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  • 特許-縦型粉砕機の粉砕及び整形方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-16
(45)【発行日】2023-02-27
(54)【発明の名称】縦型粉砕機の粉砕及び整形方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20230217BHJP
   B02C 25/00 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
B02C17/16 A
B02C25/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021547679
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2020080719
(87)【国際公開番号】W WO2021142930
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】202010043324.9
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521358017
【氏名又は名称】厦門艾思欧標准砂有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xiamen ISO Standard Sand Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】No.45, Yanghe Road, Xinyang Industrial Zone, Haicang District, Xiamen,Fujian,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】孫志勝
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-039352(JP,A)
【文献】特表2010-517739(JP,A)
【文献】特開昭55-129942(JP,A)
【文献】国際公開第2008/092542(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110433925(CN,A)
【文献】特開昭49-112259(JP,A)
【文献】実開昭54-170471(JP,U)
【文献】米国特許第04242002(US,A)
【文献】中国実用新案第208928298(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第85107923(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体又は顆粒の粉砕及び整形に用いられる縦型粉砕機の粉砕及び整形方法であって、
設備モデル選択、粉砕媒体添加、縦型粉砕機起動、パラメータ調整、供給粉砕及び吐出を順次含み、
前記設備モデル選択では、粉砕対象の原料に応じて適切な螺旋ロータのピッチ/直径の比の縦型粉砕機を選択し、
前記粉砕媒体添加では、粉砕原料の粒子径及び製品の粒子径の要件に応じて粉砕媒体のグレーディング及び充填係数を決定し、この粉砕原料を縦型粉砕機の粉砕室に加え、
前記縦型粉砕機起動では、集塵器、送風装置、駆動装置、フィード装置を順次起動させることを含み、駆動装置は螺旋ロータを回転駆動し、送風装置は粉砕室のボトムから上へ送風し、
前記パラメータ調整では、縦型粉砕機の螺旋ロータの回転数を調整することで、原料及び粉砕媒体の粉砕室での循環速度を変え、粉砕室内の原料流速を変え、
前記供給粉砕では、粉砕室の上端の供給口から供給して粉砕を行い、
前記吐出では、吐出装置を開いて、粉砕室の下端の排出口から吐出し、
縦型粉砕機の螺旋ロータの回転数を調整することにより、粉砕媒体が得るエネルギーが原料の粉砕に必要なエネルギーを満たし、粉砕及び整形の効果を最適化させる役割を果たし、縦型粉砕機の螺旋ロータの線速度は0.5~20m/sであり、縦型粉砕機の臨界線速度は
m/sであり、作業線速度は
であり、ここで、Rは粉砕室の内側壁の半径である、ことを特徴とする縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項2】
