、標的ドメインは抗体分子に由来し、CARに抗原特異性を付与する抗体分子由来の1つまたはそれ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。適切には、本発明の操作されたNK細胞において使用するためのCARの標的ドメインは一本鎖可変フラグメント(scFv)である。scFvは、免疫グロブリン軽鎖の可変鎖部分、および柔軟なリンカーポリペプチドによって分離された免疫グロブリン重鎖分子を含む。柔軟なポリペプチドリンカーは、重鎖および軽鎖が互いに会合し、そして免疫グロブリン抗原結合ドメインを再構成することを可能にする。
【0005】
NK-CAR細胞を用いた代替的なそして好ましくは改善された癌療法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、NK細胞のみに依存する治療方法よりも癌の治療においてより効果的なNK-CAR細胞およびNK-CAR細胞株を提供することである。より特定の実施形態は、自己標的化のような細胞ベースの治療方法に共通の問題を回避する一方で、同定された癌(例えば、血液癌)の治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、CD38発現癌の治療に使用するためのCD38に対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を提供する。
【0008】
本発明はさらに、CD38に対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するKHYG-1細胞を含む組成物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、CD38に対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するナチュラルキラー(NK)細胞を患者に投与することによりCD38発現癌を治療する方法を提供する。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのキメラ抗原受容体を用いて操作された初代細胞および細胞株の両方のNK細胞を含む医薬組成物を提供する。これらの組成物は、固形腫瘍および血液(血液)癌の両方の癌の治療に有用である。その使用方法および製造方法も記載されている。本明細書に記載の医薬組成物は、キメラ抗原受容体を発現する、初代NK細胞およびKHYG-1などのNK細胞株を含む。適切には、CARは癌関連抗原を標的とする。例えば、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含み得る。ある特定の実施形態では、キメラ抗原受容体はCD38に特異的であり得る。場合により、NK細胞は、NK細胞の細胞傷害活性の増加をもたらす少なくとも1つの他の改変を含む。適切には、改変は、チェックポイント抑制因子(checkpoint inhibior)の発現の欠失もしくは減少、またはTRAILもしくはDR4もしくはDR5などのTRAIL受容体に対してより高い親和性を有するTRAIL改変体の発現の増加を含む。有利には、本発明の操作されたNK細胞は、E-セレクチンリガンドの発現増加、および/またはDR4、DR5、またはその両方などのTRAIL受容体の発現減少を示す。これらの操作されたNK細胞は、静脈内経路による養子免疫伝達によって癌と診断された個体を治療するために使用することができる。これらのNK細胞は、CARを発現するポリヌクレオチド/ベクターおよび/またはNK細胞の細胞傷害活性を活性化する分子(例えば、改変体TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)タンパク質)のウイルス形質導入またはエレクトロポレーションによる、あるいはsiRNA、shRNAまたはCRISPR/Cas9標的化メカニズムを介して抑制性受容体の発現を欠失または減少させるベクターによることを含む、当技術分野で公知の様々な方法で操作することができる。NK細胞は、初代細胞または初代NK細胞の機能および特徴のいくつかを保持する樹立NK細胞株であり得る。具体的な実施形態では、操作されたNK細胞株は、KHYG-1細胞、またはNK-92のような一般的な細胞とは異なる、E-セレクチンリガンド高発現、およびTARIL受容体DR4およびDR5の低発現などの品質を有するKHYG-1様細胞である。養子移入は、自己(同系)または異種(同種異系)NK細胞を用いることができる。
【0011】
本発明は、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を提供する。操作されたナチュラルキラー細胞は、E-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示す。操作されたナチュラルキラー細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、HECA-452抗体によって結合される抗原について25%を超える陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞はTRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここでTRAIL受容体はTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、初代の操作されたナチュラルキラー細胞を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株を含む。特定の実施形態では、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株はNK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である。特定の実施形態では、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株はKHYG-1細胞株である。特定の実施形態では、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。特定の実施形態において、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはヒトCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARはDAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチドを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドをさらに含み、ここで変異型TRAILポリペプチドは、シグナル伝達の増加を誘導するか、またはTRAILリガンドに対する結合親和性の増加を有する。適切には、TRAILリガンドはTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドはヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドは、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む。適切には、CARまたは変異型TRAILポリペプチドは、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれる。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、チェックポイント抑制性受容体の活性の欠失または低下をさらに含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96、CD152、またはCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD152を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体的にまたは部分的に欠失されるか、あるいは染色体レベルでの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの挿入または欠失によって破壊される。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む。適切には、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体、安定剤、または賦形剤をさらに含む。適切には、医薬組成物は腹腔内投与用に処方される。適切には、医薬組成物は腹腔内投与用に処方される。適切には、医薬組成物は癌の治療に使用するためのものである。適切には、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫を含む。適切には、癌は多発性骨髄腫を含む。
【0012】
本発明は、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、癌を有する被験体を治療する方法を提供し、ここで操作されたナチュラルキラー細胞は、E-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示す。ここで、操作されたナチュラルキラー細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、HECA-452抗体によって結合される抗原について25%を超える陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞はTRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここで、TRAIL受容体はTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、初代の操作されたナチュラルキラー細胞を含む。特定の実施形態では、操作されたナチュラルキラー細胞は、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株を含む。特定の実施形態では、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株はNK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である。特定の実施形態では、形質転換された操作されたナチュラルキラー細胞株はKHYG-1細胞株である。特定の実施形態では、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。特定の実施形態において、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLLを含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはヒトCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARはDAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチドを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドをさらに含み、ここで変異型TRAILポリペプチドは、シグナル伝達の増加を誘導するか、またはTRAILリガンドに対する結合親和性の増加を有する。適切には、TRAILリガンドはTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドはヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドは、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む。適切には、CARまたは変異型TRAILポリペプチドは、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれる。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、チェックポイント抑制性受容体の活性の欠失または低下をさらに含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96、CD152、またはCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD152を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体的にまたは部分的に欠失されるか、あるいは染色体レベルでの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの挿入または欠失によって破壊される。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから欠失される。適切には、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体、安定剤、または賦形剤をさらに含む。適切には、医薬組成物は静脈内投与用に処方される。適切には、医薬組成物は腹腔内投与用に処方される。適切には、医薬組成物は癌の治療に使用するためのものである。適切には、癌は白血病、リンパ腫、または骨髄腫を含む。適切には、癌は多発性骨髄腫を含む。適切には、医薬組成物は、プロテアソーム阻害剤の投与前、投与中または投与後に投与される。適切には、医薬組成物は、低用量メトロノームシクロホスファミド治療計画の前、その間、またはその後に投与される。
【0013】
本発明は、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物の製造方法を提供し、ここで操作されたナチュラルキラー細胞はE-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示す。操作されたナチュラルキラー細胞はキメラ抗原受容体(CAR)を含む。該方法はナチュラルキラー細胞を、該CARをコードするポリヌクレオチドとインキュベートする工程を含む。適切には、ポリヌクレオチドはウイルスベクターを含む。適切には、ウイルスベクターはレンチウイルスである。適切には、ウイルスベクターはレトロウイルスである。適切には、ポリヌクレオチドはmRNAを含む。適切には、ポリヌクレオチドは操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれる。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、操作されたナチュラルキラー細胞のフコシル化を増加させるために化学物質で処理される。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、HECA-452抗体によって結合された抗原に対して25%を超える陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞はTRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここでTRAIL受容体はTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、初代ナチュラルキラー細胞を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、形質転換されたナチュラルキラー細胞株を含む。適切には、形質転換されたナチュラルキラー細胞株はNK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である。適切には、形質転換されたナチュラルキラー細胞株はKHYG-1細胞株である。適切には、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。適切には、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはヒトCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARはDAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチドを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドをさらに含み、ここで変異型TRAILポリペプチドは、シグナル伝達の増加を誘導するか、またはTRAILリガンドに対する結合親和性の増加を有する。適切には、TRAILリガンドはTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドはヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む。適切には、変異型TRAILポリペプチドは、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む。適切には、CARまたは変異型TRAILポリペプチドは、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれる。適切には、この方法は、操作されたナチュラルキラー細胞をチェックポイント抑制性受容体の活性を欠失または低下させるポリヌクレオチドとインキュベートする工程をさらに含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96、CD152、またはCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD96を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD152を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体はCD328を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体的にまたは部分的に欠失されるか、あるいは染色体レベルでの1つまたはそれ以上のヌクレオチドの挿入または欠失によって破壊される。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む。適切には、この方法は、操作されたナチュラルキラー細胞を薬学的に許容可能な担体、安定剤、または賦形剤と混合する工程をさらに含む。
【0014】
本明細書に記載の特定の局面では、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物であって、操作されたナチュラルキラー細胞がFUT6またはFUT7タンパク質の高レベルの発現を示し、操作されたナチュラルキラー細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。適切には、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。適切には、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはヒトCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARは、DAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドに由来する細胞内ドメインを含む。適切には、CARは、ヒト4-1BBポリペプチドに由来する細胞内ドメインを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチド由来の細胞内ドメインを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。
【0015】
本明細書で提供される特定の局面において、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、癌を有する被験体を治療する方法であり、ここで操作されたナチュラルキラー細胞はFUT6またはFUT7タンパク質の高レベルの発現を示し、操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。適切には、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。適切には、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2と少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARは、DAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチドを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。
【0016】
好ましくは、CD38-CAR発現NK細胞は、CD38発現癌細胞に対するそれらの親和性と比較して、CD38を発現する正常(悪性でない)細胞に対する親和性が低い。これは、例えば、癌細胞が正常細胞よりも高レベルのCD38を発現するため、および/またはCD38-CARが癌細胞上に発現したCD38の特定の形態に対して親和性を増大させるか、および/または正常細胞上に発現したCD38の特定の形態に対して親和性を減少させるからである。癌細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性の増加は、正常細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも100%であることが好ましい。正常細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性の減少は、癌細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも100%であることが好ましい。癌細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性の増加は、正常細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍大きいことが好ましい。正常細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性の減少は、癌細胞に対するCD38-CAR発現NK細胞の親和性よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1000倍小さいことが好ましい。好ましくは、CD38-CAR発現NK細胞は正常CD38発現細胞に対して低親和性を有し、ここで「低親和性」とは、CD38(例えば多発性骨髄腫細胞)の(正常細胞と比較して)発現が増加した標的癌細胞に対して細胞傷害性応答を効果的に開始するのに十分高いが、正常なCD38発現細胞に対する細胞傷害性応答の開始を回避するのに十分に低い親和性を有すると定義される。
【0017】
本明細書で提供される特定の局面では、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を製造する方法であって、該操作されたナチュラルキラー細胞はFUT6またはFUT7タンパク質の高レベルの発現を示し、該操作されたナチュラルキラー細胞はキメラ抗原受容体(CAR)を含み、その方法はナチュラルキラー細胞を、CARをコードするポリヌクレオチドとインキュベートする工程を含む、方法である。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。適切には、CARは癌関連抗原に特異的に結合する。適切には、癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。適切には、癌関連抗原は血液癌関連抗原を含む。適切には、血液癌関連抗原は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む。適切には、血液癌関連抗原はCD38を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1および2に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3および4に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5および6に記載のものと同一の標的ドメインアミノ酸配列を含む。適切には、CARはヒトCD8αポリペプチドを含む。適切には、CARはDAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒト4-1BBポリペプチドを含む。適切には、CARはヒトCD3ζポリペプチドを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。さらなる局面では、操作されたナチュラルキラー細胞は、第二のキメラ抗原受容体をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、本発明のキメラ抗原受容体の非限定的な概略図を示す。図は一定の縮尺では描かれていない。
【
図1B】
図1Bは、本発明のキメラ抗原受容体の標的ドメインの非限定的な概略図を示す。図は一定の縮尺では描かれていない。
【
図2A】
図2A~Bは、フローサイトメトリーによって分析した場合の、KHYG-1細胞(A)およびNK-92細胞(B)へのHECA-452抗体の結合を図示する。
【
図2B】
図2A~Bは、フローサイトメトリーによって分析した場合の、KHYG-1細胞(A)およびNK-92細胞(B)へのHECA-452抗体の結合を図示する。
【
図3】
図3は、NK-92細胞と比較した場合のSDF-1勾配に沿ったKHYG-1細胞の遊走を示す。
【
図4A】
図4A~Bは、フローセル内のKHYG-1細胞(A)およびNK-92細胞(B)の移動を観察するビデオからの静止フレームを示す図である。失速しているかゆっくり移動している細胞にはアスタリスクが付いている。
【
図4B】
図4A~Bは、フローセル内のKHYG-1細胞(A)およびNK-92細胞(B)の移動を観察するビデオからの静止フレームを示す図である。失速しているかゆっくり移動している細胞にはアスタリスクが付いている。
【
図5】
図5は、CTLA4の欠失を標的とするために使用されるgRNA構築物(発現ベクター)を示す。
【
図6】
図6は、CRISPR/Cas9 gRNAでのトランスフェクション前後の、親および変異LIR2 DNAのゲル電気泳動バンドを示す図である。
【
図7】
図7は、CRISPR/Cas9 gRNAでのトランスフェクション前後の、親および変異CTLA4 DNAのゲル電気泳動バンドを示す図である。
【
図8A】
