(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】金網枠ユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 21/08 20060101AFI20230217BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20230217BHJP
E04H 17/18 20060101ALI20230217BHJP
B65D 19/38 20060101ALI20230217BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20230217BHJP
B65D 61/00 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
B65D21/08
E04H17/16 105Z
E04H17/18
B65D19/38 B
B65F1/00 A
B65D61/00 G
(21)【出願番号】P 2020096862
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390019323
【氏名又は名称】小岩金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良則
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070607(JP,A)
【文献】実開昭62-194534(JP,U)
【文献】実開昭56-176332(JP,U)
【文献】特開2008-254809(JP,A)
【文献】特開昭50-042690(JP,A)
【文献】米国特許第02840257(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/08
B65D 61/00-63/18
E04H 17/00-17/26
B65D 19/00-19/44
B65F 1/00
B65D 6/00-13/02
B65D 5/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4枚の金網パネルと、
長尺状の複数の閂部材と、を備え、
前記4枚の金網パネルはそれぞれ、複数の縦線材及び角部を有する複数の横線材を縦横に組み合わせて、実質的に直交する第1面及び第2面を構成してなる、平面視略L字形状
を呈し、前記第1面及び/又は前記第2面の網目の一部に、前記複数の横線材の内少なくとも2本の横線材における同一の箇所を、前記第1面及び/又は前記第2面の片面側に突起するように折り曲げてなる、連結部を
有し、
前記第1面及び前記第2面を相互に少なくとも一部ずつ重ねて、前記4枚の金網パネルを平面視矩形の枠状に組み、
各前記金網パネルの前記連結部を、隣接する前記金網パネルの前記第1面又は前記第2面の網目の内、前記複数の金網パネル間の内寸に対応する網目から反対面に突出させ、
前記反対面に突出した連結部内に前記閂部材を縦方向に挿入することで、前記4枚の金網パネルを相互に固定して、任意の寸法の内部空間を構成したことを特徴とする、
金網枠ユニット。
【請求項2】
前記連結部が、前記連結部を有する面の横線材と実質的に平行する連結平行辺と、前記連結平行辺と前記横線材を接続する2本の連結側辺と、からなる、平面視略コの字状又は平面視略鍋底状を呈することを特徴とする、請求項1に記載の
金網枠ユニット
【請求項3】
前記閂部材が、前記連結部内に挿入可能な差込部と、前記差込部の頭部を曲折してなる係止部と、からなることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の金網枠ユニット。
【請求項4】
前記閂部材が、長尺状の板状体からなることを特徴とする、請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の金網枠ユニット。
【請求項5】
荷役用パレットと、複数の梁材と、を備え、前記4枚の金網パネルが前記荷役用パレットの外周を囲み、前記複数の梁材が、前記荷役用パレットの下方又は内部を通り、対向する2枚の前記金網パネルの網目を連通していることを特徴とする、請求項
1乃至
4のいずれか一項に記載の金網枠ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金網パネル及び金網枠ユニットに関し、簡単な作業によって現場で任意に内寸を調整可能な金網パネル、及びこれを組んでなる金網枠ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