前記設備モデル選択では、螺旋ロータのピッチ/直径の比が、原料のモース硬度に応じて選択され、原料のモース硬度が徐々に増大する場合、縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が徐々に減少する、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項3】
前記原料のモース硬度が1~6とされる場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比は0.70~1.2である、ことを特徴とする請求項2に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項4】
前記粉砕媒体の最大ボール径が
であり、
式中、dmaxは原料中の最大顆粒の粒子径であり、粉砕媒体の最小ボール径が粉砕製品の粒度の要件に応じて決定され、粒子径が小さいほど配合する最小ボール径が小さく、
である、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項5】
前記粉砕媒体の充填係数は30~70%である、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項6】
前記粉砕室の内側壁には円弧面付き裏板が設けられ、前記円弧面付き裏板は厚さが50~100mmであり、材質が耐摩耗性コランダムであり、前記螺旋ロータには螺旋裏板が設けられ、前記螺旋裏板も耐摩耗性コランダムを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項7】
前記送風装置が粉砕室内に送風する風圧は0~0.1MPaである、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項8】
前記フィード装置は粉砕室内に入った原料量を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【請求項9】
前記吐出装置には、吐出量を制御する流量弁が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の縦型粉砕機の粉砕及び整形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縦型粉砕機の技術分野、特に縦型粉砕機の粉砕及び整形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用縦型粉砕機は伝統産業の基礎設備であり、鉱山、電力、鉄鋼、セメント、セラミックなどの産業に広く利用されており、使用量が大きく、使用範囲が広く、設備が巨大であり、大量のエネルギーが消費される。1882年にデンマークのスミス会社がセメント用チューブ状縦型粉砕機を生産して以来、産業用管縦型粉砕機には実質的な改良が行われていない。現在、伝統的な産業で使用される産業チューブ状縦型粉砕機は、効率が低下し、エネルギー利用率が2~3%しかなく、95%以上の電気エネルギーが廃熱や騒音に変換される。
【0003】
現在、粉砕セメントなどの乾式粉体用のプロセス設備として、ローラープレス(縦型ローラーミル)付きチューブ状縦型粉砕機であっても縦型ローラーミルシステムであっても、欠陥が存在し、第一に投資が高く、第二に稼働率が低く、第三に運行費用が高く、第四に消費電力が高く、第五に騒音が大きく、第六に製品による重金属汚染が深刻であり、第七に特に粉砕セメント製品の顆粒の形態(球状度、アスペクト比)が悪く、最終的なコンクリート製品の作業性能、緻密度、耐久性に悪影響を与え、これは世界的な課題である。
【0004】
したがって、エネルギー消費量が低く、稼働率が高く、騒音が小さく、運行費用が低く、製品の品質(顆粒の形態)が良好であり、投資が低い環境配慮型の技術は新しい粉砕及び整形設備(縦型粉砕機)を必要とし、これは従来の他の粉砕設備(システム)では実現できない。
【0005】
これに鑑み、本発明者は特に縦型粉砕機の粉砕及び整形方法を設計し、本出願を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の技術案は以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
粉体又は顆粒の粉砕及び整形に用いられる縦型粉砕機の粉砕及び整形方法であって、
設備モデル選択、粉砕媒体添加、縦型粉砕機起動、調整パラメータ、供給粉砕及び吐出を順次含み、
前記設備モデル選択では、粉砕対象の原料に応じて適切な螺旋ロータのピッチ/直径の比の縦型粉砕機を選択し、
前記粉砕媒体添加では、粉砕原料の粒子径及び製品の粒子径の要件に応じて粉砕媒体のグレーディング及び充填係数を決定し、この粉砕原料を縦型粉砕機の粉砕室に加え、