図8A~Bは、フローサイトメトリーによって分析された、siRNAを用いたKHYG-1細胞中のCD96のノックダウンを図示する。2つの独立した実験が示されている(AおよびB)。
【
図8B】
図8A~Bは、フローサイトメトリーによって分析された、siRNAを用いたKHYG-1細胞中のCD96のノックダウンを図示する。2つの独立した実験が示されている(AおよびB)。
【
図9】
図9は、異なるエフェクター対標的比でのCD96の減少を伴うKHYG-1細胞による殺傷の増加を示す。
【
図10】
図10は、フローサイトメトリーによって分析された、siRNAを用いたKHYG-1細胞におけるCD328のノックダウンを示す。
【
図11】
図11は、異なるエフェクター対標的比でのCD328の減少を伴うKHYG-1細胞による殺傷の増加を示す。
【
図12】
図12は、フローサイトメトリーによって分析したところ、KHYG-1細胞がTRAILの発現が低いかまたは全くないことを示す。
【
図13】
図13は、フローサイトメトリーによって分析した、野生型および改変体TRAILでトランスフェクトした細胞における細胞表面TRAIL発現の増加を示す図である。
【
図14】
図14は、フローサイトメトリーによって分析された、野生型および改変体TRAILでトランスフェクトされた細胞における細胞表面107a発現の増加を示す。
【
図15】
図15は、野生型または改変体TRAILをトランスフェクトしたKHYG-1細胞の生存率を示す。
【
図16】
図16は、異なるNK細胞株におけるTRAIL受容体の発現(KHYG1(上4つ)とNK-92(下4つ))を示す。
【
図17】
図17は、野生型TRAILまたは改変体TRAILを発現するKHYG-1細胞がK562細胞のアポトーシスに対して及ぼす効果を示す。
【
図18】
図18は、野生型TRAILまたは改変体TRAILを発現するKHYG-1細胞がRPMI8226細胞のアポトーシスに対して及ぼす効果を示す。
【
図19】
図19は、野生型TRAILまたは改変体TRAILを発現するKHYG-1細胞がMM1.S細胞のアポトーシスに対して及ぼす効果を示す。
【
図20】
図20は、RPMI8226細胞およびMM1.S細胞上のDR5発現のFACSプロットをそれぞれ示し、ここでDR5発現に対するボルテゾミブ処理の効果を示す。
【
図21】
図21は、TRAIL改変体を伴う(下2つ)または伴わない(中央2つ)KHYG-1細胞と共培養したボルテゾミブ前処理/未処理MM1.S細胞におけるアポトーシスの2つのFACSプロットを示す。
【
図22】
図22は、多発性骨髄腫細胞系UM9を様々な低親和性CD38 NK CARで処理した効果を示す。
【
図23】
図23および24は、原発性多発性骨髄腫細胞を様々な低親和性CD38 NK CARで処理した効果を示す。
【
図24】
図23および24は、原発性多発性骨髄腫細胞を様々な低親和性CD38 NK CARで処理した効果を示す。
【
図25】
図25および26は、それらのCD38およびCD138の発現に従ってゲ-ト制御された細胞サブセットFACSを示し、低親和性CD38 CARは癌性細胞を効果的に標的とするが非癌性細胞を標的としないことを示す。
【
図26】
図25および26は、それらのCD38およびCD138の発現に従ってゲ-ト制御された細胞サブセットFACSを示し、低親和性CD38 CARは癌性細胞を効果的に標的とするが非癌性細胞を標的としないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(特定の定義)
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。本明細書における「または」へのいかなる言及も、特に明記しない限り「および/または」を包含することを意図している。
【0020】
本明細書で用いられるように、用語「約」は、述べられた量に例えば10%、5%、または1%近い量を指す。
【0021】
本明細書で用いられるように、用語「個体」、「被験体」、および「患者」は互換的に使用され、そして癌または他の新生物と診断されたかまたは罹患していると疑われるヒトを含む。
【0022】
本明細書において、他に述べられない限り、1つまたは複数のNK細胞への言及は、NK細胞株および初代NK細胞の両方を包含する。
【0023】
本明細書中で使用されるように、用語「NK細胞株」は、1つまたはそれ以上のナチュラルキラー細胞特性を保持する任意の形質転換細胞株または不死化細胞株をいう。例えば、特定の実施形態では、保持される1つまたはそれ以上のナチュラルキラー細胞特性は、CD56発現、キラ-細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)発現、またはK562細胞などの標的細胞株に対する抗原非依存性細胞傷害性である。一般的なNK細胞株は、例えば、NK-92またはKHYG-1細胞株である。
【0024】
(ナチュラルキラー細胞)
操作されたナチュラルキラー細胞は、それらを操作されていないナチュラルキラー細胞と区別する1つまたはそれ以上の操作を含む。適切には、操作されたナチュラルキラー細胞は、キメラ抗原受容体、TRAIL改変体、FUT6またはFUT7タンパク質のいずれか1つまたはそれ以上をコードするポリヌクレオチドを含むか、またはチェックポイント抑制因子の発現の欠失もしくは減少を含むポリヌクレオチドを含むという点で操作されている。本発明の操作されたナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、初代細胞または樹立細胞株を含む任意のNK細胞集団から作製され得る。適切には、NK細胞はヒトNK細胞である。ヒトにおける初代ナチュラルキラー細胞は細胞表面マーカーCD56を発現し、そして特定の実施形態において、操作されたナチュラルキラー細胞は、非限定的な例としてフローサイトメトリーにより決定されるようにCD56陽性細胞から産生され得る。適切には、ナチュラルキラー細胞は、自己供給源(供給源細胞およびレシピエントの同じ遺伝的背景)、または異種供給源(供給源細胞およびレシピエントの異なる遺伝的背景)由来であり得る。適切には、NK細胞は、細胞選別または磁気ビーズなどの方法を使用して、ドナーの末梢血または治療される個体から単離される。ドナーから単離されたNK細胞は、インターロイキン2およびインターロイキン15中で7日間より多く培養することによりエクスビボで拡大(expand)させることができる。NK細胞はまた、当技術分野において公知の方法を用いてインビトロ培養において幹細胞または前駆細胞から分化させることもできる。適切には、NK細胞は骨髄由来幹細胞から分化する。適切には、NK細胞は成体多能性細胞から分化する。適切には、NK細胞は胚性幹細胞から分化する。
【0025】
操作されたNK細胞はまた、形質転換NK細胞株から作製され得る。適切には、形質転換NK細胞株はヒト細胞株である。使用され得る一般的なNK細胞株は、NK-92細胞株(ATCCから入手可能;CRL-2497)、またはKHYG-1細胞株である。適切には、操作されたNK細胞株はKHYG-1細胞株から作製される。Yagitaら、「A novel natural killer cell line (KHYG-1) from a patient with aggressive natural killer cell leukemia carrying a p53 point mutation」,Leukemia 14(5):922-30を参照のこと。CD56の発現などの一般的なNK細胞株間の共通点にもかかわらず、異なる細胞株は、細胞ベースの治療法の開発に関して他のNK細胞株と比較して特定のNK細胞株のより大きい適合性を可能にし得る異なる表現型および遺伝子型形質を有する(例えば、改変体TRAILタンパク質を発現するCAR NK細胞またはNK細胞)。適切には、操作されたNK細胞株はNK-92細胞株またはその誘導体を含まない。
【0026】
本明細書に記載の特定の実施形態では、操作されたNK細胞は血液悪性腫瘍の治療に有用である。このような治療を容易にするために、特定の実施形態では、細胞は骨髄へのホーミングの増加を示す。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンド発現を示す。E-セレクチンは、CD62抗原様ファミリーメンバーE(CD62E);内皮-白血球接着分子1(ELAM-1);または白血球-内皮細胞接着分子2(LECAM2)としても知られている。E-セレクチンは、細胞表面上のE-セレクチンリガンドに結合する。これは四糖類シアリルルイスX(SLex)を発現する糖タンパク質および/または糖脂質である。SLexは、α-フコシルトランスフェラーゼ、α2-3-シアリルトランスフェラーゼ、β-ガラクトシルトランスフェラーゼ、およびN-アセチル-β-グルコサミニルトランスフェラーゼの複合作用によって合成される。HECA-452抗体はE-セレクチンリガンドを認識する。適切には、操作されたNK細胞は、HECA-452抗体で陽性に染色される少なくとも25%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、またはそれ以上の細胞を示す操作されたNK細胞の集団を含む。適切には、操作されたNK細胞は、HECA-452抗体で陽性に染色される少なくとも50%またはそれ以上の細胞を示すNK細胞の集団を含む。適切には、操作されたNK細胞は、HECA-452抗体で陽性に染色される少なくとも75%またはそれ以上の細胞を示すNK細胞の集団を含む。適切には、操作されたNK細胞は、HECA-452抗体で陽性に染色される少なくとも80%またはそれ以上の細胞を示すNK細胞の集団を含む。適切には、操作されたNK細胞は、HECA-452抗体で陽性に染色される少なくとも90%またはそれ以上の細胞を示すNK細胞の集団を含む。陽性は、例えば、蛍光結合HECA-452抗体を用いてインビトロで細胞を染色し、HECA-452染色細胞をアイソタイプ対照染色細胞と比較するフローサイトメトリーによって陽性を分析することによって評価することができる。適切には、HECA-452陽性を示す操作されたNK細胞の集団は、細胞表面タンパク質のフコシル化を増加させるために化学的に処理されている。適切には、この化学処理は、GDP-フコース基質およびアルファ1,3フコシルトランスフェラーゼVI酵素を含む。
【0027】
適切には、操作されたNK細胞は糖操作されている。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも6倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも7倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも8倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも9倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも10倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較して、HECA-452抗体結合の少なくとも20倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも50倍の増加によって示される。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドは、アイソタイプ対照抗体結合と比較してHECA-452抗体結合の少なくとも100倍の増加によって示される。この結合の増加は、例えば、フローサイトメトリーを使用してアイソタイプ対照抗体のものに対し、HECA-452抗体結合の平均蛍光強度を比較することによって分析され得る。適切には、高レベルのHECA-452抗体結合を示すNK細胞はKHYG-1細胞株である。適切には、高レベルのHECA-452結合を示す操作されたNK細胞の集団は、細胞表面タンパク質のフコシル化またはシアル化を増加させるために化学的に処理されている。適切には、この化学処理は、GDP-フコース基質およびアルファ1,3フコシルトランスフェラーゼVI酵素を含む。適切には、NK細胞は、FUT6、FUT7、またはその両方を発現することによって高レベルのHECA-452抗体結合を示すように操作されている。適切には、FUT6またはFUT7発現は、mRNAまたはDNAプラスミドまたはウイルスベクターを、低レベルのHECA-452抗体結合を示すNK細胞、例えばNK-92細胞に導入することによって達成される。適切には、NK-92細胞などの不死化NK細胞株は、FUT6、FUT7、またはその両方をコードする核酸で安定的にトランスフェクトされ得る。適切には、FUT6またはFUT7の高レベルの発現は、mRNA、ウエスタンブロット、または酵素アッセイによってモニタリングされるように、FUT6またはFUT7の発現または活性の少なくとも2、5、または10倍の増加である。適切には、操作されたNK細胞はCD65を発現する。適切には、操作されたNK細胞は複数のCD65を発現する。
【0028】
適切には、操作されたNK細胞はTRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を含む。適切には、TRAIL受容体はDR4またはDR5である。適切には、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現は、検出可能なTRAIL受容体活性の欠如を含む。適切には、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現は、アイソタイプ対照に匹敵する抗TRAIL抗体反応性によって示されるレベルを含む。適切には、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現は、アイソタイプ対照と比較して5倍未満である抗TRAIL抗体反応性によって示されるレベルを含む。適切には、低レベルの細胞表面TRAIL受容体は、アイソタイプ対照と比較して2倍未満である抗TRAIL抗体反応性によって示されるレベルを含む。細胞表面TRAIL受容体発現は、例えば、実施例に詳述されているようにフローサイトメトリーを用いて定量することができる。
【0029】
(キメラ抗原受容体)
キメラ抗原受容体(CAR)は、免疫エフェクター細胞に特定の抗原特異性を導入することを意図した組換え抗原受容体である。CARは、一過的にまたはゲノムに組み込まれてのいずれかで、免疫エフェクター細胞に導入された外因性ポリヌクレオチドから発現された規定のポリペプチド配列を含む。一般的なCARの概略図を
図1Aに示す。キメラ抗原受容体は、リーダー配列101、標的ドメイン102、膜貫通ドメイン103、および1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(104および105)を含む。適切には、標的ドメインは抗体分子に由来し、CARに抗原特異性を付与する抗体分子由来の1つまたはそれ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。適切には、本発明の操作されたNK細胞に使用するためのCARの標的ドメインは、
図1Bに示されるように単鎖可変フラグメント(scFv)である。scFvは、免疫グロブリン軽鎖106の可変鎖部分、および柔軟なリンカーポリペプチド107によって分離された免疫グロブリン重鎖分子108を含む。重鎖および軽鎖の順序は限定的ではなく、逆にすることができる。柔軟なポリペプチドリンカーは、重鎖および軽鎖が互いに会合し、そして免疫グロブリン抗原結合ドメインを再構成することを可能にする。適切には、軽鎖可変領域は3つのCDRを含み、重鎖可変領域は3つのCDRを含む。適切には、標的ドメインに使用するためのCDRは任意の種(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ)の抗体分子に由来し、CDR間のフレームワーク領域はヒト化されているか、またはヒトフレームワーク領域と少なくとも85%、90%、95または99%同一である配列を含む。
【0030】
CARの標的ドメインがscFvを含む場合、免疫グロブリン軽鎖および免疫グロブリン重鎖は様々な長さのポリペプチドリンカーによって連結されている。適切には、ポリペプチドリンカーは、10アミノ酸以上の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10、15、20、または25アミノ酸より多い長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、30アミノ酸以下の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、15、20、25、または30アミノ酸未満の長さを含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~25アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは10~20アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、10~15アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは15~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、20~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは、25~30アミノ酸長を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは親水性アミノ酸を含む。適切には、ポリペプチドリンカーは親水性アミノ酸からなる。適切には、ポリペプチドリンカーはアミノ酸配列GSTSGSGKPGSGEGSTKGを含む。適切には、ポリペプチドリンカーはG4S配列(GGGGS)を含む。G4Sリンカーは、リンカーの柔軟性およびプロテアーゼ耐性を可能にする。適切には、G4Sリンカーは、ポリペプチドリンカー中で1、2、3、4、5、6、7、または8回連続して繰り返される。
【0031】
本発明のCARは、NH2末端リーダー配列101をさらに含む。リーダー配列(シグナルペプチドとしても知られる)は、発現されたCAR構築物が小胞体(ER)に入り込み、細胞表面を標的とすることを可能にする。リーダー配列はERで切断され、成熟細胞表面CARはリーダー配列を有しない。一般に、リーダー配列の長さは5~30アミノ酸の範囲であり、そして一連の疎水性アミノ酸を含む。適切には、リーダー配列は、5、10、15、20、または25より多い長さのアミノ酸を含む。適切には、リーダー配列は、10、15、20、25、または30未満の長さのアミノ酸を含む。適切には、リーダー配列は任意の分泌タンパク質に由来する配列を含む。適切には、リーダー配列はCD8αリーダー配列に由来する配列を含む。
【0032】
本発明のCARは、膜貫通ドメインをさらに含む。
図1Aの特徴103を参照のこと。膜貫通ドメインは、疎水性アミノ酸残基を含み、そしてCARが操作されたNK細胞の細胞膜に固定されることを可能にする。適切には、膜貫通ドメインは膜貫通タンパク質に由来するアミノ酸配列を含む。適切には、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のα、β、またはζ鎖の膜貫通ドメイン、CD27、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、およびCD154に由来するアミノ酸配列を含む。適切には、CARはCD8の膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通を含む。適切には、CARは、ヒトCD8αの膜貫通ドメインに由来するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインを含む。
【0033】
本発明のCARは、1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達ドメインをさらに含む。
図1Aの特徴104および105を参照のこと。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARの効力を増大させ、そして免疫細胞シグナル伝達に関与するタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。適切には、1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζCD28、OX-40、4-1BB、DAP10、DAP12、2B4(CD244)、またはそれらの任意の組み合わせに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。適切には、1つまたはそれ以上の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζCD28、OX-40、4-1BB、DAP10、DAP12、2B4(CD244)のいずれか2つ、またはそれらの任意の組み合わせに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。適切には、CARは、CD3ζおよび4-1BB由来の少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0034】
本発明のCARはまた、標的ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置するヒンジ領域を含み得る。ヒンジ領域は親水性アミノ酸を含み、細胞表面に対する標的ドメインの柔軟性を可能にする。適切には、ヒンジ領域は5、10、15、20、25、または30より多いアミノ酸を含む。適切には、ヒンジ領域は10、15、20、25、30、または35未満のアミノ酸を含む。
【0035】
本発明のCD38 CARは、配列番号1を含む重鎖可変領域を含む結合ドメインを有することが好ましい。必要に応じて、重鎖可変領域は配列番号7を含む。CD38 CAR結合ドメインは、配列番号23または配列番号28を含む軽鎖可変領域を含む。
【0036】
実施例の好ましいCD38 CARは、配列番号1を含む重鎖可変領域および配列番号23を含む軽鎖可変領域を含む結合ドメインを有する。
【0037】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号29、配列番号30および配列番号31から選択される1つまたはそれ以上あるいは全ての重鎖CDRを含むことが好ましい。必要に応じて、CARは配列番号32、配列番号33および配列番号34から選択される1つまたはそれ以上あるいは全ての重鎖CDRを含む。
【0038】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号35、配列番号36および配列番号37、または配列番号38、配列番号39および配列番号40から選択される1つまたはそれ以上あるいは全ての軽鎖CDRを含むことが好ましい。
【0039】
好ましくは、上記の重鎖および軽鎖のフラグメントおよび改変体は、実質的に同じCD38結合活性を有するCAR結合ドメインを提供し、ここでフラグメントは、切断されている、および/またはアミノ酸が欠失および/または改変されているペプチドを含む。本発明による任意の断片/改変体は、実施例の好ましいCARの結合活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%を保持することが好ましい。本発明による任意のフラグメント/改変体は、好ましいCARの結合活性を10%より多く、20%より多く、50%より多く、好ましくは100%以下で越えない結合活性を有することがさらに好ましい。
【0040】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号1と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する重鎖可変領域を含むことが好ましい。必要に応じて、CD38 CARは、配列番号7と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する重鎖可変領域を含む。
【0041】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号23または配列番号28と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する軽鎖可変領域を含むことが好ましい。
【0042】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号29、配列番号30および配列番号31と少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する1つまたはそれ以上あるいは全ての重鎖CDRを含むことが好ましい。必要に応じて、CD38 CARは、配列番号32、配列番号33および配列番号34と少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する重鎖CDRの1つまたはそれ以上あるいは全てを含む。
【0043】
CD38 CAR結合ドメインは、配列番号35、配列番号36および配列番号37、または配列番号38、配列番号39および配列番号40と少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する1つまたは以上あるいは全ての軽鎖CDRを含むことが好ましい。
【0044】
CD38 CARは、配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1つまたはそれ以上の共刺激ドメインを含むことが好ましい。CARは、配列番号41、配列番号42または配列番号43と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列相同性を有する共刺激ドメインを含むことが好ましい。
【0045】
CD38 CAR結合ドメインは、長さが少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも110アミノ酸、より好ましくは少なくとも120アミノ酸である配列番号1の断片である配列を含む重鎖可変領域を含むことが好ましい。必要に応じて、CD38 CARは、長さが少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも100アミノ酸、少なくとも110アミノ酸、より好ましくは少なくとも120アミノ酸である配列番号7の断片である配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0046】