荷役用パレットの荷崩れ防止柵、布団籠、建設現場における廃棄物回収籠、繊維製布団籠の中詰用の型枠、移動動物園のゲージ等の様々な用途に、金網製の枠体が利用されている。
特許文献1には、矩形のフレーム内にワイヤメッシュを展設した4枚のパネル材を平面視矩形に剛結してなる固定式の荷崩れ防止柵が開示されている。この他、例えば溶接金網の一体構造からなる固定式の金網枠が存在する。
特許文献2には、6枚の金網を連結具でヒンジ連結してなる折り畳み式の廃棄物回収籠が開示されている。この他、例えば4枚の溶接金網を連結コイルで連結してなる折り畳み式の金網枠が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-341864号公報
【文献】実用新案登録第3099138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
<1>金網枠には用途に応じて様々なサイズがある。しかし、従来技術の金網枠は、パネル間の間隔を調整することができないため、単一のサイズにしか対応できない。例えば、包囲する対象物が金網枠の内寸より大きい場合には、別途対象物の大きさに対応する金網枠を準備する必要があり、コストが嵩む。一方、包囲する対象物が金網枠の寸法より小さい場合には、金網枠と対象物の間に無駄な空間が生じ、また金網枠の外形が、必要以上に広い空間を占有する。
<2>荷崩れ防止柵のように対象物を包囲する用途で用いる場合、対象物の設置後に金網枠を対象物の上方から吊り下ろすか、又は金網枠の設置後に対象物を金網枠の内部に吊り下ろす必要があり、設置のためにクレーン等の重機が必要となる。
<3>固定式の金網枠は、折り畳んだり、重ねることができないため、荷姿が悪く、保管時や運搬時に空間を広く占有する。
<4>ヒンジ連結式の金網枠は、角部が回動するため変形しやすく、保形性に欠ける。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の金網パネルは、複数の縦線材及び角部を有する複数の横線材を縦横に組み合わせて、実質的に直交する第1面及び第2面を構成してなる、平面視略L字形状を呈し、第1面及び/又は第2面の網目の一部に、複数の横線材の内少なくとも2本の横線材における同一の箇所を、第1面及び/又は第2面の片面側に突起するように折り曲げてなる、連結部を設けたことを特徴とする。
【0006】
本発明の金網パネルは、連結部が、連結部を有する面の横線材と実質的に平行する連結平行辺と、連結平行部と横線材を接続する2本の連結側辺と、からなる、平面視略コの字状又は平面視略鍋底状を呈していてもよい。
【0007】
本発明の金網枠ユニットは、4枚の金網パネルと、長尺状の複数の閂部材と、を備え、第1面及び第2面を相互に少なくとも一部ずつ重ねて、4枚の金網パネルを平面視矩形の枠状に組み、各金網パネルの連結部を、隣接する金網パネルの第1面又は第2面の網目の内、複数の金網パネル間の内寸に対応する網目から反対面に突出させ、反対面に突出した連結部内に閂部材を縦方向に挿入することで、4枚の金網パネルを相互に固定して、任意の寸法の内部空間を構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明の金網枠ユニットは、閂部材が、連結部内に挿入可能な差込部と、差込部の頭部を曲折してなる係止部と、からなってもよい。
【0009】
本発明の金網枠ユニットは、閂部材が、長尺状の板状体からなってもよい。
【0010】
本発明の金網枠ユニットは、荷役用パレットと、複数の梁材と、を備え、4枚の金網パネルが荷役用パレットの外周を囲み、複数の梁材が、荷役用パレットの下方又は内部を通り、対向する2枚の金網パネルの網目を連通していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金網パネル及び金網枠ユニットは、以上の構成を備えるため、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>簡単な作業で金網パネル間の内寸を自由に設定できるため、様々な用途に利用することができる。また、内部空間を必要最小限度のサイズに構成することで、占用面積を最小限に抑えて、空間を有効利用することができる。
<2>対象物を包囲する用途で用いる場合、対象物の配置後に外側から組み立てることができるため、設置作業にクレーン等の重機が必要ない。