前記縦型粉砕機起動では、集塵器、送風装置、駆動装置、フィード装置を順次起動させることを含み、駆動装置は螺旋ロータを回転駆動し、送風装置は粉砕室のボトムから上へ送風し、
前記パラメータ調整では、縦型粉砕機の螺旋ロータの回転数を調整することで、原料及び粉砕媒体の粉砕室での循環速度を変え、粉砕室内の原料流速を変え、
前記供給粉砕では、粉砕室の上端の供給口から供給して粉砕を行い、
前記吐出では、吐出装置を開いて、粉砕室の下端の排出口から吐出する。
【0008】
さらに、前記設備モデル選択では、螺旋ロータのピッチ/直径の比が、原料のモース硬度に応じて選択され、原料のモース硬度が徐々に増大する場合、縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が徐々に減少し、具体的には、原料のモース硬度が小さい場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が大きく、原料のモース硬度が大きい場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が小さい。
【0009】
さらに、前記原料のモース硬度が1~6とされる場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比は0.70~1.2である。
【0010】
【0011】
さらに、V臨界は以下のように導出される。
【0012】
臨界回転数は、粉砕球がミルの内側壁で回転するときに、遠心力により生成した摩擦力が球の重力に等しいと、球が上下で往復することを停止するものを指し、ここで、
【0013】
【0014】
さらに、前記粉砕媒体の充填係数は30~70%である。
【0015】
さらに、前記粉砕室の内側壁には円弧面付き裏板が設けられ、前記円弧面付き裏板は厚さが50~100mmであり、材質が耐摩耗性コランダムであり、前記螺旋ロータには螺旋裏板が設けられ、前記螺旋裏板も耐摩耗性コランダムを用いる。
【0016】
さらに、前記送風装置が粉砕室内に送風する風圧は0~0.1MPaである。
【0017】
さらに、前記フィード装置は粉砕室内に入った原料量を計測する。
【0018】
さらに、前記吐出装置には、吐出量を制御する流量弁が設けられる。
【0019】
セメントの粉砕整形を例として、本考案の方法を用いると、以下の利点がある。
1.中央粒子径D50が30~40μmの乾式粉体(クリンカー粉)を中央粒子径15μm以下に粉砕することで、顆粒の形態(アスペクト比、真円度)を大幅に改善する。
2.セメント粉砕ワークショップへの投資が30~50%低下し、建設や取り付け・試運転の時間が50%程度短縮され、新設ワークショップの面積が従来の50%程度に減少する。
3.運行コストが50%低下し、稼働率が95%と高くなり、粉砕媒体の摩耗が2/3低下し、すべり軸受や潤滑ステーションが必要とされず、潤滑油(グリース)や冷却水の消費が減少する。
4.セメント粉砕において省エネ化や騒音低減を可能とし、消費電力を8~10kWh/t節約し、CO排出を減少させる。騒音を75デシベル低くし、現場の操作者の作業環境を改善する。
5.セメント粉砕テーションのモバイルモジュール化を可能とする
6.重金属の含有量が基準を満たす環境配慮型セメント製品が得られ、環境汚染や人体へ害が低減する。
【0020】
人工砂の粉砕整形を例として、本発明の方法を用いると、以下の利点がある。
1.粉砕整形後の人工砂は顆粒の形態(アスペクト比、真円度)が大幅に改善し、アスペクト比が10%以上低下し、真円度が5%以上向上する。
2.粉砕整形後の人工砂の総合的なモルタル流動性が8%以上向上する。
3.粉砕整形後の人工砂で製造されるコンクリートは作業性能が大幅に改善し、緻密度が大幅に向上し、耐用年数が長くなる。
4.粉砕整形後の人工砂で製造されるコンクリートは強度や安定性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
ここで説明する図面は本発明をさらに理解するために提供され、本発明の一部を構成し、本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するために使用され、本発明を不適に限定するものではない。
図1】本発明の構造模式図である。
図2】本発明の部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術案及び有益な効果をより明確かつ明瞭にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0023】