CD38 CAR結合ドメインは、長さが少なくとも50アミノ酸、少なくとも60アミノ酸、少なくとも70アミノ酸、少なくとも80アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、より好ましくは少なくとも100アミノ酸である配列番号23または配列番号28の断片である配列を含む軽鎖可変領域を含むことが好ましい。
【0047】
(CAR標的ドメイン)
適切には、本明細書で提供される「癌関連抗原」は、正常細胞によって発現されるよりも大きい程度まで癌性細胞によって発現される癌の分子マーカーを言う。癌関連抗原は一般にタンパク質またはそれに由来するポリペプチドであるが、グリカン、脂質、または他の有機小分子であり得る。さらに、癌抗原は、正常細胞と比較して癌細胞によって示される翻訳後プロセシング、例えばタンパク質グリコシル化、タンパク質脂質化、タンパク質リン酸化、またはタンパク質アセチル化の増加または減少を介して生じ得る。癌関連抗原の非限定的な例は、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、HERV-Kを含む。
【0048】
適切には、本明細書で提供される「血液癌関連抗原」は、白血病、リンパ腫、骨髄腫によって、血液細胞で発現されるよりも高い程度で発現される癌の分子マーカーを言う。血液癌関連抗原は一般にタンパク質またはそれに由来するポリペプチドであるが、グリカン、脂質、または他の有機小分子であり得る。さらに、血液癌抗原は、正常細胞と比較して白血病、リンパ腫、または骨髄腫細胞によって示される翻訳後プロセシング、例えば、タンパク質グリコシル化、タンパク質脂質化、タンパク質リン酸化、またはタンパク質アセチル化の増加または減少を介して起こり得る。血液癌関連抗原の非限定的な例には、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、GD2、CLL-1、HERV-Kが挙げられる。血液癌の非限定的な例には、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、T細胞性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、軽鎖骨髄腫、または大顆粒状リンパ球性白血病が挙げられる。
【0049】
適切には、操作されたNK細胞は、細胞表面タンパク質に特異的に結合する標的ドメインを有するCARを含む。適切には、操作されたNK細胞は、2つまたはそれ以上の異なる細胞表面タンパク質に特異的に結合する標的ドメインを有する2つまたはそれ以上のCARSを含む。適切には、CAR標的ドメインは癌性細胞の細胞表面上の癌関連抗原に特異的に結合する。適切には、CARは、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソセリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、HERV-Kに特異的に結合する。
【0050】
環状ADPリボースヒドロラーゼとしても知られているCD38は、主に免疫細胞上に見出される細胞表面糖タンパク質である。CD38は細胞内カルシウムの調節に関与しており、白血病、骨髄腫、そして多くの固形腫瘍を含む多くの異なる癌にて過剰発現される。適切には、本発明の操作されたNK細胞は、CD38に特異的な標的ドメイン102を有するCARを発現する。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の配列を含む。
【0051】
適切には、操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のアミノ酸配列および配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む標的ドメインを有するCARを発現する。適切には、CARは、配列番号1に記載のものと80%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと80%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは配列番号1に記載のものと90%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと90%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1に記載のものと95%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと95%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1に記載のものと98%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと98%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号1に記載のものと99%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと99%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、配列番号1および配列番号2は、柔軟なポリペプチドリンカーによって連結されている。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号1に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号2に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号2に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号1に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。
【0052】
適切には、操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む標的ドメインを有するCARを発現する。適切には、CARは、配列番号3に記載のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3に記載のものと90%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと90%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3に記載のものと95%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと95%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3に記載のものと98%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと98%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号3に記載のものと99%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと99%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、配列番号3および配列番号4は、柔軟なポリペプチドリンカーによって連結されている。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号3に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号4に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号4に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号3に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。
【0053】
適切には、操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む標的ドメインを有するCARを発現する。適切には、CARは、配列番号5に記載のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のアミノ酸配列と80%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5に記載のものと90%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと90%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5に記載のものと95%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと95%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5に記載のものと98%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと98%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、CARは、配列番号5に記載のものと99%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと99%同一のアミノ酸配列を含む。適切には、配列番号5および配列番号6は、柔軟なポリペプチドリンカーによって連結されている。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号5に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号6に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。適切には、柔軟なポリペプチドリンカーは、配列番号6に記載のポリペプチドのCOOH末端を配列番号5に記載のポリペプチドのNH2末端に連結する。
【0054】
本発明の操作されたNK細胞は、最適な癌応答に対して調整されている親和性を示す一方で、非癌性または非腫瘍細胞上で発現されるCD38に対する反応性も最小限に抑えるCD38特異的CARを含み得る。ダラツムマブは、CD38受容体に対して高い親和性を示すモノクローナル抗体である。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して25%低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して50%低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。適切には、CARは、ダラツムマブよりもCD38に対して2倍低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む。抗体親和性は、例えば表面プラズモン共鳴(例えば、Biacore)の使用により測定され得る。
【0055】
(二重特異的CAR)
操作されたNK細胞は二重特異的であり得、すなわち二重特異的CARまたは複数の異なるCARを発現し得、それらの親和性は2つの異なるリガンド/抗原に対するものである。二重特異的CAR-NKは、癌細胞上の潜在的な結合部位の数を増加させるために、あるいはNK-CARに特異的なリガンドを発現する他の免疫エフェクター細胞に癌細胞を局在化させるために使用され得る。癌治療における使用のために、二重特異的CARは、標的腫瘍細胞およびエフェクター細胞(例えば、T細胞、NK細胞またはマクロファージ)に結合し得る。したがって、例えば、多発性骨髄腫の場合、二重特異的CARはT細胞抗原(例えばCD3など)および腫瘍細胞マーカー(例えばCD38など)に結合し得る。あるいは、二重特異的CARは、標的腫瘍細胞に対するNK細胞の全体的な結合親和性を増大させる、2つの別々の腫瘍細胞マーカーに結合し得る。これは、標的抗原のうちの1つを下方制御することによって癌細胞が耐性を発達させる危険性を減少させ得る。この場合の例は、多発性骨髄腫では、CD38とCS-1/SLAMF7の両方に結合するCARである。CARによって適切に標的化されている別の腫瘍細胞マーカーは、CD47によって例示される、腫瘍上の「自らを食べない」タイプのマーカーである。
【0056】
本発明の操作されたNK細胞は、二重特異的CARまたは同じNK細胞によって発現される複数のCARを含み得る。これにより、NK細胞は2つの異なる抗原を同時に標的にすることができる。適切には、二重特異的CARは、以下の抗原のいずれか2つに対して特異性を有する:CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、CD123/IL3-RA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、CD123、HERV-K。適切には、CAR NK細胞の二重特異的性質は、腫瘍抗原および他の免疫細胞、例えばT細胞または樹状細胞への結合を可能にし得る。適切には、CAR NK細胞の二重特異的性質は、PDL-1またはCD47などのチェックポイント抑制因子への結合を可能にし得る。適切には、第一のCARはCD38特異性を有し、第二のCARはSLAMF-7、BCMA、CD138、CD229、PDL-1、またはCD47のいずれかに対して特異性を有する。適切には、第一のCARはCD38に対する特異性を有し、そして第二のCARはSLAMF-7、BCMA、CD138、CD229に対する特異性を有する。適切には、第一のCARはCD38に対する特異性を有し、そして第二のCARはSLAMF-7に対する特異性を有する。適切には、第一のCARはCD38に対する特異性を有し、そして第二のCARはBCMAに対する特異性を有する。適切には、第一のCARはCD38に対する特異性を有し、そして第二のCARはCD138に対する特異性を有する。適切には、第一のCARはCD38に対する特異性を有し、第二のCARはCD229に対する特異性を有する。
【0057】
(TNF関連アポトーシス誘導リガンド)
腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー10としても知られるTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)は、アポトーシスの開始を通して細胞死を誘導するタンパク質リガンドである。アポトーシスは、癌細胞を含む多くの異なる種類の細胞の細胞表面上に発現されるTRAIL受容体へのTRAILの結合を介して開始される。本発明の操作されたNK細胞は、細胞死誘導受容体DR4、DR5または両方に対するその結合親和性を増加させ、一方でDcR1またはDcR2のようなデコイ受容体に対する結合親和性を低下させるために、野生型TRAILタンパク質配列から少なくとも1つのアミノ酸残基によって改変された改変体TRAILポリペプチドを発現し得る。適切には、操作されたNK細胞はCARおよび改変体TRAILポリペプチドを発現する。適切には、TRAIL改変体は1つまたはそれ以上のTRAIL受容体に対して増加した結合親和性を示す。適切には、TRAIL改変体はTRAIL受容体DR4に対して増加した結合親和性を示す。適切には、TRAIL改変体はTRAIL受容体DR5に対して増加した結合親和性を示す。適切には、TRAIL改変体はTRAIL受容体DR4およびDR5に対して増加した結合親和性を示す。野生型TRAILは、DR4について2nMより多い、DR5について5nMより多い、デコイ受容体DcR1について20nMより多いKD(WO2009/077857;表面プラズモン共鳴により測定)、またはDR4について約50~100nM、DR5について1~10nM、およびDcR1について175~225nM(Truneh、A.ら、2000;等温滴定熱量測定およびELISAにより測定)を有することが典型的に知られている。したがって、DR4に対する増加した親和性はそれぞれ2nM未満または50nM未満のKDとして適切に定義され、一方DR5に対する増加した親和性はそれぞれ5nM未満または1nM未満のKDとして適切に定義される。デコイ受容体DcR1に対する親和性の低下は、それぞれ50nMより多いまたは225nMより多いKDとして適切に定義される。いずれにせよ、TRAIL改変体/変異体によって示される親和性の増加または減少は、野生型TRAILによって示されるベースラインの親和性に対するものである。適切には、TRAIL受容体に対するTRAIL改変体の親和性は、野生型TRAILによって示される親和性と比較して少なくとも約10%、15%、20%、25%または50%増加する。特定の実施形態では、TRAIL改変体は、標的細胞におけるカスパーゼ8の活性化によって測定されるように、野生型と比較してアポトーシスを増加させる。適切には、TRAIL改変体は、標的細胞において野生型と比較してカスパーゼ8の活性化を少なくとも2倍増加させる。適切には、TRAIL受容体改変体は、D269H、S159R、E195R、G131R、N199R、K201H、またはそれらの任意の組み合わせを含むヒトTRAILのアミノ酸変異を含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの2アミノ酸変異、D269HおよびE195Rを含む。適切には、TRAIL受容体改変体はD269H変異を含む。適切には、TRAIL受容体改変体はE195R変異を含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの3アミノ酸変異、G131R、N199R、およびK201Hを含む。適切には、変異型TRAIL受容体は初代T細胞またはT細胞株上に発現される。適切には、TRAIL受容体は、T細胞株にトランスフェクトされているポリヌクレオチドによってコードされる。
【0058】
(チェックポイント抑制性受容体)
チェックポイント抑制性受容体は、T細胞およびNK細胞などの免疫エフェクター細胞の表面上に発現され、そしてこれらの細胞の細胞傷害性を負に調節する。チェックポイント抑制性受容体の例としては、PD-1、CTLA-4およびCD96が挙げられ、それらは全てNK細胞上で発現される。適切には、操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制性受容体機能の低下または欠如を含む。適切には、機能が低下または欠如しているチェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG-3)、CD279(PD-1)、CD328(SIGLEC7)、SIGLEC9、TIGITおよび/またはTIM-3の1つまたそれ以上あるいは全てを含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、またはCD328(SIGLEC7)のうちの1つまたはそれ以上を含む。適切には、NK細胞細胞は、2つまたはそれ以上のチェックポイント抑制性受容体について減少したまたは存在しないチェックポイント抑制性受容体機能を含む。適切には、2つまたはそれ以上のチェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、またはCD328(SIGLEC7)を含む。適切には、NK細胞は、3つのチェックポイント抑制性受容体について減少したまたは存在しないチェックポイント抑制性受容体機能を示す。適切には、3つのチェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、またはCD328(SIGLEC7)を含む。適切には、操作されたNK細胞は、CD38 CAR、およびチェックポイント抑制性受容体の欠失または減少を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD38 CAR、改変体TRAILタンパク質、およびチェックポイント抑制性受容体の欠失または減少を含む。
【0059】
適切には、操作されたNK細胞は、CRISPR/Cas9またはTALEN機構を介した遺伝子欠失によってチェックポイント抑制性受容体を減少させるように改変されている。適切には、操作されたNK細胞はCD96(TACTILE)の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD328(SIGLEC7)の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD152(CTLA4)の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD279(PD-1)の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CD152(CTLA4)、またはCD279(PD-1)のうちの任意の2つ以上の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CD152(CTLA4)、またはCD279(PD-1)のうちの任意の3つまたはそれ以上の遺伝子欠失を含む。適切には、操作されたNK細胞は、siRNA、shRNAまたはアンチセンスRNAによるチェックポイント抑制性受容体発現を減少させるように改変されている。適切には、操作されたNK細胞はCD96(TACTILE)の発現減少を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD328(SIGLEC7)の発現減少を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD152(CTLA4)の発現減少を含む。適切には、操作されたNK細胞はCD279(PD-1)の発現減少を含む。適切には、操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CD152(CTLA4)、またはCD279(PD-1)のうちの任意の2つまたはそれ以上の発現の減少を含む。適切には、操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CD152(CTLA4)、またはCD279(PD-1)のうちの任意の3つまたはそれ以上の発現の減少を含む。
【0060】
適切には、上述したように、HECA-452抗体の結合によって証明される高レベルのE-セレクチンリガンドを発現する操作されたNK細胞は、CD38 CAR、TRAIL改変体ポリペプチド、あるいはチェックポイント抑制性受容体の欠失または減少を含む。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドを発現する操作されたNK細胞はCD38 CARおよびTRAIL改変体ポリペプチドを含む。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドを発現する操作されたNK細胞はCD38 CARおよびチェックポイント抑制性受容体の欠失または減少を含む。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンドを発現する操作されたNK細胞は、CD38 CAR、TRAIL改変体ポリペプチド、および1つまたはそれ以上のチェックポイント抑制因子の欠失または減少を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメイン配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメイン配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも99%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の配列を含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの2アミノ酸変異、D269HおよびE195Rを含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの3アミノ酸変異、G131R、N199R、およびK201Hを含む。適切には、TRAIL受容体改変体はD269H変異を含む。適切には、TRAIL受容体改変体はE195R変異を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG-3)、CD279(PD-1)、CD328(SIGLEC7)、SIGLEC9、TIGIT、および/またはTIM-3の1つまたはそれ以上あるいは全てである。
【0061】
適切には、HECA-452抗体の結合によって証明される高レベルのE-セレクチンリガンドを発現する操作されたNK細胞はKHYG-1細胞である。適切には、KHYG-1細胞はCD38 CAR、TRAIL改変体ポリペプチド、あるいはチェックポイント抑制性受容体の機能の欠失または低下を含む。適切には、KHYG-1細胞はCD38 CARおよびTRAIL改変体ポリペプチドを含む。適切には、KHYG-1細胞はCD38 CAR、およびチェックポイント抑制性受容体の機能の欠失または低下を含む。適切には、KHYG-1細胞はCD38 CAR、TRAIL改変体ポリペプチド、およびチェックポイント抑制性受容体の機能の欠失または低下を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも80%同一の標的ドメイン配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも90%同一の標的ドメイン配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも95%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも98%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと少なくとも99%同一の配列を含む。適切には、CD38 CARは、配列番号1~6のいずれか1つに記載のものと同一の配列を含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの2アミノ酸変異、D269HおよびE195Rを含む。適切には、TRAIL受容体改変体は、ヒトTRAILの3アミノ酸変異、G131R、N199R、およびK201Hを含む。適切には、TRAIL受容体改変体はD269H変異を含む。適切には、TRAIL受容体改変体はE195R変異を含む。適切には、チェックポイント抑制性受容体は、CD96(TACTILE)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG-3)、CD279(PD-1)、CD328(SIGLEC7)、SIGLEC9、TIGIT、および/またはTIM-3の1つまたはそれ以上あるいは全てである。
【0062】
(操作されたナチュラルキラー細胞の作製方法)