<3>複数の金網パネルに分解して重ねることができるため、小さな空間で保管することができる。
<4>金網枠ユニットを構成する各金網パネルが固有の角部を有するため、変形しにくく堅牢である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】本発明の金網枠ユニットの組み立て方法の説明図(1)。
【
図5】本発明の金網枠ユニットの組み立て方法の説明図(2)。
【
図6】本発明の金網枠ユニットの内寸調整機能の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の金網パネル及び金網枠ユニットについて詳細に説明する。
なお、本発明における「上」「下」「縦」「横」等の方位は、特段の記載がない限り、金網枠ユニットを組み立てて供用している状態における各方位を意味する。
【実施例1】
【0014】
[金網枠ユニット]
<1>全体の構成(
図1)。
本発明の金網枠ユニット1は、複数の金網パネル10を組み合わせてなる、内寸調整自在の枠体である。
金網枠ユニット1は、枠状に組んだ4枚の金網パネル10と、金網パネル10を相互に連結する複数の閂部材20と、を少なくとも備える。
金網枠ユニット1の内部には、4枚の金網パネル10によって少なくとも側面を囲まれた、内部空間Sが構成される。
金網枠ユニット1は、例えば荷役用パレットの荷崩れ防止柵、布団籠、建設現場における廃棄物回収籠、繊維製布団籠の中詰用の型枠、移動動物園のゲージ等、様々な用途に利用することができる。
なお、金網枠ユニット1を荷崩れ防止柵として用いる例については実施例2にて説明する。
【0015】
<2>金網パネル(
図2)。
金網パネル10は、内部空間Sの側周を画定するパネル部材である。
金網パネル10は、複数の縦線材10aと角部を有する複数の横線材10bとを縦横に組み合わせてなる。
詳細には、金網パネル10は、直線状の複数の縦線材10aと、L字状の複数の横線材10bとを交点で溶接してなり、実質的に直交する第1面11と第2面12を有する、平面視略L字形状を呈する。
本例では、金網パネル10の第1面11の網目の一部に連結部13を形成する。なお、連結部13の位置はこれに限らず、第2面12に形成しても、第1面11と第2面12の双方に形成してもよい。
金網パネル10のサイズ、すなわち幅、奥行き、高さの各寸法は、金網枠ユニット1の用途や目的に応じて適宜設定することができる。
【0016】
<2.1>連結部(
図3)。
連結部13は、金網パネル10間の位置決め機能と固定機能とを併有する部分である。
連結部13は、少なくとも2本の横線材10b上の中間部において、同一の箇所を片面側に突起するように折り曲げてなる。
本例では、全ての横線材10bを、第1面11上における最も端部側の縦線材10aとこれと隣り合う縦線材10aの間で、金網パネル10のL字形状の内側方向に折り曲げて構成する。
詳細には、連結部13は、第1面11の横線材10bと実質的に平行する連結平行辺13aと、連結平行辺13aと横線材10bを接続する、ハの字状に開いた2本の連結側辺13bと、からなる、平面視略鍋底状を呈する。
ただし連結部13はこれに限らず、平面視略コの字形状、すなわち連結平行辺13aと2本の連結側辺13bとが直角に接続する形状であってもよい。あるいは平面視略半円形状、平面視略三角形状等であってもよい。
連結部13の幅、本例で言えば2つの連結側辺13bの基端の間の幅は、隣り合う縦線材10aの間隔より小さくする。
【0017】
<3>閂部材(
図2)。
閂部材20は、隣接する2枚の金網パネル10を固定するための部材である。
本例では閂部材20として、長尺状の差込部21と、差込部21の頭部を曲折した係止部22と、からなる板状体を採用する。
差込部21の長さは、金網パネル10の高さに対応させる。
本例では、閂部材20の差込部21が板状であるため、金網パネル10の連結時、差込部21が連結部13の連結側辺13bを面で抑えることができる。このため、2枚の金網パネル10間にがたつきが生じにくく、パネル同士が回動しにくいため、2枚の金網パネルをより確実に連結することが可能となる。
ただし閂部材20の形状はこれに限らず、例えば連結部13が平面視略半円形状や平面視略三角形状等の場合には、これらの連結部13の形状に対応させて、断面円形や、断面正方形、断面三角形の鋼棒等を採用してもよい。
【0018】
<4>金網枠ユニットの組み立て方法。
本発明の金網枠ユニット1は、例えば次の手順で組み立てる。