縦型粉砕機の粉砕及び整形方法であって、該方法は主に図1図2のシステムを用い、該システムは粉砕室、駆動装置、送風装置、フィード装置、吐出装置及び集塵器を含み、前記駆動装置は粉砕室の上方に固定して設けられ、フィード装置は粉砕室の上端の供給口に接続され、吐出装置は粉砕室の下端の排出口に接続され、本考案の方法は、設備モデル選択、粉砕媒体添加、縦型粉砕機起動、調整パラメータ、供給粉砕及び吐出を順次含み、
前記設備モデル選択では、粉砕対象の原料に応じて適切な螺旋ロータのピッチ/直径の比を有する縦型粉砕機を選択し、螺旋ロータのピッチ/直径の比は原料のモース硬度に応じて選択され、原料のモース硬度が徐々に増大する場合、対応する縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が徐々に減少し、具体的には、原料のモース硬度が小さい場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が大きく、原料のモース硬度が大きい場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比が小さく、好ましくは、前記原料のモース硬度は1~6であり、このような場合、選択される縦型粉砕機の螺旋ロータのピッチ/直径の比は0.70~1.2であり、
前記粉砕媒体添加では、粉砕原料の粒子径及び製品の粒子径の要件に応じて粉砕媒体のグレーディング及び充填係数を決定し、この粉砕原料を縦型粉砕機の粉砕室に加え、前記粉砕室の内側壁には円弧面付き裏板が設けられ、前記円弧面付き裏板は厚さが50~100mmであり、材質が耐摩耗性コランダムであり、前記螺旋ロータには螺旋裏板が設けられ、前記螺旋裏板も耐摩耗性コランダムを用い、
前記縦型粉砕機起動では、集塵器、送風装置、駆動装置、フィード装置を順次起動させることを含み、駆動装置は螺旋ロータを回転駆動し、送風装置は粉砕室のボトムから上方へ送風し、主に粉砕室内への換気や原料の顆粒の分散性及び原料吐出の順調さを改善することに用いられ、具体的には、前記送風装置は、粉砕室内に送風する風圧が0~0.1MPaであり、縦型粉砕機の内温及び原料の流出の状況に応じて、粉砕機への風量を調整することで、縦型粉砕機の内温を120℃低くし、セメント粉砕中の石膏の脱水を回避し、
前記パラメータ調整では、縦型粉砕機の螺旋ロータの回転数を調整することで、原料及び粉砕媒体の粉砕室での循環速度を変え、粉砕室内の原料の流速を変え、
前記供給粉砕では、粉砕室の上端の供給口から供給して粉砕を行い、フィード装置で粉砕室に入った原料量を計測し、
前記吐出では、吐出装置を開いて、粉砕室の下端の排出口から吐出し、吐出装置には、吐出量を制御する流量弁が設けられ、流量弁及びロータがフィードバック信号を計測して排出量と投入量のバランスを制御し、さらに粉砕製品の粒度を制御することを含む。
【0024】
【0025】
さらに、V臨界は以下のように導出される。
【0026】
臨界回転数は、粉砕球がミルの内側壁で回転するときに、遠心力により生成した摩擦力が球の重力に等しいと、球が上下で往復することを停止するものを指し、ここで、
【0027】
【0028】
本発明では、粉砕媒体の充填係数が低下すると、縦型粉砕機の螺旋ロータの線速度(回転数)を適切に上げて運行させる。
【0029】
粉砕媒体の充填係数が低下すると、粉砕室内の正圧が低下し、粉砕媒体と原料の摩擦頻度が低下し、縦型粉砕機の線速度(回転数)を上げて運行させることにより、粉砕媒体へより多くのエネルギーを付与し、螺旋裏板の摩擦頻度を向上させ、粉砕能力を高め、
粉砕媒体の充填係数が向上すると、縦型粉砕機の螺旋ロータの線速度(回転数)を適切に下げて運行させる。
【0030】
粉砕媒体の充填係数が向上すると、粉砕室内の正圧が増大し、粉砕媒体と原料の摩擦頻度も向上し、縦型粉砕機の線速度(回転数)を下げて運行させることにより、粉砕媒体へ付与する粉砕エネルギーが低下し、螺旋ロータの螺旋裏板の摩擦頻度が低下し、総粉砕能力が維持される。
【0031】
本発明の縦型粉砕機は球状粉砕媒体を用い、原料のモース硬度、原料粒子径、製品粒子径の要件などに応じて粉砕媒体のグレーディングを最適化させ、且つ原料の粉砕、整形に必要なエネルギーに応じて縦型粉砕機の螺旋ロータの線速度(回転数)を調整し、このように、粉砕、整形に必要なエネルギーを正確に設定する。本発明で使用される方法では、縦型粉砕機が作業を開始させると、駆動装置は螺旋ロータを低速で稼働駆動し、粉砕媒体と原料とを規則的に往復運動させ、原料及び粉砕媒体が螺旋裏板の上面で螺旋面に沿って上方へ移動しながら径方向の遠心運動を行い、粉砕室の内側壁と螺旋裏板との隙間の間で、螺旋しながら降下する。原料顆粒と粉砕媒体では受ける力のむらにより速度差が生じ、その結果、一部の原料が強く押圧、プレス及びせん断を受け、残りの原料顆粒同士が摩擦し、このように原料が効率的に粉砕され、しかも、螺旋ロータは全部のエネルギーを粉砕媒体と原料に作用し、このため、最も効率的な粉砕作用が実行され、主に以下の点がある。