操作されたナチュラルキラー細胞は、当技術分野において公知のいくつかの異なる技術を使用して作製され得る。適切には、CD38 CARまたはTRAIL改変体タンパク質は、ウイルスベクターに挿入されているポリヌクレオチドによってコードされる。適切には、ウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、またはレトロウイルスを含む。適切には、ウイルスベクターはレンチウイルスまたはレトロウイルスを含む。適切には、ウイルスベクターはレンチウイルスを含む。適切には、ウイルスベクターはレトロウイルスを含む。ウイルスベクターを用いて初代NK細胞またはNK細胞株に形質導入することができる。適切には、ウイルスベクターを用いて初代NK細胞に形質導入することができる。適切には、ウイルスベクターを用いてNK細胞株に形質導入することができる。適切には、ウイルスベクターを用いてNK-92細胞に形質導入することができる。適切には、ウイルスベクターを用いてKHYG-1細胞に形質導入することができる。適切には、細胞は、エレクトロポレーション、ウイルスベクター、またはインビボでの使用に適合する脂質ベースのトランスフェクション試薬のような上記の方法のいずれかを用いて一過性にトランスフェクトされ得る。
【0063】
適切には、CD38 CARまたはTRAIL改変体タンパク質は、ポリヌクレオチドによってコードされる。適切には、ポリヌクレオチドはDNAプラスミドまたは線状化DNAポリヌクレオチドである。適切には、ポリヌクレオチドはmRNA分子である。これらのポリヌクレオチドのいずれも、エレクトロポレーションによって初代NK細胞集団またはNK細胞株に導入することができる。例えば、MaxCyte Flow Electroporationプラットフォームを使用して、操作されたNK細胞を生成することができる。
【0064】
チェックポイント抑制性受容体の欠失または発現減少を含む操作されたナチュラルキラー細胞は、当技術分野において公知のいくつかの異なる技術を用いて作製され得る。受容体は、CRISPR/Cas9標的化メカニズム(gRNA標的化ヌクレオチドを使用)を使用して欠失または減少させることができる。gRNAは初代NK細胞または細胞株にトランスフェクトされ得る。適切には、gRNAは、初代NK細胞、または初代細胞の集団にトランスフェクトされ、その結果、集団におけるチェックポイント抑制性受容体の発現が低下する。適切には、gRNAはNK細胞株にトランスフェクトされる。適切には、gRNAはKHYG-1細胞株にトランスフェクトされ、チェックポイント抑制性受容体のホモ接合性欠失を含むクローンが選択される。
【0065】
(ナチュラルキラー細胞の投与方法)
本発明は、被験体への静脈内投与に適した操作されたNK細胞の製剤を含む医薬組成物を想定する。本発明の医薬組成物は、CARを発現するNK細胞または複数のNK細胞を含み、必要に応じてNK細胞は、TRAIL改変体またはチェックポイント抑制因子の欠失を含み得る。適切には、CAR発現NK細胞は、投与のために許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と共に処方される。そのような組成物は、例えば中性緩衝生理食塩水、通常の生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液を含み得る。適切には、医薬組成物は、グルコース、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、スクロースまたはマンニトールなどの炭水化物を含み得る。適切には、医薬組成物は、タンパク質、ポリペプチド、またはアミノ酸(グリシンなど)を含む。適切には、医薬組成物は追加の安定剤および保存料(抗酸化剤など)、キレート剤(例えばEDTAまたはEGTA)、あるいはグルタチオンを含む。適切には、NK細胞は、-70℃未満などの低温でグリセロール中に保存されている凍結ストックから拡大させる。適切には、NK細胞は、インターロイキン2およびインターロイキン15などのサイトカインを用いて拡大され、そして1週間以上培養される。
【0066】
適切には、投与されるNK細胞および細胞株は、細胞を受容する個体への投与の前にガンマ線照射される。適切には、細胞は、細胞がインビボで増殖および分裂するのを防ぐために照射される。適切には、細胞は少なくとも5Gy、10Gy、20Gy、30Gy、40Gy、50Gyまたはそれ以上の線量で照射される。適切には、細胞は、20Gy、30Gy、40Gy、50Gy、60Gy以下の線量で照射される。適切には、細胞は、それらのインビボ半減期が約7、6、5、4、3、2、または1日未満になるように処理される。適切には、細胞および細胞株は、細胞分裂を妨げるかまたは細胞に対して有毒であるタンパク質を発現する自殺遺伝子を含み、半減期の短縮を可能にし、または化合物の投与時に細胞を死滅させることを可能にする。一般的な自殺遺伝子の例には、ヘルペスチミジンキナーゼおよび誘導性カスパーゼ9が含まれる。ヘルペスチミジンキナーゼを含む細胞は、アシクロビルまたはガンシクロビルなどの抗ヘルペス抗ウイルス薬を使用して死滅させることができる。
【0067】
本発明の主題である操作されたNK細胞は、特定の癌または新生物の進行を予防するかまたは寛解を誘導するのに十分な量で投与され得る。適切には、操作されたNK細胞は、約1×106細胞/m2、約1×107細胞/m2、約1×108細胞/m2、約1×109細胞/m2、および約1×1010細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×106~約1×1010細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×107~約1×1010細胞/m2の間の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×108~約1×1010細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×109~約1×1010細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×107~約1×109細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×107~約1×108細胞/m2の量で投与される。適切には、操作されたNK細胞は、約1×108~約1×109細胞/m2の量で投与される。操作されたNK細胞は、毎日、毎週、または毎月投与され得る。適切には、細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上の週にわたって毎週投与される。適切には、毎週の投与後、操作されたNK細胞を維持のために毎月投与され得る。細胞は治療される癌に適した方法で投与され得る。例えば、血液癌の場合、細胞は静脈内投与され得る。例えば、固形組織癌については、細胞は腫瘍内または腹腔内に投与され得る。
【0068】
(治療アジュバント)
操作されたNK細胞の投与の前、それと同時に、またはその後に治療アジュバントを投与すると、治療の有効性を高めることができる。適切には、アジュバントは、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、またはプロテアソーム阻害剤を含む。適切には、プロテアソーム阻害剤はボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イクサゾミブ、またはそれらの組み合わせである。適切には、IL-2、IL-8、IL-12、IL-15、またはプロテアソーム阻害剤のいずれかが、操作されたNK細胞の投与の前に患者に投与され得る。適切には、IL-2、IL-8、IL-12、IL-15、またはプロテアソーム阻害剤のいずれかが、操作されたNK細胞の投与中に患者に投与され得る。適切には、IL-2、IL-8、IL-12、IL-15、またはプロテアソーム阻害剤のいずれかが、操作されたNK細胞の投与後に患者に投与され得る。適切には、IL-2、IL-8、IL-12、IL-15の活性は、IL-2、IL-8、IL-12、およびIL-15受容体に対する非インターロイキンアゴニストによって供給され得る。例えば、インターロイキン12アゴニストは、ALT-803またはALT-801であり得る。インターロイキン15アゴニストはNIZ985であり得る。
【0069】
適切には、操作されたNK細胞は、操作されたNK細胞の投与の前に、インターロイキン12、インターロイキン15、またはプロテアソーム阻害剤と共にインキュベートされ得る。適切には、CD38 CAR NK細胞は、投与前にインターロイキン12、インターロイキン15、またはボルテゾミブとインキュベートされ得る。適切には、TRAIL改変体NK細胞は、投与前にIL-2、IL-8、IL-12、IL-15、またはプロテアソーム阻害剤とインキュベートされ得る。適切には、インキュベ-ションは少なくとも4、6、8、12、または24時間である。
【0070】
本発明の治療方法は、操作されたNK細胞による治療を改善するためのアジュバントとしての低用量シクロホスファミドの投与を想定する。シクロホスファミドは経口的にまたは静脈内に投与され得る。適切には、シクロホスファミドはメトロノーム様式で、例えば持続的な低用量のシクロホスファミドで投与される。適切には、シクロホスファミドは、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれ以上、1日にまたは隔日に約100mgから約25mgの間の用量で経口投与される。適切には、シクロホスファミドは、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれ以上、1日に約50mgの用量で経口投与される。適切には、シクロホスファミドは、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれ以上、週に約1000mg~約250mgの間の用量で静脈内投与される。適切には、シクロホスファミドは、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれ以上、週に約750mg、500mg、250mgまたはそれ以下の用量で静脈内投与される。適切には、シクロホスファミドは、操作されたNK細胞の投与前に投与され、操作されたNK細胞が投与されると中止される。適切には、シクロホスファミドは、操作されたNK細胞の投与と1、2、3、4、5、または6ヶ月まで重複するように投与される。適切には、シクロホスファミドは、操作されたNK細胞の投与と同時に投与される。
【0071】
本発明の治療方法は、操作されたNK細胞による治療を改善するためのアジュバントとしてのメタロプロテアーゼ阻害剤の投与を想定する。適切には、メタロプロテアーゼ阻害剤は、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、チゲサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、クロールテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、またはロリテトラサイクリンなどのテトラサイクリン系抗生物質である。適切には、テトラサイクリン系抗生物質はドキシサイクリンである。適切には、本発明の操作されたNK細胞で治療されるべき個体は、1日当たり約50mg~約300mgの濃度、または1日当たり約100mg~200mgの濃度にてドキシサイクリンで前処置されるかまたは同時に処置される。ドキシサイクリンは経口的にまたは静脈内に投与され得る。適切には、個体は操作されたNK細胞と同時にドキシサイクリンで治療され得る。
【0072】
本発明の治療方法は、操作されたNK細胞による殺傷に対して細胞を感受性にし、操作されたNK細胞と共にまたは人工NK細胞とは別に患者に投与することができるさらなるアジュバントを想定する。例えば、癌細胞はTRAIL誘導アポトーシスに耐性があり得る。適切には、アジュバントは、TRAIL誘導アポトーシスに対する感受性を回復させる小分子である。適切には、この化合物はSMAC模倣物(例えばTL32711、LCL161、GDC-0917、HGS1029);NF-κB阻害剤(例えば(-)-DHMEQ、PBS-1086、IT-603、またはIT-901);ネジル化阻害剤(例えばMLN4924);ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、パノビノスタット、ボリノスタット、ロミデプシン、キダミド、ベリノスタット、バルプロ酸、モセチノスタット、アベキシノスタット、エチノスタット、SB939、ジビノスタット、キシノスタット、レスミノスタット)である。アポトーシス抑制タンパク質の阻害剤(例えば、BCL-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス(ABT-199)、またはオバクラックス(GX15-070));サバイビン阻害剤(例えばYM15またはシェパルジン))である治療アジュバントもまた想定される。適切には、アジュバントは、操作されたNK細胞の投与の前に投与される。適切には、アジュバントは、操作されたNK細胞の投与と同時に投与される。
【0073】
(治療適応症)
本発明のCD38 CARを発現する操作されたナチュラルキラー細胞は癌の治療的処置に有用である。適切には、癌は血液(血液)癌を含む。適切には、血液癌は多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、または軽鎖骨髄腫を含む。適切には、血液癌は白血病である。適切には、白血病は、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞性白血病、T細胞性リンパ球性白血病、または大顆粒リンパ性白血病を含む。
【0074】
適切には、治療される癌は固形組織腫瘍である。適切には、固形組織腫瘍は、肝細胞癌を含む肝腫瘍;肺腫瘍;非小細胞肺癌;膵臓腺癌または膵臓の腺房細胞癌を含む膵臓腫瘍;大腸癌;胃癌;腎細胞癌(RCC)および移行細胞癌(TCC、尿路上皮細胞癌としても知られる)を含む腎臓癌;卵巣癌;前立腺癌;乳癌;または子宮頸癌;である。
【0075】
(一般のCAR)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞はキメラ抗原受容体を含む。適切には、キメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、キメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、キメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、キメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0076】
(癌関連抗原)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0077】
(血液癌関連抗原)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、血液癌関連抗原に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0078】
(CD319)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD319/SLAMF-7に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0079】
(TNFRSF17)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのHECA E-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、TNFRSF17/BCMAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0080】
(CD123)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD123/IL3-RAに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0081】
(CD138)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、SYND1/CD138に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0082】
(CD229)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD229に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0083】
(CD47)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD47に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0084】
(CD20)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD20に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0085】
(CD19)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD19に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0086】
(CD22)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD22に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0087】
(MUC1)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0088】
(MUC16)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、MUC16に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0089】
(Her2/Neu)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、Her2/Neuに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0090】
(上皮成長因子受容体(EGFR))
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、EGFRに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0091】
(メソテリン)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、メソテリンに特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0092】
(CLL-1)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CLL-1に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0093】
(CD38)
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0094】
(CD38(配列番号1および2))
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号1に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号2に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0095】
(CD38(配列番号3および4))
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号3に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号4に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0096】
(CD38(配列番号5および6))
適切には、本明細書に記載されているのは、操作されたNK細胞である。適切には、操作されたNK細胞は高レベルのE-セレクチンリガンドを示す。適切には、高レベルのE-セレクチンリガンド結合を示す操作されたNK細胞は、NK-92細胞よりも高いレベルのHECA-452結合を示す。適切には、操作されたNK細胞は、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと少なくとも98%同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、配列番号5に記載のものと同一のアミノ酸配列、および配列番号6に記載のものと同一のアミノ酸配列を含むCAR標的ドメインを含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞は、さらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は3アミノ酸変異を含む:G131R、N199R、およびK201H。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体を含む操作されたNK細胞はさらに改変体ヒトTRAIL分子を含み、ここで改変体ヒトTRAIL分子は2アミノ酸変異を含む:D269HおよびE195R。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、チェックポイント抑制因子分子の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD328(SIGLEC7)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CTLA-4の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD279(PD-1)の発現の欠失または減少をさらに含む。適切には、CD38に特異的に結合するキメラ抗原受容体および改変体ヒトTRAIL分子を含む操作されたNK細胞は、CD96(TACTILE)、CD328(SIGLEC7)、CTLA-4、およびCD279(PD-1)から選択される少なくとも2つのチェックポイント抑制因子の発現の欠失または減少をさらに含む。
【0097】
本発明は、特に、以下の実施形態を提供する:
1.操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物であって、該操作されたナチュラルキラー細胞が、好ましくは、E-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、医薬組成物。
2.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、HECA-452抗体により結合される抗原に対して25%より多くが陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む、実施形態1の医薬組成物。
3.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここで該TRAIL受容体がTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態1の医薬組成物。
4.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、初代ナチュラルキラー細胞を含む、実施形態1から3のいずれかの医薬組成物。
5.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、形質転換ナチュラルキラー細胞株を含む、実施形態1から3のいずれかの医薬組成物。
6.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、NK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である、実施形態5の医薬組成物。
7.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、KHYG-1細胞株である、実施形態5の医薬組成物。
8.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態1から7のいずれかの医薬組成物。
9.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態8の医薬組成物。
10.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態8の医薬組成物。
11.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態10の医薬組成物。
12.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態10の医薬組成物。
13.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
14.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
15.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
16.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
17.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
18.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
19.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
20.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
21.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
22.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