2枚の金網パネル10を接続する。詳細には、第1の金網パネル10の第2面12の外側から第2の金網パネル10の第1面11を重ね、第2の金網パネル10の連結部13を第1の金網パネル10の第2面12の網目に挿入して、反対面から突出させる。ここで、連結部13を挿入する網目の位置は、両金網パネル10間の間隔に応じて適宜選択する。
続いて、第1の金網パネル10の網目から突出した、第2の金網パネル10の連結部13内に、上方から閂部材20の差込部21を差し入れる(
図4)。
この際、閂部材20の係止部22が、第1の金網パネル10の最上段の横線材10bに引っ掛かることで、閂部材20が連結部13の下方に抜け落ちるのを防ぐことができる。
同様にして、第2の金網パネル10の第2面12に第3の金網パネル10の第1面11を重ねて、閂部材20で連結する。
最後に、第1の金網パネル10と第3の金網パネル10の間に第4の金網パネル10の第2面12を差し入れて(
図5)回転させることで、第4の金網パネル10の第1面11と第2面12を、それぞれ第1の金網パネル10の第1面11と、第3の金網パネル10の第2面12に重ね合わせ、閂部材20によって連結する。
なお、金網枠ユニット1の組み立て方法は上記に限らず、例えば予め金網パネル10を2枚ずつ連結して、2つの金網パネル10セットを制作し、最後に2つの金網パネル10セット同士を連結して組み立ててもよい。
【0019】
<5>金網枠ユニットの内寸調整機能(
図6)。
本発明の金網枠ユニット1は、金網パネル10間の内寸を自由に設定可能な内寸調整機能を有する。
具体的には、例えば以下の手順で調整する。なお、本項における「縦」「横」の方位は
図6における各方位を指す。
図6(a)のような縦長の内部空間Sを有する金網枠ユニット1において、まず、左面及び右面にあたる2枚の第1面11の連結部13から、閂部材20を抜く。
左面及び右面の連結部13を、第2面12の網目から外し、金網パネル10をスライドさせて前面と後面の間隔を狭める。スライド後の網目において連結部13に閂部材20を差し込んで、金網パネル10を前後方向に再固定する。
続いて、前面及び後面にあたる2枚の第1面11の連結部13から、閂部材20を抜く。
前面及び後面の連結部13を、第2面12の網目から外して、左面と右面の間隔を広げた位置の網目に嵌め込む。スライド後の網目において連結部13に閂部材20を差し込んで、左右方向に再固定する。
以上の簡単な作業によって、金網枠ユニット1の内寸を、縦長(
図6(a))から横長(
図6(b))へと調整することができる。
【実施例2】
【0020】
[金網枠ユニットを荷崩れ防止柵として用いる例]
本例では、金網枠ユニット1を、荷役用パレット30の荷崩れ防止柵として使用する場合について説明する(
図7)。
本例の金網枠ユニット1は、金網パネル10、閂部材20に加えて、荷役用パレット30と、複数の梁材40と、を備える。
本例では荷役用パレット30として、材木をすのこ状に組んだ上下2枚の面材の間に、フォークリフトの爪を差し込む中空部を設けた、木製のパレットを採用する。
ただし荷役用パレット30はこれに限らず、樹脂製パレット、金属製パレットなどを採用してもよい。荷役用パレット30の構造は公知なので、ここでは詳述しない。
梁材40は、荷役用パレット30の中空部または下部に通して、両端を金網パネル10の網目から外側に突出させる。
本例では梁材40として、両端の上面に吊りベルト連結用のアイボルトを付設した、2本の角形鋼管を採用する。
ただし梁材40はこれに限らず、円形鋼管、鋼棒、鋼板などを採用してもよい。梁材40の本数も2本に限らず、3本以上であってもよい。
荷役用パレット30上に積み荷を積載した後、4枚の金網パネル10で、荷役用パレット30ごと積み荷の側方を囲み、荷役用パレット30の外形に対応する内寸で金属パネル10同士を閂部材20で固定する。
続いて、複数の梁材40を、荷役用パレット30の内部に通し、対向する2枚の金網パネル10の網目を連通する。
荷役用パレット30の吊り上げ時には、梁材40両端のアイボルトにベルトやワイヤ等を挿通して重機で吊り上げる。
本例の場合、荷役用パレット30の規格に合わせて、現場で容易に荷崩れ防止柵を構築することができる。また、積み荷を荷役用パレット40上に積載した後に落下防止柵を設置できるため、荷崩れ防止柵が積載作業の邪魔にならないので作業効率がよい。
【符号の説明】
【0021】
1 金網枠ユニット
10 金網パネル
10a 縦線材
10b 横線材
11 第1面
12 第2面
13 連結部
13a 連結平行辺
13b 連結側辺
20 閂部材
21 差込部
22 係止部
30 荷役用パレット
40 梁材
S 内部空間