【0032】
第一には、過程にわたって粉砕整形が行われること:螺旋ロータと螺旋裏板が回転するときに、摩擦により一部の粉砕媒体と原料が下がり、エネルギーが粉砕媒体に入力されるとともに原料に入力され、原料が押圧、プレス、せん断、粉砕を受け、残りの粉砕媒体と原料は螺旋ロータと粉砕室の内側壁との間で重力や遠心力の影響を受けて下がり、このように、重力衝撃と転動との動きの組み合わせが生じ、原料が押圧、プレスされる。
【0033】
第二には、粉砕媒体のボール径、原料の粒子径がより合理的にマッチングすること:螺旋ロータが回動して遠心力を発生させるため、螺旋ロータの中心から粉砕室の縁部に向かって粉砕媒体、原料顆粒が小さくなり、小ボール径が小粒子径、大ボール径が大粒子径に対応するようになり、それにより、粉砕効果が高まり、特に大粒子径原料の粉砕に有利である。
【0034】
第三には、正圧摩擦:縦型粉砕機の構造と稼働方式によりその主な粉砕方式が摩擦であり、また縦型粉砕機内の粉砕媒体及び原料は摩擦用の大きな法線応力を提供し、粉砕効果を高める。
【0035】
具体的な実施例
規格φ600の縦型粉砕機にて本方法によりセメントクリンカー粉、フライアッシュ及び人工砂をそれぞれ粉砕して整形した。これらのうち、セメントクリンカー粉はセメント工場においてローラープレスから排出されてボールミルに入る前のセメントクリンカー粉(P・O42.5セメント、中央粒子径D50 33.4μm)であり、フライアッシュは発電所のII等級アッシュ(中央粒子径D50 17.8μm)であり、人工砂は粒子径範囲0.1~5mmの石英砂原砂であった。具体的には以下のとおりである。
【0036】
【0037】
表1から分かるように、縦型粉砕機で粉砕整形したセメント製品は、顆粒の形態(アスペクト比、真円度)が大幅に改善し、標準濃度水消費量が低下し、さらにセメントコンクリートの作業性能が改善し、コンクリートの耐用年数が長くある。
【0038】
【0039】
【0040】
前記のように、セメントの粉砕整形を例として、本発明の方法を用いると、以下の利点がある。
1.中央粒子径D50が30~40μmの乾式粉体(クリンカー粉)を中央粒子径15μm以下に粉砕することで、顆粒の形態(アスペクト比、真円度)を大幅に改善する。
2.セメント粉砕ワークショップへの投資が30~50%低下し、建設や取り付け・試運転の時間が50%程度短縮され、新設ワークショップの面積が従来の50%程度に減少する。
3.運行コストが50%低下し、稼働率が95%と高くなり、粉砕媒体の摩耗が2/3低下し、すべり軸受や潤滑ステーションが必要とされず、潤滑油(グリース)や冷却水の消費が減少する。
4.セメント粉砕において省エネ化や騒音低減を可能とし、消費電力を8~10kWh/t節約し、CO排出を減少させる。騒音を75デシベル低くし、現場の操作者の作業環境を改善する。
5.セメント粉砕テーションのモバイルモジュール化を可能とする
6.重金属の含有量が基準を満たす環境配慮型セメント製品が得られ、環境汚染や人体へ害が低減する。
【0041】
人工砂の粉砕整形を例として、本考案の方法を用いると、以下の利点がある。
1.粉砕整形後の人工砂は顆粒の形態(アスペクト比、真円度)が大幅に改善し、アスペクト比が10%以上低下し、真円度が5%以上向上する。
2.粉砕整形後の人工砂の総合的なモルタル流動性が8%以上向上する。
3.粉砕整形後の人工砂で製造されるコンクリートは作業性能が大幅に改善し、緻密度が大幅に向上し、耐用年数が長くなる。
4.粉砕整形後の人工砂で製造されるコンクリートは強度や安定性が大幅に向上する。
以上は、図面を参照して本発明を例示的に説明したが、明らかなように、本発明の具体的な実施は上記形態により制限されず、本発明の方法の構想及び技術案を用いて行われる様々な実質的でない改良、又は本発明の構想及び技術案を改良せずに他の場合に適用することは、全て本発明の特許範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0042】
10-縦型粉砕機、20-駆動装置、30-送風装置、40-フィード装置、50-吐出装置、60-集塵器。
図1
図2