23.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
24.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
25.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
26.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
27.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
28.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
29.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態12の医薬組成物。
30.前記CARが、ヒトCD8αタンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む、実施形態1から29のいずれかの医薬組成物。
31.前記CARが、DAP10、DAP12、2B4(CD244)またはヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態1から30のいずれかの医薬組成物。
32.前記CARが、ヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態1から31のいずれかの医薬組成物。
33.前記CARが、ヒトCD3ζタンパク質を含む、実施形態1から32のいずれかの医薬組成物。
34.前記CARが、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む、実施形態1から33のいずれかの医薬組成物。
35.さらに第二のキメラ抗原受容体を含み、該第二のキメラ抗原受容体が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態1から34のいずれかの医薬組成物。
36.さらに変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドを含み、該変異型TRAILポリペプチドが、シグナル伝達の増大を誘導するか、またはTRAILリガンドへの増大した結合親和性を保有する、実施形態1から35のいずれかの医薬組成物。
37.前記TRAILリガンドが、TNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態36の医薬組成物。
38.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む、実施形態36の医薬組成物。
39.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む、実施形態36の医薬組成物。
40.前記CARまたは前記変異型TRAILポリペプチドが、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれている、実施形態1から39のいずれかの医薬組成物。
41.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、チェックポイント抑制性受容体の活性の欠失または低下をさらに含む、実施形態1から40のいずれかの医薬組成物。
42.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む、実施形態41の医薬組成物。
43.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96、CD152またはCD328を含む、実施形態42の医薬組成物。
44.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96を含む、実施形態42の医薬組成物。
45.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD152を含む、実施形態42の医薬組成物。
46.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD328を含む、実施形態42の医薬組成物。
47.前記チェックポイント抑制性受容体が、前記操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体もしくは一部が欠失しているか、または染色体レベルで1つもしくはそれ以上のヌクレオチドの挿入もしくは欠失によって破壊されている、実施形態41から46のいずれかの医薬組成物。
48.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む、実施形態41から46のいずれかの医薬組成物。
49.薬学的に許容可能なキャリア、安定剤、または賦形剤をさらに含む、実施形態1から48のいずれかの医薬組成物。
50.前記医薬組成物が、腹腔内投与用に処方されている、実施形態49の医薬組成物。51.静脈内投与用に処方されている、実施形態49の医薬組成物。
52.癌治療に用いられる、実施形態1から51のいずれかの医薬組成物。
53.前記癌が、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を含む、実施形態52の医薬組成物。
54.前記癌が、多発性骨髄腫を含む、実施形態52の医薬組成物。
55.癌を有する被験体を治療する方法であって、該被験体に、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を投与する工程を含み、該操作されたナチュラルキラー細胞が、E-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、方法。
56.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、HECA-452抗体により結合される抗原に対して25%より多くが陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む、実施形態55の方法。
57.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここで該TRAIL受容体がTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態55の方法。
58.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、初代ナチュラルキラー細胞を含む、実施形態55から57のいずれかの方法。
59.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、形質転換ナチュラルキラー細胞株を含む、実施形態55から57のいずれかの方法。
60.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、NK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である、実施形態59の方法。
61.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、KHYG-1細胞株である、実施形態59の方法。
62.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態55から61のいずれかの方法。
63.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態62の方法。
64.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態62の方法。
65.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態64の方法。
66.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態64の方法。
67.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
68.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
69.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
70.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
71.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
72.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
73.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
74.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
75.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
76.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
77.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
78.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
79.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
80.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
81.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
82.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
83.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態66の方法。
84.前記CARが、ヒトCD8タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む、実施形態55から83のいずれかの方法。
85.前記CARが、DAP10、DAP12、2B4(CD244)またはヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態55から84のいずれかの方法。
86.前記CARが、ヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態55から85のいずれかの方法。
87.前記CARが、ヒトCD3ζタンパク質を含む、実施形態55から86のいずれかの方法。
88.前記CARが、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む、実施形態55から87のいずれかの方法。
89.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、さらに第二のキメラ抗原受容体を含み、ここで該第二のキメラ抗原受容体が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態55から88のいずれかの方法。
90.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、さらに変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドを含み、ここで該変異型TRAILポリペプチドが、シグナル伝達の増大を誘導するか、またはTRAILリガンドへの増大した結合親和性を保有する、実施形態55から89のいずれかの方法。
91.前記TRAILリガンドが、TNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態90の方法。
92.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む、実施形態90の方法。
93.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む、実施形態90の方法。
94.前記CARまたは前記変異型TRAILポリペプチドが、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれている、実施形態55から93のいずれかの方法。
95.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、チェックポイント抑制性受容体の活性の欠失または低下をさらに含む、実施形態55から94のいずれかの方法。
96.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む、実施形態95の方法。
97.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96、CD152またはCD328を含む、実施形態96の方法。
98.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96を含む、実施形態97の方法。
99.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD152を含む、実施形態97の方法。
100.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD328を含む、実施形態97の方法。
101.前記チェックポイント抑制性受容体が、前記操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体もしくは一部が欠失しているか、または染色体レベルで1つもしくはそれ以上のヌクレオチドの挿入もしくは欠失によって破壊されている、実施形態41または46の方法。
102.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む、実施形態95から101のいずれかの方法。
103.前記チェックポイント抑制性受容体が、前記操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから欠失している、実施形態95から102のいずれかの方法。
104.前記医薬組成物が、薬学的に許容可能なキャリア、安定剤、または賦形剤をさらに含む、実施形態55から103のいずれかの方法。
105.前記医薬組成物が、静脈内投与用に処方されている、実施形態104の方法。
106.前記医薬組成物が、腹腔内投与用に処方されている、実施形態104の方法。
107.前記癌が、白血病、リンパ腫、または骨髄腫を含む、実施形態55から106のいずれかの方法。
108.前記癌が、多発性骨髄腫を含む、実施形態55から107のいずれかの方法。
109.前記医薬組成物が、プロテオソーム阻害剤の投与の前、間、または後に投与される、実施形態55から108のいずれかの方法。
110.前記医薬組成物が、低用量メトロノミックシクロホスファミド治療レジメの前、間、または後に投与される、実施形態55から108のいずれかの方法。
111.操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を作製する方法であって、該操作されたナチュラルキラー細胞が、E-セレクチンリガンドの高レベルの細胞表面発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含み、ここで該方法が、CARをコードするポリヌクレオチドと共にナチュラルキラー細胞をインキュベートする工程を含む、方法。
112.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、HECA-452抗体により結合される抗原に対して25%より多くが陽性である複数の操作されたナチュラルキラー細胞を含む、実施形態111の方法。
113.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、TRAIL受容体の低レベルの細胞表面発現を示し、ここで該TRAIL受容体がTNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態111の方法。
114.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、初代ナチュラルキラー細胞を含む、実施形態111から113のいずれかの方法。
115.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、形質転換ナチュラルキラー細胞株を含む、実施形態111から113のいずれかの方法。
116.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、NK-92細胞株またはKHYG-1細胞株である、実施形態115の方法。
117.前記形質転換ナチュラルキラー細胞株が、KHYG-1細胞株である、実施形態115の方法。
118.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態111から117のいずれかの方法。
119.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態118の方法。
120.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態118の方法。
121.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態120の方法。
122.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態120の方法。
123.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
124.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
125.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
126.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
127.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
128.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
129.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
130.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
131.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
132.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
133.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
134.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
135.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
136.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
137.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
138.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
139.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態122の方法。
140.前記CARが、ヒトCD8αタンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む、実施形態111から139のいずれかの方法。
141.前記CARが、DAP10、DAP12、2B4(CD244)またはヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態111から140のいずれかの方法。
142.前記CARが、ヒト4-1BBタンパク質を含む、実施形態111から141のいずれかの方法。
143.前記CARが、ヒトCD3ζタンパク質を含む、実施形態111から142のいずれかの方法。
144.前記CARが、ダラツムマブよりもCD38に対して低い親和性を示す抗体に由来する標的ドメインを含む、実施形態111から143のいずれかの方法。
145.前記操作されたナチュラルキラー細胞を第二のキメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチドと共にインキュベートする工程をさらに含み、該第二のキメラ抗原受容体が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態111から144のいずれかの方法。
146.前記操作されたナチュラルキラー細胞を変異型TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと共にインキュベートする工程をさらに含み、ここで該変異型TRAILポリペプチドが、シグナル伝達の増大を誘導するか、またはTRAILリガンドへの増大した結合親和性を保有する、実施形態111から145のいずれかの方法。
147.前記TRAILリガンドが、TNFRSF10A(DR4)またはTNFRSF10B(DR5)を含む、実施形態146の方法。
148.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのD269H/E195R変異を含む、実施形態146の方法。
149.前記変異型TRAILポリペプチドが、ヒトTRAILのG131R/N199R/K201H変異を含む、実施形態146の方法。
150.前記CARまたは前記変異型TRAILポリヌクレオチドが、操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれている、実施形態111から149のいずれかの方法。
151.前記操作されたナチュラルキラー細胞をチェックポイント抑制性受容体の活性を欠失または低下するポリヌクレオチドと共にインキュベートする工程をさらに含む、実施形態111から150のいずれかの方法。
152.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD85d、CD85j、CD96、CD152、CD159a、CD223、CD279、CD328、SIGLEC9、TIGITまたはTIM-3を含む、実施形態151の方法。
153.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96、CD152またはCD328を含む、実施形態151の方法。
154.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD96を含む、実施形態153の方法。
155.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD152を含む、実施形態153の方法。
156.前記チェックポイント抑制性受容体が、CD328を含む、実施形態153の方法。
157.前記チェックポイント抑制性受容体が、前記操作されたナチュラルキラー細胞ゲノムから全体もしくは一部が欠失しているか、または染色体レベルで1つもしくはそれ以上のヌクレオチドの挿入もしくは欠失によって破壊されている、実施形態111から156のいずれかの方法。
158.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、チェックポイント抑制性受容体を標的とするsiRNAを含む、実施形態111から157のいずれかの方法。
159.前記ポリヌクレオチドが、ウイルスベクターを含む、実施形態111から158のいずれかの方法。
160.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスである、実施形態159の方法。
161.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスである、実施形態159の方法。
162.前記ポリヌクレオチドが、mRNAを含む、実施形態111から161のいずれかの方法。
163.前記ポリヌクレオチドが、前記操作されたナチュラルキラー細胞のゲノムに組み込まれている、実施形態111から162のいずれかの方法。
164.前記細胞が、前記操作されたナチュラルキラー細胞のフコシル化を増大させるように化学物質で処理されている、実施形態111から163のいずれかの方法。
165.前記操作されたナチュラルキラー細胞を薬学的に許容可能なキャリア、安定剤、または賦形剤と混合する工程をさらに含む、実施形態111から163のいずれかの方法。
166.操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物であって、該操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質の発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、医薬組成物。
167.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態166の医薬組成物。
168.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態166の医薬組成物。
169.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態167の医薬組成物。
170.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態167の医薬組成物。
171.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態170の医薬組成物。
172.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態170の医薬組成物。
173.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
174.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
175.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
176.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
177.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
178.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
179.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
180.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
181.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
182.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
183.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
184.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
185.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
186.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
187.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
188.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
189.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態172の医薬組成物。
190.癌を有する被験体を治療する方法であって、該被験体に、操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を投与する工程を含み、該操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質の発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含む、方法。
191.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態190の方法。
192.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態190の方法。
193.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態192の方法。
194.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態192の方法。
195.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態194の方法。
196.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態195の方法。
197.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
198.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
199.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
200.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
201.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
202.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
203.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
204.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
205.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
206.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
207.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
208.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
209.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
210.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
211.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
212.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
213.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態196の方法。
214.操作されたナチュラルキラー細胞を含む医薬組成物を作製する方法であって、該操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質の発現を示し、ここで該操作されたナチュラルキラー細胞がキメラ抗原受容体(CAR)を含み、ここで該方法が、該CARをコードするポリヌクレオチドと共にナチュラルキラー細胞をインキュベートする工程を含む、方法。
215.前記操作されたナチュラルキラー細胞が、FUT6またはFUT7タンパク質をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態214の方法。
216.前記CARが、癌関連抗原に特異的に結合する、実施形態214の方法。
217.前記癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、Her2/Neu、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、メソテリン、EpCAM、MUC1、MUC16、Tn抗原、NEU5GC、NeuGcGM3、GD2、CLL-1、またはHERV-Kを含む、実施形態216の方法。
218.前記癌関連抗原が、血液癌関連抗原を含む、実施形態216の方法。
219.前記血液癌関連抗原が、CD38、CD319/SLAMF-7、TNFRSF17/BCMA、SYND1/CD138、CD229、CD47、CD123/IL3-RA、CD19、CD20、CD22、またはCLL-1を含む、実施形態218の方法。
220.前記血液癌関連抗原が、CD38を含む、実施形態218の方法。
221.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも80%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
222.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
223.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
224.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
225.前記CARが、配列番号1から6のいずれかに記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
226.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
227.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
228.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
229.前記CARが、配列番号1および2に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
230.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
231.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
232.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
233.前記CARが、配列番号3および4に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
234.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも90%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
235.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも95%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
236.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと少なくとも98%同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
237.前記CARが、配列番号5および6に記載のものと同一である標的ドメインアミノ酸配列を含む、実施形態220の方法。
【実施例】
【0098】
本発明は、添付の図面を参照しながら実施例において説明される。
【0099】
(実施例1:NK細胞株KHYG-1は、NK-92細胞株よりも高いレベルのE-セレクチンリガンドの発現を示す)
異なるNK細胞株上のE-セレクチンリガンドの発現を決定するために、10%FBSおよびIL-2(10ng/ml)を補充したRPMI 1640培地中でNK-92およびKHYG-1細胞を培養した。細胞を培養液から取り出し、洗浄し、そしてPE結合HECA-452抗体またはPEアイソタイプ対照で染色した。次いで、細胞をフローサイトメーターに流し、そして平均蛍光強度(MFI)を対照と比較して各細胞株について決定した。
図2Aは代表的な実験であり、アイソタイプ対照201と比較した場合、KHYG-1細胞がはるかに高いHECA-452反応性202を示すことを示す(MFIが2772対221)。
図2Bは、アイソタイプ対照203と比較した場合に低いHECA-452反応性204を示すNK-92細胞での反対の結果を示す(MFIが545対121)。
【0100】
(実施例2:NK細胞株KHYG-1は、減少したE-セレクチンリガンドのインビトロ表現型を示す)
この増加したHECA-452反応性がKHYG-1およびNK-92細胞の遊走における表現型の違いに翻訳されるかどうかを決定するために、インビトロで試験した。最初に、間質由来因子-1(SDF-1)勾配に沿った遊走を調べた。
図3は、KHYG-1細胞(左の棒)がNK-92細胞(右の棒)と比較した場合、遊走において約6倍の増加を示したことを示す。さらに、E-セレクチンコーティングフローセル中の遊走をモニターした。
図4AおよびBは、フローセルアッセイ中に撮影されたビデオの静止フレームショットを示す。
図4Aは、多くのKHYG-1細胞がフローセルアッセイにおいて不動であるかまたは非常に遅い動きを示すことを示す(アスタリスク)。反対に、
図4Bは、NK-92がフローセルのフレームを通って妨げられずに流れることを示す。
【0101】
(遊走アッセイ)
対数増殖期のNK-92またはKHYG1細胞を回収し、洗浄し、10ng/mLのIL-2を含有する無血清培地(KHYG1ではRPMI1640、NK-92ではaMEM)に懸濁し、4時間飢餓状態にした。100ng/mLのSDF1および10ng/mLのIL-2を含有する600μLの無血清培地を各ウェルに添加し(12ウェルプレートの場合)、次いで100μLの飢餓細胞懸濁液を、孔サイズが5.0μmである上部の遊走チャンバー(Costar;Corning)にロードした。次いで細胞をCO2インキュベーター中で37℃の細胞で4時間培養した。4時間後、下部区画(遊走した細胞を含む)中の培地を回収し、そしてBD AccuriTM C6フローサイトメーターを使用することによって細胞数を計数した。
【0102】
(フローセル/ローリングアッセイ)
ローリングアッセイを、Mirus Evo NanoPump(Cellix Limited)を使用して、8チャンネルマイクロ流体バイオチップ(Cellix Limited、Dublin、アイルランド)中で実施した。バイオチップのチャンネルVena8 Fluor+(Cellix Limited)を、1mM CaCl2を補充したTris・HCl pH7.4中の15μg/mLのE-セレクチン(PeProtech、Rocky Hill、米国)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。各チャンネルを1%BSA(ウシ血清アルブミン)で、または指示した場合は15μg/mLの抗E-セレクチン遮断抗体(クローンBBIG-E1、R&D System;Minneapolis、米国)でブロックし、アッセイの前に37℃で1時間インキュベートした。細胞を洗浄し、ローリングアッセイ緩衝液(1%熱不活性化FBS(ウシ胎児血清)、5mM HEPESおよび1mM CaCl2を添加した、フェノールレッドを含まないRPMI 1640培地)中に2×106細胞/mlにて再懸濁した。80μLの細胞懸濁液をマイクロチャネルにロードし、ローリングアッセイを室温にて0.5ダイン/cm2で実行した。細胞を、AX10Vert.A1顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy GmbH)のA-Plan 10X/0.25対物レンズ(Carl Zeiss Microscopy GmbH;Jena、ドイツ)を使用して、チャネルに沿って5つの異なる位置でモニターした。01 QIClick F-M-12 Mono 12ビットカメラ(QImaging;Surrey、カナダ)を使用して、位置ごとに30フレームを互いに0.5秒で収集した。画像はVena Fluxアッセイソフトウェア(Cellix Limited)を用いて取得し、Image-Pro Premiereソフトウェア(Media Cybernetics;Rockville、米国)を用いて分析した。ローリングセルは、その直径より多くに相当する距離を移動するセルとして定義した。1チャンネル当たり5つの異なる位置の全細胞数を計数し、次いで全チャンネルの平均数を計算した。
【0103】
(実施例3:NK細胞株KHYG-1のインビボホーミング)
インビボマウスモデルでは、NK細胞の遠隔の骨髄窪み(niches)へのホーミングを追跡する。これは骨髄のインビボ共焦点顕微鏡またはフローサイトメトリー分析を使用して行う。骨髄ホーミングについて分析される細胞株は、KHYG-1(高HECA-452結合)およびNK-92高(低HECA-452結合)である。両方の細胞株を同じマウスに注射するが、競合的な骨髄ホーミング分析を行うために2つの異なるフルオロフォアで標識する。1つの時点(4、8、12、24時間など)で観察する。
【0104】
NK細胞を蛍光染料(Calcein AMまたはCellTracker Dyes)で標識する。次に、BMへのホーミングは、Zeiss 710共焦点システム(Carl Zeiss Microimaging、Jena、ドイツ)を使用してインビボで画像化するか、またはFACS Aria IIフローサイトメーターを使用して定量化する。共焦点では、皮膚弁をマウスの頭皮に作製し、その下にある背側の頭蓋骨表面を露出させる。腫瘍の画像を、インビボ共焦点顕微鏡を使用して約1時間のセッションでキャプチャする。細胞詳細を有する画像を、10×の0.45NA Plan-Apo対物レンズ(Carl Zeiss Microimaging)を使用して、頭蓋骨の表面から250μmまでの深さで無傷のマウス頭蓋骨を通して得る。複数の撮像深度が取得され、最大強度のz投影をImage Jで実行し、画像を併合する。GFPは、アルゴンレーザーの488nmラインで励起する。633nmのレーザーで励起したEvans Blue(Sigma-Aldrich、St. Louis、MO)を用いて血管を画像化する。放出シグナルを、Zeissの内部の共焦点Quasar検出器によって収集する。
【0105】
(実施例4:多発性骨髄腫に対するCD38 CAR発現NK細胞のインビボでの効力)
(高、中、低親和性CD38 CARを用いてKHYG-1細胞を形質導入する)
第2世代のCD38 CAR構築物を、異なる親和性(高、中および低)の標的ドメインを用いて生成する。CARはまた、CD3ζおよび4-1BB共刺激ドメインを含み、形質導入マーカーとして分離されたΔNGFR(CAR形質導入細胞を追跡するために使用されるマーカー遺伝子)に2A配列によって連結されている。どちらのタイプの構築物がKHYG-1細胞をよりよく形質導入するかはよく知られていないので、異なる親和性のCD38 CARをレンチまたはレトロウイルス構築物として生成する。配列番号1~6に由来するCAR標的ドメインの配列を使用する。この問題に取り組むパイロット実験の結果に応じて、KHYG-1細胞に異なるCD38 CAR構築物を形質導入し、それらを高純度に選択して、以下に記載のように多発性骨髄腫(MM)細胞株に対するそれらの機能的効力を試験する。
【0106】
機能試験段階において、増殖(proliferation)および拡大(expansion)についてCAR形質導入KHYG-1細胞をモニターし(細胞計数)、CD16、CD56、CD3、KIR2DL1、KIR2DL2/3、KIR3DL1およびNKG2A発現を0日目、1週目、3週目および6週目(拡大の終期)にモニターする。アポトーシスマーカーのアネキシン-Vの発現もまた調査される。CAR T細胞はそれらの活性化状態にもかかわらずCD38を発現しないことを観察したので、別の重要な表現型パラメーターはCD38の発現である。続けて、CD38+MM細胞に対するそれらのCD38依存性の増殖能およびサイトカイン(IFNγおよびTNFα)分泌能を評価する(CFSEアッセイ)。BLIに基づく細胞傷害性アッセイを、種々のルシフェラーゼ形質導入MM細胞株に対するCD38 CAR NK細胞の細胞傷害性活性を測定するために使用する。標的細胞としてNK細胞感受性K562細胞株も使用する。
【0107】
UM9(高CD38)対U266(CD38陰性)で刺激した際のNK細胞のCD38依存性脱顆粒を、フローサイトメトリーを使用してΔNGFR陽性CAR NK細胞の表面上のCD107aのアップレギュレーションを分析することによってアッセイする。初代MM細胞に対する細胞傷害性反応性を、前述のように、患者由来のBMMNCを用いたFACSに基づく細胞傷害性アッセイにおいて評価する。手短に言えば、CD38 CAR NK細胞を、5~50%のMM細胞を含有するBMMNCと異なるエフェクター対標的比で共培養する。24~48後に、MM細胞の生存を、定量的フローサイトメトリーを使用してCD138陽性形質細胞の計数によって評価する。細胞傷害活性は、前述のようにこれらの生存データから推定される。
【0108】
研究のこの段階では、非悪性CD38陽性造血細胞に対する反応性を決定することも重要である。これは、健康な個人または患者のPBMCまたはBMMNCを用いたFACSに基づく細胞傷害性アッセイによって評価される。CD38 CAR NK細胞をPBMCまたはBMMNCと24~48時間インキュベートした後、CD34+造血前駆細胞(BMMNCサンプル中のみ)、CD3+T細胞、CD14+単球、CD56+NK細胞、CD19/20+B細胞を含む非悪性造血細胞の生存を、単一プラットフォームの定量的FACS分析で決定する。これら全てのアッセイにおいて、モックベクター形質導入NK細胞を陰性対照として使用し、初期に樹立したCD38 CART細胞を陽性対照として使用する。
【0109】
(TRAIL改変体(TRAILv)およびTRAIL野生型(TRAILwt)を用いて、最も適したCD38 CAR NK-92細胞を形質導入する。)
(TRAILvおよびTRAILwtを用いて最も適したCD38 CAR KHYG-1細胞を形質導入する)
正常なCD38+細胞に影響を与えずにMM細胞を殺傷するのに最良であるCD38 CAR NK細胞を選択し、さらに野生型TRAILおよびTRAIL改変体構築物を用いて形質導入する。上記の同様の設定において、これらの細胞をDR5+CD38+、DR5+CD38-、DR5-CD38+、DR5-、CD38-のMM細胞株に対して試験し、これらのCD38およびDR-5依存性細胞傷害活性を比較し、それらの標的細胞特異性を比較した。初代MM細胞もまた、これらの細胞に対する感受性について調べる。誘導性TRAILv構築物を生成するために、最小(m)CMVプロモーターおよびNFAT転写応答エレメント(TRE)の縦列反復の制御下で、複製不能VSV-gシュードタイプ自己不活性化レンチウイルス構築物中にTRAILv遺伝子をクローニングする。このようにして、CAR誘発時にTRAILvの迅速な転写を可能にし、それはNFAT制御下で遺伝子発現を誘導する。その結果、CARが誘発されると、CD3ζドメインはNFATを活性化し、それは次にTRAILvの迅速な転写および続く発現を誘導する。生成された細胞を、CD38 CAR依存性TRAILv発現についてまず評価する。この誘導性遺伝子のオン/オフ動態を調べた後、細胞を、上記と同様の設定で、DR5+CD38+、DR5+CD38-、DR5-CD38+、DR5-、CD38-のMM細胞株、ならびに初代MM細胞を殺傷する能力について調べる。
【0110】
(インビボでの抗MM効力およびMM対正常造血細胞の識別能において最良のCD38 CARを評価する)
この段階では、インビトロで機能する最良のCD38 CAR NK細胞のインビボでの安全性および抗MM効力を決定する。最良のCD38 CAR(およびTRAILv)で形質導入されたNK細胞のインビボ活性を、ヒトMM腫瘍がヒト化微小環境で増殖する本発明者らの最近開発されたRag2-/-γc-/-に基づく異種移植モデル(ヒト骨髄由来MSCでコーティングされている足場の皮下接種によって生成される)において評価する。手短に言えば、このモデルにおいて、CD38陽性UM-9およびCD38陰性U266 MM腫瘍を、ヒト化BM微小環境において樹立する。BLIによるヒト化足場へのMM腫瘍の生着を証明した後(通常は接種後1~2週間)、マウスをiCasp9-CD38 CAR NK細胞で処置する。細胞を、漸増用量で静脈投与により、または足場内に注入する(合計用量が3、6および30×106細胞/マウス(静脈内);1、5、3、9×106細胞(足場内))。全CAR NK細胞用量を3回に分け、各用量を1週間間隔で投与する。腫瘍量をBLIによってモニターする。モック形質導入NK細胞およびCD38 CART細胞をそれぞれ陰性対照および陽性対照として使用する。
【0111】
(実施例5:CD38 CAR NK細胞受容体による多発性骨髄腫治療のためのプロトコル)
上記のように、CD38 CAR NK細胞は、異なる種類の癌を有する個体に投与することができる。以下のプロトコルを、多発性骨髄腫を有する患者の治療に使用するために開発した。多発性骨髄腫などのCD38陽性癌を有する患者の診断後、患者への投与の前に、改変NK細胞のアリコートを解凍および培養することができる。あるいは、本明細書に記載のように、CD38 CARをコードするポリヌクレオチドを保有するレンチウイルス、またはCARをコードするmRNAを用いたエレクトロポレーションを用いて一過性トランスフェクションを調製することができる。エレクトロポレーションの場合、MaxCyte Flow Electroporationプラットフォームは、臨床での高速大規模トランスフェクションを達成するための適切なソリューションを提供する。CD38 CAR発現NK細胞をトランスフェクトした後、それを培養してCARの発現を可能にし、次いで患者に静脈内投与する。
【0112】
(実施例6:多発性骨髄腫および急性骨髄性白血病に対する、NK細胞を発現するTRAIL改変体のインビトロ効力)
多発性骨髄腫(MM)、急性骨髄性白血病(AML)、および腎細胞癌(RCC)は、消耗性であり、そしてしばしば致死性の悪性腫瘍である。RCC、MMおよびAMLは、NK細胞TRAILを含む複数のエフェクター経路を介してNK細胞の細胞傷害性を受けやすい。ボルテゾミブによる悪性細胞の処理は多くの悪性腫瘍におけるDR5発現をアップレギュレートし、TRAIL媒介アポトーシスに対するそれらの感受性を増強する。重要なことに、EBV-LCLを用いてエクスビボで拡大させたNK細胞は、TRAILの表面発現を実質的にアップレギュレートし、さらに、ボルテゾミブに曝露された腫瘍のNK細胞媒介性腫瘍殺傷を増強する。したがって、全長の変異型DR5に特異的なTRAIL改変体を発現させるNK細胞の遺伝子改変は、顆粒媒介細胞傷害性とは無関係に、NK細胞の腫瘍特異的細胞傷害性を増強し得る。さらに、ボルテゾミブ(DR5をアップレギュレートする)に曝露された腫瘍は、これらの遺伝子改変NK細胞による殺傷に対して非常に感受性になると予測される。
【0113】
(インビトロ実験計画)
DR-5特異的組換えTRAIL(rhTRAIL D269H/E195R)を発現するように遺伝子改変されたエクスビボ拡大NK細胞(GMP条件およびSMI-LCLフィーダー細胞株を用いて拡大されたNK細胞)を、インビトロでそれらがRCC、AMLおよびMM腫瘍標的に対するNK細胞媒介殺傷を増強し得るかどうか、さらには、腫瘍標的をボルテゾミブで前処理することによって腫瘍殺傷を改善できるかどうかを知るために調べる。腫瘍細胞傷害性実験を、DR-5(ボルテゾミブ処理でアップレギュレートされ得る)を発現することが知られている一連の腫瘍細胞株に対してエクスビボで拡大させたNK細胞と共に、クロム放出アッセイ(CRA)およびNK細胞脱顆粒アッセイ(CD107a)を用いてインビトロで行う。NK細胞集団の間でNK細胞腫瘍殺傷が異なって行われるかどうかを同定するために、異なるNK細胞調製物を利用する腫瘍細胞傷害性アッセイを行う。集団は以下を含む:a)新たに単離されたNK細胞;b)一晩IL-2活性化したNK細胞;c)EBV-LCLフィーダー細胞を用いた14日間のエクスビボ拡大NK細胞;d)DR-5特異的組換えTRAILを発現させるためにMaxcyte GTシステムを用いてmRNAをエレクトロポレーションした14日間のエクスビボで拡大させたNK細胞;ならびにe)DR-5特異的組換えTRAILを発現させるためにレンチウイルスベクター(LV)を用いて形質導入された14日間のエクスビボ拡大NK細胞。
【0114】
TRAIL表面発現を最適化するために、形質導入の様々なMOIを試験する。目標は以下の通りである:a)NK細胞形質導入(インビトロ)後の4週間にわたるTRAIL表面発現の動態を定義する;b)NK細胞形質導入後の複数の期間にわたるTRAILを介したNK細胞腫瘍殺傷の動態を定義する;c)NK細胞の表現型、サイトカイン分泌能、および機能的細胞傷害性に対するDR-5特異的TRAIL形質導入の効果を評価する;インビトロでのNK細胞増殖に対するDR-5特異的TRAIL形質導入の効果を評価する;そしてd)NK細胞生存率に対するDR-5特異的TRAIL形質導入の効果を評価する。
【0115】
NK細胞のトランスフェクションを最適化して組換えTRAILを発現させるために、DR-5特異的組換えTRAILをコードする様々な濃度のmRNAを試験する(インビトロ)。その目的は次のとおりである:a)mRNAトランスフェクション後4~7日間にわたる組換えTRAIL発現の動態を定義する;b)対照として表面発現CD34をコードするmRNAでトランスフェクトしたNK細胞に対し、TRAIL発現のこれらの動態を比較する;c)1週間にわたるDR-5組換えTRAILを用いたNK細胞のトランスフェクション後のTRAILを介したNK細胞腫瘍殺傷の動態を定義する;d)NK細胞の表現型、サイトカイン分泌能、および機能的細胞傷害性に対するDR-5特異的TRAIL mRNAトランスフェクションの効果を評価する;e)インビトロでのNK細胞増殖に対するDR-5特異的TRAIL mRNAトランスフェクションの効果を評価する;f)NK細胞生存率に対するDR-5特異的TRAIL mRNAトランスフェクションの効果を評価する。また、DR5受容体の腫瘍表面発現をアップレギュレートするようにボルテゾミブで前処理されたRCC、MMおよびAML腫瘍標的+/-に対して、NK細胞(遺伝子操作対野生型)を標的とする。
【0116】
(インビボ実験計画)
次に、DR-5特異的組換えTRAILを発現するように遺伝子改変されたエクスビボ拡大NK細胞を試験して、それらがインビボでRCC、AMLおよびMM腫瘍標的に対するNK細胞殺傷を増強できるかどうかを調べる。DR-5特異的組換えTRAILを発現するように遺伝子改変されたエクスビボ拡大NK細胞をMM1S腫瘍担持マウス(NSG)に養子注入して、生物発光イメージング(BLI)を用いて処置なしおよび処置ありのマウスの結果を比較する。条件には、新鮮なIL-2活性化および拡大NK細胞、ならびにウイルス形質導入およびmRNAトランスフェクションを介してDR-5特異的組換えTRAILを発現するように遺伝子改変された拡大NK細胞が含まれる。同じアプローチを、SAUJ-Lucを有するRCCにおいて、およびMOLM14-Lucを有するマウスのAMLにおいて評価する。ルシフェラーゼで形質導入された腫瘍標的により、これらのモデルにおける腫瘍量を評価するためにBLIイメージングを使用することが可能になる。
【0117】
治療のタイミングが結果に影響を与えるかどうかを調査する。TRAILの表面発現がピークになる時点まで、mRNAトランスフェクション後のNK細胞の注入を遅らせることに対して、NK細胞をmRNAトランスフェクションの直後に注入する。腫瘍のインビボNK細胞殺傷に対する外因性IL-2および/またはIL-15投与の影響もまた調査される。組換えDR-5特異的TRAILを発現するように遺伝子改変されたNK細胞による腫瘍の殺傷に対するボルテゾミブでの動物の前処置の影響を調査する。我々はまた、どちらかを受けた拡大NK細胞集団を用いてDR-5を発現するように遺伝子改変されたエクスビボ拡大NK細胞を用いてMMおよびAMLにおける上記インビボ実験を評価する:a)遺伝子組換え;b)培養の変更;またはc)骨髄へのホーミングを改善するためのエクスビボ操作。
【0118】
(実施例7:抑制性受容体機能のノックアウト)
(CRISPR/Cas9)
抑制性受容体機能を除去した細胞を以下のように調製した。gRNA構築物を、NK細胞のヒトゲノム中の「古典的」抑制性受容体LIR2および「チェックポイント」抑制性受容体CTLA4をコードする遺伝子を標的とするように設計および調製した。次いで、CRISPR/Cas9ゲノム編集を使用して、LIR2およびCTLA4標的遺伝子をノックアウトした。
【0119】
各標的遺伝子について2つのgRNA候補を選択し、そしてK562細胞におけるそれらの切断効率を決定した。gRNA候補の配列を表1に示す。
【0120】
【0121】
K562細胞を調製したgRNA構築物でトランスフェクトし(
図5)、続いてPCR増幅のために回収した。GFP発現の存在を用いて、gRNA構築物のK562細胞への組み込みの成功を報告した。これにより、Cas9遺伝子の発現、したがってLIR2およびCTLA4遺伝子の発現をノックアウトする能力が確認された。gRNA構築物の切断活性を、インビトロミスマッチ検出アッセイを用いて決定した。T7E1エンドヌクレアーゼIは、不完全にマッチしたDNAを認識して切断し、CRISPR/Cas9トランスフェクションおよび非相同末端結合(NHEJ)の後に、親のLIR2およびCTLA4遺伝子を変異遺伝子と比較することを可能にする。
【0122】
図6は、g9およびg18のgRNA配列を用いてLIR2遺伝子をノックアウトした後のアガロースゲル電気泳動後に得られたバンドを示す。各変異に対応する3つのバンドは、親遺伝子(601)と、トランスフェクション後のDNA配列におけるミスマッチの検出後に生じる2つの鎖(602および603)に対応する。g9 gRNA配列は11%のトランスフェクションの成功率をもたらしたが、g18 gRNAは10%をもたらした。
【0123】
図7は、g7およびg15のgRNA配列を用いてCTLA4遺伝子をノックアウトした後のアガロースゲル電気泳動後に得られたバンドを示す。701は親バンドを示し、702、703は、ミスマッチ検出後に得られた2つのバンドを示す。g7 gRNA配列は32%のトランスフェクション成功率をもたらしたが、g15 gRNAは26%をもたらした。
【0124】
K562細胞におけるLIR2およびCTLA4のノックアウトが成功した後、KHYG-1細胞をgRNA構築物でトランスフェクトした。ホモ接合性欠失を有するKHYG-1誘導体クローンを選択した。Cas9/ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC)発現ベクターをこの目的に使用した。抗生物質ピューロマイシンに対するそれらの耐性に基づいて、首尾よくトランスフェクトされた細胞を選択した。
【0125】
(Cas9 RNP)
NK細胞におけるチェックポイント抑制性受容体のノックアウトのために使用された別のプロトコルは、Cas9 RNPトランスフェクションのそれであった。このプロトコルを使用する利点は、同様のトランスフェクション効率が達成可能であったが、CRISPR/Cas9プロトコルのDNAプラスミドを使用した場合と比較して毒性が有意に低いことであった。各トランスフェクション実験のために1×106個のKHYG1細胞を回収した。細胞をPBSで洗浄し、遠心分離機で遠心した。次いで上清を捨てた。次いで、CRISPR RNP(RNA結合タンパク質)材料を以下のように調製した:(1)必要な合成crRNAおよびtRNA(Dharmaconから購入)の20μM溶液を調製した;(2)4μlのcrRNA(20μM)と4μlのtRNA(20μM)を一緒に混合した;(3)次いで混合物を2μlのCas9タンパク質(5μg/μl)に添加した;(4)全成分を混合し、室温で10分間インキュベートした。Neon(登録商標)トランスフェクションシステムに従って、細胞をCas9 RNPと混合し、以下のパラメーターを用いてエレクトロポレーションを行った:電圧、1450v;パルス幅、30ms;パルス数:1。次いで、細胞を増殖培地(IL-2およびIL-15を含む)を含む12ウェルプレートの1つのウェルに移した。細胞を48~72時間後に回収し、T7エンドヌクレアーゼアッセイおよび/またはSanger配列決定により遺伝子編集効率を確認した。インデルの存在が確認され、KHYG1細胞におけるCTLA4、PD1およびCD96のノックアウトが成功したことを示している。
【0126】
(部位特異的ヌクレアーゼ)
NK細胞におけるチェックポイント抑制性受容体のノックアウトのために使用された別のプロトコルは、XTN TALENトランスフェクションのそれであった。このプロトコルを使用する利点は、野生型CRISPRと比較して特に高いレベルの特異性が達成可能であることであった。
【0127】
(ステップ1:試薬の調製)
KHYG-1細胞を、トランスフェクション効率、単一細胞クローニング効率および核型/コピー数を含む特定の属性についてアッセイした。次いで、細胞を供給元の推奨に従って培養した。ノックアウトされているチェックポイント抑制性受容体に応じて、ヌクレアーゼを少なくとも2対のXTN TALENのカスタムデザインによって調製した。カスタムデザインのステップは、遺伝子座の評価、コピー数および機能的評価(すなわち相同体、オフターゲット評価)を含む。
【0128】
(ステップ2:細胞株操作)
細胞をステップ1のヌクレアーゼでトランスフェクトした。高レベルの切断を得るためにこのステップを3回まで繰り返し、そして各トランスフェクションの前に培養物を分割しそして中間培養物を維持した。各トランスフェクションの数日後に最初のスクリーニングが行われた。細胞プールをCel-1アッセイにより切断効率について試験した。反復トランスフェクション後に切断レベルが許容レベルまたはプラトーに達した後、細胞を単一細胞クローニングの準備ができていると見なした。プールした細胞を96ウェルプレートの1ウェルあたり1細胞に選別した。各プールのプレート数は、ステップ1で決定した単一細胞クローニング効率に依存した。プレートを放置し、3~4週間インキュベートした。
【0129】
(ステップ3:スクリーニングおよび拡大)
細胞が96ウェルプレート中でコンフルエントになったら、培養物を統合し、そして三連の96ウェルプレートに分割した。1つのプレートをバックアップとして凍結し、1つのプレートをクローンの拡大を続けるために再プレートし、そして最終プレートを遺伝子型確認のために使用した。遺伝子型プレート中の各クローンをqPCRシグナルの喪失について分析した。これは全ての対立遺伝子が改変されたことを示す。陰性クローンをPCR増幅し、クローン化してインデルの性質および野生型またはインフレームインデルの欠如を決定した。確認されたノックアウトを有するクローンを、せいぜい1つの24ウェルプレートにまとめ、そしてさらに拡大させた。典型的には、5個までの個々のクローンについて1バイアルあたり1×106個の細胞を含有する5~10個の凍結クリオバイアルをノックアウトあたりに作製した。
【0130】
(ステップ4:検証)
細胞を無菌条件下で貯蔵した。全てのバンク細胞の基本的な放出基準は、生存細胞数(凍結前および解凍後)、STRによる同一性の確認、基本的な無菌性保証およびマイコプラズマ試験を含んだ。必要に応じて他の放出基準を適用した(核型、表面マーカーの発現、高レベルの無菌性、転写産物またはタンパク質のノックアウト評価など)。
【0131】
(実施例8:RNAiを介したチェックポイント抑制性受容体CD96機能のノックダウン)
KHYG-1細胞におけるCD96のsiRNAノックダウンは、エレクトロポレーションによって行われた。Nucleofection Kitを、Lonza社のAmaxa Nucleofector IIと組み合わせて使用した。細胞株での使用に適しており、分裂細胞と非分裂細胞の両方をうまくトランスフェクトでき、最大90%のトランスフェクション効率を達成するからである。対照siRNA(カタログ番号:sc-37007)およびCD96 siRNA(カタログ番号:sc-45460)は、Santa Cruz Biotechnologyから入手した。10%FBS、2mM L-グルタミンを含有する抗生物質を含まないRPMI-1640をヌクレオフェクション後の培養に使用した。染色のためにマウス抗ヒトCD96-APC(カタログ番号:338409)をBiolegendから入手した。
【0132】
20μMのsiRNAストック溶液を調製した。凍結乾燥したsiRNA二重鎖を、FITC-対照/対照-siRNAに対し33μlのRNAseフリー水(siRNA希釈緩衝液:sc-29527)中に、標的遺伝子siRNA(siRNA CD96)については165μlのRNAseフリー水中に、再懸濁した。管を90℃で1分間加熱し、次いで37℃で60分間インキュベートした。その後、必要になるまでsiRNAストックを-20℃で保存した。
【0133】
細胞は対数増殖期になければならないので、KHYG-1細胞をヌクレオフェクションの1~2日前に継代した。Nucleofector溶液を室温に加温した(サンプル当たり100μl)。血清および補充物を含有する培地のアリコートもまた、50ml管中で37℃に予熱した。血清および補充物を含む培地1.5mlを添加することによって6ウェルプレートを調製した。プレートを加湿した37℃/5%CO
2インキュベーター中でプレインキュベートした。100μlのNucleofection溶液中の2×10
6細胞を4μlの20μM siRNA溶液(1.5μg siRNA)と穏やかに混合した。混合中の気泡は避けた。混合物をAmaxa認定キュベットに移し、Nucleofectorキュベットホルダーに入れ、プログラムU-001を選択した。プログラムを終了させ、キュベット内のサンプルを直ちに取り出した。次いで、500μlの予め平衡化した培地を各キュベットに添加した。次いで、各キュベット中のサンプルを、調製した6ウェルプレートの対応するウェルに静かに移して、1ウェルあたり2mlの最終容量を確立した。次いで、トランスフェクション分析が行われるまで、細胞を加湿した37℃/5%CO
2インキュベーター中でインキュベートした。CD96発現レベルを測定するために、エレクトロポレーションの16~24時間後にフローサイトメトリー分析を行った。このエレクトロポレーションプロトコルを複数回実施した。
図8Aおよび8Bは、このプロトコルが、対照siRNA802でトランスフェクトされたKHYG-1細胞(8Aにおいて2409の平均蛍光強度;8Bにおいて3002の平均蛍光強度)と比較して、信頼できるCD96ノックダウン801(8Aにおいて1107の平均蛍光強度;8Bにおいて810の平均蛍光強度)をもたらしたことを示す。アイソタイプは800 802で示される(8Aでは90の平均蛍光強度;8Bでは76の平均蛍光強度)。
【0134】
(実施例9:CD96ノックダウンによるNK細胞の増強された細胞傷害性)
CD96ノックダウンありおよびノックダウンなしのKHYG-1細胞を、異なるエフェクター:標的(E:T)比でK562細胞と共培養した。細胞傷害性は、PerkinElmerからのDELFIA EuTDA細胞傷害性キット(カタログ番号:AD0116)を使用して、共培養の4時間後に測定した。標的細胞K562を10%FBS、2mM L-グルタミンおよび抗生物質を含有するRPMI-1640培地中で培養した。96ウェルV底プレート(カタログ番号:83.3926)をSARSTEDTから購入した。エッペンドルフ遠心分離機5810R(プレートローター付き)を用いてプレートをスピンダウンさせた。VARIOSKAN FLASH(ScanItソフトウェア2.4.3を含む)を使用して、溶解したK562細胞によって生成された蛍光シグナルを測定した。K562細胞を培地で洗浄し、細胞数を培地で1×10
6細胞/mLに調整した。2~4mLの細胞を5μlのBATDA試薬に添加し、そして37℃で10分間インキュベートした。細胞内で、エステル結合は加水分解されて親水性リガンドを形成し、これはもはや膜を通過しない。細胞を1500rpmで5分間遠心分離し、ロードしたK562細胞を洗浄した。1mMのプロベネシド(Sigma P8761)を含有する培地を用いてこれを3~5回繰り返した。最後の洗浄後、細胞ペレットを培地に再懸濁し、そして約5×10
4細胞/mLに調整した。バックグラウンド、自然放出および最大放出の検出のためにウェルを準備した。1:1から20:1までの範囲のエフェクター対標的比を生成するために、100μLのロードした標的細胞(5,000細胞)をV底プレートのウェルに移し、100μLのエフェクター細胞(KHYG-1細胞)を様々な細胞濃度で添加した。プレートを100×gで1分間遠心分離し、そして37℃の加湿5%CO
2雰囲気中で4時間インキュベートした。最大放出ウェルについては、培地を回収する15分前に10μLの溶解緩衝液を各ウェルに添加した。プレートを500×gで5分間遠心した。20μLの上清を平底96ウェルプレートに移し、200μLの予熱したユーロピウム溶液を加えた。これをプレートシェーカーを用いて室温で15分間インキュベートした。K562細胞がKHYG-1細胞によって溶解されるにつれて、それらは培地中にリガンドを放出する。このリガンドは次にユウロピウム溶液と反応し、溶解細胞の量と直接相関する蛍光キレートを形成する。次に、VARIOSKAN FLASHを用いて時間分解蛍光光度計で蛍光を測定した。以下の式を用いて比放出(specific release)を計算した:%比放出=実験放出-自然放出/最大放出-自然放出。Graphpad Prism 6.04ソフトウェアを用いて統計分析を行った。対応のあるt検定を用いて、siRNA CD96ノックダウンKHYG-1細胞と対照群との間の差を比較した(n=3)。比放出は、CD96ノックダウンKHYG-1細胞を含む共培養物において有意に増加することが見出された。これは、全てのE:T比で当てはまった(
図9を参照)。蛍光は細胞溶解と直接相関するので、KHYG-1細胞におけるCD96発現のノックダウンは、それらがK562癌標的細胞を殺傷する能力の増加をもたらすことを確認した。
【0135】
(実施例10:CD328(Siglec-7)ノックダウンによるNK細胞の細胞傷害性の増強)
(NK-92細胞におけるCD328のsiRNA媒介ノックダウン)
(材料、試薬および器具)
対照siRNA(カタログ番号:sc-37007)およびCD328 siRNA(カタログ番号:sc-106757)を、Santa Cruz Biotechnologyから購入した。NucleofectorTM Device(Nucleofector II、Lonza)を用いてNK-92細胞において高い細胞生存率(>75%)で最大90%のトランスフェクション効率を達成するために、Lonza製のNucleofectorTM Kit Tを使用した。抗生物質を含まない、10%FBS、2mM L-グルタミンを含むRPMI-1640を、ヌクレオフェクション後培養に使用した。マウス抗ヒトCD328-APC(カタログ番号:339206)をBiolegendから購入した。
【0136】
(プロトコル)
10μMのsiRNAストック溶液を作製する。凍結乾燥したsiRNA二本鎖を、FITC-対照/対照-siRNAに対し66μlのRNAseフリー水(siRNA希釈緩衝液:sc-29527)中に、標的遺伝子siRNA(siRNA CD328)についてはRNAseフリー水330μl中に、再懸濁する。管を90℃で1分間加熱する。37℃で60分間インキュベートする。直接使用しない場合は、siRNAストックを-20℃で保存する。1つのヌクレオフェクションサンプルが含む(100μlの標準キュベット用)。細胞数:2×106細胞。siRNA:4μlの10μMストック。Nucleofector溶液:100μl。
【0137】
(ヌクレオフェクション)
必要な数の細胞を培養する。(ヌクレオフェクションの1または2日前に継代する。細胞は対数増殖期になければならない)。各サンプル用のsiRNAを準備する。Nucleofector溶液を室温に予熱する(サンプルあたり100μl)。血清および補充物を含む培地のアリコートを50ml管内で37℃に予熱する。血清および補充物を含む培地1.5mlで満たすことによって6ウェルプレートを準備し、加湿37℃/5%CO2インキュベーターでプレートをプレインキュベートする。細胞培養物のアリコートを取り、細胞密度を決定するために細胞数を数える。必要な数の細胞を1500rpmで5分間遠心する。残りの培地が細胞ペレットを覆わないように上清を完全に捨てる。細胞ペレットを室温のNucleofector溶液に2×106細胞/100μlの終濃度で再懸濁する。細胞生存率および遺伝子導入効率が低下するため、Nucleofector溶液に15~20分より長く保存することは避ける。細胞懸濁液100μlをsiRNAと混合する。サンプルをAmaxa認定キュベットに移す。サンプルがキュベットの底を覆っていることを確認し、ピペッティング中の気泡を避ける。青いキャップでキュベットを閉じる。適切なNucleofectorプログラム(NK-92細胞の場合はA-024)を選択する。キュベットをキュベットホルダーに挿入し(NucleofectorII:カルーセルを時計回りに最終位置まで回転させる)、「x」ボタンを押してプログラムを開始する。細胞への損傷を避けるために、プログラムが終了したらすぐにキュベットからサンプルを取り出す(ディスプレイに「OK」と表示されている)。500μlの予熱した培地をキュベットに加え、準備した6ウェルプレートにサンプルを移す。加湿37℃/5%CO2インキュベーターで細胞をインキュベートする。16~24時間後にフローサイトメトリー分析および細胞傷害性アッセイを行う。
【0138】
(結果)
上記のプロトコルに従い、そしてNK-92細胞におけるCD328発現レベルのフローサイトメトリー分析を行った。1つの代表的な実験の結果を
図10に示し、成功したノックダウンを確認した(対照siRNA1001について3048の平均蛍光強度;CD328 siRNA1002について679の平均蛍光強度)。
【0139】
(CD328のノックダウンが細胞傷害性を高める)
(材料、試薬および器具)
蛍光増強リガンド(カタログ番号:AD0116)に基づくDELFIA EuTDA細胞傷害性キットをPerkinElmerから購入した。標的細胞K562を10%FBS、2mM L-グルタミンおよび抗生物質を含有するRPMI-1640培地中で培養した。96ウェルV底プレート(カタログ番号:83.3926)をSARSTEDTから購入した。エッペンドルフ遠心分離機5810R(プレートローター付き)を用いてプレートをスピンダウンさせた。VARIOSKAN FLASH(ScanItソフトウェア2.4.3を使用)を使用して、溶解したK562細胞によって生成された蛍光シグナルを測定した。
【0140】
(プロトコル)
標的K562細胞に蛍光増強リガンドDELFIA BATDA試薬をロードする。K562細胞を培地で洗浄し、細胞数を培地で1×106細胞/mLに調整する。2~4mLの細胞を5μlのBATDA試薬に加え、37℃で10分間インキュベートする。1500rpmで5分間スピンダウンして、ロードしたK562細胞を1mMプロベネシド(Sigma P8761)を含有する培地で3~5回洗浄する。最後の洗浄後、細胞ペレットを培地に再懸濁し、約5×104細胞/mLに調整する。
【0141】
(細胞傷害性アッセイ)
バックグラウンドの検出、自然放出および最大放出のためのウェルをセットアップする。100μLのロードした標的細胞(5,000細胞)をV底プレートにピペットで入れる。さまざまな細胞濃度の100μLのエフェクター細胞(NK-92)を加える。エフェクター:標的比は、1:1から20:1の範囲である。プレートを100xgのRCFで1分間スピンダウンする。37℃の加湿5%CO2雰囲気中で2時間インキュベートする。最大放出ウェルについては、培地を回収する15分前に各ウェルに10μLの溶解緩衝液を加える。プレートを500×gで5分間スピンダウンする。20μLの上清を平底96ウェルプレートに移し、200μLの予熱したユーロピウム溶液を加え、プレートシェーカーを用いて15分間室温でインキュベートする。VARIOSKAN FLASHを使用して時間分解蛍光光度計で蛍光を測定する。以下の式を用いて比放出を計算した:%比放出=実験放出-自然放出/最大放出-自然放出
【0142】
(結果)
上記に従って、CD328ノックダウンの細胞傷害性に対する効果を決定した。1つの代表的実験の結果を
図11に示す。見られるように、標的細胞に対する細胞傷害性は、CD328ノックダウンを有する細胞において増加した。
【0143】
(実施例11:チェックポイント抑制性受容体のノックダウン/ノックアウトによる血液癌治療のためのプロトコル)
上記の実施例で実証されたように、チェックポイント抑制性受容体機能は様々な方法でノックダウンまたはノックアウトすることができる。以下のプロトコルを、血液癌患者の治療に使用するために開発した。本発明で適切に治療された癌患者の診断後、患者への投与前に改変NK細胞のアリコートを解凍および培養することができる。あるいは、一過性変異は、例えば、上記のように1日または2日以内にsiRNAを用いて調製され得る。MaxCyte Flow Electroporationプラットフォームは、診療所での高速大規模トランスフェクションを達成するための適切なソリューションを提供する。特定のチェックポイント抑制性受容体の除去は、他のものよりも有益であり得る。これは患者および癌による。このため、必要に応じて癌を生検し、癌細胞をエクスビボで培養で増殖させる。したがって、異なるチェックポイント抑制性受容体改変を有する一連のNK細胞を、特定の癌に対する細胞傷害性について試験することができる。この工程は、治療のために最も適切なNK細胞またはその誘導体を選択するために使用され得る。改変が成功した後、患者への静脈内および/または腫瘍内注射のために細胞を適切な担体(例えば生理食塩水)に再懸濁する。
【0144】
(実施例12:TRAIL/TRAIL改変体のKHYG-1ノックイン)
トランスフェクション後のそれらの生存率および癌細胞を殺す能力を評価するために、KHYG-1細胞をTRAILおよびTRAIL改変体の両方を用いてトランスフェクトした。使用されたTRAIL改変体は、WO2009/077857に記載されているものである。それは、D269H/E195R変異を含む野生型TRAIL遺伝子によってコードされている。この変異は、両方のデコイ受容体(DcR1およびDcR2)に対する親和性を減少させながら、TRAIL改変体のDR5に対する親和性を有意に増大させる。
【0145】
(ベースラインTRAIL発現)
KHYG-1細胞におけるベースラインTRAIL(CD253)発現をフローサイトメトリーを用いてアッセイした。マウス抗ヒトCD253-APC(Biolegendカタログ番号:308210)およびアイソタイプ対照(Biolegendカタログ番号:400122)を用いて細胞サンプルを染色し、BD FACS Canto IIフローサイトメーターで分析した。KHYG-1細胞を、10%FBS、2mM L-グルタミン、ペニシリン(100U/mL)/ストレプトマイシン(100mg/mL)およびIL-2(10ng/mL)を含有するRPMI 1640培地中で培養した。0.5~1.0×10
6細胞/試験を遠心分離(1500rpm×5分)によって収集し、上清を吸引した。細胞(単細胞懸濁液)を4mLの氷冷FACS緩衝液(PBS、0.5~1%BSA、0.1%NaN
3アジ化ナトリウム)で洗浄した。細胞を100μLの氷冷FACS緩衝液に再懸濁し、5μLの抗体を各管に添加し、氷上で30分間インキュベートした。細胞を1500rpmで5分間の遠心分離により3回洗浄した。次に細胞を500μLの氷冷FACS緩衝液に再懸濁し、一時的に氷上で暗所に保った。続いて細胞をフローサイトメーター(BD FACS Canto II)で分析し、生成したデータをFlowJo 7.6.2ソフトウェアを用いて処理した。
図12に見られるように、FACS分析は、KHYG-1細胞表面上のTRAILの弱いベースライン発現を示した。
【0146】
(エレクトロポレーションによるTRAIL/TRAIL改変体ノックイン)
野生型TRAIL mRNAおよびTRAIL改変体(D269H/195R)mRNAをTriLink BioTechnologiesによって合成し、等分して-80℃として保存した。マウス抗ヒトCD253-APC(Biolegendカタログ番号:308210)およびアイソタイプ対照(Biolegendカタログ番号:400122)、およびマウス抗ヒトCD107a-PE(eBioscienceカタログ番号:12-1079-42)およびアイソタイプ対照(eBioscienceカタログ番号:12-4714)抗体を用いて細胞サンプルを染色し、BD FACS Canto IIフローサイトメーターで分析した。DNA染料SYTOX-Green(Life Technologiesカタログ番号:S7020;5mM DMSO溶液)を使用した。NucleofectorTM Device(Nucleofector II、Lonza)を用いてKHYG-1細胞において高い細胞生存率で最大90%のトランスフェクション効率を達成するために、LonzaからのNucleofectorTM Kit Tを使用した。ヌクレオフェクション後の培養には、10%FBS、L-グルタミン(2mM)、およびIL-2(10ng/mL)を含む抗生物質非含有RPMI 1640を使用した。
【0147】
細胞は対数増殖期になければならないので、KHYG-1およびNK-92細胞をヌクレオフェクションの1または2日前に継代した。Nucleofector溶液を室温に予め温め(サンプル当たり100μl)、血清および補充物を含む培地のアリコートと共に50mL管中で37℃においた。血清および補充物を含有する1.5mLの培養培地を充填することによって6ウェルプレートを調製し、そして加湿した37℃/5%CO
2インキュベーター中でプレインキュベートした。細胞培養物のアリコートを調製し、細胞密度を決定するために細胞を数えた。上清を完全に捨てる前に、必要な数の細胞を1500rpmで5分間遠心分離した。細胞ペレットを室温のNucleofector溶液に2×10
6細胞/100μlの最終濃度になるように再懸濁した(最長懸濁時間=20分)。100μlの細胞懸濁液を10μgのmRNA(10μL未満のRNA量)と混合した。サンプルをAmaxa認定キュベットに移した(サンプルがキュベットの底を覆っていることを確認し、気泡を避ける)。適切なNucleofectorプログラムを選択した(すなわち、KHYG-1細胞についてはU-001)。次いでキュベットをキュベットホルダーに挿入した。500μlの予熱した培地をキュベットに添加し、そして細胞への損傷を避けるために、プログラムが終了した直後に、調製した6ウェルプレートにサンプルを移した。細胞を加湿した37℃/5%CO
2インキュベーター中でインキュベートした。フローサイトメトリー分析および細胞傷害性アッセイをエレクトロポレーションの12~16時間後に行った。フローサイトメトリー染色を上記のように行った。
図13および14に見られるように、TRAIL/TRAIL改変体およびCD107a(NK活性化マーカー)の発現はトランスフェクション後に増加し、TRAIL遺伝子のKHYG-1細胞へのノックインの成功を確認した。
【0148】
図15は、エレクトロポレーションによるトランスフェクションの前および後のKHYG-1細胞生存率の証拠を提供する。TRAIL/TRAIL改変体による細胞のトランスフェクション後の細胞生存率に統計的に有意な差が観察されないことが分かる。このことは、野生型または改変体TRAILの発現が細胞に対して毒性がないことを確認する。この観察は、NK-92細胞における対応する知見(これは、TRAIL改変体遺伝子ノックインが細胞に対して傷害性であることを示唆する(データは示さず))と矛盾する。それにもかかわらず、これは、NK-92細胞表面上のTRAIL受容体DR4およびDR5の比較的高い発現レベルによって説明される可能性が高い(
図16参照)。
【0149】
(KHYG-1細胞の細胞傷害性に対するTRAIL/TRAIL改変体の効果)
マウス抗ヒトCD2-APC抗体(BD Pharmingenカタログ番号:560642)を使用した。アネキシンV-FITC抗体(ImmunoToolsカタログ番号:31490013)を使用した。DNA色素SYTOX-Green(Life Technologiesカタログ番号:S7020)を使用した。24ウェル細胞培養プレート(SARSTEDT AGカタログ番号:83.3922)を使用した。骨髄性白血病細胞株K562、多発性骨髄腫細胞株RPMI8226およびMM1.Sを標的細胞として使用した。K562、RPMI8226、MM1.Sを、10%FBS、2mM L-グルタミンおよびペニシリン(100U/mL)/ストレプトマイシン(100mg/mL)を含有するRPMI 1640培地中で培養した。上記で説明したように、KHYG-1細胞をTRAIL/TRAIL改変体でトランスフェクトした。標的細胞を洗浄し、1500rpmで5分間の遠心分離によりペレット化した。トランスフェクトしたKHYG-1細胞を0.5×106/mLに希釈した。次いで、標的細胞密度を、1:1のエフェクター:標的(E:T)比を生成するために、予め温めたRPMI 1640培地中で調整した。次いで、0.5mLのKHYG-1細胞および0.5mLの標的細胞を24ウェル培養プレート中で混合し、そして加湿した37℃/5%CO2インキュベーター中に12時間置いた。次にフローサイトメトリー分析を用いてKHYG-1細胞の細胞傷害性をアッセイした。共培養細胞(異なる時点で)を洗浄し、次いでアネキシンV結合緩衝液を用いてCD2-APC抗体(5μL/試験)、アネキシンV-FITC(5μL/試験)およびSYTOX-Green(5μL/試験)で染色した。FlowJo 7.6.2ソフトウェアを用いてデータをさらに分析した。CD2陽性およびCD2陰性ゲートを設定した。これらはそれぞれKHYG-1細胞および標的細胞集団を表す。次いで、CD2陰性集団中のアネキシンV-FITCおよびSYTOX-Green陽性細胞をTRAIL誘導アポトーシスについて分析した。
【0150】
図17、18および19は、3つの標的細胞株:K562(
図17)、RPMI8226(
図18)およびMM1.S(
図19)についてのアポトーシスに対するTRAILまたはTRAIL改変体を発現する両方のKHYG-1細胞の効果を示す。全ての標的細胞集団にとって、KHYG-1細胞上のTRAIL発現が、正常なKHYG-1細胞(TRAILでトランスフェクトされていない)と比較した場合、アポトーシスのレベルを増加させたことは明らかである。さらに、KHYG-1細胞上のTRAIL改変体発現は、野生型TRAILをトランスフェクトしたKHYG-1細胞と比較した場合、全ての標的細胞株においてアポトーシスをさらに増加させた。
【0151】
TRAIL改変体を発現する本発明の細胞は、細胞死受容体DR5に対してより高い親和性を示すことから、癌療法において有意な利点を提供する。本発明のこれらの細胞によって攻撃されると、癌細胞は、特定の経路を介して死を回避するための防御的戦略の進展を妨げられる。したがって、本発明の細胞はそれらがそのような状況において細胞傷害性を維持するように改変されるので、癌はTRAILデコイ受容体をアップレギュレートすることによってTRAIL誘導性細胞死を効果的に回避することはできない。
【0152】
(実施例13:ノックインされたTRAIL改変体を有するNK細胞を用いた血液癌治療のためのプロトコル)
実施例6で上述したように、KHYG-1細胞をTRAIL改変体でトランスフェクトした。以下のプロトコルを、血液癌を有する患者の治療に使用するために開発した。
【0153】
本発明で適切に治療された癌を有する患者の診断に続いて、DR5誘導剤(例えば、ボルテゾミブ)は、改変NK細胞の投与前に投与され、それ故、癌におけるDR5の発現をアップレギュレートするために低用量で使用され、改変NK細胞療法をより効果的にする。次いで、改変NK細胞のアリコートを解凍し、培養し、そして患者に投与する。治療に使用されるNK細胞によって発現されるTRAIL改変体は野生型TRAILよりもデコイ受容体に対する親和性が低いため、癌細胞表面上の細胞死受容体の結合が増加し、したがって結果として癌細胞アポトーシスが増加する。上記のプロトコルを実施する前の別の選択肢は、癌を生検し、癌細胞をエクスビボで培養することである。このステップは、DR5誘導剤が所与の患者に適切であるかどうかを判定するのを助けるために、特に高レベルのデコイ受容体、および/または低レベルの細胞死受容体を発現する癌を同定するために使用され得る。このステップはまた、上記のプロトコルによる治療中に実行され得る。所与の癌は、例えば、DR5の発現を減少させるように適応することが可能であり得るので、治療の途中でDR5誘導剤による治療が適切となり得る。
【0154】
(実施例14:NK細胞TRAIL媒介細胞傷害性に対するプロテアソーム阻害の効果)
ボルテゾミブ(Bt)は、多発性骨髄腫(MM)の治療に有用なプロテアソーム阻害剤(化学療法様薬物)である。ボルテゾミブは、MM細胞を含むいくつかの異なる種類の癌細胞上でDR5発現をアップレギュレートすることが知られている。ボルテゾミブへの曝露の有無にかかわらずMM細胞を標的化するために使用する前に、実施例12に上記したように、KHYG-1細胞をTRAIL改変体でトランスフェクトした。
【0155】
(ボルテゾミブ誘発DR5発現)
ボルテゾミブをMillennium Pharmaceuticalsから購入した。マウス抗ヒトDR5-AF647(カタログ番号:565498)をBD Pharmingenから購入した。染色した細胞サンプルをBD FACS Canto IIで分析した。プロトコルは以下を含んだ:(1)MM細胞株RPMI8226およびMM1.Sを、5%CO
2雰囲気中、37℃にて、2mMのL-グルタミン、10mMのHEPES、24mMの重炭酸ナトリウム、0.01%の抗生物質および10%ウシ胎児血清(Sigma、St Louis、MO、米国)を添加したRPMI1640培地(Sigma、St Louis、MO、米国)中で増殖させた。(2)MM細胞を1×10
6/mL、2mL/ウェルで6ウェルプレートに播種した。(3)次いで、MM細胞を異なる用量のボルテゾミブで24時間処理した。(4)ボルテゾミブ処理/未処理MM細胞におけるDR5発現をフローサイトメトリーにより分析した(
図20)。
図20に示されるように、低用量ボルテゾミブ処置は、両方のMM細胞株においてDR5発現を増加させることが見出された:RPMI 8226細胞では(上)、10nmボルテゾミブを用いて、MFIが273から679になり、MM1.S細胞では(下)、2.5nmのボルテゾミブを用いて、MFIが214から662になった。DR5のアップレギュレーションは、アポトーシスのわずかな誘導と関連していた(データは示さず)。しかし、毒性が高いため、DR5発現は高用量のボルテゾミブではアップレギュレートできず、その結果ほとんどのMM細胞が死滅することがわかった。
【0156】
(癌細胞のボルテゾミブ誘導感作)
実施例12で上述したように、KHYG-1細胞にTRAIL改変体(TRAIL D269H/E195R)をトランスフェクトした。プロトコルは以下のステップを含んだ(1)ボルテゾミブ処理/未処理MM1.S細胞を標的細胞として使用した。MM1.S細胞を2.5nMのボルテゾミブ(右列)またはビヒクル(左列)で24時間処理した。(2)TRAIL改変体mRNAのエレクトロポレーションの6時間後に、KHYG-1細胞を12ウェルプレート中でMM細胞と共に培養した。洗浄後、細胞濃度を1×10
6/mLに調整した後、KHYG-1細胞とMM1.S細胞を培養物に対して1:1の比率で混合し、12時間培養した。(3)KHYG-1細胞の細胞傷害性のフローサイトメトリー分析を行った。共培養細胞を集め、洗浄し、そして次にアネキシンV結合緩衝液を用いてCD2-APC抗体(5μL/試験)、アネキシンV-FITC(5μL/試験)およびSYTOX-Green(5μL/試験)で染色した。(4)FlowJo 7.6.2ソフトウェアを用いてデータをさらに分析した。CD2陰性集団はMM1.S細胞を表す。KHYG-1細胞はCD2に対し強い陽性である。最後に、CD2陰性集団におけるアネキシンV-FITCおよびSYTOX-Green陽性細胞を分析した。アポトーシスのフローサイトメトリー分析を、TRAIL改変体を用いて/用いずにエレクトロポレーションしたKHYG-1細胞と共培養したボルテゾミブ前処理/未処理MM1.S細胞において行った。
図21に示すように、ボルテゾミブは、TRAIL改変体を発現するKHYG-1細胞に対するMM細胞の感受性(47.9%殺傷から70.5%殺傷)を、野生型TRAILを発現する細胞(41.8%殺傷から51.4%殺傷)に対してはるかに高い程度に誘導した。したがって、データは、DR5発現を誘導した薬剤が、モデルにおいて癌細胞に対する細胞傷害性を増大させるのに有効であり、それ故に本発明の癌治療を増強するのに有用であり得ることを示した。
【0157】
(実施例15:CAR構築物の生成)
可変重鎖および軽鎖コード領域をpcDNA3.3(Invitrogen)ベースのベクターp33G1fおよびp33Kappaにそれぞれクローニングした。全ての低親和性抗体は、以前に記載されているように(Vinkら、2014)、293fectin(Invitrogen)を使用してHEK293F細胞において高親和性CD38抗体(WO2011154453およびWO2006099875に記載)由来の重鎖(配列番号1)およびランダム生殖細胞株軽鎖発現ベクター由来の軽鎖を個々に同時トランスフェクトすることによって、無血清条件下で作製した。無細胞上清を回収し、抗体濃度をOctet IgG定量化(ForteBio)によって決定した。この軽鎖交換は、ダラツムマブと比較して、CD38に対する親和性が低減した抗体(この場合はscFv)をもたらす。
【0158】
親和性を測定し、Octet HTX装置(ForteBio)のバイオレイヤー干渉法を用いてランク付けした。抗ヒトIgG Fc捕捉バイオセンサー(ForteBio)に、CD38に対する異なる重鎖および軽鎖の組み合わせを含む1型ヒトIgG(hIgG1)を1,000秒間ロードした。ベースライン(100秒)の後、Sample Diluent(ForteBio)中のN末端Hisタグ付きCD38(His-CD38、100nM)の細胞外ドメインの結合(1,000秒)および解離(1,000秒)を決定した。計算のために、アミノ酸配列に基づくHis-CD38の理論分子量、すなわち30.5kDaを使用した。実験を、1,000rpm、30℃で振とうしながら行った。1:1モデルおよび局所完全適合を使用し、1,000秒の結合時間および250秒の解離時間で、データ分析ソフトウェアv8.0(ForteBio)でデータを分析した。データトレースは、IgG1-3003-028WTを装填しサンプル希釈剤のみとインキュベートした4つの参照バイオセンサーの平均を差し引くことによって補正した。y軸をベースラインの最後の5秒間に合わせ、ステップ間補正とSavitzky-Golayフィルタリングを適用した。
【0159】
Tecan Evo 200リキッドハンドラーを使用して、ヒトCD38特異的抗体についての均質結合アッセイを1,536ウェルマイクロタイタープレート中で用量反応的に実施した。ヒトCD38を一過性に発現するCHO細胞、CHO wtバックグラウンド対照、および精製ビオチン化ヒスチジンタグ化ヒトCD38でコーティングしたストレプトアビジンビーズへのIgG1抗体の結合を、二次ポリクローナルヤギIgG抗ヒトIgG(Fc)-Alexa Fluor 647コンジュゲート(Jackson ImmunoResearch)で検出した。並行して、精製ビオチン化hisタグ化ヒトCD38でコーティングしたストレプトアビジンビーズへのIgG1抗体の結合もまた、一価二次ヤギFab抗ヒトIgG(H+L)-DyLight 649コンジュゲート(Jackson ImmunoResearch)を用いて評価した。IgG1サンプルを標準化し、Freestyle 293発現培地(GIBCO)で希釈した。2mLの希釈サンプルを、それぞれ200ng/mLのIgGコンジュゲートまたは300ng/mLのFabコンジュゲートの二次コンジュゲートを含有する5mLの細胞懸濁液またはビーズ懸濁液に添加した。細胞懸濁液をFMAT緩衝液(PBS、0.1%BSA、および0.02%アジ化ナトリウム)+0.075%プルロニックF-68中で調製した。ビーズ懸濁液をHBB(10mM HEPES[pH7.4]、150mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、1.8mM CaCl2、0.5%BSA、および0.01%アジ化ナトリウム+0.075%Pluronic F-68)中で調製した。暗所で室温(RT)で8時間インキュベートした後、Applied Biosystems 8200 Cellular Detection System(ThermoFisher Scientific)を用いて、50カウントカットオフ値を適用して蛍光シグナルを記録した。得られた全蛍光強度データを処理し、ActivityBaseソフトウェア(IDBS)を用いて可視化した。
【0160】
選択された可変軽鎖B1(配列番号23)および可変重鎖(配列番号1)を、相同性アームを含むプライマー(配列番号8~22)を用いたPCRを用いて増幅し、そしてGibsonアセンブリ(NEB)を用いて両方の鎖をG4Sリンカーと連結させて組み合わせた。Zhaoら(2015)にT細胞について記載されているように、生成されたscFvをSFGレトロウイルスベクターにクローニングし、続いてCD8a膜貫通ドメインおよび下記の共刺激ドメインの1つにクローニングした。CAR構築物を2A配列によって短縮型NGFRまたはdsRed配列に連結した(Kimら、2011)。
【0161】
(実施例16:レトロウイルス粒子の生成)
Phoenix-Amphoパッケージング細胞を、CAR構築物、gag-pol(pHIT60)、およびエンベロープ(pCOLT-GALV)ベクター(Roche)を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後および3日後に、レトロウイルス粒子を含む無細胞上清を回収し、直接形質導入に使用した。
【0162】
KHYG-1細胞を、レトロネクチン(Takara)被覆プレート上でのスピノキュレーションを用いてレトロウイルス形質導入した。16時間後に2回目の形質導入を行った。形質導入の72時間後に、CD38発現をフローサイトメトリーによって決定した。形質導入したKHYG-1細胞を培養した。1週間後、CAR形質導入NK細胞を照射(5Gy)UM9細胞(エフェクター対標的[E:T]比1:3)で刺激するかまたは機能的に試験した。
【0163】
(実施例17:MM患者および健康な個体由来の初代細胞)
5%~40%の悪性形質細胞を含むBM単核細胞(MNC)を、MM患者のBM吸引液からフィコール-パック密度遠心分離によって単離し、直接使用するかまたは使用するまで液体窒素中で凍結保存した。PBMC/MNCは、Ficoll-Paque密度遠心分離によって健康な血液バンクドナーのBuffyコートから単離された。全ての初代サンプルは、インフォームドコンセントおよび医療倫理委員会による承認の後に得た。
【0164】
(実施例18:CD38-CAR発現NK細胞の増強された細胞傷害性)
CD38に対する低親和性キメラ抗原受容体(CD38-CAR)を含むまたは含まないKHYG-1細胞を異なるエフェクター:標的(E:T)比でUM9細胞と共培養した。CD38-CAR KHYG-1細胞の3つの改変体を試験した:BBz B1、28z B1および28z BBL B1。これらの改変体は、共刺激ドメイン41BB-CD3ζ、CD28-CD3ζおよびCD28/4-1BBプラスリガンドにそれぞれ対応する(41BB=配列番号42;CD3ζ=配列番号41;およびCD28=配列番号43)。
【0165】
細胞傷害性を、PerkinElmerからのDELFIA EuTDA Cytotoxityell Kit(カタログ番号:AD0116)を使用して、共培養の4時間後に測定した。標的細胞UM9を、10%FBS、2mM L-グルタミンおよび抗生物質を含有するRPMI-1640培地中で培養した。96ウェルV底プレート(カタログ番号:83.3926)をSARSTEDTから購入した。エッペンドルフ遠心分離機5810R(プレートローター付き)を用いてプレートを回転させた。VARIOSKAN FLASH(ScanItソフトウェア2.4.3を含む)を使用して、溶解したUM9細胞によって生成された蛍光シグナルを測定した。UM9細胞を培地で洗浄し、細胞数を培地で1×106細胞/mLに調整した。2~4mLの細胞を5μlのBATDA試薬に添加し、そして37℃で10分間インキュベートした。細胞内で、エステル結合は加水分解されて親水性リガンドを形成し、これはもはや膜を通過しない。細胞を1500rpmで5分間遠心分離して、ロードしたUM9細胞を洗浄した。1mMのプロベネシド(Sigma P8761)を含有する培地を用いてこれを3~5回繰り返した。最後の洗浄後、細胞ペレットを培地に再懸濁し、そして約5×104細胞/mLに調整した。バックグラウンド、自然放出および最大放出の検出のためにウェルを準備した。100μLのロードした標的細胞(5,000細胞)をV底プレートのウェルに移し、100μLのエフェクター細胞(KHYG-1細胞)を様々な細胞濃度で添加して、0.5:1から2:1までの範囲のE:T比を得た。プレートを100×gで1分間遠心分離し、そして37℃の加湿5%CO2雰囲気中で4時間インキュベートした。最大放出ウェルについては、培地を回収する15分前に10μLの溶解緩衝液を各ウェルに添加した。プレートを500×gで5分間遠心した。20μLの上清を平底96ウェルプレートに移し、200μLの予熱したユーロピウム溶液を加えた。これをプレートシェーカーを用いて室温で15分間インキュベートした。UM9細胞はKHYG-1細胞によって溶解されるので、それらは培地にリガンドを放出する。このリガンドは次にユウロピウム溶液と反応し、溶解細胞の量と直接相関する蛍光キレートを形成する。次に、VARIOSKAN FLASHを用いて時間分解蛍光光度計で蛍光を測定した。以下の式を用いて比放出を計算した:比放出=実験放出-自然放出/最大放出-自然放出。Graphpad Prism 6.04ソフトウェアを用いて統計分析を行った。対応のあるt検定を使用して、CD38-CAR KHYG-1細胞と対照群との間の差を比較した。
【0166】
(生物発光イメージングに基づく細胞傷害性アッセイ)
CD38によるLuc-GFP形質導入ヒト悪性細胞株の溶解を決定すること。
【0167】
形質導入の7~10日後のCAR NK細胞、モックまたはCD38-CAR NK細胞の段階希釈液を悪性細胞株と共インキュベートした。16~24時間後、生残悪性細胞によって生成されたルシフェラーゼシグナルを、125mg/mLのカブトムシルシフェリン(Promega)の添加後15分以内にGloMax 96 Micro-plate Luminometer(Promega)を用いて測定した。溶解細胞%=1(処理ウェル中の生物発光イメージング[BLI]シグナル/未処理ウェル中のBLIシグナル)100%。
【0168】
細胞の約50%のみが形質導入に成功したにもかかわらず、CD38-CAR KHYG-1細胞を含有する共培養物において、比放出が有意に増加することが見出された。これは、E:T比が0.5:1でCD38-CAR KHYG-1細胞を41BB-CD3ゼータ共刺激ドメインと共に用いた場合を除いて、全てのE:T比でそうであった(
図22参照)。CD38-CARを保有するエフェクター細胞のより高純度のサンプルにおいて、より強力な細胞傷害性効果が予想され得る。蛍光は細胞溶解と直接相関するので、KHYG-1細胞におけるCD38-CAR発現はUM9癌標的細胞を殺傷するそれらの能力の増加をもたらすことが確認された。
【0169】
(フローサイトメトリーに基づく細胞傷害性アッセイ)
形質導入の7~10日後、CD38-CAR-KHYG-1細胞の段階希釈物をVioletトレーサー(Thermo Fisher)で標識したBM-MNCまたはPBMCと共に14時間インキュベートした。フローカウントフルオロスフェア(Beckman 7547053)を添加した後、細胞を採取し、CD38および/またはCD138について染色した。次いで生存細胞をフローカウント均等化測定により定量的に分析した。分析された標的細胞集団が未処理サンプル中に500個を超える生存細胞を含んでいた場合に限り、細胞溶解百分率を以下のように計算した:溶解細胞%=1(処理ウェル中の生存標的細胞の絶対数/未処理ウェル中の生存標的細胞の絶対数)100%。
【0170】
2つのタイプのゲートを用いて初代MM細胞を分析した:非常に明るいCD138+/CD38+細胞対全てのCD138+/CD38細胞(
図25および26参照)。サブセット間の結果では、差異は最小であり、有意ではなかった。初代MM細胞はCD38-CAR-KHYG-1誘導細胞死に対して感受性があった。
図23および24に見られるように、CD28-CD3ゼータを含有するCARを使用した場合(28zB1)、初代MM細胞の最も顕著な殺傷が観察された。CD38+/CD138-細胞(正常な非悪性CD38発現細胞)の殺傷は、最小限であるかまたは全く観察されなかった(
図25および26参照)。それ故、この細胞は、CAR-NK細胞によって標的とされないようであった。
【0171】
したがって、「低親和性」CD38 CAR-NK細胞は、CD38を発現する正常な非悪性細胞において有害なオンターゲットオフ癌効果を引き起こすことなく、CD38発現癌細胞を標的として殺傷する能力を有することが示された。
【0172】
本明細書では本発明の好ましい実施形態を示し説明してきたが、そのような実施形態は例としてのみ提供されていることは当業者には明らかである。本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が当業者に生じ得る。本明細書中に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。
【0173】
【0174】
【配列表】